説明

耐火二層管と可撓性管の接続構造

【課題】 可撓性管を用いて施工誤差を吸収して良好に耐火二層管に接続することができ、耐火二層管と可撓性管の接続継ぎ目から漏れ出る煙を確実に遮煙することのできる接続構造を提供する。
【解決手段】 耐火二層管1と可撓性管2の接続継ぎ目Mを跨ぐように、耐火二層管1の外管1bと可撓性管2の外周に不燃性のテープ4を巻着させ、この不燃性テープ4の外側から可撓性管2の外周に緊結バンド5を締め付け、さらに耐火二層管1の外周に緊結バンド6を締め付けて接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火二層管と可撓性管の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、耐火二層管の接続構造において、例えば特許文献1に開示されているような環状パッキン材で接続部の隙間を封鎖するようにしている。
【特許文献1】特開2003−247678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、配管業者により先に壁面側等から配管されている耐火二層管に施工誤差が生じているような場合に、便器等を所定位置に設置しようとすると、施工誤差を吸収させるためにゴムジョイント等の可撓性管で両者間を連結する必要があるが、そのような耐火二層管と可撓性管との接続部を封鎖するような目地材は何ら用意されておらず、耐火二層管と可撓性管の接続部の遮煙が良好に行われないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、耐火二層管と可撓性管の接続部分を確実に塞ぐことができて、耐火二層管を通って煙が外へ出るのを良好に防ぐことのできる耐火二層管と可撓性管の接続構造を提供せんとするものであり、その請求項1は、耐火二層管と可撓性管との接続継ぎ目を跨ぐように、耐火二層管の外管と可撓性管の外周に不燃性のテープを巻着させたことである。
また、請求項2は、前記不燃性のテープを、前記可撓性管の外周全域に巻着させたことである。
また、請求項3は、前記不燃性のテープを、前記可撓性管の外周に締め付けられる緊結バンドの下側に配置させたことである。
また、請求項4は、前記耐火二層管に巻いた不燃性のテープの上から該耐火二層管の外周に緊結バンドを締め付けることである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の耐火二層管と可撓性管の接続構造では、耐火二層管と可撓性管との接続継ぎ目を跨ぐように、耐火二層管の外管と可撓性管の外周に不燃性のテープを巻着させたことにより、不燃性テープで接続継ぎ目を塞ぐことができて、耐火二層管を通る煙が外部へ出るのを確実に防ぐことができるものとなる。
【0006】
また、不燃性のテープを、可撓性管の外周全域に巻着させたことにより、より確実に煙が外へ出るのを防ぐことができ、可撓性管の全体が不燃性テープで覆われるため、より耐火性が向上したものとなる。
【0007】
また、不燃性のテープを、可撓性管の外周に締め付けられる緊結バンドの下側に配置させたことにより、不燃性のテープが緊結バンドにより締め付けられるため、不燃性テープの捩れた個所の隙間を通り煙が外へ出ることを確実に防ぐことができるものとなる。
【0008】
また、耐火二層管に巻いた不燃性のテープの上から耐火二層管の外周に緊結バンドを締め付けることとしたため、不燃性テープが緊結バンドにより締め付けられることで、不燃性テープの捩れた個所の隙間を通り煙が外部へ出るのを確実に防ぐことができ、また、熱で接着剤の接着力が弱まった時でも、煙が外部へ出るのを確実に防ぐことができるものとなる。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施例の斜視構成図であり、図2は、要部の縦断面構成図である。
【0010】
先に配管業者により壁面からトイレ内に配管施工されている耐火二層管1は、塩化ビニールからなる内管1aの外周に、隙間を形成してモルタル等の不燃性の材質からなる外管1bが被覆された二層管で構成されている。
このようにトイレ内に耐火二層管1が配管施工された後に、通常はトイレ内の床面や壁面等に仕上げ材が施工されるのであるが、この仕上げ材の施工後に所定位置に便器3を設置しようとすると、位置ズレが生じている場合が多く、このような位置ズレを吸収させるために、ゴムまたは軟質塩化ビニール等で形成されている可撓性管2を用いて、耐火二層管1と便器3の排水管3a間を連結することができる。なお、詳しくは可撓性管2は耐火二層管1の内管1aと接続される。
【0011】
なお、耐火二層管1の内管1aの外周と外管1bの内周間の隙間を通る煙が、耐火二層管1と可撓性管2の接続継ぎ目Mから外部に出るのを防ぐために、この接続継ぎ目Mを跨ぐようにして、耐火二層管1の外管1bと可撓性管2の外周に不燃性のテープ4を巻着する。
この不燃性テープ4は、表面がアルミニウム箔で構成され、アルミニウム箔の裏側にガラスクロスが接着された構造のものを用いることができ、このような不燃性テープ4の裏側に有機接着剤を塗り、接続継ぎ目Mを跨ぐように外側に不燃性テープ4を巻着してゆくことができ、この不燃性テープ4により接続継ぎ目Mから漏れ出る煙を良好に遮煙することができるものとなる。
【0012】
なお、さらに不燃性テープ4の外側から、可撓性管2の外周に緊結バンド5を締め付けて、緊結バンド5により不燃性テープ4を可撓性管2に強く押し付け、不燃性テープ4の捩れが生じている個所の隙間を緊結バンド5で密着状態にすることができ、捩れた個所の隙間を通り煙が外部へ出ることを確実に防ぐことができるものとなる。
即ち、耐火二層管1と可撓性管2との接続部に段差が生じる場合に、この段差の外側に不燃性テープ4を巻着すると、どうしても捩れ部分が生ずることとなるため、この捩れ部分の隙間を緊結バンド5を締め付けて密着状態にすることができるものである。
【0013】
なお、さらには、不燃性テープ4の外側の耐火二層管1の外周にも緊結バンド6を締め付けて、緊結バンド6により、不燃性テープ4の捩れ個所の隙間を通り煙が外部へ出るのを確実に防ぐことができる。
なお、不燃性テープ4を巻着する際に使用する有機接着剤の接着力が熱で弱まった時でも、このように緊結バンド6で締め付けてあれば、煙が外側へ漏れることを確実に防ぐことができる。
なお、便器3の排水管3aの外周においても、可撓性管2の外周に緊結バンド7を締め付けて、排水管3aと可撓性管2の連結状態を確実なものにしておくことができるものである。
【0014】
次に、図3の斜視図で、また図4の断面図で示すものは、第2実施例であり、本例では、第1実施例のように耐火二層管1と可撓性管2の接続継ぎ目Mの外周に不燃性テープ4aが接着剤を介して巻着されるとともに、さらに、この不燃性テープ4aの右端側に重ね合わせて別の不燃性テープ4bを巻着したものであり、この不燃性テープ4bは、可撓性管2の外周全域に巻着されて、便器3側に至るまで巻着される。
【0015】
この不燃性テープ4bの右端側、即ち排水管3aの外周側では、不燃性テープ4bの外側より緊結バンド7が締め付けられて、緊結バンド7により不燃性テープ4bの捩れ個所の隙間が蓋されて、煙の漏れ及び接着剤の漏れを確実に防ぐことができるものとなる。
さらに、左側の不燃性テープ4aの外周側には、第1実施例と同様に、可撓性管2側の外周に緊結バンド5が締め付けられ、さらに耐火二層管1の外周側に緊結バンド6が締め付けられて、接続継ぎ目Mから漏れ出る煙を確実に遮煙することができるものである。
【0016】
なお、不燃性テープ4bは、2枚重ね合わせて用いる他、3枚重ね,4枚重ねであっても良く、良好に接続部位の段部の捩れを無くするように重ね合わせて、より確実な遮煙性を確保することができるものである。
【0017】
なお、第1実施例及び第2実施例では、直管状の可撓性管2を用いているが、図5に示すように、L字状のL状可撓性管2aを用いて、耐火二層管1と便器3の排水管3aを接続する場合もあり、このような場合においても、L状可撓性管2aと耐火二層管1の接続継ぎ目の外周を跨ぐようにして、その外周に不燃性テープ4を巻着し、さらに緊結バンド5,6で締め付けて、接続継ぎ目Mから漏れ出す煙を確実に遮断して遮煙性を高めることができるものである。
【0018】
なお、発明者らは、耐火二層管1と可撓性管2の接続部分の遮煙性能について試験を実施し、その有効性を確認した。
試験は、図6に示すような試験装置を構成させて、便器3の鉢部3bの内部に封水用の水を張り、エアポンプ11から排水管3a内に圧力600Paの空気を送り込み、この状態で15分間保持した後、水槽10内に排水管3aが水没するまで徐々に水を張り、排水管3aが水没して3分間経過するまでの間に、耐火二層管1と可撓性管2(2a)との接続部分から気泡が漏れ出さないかどうかを目視により確認した。なお、圧力600Paは便器3の封水を越えて空気が外部に漏れ出さない限度の圧力とし、放置時間15分は、給排水衛生設備基準の汚水・雑排水通気系統の煙試験の最小保持時間を採用した。
【0019】
その結果、図1及び図2に示すような、ストレート状の可撓性管2と耐火二層管1の接続部分にガラスクロス製の不燃性テープ4を巻着させた構造では、気泡が確認できなかった。
また、図5に示すようなL状可撓性管2aと耐火二層管1の接続部分にガラスクロス製の不燃性テープ4を巻着した構造における試験においても、気泡が確認できなかった。
さらに比較のために、L状可撓性管2aと耐火二層管1の接続部分に不燃性テープ4を巻かない状態で、同様な試験を行った結果、気泡が確認された。
これにより、不燃性テープ4を巻いたものでは気泡が発生せず、十分な遮煙性が備えられていることが確認できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施例の可撓性管を用いて耐火二層管と便器を接続した状態の斜視構成図である。
【図2】図1の縦断面拡大構成図である。
【図3】第2実施例の接続状態を示す外観斜視図である。
【図4】図3の縦断面拡大構成図である。
【図5】L字状の可撓性管を用いて耐火二層管と便器を接続した状態の斜視構成図である。
【図6】耐火二層管と可撓性管の接続部分に不燃性テープを巻いた接続構造の遮煙性を確認する試験装置の概略斜視構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 耐火二層管
1a 内管
1b 外管
2 可撓性管
2a L状可撓性管
3 便器
3a 排水管
4,4a,4b 不燃性テープ
5,6,7 緊結バンド
M 接続継ぎ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火二層管と可撓性管との接続継ぎ目を跨ぐように、耐火二層管の外管と可撓性管の外周に不燃性のテープを巻着させたことを特徴とする耐火二層管と可撓性管の接続構造。
【請求項2】
前記不燃性のテープを、前記可撓性管の外周全域に巻着させたことを特徴とする請求項1に記載の耐火二層管と可撓性管の接続構造。
【請求項3】
前記不燃性のテープを、前記可撓性管の外周に締め付けられる緊結バンドの下側に配置させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐火二層管と可撓性管の接続構造。
【請求項4】
前記耐火二層管に巻いた不燃性のテープの上から該耐火二層管の外周に緊結バンドを締め付けることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の耐火二層管と可撓性管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−97802(P2006−97802A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285529(P2004−285529)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000126609)株式会社エーアンドエーマテリアル (99)
【Fターム(参考)】