説明

聴診器及び聴診器音声データ送受信比較分析評価方法

【課題】
直接聴診音を聞くことができるとともに,その音を遠隔地の医師などに送り,診断をも可能とする聴診器を提供するとともに、生体、物体の異常を早期発見する手段として、音声で判断できる専門的な評価を自動解析によって行う聴診器音声データ送受信比較分析評価方法を提供する。

【解決手段】
次の手段を採用した聴診器及び聴診器音声データ送受信比較分析評価方法とする。
第1に,集音ヘッドと,耳管と,集音ヘッドと耳管とを接続する導管と,を有する聴診器を用いる。
第2に,集音ヘッドと耳管の間に少なくとも2系統に分岐可能な分岐接続管を配置する。
第3に,分岐接続管の第1の接続口に集音ヘッドを接続し,分岐接続管の第2の接続口に耳管を接続した上,分岐接続管の第3の接続口にマイクロフォンを接続する。
第4に,マイクロフォンを増幅器を介して記録媒体つき通信機器の入力端子と接続可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話及びその他記録媒体つき通信機器に接続される聴診器、及び聴診器音声データ送受信比較分析評価方法に関するものである。
【0002】
本発明は,人体・その他の動物の医療や機器等の物体の検査に対して利用可能であるが、主として、患者やその保護者及び医療関係者などの聴診器利用者が,直接聴診音を聞けるとともに,聞きながらでも遠隔地に聴診音を通信することができ,遠隔医療にも役立つ,聴診器及び聴診器音声データ送受信比較分析評価方法をテーマに開発されたものである。
【背景技術】
【0003】
聴診器を使用して得られる人体及び動物の心音・腸音・呼吸音・嚥下音等の内部音、配管設備・機器等物体の内部音、植物の水流等の内部音の正常・異常は、現場で専門家及びそれらの分野を熟知している者が聴診器を使用して評価している。
【0004】
しかし、専門家が各所に常時遍在しているわけではない。迅速に、又は定期的に専門家の評価を得たい場合、その都度専門家のいる場所に評価対象物を移動させなければならず、人体、動植物、物体が現場から移動不可能であれば、専門家の現場出向を依頼するしかない。本来専門家の数が少ないため、専門家の現場出向可否の問題、及び専門家が評価対象を実際に評価できるまでのタイムラグにおいて、異常の度合が大きくなり、最悪の場合処置不可能となることがある。
【0005】
医療の分野では従来より,専用の通信端末を利用してユーザー側から病院などに設置されたホストコンピュータへ計測データを送信するシステムは存在した。しかし,このシステムは1方向通信であり測定した患者データに対して医師がリアルタイムで対応できず,更に,高価な通信端末やそれに対応した機器を有する専用の施設でしか利用できないものであった。
【0006】
そこで,特許文献1に示されるような携帯電話と電子聴診器を用いたシステムが提供された。しかし,このシステムでは,携帯電話に電子聴診器の聴診音を聴診データに変換する機構を設けるなど専用の携帯電話が必要となるものであって,聴診音を音の振動波として直接聞けるものでもなく,一般に普及している携帯電話で利用できるものでもなかった。その上,携帯電話の改良を伴うものであるので導入には多くの費用が必要とされるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−159682号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は,上記従来技術の問題点を解決しようとするもので,聴診器により直接聴診音を聞くことができるとともに,その音を携帯電話やその他の記録媒体つき通信機器を利用して遠隔地に音声データを送り,診断等の対処をも可能とする聴診器を安価に提供しようとするものである。更に、本発明では、生体、物体の異常を早期発見する手段として、各分野において音声で判断できる専門的な評価を自動解析によって行うことのできる聴診器音声データ送受信比較分析評価方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の発明は、聴診器に次の手段を採用する。
第1に,聴診音を検出する集音ヘッドと,耳管と,集音ヘッドと耳管とを接続する導管と,を有する聴診器を用いる。
第2に,集音ヘッドと耳管の間に少なくとも2系統に分岐可能な分岐接続管を配置する。
第3に,上記分岐接続管の第1の接続口に集音ヘッドを接続し,分岐接続管の第2の接続口に耳管を接続した上,分岐接続管の第3の接続口にマイクロフォンを接続する。
第4に,前記マイクロフォンを増幅器を介して記録媒体つき通信機器の入力端子と接続可能とする。
【0010】
第2の発明は、聴診器に次の手段を採用する。
第1に,聴診音を検出する集音ヘッドと,耳管と,集音ヘッドと耳管とを接続する導管と,を有する聴診器を用いる。
第2に,この聴診器の導管を,集音ヘッドと耳管の間で分離する。
第3に,該分離箇所に少なくとも2系統に分岐可能な分岐接続管を配置する。
第4に,上記分岐接続管の第1の接続口に集音ヘッド側の導管を接続し,分岐接続管の第2の接続口に耳管側の導管を接続した上,分岐接続管の第3の接続口にマイクロフォンを接続する。
第5に,前記マイクロフォンを増幅器を介して記録媒体つき通信機器の入力端子と接続可能とする。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明のおける記録媒体つき通信機器が、携帯電話である聴診器とするものである。
【0012】
第4の発明に係る方法は、聴診器音声データ送受信比較分析評価方法において、聴診器と、記録媒体つき通信機器と、該記録媒体つき通信機器と送受信可能なデータ記憶認証サーバーとを利用するものである。ここでの聴診器は、第1の発明に係る聴診器を用いる。
【0013】
その上で、第4の発明は、次の手段を備える方法である。
第1に、上記記録媒体つき通信機器に、上記聴診器より得た音声データを録音保存する録音ステップを備える。
第2に、上記録音保存された音声データをデータ評価依頼者が上記記録媒体つき通信機器よりデータ記憶認証サーバーへ送信する評価依頼ステップを備える。
第3に、上記データ記憶認証サーバー内の音声自動解析ソフトが音声データの正常値に対する比較分析を行う評価ステップを備える。
第4に、上記評価ステップでの比較分析の評価結果をデータ記憶認証サーバーからデータ評価依頼者の上記記録媒体つき通信機器に送信する評価結果送信ステップを備える。
第5に、上記評価依頼者が上記データ記憶認証サーバーから評価結果を上記記録媒体つき通信機器にて受信する評価結果受信ステップを備える。
【発明の効果】
【0014】
第1乃至第3の発明は,聴診器の導管に少なくとも2系統に分岐可能な分岐接続管を配置し,分岐接続管の第1の接続口に集音ヘッドを接続し,分岐接続管の第2の接続口に耳管を接続した上,分岐接続管の第3の接続口にマイクロフォンを接続し,該マイクロフォンを増幅器を介して携帯電話等の記録媒体つき通信機器の入力端子と接続可能としているので,簡単な構造により携帯電話等の記録媒体つき通信機器で利用可能な聴診器となった。
【0015】
又,第2の発明では、導管を分離しているので接続する導管の長さを変えることにより,聴診器で聞くことのできる聴診音の周波数を変えることができ,多種の聴診に役立つこともできるものとなった。更に,第3の発明では,通常使用される聴診器と通常の携帯電話を用いることができるので,汎用性が極めて高いものとなった。
【0016】
第4の発明によれば、録音、送信された生体や物体の内部音から専門家である評価者が比較分析評価したに等しい評価ステップと、評価結果受信ステップとを経るので、評価依頼者は生体や物体における自己判断不可能な異常を早期に認識することができる。
【0017】
又、第4の発明により、専門的な認識を得る機会を損失することを低減することが可能となるため、評価対象となる生体や物体の音声を評価できる知識が不十分な者が、現場において過去のデータと比較することなく対処したり、専門家のアドバイスなしに対処することに比べ、異常を認知できずに生体、物体を危険な状態で放置するケースを低減することが可能となった。従って本発明の目的とする、生体や物体の正常、異常を早期に発見することが可能な、聴診器音声データ送受信比較分析評価方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】携帯電話で利用可能な聴診器の1実施例を示す全体説明図
【図2】同部分分解斜視図
【図3】分岐接続管の接続状態を示す説明図
【図4】聴診器の他の使用状態を示す説明図
【図5】評価依頼ステップの概要を示す説明図
【図6】評価結果受信ステップの概要を示す説明図
【図7】評価ステップでの比較分析の説明図で、(イ)は正常音声波形であり、(ロ)は評価対象音声波形であり、(ハ)は比較状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,図面に従って,実施例とともに本発明の実施の形態について説明する。図1は携帯電話で利用可能な聴診器の1実施例を示す全体説明図であり,図2は同部分分解斜視図である。本発明中第1及び第2の発明は、携帯電話に限定されずに記録媒体つき通信機器であればよいが、実施例としては携帯電話を利用する。
【0020】
実施例に係る携帯電話で利用可能な聴診器Aは,図1及び図2に示されるように,聴診音を検出する集音ヘッド1と,イヤーチップ2を備えた耳管3と,集音ヘッド1と耳管3及びマイクロフォン8とを接続する導管であるチューブ4,5,6と,分岐接続管となるY字接続管7と,マイクロフォン8と,増幅器9と,携帯電話用入力コネクタ10と接続コード11とを有する。尚,図1中符号Bは,携帯電話である。
【0021】
聴診音を検出する集音ヘッド1は,通常チェストピースと称されるもので,通常の聴診器に用いられるものであってよい。集音ヘッド1には,ヘッド接続管21が設けられている。
【0022】
耳管3は,左右の2本の管よりなり,末端にイヤーチップ2を装着したものであって,バネ22によって間隔を保持して支持されている。本発明においては,この耳管3も通常使用される聴診器におけるものであってよい。尚,バネ22は,チューブ4内に配置されたものもある。
【0023】
集音ヘッド1と耳管3及びマイクロフォン8とを接続する導管であるチューブ4,5,6は,ゴムや高分子材料で製作されている。チューブ4,5,6は,ヘッド接続管21や,耳管3が着脱可能な柔軟性を有する通常の聴診器に利用されるチューブを分割したものが利用される。尚,耳管3側のチューブ4は,耳管3との接続部側でY字状に分岐した通常の形状のものであり,集音ヘッド1側のチューブ5及びマイクロフォン8側のチューブ6は,短めのストレートなものである。尚、チューブ5及びチューブ6は、集音ヘッド1及びマイクロフォン8とY字接続管7を接続するためのものであるので、Y字接続管7に別途接続部が形成されている場合には必要でない。
【0024】
本発明の特徴の1つとなる分岐接続管は,T字型(図5の聴診器Aにおいて符号20が示す逆T字型に用いられている。)やY字型(図1乃至図3の聴診器Aに用いられている。)など分岐に適するものであればよいが、実施例ではY字接続管7である。Y字接続管7は,金属製の管であって,集音ヘッド1側の第1の接続口37,耳管3側の第2の接続口17,マイクロフォン8側の第3の接続口27を設けたY字状に形成された管である。Y字接続管7は,実施例では金属製であるが,チューブ4,5,6の接続が可能な硬度を有するものであればよく,その素材は問わない。
【0025】
マイクロフォン8は,チューブ6の内径に合うよう直径6mm以下の小型マイクロフォンが用いられている。増幅器9は,マイクロフォン8で集音した音声を増幅する装置である。この増幅器9はアンプであってもよい。実施例ではマイクロフォン8と増幅器9は分離したもので,接続コード11で接続されているが,両者一体型ものであってもよい。
【0026】
増幅器9は,接続コード11にて携帯電話Bの入力端子となる携帯電話用入力コネクタ10に接続されており,携帯電話用入力コネクタ10は,携帯電話Bと接続される。携帯電話Bは,通常市販されているものでも録音のための記録媒体を有するのであれば十分であり,携帯電話用入力コネクタ10も携帯電話Bの機種に従ったものが選定される。
【0027】
以下,チューブ4,5,6の接続状態について説明する。耳管3側のチューブ4は,二股に分かれたチューブ4の端部に耳管3の端部を挿入して接続され,該チューブ4の他端にはY字接続管7の第2の接続口17が挿入され接続されている。集音ヘッド1側のチューブ5は,一端に集音ヘッド1のヘッド接続管21が挿入されて接続され,他端には,Y字接続管7の第1の接続口37が挿入され接続されている。マイクロフォン8側のチューブ6は,一端にマイクロフォン8が挿入されて接続され,他端にはY字接続管7の第3の接続口27が挿入されて接続されている。
【0028】
このように接続されているため,集音ヘッド1で集音した聴診音は,チューブ5からY字接続管7に伝わり,Y字接続管7からチューブ4,6を通して耳管3及びマイクロフォン8に伝わり,耳管3ではその音を直接聞くことができ,マイクロフォン8で集音した音声は増幅器9を介して,携帯電話Bに送ることができる。これにより携帯電話Bを動作させて,聴診音を録音したり、遠隔地にいる医療スタッフなどに聴診音を送ることができる。
【0029】
本発明は,上記のような用い方ができるだけでなく,通常利用される聴診器を用いるため,図4に示すようにチューブ4を直接集音ヘッド1のヘッド接続管21に接続し,普通の聴診器として利用することも可能である。
【0030】
聴診器音声データ送受信比較分析評価方法は、本発明に係る聴診器Aと、記録媒体つき通信機器としての携帯電話Bと、携帯電話Bと送受信可能なデータ記憶認証サーバーDとを利用し、次のステップを踏む。
【0031】
第1は、携帯電話Bに、聴診器Aより得た音声データを録音保存する録音ステップである。
第2は、上記録音保存された音声データをデータ評価依頼者が上記携帯電話Bよりデータ記憶認証サーバーDへ送信する評価依頼ステップである。
第3は、上記データ記憶認証サーバーD内の音声自動解析ソフトが音声データの正常値に対する比較分析を行う評価ステップである。
第4は、上記評価ステップでの比較分析の評価結果をデータ記憶認証サーバーDからデータ評価依頼者の携帯電話Bに送信する評価結果送信ステップである。
第5は、上記評価依頼者がデータ記憶認証サーバーDから評価結果を携帯電話Bにて受信する評価結果受信ステップである。
【0032】
聴診器音声データ送受信比較分析評価方法は以下のように利用される。
評価対象物が動物の場合であれば、まず、動物の飼い主(評価依頼者)に携帯電話Bで利用可能な聴診器Aを購入してもらい、聴診器音声データ送受信比較分析評価システムに登録してもらう。尚、データ記憶認証サーバーDには、正常時に録音した音声データ(正常音声データ33の波形)、動物の画像ファイル、問診表のテキストなどが記憶、保存されている。上記評価対象物は、人体、植物、機器等の物体にも可能である。
【0033】
第1の録音ステップは、図5中左側に示されるように携帯電話Bに聴診器Aの携帯電話用入力コネクタ10を接続し、例えば、動物を飼っている飼い主が動物の状態が正常か異常かの評価を受けたい場合、聴診器Aで採取した動物の心音、呼吸音、腸音等を携帯電話Bに録音保存するステップである。
【0034】
第2の評価依頼ステップは、携帯電話Bに録音保存された音声データを携帯電話Bの通信機能を利用して、データ記憶認証サーバーDに送信するステップでもある。具体的には図5に示されるように、携帯電話Bより基地局30及び交換機31を介してインターネット32に接続し、インターネット32よりデータ記憶認証サーバーDに接続され、送信されるものである。
【0035】
尚、評価依頼者は必要に応じて評価対象物である生体、物体の動画ファイル、静止画ファイル、問診表などのテキストもデータ送信が可能である。又、携帯電話Bに録音された音声データは、携帯電話同士の直接送受信も可能であるため、本発明の方法を用いるだけでなく、専門家に直接送信したり家族間などでは携帯電話同士で緊急に送受信することも可能である。
【0036】
第3の評価ステップは、データ記憶認証サーバーDの音声自動解析ソフトで、第2の評価依頼ステップで送られてきた音声データ34を予めデータ記憶認証サーバーDに記憶させてある正常音声データ33(正確には、正常音声波形データ)と比較分析を行うステップである。送られてきた音声データ34を録音した時点での評価対象物の状態記録が詳細にデータ記憶認証サーバーDに蓄積されていることが望ましい。
【0037】
具体的には、飼い主から送られてきた音声データ34はデータ記憶認証サーバーDで認証された後、該サーバーD内の音声自動解析ソフトで、予め該サーバーDに記憶されている過去のデータ及び正常音声データ33と比較分析される。音声自動解析ソフトは、動物の心音、呼吸音別に正常、異常を評価する。又、画像ファイル、テキスト情報があれば、過去のデータと見比べ、体内音から推測される体内機能の異常をさらに詳細に把握できる。
【0038】
以下図7に従って、データ記憶認証サーバーD内の音声自動解析ソフトでの、第2の評価依頼ステップで送られてきた音声データ34と、予めデータ記憶認証サーバーDに記憶させてある正常音声データ33との比較分析の方法について説明する。データ記憶認証サーバーDでは、特定した音量レベルの音声を検出する。又、評価対象物の音声に合わせた周波数帯域を入力しておき、予めデータ記憶させておいた正常音声データ33の波形と評価対象音声波形(第2の評価依頼ステップで送られてきた音声データ34の波形)とを自動解析ソフトで比較分析するものである。
【0039】
図7中(イ)は正常音声波形であり、(ロ)は評価対象音声波形であり、(ハ)は比較状態を示すものである。図7(イ)(ロ)(ハ)中、左右方向に伸びる点線部分は音声検出周波数帯域を示し、折れ線グラフは音声検出部分を示すものである。尚、正常音声データ33の波形と評価対象の送られてきた音声データ34の波形との比較分析は音声検出周波数帯域にある音声データで行われる。
【0040】
まず、図7中(イ)に示されるように、データ記憶認証サーバーDに記憶されている正常音声データ33の波形若しくは過去の音声波形が呼び出される。次に、図7中(ロ)に示されるように、評価対象音声波形(評価依頼者が録音し送られてきた音声データ34の波形)が呼び出される。図7(ロ)中、混線状態を示す部分35は、録音した時に入ってしまった雑音の波形であるが、点線部分である音声検出周波数帯域にある音声を検出するため、混線状態を示す部分35は自動的に評価対象外(比較分析対象外)となる。
【0041】
続いて、図7中(ハ)に示されるように、データ記憶認証サーバーDの音声自動解析ソフトで、正常音声データ33の音声反応タイミング及び波形の角度と、評価対象音声波形(評価依頼者が録音し送られてきた音声データ34の波形)の音声反応タイミング及び波形の角度との差がグラフに現れる。
【0042】
異常と評価する波形角度は対象物に合わせて予めデータ記憶認証サーバーDに入力されている。図7中(ハ)の例は、評価対象音声波形角度が正常音声データ33の波形と10度以上違う例である。この場合、予め10度以上の差で異常と評価(比較分析)するように入力しておく。上記の例が心音ならば、交感神経優位と、ブローイングという症状だと判断され、評価依頼者にグラフと異常度のテキスト文章(例えば、「異常度80%」という数値)が評価結果として送信される。尚、過去の記録を呼び出しデータ選択して過去の音声データに対する比較分析を自動解析ソフトが行うと、過去と現在の詳細な状態を把握できる。
【0043】
第4の評価結果送信ステップでは、自動解析ソフトは評価した所見と比較グラフを評価結果として、図6に示すようにデータ記憶認証サーバーDから評価依頼者の携帯電話Bへ送信し、評価依頼者は、第5の評価結果受信ステップとして携帯電話Bにて、評価結果を得ることができる。
【0044】
この評価結果を得ることにより、異常がなければ動物の状態により食事の与え方や飼育環境の指導を受け、異常があれば動物病院での診察を要するアドバイスを受けられるため、実際の診察を受けるべきかの指針となり、診察費用の軽減が可能となる。
【0045】
他の例として、評価対象物が配管機材、精密機器などの物体の場合は、水道管等の配管工事会社、自動車修理会社等に携帯電話Bに録音可能な聴診器Aを購入してもらい、現場担当者と、事業所管理者に聴診器音声データ送受信比較分析評価システムに登録してもらう。この場合、現場担当者が予め正常音声データ33の波形をデータ記憶認証サーバーDに記憶させておくことによって自動解析ソフトに比較させ、現場判断の参考にすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・・・集音ヘッド
2・・・・・イヤーチップ
3・・・・・耳管
4,5,6・・・・・チューブ
7・・・・・Y字接続管
8・・・・・マイクロフォン
9・・・・・増幅器
10・・・・携帯電話用入力コネクタ
11・・・・接続コード
17・・・・第2の接続口
21・・・・ヘッド接続管
22・・・・バネ
27・・・・第3の接続口
30・・・・基地局
31・・・・交換機
32・・・・インターネット
33・・・・正常音声データ
34・・・・送られてきた音声データ
35・・・・混線状態を示す部分
37・・・・第1の接続口
A・・・・・聴診器
B・・・・・携帯電話
D・・・・・データ記憶認証サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴診音を検出する集音ヘッドと,耳管と,集音ヘッドと耳管とを接続する導管と、を有する聴診器の導管の集音ヘッドと耳管の間に少なくとも2系統に分岐可能な分岐接続管を配置し,分岐接続管の第1の接続口に集音ヘッドを接続し,分岐接続管の第2の接続口に耳管を接続した上,分岐接続管の第3の接続口にマイクロフォンを接続し,該マイクロフォンを増幅器を介して記録媒体つき通信機器の入力端子と接続可能としたことを特徴とする聴診器。
【請求項2】
聴診音を検出する集音ヘッドと,耳管と,集音ヘッドと耳管とを接続する導管と、を有する聴診器の導管を集音ヘッドと耳管の間で分離し,該分離箇所に少なくとも2系統に分岐可能な分岐接続管を配置し,分岐接続管の第1の接続口に集音ヘッド側の導管を接続し,分岐接続管の第2の接続口に耳管側の導管を接続した上,分岐接続管の第3の接続口にマイクロフォンを接続し,該マイクロフォンを増幅器を介して記録媒体つき通信機器の入力端子と接続可能としたことを特徴とする聴診器。
【請求項3】
上記記録媒体つき通信機器が、携帯電話である請求項1又は請求項2に記載の聴診器。
【請求項4】
聴診音を検出する集音ヘッドと,耳管と,集音ヘッドと耳管とを接続する導管と、を有する聴診器の導管の集音ヘッドと耳管の間に少なくとも2系統に分岐可能な分岐接続管を配置し,分岐接続管の第1の接続口に集音ヘッドを接続し,分岐接続管の第2の接続口に耳管を接続した上,分岐接続管の第3の接続口にマイクロフォンを接続し,該マイクロフォンを増幅器を介して記録媒体つき通信機器の入力端子と接続可能としたことを特徴とする聴診器と、前記記録媒体つき通信機器と、該記録媒体つき通信機器と送受信可能なデータ記憶認証サーバーとを有し、

上記記録媒体つき通信機器に上記聴診器より得た音声データを録音保存する録音ステップと、
上記録音保存された音声データをデータ評価依頼者が上記記録媒体つき通信機器よりデータ記憶認証サーバーへ送信する評価依頼ステップと、
上記データ記憶認証サーバー内の音声自動解析ソフトが音声データの正常値に対する比較分析を行う評価ステップと、
上記評価ステップでの比較分析の評価結果をデータ記憶認証サーバーからデータ評価依頼者の上記記録媒体つき通信機器に送信する評価結果送信ステップと、
上記評価依頼者が上記データ記憶認証サーバーから評価結果を上記記録媒体つき通信機器にて受信する評価結果受信ステップと、
を備えた聴診器音声データ送受信比較分析評価方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate