説明

耐震貯水堤防とその設置工法

【課題】土砂崩落により決壊を起こす土手型堤防に代わる決壊を起こさない堅固な堤防として、災害に強く道路建設、各種用地建設などスーパー堤防として汎用性の高い堤防を提供する。
【解決手段】耐震貯水堤防の堤防基盤は、堤防下への浸水防止壁、パイルと連結する免震パネル及び免震基盤、粘土・シルト又はジェルを用いた滑面スライド構造、減圧暗渠による地下水排除液状化防止技術等の複数の技術を組み合わせ免震・耐震・液状化防止基盤を構成する。また、液状化を防止する地下水採取は、河川地下を巨大な水の濾過層と見立て、清浄な水の貯水を兼ねており、堤防内に水の循環路を形成してナノバブル水を噴射循環させ、水の腐敗を防止して、常時機能性の高い水を供給する施設としての機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂崩れによる決壊のない貯水機能を有する堤防によって、水不足の解消と防災を行う。通常は液状化現象を起こす原因の堤防下の河川伏流水及び地下水の排水を貯水して、飲料水、工業用水、農業用水を洪水時に河川濾過水で満水貯水して乾期・干魃時に有効に用いる。耐震基盤の上に水と施設の重量で激流を阻止する機能の「耐震貯水堤防施設」に関する
【背景技術】
【0002】
従来の堤防は、川底を掘り下げ、河岸にパイルを打ち込み、護岸工事を中心に土盛り、路面堅め作業により堤防嵩上げを行い、河面の表面をコンクリート壁やブロック積み上げで補強し、土手を造る通常の土木作業によって堤防を形成する技術が完成していた。
しかし、この土手方式では、大量の土砂が必要であり、常識を越える降雨量によって、オーバーフローした場合、土手の後側の土盛りの露出している部分で吸水して土手全体が水で飽和し、流動性の泥土となって崩壊が起り、決壊することがしばしばであった。
そこで、近年では河面反対の内陸側にもコンクリート壁やブロック積み上げて補強する土手面被覆技術の拡大が進められている。
しかしながら、最近は温暖化が進むに従って、局地的な降水量の変化は激しくなり、従来の常識では考えられない規模の災害が頻発している。
すなわち、大洪水により長時間オーバーフローが続いた場合は、堤防の裏側にコンクリート壁やブロックを積み上げていても、浸水して決壊する場面も見られる。
【0003】
地球の温暖化により、海外では、暴風雨、大洪水により広大な地域が水没し、甚大な被害を受けているが、堤防が崩壊しない鉄筋コンクリートであと数メートル堤防が高ければ防がれる災害も少なくない。
【0004】
また、海岸においても、温暖化により海面上昇が起こり、年々陸地が浸食され、人の住める場所が急速に減少している地域もあり、低開発国では殆ど為す術もない状態である。この場合も海岸周囲の堤防の設置と貯水可能な陸地の嵩上げが重要になっている。
【0005】
地球温暖化は、豪雨により災害をもたらす一方で、長期日照りによる干ばつの被害をもたらせている。今後の世界は清浄な真水を如何に確保するかが重要であり、大都会の上水、工業用水、農業用水等の確保も困難になりつつあり、深刻な問題を惹起している。
現在の用水確保は、河川水、沼湖からの採水、多目的ダム、用水ダム等の山間地のダムからの採水により供給され、浄水処理場において飲料水化するケースが多い。
ダムの水は山の崩壊による土砂の堆積、水の淀みによる底質の腐敗、アオコの発生など悪い条件もあり、清浄な水が確保されているとは言い難い。
また大都会の水源は、アオコの発生するダム湖や汚れた湖沼が多く、悪臭を黴臭を発生する場合が多く、悪臭をオゾン処理で除去して浄化し、飲用水に用いているのが現状である。
【0006】
特許文献1は、貯水槽を堤防として活用しようとするものである。河岸に設置した、連続するコンクリートの水槽を提案している点は本発明と基本的に同一の思想であるが、特許文献1は単純な構造で、堤防の破損の対応などの想定はなされて居らず、具体的な内容については、本発明と大きく異なっている。即ち、洪水時激流には、水流の動的な破壊力に加え、流木、土石流等の複雑な衝撃が加わるのであり、堤防の内側から外へ押し出す力が堤防を強化する上で必要である。特許文献1は貯水槽としての提案のみである。
詳しくは、特許文献1は、コンクリート外壁のみで防水する構造であり、外壁の破損が起こることついては顧慮していない。本発明の思想では、高い堤防に貯水した水位の差による水圧と水の重量で堤防を押さえ、堤防内部から堤防外壁を押し出す内圧が働き、外壁が洪水による動的衝撃を軽減する構造にしている。また、本発明の障壁多重構造は、内部隔壁と連動する。一部の外壁が破損しても内部障壁により2次、3次の防壁を有しているので本発明と特許文献1とは相違している。さらに、特許文献1の採水は、河川の水をそのまま採取して貯水する方式であるが、本発明では、河川底及び河川敷を巨大な濾過層に見立て、河川地下水、堤防下の地下水の清水を採水する方式であるので基本的に相違する。
【0007】
特許文献2、特許文献3、特許文献4,特許文献5は、同一出願者による関連特許で、特許文献2の部分に特許文献1と重複する貯水槽内蔵の部分がある。構造体自体が内部に河川の水を流下させる暗渠構造で、河川上に建設する建築物が主体である。堤防機能は、内部の河川水を通過させる部分のコンクリート障壁で、構造体は河川を暗渠として構造体内部を通過させる人工河川構造である。
従って、構造的には本発明と同様、支柱と隔壁で仕切られた構造物ではあるが、貯水機能を主眼としたものではない。本発明の大量貯水機能と防災を主眼としたものとは相違する。また、貯水時の採水は。河川の水をそのまま採取して貯水する方式で、本発明の河川底及び河川敷を巨大な濾過層に見立て、河川地下水、堤防下の地下水の清水を採水する方式で地盤の液状化を防止と耐震構造を目指す本特許の意図とも相違する。
【0008】
特許文献6は、通常の土砂堤防上に堤防に沿って設けられる貯水槽である。当該貯水槽に設けられた取水口は、河川の水位が一定以上に上昇したとき取水できる位置に存在することを特徴とする堤防兼用の河川水の貯水施設ある。本発明に示すような水の重量で堤防全体の重量を確保して堤防機能を強化することを目指した耐震構造の貯水堤防でもない。
【0009】
最近の発明としては、特許文献7に示す土砂堤防上の貯水構造物の施工方法がある。
特許文献7に示した土質堤防上の貯水構造物の施工方法である。その趣旨は、堤体を長大化させずに嵩上げし、洪水水位の上昇に対抗するため、堤体の上部を掘削し、引っ張り強度特性を有する第1の保護部材を施設し、堤上部の土の堤両面を保護部材で挟み込み、水で土手が破損しないように処置している。上部に貯水構造物を設置する工法であるが、堤全体を貯水槽とした堤防の構造ではない。
【0010】
堤防の多くは軟弱地盤上にあり、地震による地盤の液状化は、堤防の機能を根底から破壊する。地盤の液状化防止に関する特許文献は200件を越している。その内容は、宅地、ビル建設、工場地盤の強化を主眼とした地震対策としての技術が多い。
技術的内容は、遮水壁による不透水壁の設置、コンクリートパイルの打ち込みによる地盤強化技術、格子枠の設置による地盤強化、ドレーン埋設による強制排水など、多くの技術が提案されている。
【0011】
特許文献8は、防水堤を造るに当たって、遮水壁シートパイルの接合部を防水して、連続打ち込み挿入し、防水壁と防水ダムの間隙に防水材を圧力で深くブランチングし、これを段々に打ち込み、軟弱地盤上に堤防ダムを安定させる技術である。本発明の耐震構造では、不透水壁の設置は、矢板盤打ち込み後トレンチャー又はバックホーで溝を掘り溝の中へ不透水壁を形成し、コンクリートパイルの打ち込みによる地盤強化技術とドレーン埋設による強制排水及び採水との複合技術によって液状化防止を図るので、特許文献8とは相違する。
【0012】
特許文献9では、河川堤防、溜め池、防油堤など流体の貯留又は遮水を目的とする盛土構造体の下部にみず道を形成することのない液状化防止法で、鋼矢板式による連続地中壁を堤防の内外に設け、盛土構造物の下部へ向けて斜め下方にアースアンカーを配置して、連続地中壁とアースアンカーを結着し、液状化を防止する技術である。本発明の液状化防止ではアースアンカーは使用せず、防護壁も主体は鋼矢板ではなく、コンクリート防水壁であるので特許文献9とは相違する。
【0013】
特許文献10では、構造物の周囲を締め切り壁で液状化しない土層まで包囲し、その内部基礎杭を液状化しない支持地盤まで打ち込み、基礎杭上に構造物を設置して固化材を用い基礎杭と構造物を一体化する技術である。本発明では防水壁を基層まで設置し、基礎杭を液状化しない支持地盤まで打ち込み、基礎杭上部間をコンクリートのべた打ちでパイルの粗固定を行うまでは同様であるが、地下暗渠により液状化する土層に含まれる水を用水として採水する構造と基礎杭の間隔に合わせた周囲をクッションゴムで包囲したパネルを敷き詰め、上部にゴムクッションを載せて各基礎杭に掛かる重量を均等化する構造になっており、特許文献10とは大きな相違がある。
【0014】
暗渠排水に係る液状化防止方法としては、特許文献11に見られる。内容は、堤防盛土下の液状化防止を対象とし、堤防に沿った隔壁設置とドレーン設置及び強制排水である。
特許文献11は通常の盛土堤防であり、暗渠排水も深井戸へ地下深く送り込む方式である。本発明では、河川底地下及び堤防下地下から河川土層を巨大な濾過装置として活用し、堤防下の土層の地下水を、清浄な用水として採取する構造であるので、液状化防止と濾過採水兼ねているので、特許文献11の内容とは基本的に相違する。
【0015】
特許文献12には、最近の地盤の液状化防止方法が提案されている。この発明は、液状化する地盤に構築された構造物の流動化を格子状の地盤改良壁構造の形成によって、流動化を防止する技術である。本発明の基礎杭と連結するクッションゴムで包囲したコンクリートパネル相互の支え合いによって流動化を防止する技術とは相違している。
【0016】
貯水堤防は長期に亘って水を貯めるので、水垢や水の腐敗が発生し易い。また、灌漑用に使用する段階で、水の性質が、作物の生育やこれを飲用する動物の成育に大きな影響を有するので、貯水期間中の水の管理が重要である。本発明の水管理と先行する水の浄化技術を比較検討する。
【0017】
特許文献13は、水の浄化装置の提案である。湖沼から採水した水を濾過、汚泥物凝集除去、微生物の物理化学的制御、膜分離、活性汚泥法、光触媒、固体汚濁物除去、植物プランクトンを抑制する加圧技術等で飲料水に浄化する技術である。
本発明では、静止した水は、酸素欠乏を起こし、腐敗によるヘドロの発生を促すので、地下水から採取した清水を長期保存するため、水が循環する構造とナノバブルの供給により常に酸素を多く含んだ水を循環させ、水質保存と機能性の高い水を供給するのが目的であり、貯水技術としての提案であるので本発明と特許文献13は相違する。
【0018】
特許文献14は、河川浄化を低コストで行うため太陽電池とバッテリーを連慟しブロワーで微細気泡を発生させる河川浄化方法である。ブロワーによる微細気泡発生方法は気泡のサイズが大きく、浄化した水の酸素供給には効果があるが、ナノサイズの気泡発生装置ではない。本発明で必要な装置は、水の循環水路とナノサイズの気泡発生装置である。
【0019】
特許文献15には、本発明者が先に開発した「溶液の還元処理方法、酸化処理方法並びに自動酸化還元処理装置」を示した。内容は水素ガスの微細気泡による還元処理、空気・酸素・オゾンの微細気泡による酸化処理技術で、微細気泡水を生成する能力は、毎分10リットルから10トンの用水に対して、マイクロバブル、ナノバブルを生成して噴射する技術である。大量の微細気泡を発生し噴射する技術は現在のところ本技術のみである。
しかし、特許文献15には本発明の貯水堤防の長期貯水を目指すこととは相違し、循環水路の設置は含まれていない。本施設を構成するナノバブル発生装置である。
【0020】
特許文献16には、水路を開閉するゲートを構成する、水門に上流の水を浄化して下流へ放流する浄化処理水槽と、浄化処理水槽に微細気泡を供給する微細機保発生装置を設置して、水を浄化する技術であるが、気泡の発生装置が加圧気泡発生方法であり、装置の構造から気泡のサイズはブロアーと同様比較的大きなマイクロバブルのサイズと考えられる。
本発明は、貯水堤防内の水の腐敗防止が主眼であり、循環誘導水路と特許文献15に示すナノサイズの微細気泡を循環させる構造であるので、特許文献16とは相違している。
【0021】
本発明では、これら河川地下水採水の貯水堤防の構造、堤防地下の水の採取による液状化を防止する耐震構造の堤防基盤、長期清浄な機能性の高い水を保蔵する新しい貯水方法等の技術を組み合わせて、総合的システムを組み立てる。
【0022】
【特許文献1】特許公開昭55−72504 貯水槽を兼ねる堤防
【特許文献2】特許公開昭61−40806 河川敷を利用した貯水装置・堤防及び共同溝の複合構造体
【特許文献3】特許公開昭61−40805 堤防構造を含んだ建築構造体
【特許文献4】特許公開昭61−40808 堤防を含んだ立体建築構造物
【特許文献5】特許公開昭61−40809 防災用強化堤防を含む耐震堤防建築構造体
【特許文献6】特許公開2002−220822 堤防兼用の貯水槽
【特許文献7】特許公開2007−239209 土質貯水構造物の施工方法
【特許文献8】特許公開平2−108716 不良地質の堤防ダムと遮水壁
【特許文献9】特許公開平6−240655 堤防盛土における液状化防止構造
【特許文献10】特許公開平10−18310 構造物の耐震補強方法
【特許文献11】特許公開平11−1926 盛土構造物の液状化防止対策工法
【特許文献12】特許公開2007−327209 線状構造物の流動化対策工法
【特許文献13】特許公開平9−276847 水の浄化装置
【特許文献14】特許公開2001−321790 河川浄化方法
【特許文献15】特許公開2003−158698 (特許第3843361号)微細気泡による酸化還元装置
【特許文献16】特許公開2004−360396 水質浄化ゲート
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の第1の課題は、清浄な河川地下水の堤防内の貯水施設によりきょうきゅうし、水不足解消である。
気象変化に伴う局地的異常降水量の急増に見合った河川堤防の嵩上げである。堤防基盤を堅固にし、地震や災害に対して安全な技術で、事故による一部破損でも被害を最小限に止め、工事が迅速で丈の高い貯水堤防による、新しい防災技術の提供を目指している。
第2の課題は、地球温暖化により多発する世界各地の大洪水等の災害防止、海岸の大浸食の防止並びに島嶼地域の陸地水没の防止などに係る基礎技術の提供である。
第3の課題としては、世界の各地における水不足に対応した水の新しい貯水方法と安定した水の供給方法の提案である。
貯水手段としては、ダムが挙げられるが、従来のダムには土砂崩壊による濁水発生、温度上昇による無駄な蒸発散による減水、アオコ発生や水の腐敗など問題が多い。
その貯水方法の欠陥を補い、毎年洪水を起こす流域、島嶼地域、海岸地域においても、汚染がなく蒸発散しない水瓶の確保が必要である。
特に、大量の水を長期貯留する場合は、酸素を送り流水を発生させて水の腐敗を防止し、ダム湖底、水槽底に発生するヘドロ堆積防止を解決する必要がある。
その解決を図るための技術は、堅牢な中空の堤防に水を入れ、当発明者が発明した特許第3843361号の微細気泡ナノバブルによる水の浄化環流装置で清水を維持し、貯水重量と堤防の高さで洪水の激流を堰き止め、強大な水圧でも土手が崩壊しない構造の貯水堤防を提供する。
この貯水堤防は、鉄筋コンクリートで崩壊しない急傾斜を有する構造で、狭い堤防幅が要求される場所でも設置可能である。また、貯水のため中空であるので、堤防構築に係る土砂等資材量は大幅に軽減され、堤防の高さを嵩上げすることも容易である。
さらに、強固な堤防が必要な河川地帯は、砂質の土層が多く、伏流水、地下水が浅いので地震に伴う液状化現象が起こり易い。本技術では、地中隔壁の設置、パイルの打ち込み、深層ドレンパイプ設置と揚水ポンプで地下水採水を兼ねた排水で対処する。
即ち、清浄な地下水の採取技術と液状化防止技術を重ね、堤防が水源確保と防災機能の双方を兼ねている。
具体的内容は、1貯水堤防構造、2堤防基盤の免震液状化防止地盤強化技術、3微細気泡ナノバブル水連続循環浄化型貯水堤防の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
請求項1及び請求項2には地下水の貯水機能と堤防機能を両立させるため、鉄筋コンクリートの多機能の貯水可能な構造物を貯水堤防として提案した。
貯水堤防は、平野部に設置する傾斜面を有する堤防型貯水堤防(bank type pondage bank以下BtypePBと称する)と渓谷・山間部の道路の土台を形成する河岸断崖を形成する断崖型貯水堤防(clif type ponndage bannk以下CtypePBと称する)とがある。
何れも、しっかりした河岸基盤を造成し、その上に貯水堤防を築き、中に地下水を吸い上げて貯水し、鉄筋コンクリートの重量と貯水した水の重量で洪水を防止する。
【0025】
1 堤防形貯水堤防BtypePBの概要
図1には堤防型貯水堤防の俯瞰図を示した。堤防は河川に沿った一定距離毎に区画を設置して区切り、区画の一定距離毎に地下水取水、配水、貯水浄化等の水を管理する施設「コントロールセンター」CCを設置する。
即ち、流域の一定範囲、例えば100m〜2,000mの範囲を1区画として区域毎に区切って貯水する構造である。
堤防法面の外殻側壁4は斜面を利用した太陽光発電の敷地として使用が可能であり、太陽光発電の接続防水端子12を格納する施設をコントロールセンターCC付近の天端の道路面に沿って設置する。
堤防の上部は、通常は高速の幹線道路29建設が可能であるが、広大な敷地を有し都市化と防災を行う場合は、スーパー堤防と同様、住宅、ビル、商店街、大型百貨店・ショッピングセンター、駐車場、工場、公園、運動場、町造りなど複合化による総合的施設建設の基盤としても可能である。
防水河面側Iの堤防下方には河面犬走り6を設け、船着き場とその取り付け道路として、堤防下横断道路と防水扉32を設置して内外の連絡を図り、内陸側IIの堤防下方には内陸面犬走り7を設け、各地への連絡道路、作業道路の起点として機能する。
【0026】
1 堤防形貯水堤防BtypePBの基本構造
図2には、コントロールセンターCC付近の堤防型貯水堤防BtypePBの横断面図を示した。
Aは河川又は海洋、Bは砂質の河床等沖積層、Cは沖積層の下の基層又は岩盤である。
構造は、河川に沿って河岸方向Iから内陸方向IIへ向け、鉄筋コンクリートによる支柱とそれに連なった幾重もの隔壁2,3を有し、法面と天端を斜行外壁4と天井盤1を鉄筋コンクリートで被覆密封し、内部空間に水を蓄える機能を有している。
堤防の天端は、通常は幹線道路の道路保護盤27を設置することが可能である。
貯水堤防内部は、隣接する貯水堤防区画とコントロールセンターCCで水のやり取りができる通水路Eと大容量貯水を可能とする貯水槽Fから成り立っている。
大容量貯水槽は、天端幅を広くすることと丈を高くすることであり、天端幅は必要に応じて支柱と隔壁の数を増大させ拡大することが可能である。
貯水する水は堤防下、河川敷地下の土砂層を巨大な濾過装置として活用し、設置した暗渠UD及び河川濾過装置AFで採水し、コントロールセンターCC地下の堤防を横断する集水ボックスCB内を負圧にして集水し、コントロールセンターCCの暗渠揚水ポンプDPと揚水パイプ8で、農業用水は河川濾過装置ポンプAFと河川揚水パイプ10で、それぞれ用途に合わせた貯水槽へ送水する。特に農業用水は洪水等の緊急時に備え、河川濾過装置AFと同ポンプAPと河川揚水パイプ10で大量の水を急速に採水して堤防重量を高める必要があるので別途に採水施設を設けている。
工業用水と飲料水は地下水のみの採水を行う。
貯水槽の中では、各水槽タンクへ給配水パイプ9を通して水の給配水を行い、堤防外へはコントロールセンターCCの配水パイプ11で用途別に配水する。
これらいずれの用水も平常は乾期の用水として活用し、雨期に満水にして水の有効利用を図る。貯水堤防の水はダムと違ってアオコの発生やヘドロの堆積が起こらない。
本貯水堤防の特徴は堤防下地下水の有効利用と幾重にも隔壁を設けて、洪水に際し、例え一箇所の外壁が破損の被害を受けても堤防の決壊が防がれることが特徴である。
図中パイプの表示は複雑さを避けるため、複数配線を書き込む必要があっても必要な配線を代表して一線にして表示した。
従って水の採水別、配水別、用途別にそれぞれ複数のパイプが存在ことを示している。
【0027】
2 断崖型貯水堤防CtypePBの構造
図3には、コントロールセンターCC付近の断崖型貯水堤防CtypePBの横断面図を示した。Aは河川又は海洋、Bは砂質の河床等沖積層、Cはの基層又は岩盤及び山地である。
堤防型貯水堤防と同様、Iは堤防の河川・海洋側に面した位置、IIは堤防の内陸側に面した位置を示す。
堤防の基本構造は、固定安定化した堤防基盤の上に、多くの内壁と連なった支柱2を立て、外殻を成す強固な側壁4と上部に道路27を載せる天井盤1で一体的に覆い、堤防内部に貯水可能な空間を設ける。外側壁はBtypePBと異なり狭小な地形に合わせ垂直に近い断崖状を形成する。貯水堤防内部は、コントロールセンターCCで水の管理を行い、通水路E・G・Iと貯水槽F・H・Jから成り立っている。
貯水する水は堤防下、河川敷地下の土砂層を巨大な濾過装置として活用し、設置した暗渠UD及び河川濾過装置AFで採水し、コントロールセンターCC地下の堤防を横断する集水ボックスCBに集水し、コントロールセンターCCの暗渠揚水ポンプDPと揚水パイプ8で、農業用水は河川濾過装置ポンプAFと河川揚水パイプ10で、それぞれ用途に合わせた貯水槽へ貯水する。特に農業用水は洪水等の緊急時に備え、河川濾過装置ポンプAFと河川揚水パイプ10で大量の水を急速に採水して堤防重量を高める必要があるので別途に採水施設を設けている。工業用水と飲料水は揚水パイプ8で地下水のみの採水を行う。
貯水槽の中では、各水槽タンクへは給配水パイプ9を通して水の給配水を行い、堤防外へはコントロールセンターCC外への配水パイプ11で用途別に配水する。
【0028】
3 セル構造の多段フロアー貯水堤防の概要
請求項2には、堤防の丈が高く、天端面、法面を多目的に活用する耐震性の貯水堤防を提案した。
図4及び図5に示すとおり、堤防上に巨大な重量物を積載する大型の堤防の場合は、鉄筋コンクリートの支柱と梁を太く強化し、支柱と結続する隔壁、梁と結続する天井、床で長大なセル構造を形成し、法面を斜行梁及び外壁で密封し、多段の貯水フロアーを設け、堤防の耐震性と大型化を可能にする構造である。形状は、堤防型の場合も、断崖型の場合も、高さを30メートル以上にすることも可能である。
各フロアーは飲料水、工業用水、農業用水の用途別に貯水し、用水毎に管理する。更にスーパー堤防として上部に都市構造を計画する場合は、頻発するゲリラ的集中豪雨に伴う都市型浸水を都市構造の地下に貯え、水害の防止施設として活用することが可能である。
特に多段フロアー貯水堤防は、図1、図4に示すように堅牢で法面が広いので増水時に堤防天端に引き上げ可動の太陽光発電施設の設置が可能であり、コントロールセンターCC付近の天端の道路面に沿って接続防水端子12を格納する施設を設置する。
堤防上の幹線道路から河岸、海岸道路、内陸方面への連絡道路等との接続道路、インターチェンジの設置が可能である。
【0029】
4 セル構造の多段フロアー貯水堤防の構造説明
BtypePB及びCtypePBは基本的に共通した構造であり、各部所を表示する記号も共通するので、纏めて説明を行う。
図3及び図4に示すとおり、Iは堤防の河川・海洋側に面した位置、IIは堤防の内陸側に面した位置を示す。
Aは河川又は海洋、Bは砂質の河床等沖積層、Cは沖積層の下の基層又は岩盤である。
堤防の基本構造は、堤防基盤の上に多くの内壁を有する支柱2、3を立て、上部に道路又は建造物を載せる天井盤1を有する。堤防外面は強固な斜面構造物4で外殻を形成し、上に道路保護盤29を載せ、堤防内に貯水することを可能としている。
堤防内は不測の事態に備え、中央部、斜面部それぞれの位置に区画を設け、内部を仕切る内壁、内壁と一体の支柱2及び3を岸面に沿って平行に連ね、重量を支持する構造である。この区画と内壁により、貯水を一定枠内で保持し、堤防の一部に破壊が起こっても被害を破損した一部の範囲内の最小限に止め、安全性を高める。
また、この区画及び内壁は貯水位置に応じて、飲料水、工業用水、農業用水として仕分けし、それぞれ機能別に貯水することを可能とする。
飲料水、工業用水の貯水は堤防下地下水排水暗渠UD内を負圧にして採取し、集水ボックスCBに集め、地下水揚水ポンプDPで吸い上げる。
但し、工場、病院、家庭排水、畜産排水等の水の汚染源が近くにある地域での飲料水の採水は、地下水排水暗渠UDの場所を河川底地下深層へ移して採取することが安全である。吸い上げた水は、地下水揚水パイプ8でコントロールセンターCCへ送って、用水毎に振り分けて配分し、配水パイプ9から貯水堤防各タンクへ貯水する。地下水を堤防下地下水排水暗渠UDで排水し、集水ボックスCBで採水することは、堤防下土層の地震による液状化を防止することが目的の一つでもあり極めて重要な意味を有する。
コントロールセンターCCの配水パイプ9は、各タンクへの給水と併せ需要に応じ需用者への配水する場合も用いる役割を有している。
農業用水の貯水は、平常は飲料水、工業用水と同様地下水を汲み上げて使用するが、洪水期には、河川敷地下の濾過装置AFから濾過後河川地下水揚水ポンプAPで汲み上げ、河川揚水パイプ10で農業用水タンクを満水にして堤防重量を高め、重量増加による堤防の洪水阻止力を強める。洪水期には地下水も増水するので、飲料水、工業用水も増加して満水になる。
これらいずれの用水も平常は乾期の用水として活用し、水の有効利用を図る。
河面側Iの堤防下方には河面犬走り6を設け、船着き場道路として、内陸側IIの堤防下方には内陸面犬走り7を設け、作業道路としてそれぞれの機能を有する。
また、河川水への微細気泡ナノバブル水供給パイプ31により、河川へナノバブルを連続的に放出して、積極的な河川浄化を行う。
【0030】
5 堤防基盤の規模と耐重量機能の強化
貯水堤防は基盤は地盤の深い地層まで重量支持耐性を高め、完全なものにする必要がある。堤防は内部に水を貯めるので、その重量は極めて重い。建造物と水の重量は堤防の高さが10mの場合は約15トン/mで、30トン/mの地盤支持力が必要であり、高さが30mの場合は約重量が約45トン/mで、90トン/mの地盤支持力が必要である。
そのため、支持コンクリート杭16の打ち込みは、基盤又は岩盤に達する必要がある。
堤防の貯水容積の規模は、基底の幅×堤防上面の幅×高さ×堤防貯水1区画の長さの関係から割り出されるが、堤防上面に道路を設置する場合、道路幅の規模によって算定する。例えば、高さ10m、上面幅10m、下面幅30m、1区画500mの堤防の場合の貯水量は、単純計算で約10,000トン(実質7,000トン程度)の貯水が可能と考えられる。
〔堤防の高さと幅〕
堤防の高さは、通常20m程度は必要である。傾斜の角度は通常45度が目安であるが、20mの高さの場合の基底幅は堤上の必要道路幅などの堤上面幅+40m(高さの2倍)である。
仮に大河に係る貯水堤防で30の高さを要する場合の基底幅は、天端の面積幅+60m(高さの倍)の幅である。スーパー堤防と同様、堤上に建設する道路の必要幅の他に住宅地、ビル、駐車場、ショッピングモール、及び複合住宅等の用地として建設する場合の基底幅は、その必要な堤上の面積幅+60m(高さの倍)の幅である。
【0031】
6 堤防の重量と貯水能力に伴う貯水堤防基盤の地盤強化技術
請求項3及び請求項4には、免震性で地盤の液状化を防止し、巨大な貯水堤防を支える総合的な耐震性基盤とその基盤整備技術を提案した。
図5には耐重、免震、液状化防止技術を施した基盤構造を工事手順に沿って示した。
1)矢板盤の打ち込みと地下隔壁の設置
河面側Iと内陸側IIの矢板鋼板13は基層Cの深さまで打ち込む。
14は鉄筋コンクリートの隔壁板で、鋼板が腐食しても堤防基盤を水蝕から保護する機能を有する。
鉄筋コンクリートの地中隔壁板14は、トレンチャー又はバックホーを用いて基層Cまで溝を掘り下げて、溝中に埋設設置する。その機能は長期経過後矢板鋼板13の腐植による崩壊後も、河面、内陸面の土層と隔離し、堤防したの地盤を地震等の液状化から保護することである。
2)暗渠ドレーンと集水ボックスの設置
また、堤防下深層へ埋設する暗渠ドレーンUD、河川水採水濾過装置AF及び集水ボックスCBは、負圧構造を完結するため、予め基盤造成の当初に所定の位置に埋設構築し、揚水ポンプDP、AP並びに揚水パイプ8、10の設備設置を可能とする基礎工事を行う。
3)鉄筋コンクリート製の杭(パイル)の打ち込み
次に隔壁板の内側へ、鉄筋コンクリート製の杭(パイル)16を基層Cまで必要数打ち込み、土圧によって鉄筋コンクリートの隔壁板14を外側の矢板鋼板13へ押しつける。
地中隔壁板14内側の鉄筋コンクリート製の杭(パイル)16の上に、貯水堤防底部に設置する免震パネル18及び重量支持基盤19を設置するので、コンクリート杭16の打ち込みは、特に荷重の大きく懸かる貯水堤防中央部を密にすることが重要である。
4)コンクリート杭(パイル)16頂部へ半球状のキャップ27を取り付ける。(図17参照)取り付けはコンクリート杭パイル)16頂部の接続凹孔部へ半球状のキャップ下の凸部28を差し込み固定して頂部半球状のコンクリート杭にする。(固定にはコンクリート杭に特注により直径と接続部のサイズが同一の接続凹孔部が必要である。)
5)地中隔壁板と接続する堤防下横断コンクリート枠による耐震舛の設置
堤防下を横断する鉄筋コンクリート枠15を設置して、堤防左右の地中隔壁板14と連結し、基盤部分に舛構造を形成する。(図7〜図9を参照)
この舛構造は、地震による左右のエネルギーを受け止める地中隔壁板14を固定強化する役割を果たし、同時に地震発生の際河川上下方向の揺れのエネルギーを受け止め、堤防を上下方向の振動から守る機能を有している。
舛構造の機能は、上下2つのスライダーを挟んで、地震により免震パネル18が動き、基盤上の堤防と地面の間ををスライドさせ、舛構造で受け止め、堤防を支える基盤への振動をゴムクッション20で衝撃を和らげる働きを有している。
6)地盤固めと基礎平盤の生コン打ち込み
コンクリート杭16の周辺を浅く掘り上げて地固めを行い、水準を合わせて栗石21を敷き詰めて地固め21する。
地固め層21の上に、コンクリート杭16を中心に連結する結着固定基盤17を施設する。コンクリート杭16の周囲は、ゴムの緩衝リング23で巻き、結着固定基盤17は生コン打ち込みを行う。
7)1次免震スライダーの設置
結着固定基盤17の上には、ゴムシート24とゴムの保護膜24でコンクリート相互の衝突を防ぎ、衝撃を吸収し、粘土・シルト・グリースによる滑り層のスライダーを設置する。
8)免震パネル設置による緩衝基盤構造
コンクリート杭16の頂部に半球状のキャップ27を固定し、上に取り付ける免震パネル18が自由に首振りをできる状態にする。キャップ上はグリースで滑りを良くする。
コンクリート杭16半球状の頂部に免震パネル18の凹部を填め込む。(図8、図10、図11参照)地震の揺れに対しこの免震パネルの首振り運動と粘性滑面によるスライドと首振り運動がスライダーとして働き地震エネルギーを逃し免震効果を発揮する。
9)2次免震スライダーと堤防基盤の設置
免震パネル18の上に厚さ0.1〜1mの耐震ゴムクッション20を介して、貯水堤防の重量を均等に支持するコンクリート堤防基盤19を設置する。鉄筋コンクリートの隔壁板14とコンクリート堤防基盤19の間に厚さ5〜30cmの厚い耐震ゴムクッション18を挟んで、上に粘土・シルト・グリースによる滑り層を設置して堤防の横揺れの緩衝を行う。
(2次免震スラーダー)
貯水堤防はその重量を均等支持するコンクリート堤防基盤17の上に建設する。
10)貯水堤防の採水と地盤の液状化防止技術
貯水堤防直下の砂質土層からは大量の伏流水の浸透がある。これを地中隔壁板で新たな水の侵入を防ぎ、地下数メートルには、1〜数十本の径0.1〜1mの多孔パイプ、多孔のコンクリート暗渠UDを設置し、侵入してくる河川伏流水、地下水を負圧で吸引し、地下水採水ボックスCBに導いて強制排水する。強制排水すると同時に貯水槽へ送る。
堤防地下への伏流水、地下水の侵入防止と強制排水を繰り返し長期継続すれば、堤防地下の自由水が減少して、地震等の揺れが起こっても地盤の液状化は防止される。
強制排水は地下水揚水パイプ8によって貯水堤防PBへ送り貯水する。この地下水は濾過した飲料水として活用し、コントロールセンターCCで管理する。
この様に本技術では、飲用水採取と液状化現象原因の土中自由水の除去を同時併行的に行って、用水確保と防災を両立させる。
【0032】
7 貯水堤防の免震技術と耐震技術
耐震構造としては、地下隔壁と連結した堤防下を横断する鉄筋コンクリート枠14・15による強力な舛構造が基本である。この舛構造は図7,図8,図9に示すように堤防内基底部を深さ1m以上の厚さで区切り、結着固定基盤17を囲み、結着固定基盤17と保護コンクリート地中隔壁板14と結合して堅牢に堤防基盤を支える。
結着固定基盤17とゴムクッション23を介して接するコンクリート杭16は、地震等の地表面の移動に際し、重量を垂直方向へ支える機能を主眼とし、杭16が多少傾斜しても、その歪みはクッション23で受け止め杭16と固定基盤17が破損することを防止する。
決着固定基盤17の上にゴムシートまたはプラスチック膜を貼り、その上に粘土・シルト・グリースによる滑面スライダー26を設置する。
コンクリート杭16の頂部の半球部27に免震パネル18の半球窪孔22を填め込んで設置する。免震パネル18の位置での堤防重量の支持は、コンクリート杭16の頂部27と滑面スライダー資材26で重量を支える構造である。
コンクリート杭16頂部の半球部27と滑面スライダー26の横断面は図10、図11に見られるように、グリース溜まり25で滑りやすくなっていて、滑面スライダー26は自由に首振りが可能である。
免震パネル18は、ゴムクッション20と粘土・シルト・グリースによるスライダー層26を介して結着固定基盤17と接し、貯水堤防の重量支持圧をこれらとコンクリート杭16に分散して支持する。
地震の揺れはコンクリート杭16と結着固定基盤17及び舛構造14・15に伝達され、免震パネル18へは、コンクリート杭16によって衝撃が伝達される。
免震パネル18は、結着固定基盤17との間に発生する歪みを滑面スライダー資材26上を滑ることにより解消し、舛構造14・15との衝突の衝撃をゴムクッション20で吸収する。即ち、区画内の歪みを舛構造の枠内の免震構造と堅牢な枠とゴムクッションでで解消する構造である。
免震パネル18の上部はゴムシートまたはプラスチックシートを貼って滑り易くし、その上に粘土・シルト・グリースによる滑面スライダー26を設置してスライダーで免震パネルを挟む構造にする。
免震パネル18上の滑面スライダー26上に貯水堤防基底盤19を設置する。上部のスライダー26は滑面スライダー26と貯水堤防基底盤の間に発生する歪みをスライドさせて解消する役割を有する。免震パネル18は上下の1次・2次のスライダーの挟み込みで自由に滑走する構造である。
地震の被害は地面が移動することによって、構造物が動き、慣性のモーメントによって巨大な重量物が急な衝撃で破壊される現象であるが、上下のスライダーで地面と免震パネル16の滑り移動によって、堤防本体の衝撃を和らげ、巨大な堤防の重量が1箇所に懸からないように、重力を分散させる。
【0033】
8 免震パネルの構造は図12から図16に示した。
図12は、免震パネルを上から見た平面図である。表面をゴムシート24で覆い、揺れによるパネル同志の衝突の衝撃を緩和する働きを有する。
図13は、免震パネルを下から見た底面図である。周囲をゴムシート24で覆い、揺れによるパネル同志の衝突の衝撃を緩和する働きを有する。
中心にコンクリート杭頂部の半球体を納める球面状の凹窪22があり、グリースを常時収納する突起構造25がある。免震パネル本体18は加圧コンクリートで成型されている。
図14は、免震パネル正面、背面、両側面の外観図である。全側面の表面をゴムシート24で覆い、揺れによるパネル同志の衝突の衝撃を緩和する働きを有する。
図15は、免震パネルの側面と中心の中間点の横断面図である。パネルの本体はコンクリート18であり、上面と側面は表面をゴムシート24で覆っている。
図16は、免震パネルの中心部の横断面図である。パネルの本体はコンクリート18であり、上面と側面は表面をゴムシート24で覆っている。
中心下部には半球体を納める球面状の凹窪22があり、グリースを常時収納する蓋突起構造25がある。
図17は、鉄筋コンクリート杭(パイル)16上端に接続する半球状頂部装置であり半球状頂部27と鉄筋コンクリート杭(パイル)16の接続部28から成っている。
【0034】
9 微細気泡循環浄化貯水堤防
図18には請求項6に示すナノバブル循環浄化貯水堤防の平面図の一例を示した。
静止した水、酸素の欠乏した水は次第に腐敗して行くので、その水を供給すれば農作物の生育が悪く、人畜の健康を損なう上、魚も住めない水となる。
貯水堤防のような大量の水を貯水する場合は、強制的に水流の発生と、ナノバブルによる酸素の供給が重要で、水を活性化し、浄化維持する上で効率的である。ナノバブルによる水の活性化の効果については多くの研究もあり、既に実証も多くなされている。
水の浄化は微細気泡マイクロバブル、ナノバブルの生成と強制的な通水が主体である。ナノバブルの生成と強制的な水流の発生はコントロールセンターCCの飲料水コントロールシステムFC、工業用水コントロールシステムHC、農業用水コントロールシステムJCで生成し、噴射ノズル30で噴射送水し各フロアー各々にフロアー内を循環させる。
特に酸欠を起こし易い位置は、水槽底であり、この位置の流水を起こすことが重要である。また、水の酸素濃度を高める方法としては、微細な気泡を沢山含んだナノサイズのバブルが効率的であるが、微細気泡発生装置の噴射ノズル30をバブルが底面を這うようにセットする必要がある。
本技術においては、気泡のサイズが100ナノメートル以下のサイズが重要である。
何れのサイズのマイクロバブルでも、水の比重より軽いので、流動中に次第に上層へ浮き上がるので、微細なマイクロバブルも空気を極めて高濃度に水流に乗せて、貯水堤防内の貯水底を高速度で循環させなければならない。貯水は循環に際して軽いマイクロバブル水が全体の水と交わり、殺菌及び酸素の供給を行う。
マイクロバブルには殺菌機能もあるが、これより微細なナノバブルにおいてはその機能は、更に大きくなる。また、空気のナノバブルより酸素ガス、オゾンガスによるナノバブルが殺菌の効果が高い。本発明はこれらのマイクロバブルを発生する全ての装置の貯水堤防への使用を対象としている。
これらの技術による水は、機能性が高く、植物の成育が速く高品質化することと、これを飲用した家畜の成育が速く健康が良好であり、養殖漁業においても成育が極めて速く大きくなり肉質が良いなど、ナノバブルの高い効果が実証されている。
微細気泡発生装置は、発明者の提案した酸化還元処理装置(特許第3843361号)が、噴射型且つ最大処理能力毎分10トン(現状では最多処理能力)とナノバブル水を極めて多量生成するので、最適と考えられる。
図19では、Kは飲料用の上水貯水部、Lは工業用水用の貯水部、Mは農業用水用の貯水部、を示している。また、JC、HC、FCはそれぞれ、各貯水室への用水貯水供給管理、浄化水質管理及び需要需要に対する配水管理の総合コントロールシステムである。
飲用水貯蔵フロアーKでは、飲用水の供給を堤防地下水及び飲料用通導水道Eから受け、飲料用水貯水タンクFに水を蓄える。
蓄えた飲用の上水はコントロールシステムFCで管理する。FCでは、噴出型バブル処理装置で微細気泡ナノバブルを加えながら、噴射ノズル30を下方へ向けながら、貯水堤防の底辺を主体に循環させ、高速ポンプ吸引口で再度処理し循環させて、用水の需給と貯留状況、配水の管理等を行う。
工業用水貯蔵フロアーLでは、用水の供給を堤防地下水及び工業用通導水道Gから受け、工業用貯水タンクHに水を蓄える。
蓄えた水は工業用水コントロールシステムHCで管理する。HCでは、微細気泡処理装置噴出口ノズル30で微細気泡ナノバブルを加えながら、貯水堤防底辺を主体に循環させ、高速ポンプ吸引口で再度処理し循環させて、用水の需給と貯留状況、配水の管理等を行う。
農業用水貯蔵フロアーMでは、用水の供給を河川濾過装置及び農業用通導水道Iから受け、農業用貯水タンクJに水を蓄える。
蓄えた水は農業用水コントロールシステムJCで管理する。
JCでは、洪水期に濁流を濾過・採水し、用水路Iへ送り、微細気泡ナノバブルを加えながら噴出型バブル処理装置でで、貯水堤防底辺を主体に循環させ、高速ポンプ吸引口で再度処理し循環させて、用水の需給と貯留状況、配水の管理等を行う。
図に示した、Iは河川・海洋側、IIは内陸側を示している。矢印は水の流動方向を示し、高速ポンプによる微細気泡ナノバブルは、農業用水JC、工業用水HC、飲料用上水FCの噴出口ノズル30から噴出し、各用水フロアー全体に循環させて供給する。
J1、H1、F1は農業用水、工業用水、飲料用上水それぞれの上流側の循環誘導水路を示し、J2、H2、F2は同様にそれぞれの下流側の循環誘導水路を示している。
6は河川側の船着き道又は犬走りを示している。
【0035】
図19には貯水堤防の堤防横断面と貯水管理の方法の一例を記載した。
貯水は下から農業用水J、工業用水H、飲料用上水Fの各フロアを示している。
水域管区毎の水の管理は、当該するコントロールセンターCCで行う。
飲料水は貯水堤防地底の液状化防止暗渠から、伏流水、地下水等の川底で濾過された清水がコントロールセンターCCの揚水ポンプで地下水採取ボックスCBから組み上げられる。
洪水期には伏流水・地下水位が高まり、採水量が増大する。
汲み上げた上水及び工業用水はコントロールシステムFC、HCを通してK、Lの貯水タンクへ送られる。洪水期には上水タンクK、工業用タンクLを満水にする。
農業用水は河川水採取濾過装置Nから採水され、コントロールシステムJCの貯水タンクへ送られる。洪水期には農業用水タンクMを満水し堤防重量を高める。
CCには飲料用上水管理FC、工業用水管理HC、農業用水管理JCの施設がそれぞれあり、強力なポンプでナノバブル水の循環を行う。貯水堤防地底の液状化防止暗渠UD及び採水ボックスCBから飲料水、工業用水の汲み上げにより、堤防下の自由水が減少して、堤防下土層の液状化現象が起こり難い条件を創出することができる。
しかし、液状化防止は地下水除去と合わせ防水壁14、コンクリート杭16、重力を分散させる免震パネル(緩衝基盤)18とゴムクッション20の緩衝作用の複合化が効果的である。
図10では、Iは河川・海洋側、IIは内陸側を示し、矢印は水の吐出方向、吸水方向を示し、PBは貯水堤防を表示している。
F1、H1、J1は飲料用上水、工業用水、農業用水それぞれの給水循環通路を示し、噴出ノズル30からナノバブルを放出して循環させ防腐する。F2、H2、J2は同様にそれぞれの再処理循環の通路を示している。
6は河川側の船着き道又は犬走りを、7は内陸側の連絡道又は犬走りを示している。
コントロールセンターCCから河川への微細気泡ナノバブルの供給は水質浄化装置の供給パイプ31で行い、積極的な河川水質浄化を行う。
【産業上の利用可能性】
【0036】
1.防災と用水確保の両立
堤防を設置する河川流域、海岸地域は、地盤が軟弱でしばしば地震による液状化が起っている。液状化に対しては、地中防水壁、コンクリート杭、重力を分散する緩衝基盤とゴムシートの緩衝作用及び地下水排水等の技術がそれぞれ別々に提案されている。
防災技術としてはこれら技術を如何に効果的に組み込み総合化するかが重要である。
貯水堤防は、これら全てを複合させ、地震による液状化を防止するため設置する暗渠から大量の地下の伏流水・地下水を除去し、採取して飲料水を確保する。この地下水は極めて良質な飲料水である。
水の管理は、洪水期には地下水位も上昇し、用水も豊富で地下水及び濁流の濾過採水により貯水タンクを満水にして洪水を防ぎ、渇水期にはこの水を農業用水、工業用水として供給することが可能である。このように総合技術によって防災と併せて豊富な水量で良質な飲料水、工業用水、農業用水を得、管理する技術は、まだ提案されていない。
2.地球規模の温暖化に対する各種の対策と用水の確保
地球の温暖化により、水の蒸発散が激しく砂漠化が進行する一方、気象の変動により降水の降り方が偏り、集中豪雨による雨は、洪水の発生を各地に起こし、水を無駄にしている。こうした中で今後の世界において飲料水、農業用水、工業用水が不足し、用水の確保が極めて重要である。
貯水の代表はダム湖であるが、ダムでは水の蒸発散も多く、一方では、ヘドロの発生で環境汚染の原因にもなっている。貯水堤防ではこのような事態は発生しない。
低開発国においては、雨季乾季の相違による洪水により、毎年大きな被害を受け、水は無駄に海洋へ流去している。その無駄な水を堤防内に貯めて、水の重量で洪水を防ぎ、乾期に機能性の高い灌漑水として利用し、食糧生産の効率を高めるのが貯水堤防である。
貯水堤防は熱帯においても水の蒸発散によるロスがなく、水が腐らないので、水を管理することが容易であり、効率的な水管理と国土保全が両立する。
特に、貯水堤防の応用は、温暖化によって海面上昇が起っても堤防による浸水防止と、天水を貯めて貯水する地下タンクを有する新しい貯水陸地建設としての可能性がある。即ち、地盤の嵩上げが3m以上30m可能であり、新陸地の造成を可能としている。海岸では、堅固で高い貯水堤防は津波等の災害に対してもその防止に効果的である。
地球の温暖化による海面上昇は国によっては国土の喪失という厳しい問題を提起し、世界的にも集中豪雨、台風・ハリケーンによる洪水、地震による崩壊・地盤の液状化など、災害が激化・巨大化している。
これに伴い、折角の天の恵みである水資源も無駄に失われている現状も大きな問題である。一方、今後の大陸においては、温暖化に伴う水の蒸発散が激しく砂漠化が進行する。即ち飲料水が不足し、各種用水の確保も各国にとって極めて重要な案件となる。
本発明はこれら地球規模の災害防止、用水確保と言う重大問題に関し、温暖化の影響が更に深刻さを増す段階で、世界的にも経時的にその重要性が一層増してくると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】堤防型貯水堤防俯瞰図
【図2】堤防型貯水堤防断面図解
【図3】絶壁型貯水堤防断面図解
【図4】堤防型多段フロアーセル式貯水堤防断面図
【図5】絶壁型多段フロアーセル式貯水堤防断面図
【図6】堤防基盤の地盤強化技術断面図解
【図7】パイル打ち込み基盤コンクリート設置層の平面図解
【図8】免震パネル設置層の平面図解
【図9】貯水堤防基底盤層の平面図解
【図10】免震機構のモデル側断面図解
【図11】パイル、基盤コンクリート、免震パネル、基底盤の設置状況側断面図
【図12】免震パネル平面図
【図13】免震パネル底面図
【図14】免震パネル正面、背面、両側面図
【図15】免震パネル中間位置断面図
【図16】免震パネル中心位置断面図
【図17】鉄筋コンクリート杭(パイル)上端に接続する半球状頂部
【図18】水質浄化微細気泡循環施設平面説明図
【図19】フロアー別水質浄化微細気泡循環施設の水供給施設関連の横断面図
【記号の説明】
〈堤防箇所の記号〉
I 貯水堤防の河川、海洋方面サイド
II 貯水堤防の陸地、内陸方面サイド
〈立地、施設の記号〉
A 河川、海洋
B 土砂層、沖積層
C 基盤層、岩盤
PB 堤防型貯水堤防
CP 長城型貯水堤防AF 河川水濾過装置(洪水期河川水で農業用水を満水する)
AP 河川水揚水ポンプ(濾過水を農業用水タンクに揚水)
UD 堤防下地下水排水暗渠(液状化を起こす地下水排除のドレーン)
CB 地下水集水ボックス(堤防下地下水排水暗渠の集水室)
DP 地下水揚水ポンプ(集水室内から揚水)
CC 各用水の揚水・浄化・配水コントロールセンター
E 飲料水通導水道
F 飲料水貯水タンク
F1 飲料水浄水維持循環水流入タンク及び水の循環誘導水路
F2 飲料水浄水維持循環水還流タンク及び水の循環誘導水路
FC 飲料水の貯水・浄化水質管理・需要配水を行う飲料水コントロールシステム
G 工業用水通導水道
H 工業用水貯水タンク
H1 工業用水浄水循維持環水流入タンク及び水の循環誘導水路
H2 工業用水浄水循維持環水還流タンク及び水の循環誘導水路
HC 工業用水の貯水・浄化水質管理・需要配水を行う工業用水コントロールシステム
I 農業用水通導水道
J 農業用水貯水タンク
J1 農業用水浄水循維持環水流入タンク及び水の循環誘導水路
J2 農業用水浄水循維持環水還流タンク及び水の循環誘導水路
JC 農業用水の貯水・浄化水質管理・需要配水を行う農業用水コントロールシステム
K 飲料水・上水貯水フロアー
L 工業用水貯水フロアー
M 農業用水貯水フロアー
〈堤防施設部位の記号〉
1 貯水堤防天端(道路、駐車場、住居等用途は多様)
2 貯水堤防貯水タンク中央支柱及び隔壁
3 貯水堤防貯水タンク外殻保護面支柱及び隔壁
4 貯水堤防法面外殻隔壁(堤防型では斜面形成、断崖型では外壁支柱)
5 貯水堤防補強梁兼貯水フロアー(セル構造)
6 貯水堤防河川側下方犬走り・船着き道路
7 貯水堤防内陸側下方犬走り・内陸連絡道路
8 地下水揚水パイプ
9 用水給・配水パイプ
10 河川水揚水パイプ
11 貯水堤防外への配水パイプ
12 太陽光発電接続端子格納部
13 貯水堤防着工開始時の地盤強化用の打ち込み矢板鋼板
14 打ち込み矢板鋼板直内側の保護コンクリート地中隔壁板(地震振動承盤)
15 地中隔壁と結合する堤防地下横断隔壁板(河川上下方向の地震振動承盤)
16 コンクリート杭(パイル=独立懸架方式で頂部半球形、土層基盤に達して重量を支持)
17 結着固定基盤(パイルをゴムクッションを介して耐震固定する鉄筋コンクリート盤=堤底軟弱地層へ重量の力をパイルと地層へ分散させて耐震性を強化する機能)
18 免震パネル(首振り緩衝基盤=コンクリート杭半球形部と連結して重力を分散させ地震の震動エネルギーを逃し、減衰させる=鉄筋コンクリート製・ゴムクッションで包囲)
19 コンクリート堤防基盤(貯水堤防の重量を均等支持する)
20 コンクリート保護ゴム密閉体構造(コンクリート周辺を包み、衝撃を吸収保護する)
21 栗石及び砂礫
22 免震パネルのパイル頂部挿入孔(コンクリート杭(パイル)と連結する)
23 耐震ゴムクッション(ゴムの緩衝リング)
24 ゴム製またはプラスチック製のコンクリート保護膜
25 免震パネルとコンクリート杭の潤滑グリース
26 スライダー(=粘土又はシルトをベースにグリース又はジェル練り合わせ潤滑・滑走スライダー)
27 コンクリート杭頂部キャップの部分
38 コンクリート杭への頂部キャップ接続部
30 微細気泡循環の貯水堤防内吐出ノズル
31 水質浄化装置(微細気泡ナノバブル水供給パイプ)
32 堤防下通用路開閉扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土堤の土砂崩落による決壊が起こらない堤防として、
河川に平行して幾重もの内部隔壁で仕切られた空間を有する鉄筋コンクリート製の高さ3〜50mの範囲で丈の高い堤防機能を可能とする構造物で、
河床下土層を巨大な濾過層として活用し、飲料水、工業用水、農業用水を常時堤防下及び河川敷の地下から多孔暗渠と収水ボックスで地下水を採取して清水を貯水し、
構造物内部に水を運搬する通水構造と河川流域の一定範囲の区域毎に水の管理区域を設けて仕切った大容量の地下水の貯水機能と、
構造物の重量と貯水した水の重量で豪雨で増水した河川の激流が押し出す力を堰き止める機能とを併せ有することを特徴とする地下水採取貯水堤防。
【請求項2】
請求項1において、5m以上の丈の高い堤防では、2階以上の多段フロアーを有する多段セル構造及び法面斜行外壁による耐震性と、
丈の高い堤防の水位と河川面の水位との水位差による堤防内からの水圧で堤防外壁に懸かる土石流等の破壊力を軽減する機能と、
堤防上の天端面を幹線高速自動車道または都市生活空間スペースに活用できるスーパー堤防型機能と、
堤防法面上部に太陽光発電の防水接続端子を備えて法面を太陽光発電施設のスペースに活用できる機能とを併わせ有することを特徴とするセル構造の多段フロアー貯水堤防。
【請求項3】
請求項1及び請求項2において耐震性を向上させ、軟弱地盤の液状化を防止し、免震機能を有する貯水堤防の堅牢な基盤を設置するため、
(1)堤防両サイド基部に矢板鋼板を打ち込む手段と、
(2)矢板鋼板の内側に河川、海岸及び湿地から堤防の下の地盤へ向かう大量の浸水を防止する機能と兼ねて地震による堤防充に外外方向への移動重圧を受け止める機能のコンクリート地下隔壁板設置の手段と、
(3)コンクリート地下隔壁板と連結して堤防上下方向の地震振動受け枠を形成して地震振幅の重圧を受け止める耐震舛構造を形成する堤防下の基盤横断枠手段と、
(4)液状化防止のため、堤防直下の水を堤防に沿った3乃至30本の直径0.1乃至1mの複数の多孔パイプによる排水暗渠で集水ボックスへ集め、堤防地下水を揚水ポンプによって強制排水除去する手段と、
(5)堤防直下及び河床を巨大な濾過槽として活用して暗渠及び集水ボックスに集水した水を負圧で貯水堤防へ採水する地下水の再利用を図る手段と、
(6)堤防底に直径30〜60cmの通常市販のコンクリート杭を打ち込んだ多数のパイル杭により垂直方向の地盤支持力を高める手段と、
(7)コンクリート杭の地上に出た部分の周囲をゴムクッションで取り巻くゴムリングクッションとこれと接する鉄筋コンクリートの結着固定盤で固定して地震によるパイル杭上の構造物の横揺れを肉厚のゴムクッションと連動してコンクリート地下隔壁と堤防下基盤横断枠による舛構造で受け止めて地震エネルギーを最小限度に減衰する減震手段と,
(8)コンクリート杭の半球状の長短とその上に載せる免震パネルの接続部を潤滑させるグリースを保存維持する手段と、
(9)コンクリート保護ゴム密閉体構造によるコンクリートの破損防止手段と、
(10)免震パネルとコンクリート結着固定盤の間にゴムしーと又はプラスチック保護膜で覆い、滑面保護膜上に粘土又はシルトを免震機能の滑面素材として活用したスライダー滑面処理を施し、スライダーで地震による揺れの力を分散する1次免震手段と、
(11)免震パネル上に耐震ゴムクッションまたはプラスチックを敷き詰めた滑面処理手段と、
(12)クッション上面に粘土又はシルト又は粘性ゲルを免震素材の滑面材として活用したスライダー滑面処理を加え、その上に貯水堤防基盤を載せる2次免震手段と、
(13)免震パネル上に肉厚の耐震ゴムクッションを介して設置し、その上から全体を均平に押さえるコンクリート貯水堤防基盤を設置し、縦方向の耐震ゴムクッションと堤防両端の横方向のゴムクッションによる緩衝作用と滑面による免震作用で力を分散させてコンクリート基盤の揺れの減衰を図る手段と、
(14)コンクリート貯水堤防基盤の上に貯水堤防を載せてこれにより貯水堤防重量を支える手段で、各手段の同時設置により、
耐震性と堤防下地盤の液状化を防止する総合的機能並びに清浄な飲料水の採取確保を合わせ得ることを特徴とする貯水堤防の地下水採取・免震・耐震・液状化防止基盤。
【請求項4】
請求項3において、
(1)河床、海床より低い位置に、河蝕、海蝕を受けない地層まで堤防の基盤幅に沿って河岸側及び内陸側の堤防両サイドに矢板鋼板を打ち込む鋼板設置工程と、
(2)河岸側及び内陸側の矢板鋼板設置の直ぐ内側に、コンクリート地下隔壁板を付設する地下工事の足場造りでトレンチャー及び又はバックホーを用いて幅50cm〜3m、深さ5〜10mの溝を掘り込む工程と、
(3)溝内部へ厚さ10〜150cm、深さ5〜10mの鉄筋コンクリート地下隔壁板の一部を地上まで出して施設する地下隔壁板設置工程と、
(4)堤防に沿って地盤の支持力強化と耐震液状化防止の目的で堤防基盤下部に幅30cm〜2m、深さ3〜10mで1〜20本の溝を掘る工程と、
(5)溝中に直径0.1〜1mの多孔パイプ又はコンクリート多孔暗渠による伏流水地下水排水用暗渠を埋設して堤防基盤の河川・海から滲み出す伏流水・浅層地下水の排除ドレーン埋設工程と、
(6)堤防下基盤横断枠を設置する場造りでトレンチャー及び又はバックホーを用いて幅50cm〜3m、深さ1〜5mの溝を掘り込む工程と、
(7)コンクリート地下隔壁板と連結して堤防地下を横断する堤防下基盤横断枠を設置する工程と、
(8)排水ドレーンからの清浄な地下水(真水)を採取するための内部を常圧又は負圧にする採水ドレーンボックス設置施設工程と、
(9)重量に耐える地層まで鉄筋コンクリートパイル杭を必要な本数打ち込む工程と、
(10)コンクリートパイル杭の頂部に上端が半球状のキャップを固定する工程と、
(11)掘り上げた地盤を鎮圧して固め、栗石を敷き詰め、砂礫で地盤を固める工程と、
(12)個々のコンクリート杭上部の周囲をゴムクッションリングで取り巻き、杭上部を連結固定する鉄筋コンクリートのべた打ちの結着固定基盤の設置工程と、
(13)結着固定基盤のコンクリートべた打ち上に粘土及び又はシルトを免震素材の滑面材として活用した1次スライダー免震滑面処理工程と、
(14)個々のコンクリート杭上部へ底面に半球状のコンクリート杭の頂部を填め込む孔部を有し、潤滑処理と周囲をゴム膜で取り巻いた免震パネルを設置する工程と、
(15)杭との接触部が揺れによっても摩擦なく可動し、上部構築物の重量を全体に分配し、対応する免震パネルをコンクリート杭上に敷き詰める工程と、
(16)地震に伴うパネル同士の衝突による破損を防ぐための荷重分配の免震パネル間及び上面に防水と減震を兼ねた肉厚の耐震ゴムクッションを敷きつめる工程と、
(17)耐震ゴムクッション上に粘土及び又はシルトを免震素材の滑面材として活用して上に設置する貯水堤防基礎と接触するように厚く積み上げる2次スライダー免震滑面処理工程と、
(18)耐震ゴムクッション上に貯水堤防基礎を設置する工程とからなり、
上部の巨大な貯水堤防に対して免震・耐震性が高く液状化現象を防止して堤防崩壊を防止し、併せて地下から清浄水を得ることを特徴とする地下水採取・免震・耐震・液状化防止基盤設置工法。
【請求項5】
請求項3及び請求項4の地下水採取・免震・耐震・液状化防止基盤の上に、請求項1及び請求項2の地下水採取貯水堤防の構造物を構築した形状で、地震による免震構造、液状化防止構造、傾斜面による耐震構造を有し、複数の隔壁で堤防の決壊を防止し、地下水を貯水することを特徴とする耐震地下水採取貯水堤防
【請求項6】
請求項1及び請求項2において、流域を長さ0.5〜数km間の仕切によって幾つかの地域ブロックに分けて一定距離毎に貯水区域を設定して貯水管理をするシステムで、
(1)飲料用の上水、工業用水、農業用水、それぞれを貯留配水する管理施設を設け、
(2)堤防地下の伏流水及び地下水を排除する水を排水暗渠と集水施設から負圧と揚水ポンプによって水を採取して各種の用水として通水施設に送り、
(3)通水施設ではオゾンの微細気泡によって殺菌を行い、
(4)常時貯水堤防内を循環する流水を通水施設から循環誘導水路へ送り、
(5)貯水堤防内では循環水流発生装置と連動する微細な気泡ナノバブルを発生させる微細気泡水処理装置と噴射ノズル装置により堤防内通水路床面に向けて流水を連続的にナノバブル水を送水循環させ、
(6)微細気泡マイクロバブル・ナノバブル水を常に循環させることによる腐敗しない水の貯水、配水を管理することを特徴とする微細気泡循環浄化貯水堤防。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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