説明

耕耘装置、耕耘爪の取付構造、爪ホルダー及び耕耘爪

【課題】耕耘爪の交換作業が容易な耕耘装置、耕耘爪の取付構造、爪ホルダー及び耕耘爪を提供する。
【解決手段】耕耘装置1は、回転自在に支持された耕耘軸10と、耕耘軸10に取り付けられ、貫通孔31を有する爪ホルダー30と、貫通孔31に挿入される被挿入部21を基端側に有する耕耘爪20と、爪ホルダー30と耕耘爪20とを締結するボルト41及びナット42と、を備え、爪ホルダー30は、耕耘軸10の周方向であって軸方向Xと直交する方向に貫通孔31を向けた状態で耕耘軸10に取り付けられ、貫通孔31は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成され、被挿入部21は、基端側に向かうほど貫通孔30に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているとともに、ボルト41及びナット42によって爪ホルダー30の他端側に締結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘機やトラクターに設けられ土地を耕耘するための耕耘装置、耕耘爪の取付構造、爪ホルダー及び耕耘爪に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耕耘装置本体に回転自在に支持された耕耘軸に、耕耘軸の径方向に延出する略円盤状のフランジ部を複数設け、このフランジ部にボルト・ナットによって耕耘爪を締結した耕耘装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、耕耘装置本体に回転自在に支持された耕耘軸に、四角筒状の爪ホルダーを取り付け、この爪ホルダーに耕耘爪を挿入してボルト・ナットで締結した耕耘装置が記載されている。この爪ホルダーは、耕耘爪を挿入するための挿入穴を耕耘軸の周方向に向けた状態で耕耘軸に取り付けられている。
【0004】
また、引用文献3には、耕耘装置本体に回転自在に支持された耕耘軸に、その径方向に延出する略円盤状のフランジ部を複数配置し、このフランジ部に溝型部材を取り付けて爪ホルダーを構成し、この爪ホルダーに耕耘爪を挿入してボルト・ナットで締結した耕耘装置が記載されている。この爪ホルダーは、耕耘爪を挿入するための挿入穴が耕耘軸の径方向に向いている。
【0005】
これらの特許文献1乃至特許文献3に記載された耕耘装置は、いずれも、耕耘軸の軸方向と平行に設置されたボルトと、これに係合するナットと、によって、耕耘爪と爪ホルダーとを連結している。
【特許文献1】特開2005−318819号公報
【特許文献2】特開2003−284402号公報
【特許文献3】特開平7−79603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
耕耘爪が磨耗したり、損傷したりした場合には、前記したボルト・ナットを外して新しい耕耘爪に交換する必要がある。
【0007】
ところが、耕耘装置の耕耘爪は、通常、耕耘軸の軸方向に間隔を隔てて複数設けられるため、耕耘軸の軸方向と平行な向きにボルトが配置されていると、隣接する耕耘爪やフランジ部や爪ホルダーが邪魔になる。そのため、ボルト・ナットの取り付け・取り外し作業に、多くの労力と時間がかかっていた。
【0008】
また、耕耘爪を爪ホルダーに挿入するタイプの耕耘装置では、耕耘爪と爪ホルダーとの間に土砂などの異物が詰まり、爪ホルダーから耕耘爪を抜き出す作業が非常に困難になることがあった。
【0009】
本発明はこれらの問題点を解決するために成されたものであり、耕耘爪の交換作業が容易な耕耘装置、耕耘爪の取付構造、爪ホルダー及び耕耘爪を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る耕耘装置は、回転自在に支持された耕耘軸と、前記耕耘軸に取り付けられ、貫通孔を有する爪ホルダーと、前記貫通孔に挿入される被挿入部を基端側に有する耕耘爪と、前記爪ホルダーと前記耕耘爪とを締結する締結手段と、を備える耕耘装置であって、前記爪ホルダーは、前記耕耘軸の周方向に前記貫通孔を向けた状態で前記耕耘軸に取り付けられ、前記貫通孔は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成され、前記被挿入部は、基端側に向かうほど前記貫通孔に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているとともに、前記締結手段によって前記爪ホルダーの他端側に締結されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る耕耘爪の取付構造は、貫通孔を有する爪ホルダーと、前記貫通孔に挿入される被挿入部を基端側に有する耕耘爪と、前記爪ホルダーと前記耕耘爪とを締結する締結手段と、を備える耕耘装置であって、前記爪ホルダーは、耕耘軸の周方向に前記貫通孔を向けた状態で前記耕耘軸に取り付けられ、前記貫通孔は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成され、前記被挿入部は、基端側に向かうほど前記貫通孔に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているとともに、前記締結手段によって前記爪ホルダーの他端側に締結されていることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、爪ホルダーの貫通孔が耕耘軸の周方向に向いており、かつ、耕耘爪の被挿入部が耕耘軸の周方向に向けられた爪ホルダーの他端側に締結されているので、締結手段を取り外して耕耘爪を交換する際に、耕耘軸の軸方向に隣り合う他の爪ホルダーや耕耘爪が邪魔になることがない。そのため、例えばインパクトレンチなどの大型工具が使い易くなり、耕耘爪の交換作業が容易になる。
ここで、「耕耘軸の周方向」は、耕耘軸の軸方向に対して直交する方向だけでなく、耕耘軸の軸方向に対して傾斜する方向を含む。
【0013】
また、爪ホルダーの貫通孔は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成され、耕耘爪の被挿入部は、基端側に向かうほど貫通孔に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているので、締結手段によって耕耘爪を爪ホルダーの他端側に引き付けることで、耕耘爪を爪ホルダーに隙間なく強固に装着することができる。そのため、耕耘作業中に耕耘爪がぐらつくことがない。
【0014】
さらに、締結手段を取り外して耕耘爪を引き抜く方向に移動させると、貫通孔の内側面と被挿入部の外側面との隙間が広がるので、貫通孔の内側面と被挿入部の外側面との間に土砂や砂利が噛み込んでいたとしても、耕耘爪を爪ホルダーから容易に引き抜くことができる。そのため、耕耘爪の交換作業が容易になる。
【0015】
また、前記耕耘軸は、その周面から径方向外側に向かって延出するフランジ部を有し、前記爪ホルダーは、前記フランジ部を介して前記耕耘軸に固定される構成とするのが良い。
【0016】
かかる構成によれば、特許文献1に記載されているような従来のフランジ式の耕耘装置のフランジ部に、本発明の爪ホルダーを取り付けることで、本発明の耕耘装置を容易に構成することができる。すなわち、従来の耕耘装置の性能を容易に向上させることができる。また、爪ホルダーがフランジ部によって面的に支持されるので、回転軸と爪ホルダーとの取付強度が向上する
【0017】
また、前記被挿入部は、前記締結手段と係合する係合部を有する構成とするのが良い。
【0018】
かかる構成によれば、被挿入部に係合部が設けられているので、締結手段の一方を係合部に係合させるとともに、締結手段の他方を爪ホルダーの他端側に係合させて、締結手段を締め付けることにより、耕耘爪と爪ホルダーとを容易且つ強固に締結することができる。また、耕耘爪と締結手段が別体に構成されるので、耕耘爪を交換する際に、締結手段を再利用することができる。
【0019】
また、前記耕耘爪の基端側の端部は、前記爪ホルダーの他端側に対して一端側に離間している構成とするのがよい。
【0020】
かかる構成によれば、耕耘爪の基端側の端部と爪ホルダーの他端側との隙間が、締結手段の締め代として機能するので、耕耘爪を爪ホルダーに強力に引き付けることができる。
【0021】
また、本発明に係る爪ホルダーは、耕耘爪を挿入するための貫通孔を有し、耕耘軸の周方向に前記貫通孔を向けた状態で前記耕耘軸に取り付けられる爪ホルダーであって、前記貫通孔は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、耕耘爪を挿入するための貫通孔を有し、耕耘軸の周方向に前記貫通孔を向けた状態で前記耕耘軸に取り付けられるので、貫通孔の一端側から挿入された耕耘爪を貫通孔の他端側すなわち爪ホルダーの他端側に締結する際に、耕耘軸の軸方向に隣り合う他の爪ホルダーや耕耘爪が邪魔になることがない。そのため、例えばインパクトレンチなどの大型工具が使い易くなり、耕耘爪の交換作業が容易になる。
【0023】
また、爪ホルダーは、耕耘軸の周面から径方向外側に向かって延出するフランジ部又はホルダー部に、耕耘軸の周方向でに貫通孔を向けた状態で取り付けるための取付部を備える構成とするのがよい。
【0024】
かかる構成によれば、従来の耕耘軸に爪ホルダーを取り付けるための取付部を備えているので、従来の耕耘装置から本発明に係る耕耘装置を容易に構成することができる。すなわち、従来の耕耘装置の性能を容易に向上させることができる。
【0025】
また、本発明に係る耕耘爪は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成された貫通孔を有する爪ホルダーに挿入される被挿入部を基端側に有する耕耘爪であって、前記被挿入部は、基端側に向かうほど前記貫通孔に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているとともに、前記締結手段によって前記爪ホルダーの他端側に締結されることを特徴とする。
【0026】
かかる構成によれば、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成された爪ホルダーの貫通孔の形状に合わせて、耕耘爪の被挿入部が、基端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成されているので、締結手段によって耕耘爪を爪ホルダーの他端側に引き付けることで、耕耘爪を爪ホルダーに隙間なく強固に装着することができる。そのため、耕耘作業中に耕耘爪がぐらつくことがない。さらに、締結手段を取り外して耕耘爪を引き抜く方向に移動させると、貫通孔の内側面と被挿入部の外側面との隙間が広がるので、貫通孔の内側面と被挿入部の外側面との間に土砂や砂利が噛み込んでいたとしても、耕耘爪を爪ホルダーから容易に引き抜くことができる。そのため、耕耘爪の交換作業が容易になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、耕耘爪の交換作業が容易な耕耘装置、耕耘爪の取付構造、爪ホルダー及び耕耘爪を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための第1実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1は、第1実施形態に係る耕耘装置を備えた耕耘機の側面図である。図2、は第1実施形態に係る耕耘装置を一部分解して示した斜視図である。図3は、第1実施形態に係る耕耘装置の耕耘爪と爪ホルダーの断面図であり、(a)は締結前、(b)は締結後の状態をそれぞれ示している。
【0030】
図1に示すように、耕耘装置1は、耕耘機2やトラクターの下部(本実施の形態では耕耘機2の下部)に設けられた、土地3を耕耘するための装置である。耕耘装置1は、耕耘機2に回転自在に支持された耕耘軸10と、耕耘軸10に固定される耕耘爪20と、耕耘軸10の外周面11(図2参照)に取り付けられ耕耘爪20を保持して固定する爪ホルダー30(図2参照)とを備えている。なお、耕耘軸10の回転方向は、矢印Aが正回転方向であり、矢印Bが逆回転方向である。耕耘作業は、その大半を、耕耘軸10を正回転方向Aに回転させて行っている。
【0031】
耕耘軸10は、円筒状部材(図2参照)であって、図1に示すように、耕耘機2の進行方向に直交する車幅方向に延在するように配置されている。耕耘軸10は、耕耘機2の車幅と略同等の長さを有しており、その両端部が、車幅方向両側に設けられた支持アーム4に軸支されている。耕耘軸10は、耕耘機2の前部に設けられたエンジン5などの駆動装置からの回転動力によって回転するように構成されている。
【0032】
図2に示すように、耕耘爪20は、土地3を撹拌する部材であり、耐摩耗性の高い鋼材を用いてブレード状(鉈状)に形成されている。耕耘爪20は、耕耘軸10の周方向に90度ずつ位置をずらしながら軸方向にも位置をずらして、耕耘軸10に対して螺旋状に取り付けられている。耕耘爪20は、耕耘軸10側となる基端側に被挿入部21を有するとともに、この被挿入部21の反対側となる先端側に撹拌部22を有している。
【0033】
撹拌部22は、土地3に食い込んでこれを撹拌する部分であり、土地3を撹拌し易いように緩やかに湾曲している。
被挿入部21は、後記する爪ホルダー30に挿入される部分であり、爪ホルダー30の貫通孔31に合わせて、基端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成されている。
【0034】
図3(a)に示すように、被挿入部21は、側面視台形状を呈しており、上面21aと下面21bとの間隔が基端側に向かうほど小さくなるように形成されている。また、被挿入部21の側面21c,21c(一方のみ図示)は、互いに平行に形成されている。被挿入部21の基端側の端部21dには、締結手段の一部たるボルト41が例えば溶接によって植立されている。
【0035】
図2に示すように、爪ホルダー30は、耕耘爪20を保持する部材であり、例えば高張力鋼などを用いて側面視台形状の箱型に構成されている。各爪ホルダー30は、耕耘軸10の周方向に90度ずつ位置をずらしながら軸方向にも位置をずらして、耕耘軸10に対して螺旋状に取り付けられている。また、爪ホルダー30は、一端側から他端側に貫通する貫通孔31を有している。そして、爪ホルダー30は、耕耘軸10の周方向であって軸方向Xに対して直交する方向に貫通孔31を向けた状態で、耕耘軸10の外周面11に溶接固定されている。
【0036】
図3(a)に示すように、爪ホルダー30は、鋼製の板状部材を組み合わせてなる四角筒状の胴部32と、この胴部32の他端側に取り付けられた底部33と、から構成されている。胴部32は、一端側に開口するとともに他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成された挿入部32aを有している。底部33は、ボルト41に対応する位置に、挿入部32aと爪ホルダー30の他端側とを連通する連通部33aを有している。この挿入部32aと連通部33aとによって貫通孔31が構成されている。
【0037】
挿入部32aは、耕耘爪20の被挿入部21が挿入される部分である。挿入部32aは、断面視台形状を呈しており、他端側(底部33側)に向かうほどその上面32bと下面32cとの間隔が小さくなるように形成されている。また、挿入部32aの側面32d,32d(一方のみ図示)は、被挿入部21の側面21c,21cの間隔と略同じ間隔に形成されている。挿入部32aは、被挿入部21を挿入したときに、被挿入部21の基端側の端部21dと底面33bとが離間するように、被挿入部21の長さ寸法よりも大きい深さ寸法に形成されている(図3(b)参照)。連通部33aは、耕耘爪20の基端側の端部21dに植設されたボルト41を挿通させる孔である。連通部33aは、ボルト41よりも大径に、且つ、ナット42よりも小径に形成されている。
【0038】
ボルト41及びナット42は、締結手段を構成する部材である。図3(b)に示すように、ボルト41は、耕耘爪20の基端側の端部21dに突設されているので、耕耘爪20が爪ホルダー30に挿入されることで、耕耘軸10の周方向であって軸方向Xに直交する方向に配置されることとなる。
耕耘爪20と爪ホルダー30とを締結した状態において、ボルト41の一端側は、耕耘爪20の基端側の端部21dに溶接固定され、ボルト41の他端側は、爪ホルダー30の底部33に設けられた連通部33aから突出し、ナット42によって爪ホルダー30の他端側に係合されている。このナット42を締め付けることにより、耕耘爪20が爪ホルダー30に引き付けられ、被挿入部21の上面21a及び下面21bが挿入部32aの上面32b及び下面32cにそれぞれ当接し、強固に締結されることとなる。
【0039】
つづいて、第1実施形態に係る耕耘装置1の作用効果について説明する。
【0040】
第1実施形態に係る耕耘装置1によれば、爪ホルダー30の貫通孔31が、耕耘軸10の周方向であって軸方向Xと直交する方向に向いているので、耕耘爪20の被挿入部21を爪ホルダー30の他端側にボルト41及びナット42を介して締結する際に、耕耘軸10の軸方向Xに隣り合う他の爪ホルダー30及び耕耘爪20(図示省略)が邪魔になることがない。そのため、例えば耕耘軸10の軸方向Xと直交する方向(例えば耕耘機2の後方)からインパクトレンチなどの大型工具をナット42にあてがうことが可能になり、耕耘爪20の交換作業が容易になる。
【0041】
また、爪ホルダー30の貫通孔31は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成され、耕耘爪20の被挿入部21は、基端側に向かうほど貫通孔31に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているので、ボルト41に対してナット42を締め付けると、耕耘爪20が爪ホルダー30に引き付けられ、耕耘爪20が爪ホルダー30に隙間なく強固に締結されることとなる。そのため、耕耘作業中に耕耘爪20がぐらつくことがなく、耕耘作業の作業効率が向上する。
【0042】
さらに、爪ホルダー30の貫通孔31は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成され、耕耘爪20の被挿入部21は、基端側に向かうほど貫通孔31に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているので、ボルト41からナット42を取り外して耕耘爪20を引き抜く方向に移動させると、貫通孔31の挿入部32aの上面32b及び下面32cと、被挿入部21の上面21a及び下面21bとの隙間が広がることとなる。そのため、貫通孔31と被挿入部21との間に土砂や砂利が噛み込んでいたとしても、隙間が広がることで砂利や土砂の噛み込みがなくなり、耕耘爪20を爪ホルダー30から容易に引き抜くことができる。よって、耕耘爪20の交換作業が容易になる。
【0043】
つぎに、第2実施形態に係る耕耘装置1Aについて図4を参照して説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
図4は、第2実施形態に係る耕耘装置を一部分解して示した斜視図である。
第2実施形態に係る耕耘装置1Aは、爪ホルダー30Aが、フランジ部12を介して耕耘軸10Aに固定されている点が、第1実施形態と異なっている。
【0045】
図4に示すように、耕耘軸10Aは、回転自在に支持された円筒状部材であり、その外周面11から径方向外側に延出する環状のフランジ部12を有している。フランジ部12には、2つのボルト挿通孔12a,12aが90度間隔で4箇所に設けられている。
なお、図示は省略するが、このフランジ部12は、耕耘軸10Aの軸方向Xに間隔を隔てて複数設置されている。このような耕耘軸10Aは、前記した特許文献1に記載されているように、従来から用いられており、従来はフランジ部12に耕耘爪(図示せず)が直接取り付けられていた。
【0046】
爪ホルダー30Aは、フランジ部12に取り付けるための取付部たるボルト34,34を有する点が、第1実施形態で説明した爪ホルダー30(図2参照)と異なっている。すなわち、爪ホルダー30Aは、フランジ部12に取り付けることができるように構成されている。
具体的には、爪ホルダー30Aのボルト34,34は、フランジ部12のボルト挿通孔12a,12aに対応した間隔で、胴部32の外側面32eに植立されている。
このボルト34,34をフランジ部12のボルト挿通孔12a,12aに挿通させて、ナット35,35を締め付けることにより、耕耘軸10Aの周方向であって軸方向Xと直交する方向に貫通孔31を向けた状態で、爪ホルダー30Aがフランジ部12を介して耕耘軸10Aに取り付けられることとなる。
【0047】
本実施形態において、フランジ部12に90度間隔で取り付けられる4つの爪ホルダー30Aのうち、互いに180度間隔で配置された2つの爪ホルダー30A,30Aは、フランジ部12の第1面12b側に取り付けられている。一方、残りの2つの爪ホルダー30A,30Aは、フランジ部12の第2面12c側に取り付けられている。すなわち、180度間隔で配置された2つの爪ホルダー30A,30Aを1組とする2組の爪ホルダー30A,30Aは、互いにフランジ部12の反対側の面に取り付けられている。このようにすれば、耕耘爪20の取り付け・取り外し時に、90度間隔で周方向に隣接する爪ホルダー30Aが邪魔になることがない。そのため、耕耘爪20の交換作業が容易になる。
【0048】
かかる構成によれば、従来の耕耘軸10Aのフランジ部12に、本発明の耕耘爪20と爪ホルダー30Aとを取り付けることによって、従来の耕耘装置を第2実施形態に係る耕耘装置1Aに容易に改良することができる。そのため、従来の耕耘装置が無駄になることがなく、さらに、耕耘爪20の交換作業性能を向上させることができる。
なお、爪ホルダー30Aは、耕耘爪20の交換時にフランジ部12に残置されるので、爪ホルダー30Aのボルト34,34が耕耘軸10Aの軸方向Xに向いていても、耕耘爪20の交換作業に影響しない。
【0049】
つぎに、第3実施形態に係る耕耘装置1Bについて図5を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
図5は、第3実施形態に係る耕耘装置を一部分解して示した斜視図である。
第3実施形態に係る耕耘装置1Bは、爪ホルダー30Bが、保持筒15を介して耕耘軸10Bに固定されている点が、第1実施形態と異なっている。
【0051】
図5に示すように、耕耘軸10Bは、回転自在な円筒状部材であり、その外周面11から径方向外側に延出する筒状の保持筒15を有している。各保持筒15は、耕耘軸10Bの周方向に90度間隔で取り付けられるとともに、耕耘軸10Bの軸方向に間隔を隔てて取り付けられている。
このような耕耘軸10Bは、従来から用いられており、従来は保持筒15に耕耘爪(図示せず)が直接取り付けられていた。
【0052】
保持筒15は、第1溝片16と第2溝片17とから構成されている。第1溝片16は、ボルト挿通孔16cを有する底壁16aと、この底壁16aの両側端から直交方向に延出する側壁16b,16bとによって溝形に形成されている。第2溝片17は、ボルト挿通孔17cを有する底壁17aと、この底壁17aの両側端から直交方向に延出する側壁17b,17bとによって溝形に形成されている。この第1溝片16の溝部に第2溝片17が嵌合することで、筒状の保持筒15が構成されている。第1溝片16及び第2溝片17の下端部は、ボルト挿通孔16c,17cを耕耘軸10Bの軸方向に向けた状態で、耕耘軸10Bの外周面11に溶接固定されている。なお、保持筒15の構造はこれに限定されるものではない。
【0053】
爪ホルダー30Bは、保持筒15に取り付けるための取付部36を有する点が、第1実施形態で説明した爪ホルダー30(図2参照)と異なっている。すなわち、爪ホルダー30Aは、保持筒15を介して耕耘軸10Bに取り付けることができるように構成されている。
具体的には、爪ホルダー30Bの取付部36は、保持筒15の中空部と略同形状の部材であり、胴部32の底面32fに突設されている。取付部36は、第1溝片16及び第2溝片17のボルト挿通孔16c,17cに対応する位置に、ボルト挿通孔36aを有している。ボルト挿通孔36aは、耕耘爪20が挿入される貫通孔31に対して直交する向きに形成されている。
【0054】
爪ホルダー30の取付部36を保持筒15の中空部に嵌入し、ボルト挿通孔16c,17,36aにボルト18を挿通してナット19を締め付けることにより、耕耘軸10Bの周方向であって軸方向Xと直交する方向に貫通孔31を向けた状態で、爪ホルダー30Bが保持筒15を介して耕耘軸10Bに取り付けられることとなる。
【0055】
かかる構成によれば、従来の耕耘軸10Bの保持筒15に、本発明の耕耘爪20と爪ホルダー30Bとを取り付けることによって、従来の耕耘装置を第3実施形態に係る耕耘装置1Bに容易に改良することができる。そのため、従来の耕耘装置が無駄になることがなく、さらに、耕耘爪20の交換作業性能を向上させることができる。
【0056】
つぎに、第4実施形態に係る耕耘装置について図6を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0057】
図6は、第4実施形態に係る耕耘装置の耕耘爪と爪ホルダーの断面図であり、(a)は締結前、(b)は締結時の状態をそれぞれ示している。
図6(a),(b)に示すように、第4実施形態に係る耕耘装置は、耕耘爪20Aがボルト41Aと別体に構成されている点が、前記した第1実施形態と異なっている。
【0058】
ボルト41Aは、耕耘爪20Aと別体の部材であり、頭部41Aaと、この頭部41Aaから延出する軸部41Abとから構成されている。頭部41Aaの幅寸法は、軸部41Abの幅寸法よりも大きく形成されている。また、頭部41Aaの厚さ寸法は、耕耘爪20Aの厚さ寸法と略等しく形成されており、爪ホルダー30の挿入部32aに挿入可能になっている。
【0059】
耕耘爪20Aは、基端側の端部21dに、ボルト41Aと係合する係合部21g,21gを有している。
つまり、耕耘爪20Aの被挿入部21には、ボルト41Aの頭部41Aaを設置するための頭部設置部21eが、耕耘爪20Aの厚さ方向(図6の紙面直交方向)に貫通形成されている。また、耕耘爪20Aの被挿入部21には、頭部設置部21eの幅方向中央部と耕耘爪20Aの基端側の端部21dとを連通する軸部設置部21fが、耕耘爪20Aの厚さ方向に貫通形成されている。軸部設置部21fは、頭部設置部21eよりも幅狭に形成されている。この軸部設置部21fの両脇部分が、ボルト41Aの頭部41Aaと係合する係合部21g,21gとなっている。なお、係合部21g,21gの構造は、これに限られるものではない。
【0060】
耕耘爪20Aを爪ホルダー30に取り付ける際には、まず、図6(a)に示すように、耕耘爪20Aの頭部設置部21eにボルト41Aの頭部41Aaを設置するとともに、軸部設置部21fにボルト41Aの軸部41Abを設置する。
【0061】
つぎに、図6(b)に示すように、耕耘爪20Aとボルト41Aとを組み合わせた状態で、耕耘爪20Aの被挿入部21を爪ホルダー30の挿入部31aに挿入するとともに、ボルト41Aの軸部41Abを爪ホルダー30の連通部33aに挿通する。
【0062】
そして、爪ホルダー30の他端側から突出したボルト41Aの軸部41Abにナット42を係合させて締め付けると、ボルト41Aが爪ホルダー30の他端側に引き付けられる。そうすると、ボルト41Aの頭部41Aaが、耕耘爪20Aの係合部21g,21gに係合し、耕耘爪20Aが爪ホルダー30に引き付けられる。これにより、耕耘爪20Aが爪ホルダー30に強固に固定されることとなる。
【0063】
このように、耕耘爪20Aとボルト41Aとが別体に構成されているので、耕耘爪20Aのみを交換して、ボルト41Aを再利用することができる。そのため、耕耘爪20Aの交換にかかる材料費を低減することができる。
【0064】
つぎに、第5実施形態に係る耕耘装置について図7を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
図7は、第5実施形態に係る耕耘装置の耕耘爪と爪ホルダーの部分拡大斜視図である。
図7に示すように、第5実施形態に係る耕耘装置は、爪ホルダー30Cが筒状に構成されている点、すなわち底部33(図3参照)を備えていない点が、前記した第1実施形態と異なっている。
【0066】
爪ホルダー30Cは、側面視台形状を呈する四角筒形状の部材であり、耕耘爪20の被挿入部21が挿入される貫通孔31Cを有している。貫通孔31Cは、爪ホルダー30Cの一端側から他端側に貫通しており、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成されている。貫通孔31Cの幅寸法は、耕耘爪20の基端側の端部に突設されたボルト41の幅寸法よりも大きく、ナット42の幅寸法よりも小さく形成されている。
なお、図示は省略するが、爪ホルダー30Cは、耕耘軸10(図2参照)の周方向であって軸方向Xに直交する方向に貫通孔31Cを向けた状態で、耕耘軸10に固定されていることはいうまでもない。
【0067】
耕耘爪20の被挿入部21を爪ホルダー30Cに挿入し、爪ホルダー30Cの他端側から突出したボルト41にナット42を係合して締め付けると、ナット42が爪ホルダー30Cの他端側の端面30Caに係合するとともに、耕耘爪20がボルト41を介して爪ホルダー30Cに引き付けられることになる。これにより、耕耘爪20と爪ホルダー30Cとを強固に固定することができる。
【0068】
以上、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0069】
例えば、第1実施形態では、挿入部32aの上面32b及び下面32cのみをテーパ状に形成したが、両側面32dもテーパ状に形成しても良い。このとき、耕耘爪20の被挿入部21は、挿入部32aの形状に対応して、四角錐台形状に形成される。この他、挿入部32aを横断面円形状のテーパ状(すり鉢状)に形成し、被挿入部21を円錐台形状に形成してもよい。
【0070】
また、前記第1乃至第五実施形態では、爪ホルダー30(30A,30B,30c)を、耕耘軸10の周方向であって軸方向Xに対して直交する方向に貫通孔31を向けた状態で固着した例を示したが、これは耕耘軸10と非平行に固着することの例示にすぎない。要するに、爪ホルダー30の固着方向は、耕耘爪20の交換時に、他の爪ホルダーあるいは耕耘爪に干渉せずに、インパクトレンチなどの工具をナット42にあてがうことができるように適宜変えるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態に係る耕耘装置を備えた耕耘機の側面図である。
【図2】第1実施形態に係る耕耘装置を一部分解して示した斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る耕耘装置の耕耘爪と爪ホルダーの断面図であり、(a)は締結前、(b)は締結後の状態をそれぞれ示している。
【図4】第2実施形態に係る耕耘装置を一部分解して示した斜視図である。
【図5】第3実施形態に係る耕耘装置を一部分解して示した斜視図である。
【図6】第4実施形態に係る耕耘装置の耕耘爪と爪ホルダーの断面図であり、(a)は締結前、(b)は締結時の状態をそれぞれ示している。
【図7】第5実施形態に係る耕耘装置の耕耘爪と爪ホルダーの拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 耕耘装置
10 耕耘軸
20 耕耘爪
21 被挿入部
30 爪ホルダー
31 貫通孔
41 ボルト(締結手段)
42 ナット(締結手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持された耕耘軸と、
前記耕耘軸に取り付けられ、貫通孔を有する爪ホルダーと、
前記貫通孔に挿入される被挿入部を基端側に有する耕耘爪と、
前記爪ホルダーと前記耕耘爪とを締結する締結手段と、を備える耕耘装置であって、
前記爪ホルダーは、前記耕耘軸の周方向に前記貫通孔を向けた状態で前記耕耘軸に取り付けられ、
前記貫通孔は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成され、
前記被挿入部は、基端側に向かうほど前記貫通孔に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているとともに、前記締結手段によって前記爪ホルダーの他端側に締結されていることを特徴とする耕耘装置。
【請求項2】
前記耕耘軸は、その周面から径方向外側に向かって延出するフランジ部を有し、
前記爪ホルダーは、前記フランジ部を介して前記耕耘軸に固定されることを特徴とする請求項1に記載の耕耘装置。
【請求項3】
前記被挿入部は、前記締結手段と係合する係合部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耕耘装置。
【請求項4】
前記耕耘爪の基端側の端部は、前記爪ホルダーの他端側に対して一端側に離間していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の耕耘装置。
【請求項5】
貫通孔を有する爪ホルダーと、
前記貫通孔に挿入される被挿入部を基端側に有する耕耘爪と、
前記爪ホルダーと前記耕耘爪とを締結する締結手段と、を備える耕耘装置であって、
前記爪ホルダーは、耕耘軸の周方向に前記貫通孔を向けた状態で前記耕耘軸に取り付けられ、
前記貫通孔は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成され、
前記被挿入部は、基端側に向かうほど前記貫通孔に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているとともに、前記締結手段によって前記爪ホルダーの他端側に締結されていることを特徴とする耕耘爪の取付構造。
【請求項6】
耕耘爪を挿入するための貫通孔を有し、耕耘軸の周方向に前記貫通孔を向けた状態で前記耕耘軸に取り付けられる爪ホルダーであって、
前記貫通孔は、一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成されていることを特徴とする爪ホルダー。
【請求項7】
一端側から他端側に向かうほど縮幅するテーパ状に形成された貫通孔を有する爪ホルダーに挿入される被挿入部を基端側に有する耕耘爪であって、
前記被挿入部は、基端側に向かうほど前記貫通孔に合わせて縮幅するテーパ状に形成されているとともに、前記締結手段によって前記爪ホルダーの他端側に締結されることを特徴とする耕耘爪。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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