説明

耐亀裂性のセラミックハニカム構造体

セラミックハニカム構造体は、表皮により境界が形成された一連の相互に連結したウェブを有するハニカム体を備える。相互に連結したウェブは、対角線上の角部を有する一連の縦のセルを画成する。表皮に対して垂直なおよび/または実質的に垂直な線により横切られる対角線上の対向する角部のみに隅肉が形成される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、「耐亀裂性のセラミックハニカム構造体」と題する、2006年3月31日に出願された米国仮特許出願第60/787782号の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、広く、セラミックハニカム構造体に関し、特に、ハニカム型フロースルー式触媒基体およびウォールフロー式微粒子フィルタなどのハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
煤粒子は、一般に、ウォールフロー式ハニカムフィルタを用いてディーゼル排気ガスから除去される。図1は、ウォールフロー式フィルタ100の形態にある従来技術のセラミックハニカム構造体を示している。流体流に適用された一連の平行で真っ直ぐなセル104が、ハニカムフィルタ100の長手の軸方向に沿って延在している。セル104の断面は一般に正方形である。セル104は、ハニカムフィルタ100の長手方向に沿って延在し、ハニカムフィルタ100の表皮105と交差する一連の相互接続した多孔質ウェブ106により画成される。セル104は、ハニカムフィルタ100の端面108,110で、市松模様に充填材料107によって端部が施栓されている。ディーゼル排気ガス112は、端面108でセル104の施栓されていない端部を通ってハニカムフィルタに入り、多孔質ウェブ106を通ってあるセル104から別のセルに流れ、端面110でセル104の施栓されていない端部を通って出る。このとき、多孔質ウェブ106は煤粒子の一部を保持する。ハニカムフィルタ100の効率は、排気ガスが通過する毎に、多孔質ウェブ106により保持された煤粒子の量に正比例する。
【0004】
煤粒子が多孔質ウェブ上に蓄積するにつれ、ハニカムフィルタの有効流動面積が減少する。この減少した有効流動面積により、ハニカムフィルタに亘り圧力降下が生じ、ディーゼルエンジンに対する背圧が徐々に上昇する原因となる。圧力降下が許容できなくなると、熱再生が用いて、ハニカムフィルタ内に捕捉された煤粒子が除去される。熱再生中、過剰な温度急上昇が生じ、ハニカムフィルタ100内に熱応力が生じ得る。熱応力がハニカムフィルタ100の機械的強度を超えると、ハニカムフィルタ100に亀裂が生じ得る。ハニカムフィルタ100がセラミックなどの低引張強さの材料から製造されている場合、このことは特に懸念である。
【0005】
セラミックハニカム型フロースルー式触媒基体は、フィルタ100の一般的なハニカム構造を有するが、ハニカムのチャンネル内に充填材料107の端部栓は含んでいない。それゆえ、触媒基体はエンジン排気ガスを、その排気ガスが基体のチャンネルを通って直接流動するときに、処理するように働く。そのようなフロースルー式基体は、捕捉された微粒子を除去するための再生は必要としないが、それにもかかわらず、触媒反応装置の組立て中および使用の過程で、相当な応力にさらされる。さらに、新型の触媒基体は、一般に、非常に薄い厚さ、例えば、25〜150μmの範囲にある厚さの多孔質ウェブ106を備えており、より厚い壁を持つ基体よりも、機械的な耐久性が低くなっている。
【0006】
ハニカム基体およびフィルタの性能を減少させずに、熱衝撃およびフィルタの再生に耐えるのに十分な機械的強度を有するハニカム基体およびフィルタを提供することは、機械的強度と圧力降下は逆に結びつけられる傾向にあるので、難題である。例えば、所定の有効流動面積および圧力降下を有するハニカムフィルタについて、ハニカムフィルタの機械的強度を改善することに対する一般的に手法は、多孔質ウェブを厚くすることであった。この改良には、ハニカムフィルタの熱質量を増加させるという利点があるが、ウェブが厚くなることにより、ハニカムフィルタの有効流動面積が減少するという点で、異なる問題が生じてしまう。ハニカムフィルタの有効流動面積がこのように減少すると、煤粒子が多孔質ウェブ上に蓄積する前でさえも、ハニカムフィルタに亘る圧力降下が増加してしまう。ハニカムフィルタに亘る圧力降下の増加を最小にするために、ウェブの気孔率を、改良されたハニカムフィルタの有効流動面積が所定の有効流動面積に近くなるように増加させてもよい。しかしながら、ウェブの気孔率を増加させることは、ハニカムフィルタの熱質量がそれに対応して減少するという点で、問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した点に鑑みて、ハニカムフィルタおよび触媒基体などのセラミックハニカムの、使用中のハニカム構造体に亘る圧力降下を問題となるように増加させない、機械的負荷および/または熱再生の下での亀裂破損に対する耐性を改善することが、引き続き望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある態様において、本発明は、表皮により境界が形成された一連の相互に連結したウェブを有するハニカム体からなるセラミックハニカム構造体に関する。相互に連結したウェブは、一連の縦の多角形セルを画成し、その内のいくつかは、セルの角部において角補強材(「隅肉(fillets)」と称する)の配置により選択的に補強されている。ある実施の形態において、選択されたセルの選択された角部のみに隅肉が付けられているかまたは他の様式で補強されている。より詳しくは、隅肉は、表皮に対して垂直なおよび/または実質的に垂直な対角線の角部内にのみ含まれる。表皮に対して垂直なおよび/または実質的に垂直な対角線の角部により、表皮に対して垂直または実質的に垂直に延在するセルの対角線と交差する、対角線上に対向するセルの角部を意味する。
【0009】
別の態様において、本発明は、表皮により境界が形成された一連の相互に連結したウェブを備えたハニカム体を有するハニカム構造体であって、それらの相互に連結したウェブが、多角形断面の一連の縦のセルを画成しているハニカム構造体を含む。一連のセルは、角部補強材を含むセルと、角部補強材が全くないセルの両方からなる。角部補強材を含むセルは、補強角部および非補強角部の両方を含むことが好ましい。補強セルにおいて設けられた角部補強材は、表皮と交差する最も近い点まで延長されたときに、交点で構造体の表皮の接線に対して垂直なおよび/または実質的に垂直な、セルの対角線と交差する対角線上で対向するセルの角部においてのみ設けられる。
【0010】
別の態様において、本発明は、ハニカムフィルタを製造するための押出ダイであって、ダイ本体、一連の第1と第2のピンを画成するためのダイ本体に形成された一連の吐出スロット、および押出材料を吐出スロットに導くためのダイ本体内にある一連の供給孔を備え、第1のピンが、丸くない角部に隣接した対角線上で対向した丸い角部を有し、第2のピンが、丸くない角部を有するものである押出ダイに関する。
【0011】
本発明の他の特徴と利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に記載する添付の図面は、本発明の典型的な実施の形態を図示するものであり、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではなく、本発明に関して、他の同等に有効な実施の形態が認められるであろう。これらの図面は、真の比率または倍率を表すことを意図したものではない。その図面の特定の特徴および特定の図は、明瞭さと簡潔さのために、倍率または概略的に誇張して表されているかもしれない。
【0013】
ここで、添付の図面に示されたいくつかの好ましい実施の形態を参照して、本発明を詳細に説明する。その説明は、本発明はセラミック製フロースルー式触媒基体などの他のハニカム構造体までに及ぶが、主に、ディーゼル微粒子フィルタの実施の形態に関して提示される。好ましい実施の形態を説明するにあたり、本発明を完全に理解するために、多くの特定の詳細が述べられている。しかしながら、本発明は、これらの特定の詳細のいくつかまたは全てを伴わずに実施してもよいことが当業者には明らかである。他の場合、本発明を不必要に分かりにくくしないように、よく知られた特徴およびプロセス工程は、詳細に記載していない。その上、共通または同様の要素を特定するために、同様のまたは同一の参照番号が用いられる。
【0014】
本発明は、ハニカムフィルタに亘る圧力降下を実質的に増加させずに、ハニカムフィルタの機械的強度を増加させるために、ハニカムフィルタ内のセルの角部に戦略的に隅肉形成することを提供する。この戦略的な隅肉形成は、ハニカムフィルタの有効流動面積が実質的に変わらないようなものであり、それによって、ハニカムフィルタに亘る圧力降下を低い状態に維持しながら、ハニカムフィルタの機械的強度を増強する。
【0015】
熱再生条件下でのハニカムフィルタの理論分析を行って、ハニカム構造体内の細孔の応力集中位置を判定し、それゆえ、機械的強度を向上させるために構造的補強をどこに配置したらよいかを決定した。分析の結果、最大の応力は、その対角線が表皮に垂直またはほぼ垂直になっているセルの対角線上の対向する角部で生じることが示された。これらの角部は、対角線が表皮まで延長されたときに、その交点で表皮の接線に対して直角に交差するで、セルを通る対角線と交差するセルの角部である。
【0016】
亀裂形成を減少させるために、隅肉は、表皮に垂直なセルの対角線上の角部のみに形成され、隅肉の形成されたセル内の隣接する角部には形成されていない。隅肉は、表皮に実質的に垂直な対角線上の角部に形成されてもよい。隅肉をこれらの高圧力区域のみに加えることによって、ハニカムフィルタに亘る圧力降下を実質的に増加させずに、ハニカムフィルタの耐亀裂性を増大させることができる。
【0017】
図2Aは、改善された構造強度、耐亀裂性および低い圧力降下を有するセラミックハニカム構造体200を示している。セラミックハニカム構造体200は、柱状のハニカム体202を含む。ハニカム体202は、典型的に、押出焼成セラミックから形成されるが、他の材料を用いてもよい。セラミックは、例えば、コージエライトであってよい。ハニカム体202は、図2Aにおいては、円形断面を持つ表皮204を有する。他の実例において、表皮204は、楕円形、長円形、いわゆるレーストラックの形状、または任意の他の閉じた円筒形状を有していてもよい。
【0018】
ハニカム体202内に一連の縦のセル206が形成されている。セル206の縦断面は任意の所望の形状を有して差し支えないが、ほとんどの実施の形態において、その形状は、4つの辺と4つの角を含む、正方形または矩形である。セル206は、ハニカム体202の長手方向に沿って延在し、ハニカム体202の表皮204と交差する一連の相互に連結した多孔質ウェブ208により画成される。セル206は、ハニカム体202の端面212,214で市松模様の形態で、充填材料210により端部が施栓されている。ハニカム体202内の選択されたセル206の選択された角部は、圧力降下を過度に増加させずに、構造強度および耐亀裂性を改善するために、選択されたセルの角部内に隅肉215を含んでいる。
【0019】
図2Bは、セラミックハニカム構造体200の縦断面を示している。本発明による隅肉215を含むセル206が、隅肉215を含んでいないセル206より太い線で示されている。隅肉の形状は、本発明の重要な特徴ではない。角部を補強する効果のある任意の角部の肥厚を用いて差し支えない。それゆえ、例えば、隅肉215は、図2Bに示すように凹面であっても、または凸面または平らな支柱または梁のデザインのものであってもよい。図2Bにおける隅肉215は、表皮204に垂直な対角線上の角部206a,206bに形成されている。すなわち、それらの角部と同様に揃った角部は、対角線が延長された場合、表皮に垂直な、点線の対角線217により示された、セルを通る対角線上にある(線217は、217−218の交点で、表皮の接線218に直角である)。他方では、点線の対角線219により示された対角線上にあるセルの角部には、隅肉が形成されていない。何故ならば、その対角線は、表皮に垂直または実質的に垂直ではないからである(すなわち、線219は、219−220の交点で、表皮の接線220に垂直に表皮と交差していない)。
【0020】
円形の表皮204について、表皮204に垂直な対角線上の角部206a,206bは、再度、点線217により示されるように、表皮204までの半径により割られたものと一致する。図2Bにおいて、表皮に対して垂直な全ての対角線上の角部206a,206bは隅肉215を含んでいる。図2Cに示すような別の実例において、表皮204に近い領域内のセルについて、表皮に垂直なセルの対角線上にある対角線上の角部206a,206bが隅肉215を備えている。本発明の目的について、ハニカム構造体の表皮に近い領域は、構造体のセルのが手方向の軸に垂直にとられたハニカム断面の中心または重心から測定して、構造体の断面の外側の1/3を含む。
【0021】
図2Dに示されるような別の実例において、表皮204に垂直であるかまたは実質的に垂直であるかのいずれかのセルの対角線が横切る対角線上の角部206a,206bが隅肉215を備えている。表皮204に実質的に垂直なセル対角線上にある対角線角部206a,206bは、表皮204に正確に垂直な点線の対角線217により示されるセルの対角線の群を包含する角度α内の構造体の扇形領域内に位置している。角度αは、30度(例えば、図2Dに示すような円形の構造体を通る45度の対角線217から±15度)から60度(例えば、その対角線から±30度)ほど大きくまで及んでよい。図2Cに示した実例におけるように、この扇形領域内の隅肉215は、表皮に近い領域に制限されていてもよい。本発明の説明の目的のために、セルの対角線は、表皮に正確に垂直から±30度内である角度α内に入る場合、表皮に対して実質的に垂直である。
【0022】
図2Eに示したさらに別の実例において、隅肉は、約45度の対角線317の周りの角度α内の全てのセルの角部に設けられている。図2Eに示された全てのセルの角部における隅肉は、構造体を通って流動するガスの圧力降下をわずかに増加させるが、その増加は、全てのセルの全ての角部が補強された構造体において遭遇するものよりも小さい。
【0023】
より一般的な閉じた円柱断面(円形並びに非円形)のハニカム構造体における補強のための最も効果的な扇形領域は、構造体を通るいくつかの延伸された対角線の各々の上にあるセル対角線が、延伸/表皮の接線の交点で、表皮の接線と形成する角度に関してより一般に決定できる。それゆえ、図2Dにおいて、点線のセル対角線の補助線219上に並んだセル対角線が横切るセル角部には隅肉が形成されない。何故ならば、それらのセル対角線は、接線220および補助線219の交点で、表皮の接線に対して垂直またはほぼ垂直ではないからである。隅肉の設けられた角部は、表皮(表皮の接線)に対して垂直から±30°内、より好ましくは表皮に対して垂直から±15°内にあるセル対角線が横断する角部のみであることが最も効果的である。
【0024】
図2Aを参照すると、ディーゼル排気粒状物質濾過などの用途について、ハニカムフィルタ200は、10から300セル/平方インチ(約1.5から46.5セル/cm2)、より一般的には100から200セル/平方インチ(約15.5から31セル/cm2)のセル密度を有するであろう。多孔質ウェブ208の厚さは、0.002インチ(約0.05mm)から0.060インチ(約1.5mm)、好ましくは0.010から0.030インチ(約0.25から0.76mm)の範囲にあるであろう。多孔質ウェブ208の気孔率は、40および60体積%の間であろう。多孔質ウェブ208は、1から60μmの範囲、より好ましくは10から50μmの範囲にある平均直径を有する細孔を含むであろう。各隅肉または梁(図2A〜2Cにおける215)は、それが設けられたセルの断面積の約12%以下から約2%以上を占めるような断面を有するべきである。
【0025】
角部の補強をハニカム構造体の選択された領域のみに制限することの効果が図3に示されている。図3は、様々な設計の多孔質セラミック排気ガスフィルタに亘る共通の設定ガス流速でのモデル化された相対的な圧力降下をプロットしている。サンプルフィルタ(1)は、図1に示される従来の設計のフィルタであり、そのフィルタでは、角部に隅肉もどのようなの種類の他の角部の補強も設けられていない。それゆえ、サンプルフィルタ(1)に報告された圧力降下は、フィルタ構造体自体に生来のものである。
【0026】
サンプルフィルタ(1)と同じサイズで同じ形状のサンプルフィルタ(2)および(3)は、改良された図1の設計のフィルタに関する、隅肉などのセルの角部の補強の圧力降下を増加させる傾向を示している。サンプルフィルタ(2)は、サンプルフィルタ(1)を評価するために用いたのと同じガス流速でのモデル化された圧力降下性能を示しているが、フィルタの選択された周囲領域にある全てのセルの全ての角部に補強隅肉が設けられている。他方で、サンプルフィルタ(3)は、サンプルフィルタ(2)と同じサイズと同じ形状のフィルタに関する圧力降下の性能を示しているが、隅肉の形成されたセルの対角線上の対向する角部のみに隅肉を形成する場合のように、フィルタの同じ周囲領域におけるセルの角部の半分だけに隅肉が設けられている。これらのデータから、隅肉形成サンプルフィルタ(3)では、隅肉形成サンプルフィルタ(2)と比較して、圧力降下が十分に減少したことが観察されるのが明らかである。
【0027】
説明の目的で、図4は、ハニカムフィルタの製造に適した押出ダイアセンブリの垂直断面を示している。押出ダイアセンブリ400は、押出ダイ402および表皮形成マスク404を備えている。押出ダイ402は、表皮形成マスク404と協同して、ハニカムフィルタの表皮の厚さと形状を画成する。一連の吐出スロット406は、押出ダイ402のセル形成領域408内で切断されて、一連の第1と第2のピン410,412を画成する。ある実例において、ピン410,412の横断面は略正方形であり、第1のピン410の対角線上の角部は丸まっている。セル形成領域は一連の供給孔414を備え、これら供給孔は、押出ダイ402の入口面416から一連の吐出スロット406まで延在する。供給孔414は、バッチ材料を吐出スロット406に供給する。押出ダイ402の表皮形成領域418は、表皮形成マスク404のための取付面420を備えている。表皮形成マスク404の内面404aは、表皮形成スロット421を画成するように、セル形成領域408から半径方向に間隔があけられている。表皮形成領域と表皮形成マスク404との間に表皮形成貯留部424を画成するように、取付面420と表皮形成マスク404との間に、シム423が挿入されていてもよい。表皮形成領域にある供給孔426が、バッチ材料を表皮形成貯留部424に供給する。動作において、ハニカム体は、バッチ材料を供給孔414,426に供給し、バッチ材料を、吐出スロット406および表皮形成スロット421に通して押し出すことにより形成される。
【0028】
先に記載された押出ダイは、押出ダイを製造するための既存の方法を用いて製造することができる。セル形成領域は、機械加工できる材料から製造されたブロックの下側部分に孔を機械加工することにより製造してもよい。これらの孔は、供給孔として働くであろう。プランジ放電加工(EDM)などのプロセスを用いて、ブロックの上側部分に吐出スロットを切削することができる。スロットが切削された後に、ブロックの上側部分にピンが残っている。ブロックの周囲にあるピンは、表皮形成マスクの取付面を提供するために、短くするかまたは完全に除去して差し支えない。吐出スロットおよびピンは、図2B〜2Dに記載されたセル/ウェブ構造のいずれを有していても差し支えない。あるいは、従来の押出ダイを、図2A〜2Dに記載されたフィルタを製造するのに適した構造の丸まった対角線上の角部を含ませるように、改良することができる。プランジEDMを用いて、押出ダイを改良してもよい。電極は、改良すべきダイの区域、すなわち、本発明による丸まった対角線上の角部を有するセルに対応するダイの区域を取り囲むことだけが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来技術のウォールフロー式ハニカムフィルタの斜視図
【図2A】表皮に垂直なセルの対角線の角部のみに隅肉が形成されている、表皮により境界が形成された相互に連結したウェブにより画成された縦のセルを有するセラミックハニカム構造体の斜視図
【図2B】図2Aのセラミックハニカム構造体の縦断面図
【図2C】表皮に近くそれに垂直なセルの対角線上の角部に隅肉が形成された図2Bの変更例の縦断面図
【図2D】表皮に実質的に垂直なセルの対角線上の角部に隅肉が形成された図2Bの変更例の縦断面図
【図2E】全ての角部に隅肉が設けられた図2Dの変更例の縦断面図
【図3】選択的に隅肉を有する構造体と有さない構造体を含む、設計の異なるセラミックハニカム構造体における圧力降下を比較したグラフ
【図4】図2A〜2Dのセラミックハニカム構造体を製造するための押出ダイアセンブリの垂直断面図
【符号の説明】
【0030】
100 ハニカムフィルタ
104,206 セル
105,204 表皮
106,208 ウェブ
107,210 充填材料
108,110,212,214 端面
200 ハニカム構造体
202 ハニカム体
215 隅肉
400 押出ダイアセンブリ
402 押出ダイ
404 表皮形成マスク
406 吐出スロット
408 セル形成領域
414,426 供給孔
418 表皮形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮により境界が形成された一連の相互に連結したウェブを有するハニカム体からなるハニカム構造体において、
前記相互に連結したウェブが、角部を有する多角形断面の一連の縦のセルを画成し、
前記一連のセルが、角部の補強を含むセルおよびどのような角部の補強もないセルの両方からなり、前記角部の補強を含むセルが、前記表皮に対して垂直および/または実質的に垂直なセル対角線上にあることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記角部の補強を含むセルが、補強された角部および補強されていない角部の両方を含み、前記角部の補強は、前記表皮に対して垂直および/または実質的に垂直なセル対角線と交差した、対角線上の対向した角部のみに設けられていることを特徴とする請求項1記載のハニカム構造体。
【請求項3】
多孔質セラミックから形成され、前記セルが正方形の断面を有し、前記角部の補強が凹面の隅肉または梁であることを特徴とする請求項1記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記表皮に対して実質的に垂直なセル対角線と交差する、前記補強された角部が、前記表皮に対して垂直な前記セル対角線を中心として10から60度の夾角内に配置された前記構造体の扇形領域内に位置することを特徴とする請求項3記載のハニカム構造体。
【請求項5】
各隅肉が前記セルの断面の2〜12%を占めることを特徴とする請求項3記載のハニカム構造体。
【請求項6】
ハニカム体を製造するための押出ダイにおいて、
ダイ本体、
一連の第1と第2のピンを画成するように前記ダイ本体内に形成された一連の吐出スロットであって、前記第1のピンが丸まった角部を有し、前記第2のピンが丸まっていない角部を有するものである吐出スロット、および
押出材料を前記吐出スロットに導くための前記ダイ本体内の一連の供給孔、
を備えた押出ダイ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−532197(P2009−532197A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502916(P2009−502916)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/007425
【国際公開番号】WO2007/126741
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】