説明

耐火補強体製造装置

【課題】包袋の封止性を悪化させることなく当該包袋とシート状物とを積層して耐火補強体を形成する。
【解決手段】シート状に形成された第1耐火層形成材11を送り出すシート供給手段2と、粉状物を封入する中空部12aと封止部12bとを長さ方向に交互に連続させることで帯状に包袋を連続させてなる第2耐火層形成材12を、シート供給手段2から送り出される第1耐火層形成材11と重なり合った状態で当該第1耐火層形成材11と同じ方向に送り出す包袋供給手段3と、シート供給手段2から送り出される第1耐火層形成材11と包袋供給手段3から送り出される第2耐火層形成材12とを重ね合わせた状態で点着する点着手段4と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火補強体製造装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、建物の特に軒裏における耐火性能を向上させるのに好適な耐火補強体の製造装置の構造に冠する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建物においては、隣家の火災による延焼・類焼の抑制・防止を目的として、隣家に対向する軒についても耐火性能が要求され、軒の裏に耐火性能を有するけい酸カルシウム板等の成形板(軒裏天井板)を敷設する軒裏天井構造が公知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)においては、建築基準法により定められる耐火性能以上の耐火性能を住宅に付与することについての規定が盛り込まれる等、住宅に対する耐火性能向上の要請は近年さらに増してきており、軒裏天井の構造についても上記建築基準法で定められている所定時間の耐火性能を凌ぐ耐火性能を付与することが望まれている。
【0004】
そこで、軒裏に不燃材や難燃材等の耐火メンバーを積層することによって所望の耐火性能を得ることが考えられるが、施工性を考慮すると、これら各耐火メンバーを予め積層した耐火補強体を形成しておき、当該耐火補強体を敷設することでこれら各耐火メンバーを一度に軒裏に設けることが望ましい。また、この場合、耐火メンバーとなる素材は種々存在するが、シート状物や粉状物を封入した包袋を備える構成も考えられる。さらに、シート状物と包袋とを積層する場合、例えば特許文献1に示す如く、粉状物を密封する一対のシートのうち、一方のシートを内側と外側の二重シート構成としておき、当該粉状物を密封する製袋過程でシート状物も併せて積層してしまうことが考えられる。
【特許文献1】実開平3−8182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示の構成においては、一方のシートの内側シートと他方のシートを熱融着により結合して粉状物を封入する包袋を形成することとなるが、外側のシートが耐火メンバーであることに鑑みると、当該外側シートを介しては内側シートに充分な熱が伝わり難く、これによって、内側シートと他方のシートとの熱融着状態が弱くなり、包袋が破れてしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、包袋の封止性を悪化させることなく当該包袋とシート状物とを積層して耐火補強体を形成することができる耐火補強体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。そもそも、耐火メンバーを融着させようとする場面では、特許文献1におけるように熱融着することは場合によっては好適な融着手段といい難いことがある。この点、好適な手段について検討を重ねた本発明者は、かかる課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。
【0008】
本発明にかかる耐火補強体製造装置はこのような知見に基づくものであり、シート状に形成された第1耐火層形成材を送り出すシート供給手段と、粉状物を封入する中空部と封止部とを長さ方向に交互に連続させることで帯状に包袋を連続させてなる第2耐火層形成材を、前記シート供給手段から送り出される第1耐火層形成材と重なり合った状態で当該第1耐火層形成材と同じ方向に送り出す包袋供給手段と、前記シート供給手段から送り出される第1耐火層形成材と前記包袋供給手段から送り出される第2耐火層形成材とを重ね合わせた状態で点着する点着手段と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
これによれば、包袋からなる第2耐火層形成材とシート状に形成される第1耐火層形成材とが重なり合った状態で点着手段に供給され、当該点着手段でこれら両耐火層形成材が点着されることでこれら両耐火層形成材が一体となった耐火補強体が形成されることとなる。かかる手順においては、第2耐火層形成材が当初より包袋として形成された状態で供給され、当該第2耐火層形成材と第1耐火層形成材とを連結する構成となっているため、第1耐火層形成材と第2耐火層形成材とを連結する工程が第2耐火層形成材を構成する包袋の封止状態を悪化させる事態を回避することができるのである。
【0010】
また、前記シート供給手段は、前記第1耐火層形成材を巻回して形成されるロール体を回転自在に収容する第1収容部と、該第1収容部から前記点着手段に向けて第1耐火層形成材を伸ばした状態で供給するステージとを備えていることが好ましい。
【0011】
これによれば、第1耐火層形成材の容量を可及的小さくした状態で収容することができると共に、ステージ上に第1耐火層形成材を引き伸ばすことで当該第1耐火層形成材の巻き癖も解消され、点着手段での点着を的確に行うことができる。
【0012】
前記包袋供給手段は、前記帯状の第2耐火層形成材を折り畳んだ状態で収容する第2収容部と、該第2収容部から前記点着手段に向けて第2耐火層形成材の移動を案内する案内部と、該案内部に案内されて移動する第2耐火形成材の移動抵抗を緩和する抵抗緩和手段と、を備えていることが好ましい。
【0013】
これによれば、第2耐火層形成材の容量を可及的小さくした状態で収容することができる。また、第2耐火層形成材は包袋を帯状に呈して形成されるものであるため、当該第2耐火層形成材を点着手段に引き込む引込み力は大きなものとなり、また、引込み力が大きくなることにより引込み方向を安定させる必要が生じることとなるが、上述の如く抵抗緩和手段が存在することによって引込み力を低下させることができると共に、案内部が存在することによって引き込み方向も安定させることができるものとなり、第2耐火層形成材を適正に点着手段に供給することができることとなるのである。
【0014】
また、前記第2収容部は、複数の第2耐火層形成材を幅方向に整列させた状態で収容可能に形成されており、前記案内部は、前記点着手段の直前まで隣り合う第2耐火層形成材どうしを上下にずらした状態で案内する上下離隔手段と、前記収容部から前記点着手段に至るまでに隣り合う第2耐火層形成材の幅方向端部を互いに重ね合わせて全体の幅を調整する幅調整手段とを備えていることが好ましい。
【0015】
また、これによれば、隣接する第2耐火層形成材の端部間を互いにオーバラップさせた状態で第1耐火層形成材に点着させることができ、各第2耐火層形成材間の隙間をなくすことによって、耐火補強体の耐火性能の向上を図ることができるのである。
【0016】
また、抵抗緩和手段は、前記収容部から前記点着手段に向けて下り勾配に形成されるスロープを備えていることが好ましい。
【0017】
これによれば、スロープ上の第2耐火層形成材に収容部から点着手段に向かう力を自重に起因させて付与することができ、当該第2耐火層形成材を点着手段に向けて引き込む力を可及的低減することができる。
【0018】
また、前記点着手段は、前記第1耐火層形成材と第2耐火層形成材とをステープルにより点着するステープル処理装置と、当該ステープル処理装置に押圧力を付与する押圧力付与手段とを備えていることが好ましい。
【0019】
これによれば、第1耐火層形成材と第2耐火層形成材とを強固に点着することができ、かかる構成からなる耐火補強体を軒裏に敷設する施工を行う場合にもこれらが容易に外れてしまう虞はなく、施工性を向上させることができる。
【0020】
また、前記押圧力付与手段は、前記ステープル処理装置を押圧するエアシリンダ装置と、該エアシリンダ装置にエアを送り込むエア供給装置とを備えていることが好ましい。
【0021】
形成される耐火補強体の幅や長さによっては、きわめて多数回に亘ってステープル処理装置を操作しなければならず、手動で行うとすると著しく労力を要するところ、上記によれば、きわめて小さい労力でステープル処理装置を操作することができ、作業の効率化を図ることができる。
【0022】
また、前記点着手段には、ステープル処理装置の下流側となる位置に、前記第1耐火層形成材と第2耐火層形成材の点着位置を確認するための確認手段が設けられていることが好ましい。
【0023】
これによれば、確認手段で位置調整を行った後にステープル処理装置を操作することができ、きわめて正確な位置で両耐火層形成材を点着することが可能となるのである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の耐火補強体製造装置によれば、包袋の封止性を悪化させることなく当該包袋とシート状物とを積層して耐火補強体を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1〜図7に本発明にかかる耐火補強体製造装置の実施形態を示す。耐火補強体製造装置1は、耐火補強体、特に住宅の軒裏のおける耐火性能を向上させる耐火補強体を製造する装置である。この耐火補強体製造装置1を構成するシート供給手段2、包袋供給手段3、点着手段4などは、基台5上あるいはその周辺に設けられている(図1等参照)。
【0027】
耐火補強体10は、耐火補強シート(第1耐火層形成材)11と耐火袋材(第2耐火層形成材)12とが重ね合わされてなる2層構造となっている。本実施形態の耐火補強体製造装置1は、これら耐火補強シート11と耐火袋材12とを個別に供給し、自動的に積層した状態で点着手段4で点着することにより、所望の状態で一体化することを可能とする装置である。
【0028】
耐火補強シート11は、例えばアルミニウムなど耐火性を有する材質からなり、耐火袋材12と積層されるシート状の部材である。本実施形態では、巻回されたアルミニウムシートのロール体を、当該ロール体を回転可能に支持するシート供給手段2に設置し、作業者による作業に伴い自由に引き出されるようにしている(図1参照)。このようにロール状とした耐火補強シート11を採用することにより、当該耐火補強シート11の容量を可能な限り小さくした状態で収容することが可能となる。
【0029】
耐火袋材12は、粉状物を封入する中空部12aと封止部12bとを長さ方向に交互に連続させると共に幅方向の一方の縁部にも封止部となる耳部(12c)を有し、包袋を帯状に連続させてなる耐火耐熱性の部材である(図5等参照)。封止部12bは、粉状物が長さ方向に偏るのを抑止する。中空部12aに封入される粉状物としては、例えば水酸化アルミニウムなどのような耐火性に優れる材質が好適である。このような帯状の耐火袋材12は、封止部12bで折り返された状態で折り畳まれ、第2収容部31に収容される(図1参照)。本実施形態では、この耐火袋材12を幅方向に3列並べた状態で第2収容部31に収容し、平行に送り出されるようにしている。
【0030】
シート供給手段2は、耐火補強シート11を供給するための手段である。例えば本実施形態のシート供給手段2は、第1収容部21とステージ22とを備えた構成となっている。これらのうち、第1収容部21は、耐火補強シート11のロール体を回転自在な状態で収容するもので、特に詳しい図示はしていないが、耐火補強シート11を回転可能に支持する支持棒などを備えている。回転中の耐火補強シート11に抵抗を与えて余剰回転を抑えるための装置を必要に応じて併設してもよい。なお、本実施形態では「第1収容部21」と称呼しているが、ここでいう「収容」は耐火補強シート11のロール体が耐火袋材12と接触しない状態で耐火補強体製造装置1において回転可能な状態で設置されていればよく、凹部やスペース内に完全に収容された状態となっていることまでは要しない。
【0031】
また、シート供給手段2のステージ22は、上述の第1収容部21から点着手段4に向けて耐火補強シート11を伸ばした状態で供給するためのものである。本実施形態のステージ22は基台5上であって後述する3本のレール321,322,323のさらに下側に形成されており、耐火補強シート11を一面に広げて伸ばした状態で案内する。このようなステージ22によれば、当該耐火補強シート11の巻き癖を解消することができるから、その後の点着手段4において点着をより的確に行うことが可能となる。
【0032】
包袋供給手段3は、耐火袋材12を、シート供給手段2から送り出される耐火補強シート11と積層された状態で当該耐火補強シート11と同じ方向に送り出すものである。例えば本実施形態の包袋供給手段3は、第2収容部31と、案内部32と、抵抗緩和手段33とで構成されている(図1参照)。
【0033】
第2収容部31は、折り畳まれた状態の耐火袋材12を収容するためのスペースを形成している。上述のように、本実施形態の第2収容部31はこれら耐火袋材12を幅方向に3列整列させた状態で収容することが可能となっている。
【0034】
案内部32は、第2収容部31に収容されている耐火袋材12を点着手段4まで案内する部材である。本実施形態では、このような案内部32を上下離隔手段32aと幅調整手段32bとで構成し、整列した状態の3列の耐火袋材12のうち隣り合う袋材どうしが、点着手段4にて点着されるまでに幅方向端部を互いに重ね合わせた状態となるようにしている。
【0035】
案内部32の上下離隔手段32aは、点着手段4の直前まで隣り合う耐火袋材12どうしを上下にずらした状態で案内する。また、案内部32の幅調整手段32bは、第2収容部31から点着手段4に至るまでに隣り合う耐火袋材12の幅方向端部を互いにオーバラップさせて全体の幅を調整する。具体的には、上下離隔手段32aは、幅方向3列に配列された耐火袋材12のそれぞれに対応した3本のレール321,322,323からなり、そのうち、真ん中のレール321のみが、両端の2本のレール322,323よりも高くなるように配置されている(図3等参照)。さらに、これら3本のレール321,322,323は全体が僅かにテーパ状となるように形成されており、点着手段4に近付くにつれて両端のレール322,323が真ん中のレール321に徐々に寄っていく構造が上述の幅調整手段32bを構成している(図4、図5等参照)。したがって、本実施形態の案内部32によれば、耐火袋材12が点着手段4に至るまでの間に、3列の耐火袋材12のうち隣り合う袋材どうしの幅方向端部を互いに重ね合わせた状態、より具体的には、少なくとも各耐火袋材の耳部12cが隣り合う耐火袋材の中空部に重なり合う状態とすることができる(図6、図7参照)。
【0036】
抵抗緩和手段33は、上述の案内部32に案内されて移動する耐火袋材12の移動抵抗を緩和するためのものである。このような抵抗緩和手段33は、例えば、レール321,322,323に至るまでの経路の表面の一部又は全部を動摩擦抵抗の小さいシート等によって覆うことで構成することができる。レール321,322,323に至るまでの経路については特に詳しく説明していないが、該経路は、例えば案内部3から手前側(点着手段4とは反対側)に突出した表面が滑らかなガイド棒、当該ガイド棒に取り付けられるローラ、あるいはガイド棒からレール321,322,323に至るまでの間に配置されたガイドなどによって構成することができる。
【0037】
上述のように、本実施形態の耐火袋材12は、粉状物が封入された中空部12aとそうでない封止部12bとが帯状に連続する構造であることから、当該耐火袋材12を点着手段4まで引き込む際に作業者に必要とされる引込み力は一般に大きなものとなり、また、引込み力が大きくなることにより引込み方向を安定させる必要が生じる。この点、本実施形態では抵抗緩和手段33を設けることにより、引込みに要する力を低下させ、尚かつ、上述の案内部32が存在することによって引込み方向を安定させることもできる。このため、本実施形態の耐火補強体製造装置1によれば耐火袋材12を点着手段4により的確に供給することができる。
【0038】
また、さらに別の抵抗緩和手段33として、第2収容部31から点着手段4に向けて下り勾配に形成されるスロープ33aを耐火補強体製造装置1に設けることも好ましい。例えば本実施形態では、レール321,322,323を下り勾配とすることによってスロープ33aを形成している。あるいは、レール321,322,323以降、点着手段4(または作業者の手元)に至るまでを下り勾配としてスロープ33aを形成することもできる。これらのようなスロープ33aによれば、当該スロープ33a上に位置する耐火袋材12は、自重に起因して第2収容部31から点着手段4に向かう力を得ることができ、当該耐火袋材12を点着手段4に向けて引き込む際に作業者に要求される力を低減させることができる。
【0039】
点着手段4は、シート供給手段2から送り出される耐火補強シート11と、包袋供給手段3から送り出される耐火袋材12とを積層した状態のまま点着するものとして設けられている。例えば本実施形態の点着手段4は、耐火補強シート11と耐火袋材12とをステープルにより点着するステープラー(ステープル処理装置)41と、このステープラー41に押圧力を付与する押圧力付与手段42としてのエアシリンダ装置42aと、該エアシリンダ装置42aにエアを送り込むエア供給装置42bとを備えた構成となっている。
【0040】
ステープラー41は、耐火補強シート11と耐火袋材12とを重ね合わせて積層した状態でステープルにより留め合わせて連結する装置である。例えば本実施形態では、4個のステープラー41を耐火補強シート11の幅方向に並べて配置し、これらを同時に動作させることによって耐火補強シート11と耐火袋材12とを一度に4箇所で留め合わせるようにしている(図3等参照)。
【0041】
エアシリンダ装置42aは、上述のステープラー41に押圧力を付与する装置として設けられているもので、例えば本実施形態では、4個のエアシリンダ装置42aを4個のステープラー41のそれぞれに対応した位置に配置している(図1、図3等参照)。これらエアシリンダ装置42aは、エア供給装置42bからエアが供給されると上方からステープラー41を押圧して動作させ、耐火補強シート11と耐火袋材12とをステープルによって点着させる。特に図示していないが、これらエア供給装置42bを動作させるためのスイッチは、例えば作業者の手元に配置した手動式のスイッチ、あるいは作業者の足元に配置した足踏み式のペダルスイッチなどによって構成されている。なお、本実施形態ではステープラー41およびエアシリンダ装置42aが4個ずつ配置されている場合を例示しているがこれらの個数が4に限られるものではないことはいうまでもない。
【0042】
このような点着手段4によれば、耐火補強シート11と耐火袋材12とをステープルで強固に点着して一体化させた耐火補強体10を形成することができることから、当該耐火補強体10を軒裏に敷設する施工を行う場合にも両者が容易に外れてしまうおそれもなく、施工性を向上させることができる。また、上述したように、本実施形態においては、耐火袋材12の隣り合う幅方向端部どうしを案内部32において互いに重ね合わせた状態としており、点着手段4は、耐火補強シート11と耐火袋材12とを連結・一体化してこのように幅方向端部どうしが重なり合った状態を維持する。なお、本実施形態では、耐火袋材12の中空部12を避け、封止部12bの位置に合わせてステープルを点着するようにしている。
【0043】
また、点着手段4には、ステープラー41の下流側となる位置に、耐火補強シート11と耐火袋材12との点着位置を確認するための確認手段43が設けられていることが好ましい。この確認手段43は、作業者が耐火補強シート11および耐火袋材12を引き込む際、点着位置を容易に位置合わせできるものであればより好ましい。例えば本実施形態では、基台5を、ステープラー41による点着位置から作業者側の角部5aまでの距離が、耐火袋材における封止部12bと封止部12bとの間隔の整数倍となるように形成している(図1参照)。この耐火補強体製造装置1において、作業者は、耐火補強シート11および耐火袋材12を引き込む際、封止部12を当該基台5の角部5aに位置合わせした状態まで引き込み、そこで停止させればよい。こうした場合、ステープラー41の真下に他の封止部12bが位置した状態となっており、そのままステープラー41を動作させれば当該封止部12bにステープルを点着することができる。このように、本実施形態では角部5aを利用した確認手段43によって位置調整を行った後にステープラー41を操作することができ、耐火補強シート11と耐火袋材12とをきわめて正確な位置で両耐火層形成材を点着することが可能となる。また、耐火袋材12においては粉状物が封入される中空部12aよりも封止部12bの方が曲がりやすい構造であることから、当該封止部12bを角部5aにあてがうことで点着位置を確認することができる本実施形態では確認に要する手間が少なく、耐火補強体10の製造を効率よく行うことが可能である。
【0044】
基台5の奥側(作業者側)には耐火補強体収容部6が適宜配置されている(図1参照)。上述のように耐火補強シート11と耐火袋材12とが点着されてなる耐火補強体10は、作業者が引き込むとこの耐火補強体収容部6に折り畳まれた状態で収容される(図1参照)。
【0045】
ここまで説明したように、本実施形態の耐火補強体製造装置1においては、当初から包袋が連続した構造の耐火包袋12を供給し、耐火補強シート11と連結させることによって一体化した耐火補強体10を得ることができる。しかも、本実施形態では、耐火包袋12と耐火補強シート11とを点着して連結する際、耐火包袋12の包袋(中空部12a)の封止状態を悪化させるという事態を招くことがない。また、各耐火層形成材の長さが許す範囲で耐火補強体を帯状に長く形成することができるばかりでなく、耐火補強体としてこれら両耐火層形成部材を一体化させた後に当該耐火補強体を適宜位置で切断することも可能であって、これによって、軒の長さに応じて耐火補強体を形成することが可能となる。
【0046】
また、形成される耐火補強体10の幅や長さによっては、ステープラー41等による点着・連結処理操作をきわめて多数回に亘って行わなければならず、これを手動で行うとすると著しく労力を要するところであるが、本実施形態の耐火補強体製造装置1によればきわめて少ない労力でステープル処理装置を操作することができ、作業の効率化を図ることができる。
【0047】
加えて、本実施形態の耐火補強体製造装置1では、耐火袋材12の隣接する端部間を互いにオーバラップさせた状態で耐火補強シート11に点着させることができる。このように耐火袋材12の隣接する中空部12a間の隙間をなくすことにより、耐火補強体10の耐火性能を従来よりも向上させることが可能である。
【0048】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した各実施形態では、耐火袋材12を幅方向に3列並べた状態で第2収容部31に収容し、平行に送り出して耐火補強シート11と一体化させる場合を例示したが、レールの本数や構造を適宜変更することにより、3列以外の場合にも対応して本発明を適用することが当然に可能である。
【0049】
また、上述の実施形態では、耐火補強シート11と耐火袋材12とを点着して一体化させる場合の具体例としてステープルを利用する場合を説明したが、これは点着の好適な一例にすぎない。ステープルの他にも、例えば接着剤を利用した点着、粘着シートを利用した点着、さらには熱融着を利用した点着を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、建物の特に軒裏に適用される耐火補強体を製造するための装置に適用して好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態における耐火補強体製造装置の一例を示す側面図である。
【図2】耐火補強体製造装置の平面図である。
【図3】図1に示した耐火補強体製造装置を案内部側からみた図である。
【図4】案内部を構成するレールが全体としてテーパ状に形成されている様子をわかりやすく示す平面図である。
【図5】案内部に案内されるうち、3列の耐火袋材のうち隣り合う袋材どうしの幅方向端部が互いに重ね合った状態となる様子を示す平面図である。
【図6】図5中のVI-VI線における送り方向からみた耐火袋材の様子を示す図である。
【図7】図5中のVII-VII線における送り方向からみた耐火袋材の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…耐火補強体製造装置、2…シート供給手段、3…包袋供給手段、4…点着手段、10…耐火補強体、11…耐火補強シート(第1耐火層形成材)、12…耐火袋材(第2耐火層形成材)、12a…中空部、12b…封止部、12c…耳部、21…(シート供給手段の)第1収容部、22…ステージ、31…第2収容部、32…案内部、32a…上下離隔手段、32b…幅調整手段、33…抵抗緩和手段、33a…スロープ、41…ステープラー(ステープル処理装置)、42…押圧力付与手段、42a…エアシリンダ装置、42b…エア供給装置、43…確認手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成された第1耐火層形成材を送り出すシート供給手段と、
粉状物を封入する中空部と封止部とを長さ方向に交互に連続させることで帯状に包袋を連続させてなる第2耐火層形成材を、前記シート供給手段から送り出される第1耐火層形成材と重なり合った状態で当該第1耐火層形成材と同じ方向に送り出す包袋供給手段と、
前記シート供給手段から送り出される第1耐火層形成材と前記包袋供給手段から送り出される第2耐火層形成材とを重ね合わせた状態で点着する点着手段と、
を備えていることを特徴とする耐火補強体製造装置。
【請求項2】
前記シート供給手段は、前記第1耐火層形成材を巻回して形成されるロール体を回転自在に収容する第1収容部と、該第1収容部から前記点着手段に向けて第1耐火層形成材を伸ばした状態で供給するステージとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の耐火補強体製造装置。
【請求項3】
前記包袋供給手段は、前記帯状の第2耐火層形成材を折り畳んだ状態で収容する第2収容部と、該第2収容部から前記点着手段に向けて第2耐火層形成材の移動を案内する案内部と、該案内部に案内されて移動する第2耐火形成材の移動抵抗を緩和する抵抗緩和手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐火補強体製造装置。
【請求項4】
前記第2収容部は、複数の第2耐火層形成材を幅方向に整列させた状態で収容可能に形成されており、前記案内部は、前記点着手段の直前まで隣り合う第2耐火層形成材どうしを上下にずらした状態で案内する上下離隔手段と、前記第2収容部から前記点着手段に至るまでに隣り合う第2耐火層形成材の幅方向端部を互いに重ね合わせて全体の幅を調整する幅調整手段とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の耐火補強体製造装置。
【請求項5】
前記抵抗緩和手段は、前記第1収容部または第2収容部から前記点着手段に向けて下り勾配に形成されるスロープを備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の耐火補強体系性装置。
【請求項6】
前記点着手段は、前記第1耐火層形成材と第2耐火層形成材とをステープルにより点着するステープル処理装置と、当該ステープル処理装置に押圧力を付与する押圧力付与手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の耐火補強体製造装置。
【請求項7】
前記押圧力付与手段は、前記ステープル処理装置を押圧するエアシリンダ装置と、該エアシリンダ装置にエアを送り込むエア供給装置とを備えていることを特徴とする請求項6に記載の耐火補強体製造装置。
【請求項8】
前記点着手段には、ステープル処理装置の下流側となる位置に、前記第1耐火層形成材と第2耐火層形成材の点着位置を確認するための確認手段が設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の耐火補強体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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