説明

耐摩耗性高分子量ポリアセタール−超高分子量ポリエチレン組成物およびそれから形成された物品

改善された耐摩耗性、高い溶融粘度および良好な機械特性を有する高分子量ポリアセタールおよび超高分子量ポリエチレンを含む組成物。該組成物を含む物品が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高分子量ポリエチレンと、高分子量ポリアセタールとの溶融混合ブレンドを含む良好な耐摩耗性を有する組成物に関する。それから形成された物品が開示される。
【背景技術】
【0002】
多くの用途で、ポリマー材料から製造される部品は、それらが物理的に接触している他の部品に対して移動することが必要とされる。そのような場合、接点での部品表面の侵食を避けるために、ポリマー材料は良好な耐摩耗性を有することが望ましい。かかる用途の例は、コンベヤの作動間、コンベヤ素子と、その素子を支持する構造との間に連続的接触があるコンベヤベルトシステムである。
【0003】
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、しばしば良好な耐摩耗性を必要とする用途で使用される。UHMWPEは、優れた耐摩耗損傷性、非常に高い衝撃強靭性、低い摩擦係数および良好な耐化学薬品性を有する。UHMWPEの優れた耐摩耗性は、反対表面上へ材料を移送し、そして摩耗を抑制する反対表面上の合着フィルムの形成をもたらすフィルム移送機構から生じると考えられる。しかしながら、その曲弾性率は特定の用途に関して常に十分に高くはなく、そしてそれは低温(その有用な高温度は約75℃であると考えられる)および低速度接触を必要とする用途に限定される。加えて、硬質研磨粒子の存在を含む摩耗の用途で、粒子は軟質UHMWPEに埋め込む傾向を有し、それによって摩耗の増加が導かれ得る。さらに、それは著しい溶融伸張性が不足し、すなわち、それは溶融状態での引抜きが不可能であり、従って、UHMWPEから物品を形成するための成形加工は、典型的にラム押出および圧縮成形のような非溶融加工に限定され、そしてUHMWPEは一般的に、従来の溶融加工技術(例えば、射出成形、溶融押出等)による使用に適切でないことを意味する。それによって、都合よく製造できる物品の多様性は限定される。
【0004】
ポリアセタール(ポリオキシメチレンまたはPOMとしても知られる)は、優れたトライボロジーおよび良好な物性を有し、そして鋼表面との接触時に低い摩擦を有することが知られている。ポリアセタールは90℃より高い温度で使用可能であり、そして一般的に溶融加工可能である。しかしながら、UHMWPEの耐摩耗性に関与すると考えられるフィルム移送機構は、ポリアセタールの耐摩耗性に関して著しい役割を果たすとは考えられず、またポリアセタールの摩耗表面は、長期の使用で掘り開かれる傾向がある。
【0005】
多くの摩耗用途での使用のための物品は、高い融解粘度を有するが、溶融加工を可能にするために十分な程度の溶融伸張性を有する材料の使用を必要とする押出プロセスによって形成される。良好な機械特性とともに改善された耐摩耗特性および高い溶融粘度を有し、そして高温での使用に適切である溶融加工可能なポリマー組成物を得ることは望ましい。
【0006】
以下の開示は、本発明の様々な態様に関連し、そして以下の通り簡潔にまとめることができる。
【0007】
(特許文献1)には、超高分子量ポリエチレンおよび低分子量または高分子量ポリオレフィンからなるポリオレフィン樹脂組成物、ならびに耐熱性樹脂が開示されている。(特許文献2)には、6dl/gまたはそれより高い固有粘度を有する超高分子量ポリエチレンおよび0.1〜5dl/gの固有粘度を有するポリエチレンを含む改善されたスライディング特性を有する樹脂であって、ここでポリエチレンが少なくとも1つの変性モノマーならびにポリマー、例えばポリアミド、ポリアセタール、ポリエステルおよびポリカーボネートによって変性されている樹脂が開示されている。(特許文献3)には、超高分子量ポリエチレンを任意に含有する良好な摩耗および摩擦特性を有するポリアセタール樹脂組成物が開示されている。
【0008】
(特許文献4)は、潤滑油中で超高分子ポリエチレンを含有する合成樹脂から得られる生成物を浸漬することによって得られる生成物を開示する。(特許文献5)は、95〜80重量%のポリアセタールおよび5〜20重量%の超高分子量ポリエチレンを含有する良好なスライディング特性を有するポリアセタール組成物を開示する。(特許文献6)は、ポリアセタール樹脂中に1〜15重量%の微細粉末状超高分子量ポリエチレンを分散させる方法を開示する。米国特許公報(特許文献7)は、70〜98重量%のポリアミド、ポリアセタール、ポリエステルおよびポリカーボネートから選択された熱可塑性樹脂と、30〜2重量%の所定の粒度分布を有する超高分子量ポリオレフィン粉末との溶融混合ブレンドを含む熱可塑性樹脂組成物を開示する。
【0009】
【特許文献1】日本公開特許出願第2001−059042A号公報
【特許文献2】日本公開特許出願第H04−351647A号公報
【特許文献3】日本公開特許出願第H01−126359A号公報
【特許文献4】日本公開特許出願第H01−104622A号公報
【特許文献5】日本特許第H07−051657B2号公報
【特許文献6】日本特許第H06−062831B2号公報
【特許文献7】米国特許第4,670,508号明細書
【非特許文献1】K.J.パーサック(K.J.Persak)およびL.M.ブレア(L.M.Blair)、「アセタール レジンズ(Acetal Resins)」、カーク−オスマー エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、第1巻、ウィリー(Wiley)、ニューヨーク(New York)、1978、第112〜123頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡潔に記載すると、本発明の一態様に従って、ポリアセタールおよび超高分子量ポリエチレンの総量を基準として、約55〜約95重量%の100,000より大きい数平均分子量を有するポリアセタールと、約5〜約45重量%の超高分子量ポリエチレンとの溶融混合ブレンドを含む組成物が提供される。
【0011】
本発明のもう1つの態様に従って、潤滑剤、加工助剤、熱安定剤、酸化安定剤、紫外光安定剤、着色剤、成核剤、相溶剤および充填材の1つまたは複数をさらに含む上記組成物が提供される。
【0012】
本発明のもう1つの態様に従って、ポリアセタールおよび超高分子量ポリエチレンの総量を基準として、約55〜約95重量%の100,000より大きい数平均分子量を有するポリアセタールと、約5〜約45重量%の超高分子量ポリエチレンとの溶融混合ブレンドを含む組成物から製造された物品が提供される。
【0013】
本発明のもう1つの態様に従って、ポリアセタールおよび超高分子量ポリエチレンの総量を基準として、約55〜約95重量%の100,000より大きい数平均分子量を有するポリアセタールと、約5〜約45重量%の超高分子量ポリエチレンとの溶融混合ブレンドを含む組成物から押出された物品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の高分子量ポリアセタールおよびUHMWPEの溶融混合ブレンドは、単独のポリアセタールまたはUHMWPEと比較して非常に改善された耐摩耗性を有することが予想外に発見された。これらの組成物は、溶融押出によって異形押出材へとそれらを形成させるために十分低い溶融流量を有しながら、良好な衝撃耐性を有し、そして溶融加工可能である。
【0015】
本発明の組成物で使用される高分子量ポリアセタールは、1つまたは複数のホモポリマー、コポリマーまたはそれらの混合物であり得る。ホモポリマーは、ホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒドの環式オリゴマーのようなホルムアルデヒド当量の重合によって調製される。コポリマーは、ホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド当量に加えて、ポリアセタールを調製する際に一般的に使用される1つまたは複数コモノマーから誘導される。一般的に使用されるコモノマーには、2〜12個の連続炭素原子を有するエーテル単位のポリマー鎖中への組み入れを導くアセタールおよび環式エーテルが含まれる。コポリマーが選択される場合、コモノマーの量は20重量%以下、好ましくは15重量%以下、そして最も好ましくは約2重量%である。好ましいコモノマーは、1,3−ジオキソラン、エチレンオキシドおよびブチレンオキシドであり、1,3−ジオキソランがより好ましく、そして好ましいポリアセタールコポリマーは、コモノマーの量が約2重量%であるコポリマーである。ホモポリマーおよびコポリマーが、1)末端ヒドロキシ基が、エステルまたはエーテル基を形成するように化学反応によってエンドキャップされたホモポリマー;あるいは2)完全にエンドキャップされていないが、いくつかのコモノマー単位からの自由ヒドロキシ末端を有するか、またはエーテル基によって終結されたコポリマーであることも好ましい。ホモポリマーのための好ましい末端基はアセテートおよびメトキシであり、そしてコポリマーのための好ましい末端基はヒドロキシおよびメトキシである。ポリアセタールは、好ましくは直鎖(非分枝鎖)であるか、または最小限の鎖分枝を有する。
【0016】
高分子量ポリアセタールは、100,000より大きいか、または好ましくは少なくとも約103,000、またはより好ましくは少なくとも約108,000の数平均分子量を有する。数平均分子量は、なおより好ましくは、100,000より大きく約300,000までの範囲に存在する。数平均分子量は、光散乱検出器を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって決定される。本発明の組成物で使用される高分子量ポリアセタールは、好ましくは、約0.5g/10分以下、またはより好ましくは約0.4g/10分以下、またはさらにより好ましくは約0.3g/10分以下の溶融流量を有する。溶融流量は、2.16kgの負荷下190℃で測定されたISO方法1133に従ったものである。
【0017】
いかなる従来の方法を使用して高分子量ポリアセタールを調製してもよい。重合間に所望の高分子量を得ることを妨げる連鎖移動反応の可能性を最小化するために、ポリアセタールの製造で使用されるモノマーおよび溶媒が確実に十分な純度である必要があることは、当業者に明白である。これは、しばしば、水および/またはアルコールのような連鎖移動剤の濃度が最低限に保たれることを必要とする。例えば、(非特許文献1)を参照のこと。
【0018】
本発明で使用される超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、少なくとも約3×10の数平均分子量を有するポリエチレンである。超高分子量ポリエチレンは、ASTM D 4020−01aによって、135℃で0.02g/デカリンmlで測定される場合、1.44以上の相対粘度を有するエチレンの直鎖ポリマーであると定義される。上記の方法によって定義される公称粘度分子量は、少なくとも3.12×10g/モルである。
【0019】
本発明の組成物は、高分子量ポリアセタールおよびUHMWPEの総重量を基準として、約5〜約45重量%のUHMWPEおよび約55〜約95重量%の高分子量ポリアセタール、または好ましくは約10〜約40重量%のUHMWPEおよび約60〜約90重量%の高分子量ポリアセタール、またはより好ましくは約15〜約40重量%のUHMWPEおよび約60〜約85重量%の高分子量ポリアセタールを含む。
【0020】
本発明の組成物は、潤滑剤、加工助剤、安定剤(例えば、熱安定剤、酸化安定剤、紫外光安定剤)、着色剤、成核剤、相溶剤、強化剤、ポリ(テトラフルオロエチレン)のようなフルオロポリマーおよび鉱物充填材のような充填材のような添加剤を任意に含んでもよい。
【0021】
本発明の組成物は、ポリマー成分の全てが互いの範囲内で十分に分散し、そして非ポリマー成分がポリマーマトリックス中に十分に分散し、ポリマーマトリックスによって結合され、ブレンドが単一化された全体を形成するように、溶融混合されたブレンドである。本発明のポリマー成分および非ポリマー成分を組み合わせるために、いかなる溶融混合の方法を使用してもよい。例えば、ポリマー成分および非ポリマー成分を、例えば、一軸または二軸スクリュー押出機、ブレンダー、ニーダー、またはバンブリー(Banbury)ミキサーのような溶融混合機に、全てを一度に単一段階添加によって、または段階的な様式で添加し、次いで溶融混合することもできる。段階的様式でポリマー成分および非ポリマー成分を添加する場合、ポリマー成分および/または非ポリマー成分の一部を最初に添加し、そしてその後添加される残りのポリマー成分および非ポリマー成分と溶融混合し、そしてさらに十分混合された組成物が得られるまで溶融混合する。
【0022】
本発明の組成物を、例えば、射出成形、吹込み成形、押出、熱成形、溶融キャスティングおよび回転成形のような当業者に既知である方法を使用して、物品へと形成してよい。組成物は、種々の材料から製造される物品上へ過成形されてもよい。組成物はフィルムへと押出されてもよい。組成物はモノフィラメントへと形成されてもよい。
【0023】
適切な物品の例には、ギア;ロッド;シート;ストリップ;チャンネル;チューブ;摩耗ストリップ、ガードレール、ローラーおよびコンベヤベルト部品のようなコンベヤシステム部分が含まれる。押出物品は特に好ましい。
【0024】
本発明の組成物は、それらを溶融押出または他の溶融引抜き加工による物品の形成に有用にする良好な物性および十分に高い溶融粘度を有し、そして単独の高分子ポリアセタールまたはUHMWPEよりも非常に改善された耐摩耗性を有する。
【実施例】
【0025】
(実施例)
約190〜220℃のバレル温度で操作された二軸スクリュー押出機中、表1に示された相対比率でポリアセタールをUHMWPEと溶融ブレンドすることによって、実施例および比較実施例の組成物を調製した。直径約5/16インチの穴を有するダイを通して、組成物をストランドへと押出した。標準手順に従い、そして周囲圧力下で、ストランドを冷却し、そしてペレットへと切断した。ダイから出た後、ストランドに引張力を受けさせ、それによって、それらが最初に冷却浴および次いでカッターに入った時と比べて、それらの直径は約1/8インチまで減少した。スクリューのデザインは、視覚による検査で、ダイでの溶融が均質に見えるように選択されたが、不均質に見えて乏しい溶融強度を有した比較実施例4は除く。このように、それはさらなる試験のための試料の調製に不適当であるとみなされた。実施例1および2ならびに比較実施例1、2および4〜10の組成物の調製に関して、実施例3〜5および比較実施例3の組成物の調製に使用されたものとはわずかに異なるスクリュー配置を使用した。
【0026】
実施例および比較実施例では以下の成分を使用する。
【0027】
UHMWPEは、ニューヨーク州、パーチェスのミツイ ケミカルズ アメリカ インコーポレイテッド(Mitsui Chemicals America,Inc.,Purchase,N.Y.)によって供給されるミペロン(Mipelon)(商標)XM220を指す。
【0028】
ポリアセタールAは、約108,000の数平均分子量、および2.16kgの負荷下、190℃で測定された約0.3の溶融流量を有するポリアセタールホモポリマーを指す。実施例で使用前、ポリアセタールを、0.025重量%のアクラワックス(Acrawax)(登録商標)C(ニュージャージー州、フェアローンのロンザ インコーポレイテッド(Lonza,Inc,Fairlawn,N.J.)により供給される)、0.07重量%のイルガノクス(Irganox)(登録商標)245および0.03重量%のイルガノクス(Irganox)(登録商標)1098(ニューヨーク州、タリータウンのチバ スペシャルティ ケミカルズ コーポレイション(Ciba Specialty Chemicals Corp,Tarrytown,N.Y.)によって供給される)および0.5重量%のポリアクリルアミドと溶融ブレンドした。
【0029】
ポリアセタールBは、デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE)の本願特許出願人によって供給されるデルリン(Delrin)(登録商標)100、約60,000の数平均分子量を有するポリアセタールホモポリマーを指す。
【0030】
ポリアセタールCは、デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE)の本願特許出願人によって供給されるデルリン(Delrin)(登録商標)500、約41,000の数平均分子量を有するポリアセタールホモポリマーを指す。
【0031】
(摩耗試験試験片)
組成物を試験片へと射出成形した。試験片は、ディスクの1つの表面から突出する3つの平坦なパッドを有するディスクであった。パッドはディスクの表面から約0.125インチ突き出しており、そしてそれらの組み合わせた表面積は約0.2128インチであった。
【0032】
(溶融流測定)
ASTM D 1238095およびISO1133に従って、溶融流測定を実行した。ポリマー試料、典型的に直径および長さ約0.125インチの円筒形ペレットを少なくとも4時間、真空下80℃で予備乾燥した。約8gのペレットを190℃に維持された加熱されたバレルに供給した。直径0.0825インチおよび長さ0.315インチのオリフィスをバレルの1つに固定した。均質な溶融物を形成するために十分な予備溶融時間の後、2160gの負荷をプランジャーに配置し、そしてオリフィスを通して押出物を60秒間隔で回収した。60秒間隔で採取された試料の少なくとも3つを回収し、そして計量した。重量を平均し、そして平均値を変換してg/10分単位のメルトインデックス値を得た。異なる実施例および比較実施例に関するこれらの値を表1に示す。溶融押出または同様の方法によるような引抜き溶融によって物品を形成するため、低い溶融流量が望ましい。かかる方法では、約0.5g/10分以下の溶融流量が好ましい。
【0033】
(ノッチドアイゾッド測定)
熱可塑性材料のノッチド衝撃強度に関するASTM D 256−00の方法を使用して、異なる試料の破壊靱性の測定値を得た。この方法に従って、幅0.5インチ、厚さ0.125インチの射出成形試料にノッチカッターを使用してノッチを形成し、0.1インチの深さまで0.010インチの曲率半径を有する45°開先角度ノッチを得た。各ノッチ試験片を垂直片持ち位置に取り付け、そして振り子装置で衝撃を与えた。試験片を破壊するために吸収されたエネルギーを記録し、表1に示す。
【0034】
(摩耗試験)
相対速度Vで対向面に対して試験片を回転させながら、制御された力(または圧力)Pの作用の下、パッドが対向面と接触するように、対向面に対して試験される組成物から成形された試験片を保持することによって、摩耗試験を実行した。対向面は、バッキング紙に付着されたメジアン径で約25マイクロメートルの研磨粒子を有する600グリッドのサンドペーパーであった。試験装置中の線形可変変位変換器によって、試験片と研磨表面との間の距離の減少(L)を測定した。パッドの高さの少なくとも約三分の一が摩損するまで、または400時間まで、いずれかが最初に生じるまで試験を実行した。(a)63p.s.i.の圧力および1分あたり48フィートの速度(fpm)、および(b)15p.s.i.の圧力および200fpmの速度で試験を実行した。
【0035】
以下の式によって摩耗速度を計算した。
摩耗速度=L/(P×V×t)
式中、Lはインチの単位であり、Pはp.s.i.の単位であり、Vはfpmの単位であり、そしてtは分単位の試験持続時間である。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
比較実施例1および2と実施例1および2との比較、ならびに比較実施例1および3と実施例3〜5の比較によって、実施例のブレンドが優れた耐摩耗性を有する高分子量ポリアセタールまたはUHMWPEの単独での耐摩耗性と比較して、UHMWPEを含有する高分子量ポリアセタールのブレンドでは予想外および著しい耐摩耗性の相乗効果が得られることが実証される。
【0038】
比較実施例4の製造の場合、押出機ダイを出る時に試料が引張力を受ける場合、押出物は破壊し、それはかかる組成物が、溶融押出のように溶融した材料上で引張力を用いる溶融加工での使用のために不適切であるということを意味する。実施例1〜5の場合、押出機ダイから出た試料は良好な溶融強度を有し、そして容易にペレットへと切断可能であった。これらの材料は、溶融押出のように溶融した材料上で引張力を用いる溶融加工での使用のために適切である。
【0039】
従って、本発明に従って、上記で明らかにされた目的および利益を完全に満足させる組成物および物品が提供されたことは明白である。本発明はその具体的な実施形態と関連して記載されるが、多くの代替、修正および変更が当業者に明白であることは明らかである。従って、添付の請求の精神および広い範囲内に含まれる全てのかかる代替、修正および変更を包括することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアセタールおよび超高分子量ポリエチレンの総量を基準として、約55〜約95重量%の100,000より大きい数平均分子量を有するポリアセタールと、約5〜約45重量%の超高分子量ポリエチレンとの溶融混合ブレンドを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
ポリアセタールが、少なくとも約103,000の数平均分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリアセタールが、少なくとも約108,000の数平均分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリアセタールおよび超高分子量ポリエチレンの総量を基準として、ポリアセタールが約60〜約90重量%で存在し、そして超高分子量ポリエチレンが約10〜約40重量%で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリアセタールおよび超高分子量ポリエチレンの総量を基準として、ポリアセタールが約60〜約85重量%で存在し、そして超高分子量ポリエチレンが約15〜約40重量%で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリアセタールが約0.5g/10分以下の溶融流量を有し、前記溶融流量は、2.16kgの負荷下190℃で測定されるISO方法1133を使用して決定されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ポリアセタールが約0.4g/10分以下の溶融流量を有し、前記溶融流量は、2.16kgの負荷下190℃で測定されるISO方法1133を使用して決定されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ポリアセタールが約0.3g/10分以下の溶融流量を有し、前記溶融流量は、2.16kgの負荷下190℃で測定されるISO方法1133を使用して決定されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ポリアセタールがホモポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ポリアセタールが非分枝であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
潤滑剤、加工助剤、熱安定剤、酸化安定剤、紫外光安定剤、着色剤、成核剤、相溶剤および充填材の1つまたは複数をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物から製造されることを特徴とする物品。
【請求項13】
射出成形、吹込み成形、押出、熱成形、溶融キャスティングまたは回転成形によって製造されることを特徴とする請求項12に記載の物品。
【請求項14】
射出成形によって製造されることを特徴とする請求項13に記載の物品。
【請求項15】
ギヤの形態であることを特徴とする請求項14に記載の物品。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物から押出されることを特徴とする物品。
【請求項17】
ロッド、シート、ストリップまたはチューブの形態であることを特徴とする請求項16に記載の物品。
【請求項18】
コンベヤシステム摩耗ストリップ、ガードレールまたはコンベヤベルト部品の形態であることを特徴とする請求項16に記載の物品。
【請求項19】
ローラーの形態であることを特徴とする請求項12に記載の物品。

【公表番号】特表2008−545871(P2008−545871A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515933(P2008−515933)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/022344
【国際公開番号】WO2006/133370
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】