説明

老朽化した防火水槽の再生方法

【課題】本発明は、老朽化した防火水槽の水漏れ防止と崩落防止手段を提案するものである。
【解決手段】本第1の発明は、老朽化した防火水槽内を排水し、当該防火水槽内の底面及び壁面に沿って透水シートを袋状に張り設し、前記透水シートに樹脂溶液を吹付け、遮水シートに変換する老朽化した防火水槽の再生方法である。狭い人孔部より搬入可能な透水シートを槽内で袋状に加工しあるいは加工した後搬入し、ウレタンなどの樹脂溶液を吹付け防水性のある遮水シートに変換した。前記透水シートを遮水シートに変換した後、槽内に単位部材を底面から天井まで積み上げ天上部の崩落を防止する老朽化した防火水槽の再生方法である。防火水槽内にブロックを配置し、天井部を支え万一の崩落を防止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化した防火水槽を再生利用する技術に属する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート製の防火水槽は40m3、100m3など規格化され多数設置されている。設置年度が古く多くの既存の防火水槽は老朽化し、漏れなどの不都合が生じている。特開平9-217394には既存の防火水槽内をシートで内張りし単位部材を充填した再生方法が示されている。特開2002-120895にはプラスチック製シートからなる袋状ガードを壁面に装着する方法が示されている。
上記方法は防火水槽の壁面からの漏れを防止する手段であって、更にこれに加え防火水槽の壁面の崩壊を防止する手段が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-217394
【特許文献2】特開2002-120895
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、老朽化した防火水槽の水漏れ防止と崩落防止手段を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第1の発明は、老朽化した防火水槽内を排水し、当該防火水槽内の底面及び壁面に沿って透水シートを袋状に張り設し、前記透水シートに樹脂溶液を吹付け、遮水シートに変換する老朽化した防火水槽の再生方法である。狭い人孔部より搬入可能な透水シートを槽内で袋状に加工しあるいは加工した後搬入し、ウレタンなどの樹脂溶液を吹付け防水性のある遮水シートに変換した。
本第2の発明は、老朽化した防火水槽内を排水し、当該防火水槽内の底面及び壁面に沿って透水シートを袋状に張り設、樹脂溶液を吹付け、前記透水シートを遮水シートに変換した後、槽内に単位部材を底面から天井まで積み上げ天上部の崩落を防止する老朽化した防火水槽の再生方法である。防火水槽内にブロックを配置し、天井部を支え万一の崩落を防止した。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、老朽化した防火槽内に透水シートを袋状に張り設し、樹脂溶液を吹付けることで遮水性としたため、防火水槽を形成するコンクリートが老朽化のため皹、少しの崩落があっても防火水槽内の水が漏洩することがない。槽内の壁面に直接吹付けるのではないため壁面の崩落に遮水シートが追随する必要がない。
槽内に単位部材を積み上げたため、天井部の崩落があっても単位部材により支えられ大きな災害となることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、本第1の発明に係る老朽化した防火水槽の再生方法を示す概念図である。
【図2】は、本第2の発明に係る老朽化した防火水槽の再生方法を示す概念図である。
【図3】は、単位部材の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本第1の発明を図によって、より詳細に実施の手順を説明する。
図1は、本発明に係る老朽化した防火水槽の再生方法を示す概念図である。
図に示すように、本方法は、老朽化した防火水槽を排水し、その内部に透水シートを搬入し、槽内の壁面・底面を覆うように張り設する。槽内で貼り合わせてもよく、事前に槽内の形状に合わせて槽外で袋状に張り合わせて搬入してもよい。シートがその重量により剥落しないよう上部をボルトなどで壁面に固定する。ボルトを打てないほど壁面の強度が劣化している恐れのある場合は、壁面に沿って鋼板等でシートを固定する固定部を設けてもよい。併せて、壁面底面の剥離対策として壁面、底面全体を鉄板等で覆ってもよい。
【0009】
張り設した透水シートに、樹脂溶液などをジェット噴射で吹付け、透水シートを遮水シートに変換する。直接槽壁、底部に樹脂溶液を吹付けることは、槽内を乾燥してから実施する必要があり、時間がかかる。また、直接壁に吹付けた場合、吹付けられた樹脂が槽の老朽化による皹、剥落に追随できる可能性がある。
【0010】
樹脂溶液は水性ポリウレタン系エマルジョン(特開2003−55431)がゴム弾性を有し、有機溶媒を含まないため防火水槽内のような密閉系でも利用できる。
【0011】
図2は、防火水槽内に図3に示す単位部材を底面から天井まで積み上げた状態を示している。これら単位部材は、樹脂製若しくは金属製であり、雨水の流出抑制施設用の貯留・浸透槽の構築用に使用されるもので、十分な強度と、貯水能力を有している。
【産業上の利用可能性】
【0012】
老朽化した防火水槽の漏洩防止、崩壊防止による再生利用、災害時における水の確保等に利用可能である。
【符号の説明】
【0013】
1 老朽化した防火水槽
2 透水シート
3 遮水シート
4 シート固定部
5 単位部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
老朽化した防火水槽内を排水し、当該防火水槽内の底面及び壁面に沿って透水シートを袋状に張り設し、前記透水シートに樹脂溶液を吹付け、遮水シートに変換する老朽化した防火水槽の再生方法。
【請求項2】
老朽化した防火水槽内を排水し、当該防火水槽内の底面及び壁面に沿って透水シートを袋状に張り設し、樹脂溶液を吹付け、前記透水シートを遮水シートに変換した後、槽内に単位部材を底面から天井まで積み上げ天上部の崩落を防止する老朽化した防火水槽の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−255914(P2011−255914A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130605(P2010−130605)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】