説明

耐圧パイプ

【課題】ホース接続具等を備えずとも、他のホース等を外嵌、固定できるようにする。
【解決手段】合成樹脂により形成されて、可撓性を有するパイプ本体1と、パイプ本体1に外嵌固定される耐圧補強筒2を有し、屈曲可能とされている。パイプ本体1が、イ.管壁部7と、ロ.管壁部7に螺旋状に捲回されて、これら捲回部が軸心方向に配設された補強体8を有すると共に、パイプ本体1が、イ.その軸心方向中間部を構成する第1部位4と、ロ.パイプ本体1の端部を構成する第2部位5を有する。第1部位4では、補強体8の隣接する捲回部が間隔を置いて配設され、第2部位5では、補強体8の隣接する捲回部の対応する端部が当接して、溶着されている。第2部位5に耐圧補強筒2の端部が固定されて、第2部位5における、耐圧補強筒2よりも先端側が、他の配管と接続可能な接続用口部11とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の塩ビ配管等に使用する耐圧パイプに関する。
【背景技術】
【0002】
耐圧パイプとしては、ゴムにブレードを内装したホース、チューブに網を外装したホース、或いは、金属コルゲートに網を外装したホース等があるが、それ以外に、例えば、合成樹脂により形成され且つ可撓性を有するパイプ本体と、パイプ本体に外嵌、固定される耐圧補強筒を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−206678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の耐圧補強筒を有する耐圧パイプでは、耐圧補強筒が、パイプ本体の軸心方向全長にわたって外嵌、固定されていた。このため、耐圧パイプの端部に他のホースを外嵌して、接続するためには、ホース接続具を備える必要があり、これが耐圧パイプの製造コストを増大させていたのが実情である。
【0005】
本発明は、上記問題を解決できる耐圧パイプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の耐圧パイプの特徴とするところは、合成樹脂により形成されて、可撓性を有するパイプ本体と、パイプ本体に外嵌固定される耐圧補強筒を有し、パイプ本体が、イ.管壁部と、ロ.管壁部に螺旋状に捲回されて、これら捲回部が軸心方向に配設された補強体を有すると共に、パイプ本体が、イ.その軸心方向中間部を構成する第1部位と、ロ.パイプ本体の端部を構成する第2部位を有し、第1部位では、補強体の隣接する捲回部が間隔を置いて配設され、第2部位では、補強体の隣接する捲回部の対応する端部が当接して、溶着された屈曲可能な耐圧パイプにおいて、第2部位に耐圧補強筒の端部が固定され、第2部位における、耐圧補強筒よりも先端側が、他の配管と接続可能な接続用口部とされた点にある。
尚、複数本の金属細線又は合成樹脂製モノフィラメントが編組されることで、耐圧補強筒が構成されることもある。
又、第2部位に、径方向外方に突出するリング状の合成樹脂製の滑り止め部が溶着され、耐圧補強筒の端部における、滑り止め部よりも先端側に、リング状の第1固定具が外嵌されて、縮径方向に圧搾されると共に、耐圧補強筒における、第1固定具による固定部分よりも先端側が、耐圧補強筒の軸心方向中途部側に折り返され、この折り返し部分における、滑り止め部と第1固定具間に、リング状の第2固定具が外嵌されて、縮径方向に圧搾されることで、耐圧補強筒の端部が第2部位に固定されることもある。
更に、耐圧補強筒の端部に、溶融状態の合成樹脂から成る帯状材を巻き付け、この帯状材の溶融した内周部分を、耐圧補強筒の構成素材間の隙間を通過させて、第2部位の外周面に溶着させると共に、帯状材を冷却、固化させて、収縮させ、この収縮により、耐圧補強筒の各端部を縮径方向に締付けることで、耐圧補強筒の端部を第2部位に固定させることもある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パイプ本体の第2部位において、補強体の隣接する捲回部の対応する端部が当接すると共に、溶着されて、一体化されている。このような第2部位に耐圧補強筒の端部が固定されて、第2部位における、耐圧補強筒よりも先端側が、他の配管と接続可能な接続用口部とされている。従って、接続用口部の外周面を滑らかな湾曲面とできて、その外径を軸心方向に関して略一定とでき、これにより、接続用口部を利用して、従来同様に、他のホース等を容易に外嵌、固定できる。それ故、耐圧パイプの端部に他のホース等を外嵌して、固定するために、ホース接続具等を備える必要がなく、耐圧パイプの製造コストを削減できる。
又、第1部位では、補強体の隣接する捲回部が間隔を置いて配設されて、第2部位よりも強度が小さい。従って、耐圧補強筒がないと、第1部位内部の圧力が高くなった際には、第1部位が径方向外方に膨張して、最終的には、破断する惧れがある。しかし、本発明では、第1部位に耐圧補強筒が外嵌されているので、この耐圧補強筒により、第1部位の膨張は阻止され、第1部位が破断する惧れはない。
更に、第2部位では、上記のように、補強体の隣接する捲回部の対応する端部が当接すると共に、溶着されて、一体化されているため、強度が大である。このような強度が大である第2部位に、耐圧補強筒の端部が固定されているため、第2部位よりも強度が弱い第1部位の軸心方向の伸長も、耐圧補強筒により阻止することも可能である。
又、接続用口部には、耐圧補強筒が被覆されていない。しかし、接続用口部が位置する第2部位の強度は、上記のように、第1部位よりも大である。従って、接続用口部に耐圧補強筒が外嵌されていなくても、接続用口部の耐圧性が問題となることはない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す側面図である。
【図2】図1の一部半断面図である。
【図3】図1の一部詳細図である。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す半断面図である。
【図5】図4の一部詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態の第1例を図1〜図3の図面に基づき説明する。図1及び図2は屈曲可能な耐圧パイプ(耐圧ホース)を示し、耐圧パイプは、パイプ本体(ホース本体)1と、パイプ本体1に外嵌、固定される耐圧補強筒(補強編組、補強ブレード)2を有する。
【0010】
パイプ本体1は、合成樹脂により形成されて、可撓性を有し、横断面円形とされて、パイプの中間部、即ち、パイプを主構成する第1部位4と、パイプの各端部を構成する第2部位(カフレス部)5を有する。第1・第2部位4,5は軸心方向に連設されて、一体形成されている。
【0011】
パイプ本体1は、全体として、単一の管壁部7と、単一の帯状の補強体(補強帯、補強線材)8から成る。管壁部7の内外周面は滑らかな湾曲面とされ、内外径は軸心方向に関して(略)一定とされている。補強体8は管壁部7に(略)螺旋状に捲回されて、捲回部が軸心方向に配設されている。管壁部7と補強体8は、EVA樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系合成樹脂、又は、塩化ビニール樹脂等により形成されている。本例では、例えば、管壁部7は軟質塩化ビニール樹脂により、補強体8は硬質塩化ビニール樹脂により形成されている。
【0012】
パイプ本体1の第1部位4では、補強体8の捲回部は略一定の広い間隔で軸心方向に配設されて、隣接する捲回部の間隔は広くされ、これにより、第1部位4は蛇腹状とされて、容易に屈曲可能とされている。第2部位5では、補強体8の隣接する捲回部の対応する端部が、軸心方向に関して、当接すると共に、溶着(融着)されて、一体化されている。これにより、第2部位では、内外周面が滑らかな湾曲面とされて、その内外径が、基端部の外径を除き、軸心方向に関して、(略)一定とされている。
【0013】
第2部位5の補強体8には、径方向外方に突出するリング状の滑り止め部10が、溶着(融着)により、一体形成されている。滑り止め部10は硬質又は軟質の合成樹脂により形成されているが、この合成樹脂は、パイプ本体1を構成する合成樹脂と同一又は異なるものとされている。又、下記のように、第2部位5には、耐圧補強筒2の各端部が固定されて、第2部位5における、耐圧補強筒2よりも先端側が、他の配管と接続可能な接続用口部11とされている。
【0014】
耐圧補強筒2は耐圧、補強機能を有し、パイプ本体1に外嵌、固定されている。耐圧補強筒2は金属製又は合成樹脂製で、下記のように構成されている。即ち、図3に示すように、複数本の金属細線又は合成樹脂製モノフィラメントを引き揃えてなる細幅平帯状被覆材13,14を、パイプ本体1の外周面に、それぞれ、右螺旋巻き方向と左螺旋巻き方向に相互に編組しながら巻着することで、耐圧補強筒2が形成されている。耐圧補強筒2の内周面は、パイプ本体1の接続用口部7を除いた補強体8の外周面に対して、小隙を介して、対向、又は、密着し、これにより、耐圧補強筒2はパイプ本体1を補強して、パイプ本体1に耐圧性を付与している。
【0015】
耐圧補強筒2の各端部は、第2部位5に下記のように固定されている。即ち、まず、耐圧補強筒2の各端部にリング状の第1固定具16を外嵌し、各滑り止め部10よりも、第2部位5の軸心方向に関して、先端側に位置させた後、第1固定具16を、適当な圧搾工具又は装置により、縮径方向に圧搾する(かしめ止めする)。次に、耐圧補強筒2における、第1固定具16による固定部分よりも先端側を、耐圧補強筒2の軸心方向中途部側に折り返し、この折り返し部分にリング状の第2固定具17を外嵌して、滑り止め部10と第1固定具16間に位置させる。その後、第2固定具17を適当な圧搾工具又は装置により、縮径方向に圧搾する(かしめ止めする)。このように、第1・第2固定具16,17により、耐圧補強筒2の各端部をパイプ本体1の第2部位5に径方向に関して押圧した状態で固定している。尚、軸心方向に関して、各第1固定具16が、各滑り止め部10に対し、耐圧補強筒2及び第2固定具17を介して、当接している。
【0016】
上記構成例によれば、パイプ本体1の各第2部位5において、補強体8の隣接する捲回部の対応する端部が当接すると共に、溶着(融着)されて、一体化され、外周面が滑らかな湾曲面とされて、その外径が、基端部を除き、軸心方向に関して、(略)一定とされている。このような各第2部位5に耐圧補強筒2の各端部が固定されて、第2部位5における、耐圧補強筒2よりも先端側が、他の配管と接続可能な接続用口部11とされている。
【0017】
従って、接続用口部11の外周面を滑らかな湾曲面とできて、その外径を、軸心方向に関して、(略)一定とでき、これにより、接続用口部11を利用して、従来同様に、他のホース等を容易に外嵌、固定できる。それ故、耐圧パイプの端部に他のホース等を外嵌して、固定するために、ホース接続具等を備える必要がなく、耐圧パイプの製造コストを削減できる。
【0018】
又、第1部位4では、補強体8の隣接する捲回部が広い間隔を置いて配設されて、第2部位5よりも強度が小さい。従って、耐圧補強筒2がないと、第1部位4内部の圧力が高くなった際には、第1部位4が径方向外方に膨張して、最終的には、破断する惧れがある。しかし、上記構成例では、第1部位4に耐圧補強筒2が外嵌されているので、この耐圧補強筒2により、第1部位4の膨張は阻止され、第1部位4が破断する惧れはない。
【0019】
更に、第2部位5では、上記のように、補強体8の隣接する捲回部の対応する端部が当接すると共に、溶着されて、一体化されているため、強度が大である。このような強度が大である第2部位5に、耐圧補強筒2の端部が固定されているため、第2部位5よりも強度が弱い第1部位4の軸心方向の伸長も、耐圧補強筒2により阻止できる。
【0020】
又、各接続用口部11には、耐圧補強筒2が被覆されていない。しかし、これら各接続用口部11が位置する第2部位5の強度は、上記のように、第1部位4よりも大である。従って、各接続用口部11に耐圧補強筒2が外嵌されていなくても、各接続用口部11の耐圧性が問題となることはない。
【0021】
図4及び図5は本発明の実施の形態の第2例を示し、パイプ本体1の各第2部位5には滑り止め部を形成しておらず、耐圧補強筒2の各端部を下記のように固定している。即ち、耐圧補強筒2の各端部に、溶融状態の合成樹脂(例えば、塩化ビニール樹脂)から成る帯状材19を巻き付け、この帯状材19の溶融した内周部分を、耐圧補強筒2の構成素材(金属細線、合成樹脂製モノフィラメント等)20間の隙間を通過させて、第2部位5の補強体8の外周面に溶着(融着)させると共に、帯状材19を冷却、固化させて、収縮させ、この収縮により、耐圧補強筒2の各端部を縮径方向に締付けて、第2部位5に固定している。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、従来の塩ビ配管等に使用される耐圧パイプ等に適用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 パイプ本体
2 耐圧補強筒
4,5 第1・第2部位
7 管壁部
8 補強体
10 滑り止め部
11 接続用口部
16,17 第1・第2固定具
19 帯状材
20 構成成素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂により形成されて、可撓性を有するパイプ本体と、
パイプ本体に外嵌固定される耐圧補強筒
を有し、
パイプ本体が、
イ.管壁部と、
ロ.管壁部に螺旋状に捲回されて、これら捲回部が軸心方向に配設された補強体
を有すると共に、
パイプ本体が、
イ.その軸心方向中間部を構成する第1部位と、
ロ.パイプ本体の端部を構成する第2部位
を有し、
第1部位では、補強体の隣接する捲回部が間隔を置いて配設され、
第2部位では、補強体の隣接する捲回部の対応する端部が当接して、溶着された屈曲可能な耐圧パイプにおいて、
第2部位に耐圧補強筒の端部が固定され、
第2部位における、耐圧補強筒よりも先端側が、他の配管と接続可能な接続用口部とされた耐圧パイプ。
【請求項2】
複数本の金属細線又は合成樹脂製モノフィラメントが編組されることで、耐圧補強筒が構成された請求項1記載の耐圧パイプ。
【請求項3】
第2部位に、径方向外方に突出するリング状の合成樹脂製の滑り止め部が溶着され、
耐圧補強筒の端部における、滑り止め部よりも先端側に、リング状の第1固定具が外嵌されて、縮径方向に圧搾されると共に、
耐圧補強筒における、第1固定具による固定部分よりも先端側が、耐圧補強筒の軸心方向中途部側に折り返され、
この折り返し部分における、滑り止め部と第1固定具間に、リング状の第2固定具が外嵌されて、縮径方向に圧搾されることで、
耐圧補強筒の端部が第2部位に固定された請求項1又は2記載の耐圧パイプ。
【請求項4】
耐圧補強筒の端部に、溶融状態の合成樹脂から成る帯状材を巻き付け、
この帯状材の溶融した内周部分を、耐圧補強筒の構成素材間の隙間を通過させて、第2部位の外周面に溶着させると共に、
帯状材を冷却、固化させて、収縮させ、
この収縮により、耐圧補強筒の各端部を縮径方向に締付けることで、
耐圧補強筒の端部を第2部位に固定させた請求項1又は2記載の耐圧パイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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