説明

耐光性フィルム

【課題】 広範囲の紫外線遮蔽性を備える耐光性フィルムであり、紫外線による劣化を受けやすい物質の包装用途に好適に使用することのできる耐光性フィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】 波長380nmでの光線透過率が5%以下、400nmでの光線透過率が50%以下かつ420nmでの光線透過率が70%以上であることを特徴とする耐光性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線を遮蔽する耐光性フィルムに関し、詳しくは従来の紫外線線吸収剤含有フィルムより高波長側の光も遮蔽する耐光性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂フィルムは、汎用性が高く幅広い分野、条件下で使用されている。ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂は紫外線の作用により劣化あるいは分解を引き起こし、変色したり機械強度が低下するため、長期の使用に支障をきたすことがある。そこで、劣化を防止するために、従来から種々の紫外線吸収剤が用いられている。こうした紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムである耐光性フィルムは、窓張り用、ビニールハウス、防虫用途など幅広く使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−11231号公報
【特許文献2】特開平7−11232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医薬品やインクは紫外線により劣化しやすいため、耐光性フィルムをこれらの包装用途に用いるためには、広い範囲での高い紫外線吸収性能が必要である。しかしながら、従来の耐光性フィルムの吸収範囲は、紫外線吸収剤による制約から高々370nm程度の波長域までであり、これより高波長の紫外線を透過させてしまう。このため、フィルムを透過した紫外線により、フィルムで包装された物質を紫外線から保護することは困難であった。
【0005】
本発明は、広範囲の紫外線遮蔽性を備える耐光性フィルムであり、紫外線による劣化を受けやすい物質の包装用途に好適に使用することのできる耐光性フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、波長380nmでの光線透過率が5%以下、400nmでの光線透過率が50%以下かつ420nmでの光線透過率が70%以上であることを特徴とする耐光性フィルムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、広範囲の紫外線遮蔽性を備える耐光性フィルムであり、紫外線による劣化を受けやすい物質の包装用途に好適に使用することのできる耐光性フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の耐光性フィルムは、波長380nmでの光線透過率が5%以下、400nmでの光線透過率が50%以下かつ420nmでの光線透過率が70%以上である。波長380nmでの光線透過率が5%を超えるか400nmでの光線透過率が50%を超えると、フィルムおよびフィルムに遮蔽される内容物の光劣化を抑制することができない。420nmでの光線透過率が70%未満であると赤色の着色が大きく内容物の美観が損なわれる。
【0009】
この光線透過率を備える本発明の耐光性フィルムは、紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂からなる。紫外線吸収剤は、紫外線吸収剤と熱可塑性樹脂の合計重量あたり、好ましくは0.05〜30重量%、さらに好ましくは0.08〜20重量%含有させる。この範囲であれば、紫外線吸収効果を発揮しなおかつ均一に分散させることができる。
【0010】
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂としては、例えば熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、非晶質オレフィン、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリメタクリレート、ポリスチレン、アクリル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン酸、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンスルフィド、ジアリルフタレート、ケイ素樹脂、フッ素樹脂を例示することができる。就中、熱可塑性ポリエステルが好ましい。
【0011】
熱可塑性ポリエステルとしては、好ましくは芳香族ポリエステルを用い、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレートを例示することができる。就中ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートが好ましい。これらのポリマーは単独で用いてもよくまた複数を用いてもよい。
【0012】
[紫外線吸収剤]
本発明の光線透過率を得るために、紫外線吸収剤として好ましくは下記式(I)及びII)で表される環状イミノエステルから選ばれる化合物を用いる。
【0013】
【化1】

(ここで、Xは、上記式に表わされたXからの2本の結合手が1位、2位の位置関係にある、2価の芳香族残基であり、Xは1,2または3価の芳香族残基であり、X1、Xの少なくとも片方がナフタレン残基である。;nは1、2又は3である。)
で表わされる環状イミノエステル及び下記式(II)
【0014】
【化2】

(ここで、Aは下記式(II)-a
【0015】
【化3】

で表わされる基であるか又は
下記式(II)-b
【0016】
【化4】

で表わされる基であり;RおよびRは同一もしくは異なる1価の炭化水素残基であり、Xはナフタレン環残基である。)
【0017】
前記(I)式でX1は、上記式に表わされたX1からの2本の結合手が1位、2位の位置関係にある、2価の芳香族残基である。Xがナフタレン残基の場合の結合部位として、1,2位、2,3位などが挙げられるが、より好ましくは2、3位である。またXは一部置換されていてもよい。置換基として例えば炭素数1〜10のアルキル例えばメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、デシル等;炭素数6〜12のアリール例えばフェニル等;炭素数5〜12のシクロアルキル例えばシクロペンチル、シクロヘキシル等;炭素数8〜20のアラルキル例えばフェニルエチル等;炭素数1〜10のアルコキシ例えばメトキシ、エトキシ、デシルオキシ等;ニトロ;エステル;アミド;イミド;ハロゲン例えば塩素、臭素等;炭素数2〜10のアシル例えばアセチル、プロポニル、ゼンゾイル、デカノイル等;などが挙げられる。
【0018】
は1,2または3価の芳香族残基である。n=1の場合Xは1価であり同様にn=2では2価、n=3では3価である。Xがナフタレン残基でなおかつn=1の場合、結合部位は1位もしくは2位が挙げられる。より好ましくは2位である。またXがナフタレン残基でなおかつn=2の場合の結合部位は1、2位、1,3位、1,4位、1,5位、1,6位、1,7位、1,8位、2,3位、2,6位、2,7位が挙げられる。よりこのましくは結合基同士が離れている1,3位、1,4位、1,5位、1,6位、2,6位、2,7位である。更に好ましくは2,6位である。X2がナフタレン残基でなおかつn=3の場合、1,2,3位、1,2,4位、1,2,5位、1,2,6位、1,2,7位、1,2,8位、2,3,5位、2,3,6位、1,3,5位、1,3,6位、1,3,7位、1,3,8位、1,4,5位、1,4,6位が挙げられる。より好ましくは結合部位が離れている、1,3,5位、1,3,6位、1,3,7位、1,4,6位が挙げられる。
【0019】
は一部置換されていてもよい。置換基として例えば炭素数1〜10のアルキル例えばメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、デシル等;炭素数6〜12のアリール例えばフェニル等;炭素数5〜12のシクロアルキル例えばシクロペンチル、シクロヘキシル等;炭素数8〜20のアラルキル例えばフェニルエチル等;炭素数1〜10のアルコキシ例えばメトキシ、エトキシ、デシルオキシ等;ニトロ;ハロゲン例えば塩素、臭素等;炭素数2〜10のアシル例えばアセチル、プロポニル、ゼンゾイル、デカノイル等;などが挙げられる。(I)式として例えば以下の化合物が挙げられる。
【0020】
n=1の場合
【化5】

ここで芳香族環の一部が置換されていてもよい。置換基としては前記置換基が挙げられる。
【0021】
n=2の場合
【化6】

ここで芳香族環の一部が置換されていてもよい。置換基としては前記置換基が挙げられる。
【0022】
n=3の場合
【化7】

ここで芳香族環の一部が置換されていてもよい。置換基としては前記置換基が挙げられる。
【0023】
前記(II)式でXは、4価のナフタレン環である。環状イミノエステル及びAとの結合部位としては1,2位と3,4位、1,2位と5,6位、1,2位と6,7位、1,2位と7,8位、2,3位と5,6位、2,3位と6,7位が挙げられる。より好ましくは、1,2位と5,6位、1,2位と6,7位、2,3位と6,7位である。Xは一部置換されていてもよい。置換基として例えば炭素数1〜10のアルキル例えばメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、デシル等;炭素数6〜12のアリール例えばフェニル等;炭素数5〜12のシクロアルキル例えばシクロペンチル、シクロヘキシル等;炭素数8〜20のアラルキル例えばフェニルエチル等;炭素数1〜10のアルコキシ例えばメトキシ、エトキシ、デシルオキシ等;ニトロ;ハロゲン例えば塩素、臭素等;炭素数2〜10のアシル例えばアセチル、プロポニル、ゼンゾイル、デカノイル等;などが挙げられる。
【0024】
及びRとしては、1価の炭化水素基であればよい。例えば炭素数1〜10のアルキル例えばメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、デシル等;炭素数6〜12のアリール例えばフェニル等;炭素数5〜12のシクロアルキル例えばシクロペンチル、シクロヘキシル等;炭素数8〜20のアラルキル例えばフェニルエチル等;炭素数1〜10のアルコキシ例えばメトキシ、エトキシ、デシルオキシ等;エステル;アミド;イミド;ニトロ;ハロゲン例えば塩素、臭素等;炭素数2〜10のアシル例えばアセチル、プロポニル、ゼンゾイル、デカノイル等;フェニル、ナフチル基などが挙げられる。
化合物(I)として例えば以下の化合物が挙げられる。
【0025】
【化8】

ここで、芳香族環の一部が置換されていてもよい。置換基としては前記置換基が挙げられる。
【0026】
[製造方法]
紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂の重合過程で添加してもよく、重合後に添加してもよい。重合後の熱可塑性樹脂に溶融状態で添加する場合、紫外線吸収剤は単体で添加してもよく、また溶媒等に分散した状態で添加してもよい。この際使用する溶媒は混練する樹脂を劣化させず、紫外線吸収剤を分散させるものであればよい。
【0027】
こうした溶融混合は、一軸あるいは二軸押し出し機などの溶融混合設備を使用して、重合体の溶融温度以上の温度で、紫外線吸収剤を添加することにより可能である。分散液を使用した場合は分散液を加圧下で添加した後、有機溶媒を除去することにより、実行可能である。
【0028】
紫外線吸収剤は製膜時に熱可塑性樹脂の溶融状態に添加し混練してもよい。この方法は、熱履歴を少なくすることで熱可塑性樹脂の劣化を抑えることができるため好ましい方法である。
【0029】
溶融重合可能な熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートといった熱可塑性ポリエステルの場合には、紫外線吸収剤の分散液を重合前、もしくは重合中に添加してもよい。紫外線吸収剤は単体で添加してもよくまたあらかじめ溶媒で分散した状態で添加してもよい。この場合の溶媒は重合体の原料であるものが好ましい。重合反応は通常の重合体の重合条件に準じて実施すればよい。
【0030】
上記の方法で得られた1〜50重量%の比較的高い濃度で紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂をマスターバッチとして、さら紫外線吸収剤未添加の熱可塑性樹脂に混練させることでも、目的とする紫外線吸収剤含有ポリマーを得ることができる。
【0031】
紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂は、溶融製膜によりフィルム化することができる。溶融製膜温度としては、熱可塑性樹脂の流動開始温度(非晶性樹脂ではガラス転移温度、結晶性樹脂では融点)以上400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、320℃以下がさらに好ましい。温度が流動開始温度より低すぎると溶融成形が困難になるため好ましくなく、また、温度が高すぎると熱可塑性樹脂の熱劣化が起きる恐れがあり好ましくない。
【0032】
高弾性のフィルムを製造する場合には、さらに延伸を行うことが好ましい。延伸方法としては、従来公知の方法、例えば、一軸または二軸方向に逐次または同時に延伸する方法を挙げることができる。延伸温度は好ましくは樹脂組成物のガラス転移点以上ガラス転移点+90℃以下、より好ましくは樹脂組成物のガラス転移点以上ガラス転移点+70℃以下、さらに好ましくはガラス転移点以上ガラス転移点+60℃以下である。延伸温度が低すぎても高すぎても均一なフィルムを製造することが困難であり好ましくない。また、延伸倍率は、面倍率として、好ましくは1.5倍以上100倍以下である。本発明における延伸倍率は(延伸後のフィルムの面積)/(延伸前のフィルムの面積)であらわされるものである。延伸することでポリマーが配向氏より高弾性化するため好ましい。
【0033】
また、熱可塑性樹脂が結晶性の場合にはフィルムの延伸配向後、熱処理することが好ましい。熱処理の温度としてはポリエステルのガラス転移点以上、融点以下が好ましい。さらに好適な温度は得られたフィルムの結晶化温度と得られたフィルムの物性などを勘案して決定される。
【0034】
本発明の耐光性フィルムの厚みは、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜400μm、特に好ましくは10〜300μmである。この範囲であれば十分に紫外線を吸収しさらに包装材等に使用することができる。
【0035】
[被覆層]
本発明の耐光性フィルムは、片面もしくは両面に不活性粒子を含む被膜層を設けることが好ましい。この層を設けることで耐スクラッチ性、ハンドリング性が向上する。不活性粒子の粒径としては、好ましくは10〜150nm、含有量は好ましくは0.1〜20重量%である。この範囲であれば有効に機能を発揮し、なおかつ大きすぎ、多すぎて粒子が脱落することもなく好ましい。
【0036】
不活性粒子は有機または無機の微粒子であり、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子が例示される。不活性粒子は単独で用いてもよく、また2種類以上の他成分でもかまわない。
【0037】
この被膜層を形成する樹脂としては、例えば共重合ポリエステルを挙げることができる。被膜層を接着層として用いる場合、接着性のよい共重合ポリエステルをであれば好都合である。
【0038】
被膜層を設ける場合、水溶性、水分散性または乳化液の水性塗液を塗布することにより形成することが好ましい。被膜を形成するために、必要に応じて、上記組成物以外の他の樹脂や化合物、例えば帯電防止剤、界面活性剤、ワックス、架橋剤などを添加することができる。
【0039】
本発明に用いる水性塗液の固形分濃度は、通常20重量%以下、好ましくは1〜10重量%である。1重量%未満であると、フィルムへの塗れ性が不足することがあり、20重量%を超えると塗液の安定性や塗工が困難になることがあり好ましくない。
【0040】
水性塗液の熱可塑性フィルムへの塗布は、任意の段階で実施することができるが、熱可塑性フィルムの製造過程で実施するのが好ましく、結晶化樹脂の場合配向結晶化が完了する前の熱可塑性フィルムに塗布するのが好ましい。
【0041】
ここで、結晶配向が完了する前の熱可塑性フィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、更には縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、縦方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
【0042】
水性塗液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいは組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することもできる。
【0043】
塗布量は、被膜層の厚さが0.01〜0.3μm、好ましくは0.02〜0.25μmの範囲となるような量であることが好ましい。被膜層の厚さが薄過ぎると、接着力が不足したり不活性粒子が脱落したりする。逆に厚過ぎると、ブロッキングを起こしたり、塗工が難しくなる可能性がある。
【0044】
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組合せて用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は以下の方法により評価した。
(1)分光透過率
分光光度計((株)島津製作所製の商品名「MPC3100」)を用い、波長380nm、400nmおよび420nmでの光線透過率を測定した。
(2)耐光性
ポリエステルフィルムに、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製の商品名「WEL−SUN−HCL型」)を使用し、JIS−K−6783bに準じて、1000時間(屋外曝露1年間に相当)照射することにより屋外曝露促進試験を行った。処理後、ヘーズ測定器(日本電色工業社製の商品名「NDH―2000」)を使用してフィルムのヘーズ値を測定し、処理前のヘーズ値との差を下記の基準で評価した。
◎: 処理後ヘーズ値/処理前ヘーズ値≦2.0・・・耐光性極めて良好。
○:2.0<処理後ヘーズ値/処理前ヘーズ値≦3.0・・・耐光性良好。
×:3.0<処理後ヘーズ値/処理前ヘーズ値 ・・・耐光性不良。
【0046】
[実施例1]
固有粘度が0.63で、実質的に粒子を含有しないポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥後、押出機ホッパーに供給した。同様に110℃で5時間乾燥した2,6−ナフタレンビス(1,3−ベンゾオキサジンー4−オン)をサイドフィーダーに供給した。紫外線吸収剤が0.5重量%となるように徐々に添加し、溶融温度305℃で溶融混練し、平均目開きが17μmのステンレス鋼細線フィルターで濾過し、3mmのスリット状ダイを通して表面温度60℃の回転冷却ドラム上で押出し、急冷して未延伸フィルムを得た。このようにして得られた未延伸フィルムを120℃にて予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より850℃のIRヒーターにて加熱して縦方向に1.1倍に延伸した。この縦延伸後のフィルムの片面に下記の塗剤Aを乾燥後の塗膜厚みが0.25μmになるようにロールコーターで塗工し易接層を形成した。
【0047】
続いてテンターに供給し、140℃にて横方向に.3.3倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを245℃の温度で5秒間熱固定し、固有粘度が0.58dl/g、厚み125μmのフィルムとし、その後、このフィルムを懸垂状態で、弛緩率0.7%、温度205℃で熱弛緩させて、熱可塑性樹脂フィルムとした。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0048】
[実施例2]
添加する紫外線吸収剤の量のみ1wt%とした点を除いて、実施例1と同様に実施した。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0049】
[比較例1]
紫外線吸収剤を添加する点のみ除いて実施例1と同様に実施した。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0050】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の耐光性フィルムは、医薬品やインクといった紫外線により劣化しやすい物質の包装用途に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長380nmでの光線透過率が5%以下、400nmでの光線透過率が50%以下かつ420nmでの光線透過率が70%以上であることを特徴とする耐光性フィルム。
【請求項2】
耐光性フィルムが紫外線吸収剤0.05〜30重量%を含有するポリエステルからなり、
紫外線吸収剤は、
下記式(I)
【化1】

(ここで、X1は、上記式に表わされたX1からの2本の結合手が1位、2位の位置関係にある、2価の芳香族残基であり、Xは1,2または3価の芳香族残基であり、X、Xの少なくとも片方がナフタレン残基である。nは1、2又は3である。)
で表わされる環状イミノエステル
及び
下記式(II)
【化2】

(ここで、Aは下記式(II)-a
【化3】

で表わされる基であるか又は
下記式(II)-b
【化4】

で表わされる基であり;
およびRは同一もしくは異なる1価の炭化水素残基であり;
はナフタレン環残基である。)
で表わされる環状イミノエステル
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1記載のフィルム。

【公開番号】特開2006−188578(P2006−188578A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−539(P2005−539)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】