耐ラッチアップ構造及びその形成方法
【課題】 CMOSデバイスのラッチアップ耐性を高める方法及びデバイスを提供する。
【解決手段】 好適な方法は、Nウェル及びPウェルのエッジにインプラントを形成するためハイブリッド・レジストを使用する。インプラントは寄生トランジスタの少数キャリア存続期間を短縮し、よって寄生トランジスタのゲインを少なくする。これによりCMOSデバイスのラッチアップ傾向が小さくなる。好適な実施例の方法では、従来技術の方法にマスキング・ステップを追加することなくこれらのインプラントを形成できる。更にインプラントを形成する好適な方法により、ウェルのエッジと自己整合するインプラントが得られる。
【解決手段】 好適な方法は、Nウェル及びPウェルのエッジにインプラントを形成するためハイブリッド・レジストを使用する。インプラントは寄生トランジスタの少数キャリア存続期間を短縮し、よって寄生トランジスタのゲインを少なくする。これによりCMOSデバイスのラッチアップ傾向が小さくなる。好適な実施例の方法では、従来技術の方法にマスキング・ステップを追加することなくこれらのインプラントを形成できる。更にインプラントを形成する好適な方法により、ウェルのエッジと自己整合するインプラントが得られる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的には半導体デバイスに関し、特にラッチアップを少なくする方法及び構造に関する。
【0002】
【従来の技術】集積半導体デバイスがますます複雑になり、常に半導体デバイスの密度を上げることが求められる。しかし密度を高めると、アドレスされていない場合はデバイスが故障する原因になる問題が生じる。1つは、半導体デバイス、特にCMOSデバイスが"ラッチアップ"する傾向である。ラッチアップは集積回路の素子間で不要なトランジスタ動作により生じる周知の問題である。この不要なトランジスタ動作は、多種多様な事象によりトリガされ、半導体デバイスが故障する原因になる。
【0003】ラッチアップは一般的には、現在のCMOSデバイスでNチャネル及びPチャネルのデバイスがかなり近接することにより生じる。例えばP型基板に作製される代表的なCMOSデバイスは、Nウェルに作製されるPチャネル・デバイスとPウェルに作製されるNチャネル・デバイスを含み、ウェル間の距離は短い。この構造は必然的に寄生横型バイポーラ構造(NPN)及び寄生縦型バイポーラ構造(PNP)を形成する。特定のバイアス条件下では、PNP構造はNPN構造にベース電流を供給し(またはその逆)、PNPNアノードからカソードに大きな電流が流れる。PNPNデバイスがトリガされると、PNPNは低電流/高電圧状態から低電圧/高電流状態に遷移する。場合によっては低電圧/高電流状態が、熱暴走やPNPN寄生素子の形成によって引き起こされる素子の破壊につながる。
【0004】例えば図30を参照すると、CMOSデバイス部800が示してある。代表的なCMOS部800はP−エピタキシャル層804を持つP+基板802に形成される。CMOS部800はPウェル808に形成されるNチャネル・デバイス(図は第1N++拡散部806のみ示している)と、Nウェル812に形成されるPチャネル・デバイス(図は第1P++拡散部810のみ示している)を含む。2つのデバイスは浅いトレンチ分離部(STI)814で分けられる。
【0005】1つの寄生横型バイポーラ構造(NPN)がN++拡散部806、Pウェル808/P−エピタキシャル層804、及びNウェル812により形成される。ラッチアップが生じると、この構造は横型バイポーラNPNトランジスタとして働き、N++拡散部806はそのエミッタに、Pウェル808及びP−エピタキシャル層804はそのベースに、Nウェル812はコレクタになる。N++拡散部806はPウェル808に電子を注入する。注入された電子はNウェル812によって集められる。
【0006】同様に寄生縦型バイポーラ構造(PNP)はP++拡散部810、Nウェル812、及びP−エピタキシャル層804によって形成され、P++拡散部810はそのエミッタとして、Nウェル812はそのベースとして、P−エピタキシャル層804はそのコレクタとして働く。P++拡散部810からNウェル812に注入されるホールはP−エピタキシャル層804によって集められる。Nウェル812からP−エピタキシャル層804へのホールの流れは、P−エピタキシャル層804からNウェル812への対応する電子の流れを生じ、よってNPN横型バイポーラ構造の転移効果を高める。
【0007】この正のフィードバック動作によりNPNP構造がラッチアップすることがある。もちろんこれはCMOSデバイスで起こり得るラッチアップの一例に過ぎず、またラッチアップは、代表的なCMOSデバイス中の他のNPNPまたはPNPNの経路でも生じ得る。
【0008】CMOSデバイスのラッチアップの傾向に対しては、いくつかの形で取り組みがなされている。1つの方法は、トランジスタ型動作の"ゲイン"を下げるものである。ゲインはベース領域での少数キャリアの存続期間の関数である。ゲインを下げるとCMOSデバイスのラッチアップ傾向が小さくなる。これは寄生PNPNをCMOSラッチアップにつながる負の抵抗状態にするために印加すべき電圧("トリガ電圧"という)を上げることによる。
【0009】CMOSデバイスでの寄生トランジスタのゲインは、ウェル・プロファイル設計、P+/N+間隔等多くのパラメータの関数である。特に横型及び縦型のプロファイルはそれぞれ横型及び縦型の寄生トランジスタの寄生バイポーラ・ゲインに影響を与える。従ってウェル・プロファイル・エッジの配置及び制御は拡張CMOSプロセスのラッチアップ特性に大きな影響を与える。現在、Pウェル及びNウェルの間隔の制御は、ある程度オーバレイの変更により決定される。デバイスがスケーリングされP+及びN+の間隔が減少すると、従来の作製技術でウェル・プロファイルを制御することによって寄生ゲインを制限する機能は大きな問題になってくる。
【0010】ラッチアップを扱うもう1つの方法は、ラッチアップ保持電圧を上げることである。ラッチアップ保持電圧は最小安定電圧であり、ラッチアップがトリガされた後に大きい電流をサポートすることができる。ラッチアップ保持電圧を上げることで、ラッチアップ耐性が増し、回路が故障する可能性は小さくなる。最適な状況は、保持電圧をバーンイン電圧より大きくする、通常は公称電源電圧(Vdd)よりも1.5ボルト大きくすることである。
【0011】Nチャネル及びPチャネルのデバイス間には、ラッチアップの可能性を最小にするために浅いトレンチ分離部(STI)が用いられている。しかしCMOS技術がより小さい寸法にまでスケーリングされると、STI寸法を含めた全ての幾何パラメータが小さくなる。STIの深さや幅が小さくなるとラッチアップ耐性は減少する。これはトランジスタ電流ゲインが上がり、ラッチアップ保持電圧が下がるからである。ラッチアップ保持電圧が下がり過ぎる、つまりバーンイン電圧より小さくなると、ラッチアップ耐性は損なわれる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の方法は従って、CMOSデバイスのサイズ、特にデバイス間の分離領域が小さくなると、CMOSデバイスに充分なラッチアップ耐性を提供できない。従ってCMOSデバイスのラッチアップ耐性を高めるとともに、デバイスのスケーリングを進めてデバイス密度を高めることのできる改良された方法が必要である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術の制限を克服し、ウェル・エッジにインプラントを形成することによってCMOSデバイスのラッチアップ耐性を高める方法及びデバイスを提供する。CMOSデバイスのラッチアップ耐性を高める好適な実施例の方法は、ハイブリッド・レジストを使用してNウェル及び/またはPウェルのエッジにインプラントを形成する。インプラントは寄生トランジスタの少数キャリア存続期間を短縮し、よって寄生トランジスタのゲインを少なくする。これによりCMOSデバイスのラッチアップ傾向は小さくなる。好適な実施例の方法では、これらのインプラントを、従来技術の方法以上にマスキング・ステップを追加せずに形成できる。更にインプラントを形成する好適な方法により、ウェルのエッジに対して自己整合するインプラントが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の好適な実施例は従来技術の制限を克服し、Nウェル及び/またはPウェルのエッジでインプラントを形成するためハイブリッド・フォトレジストを使用したCMOSデバイスのラッチアップ耐性を高める方法及びデバイスを提供する。インプラントは寄生トランジスタの少数キャリア存続期間を短くし、よって寄生トランジスタのゲインを少なくする。このゲインの減少によりCMOSデバイスのラッチアップ傾向が小さくなる。ハイブリッド・フォトレジストを使用することでインプラントはウェル・エッジに自己整合する。
【0015】ここでは、まずハイブリッド・フォトレジストについて説明し、次に好適な実施例の説明に進む。
【0016】『ハイブリッド・フォトレジスト』好適な実施例は、露光に対してポジ型及びネガ型の両方の応答性を同時に有するフォトレジスト物質を使用する。物質のこの組み合わせにより、ここではハイブリッド・レジストと呼ばれる新しい型のレジストが得られる。
【0017】ハイブリッド・レジストが化学線照射を受けると、照射強度の高い領域はネガ型ライン像を形成する。露光されなかった領域は現像液に対して不溶のままであり、よってポジ型ライン・パターンを形成する。照射強度が中間の領域、例えば回折効果により強度が低下した空間像のエッジ等は、現像時にレジスト膜にスペースを形成する。このレジスト反応は、このレジストの固有溶解速度特性の現れであり、非露光レジストは現像されず、一部露光されたレジストは高率で現像され、高露光レジストは現像されない。
【0018】ハイブリッド・フォトレジストの固有溶解速度応答により、1つの空間像を従来のレジストのように、1つのラインまたはスペースとしてではなくスペース/ライン/スペースの組み合わせとして印刷することができる。このレジストのこの"周波数2重化"機能により、従来の露光装置をより高いパターン密度まで拡張することができる。0.2μm以下のラインとスペースは、解像度0.35μmで動作する設計の現在のDUV(遠紫外)リソグラフィ装置で印刷できることは、ハイブリッド・レジストの一例の利点である。
【0019】この種のハイブリッド・レジストの他の利点は、露光量とレチクル像サイズが変わるときスペース幅はほぼ不変なことである。これにより各チップ内のスペース幅について、各ウエハ全面で生産ウエハのバッチからバッチへ、かなり精密な像制御が可能になる。
【0020】ハイブリッド・レジストの他の利点は、ハイブリッド・レジストの周波数2重化機能により最小レチクル・フィーチャ・サイズが緩和されることである。例えば0.2μmのフィーチャを従来のレジストで印刷するには、一般には0.2μmのレチクル像サイズが必要である。ハイブリッド・レジストでは、0.2μmのスペースをレチクル・フィーチャの1つのエッジで形成できる。例えば0.5μmのレチクル開口で0.2μmのスペース2つと0.2μmのライン1つが作られる。このようにして、"縮小"X線または電子ビームのリソグラフィが実現できる。つまりレチクル像ピッチは基板上の印刷のピッチの約2倍となる。これにはまた光レチクルの像サイズ要件を緩和でき、コストを下げ、レチクルの歩留りを改良できるという利点もある。0.2μm以下のライン及びスペースを現在の装置を変更せずに実現できることはハイブリッド・レジストの利点である。
【0021】露光量とレチクル・サイズが変わってもスペース幅はほぼ不変であり、よってスペース幅を制御するプロセス許容範囲を大きくすることができることも利点である。本発明のハイブリッド・レジストを使用することで、レチクル上の像寸法の誤差が、基板に印刷されたスペース幅に再現されることはない。その結果チップ上のスペース幅のばらつきは最小になる。これは光学的、X線及び電子ビームの露光方法には重要である。特に1倍レチクル、つまり通常は基板に印刷された像と1対1の関係を持つレチクルを要するリソグラフィの手法には有益である。レチクル上の像サイズのばらつきは通常、基板に再現されるからである。
【0022】よって好適な実施例のハイブリッド・レジストは、露光に対してポジ型及びネガ型の両方の応答性を同時に有するフォトレジスト物質を提供する。ポジ型応答は比較的少ない露光量で支配的であり、ネガ型応答は露光量が比較的多いとき支配的である。このレジストの露光によりスペース/ライン/スペースの組み合わせが作られるが、従来のレジストならいずれも1つのフィーチャしか作られない。図24は、露光量が増加するときポジ型レジストの可溶性が増す様子を示す。図25はレチクル・ライン・パターンが印刷されたポジ型レジストのライン・パターンを示す。
【0023】他方、ネガ型レジスト系の露光領域は、図2626に示すように、露光量が増すと可溶性は減少する。図27はレチクル・ライン・パターンが印刷されたネガ型レジストのライン・パターンを示す。
【0024】本発明のハイブリッド・レジストでは、ポジ型応答により、レチクル像のエッジ付近の領域等、回折効果のため露光強度が低下した領域の可溶性が増す。露光量が増すとネガ型応答が支配的になり、露光度の高い領域で可溶性が小さくなる。図28はハイブリッド・レジストの露光量の関数としてレジストの可溶性を示す。レチクル・ライン・パターンを基板に印刷すると、図29に示したスペース/ライン/スペース・パターンが得られる。
【0025】このようにして空間像が"周波数2重化"され、標準レジストで達成できる場合に比べてフィーチャ数が2倍になる。図1は、ポジ型レジスト、ネガ型レジスト及びハイブリッド・レジストの間のこれら目立った違いを示す。
【0026】周波数2重化ハイブリッド・レジストは通常、既存のポジ型及びネガ型のレジストの成分を使用して調製される。これには例えば酸感応可溶性/溶解阻害官能性、架橋剤、光酸発生剤、また任意に塩基添加剤と光増感剤により一部変性されたポリ(ヒドロキシスチレン)樹脂が含まれる。
【0027】レジスト形成物に変更を加えることでポジ型反応を早め、ネガ型反応は遅くして、結果を最適化することもできる。またポジ型成分は、現像前ベーク温度に対する反応が比較的弱くなるよう選択でき、ネガ型の部分は、現像前ベーク温度に対する反応をより強くするよう選択することができる。このようにしてポジ型及びネガ型の応答の相対的性質をベーク温度により変化させ、所望の像形成結果を得ることも可能である。
【0028】またレジスト形成物に変更を加えることで、寸法の異なるスペース幅を得ることもできる。例えばポリ(ヒドロキシスチレン)樹脂に対する可溶性阻止剤の量を増やすと、印刷されたスペース幅は狭くなる(図9)。この方法はまたネガ型ラインの等焦点印刷バイアスを変更するためにも使用できる。ポジ型可溶性阻止剤の濃度が高いと、ネガ型ラインの等焦点印刷バイアスが増加する(図4)。これは用途によっては、印刷されたネガ型ラインを細くし、レジストの周波数2重化特性を最適化する上で望ましい。
【0029】ハイブリッド・レジストのポジ型及びネガ型の機能の相対的応答性はまた、露光条件を変えることによっても変更できる。例えばハイブリッド・レジストのネガ型ラインは、従来のレジストの挙動と同様に、露光量及びレチクル寸法と共に変化する。従って例えば露光量が増えると、ネガ型ラインの幅は増し、スペースは同じ大きさであるが、基板上の新しい位置にシフトする。スペースはネガ型ラインと隣接しているからである。同様にポジ型ラインは、露光量またはレチクル寸法が変わるとサイズが変化する。
【0030】もう1つの例として、2つのレチクルを使用してレジストに2つの別々のパターンを印刷することができる。1つのレチクルは、露光量を多くすればハイブリッド機能がレジストに現れる。もう1つのレチクルは露光量を少なくして同じレジスト膜で露光すると、レジストのその部分にポジ型機能だけが現れる。この効果はまた、例えば露光量を少なくしたい領域で、化学線の部分フィルタがレチクルに含まれている場合、1回の露光プロセスで達成される。これにより、より狭いフィーチャと同時により広いスペースを印刷することができる。これはいくつかのデバイスの用途に必要である。
【0031】この2段階像形成法の変形例として、ハイブリッド・レジストを使用して、標準ネガ型パターンを形成することができる。レジスト膜が標準ネガ型レチクルで像のとおりに露光され、ベークの後ハイブリッド像が形成され、次に化学線で均一露光され、第2の露光後ベーク・プロセスを適用せずに現像された場合、結果は標準のネガ型像になる。この方法はゲート導体回路の形成等、かなり細かいラインの印刷を要するが、高密度の像ピッチは必要としない用途には望ましいと考えられる。これに代わる方法として、レジストを像のとおりに露光した後、ベーク・ステップの前に少量の化学線エネルギで全面均一露光することができる。この方法がどの程度望ましいかは、可溶性阻止保護基が樹脂に存在するかどうか、またポジ型応答が温度に依存するかどうかによる。
【0032】このような用途にハイブリッド・レジストを使用する利点は、ハイブリッド・レジストのネガ型ラインが、図3に示すように、等焦点で大きな印刷バイアスを示すことである。言い換えると、ハイブリッドのネガ型ラインについて、プロセス許容範囲が最大の点では、レジスト像はレチクル像よりかなり小さくなる。これが望ましいのは、レチクルが大きいときの回折効果による空間像の劣化が少ないからである。これにより、図2R>2に示すように従来のポジ型及びネガ型の系よりも焦点深度を大きくすることができる。この印刷バイアスは、クロム線のエッジがスペースとして印刷されるという事実の結果である。スペースは事実上、空間像のエッジを"トリミング"するよう機能するため、ネガ型ラインは従来のネガ型レジストの場合よりも小さく印刷される。これはハイブリッド・レジストの周波数2重化性が現れたものである。
【0033】ネガ型ラインの印刷バイアスを最適化するようにレジスト形成物を設計することが可能である。例えばポジ型可溶性阻止剤について適切な付加係数(loadingfactor)を選択することによって、図4に示すように特定の印刷バイアスを得ることができる。理論上は他の要素についても、密度と反応性に変更を加えることによって、フォトレジストの応答性に関して同様なばらつきをもたらすことができることは明らかである。
【0034】例えば0.5NA DUVリソグラフィ装置で露光したとき、ハイブリッド・レジストの等焦点印刷バイアスは、図2、図3からわかるようにデータに対して通常の計算を行うと、標準的なネガ型レジストの等焦点印刷バイアスより0.11μm大きくなる。この差は2つの形で利用することができる。まず、同じレチクル像サイズではハイブリッド・レジストにより標準レジストより細い線を印刷しながら、焦点と露光プロセス許容範囲を維持することができる。もう1つの方法は、ハイブリッド・レジストでは、レチクル・フィーチャのサイズを標準レジストに対して大きくしながら、標準レジストと同じ像サイズで印刷することができる。大きいレチクル像を使用することで回折効果が減少するため焦点深度が大きくなる(図5)。前者の用途の場合、より小さなハイブリッド・レジスト像で高い性能を得ることができる。後者の用途では、ハイブリッド・レジストのプロセス許容範囲が大きいので歩留りがよくなる。
【0035】レジスト形成物に変更を加えることで、高感光速度(photospeed)ポジ型反応と低感光速度ネガ型反応が得られ、最適な結果が得られる。またポジ型レジストは、露光後ベーク(PEB)に反応しないように選択することができる。これによりポジ型のネガ型に対する感度比を変更でき、よってスペース/ライン/スペースの組み合わせの比が変更される。
【0036】スペース/ライン/スペース比を変更するもう1つの方法は、露光装置のレチクルにグレースケール・フィルタを利用することである。グレースケール・フィルタでは、照射線の一部だけがレチクルを通過するので中間露光領域が作られる。これにより、露光量は臨界点に達することがないので、ネガ型レジストがこれらの領域で機能することが防止されるが、ポジ型は機能し、よってより広いスペースが作られる。その結果、より広いスペースをより狭いフィーチャと同時に印刷することができる。これはいくつかの素子用途に必要である。
【0037】処理を更に高度化すると、通常、得られるフィーチャは、必要とされない場合は第2マスキング・ステップでトリミングすることができる。
【0038】次の例は、周波数2重化レジストの組成の代表例であるが、組成はこの例に限定されることはなく、当業者は多くの変形例を容易に考えることができよう。
【0039】本発明に従った用途に適したフォトレジスト樹脂としては、フォトレジスト形成物のポリマ樹脂として使用するのに適した、塩基可溶性(base-soluble)で鎖の長いポリマが含まれる。具体的には、i)Hoechst Celanese(Corpus Christi、TX)から入手できるポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)等のヒドロキシスチレンといった、−OH基を持つ芳香族ポリマ、Shipley(Maroboro、Mass)から入手できるノボラック樹脂、及びフェノール・ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール−OH基を持つポリマ、ii)エステル側鎖を持つポリメタクリル酸等の酸基を持つポリマ、及びiii)アクリルアミド基型ポリマ等である。
【0040】ポリマ樹脂は、脱保護形では、すなわち一度ポジ型反応が起こると、塩基溶媒は可溶性になり、金属を含まない水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、金属を含む水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウムの水溶液等の現像液に対して相溶性を示す。好適なポリマ樹脂は、平均分子重量が約1,000ダルトン乃至約250,000ダルトンの範囲、更に好ましくは約1,000ダルトン乃至25,000ダルトンの範囲であり、これにより現像液でのその可溶性を高めることができる。具体的には、p−ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸コポリマ、ポリヒドロキシスチレン−p−tert−ブチル−カルガナトスチレン(carganatostyrene)コポリマ、ポリ(2−ヒドロキシスチレン)、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリメチル・メタクリル酸エステル−tert−ブチル・メタクリル酸エステル−ポリメタクリル酸3元共重合体、ポリ−4−ヒドロキシスチレン−tert−ブチル・メタクリル酸エステル・コポリマ、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)と、芳香族環の1つ以上の酸反応活性(acid labile)アルキルまたはアリール置換基、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)と芳香族環の1つ以上のアルキルまたはアリール置換基、またはコポリマの過半数のサブユニットとしてのこれら、例えばMaruzen America(New York、NY)から入手できるPHM−C等である。PHM−Cには、ポリ(ヒドロキシスチレン)・サブユニットと、ビニル・シクロヘキサノール・サブユニットの両方が、好適には約99:1乃至約50:50の範囲で含まれる。最も好適な比は約90ポリ(ヒドロキシスチレン)・ユニットに対して約10ビニル・シクロヘキサノール・サブユニットである。
【0041】架橋組成は、好適にはテトラメトキシメチル・グリコウリル(glycouril)("パウダーリンク")及び2、6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールである。ただし、この他に次のような架橋組成でもよい。
【化1】
【0042】特開平1−293339号に見られる類似体及び誘導体、及びエーテル化アミノ樹脂、例えばメチル化もしくはブチル化したメラミン樹脂(N−メトキシメチル−または、N−ブトキシメチル−メラミン)、またはメチル化/ブチル化グリコールウリル(glycol-urils)等、例えば次式のものがある。
【化2】
【0043】前記についてはカナダ特許番号第1204547号を参照されたい。
【0044】光酸発生剤("PAG")には、これらには限られないが、N−(トリフルオロメチル−スルホニルオキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド("MDT")、オニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、及びN−ヒドロキシアミドまたはイミドのスルホン酸エステル等がある。米国特許番号第4731605号を参照されたい。またN−ヒドロキシ−ナフタルイミドのドデカンスルホナート("DDSN")等の弱酸を生成するPAGも使用できる。
【0045】可能な塩基添加剤としては、これらには限られないが、ジメチルアミノピリジン、7−ジエチルアミノ−4−メチル・クマリン("クマリン1")、第3アミン、プロトン・スポンジ、ベルベリン及びBASFの"プルロン(Pluronic)"シリーズや"テトロン(Tetronic)"シリーズのポリマアミン等がある。また、PAGがオニウム塩のとき、水酸化テトラアルキルアンモニウムや、水酸化セチルトリメチルアンモニウムも使用できる。
【0046】利用できる増感剤の例としては、クリセン、ピレン、フルオランテン、アントロン、ベンゾフェノン、チオキサントン及びアントラセン、例えば9−アントラセンメタノール(9−AM)がある。この他のアントラセン誘導増感剤は米国特許番号第4371605号に開示されている。増感剤には酸素や硫黄を含むことがある。好適な増感剤は窒素を含まないものである。窒素がある場合、例えばアミン及びフェノチアジン基は、露光プロセスで生じた遊離酸を封鎖する(sequester)傾向があり、形成物が感光性を失う。
【0047】層を厚すぎず、または薄すぎずに基板表面に付着できるよう、組成全体に粘度を与えるため注型溶剤が用いられる。注型溶剤の例としては、プロピオン酸エトキシエチル("EEP")、EEP及びγ−ブチロラクトン("GBL")の組み合わせ、プロピレングリコールモノエチルエーテル・アセテート(PMアセテート)等がある。
【0048】次の例では、それぞれ1つが選択されているが、レジストの様々な部分に対して、他にも多くの組成を選択できることは理解されたい。最も広い意味では、好適な実施例の方法及び構造は、ネガ型成分及びポジ型成分で構成され、ポジ型成分は第1化学線エネルギ・レベルで働き、ネガ型成分は第2化学線エネルギ・レベルで働き、第1及び第2の化学線エネルギ・レベルは、中間の化学線エネルギ・レベルにより分けられた任意のハイブリッド・レジストを使用して実現できる。
【0049】例1:次の組成は、Pacific Pac Inc.(Hollister、CA)から入手できるプロピレングリコールモノメチルエーテル・アセテート(PMアセテート)溶剤で溶解された。この溶剤は、3M(St.Paul、MN)から入手できる非イオン系フッ化アルキルエステル界面活性剤であるFC−430を350ppm含み、固形物は合計20%である。Maruzen America(New York、NY)から入手できる10%水素加(hydrogenated)ポリ(ヒドロキシスチレン)(PHS)、メトキシプロペン(MOP)で保護されたフェノール基を約25%有する、固形物の81.2%。Daychem Labs(Centerville、OH)から入手できるN−(トリフルオロメチル−スルホニルオキシ)−ビシクロ[2、2、1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド(MDT)、固形物の10.5%。Cytec(Danbury、CT)から入手できるテトラメトキシメチル・グリコウリル(glycouril)("パウダーリンク")、固形物の8.2%、及び、Aldrich Chemical Companyから入手できる7−ジエチルアミノ−4−メチル・クマリン・ダイ(クマリン1)、固形物の0.1%。
【0050】溶液は0.2μmフィルタで濾過された。ヘキサメチルジシラザンで下塗りをしたシリコン・ウエハ上にこの溶液を塗布し、110℃のソフト・ベークを行い、Nanospec反射分光メータ(reflectance spectrophotometer)により測定して約0.8μm厚の膜が得られた。被覆ウエハは次に、少量から多量まで露光量の異なるマトリックスを持つ開口数(NA)0.37のCanonステッパにより、波長248nmの遠紫外線(DUV)エキシマ・レーザで露光され、110℃で90秒、露光後ベーク(PEB)にかけられた。露光膜の溶解速度は、0.14規定(N)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)現像液で現像された後、残存膜の厚みから計算された。溶解速度と露光量の関係を図6に示す。図6からわかるように、レジストは非露光のときの溶解速度が非常に低い(約2nm/秒)。露光量を増やすと、溶解速度は約50nm/秒に達するまで増加する。溶解速度は、露光量が約1mJ乃至約3mJの範囲にあるとき、このレベルで比較的一定している。露光量を更に増やすとネガ型架橋性が優勢になり、溶解速度は0付近まで戻る。
【0051】このレジストの典型的なリソグラフィ応答を図10に示す。図10は、0.37NAの248DUVステッパを使用し、ピッチ2μmで幅1μmの組にされた(nested)クロムのラインを持つマスクを通してレジストを露光した結果を示している。マスクの全てのクロムのライン及びスペースの組み合わせは、レジストで2つのライン及び2つのスペースとして印刷される。ネガ型ラインは約0.8μm、ポジ型ラインは約0.6μm、2つのスペースは等しく約0.3μmである。
【0052】同じレジストを使用したもう1つの実験では、0.5NA DUVステッパMICRASCAN IIにより、分離したクロムのスペースがハイブリッド・レジスト膜に照射され、スペース/ライン/スペースの測定値がクロムのスペース幅の関数として描いてある(図13)。データからわかるように、線幅はマスクのクロムのスペースのそれに応じて増加するが、ラインのいずれの側のスペースも比較的一定している。
【0053】例2:この例は、光酸発生剤の型及び様々な成分の相対量を変えることで、ハイブリッド・レジストの溶解速度特性及びその結果としてのリソグラフィ応答がどのように変化するかを示している。この第2形成物は例1と同様に調製され処理されたが、次の成分で構成されている。MOPで保護されたフェノール基を約25%有するPHS、固形物の90.8%。トリフェニルスルホニウムトリフレート(triflate)、固形物の1.3%。"パウダーリンク"、固形物の7.8%。水酸化テトラブチルアンモニウム塩基、固形物の0.1%、及び、固形物18.9%の溶液を作るための溶剤として、界面活性剤FC−430を350ppm含有する充分なPMアセテート。
【0054】得られたハイブリッド・レジストの溶解速度特性を図8に示す。曲線の全体的な性質は例1のハイブリッド・レジストと同様で、溶解速度は最初、非露光レジストでは低く、約5mJで増加し、約7mJで減少する。しかし絶対露光量の範囲とこの範囲内の溶解速度は、図6とはかなり異なる。
【0055】図10は、0.5NA DUVステッパMICRASCAN IIにより、等幅のスペースと組にされたクロムのラインのマスクを通して露光されたときのハイブリッド・レジストのこの形成物の応答を表す。ネガ型ライン、非露光(ポジ型)ライン、及びスペース幅が、マスク寸法の関数として描いてある。スペースは約0.18μmの範囲で比較的一定しているが、ラインは両方ともマスク寸法の変化に応じて変化している。
【0056】例3:この例は、周波数2重化像のスペース幅が、PHSのMOPによる保護レベルを変えることで変化することを示す。付加MOPが24%と15%の2つの異なるPHSロットにより、例1と同様のハイブリッド形成物が作られた。ただし膜厚を約0.5μmにするため、固形物含有量の合計は全体量の16.0%に調整された。これら2つのストック形成物から、平均MOPレベルが15%乃至24%の範囲の形成物が複数調製された。ウエハへの被覆と110℃でのソフト・ベークの後、0.5NA DUVステッパMICRASCAN IIで露光し、110℃、60秒の現像後ベークにかけられ、最終的に0.14N TMAH現像液で現像された。クロム開口を有するレチクルがハイブリッド・レジスト膜に印刷された。レジスト像のスペース幅が測定され、それぞれの形成物を得るため用いられたPHSの平均MOP可溶性阻止剤の添加量の関数としてグラフ化した。図9に示すように、スペース幅はMOP濃度に対する依存性が高いことが確認された。
【0057】例4:ネガ型像は、PEBの後、現像の前に全面均一DUV露光により、本発明のハイブリッド・レジストで形成することができる。
【0058】例2に示したハイブリッド・レジスト形成物の像は、0.5NA DUV露光装置上の電気テスト・パターンのクロム・レチクルで露光された。得られたレジスト像のエッチング・パターンを電気プローブ法で測定できるように、2000Åのポリシリコン膜を有するシリコン・ウエハ(200mm)が基板として用いられた。露光後ベーク・プロセスの後、ウエハは再び露光装置(MICRASCAN II)にかけられ、クリア・ガラス・レチクルを使用して平方センチメートル(cm2)当たり10mJで露光された。露光後ベーク・プロセスは、この第2露光の後には行われなかった。第2の露光の目的は、最初に露光されなかったレジストをウエハから除去し、現像後にネガ型レジスト・パターンだけを残すことである。
【0059】最初の像露光量は17mJ/cm2乃至24mJ/cm2、露光後ベーク温度は110℃、90秒、現像時間は0.14N TMAHで100秒だった。標準ネガ型レジストも同様に処理されたが、制御段階としての均一露光ステップは省略された。この実験からの電気データは図8及び図9に示してある。ハイブリッド・レジストについて、約0.11μmの大きな等焦点印刷バイアスが、標準ネガ型レジストに対して、従来の標準的な方法により計算されて観測された。
【0060】『CMOSデバイス製造方法』図11に移る。CMOSデバイスのラッチアップ傾向を小さくするためウェル・エッジ・インプラントを形成する好適な方法2000が示してある。ウェル・エッジ・インプラントは、少数キャリア存続期間を短くし、よって寄生トランジスタ構造のゲインを減らすことによってラッチアップ傾向を小さくする。方法2000はマスク・ステップを追加せずにウェル・エッジ・インプラントを形成する。
【0061】好適な方法はCMOSデバイスに広く用いられる半導体基板から始まる。このような基板の例として、トップ部にP+基板及びP−エピタキシャル層を持つウエハ部がある。もちろん他の適切な基板物質も使用できる。ここで好適な方法について図12乃至図19に示した第1実施例を参照して、その後、図20乃至図23R>3に示した第2実施例を参照して説明する。
【0062】最初のステップ202はデバイス間に分離領域を形成することである。これらの分離領域は、好適には浅いトレンチ分離部であり、Nチャネル及びPチャネルのデバイスを分離するため用いられる。STIは任意の適切な処理方法で形成できる。1つの方法として、RIE(反応性イオン・エッチング)により基板にSTIトレンチが形成される。次にSTIトレンチの壁と下部に酸化物ライナが適切な形で形成される。次にSTIトレンチは酸化物で適切な形で埋められ、ウエハ100はCMP(機械化学的研磨)により平坦化される。
【0063】図12に移る。ウエハ部2100が示してある(実寸によらない)。ウエハ部2100はP+基板上にP−エピタキシャル層(P−EPI)2110を含む。ウエハ部では2つの浅いトレンチ分離部(STI)2102が形成される。STI2102は代表的なSTIであり、代表的な集積半導体デバイス上の様々なデバイス間に適切な形で形成される。次の処理ステップでは、Nチャネル・デバイスとPチャネル・デバイスがウエハ部2100に形成される。STI2102等のSTIはこれら様々なデバイス間に(つまり2つのNチャネル・デバイス間、2つのPチャネル・デバイス間、及びNチャネルとPチャネルのデバイス間に)適切な形で形成される。どの場合でもSTI2102は隣接したデバイスを互いに分離するよう働く。
【0064】後で明らかになるが、好適な実施例では、STI2102下のキャリア存続期間が短くなり、よってSTI2102は従来技術のSTIより浅くなるが、それでもデバイス間に有効な分離が保たれる。従って好適な実施例はラッチアップ耐性を下げることなくSTIのスケーリング性を改良する。
【0065】図11の方法2000に戻る。ステップ204乃至212ではNウェル・エッジ・インプラント及びNウェル・エッジ・インプラントを形成する。ステップ204でハイブリッド・レジストの性質により、Nウェル・マスク・エッジのレジストに開口が形成される。
【0066】ハイブリッド・レジストは最初にウエハ表面に付着される。次にハイブリッド・レジストは、適切なマスク形状(つまりクロム・マスク形状)でブロックされるNウェルになる領域が化学線で露光される。ハイブリッド・レジストは次に現像される。露光されないハイブリッド・レジスト部分(つまりNウェル領域)は現像液に不溶のままであり、ポジ型ライン・パターンを形成する。高い照射強度で露光されたハイブリッド・レジスト部分(つまり非Nウェル領域)はネガ型ライン像を形成する。中間強度で露光されたハイブリッド・レジスト部分(つまりNウェル領域のエッジ)は現像ステップで溶解する。
【0067】図13に移る。表面に、露光され現像されたハイブリッド・レジストが付着されたウエハ部2100が示してある。マスク2202のクロム領域2204は化学線露光時にNウェル領域をブロックする。従ってNウェル領域上のハイブリッド・レジストの部分は露光されず、非Nウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は高度に露光され、その間の領域は中間露光度になる。現像後、Nウェル領域上にポジ型ライン・パターン2210が、非Nウェル領域上にはネガ型ライン・パターン2208が形成される。中間照射量のハイブリッド・レジスト部分は現像時に溶解し、Nウェル領域のエッジにウェル・エッジ・スペース2212が形成される。ハイブリッド・フォトレジスト固有の性質により、ウェル・エッジ・スペース2212は、解像度0.35μmで動作するよう設計されたリソグラフィ装置を使用して0.2μm以下の寸法になる。
【0068】図11に示した方法2000に戻ると、次のステップ206はウェル・エッジ・スペースを通してNウェル・エッジ・インプラントを形成することである。この実施例でNウェル・エッジ・インプラントは、好適にはNウェル・エッジまわりのN+領域で構成される。インプラントは好適にはリン(またはヒ素(As)、アンチモン(Sb)等の他のドナー種)をウェル・エッジ形状を通して注入することによって形成される。インプラントの量は少数キャリア存続期間を短くするように選択されるが、ハイブリッド・レジストの光活性化合物を破壊しないように少ない量にする必要がある。その場合、好適なインプラントはリンであり、STIトレンチ深さより深く、適切な形で注入される。好適な注入量は約1×1011イオン/平方センチメートル乃至1×1015イオン/平方センチメートルで、好適には約1×1013イオン/平方センチメートルである。
【0069】図14に移る。Nウェル・エッジ・インプラント2303が形成されたウエハ部2100が示してある。方法2000に戻ると、次のステップ208は、ハイブリッド・レジストのNウェル領域を露光し現像することである。Nウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分はステップ204の化学線露光時に露光されなかったので、これらの部分はポジ型パターンで構成される。従ってNウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は、ウエハ部を全面均一露光し、ポジ型パターンを現像して取り除くことができる。従ってこの除去操作は、マスキング層またはマスキング・ステップを追加することなく行える。
【0070】次のステップ210では、適切なN型インプラント作製法によりNウェルが形成される。図15を参照すると、ハイブリッド・レジストのポジ型部分2210が取り除かれ、Nウェル2402が基板に注入されたウエハ部2100が示してある。残りのネガ型部分2208は、N型インプラントに対して非Nウェル領域を保護するように働く。Nウェル・エッジ・インプラント2302は、Nウェル2402と同じネガ型レジスト構造を共有するので、それらは互いに自己整合する。
【0071】Nウェルが形成されると、次のステップ212はハイブリッド・レジストの残りの部分(つまりネガ型部分2208)を剥離することである。
【0072】Nウェル及びNウェル・エッジ・インプラントが形成されると、ステップ214乃至222で、Pウェル及びPウェル・エッジ・インプラントが形成される。ステップ214でPウェル・パターンがハイブリッド・レジストで形成され、ウェル・エッジ・スペースがハイブリッド・レジストの性質を使用してウェル・エッジに形成される。
【0073】ここでもハイブリッド・レジストは最初にウエハ全面に付着される。ハイブリッド・レジストは次に、適切なマスク形状(つまりクロム・マスク形状)でブロックされるPウェルになる領域が化学線で露光される。次にハイブリッド・レジストは現像される。露光されないハイブリッド・レジスト部分(つまりPウェル領域)は現像液に不溶なままでポジ型ライン・パターンを形成する。照射強度の高い領域(つまり非Pウェル領域)はネガ型ライン像を形成する。中間強度で露光されたハイブリッド・レジスト部分(つまりPウェル領域のエッジ)は現像ステップで溶解する。
【0074】図16に移る。露光され現像された表面にハイブリッド・レジストが付着されたウエハ部2100が示してある。マスク2502のクロム領域2504は化学線露光時にPウェル領域をブロックする。従ってPウェル領域は露光されず、非Pウェル領域は高度に露光され、その間の領域は中間露光度になる。現像後、Pウェル領域上にポジ型ライン・パターン2510が、非Pウェル領域上にはネガ型ライン・パターン2508が形成される。照射量が中間のハイブリッド・レジスト部分は現像時、つまりPウェル領域のエッジのウェル領域エッジ・スペース2512の現像時に溶解する。ここでも、ハイブリッド・フォトレジスト固有の性質により、スペースは、解像度0.35μmで動作するよう設計されたリソグラフィ装置を使用して0.2μm以下の寸法になる。
【0075】図11に示した方法2000に戻る。次のステップ216はPウェル・エッジ・インプラントをウェル・エッジ・スペースを通して形成することである。Pウェル・エッジ・インプラントは、好適にはPウェルのエッジまわりのP+領域で構成される。インプラントは好適にはホウ素(またはインジウム(In)、BF2等他の適切なアクセプタ種)をウェル・エッジ形状を通して注入することによって形成される。ここでもインプラントの量は少数キャリア存続期間を短くするように選択されるが、ハイブリッド・レジストの光活性化合物を破壊しないように少ない量にする必要がある。その場合、好適なインプラントはホウ素であり、STIトレンチ深さより深く、適切な形で注入される。好適な注入量は約1×1011イオン/平方センチメートル乃至1×1015イオン/平方センチメートルで、好適には約1×1013イオン/平方センチメートルである。
【0076】図17に移る。Pウェル・エッジ・インプラント2602が形成されたウエハ部2100が示してある。方法2000に戻ると、次のステップ218はハイブリッド・レジストのPウェル領域を露光し現像することである。Pウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は露光されなかったので、これらの部分はポジ型パターンで構成される。従ってPウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は、マスキング・ステップを追加することなく、ウエハ部を均一露光し、ポジ型パターンを現像して取り除くことによって取り除くことができる。
【0077】次のステップ220では、適切なP型インプラント作製法によりPウェルが形成される。図18を参照すると、ハイブリッド・レジストのポジ型部分2510が取り除かれ、Pウェル2702が基板に注入されたウエハ部2100が示してある。残りのネガ型部分2508は、P型インプラントに対して非Pウェル領域をマスクして保護するように働く。Pウェル・エッジ・インプラント2602は、Pウェル2702と同じネガ型レジスト構造を共有するので、それらは互いに自己整合する。
【0078】次のステップ222(図10)はハイブリッド・レジストの残りの部分(つまりネガ型部分2508)を剥離することである。
【0079】ウエハ部2100は次に、適切な作製法、例えばデバイス・ゲートとコンタクト拡散領域を形成する等で完成させることができる。図19に移る。N++及びP++のコンタクト拡散領域が形成されたウエハ部2100が示してある。これらのコンタクト拡散領域は通常、拡散インプラントがポリシリコン・ゲートによってマスクされないシリコン表面に形成される(ポリシリコン・ゲートは図示していない)。
【0080】従って図12乃至図19に示した第1実施例は、Pウェル、Nウェル及び/または2重ウェルのエッジにN+及び/またはP+のエッジ・インプラントを形成することによって、CMOSデバイスのラッチアップを少なくする方法及び構造を提供する。図20乃至図2323に示した第2実施例も同様の方法により、Nウェル及び/またはPウェルのプロファイルを調整するためエッジ・インプラントを使用することによってラッチアップを少なくする。この実施例でエッジ・インプラントは、ドーピングの極性がNウェル及び/またはPウェルと反対のインプラント種で構成される。Nウェル領域ではエッジ・インプラントはP型ドーパントで、Pウェル領域ではエッジ・インプラントはN型ドーパントで構成される。
【0081】図20に移る。両方の種のウェル・エッジ・インプラントを持つウエハ部2100が示してある。この実施例は、ウェル・エッジ・インプラントが注入されるまでは最初のものと同様に形成される。特に、ハイブリッド・レジストは付着され、クロム・マスク形状によってブロックされるNウェル領域が化学線露光される。これはNウェル領域のエッジにウェル・エッジ・スペース2212、及びポジ型パターン2210及びネガ型パターン2208を形成する。
【0082】この実施例でP型インプラント2902はウェル・エッジ・スペース2212を通して形成される。P型インプラント2902はSTI2102下に、Nウェルのエッジと自己整合するP型領域を形成するように選択される。P型インプラントの量とエネルギは、Nウェルをカウンタドープするに充分な量でSTIの直下にドーパントを位置付けるように選択する。
【0083】次のステップは、ここでもハイブリッド・レジストのNウェル領域を露光し現像することである。Nウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は露光されなかったので、これらの部分はポジ型パターンで構成される。従ってNウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分はウエハ部を均一露光し、ポジ型パターンを現像して取り除くことができる。従ってこの除去操作は、マスキング層またはマスキング・ステップを追加することなく行える。
【0084】次のステップは、適切なN型インプラント注入法によりNウェルを形成することである。図21に移る。ハイブリッド・レジストのポジ型部分2210が除去され、N型インプラントでNウェル3002が形成されたウエハ部2100が示してある。残りのネガ型部分2208は、N型インプラントに対して非Nウェル領域をマスクして保護するように働く。N型インプラントがP型ウェル・エッジ・インプラントと重なる所では、2つの反対の種が打ち消し合う。従って、得られるNウェル3002のプロファイルは図21に示すようになる。このようにしてプロファイルを調整することで、寄生トランジスタのベース輸送係数(transport factor)が減少し、これはまた少数キャリア存続期間を短くし、デバイスのラッチアップ傾向を小さくする。
【0085】図22に移る。Pウェルに対する反対の種のウェル・エッジ・インプラントを持つウエハ部2100が示してある。ここでもPウェル・エッジ・インプラントは、第1実施例と同じようにハイブリッド・フォトレジストを使用して形成される。特に、ハイブリッド・レジストは付着され、クロム・マスク形状でブロックされるPウェル領域が化学線露光される。これによりPウェル領域のエッジにはウェル・エッジ・スペース2512が、及びネガ型パターン2510及びポジ型パターン2508が形成される。
【0086】この実施例でN型インプラント3102はウェル・エッジ・スペース2512を通して形成される。N型インプラント3102はSTI2102下に、Pウェルのエッジと自己整合するN型領域を形成するように選択される。N型インプラントの量とエネルギは、Pウェルをカウンタドープするに充分な量でSTIの直下にドーパントを位置付けるように選択する。
【0087】次のステップはここでもハイブリッド・レジストのPウェル領域を露光し現像することである。Pウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は露光されなかったので、これらの部分はポジ型パターンで構成される。従ってPウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は、ウエハ部を均一露光し、ポジ型パターンを現像して取り除くことによって取り除くことができる。従ってこの除去操作は、マスキング層またはマスキング・ステップを追加することなく行える。
【0088】次のステップは適切なP型インプラント注入法によりPウェルを形成することである。図23に移る。ハイブリッド・レジストのポジ型部分2510が除去され、P型インプラントでPウェル3202が形成されたウエハ部2100が示してある。残りのネガ型部分2508は、P型インプラントに対して非Pウェル領域をマスクして保護するように働く。P型インプラント・プロファイルがN型ウェル・エッジ・インプラント・プロファイルと重なる所では、2つの反対の種が組み合わせられ、N型及びP型の濃度の違いである正味ドーピング・プロファイルが作られる。従って、得られるPウェル3202のプロファイルは図23に示すようになる。このようにしてプロファイルを調整することで、寄生トランジスタのベース輸送係数が減少する。これはまた少数キャリア存続期間を短くし、デバイスのラッチアップ傾向を小さくする。
【0089】ウェル・エッジ・インプラントを使用してウェル・プロファイルを調整することにはいくつか利点がある。第1に、P型ウェル・エッジ・インプラントはNウェルと自己整合するので、Pウェル上のNPNベース幅のNウェル・オーバレイに対する感応性は減少し、これはNPNゲインの制御性をよくする。第2に、N型ウェル・エッジ・インプラントはNウェルと自己整合するので、Pウェル上のPNPベース幅のNウェル・オーバレイに対する感応性は減少し、これはPNPゲインの制御性をよくする。最後に、STI下の領域でP型とN型のカウンタドープを加えることでキャリア移動度が劣化し、これはラッチアップがトリガされるときに保持電圧を上げるよう働く。
【0090】従って好適な実施例は、Pウェル、Nウェル或いはまた2重ウェルのエッジにエッジ・インプラントを形成することによって、CMOSデバイスのラッチアップを少なくする方法及び構造を提供する。これらのエッジ・インプラントは横型寄生トランジスタの少数キャリア存続期間を短くする。ハイブリッド・フォトレジスト固有の性質を利用することによって、エッジ・インプラントはウェルと自己整合し、マスキング・ステップを追加することなく形成される。
【0091】本発明は、特にPウェル及びNウェルのエッジにハイブリッド・レジストで形成されるエッジ・インプラントを使用した好適な且つ代表的な実施例を参照して説明したが、本発明の主旨と範囲から逸脱することなく、形式及び詳細に関して様々な変形例が考えられることは当業者には理解されよう。特にハイブリッド・レジストのポジ型部分を使用してウェル領域を画成することはネガ型部分にも当てはまる。また本発明は複数の別個の技術(LOCOS、リセス付酸化物(ROX)、STI等)、ウェル及び基板の技術、ドーパントのタイプ、エネルギ及び種に適用できることも当業者には理解されよう。更に本発明の主旨は、シリコンをベースにした他の技術(BiCMOS、バイポーラ、SOI(silicon-on-insulator)、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)にも適用できることも理解されよう。
【0092】まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0093】(1)ラッチアップ耐性を高めた半導体デバイスを形成する方法であって、a)半導体基板を与えるステップと、b)前記半導体基板に少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントを形成するステップと、c)前記少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントと整合したエッジを持つウェル領域を前記半導体デバイスに形成するステップと、を含む、方法。
(2)前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(1)記載の方法。
(3)前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(1)記載の方法。
(4)前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(1)記載の方法。
(5)前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(1)記載の方法。
(6)ウェル・エッジ・インプラントを形成する前記ステップは、i)ハイブリッド・レジストを付着するステップと、ii)前記ハイブリッド・レジストをマスクを通して露光するステップと、iii)中間露光量で露光された前記ハイブリッド・レジストの部分を取り除いて、前記ハイブリッド・レジストにウェル・エッジ・スペースが形成されるように、前記ハイブリッド・レジストを現像するステップと、を含む、前記(1)記載の方法。
(7)前記ウェル領域を形成するステップは、前記ハイブリッド・レジストを全面均一露光して現像するステップを含み、前記全面均一露光と現像により前記ハイブリッド・レジストの前記ウェル領域上に開口が形成され、前記開口を通してウェル・ドーパントが注入されることを特徴とする、前記(6)記載の方法。
(8)前記少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントは浅いトレンチ分離部下に形成される、前記(1)記載の方法。
(9)ラッチアップ耐性を高めた半導体デバイスを形成する方法であって、a)半導体基板を与えるステップと、b)前記半導体基板にハイブリッド・レジストを付着するステップと、c)前記ハイブリッド・レジストを形状を含むマスクを通して露光し、前記マスク形状によってブロックされる前記ハイブリッド・レジストの部分は露光されず、前記マスク形状によってブロックされない前記ハイブリッド・レジストの部分は完全に露光され、前記マスク形状のエッジ下のハイブリッド・レジストの遷移領域は中間露光量で露光されるステップと、d)中間露光量で露光された前記ハイブリッド・レジストの部分は取り除かれて、前記ハイブリッド・レジストにウェル・エッジ・スペースが形成されるように、前記ハイブリッド・レジストを現像するステップと、e)前記半導体基板に、前記ウェル・エッジ・スペースを通してウェル・エッジ・インプラントを形成するステップと、f)前記ハイブリッド・レジストを全面均一露光するステップと、g)前記ハイブリッド・レジストを現像し、前記ハイブリッド・レジストに少なくとも1つのウェル空間が開けられる、ステップと、h)前記ハイブリッド・レジストの前記少なくとも1つのウェル空間を通して前記半導体基板に少なくとも1つのウェル領域を形成するステップと、を含む、方法。
(10)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはP+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(9)記載の方法。
(11)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはP+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(9)記載の方法。
(12)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはN+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(9)記載の方法。
(13)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはN+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(9)記載の方法。
(14)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つは浅いトレンチ分離部下に形成される、前記(9)記載の方法。
(15)a)半導体基板に形成されたウェル領域と、b)前記半導体基板の前記ウェル領域のエッジに形成されたウェル・エッジ・インプラントと、を含む、半導体構造。
(16)前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(15)記載の半導体構造。
(17)前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(15)記載の半導体構造。
(18)前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(15)記載の半導体構造。
(19)前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(15)記載の半導体構造。
(20)前記ウェル・エッジ・インプラントは浅いトレンチ分離部下に形成される、前記(15)記載の半導体構造。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリッド・レジストの使用を示す図である。
【図2】様々な露光エネルギで標準ネガ型レジストが形成されるときの焦点(μm)に対する線幅(nm)を示すグラフである。
【図3】様々な露光エネルギで本発明のハイブリッド・レジストが形成されるときの焦点(μm)に対するハイブリッド・パターンのネガ型ラインの線幅(nm)を示すグラフである。
【図4】本発明のハイブリッド・レジストに組み合わされたポジ型可溶性阻止剤(MOP)の量に対する線幅(nm)を示すグラフである。
【図5】標準レジスト形成物と本発明のハイブリッド・レジスト形成物を用いたとき、所与の線幅について焦点範囲比較モデルを示すグラフである。
【図6】本発明のハイブリッド・レジスト形成物を使用したときの、溶解速度(nm/秒)を露光量(mJ)の関数として示すグラフである。
【図7】本発明のハイブリッド・レジスト形成物を使用したとき、得られるラインとスペースの幅をクロムのスペース幅の関数として示すグラフである。
【図8】本発明の他のハイブリッド・レジスト形成物の溶解速度(nm/秒)を露光量(mJ)の関数として示すグラフである。
【図9】本発明のハイブリッド・レジスト形成物を使用したときの、スペース幅(μm)を付加MOPの関数として示すグラフである。
【図10】照射(ネガ型)ライン、非照射(ポジ型)ライン、及びスペース幅を露光量の関数として描いた本発明のハイブリッド・レジストの形成物の応答を示すグラフである。
【図11】本発明に従った作製方法を示すフローチャートである。
【図12】中に浅いトレンチ分離部が形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図13】Nウェル・エッジ・インプラント形成物及びNウェル形成のために、レジストをパターン化するのに用いられるハイブリッド・レジストとマスクが重ねられたウエハ部の側面断面図である。
【図14】Nウェル・エッジ・インプラントが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図15】Nウェル・エッジ・インプラント及びNウェルが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図16】Pウェル・エッジ・インプラント形成物とPウェル形成のために、レジストをパターン化するのに用いられるハイブリッド・レジストとマスクが重ねられたウエハ部の側面断面図である。
【図17】Pウェル・エッジ・インプラントを持つウエハ部の側面断面図である。
【図18】Pウェル・エッジ・インプラントとPウェルが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図19】コンタクト拡散領域が形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図20】第2実施例に従ってNウェル・エッジ・インプラント形成とNウェル形成のためのハイブリッド・レジストが重ねられ、Nウェル・エッジ・インプラントがP型インプラントで構成されるウエハ部の側面断面図である。
【図21】第2実施例に従ってNウェルが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図22】第2実施例に従ってPウェル・エッジ・インプラント形成とPウェル形成のためのハイブリッド・レジストが重ねられ、Pウェル・エッジ・インプラントがN型インプラントで構成されるウエハ部の側面断面図である。
【図23】第2実施例に従ってNウェルとPウェルが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図24】ポジ型レジストの可溶性を露光量の関数として示すグラフである。
【図25】レチクル・ライン・パターンが印刷されたポジ型レジストのライン・パターンを示す図である。
【図26】ネガ型レジストの可溶性を露光量の関数として示すグラフである。
【図27】レチクル・ライン・パターンが印刷されたネガ型レジストのライン・パターンを示す図である。
【図28】ハイブリッド・レジストの可溶性を露光量の関数として示すグラフである。
【図29】ハイブリッド・レジストを使用して基板に形成されたスペース/ライン/スペース・パターンを示す図である。
【図30】従来技術のCMOSウエハ部の側面断面図である。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的には半導体デバイスに関し、特にラッチアップを少なくする方法及び構造に関する。
【0002】
【従来の技術】集積半導体デバイスがますます複雑になり、常に半導体デバイスの密度を上げることが求められる。しかし密度を高めると、アドレスされていない場合はデバイスが故障する原因になる問題が生じる。1つは、半導体デバイス、特にCMOSデバイスが"ラッチアップ"する傾向である。ラッチアップは集積回路の素子間で不要なトランジスタ動作により生じる周知の問題である。この不要なトランジスタ動作は、多種多様な事象によりトリガされ、半導体デバイスが故障する原因になる。
【0003】ラッチアップは一般的には、現在のCMOSデバイスでNチャネル及びPチャネルのデバイスがかなり近接することにより生じる。例えばP型基板に作製される代表的なCMOSデバイスは、Nウェルに作製されるPチャネル・デバイスとPウェルに作製されるNチャネル・デバイスを含み、ウェル間の距離は短い。この構造は必然的に寄生横型バイポーラ構造(NPN)及び寄生縦型バイポーラ構造(PNP)を形成する。特定のバイアス条件下では、PNP構造はNPN構造にベース電流を供給し(またはその逆)、PNPNアノードからカソードに大きな電流が流れる。PNPNデバイスがトリガされると、PNPNは低電流/高電圧状態から低電圧/高電流状態に遷移する。場合によっては低電圧/高電流状態が、熱暴走やPNPN寄生素子の形成によって引き起こされる素子の破壊につながる。
【0004】例えば図30を参照すると、CMOSデバイス部800が示してある。代表的なCMOS部800はP−エピタキシャル層804を持つP+基板802に形成される。CMOS部800はPウェル808に形成されるNチャネル・デバイス(図は第1N++拡散部806のみ示している)と、Nウェル812に形成されるPチャネル・デバイス(図は第1P++拡散部810のみ示している)を含む。2つのデバイスは浅いトレンチ分離部(STI)814で分けられる。
【0005】1つの寄生横型バイポーラ構造(NPN)がN++拡散部806、Pウェル808/P−エピタキシャル層804、及びNウェル812により形成される。ラッチアップが生じると、この構造は横型バイポーラNPNトランジスタとして働き、N++拡散部806はそのエミッタに、Pウェル808及びP−エピタキシャル層804はそのベースに、Nウェル812はコレクタになる。N++拡散部806はPウェル808に電子を注入する。注入された電子はNウェル812によって集められる。
【0006】同様に寄生縦型バイポーラ構造(PNP)はP++拡散部810、Nウェル812、及びP−エピタキシャル層804によって形成され、P++拡散部810はそのエミッタとして、Nウェル812はそのベースとして、P−エピタキシャル層804はそのコレクタとして働く。P++拡散部810からNウェル812に注入されるホールはP−エピタキシャル層804によって集められる。Nウェル812からP−エピタキシャル層804へのホールの流れは、P−エピタキシャル層804からNウェル812への対応する電子の流れを生じ、よってNPN横型バイポーラ構造の転移効果を高める。
【0007】この正のフィードバック動作によりNPNP構造がラッチアップすることがある。もちろんこれはCMOSデバイスで起こり得るラッチアップの一例に過ぎず、またラッチアップは、代表的なCMOSデバイス中の他のNPNPまたはPNPNの経路でも生じ得る。
【0008】CMOSデバイスのラッチアップの傾向に対しては、いくつかの形で取り組みがなされている。1つの方法は、トランジスタ型動作の"ゲイン"を下げるものである。ゲインはベース領域での少数キャリアの存続期間の関数である。ゲインを下げるとCMOSデバイスのラッチアップ傾向が小さくなる。これは寄生PNPNをCMOSラッチアップにつながる負の抵抗状態にするために印加すべき電圧("トリガ電圧"という)を上げることによる。
【0009】CMOSデバイスでの寄生トランジスタのゲインは、ウェル・プロファイル設計、P+/N+間隔等多くのパラメータの関数である。特に横型及び縦型のプロファイルはそれぞれ横型及び縦型の寄生トランジスタの寄生バイポーラ・ゲインに影響を与える。従ってウェル・プロファイル・エッジの配置及び制御は拡張CMOSプロセスのラッチアップ特性に大きな影響を与える。現在、Pウェル及びNウェルの間隔の制御は、ある程度オーバレイの変更により決定される。デバイスがスケーリングされP+及びN+の間隔が減少すると、従来の作製技術でウェル・プロファイルを制御することによって寄生ゲインを制限する機能は大きな問題になってくる。
【0010】ラッチアップを扱うもう1つの方法は、ラッチアップ保持電圧を上げることである。ラッチアップ保持電圧は最小安定電圧であり、ラッチアップがトリガされた後に大きい電流をサポートすることができる。ラッチアップ保持電圧を上げることで、ラッチアップ耐性が増し、回路が故障する可能性は小さくなる。最適な状況は、保持電圧をバーンイン電圧より大きくする、通常は公称電源電圧(Vdd)よりも1.5ボルト大きくすることである。
【0011】Nチャネル及びPチャネルのデバイス間には、ラッチアップの可能性を最小にするために浅いトレンチ分離部(STI)が用いられている。しかしCMOS技術がより小さい寸法にまでスケーリングされると、STI寸法を含めた全ての幾何パラメータが小さくなる。STIの深さや幅が小さくなるとラッチアップ耐性は減少する。これはトランジスタ電流ゲインが上がり、ラッチアップ保持電圧が下がるからである。ラッチアップ保持電圧が下がり過ぎる、つまりバーンイン電圧より小さくなると、ラッチアップ耐性は損なわれる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の方法は従って、CMOSデバイスのサイズ、特にデバイス間の分離領域が小さくなると、CMOSデバイスに充分なラッチアップ耐性を提供できない。従ってCMOSデバイスのラッチアップ耐性を高めるとともに、デバイスのスケーリングを進めてデバイス密度を高めることのできる改良された方法が必要である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術の制限を克服し、ウェル・エッジにインプラントを形成することによってCMOSデバイスのラッチアップ耐性を高める方法及びデバイスを提供する。CMOSデバイスのラッチアップ耐性を高める好適な実施例の方法は、ハイブリッド・レジストを使用してNウェル及び/またはPウェルのエッジにインプラントを形成する。インプラントは寄生トランジスタの少数キャリア存続期間を短縮し、よって寄生トランジスタのゲインを少なくする。これによりCMOSデバイスのラッチアップ傾向は小さくなる。好適な実施例の方法では、これらのインプラントを、従来技術の方法以上にマスキング・ステップを追加せずに形成できる。更にインプラントを形成する好適な方法により、ウェルのエッジに対して自己整合するインプラントが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の好適な実施例は従来技術の制限を克服し、Nウェル及び/またはPウェルのエッジでインプラントを形成するためハイブリッド・フォトレジストを使用したCMOSデバイスのラッチアップ耐性を高める方法及びデバイスを提供する。インプラントは寄生トランジスタの少数キャリア存続期間を短くし、よって寄生トランジスタのゲインを少なくする。このゲインの減少によりCMOSデバイスのラッチアップ傾向が小さくなる。ハイブリッド・フォトレジストを使用することでインプラントはウェル・エッジに自己整合する。
【0015】ここでは、まずハイブリッド・フォトレジストについて説明し、次に好適な実施例の説明に進む。
【0016】『ハイブリッド・フォトレジスト』好適な実施例は、露光に対してポジ型及びネガ型の両方の応答性を同時に有するフォトレジスト物質を使用する。物質のこの組み合わせにより、ここではハイブリッド・レジストと呼ばれる新しい型のレジストが得られる。
【0017】ハイブリッド・レジストが化学線照射を受けると、照射強度の高い領域はネガ型ライン像を形成する。露光されなかった領域は現像液に対して不溶のままであり、よってポジ型ライン・パターンを形成する。照射強度が中間の領域、例えば回折効果により強度が低下した空間像のエッジ等は、現像時にレジスト膜にスペースを形成する。このレジスト反応は、このレジストの固有溶解速度特性の現れであり、非露光レジストは現像されず、一部露光されたレジストは高率で現像され、高露光レジストは現像されない。
【0018】ハイブリッド・フォトレジストの固有溶解速度応答により、1つの空間像を従来のレジストのように、1つのラインまたはスペースとしてではなくスペース/ライン/スペースの組み合わせとして印刷することができる。このレジストのこの"周波数2重化"機能により、従来の露光装置をより高いパターン密度まで拡張することができる。0.2μm以下のラインとスペースは、解像度0.35μmで動作する設計の現在のDUV(遠紫外)リソグラフィ装置で印刷できることは、ハイブリッド・レジストの一例の利点である。
【0019】この種のハイブリッド・レジストの他の利点は、露光量とレチクル像サイズが変わるときスペース幅はほぼ不変なことである。これにより各チップ内のスペース幅について、各ウエハ全面で生産ウエハのバッチからバッチへ、かなり精密な像制御が可能になる。
【0020】ハイブリッド・レジストの他の利点は、ハイブリッド・レジストの周波数2重化機能により最小レチクル・フィーチャ・サイズが緩和されることである。例えば0.2μmのフィーチャを従来のレジストで印刷するには、一般には0.2μmのレチクル像サイズが必要である。ハイブリッド・レジストでは、0.2μmのスペースをレチクル・フィーチャの1つのエッジで形成できる。例えば0.5μmのレチクル開口で0.2μmのスペース2つと0.2μmのライン1つが作られる。このようにして、"縮小"X線または電子ビームのリソグラフィが実現できる。つまりレチクル像ピッチは基板上の印刷のピッチの約2倍となる。これにはまた光レチクルの像サイズ要件を緩和でき、コストを下げ、レチクルの歩留りを改良できるという利点もある。0.2μm以下のライン及びスペースを現在の装置を変更せずに実現できることはハイブリッド・レジストの利点である。
【0021】露光量とレチクル・サイズが変わってもスペース幅はほぼ不変であり、よってスペース幅を制御するプロセス許容範囲を大きくすることができることも利点である。本発明のハイブリッド・レジストを使用することで、レチクル上の像寸法の誤差が、基板に印刷されたスペース幅に再現されることはない。その結果チップ上のスペース幅のばらつきは最小になる。これは光学的、X線及び電子ビームの露光方法には重要である。特に1倍レチクル、つまり通常は基板に印刷された像と1対1の関係を持つレチクルを要するリソグラフィの手法には有益である。レチクル上の像サイズのばらつきは通常、基板に再現されるからである。
【0022】よって好適な実施例のハイブリッド・レジストは、露光に対してポジ型及びネガ型の両方の応答性を同時に有するフォトレジスト物質を提供する。ポジ型応答は比較的少ない露光量で支配的であり、ネガ型応答は露光量が比較的多いとき支配的である。このレジストの露光によりスペース/ライン/スペースの組み合わせが作られるが、従来のレジストならいずれも1つのフィーチャしか作られない。図24は、露光量が増加するときポジ型レジストの可溶性が増す様子を示す。図25はレチクル・ライン・パターンが印刷されたポジ型レジストのライン・パターンを示す。
【0023】他方、ネガ型レジスト系の露光領域は、図2626に示すように、露光量が増すと可溶性は減少する。図27はレチクル・ライン・パターンが印刷されたネガ型レジストのライン・パターンを示す。
【0024】本発明のハイブリッド・レジストでは、ポジ型応答により、レチクル像のエッジ付近の領域等、回折効果のため露光強度が低下した領域の可溶性が増す。露光量が増すとネガ型応答が支配的になり、露光度の高い領域で可溶性が小さくなる。図28はハイブリッド・レジストの露光量の関数としてレジストの可溶性を示す。レチクル・ライン・パターンを基板に印刷すると、図29に示したスペース/ライン/スペース・パターンが得られる。
【0025】このようにして空間像が"周波数2重化"され、標準レジストで達成できる場合に比べてフィーチャ数が2倍になる。図1は、ポジ型レジスト、ネガ型レジスト及びハイブリッド・レジストの間のこれら目立った違いを示す。
【0026】周波数2重化ハイブリッド・レジストは通常、既存のポジ型及びネガ型のレジストの成分を使用して調製される。これには例えば酸感応可溶性/溶解阻害官能性、架橋剤、光酸発生剤、また任意に塩基添加剤と光増感剤により一部変性されたポリ(ヒドロキシスチレン)樹脂が含まれる。
【0027】レジスト形成物に変更を加えることでポジ型反応を早め、ネガ型反応は遅くして、結果を最適化することもできる。またポジ型成分は、現像前ベーク温度に対する反応が比較的弱くなるよう選択でき、ネガ型の部分は、現像前ベーク温度に対する反応をより強くするよう選択することができる。このようにしてポジ型及びネガ型の応答の相対的性質をベーク温度により変化させ、所望の像形成結果を得ることも可能である。
【0028】またレジスト形成物に変更を加えることで、寸法の異なるスペース幅を得ることもできる。例えばポリ(ヒドロキシスチレン)樹脂に対する可溶性阻止剤の量を増やすと、印刷されたスペース幅は狭くなる(図9)。この方法はまたネガ型ラインの等焦点印刷バイアスを変更するためにも使用できる。ポジ型可溶性阻止剤の濃度が高いと、ネガ型ラインの等焦点印刷バイアスが増加する(図4)。これは用途によっては、印刷されたネガ型ラインを細くし、レジストの周波数2重化特性を最適化する上で望ましい。
【0029】ハイブリッド・レジストのポジ型及びネガ型の機能の相対的応答性はまた、露光条件を変えることによっても変更できる。例えばハイブリッド・レジストのネガ型ラインは、従来のレジストの挙動と同様に、露光量及びレチクル寸法と共に変化する。従って例えば露光量が増えると、ネガ型ラインの幅は増し、スペースは同じ大きさであるが、基板上の新しい位置にシフトする。スペースはネガ型ラインと隣接しているからである。同様にポジ型ラインは、露光量またはレチクル寸法が変わるとサイズが変化する。
【0030】もう1つの例として、2つのレチクルを使用してレジストに2つの別々のパターンを印刷することができる。1つのレチクルは、露光量を多くすればハイブリッド機能がレジストに現れる。もう1つのレチクルは露光量を少なくして同じレジスト膜で露光すると、レジストのその部分にポジ型機能だけが現れる。この効果はまた、例えば露光量を少なくしたい領域で、化学線の部分フィルタがレチクルに含まれている場合、1回の露光プロセスで達成される。これにより、より狭いフィーチャと同時により広いスペースを印刷することができる。これはいくつかのデバイスの用途に必要である。
【0031】この2段階像形成法の変形例として、ハイブリッド・レジストを使用して、標準ネガ型パターンを形成することができる。レジスト膜が標準ネガ型レチクルで像のとおりに露光され、ベークの後ハイブリッド像が形成され、次に化学線で均一露光され、第2の露光後ベーク・プロセスを適用せずに現像された場合、結果は標準のネガ型像になる。この方法はゲート導体回路の形成等、かなり細かいラインの印刷を要するが、高密度の像ピッチは必要としない用途には望ましいと考えられる。これに代わる方法として、レジストを像のとおりに露光した後、ベーク・ステップの前に少量の化学線エネルギで全面均一露光することができる。この方法がどの程度望ましいかは、可溶性阻止保護基が樹脂に存在するかどうか、またポジ型応答が温度に依存するかどうかによる。
【0032】このような用途にハイブリッド・レジストを使用する利点は、ハイブリッド・レジストのネガ型ラインが、図3に示すように、等焦点で大きな印刷バイアスを示すことである。言い換えると、ハイブリッドのネガ型ラインについて、プロセス許容範囲が最大の点では、レジスト像はレチクル像よりかなり小さくなる。これが望ましいのは、レチクルが大きいときの回折効果による空間像の劣化が少ないからである。これにより、図2R>2に示すように従来のポジ型及びネガ型の系よりも焦点深度を大きくすることができる。この印刷バイアスは、クロム線のエッジがスペースとして印刷されるという事実の結果である。スペースは事実上、空間像のエッジを"トリミング"するよう機能するため、ネガ型ラインは従来のネガ型レジストの場合よりも小さく印刷される。これはハイブリッド・レジストの周波数2重化性が現れたものである。
【0033】ネガ型ラインの印刷バイアスを最適化するようにレジスト形成物を設計することが可能である。例えばポジ型可溶性阻止剤について適切な付加係数(loadingfactor)を選択することによって、図4に示すように特定の印刷バイアスを得ることができる。理論上は他の要素についても、密度と反応性に変更を加えることによって、フォトレジストの応答性に関して同様なばらつきをもたらすことができることは明らかである。
【0034】例えば0.5NA DUVリソグラフィ装置で露光したとき、ハイブリッド・レジストの等焦点印刷バイアスは、図2、図3からわかるようにデータに対して通常の計算を行うと、標準的なネガ型レジストの等焦点印刷バイアスより0.11μm大きくなる。この差は2つの形で利用することができる。まず、同じレチクル像サイズではハイブリッド・レジストにより標準レジストより細い線を印刷しながら、焦点と露光プロセス許容範囲を維持することができる。もう1つの方法は、ハイブリッド・レジストでは、レチクル・フィーチャのサイズを標準レジストに対して大きくしながら、標準レジストと同じ像サイズで印刷することができる。大きいレチクル像を使用することで回折効果が減少するため焦点深度が大きくなる(図5)。前者の用途の場合、より小さなハイブリッド・レジスト像で高い性能を得ることができる。後者の用途では、ハイブリッド・レジストのプロセス許容範囲が大きいので歩留りがよくなる。
【0035】レジスト形成物に変更を加えることで、高感光速度(photospeed)ポジ型反応と低感光速度ネガ型反応が得られ、最適な結果が得られる。またポジ型レジストは、露光後ベーク(PEB)に反応しないように選択することができる。これによりポジ型のネガ型に対する感度比を変更でき、よってスペース/ライン/スペースの組み合わせの比が変更される。
【0036】スペース/ライン/スペース比を変更するもう1つの方法は、露光装置のレチクルにグレースケール・フィルタを利用することである。グレースケール・フィルタでは、照射線の一部だけがレチクルを通過するので中間露光領域が作られる。これにより、露光量は臨界点に達することがないので、ネガ型レジストがこれらの領域で機能することが防止されるが、ポジ型は機能し、よってより広いスペースが作られる。その結果、より広いスペースをより狭いフィーチャと同時に印刷することができる。これはいくつかの素子用途に必要である。
【0037】処理を更に高度化すると、通常、得られるフィーチャは、必要とされない場合は第2マスキング・ステップでトリミングすることができる。
【0038】次の例は、周波数2重化レジストの組成の代表例であるが、組成はこの例に限定されることはなく、当業者は多くの変形例を容易に考えることができよう。
【0039】本発明に従った用途に適したフォトレジスト樹脂としては、フォトレジスト形成物のポリマ樹脂として使用するのに適した、塩基可溶性(base-soluble)で鎖の長いポリマが含まれる。具体的には、i)Hoechst Celanese(Corpus Christi、TX)から入手できるポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)等のヒドロキシスチレンといった、−OH基を持つ芳香族ポリマ、Shipley(Maroboro、Mass)から入手できるノボラック樹脂、及びフェノール・ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール−OH基を持つポリマ、ii)エステル側鎖を持つポリメタクリル酸等の酸基を持つポリマ、及びiii)アクリルアミド基型ポリマ等である。
【0040】ポリマ樹脂は、脱保護形では、すなわち一度ポジ型反応が起こると、塩基溶媒は可溶性になり、金属を含まない水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、金属を含む水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウムの水溶液等の現像液に対して相溶性を示す。好適なポリマ樹脂は、平均分子重量が約1,000ダルトン乃至約250,000ダルトンの範囲、更に好ましくは約1,000ダルトン乃至25,000ダルトンの範囲であり、これにより現像液でのその可溶性を高めることができる。具体的には、p−ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸コポリマ、ポリヒドロキシスチレン−p−tert−ブチル−カルガナトスチレン(carganatostyrene)コポリマ、ポリ(2−ヒドロキシスチレン)、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリメチル・メタクリル酸エステル−tert−ブチル・メタクリル酸エステル−ポリメタクリル酸3元共重合体、ポリ−4−ヒドロキシスチレン−tert−ブチル・メタクリル酸エステル・コポリマ、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)と、芳香族環の1つ以上の酸反応活性(acid labile)アルキルまたはアリール置換基、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)と芳香族環の1つ以上のアルキルまたはアリール置換基、またはコポリマの過半数のサブユニットとしてのこれら、例えばMaruzen America(New York、NY)から入手できるPHM−C等である。PHM−Cには、ポリ(ヒドロキシスチレン)・サブユニットと、ビニル・シクロヘキサノール・サブユニットの両方が、好適には約99:1乃至約50:50の範囲で含まれる。最も好適な比は約90ポリ(ヒドロキシスチレン)・ユニットに対して約10ビニル・シクロヘキサノール・サブユニットである。
【0041】架橋組成は、好適にはテトラメトキシメチル・グリコウリル(glycouril)("パウダーリンク")及び2、6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールである。ただし、この他に次のような架橋組成でもよい。
【化1】
【0042】特開平1−293339号に見られる類似体及び誘導体、及びエーテル化アミノ樹脂、例えばメチル化もしくはブチル化したメラミン樹脂(N−メトキシメチル−または、N−ブトキシメチル−メラミン)、またはメチル化/ブチル化グリコールウリル(glycol-urils)等、例えば次式のものがある。
【化2】
【0043】前記についてはカナダ特許番号第1204547号を参照されたい。
【0044】光酸発生剤("PAG")には、これらには限られないが、N−(トリフルオロメチル−スルホニルオキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド("MDT")、オニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、及びN−ヒドロキシアミドまたはイミドのスルホン酸エステル等がある。米国特許番号第4731605号を参照されたい。またN−ヒドロキシ−ナフタルイミドのドデカンスルホナート("DDSN")等の弱酸を生成するPAGも使用できる。
【0045】可能な塩基添加剤としては、これらには限られないが、ジメチルアミノピリジン、7−ジエチルアミノ−4−メチル・クマリン("クマリン1")、第3アミン、プロトン・スポンジ、ベルベリン及びBASFの"プルロン(Pluronic)"シリーズや"テトロン(Tetronic)"シリーズのポリマアミン等がある。また、PAGがオニウム塩のとき、水酸化テトラアルキルアンモニウムや、水酸化セチルトリメチルアンモニウムも使用できる。
【0046】利用できる増感剤の例としては、クリセン、ピレン、フルオランテン、アントロン、ベンゾフェノン、チオキサントン及びアントラセン、例えば9−アントラセンメタノール(9−AM)がある。この他のアントラセン誘導増感剤は米国特許番号第4371605号に開示されている。増感剤には酸素や硫黄を含むことがある。好適な増感剤は窒素を含まないものである。窒素がある場合、例えばアミン及びフェノチアジン基は、露光プロセスで生じた遊離酸を封鎖する(sequester)傾向があり、形成物が感光性を失う。
【0047】層を厚すぎず、または薄すぎずに基板表面に付着できるよう、組成全体に粘度を与えるため注型溶剤が用いられる。注型溶剤の例としては、プロピオン酸エトキシエチル("EEP")、EEP及びγ−ブチロラクトン("GBL")の組み合わせ、プロピレングリコールモノエチルエーテル・アセテート(PMアセテート)等がある。
【0048】次の例では、それぞれ1つが選択されているが、レジストの様々な部分に対して、他にも多くの組成を選択できることは理解されたい。最も広い意味では、好適な実施例の方法及び構造は、ネガ型成分及びポジ型成分で構成され、ポジ型成分は第1化学線エネルギ・レベルで働き、ネガ型成分は第2化学線エネルギ・レベルで働き、第1及び第2の化学線エネルギ・レベルは、中間の化学線エネルギ・レベルにより分けられた任意のハイブリッド・レジストを使用して実現できる。
【0049】例1:次の組成は、Pacific Pac Inc.(Hollister、CA)から入手できるプロピレングリコールモノメチルエーテル・アセテート(PMアセテート)溶剤で溶解された。この溶剤は、3M(St.Paul、MN)から入手できる非イオン系フッ化アルキルエステル界面活性剤であるFC−430を350ppm含み、固形物は合計20%である。Maruzen America(New York、NY)から入手できる10%水素加(hydrogenated)ポリ(ヒドロキシスチレン)(PHS)、メトキシプロペン(MOP)で保護されたフェノール基を約25%有する、固形物の81.2%。Daychem Labs(Centerville、OH)から入手できるN−(トリフルオロメチル−スルホニルオキシ)−ビシクロ[2、2、1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド(MDT)、固形物の10.5%。Cytec(Danbury、CT)から入手できるテトラメトキシメチル・グリコウリル(glycouril)("パウダーリンク")、固形物の8.2%、及び、Aldrich Chemical Companyから入手できる7−ジエチルアミノ−4−メチル・クマリン・ダイ(クマリン1)、固形物の0.1%。
【0050】溶液は0.2μmフィルタで濾過された。ヘキサメチルジシラザンで下塗りをしたシリコン・ウエハ上にこの溶液を塗布し、110℃のソフト・ベークを行い、Nanospec反射分光メータ(reflectance spectrophotometer)により測定して約0.8μm厚の膜が得られた。被覆ウエハは次に、少量から多量まで露光量の異なるマトリックスを持つ開口数(NA)0.37のCanonステッパにより、波長248nmの遠紫外線(DUV)エキシマ・レーザで露光され、110℃で90秒、露光後ベーク(PEB)にかけられた。露光膜の溶解速度は、0.14規定(N)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)現像液で現像された後、残存膜の厚みから計算された。溶解速度と露光量の関係を図6に示す。図6からわかるように、レジストは非露光のときの溶解速度が非常に低い(約2nm/秒)。露光量を増やすと、溶解速度は約50nm/秒に達するまで増加する。溶解速度は、露光量が約1mJ乃至約3mJの範囲にあるとき、このレベルで比較的一定している。露光量を更に増やすとネガ型架橋性が優勢になり、溶解速度は0付近まで戻る。
【0051】このレジストの典型的なリソグラフィ応答を図10に示す。図10は、0.37NAの248DUVステッパを使用し、ピッチ2μmで幅1μmの組にされた(nested)クロムのラインを持つマスクを通してレジストを露光した結果を示している。マスクの全てのクロムのライン及びスペースの組み合わせは、レジストで2つのライン及び2つのスペースとして印刷される。ネガ型ラインは約0.8μm、ポジ型ラインは約0.6μm、2つのスペースは等しく約0.3μmである。
【0052】同じレジストを使用したもう1つの実験では、0.5NA DUVステッパMICRASCAN IIにより、分離したクロムのスペースがハイブリッド・レジスト膜に照射され、スペース/ライン/スペースの測定値がクロムのスペース幅の関数として描いてある(図13)。データからわかるように、線幅はマスクのクロムのスペースのそれに応じて増加するが、ラインのいずれの側のスペースも比較的一定している。
【0053】例2:この例は、光酸発生剤の型及び様々な成分の相対量を変えることで、ハイブリッド・レジストの溶解速度特性及びその結果としてのリソグラフィ応答がどのように変化するかを示している。この第2形成物は例1と同様に調製され処理されたが、次の成分で構成されている。MOPで保護されたフェノール基を約25%有するPHS、固形物の90.8%。トリフェニルスルホニウムトリフレート(triflate)、固形物の1.3%。"パウダーリンク"、固形物の7.8%。水酸化テトラブチルアンモニウム塩基、固形物の0.1%、及び、固形物18.9%の溶液を作るための溶剤として、界面活性剤FC−430を350ppm含有する充分なPMアセテート。
【0054】得られたハイブリッド・レジストの溶解速度特性を図8に示す。曲線の全体的な性質は例1のハイブリッド・レジストと同様で、溶解速度は最初、非露光レジストでは低く、約5mJで増加し、約7mJで減少する。しかし絶対露光量の範囲とこの範囲内の溶解速度は、図6とはかなり異なる。
【0055】図10は、0.5NA DUVステッパMICRASCAN IIにより、等幅のスペースと組にされたクロムのラインのマスクを通して露光されたときのハイブリッド・レジストのこの形成物の応答を表す。ネガ型ライン、非露光(ポジ型)ライン、及びスペース幅が、マスク寸法の関数として描いてある。スペースは約0.18μmの範囲で比較的一定しているが、ラインは両方ともマスク寸法の変化に応じて変化している。
【0056】例3:この例は、周波数2重化像のスペース幅が、PHSのMOPによる保護レベルを変えることで変化することを示す。付加MOPが24%と15%の2つの異なるPHSロットにより、例1と同様のハイブリッド形成物が作られた。ただし膜厚を約0.5μmにするため、固形物含有量の合計は全体量の16.0%に調整された。これら2つのストック形成物から、平均MOPレベルが15%乃至24%の範囲の形成物が複数調製された。ウエハへの被覆と110℃でのソフト・ベークの後、0.5NA DUVステッパMICRASCAN IIで露光し、110℃、60秒の現像後ベークにかけられ、最終的に0.14N TMAH現像液で現像された。クロム開口を有するレチクルがハイブリッド・レジスト膜に印刷された。レジスト像のスペース幅が測定され、それぞれの形成物を得るため用いられたPHSの平均MOP可溶性阻止剤の添加量の関数としてグラフ化した。図9に示すように、スペース幅はMOP濃度に対する依存性が高いことが確認された。
【0057】例4:ネガ型像は、PEBの後、現像の前に全面均一DUV露光により、本発明のハイブリッド・レジストで形成することができる。
【0058】例2に示したハイブリッド・レジスト形成物の像は、0.5NA DUV露光装置上の電気テスト・パターンのクロム・レチクルで露光された。得られたレジスト像のエッチング・パターンを電気プローブ法で測定できるように、2000Åのポリシリコン膜を有するシリコン・ウエハ(200mm)が基板として用いられた。露光後ベーク・プロセスの後、ウエハは再び露光装置(MICRASCAN II)にかけられ、クリア・ガラス・レチクルを使用して平方センチメートル(cm2)当たり10mJで露光された。露光後ベーク・プロセスは、この第2露光の後には行われなかった。第2の露光の目的は、最初に露光されなかったレジストをウエハから除去し、現像後にネガ型レジスト・パターンだけを残すことである。
【0059】最初の像露光量は17mJ/cm2乃至24mJ/cm2、露光後ベーク温度は110℃、90秒、現像時間は0.14N TMAHで100秒だった。標準ネガ型レジストも同様に処理されたが、制御段階としての均一露光ステップは省略された。この実験からの電気データは図8及び図9に示してある。ハイブリッド・レジストについて、約0.11μmの大きな等焦点印刷バイアスが、標準ネガ型レジストに対して、従来の標準的な方法により計算されて観測された。
【0060】『CMOSデバイス製造方法』図11に移る。CMOSデバイスのラッチアップ傾向を小さくするためウェル・エッジ・インプラントを形成する好適な方法2000が示してある。ウェル・エッジ・インプラントは、少数キャリア存続期間を短くし、よって寄生トランジスタ構造のゲインを減らすことによってラッチアップ傾向を小さくする。方法2000はマスク・ステップを追加せずにウェル・エッジ・インプラントを形成する。
【0061】好適な方法はCMOSデバイスに広く用いられる半導体基板から始まる。このような基板の例として、トップ部にP+基板及びP−エピタキシャル層を持つウエハ部がある。もちろん他の適切な基板物質も使用できる。ここで好適な方法について図12乃至図19に示した第1実施例を参照して、その後、図20乃至図23R>3に示した第2実施例を参照して説明する。
【0062】最初のステップ202はデバイス間に分離領域を形成することである。これらの分離領域は、好適には浅いトレンチ分離部であり、Nチャネル及びPチャネルのデバイスを分離するため用いられる。STIは任意の適切な処理方法で形成できる。1つの方法として、RIE(反応性イオン・エッチング)により基板にSTIトレンチが形成される。次にSTIトレンチの壁と下部に酸化物ライナが適切な形で形成される。次にSTIトレンチは酸化物で適切な形で埋められ、ウエハ100はCMP(機械化学的研磨)により平坦化される。
【0063】図12に移る。ウエハ部2100が示してある(実寸によらない)。ウエハ部2100はP+基板上にP−エピタキシャル層(P−EPI)2110を含む。ウエハ部では2つの浅いトレンチ分離部(STI)2102が形成される。STI2102は代表的なSTIであり、代表的な集積半導体デバイス上の様々なデバイス間に適切な形で形成される。次の処理ステップでは、Nチャネル・デバイスとPチャネル・デバイスがウエハ部2100に形成される。STI2102等のSTIはこれら様々なデバイス間に(つまり2つのNチャネル・デバイス間、2つのPチャネル・デバイス間、及びNチャネルとPチャネルのデバイス間に)適切な形で形成される。どの場合でもSTI2102は隣接したデバイスを互いに分離するよう働く。
【0064】後で明らかになるが、好適な実施例では、STI2102下のキャリア存続期間が短くなり、よってSTI2102は従来技術のSTIより浅くなるが、それでもデバイス間に有効な分離が保たれる。従って好適な実施例はラッチアップ耐性を下げることなくSTIのスケーリング性を改良する。
【0065】図11の方法2000に戻る。ステップ204乃至212ではNウェル・エッジ・インプラント及びNウェル・エッジ・インプラントを形成する。ステップ204でハイブリッド・レジストの性質により、Nウェル・マスク・エッジのレジストに開口が形成される。
【0066】ハイブリッド・レジストは最初にウエハ表面に付着される。次にハイブリッド・レジストは、適切なマスク形状(つまりクロム・マスク形状)でブロックされるNウェルになる領域が化学線で露光される。ハイブリッド・レジストは次に現像される。露光されないハイブリッド・レジスト部分(つまりNウェル領域)は現像液に不溶のままであり、ポジ型ライン・パターンを形成する。高い照射強度で露光されたハイブリッド・レジスト部分(つまり非Nウェル領域)はネガ型ライン像を形成する。中間強度で露光されたハイブリッド・レジスト部分(つまりNウェル領域のエッジ)は現像ステップで溶解する。
【0067】図13に移る。表面に、露光され現像されたハイブリッド・レジストが付着されたウエハ部2100が示してある。マスク2202のクロム領域2204は化学線露光時にNウェル領域をブロックする。従ってNウェル領域上のハイブリッド・レジストの部分は露光されず、非Nウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は高度に露光され、その間の領域は中間露光度になる。現像後、Nウェル領域上にポジ型ライン・パターン2210が、非Nウェル領域上にはネガ型ライン・パターン2208が形成される。中間照射量のハイブリッド・レジスト部分は現像時に溶解し、Nウェル領域のエッジにウェル・エッジ・スペース2212が形成される。ハイブリッド・フォトレジスト固有の性質により、ウェル・エッジ・スペース2212は、解像度0.35μmで動作するよう設計されたリソグラフィ装置を使用して0.2μm以下の寸法になる。
【0068】図11に示した方法2000に戻ると、次のステップ206はウェル・エッジ・スペースを通してNウェル・エッジ・インプラントを形成することである。この実施例でNウェル・エッジ・インプラントは、好適にはNウェル・エッジまわりのN+領域で構成される。インプラントは好適にはリン(またはヒ素(As)、アンチモン(Sb)等の他のドナー種)をウェル・エッジ形状を通して注入することによって形成される。インプラントの量は少数キャリア存続期間を短くするように選択されるが、ハイブリッド・レジストの光活性化合物を破壊しないように少ない量にする必要がある。その場合、好適なインプラントはリンであり、STIトレンチ深さより深く、適切な形で注入される。好適な注入量は約1×1011イオン/平方センチメートル乃至1×1015イオン/平方センチメートルで、好適には約1×1013イオン/平方センチメートルである。
【0069】図14に移る。Nウェル・エッジ・インプラント2303が形成されたウエハ部2100が示してある。方法2000に戻ると、次のステップ208は、ハイブリッド・レジストのNウェル領域を露光し現像することである。Nウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分はステップ204の化学線露光時に露光されなかったので、これらの部分はポジ型パターンで構成される。従ってNウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は、ウエハ部を全面均一露光し、ポジ型パターンを現像して取り除くことができる。従ってこの除去操作は、マスキング層またはマスキング・ステップを追加することなく行える。
【0070】次のステップ210では、適切なN型インプラント作製法によりNウェルが形成される。図15を参照すると、ハイブリッド・レジストのポジ型部分2210が取り除かれ、Nウェル2402が基板に注入されたウエハ部2100が示してある。残りのネガ型部分2208は、N型インプラントに対して非Nウェル領域を保護するように働く。Nウェル・エッジ・インプラント2302は、Nウェル2402と同じネガ型レジスト構造を共有するので、それらは互いに自己整合する。
【0071】Nウェルが形成されると、次のステップ212はハイブリッド・レジストの残りの部分(つまりネガ型部分2208)を剥離することである。
【0072】Nウェル及びNウェル・エッジ・インプラントが形成されると、ステップ214乃至222で、Pウェル及びPウェル・エッジ・インプラントが形成される。ステップ214でPウェル・パターンがハイブリッド・レジストで形成され、ウェル・エッジ・スペースがハイブリッド・レジストの性質を使用してウェル・エッジに形成される。
【0073】ここでもハイブリッド・レジストは最初にウエハ全面に付着される。ハイブリッド・レジストは次に、適切なマスク形状(つまりクロム・マスク形状)でブロックされるPウェルになる領域が化学線で露光される。次にハイブリッド・レジストは現像される。露光されないハイブリッド・レジスト部分(つまりPウェル領域)は現像液に不溶なままでポジ型ライン・パターンを形成する。照射強度の高い領域(つまり非Pウェル領域)はネガ型ライン像を形成する。中間強度で露光されたハイブリッド・レジスト部分(つまりPウェル領域のエッジ)は現像ステップで溶解する。
【0074】図16に移る。露光され現像された表面にハイブリッド・レジストが付着されたウエハ部2100が示してある。マスク2502のクロム領域2504は化学線露光時にPウェル領域をブロックする。従ってPウェル領域は露光されず、非Pウェル領域は高度に露光され、その間の領域は中間露光度になる。現像後、Pウェル領域上にポジ型ライン・パターン2510が、非Pウェル領域上にはネガ型ライン・パターン2508が形成される。照射量が中間のハイブリッド・レジスト部分は現像時、つまりPウェル領域のエッジのウェル領域エッジ・スペース2512の現像時に溶解する。ここでも、ハイブリッド・フォトレジスト固有の性質により、スペースは、解像度0.35μmで動作するよう設計されたリソグラフィ装置を使用して0.2μm以下の寸法になる。
【0075】図11に示した方法2000に戻る。次のステップ216はPウェル・エッジ・インプラントをウェル・エッジ・スペースを通して形成することである。Pウェル・エッジ・インプラントは、好適にはPウェルのエッジまわりのP+領域で構成される。インプラントは好適にはホウ素(またはインジウム(In)、BF2等他の適切なアクセプタ種)をウェル・エッジ形状を通して注入することによって形成される。ここでもインプラントの量は少数キャリア存続期間を短くするように選択されるが、ハイブリッド・レジストの光活性化合物を破壊しないように少ない量にする必要がある。その場合、好適なインプラントはホウ素であり、STIトレンチ深さより深く、適切な形で注入される。好適な注入量は約1×1011イオン/平方センチメートル乃至1×1015イオン/平方センチメートルで、好適には約1×1013イオン/平方センチメートルである。
【0076】図17に移る。Pウェル・エッジ・インプラント2602が形成されたウエハ部2100が示してある。方法2000に戻ると、次のステップ218はハイブリッド・レジストのPウェル領域を露光し現像することである。Pウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は露光されなかったので、これらの部分はポジ型パターンで構成される。従ってPウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は、マスキング・ステップを追加することなく、ウエハ部を均一露光し、ポジ型パターンを現像して取り除くことによって取り除くことができる。
【0077】次のステップ220では、適切なP型インプラント作製法によりPウェルが形成される。図18を参照すると、ハイブリッド・レジストのポジ型部分2510が取り除かれ、Pウェル2702が基板に注入されたウエハ部2100が示してある。残りのネガ型部分2508は、P型インプラントに対して非Pウェル領域をマスクして保護するように働く。Pウェル・エッジ・インプラント2602は、Pウェル2702と同じネガ型レジスト構造を共有するので、それらは互いに自己整合する。
【0078】次のステップ222(図10)はハイブリッド・レジストの残りの部分(つまりネガ型部分2508)を剥離することである。
【0079】ウエハ部2100は次に、適切な作製法、例えばデバイス・ゲートとコンタクト拡散領域を形成する等で完成させることができる。図19に移る。N++及びP++のコンタクト拡散領域が形成されたウエハ部2100が示してある。これらのコンタクト拡散領域は通常、拡散インプラントがポリシリコン・ゲートによってマスクされないシリコン表面に形成される(ポリシリコン・ゲートは図示していない)。
【0080】従って図12乃至図19に示した第1実施例は、Pウェル、Nウェル及び/または2重ウェルのエッジにN+及び/またはP+のエッジ・インプラントを形成することによって、CMOSデバイスのラッチアップを少なくする方法及び構造を提供する。図20乃至図2323に示した第2実施例も同様の方法により、Nウェル及び/またはPウェルのプロファイルを調整するためエッジ・インプラントを使用することによってラッチアップを少なくする。この実施例でエッジ・インプラントは、ドーピングの極性がNウェル及び/またはPウェルと反対のインプラント種で構成される。Nウェル領域ではエッジ・インプラントはP型ドーパントで、Pウェル領域ではエッジ・インプラントはN型ドーパントで構成される。
【0081】図20に移る。両方の種のウェル・エッジ・インプラントを持つウエハ部2100が示してある。この実施例は、ウェル・エッジ・インプラントが注入されるまでは最初のものと同様に形成される。特に、ハイブリッド・レジストは付着され、クロム・マスク形状によってブロックされるNウェル領域が化学線露光される。これはNウェル領域のエッジにウェル・エッジ・スペース2212、及びポジ型パターン2210及びネガ型パターン2208を形成する。
【0082】この実施例でP型インプラント2902はウェル・エッジ・スペース2212を通して形成される。P型インプラント2902はSTI2102下に、Nウェルのエッジと自己整合するP型領域を形成するように選択される。P型インプラントの量とエネルギは、Nウェルをカウンタドープするに充分な量でSTIの直下にドーパントを位置付けるように選択する。
【0083】次のステップは、ここでもハイブリッド・レジストのNウェル領域を露光し現像することである。Nウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は露光されなかったので、これらの部分はポジ型パターンで構成される。従ってNウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分はウエハ部を均一露光し、ポジ型パターンを現像して取り除くことができる。従ってこの除去操作は、マスキング層またはマスキング・ステップを追加することなく行える。
【0084】次のステップは、適切なN型インプラント注入法によりNウェルを形成することである。図21に移る。ハイブリッド・レジストのポジ型部分2210が除去され、N型インプラントでNウェル3002が形成されたウエハ部2100が示してある。残りのネガ型部分2208は、N型インプラントに対して非Nウェル領域をマスクして保護するように働く。N型インプラントがP型ウェル・エッジ・インプラントと重なる所では、2つの反対の種が打ち消し合う。従って、得られるNウェル3002のプロファイルは図21に示すようになる。このようにしてプロファイルを調整することで、寄生トランジスタのベース輸送係数(transport factor)が減少し、これはまた少数キャリア存続期間を短くし、デバイスのラッチアップ傾向を小さくする。
【0085】図22に移る。Pウェルに対する反対の種のウェル・エッジ・インプラントを持つウエハ部2100が示してある。ここでもPウェル・エッジ・インプラントは、第1実施例と同じようにハイブリッド・フォトレジストを使用して形成される。特に、ハイブリッド・レジストは付着され、クロム・マスク形状でブロックされるPウェル領域が化学線露光される。これによりPウェル領域のエッジにはウェル・エッジ・スペース2512が、及びネガ型パターン2510及びポジ型パターン2508が形成される。
【0086】この実施例でN型インプラント3102はウェル・エッジ・スペース2512を通して形成される。N型インプラント3102はSTI2102下に、Pウェルのエッジと自己整合するN型領域を形成するように選択される。N型インプラントの量とエネルギは、Pウェルをカウンタドープするに充分な量でSTIの直下にドーパントを位置付けるように選択する。
【0087】次のステップはここでもハイブリッド・レジストのPウェル領域を露光し現像することである。Pウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は露光されなかったので、これらの部分はポジ型パターンで構成される。従ってPウェル領域上のハイブリッド・レジスト部分は、ウエハ部を均一露光し、ポジ型パターンを現像して取り除くことによって取り除くことができる。従ってこの除去操作は、マスキング層またはマスキング・ステップを追加することなく行える。
【0088】次のステップは適切なP型インプラント注入法によりPウェルを形成することである。図23に移る。ハイブリッド・レジストのポジ型部分2510が除去され、P型インプラントでPウェル3202が形成されたウエハ部2100が示してある。残りのネガ型部分2508は、P型インプラントに対して非Pウェル領域をマスクして保護するように働く。P型インプラント・プロファイルがN型ウェル・エッジ・インプラント・プロファイルと重なる所では、2つの反対の種が組み合わせられ、N型及びP型の濃度の違いである正味ドーピング・プロファイルが作られる。従って、得られるPウェル3202のプロファイルは図23に示すようになる。このようにしてプロファイルを調整することで、寄生トランジスタのベース輸送係数が減少する。これはまた少数キャリア存続期間を短くし、デバイスのラッチアップ傾向を小さくする。
【0089】ウェル・エッジ・インプラントを使用してウェル・プロファイルを調整することにはいくつか利点がある。第1に、P型ウェル・エッジ・インプラントはNウェルと自己整合するので、Pウェル上のNPNベース幅のNウェル・オーバレイに対する感応性は減少し、これはNPNゲインの制御性をよくする。第2に、N型ウェル・エッジ・インプラントはNウェルと自己整合するので、Pウェル上のPNPベース幅のNウェル・オーバレイに対する感応性は減少し、これはPNPゲインの制御性をよくする。最後に、STI下の領域でP型とN型のカウンタドープを加えることでキャリア移動度が劣化し、これはラッチアップがトリガされるときに保持電圧を上げるよう働く。
【0090】従って好適な実施例は、Pウェル、Nウェル或いはまた2重ウェルのエッジにエッジ・インプラントを形成することによって、CMOSデバイスのラッチアップを少なくする方法及び構造を提供する。これらのエッジ・インプラントは横型寄生トランジスタの少数キャリア存続期間を短くする。ハイブリッド・フォトレジスト固有の性質を利用することによって、エッジ・インプラントはウェルと自己整合し、マスキング・ステップを追加することなく形成される。
【0091】本発明は、特にPウェル及びNウェルのエッジにハイブリッド・レジストで形成されるエッジ・インプラントを使用した好適な且つ代表的な実施例を参照して説明したが、本発明の主旨と範囲から逸脱することなく、形式及び詳細に関して様々な変形例が考えられることは当業者には理解されよう。特にハイブリッド・レジストのポジ型部分を使用してウェル領域を画成することはネガ型部分にも当てはまる。また本発明は複数の別個の技術(LOCOS、リセス付酸化物(ROX)、STI等)、ウェル及び基板の技術、ドーパントのタイプ、エネルギ及び種に適用できることも当業者には理解されよう。更に本発明の主旨は、シリコンをベースにした他の技術(BiCMOS、バイポーラ、SOI(silicon-on-insulator)、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)にも適用できることも理解されよう。
【0092】まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0093】(1)ラッチアップ耐性を高めた半導体デバイスを形成する方法であって、a)半導体基板を与えるステップと、b)前記半導体基板に少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントを形成するステップと、c)前記少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントと整合したエッジを持つウェル領域を前記半導体デバイスに形成するステップと、を含む、方法。
(2)前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(1)記載の方法。
(3)前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(1)記載の方法。
(4)前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(1)記載の方法。
(5)前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(1)記載の方法。
(6)ウェル・エッジ・インプラントを形成する前記ステップは、i)ハイブリッド・レジストを付着するステップと、ii)前記ハイブリッド・レジストをマスクを通して露光するステップと、iii)中間露光量で露光された前記ハイブリッド・レジストの部分を取り除いて、前記ハイブリッド・レジストにウェル・エッジ・スペースが形成されるように、前記ハイブリッド・レジストを現像するステップと、を含む、前記(1)記載の方法。
(7)前記ウェル領域を形成するステップは、前記ハイブリッド・レジストを全面均一露光して現像するステップを含み、前記全面均一露光と現像により前記ハイブリッド・レジストの前記ウェル領域上に開口が形成され、前記開口を通してウェル・ドーパントが注入されることを特徴とする、前記(6)記載の方法。
(8)前記少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントは浅いトレンチ分離部下に形成される、前記(1)記載の方法。
(9)ラッチアップ耐性を高めた半導体デバイスを形成する方法であって、a)半導体基板を与えるステップと、b)前記半導体基板にハイブリッド・レジストを付着するステップと、c)前記ハイブリッド・レジストを形状を含むマスクを通して露光し、前記マスク形状によってブロックされる前記ハイブリッド・レジストの部分は露光されず、前記マスク形状によってブロックされない前記ハイブリッド・レジストの部分は完全に露光され、前記マスク形状のエッジ下のハイブリッド・レジストの遷移領域は中間露光量で露光されるステップと、d)中間露光量で露光された前記ハイブリッド・レジストの部分は取り除かれて、前記ハイブリッド・レジストにウェル・エッジ・スペースが形成されるように、前記ハイブリッド・レジストを現像するステップと、e)前記半導体基板に、前記ウェル・エッジ・スペースを通してウェル・エッジ・インプラントを形成するステップと、f)前記ハイブリッド・レジストを全面均一露光するステップと、g)前記ハイブリッド・レジストを現像し、前記ハイブリッド・レジストに少なくとも1つのウェル空間が開けられる、ステップと、h)前記ハイブリッド・レジストの前記少なくとも1つのウェル空間を通して前記半導体基板に少なくとも1つのウェル領域を形成するステップと、を含む、方法。
(10)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはP+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(9)記載の方法。
(11)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはP+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(9)記載の方法。
(12)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはN+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(9)記載の方法。
(13)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはN+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(9)記載の方法。
(14)前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つは浅いトレンチ分離部下に形成される、前記(9)記載の方法。
(15)a)半導体基板に形成されたウェル領域と、b)前記半導体基板の前記ウェル領域のエッジに形成されたウェル・エッジ・インプラントと、を含む、半導体構造。
(16)前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(15)記載の半導体構造。
(17)前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(15)記載の半導体構造。
(18)前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、前記(15)記載の半導体構造。
(19)前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、前記(15)記載の半導体構造。
(20)前記ウェル・エッジ・インプラントは浅いトレンチ分離部下に形成される、前記(15)記載の半導体構造。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリッド・レジストの使用を示す図である。
【図2】様々な露光エネルギで標準ネガ型レジストが形成されるときの焦点(μm)に対する線幅(nm)を示すグラフである。
【図3】様々な露光エネルギで本発明のハイブリッド・レジストが形成されるときの焦点(μm)に対するハイブリッド・パターンのネガ型ラインの線幅(nm)を示すグラフである。
【図4】本発明のハイブリッド・レジストに組み合わされたポジ型可溶性阻止剤(MOP)の量に対する線幅(nm)を示すグラフである。
【図5】標準レジスト形成物と本発明のハイブリッド・レジスト形成物を用いたとき、所与の線幅について焦点範囲比較モデルを示すグラフである。
【図6】本発明のハイブリッド・レジスト形成物を使用したときの、溶解速度(nm/秒)を露光量(mJ)の関数として示すグラフである。
【図7】本発明のハイブリッド・レジスト形成物を使用したとき、得られるラインとスペースの幅をクロムのスペース幅の関数として示すグラフである。
【図8】本発明の他のハイブリッド・レジスト形成物の溶解速度(nm/秒)を露光量(mJ)の関数として示すグラフである。
【図9】本発明のハイブリッド・レジスト形成物を使用したときの、スペース幅(μm)を付加MOPの関数として示すグラフである。
【図10】照射(ネガ型)ライン、非照射(ポジ型)ライン、及びスペース幅を露光量の関数として描いた本発明のハイブリッド・レジストの形成物の応答を示すグラフである。
【図11】本発明に従った作製方法を示すフローチャートである。
【図12】中に浅いトレンチ分離部が形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図13】Nウェル・エッジ・インプラント形成物及びNウェル形成のために、レジストをパターン化するのに用いられるハイブリッド・レジストとマスクが重ねられたウエハ部の側面断面図である。
【図14】Nウェル・エッジ・インプラントが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図15】Nウェル・エッジ・インプラント及びNウェルが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図16】Pウェル・エッジ・インプラント形成物とPウェル形成のために、レジストをパターン化するのに用いられるハイブリッド・レジストとマスクが重ねられたウエハ部の側面断面図である。
【図17】Pウェル・エッジ・インプラントを持つウエハ部の側面断面図である。
【図18】Pウェル・エッジ・インプラントとPウェルが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図19】コンタクト拡散領域が形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図20】第2実施例に従ってNウェル・エッジ・インプラント形成とNウェル形成のためのハイブリッド・レジストが重ねられ、Nウェル・エッジ・インプラントがP型インプラントで構成されるウエハ部の側面断面図である。
【図21】第2実施例に従ってNウェルが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図22】第2実施例に従ってPウェル・エッジ・インプラント形成とPウェル形成のためのハイブリッド・レジストが重ねられ、Pウェル・エッジ・インプラントがN型インプラントで構成されるウエハ部の側面断面図である。
【図23】第2実施例に従ってNウェルとPウェルが形成されたウエハ部の側面断面図である。
【図24】ポジ型レジストの可溶性を露光量の関数として示すグラフである。
【図25】レチクル・ライン・パターンが印刷されたポジ型レジストのライン・パターンを示す図である。
【図26】ネガ型レジストの可溶性を露光量の関数として示すグラフである。
【図27】レチクル・ライン・パターンが印刷されたネガ型レジストのライン・パターンを示す図である。
【図28】ハイブリッド・レジストの可溶性を露光量の関数として示すグラフである。
【図29】ハイブリッド・レジストを使用して基板に形成されたスペース/ライン/スペース・パターンを示す図である。
【図30】従来技術のCMOSウエハ部の側面断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ラッチアップ耐性を高めた半導体デバイスを形成する方法であって、a)半導体基板を与えるステップと、b)前記半導体基板に少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントを形成するステップと、c)前記少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントと整合したエッジを持つウェル領域を前記半導体デバイスに形成するステップと、を含む、方法。
【請求項2】前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】ウェル・エッジ・インプラントを形成する前記ステップは、i)ハイブリッド・レジストを付着するステップと、ii)前記ハイブリッド・レジストをマスクを通して露光するステップと、iii)中間露光量で露光された前記ハイブリッド・レジストの部分を取り除いて、前記ハイブリッド・レジストにウェル・エッジ・スペースが形成されるように、前記ハイブリッド・レジストを現像するステップと、を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】前記ウェル領域を形成するステップは、前記ハイブリッド・レジストを全面均一露光して現像するステップを含み、前記全面均一露光と現像により前記ハイブリッド・レジストの前記ウェル領域上に開口が形成され、前記開口を通してウェル・ドーパントが注入されることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】前記少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントは浅いトレンチ分離部下に形成される、請求項1記載の方法。
【請求項9】ラッチアップ耐性を高めた半導体デバイスを形成する方法であって、a)半導体基板を与えるステップと、b)前記半導体基板にハイブリッド・レジストを付着するステップと、c)前記ハイブリッド・レジストを形状を含むマスクを通して露光し、前記マスク形状によってブロックされる前記ハイブリッド・レジストの部分は露光されず、前記マスク形状によってブロックされない前記ハイブリッド・レジストの部分は完全に露光され、前記マスク形状のエッジ下のハイブリッド・レジストの遷移領域は中間露光量で露光されるステップと、d)中間露光量で露光された前記ハイブリッド・レジストの部分は取り除かれて、前記ハイブリッド・レジストにウェル・エッジ・スペースが形成されるように、前記ハイブリッド・レジストを現像するステップと、e)前記半導体基板に、前記ウェル・エッジ・スペースを通してウェル・エッジ・インプラントを形成するステップと、f)前記ハイブリッド・レジストを全面均一露光するステップと、g)前記ハイブリッド・レジストを現像し、前記ハイブリッド・レジストに少なくとも1つのウェル空間が開けられる、ステップと、h)前記ハイブリッド・レジストの前記少なくとも1つのウェル空間を通して前記半導体基板に少なくとも1つのウェル領域を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項10】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはP+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはP+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはN+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはN+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つは浅いトレンチ分離部下に形成される、請求項9記載の方法。
【請求項15】a)半導体基板に形成されたウェル領域と、b)前記半導体基板の前記ウェル領域のエッジに形成されたウェル・エッジ・インプラントと、を含む、半導体構造。
【請求項16】前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項15記載の半導体構造。
【請求項17】前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項15記載の半導体構造。
【請求項18】前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項15記載の半導体構造。
【請求項19】前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項15記載の半導体構造。
【請求項20】前記ウェル・エッジ・インプラントは浅いトレンチ分離部下に形成される、請求項15記載の半導体構造。
【請求項1】ラッチアップ耐性を高めた半導体デバイスを形成する方法であって、a)半導体基板を与えるステップと、b)前記半導体基板に少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントを形成するステップと、c)前記少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントと整合したエッジを持つウェル領域を前記半導体デバイスに形成するステップと、を含む、方法。
【請求項2】前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】ウェル・エッジ・インプラントを形成する前記ステップは、i)ハイブリッド・レジストを付着するステップと、ii)前記ハイブリッド・レジストをマスクを通して露光するステップと、iii)中間露光量で露光された前記ハイブリッド・レジストの部分を取り除いて、前記ハイブリッド・レジストにウェル・エッジ・スペースが形成されるように、前記ハイブリッド・レジストを現像するステップと、を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】前記ウェル領域を形成するステップは、前記ハイブリッド・レジストを全面均一露光して現像するステップを含み、前記全面均一露光と現像により前記ハイブリッド・レジストの前記ウェル領域上に開口が形成され、前記開口を通してウェル・ドーパントが注入されることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】前記少なくとも1つのウェル・エッジ・インプラントは浅いトレンチ分離部下に形成される、請求項1記載の方法。
【請求項9】ラッチアップ耐性を高めた半導体デバイスを形成する方法であって、a)半導体基板を与えるステップと、b)前記半導体基板にハイブリッド・レジストを付着するステップと、c)前記ハイブリッド・レジストを形状を含むマスクを通して露光し、前記マスク形状によってブロックされる前記ハイブリッド・レジストの部分は露光されず、前記マスク形状によってブロックされない前記ハイブリッド・レジストの部分は完全に露光され、前記マスク形状のエッジ下のハイブリッド・レジストの遷移領域は中間露光量で露光されるステップと、d)中間露光量で露光された前記ハイブリッド・レジストの部分は取り除かれて、前記ハイブリッド・レジストにウェル・エッジ・スペースが形成されるように、前記ハイブリッド・レジストを現像するステップと、e)前記半導体基板に、前記ウェル・エッジ・スペースを通してウェル・エッジ・インプラントを形成するステップと、f)前記ハイブリッド・レジストを全面均一露光するステップと、g)前記ハイブリッド・レジストを現像し、前記ハイブリッド・レジストに少なくとも1つのウェル空間が開けられる、ステップと、h)前記ハイブリッド・レジストの前記少なくとも1つのウェル空間を通して前記半導体基板に少なくとも1つのウェル領域を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項10】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはP+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはP+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはN+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つはN+型インプラントを含み、前記少なくとも1つのウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】前記ウェル・エッジ・インプラントの少なくとも1つは浅いトレンチ分離部下に形成される、請求項9記載の方法。
【請求項15】a)半導体基板に形成されたウェル領域と、b)前記半導体基板の前記ウェル領域のエッジに形成されたウェル・エッジ・インプラントと、を含む、半導体構造。
【請求項16】前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項15記載の半導体構造。
【請求項17】前記ウェル・エッジ・インプラントはP+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項15記載の半導体構造。
【請求項18】前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はN型ウェル領域を含む、請求項15記載の半導体構造。
【請求項19】前記ウェル・エッジ・インプラントはN+型インプラントを含み、前記ウェル領域はP型ウェル領域を含む、請求項15記載の半導体構造。
【請求項20】前記ウェル・エッジ・インプラントは浅いトレンチ分離部下に形成される、請求項15記載の半導体構造。
【図5】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図6】
【図8】
【図10】
【図24】
【図25】
【図9】
【図12】
【図13】
【図11】
【図26】
【図27】
【図28】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図29】
【図30】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図6】
【図8】
【図10】
【図24】
【図25】
【図9】
【図12】
【図13】
【図11】
【図26】
【図27】
【図28】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開平10−321807
【公開日】平成10年(1998)12月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−120947
【出願日】平成10年(1998)4月30日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【公開日】平成10年(1998)12月4日
【国際特許分類】
【出願日】平成10年(1998)4月30日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
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