説明

肢運動監視システム

肢運動監視システムが、モーションセンサ、空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維及び空間的に分解能力のある感圧性繊維を有する衣服、更に筋活動センサ、上記センサからの上記データを処理し、上記空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維に照明命令を出す処理ユニット並びにデータベースを有する。更に、上記システムにより肢運動を監視する方法が与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肢運動監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばストロークの後かなり頻繁に発生する、麻痺性肢を動かすことは、伝統的に手による(hands-on)物理療法を通して実行される。弱った腕を動かすため、しばしば存在する限られた可動域に慎重に注意を払いながら、セラピストは特別なグリップ技術を使用する。斯かる処置は、影響を受けた四肢の機能能力を回復させることができ、及び腕が影響を受けるとき、肩の不全脱臼といった二次的合併症を減らすこともできる。しかしながら、現在の予算に関する圧力によって、人に処方されることができる物理療法の量は制限される。同時に、素人により物理療法を行うことは、それ自体問題点を含む。
【0003】
米国特許第6,487,906号は、選択された身体動作を自己監視するバイオフィードバックシステムのための一連の低力で、高い順応性のある、長く伸張する、ピエゾフィルムベースのセンサを記載する。局所化された圧力異常を分散させるため、及びリアルタイム身体動作監視にとって役立つ、コヒーレントな信号電圧を発生させるため、柔軟で、大面積のピエゾフィルムセンサが、順応的であるが、より柔軟性の少ない、より大面積の骨格構造に取り付けられる。例えばねじれ、ストレッチ及び曲げといった身体動作を測定するのに適切な領域において、このセンサは、体に近接するセンサの適切な設置を可能にする身体機器と組み合わせて使用される。センサは、検出される動作の量を示す階段状アナウンスの限られたシーケンスを生成する、小さな、自己包含型の信号処理及びフィードバックモジュールに入力信号を提供する。可聴音、カラー発光、又は意図された動作と直接干渉しない周辺的フィードバックを提供することを目的とする他の手段の形で、即時的なフィードバックがユーザに提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、米国特許第6,487,906号により教示される技術は、麻痺性又は影響を受けた肢の受動運動があるとき、肢を動かしている人が、その肢がどの方向に動かされるべきかについて指導されない点で不十分である。更に、有益な範囲の運動を超えるとき、例えば、拘縮に対して動かすとき、その肢を動かしている未経験者が警告されるものでもない。
【0005】
肢運動についてフィードバックを提供すると同時に、ある人の麻痺性又は他の影響を受けた肢をどのように動かす又は運動させるべきかについて別の人に指示する肢運動監視システムが、未だに望まれていることになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記必要性の1つ又は複数を好適に解決するため、肢運動監視システムが、
−モーションセンサと、
−空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維及び空間的分解能力のある感圧性の繊維を有する衣服と、
−上記モーションセンサ及び上記空間的分解能力のある感圧性の繊維からデータを受信し、及び上記空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維に照明命令を出す処理ユニットと、
−上記処理ユニットと通信するデータベースとを有し、
−上記データベースが、個別の空間記述子及び時間に分解される上記モーションセンサからのデータを格納し、
−上記データベースが、少なくともx及びy座標並びに圧力のカテゴリに分解される感圧性の繊維からのデータを格納し、
−上記データベースが、個別の空間記述子及び時間に分解される比較運動データを更に有し、
−上記処理ユニットが、上記データベースにおける上記比較運動データを上記モーションセンサからの運動データと比較し、及び
−上記処理ユニットが、上記比較運動データからの上記運動データの偏差及びプリセットされた閾値からの上記圧力データの偏差に基づき、上記空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維に照明命令を出す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明によるシステムの要素の、その要素間での対話を示すブロックダイヤグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明が詳述される前に、本発明は、記載されるデバイス又は記載される方法の処理ステップの特定の要素部分に限定されるものではない点を理解されたい。なぜなら、斯かるデバイス及び方法を、変形できるからである。本願明細書において使用される用語が、特定の実施形態を記載するためだけにあり、及び限定を目的とするものでない点も理解されたい。明細書及び添付される請求項において使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明示的に指定される場合を除き、単数参照及び/又は複数参照を含むものであることも留意されたい。
【0009】
本発明によるシステムにおいて、個々の空間記述子は、例えばセンサの空間位置又は肢の方向を記載するのに適切な任意のパラメータとすることができる。例えば、斯かる個々の空間記述子は、デカルト座標系(x、y、z)、オイラー角又は四元数とすることができる。
【0010】
本発明によるシステムにおけるモーションセンサは、慣性センサでもよい。慣性センサの種類は、例えば、加速度計、ジャイロ及び磁力計を有する。加速度計は地球重力場を感知できる一方、ジャイロは回転率を感知できる。
【0011】
例えば、加速度センサは、x軸、y軸及びz軸に沿う加速を検出できる。加速度センサが、例えば3つの実質的に垂直な平面における角加速度といった角加速度を検出することも可能である。モーションセンサが、例えば、3次元加速度計、2つの二次元ジャイロ及び3つの一次元の磁力計を組み合わせた複合センサであることも可能である。
【0012】
単一又は複数のセンサは、本発明による肢運動監視システムを用いて、例えば腕、脚及び/又は胴といった人の体上のさまざまな位置に配置されることができる。センサは、障害性の肢の運動と同様に動かなくされた肢の運動を記録できる。
【0013】
本発明において使用される衣服は、麻痺性又は他の障害性の肢に対して患者により着られるようにデザインされる。例えば、腕が影響を受けるとき、衣服は長袖のシャツとすることができる。脚が影響を受けるときに、衣服はパンツに似たものとすることができる。
【0014】
フォトニック繊維は、照明システムを有する繊維又は布として規定されることができる。照明システムは、例えば、発光ダイオード(LED)又は有機発光ダイオード(OLED)とすることができる。繊維の規定された領域が照射されることができるよう、空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維は、個々にアドレス指定可能なピクセルを有する。これは、LED又はOLEDの柔軟なアレイにより実現されることができる。
【0015】
空間分解能力のある感圧性の繊維が、個々の圧力センサのアレイを有する繊維として理解されることができる。例えば、斯かる衣服により覆われる肢上に人がグリップを置くとき、センサは、衣服の表面に加えられる圧力の大きさに関する情報を与える。感圧性の衣服は個々のセンサのアレイを有するので、グリップの場所及び強さに関する情報が得られることが可能である。
【0016】
衣服が、空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維及び空間的に分解能力のある感圧性の繊維の個別の層を有することもできる。しかしながら、これらの機能的に異なる繊維が1つの繊維に結合されることも可能でもある。
【0017】
処理ユニットは、複数の同時センサ信号を処理する信号フィルタを有することができる。その処理ユニットは、中央演算処理装置としてマイクロプロセッサを組み込むことができる。処理ユニットは、個々のピクセルに対してスイッチオン又はスイッチオフを命じることを意味する照明命令をフォトニック繊維に発信する。例えば、フォトニック繊維のピクセルに供給される電圧を制御することにより、処理ユニットが、照明強度を決定することもできる。
【0018】
データベースは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどのようなコンピュータメモリシステムである。データベースは、既に格納された比較データを持ち、本発明によるシステムの各種センサにより処理ユニットを介して追加的な記録データが供給される。
【0019】
上記モーションセンサからのデータを個々の空間記述子及び時間座標に変換する(resolve)する作業が、処理ユニットにより実行される。個々の空間記述子は、センサの位置を表す。その後処理されたデータが、データベースに格納される。同様に、感圧性の繊維からのデータが、x及びyの空間座標並びに圧力に変換される。x及びy座標は、特定の圧力が印加される繊維の領域を表す。
【0020】
データベースは、個々の空間記述子及び時間に変換される比較運動データを更に有する。上記データは、指定された時間内でのセンサの運動を表す。従って、適切なセンサが付けられる肢の動作の方向及び速度が、モデル化される。
【0021】
処理ユニットは、モーションセンサからの運動データをデータベースにおける比較運動データと比較する作業を更に実行する。運動データが上記比較運動データから所定の値以上に偏差するとき、処理ユニットは、空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維に照明命令を出す。運動データは時間に対する肢の運動を表すので、肢があまりに速く若しくはあまりに遅く移動するとき、又は肢が有益でないとみなされる方向又は範囲に移動されるとき、比較運動データからの偏差が発生する場合がある。照明命令は、肢が異なる速度で又は異なる方向に移動されるべきであることをフォトニック繊維に伝達させることができる。これは、矢印、ピクトグラム等を表示することで実行されることができる。また、圧力データに基づいて、処理ユニットは、移動される肢へのグリップがあまりに強いと決定すること、及びユーザに警告するため照明命令を出すことができる。あまりに強いグリップに対する1つの理由は、肢運動が筋肉又は関節の拘縮に対して強制されることによる。肢の移動の間、この拘縮を過度に圧迫することは回避されるべきである。
【0022】
比較運動データの複数の個別のセットが、データベースに格納されることもできる。これらの個別のセットは、肢の移動に対する、個別の運動を表す。個別のセットは、自由に選択されることができる。
【0023】
従って、本発明による肢運動監視システムを用いると、ある人の麻痺性又は他の影響を受けた肢を動かす又は運動させつつ、同時に別の人がその肢における肢の動きに関するフィードバックを直接受けることが可能になる。このシステムは、特に運動を実行している人間が未経験者である場合に適している。
【0024】
本発明の有利な実施形態では、システムが筋活動センサを更に有し、処理ユニットが、その筋活動センサからのデータも受信し、データベースが、筋活動センサからのデータも格納し、及び処理ユニットが、プリセットされた閾値からの筋活動データの偏差に基づき空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維に照明命令を出す。
【0025】
筋活動センサは、筋肉の状態、特に筋肉が疲労するかどうかを決定する目的で機能する。筋活動センサは、電気筋運動記録(EMG)センサとすることができる。筋活動センサからのデータの基づき、処理ユニットは、移動される肢上の筋肉が疲労しているか、及び運動が断念されるべきであるかを決定できる。肢の移動が完全に受動的ではないときに、これは重要である。完全に受動的でないとは、影響を受けた肢を有する人が、自分自身により肢を動かそうとすることを意味する。疲労する筋肉による運動の継続は、逆効果である。更に、筋活動センサは、患者がなお自分自身の筋力を用いて運動をサポートしているかどうか示すことができる。移動が完全に受動的なものであることを目的とする場合、これは重要である可能性がある。
【0026】
データベースからのデータにアクセスするためのユーザーインターフェースをシステムが更に有することも、本発明の範囲内である。ユーザーインターフェースは、表示端末及びキーボードの形とすることができる。このユーザーインターフェースを用いると、医学専門家といったユーザが、影響を受けた肢の運動記録にアクセスすることができ、及びそれに従って運動プログラムを設計できる。こうして、全体の治療法は、より効率的になるだろう。
【0027】
本発明の追加的な実施形態においては、システムは、運動及び/又は圧力データを通信する外部フィードバックシステムを更に有する。このフィードバックシステムは、表示スクリーンの形とすることができる。障害性の肢を持つ人の体に付けられるセンサからのデータを用いて、人の肢の運動が、リアルタイムに表示されることができる。更に、運動プログラムがフィードバックユニットに表示されることができる。更に、感圧性の繊維により示される肢に課される圧力が、伝達されることができる。筋活動センサが存在する場合、フィードバックシステムは筋活動センサにより測定される筋肉の状態を伝達することもできる。これらの伝達は、スクリーンに表示される画像を邪魔しないよう、スクリーン上の光学警告又は音響の警告の形式を取ることができる。これは、肢が実行するべき運動の速度及び方向を人が見ることを可能にし、同時に肢が実際に正しく移動されることを確実にするよう、その人が肢を制御することを可能にする。
【0028】
本発明の追加的な実施形態において、システムの空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維は、赤、緑の及び青色の照明ユニットを有する。例えば、照明ユニットは、赤、青及び緑のLED又はOLEDとすることができる。情報のより大きな範囲が搬送されることができるという点で、フォトニック繊維におけるカラーの使用は有益である。例えば、フォトニック繊維は、移動されることになる肢上で人が自らのグリップを置く領域を1つの色で表し、その肢の移動方向を異なる色の矢印で表すことができる。更に、繊維は、それぞれの領域のカラーを例えば赤といった警戒色に変えることにより、肢上のその人のグリップがあまりに強いことを示すことができる。
【0029】
本発明の追加的な実施形態において、システムの空間分解能力のある感圧性の繊維は圧抵抗布を有する。斯かる布の使用は、非常に柔軟で軽量な感圧性の布を可能にする。圧抵抗布は、例えば炭素ロードされたゴム及び市販の電気伝導糸で被覆されるポリウレタン織物といったポリマー布を用いることにより実現されることができる。代替的に、これらの布は、例えばポリピロールといった導電ポリマーで被覆されることができる。これらの布は、ひずみゲージセンサとしてふるまい、外部の機械的刺激に応答して圧抵抗特性を示す。これらの布は、機械洗濯可能である利点も持ち、従って、製品の衛生が改善される。
【0030】
本発明の追加的な実施形態において、少なくとも1つのモーションセンサからの信号、感圧性の繊維からの信号、及び/又は空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維からの命令が、無線で通信される。無線通信は、例えば、ブルートゥース、赤外線、WLAN(無線LAN)のような様々な商業的に利用可能な無線通信技術を介して行われることができる。プロプライエタリなプロトコルを使用することも可能である。ケーブルに対する必要性を除去することにより、安全性だけでなく患者に対する使用の便利さが増加される。なぜなら、患者はもはやこれらのケーブルにつまずく可能性がないからである。
【0031】
本発明の追加的な実施形態において、システムは、空間的分解能力のある感圧性の繊維を有する手袋を更に有する。この手袋は、圧力データを処理ユニットに送信する。この手袋は、影響を受けた肢を動かしている人の手に着用されることを目的とする。斯かる手袋を用いることにより、グリップ強度に関する情報が、より正確に得られることが可能である。こうして、影響を受けた肢を持つ人に対するより快適な移動がもたらされる。感圧性の繊維は、指の先端に配置されることができる。更に又は代わりに、感圧性繊維は、関節の屈曲を決定するために、ナックル継手を介して配置されることができる。
【0032】
本発明の追加的な実施形態において、そのシステムは、皮膚汗センサ、パルスセンサ、血圧センサ及び/又は血中酸素レベルセンサを有するグループから選択されるセンサを更に有し、そのセンサは更に、処理ユニットに対する入力を提供する。これらのセンサは更に、患者の状態に関する情報を提供できる。患者の状態は特に、人のストレス状態に関するものとすることができる。例えば、皮膚汗センサは、皮膚表面の導電率に関する。この導電率は、ストレス及び疲労によりもたらされる汗のレベルに基づき変化する。パルスセンサ、血圧センサ及び/又は血中酸素レベルセンサは、例えば、指の先端につけられることが可能であるか、又はクリップで耳たぶに付けられることが可能である1つのセンサーシステムに一体化されることができる。一体化されたセンサは、患者の循環系に関連したデータを提供するのに役立つ。人のストレス状態を監視することにより、運動ユニットは、人を過負荷にする前に、手遅れにならずに終了されることができる。
【0033】
本発明の追加的な実施形態は、本発明に基づくシステムにより肢運動を監視する方法に関し、この方法は、
a)少なくとも1つのモーションセンサを所定の位置に持ってくることにより上記少なくとも1つのモーションセンサを較正し、この位置において、少なくとも1つのモーションセンサからの出力信号を登録するステップと、
b)モーションセンサ及び圧力センサ出力信号を集めるステップと、
c)上記個別の少なくとも1つのモーションセンサの位置及び運動に上記モーションセンサ出力信号を割り当てるステップと、
d)上記位置、運動及び圧力信号をデータベースに格納するステップと、
e)所定のタイムフレーム内で格納された上記位置、運動及び圧力信号を、上記データベースにおける所定の位置及び運動データと比較するステップと、
f)位置、運動及び/又は圧力に関する所定の境界条件が越えられるかどうかを決定し、これを通信するステップとを有する。
【0034】
本発明による肢運動監視システムが使用されるとき、移動される肢を持つ人は最初に、それぞれの肢に対してフォトニック繊維及び感圧性の繊維を有する衣服を着る。モーションセンサが衣服に組み込まれない場合、モーションセンサは、移動される肢を持つ人に付けられる。モーションセンサは、肢に直接付けられることができ、更に人の体の他の部分に付けられることが可能である。肢に付けられるセンサは、肢の関節の上下に配置されることができる。1つ又は複数の筋活動センサが存在する場合にも同じことがあてはまる。筋活動センサは、移動される肢の筋肉に配置される。ステップa)にて説明したような信号の較正は、肢運動の検出のために良好なセットの開始位置を生成するのに役立つ。
【0035】
医学専門家又は第1の人のパートナーである素人といった第2の人が第1の人の肢上に手を配置すべき場所をその繊維が照らすという効果を出すため、処理ユニットはフォトニック繊維に照明命令を出す。第2の人の手の位置及びそのグリップ強度は、空間的分解能力のある感圧性の繊維を介して、処理ユニットに発信される。
【0036】
上記方法のステップb)において、モーションセンサ及び圧力センサ出力信号が集められる。これは、処理ユニットにより行われる。これと連動して、ステップc)において、信号が、空間座標並びに時間及び圧力にそれぞれ変換される。ステップd)は、分解された信号をデータベースに格納することを記載する。ステップe)は、データベースにおける所定のデータセットとそのデータセットとの比較を記載する。この所定のデータセットは、特定の速度でのそれぞれの肢の運動を表す。従って、所定のデータセットは、運動プログラムとして表示されることができる。このステップにおいて、収集された信号の所定の信号からの偏差が算出される。言い換えると、運動プログラムに基づき、肢の運動が特定の許容度の範囲内であるかどうかが算出される。
【0037】
(ステップf)にて)肢位置、運動及び/又はグリップ圧の所定の境界条件が越えられるかどうかが決定されると、その後、これは伝達される。この伝達は、フォトニック繊維に表示されるメッセージを介して行われることができる。例えば、肢運動の正しい方向を示す矢印が表示されることができるか、又はフォトニック繊維が、例えば赤といった警戒色を使用することができる。
【0038】
本発明の追加的な実施形態において、上記方法は、移動される肢に対する運動を更に通信するフィードバックシステムを更に有する。フィードバックシステムは、ディスプレイの形とすることができる。するとそのディスプレイは、肢の所望の運動、及び同時に肢の現在位置を備える画像又は画像シーケンスを示すことになる。これによって、所望の運動が、よりはっきりと理解されるようになる。
【0039】
図1は、本発明によるシステムの要素のブロックダイヤグラムである。これは、システム要素間での対話を示す。処理ユニット(CPU、参照符号5)は、モーションセンサ1から、感圧性の繊維における圧力センサ3から、及び筋活動センサ4からのセンサ入力を具備する。データを処理し、そのデータを空間、時間及び圧力座標へと分解した後、そのデータは、データベース6に書き込まれる。処理ユニット5は、このデータを比較データと比較する。比較データは、移動される肢に対する運動を表すことができる。実際のデータの比較データからの偏差が所定の閾値を超える場合、空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維2の照明を介して、又はそれに加えて表示ユニット8上のメッセージを介して警告が与えられる。更に、表示ユニット8は、実際の位置及びそれがあるべき位置を表示することにより、移動される肢の位置に関するフィードバックを与えることができる。フォトニック繊維2は、移動される肢を動かしている人が手を置くべき場所を示すため、処理ユニット5により更に処理されることもできる。肢の移動の進展を点検するため、医学専門家は、ユーザーインターフェース7を介して、データベース6からのデータにアクセスすることができる。更に、ユーザーインターフェース7を用いて、新しい運動プログラムがデータベース6に入力されることができる。
【0040】
明細書を過度に長くすることなく包括的な開示を提供するため、出願人は、上記で示された特許及び特許出願の各々を参照によりここに組み込む。
【0041】
上記の詳細な実施形態における特定の要素及び特徴の組合せは、例示的であるに過ぎない。本出願における、参照により含まれる特許/出願における他の教示を、これらの教示と交換すること及び代入することも、明白に想定される。当業者であれば理解されるであろうが、請求項に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変形、修正及び本願明細書に記載される以外の他の実現を第三者が思いつくことができるであろう。従って、前述の説明は、例示に過ぎないものであり、及び制限するものとして意図されるものではない。本発明の範囲は、以下の請求項及びその均等物において、規定される。更に、明細書及び請求項において、使用される参照符号は、請求項に記載される本発明の範囲を制限するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肢運動監視システムであって、
−モーションセンサと、
−空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維と空間的分解能力のある感圧性の繊維とを有する衣服と、
−前記モーションセンサ及び前記空間的分解能力のある感圧性の繊維からデータを受信し、前記空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維に照明命令を出す処理ユニットと、
−前記処理ユニットと通信するデータベースとを有し、
−前記データベースが、個別の空間記述子及び時間に分解される前記モーションセンサからのデータを格納し、
−前記データベースが、少なくともx及びy座標並びに圧力のカテゴリへと分解される前記感圧性の繊維からのデータを格納し、
−前記データベースが、個別の空間記述子及び時間へと分解される比較運動データをさらに有し、
−前記処理ユニットが、前記モーションセンサからの前記運動データを前記データベースにおける前記比較運動データと比較し、
−前記処理ユニットが、前記比較運動データからの前記運動データの偏差及び所定の閾値からの前記圧力データの偏差に基づき、前記空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維に照明命令を出す、肢運動監視システム。
【請求項2】
筋活動センサを更に有し、前記処理ユニットが、前記筋活動センサからデータを受信し、前記データベースが、前記筋活動センサからのデータも格納し、及び、前記処理ユニットが、プリセットされた閾値からの前記筋活動データの偏差に基づき、前記空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維に照明命令を出す、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データベースからのデータにアクセスするためのユーザーインターフェースを更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
運動及び/又は圧力データを通信する外部のフィードバックシステムを更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記空間的分解能力のある感圧性の繊維が、圧抵抗布を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのモーションセンサからの信号、前記感圧性の繊維からの信号、及び/又は前記空間的にアドレス指定可能なフォトニック繊維への前記命令が、無線で通信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
空間的分解能力のある感圧性の繊維を有する手袋を更に有し、前記手袋が、前記処理ユニットに圧力データを通信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
皮膚汗センサ、パルスセンサ、血圧センサ及び/又は血中酸素レベルセンサを有するグループから選択されるセンサを更に有し、前記センサが、前記処理ユニットへの入力を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにより肢運動を監視する方法において、
a)少なくとも1つのモーションセンサを所定の位置に持ってくること、及び該位置において、前記少なくとも1つのモーションセンサから出力信号を登録することにより、前記少なくとも1つのモーションセンサを較正するステップと、
b)モーションセンサ及び圧力センサ出力信号を集めるステップと、
c)前記個別の少なくとも1つのモーションセンサの位置及び運動に前記モーションセンサ出力信号を割り当てるステップと、
d)前記位置、運動及び圧力信号をデータベースに格納するステップと、
e)所定のタイムフレーム内に格納された前記位置、運動及び圧力信号を前記データベースにおける所定の位置及び運動データと比較するステップと、
f)位置、運動及び/又は圧力に関する所定の境界条件が越えられるかどうかを決定し、決定結果を通信するステップとを有する、方法。
【請求項10】
移動される肢に対する運動を追加的に通信するフィードバックシステムを更に有する、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−507398(P2010−507398A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531953(P2009−531953)
【出願日】平成19年10月8日(2007.10.8)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054080
【国際公開番号】WO2008/044187
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】