説明

耐膨潤性ポリウレタン一体フォーム

本発明は、ポリイソシアネートプレポリマー(a)と、ポエーテルポリオール混合物(b)とを反応させることによって得られる耐膨潤性ポリウレタン一体フォームに関し、ここで、ポエーテルポリオール混合物(b)は、二官能性の出発分子に基づいたポリエーテルポリオール(b1)と、三官能性〜五官能性出発分子に基づいたポリエーテルポリオール(b2)とを含み、ポリオール(b1)とポリオール(b2)は、エチレンオキシド(以降、EOと称する)とプロピレンオキシド(以降POと称する)を使用して製造され、そして、エチレンオキシド含有量が50質量%以上であり、そしてエチレンオキシドの少なくとも5質量%がEO末端キャップとして存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリソシアネートプレポリマー(a)と、二官能性出発分子に基づいたポリエーテルポリオール(b1)及び三官能性〜五官能性出発分子に基づいたポリエーテルポリオール(b2)を含むポリオール混合物(b)とを反応させることにより得られる耐膨潤性ポリウレタン一体フォーム(ここで、ポリオール(b1)及び(b2)は、エチレンオキシド(以降、EOと称する)及びプロピレンオキシド(以降、POと称する)を使用したアルコキシル化よって製造され、そして、そして、ポリオール(b1)及び(b2)は、エチレンオキシドの含有量が50質量%以上であり、エチレンオキシドの少なくとも5%がEO末端キャップとして存在する)に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン(PUR)から構成される一体フォーム(integral foam)は、以前から公知のものであり、そして、軽量でありながら弾力性、エネルギー吸収性、又は断熱性等の技術的に有用な特性を幾つか有している。使用可能な多くの領域は、特に、靴ソール、又は自動車工業のステアリングホイール、又は制動要素を含む。職業安全靴の分野では、ポリエステルオールに基づき、そしてDIN EN344−1に適合した靴システムが標準的(標準規格的)な製造物として使用されている。しかしながら、ポリエステルオールシステム(ポリエーテルオール組成物)は、限られた加水分解安定性しか有していない。ポリエタノールに基づいたシステムでは、加水分解安定性が相当に改善されるが、しかし、ポリウレタンスピリットの存在下での耐膨潤性(swelling resistance)に関して必要条件に適合しない。
【0003】
特許文献1(WO99/07761)には、靴ソールのための可撓性ポリウレタンフォームが記載されており、この可撓性ポリウレタンフォームは、EO含有量が25%以上であるポリエーテルオールと、EO末端キャップと、EO含有量が60%以上であるランダムEO−POポリエテルオールと、を含むポリエテルオール混合物から製造されている。ここで、「EO」は、反復単位(repeating unit)CH2−CH2の省略形として使用されており、「PO」は、CH2−CH2−CH2−Oの省略形として使用されている。この文献には、有利な加水分解特性及び膨潤特性(swelling property)が示されておらず、そして、開示されたシステムは機械的特性に関して有利なものではない。
【0004】
耐膨潤性ポリウレタン材料が、特許文献2(DE−A−19927188)に記載されている。耐膨潤性が、60〜85%のプロピレンオキシドと40〜15%のエチレンオキシドを含むポリエテルオールとポリエスレルオールとの混合物によって達成されている。ポリエステルオールとポリエーテルオールとから構成されるハイブリッドシステムは、しばしば望ましくないものである。この理由は、使用の特性が劣り、加工性が劣るからである。
【0005】
特許文献3(EP−B−939780B1)には、耐燃料性安全衣服及び靴ソールを製造するために、POとEOとを60:40〜85:15の割合で含む所定のポリエーテルオール成分を使用する方法が記載されている。しかしながら、開示されたシステムは、密度が800g/l以上である靴ソールを製造するためにのみ適切である。
【0006】
【特許文献1】WO99/07761
【特許文献2】DE−A−19927188
【特許文献3】EP−B−939780B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、
a)250g/l〜1200g/lの密度範囲において、第1に無極性媒体の存在下に良好な膨潤特性を有し(すなわち、例えば、無極性液体(非イオン性液体)と接触することによって増加する容積が少ない)及び、第2に、良好な加水分解特性を有し、そして、
b)引っ張り強さ、耐引き裂き性及び伸び(elongation)
等の良好な機械的特性を有しているポリウレタンフォームを提供することにある。
【0008】
特に、本発明の目的は、250g/l〜1200g/lの密度範囲にわたり、第1に、耐膨潤性に関して基準規格EN344−1の4.8.9条に適合し、そして第2に加水分解安定性に関して基準規格EN344−1の4.8.6条に適合し、又はDIN53543の6.2条(clause)に従う耐老朽化(aging resistance)が達成され、又はDIN EN ISO2440(急速老朽化試験)に従う耐老朽化が達成される靴ソールを製造するのに適切であるポリウレタンフォームを提供することにある。DIN53543の6.2条に従う耐老朽化が達成されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、所定の高EOポリオール成分を使用して製造されるポリウレタン一体フォームによって達成することができる。
【0010】
本発明は、従って、
a)ポリイソシアネートプレポリマーと、
b)以下の成分を含むポエーテルポリオール混合物:
b1)エチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して、二官能性の出発分子をアルコキシル化することによって製造され、そして、エチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドと出発分子を100質量%として50質量%以上であり且つエチレンオキシドの少なくとも5%が、EO末端キャップとして存在するポリエーテルポリオール、
b2)エチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して、三官能性又は四官能性出発分子をアルコキシル化することによって製造され、そして、エチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドと出発分子を100質量%として、50質量%以上であり且つエチレンオキシドの少なくとも5%が、EO末端キャップとして存在するポリエーテルポリオール、
c)鎖延長剤、
を反応させることによって得られるポリウレタン一体フォームを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のポリウレタン一体フォームは、通常、DIN7726に従う一体フォームである。好ましい実施の形態では、本発明は、DIN53505に従う測定で、ショア硬さが20−90Aの範囲、好ましくは30〜80ショアAであるポリウレタンに基づいた一体フォームを提供する。更に、本発明の一体フォームは、好ましくはDIN53504に従う測定で、引っ張り強さが2〜20N/mm2であり、好ましくは2.5〜18N/mm2である。これに加え、本発明の一体フォームは、DIN53504に従う方法で測定して、100〜800%の伸び(elongation)、好ましくは、220〜700%の伸びを有している。そして、本発明の一体フォームは、DIN53507で測定して、耐引き裂き性(tear propagation resistance)が2〜45N/mm、好ましくは4〜38N/mmである。
【0012】
特に、本発明のポリウレタンは、エラストマー性可撓性ポリウレタン一体フォームである。
【0013】
本発明のポリウレタンフォームの製造に使用されるポリイソシアネート(a)は、従来技術によって公知である脂肪族、脂環式、及び芳香族イソシアネート及びこれらの混合物である。例は、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、モノマー性ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、及び、より多くの環(ポリマー性MDI)を含むジフェニルメタンジイソシアネートの同族体、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、又はこれらの混合物である。
【0014】
4,4’−MDI及び/又はHDIを使用することが好ましい。特に好ましい4,4’−MDIは、約10質量%以下の少量のアロファナート−又はウレトニマイン改質したポリイソシアネートを含むことができる。少量のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)を含むことも可能である。これら多官能性ポリイソシアネートの合計量は、使用するイソシアネートの5質量%を超えるべきではない。
【0015】
ポリイソシアネート(a)は、ポリイソシアネートプレポリマーの状態で使用できる。これらのプレポリマーは、従来技術により公知である。これは、上述したポリイソシアネート(a)、例えば、約80℃の温度で、以下の(イソシアネートに対してプレポリマーを形成するために反応する水素原子を有する)化合物(b)と反応させることによって、それ自身公知の方法で製造される。ポリオール/ポリイソシアネート割合は、プレポリマーのNCO含有量が、通常8〜25質量%、好ましくは10〜24質量%、特に好ましくは13〜23質量%になるように選択される。
【0016】
イソシアネートに対して反応可能な水素原子を有する化合物(b)として、OH基 SH基 NH基 NH2基 CH−酸基から選ばれる2個以上の反応基、例えば、β−ジケト基を分子に帯びている化合物を使用することができる。化合物(b)の選択に依存して、本発明の目的に使用されるポリウレタンという用語は、通常、ポリイソシアネート重付加製造物を含み、例えばポリ尿素も含む。ポリエーテルオール混合物は、化合物(b)として使用される。使用したポエイエーテルポリオールは、通常、公知の方法で製造され、例えば、プロピレンオキシド(PO)及びエチレンオキシド(EO)から選ばれる1種以上のアルキレンオキシドから、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド又はカリウムエトキシド又はカリウムイソプロポキシド等のアルカリ金属アルコキシドを触媒として使用して、2〜4個の水素原子を結合状態で含む少なくとも1種の出発分子(starter molecule)を添加してのアニオン性重合により製造され、又はアンチモンペンタクロリド、ボロンフルオリドエテレート等のルイス酸、又は漂白土類(bleaching earth)を使用したカチオン性重合により製造される。
【0017】
ポリエーテルオール(b)として、不飽和物を低含有量で有するポリエタノールを使用することも可能である。本発明の目的において、不飽和物を低含有量で有するポリオールは、特に、不飽和化合物の含有量が、0.02meq/g未満、好ましくは0.01meq/g未満であるポリエーテルアルコールである。このようなポリエーテルアルコールは、少なくとも二官能性のアルコールに、二重金属シアン化触媒(double metal cyanide catalyst)の存在下にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及びこれらの混合物を加えることによって製造される。
【0018】
アルキレンオキシドは、個々に、連続的に交互に、又は混合物として使用することができる。EO/PO混合物の使用は、PO/EO単位のランダム分布を有するポリエーテルポリオールをもたらす。第1にPO/EO混合物を使用し、そして次ぎに重合を停止させる前に、PO又はEOのみを使用することができ、従って、PO又はEO末端キャップを有するポリエーテルポリオールを得ることができる。
【0019】
可能な出発分子は、例えば、水、そして例えば以下のような有機ジカルボン酸、すなわち、琥珀酸、アジピン酸、フタル酸、及びテレフタル酸、脂肪族又は芳香族の、随意にN−モノアルキル−、N,N−ジアルキル−、及びN,N’−ジアルキル−置換した、(アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する)ジアミン、例えば、随意にモノアルキル−、及びジアルキル−置換したエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−及び1,6−ヘキサメチレンジアミン、アニリン、フェニレンジアミン、2,3−、2,4−、3,4−及び2,6−トリレンジアミン、及び4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジアミノジフェニルメタンである。
【0020】
更なる可能な出発分子は、エタノールアミン、N−メチレン−及びN−エチルエタノールアミン等のアルカノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、及びN−エチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン、及びトリエタノール等のトリアルカノールアミン及びアンモニアである。
【0021】
エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール及び/又はペンタエリトリトール等の二価アルコール、三価アルコール又は四価アルコールを使用することも可能である。
【0022】
成分(b1)及び成分(b2)は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを使用した二価又は三価の又は四価の出発分子のアルコキシル化によって製造されるポリエーテルポリオールである。成分(b1)と成分(b2)のエチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドの100質量%に対して、50質量%以上であることが、本発明の目的に重要である。好ましい実施の形態では、ポリエーテルポリオール(b1)及び(b2)が、60〜85質量%、特に好ましくは70〜80質量%のエチレンオキシド含有量を有している。
【0023】
成分(b1)及び成分(b2)中の、加えられたエチレンオキシドの少なくとも5%が、EO末端キャップとして存在することも本発明にとって重要である。好ましい実施の形態では、アルキレンオキシドの100質量%に対して、エチレンオキシドの8〜30%、より好ましくは9〜25%、特に好ましくは10〜22%がEO末端キャップとして存在する。
【0024】
本発明の別の重要な局面では、ポリウレタンポリオール(b1)が2価の出発分子、又は複数種類の2価の出発分子の混合物のアルコキシル化(alkoxylation)によって製造される。ジエチレングリコール又はプロピレングリコール又はジプロピレングリコールがこの目的に使用されることが好ましい。
【0025】
本発明の他の重要な局面では、ポリエーテルポリオール(b1)が三価又は四価の出発分子、又は三価又は四価の複数の出発分子の混合物のアルコキシル化によって製造される。三価の出発分子、例えば、グリセロール又はトリメチロールプロパンを使用することが好ましい。
【0026】
ポリエーテルポリオール(b1)及び(b2)の量は、結果物であるポリエーテルポリオール混合物(b)が、2.01〜2.8、好ましくは2.05〜2.6、特に好ましくは2.1〜2.6の実際の機能性(actual functionality)を有するように調和される。本発明の目的において、「実際の」機能性は、実際のOH数を測定し、実際の(数平均)分子量を測定し、そしてその後、式、
機能性=分子量×56100/OH数
に従い機能性を計算することによって得られる。
【0027】
これとは対照的に、文献にしばしば報告される理論機能性はアルコキシル化されるべき出発分子の機能性である。通常、ポリエーテルポリオール(b1)及び(b2)の数平均分子量は、400〜8000g/mol、好ましくは800〜6000g/mol、特に好ましくは2000〜4000g/l(g/mol)である。
【0028】
鎖延長剤は、成分(c)として使用される。適切な鎖延長剤は、従来技術により公知である。分子量が400g/mol以下、特に60〜150g/molの範囲の2官能性及び3官能性アルコールが好ましい。例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセロール及びトリメチルオールプロパンである。モノエチレングリコールを使用することが好ましい。
【0029】
鎖延長剤は、成分(b)及び成分(c)の合計量に対して通常、5〜20質量%の量で使用され、好ましくは、7〜16質量%、特に好ましくは9〜15質量%の量で使用される。
【0030】
好ましい実施の形態では、成分は、以下の量で使用される。すなわち、成分(b)と成分(c)との合計量に対して、
成分(b1)が15〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、
成分(b2)が1〜30質量%、好ましくは1.5〜25質量%、
成分(c)が5〜20質量%、好ましくは9〜16質量%、
である。
【0031】
ポリイソシアネートプレポリマー(a)及びポリオール混合物(b)の反応において、場合により、イソシアネートに対して反応性の水素原子を有する別の化合物を加えることも可能である。このような化合物の例は、主にPO−含有ポリエーテルオール又はポリマーポリオールである。本質的に、反応にポリエステルポリオールが加えられないことが好ましい。
【0032】
成分(a)と(b)の反応は、場合により、発泡剤(blowing agent)の存在下に行なわれる。使用可能な発泡剤は、公知の化学的又は物理的に活性な化合物である。化学的に活性な発泡剤として、水を使用することが好ましい。物理的発泡剤の例は、4個〜8個の炭素原子を有し、そしてポリウレタンを形成する条件において蒸発する、不活性(シクロ)アリファティック炭化水素である。加えられる発泡剤の量は、フォーム(泡:foam)
の所望の密度に依存する。通常、発泡剤は、成形部分の密度が250g/l〜1200g/l、好ましくは250〜600g/l、又は800〜1200g/l(適用に依存する、以下の記載を参照、乞う)になるように使用される。
【0033】
本発明のポリウレタンフォームを製造するための触媒として、通常の、及び公知のポリウレタン形成触媒、例えば、錫ジアセテート、錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物、及び/又はジアザビシクロオクタン、トリエチルアミン又は好ましくはトリエチレンジアミン等の強塩基アミン又はビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテルが使用される。触媒は、0.01〜10質量%、好ましくは0.02〜5質量%の量で使用される。
【0034】
成分a)及び成分b)の反応は、場合により、(e)助剤、及び/又は気泡調節剤(cell regulator)、離型剤、顔料等の添加剤、グラスファイバー等の補強材、界面活性化合物及び/又は酸化、温度、加水分解又は微生物分解又は老朽化に対する安定剤、の存在下に行なわれる。
【0035】
本発明のポリウレタンは、層状珪酸塩を含むことが好ましい。これら層状珪酸塩(層状珪酸塩は裂けた状態、剥離した状態とも称され、この状態で存在していることが好ましいが、)の使用により、好ましいマイクロ気泡状のポリウレタンエラストマーの耐膨潤性が更に改良できる。層状珪酸塩として、従来技術により公知であるSiO4四面体の二次元の(平面的な)層を有する珪酸塩構造を使用することができ、これは従来技術においてはフィロ珪酸塩としても公知である。適切な層状珪酸塩の例は、ベントナイト、タルク、ようろう石、マイカ、蛇紋石、カオリナイト及びこれらの混合物である。ベントナイトを使用することが好ましい。本発明に従って使用される層状珪酸塩は、変更(改質:modified)した状態であることが好ましい。この変更は、従来技術によって公知である方法に従い、層の間に化合物(ii)を挿入することを含む。この挿入は、珪酸の層格子に含まれているカチオンを通常の公知の化合物に入れ替えることによって行なわれる。好ましい実施の形態では、化合物の挿入は、層(sheet)の間隔が1〜2nmの変更層状珪酸塩をもたらす。化合物(ii)は、第四アルミニウム化合物が好ましく、特に好ましくは、カウンターアニオンを有するステアリルベンジルジメチルアンモニウム、好ましくはステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリド及び/又はステアリルベンジルジメチルアンモニウムサルフェイト、極めて好ましくは、ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドである。層状珪酸塩は、市販されており、Sudchemie,Southern Clay, Nanocor and LY−TEC,Laviosa Chimica under、特に商品名Nanofil(登録商標)2、Nanofil(登録商標)32、Nanofil(登録商標)9、Nanofil(登録商標)919、Cloisite(登録商標)10A、Cloisite(登録商標)30B、SCPX1138、SCPX439、Dellite(登録商標)43Bから入手可能である。変更層状珪酸塩(i)は、(好ましくは、本発明に従うものであり、好ましくは、(ii)を含むが、)通常、ポリオール成分の合計量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%、特に0.8〜4質量%の量で使用される。本発明に従い使用する変更層状珪酸塩の、ポリイソシアネート成分との反応により、予め剥離した層状珪酸塩及び剥離する層状珪酸塩を、ポリウレタンマトリックス内に挿入することになる。「剥離した」という用語は、通常、珪酸塩層の層間隔が長く、又は層(sheet)が不規則に配置されており、層間隔が通常の測定手段では測定できないことを意味する。従って、本発明に従い、層状珪酸塩、好ましくは変更した層状珪酸塩を含むポリウレタン一体フォームが特に好ましい。層状珪酸塩は、剥離した状態で存在することが特に好ましい。層状珪酸塩は、一体フォームの製造において、ポリオール成分に添加可能なことが好ましい。層状珪酸塩の剥離は、イソシアネートとの反応の前にポリオール成分内で行なうことができ、又はこの他に、層状珪酸塩を含むポリオール成分とイソシアネートとの反応の間に行なうことができる。
【0036】
通常、成分(a)は、イソシアネート成分と称され、そして成分(c)及び場合により発泡剤と添加剤とを混合した成分(b)は、ポリオール成分と称される。
【0037】
本発明は、更に、
a)ポリソシアネートプレポリマーと、
b)以下の成分を含むポリオール混合物、
成分b1)エチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して、二官能性の出発分子をアルコキシル化することによって製造され、そして、エチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドと出発分子を100質量%として50質量%以上であり且つエチレンオキシドの少なくとも5%がEO末端キャップとして存在するポリエーテルポリオール、
成分b2)エチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して三官能性又は四官能性出発分子をアルコキシル化することによって製造され、そして、エチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドと出発分子を100質量%として、50質量%以上であり且つエチレンオキシドの少なくとも5%がEO末端キャップとして存在するポリエーテルポリオール、
c)鎖延長剤、
を反応させることによってポリウレタン一体フォームを製造する方法を提供する。
【0038】
本発明のポリウレタン一体フォームの上述した好ましい実施の形態は、同様に、本発明の方法に適用される。
【0039】
本発明の方法は、好ましくは、成形型内で圧縮して行なわれる。成形型(mold)は、好ましくは、金属、例えば、鋼又はアルミニウム、又は合成樹脂、例えばエポキシ樹脂を含む。出発成分(starting component)は、15〜90℃の温度、好ましくは20〜35℃で混合され、そして場合により、大気圧を超える圧力で(好ましくは閉鎖した)成形型内に導入される。混合は、従来技術によって公知である高圧又は低圧混合ヘッドを使用して、導入の間に行なわれることが好ましい。成形型の温度は、通常、20〜90℃、好ましくは30〜60℃である。
【0040】
成形型に導入される反応混合物の量は、得られる成形物の密度が、250〜600g/l、又は800〜1200g/l、好ましくは400〜600g/l又は820〜1050g/lになるものである。結果物である一体フォーム、すなわち緻密な表面領域と気泡状(セル状)の核を有する成形物の圧縮の程度は、1.1〜8.5の範囲、好ましくは1.5〜7の範囲、特に好ましくは2〜6の範囲である。
【0041】
ポリウレタンフォームを製造するために、成分(a)及び成分(b)は、NCO基の、反応性水素原子の合計に対する等価割合(equivalence ratio)が、1:0.8〜1:1.25、好ましくは1:0.9〜1:1.15になる量で通常反応される。1:1の割合が、100のNCOインデックスに対応する。
【0042】
本発明のポリウレタン一体フォームは、ステアリングホイール、安全衣服、及び好ましくは靴ソール、特に靴外部のソール及び靴中部のソールに使用される。
【0043】
本発明は、本発明のポリウレタンフォームに加え、密度が800〜1200g/l、好ましくは820〜1050g/lであり、そして本発明のポリウレタン一体フォームを含む靴外部ソールを提供する。本発明の目的のために、ポリウレタンフォームの密度は、結果物であるフォームの全体の平均密度であり、すなわち、一体フォームの場合、この数値は、核(core)と外部層とを含むフォーム全体の平均密度である。一体フォームは、成形型内で上述のように製造されることが好ましく、従って、結果物であるフォームの密度は、成形部分の密度でもある。
【0044】
本発明は、更に、密度が250〜600g/l、好ましくは400〜600g/lであり、及び本発明のポリウレタン一体フォームを含む靴中部ソールを提供する。
【0045】
本発明の靴ソールは、イオン性液体、例えば、石油スピリット、又はイソオクタン中での膨潤性が低い。これらは従って、耐燃料性靴ソール又は燃料中で膨潤に耐性を示す靴ソールを製造するために使用されることが有利である。
【0046】
従って、本発明は、耐膨潤性靴ソールを製造するために、本発明に従う靴外部ソール又は靴中部ソールを使用する方法を提供するが、この耐膨潤性靴ソールは、EN344−14.8.9条に従い、12%未満の膨潤性を有すもので、従ってこの基準規格に一致(適合)するものである。
【0047】
更に、本発明の靴ソールは、良好な加水分解特性を示す。従って、これらを、加水分解に安定で、及び耐膨潤性の靴ソールを製造するために使用することが有利である。
【0048】
従って、本発明は、基準規格EN344−14.8.9.条及び4.8.6.条に適合する耐膨潤性靴ソールを製造するために、本発明の靴外部ソール及び靴中部ソールを使用する方法を提供する。
【0049】
本発明の靴外部ソール又は靴中部ソールは、基準規格EN344−1の4.8.9条に適合し、そしてDIN53543、6.2条の耐老朽化テストにパスし、及び/又はDIN EN ISO2440(急速老朽化試験)にパスする耐膨潤性靴ソールを製造するために使用することが好ましい。
【0050】
DIN53543、6.2条及びDIN ENISO2440(急速老朽化試験)の老朽化試験は、以下のように行なわれる。
【0051】
寸法が200×200×10±0.5mmの試験片を、本発明のポリウレタン靴システムを使用して発泡(フォーム:foam)させる。老朽化試験の開始の前に、引っ張り強さと伸びの初期値をDIN53504に従い測定し、及び耐引き裂き性をDIN53507に従い測定する。次に、試験片を水中において70℃で老朽化に付する。7日後及び14日後に試料採取を行う。試験片の残留引っ張り強さが初期値の100%であるべきである。
【実施例】
【0052】
実施例
使用した開始剤量
ポリオール1: ポリエーテルポリオール、OHN=42、公称機能性f=3、EO/PO割合=75/25、10質量%のEOキャップ、
ポリオール2: ポリエーテルポリオール、OHN=51、公称機能性f=2、EO/PO割合=71/29、15質量%のEOキャップ、
ポリオール3: ポリエーテルポリオール、OHN=29、公称機能性f=2、PO/EO割合=80/20、EOキャップ、
ポリオール4: ポリエーテルポリオール、OHN=35、公称機能性f=3、PO/EO割合=85/15、EOキャップ、
ポリオール5: ポリエーテルポリオール、OHN=27、公称機能性f=2.49、PO/EO割合=80/20、EOキャップ、
CE1: モノエチレングリコール
CE2: 1,4−ブタンジオール
安定剤: Dabco DC 193(登録商標)(Air Products)
C1:錫触媒
C2:アミン触媒
Tixogel:球状SiO2ナノ粒子(Sudchemieより)
Cloisite 30B: ナノシートシリケート(Sudchemieより)
ISO500(登録商標)、ISO137/28(登録商標)、ISOMP102(登録商標):イソシアネートプレポリマー(Elastogranより)、4,4’−MDI及びポリエーテルポリオールに基づく
NCO含有量=ISO137/28(登録商標)18.0%、MP102(登録商標)22.9%、及びISO500(登録商標)20.4%
【0053】
一体フォームの製造
実施例(表1、参照乞う)に記載した混合割合で、成分A及び成分Bを23℃で強く攪拌し、そして、混合物を板状のアルミニウム金型に導入した。ここで、該アルミニウム金型は、20×20×1cmの寸法を有しており、50℃に加熱された状態であり、そして混合物の導入量は、閉鎖した金型内での発泡(フォーミング)と加硫の後、結果として一体フォーム板が得られる量である。
【0054】
【表1】

【0055】
処理
全ての試験において、フリーフォーム(無負荷フォーム)した状態での密度が260〜300g/lのフォームを製造した。従って二重圧縮により、成形部分は、550〜600g/lの密度になる。全ての試験は、同一のクリーム時間(cream time)、ライズ時間(rise time)、及びバックリング時間(buckling time)を有していた。成形型から取り外した後の寸法安定性は、すべての試験で同等であった。引っ張り強さ、伸び又は曲げ疲労等の重要なパラメーターは、同様に同等であった。
【0056】
表2に、本システム(組成物:system)の処理特性と機械的特性の概要を示した。
【0057】
【表2】

【0058】
表3は、選択されたシステムの膨潤特性に与えるナノ材料の影響を示している。
【0059】
【表3】

測定値は、以下の規定された方法に従って、測定されている。
【0060】
曲げ疲労試験は、DIN53543に従い、膨潤は、DIN EN344−1に従い、加水分解安定性は、DIN53543、6.2条に従う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリイソシアネートプレポリマーと、
b)以下の成分を含むポエーテルポリオール混合物、
b1)エチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して、二官能性の出発分子をアルコキシル化することによって製造され、そして、エチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドと出発分子とを100質量%として50質量%以上であり、且つエチレンオキシドの少なくとも5%が、EO末端キャップとして存在するポリエーテルポリオール、
b2)エチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して三官能性又は四官能性出発分子をアルコキシル化することによって製造され、そして、エチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドと出発分子とを100質量%として50質量%以上であり、且つエチレンオキシドの少なくとも5%が、EO末端キャップとして存在するポリエーテルポリオール、
c)鎖延長剤、
を反応させることによって得られるポリウレタン一体フォーム。
【請求項2】
成分(b)と(c)の合計質量に対して、
成分(b1)を15〜80質量%、
成分(b2)を1〜30質量%、及び
成分(c)を5〜20質量%
の量で使用していることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン一体フォーム。
【請求項3】
成分(b1)及び(b2)のエチレンオキシド含有量が、60〜85質量%であることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載のポリウレタン一体フォーム。
【請求項4】
ポリウレンタンに基づく可撓性一体フォームであり、及びショア硬さが20−90A、引っ張り強さが20N/mm2以下、伸びが800%以下、及び耐引き裂き性が45N/mm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のポリウレタン一体フォーム。
【請求項5】
ポリウレタン一体フォームが層状珪酸塩を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のポリウレタン一体フォーム。
【請求項6】
層状珪酸塩が、剥離されていることを特徴とする請求項5に記載のポリウレタン一体フォーム。
【請求項7】
a)ポリソシアネートプレポリマーと、
b)以下の成分を含むポリオール混合物、
b1)エチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して二官能性の出発分子をアルコキシル化することによって製造され、そして、エチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドと出発分子とを100質量%として50質量%以上であり且つエチレンオキシドの少なくとも5%が、EO末端キャップとして存在するポリエーテルポリオール、
b2)エチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して、三官能性又は四官能性出発分子をアルコキシル化することによって製造され、そして、エチレンオキシド含有量が、アルキレンオキシドと出発分子とを100質量%として50質量%以上であり且つエチレンオキシドの少なくとも5%が、EO末端キャップとして存在するポリエーテルポリオール、
c)鎖延長剤、
を反応させることによってポリウレタン一体フォームを製造する方法。
【請求項8】
密度が800〜1200g/lであり、及び請求項1〜6の何れか1項に記載のポリウレタン一体フォームを含む靴外部のソール。
【請求項9】
密度が250〜600g/lであり、及び請求項1〜6の何れか1項に記載のポリウレタン一体フォームを含む靴中部のソール。
【請求項10】
EN344−1の4.8.6条に従う膨潤が、12%未満である耐膨潤靴ソールを製造するために、請求項8に記載の靴外部のソール、又は請求項9に記載の靴中部のソールを使用する方法。
【請求項11】
基準規格EN344−1の4.8.9条及び4.8.6条に適合する耐膨潤性であり及び加水分解に安定な靴ソールを製造するために、請求項8に記載の靴外部のソール、又は請求項9に記載の靴中部のソールを使用する方法。

【公表番号】特表2007−523984(P2007−523984A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500118(P2007−500118)
【出願日】平成17年2月19日(2005.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001756
【国際公開番号】WO2005/082968
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】