説明

耐震外構塀およびその施工方法

【課題】狭い場所でも施工できる耐震外構塀およびその施工方法を提供する。
【解決手段】地中に打設された鋼管杭1と、鋼管杭1に固定された鉛直支柱2と、塀部材4とを備え、塀部材4と鉛直支柱2とは、塀部材4と鉛直支柱2との間に充填材が充填され、充填材が固結することで連結されている。基礎コンクリートおよび控壁を無くすことができ、狭い場所でも施工できる。鉛直・水平方向に大きな耐力を持ち、地震によって耐震外構塀が倒壊することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐震外構塀およびその施工方法に関する。さらに詳しくは、例えば建物の外周に設置される外構塀であって、耐震性を有する耐震外構塀およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去の巨大地震(震度6程度)によれば、外構塀の倒壊によって、人的被害のほか、緊急車両の通行の妨げや、避難路の確保に支障をきたすことがあった。
また、防災科学研究所が発表しているように、今後30年以内に東海・東南海・南海地震が発生する確率は、50〜87%と非常に高く、しかも震度6以上の地震が予想されている。特に東海・東南海・南海地震では5mを越える津波が発生し、都市部に30分程度で押し寄せて来るので、避難路の確保は重要である。そのため、既設の外構塀の撤去や耐震補強工事が推進されているが、特殊な工事となり工事費が高価であることと、既設外構塀と建物等との間に十分な空間が取れないこと等の理由により、耐震補強工事が捗ってないのが現状である。
【0003】
外構塀の耐震に関する技術として、例えば特許文献1に記載の技術がある。
本従来技術は、外構塀主体を発泡系合成樹脂パネルで構成し、コンクリート塀に比べて軽量とすることで、耐震性を増す技術である。
しかるに、JIS A5406には、コンクリートブロックの全断面積に対する圧縮強さは4N/mm2以上と規定されているが、発泡系合成樹脂パネルの圧縮強さは0.1〜1N/mm2と非常に弱い。また、曲げ強さも0.1〜1N/mm2と非常に弱い。そのため、台風時の強風等による風圧に耐えられず飛ばされる危険性があるなど、外構塀としての強度が弱いという問題がある。
【0004】
また、特許文献2には、既設外構塀に支柱を連結することで、耐震補強をする技術が記載されている。
しかるに、同様の技術を適用して既設外構塀に耐震補強をした過去の経験から、支柱が固定される基礎コンクリートが相当の重量を有していなければ、かえって外面側(道路側)への転倒を助長することになるという問題が分かっている。
また、支柱を設置するため、既設外構塀と建物等との間にかなりの空間が必要であるという問題がある。
さらに、外側面に外面板が貼り付けられるため、外観が損なわれるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−167778号公報
【特許文献2】特開2009−144341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、狭い場所でも施工できる耐震外構塀およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の耐震外構塀は、地中に打設された鋼管杭と、該鋼管杭に固定された鉛直支柱と、塀部材とを備え、前記塀部材と前記鉛直支柱とは、該塀部材と該鉛直支柱との間に充填材が充填され、該充填材が固結することで連結されていることを特徴とする。
第2発明の耐震外構塀は、第1発明において、前記塀部材は、板状の木質材と、該木質材の両面に貼り付けられ、該木質材の両側縁から突出する外壁材とからなり、前記鉛直支柱は、隣り合う前記塀部材の前記木質材と前記外壁材とで形成される鉛直空間内に挿入されており、前記塀部材と前記鉛直支柱とは、前記鉛直空間に充填材が充填され、該充填材が固結することで連結されていることを特徴とする。
第3発明の耐震外構塀は、第2発明において、前記木質材の両側縁上方に、吊金具が取り付けられていることを特徴とする。
第4発明の耐震外構塀は、第2発明において、前記塀部材は、分割されていることを特徴とする。
第5発明の耐震外構塀は、第1発明において、前記塀部材は、既設の外構塀であり、前記鉛直支柱は、前記既設外構塀から所定間隔を空けて設けられており、前記既設外構塀と前記鉛直支柱とは、一端が該既設外構塀に固定され、他端が該鉛直支柱に固定された連結鉄筋と、該既設外構塀と該鉛直支柱とを包み込むようにコンクリートを打設し固結して形成された補強壁とで連結されていることを特徴とする。
第6発明の耐震外構塀は、第5発明において、前記既設外構塀の表面に貼り付けられ、端部が前記補強壁の内部に埋め込まれた金網を備えていることを特徴とする。
第7発明の耐震外構塀は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記鉛直支柱は、PC鋼棒であることを特徴とする。
第8発明の耐震外構塀の施工方法は、鋼管杭を地中に打設し、鉛直支柱を前記鋼管杭に固定し、塀部材と前記鉛直支柱とを、該塀部材と該鉛直支柱との間に充填材を充填し、該充填材を固結して連結することを特徴とする。
第9発明の耐震外構塀の施工方法は、第8発明において、前記塀部材は、板状の木質材と、該木質材の両面に貼り付けられ、該木質材の両側縁から突出する外壁材とからなり、前記鉛直支柱を、隣り合う前記塀部材の前記木質材と前記外壁材とで形成される鉛直空間内に挿入し、前記塀部材と前記鉛直支柱とを、前記鉛直空間に充填材を充填し、該充填材を固結して連結することを特徴とする。
第10発明の耐震外構塀の施工方法は、第8発明において、前記塀部材は、既設の外構塀であり、前記鉛直支柱を、前記既設外構塀から所定間隔を空けて設け、前記既設外構塀と前記鉛直支柱とを、連結鉄筋の一端を該既設外構塀に固定し、他端を該鉛直支柱に固定し、該既設外構塀と該鉛直支柱とを包み込むようにコンクリートを打設し固結して補強壁を形成することで連結することを特徴とする。
第11発明の耐震外構塀の施工方法は、第10発明において、金網を前記既設外構塀の表面に貼り付け、端部を前記補強壁の内部に埋め込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、鋼管杭に固定された鉛直支柱で塀部材を支えるので、基礎コンクリートおよび控壁を無くすことができ、狭い場所でも施工できる。また、鋼管杭を地中に打設するため、鉛直・水平方向に大きな耐力を持ち、地震によって耐震外構塀が倒壊することを防止できる。
第2発明によれば、塀部材はコンクリートに比べ軽量であるので、コンクリートブロック塀に比べて、耐震性が高い。
第3発明によれば、塀部材に吊金具が取り付けられているので、クレーンで塀部材を鉛直支柱の間に挿入することができ、施工が容易となる。また、木質材の両側縁に吊金具が取り付けられているので、施工後は吊金具が隠れ、邪魔にならず、外観が損なわれない。
第4発明によれば、塀部材が分割されているので、一つの部材が軽量となり、取扱いやすく、クレーンが入れないような狭い場所でも、人力で施工することができる。
第5発明によれば、鋼管杭に固定された鉛直支柱で既設外構塀を支えるので、既設外構塀の耐震補強ができる。また、基礎コンクリートを新たに設ける必要がないので、既設外構塀と建物等との間に十分な空間が取れない場合でも施工できる。
第6発明によれば、金網が既設外構塀の表面に貼り付けられているので、既設外構塀を補強でき、地震の際に危険となる上部ブロックの個々の崩壊を防止できる。また、金網の端部が補強壁の内部に埋め込まれているので、既設外構塀全体を倒壊しないように支えることができる。
第7発明によれば、鉛直支柱が剛性の高いPC鋼棒であるので、耐震性が高い。
第8発明によれば、鋼管杭に固定された鉛直支柱で塀部材を支えるので、基礎コンクリートおよび控壁を無くすことができ、狭い場所でも施工できる。また、鋼管杭を地中に打設するため、鉛直・水平方向に大きな耐力を持ち、地震によって耐震外構塀が倒壊することを防止できる。
第9発明によれば、塀部材はコンクリートに比べ軽量であるので、コンクリートブロック塀に比べて、耐震性が高い。
第10発明によれば、鋼管杭に固定された鉛直支柱で既設外構塀を支えるので、既設外構塀の耐震補強ができる。また、基礎コンクリートを新たに設ける必要がないので、既設外構塀と建物等との間に十分な空間が取れない場合でも施工できる。
第11発明によれば、金網が既設外構塀の表面に貼り付けられているので、既設外構塀を補強でき、地震の際に危険となる上部ブロックの個々の崩壊を防止できる。また、金網の端部が補強壁の内部に埋め込まれているので、既設外構塀全体を倒壊しないように支えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る耐震外構塀の斜視図である。
【図2】同耐震外構塀の正面図である。
【図3】図2におけるIII-III線矢視断面図である。
【図4】図2におけるIV-IV線矢視断面図である。
【図5】図4におけるV-V線矢視断面図である。
【図6】地盤改良後の地面の断面図である。
【図7】塀部材の正面図である。
【図8】塀部材の側面図である。
【図9】塀部材の平面図である。
【図10】図2におけるa部分の拡大図である。
【図11】図3におけるb部分の拡大図である。
【図12】塀部材の接続部分の平面視拡大図である。
【図13】分割した塀部材で構成した耐震外構塀の正面図である。
【図14】曲線状に施工した耐震外構塀の平面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る耐震外構塀の正面図である。
【図16】図15におけるXVI-XVI線矢視断面図である。
【図17】図15におけるXVII-XVII線矢視断面図である。
【図18】図15におけるXVIII-XVIII線矢視断面図である。
【図19】図18におけるc部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4に示すように、本発明の第1実施形態に係る耐震外構塀Aは、地中に打設された鋼管杭1と、その鋼管杭1に固定された鉛直支柱2と、塀部材4とを備える。
【0011】
鋼管杭1は、耐震外構塀Aが敷設される地中に複数本打設される。ここで、鋼管杭1の杭径、杭長、杭間隔等は構造計算により定めることが好ましい。例えば、耐震外構塀Aに震度6の地震の慣性力1000galを作用させた場合の構造計算を行えば、杭長を1〜1.5m、杭間隔を1.2〜2m、杭径を腐食代を考慮して100mmとすることが考えられる。なお、鋼管杭1の打設には、地盤掘削用ハンドオーガや油圧杭打機等が用いられる。
【0012】
鋼管杭1の内部には、鉛直支柱2が適当な長さまで挿入される。そして、図5に示すように、鋼管杭1の内部にモルタルやコンクリート等を充填し固結することで、鉛直支柱2が鋼管杭1に固定されている。
鉛直支柱2は、剛性の高い素材であることが好ましく、例えばPC鋼棒が用いられる。この鉛直支柱2の径も構造計算により定めることが好ましい。
【0013】
塀部材4は、隣り合う鉛直支柱2、2の間に挿入されるが、その塀部材4と地面との間にはコンクリート台3が設けられる。コンクリート台3は、高さを約10cmとし、地表から深さ5cm程度埋め込むことが好ましい。また、コンクリート台3の幅は、塀部材4の厚さより少し大きくすることが好ましい。
【0014】
なお、図6に示すように、耐震外構塀Aを施工する場所の地盤強度が弱い場合には、適当な深さおよび幅で良質土7により地盤改良を行ったうえで、鋼管杭1の打設と、コンクリート台3の設置を行うことが好ましい。
【0015】
図7〜図9に示すように、塀部材4は、板状の木質材4aと、その木質材4aの底面に貼り付けられた外壁材4bと、木質材4aの両面に貼り付けられた外壁材4c、4cとからなる。木質材4aの両面に貼り付けられた外壁材4c、4cは、その幅寸法が木質材4aの幅寸法より長くなっており、木質材4aの両側縁から突出するようになっている。そのため、塀部材4の両端は、平面視において外側に開口したコの字型となっており、鉛直方向に長い溝が形成されている。
【0016】
木質材4aとしては、例えば間伐材や木造建築廃材等が用いられる。構造用合板を用いれば、圧縮強さが10N/mm2以上、曲げ強さが22N/mm2以上であり、耐震外構塀Aとしての強度に問題ない。また、構造用合板以外にも、パーティクルボード等であっても強度に問題ない。
また、外壁材4c、4cに、あらかじめ装飾を施し、耐火性や耐久性等を向上させておいてもよい。
【0017】
図2に示すように、塀部材4は、隣り合う鉛直支柱2、2の間に挿入される。ここで、図10に示すように、塀部材4には、木質材4aの両側縁上方に、吊金具6が取り付けられている。そのため、小型クレーン等にこの吊金具6を用いて玉掛けし、小型クレーンの操作で塀部材4を鉛直支柱2、2の間に挿入することができ、施工が容易となる。
【0018】
塀部材4を鉛直支柱2、2の間に挿入していくと、図11に示すように、隣り合う塀部材4、4のコの字型の端部同士が対向し、鉛直方向に長い四角柱状の鉛直空間が形成される。そして、この鉛直空間内に鉛直支柱2が挿入されるようになる。
この鉛直空間内に高強度のモルタルや接着剤等の充填材を充填して、その充填材が固結することで、塀部材4と鉛直支柱2とが連結される。
【0019】
ここで、図12に示すように、吊金具6は、木質材4aの両側縁に互い違いに取り付けられているので、隣り合う塀部材4、4の吊金具6、6同士が干渉することがない。
また、木質材4aの両側縁に吊金具6が取り付けられているので、吊金具6は鉛直空間内に収まり、施工後は吊金具6が隠れ、邪魔にならず、外観が損なわれない。
【0020】
最後に、笠木5を塀部材4の上端に取り付けることで耐震外構塀Aが完成する。
【0021】
以上のごとく、耐震外構塀Aは、鋼管杭1に固定された鉛直支柱2で塀部材4を支えるので、一般的なコンクリート塀に必要な基礎コンクリートおよび控壁を無くすことができ、狭い場所でも施工できる。
また、鋼管杭1を地中に打設するため、鉛直・水平方向に大きな耐力を持ち、地震によって耐震外構塀Aが倒壊することを防止できる。
さらに、塀部材4は木質材4aで構成されており、コンクリートに比べ軽量であるので、コンクリートブロック塀に比べて、耐震性が高い。
【0022】
なお、上記実施形態では、塀部材4を耐震外構塀Aの上から下までの高さ寸法を有する大型のものとしたが、これに代えて、図13に示すように、上下に2分割した塀部材4´、4´´としてもよい。このように、塀部材4を分割すれば、一つの塀部材4´、4´´が軽量となり、取扱いやすく、クレーンが入れないような狭い場所でも、人力で施工することができる。塀部材4は2分割の他、3分割以上としてもよい。また、鉛直方向に分割してもよいし水平方向に分割してもよい。
【0023】
さらになお、耐震外構塀Aを平面視曲線状に施工する場合には、図14に示すように、隣り合う塀部材4、4同士に傾きを持たせて施工すればよい。この場合、幅寸法の短い塀部材4´´´を用いれば、滑らかな曲線状に施工することができる。
【0024】
(第2実施形態)
図15に示すように、本発明の第2実施形態に係る耐震外構塀Bは、第1実施形態に係る耐震外構塀Aの塀部材4に代えて既設の外構塀wとし、その既設外構塀wに耐震工事を施したものである。ここで、既設外構塀wは、例えばコンクリートブロック塀であり、地中に埋没された側面字L字型の基礎コンクリートと、その基礎コンクリートの上に積層されたコンクリートブロックにより構成された塀部分とからなる。
【0025】
まず、鋼管杭1は、既設外構塀wの片側(敷地側)から所定間隔を空けて基礎コンクリートを避けた位置に、既設外構塀wに沿って地中に複数本打設される。ここで、鋼管杭1の杭径、杭長、杭間隔等は構造計算により定めることが好ましい。特に、杭間隔は、既設外構塀wの目地間隔の倍数として、構造計算により定めることが好ましい。
【0026】
つぎに、鋼管杭1の内部に、鉛直支柱2を適当な長さまで挿入し、鋼管杭1の内部にモルタルやコンクリート等を充填し固結することで、鉛直支柱2を鋼管杭1に固定する。
【0027】
つぎに、図16、図18に示すように、既設外構塀wを穿孔してホールインアンカー8を設置する。この際、ホールインアンカー8を、鉛直支柱2と対向する位置であって既設外構塀wの上部に3〜4段程度配置する。
そして、J字型の連結鉄筋9の一端であるフックを鉛直支柱2に引っ掛けるとともに、他端をホールインアンカー8に固定することで、既設外構塀wと鉛直支柱2とを連結する。
つぎに、図17に示すように、金網10を既設外構塀wの表面に接着剤等で貼り付け、その端部を後述の補強壁11の内部に埋め込まれるように折り曲げる。この際、金網10は、既設外構塀wの上部から1/3〜1/2程度の範囲に貼り付ければよい。一方、補強壁11には、上部から下部に渡って全体に埋め込むことが好ましい。
【0028】
つぎに、鉛直支柱2、連結鉄筋9および金網10を包み込むように、かつ、既設外構塀wと鉛直支柱2とを連結するように、コンクリートを打設し固結させて、補強壁11を形成する。最後に、既設外構塀wに貼り付けられた金網10の上から、10〜20mm程度の軽量モルタル等を吹き付け、既設外構塀wと金網10との接着力を高め、防水性を高める。
【0029】
以上のごとく、鉛直・水平方向に大きな耐力を持つ鋼管杭1に固定された鉛直支柱2で既設外構塀wを支えるので、既設外構塀wの耐震補強ができる。
また、基礎コンクリートを新たに設ける必要がないので、既設外構塀wと建物等との間に十分な空間が取れない場合でも施工できる。
【0030】
また、金網10が既設外構塀wの表面に貼り付けられているので、既設外構塀wを補強でき、ひび割れを防止できる。特に、地震によるコンクリート塀の倒壊は塀の上部のブロックから個々に崩壊していくが、金網10を既設外構塀wの上部から1/3〜1/2程度の範囲に貼り付ければ、地震の際に危険となる塀の上部のブロックを連結でき、個々に崩壊することを防止できる。
さらに、金網10の端部が補強壁11の内部に埋め込まれているので、既設外構塀全体wを倒壊しないように支えることができる。また、補強壁11は新設のコンクリートを打設して形成されるが、金網10を上部から下部に渡って全体に埋め込めば、補強壁11のひび割れや劣化を防止できる。
【0031】
なお、既設外構塀wに鉄筋が十分配置されている場合には、金網10の設置を省略してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 鋼管杭
2 鉛直支柱
3 コンクリート台
4 塀部材
5 笠木
6 吊金具
7 良質土
8 ホールインアンカー
9 連結鉄筋
10 金網
11 補強壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に打設された鋼管杭と、
該鋼管杭に固定された鉛直支柱と、
塀部材とを備え、
前記塀部材と前記鉛直支柱とは、該塀部材と該鉛直支柱との間に充填材が充填され、該充填材が固結することで連結されている
ことを特徴とする耐震外構塀。
【請求項2】
前記塀部材は、
板状の木質材と、
該木質材の両面に貼り付けられ、該木質材の両側縁から突出する外壁材とからなり、
前記鉛直支柱は、隣り合う前記塀部材の前記木質材と前記外壁材とで形成される鉛直空間内に挿入されており、
前記塀部材と前記鉛直支柱とは、前記鉛直空間に充填材が充填され、該充填材が固結することで連結されている
ことを特徴とする請求項1記載の耐震外構塀。
【請求項3】
前記木質材の両側縁上方に、吊金具が取り付けられている
ことを特徴とする請求項2記載の耐震外構塀。
【請求項4】
前記塀部材は、分割されている
ことを特徴とする請求項2記載の耐震外構塀。
【請求項5】
前記塀部材は、既設の外構塀であり、
前記鉛直支柱は、前記既設外構塀から所定間隔を空けて設けられており、
前記既設外構塀と前記鉛直支柱とは、
一端が該既設外構塀に固定され、他端が該鉛直支柱に固定された連結鉄筋と、
該既設外構塀と該鉛直支柱とを包み込むようにコンクリートを打設し固結して形成された補強壁とで連結されている
ことを特徴とする請求項1記載の耐震外構塀。
【請求項6】
前記既設外構塀の表面に貼り付けられ、端部が前記補強壁の内部に埋め込まれた金網を備えている
ことを特徴とする請求項5記載の耐震外構塀。
【請求項7】
前記鉛直支柱は、PC鋼棒である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の耐震外構塀。
【請求項8】
鋼管杭を地中に打設し、
鉛直支柱を前記鋼管杭に固定し、
塀部材と前記鉛直支柱とを、該塀部材と該鉛直支柱との間に充填材を充填し、該充填材を固結して連結する
ことを特徴とする耐震外構塀の施工方法。
【請求項9】
前記塀部材は、
板状の木質材と、
該木質材の両面に貼り付けられ、該木質材の両側縁から突出する外壁材とからなり、
前記鉛直支柱を、隣り合う前記塀部材の前記木質材と前記外壁材とで形成される鉛直空間内に挿入し、
前記塀部材と前記鉛直支柱とを、前記鉛直空間に充填材を充填し、該充填材を固結して連結する
ことを特徴とする請求項8記載の耐震外構塀の施工方法。
【請求項10】
前記塀部材は、既設の外構塀であり、
前記鉛直支柱を、前記既設外構塀から所定間隔を空けて設け、
前記既設外構塀と前記鉛直支柱とを、
連結鉄筋の一端を該既設外構塀に固定し、他端を該鉛直支柱に固定し、
該既設外構塀と該鉛直支柱とを包み込むようにコンクリートを打設し固結して補強壁を形成することで連結する
ことを特徴とする請求項8記載の耐震外構塀の施工方法。
【請求項11】
金網を前記既設外構塀の表面に貼り付け、端部を前記補強壁の内部に埋め込む
ことを特徴とする請求項10記載の耐震外構塀の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−225031(P2012−225031A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92629(P2011−92629)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(511098275)日興コンサルタント株式会社 (1)
【出願人】(511098286)株式会社栄コンサルタント (1)
【出願人】(511098297)株式会社巧設計室 (1)
【Fターム(参考)】