説明

美顔マッサージ器具

【課題】頭部全体を被覆するように装着することが出来、且、頭部全体にマッサージ効果を与えると共に、装着した状態で顔の表情筋を動かすことで、顔面部の血行促進やリンパの流通改善、更には、表情筋のトレーニングを行うといった、複合的な効果を奏することのできるマッサージマスクを提供する。
【解決手段】顔面を被覆し得る伸縮性の顔面部被覆シート2と、後頭部に配する膨張可能な空気袋体及びこれらを連結する連結部4からなり、空気袋体に空気を注入し膨張させることで、顔面部被覆シート2を後頭部側へ伸張しつつ顔面に密着させるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面の血行不全・むくみ・顔面部筋群のたるみを改善するためのマスク状のマッサージ器具に関するものであって、特に顔面に当接する部分に伸縮性を有する素材を用いることで、顔面皮膚に対し圧迫力と引き延ばし力の二つの力を与えることができるマッサージ器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、手を使わずに顔面のマッサージを行う為のマスクが種々提供されてきている。例えば、実開昭62−10819号公報(先行文献1)や特開平6−245948号公報(先行文献2)に開示のものである。先行文献1に開示の美容マスクは、2枚のシートを貼り合わせ全体に高周波による融着部位を設けた略袋状のマスクであり、顔面に当接させ、且、頭部後方で端部を固定した後、空気を注入・排出して、マスクを膨らませたり、縮ませたりすることで顔面にマッサージ効果を与えるというものである。
【0003】
先行文献2は、顔面を被覆するシート材の内部に拡張及び収縮可能な導管を配設し、導管に流体を圧送する加圧器を連通し、さらにその圧力を制御して導管を拡張及び収縮させることで顔面にマッサージ効果を与えるというものである。しかしながらこれら技術にあっては、顔面に固定したマスクの内部に空気を注入することで、マスク自体の厚みを変化させ、この変化した厚みを肌への圧迫力とすることでマッサージ効果を得るというものであって、肌を引き締めたりすることはできず、且、その圧迫力は微弱なものであるため、表情筋に付加を与えるようなことはできないという欠点がある。
【0004】
先行文献3は前記文献とは異なり、顔の筋肉に沿って引き締めることを目的としたマスクであって、マスク本体の上端部の両後端部を後頭部側へ牽引して固定し、マスク本体を顔面に固定することで顔全体が略均一に引き締められるというものであり、且、マスク本体が非通気性であるため、発汗作用を促進するというものである。しかしながら、単に顔面を強制的に引き締めることのみを目的としていると共に、固定に際しベルトを締める必要があり、引き締め力の微妙な調整を行うことが出来ないという欠点がある。又、非通気性の素材を用いていることで長時間顔面に固定した場合、肌への悪影響も懸念される。
【0005】
前記文献はいずれもマスクによって顔面に対し単に外力を付加することを目的としているため、マスクを装着した状態で顔の表情筋を動かし、これにより、顔面部の血行促進やリンパの流通改善、更には、表情筋のトレーニングを行うといった、複合的な効果を与えることは一切考えられていないという欠点がある。
【特許文献1】実開昭62−10819号公報
【特許文献2】特開平6−245948号公報
【特許文献3】実開平5−88413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、頭部全体を被覆するように装着することが出来、且、頭部全体にマッサージ効果を与えると共に、装着した状態で顔の表情筋を動かすことで、顔面の血行促進やリンパの流通改善、更には、表情筋のトレーニングを行うといった、複合的な効果を奏することのできるマッサージ器具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するためにこの発明が採った手段は、顔面を被覆し得る伸縮性の顔面部被覆シートと、後頭部に配する膨張可能な空気袋体及びこれらを連結する連結部からなり、空気袋体に空気を注入し膨張させることで、顔面部被覆シートを後頭部側へ伸張しつつ顔面に密着させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
又、連結部を複数の帯体とすることを特徴とし、更に、連結部がシートからなり、頭部を袋状に被覆するようになっていることを特徴とする。
【0009】
又、顔面を全体的に被覆し得る伸縮性の顔面部被覆シートと、非伸縮性で前記顔面部被覆シートが被覆し得ない頭部表面を被覆し得る後頭部被覆シートを連結し、該後頭部被覆シート内面側に空気袋体を備え、頭部を袋状に被覆するようにしたことを特徴とする。
【0010】
又、空気袋体に空気を注入することで、顔面部被覆シートを伸張させつつ、顔面に対し圧迫力と引き延ばし力を与えるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マッサージ器具を装着し空気袋体に空気を注入し該袋体を膨張させることで、顔面に圧迫力と引き延ばし力を与えると共に、頭部全体に圧迫力を与えることが出来、これにより、顔面のみならず頭部全体のマッサージをも行うことが容易に出来るという効果がある。又、空気袋体を膨張させた状態で顔の表情を変化させるように表情筋を動かすことで、顔のマッサージと同時に表情筋のトレーニングを行うことができ、美顔を得ることが出来るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。この発明のマッサージ器具は、顔面に適宜な圧迫力を与えマッサージ効果を得ると共に、圧迫された状態で顔の表情筋を動かすことで筋肉トレーニングを達成せしめるものである。該マッサージ器具は、顔面を被覆し得る伸縮性の顔面部被覆シートと、後頭部に配する膨張可能な空気袋体及びこれらを連結する連結部からなり、空気袋体に空気を注入し膨張させることで、顔面部被覆シートを後頭部側へ伸張しつつ顔面に密着させるようになっており、より好ましくは、顔面部を被覆し得る伸縮性及び密着性を有する顔面部シートと、該頭部を被覆し得る後頭部シート並びに後頭部シート内側に配設される空気袋体からなる。尚、顔面部には目、鼻及び口の位置に対応した開口部を設けるようにしても良い。
【0013】
使用に際しては、顔面部を前記顔面部被覆シートで被覆するように該マッサージ器具を装着し、ポンプにより空気袋体を膨張させて顔面部被覆シートを後頭部側へ引っ張って、顔面皮膚に対し圧迫力と引き延ばし力を与える。又、該状態において、装着者は顔の表情を変化させることで、血行促進やリンパの流通改善、更には、表情筋のトレーニングを行うことが出来る。この時、顔の表情の変化に応じ、顔面部被覆シートは伸縮性を有している為、顔面皮膚へ密着を続けることが出来、どのような表情であっても常に一定の圧迫力と引き延ばし力を与えることが出来るようになっている。
【実施例1】
【0014】
以下にマッサージ器具をマスク状に形成した例をもとに、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1はマッサージ器具の斜視図であり、図2は該マッサージ器具を頭部に被せた状態を示し、図3は該マッサージ器具に空気注入手段を接続した状態を示す。図4は図3における状態の透過断面図である。図5は空気袋体に空気を注入した状態を示す図である。図6は使用時における頭部への力のかかり具合を模式的に示した図である。図7は他の実施例を示す図である。
【0015】
(1)はマスク本体であり、伸縮性を有する素材からなる顔面部被覆シート(2)及び非伸縮性の素材からなる後頭部被覆シート(3)から構成され、両被覆シート(2)(3)は連結部(4)で一体に連結され、頭部全体(以後単に頭部という)を被覆可能で、下方に開口部を有する略袋状に形成されている。顔面部被覆シート(2)の前方下端には、顎の形状に倣った突出部(2a)が形成されている。
【0016】
後頭部被覆シート(3)の一部にはファスナー(5)が形成されており、後頭部被覆シート(3)の一部を拡開することが出来、これによりマスク本体(1)下方の開口部の面積を大きくすることが出来るようになっている。後頭部被覆シート(3)の内側には空気袋体(6)が備えられている(図4〜6参照)。尚、顔面部被覆シート(2)及び後頭部被覆シート(3)は通気性、吸水性、抗菌性を有するものが好ましい。又、顔面部被覆シート(2)表面に装飾用のシートを配置しても良い。
【0017】
以下、装着方法並びに使用方法を詳細に説明する。ファスナー(5)を開放した状態のマスク本体(1)を頭部に被せる。この時、突出部(2a)を顎に係止させる。次に図2に示すように、ファスナー(5)を締め、頭部全体を被覆するように装着する。更に図3に示すように、空気注入孔を介して空気袋体(6)にポンプ(7)を接続する。尚、該ポンプ(7)は空気袋体(6)に空気を注入できるものであればよく、その構造は特に限定されるものではない。
【0018】
図4に示すように後頭部覆面シート(3)の内面側には、後頭部の広範囲に位置するような空気袋体(6)が備え付けられている。マスク本体(1)を頭部に装着した状態においては、顔面部被覆シート(2)、後頭部被覆シート(3)及び空気袋体(6)は、いずれも頭部へ軽く接触する程度となっている。尚、該空気袋体(6)は後頭部被覆シート(3)に対して脱着自在に備え付けても、後頭部被覆シート(3)の内面に固定したものであってもよい。
【0019】
次に前記ポンプ(7)を操作し、空気袋体(6)に空気を注入して膨張させる(図5参照)。空気袋体(6)の膨張に伴い、後頭部被覆シート(3)は空気袋体(6)の膨張分だけ頭部後方へと引っ張られ移動する。前述のようにマスク本体(1)は伸縮性を有する顔面部被覆シート(2)と非伸縮性の後頭部被覆シート(3)を連結したものであるため、顔面部被覆シート(2)も後頭部被覆シート(3)の移動に伴い頭部後方へと引っ張られるが、シートのもつ伸縮性により、鼻や頬の形状に沿うように、柔軟に顔面皮膚に密着しつつ、圧迫しながら伸張していく。突出部(2a)においては顎をやや上方へ引き上げるように伸張する。
【0020】
図5に示すように所望の圧迫力が得られるまで、空気袋体(6)に空気を注入した状態にあっては、連結部(4)が空気未注入状態に比べて後頭部側へ距離(L)だけ移動しており、この距離(L)分だけ、顔面部被覆シート(2)は全面が略均等な張力(P)で伸張される。これにより、顔面皮膚には張力(P)の方向に引き延ばされるような力が付加されることとなる。すなわち、顔面皮膚に対する圧迫力と、後頭部側への引き延ばし力の二つの要素が顔面全体に対し付加される。
【0021】
以上により、簡単に、且、確実に顔面に対する圧迫と引き延ばしによるマッサージ効果を得ることができる。尚、顔面部被覆シート(2)には通気性、吸水性を有する素材を用いているため、前記マスク本体(1)を装着し空気袋体を膨張させた状態においても、呼吸にはなんらの影響もなく、長時間に渡り肌に圧迫力、引き延ばし力を付与し続けることが可能である。
【0022】
更に前記状態のまま、装着者は顔面の筋肉を意識的に動かすことで、表情筋のトレーニングを行うことができる。顔面に存する表情筋を含め、筋肉は自然状態のまま動かすよりも、ある程度の圧迫力を付加した状態で動かすことでトレーニングを行うことができる。つまり、本マスクを装着し、空気袋体を膨張させた状態で顔の表情を変化させるように表情筋を動かすことで、顔のマッサージと同時に表情筋のトレーニングを行うことができ、美顔を得ることが出来る。
【実施例2】
【0023】
図7は他の実施形態を示すものである。(10)はマスク本体であって、その基本的な構造は前述の実施例1に開示のマスク(1)と同等であり、顔面部被覆シート(11)と、後頭部に配される空気袋体(13)並びにこれらを連結する連結部(12)から構成され、顔面部被覆シート(11)と空気袋体(13)の間隙に頭部を狭持するようになっている。図示の例では連結部を5本の帯状体により形成した例を示すが、該連結部はシート状のものであっても良く、特に限定されるものではない。又、顔面部被覆シート(11)の端部を直接、空気袋体(13)に連結するようにしてもよい。(17)は空気袋(13)を膨張させる為のポンプである。前記顔面部被覆シート(11)は、顔面に対し圧迫力、引き延ばし力を付与するために伸縮性を有する素材を用いることが好ましいが、特に限定されるものではなく、非伸縮性の素材であってもよい。尚、非伸縮性の素材を用いる場合には、顔面当接側にシリコンゴムシート等の弾力性を有するシートを積層させ、皮膚の形状に対応させながら柔軟に顔面部被覆シートを接触させるようにするのが好ましい。
【0024】
顔面部被覆シート(1)には、目開口部(14)、鼻開口部(15)、口開口部(16)等を形成してもよく、これにより仮に該顔面部被覆シート(1)に光透過性、通気性、伸縮性を有しない素材を用いたとしても、マスク装着時の前方視界の確保や、呼吸及び会話の容易性を向上させたりすることが出来る。但し、前述の実施例において示したように顔面部被覆シート(11)に通気性を有する素材を使用した場合には、これら開口部(14)(15)(16)を必ずしも設ける必要はない。尚、本マスク(10)の頭部への装着方法並びに使用方法については前述のマスク(1)と何等かわるものではないため説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】マッサージマスクの斜視図
【図2】同マスクを頭部に被せた状態を示す図
【図3】同状態におけるマスクに空気注入手段を接続した状態を示す図
【図4】図3の状態における透過断面図
【図5】空気袋体に空気を注入した状態を示す透過断面図
【図6】使用時における顔面部にかかる力を模式的に示した図
【図7】他の実施例を示す図
【符号の説明】
【0026】
(1)マスク本体
(2)顔面部被覆シート
(2a)突出部
(3)後頭部被覆シート
(4)連結部
(5)ファスナー
(6)空気袋体
(7)ポンプ
(10)マスク本体
(11)顔面部被覆シート
(12)連結部
(13)空気袋体
(14)目開口部
(15)鼻開口部
(16)口開口部
(17)ポンプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面を被覆し得る伸縮性の顔面部被覆シートと、後頭部に配する膨張可能な空気袋体及びこれらを連結する連結部からなり、空気袋体に空気を注入し膨張させることで、顔面部被覆シートを後頭部側へ伸張させつつ顔面に密着させるようにしたことを特徴とする美顔マッサージ器具。
【請求項2】
連結部が複数の帯体からなることを特徴とする請求項1記載の美顔マッサージ器具。
【請求項3】
連結部がシート体からなり、頭部を袋状に被覆するようになっていることを特徴とする請求項1記載の美顔マッサージ器具。
【請求項4】
顔面を全体的に被覆し得る伸縮性の顔面部被覆シートと、非伸縮性で前記顔面部被覆シートが被覆し得ない頭部表面を被覆し得る後頭部被覆シートを連結し、該後頭部被覆シート内面側に空気袋体を備え、頭部を袋状に被覆するようにしたことを特徴とする美顔マッサージ器具。
【請求項5】
空気袋体に空気を注入することで、顔面部被覆シートを伸張させつつ、顔面に対し圧迫力と引き延ばし力を与えるようにしたことを特徴とする請求項4記載の美顔マッサージ器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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