説明

耐衝撃性改良組成物

本発明は、少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物と特定のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を含んでなる重合性組成物に関する。また、本発明は、本発明の重合性組成物を含む接着剤、封止剤またはコーティング剤、および前記組成物の重合生成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物と特定のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を含んでなる重合性組成物に関する。また、本発明は、本発明の重合性組成物を含む接着剤、封止剤またはコーティング剤、および前記組成物の重合生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
長い間、エポキシドに基づく樹脂系は、接着剤、封止剤または表面コーティング剤として、または複合材の製造用の種々の材料を含む樹脂系として、航空産業、自動車産業または電気産業において使用されてきた。
【0003】
ベンゾオキサジンに基づく樹脂系は、一般的に高いガラス転移温度と高い力学的強度を有する。また、前述の物質はその良好な電気的特性およびその高い防火特性により区別される。
【0004】
原則として、他の樹脂成分を添加することは、ベンゾオキサジンに基づく樹脂系の物性に良好な影響をもたらし得る。米国特許第4607091号、同第5021484号および同第5200452号は、その明細書において、エポキシ樹脂とベンゾオキサジン樹脂の混合物を開示している。エポキシ樹脂の添加は、混合物全体の粘度の顕著な低下をもたらし、結果として混合物の改良された加工性を生じる。
【0005】
ベンゾオキサジンに基づく樹脂系の1つの一般的な欠点は、その破壊力学特性にある。この物質は、硬化後非常に脆くなることが多く、多くの用途においては、強化剤を添加することによりその耐衝撃性を改質しなければならない。
【0006】
改良された耐衝撃性を有するベンゾオキサジンに基づく樹脂系は先行技術から既知である。それ故に、米国特許第7157509号は、末端第2級アミノ基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーを強化剤として含有する熱硬化性ベンゾオキサジン系組成物を記載する。
【0007】
国際特許出願第2007/064801号は、ベンゾオキサジンに基づく樹脂系と、強化剤として特定の付加物を含有する硬化性組成物を教示する。前記付加物は二段階で製造される。第1段階において、ヒドロキシ基を含む第1化合物を、イソシアネート基を含む化合物とフェノール化合物と反応させて、ウレタン基を含む反応生成物を形成する。第2段階において、ウレタン基含有反応生成物を、エポキシド含有化合物とさらに反応させて、強化剤としての前記付加物を得る。二段階反応制御のため、国際特許出願第2007/064801号に開示される強化剤製造工程は、費用および効率の観点において改善し得るものであるとみなすことができる。さらに、環境への配慮のため、強化剤の製造におけるイソシアネートの使用を回避することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4607091号明細書
【特許文献2】米国特許第5021484号明細書
【特許文献3】米国特許第5200452号明細書
【特許文献4】米国特許第7157509号明細書
【特許文献5】国際特許出願第2007/064801号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、簡単かつ費用対効果に優れる方法により、イソシアネートを使用せずに容易に入手し得る材料から製造し得る少なくとも1種の強化剤を含有し、硬化した状態で重合性組成物が、先行技術と比較して改善された破壊力学特性を有するベンゾオキサジン系重合性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、強化剤として特定のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を添加することにより、少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物を含有する重合性組成物を効果的に耐衝撃性改質させることができ、この結果、その硬化した状態で重合性組成物が非常に良好な破壊力学特性を有することがわかった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
したがって、本発明は、第1に、
(i)少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物および
(ii)一般式(I):
【化1】

〔式中、nは5〜10,000の数であり、各繰り返し単位における各基Rは、独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、各繰り返し単位における基X’は、独立して、−O−、−S−、−NH−および一般式−(C=O)O−のカルボキシル基(カルボキシル基の炭素原子は常に基Aに接続している)から選択され、各繰り返し単位における基Yは、独立して、−OH、−SHおよび−NHから選択され、各繰り返し単位における基Aは、独立して、KおよびLから選択され、Kは芳香族ジヒドロキシ化合物の両方のヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基であり、Lはポリエーテルの2個の末端ヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基である(ただし、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の全ての基Aの総数に基づいて、全基Aの20〜80%はKであり、全基Aの20〜80%はLである)〕
で示される1つ以上の構造要素を含む少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物
を含んでなる重合性組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、
(i)少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物および
(ii)少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物であって、
(A−1)少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を含んでなる芳香族化合物、および
(A−2)少なくとも2個の末端ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を含んでなるポリエーテル
からなる群から選択される少なくとも1種の成分Aと、
(B−1)少なくとも2個の末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基を含んでなるポリエーテル、および
(B−2)一般式(VIII):
【化2】

〔式中、各基RおよびRは、独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、各基X’は、独立して、−O−、−S−、−NH−および一般式−(C=O)O−のカルボキシル基(カルボキシル基の炭素原子は常に基Dに接続している)から選択され、Wは、−O−、−S−および−NH−から選択され、基Dは少なくとも1個の芳香族基を含む〕
で示される芳香族化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の成分Bとを反応させる[ただし、(A−1)の定義を満たす1種以上の成分と(B−2)の定義を満たす1種以上の成分との排他的反応および(A−2)の定義を満たす1種以上の成分と(B−1)の定義を満たす1種以上の成分との排他的反応は除く]ことにより得られるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物
を含んでなる重合性組成物も提供する。
【0013】
本発明の重合性組成物は、接着剤、封止剤またはコーティング剤の製造に特に適しており、また、例えば炭素繊維などの繊維層または繊維束を含んでなる複合材の製造に特に適する。
【0014】
したがって、本発明は、本発明の重合性組成物を含んでなる接着剤、封止剤またはコーティング剤、および本発明の組成物の重合生成物であって、前記重合性生成物が、例えば炭素繊維などの繊維層または繊維束と接触していてもよい重合生成物も提供する。
【0015】
本発明は、重合形態で少なくとも1種の重合性ベンゾオキサジン化合物を含有する重合生成物に対する耐衝撃性改質剤としての1種以上の前記オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の使用も提供する。
【0016】
本発明におけるベンゾオキサジン化合物は、少なくとも1個のベンゾオキサジン基を含むモノマー、オリゴマーまたはポリマーである。好適なモノマーは、好ましくは4個までのベンゾオキサジン基を含む。個々のモノマーおよび2種以上のモノマーの混合物のどちらもベンゾオキサジン化合物として使用することができる。
【0017】
最大4個のベンゾオキサジン基を含むいくつかの重合性ベンゾオキサジン化合物を以下に記載する。
【0018】
適当なベンゾオキサジン化合物は、好ましくは式(B−I)により表される:
【化3】

〔式中、oは1〜4の整数を表し、Xは、アルキル(o=1に対して)、アルキレン(o=2〜4に対して)、酸素(o=2に対して)、チオール(o=1に対して)、イオウ(o=2に対して)、スルホキシド(o=2に対して)、スルホン(o=2に対して)および直接共有結合(o=2に対して)からなる群から選択され、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選択され、Rは水素、ハロゲン、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、あるいはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を構成する2価の基である〕。
【0019】
式(B−I)に従う特に好ましい構造は、式(B−II)により表される:
【化4】

〔式中、Xは、CH、C(CH、C=O、O、S、S=O、O=S=Oおよび直接共有結合からなる群から選択され、RおよびRは、同一または異なっていて、それぞれ水素、アルキル基、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基またはi−ブチル基、アルケニル基、特にアリル基、およびアリール基からなる群から選択され、Rは、同一または異なっていて、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、あるいはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を構成する2価の基である〕。
【0020】
式(B−II)で示される好ましいベンゾオキサジン化合物は、例えば、式(B−III)から(B−VI)で示されるベンゾオキサジン化合物である:
【化5】

〔式中、R、RおよびRは、式(B−I)および/または(B−II)における定義と同じ意味を有する〕。
【0021】
さらに、好ましいベンゾオキサジン化合物は一般式(B−VII)の化合物である:
【化6】

〔式中、pは2であり、Yは、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルイソプロパン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ジフェニルケトンからなる群から選択され、Rは、水素、ハロゲン、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、あるいはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を構成する2価の基である〕。
【0022】
同様に、好ましいベンゾオキサジン化合物は、一般式(B−VIII)〜(B−X)の化合物である:
【化7】

【化8】

〔式中、R、RおよびRは、式(B−I)および/または(B−II)における定義と同じ意味を有し、Rは、RまたはRと同じように定義される〕。
【0023】
本発明の意義の範囲において適当なベンゾオキサジン化合物は、例えば下記の化合物である。
【0024】
【化9】

【化10】

【0025】
本発明において使用することのできる別のベンゾオキサジン化合物は、式(B−XIX):
【化11】

〔式(XIX)における各Rは、独立して、アリル基、アリール基、C〜Cアルキル基およびC〜Cシクロアルキル基を表す〕
で示される化合物から選択される。
【0026】
前述した基は、置換されていても非置換であってもよく、好ましい置換基は、例えばアミノ基、アリル基およびC〜Cアルキル基から選択される。
【0027】
式(B−XIX)における全ての基Rは、好ましくは同一であり、特にRはフェニル基を表す。
【0028】
単官能ベンゾオキサジン化合物および多官能ベンゾオキサジン化合物は、いずれも本発明の意義の範囲において適当なベンゾオキサジン化合物である。単官能ベンゾオキサジン化合物は、ただ1つのベンゾオキサジン基を有する化合物であると理解され、一方多官能ベンゾオキサジン化合物は、1個より多いベンゾオキサジン基、好ましくは最大4個のベンゾオキサジン基を含むことのできる化合物であると理解される。
【0029】
単官能ベンゾオキサジン化合物は、一例として、一般式(B−XIX):
【化12】

〔式(B−XIX)中、Rは、アルキル基、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、アルケニル基、特にアリル基、およびアリール基からなる群から選択され(前記の各基は、場合により置換されている)、Rは、水素、ハロゲン、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、あるいはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を構成する2価の基である〕
により表すことができる。
【0030】
好ましい単官能ベンゾオキサジン化合物は、一例として、一般式(B−XX):
【化13】

〔式中、Rは、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され(前記の各基は、場合により、1つ以上のO、N、S、C=O、COO若しくはNHC=Oまたは1つ以上のアリール基により置換または中断される)、mは、0〜4の整数であり、RII、RIII、RIV、RおよびRVIは、互いに独立して、水素、アルキル基およびアルケニル基から選択される(各アルキル基またはアルケニル基は、場合により、1つ以上のO、N、S、C=O、COO若しくはNHC=Oまたは1つ以上のアリール基により置換または中断される)〕
により表すことができる。
【0031】
本発明の意義の範囲において適当な単官能ベンゾオキサジン化合物は、例えば、下記化合物(B−XXI)および(B−XXII)である。
【0032】
【化14】

〔式中、Rは式(B−XX)におけるものと同じ定義を有する。〕
【0033】
本発明の意義の範囲において、ベンゾオキサジン化合物は市販品を入手可能であり、とりわけHuntsman Advanced Materials;Georgia−Pacific Resins社および四国化成工業(日本、千葉)により販売されている。
【0034】
それにもかかわらず、本発明のベンゾオキサジン化合物を、フェノール化合物(例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはチオフェノール)とアルデヒド(例えばホルムアルデヒド)を、第1級アルキルアミンまたはアリールアミンの存在下に反応させることにより得ることができる。適当な製造方法は、例えば米国特許5543516、特に第10〜14欄の実施例1〜19に開示されており、この方法では濃度、反応性および反応温度により、対応する反応に対する反応時間は、数分から数時間続く。本発明のベンゾオキサジン化合物に対する別の製造の可能性は、米国特許第4607091号、同第5021484号および同第5200452号ならびに国際特許出願第2006/035021号から得ることができる。
【0035】
本発明の好ましい実施態様において、重合性組成物は、少なくとも1種の重合性ベンゾオキサジン化合物または種々の重合性ベンゾオキサジン化合物の混合物を、調製物の総重量に基づいて、20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、特に好ましくは50〜70重量%の量で含有する。
【0036】
さらに、本発明の重合性組成物は、少なくとも1種の前記オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を含んでなる。
【0037】
本発明の意義の範囲において「ポリエーテル化合物」は、4個または4個を越えるエーテル結合を含んでなる化合物を意味するものと理解される。
【0038】
オリゴマーのポリエーテル化合物は4〜20個のエーテル結合を有し、一方、ポリマーのポリエーテル化合物は20個を越えるエーテル結合を有する。
【0039】
本発明の意義の範囲において、用語「ウレタン基非含有ポリエーテル化合物」は、オリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物のポリマー鎖が実質的にウレタン基(−NH−CO−O)を含有しないオリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物を意味するものと理解される。「実質的に含有しない」とは、オリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物の1分子の分子量に対するウレタン基の割合が、0.5%未満、好ましくは0.25%未満、特に好ましくは0.1%未満であることを意味する。
【0040】
本発明の好ましい実施態様において、オリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物は全くウレタン基を含有しないため、オリゴマーまたはポリマーのポリエーテル化合物の各分子の分子量に対するウレタン基の割合は0%である。
【0041】
一般的に、ポリマー鎖中のウレタン基は、アルコールとイソシアネートの反応により形成される。本発明のウレタン基非含有ポリエーテル化合物を耐衝撃性改質剤として使用することにより、その製造において実質的にイソシアネート含有化合物の使用を省くことが可能になる。さらに、ウレタン基非含有ポリエーテル化合物を強化剤として含有する本発明の重合性組成物は、ウレタン基含有ポリエーテル化合物を含む比較組成物と比較して非常に低い粘度を示す。
【0042】
それ故に、耐衝撃性改質剤として比較的多量のウレタン基非含有ポリエーテル化合物を使用した場合であっても、本発明の重合性組成物の粘度は低いままである。
【0043】
好ましい実施態様において、本発明のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、少なくとも1個の末端ヒドロキシ基、カルボニル基、アミノ基若しくはチオール基、好ましくは少なくとも1個のヒドロキシ基を有し、および/または少なくとも1個の末端オキシラン基、アジリジン基若しくはチイラン基、好ましくは少なくとも1個の末端オキシラン基を有する。本発明のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の全ての末端基は、特にヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、オキシラン基、アジリジン基および/またはチイラン基から選択され、特に好ましくはヒドロキシ基および/またはオキシラン基から選択される。
【0044】
重合性組成物の硬化中、末端基はベンゾオキサジン化合物と反応することができ、共有結合を形成し、強化剤と樹脂マトリックスの特に効果的な結合をもたらす。これにより、本発明の硬化重合性組成物の改善された耐衝撃性の改質が達成される。
【0045】
好ましいオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、1000〜100,000g/モル、好ましくは2000〜8000g/モル、特に好ましくは3000〜5000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0046】
1000g/モル未満の重量平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、樹脂マトリックス中で可塑剤として機能し得るため、その破壊力学特性およびその比較的低い曲げ弾性率のために多くの用途、特に複合材において不適当な重合生成物を生じる。
【0047】
100,000g/モルを越える重量平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、非常に高い粘性を有する。したがって、このポリエーテル化合物は、樹脂マトリックスとの比較的低い親和性を示す可能性がある。
【0048】
本発明のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、一般式(I):
【化15】

〔式中、nは5〜10,000の数であり、各繰り返し単位における各基Rは、独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、各繰り返し単位における基X’は、独立して、−O−、−S−、−NH−および一般式−(C=O)O−のカルボキシル基(カルボキシル基の炭素原子は常に基Aに接続している)から選択され、各繰り返し単位における基Yは、独立して、−OH、−SHおよび−NHから選択され、各繰り返し単位における基Aは、独立して、KおよびLから選択され、Kは芳香族ジヒドロキシ化合物の両方のヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基であり、Lはポリエーテルの2個の末端ヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基である(ただし、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の全ての基Aの総数に基づいて、全基Aの20〜80%はKであり、全基Aの20〜80%はLである)〕
で示される1つ以上の構造要素を含む。
【0049】
2価の基Kは、形式上、芳香族ジヒドロキシ化合物から2個のヒドロキシ基を取り除くことによって得られる。本発明の意義の範囲において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、2個のヒドロキシ基(各ヒドロキシ基は芳香環系またはヘテロ環系の炭素原子に共有結合している)を含む全ての化合物であると理解される。
【0050】
2個のヒドロキシ基は、両方が同じ芳香環系またはヘテロ環系に結合していてもよく、また、異なる芳香環系またはヘテロ環系に結合していてもよい。
【0051】
2価の基Lは、形式上、ポリエーテルから2個の末端ヒドロキシ基を取り除くことによって得られる。このため、基Lは、前述した化学構造を有する全ての2価の基を含む。基Lの化学構造が、他の多くの方法、例えばアミノ末端ポリエーテルからの2個の末端アミノ基の除去により形式上達成され得ることは明らかである。そのような基も、当然上述した基Lの定義に含まれる。
【0052】
2価の基Lは、好ましくは「非芳香族ポリエーテル」から2個の末端ヒドロキシ基を除去することにより形式上得られる。ここで、用語「非芳香族ポリエーテル」とは、本発明の意義の範囲においては芳香族構造要素を含まないポリエーテルを意味するものと理解される。
【0053】
本発明の別の好ましい実施態様において、2価の基Lは、ポリアルキレンオキシド(非芳香族ポリアルキレンオキシドが特に好ましい)から2個の末端ヒドロキシ基を取り除くことにより形式上得られる。
【0054】
基Lとして、非芳香族ポリエーテルおよび/またはポリアルキレンオキシドに由来する構造単位を含むオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、耐衝撃性改質剤として特に良好な活性を示す。
【0055】
オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、一般式(I)で示される複数の構造要素を含む場合において、その構造要素は同じであっても異なっていてもよく、1つ以上の任意の種の化合物の基により互いに接続され得る。個々の化合物の基は、同じであっても異なっていてもよく、好ましくは、共有結合ならびに、1〜100個の炭素原子を有する直鎖または分枝の2価の、3価の、4価の、5価のまたは多価の基から選択される。
【0056】
前記の化合物基は、好ましくはC1〜22アルキル基(特にC6〜22アルキル基)、C2〜22アルケニル基(特にC6〜22アルケニル基)、C2〜22アルキニル基(特にC6〜22アルキニル基)、C5〜8シクロアルキル基、C3〜22ヘテロアルキル基、C4〜22ヘテロシクロアルキル基、C6〜14アリール基およびC6〜14ヘテロアリール基から選択される。
【0057】
全ての前記化合物基は、それぞれ互いに独立して、一置換または多置換であってよく、特に、一置換、二置換、または三置換であってよく、好ましくは一置換であり、特に、ハロゲン(特に塩素、臭素またはフッ素)、トリフルオロメチル、C1〜18アルキル基、C3〜8シクロアルキル基、C2〜18アルケニル基、C2〜18アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C1〜18アルコキシ基、C1〜18アルキルスルファニル基、C1〜18アルキルスルホニル基、C1〜18アルキルスルホキシジル基、C1〜18アルカノイル基、C1〜18アルカノイルオキシ基、C1〜18アルコキシカルボニル基、C1〜18アルキルアミノカルボニル基、C1〜18アルキルスルファニルカルボニル基、スルファニル基、シアノ基、アミノ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール−(C1〜12アルキル)基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールアミノ基、ヘテロアリールスルファニル基、ヘテロアリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホキシジル基、ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリールカルボニルオキシ基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールアミノカルボニル基、ヘテロアリールスルファニルカルボニル基、C1〜18アルコキシスルホニル基、C1〜18アルコキシカルビノール基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、ホルミル基、チオホルミル基から選択される置換基により置換され、好ましくは、ハロゲン、C1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基、C2〜18アルキニル基、およびC1〜18アルコキシ基により置換される。
【0058】
好ましい実施態様において、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の基Aの総数に対する基Kの割合は、30〜70%であり、好ましくは40〜60%であり、特に45〜55%である。前記割合の基Kを含むオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、ベンゾオキサジン樹脂マトリックスとの特に良好な親和性を示す。
【0059】
別の好ましい実施態様において、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の基Aの総数に対する基Lの割合は、30〜70%であり、好ましくは40〜60%であり、特に45〜55%である。前記割合の基Lを含むオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、比較的低いガラス転移温度Tgおよび低い粘度を有し、それにより特に良好な加工性を有する重合性組成物を生じる。
【0060】
オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の親和性、粘度およびガラス転移温度は、基KとLの割合の適正な選択により正確に調節することができる。
【0061】
さらに、衝撃靱性、曲げ特性、および本発明の重合生成物の硬化後に形成される微細構造は、使用するベンゾオキサジン化合物または種々のベンゾオキサジン化合物の混合物に応じて、オリゴーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の基KおよびLの比率によって選択的に調節することができる。
【0062】
本発明において、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の重量平均分子量に対して、式(I)の全構造要素の割合が40〜99.99%、好ましくは70〜99%、特に85〜98%であるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が本発明において特に好ましい。
【0063】
式(I)の構造要素を前記割合で有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、本発明の硬化重合性組成物の特に効果的な耐衝撃性の改善を可能にする。
【0064】
一般式(I)の個々の構造要素を、それらが本発明の直鎖状オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を形成するよう、および/またはそのような化合物の成分となるよう配置または結合させることができる。
【0065】
これに代えて、一般式(I)の個々の構造要素を、それらが本発明の分枝状オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を形成するよう、および/またはそのような化合物の成分となるよう配置または結合することもできる。
【0066】
本発明において、好ましいオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、一般式(II)から選択される:
【化16】

式中、Eは水素および一般式(III):
【化17】

で示される基から選択され、Fは水素および一般式(IV):
【化18】

で示される基から選択される〔式(III)および(IV)中、各基Wは、独立して、−O−、−S−および−NH−から選択され、Wは特に−O−であり、nは5〜10,000の数であり、各繰り返し単位ならびに式(II)、(III)および(IV)中の各基Rは、独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、各繰り返し単位ならびに式(II)および(IV)における基X’は、独立して、−O−、−S−、−NH−および一般式−(C=O)O−のカルボキシル基(カルボキシル基の炭素原子は常に基Aに接続している)から選択され、各繰り返し単位および式(IV)中における各基Yは、独立して、−OH、−SHおよび−NHから選択され、各繰り返し単位および式(IV)における各基Aは、独立して、KおよびLから選択され、Kは芳香族ジヒドロキシ化合物の両方のヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基であり、Lはポリエーテルの2個の末端ヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基である(ただし、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の全ての基Aの総数に基づいて、全基Aの20〜80%はKであり、全基Aの20〜80%はLである)〕。
【0067】
ウレタン基非含有ポリエーテル化合物の特性は、繰り返し単位の総数により改質することができ、それにより前記ポリエーテルを制御された方法で特定のベンゾオキサジンマトリックスに適合させることができる。したがって、式(I)および(II)において、nは、より好ましくは3〜20の数であり、特に好ましくは5〜15の数であり、とりわけ好ましくは7〜10の数である。
【0068】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)、(II)、(III)および/または(IV)中の各基Rは、独立して、特に1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。特に、Rは、1〜6個の炭素原子、特に1または2個の炭素原子を有する直鎖のアルキレン基(例えばメチレン基およびエチレン基)から選択され、前記式におけるRは、好ましくはメチレン基である。
【0069】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)、(II)および/または(IV)における各基X’は、独立して、−O−を表す。これは、特に、本発明のウレタン基非含有ポリエーテル化合物の製造において、少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基を有する芳香族物質および/または少なくとも2個の末端ヒドロキシ基を有するポリエーテルを使用することにより得ることができる。前記物質の使用は、それらを経済的に製造することができ、種々の構造のものが市販されているため有利である。
【0070】
さらに、式(I)、(II)および/または(IV)における基Yが−OHであることが好ましい。これは、特に、本発明のウレタン基非含有ポリエーテル化合物の製造において、末端オキシラン基を有する物質を使用することにより得られる。前記物質の使用は、それらを経済的に製造することができ、種々の構造のものが市販されているため有利である。
【0071】
2価の基Kは、芳香族ジヒドロキシ化合物から2個のヒドロキシ基を取り除くことにより形式上得られる。各繰り返し単位ならびに式(I)、(II)および場合により(IV)中の好ましい基Kは、互いに独立して、一般式(V)および/または式(VI):
【化19】

〔式中、Qはアルキレン、酸素、イオウ、スルホキシド、スルホンおよび直接共有結合から選択され、iおよびjは、互いに独立して、0〜4の数、特に0または1を表す〕
で示される2価の基から選択される。
【0072】
存在する場合、(それぞれ芳香族環系の水素原子を置換する)RおよびRは、互いに独立して、ハロゲン(特にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、C1〜40アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基)、C2〜40アルケニル基、C1〜40アルコキシ基、およびC7〜13アラルキル基から選択される。式(V)中の基Rは、フェニル基から対応するナフチル基を構成する2価の基であってもよい。本発明の特定の実施態様において、存在する場合、基RおよびRは、少なくとも1つのさらなる一般式(I)の構造要素を含む。
【0073】
本発明において、「アルキレン基Q」は、2価のアルキル基、すなわち両末端で結合に未だ関与し得るアルキルを意味するものと理解される。好ましいアルキレン基は、例えば、置換または非置換の、飽和または不飽和の炭素数1〜40のアルキレン基である。好ましい化合物は、例えば、−CH−(メチレン)、−CH−CH−(エチレン)、−CH−CH−CH−(プロピレン)、−CH−CH−CH−CH−(ブチレン)、−CH−CH−CH−CH−CH−(ヘキシレン)、−CH−CH−CH−CH−CH−CH−(へプチレン)、−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−(オクチレン)から、またそれらの分枝誘導体、例えばイソプロピレン、tert−ブチレンなどから選択される。
【0074】
アルキレン基Qは、一置換または多置換であり得る。適当な置換基は、例えばハロゲン(特に塩素、臭素またはフッ素)、トリフルオロメチル、C1〜18アルキル基、C3〜8シクロアルキル基、C2〜18アルケニル基、C2〜18アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、C1〜18アルコキシ基、C1〜18アルキルスルファニル基、C1〜18アルキルスルホニル基、C1〜18アルキルスルホキシジル基、C1〜18アルカノイル基、C1〜18アルカノイルオキシ基、C1〜18アルコキシカルボニル基、C1〜18アルキルアミノカルボニル基、C1〜18アルキルスルファニルカルボニル基、スルファニル基、シアノ基、アミノ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール(C1〜12アルキル)基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールアミノ基、ヘテロアリールスルファニル基、ヘテロアリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホキシジル基、ヘテロアリールカルボニル基、ヘテロアリールカルボニルオキシ基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールアミノカルボニル基、ヘテロアリールスルファニルカルボニル基、C1〜18アルコキシスルホニル基、C1〜18アルコキシカルビノール基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、ホルミル基、チオホルミル基から選択され得る。好ましくは、ハロゲン、C1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基、C2〜18アルキニル基、およびC1〜18アルコキシ基から選択され得る。
【0075】
2個の芳香族ヒドロキシ基を取り除くことにより2価の基Kを得ることができる芳香族ジヒドロキシ化合物の適当な市販品は、例えば以下の通りである:ヒドロキノン、ナフタレンジオール、例えば1,2−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)硫化物、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、および1,1,3,4,6−ペンタメチル−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)インダン−5−オール、特に好ましくは、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノール TMC、とりわけ好ましくは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン。
【0076】
2価の基Lは、ポリエーテルから2個の末端ヒドロキシ基を取り除くことにより形式上得られる。各繰り返し単位中ならびに下記式(I)、(II)および場合により式(IV)中の好ましい基Lは、互いに独立して、一般式(VII):
【化20】

〔式中、lは0〜5000の数であり、式(VII)および各繰り返し単位中のl’は、独立して、1〜10の数であり、式(VII)および各繰り返し単位中の各Rは、独立して、水素、直鎖または分枝の、場合により置換されたC1〜12アルキル基から選択され、Rは特に水素またはメチルである〕
で示される2価の基から選択される。
【0077】
一般式(VII)の好ましい2価の基において、lは1〜200の数であり、好ましくは3〜50、特に好ましくは5〜20の数であり、および/または式(VII)および各繰り返し単位中のl’は、独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、特に1または3である。
【0078】
効果的な耐衝撃性の改質を達成するために、2個の末端ヒドロキシ基を取り除く前の各基Lが、200〜10,000g/モルの、好ましくは300〜5000g/モルの、特に500〜2000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有することが有利である。さらに、2個の末端ヒドロキシ基を取り除く前の各基Lが、20℃未満の、好ましくは10℃未満の、特に好ましくは0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有することが有利である。
【0079】
本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準として用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、動的機械熱分析(DMTA)により測定することができ、各ガラス転移温度は、損失係数/温度線図の最大値から得られる。
【0080】
本発明のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、
(A−1)少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を含んでなる芳香族化合物、および
(A−2)少なくとも2個の末端ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を含んでなるポリエーテル
からなる群から選択される少なくとも1種の成分Aと、
(B−1)少なくとも2個の末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基を含んでなるポリエーテル、および
(B−2)一般式(VIII):
【化21】

〔式中、各基RおよびRは、独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、各基X’は、独立して、−O−、−S−、−NH−および一般式−(C=O)O−のカルボキシル基(カルボキシル基の炭素原子は常に基Dに接続している)から選択され、Wは、−O−、−S−および−NH−から選択され、基Dは少なくとも1個の芳香族基を含む〕
で示される芳香族化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の成分Bとを反応させる[ただし、(A−1)の定義を満たす1種以上の成分と(B−2)の定義を満たす1種以上の成分との排他的反応および(A−2)の定義を満たす1種以上の成分と(B−1)の定義を満たす1種以上の成分との排他的反応は除く]ことにより得られる。
【0081】
したがって、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の製造においては、1つ以上の成分Aを1つ以上の成分Bと反応させる(使用される各成分は異なる化学構造を有する)。
【0082】
本発明の意義の範囲において用語「排他的反応」は、2つの成分の反応が、前記成分の定義のいずれも満たさない少なくとも1つの成分も存在することなしに行われることを意味する。
【0083】
したがって、本発明の意義の範囲において、(A−1)の定義を満たす1つ以上の成分と(B−2)の定義を満たす1つ以上の成分の反応は、反応中に(A−1)および(B−2)の定義を満たさない成分が全く存在しない場合においてのみ排除される。
【0084】
さらに、本発明の意義の範囲において、(A−2)の定義を満たす1つ以上の成分と(B−1)の定義を満たす1つ以上の成分の反応は、反応中に(A−2)および(B−1)の定義を満たさない成分が全く存在しない場合においてのみ排除される。
【0085】
本発明において、前記排他的反応は、得られる反応生成物が硬化した重合性組成物の破壊力学的特性の不十分な改質をもたらすだけであるため排除される。したがって、本発明の意義の範囲において、硬化したベンゾオキサジンマトリックスにおいて強化剤として作用させるために、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物に、芳香族に基づく構造要素とポリエーテルに基づく構造要素の両方が含まれる必要があることは明らかである。
【0086】
個々の成分の互いの反応において、一方の成分のヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基および/またはチオール基が、特に他方の成分の末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基と反応して、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を形成する。
【0087】
個々の成分の反応性に応じて、好ましくは20〜250℃、例えば100〜180℃の温度で上記反応は行われる。同様に、反応時間は使用する成分の反応性に応じて、好ましくは10分〜12時間であり、特に1〜6時間である。この反応は、適当な溶媒(例えばトルエン)中で行ってもよく、または溶媒なしで行ってもよい。
【0088】
本発明の好ましい実施態様において、個々の成分の反応は少なくとも1種の適当な触媒の存在下で行われる。適当な触媒は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基および/またはチオール基と末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基の反応を促進し、特にテトラアルキルアンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド、tert−アミン、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、アリール/アルキルホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、または尿素、例えばVersamin EH−50から選択される。
【0089】
本発明の別の好ましい実施態様において、個々の成分の反応は少なくとも1種の架橋剤の存在下で行われる。適当な架橋剤は、例えば、ジオール、トリオール、テトラオールおよび少なくとも5個のヒドロキシ基を含むポリオールから選択される。
【0090】
本発明において、好ましい成分(A−1)は、一般式(VIa):
【化22】

〔式中、j、QおよびRは式(VI)における定義と同じである〕
で示される化合物から選択される。
【0091】
好ましい成分(A−1)は、一般式(Va):
【化23】

〔式中、iおよびRは式(V)における定義と同じである〕
で示される化合物からも選択され得る。
【0092】
本発明において、2個の芳香族ヒドロキシ基を有する芳香族化合物から成分(A−1)を選択することが特に有利である。2個の芳香族ヒドロキシ基を有する適当な芳香族化合物は、例えば、ヒドロキノン、ナフタレンジオール、例えば1,2−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)硫化物、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、および1,1,3,4,6−ペンタメチル−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)インダン−5−オール、特に好ましくは、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノール TMC、とりわけ好ましくは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0093】
成分(A−2)は少なくとも2個の末端ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を有するポリエーテルを意味し、少なくとも2個の末端ヒドロキシを有するポリエーテルが特に好ましい。
【0094】
本発明の好ましい実施態様において、成分(A−2)は、少なくとも2個の末端ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を有する非芳香族ポリエーテルから選択され、少なくとも2個の末端ヒドロキシ基を有する非芳香族ポリエーテルが特に好ましい。本発明の意義の範囲において、用語「非芳香族ポリエーテル」は芳香族構造要素を含まないポリエーテルを意味するものと理解される。
【0095】
好ましい成分(A−2)は、一般式(IX):
【化24】

で示される化合物から選択される。式中、mは、2〜100の数であり、Pはm価のポリアルキレンオキシド基、例えばm価の非芳香族ポリアルキレンオキシド基を意味する。好ましくは、mは2〜50の数であり、特に好ましくは2〜10の数であり、とりわけ好ましくは2〜4の数であり、特にmは2である。m価のポリアルキレンオキシド基Pは、直鎖構造または分枝構造のいずれを有していてもよい。
【0096】
成分(A−2)として、2個の末端ヒドロキシ基を有するポリエーテルを使用することにより、ベンゾオキサジンマトリックスとの良好な親和性を示す直鎖構造を有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を合成することができる。
【0097】
成分(A−2)として、2個より多い末端ヒドロキシ基を有するポリエーテルを使用することにより、分枝構造を有するオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を合成することができる。
【0098】
適当な成分(A−2)は、例えば、一般式(VIIa):
【化25】

〔式中、l、l’およびRは式(VII)における定義と同じである〕
で示される化合物から選択することができる。
【0099】
効果的な耐衝撃性の改質を達成するために、成分(A−2)が、少なくとも2個の末端ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を有し、200〜10,000g/モルの、好ましくは200〜10,000g/モル、好ましくは300〜5000g/モルの、特に500〜2000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するポリエーテルから選択されることが有利である。さらに、成分(A−2)が、20℃未満の、好ましくは10℃未満の、特に好ましくは0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する前記ポリエーテルから選択されることが有利である。
【0100】
成分(B−1)は少なくとも2個の末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基を有するポリエーテルを意味し、少なくとも2個の末端オキシラン基を有するポリエーテルが特に好ましい。
【0101】
本発明の好ましい実施態様において、成分(B−1)は、少なくとも2個の末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基を有する非芳香族ポリエーテルから選択され、少なくとも2個の末端オキシラン基を有する非芳香族ポリエーテルが特に好ましい。用語「非芳香族ポリエーテル」は上記と同じ意味を有する。
【0102】
成分(B−1)は、好ましくは一般式(X):
【化26】

で示される化合物から選択される。式中、uは2〜5000の数であり、各繰り返し単位中のu’は、独立して、1〜10の数であり、各基RおよびRは、独立して、炭素数1〜100の化合物の2価の基を意味し、Wは−O−、−S−および−NH−から選択され、式(X)および各繰り返し単位中のRは、独立して、水素、直鎖または分枝の、場合により置換されたC1〜12アルキル基から選択され、Rは特に水素またはメチルである。
【0103】
特に、式(X)中のuは1〜200の数であり、好ましくは3〜5、特に好ましくは5〜20の数であり、および/または式(X)および各繰り返し単位中のu’は、独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、特に1または3である。
【0104】
本発明の好ましい実施態様において、式(X)中の基RおよびRは、互いに独立して、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。特に、式(X)中のRおよびRは、互いに独立して、1〜6個の、特に1または2個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基(例えばメチレン基およびエチレン基)から選択され、RおよびRは、メチレン基(−CH−)であることが特に好ましい。
【0105】
成分(B−1)として適当なポリエーテルのジグリシジルエーテルは、例えば、商品名DER−732、DER−736(Dow Chemical社)またはAdeka ED−506(Adeka corporation)のもと入手可能であり、または、当業者に既知である、ポリエーテルポリオールとエピクロロヒドリンとの反応により製造することもできる。
【0106】
本発明の好ましい実施態様において、成分(B−2)は、一般式(VIIIa):
【化27】

で示される化合物から選択される。式中、rは0〜10の数であり、式(VIIIa)および各繰り返し単位中のRは、独立して、炭素数1〜10のアルキレン基から選択され、式(VIIIa)および各繰り返し単位中のKは、独立して、芳香族ジヒドロキシ化合物の両方のヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基を表す。
【0107】
本発明の好ましい実施態様において、rは0〜2の数であり、特に0〜1の数、例えば0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1である。
【0108】
特に、Rは1〜6個の炭素原子、特に1または2個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基(例えばメチレン基およびエチレン基)から選択され、Rがメチレン基(−CH−)であることが特に好ましい。
【0109】
2価の基Kは、芳香族ジヒドロキシ化合物から2個のヒドロキシ基を取り除くことにより形式上得られ、式(I)における定義と同じである。
【0110】
成分(B−2)として特に適当なものは、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのジグリシジルエーテルであり、それらは、例えば商品名Epon 825、Epon 826、Epon 828、Epon 830、Epon 862、Epon 1001(Hexion Specialty Chemicals社)またはDER−331、DER−332、DER−334(Dow Chemical社)のもと入手可能である。
【0111】
前記化合物は、1種以上の適当なビスフェノール化合物とエピクロロヒドリンとの反応により製造することもできる。
【0112】
成分(B−2)は、さらに、式(VIII)中の基Dが、下記式で示される少なくとも1個の官能基を含む少なくとも1個の芳香族基を含有する化合物から選択される。
【化28】

〔式中、Rは、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を意味し、Wは−O−、−S−および−NH−から選択される〕。特に、Wは−O−であり、および/またはRは、炭素数1〜10のアルキレン基、例えばメチレン基またはエチレン基を意味する。
【0113】
式(VIII)における適当な基Dは、例えば、下記芳香族基:
【化29】

〔式中、RおよびWは上記と同じ意味を有し、tは1〜100,000、特に1〜10,000、特に好ましくは1〜1000の数である〕
から選択することができる。
【0114】
対応する成分(B−2)は、例えば、フェノール樹脂のグリシジルエーテル、例えばノボラック樹脂のグリシジルエーテルである。
【0115】
本発明の好ましい実施態様において、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、少なくとも1種の成分(B−2)の存在下、少なくとも1種の成分(A−1)を少なくとも1種の成分(B−1)と反応させることにより得られる。
【0116】
それにより得られるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、少なくとも1種の成分(A−1)と少なくとも1種の成分(B−1)との排他的反応により得られた比較生成物と比較して、耐衝撃性改質剤としてより高い有効性を有する。
【0117】
上述した個々の成分のモル比は、好ましくは、得られるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、もっぱら末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基を含んでなるよう、特にもっぱら末端オキシラン基を含んでなるよう選択される。
【0118】
本発明の意義の範囲において、少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を、
(A−1)少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を含んでなる芳香族化合物、および
(A−2)少なくとも2個の末端ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を含んでなる非芳香族ポリエーテル
からなる群から選択される少なくとも1種の成分Aと、
(B−1)少なくとも2個の末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基を含んでなる非芳香族ポリエーテル、および
(B−2)一般式(VIII):
【化30】

〔式中、各基RおよびRは、独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、各基X’は、独立して、−O−、−S−、−NH−および一般式−(C=O)O−のカルボキシル基(カルボキシル基の炭素原子は常に基Dに接続している)から選択され、Wは、−O−、−S−および−NH−から選択され、基Dは少なくとも1個の芳香族基を含む〕
で示される芳香族化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の成分Bとを反応させる[ただし、(A−1)の定義を満たす1種以上の成分と(B−2)の定義を満たす1種以上の成分との排他的反応および(A−2)の定義を満たす1種以上の成分と(B−1)の定義を満たす1種以上の成分との排他的反応は除く]ことにより得ることが有利である。
【0119】
上述したように、用語「非芳香族ポリエーテル」は、本発明においては芳香族構造要素を含まないポリエーテルを意味するものと理解される。
【0120】
前記のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、硬化した状態において特に良好な破壊力学特性を示す重合性組成物の製造を可能にする。
【0121】
本発明の意義の範囲においては、特に、一般式(VIIIb):
【化31】

〔式中、rは0〜10の数であり、式(VIIIb)中のKは、式(I)における定義と同じである〕
で示される化合物から選択される少なくとも1つの成分(B−2)の存在下、一般式(VIa):
【化32】

〔式中、jは0〜4の数であり;Qは、アルキレン、酸素、イオウ、スルホキシド、スルホンおよび直接共有結合からなる群から選択され、各基Rは、独立して、ハロゲン(特にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、C1〜40アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル)、C2〜40アルケニル基、C1〜40アルコキシ基、およびC7〜13アラルキル基から選択される〕
で示される化合物から選択される少なくとも1つの成分(A−1)を、一般式(Xa):
【化33】

〔式中、uは2〜5000の数であり、各繰り返し単位中のu’は、独立して、1〜10の数であり、Wおよびzは、それぞれ独立して、−O−、−S−および−NH−から選択され、式(Xa)および各繰り返し単位中のRは、独立して、水素、直鎖または分枝の、場合により置換されたC1〜12アルキル基から選択され、Rは特に水素またはメチルである〕
で示される少なくとも1つの成分(B−1)と反応させることが有利である。
【0122】
成分(A−1)に対する成分B(B−1+B−2)のモル比は、特に1:1.01〜1:1.6、好ましくは1:1.1〜1:1.3である。
【0123】
本発明の重合性組成物は、前述した1種以上の前記オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を、重合性組成物の総重量に基づいて、2〜60重量%の量で、好ましくは5〜40重量%の量で、より好ましくは10〜30重量%の量で含有することができる。
【0124】
好ましい実施態様において、重合性組成物は、重合性樹脂成分として1種または1種より多いベンゾオキサジン化合物を含有する。しかしながら、特定の用途に対して、重合性組成物がさらなる重合性樹脂成分をさらに含有することが有利であり得る。適当な化合物は、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂若しくはフェノール樹脂またはそれらの混合物から選択することができる。
【0125】
本明細書において、「エポキシ樹脂」は、エポキシ化合物またはエポキシ含有化合物に基づき形成される樹脂組成物であると理解される。本発明の意義の範囲において、本発明の全てのオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物は、それらが末端オキシラン基を含有していたとしても、定義「エポキシ樹脂」から明確に除外される。
【0126】
本発明の特に好ましい実施態様において、重合性調製物のエポキシ樹脂系のエポキシ化合物またはエポキシ含有化合物は、オリゴマーエポキシド化合物およびモノマーエポキシド化合物ならびにポリマー型のエポキシドのいずれをも包含することができ、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環化合物であり得る。本発明における適当なエポキシ樹脂は、例えば、好ましくはビスフェノールA型のエポキシ樹脂、ビスフェノールS型のエポキシ樹脂、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンと様々なフェノールとの反応によって得られる多数のジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシド生成物、2,2’,6,6’−テトラメチルビスフェノールのエポキシド生成物、芳香族エポキシ樹脂、例えばナフタレン基本構造を有するエポキシ樹脂およびフルオレン基本構造を有するエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、および少なくとも1つのヘテロ環を有するエポキシ樹脂である。
【0127】
エポキシ樹脂は、特に、オクタデシレンオキシド、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、脂肪族ジペンテンジオキシド、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、SartomerのKrasol製品)、エポキシド官能性を含むシリコーン樹脂、難燃性エポキシ樹脂(例えば、「DER−580」)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサンメタジオキサン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドおよび2−エポキシヘキサデカンを含む。
【0128】
本発明の意義の範囲において特に好ましいエポキシ樹脂は、例えば、商品名CY179(Huntsman)、ACHWL CER 4221(Achiewell, LLC)、またはCyracure 6105/6110(Dow Chemical)のもと市販されている脂環式エポキシ樹脂である。
【0129】
好ましい実施態様において、本発明の重合性調製物は、複数の上述したエポキシ樹脂の混合物を含有する。
【0130】
重合性組成物の総重量に対する複数の樹脂の混合物の割合は、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜30重量%、とりわけ好ましくは15〜25重量%である。
【0131】
通常、本発明の組成物は、前記オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物に加えて、例えば、粉砕または沈降チョーク、カーボンブラック、炭酸カルシウム−マグネシウム、バライト、および特にケイ酸アルミニウム−マグネシウム−カルシウム型のケイ酸塩フィラー(例えば、珪灰石、緑泥石)などの添加剤をさらに含有する。
【0132】
さらに本発明の組成物は、例えば可塑剤、反応性希釈剤、さらなる耐衝撃性改質剤、レオロジー調整剤、湿潤剤、酸化防止剤、安定化剤および/または着色顔料などの他の添加剤を含有することができる。しかしながら、本発明の組成物は、好ましくは可塑剤を含有しない。
【0133】
本発明の好ましい組成物は、重合性組成物の総重量に対して、
(i)50〜90重量%の少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物、
(ii)10〜40重量%の少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物、
(iii)0〜20重量%の少なくとも1種のエポキシ樹脂、特に少なくとも1種の脂環式エポキシ樹脂、および
(iv)0〜20重量%の少なくとも1種の添加剤
を含有する。
【0134】
本発明は、本発明の重合性組成物の重合生成物も提供する。
【0135】
重合性組成物においてオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を使用することにより、硬化した生成物の効果的な耐衝撃性の改質を達成する。
【0136】
非改質ベンゾオキサジン系重合生成物と比較して、すなわちオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を含まない重合生成物と比較して、臨界応力拡大係数K1cおよび臨界エネルギー解放率G1cの著しい増加が達成される。
【0137】
曲げ強度および曲げ弾性率は、ASTM D790に従って測定した(それぞれ、90mm×12.7mm×3.2mmの大きさの試験片を用い、スパン=50.8mmおよび速度1.27mm/分で測定した)。臨界応力拡大係数K1cおよび臨界エネルギー解放率G1cは、シングルエッジノッチベンディング法(SENB)を用い、ASTM D5045−96に従って測定した(それぞれ、56mm×12.7mm×3.2mmの大きさの試験片を使用した)。
【0138】
重合性ベンゾオキサジン化合物または種々の重合性ベンゾオキサジン化合物の混合物の重合は、自己開始機構により昇温下で行うことができ(熱重合)またはカチオン開始剤の添加により行うことができる。
【0139】
適当なカチオン開始剤は、例えばルイス酸または他のカチオン開始剤、例えば金属ハロゲン化物、有機金属反応剤、例えば金属ポルフィリン、メチルトシレート、メチルトリフラートまたはトリフルオロスルホン酸などである。同様に、塩基性反応剤を、重合性ベンゾオキサジン化合物または種々の重合性ベンゾオキサジン化合物の混合物の重合を開始するために使用することもできる。適当な塩基性反応剤は、例えばイミダゾールまたはイミダゾール誘導体から選択することができる。
【0140】
本発明の重合性組成物の熱重合は、好ましくは150〜300℃の温度、特に160〜220℃の温度で行われる。上述した開始剤および/または他の反応剤を使用することにより、重合温度をより低くすることもできる。
【0141】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の重合生成物は、繊維層または繊維束を組み込んでいてよく、そこではこの繊維は、本発明の重合性組成物により硬化(重合)前に処理される。その後の硬化により繊維強化複合材が得られる。
【0142】
したがって、本発明は、本発明による重合性組成物の重合生成物の製造方法であって、前記組成物に繊維層または繊維束が組み込まれ、その繊維が本発明の重合性組成物により硬化前に処理される方法も提供する。
【0143】
本発明による方法は、以下の工程:
a)繊維層または繊維束の準備
b)本発明による重合性組成物の準備
c)繊維層または繊維束を本発明の重合性組成物で処理することによる複合系の製造
d)場合により、複合系からの過剰量の重合性組成物の除去
を含み、複合系を(好ましくは加圧下で)昇温に曝露することにより前記重合生成物が得られる。
【0144】
本発明の意義の範囲において用語「昇温」は、特に40〜300℃の温度、好ましくは50〜280℃、特に好ましくは80〜250℃の温度を意味するものと理解される。
【0145】
前記繊維は、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、酸化アルミニウム繊維、および炭化ケイ素繊維から選択される。2つ以上のこれらの繊維の混合物も使用することができる。比較的軽い重量で比較的長い耐久性を有する製品を製造するために、炭素繊維を使用することが特に好ましい。
【0146】
本発明の意義の範囲において、繊維層または繊維束は特定の形態または配置に限定されず、例えば、同一方向に互いに平行方向に配置された長繊維、トウ紡績糸、織物(布)、マット、編地またはレースを使用することもできる。
【0147】
本発明による前記方法により製造された繊維強化複合材形態の複合材系は、それらが低重量であり、かつ、高い構造強度を有するため、例えば航空機構造または自動車産業において使用することができる。
【0148】
一般に、本発明の繊維強化複合材を製造するために、先行技術における任意の既知の製造方法を使用することができる。
【0149】
繊維強化複合材の広く用いられている1つの製造方法において、繊維(強化繊維)から製造されるプリプレグまたはトウプレグおよび未硬化重合性組成物は中間体として製造され、その後それらは手動で積層され、熱硬化される。
【0150】
樹脂トランスファー成形法(RTM)においては、モールド内に配置された強化繊維物質に液体の熱硬化性重合性組成物を注入し、その後、これを熱硬化して繊維強化複合材を得る。
【0151】
一般的に既知のRTM法においては、重合性組成物を注入するために真空バッグにより覆い真空にした、密閉モールド内に配置された強化繊維物質または開閉モールド内に配置された強化繊維物質に、液体の熱硬化性重合性組成物を加圧下で注入する。後者の方法は、真空含浸工法(VaRTM)として既知である。
【0152】
本発明は、本発明の重合性組成物を含んでなる接着剤、封止剤またはコーティング剤も提供する。
【0153】
同様に、本発明は、重合形態で少なくとも1種の重合性ベンゾオキサジン化合物を含有する重合生成物用の耐衝撃性改質剤としての、少なくとも1種の上述したオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の使用を提供する。
【0154】
下記実施例により、より詳細に本発明を説明する。
【実施例】
【0155】
1)オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の製造
オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物を製造するために、下記の物質を使用した:
ビスフェノールA:2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)、Aldrich製
DER 732:ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、Dow Chemical社製
DER 736:ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、Dow Chemical社製
DER 331:ビスフェノールAエポキシ樹脂、Dow Chemical社製
DEN 431:エポキシノボラック樹脂、Dow Chemical社製
Araldite MY 0510:(p−アミノフェノール)トリグリシジルエーテル、Huntsman製
【0156】
反応容器に、ビスフェノールA(成分A−1)とDER 732またはDER 736(成分B−1)の混合物を投入した。いくつかの場合においては、DER 331(成分B−2)を反応混合物にさらに加えた。触媒として、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.3重量%)を添加した後、反応混合物を150℃まで、攪拌しながら1.5〜5時間加熱した。その後、生成物を容器に移し、蓋をした。
【0157】
上述した工程により製造したオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物について、このポリエーテル化合物の製造における各成分の詳細なモル比を表1に記載する。
【0158】
【表1】

【0159】
2)重合性組成物の製造
混合物の総重量に対して、60重量%のBox−Iおよび40重量%のBox−IIを含む2種のベンゾオキサジン化合物(Box)の混合物を、ベンゾオキサジン化合物として使用した。
【0160】
【化34】

【0161】
500ml反応フラスコ中で、重合性組成物を製造した。上記のベンゾオキサジン化合物(Box)120gと40gの脂環式エポキシ樹脂CER 4221(Achiewell)をこのフラスコ内に投入した。相当量のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物、および必要に応じて硬化触媒(トリフルオロメタンスルホン酸のジエチルアミン塩、Nacure Super A233、King Industries)を攪拌しながら添加した。
【0162】
混合物を真空下(10mbar未満)、80℃で攪拌しながら15〜30分間均質化し、その後密閉容器内で保管した。
【0163】
表2は、それぞれ、重合性組成物の総重量に対する重合性組成物中の各成分の割合を示す。
【0164】
【表2】

【0165】
3)重合性組成物の重合生成物の力学的データ
重合性組成物を、オートクレーブ中、180℃、90分間で熱硬化させた。その後、硬化した試料(重合生成物)を室温まで冷却し、下記の分析法により特徴付けた。
【0166】
曲げ強度および曲げ弾性率は、ASTM D790に従って測定した(それぞれ、90mm×12.7mm×3.2mmの大きさの試験片を用い、スパン=50.8mmおよび速度1.27mm/分で測定した)。
【0167】
臨界応力拡大係数K1cおよびG1c(臨界エネルギー解放率)は、シングルエッジノッチベンディング法(SENB)を用い、ASTM D5045−96に従って測定した(それぞれ、56mm×12.7mm×3.2mmの大きさの試験片を使用した)。
【0168】
重合性組成物の重合生成物の力学的データを表3に示す。
【0169】
【表3】

【0170】
表3は、本発明の重合生成物が非常に高いK1cおよびG1cならびに高い曲げ弾性率を有していることを示す。このように示された力学的データは、本発明のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物がベンゾオキサジンに基づく樹脂系に対する耐衝撃性改質剤として極めて適していることを実証している。
【0171】
これに対して、添加剤としてポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(DER 732)のみを含む参考組成物(2a)は、極めて低い破壊力学特性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物および
(ii)一般式(I):
【化1】

〔式中、nは5〜10,000の数であり、各繰り返し単位における各基Rは、互いに独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、各繰り返し単位における基X’は、互いに独立して、−O−、−S−、−NH−および一般式−(C=O)O−のカルボキシル基(カルボキシル基の炭素原子は常に基Aに接続している)から選択され、各繰り返し単位における基Yは、独立して、−OH、−SHおよび−NHから選択され、
各繰り返し単位における基Aは、独立して、KおよびLから選択され、Kは芳香族ジヒドロキシ化合物の両方のヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基であり、Lはポリエーテルの2個の末端ヒドロキシ基を取り除いた後の2価の基である(ただし、オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物中の全ての基Aの総数に基づいて、全基Aの20〜80%はKであり、全基Aの20〜80%はLである)〕
で示される1つ以上の構造要素を含む少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物
を含んでなる重合性組成物。
【請求項2】
オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、一般式(II):
【化2】

〔式中、Eは水素および一般式(III):
【化3】

で示される基から選択され、Fは水素および一般式(IV):
【化4】

で示される基から選択される(式中、各基Wは、独立して、−O−、−S−および−NH−から選択され、基A、X’、RおよびYならびにnは、請求項1における定義と同じである)〕
で示される化合物から選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
式(I)、(II)、(III)および/または(IV)における各基Rが、独立してメチレン基を表す請求項1または2に記載の重合性組成物。
【請求項4】
式(I)、(II)および/または(IV)における各基X’が、独立して−O−を表す請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項5】
式(I)、(II)および/または(IV)における各基Yが−OHを表す請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項6】
式(III)および/または(IV)における基Wが−O−を表す請求項1〜5のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項7】
Kが、一般式(V)および/または式(VI):
【化5】

〔式中、iおよびjは、互いに独立して、0〜4の数を表し、RおよびRは、互いに独立して、ハロゲン、C1〜40アルキル、C2〜40アルケニル、C1〜40アルコキシルおよびC7〜13アラルキルまたはフェニル構造から対応するナフチル構造を構成する2価の基から選択され、Qはアルキレン、酸素、イオウ、スルホキシド、スルホンおよび直接共有結合から選択される〕
で示される2価の基から選択される請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項8】
Lが、一般式(VII):
【化6】

〔式中、lは0〜5000の数を表し、式(VII)および各繰り返し単位における各l’は、独立して、1〜10の数を表し、式(VII)および各繰り返し単位における各Rは、独立して、水素および直鎖または分枝の、場合により置換されたC1〜12アルキル基から選択される〕
で示される2価の基から選択される請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項9】
(i)少なくとも1種のベンゾオキサジン化合物、および
(ii)少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物であって、
(A−1)少なくとも2個の芳香族ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を含んでなる芳香族化合物、および
(A−2)少なくとも2個の末端ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基を含んでなるポリエーテル
からなる群から選択される少なくとも1種の成分Aと、
(B−1)少なくとも2個の末端オキシラン基、アジリジン基またはチイラン基を含んでなるポリエーテル、および
(B−2)一般式(VIII):
【化7】

〔式中、各基RおよびRは、独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、各基X’は、独立して、−O−、−S−、−NH−および一般式−(C=O)O−のカルボキシル基(カルボキシル基の炭素原子は常に基Dに接続している)から選択され、Wは、−O−、−S−および−NH−から選択され、基Dは少なくとも1個の芳香族基を含む〕
で示される芳香族化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の成分Bとを反応させる[ただし、(A−1)の定義を満たす1種以上の成分と(B−2)の定義を満たす1種以上の成分との排他的反応および(A−2)の定義を満たす1種以上の成分と(B−1)の定義を満たす1種以上の成分との排他的反応は除く]ことにより得られるオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物
を含んでなる重合性組成物。
【請求項10】
オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、少なくとも1個の末端オキシラン基、アジリジン基および/またはチイラン基、ならびに/あるいは、少なくとも1個の末端ヒドロキシ基、アミノ基および/またはチオール基を有する請求項9に記載の重合性組成物。
【請求項11】
成分(A−1)が、一般式(VIa):
【化8】

〔式中、jは0〜4の数を表し、Rは、ハロゲン、C1〜40アルキル、C2〜40アルケニル、C1〜40アルコキシルおよびC7〜13アラルキルから選択され、Qはアルキレン、酸素、イオウ、スルホキシド、スルホンおよび直接共有結合から選択される〕
で示される化合物から選択される請求項9または10に記載の重合性組成物。
【請求項12】
成分(A−2)が、一般式(IX):
【化9】

〔式中、mは2〜100の数を表し、Pはm価のポリアルキレンオキシド基を表す〕
で示される化合物から選択される請求項9〜11のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項13】
成分(B−1)が、一般式(X):
【化10】

〔式中、uは2〜5000の数を表し、各繰り返し単位におけるu’は、独立して、1〜10の数を表し、式(X)および各繰り返し単位における各Rは、独立して、水素および直鎖または分枝の、場合により置換されたC1〜12アルキル基から選択され、各基RおよびRは、独立して、1〜100個の炭素原子を有する化合物の2価の基を表し、Wは、−O−、−S−および−NH−から選択される〕
で示される化合物から選択される請求項9〜12のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項14】
オリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物が、1000〜100,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の重合性組成物の重合生成物。
【請求項16】
重合生成物が繊維層または繊維束を含み、硬化前に該繊維が請求項1〜14のいずれかに記載の重合性組成物により処理されている請求項15に記載の重合生成物。
【請求項17】
下記工程:
a)繊維層または繊維束の準備
b)請求項1〜14のいずれかに記載の重合性組成物の準備
c)繊維層または繊維束を重合性組成物で処理することによる複合系の製造
d)場合により、複合系からの過剰量の重合性組成物の除去
を含み、複合系を昇温に曝露することにより前記重合生成物が得られる、請求項16に記載の重合生成物の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれかに記載の重合性組成物を含んでなる接着剤、封止剤またはコーティング剤。
【請求項19】
重合形態で少なくとも1種の重合性ベンゾオキサジン化合物を含有する重合生成物用の耐衝撃性改質剤としての、請求項1〜14のいずれかに記載の重合性組成物の一部を形成する1種以上のオリゴマーまたはポリマーのウレタン基非含有ポリエーテル化合物の使用。

【公表番号】特表2013−500372(P2013−500372A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522165(P2012−522165)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060959
【国際公開番号】WO2011/012648
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】