説明

耐火間仕切り壁の構造とその施工方法

【課題】 建物の天井下面を形成しているデッキプレートの凹凸下面と建物内を仕切る耐火性を有する間仕切り板の上端面との間に形成された開口部を、簡単な構造によって火災発生時に確実に閉塞することができる耐火間仕切り壁を提供する。
【解決手段】
天井1の凹凸下面を形成しているデッキプレート1aにおける下方に向けて突出した凸部1a2 の下面に耐火性を有する間仕切り板3の上端面を密接させることにより、この上端面でデッキプレート1aの凹部1a1 の開口下端を閉止して凹部1a1 と該上端面とで囲まれた空間部を間仕切り板3で仕切られた室内空間B、C間に連通する開口部4に形成し、この開口部4の内面に、火災発生時に熱膨脹して該開口部4を閉塞する発泡耐火層5'を形成する熱膨脹性耐火シート5を取り付けてあり、常態においては上記開口部4を換気口としての機能を発揮させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の空間を仕切る耐火間仕切り壁の構造とこの耐火間仕切り壁の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物内を複数の空間に仕切るには、建物内の所望部分における天井面と床面との対向面間に間仕切り板を配設することにより行われ、また、耐火構造とするには耐火性を有する間仕切り板を使用しているが、建物の天井下面が凹凸形状のデッキプレートによって形成されている場合には、間仕切り板をデッキプレートの凹凸面方向に向けた状態にしてその上端面を天井下面に当接させると、間仕切り板の上端面がデッキプレートの凸部の下面に密接するが、凹部に対してはこの凹部の下向き開口端を該間仕切りの上端面で閉止するだけで、閉止された凹部内の空間部によって間仕切り板の厚み方向に貫通した開口部が形成される。
【0003】
このように、間仕切り板の上端側にデッキプレートの凹部による開口部を形成しておくと、間仕切り板によって仕切られた室内間の換気をこの開口部を通じて行うことができるが、火災が発生した時に、この開口部を通じて火炎や煙が一方の室内から他方に室内に侵入して短時間で類焼するといった問題点がある。
【0004】
このため、例えば、特許文献1に記載されているように、間仕切り板の上端面と天井下面のデッキプレートにおける凹部とによって囲まれた上記開口部に、鋼製のカバー板と、このカバー板に一体的に取り付けられ、且つ、上記開口部の断面形状に略等しい断面形状を有するグラスウール、ロックウール等を主材とした柔軟性に富んだ耐火ブロックとからなるブロック部材における該耐火ブロックを密嵌させることによって開口部をこの耐火ブロックによって閉塞すると共に、鋼製カバーの外周面と開口部の内周面との間の隙間に耐火性を有する接着剤を充填することによって耐火ブロックを開口部に密封状態で固定してなる耐火間仕切り壁が開発されている。
【0005】
さらに、特許文献2には、上記天井下面を形成しているデッキプレートの下面に、角棒形状の壁体用上部ランナーを固設し、この壁体用上部ランナーと上記デッキプレートの凹部とによって形成された上記開口部内に、セラミック繊維やロックウール或いはアスベスト等の無機質繊維を集束または積層して弾性を持たせた芯材を外被材によって被覆してなり、且つ上記開口部よりも大きな形状に形成してなる弾性を持たせた耐火部材を圧縮状態で挿入配置し、しかるのち、この壁体用上部ランナーの下面と床面との間に耐火性を有する間仕切り板を施工する間仕切り方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3306008号公報
【特許文献2】特開2002−332707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載されたいずれの耐火間仕切り壁においても、天井下面のデッキプレートの凹部と間仕切り板の上端面又は壁体用上部ランナーとの間に形成される開口部を耐火ブロックや耐火部材(以下、耐火部材とする)によって閉塞するものであるから、開口部を閉塞する耐火ブロック等の形状、大きさを開口部の形状、大きさに適合するように形成するには費用が高くつくばかりでなく、開口部に施工するには手間を要して作業が煩雑化する虞れがあり、また、開口部に耐火部材を挿入してその弾性力により開口部の内面に密着させても、開口部の隅角部にまで充填させることが困難であって、接着剤等によりその隙間を完全に閉塞しておく作業も必要となるといった問題点があった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡単な構造によって、火災発生時に建物の天井下面を形成しているデッキプレートと、建物内を仕切る耐火性を有する間仕切り板の上端面との間の空間部によって形成された開口部を通じて火炎や煙等が隣接する室内空間に侵入して類焼するのを防止することができる耐火間仕切り壁の構造と、この耐火間仕切り壁を容易に施工することができる耐火間仕切り壁の施工方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の耐火間仕切り壁の構造は、請求項1に記載したように、下面をデッキプレートによる凹凸面に形成したコンクリート製の天井を有する建物内を、耐火性を有する間仕切り板によって区画してなる耐火間仕切り壁において、上記デッキプレートの下面とこの下面に対向している間仕切り板の上端面との少なくとも一方に、火災発生時に熱膨脹して、上記デッキプレートの下面と間仕切り板の上端面との間の空間部によって形成された開口部を閉塞する熱膨脹性耐火シート材を取り付けてなる構造を有している。
【0010】
このように構成した耐火間仕切り壁の構造において、請求項2に係る発明は、耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製の天井下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向け、且つ、その上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に密接させた状態に配設してあり、この間仕切り板によって区画された室内空間同士を、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によって形成される開口部を通じて連通させていると共にこの開口部を形成している上記デッキプレートの凹部の内面とデッキプレートの上端面との少なくとも一方に熱膨脹性耐火シート材を取り付けていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向け、且つ、その上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に密接させてなる耐火間仕切り壁において、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によって形成された開口部を熱膨脹性耐火シートによって密閉していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向け、且つ、その上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に密接させてなる耐火間仕切り壁において、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によって形成される開口部を、この開口部の開口端に対向する上記間仕切り板の上端部における少なくとも一方の壁面に取り付けた耐火シート又は耐火パネルにより閉塞していることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、建物の側壁と間仕切り板との間の空間部の耐火構造であって、耐火性を有する上記建物の側壁に、この側壁の内壁面から間隔を存して耐火性を有する間仕切り板を配してなる耐火間仕切り壁において、間仕切り板の側端面とこの側端面に対向する上記側壁の内壁面との間の上記間隔部を耐火シート又は耐火パネルによって閉塞していることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、耐火間仕切り壁の施工方法であって、下面をデッキプレートにより凹凸面に形成したコンクリート製の天井を有する建物内におけるこの天井下面と床面との間に耐火性を有する間仕切り板を配設して耐火間仕切り壁を形成したのち、天井下面と間仕切り板の上端面との少なくとも一方に、火災発生時に熱膨脹して上記天井下面と間仕切り板の上端面との間の空間部によって形成された開口部を閉塞する熱膨脹性耐火シート材を取り付けることを特徴とする。
【0015】
このように構成した耐火間仕切り壁の施工方法において、請求項7に係る発明は、耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向けた状態にしてその上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に隙間なく密接させることにより、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によってこの間仕切り板によって区画された室内空間同士を連通させる開口部を形成し、この開口部を形成した上記デッキプレートの凹部の内面とデッキプレートの上端面とのいずれか一方に熱膨脹性耐火シート材を取り付けることを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は上記耐火間仕切り壁の施工方法とは別な施工方法であって、耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向けた状態にしてその上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に隙間なく密接させることにより、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によってこの間仕切り板によって区画された室内空間同士を連通させる開口部を形成したのち、全ての開口部の開口端に対向する上記間仕切り板3上端部における少なくとも一方の壁面に開口部の開口端部における凹部を閉塞する耐火シート又は耐火パネルを取り付けることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は建物の側壁と間仕切り板との間の空間部の耐火構造にする耐火間仕切り壁の施工方法であって、耐火性を有する建物の側壁に対して、この側壁の内壁面から間隔を存して耐火性を有する間仕切り板を配設してその側端部を柱に固定したのち、この間仕切り板と上記側壁の内壁面との間の間隔部に耐火シート又は耐火パネルを配設し、この耐火シート又は耐火パネルにより上記間隔部を閉塞することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、下面をデッキプレートによる凹凸面に形成したコンクリート製の天井を有する建物内を、耐火性を有する間仕切り板によって区画してなる耐火間仕切り壁において、上記デッキプレートの下面とこの下面に対向している間仕切り板の上端面との少なくとも一方に、火災発生時に熱膨脹して、上記デッキプレートの下面と間仕切り板の上端面との間の空間部によって形成された開口部を閉塞する熱膨脹性耐火シート材を取り付けているので、耐火間仕切り壁の構造が簡単で安価に施工できるのは勿論、常態においては天井下面と間仕切り板上端面との間によって形成されている開口部は、熱膨脹性耐火シートによって閉塞されることなく、間仕切り板によって区画された室内空間同士をこの開口部を通じて連通させているので、この開口部によって換気作用を奏することができるものであり、また、火災発生時には、室内の高温度による加熱によって熱膨脹性耐火シートが膨脹して上記開口部を隙間なく閉塞する発泡耐火層を形成し、この発泡耐火層によって火炎や煙等が開口部を通じて隣接する室内側に回り込むのを防止することができ、建築物の延焼を防ぐことができる。
【0019】
さらに、請求項2に係る発明によれば、上記請求項1に記載の耐火間仕切り板において、耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製の天井下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向け、且つ、その上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に密接させた状態に配設しているので、デッキプレートにおける複数の凹部の開口下端を間仕切り板の上端面によって閉止してこれらの凹部と間仕切り板の上端面とによって凹部と同一断面形状の筒状の開口部を複数箇所に形成することができ、これらの各開口部における凹部の内面やこの凹部の開口下端を閉止している間仕切り板の上端面部分、或いは、開口部の内周面に熱膨脹性耐火シートを取り付けた簡単な構造によって、火災発生時における該熱膨脹性耐火シートの膨脹により開口部を確実に閉塞することができる一方、常態においてはこれらの開口部によって上述したように、隣接する室内空間の換気作用を行うことができる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、上記デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によって形成された開口部を熱膨脹性耐火シートによって密閉しているので、開口部による換気作用を行わせることができないが、火災発生時には、室内の高温度による加熱によって上記熱膨脹性耐火シートが膨脹して開口部内を隙間なく閉塞する発泡耐火層を形成し、この発泡耐火層によって火炎や煙等が開口部を通じて隣接する室内側に回り込むのを防止することができ、建築物の延焼を防ぐことができる。
【0021】
一方、請求項4に係る発明によれば、上記デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によって形成される開口部を、この開口部の開口端に対向する間仕切り板の上端部における少なくとも一方の壁面に取り付けた耐火シート又は耐火パネルにより閉塞しているので、開口部内に耐火物を充填することなく、間仕切り板の壁面に耐火シート又は耐火パネルを取り付けた簡単な構造によって開口部を閉止し、火炎や煙等が開口部を通じて隣接する室内側に回り込むのを防止することができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、耐火性を有する建物の側壁に、この側壁の内壁面から間隔を存して耐火性を有する間仕切り板を配してなる耐火間仕切り壁において、この間仕切り板と上記側壁の内壁面との間の間隔部を耐火シート又は耐火パネルによって閉塞しているので、火災発生時には上記間隔部に配設した耐火シート又は耐火パネルによって火炎や煙等が隣接する室内空間に回り込むのを確実に防止することができる。
【0023】
請求項6に係る発明は、上記耐火性間仕切り壁の施工方法であって、下面をデッキプレートにより凹凸面に形成したコンクリート製の天井を有する建物内におけるこの天井下面と床面との間に耐火性を有する間仕切り板を配設して耐火間仕切り壁を形成したのち、天井下面と間仕切り板の上端面との少なくとも一方に、火災発生時に熱膨脹して上記天井下面と間仕切り板の上端面との間の空間部によって形成された開口部を閉塞する熱膨脹性耐火シート材を取り付けるので、常態においては天井下面と間仕切り板上端面との間によって形成されている開口部によって間仕切り板で仕切られた室内空間同士の換気が可能であり、火災発生時には、熱膨脹性耐火シートの膨脹によって開口部を閉塞して類焼を防止することができる耐火性間仕切り壁を容易に施工することができる。
【0024】
さらに、請求項7に係る発明によれば、耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製の天井下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向けた状態にしてその上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に隙間なく密接させることにより、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によってこの間仕切り板によって区画された室内空間同士を連通させる開口部を形成するので、デッキプレートの凸部の下方に隙間や空間部を形成することなく、凹部とこの凹部に対向する間仕切り板の上端面とによって間仕切り板で仕切られた隣接する室内空間同士を連通させる該凹部と同一断面形状の筒状の開口部を複数箇所に形成することができるのは勿論、この凹部の内面や該凹部に対向する間仕切り板の上端面部分、或いは、開口部の内周面に対する熱膨脹性耐火シートの取り付け作業が確実且つ簡単に行え、火災発生時には、熱膨脹性耐火シートの膨脹によって開口部を全面的に隙間なく閉塞して類焼を防止することができる耐火性間仕切り壁を安価に且つ能率よく施工することができる。
【0025】
請求項8に係る発明は、上記耐火間仕切り壁の施工方法とは別な施工方法であって、耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向けた状態にしてその上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に隙間なく密接させることにより、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によってこの間仕切り板によって区画された室内空間同士を連通させる開口部を形成したのち、全ての開口部の開口端に対向する上記間仕切り板の上端部における少なくとも一方の壁面に開口部の開口端開口端を閉塞する耐火シート又は耐火パネルを取り付けることを特徴とするものであるから、開口部における開口端に対向する間仕切り板の上端部壁面に耐火シート又は耐火パネルを取り付ける簡単な作業によって該開口部を耐火シート又は対向パネルによって閉塞させて類焼を防止することができる耐火性間仕切り壁を安価に且つ能率よく施工することができる。
【0026】
請求項9に係る発明は、建物の側壁と間仕切り板との間の空間部の耐火構造にする耐火間仕切り壁の施工方法であって、耐火性を有する建物の側壁に対して、この側壁の内壁面から間隔を存して耐火性を有する間仕切り板を配設してその側端部を柱に固定したのち、この間仕切り板と上記側壁の内壁面との間の間隔部に耐火シート又は耐火パネルを配設し、この耐火シート又は耐火パネルにより上記間隔部を閉塞することを特徴とするものであるから、火災発生時には上記間隔部を通じて火炎や煙等が隣接する室内空間に回り込むのを防止することができる耐火間仕切り壁を安価に且つ容易に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明耐火間仕切り壁の正面図。
【図2】その要部の拡大縦断側面図。
【図3】熱膨脹性耐火シートの熱膨脹により開口部が閉塞した状態の正面図。
【図4】その要部の拡大縦断側面図。
【図5】間仕切り板を配設した状態の正面図。
【図6】本発明の別な実施形態を示す要部の縦断側面図。
【図7】本発明のさらに別な実施形態を示す耐火間仕切り壁の正面図。
【図8】その要部の縦断側面図。
【図9】変形例を示す要部の縦断側面図。
【図10】建物と壁面と間仕切り板との間の耐火構造を示す横断面図。
【図11】その変形例1を示す横断面図。
【図12】変形例2を示す横断面図。
【図13】変形例3を示す横断面図。
【図14】変形例4を示す横断面図。
【図15】変形例5を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1、図2において、建物の天井1は耐火コンクリート製であって、その下面に金属製のデッキプレート1aを一体に設けてあり、この天井下面を形成しているデッキプレート1aと床2との対向面間に耐火性を有する間仕切り板3を配設してこの間仕切り板3により建物内を複数(図においては2つ)の室内空間B、Cに区画してなる耐火間仕切り壁Aを構成している。
【0029】
上記デッキプレート1aは、断面等脚台形状に屈曲形成された凹部1a1 と凸部1a2 とを幅方向に波形状に連続させてなり、これらの凹凸部1a1 、1a2 は全長に亘って真っ直ぐな凹凸条に形成されている。このデッキプレート1a上に鉄筋(図示せず)を配したのち、コンクリートを打設することによって上面が平坦な上記天井1を形成している。また、床2も耐火コンクリート製であって、その床面は平坦面に形成されている。なお、デッキプレート1aの凹凸部1a1 、1a2 の断面形状は、等脚台形状に限定されることなく、全ての凹部1a1 と凸部1a2 とを同一大きさ、同一形状に形成しておけばよく、要するに、下方に突出している全ての凸部1a2 の突出高さを同一にしてその突出下面、即ち、頂面を水平方向に平坦な面に形成しておけばよい。
【0030】
建物内を仕切る上記耐火性を有する間仕切り板3(以下、単に間仕切り板とする)は、石膏ボードや珪酸カルシウム板等の耐火性を有する一定厚みの板材からなり、この間仕切り板3を建物内における仕切りたい床面上に、その横幅方向を天井下面を形成しているデッキプレート1aの凹凸部形成方向に向けた状態にして設置し、その下端面を床2の平滑な面上に隙間なく固定すると共に、上端面を上記天井1の下面を形成しているデッキプレート1aにおける下方に突出した凸部1a2 の下面に隙間なく密接させた状態にして固定している。なお、間仕切り板3の縦幅(高さ)が天井下面と床面との対向面間の高さよりも短い場合には、その上端面を直接、デッキプレート1aの凸部下面に密接させることなく、該上端面に耐火性を有するスペーサ部材(図示せず)を固着しておき、このスペーサ部材の上端面を該上端面に対向するデッキプレート1aにおける凸部下面に密接させた状態にして固定すればよい。また、一定の横幅を有する間仕切り板3を複数枚(図示せず)、横幅方向に隙間なく接続させることによって耐火間仕切り壁Aを構成している。
【0031】
このように、天井1の下面を形成しているデッキプレート1aの凸部下面に間仕切り板3の上端面を隙間なく密接させると、この間仕切り板3の上端面に対向するデッキプレート1aにおける全ての凹部1a1 の開口下端が間仕切り板3の上端面によって閉止されて各凹部1a1 の内面と間仕切り板3の上端面とによって囲まれた空間部を凹部1a1 と同一断面形状の筒状の開口部4に形成してあり、これらの開口部4によってこの間仕切り板3で仕切られた室内空間B、C間を連通させている。
【0032】
さらに、全ての開口部4内に、火災が発生した時に熱膨脹して開口部4を閉塞する熱膨脹性耐火シート5を取り付けている。各開口部4におけるこの熱膨脹性耐火シート5の取付位置は、凹部1a1 の内面であってもこの内面に対向する間仕切り板3の上端面であっても、或いはこれらの凹部1a1 の内面から間仕切り板3の上端面とに亘って、即ち、開口部4の内周面であってもよいが、いずれにしても熱膨脹性耐火シート5が熱膨脹した際に、開口部4が全面的に閉塞されるように、熱膨脹性耐火シート5の取付長さや積層厚み、幅等による取付量を設定しておく。
【0033】
熱膨脹性耐火シート5としては、加熱によって膨脹して難燃性を有し、且つ、火炎等によって破壊し難い発泡耐火層5'を生成する発泡性耐火形成材が使用される。このような発泡性耐火形成材としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する樹脂組成物(A)、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する樹脂組成物(B)が挙げられる。
【0034】
先ず、樹脂組成物(A)について説明する。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させることにより得られる。エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。エポキシ基をもつモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが用いられる。
【0035】
2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等のモノマーが用いられる。グリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが用いられる。多官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが用いられる。これらのエポキシ基をもつモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が用いられる。触媒型の硬化剤としては、例えば、三級アミン、イミダゾール類、ルイス酸、ルイス塩基等が用いられる。エポキシ樹脂は、加熱時に形成された炭化層(燃焼残渣)が発泡耐火層として機能する上に、架橋構造をとるため熱膨張後の形状保全性に優れている。
【0037】
リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リンや;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;以下に示す化学式(化1)で示される化合物等が用いられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、化学式(化1)で示される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0038】
【化1】

【0039】
式中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜16のアリール基を示す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を示す。
【0040】
赤リンは少量の添加で難燃効果を向上する。赤リンとしては、市販の赤リンを用いることもできるが、耐湿性、混錬時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
【0041】
ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「EXOLIT AP422」、「EXOLIT AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」、「テラージュC70」、「テラージュC80」等が挙げられる。
【0042】
上記化学式(1)で表される化合物としては、特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルニチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィジ酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。上記のように酸処理された熱膨張性黒鉛は、更に、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することによって、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0044】
上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0045】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の発泡耐火層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、後述の樹脂分と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGREP−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
【0046】
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ等が挙げられる。
【0047】
上記無機充填剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記無機充填剤のうち、特に含水無機物と金属炭酸塩の併用が好ましい。含水無機物と金属炭酸塩は、骨材的な働きをするところから、燃焼残渣の強度向上や熱容量の増大に寄与するものと考えられる。
【0048】
上記水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0049】
上記炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
【0050】
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。そして、この無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満になると二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。上記無機充填剤の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。また、粒径が100μmを超えると、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
【0051】
また、上記無機充填剤は、粒径の大きいものと粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、発泡性耐火形成材7の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムである粒径1μmの「ハイジライトH−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、及び、炭酸カルシウムである粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工社製)等が挙げられる。
【0052】
上記樹脂組成物(A)において、リン化合物の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して50〜150重量部が好ましい。配合量が、50重量部未満になると燃焼残渣に十分な形状保持性が得られず、多くなると機械的物性の低下が大きくなり、使用に耐えられなくなる。
【0053】
上記樹脂組成物(A)において、中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して15〜100重量部が好ましい。配合量が、15重量部未満では、十分な厚さの発泡耐火層が形成されないため耐火性能が低下し、100重量部を超えると、機械的強度の低下が大きく、使用に耐えられなくなる。
【0054】
上記樹脂組成物(A)において、無機充填剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して30〜500重量部が好ましい。配合量が、30重量部未満では、熱容量の低下に伴い十分な耐火性が得られず、500重量部を超えると、機械的強度の低下が大きく、使用に耐えられなくなる。
【0055】
上記樹脂組成物(B)としては、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛並びに無機充填剤を含有するものが用いられる。熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリルゴム、水添石油樹脂等が挙げられる。
【0056】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の溶融粘度、柔軟性、粘着性等を調整するため、2種以上をブレンドしたものをベース樹脂として使用してもよい。
【0057】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質には、性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋や変性を行う時期については特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質を用いてもよく、後述のリン化合物や無機充填剤等の他の成分を配合する際に同時に架橋や変性してもよい。また、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性してもよく、この架橋や変性は、いずれの段階で行ってもよい。
【0058】
上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質の架橋方法については特に限定されず、通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法等が挙げられる。上記樹脂組成物(B)で用いられるリン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤は、上記樹脂組成物(A)で用いられるものと同様である。
【0059】
上記樹脂組成物(B)において、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量(両者の合計量)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して20〜500重量部が好ましい。両者の合計量が、20重量部未満になると十分な熱膨張性が得られず、500重量部を超えると均一な分散が困難となるため、均一な厚さに成形することが困難となる。
【0060】
また、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)は、0.01〜9が好ましい。熱膨張性黒鉛の比率が多くなると、燃焼時に膨張した黒鉛が飛散して十分な発泡耐火層が形成され難くなり、リン化合物の比率が多くなると十分な発泡耐火層が形成されなくなるため、十分な断熱性が得られなくなる。
【0061】
上記樹脂組成物(B)において、無機充填剤の配合量は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質100重量部に対して50〜500重量部が好ましい。配合量が、50重量部未満になると十分な耐火性が得られず、500重量部を超えると機械的強度が低下する。この樹脂組成物(B)に粘着性が不足する場合は、例えば、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質に粘着付与剤を添加することにより、粘着性を付与することができる。粘着付与剤としては特に限定されず、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物等が挙げられる。
【0062】
上記樹脂組成物(A)及び(B)には、その物性を損なわない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等が添加されてもよい。また、樹脂組成物(A)及び(B)は、上記各成分を、例えば、押出機、ニーダーミキサー、二本ロール、バンバリーミキサー等、公知の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。これらの樹脂組成物は、公知の方法で成形することにより、熱膨脹性耐火シート5とすることができる。
【0063】
この熱膨脹性耐火シート5の加熱発泡による体積膨脹率は2〜50倍であって、厚みは0.2mm 〜10mmに形成されていることが好ましく、間仕切り板3の厚みに略等しい幅でもって所定長さに切断されたシート片を複数枚、上記各凹部1a1 の内面、或いは、この凹部1a1
の開口下端を閉止している間仕切り板3の上端面、又は、これらの凹部1a1 と間仕切り板3の上端面とによって形成された開口部4の内周面に、積層状態にして取り付けて、この積層した熱膨脹性耐火シート5が熱膨脹した際に、開口部4を隙間なく閉止できるようにその取り付けた熱膨脹性耐火シート5の体積を設定している。なお、開口部4等に対する熱膨脹性耐火シート5を取り付けは接着することによって行われる。熱膨脹性耐火シート5の加熱発泡による体積膨張率とは、熱膨脹性耐火シート5が膨脹して形成される発泡耐火層5'の体積を、膨脹前の熱膨脹性耐火シート5の体積で除した値をいう。
【0064】
建物内に上記耐火間仕切り壁Aを施工するには、上述したように、この耐火間仕切り壁Aにより建物内を仕切りたい位置における床面上に、間仕切り板3を図5に示すように、その横幅方向を天井下面のデッキプレート1aにおける凹凸部1a1 、1a2 の連続形成方向に向けた状態にして設置し、その下端面を床面上に隙間なく固定すると共にその上端面を、天井1の下面を形成しているデッキプレート1aにおける下方に突出した凸部1a2 の下面に隙間なく密接させ状態にして固定し、この間仕切り板3を複数枚、互いにその対向側端面同士を隙間なく接続させることによって耐火間仕切り壁Aを形成する。
【0065】
さらに、間仕切り板3の上端面と上記天井下面を形成しているデッキプレート1aにおける凹部1a1 との対向面間の空間部によって形成された開口部4の内周面に、火災発生時に熱膨脹してこの開口部4を閉塞する上記熱膨脹性耐火シート5を取り付けることによって施工を完了するものである。
【0066】
この際、熱膨脹性耐火シート5は開口部4の内周面全面に取り付けてもよく、或いは、開口部4を形成している凹部1a1 の内面とこの凹部1a1 に臨ませているデッキプレート1aの上端面とのいずれか一方に熱膨脹性耐火シート5を層状に取り付けてもよい。さらに、熱膨脹性耐火シート5の取付作業は、建物内の耐火間仕切り壁施工位置に、一枚の間仕切り板3が配設される毎に、この間仕切り板3の上端面と天井下面を形成しているデッキプレート1aの凹部1a1 とで形成した開口部4に行ってもよく、或いは、耐火間仕切り壁Aの施工完了後に、全ての開口部4に行ってもよい。
【0067】
このように構成した耐火間仕切り壁Aによれば、常態においては、この耐火間仕切り壁Aによって仕切っている室内空間B、C間が、天井下面のデッキプレート1aにおける凹部1a1 とこの凹部1a1 の開口下端を閉止している間仕切り板3の上端面とで形成した開口部4によって連通してあり、この開口部4が換気口の機能を果して隣接する室内空間B、C間の換気を行っている。
【0068】
また、一方の室内空間B側に火災が発生すると、天井下面と間仕切り板3の上端面間に設けている上記全ての開口部4内の熱膨脹性耐火シート5が加熱されて発泡、膨脹し、図3、図4に示すように、開口部4内に隙間なく充満して開口部4を全面的に閉塞した発泡耐火層5'を形成し、この発泡耐火層5'によって火炎や煙が隣接する他方の室内空間Aに侵入するのを阻止して類焼を防止する。
【0069】
なお、以上の実施の形態においては、天井1の下面を形成しているデッキプレート1aの凹部1a1 と、間仕切り板3の上端面とで囲まれた空間部によって形成された開口部4の内周面における凹部1a1 の内面、或いは、この凹部1a1 に臨ませている間仕切り板3の上端面に熱膨脹性耐火シート5を取り付けているが、図6に示すように、デッキプレート1aの凹部1a1 と同大、同形に形成した熱膨脹性耐火シート5Aをデッキプレート1aの凹部1a1 と間仕切り板3の上端面とで囲まれた空間部によって形成されている開口部4内に挿入してその外周端を開口部4の内周面に貼着しておいてもよい。
【0070】
このように構成した耐火間仕切り壁Aによれば、熱膨脹性耐火シート5Aによって開口部4が閉止された状態となって換気作用を奏することができないが、火災が発生すると、この熱膨脹性耐火シート5Aが加熱されて発泡、膨脹し、開口部4内に隙間なく充満して開口部4を全面的に閉塞した発泡耐火層を形成することができる。
【0071】
また、図7、図8に示すように、天井下面のデッキプレート1aの凹部1a1 と間仕切り板3の上端面とで囲まれた空間部によって形成されている開口部4の開口端を、デッキプレート1aの凹部1a1 の開口下端を閉止している間仕切り板3の上端部における一側壁面に取り付けた耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 により閉塞しておいてもよい。この場合、耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を図7に示すように、上部を開口部4と同大、同形に形成すると共に下端部を開口部4から下方に突出する取付片5bに形成しておき、この耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 の上部を各開口部4の一方の開口端側における凹部1a1 内に挿嵌してその外周端面を凹部1a1 の内周面に密着させると共に凹部1a1 から下方に突出している取付片5bを間仕切り板3の一側壁面の上端部に貼着又はビス等による固定具で固着している。その他の構成については上記実施の形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0072】
このように構成した耐火間仕切り壁Aにおいて、上記耐火シート5B1 としては熱膨脹性耐火シートを使用することが好ましいが、熱膨脹性耐火シート以外の耐火シート5B1 であってもよい。このような耐火シート5B1 としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂シート、シリカクロス、ガラスクロスなどの無機系シートを使用することができ、また、耐火パネル5B2 としては、無機質ボード、表面に耐火塗料を層着しているボード、ガラス、金属板などを使用することができる。
【0073】
さらに、このような耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を図9に示すように、間仕切り板3の上端部における両側壁面に取り付けてその上部を開口部4の両開口端部の凹部1a1
内に挿嵌し、該上部外周面を凹部1a1 の内周面に密着させて間仕切り板3によって仕切られた両室内空間B、C間を連通させる上記開口部4の両側開口端をこれらの耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 によって閉塞してなる耐火間仕切り壁Aを形成しておいてもよい。
【0074】
上記耐火間仕切り壁Aの施工方法としては、耐火性を有する間仕切り板3を、その横幅方向をコンクリート製天井板1の下面に一体に設けているデッキプレート1aの凹部1a1 と凸部1a2 との連続形成方向に向けた状態にしてその上端面をデッキプレート1aにおける下方に突出した上記凸部1a2 の突出下面に隙間なく密接させることにより、デッキプレート1aの凹部1a1 と該間仕切り板3の上端面とで囲まれた空間部によってこの間仕切り板3で区画された室内空間B、C同士を連通させる開口部4を形成したのち、全ての開口部4の開口端に対向する上記間仕切り板3の上端部における少なくとも一方の壁面に開口部4の開口端部における凹部1a1 を閉塞する耐火シート又は耐火パネルを取り付けることによって上記耐火間仕切り壁を形成するものである。
【0075】
このように構成した耐火間仕切り壁Aによれば、耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 によって開口部4が閉止された状態となって換気作用を奏することができないが、火災が発生すると、上記耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 によって火炎や煙等が隣接する室内空間に回り込むのを確実に防止することができる。
【0076】
なお、以上の実施の形態においては、いずれも天井1と間仕切り板3との間に形成された開口部4に耐火シート等を配設してなる耐火間仕切り壁Aの構造について説明したが、建物の外壁等の側壁6と間仕切り板3の側端面との間の間隔部9に耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を配設して間仕切り板3によって仕切られた室内空間B、C間を連通させる上記間隔部9をこれらの耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 によって閉塞してなる耐火間仕切り壁A'であってもよい。
【0077】
図10はその実施の形態の一例を示すもので、鉄筋コンクリート等の耐火性を有する材料から形成されている建物における側壁6の内壁面に沿って柱7、7が立設されていると共に、隣接する柱7、7間にX字状にクロスさせたブレース8を側壁6の内壁面に沿って張設してあり、建物における天井と床面との対向面にその上下端面をそれぞれ固定している上記耐火性を有する間仕切り板3の一側端面と、この一側端面に対向する上記側壁6の内壁面との間に上記ブレース8を介在させた間隔部9を設けてなる耐火間仕切り壁A'において、この間隔部9に、一側端面を上記側壁6の内壁面に密着させ、他側端面を上記間仕切り板3の一側端面に密着させ、且つ、上記ブレース8を貫通させている一定厚みを有する耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を配設して、間仕切り板3によって仕切られた室内空間B、C間を連通させる上記間隔部9をこれらの耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 によって閉塞してなる耐火間仕切り壁A'を構成している。
【0078】
なお、上記間仕切り板3は、その一側端部における側面を側壁6の内壁面に沿って立設している柱7に固着した下地材10に取り付けられているが、下地材10によることなく柱7に直接、取り付けておいてもよい。また、この間仕切り板3の一側端面と側壁6との間の間隔部9にブレース8が挿通されている場合について述べたが、ブレース8に限らずその他の障害物、例えば、図11に示すように柱7から間隔部9に向かってプレート等の突起物11が突設している場合においても、その間隔部9を耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 によって閉塞すればよい。
【0079】
また、建物の外壁等の側壁6と間仕切り板3の側端面との間の間隔部9を耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 によって閉塞する構造としては、図12に示すように、間仕切り板3の一側端面における厚み方向の中央部とこの中央部に対向する側壁6間に耐火シート5B1
又は耐火パネル5B2 を配設する以外に、図13に示すように、間仕切り板3の側端面における厚み方向の一端部とこの一端部に対向する側壁6の内壁面との間に間隔部9を閉塞するように耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を配設してもよく、或いは、図14に示すように、間仕切り板3の側端面における厚み方向の両端部とこの両端部に対向する側壁6の内壁面との間に間隔部9を閉塞するように耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を互いに平行に配設してもよい。
【0080】
さらに、図15に示すように、間仕切り板3の側端面における厚み方向の一端部とこの一端部に対向する側壁6の内面との間に間隔部9を閉塞するように耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を配設すると共に、柱7側に面した間仕切り板3の壁面端部からこの柱7を被覆するように耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を密着させ、この耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 の端部を側壁6の内壁面に取り付けておいてもよい。
【0081】
このような耐火間仕切り壁A'の施工方法としては、側壁6の内壁面に沿って立設している柱10における側壁6とは反対側の面に下地材10を取り付けたのち、この下地材10に建物の空間部を仕切る間仕切り板3の側端部を固定し、しかるのち、この間仕切り板3と側壁6の内壁面間に耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 を配設してこの耐火シート5B1 又は耐火パネル5B2 の両側端部を間仕切り板3と側壁6の内壁面にそれぞれ固着することによって施工することができ、このように構成した耐火間仕切り壁A'によれば、火災が発生した際に、火炎や煙等が建物の側壁6と間仕切り板3との間隔部を通じて隣接する室内空間に回り込むのを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0082】
A 耐火間仕切り壁
1 天井
1a デッキプレート
1a1 デッキプレートの凹部
1a2 デッキプレートの凸部
2 床
3 間仕切り板
4 開口部
5 熱膨脹性耐火シート
5' 発泡耐火層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面をデッキプレートによる凹凸面に形成したコンクリート製天井部を有する建物内を、耐火性を有する間仕切り板によって区画してなる耐火間仕切り壁において、上記デッキプレートの下面とこの下面に対向している間仕切り板の上端面との少なくとも一方に、火災発生時に熱膨脹して、上記デッキプレートの下面と間仕切り板の上端面との間の空間部によって形成された開口部を閉塞する熱膨脹性耐火シート材を取り付けてなることを特徴とする耐火間仕切り壁の構造。
【請求項2】
耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製の天井下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向け、且つ、その上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に密接させた状態に配設してあり、この間仕切り板によって区画された室内空間同士を、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によって形成される開口部を通じて連通させていると共にこの開口部を形成している上記デッキプレートの凹部の内面とデッキプレートの上端面との少なくとも一方に熱膨脹性耐火シート材を取り付けていることを特徴とする請求項1に記載の耐火間仕切り壁の構造。
【請求項3】
耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向け、且つ、その上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に密接させてなる耐火間仕切り壁において、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によって形成された開口部を熱膨脹性耐火シートによって密閉していることを特徴とする耐火間仕切り壁の構造。
【請求項4】
耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向け、且つ、その上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に密接させてなる耐火間仕切り壁において、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によって形成される開口部を、この開口部の開口端に対向する上記間仕切り板の上端部における少なくとも一方の壁面に取り付けた耐火シート又は耐火パネルにより閉塞していることを特徴とする耐火間仕切り壁の構造。
【請求項5】
建物の側壁と間仕切り板との間の空間部の耐火構造であって、耐火性を有する上記建物の側壁に、この側壁の内壁面から間隔を存して耐火性を有する間仕切り板を配してなる耐火間仕切り壁において、間仕切り板の側端面とこの側端面に対向する上記側壁の内壁面との間の上記間隔部を耐火シート又は耐火パネルによって閉塞していることを特徴とする耐火間仕切り壁の構造。
【請求項6】
下面をデッキプレートにより凹凸面に形成したコンクリート製の天井を有する建物内におけるこの天井下面と床面との間に耐火性を有する間仕切り板を配設して耐火間仕切り壁を形成したのち、天井下面と間仕切り板の上端面との少なくとも一方に、火災発生時に熱膨脹して上記天井下面と間仕切り板の上端面との間の空間部によって形成された開口部を閉塞する熱膨張性耐火シート材を取り付けることを特徴とする耐火間仕切り壁の施工方法。
【請求項7】
耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向けた状態にしてその上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に隙間なく密接させることにより、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によってこの間仕切り板によって区画された室内空間同士を連通させる開口部を形成し、この開口部を形成した上記デッキプレートの凹部の内面とデッキプレートの上端面とのいずれか一方に熱膨脹性耐火シート材を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の耐火間仕切り壁の施工方法。
【請求項8】
耐火性を有する間仕切り板を、その横幅方向をコンクリート製天井板の下面に一体に設けているデッキプレートの凹部と凸部との連続形成方向に向けた状態にしてその上端面をデッキプレートにおける下方に突出した上記凸部の突出下面に隙間なく密接させることにより、デッキプレートの凹部と該間仕切り板の上端面とで囲まれた空間部によってこの間仕切り板によって区画された室内空間同士を連通させる開口部を形成したのち、全ての開口部の開口端に対向する上記間仕切り板3上端部における少なくとも一方の壁面に開口部の開口端部における凹部を閉塞する耐火シート又は耐火パネルを取り付けることを特徴とする耐火間仕切り壁の施工方法。
【請求項9】
耐火性を有する建物の側壁に対して、この側壁の内壁面から間隔を存して耐火性を有する間仕切り板を配設してその側端部を柱に固定したのち、この間仕切り板と上記側壁の内壁面との間の間隔部に耐火シート又は耐火パネルを配設し、この耐火シート又は耐火パネルにより上記間隔部を閉塞することを特徴とする耐火間仕切り壁の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−162983(P2011−162983A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25896(P2010−25896)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】