説明

耐水性、耐薬品性に優れた塗材

【課題】金属の表面部分やコンクリートとの接合部は、温度変化による金属の収縮・膨張など物理的変化や、紫外線、水、薬品性の化学物質(酸、アルカリ、塩水)などが浸潤される箇所では劣化が激しく塗膜の剥離が生じ易い。このため、表面強度や収縮膨張、耐水性、耐薬品性の向上を目的とした塗材で耐久性の高い状態を維持することができ、一液性で乾燥硬化する塗材の実現が望まれていた。
【解決手段】この発明は、ゴム系リサイクルカーボンとウレタンプレポリマー樹脂溶剤を主成分とする溶剤に混合させ耐水性、耐薬品性に優れた硬い塗膜を形成する一液性の硬化型塗材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、耐水性、耐薬品性に優れた一液で硬い塗膜を形成する塗材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水槽タンクや外壁構造物、例えば鋼板金属の表面部分やコンクリートとの接合部など酸化による腐食が生じてくる。酸化を抑えるため、多くは樹脂組成物などによる防食塗膜で表面処理されている。
【0003】
また、防食塗膜を形成するため樹脂と硬化剤からなる塗膜を形成するなど、工夫が施されている塗材が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
塗膜形成の工夫が施されてきているが、温度変化による金属の収縮・膨張など物理的変化や、紫外線、水、薬品性の化学物質(酸、アルカリ、塩水)などが浸潤される箇所では劣化が激しく塗膜の剥離が生じ易い。
【0005】
このため、表面強度や収縮・膨張にも優れた耐水性、耐薬品性の向上を目的とした塗材で、耐久性の高い状態を維持することができ、一液性で乾燥硬化する塗材の実現が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】特開平10−80663公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、ゴム系リサイクルカーボンとウレタンプレポリマー樹脂を主成分とする溶剤の混合物で硬い塗膜を形成した一液性硬化型の耐水性、耐薬品性に優れた塗材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この塗材は、ウレタンプレポリマー樹脂を主成分とする溶剤100重量%に対してゴム系リサイクルカーボンの割合が10〜25重量%を混合した耐水性、耐薬品性効果と付着性、防錆効果を特長とする塗材である。
【発明の効果】
【0009】
上述したように、本発明の塗材は、一液性の硬化型で、硬い塗膜を形成し付着性が高く剥離が生じにくい。また、耐水性、耐薬品性に優れていることから、腐食を生じる箇所に塗布することにより、酸化を抑制さす塗材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ゴム系リサイクルカーボンは、これまでリサイクルが難しかった廃タイヤを非燃焼乾留熱分解して生成したカーボンブラックを微粉砕しフィルターを通したカーボンで真比重1.6、かさ比重0.6でウレタンプレポリマー樹脂を主成分とする溶剤に混入しても凝固することなく混合する。これは、ゴム系リサイクルカーボンは、被膜がないため溶剤となじみやすく分子レベルで変化しやすいことが考えられる。
【0011】
前記カーボンは、粒子径が30μm以下のものが好ましい。粒子径が30μmを超えると粒子径のばらつきや膨張が大きくなり粘度が上昇し付着力が低下することが懸念される
。混合の割合は、前記のとおりウレタンプレポリマー樹脂溶剤100重量%に対して10〜25重量%である。25重量%を超えると付着性や塗布作業性が悪くなる。該カーボンの分析結果は表1の通りである。
【0012】
この耐水性、耐薬品性塗材の塗装作業は、一液性の硬化型塗材であり、金属などの下地処理を行い用途に応じて塗布できる。塗布に先立って塗装面の汚れを拭き取り、火気厳禁、静電気などに注意し、保護手袋などの着用するよう注意を払うことが必要である。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の塗材は、温度変化による膨張・収縮性効果と付着性、防錆作用に優れることから、より耐久性を維持することができる。一液性であり乾燥時間も速く、指触乾燥時間は約30分で十分で、硬化乾燥は約4〜5時間である。塗布方法は、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗りなど用途に応じた方法で塗布できる。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例は、ウレタンプレポリマー樹脂を主成分とする溶剤の100重量%に対して該カーボンを15重量%の混合物とした塗材である。効果は、表1に示す試験結果のとおり、耐水性、耐薬品性に優れた硬い塗膜を形成する要因に、ゴム系リサイクルカーボンは被膜がないため、粒子が微妙に膨張してウレタンプレポリマー樹脂と結合して強固に固まる性質を持っていることが効果を高めている。
【0015】
実施例に示すようにこの発明の塗材は、ウレタンプレポリマー樹脂を主成分にしたことによる耐水性・耐薬品性による効果と、ゴム系リサイクルカーボンの特長である温度変化による膨張・収縮性効果と紫外線および防錆作用効果が考えられる。
【0016】
エコリサイクルカーボンの分析結果を表1に示した。
【0017】
【表1】

【0018】
実施例による試験結果を表2示した。
【0019】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃タイヤを非燃焼乾留熱分解して生成したゴム系リサイクルカーボンとウレタンプレポリマー樹脂を主成分とする溶剤の混合物からなる塗材
【請求項2】
総重量に対するゴム系リサイクルカーボンの割合が10〜25重量%で混合させた請求項1記載の耐水性、耐薬品性に優れた塗材
【請求項3】
前記ゴム系リサイクルカーボンの粒子径が30μm以下である請求項1または2記載の塗材

【公開番号】特開2009−242534(P2009−242534A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89900(P2008−89900)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(308006117)株式会社オーエイチシー高知 (2)
【Fターム(参考)】