耐腐食性コリメータを有するプラズマトーチ
移送プラズマアーク・トーチのコリメータを腐食による早期障害から保護するために、コリメータの露出表面および内部出口穴の一部に耐腐食性被覆が施される。本明細書では、耐腐食性被覆を有するプラズマトーチ用のコリメータを製造するため、または、電気めっき、無電解めっき、火炎溶射、プラズマ溶射、移送式プラズマアーク、熱間静水圧プレス法、および爆発クラッド処理を含む、その露出面上にクラッド処理するための、いくつかの方法について説明する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い意味で云えば、プラズマアーク・トーチに係わり、特に、腐食の影響を低減化し、それによってコリメータの耐用年数を延ばすように、プラズマアーク・トーチで用いられるコリメータを処理する方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術で知られるようなプラズマアーク・トーチは、電気エネルギーを、極度に高い温度を生成する熱エネルギーに効率的に変換することができる。例えば、プラズマアーク・トーチは、通常、6000℃〜7000℃という高い温度範囲内作業できる。
【0003】
プラズマアーク・トーチは、水冷式、逆極性、中空銅電極を使用することで知られている。アルゴン、窒素、ヘリウム、水素、空気、メタン、または酸素などのガスが、中空電極を通して注入され、アークによって電離されプラズマにされ、加熱室に注入または加熱工程に統合される。
【0004】
Hanus他の特許第5362939号で説明されるように、プラズマアーク・トーチは、以下の2つのモードのいずれかで動作するように作成することができる。「移送式アーク」と呼ばれる第1のモードでは、水冷式後部電極(アノード)が、トーチに注入されたガスに高い電圧および電流を印加する。熱処理の対象となる材料は、反対極性の電極となる。したがってプラズマガスは、トーチ内に含まれるガス渦巻発生器を通過し、導電性の銅製コリメータの中央穴を通って外に出され、カソード電極として働く材料に当たることになる。非移送式アーク・モードでは、アークは最初にトーチ内のアノードから発出し、トーチの排出口でカソードに再付着する。第1の電極から第2の電極に飛び込む場合、アークはトーチの先端を越えて外側に広がり、電気回路の一部を形成していない工作物に当たるようにできる。それ故、非移送式アーク・モードでは、トーチを使用して、非導電性工作物材料を効果的に加熱/溶融/揮発させることができる。
【0005】
移送式アーク・モード・トーチの場合、コリメータは、一般に、コリメータとは電気的に分離された後部アノード電極が含まれる略円筒形のトーチ本体の作業端にねじ込まれた銅製ホルダを備える。円筒形本体は、冷却水を受け取り、コリメータを経由させ、トーチの本体を通って排出ポートに戻すための流路をさらに含む。同様に、トーチガスは、コリメータの中央穴に隣接して配置された渦巻発生器への自身の流路を有する。
【0006】
典型的なプラズマトーチの細部構造に関心のある読者は、Hanus他の米国特許第5362939号(その全記載内容引用によって本明細書の記載として援用する)を参照されたい。
【0007】
プラズマトーチ技術の或る用途では、トーチのコリメータ部分が腐食性材料に暴露される。例えば、底灰と飛散灰の混合物をガラス状物に固化させるための固形廃棄物処理炉で使用される場合、プラスチックの熱破壊によって塩素ガスが生じる。この塩素が水素と組み合わされて塩酸が形成される可能性があり、これによって酸に曝された銅表面はさらに急速に腐食する可能性がある。コリメータは、コリメータ組立体内の冷却水路が破壊されるまで腐食されないことが不可欠である。炉内の極度に加熱された表面に水流を入射させることは、安全上深刻な問題となる可能性があり、避けなければならない。このため、漏れが生じるまでに腐食が達する前に、コリメータを頻繁に停止させ、交換する必要がある。
【0008】
移送式アーク・プラズマトーチで使用されるコリメータには、2次アーク放電も発生する可能性がある。こうした配置構成では、コリメータの電位は浮動状態であり、この電位とローカル・プラズマ電位との間の電圧勾配が十分に大きくなった場合、プラズマアークの分枝がコリメータに当たり、その表面に穴を開け、腐食させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の主な目的は、プラズマトーチ上で使用されるコリメータの露出面に耐腐食性バリアを設けることである。
【0010】
本発明の他の目的は、熱応力および/または2次アーク放電による割れを受けにくい腐食バリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コリメータ・ノズルの露出表面および内部出口穴の大部分がその上の耐腐食性被覆を含む、その末端にコリメート・ノズルを有する改良されたプラズマアーク・トーチを提供する。
【0012】
本発明の第1の実施形態によれば、耐腐食性被覆は、比較的薄い無電解ニッケル被覆、アルミナ被覆、またはニッケル・クロム被覆を含む。代替実施形態によれば、コリメート・ノズルの露出表面および内部出口穴の大部分は、移送式プラズマアーク溶接法、火炎溶射法、プラズマ溶射法、爆着法、熱間静水圧プレス(HIP)およびレーザ・クラッド処理法を含むいくつかの異なる方法で塗布された適切な耐腐食性合金によって所定の厚さまでクラッド処理される。
【0013】
当業者であれば、本発明の上記特徴、目的、および利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を、特に、いくつかの図面では同じ番号が対応する部分を示す添付の図面に関連して考察することから明らかとなるだろう。
【実施例】
【0014】
以下の説明では、ある種の用語が、制限するのではなく参照する際の便宜のためにのみ使用される。「上方へ」、「下方へ」、「右方向へ」、および「左方向へ」という語は、参照される図面内の方向を示すことになる。「内側へ」および「外側へ」という語は、それぞれ、装置およびその関連部分の幾何学的中心に向かう方向、ならびにこの中心から離れる方向を示すことになる。当該用語は、具体的に上で述べた用語、それらの派生語、および、同様に重要な用語を含む。
【0015】
初めに図1を見ると、従来のプラズマトーチが示されている。これは、全体として数字10で示される。近位端14および末端16を有する、外側鋼製シュラウド12を含むことがわかる。シュラウドは、後部電極18、ガス渦巻発生器20、および、シュラウド12の末端16内にねじで取り付けられたコリメータ部材22につながる冷却水路を作り出す他の管状構造体を含むトーチの種々の内部構成要素を囲む。吸水口スタブ24に配管(図示せず)が接続され、トーチ本体およびコリメータ内の水路を通過した後、温水はポート26でトーチから排出される。プラズマトーチに関する水の循環経路についての詳細は、上記Hanus他の米国特許第5362939号でより明確に記述および説明されているため、本明細書で繰り返す必要はない。プラズマアーク・トーチ用のガスは、加圧下で入口ポート28に供給され、吸水路および排水路とは分離された環状流路を通過し、最終的にガス渦巻発生器20へと到達する。吸水口スタブ24には高いプラスの電圧も印加され、電源のマイナス端子が工作物30に接続される。
【0016】
ポート28に注入されたガスは電離され、アーク32によってプラズマにされ、工作物30へと注入される。コリメータ22は、円錐台形テーパ34を有する長手方向穴34を含み、ビーム内にプラズマを集中させ、内部にプラズマトーチが取り付けられた炉内での溶融および化学反応を高速化する高熱を集束させるために働く。
【0017】
コリメータ22の露出環状面36は、加工材料30の溶融/気化から得られる腐食性化学物質に曝され、結果としてコリメータの侵食および点蝕が生じる。さらにコリメータは、特にコリメータのテーパ形領域34内で、2次アークの対象ともなる。
【0018】
冷却水がトーチ内に提供された通常水路から逃れ、2000°F(1093℃)またはそれ以上の温度である可能性のある工作物上に流れ出す時点まで、コリメータが劣化しないようにすることは必須である。結果として生じる過熱蒸気は、プラズマアーク加熱炉の境界内に爆発力を発生させる可能性がある。こうした事態を避けるために、工程を停止させ、比較的頻繁な間隔でコリメータを交換することが必要となる。本発明の目的は、コリメータの耐用年数を延長し、それによって、プラズマアーク・トーチが使用される工程のダウンタイムを減少させることである。
【0019】
次に図2を参照すると、図1の従来技術のコリメータ22の側面からの斜視図が示されている。40部分のように、平坦な表面を備える上端部分に沿って機械加工され、ホルダ部材をレンチでつかみ、トーチ本体12のねじが切られた末端にねじ込むことが可能な、六角パターンを形成する、全体的に円筒形の外壁を有するホルダ部材38を備えることがわかる。ホルダ部材上のねじ山は、図2では数字42によって識別される。ホルダ部材38は、好ましくは略円筒形の銅ビレットから機械加工され、銅は良好な電気および熱の伝導体である。
【0020】
ホルダ部材上のねじが切られた領域42の直下には、44部分のように、ホルダ部材外周の周囲に規則的な間隔で配置された複数の穴が配置される。コリメータの近位端には、一体形成された環状カラー46が提供される。
【0021】
図3は、コリメータ組立体の中央を通る長手方向断面図である。ここで、ホルダ部材38が、中央の長手方向穴48と、ホルダ部材の表面52から内側に向かって形成された対応穴50とを有することがわかる。さらに、放射穴44は中央穴48と流体連通していることもわかる。
【0022】
さらにコリメータ組立体22は、銅ビレットから機械加工され、ホルダ部材の中央穴を画定する壁と管状インサートの外径との間に所定の隙間を伴い、直径がホルダ部材の中央穴48内に嵌合するように寸法づけられた、中央内腔56および外壁58を有する管状インサート54を含む。さらにインサートは、その末端にあって内腔56を包囲する円形フランジ60を伴って形成される。さらに図3の断面図は、内腔56が、フランジ60の表面64につながる円錐台形のテーパ形部分62を有することも示す。
【0023】
管状インサート54がホルダ部材の穴48内部に配置され、フランジ60が端ぐり部50内に挿入される、図3に示された従来のコリメータ組立体では、フランジ60の外周と端ぐり部50の壁部との間の接合部が、適切に電子ビーム(電子ビーム)溶接される。同様に、ホルダ部材のカラー46と管状インサートの外壁の一部との間の接合部は、精密許容差ではめ合わさるように構成され、この接合部も電子ビーム溶接される。
【0024】
上記Hanus他の米国特許第5362939号で説明されるように、冷却水は、放射穴44を通り、穴48とインサート54の外側管状壁58との間の隙間を通る、第1の環状通路を通り、ここから環状ポートを通ってシュラウド12内に含まれる他の通路へと出て、排水ポート26(図1)へと通じるように流される。
【0025】
さらに管状インサート54は、好ましくは銅から形成されるという点において、プラズマトーチ加熱炉内で加熱/溶融されるターゲット材料の熱破壊時に生成される化学物質に曝されることから、腐食を受ける。ホルダ部材およびインサートの表面52および64は、それぞれ、腐食および2次アークが当たることによる侵食によって、材料を失うことになる。フランジ60と端ぐり部50との間の接合部における電子ビーム溶接は、特に脆弱でもあり、この接合部で漏れが生じた場合、加圧下での冷却水は、上記コリメータ内の冷却水路からジェット気流のように漏れ出し、温度が3000°F(1648℃)を超える可能性がある工作物30に当たるだけの可能性がある。
【0026】
図4は、コリメータ表面の溶接接合部をなくしたコリメータの代替構造を示す。これは、ホルダ部材38’が、図3の52部分のような露出面や、図3の実施形態における端ぐり部50を、もはや含まないように再構成することによって達成される。その代わりに、インサート部材54’は、かなり広いフランジ60’を含み、その周縁部は表面64’から後方にオフセットされる。このオフセット部分は、数字68で識別される。ホルダ部材の穴48’にインサート部材を挿入した後、この2つはそれぞれ位置70および72で互いに溶接される。コリメータ組立体がトーチ本体12の末端にねじ込まれると、溶接接合部70および溶接接合部72はどちらも、廃棄物の高温処理時に生成された腐食性副産物に曝されない。
【0027】
本発明は、プラズマアーク・トーチ構造体で使用されるコリメータの耐用年数を延長するための方法を提供する。より詳細には、ホルダ部材およびインサートの露出表面と内部出口穴の大部分とに耐腐食性被覆を提供することによって、コリメータの耐用年数を延長することができる。
【0028】
コリメータの耐用年数に対する腐食の影響を低減するための第1の方法によれば、図3の構造の露出表面64、52、および、図4の構造における64’には、比較的薄い、耐腐食性被覆が施される。例えば、上記表面にニッケルの第1層を厚さ約0.001インチ(0.0254mm)まで電気めっきし、その後、クロムを厚さ0.002インチ(0.0508mm)まで電気めっきすることができるが、これに限定されない。別の方法としては、上記表面に無電解ニッケルを、約0.002インチ(0.0508mm)〜0.003インチ(0.0762mm)の範囲内の厚さまで付着させることができる。他の配置構成では、コリメータの露出銅表面にニッケルの接合材被覆を施した後、酸化アルミニウム(アルミナ)を火炎溶射法で約0.010インチ(0.254mm)の厚さまで上塗りとして塗布することができる。
【0029】
上記めっき/薄膜被覆動作は、交換時間の延長において3倍の効果があることが証明されている。被覆の失敗は、最終的に、特に、テーパ形穴62がインサートのフランジのやや平坦な鉗子状部分と交差する箇所である鋭い縁部分で発生する傾向があった。
【0030】
さらなる他の改良点を得るための試行において、めっき/被覆作業に先立って、コリメータの幾何形状自身に様々な変更が加えられた。より詳細には、インサート内腔のテーパ形部分と露出表面との交差部分にある鋭利な縁部は、周縁部と同様に、平滑な丸みが付けられた。これにより、被覆の割れおよび基礎となる銅の露出が低減される。一般に、薄めっき耐腐食性被覆、および、耐腐食性被覆上への溶射による薄めっきは、基礎となる銅を露出させる2次アークによる割れまたは深いクレーターが発現するまでは、効果的であることが証明された。インサート内腔のテーパ形部分に直近の縁部をより平滑にすることと、めっきおよび/またはプラズマ溶射されたコリメータとにより、結果として、従来の裸銅コリメータの20倍の耐用年数が生まれた。2次アークによる深いくぼみが最終的に基礎となる銅を露出させるほど被覆層を侵食するまでは、被覆は効果的であった。
【0031】
プラズマアーク・トーチで使用されるコリメータの耐用年数におけるさらに他の改良が、所定の厚さのクラッド層を備えた銅製コリメータ・ノズルの露出表面と内部出口穴の大部分とをカバーすることによって達成された。成功が証明されたクラッド材料は、ハステロイ(C−22)、インコネル617、およびインコネル625材料を含む。
【0032】
次に図7を参照しながら、コリメータのホルダ部材およびインサートを、保護の耐腐食性クラッド層を塗布して形成することができる手法について説明する。中実円筒形の銅製ビレット80から始まり、ビレットの上部基体面84に、クラッド材料82の層が、通常は1mm〜10mmの所望の厚さまで塗布される。当分野で周知の様々なクラッド方法を使用して、耐腐食性合金を銅ビレットに接着することができる。例えば火炎溶射法では、図8に示されたような装置を使用することができる。ここでは、消耗品(通常は金属粉またはワイヤ)が融点を超えて加熱され、被覆を形成するようにビレットの表面上に推進される。火炎溶射は、通常、酸素を用いたアセチレンまたはプロパンなどの燃料ガスの燃焼からの熱を使用して被覆材料を溶融し、これを粉末として溶射銃内に送り込むことができる。図8に示されるように、粉末は、圧縮空気または不活性ガス、すなわち吸気ガスの流れによって、火炎内に直接送られる。別の方法としては、ある基本システムでは、粉末は、燃料ガスの流れによって持続されるベンチュリ効果を使用して火炎内に送られる。粉末は、火炎を通過する際に十分に加熱されることが重要である。搬送ガスは、金属粉が加熱される環状燃焼火炎86の中央へ、金属粉を送り込む。第2の外部環状ガス・ノズル88は、圧縮空気の流れを燃焼火炎周囲に送り込み、これによって、基体92に向かう溶射流れ90内の溶射粒子を加速させ、火炎を集束させる。
【0033】
被覆品質に影響を与える2つの主要部分は、表面処理および溶射パラメータである。表面処理は、被覆94の付着に重要であり、被覆の腐食性能に影響を与える可能性がある。主なファクターは、グリット・ブラスト輪郭および表面の汚れである。溶射パラメータは、被覆のマイクロ組織に影響を与える可能性がより高く、被覆性能にも影響を及ぼすことになる。重要なパラメータには、溶射銃対基体の配向および距離、ガスの流速、および粉末の供給速度が含まれる。
【0034】
熱溶射される被覆の接着は、主に機械的である。しかしながら、これでは接着強度と基体材料とを無関係のままにしておくことはできない。すべての熱溶射被覆は、内部応力の程度を維持する。この応力は、被覆が厚くなるほど大きくなる。したがって、塗布することができる被覆の厚さには制限がある。場合によっては、被覆が薄いほど接着強度が高くなる。
【0035】
次に図9を見ると、耐腐食性材料のクラッド層を銅製基体に施すために有利に使用することができる他の工程には、プラズマ溶射法が含まれる。火炎溶射法と同様に、これには基本的に、被覆を付与するために、溶融または熱による軟化材料を表面に溶射することが含まれる。粉末の形の材料が、超高温のプラズマ火炎98に注入され、ここで急速に加熱され、高速まで加速される。高温材料が基体表面100上に衝突し、急速に冷却されて被覆102を形成する。このプラズマ溶射法は、正しく実施された場合「冷却法」と呼ばれ、処理中に基体温度を低く維持し、基体材料に対する損傷、金属的変化、およびゆがみを避けることができる。図9に示されるように、プラズマ溶射銃は銅製アノード104およびタングステン・カソード106を備え、これら両方が水冷却される。プラズマガス(アルゴン、窒素、水素、ヘリウム)は、カソード106周囲およびアノード104を通過して流れ、これが圧縮ノズルの形状となる。プラズマは高電圧放電によって開始され、これが局所的な電離を発生させ、DCアーク用の導電性パスをカソードとアノードとの間に形成させる。アークからの抵抗加熱により、ガスが極度の高温に達し、プラズマを形成するために解離および分離される。プラズマは、自由または中性のプラズマ、すなわち電流を運ばないプラズマ火炎としてアノード・ノズルから発射され、これは、アークが被覆される表面にまで延びる移送式プラズマアーク被覆法と比べるとまったく異なる。プラズマが安定化され、溶射準備が整うと、アークは、アノード・ノズルの最も近い縁部まで短くされるのではなく、アノード・ノズル108まで延長される。このアークの延伸は、熱ピンチ効果によるものである。電気的に非導電性の水冷却されたアノード・ノズルの表面周辺の冷たいガスは、プラズマアークを圧縮し、その温度および速度を上げる。粉末は、最も一般的にはアノード・ノズル出口付近に取り付けられた外部粉末ポート110を利用して、プラズマ火炎に送られる。粉末は急速に加速されるため、溶射距離はほぼ25〜150mmとすることができる。
【0036】
プラズマ溶射は、燃焼法とは異なり、セラミックスを含む耐火性材料などの、融点が非常に高い材料を溶射できるという利点を有する。プラズマ溶射被覆は、一般に、他の熱溶射法よりも緻密、強固、およびクリーンである。
【0037】
図10は、移送式プラズマアーク・クラッド法のための装置を示す模式図である。ここでは、非消耗タングステン電極112と工作物114との間で、パイロット・アークが点火または生成される。プラズマ形成ノズル116、および電源120からの高電圧を活用する発振器ユニット118からの高電圧。パイロット・アークは、タングステン電極112と工作物114との間に移送式アークを生成する。移送式アークは、プラズマ形成ノズル122によって圧縮され、より高い温度および密度となる。添加粉末が搬送ガスによってアーク・カラム124に送られる。
【0038】
粉末の全体量および工作物上の薄膜のみが溶融されるように、処理条件を調節することができる。結果として、詳細な材料の最低の希釈で、クラッド層とビレットとの間に金属接着が提供される。アーク・プラズマ供給、粉末移送、および溶融材料遮蔽には、基本的にアルゴンが使用される。移送式プラズマアーク・クラッド法は、最高毎時10キログラムという高い付着率をもたらす。厚さ0.5mm〜5mm、および直径3mm〜5mmの付着が、即時に生成可能である。
【0039】
ビレットをクラッド処理するための他の方法が、図11に示される。ここではいわゆる爆発クラッド処理が示される。「爆発溶接法によるクラッド処理」としても周知の爆着法は、従来技術で周知の技術に基づいた業界溶接法である。これは任意の他の溶接法と同様に、よく理解された信頼できる原理に準拠している。この工程は、爆発デトネーションをエネルギー源として使用し、金属構成要素間に金属的接着を生成する。これを使用して、どちらも金属的に共存可能であり、どちらも従来の方法では溶接不可能であると知られている事実上いかなる金属の組合せも接合することができる。さらに、爆着法は、それぞれが異なる種類の金属または合金の可能性がある1つまたは複数の層を基本材料の片面または両面にクラッド処理することができる。
【0040】
その爆発エネルギーを使用することにより、この方法はかなりの速度を生じさせるため、従来の溶接法とは異なり、接着作業中にパラメータを微調整することはできない。接着された製品の品質は、良好に制御可能な適切な工程パラメータの集まりを通じて確保される。これらには、金属表面処理、接着前のプレート分離距離、爆発負荷、速度およびデトネーション・エネルギーが含まれる。パラメータの選択は、接着される各構成要素金属の機械的特性、質量、および音速に基づく。最適な接着パラメータは、結果として一貫した製品品質を生じさせ、ほとんどの金属の組合せに対して確立されている。他のシステムに関するパラメータは、確立された公式を使用する計算によって決定することができる。
【0041】
爆発クラッド処理における第1の段階は、互いに接着される2つの表面を処理することである。クラッド層は、選択された耐腐食性合金のプレート126を備える。その表面は、均一な表面仕上げを達成するために、研削または研磨される。クラッド処理プレート126は、クラッド処理される銅ビレット80の表面の上に、これと並行に配置されるように、位置決めおよび固定される。クラッド処理プレートとビレット表面との間の距離dは「スタンドオフ距離」と呼ばれ、接着される特定の金属組合せについて事前に決定されなければならない。この距離は、特定の衝突速度まで加速した後に、クラッド処理プレートがビレットと確実に衝突するように選択される。スタンドオフ距離は、以下で説明するような衝突パラメータの選択に応じて、通常、クラッド処理プレートの厚さの0.5から4倍まで変化する。衝突速度における許容範囲を制限することにより、結果として、スタンドオフ距離を同様の許容範囲で制御することができる。
【0042】
爆発封じ込めフレーム(図示せず)が、クラッド処理金属プレートの縁部周囲に配置される。フレームの高さは特定量の爆発128を封じ込め、単位面積当たり特定のエネルギーを解放するように設定される。一般に、粒状でクラッド処理プレート表面上に均一に分散される爆発は、封じ込めフレームを満たす。これは、高速爆発ブースタを使用して、プレート表面上の所定の地点で点火される。デトネーションは、開始点から移動していき、特定のデトネーション速度でプレート表面を横切る。爆発デトネーション130のガス膨張は、スタンドオフ・ギャップを超えてクラッド処理プレートを加速し、結果として特定の衝突速度で角衝突を発生させる。結果として生じる衝突は、衝突地点に非常に高い局所圧力を生み出す。これらの圧力は、金属の音速で衝突点から移動していく。衝突は亜音速で前進するため、即時に接近する隣接表面で圧力が生成され、これは各表面から金属の薄層を剥離させ、これを噴流で排出するのに十分である。表面の汚染物質、酸化物、および不純物は、この噴流で剥ぎ取られる。衝突地点では、新しく作成された清浄な金属表面が数百気圧の高圧で衝突する。爆発デトネーションでは大量の熱が生成されるが、熱が金属に伝導される時間がない。その結果、溶融または拡散のない理想的な金属対金属の接着となる。
【0043】
図5a、図5bは、ビレット80およびそのクラッド層82が機械加工された後のホルダ部材を示す。同様に、図6は、そのクラッド層を備えたビレットが機械加工された後の図3の管状インサート54を示す。クラッド層は、インサート部材の内腔のテーパ形部の大部分を含むことに留意されたい。これは、特に腐食性劣化に対して脆弱な領域内でクラッド用材料の厚さを増加させるという点で有利である。
【0044】
インサートがホルダ部材内に配置されると、電子ビーム溶接を使用して、インサート上のフランジの周辺と、端ぐり部を画定するホルダ部材内の壁との間の接合に沿って連続する溶接を形成することができる。めっきは、未処理の銅コリメータに比べて、コリメータの耐用年数に約3倍の改善を示したが、クラッド処理の場合、改善は約10倍であった。
【0045】
図12Aに概略的に示されるように、円筒形銅合金ビレット130は、最初に図12Bに示されるように機械加工され、所望の上部輪郭を生み出す。同様に、耐腐食性合金の円筒形ディスク132は、ビレット130の上部に対する相補型輪郭を有するように機械加工される。相補型輪郭を提示するように耐腐食性合金のディスクを型押しすることもオプションである。ディスク132はビレット130の機械加工された表面上に配置され、この2つは、空気および水分を除去するために組立体を高温および超高真空に曝すことが可能な密封容器内に配置される(図12C)。その後この容器は、固体対固体HIP法で高圧、高温に曝され、結果として、図12Dに示されるように、ビレット130と耐腐食性層132との間に堅固な接着を生じさせる。
【0046】
耐腐食性合金の固体ディスク132から始めるのではなく、最初に図12Aに示されるようにビレット130を機械加工し、その後粉末として耐腐食性合金を加えることにより、HIP法で銅ビレット132をクラッド処理することもできる。より詳細には、クラッド処理工程中に、1つまたは複数の選択された要素の混合粉末が、通常はスチール缶の容器134内の銅合金ビレット上に配置される。容器は、粉末から空気および水分を除去するために、高温および超高真空に曝される。次に容器は密閉され、高圧および高温下で不活性ガスが供給され、結果として内部空隙が除去され、材料全体を通じて強い金属接着が生成される。この結果、銅ビレットに付着された、均一に微粒子サイズで100%に近い密度の耐腐食性金属の、クリーンで均質の層となる。しかしながら、形成されたクラッド・ビレットは、次に、コリメータ・ホルダおよび/またはコリメータ・インサートを作成するために必要な機械加工作業の対象となり、これらについてはすべて上記で説明した。
【0047】
以上、本明細書では、特許法規に準拠するために、ならびに、新規な原理を適用するために必要な情報を当業者に提供するために、および必要に応じてこうした特殊な構成要素を構築および使用するために、本発明についてかなり詳細に説明してきた。しかしながら、本発明は、明確に異なる機器および装置によって実施可能であること、ならびに、機器および動作手順の両方に関する様々な修正が、本発明自体の範囲から逸脱することなく実施可能であることを理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】その末端にコリメータが示された移送式アーク・プラズマトーチを示す部分断面図である。
【図2】プラズマトーチから取り外されたコリメータを示す斜視図である。
【図3】プラズマアーク・トーチ・コリメータの1つの構造を示す断面図である。
【図4】代替コリメータ構造を示す断面図である。
【図5a】図3の構造で使用され、露出面上に耐腐食性合金のクラッド層を備えるコリメータ・ホルダの側面からの斜視図である。
【図5b】図5aのコリメータ・ホルダの上面からの斜視図である。
【図6】図3の構造で使用され、露出表面をカバーするクラッド層を有するコリメータ・インサートを示す斜視図である。
【図7】コリメータ・ホルダ部材またはコリメータ・インサートのいずれかが機械加工される元となるクラッド層を備える未加工の銅ビレットを示す斜視図である。
【図8】火炎溶射法を示す模式図である。
【図9】プラズマ溶射法を示す模式図である。
【図10】移送式プラズマアーク・クラッド処理法を示す模式図である。
【図11】銅ビレットにクラッド層を塗布するための爆着法を示す模式図である。
【図12A】クラッド処理のためのHIP法を実施する際の順序を示す模式図である。
【図12B】クラッド処理のためのHIP法を実施する際の順序を示す模式図である。
【図12C】クラッド処理のためのHIP法を実施する際の順序を示す模式図である。
【図12D】クラッド処理のためのHIP法を実施する際の順序を示す模式図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い意味で云えば、プラズマアーク・トーチに係わり、特に、腐食の影響を低減化し、それによってコリメータの耐用年数を延ばすように、プラズマアーク・トーチで用いられるコリメータを処理する方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術で知られるようなプラズマアーク・トーチは、電気エネルギーを、極度に高い温度を生成する熱エネルギーに効率的に変換することができる。例えば、プラズマアーク・トーチは、通常、6000℃〜7000℃という高い温度範囲内作業できる。
【0003】
プラズマアーク・トーチは、水冷式、逆極性、中空銅電極を使用することで知られている。アルゴン、窒素、ヘリウム、水素、空気、メタン、または酸素などのガスが、中空電極を通して注入され、アークによって電離されプラズマにされ、加熱室に注入または加熱工程に統合される。
【0004】
Hanus他の特許第5362939号で説明されるように、プラズマアーク・トーチは、以下の2つのモードのいずれかで動作するように作成することができる。「移送式アーク」と呼ばれる第1のモードでは、水冷式後部電極(アノード)が、トーチに注入されたガスに高い電圧および電流を印加する。熱処理の対象となる材料は、反対極性の電極となる。したがってプラズマガスは、トーチ内に含まれるガス渦巻発生器を通過し、導電性の銅製コリメータの中央穴を通って外に出され、カソード電極として働く材料に当たることになる。非移送式アーク・モードでは、アークは最初にトーチ内のアノードから発出し、トーチの排出口でカソードに再付着する。第1の電極から第2の電極に飛び込む場合、アークはトーチの先端を越えて外側に広がり、電気回路の一部を形成していない工作物に当たるようにできる。それ故、非移送式アーク・モードでは、トーチを使用して、非導電性工作物材料を効果的に加熱/溶融/揮発させることができる。
【0005】
移送式アーク・モード・トーチの場合、コリメータは、一般に、コリメータとは電気的に分離された後部アノード電極が含まれる略円筒形のトーチ本体の作業端にねじ込まれた銅製ホルダを備える。円筒形本体は、冷却水を受け取り、コリメータを経由させ、トーチの本体を通って排出ポートに戻すための流路をさらに含む。同様に、トーチガスは、コリメータの中央穴に隣接して配置された渦巻発生器への自身の流路を有する。
【0006】
典型的なプラズマトーチの細部構造に関心のある読者は、Hanus他の米国特許第5362939号(その全記載内容引用によって本明細書の記載として援用する)を参照されたい。
【0007】
プラズマトーチ技術の或る用途では、トーチのコリメータ部分が腐食性材料に暴露される。例えば、底灰と飛散灰の混合物をガラス状物に固化させるための固形廃棄物処理炉で使用される場合、プラスチックの熱破壊によって塩素ガスが生じる。この塩素が水素と組み合わされて塩酸が形成される可能性があり、これによって酸に曝された銅表面はさらに急速に腐食する可能性がある。コリメータは、コリメータ組立体内の冷却水路が破壊されるまで腐食されないことが不可欠である。炉内の極度に加熱された表面に水流を入射させることは、安全上深刻な問題となる可能性があり、避けなければならない。このため、漏れが生じるまでに腐食が達する前に、コリメータを頻繁に停止させ、交換する必要がある。
【0008】
移送式アーク・プラズマトーチで使用されるコリメータには、2次アーク放電も発生する可能性がある。こうした配置構成では、コリメータの電位は浮動状態であり、この電位とローカル・プラズマ電位との間の電圧勾配が十分に大きくなった場合、プラズマアークの分枝がコリメータに当たり、その表面に穴を開け、腐食させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の主な目的は、プラズマトーチ上で使用されるコリメータの露出面に耐腐食性バリアを設けることである。
【0010】
本発明の他の目的は、熱応力および/または2次アーク放電による割れを受けにくい腐食バリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コリメータ・ノズルの露出表面および内部出口穴の大部分がその上の耐腐食性被覆を含む、その末端にコリメート・ノズルを有する改良されたプラズマアーク・トーチを提供する。
【0012】
本発明の第1の実施形態によれば、耐腐食性被覆は、比較的薄い無電解ニッケル被覆、アルミナ被覆、またはニッケル・クロム被覆を含む。代替実施形態によれば、コリメート・ノズルの露出表面および内部出口穴の大部分は、移送式プラズマアーク溶接法、火炎溶射法、プラズマ溶射法、爆着法、熱間静水圧プレス(HIP)およびレーザ・クラッド処理法を含むいくつかの異なる方法で塗布された適切な耐腐食性合金によって所定の厚さまでクラッド処理される。
【0013】
当業者であれば、本発明の上記特徴、目的、および利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を、特に、いくつかの図面では同じ番号が対応する部分を示す添付の図面に関連して考察することから明らかとなるだろう。
【実施例】
【0014】
以下の説明では、ある種の用語が、制限するのではなく参照する際の便宜のためにのみ使用される。「上方へ」、「下方へ」、「右方向へ」、および「左方向へ」という語は、参照される図面内の方向を示すことになる。「内側へ」および「外側へ」という語は、それぞれ、装置およびその関連部分の幾何学的中心に向かう方向、ならびにこの中心から離れる方向を示すことになる。当該用語は、具体的に上で述べた用語、それらの派生語、および、同様に重要な用語を含む。
【0015】
初めに図1を見ると、従来のプラズマトーチが示されている。これは、全体として数字10で示される。近位端14および末端16を有する、外側鋼製シュラウド12を含むことがわかる。シュラウドは、後部電極18、ガス渦巻発生器20、および、シュラウド12の末端16内にねじで取り付けられたコリメータ部材22につながる冷却水路を作り出す他の管状構造体を含むトーチの種々の内部構成要素を囲む。吸水口スタブ24に配管(図示せず)が接続され、トーチ本体およびコリメータ内の水路を通過した後、温水はポート26でトーチから排出される。プラズマトーチに関する水の循環経路についての詳細は、上記Hanus他の米国特許第5362939号でより明確に記述および説明されているため、本明細書で繰り返す必要はない。プラズマアーク・トーチ用のガスは、加圧下で入口ポート28に供給され、吸水路および排水路とは分離された環状流路を通過し、最終的にガス渦巻発生器20へと到達する。吸水口スタブ24には高いプラスの電圧も印加され、電源のマイナス端子が工作物30に接続される。
【0016】
ポート28に注入されたガスは電離され、アーク32によってプラズマにされ、工作物30へと注入される。コリメータ22は、円錐台形テーパ34を有する長手方向穴34を含み、ビーム内にプラズマを集中させ、内部にプラズマトーチが取り付けられた炉内での溶融および化学反応を高速化する高熱を集束させるために働く。
【0017】
コリメータ22の露出環状面36は、加工材料30の溶融/気化から得られる腐食性化学物質に曝され、結果としてコリメータの侵食および点蝕が生じる。さらにコリメータは、特にコリメータのテーパ形領域34内で、2次アークの対象ともなる。
【0018】
冷却水がトーチ内に提供された通常水路から逃れ、2000°F(1093℃)またはそれ以上の温度である可能性のある工作物上に流れ出す時点まで、コリメータが劣化しないようにすることは必須である。結果として生じる過熱蒸気は、プラズマアーク加熱炉の境界内に爆発力を発生させる可能性がある。こうした事態を避けるために、工程を停止させ、比較的頻繁な間隔でコリメータを交換することが必要となる。本発明の目的は、コリメータの耐用年数を延長し、それによって、プラズマアーク・トーチが使用される工程のダウンタイムを減少させることである。
【0019】
次に図2を参照すると、図1の従来技術のコリメータ22の側面からの斜視図が示されている。40部分のように、平坦な表面を備える上端部分に沿って機械加工され、ホルダ部材をレンチでつかみ、トーチ本体12のねじが切られた末端にねじ込むことが可能な、六角パターンを形成する、全体的に円筒形の外壁を有するホルダ部材38を備えることがわかる。ホルダ部材上のねじ山は、図2では数字42によって識別される。ホルダ部材38は、好ましくは略円筒形の銅ビレットから機械加工され、銅は良好な電気および熱の伝導体である。
【0020】
ホルダ部材上のねじが切られた領域42の直下には、44部分のように、ホルダ部材外周の周囲に規則的な間隔で配置された複数の穴が配置される。コリメータの近位端には、一体形成された環状カラー46が提供される。
【0021】
図3は、コリメータ組立体の中央を通る長手方向断面図である。ここで、ホルダ部材38が、中央の長手方向穴48と、ホルダ部材の表面52から内側に向かって形成された対応穴50とを有することがわかる。さらに、放射穴44は中央穴48と流体連通していることもわかる。
【0022】
さらにコリメータ組立体22は、銅ビレットから機械加工され、ホルダ部材の中央穴を画定する壁と管状インサートの外径との間に所定の隙間を伴い、直径がホルダ部材の中央穴48内に嵌合するように寸法づけられた、中央内腔56および外壁58を有する管状インサート54を含む。さらにインサートは、その末端にあって内腔56を包囲する円形フランジ60を伴って形成される。さらに図3の断面図は、内腔56が、フランジ60の表面64につながる円錐台形のテーパ形部分62を有することも示す。
【0023】
管状インサート54がホルダ部材の穴48内部に配置され、フランジ60が端ぐり部50内に挿入される、図3に示された従来のコリメータ組立体では、フランジ60の外周と端ぐり部50の壁部との間の接合部が、適切に電子ビーム(電子ビーム)溶接される。同様に、ホルダ部材のカラー46と管状インサートの外壁の一部との間の接合部は、精密許容差ではめ合わさるように構成され、この接合部も電子ビーム溶接される。
【0024】
上記Hanus他の米国特許第5362939号で説明されるように、冷却水は、放射穴44を通り、穴48とインサート54の外側管状壁58との間の隙間を通る、第1の環状通路を通り、ここから環状ポートを通ってシュラウド12内に含まれる他の通路へと出て、排水ポート26(図1)へと通じるように流される。
【0025】
さらに管状インサート54は、好ましくは銅から形成されるという点において、プラズマトーチ加熱炉内で加熱/溶融されるターゲット材料の熱破壊時に生成される化学物質に曝されることから、腐食を受ける。ホルダ部材およびインサートの表面52および64は、それぞれ、腐食および2次アークが当たることによる侵食によって、材料を失うことになる。フランジ60と端ぐり部50との間の接合部における電子ビーム溶接は、特に脆弱でもあり、この接合部で漏れが生じた場合、加圧下での冷却水は、上記コリメータ内の冷却水路からジェット気流のように漏れ出し、温度が3000°F(1648℃)を超える可能性がある工作物30に当たるだけの可能性がある。
【0026】
図4は、コリメータ表面の溶接接合部をなくしたコリメータの代替構造を示す。これは、ホルダ部材38’が、図3の52部分のような露出面や、図3の実施形態における端ぐり部50を、もはや含まないように再構成することによって達成される。その代わりに、インサート部材54’は、かなり広いフランジ60’を含み、その周縁部は表面64’から後方にオフセットされる。このオフセット部分は、数字68で識別される。ホルダ部材の穴48’にインサート部材を挿入した後、この2つはそれぞれ位置70および72で互いに溶接される。コリメータ組立体がトーチ本体12の末端にねじ込まれると、溶接接合部70および溶接接合部72はどちらも、廃棄物の高温処理時に生成された腐食性副産物に曝されない。
【0027】
本発明は、プラズマアーク・トーチ構造体で使用されるコリメータの耐用年数を延長するための方法を提供する。より詳細には、ホルダ部材およびインサートの露出表面と内部出口穴の大部分とに耐腐食性被覆を提供することによって、コリメータの耐用年数を延長することができる。
【0028】
コリメータの耐用年数に対する腐食の影響を低減するための第1の方法によれば、図3の構造の露出表面64、52、および、図4の構造における64’には、比較的薄い、耐腐食性被覆が施される。例えば、上記表面にニッケルの第1層を厚さ約0.001インチ(0.0254mm)まで電気めっきし、その後、クロムを厚さ0.002インチ(0.0508mm)まで電気めっきすることができるが、これに限定されない。別の方法としては、上記表面に無電解ニッケルを、約0.002インチ(0.0508mm)〜0.003インチ(0.0762mm)の範囲内の厚さまで付着させることができる。他の配置構成では、コリメータの露出銅表面にニッケルの接合材被覆を施した後、酸化アルミニウム(アルミナ)を火炎溶射法で約0.010インチ(0.254mm)の厚さまで上塗りとして塗布することができる。
【0029】
上記めっき/薄膜被覆動作は、交換時間の延長において3倍の効果があることが証明されている。被覆の失敗は、最終的に、特に、テーパ形穴62がインサートのフランジのやや平坦な鉗子状部分と交差する箇所である鋭い縁部分で発生する傾向があった。
【0030】
さらなる他の改良点を得るための試行において、めっき/被覆作業に先立って、コリメータの幾何形状自身に様々な変更が加えられた。より詳細には、インサート内腔のテーパ形部分と露出表面との交差部分にある鋭利な縁部は、周縁部と同様に、平滑な丸みが付けられた。これにより、被覆の割れおよび基礎となる銅の露出が低減される。一般に、薄めっき耐腐食性被覆、および、耐腐食性被覆上への溶射による薄めっきは、基礎となる銅を露出させる2次アークによる割れまたは深いクレーターが発現するまでは、効果的であることが証明された。インサート内腔のテーパ形部分に直近の縁部をより平滑にすることと、めっきおよび/またはプラズマ溶射されたコリメータとにより、結果として、従来の裸銅コリメータの20倍の耐用年数が生まれた。2次アークによる深いくぼみが最終的に基礎となる銅を露出させるほど被覆層を侵食するまでは、被覆は効果的であった。
【0031】
プラズマアーク・トーチで使用されるコリメータの耐用年数におけるさらに他の改良が、所定の厚さのクラッド層を備えた銅製コリメータ・ノズルの露出表面と内部出口穴の大部分とをカバーすることによって達成された。成功が証明されたクラッド材料は、ハステロイ(C−22)、インコネル617、およびインコネル625材料を含む。
【0032】
次に図7を参照しながら、コリメータのホルダ部材およびインサートを、保護の耐腐食性クラッド層を塗布して形成することができる手法について説明する。中実円筒形の銅製ビレット80から始まり、ビレットの上部基体面84に、クラッド材料82の層が、通常は1mm〜10mmの所望の厚さまで塗布される。当分野で周知の様々なクラッド方法を使用して、耐腐食性合金を銅ビレットに接着することができる。例えば火炎溶射法では、図8に示されたような装置を使用することができる。ここでは、消耗品(通常は金属粉またはワイヤ)が融点を超えて加熱され、被覆を形成するようにビレットの表面上に推進される。火炎溶射は、通常、酸素を用いたアセチレンまたはプロパンなどの燃料ガスの燃焼からの熱を使用して被覆材料を溶融し、これを粉末として溶射銃内に送り込むことができる。図8に示されるように、粉末は、圧縮空気または不活性ガス、すなわち吸気ガスの流れによって、火炎内に直接送られる。別の方法としては、ある基本システムでは、粉末は、燃料ガスの流れによって持続されるベンチュリ効果を使用して火炎内に送られる。粉末は、火炎を通過する際に十分に加熱されることが重要である。搬送ガスは、金属粉が加熱される環状燃焼火炎86の中央へ、金属粉を送り込む。第2の外部環状ガス・ノズル88は、圧縮空気の流れを燃焼火炎周囲に送り込み、これによって、基体92に向かう溶射流れ90内の溶射粒子を加速させ、火炎を集束させる。
【0033】
被覆品質に影響を与える2つの主要部分は、表面処理および溶射パラメータである。表面処理は、被覆94の付着に重要であり、被覆の腐食性能に影響を与える可能性がある。主なファクターは、グリット・ブラスト輪郭および表面の汚れである。溶射パラメータは、被覆のマイクロ組織に影響を与える可能性がより高く、被覆性能にも影響を及ぼすことになる。重要なパラメータには、溶射銃対基体の配向および距離、ガスの流速、および粉末の供給速度が含まれる。
【0034】
熱溶射される被覆の接着は、主に機械的である。しかしながら、これでは接着強度と基体材料とを無関係のままにしておくことはできない。すべての熱溶射被覆は、内部応力の程度を維持する。この応力は、被覆が厚くなるほど大きくなる。したがって、塗布することができる被覆の厚さには制限がある。場合によっては、被覆が薄いほど接着強度が高くなる。
【0035】
次に図9を見ると、耐腐食性材料のクラッド層を銅製基体に施すために有利に使用することができる他の工程には、プラズマ溶射法が含まれる。火炎溶射法と同様に、これには基本的に、被覆を付与するために、溶融または熱による軟化材料を表面に溶射することが含まれる。粉末の形の材料が、超高温のプラズマ火炎98に注入され、ここで急速に加熱され、高速まで加速される。高温材料が基体表面100上に衝突し、急速に冷却されて被覆102を形成する。このプラズマ溶射法は、正しく実施された場合「冷却法」と呼ばれ、処理中に基体温度を低く維持し、基体材料に対する損傷、金属的変化、およびゆがみを避けることができる。図9に示されるように、プラズマ溶射銃は銅製アノード104およびタングステン・カソード106を備え、これら両方が水冷却される。プラズマガス(アルゴン、窒素、水素、ヘリウム)は、カソード106周囲およびアノード104を通過して流れ、これが圧縮ノズルの形状となる。プラズマは高電圧放電によって開始され、これが局所的な電離を発生させ、DCアーク用の導電性パスをカソードとアノードとの間に形成させる。アークからの抵抗加熱により、ガスが極度の高温に達し、プラズマを形成するために解離および分離される。プラズマは、自由または中性のプラズマ、すなわち電流を運ばないプラズマ火炎としてアノード・ノズルから発射され、これは、アークが被覆される表面にまで延びる移送式プラズマアーク被覆法と比べるとまったく異なる。プラズマが安定化され、溶射準備が整うと、アークは、アノード・ノズルの最も近い縁部まで短くされるのではなく、アノード・ノズル108まで延長される。このアークの延伸は、熱ピンチ効果によるものである。電気的に非導電性の水冷却されたアノード・ノズルの表面周辺の冷たいガスは、プラズマアークを圧縮し、その温度および速度を上げる。粉末は、最も一般的にはアノード・ノズル出口付近に取り付けられた外部粉末ポート110を利用して、プラズマ火炎に送られる。粉末は急速に加速されるため、溶射距離はほぼ25〜150mmとすることができる。
【0036】
プラズマ溶射は、燃焼法とは異なり、セラミックスを含む耐火性材料などの、融点が非常に高い材料を溶射できるという利点を有する。プラズマ溶射被覆は、一般に、他の熱溶射法よりも緻密、強固、およびクリーンである。
【0037】
図10は、移送式プラズマアーク・クラッド法のための装置を示す模式図である。ここでは、非消耗タングステン電極112と工作物114との間で、パイロット・アークが点火または生成される。プラズマ形成ノズル116、および電源120からの高電圧を活用する発振器ユニット118からの高電圧。パイロット・アークは、タングステン電極112と工作物114との間に移送式アークを生成する。移送式アークは、プラズマ形成ノズル122によって圧縮され、より高い温度および密度となる。添加粉末が搬送ガスによってアーク・カラム124に送られる。
【0038】
粉末の全体量および工作物上の薄膜のみが溶融されるように、処理条件を調節することができる。結果として、詳細な材料の最低の希釈で、クラッド層とビレットとの間に金属接着が提供される。アーク・プラズマ供給、粉末移送、および溶融材料遮蔽には、基本的にアルゴンが使用される。移送式プラズマアーク・クラッド法は、最高毎時10キログラムという高い付着率をもたらす。厚さ0.5mm〜5mm、および直径3mm〜5mmの付着が、即時に生成可能である。
【0039】
ビレットをクラッド処理するための他の方法が、図11に示される。ここではいわゆる爆発クラッド処理が示される。「爆発溶接法によるクラッド処理」としても周知の爆着法は、従来技術で周知の技術に基づいた業界溶接法である。これは任意の他の溶接法と同様に、よく理解された信頼できる原理に準拠している。この工程は、爆発デトネーションをエネルギー源として使用し、金属構成要素間に金属的接着を生成する。これを使用して、どちらも金属的に共存可能であり、どちらも従来の方法では溶接不可能であると知られている事実上いかなる金属の組合せも接合することができる。さらに、爆着法は、それぞれが異なる種類の金属または合金の可能性がある1つまたは複数の層を基本材料の片面または両面にクラッド処理することができる。
【0040】
その爆発エネルギーを使用することにより、この方法はかなりの速度を生じさせるため、従来の溶接法とは異なり、接着作業中にパラメータを微調整することはできない。接着された製品の品質は、良好に制御可能な適切な工程パラメータの集まりを通じて確保される。これらには、金属表面処理、接着前のプレート分離距離、爆発負荷、速度およびデトネーション・エネルギーが含まれる。パラメータの選択は、接着される各構成要素金属の機械的特性、質量、および音速に基づく。最適な接着パラメータは、結果として一貫した製品品質を生じさせ、ほとんどの金属の組合せに対して確立されている。他のシステムに関するパラメータは、確立された公式を使用する計算によって決定することができる。
【0041】
爆発クラッド処理における第1の段階は、互いに接着される2つの表面を処理することである。クラッド層は、選択された耐腐食性合金のプレート126を備える。その表面は、均一な表面仕上げを達成するために、研削または研磨される。クラッド処理プレート126は、クラッド処理される銅ビレット80の表面の上に、これと並行に配置されるように、位置決めおよび固定される。クラッド処理プレートとビレット表面との間の距離dは「スタンドオフ距離」と呼ばれ、接着される特定の金属組合せについて事前に決定されなければならない。この距離は、特定の衝突速度まで加速した後に、クラッド処理プレートがビレットと確実に衝突するように選択される。スタンドオフ距離は、以下で説明するような衝突パラメータの選択に応じて、通常、クラッド処理プレートの厚さの0.5から4倍まで変化する。衝突速度における許容範囲を制限することにより、結果として、スタンドオフ距離を同様の許容範囲で制御することができる。
【0042】
爆発封じ込めフレーム(図示せず)が、クラッド処理金属プレートの縁部周囲に配置される。フレームの高さは特定量の爆発128を封じ込め、単位面積当たり特定のエネルギーを解放するように設定される。一般に、粒状でクラッド処理プレート表面上に均一に分散される爆発は、封じ込めフレームを満たす。これは、高速爆発ブースタを使用して、プレート表面上の所定の地点で点火される。デトネーションは、開始点から移動していき、特定のデトネーション速度でプレート表面を横切る。爆発デトネーション130のガス膨張は、スタンドオフ・ギャップを超えてクラッド処理プレートを加速し、結果として特定の衝突速度で角衝突を発生させる。結果として生じる衝突は、衝突地点に非常に高い局所圧力を生み出す。これらの圧力は、金属の音速で衝突点から移動していく。衝突は亜音速で前進するため、即時に接近する隣接表面で圧力が生成され、これは各表面から金属の薄層を剥離させ、これを噴流で排出するのに十分である。表面の汚染物質、酸化物、および不純物は、この噴流で剥ぎ取られる。衝突地点では、新しく作成された清浄な金属表面が数百気圧の高圧で衝突する。爆発デトネーションでは大量の熱が生成されるが、熱が金属に伝導される時間がない。その結果、溶融または拡散のない理想的な金属対金属の接着となる。
【0043】
図5a、図5bは、ビレット80およびそのクラッド層82が機械加工された後のホルダ部材を示す。同様に、図6は、そのクラッド層を備えたビレットが機械加工された後の図3の管状インサート54を示す。クラッド層は、インサート部材の内腔のテーパ形部の大部分を含むことに留意されたい。これは、特に腐食性劣化に対して脆弱な領域内でクラッド用材料の厚さを増加させるという点で有利である。
【0044】
インサートがホルダ部材内に配置されると、電子ビーム溶接を使用して、インサート上のフランジの周辺と、端ぐり部を画定するホルダ部材内の壁との間の接合に沿って連続する溶接を形成することができる。めっきは、未処理の銅コリメータに比べて、コリメータの耐用年数に約3倍の改善を示したが、クラッド処理の場合、改善は約10倍であった。
【0045】
図12Aに概略的に示されるように、円筒形銅合金ビレット130は、最初に図12Bに示されるように機械加工され、所望の上部輪郭を生み出す。同様に、耐腐食性合金の円筒形ディスク132は、ビレット130の上部に対する相補型輪郭を有するように機械加工される。相補型輪郭を提示するように耐腐食性合金のディスクを型押しすることもオプションである。ディスク132はビレット130の機械加工された表面上に配置され、この2つは、空気および水分を除去するために組立体を高温および超高真空に曝すことが可能な密封容器内に配置される(図12C)。その後この容器は、固体対固体HIP法で高圧、高温に曝され、結果として、図12Dに示されるように、ビレット130と耐腐食性層132との間に堅固な接着を生じさせる。
【0046】
耐腐食性合金の固体ディスク132から始めるのではなく、最初に図12Aに示されるようにビレット130を機械加工し、その後粉末として耐腐食性合金を加えることにより、HIP法で銅ビレット132をクラッド処理することもできる。より詳細には、クラッド処理工程中に、1つまたは複数の選択された要素の混合粉末が、通常はスチール缶の容器134内の銅合金ビレット上に配置される。容器は、粉末から空気および水分を除去するために、高温および超高真空に曝される。次に容器は密閉され、高圧および高温下で不活性ガスが供給され、結果として内部空隙が除去され、材料全体を通じて強い金属接着が生成される。この結果、銅ビレットに付着された、均一に微粒子サイズで100%に近い密度の耐腐食性金属の、クリーンで均質の層となる。しかしながら、形成されたクラッド・ビレットは、次に、コリメータ・ホルダおよび/またはコリメータ・インサートを作成するために必要な機械加工作業の対象となり、これらについてはすべて上記で説明した。
【0047】
以上、本明細書では、特許法規に準拠するために、ならびに、新規な原理を適用するために必要な情報を当業者に提供するために、および必要に応じてこうした特殊な構成要素を構築および使用するために、本発明についてかなり詳細に説明してきた。しかしながら、本発明は、明確に異なる機器および装置によって実施可能であること、ならびに、機器および動作手順の両方に関する様々な修正が、本発明自体の範囲から逸脱することなく実施可能であることを理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】その末端にコリメータが示された移送式アーク・プラズマトーチを示す部分断面図である。
【図2】プラズマトーチから取り外されたコリメータを示す斜視図である。
【図3】プラズマアーク・トーチ・コリメータの1つの構造を示す断面図である。
【図4】代替コリメータ構造を示す断面図である。
【図5a】図3の構造で使用され、露出面上に耐腐食性合金のクラッド層を備えるコリメータ・ホルダの側面からの斜視図である。
【図5b】図5aのコリメータ・ホルダの上面からの斜視図である。
【図6】図3の構造で使用され、露出表面をカバーするクラッド層を有するコリメータ・インサートを示す斜視図である。
【図7】コリメータ・ホルダ部材またはコリメータ・インサートのいずれかが機械加工される元となるクラッド層を備える未加工の銅ビレットを示す斜視図である。
【図8】火炎溶射法を示す模式図である。
【図9】プラズマ溶射法を示す模式図である。
【図10】移送式プラズマアーク・クラッド処理法を示す模式図である。
【図11】銅ビレットにクラッド層を塗布するための爆着法を示す模式図である。
【図12A】クラッド処理のためのHIP法を実施する際の順序を示す模式図である。
【図12B】クラッド処理のためのHIP法を実施する際の順序を示す模式図である。
【図12C】クラッド処理のためのHIP法を実施する際の順序を示す模式図である。
【図12D】クラッド処理のためのHIP法を実施する際の順序を示す模式図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状後部ハウジング内に同軸上に装着された円筒形後部電極を備える管状後部ハウジング部分を有する形式のプラズマアーク・トーチであって、前記円筒形後部電極が、閉じた内端および開いた外端と、前記後部電極の前記開いた外端に隣接して配置された環状ガス渦巻発生器部材と、露出表面およびそれを通る内部出口穴を有するコリメータ・ノズルに隣接する前部電極とを含み、前記コリメータ・ノズルが、前記後部電極および前記ガス渦巻発生器部材と同軸上に整合して前記管状後部ハウジングに解放可能に結合されて成る、前記プラズマアーク・トーチにおいて、
(a)前記コリメータ・ノズルの前記露出表面上の耐腐食性被覆を含むプラズマアーク・トーチ。
【請求項2】
前記コリメータ・ノズルの前記内部出口穴の一部を覆う耐腐食性被覆を更に含む請求項1に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項3】
前記前部電極およびコリメータ・ノズルのうちの1つが銅合金である請求項1に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項4】
前記露出表面上の前記耐腐食性被覆が、その上に塗布された複数の耐腐食性金属合金のうちの1つを含む請求項3に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項5】
前記コリメータ・ノズルの前記内部出口穴の一部上の前記耐腐食性被覆が、その上に塗布された複数の耐腐食性金属合金のうちの1つを含む請求項3に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項6】
前記露出表面上の前記耐腐食性被覆が、非金属酸化物の被覆である請求項1に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項7】
前記コリメータ・ノズルの前記内部出口穴の一部上の前記耐腐食性被覆が、非金属酸化物の被覆である請求項3に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項8】
前記非金属酸化物被覆が、火炎溶射法、プラズマ溶射法、および熱間静水圧プレス法のうちの1つで施される請求項6または請求項7に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項9】
前記耐腐食性被覆が、ニッケル基合金およびクロム基合金のうちの1つの被覆を含む請求項1または請求項2に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項10】
前記ニッケル基合金およびクロム基合金のうちの1つの被覆が、無電解めっき法、電解めっき法、火炎溶射法、プラズマ溶射法、および化学蒸着法のうちの1つによって施される請求項9に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項11】
前記銅コリメータ・ノズルの前記露出表面上および前記内部出口穴の一部上の前記耐腐食性被覆が、所定の厚さのクラッド層を含む請求項2に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項12】
前記クラッド層が、移送式プラズマアーク法、爆発クラッド処理法、熱間静水圧プレス法、およびレーザ・クラッド処理法のうちの1つで塗布される請求項11に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項13】
前記クラッド層が、ニッケルおよびクロム合金からなる群から選択された耐腐食性合金を含む請求項12に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項14】
前記コリメータ・ノズルが、
(a)略円筒形の壁およびそれを通って延びる中央の長手方向穴を有するホルダであって、前記中央の長手方向穴が、その一方の端部から内側へと形成された端ぐり部と、前記中央穴と流体連通する壁を通って延びる複数の放射穴とを備えるホルダと、
(b)内腔を有し、前記中央穴とインサートの外径との間に所定の隙間を伴って前記中央穴内に嵌合するように寸法づけされた管状インサートであって、前記管状インサートは、その末端で前記内腔を包囲する円形フランジを含む管状インサートと、
(c)円形フランジの表面および前記ホルダの露出面が共に、前記コリメータ・ノズルの前記露出表面および前記内部出口穴の一部を規定するように、前記円形フランジの周囲表面を前記端ぐり部内の前記ホルダに接合する溶接部とを含む請求項2に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項15】
前記ホルダおよびインサートが、それぞれ銅合金を含む請求項14に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項16】
前記銅コリメータ・ノズルの前記露出表面上および前記内部出口穴上の前記耐腐食性被覆が、ニッケル、クロム、および酸化物被覆のうちの1つを含む請求項15に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項17】
前記耐腐食性被覆が、プラズマ溶射法、火炎溶射法、および熱間静水圧プレス法のうちの1つで前記銅コリメータ・ノズルの前記露出表面および前記内部出口穴の一部に塗布されたアルミナを含む請求項15に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項18】
前記銅コリメータ・ノズルの前記露出表面および前記内部出口穴の一部上の前記耐腐食性被覆が、移送式プラズマアーク溶接法、爆着法、熱間静水圧プレス法、およびレーザ溶接法のうちの1つで施された、所定の厚さのクラッド層を有する請求項15に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項19】
前記クラッド層が、ニッケル合金およびクロム合金のうちの1つを含む請求項12に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項20】
プラズマアーク・トーチ用のコリメータ・ノズルを製造する方法であって、
(a)銅の円筒形ブロックからホルダ部材を機械加工する段階であって、前記ホルダ部材が、円筒形外壁およびそれを通って延びる長手方向穴を含み、前記長手方向穴が、その一方の端部から内側へと形成された端ぐり部と、中央穴と流体連通する壁を通って延びる複数の放射穴とを備える前記機械加工する段階と、
(b)銅のブロックから管状インサート部材を機械加工する段階であって、前記管状インサート部材が、内腔を有し、前記長手方向穴と前記インサート部材の外径との間に所定の隙間を伴って前記ホルダ部材の前記長手方向穴内に嵌合するように寸法づけされ、さらに前記管状インサート部材が、その一端で前記内腔を包囲する円形フランジを備える前記機械加工する段階と、
(c)前記端ぐり部内に前記円形フランジが配置された前記ホルダ部材の前記長手方向穴内に前記管状インサート部材を挿入する段階と、
(d)前記フランジの周囲と前記端ぐり部を画定する壁との間に連続する溶接を作成する段階と、
(e)段階(d)の組立体の所定の露出面と、前記インサート部材の前記内腔を画定する壁の少なくとも一部とを、銅よりも大きな耐腐食性を示す材料でカバーする段階とを含む方法。
【請求項21】
前記被覆材料が、ニッケル被覆、クロム被覆、ニッケル・クロム被覆、および酸化物被覆のうちの1つである請求項20に記載された方法。
【請求項22】
前記被覆材料が、化学蒸着法、無電解めっき法、火炎溶射法、プラズマ溶射法、および熱間静水圧プレス法のうちの1つで塗布される請求項20に記載された方法。
【請求項23】
プラズマアーク・トーチ用のコリメータ・ノズルを製造する方法であって、
(a)銅ブロックからホルダ部材を機械加工する段階であって、前記ホルダ部材が、第1および第2の端部と、その間に延びる内腔とを有する管状部分を含む前記機械加工する段階と、
(b)銅ブロックからインサート部材を機械加工する段階であって、前記インサート部材が、前記第1および第2の端部と、その間に延びる内腔とを備える管状部分を有し、前記管状部分が、前記ホルダ部材の前記内腔の直径よりも短い外径と、前記第1の端部直近に放射状に延びる表面を有する略円形のフランジとを有し、前記フランジが前記表面からオフセットされた周縁部で終わる段階と、
(c)前記ホルダ部材の前記内腔内に前記インサート部材の前記管状部分を挿入する段階と、
(d)前記インサート部材の垂直縁部を、前記表面のオフセット位置のところで、および前記ホルダ部材の第1の端部と第2の端部との間で、前記ホルダ部材に溶接する段階と、
(e)前記表面と、前記インサート部材の前記内腔の所定の部分とを、銅よりも大きい耐腐食性を示す材料でカバーする段階とを含む方法。
【請求項24】
前記被覆材料が、ニッケル被覆、クロム被覆、ニッケル・クロム被覆、および酸化物被覆のうちの1つである請求項23に記載された方法。
【請求項25】
前記被覆材料が、アルミナ・セラミックの第2層が重ねられたクロムの第1層を含む請求項24に記載された方法。
【請求項26】
前記被覆材料が、化学蒸着法、無電解めっき法、電解めっき法、火炎溶射法、プラズマ溶射法、および熱間静水圧プレス法のうちの1つで塗布される請求項24に記載された方法。
【請求項27】
プラズマアーク・トーチ用のコリメータ・ノズルを製造する方法であって、
(a)第1の銅ビレットを供給する段階と、
(b)前記第1の銅ビレットの所定の表面を、耐腐食性金属材料で所望の厚さまでクラッド処理する段階と、
(c)第2の銅ビレットを供給する段階と、
(d)前記第2の銅ビレットの所定の表面を、前記耐腐食性金属材料で所望の厚さまでクラッド処理する段階と、
(e)ホルダ部材を形成するために前記第1の銅ビレットを機械加工する段階であって、前記ホルダ部材が、略円筒形の外壁と、前記第1の銅ビレットを縦方向に通る第1の所定の直径を有する中央穴と、前記第1の銅ビレットの前記所定の表面上の前記クラッドを通って延びる第2の所定の直径を有する端ぐり部と、前記第1の銅ビレットの縦軸に対して斜めに配向された複数の放射穴とを含み、前記放射穴が前記外壁から前記中央穴へと延びる前記機械加工する段階と、
(f)インサート部材を形成するために前記第2の銅ビレットを機械加工する段階であって、前記インサート部材が、略円形断面の管状ステムと、第1と第2の端部間に延びる内腔を備えた第1および第2の端部とを含み、前記ステムの外径が、前記第1の銅ビレットの前記中央穴と、前記内腔を囲む前記第1の端部で放射状に延びるフランジとの直径よりも短く、前記フランジが、前記ホルダ部材の前記端ぐり部の前記第2の所定の直径にほぼ等しい直径を有する前記機械加工する段階と、
(g)前記端ぐり部内に前記フランジが配置された前記ホルダ部材の前記端ぐり部に前記インサート部材を挿入する段階と、
(h)前記フランジの周囲と、前記端ぐり部を画定する前記ホルダ部材内の前記壁との間の接合部に沿って連続する溶接を形成する段階とを含む方法。
【請求項28】
前記クラッド処理段階が、
(a)前記第1および第2の銅ビレット上に耐腐食性金属材料のプレートを配置する段階と、
(b)熱間静水圧プレス法を使用して前記ビレットに前記プレートを融着する段階とを含む請求項27に記載された方法。
【請求項29】
前記クラッド処理段階が、
(a)前記第1および第2の銅ビレット上に耐腐食性金属材料のプレートを配置する段階と、
(b)前記プレートを前記第1および第2の銅ビレット上に爆着する段階とを含む請求項27に記載された方法。
【請求項30】
前記クラッドが、ニッケル合金およびクロム合金のうちの1つを含む請求項27に記載された方法。
【請求項31】
前記クラッド処理段階が、移送式プラズマアーク工程で、前記耐腐食性金属材料を前記所定の厚さまで付着させる段階を含む請求項27に記載された方法。
【請求項32】
プラズマアーク・トーチ用のコリメータ・ノズルを製造する方法であって、
(a)第1の銅ビレットを供給する段階と、
(b)第2の銅ビレットを供給する段階と、
(c)前記第2の銅ビレットの所定の表面を、前記耐腐食性金属材料で所望の厚さまでクラッド処理する段階と、
(d)ホルダ部材を形成するために前記第1の銅ビレットを機械加工する段階であって、前記ホルダ部材が、第1と第2の端部間に延びる内腔を備えた第1および第2の端部を有する管状部分を備える前記機械加工する段階と、
(e)前記第2の銅ビレットを機械加工し、インサート部材を形成するためにクラッド処理する段階であって、前記インサート部材が、第1および第2の端部と、それらの間に延びる内腔とを備えた管状部分を有し、前記管状部分が、前記ホルダ部材の前記内腔の直径よりも短い外径と、前記インサート部材の前記管状部分の前記第1の端部直近に放射状に延びる前記所定の表面を含む表面を有する略円形のフランジとを有し、前記フランジが前記所定の表面からオフセットされた周縁部で終わる、前記機械加工してクラッド処理する段階と、
(f)前記ホルダ部材の前記内腔内に、前記インサート部材の前記管状部分を挿入する段階と、
(g)前記フランジ上の前記周縁部を、前記表面のオフセット位置のところで、および前記ホルダ部材の第1の端部と第2の端部との間で、前記ホルダ部材に溶接する段階とを含む方法。
【請求項33】
前記クラッド処理段階が、
(a)前記第1および第2の銅ビレット上に耐腐食性金属材料のプレートを配置する段階と、
(b)熱間静水圧プレス法を使用して前記第1および第2のビレットに前記プレートを融着する段階と、
を含む請求項32に記載された方法。
【請求項34】
前記クラッド処理段階が、
(a)前記第1および第2の銅ビレット上に耐腐食性金属材料のプレートを配置する段階と、
(b)前記プレートを前記第1および第2の銅ビレット上に爆着する段階とを含む請求項32に記載された方法。
【請求項35】
前記クラッドが、ニッケル合金およびクロム合金のうちの1つを含む請求項32に記載された方法。
【請求項36】
前記クラッド処理段階が、移送式プラズマアーク工程で、前記耐腐食性金属材料を前記所定の厚さまで付着させる段階を含む請求項32に記載された方法。
【請求項1】
管状後部ハウジング内に同軸上に装着された円筒形後部電極を備える管状後部ハウジング部分を有する形式のプラズマアーク・トーチであって、前記円筒形後部電極が、閉じた内端および開いた外端と、前記後部電極の前記開いた外端に隣接して配置された環状ガス渦巻発生器部材と、露出表面およびそれを通る内部出口穴を有するコリメータ・ノズルに隣接する前部電極とを含み、前記コリメータ・ノズルが、前記後部電極および前記ガス渦巻発生器部材と同軸上に整合して前記管状後部ハウジングに解放可能に結合されて成る、前記プラズマアーク・トーチにおいて、
(a)前記コリメータ・ノズルの前記露出表面上の耐腐食性被覆を含むプラズマアーク・トーチ。
【請求項2】
前記コリメータ・ノズルの前記内部出口穴の一部を覆う耐腐食性被覆を更に含む請求項1に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項3】
前記前部電極およびコリメータ・ノズルのうちの1つが銅合金である請求項1に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項4】
前記露出表面上の前記耐腐食性被覆が、その上に塗布された複数の耐腐食性金属合金のうちの1つを含む請求項3に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項5】
前記コリメータ・ノズルの前記内部出口穴の一部上の前記耐腐食性被覆が、その上に塗布された複数の耐腐食性金属合金のうちの1つを含む請求項3に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項6】
前記露出表面上の前記耐腐食性被覆が、非金属酸化物の被覆である請求項1に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項7】
前記コリメータ・ノズルの前記内部出口穴の一部上の前記耐腐食性被覆が、非金属酸化物の被覆である請求項3に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項8】
前記非金属酸化物被覆が、火炎溶射法、プラズマ溶射法、および熱間静水圧プレス法のうちの1つで施される請求項6または請求項7に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項9】
前記耐腐食性被覆が、ニッケル基合金およびクロム基合金のうちの1つの被覆を含む請求項1または請求項2に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項10】
前記ニッケル基合金およびクロム基合金のうちの1つの被覆が、無電解めっき法、電解めっき法、火炎溶射法、プラズマ溶射法、および化学蒸着法のうちの1つによって施される請求項9に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項11】
前記銅コリメータ・ノズルの前記露出表面上および前記内部出口穴の一部上の前記耐腐食性被覆が、所定の厚さのクラッド層を含む請求項2に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項12】
前記クラッド層が、移送式プラズマアーク法、爆発クラッド処理法、熱間静水圧プレス法、およびレーザ・クラッド処理法のうちの1つで塗布される請求項11に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項13】
前記クラッド層が、ニッケルおよびクロム合金からなる群から選択された耐腐食性合金を含む請求項12に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項14】
前記コリメータ・ノズルが、
(a)略円筒形の壁およびそれを通って延びる中央の長手方向穴を有するホルダであって、前記中央の長手方向穴が、その一方の端部から内側へと形成された端ぐり部と、前記中央穴と流体連通する壁を通って延びる複数の放射穴とを備えるホルダと、
(b)内腔を有し、前記中央穴とインサートの外径との間に所定の隙間を伴って前記中央穴内に嵌合するように寸法づけされた管状インサートであって、前記管状インサートは、その末端で前記内腔を包囲する円形フランジを含む管状インサートと、
(c)円形フランジの表面および前記ホルダの露出面が共に、前記コリメータ・ノズルの前記露出表面および前記内部出口穴の一部を規定するように、前記円形フランジの周囲表面を前記端ぐり部内の前記ホルダに接合する溶接部とを含む請求項2に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項15】
前記ホルダおよびインサートが、それぞれ銅合金を含む請求項14に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項16】
前記銅コリメータ・ノズルの前記露出表面上および前記内部出口穴上の前記耐腐食性被覆が、ニッケル、クロム、および酸化物被覆のうちの1つを含む請求項15に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項17】
前記耐腐食性被覆が、プラズマ溶射法、火炎溶射法、および熱間静水圧プレス法のうちの1つで前記銅コリメータ・ノズルの前記露出表面および前記内部出口穴の一部に塗布されたアルミナを含む請求項15に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項18】
前記銅コリメータ・ノズルの前記露出表面および前記内部出口穴の一部上の前記耐腐食性被覆が、移送式プラズマアーク溶接法、爆着法、熱間静水圧プレス法、およびレーザ溶接法のうちの1つで施された、所定の厚さのクラッド層を有する請求項15に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項19】
前記クラッド層が、ニッケル合金およびクロム合金のうちの1つを含む請求項12に記載されたプラズマアーク・トーチ。
【請求項20】
プラズマアーク・トーチ用のコリメータ・ノズルを製造する方法であって、
(a)銅の円筒形ブロックからホルダ部材を機械加工する段階であって、前記ホルダ部材が、円筒形外壁およびそれを通って延びる長手方向穴を含み、前記長手方向穴が、その一方の端部から内側へと形成された端ぐり部と、中央穴と流体連通する壁を通って延びる複数の放射穴とを備える前記機械加工する段階と、
(b)銅のブロックから管状インサート部材を機械加工する段階であって、前記管状インサート部材が、内腔を有し、前記長手方向穴と前記インサート部材の外径との間に所定の隙間を伴って前記ホルダ部材の前記長手方向穴内に嵌合するように寸法づけされ、さらに前記管状インサート部材が、その一端で前記内腔を包囲する円形フランジを備える前記機械加工する段階と、
(c)前記端ぐり部内に前記円形フランジが配置された前記ホルダ部材の前記長手方向穴内に前記管状インサート部材を挿入する段階と、
(d)前記フランジの周囲と前記端ぐり部を画定する壁との間に連続する溶接を作成する段階と、
(e)段階(d)の組立体の所定の露出面と、前記インサート部材の前記内腔を画定する壁の少なくとも一部とを、銅よりも大きな耐腐食性を示す材料でカバーする段階とを含む方法。
【請求項21】
前記被覆材料が、ニッケル被覆、クロム被覆、ニッケル・クロム被覆、および酸化物被覆のうちの1つである請求項20に記載された方法。
【請求項22】
前記被覆材料が、化学蒸着法、無電解めっき法、火炎溶射法、プラズマ溶射法、および熱間静水圧プレス法のうちの1つで塗布される請求項20に記載された方法。
【請求項23】
プラズマアーク・トーチ用のコリメータ・ノズルを製造する方法であって、
(a)銅ブロックからホルダ部材を機械加工する段階であって、前記ホルダ部材が、第1および第2の端部と、その間に延びる内腔とを有する管状部分を含む前記機械加工する段階と、
(b)銅ブロックからインサート部材を機械加工する段階であって、前記インサート部材が、前記第1および第2の端部と、その間に延びる内腔とを備える管状部分を有し、前記管状部分が、前記ホルダ部材の前記内腔の直径よりも短い外径と、前記第1の端部直近に放射状に延びる表面を有する略円形のフランジとを有し、前記フランジが前記表面からオフセットされた周縁部で終わる段階と、
(c)前記ホルダ部材の前記内腔内に前記インサート部材の前記管状部分を挿入する段階と、
(d)前記インサート部材の垂直縁部を、前記表面のオフセット位置のところで、および前記ホルダ部材の第1の端部と第2の端部との間で、前記ホルダ部材に溶接する段階と、
(e)前記表面と、前記インサート部材の前記内腔の所定の部分とを、銅よりも大きい耐腐食性を示す材料でカバーする段階とを含む方法。
【請求項24】
前記被覆材料が、ニッケル被覆、クロム被覆、ニッケル・クロム被覆、および酸化物被覆のうちの1つである請求項23に記載された方法。
【請求項25】
前記被覆材料が、アルミナ・セラミックの第2層が重ねられたクロムの第1層を含む請求項24に記載された方法。
【請求項26】
前記被覆材料が、化学蒸着法、無電解めっき法、電解めっき法、火炎溶射法、プラズマ溶射法、および熱間静水圧プレス法のうちの1つで塗布される請求項24に記載された方法。
【請求項27】
プラズマアーク・トーチ用のコリメータ・ノズルを製造する方法であって、
(a)第1の銅ビレットを供給する段階と、
(b)前記第1の銅ビレットの所定の表面を、耐腐食性金属材料で所望の厚さまでクラッド処理する段階と、
(c)第2の銅ビレットを供給する段階と、
(d)前記第2の銅ビレットの所定の表面を、前記耐腐食性金属材料で所望の厚さまでクラッド処理する段階と、
(e)ホルダ部材を形成するために前記第1の銅ビレットを機械加工する段階であって、前記ホルダ部材が、略円筒形の外壁と、前記第1の銅ビレットを縦方向に通る第1の所定の直径を有する中央穴と、前記第1の銅ビレットの前記所定の表面上の前記クラッドを通って延びる第2の所定の直径を有する端ぐり部と、前記第1の銅ビレットの縦軸に対して斜めに配向された複数の放射穴とを含み、前記放射穴が前記外壁から前記中央穴へと延びる前記機械加工する段階と、
(f)インサート部材を形成するために前記第2の銅ビレットを機械加工する段階であって、前記インサート部材が、略円形断面の管状ステムと、第1と第2の端部間に延びる内腔を備えた第1および第2の端部とを含み、前記ステムの外径が、前記第1の銅ビレットの前記中央穴と、前記内腔を囲む前記第1の端部で放射状に延びるフランジとの直径よりも短く、前記フランジが、前記ホルダ部材の前記端ぐり部の前記第2の所定の直径にほぼ等しい直径を有する前記機械加工する段階と、
(g)前記端ぐり部内に前記フランジが配置された前記ホルダ部材の前記端ぐり部に前記インサート部材を挿入する段階と、
(h)前記フランジの周囲と、前記端ぐり部を画定する前記ホルダ部材内の前記壁との間の接合部に沿って連続する溶接を形成する段階とを含む方法。
【請求項28】
前記クラッド処理段階が、
(a)前記第1および第2の銅ビレット上に耐腐食性金属材料のプレートを配置する段階と、
(b)熱間静水圧プレス法を使用して前記ビレットに前記プレートを融着する段階とを含む請求項27に記載された方法。
【請求項29】
前記クラッド処理段階が、
(a)前記第1および第2の銅ビレット上に耐腐食性金属材料のプレートを配置する段階と、
(b)前記プレートを前記第1および第2の銅ビレット上に爆着する段階とを含む請求項27に記載された方法。
【請求項30】
前記クラッドが、ニッケル合金およびクロム合金のうちの1つを含む請求項27に記載された方法。
【請求項31】
前記クラッド処理段階が、移送式プラズマアーク工程で、前記耐腐食性金属材料を前記所定の厚さまで付着させる段階を含む請求項27に記載された方法。
【請求項32】
プラズマアーク・トーチ用のコリメータ・ノズルを製造する方法であって、
(a)第1の銅ビレットを供給する段階と、
(b)第2の銅ビレットを供給する段階と、
(c)前記第2の銅ビレットの所定の表面を、前記耐腐食性金属材料で所望の厚さまでクラッド処理する段階と、
(d)ホルダ部材を形成するために前記第1の銅ビレットを機械加工する段階であって、前記ホルダ部材が、第1と第2の端部間に延びる内腔を備えた第1および第2の端部を有する管状部分を備える前記機械加工する段階と、
(e)前記第2の銅ビレットを機械加工し、インサート部材を形成するためにクラッド処理する段階であって、前記インサート部材が、第1および第2の端部と、それらの間に延びる内腔とを備えた管状部分を有し、前記管状部分が、前記ホルダ部材の前記内腔の直径よりも短い外径と、前記インサート部材の前記管状部分の前記第1の端部直近に放射状に延びる前記所定の表面を含む表面を有する略円形のフランジとを有し、前記フランジが前記所定の表面からオフセットされた周縁部で終わる、前記機械加工してクラッド処理する段階と、
(f)前記ホルダ部材の前記内腔内に、前記インサート部材の前記管状部分を挿入する段階と、
(g)前記フランジ上の前記周縁部を、前記表面のオフセット位置のところで、および前記ホルダ部材の第1の端部と第2の端部との間で、前記ホルダ部材に溶接する段階とを含む方法。
【請求項33】
前記クラッド処理段階が、
(a)前記第1および第2の銅ビレット上に耐腐食性金属材料のプレートを配置する段階と、
(b)熱間静水圧プレス法を使用して前記第1および第2のビレットに前記プレートを融着する段階と、
を含む請求項32に記載された方法。
【請求項34】
前記クラッド処理段階が、
(a)前記第1および第2の銅ビレット上に耐腐食性金属材料のプレートを配置する段階と、
(b)前記プレートを前記第1および第2の銅ビレット上に爆着する段階とを含む請求項32に記載された方法。
【請求項35】
前記クラッドが、ニッケル合金およびクロム合金のうちの1つを含む請求項32に記載された方法。
【請求項36】
前記クラッド処理段階が、移送式プラズマアーク工程で、前記耐腐食性金属材料を前記所定の厚さまで付着させる段階を含む請求項32に記載された方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【公表番号】特表2009−515291(P2009−515291A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533319(P2008−533319)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/005061
【国際公開番号】WO2007/040583
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508095267)フェニックス ソリューションズ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/005061
【国際公開番号】WO2007/040583
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508095267)フェニックス ソリューションズ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
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