説明

肥料散布機の飛散防止装置

【課題】畦の近傍に沿ってトラクターを走行させながら肥料を散布する場合、畦側への肥料の飛散を防止して肥料を有効に散布するようにした肥料散布機の飛散防止装置を提供するものである。
【解決手段】肥料散布機の飛散防止装置は、支持フレーム5に取付けた肥料ホッパー6の下部に散布部7を設けて、トラクター2に牽引されて走行する肥料散布機1において、前記支持フレーム5に取付ブラケット2を接続し、ここに進行方向に対して直交して水平支持アーム13を取付け、この端部に垂直支持スタンド16を立設して、ここにシート取付フレーム19を上下に回動自在に支持して、このシート取付フレーム19にシート29を取付けて、散布部7から散布される肥料10の横方向への飛散をシート29で防止するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散布する肥料の横方向への飛散防止機構を改良した肥料散布機の飛散防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、水田や畑に肥料を散布する場合、トラクターに肥料散布機を取付け、トラクターを走行させながら、肥料を全体に散布している。従来の肥料散布機は、ホッパーの底部に筒状の散布部を設けて、ここから散布するようになっている。肥料を均一に散布するため、入力軸に連係したフライホイールを水平に設置して、垂直方向のカムピンと散布部側のアームピンを連結棒によって連動させて散布部を揺動させながら散布する構造が提案されている(特許文献1)。
【0003】
このように、水田や畑に肥料を広い範囲にわたって均一に散布する構造は種々提案されているが、畦の近傍に沿ってトラクターを走行させながら肥料を散布すると、畦にも肥料が散布されるので肥料が無駄になるばかりか、畦の草の生長を促進してしまう問題があった。
【特許文献1】特開平9−275734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題を改善し、畦の近傍に沿ってトラクターを走行させながら肥料を散布する場合、畦側への肥料の飛散を防止して肥料を有効に散布するようにした肥料散布機の飛散防止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の肥料散布機の飛散防止装置は、支持フレームに取付けた肥料ホッパーの下部に散布部を設けて、トラクターに牽引されて走行する肥料散布機において、前記支持フレームに取付ブラケットを接続し、ここに進行方向に対して直交して水平支持アームを取付け、この端部に垂直支持スタンドを立設して、ここにシート取付フレームを上下に回動自在に支持して、このシート取付フレームにシートを取付けて、散布部から散布される肥料の横方向への飛散をシートで防止するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2記載の肥料散布機の飛散防止装置は、請求項1において、シート取付フレームを平面L形に形成し、ここにシートを平面L形に取付けたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項3記載の肥料散布機の飛散防止装置は、請求項1において、シート取付フレームを上下に回動自在に支持する垂直支持スタンドに、回動範囲を規制するストッパーを取付けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る請求項1記載の肥料散布機の飛散防止装置によれば、肥料散布機を駆動させながら水田や畑の畦に沿ってトラクターを走行させながら後方に向かって肥料を散布させると、シートにより側面がカバーされているので、ここで遮蔽され畦に散布されるのを防止することができる。
【0009】
また請求項2記載の肥料散布機の飛散防止装置によれば、シート取付フレームを平面L形に形成し、ここにシートを平面L形に掛けて側面と背面を囲ってカバーしたので、ここで遮蔽されて畦に散布されるのを防止することができる。
【0010】
また請求項3記載の肥料散布機の飛散防止装置によれば、シート取付フレームを上下に回動自在に支持する垂直支持スタンドに、回動範囲を規制するストッパーを取付けたので、使用しない時はシートを外してシート取付フレームを立てた状態で保持することはでき、散布の邪魔にならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施の一形態を図1ないし図4を参照して詳細に説明する。図にお1は肥料散布機で、図2に示すようにトラクター2の後部に取付けられている。3は飛散防止装置で肥料散布機1の後部に取付けられている。前記肥料散布機1は、支持フレーム5に上部を開口した肥料ホッパー6が支持され、この下部に散布部7が設けられている。この散布部7は回転噴射部8と噴出筒9とで構成され、肥料ホッパー6内の肥料10が回転噴射部8で回転させられて噴出筒9から後方に散布するようになっている。
【0012】
飛散防止装置3は肥料散布機1の支持フレーム5に取付けられている。支持フレーム5の後部には角筒で形成された取付ブラケット12がトラクター2の進行方向に対して直交して水平に接続されている。この取付ブラケット12を左右に貫通して水平支持アーム13が取付けられ、ボルト14で所定の位置に固定されている。
【0013】
水平支持アーム13の一端には角筒で形成された垂直ブラケット15が、水平支持アーム13と直交して垂直に接合されている。この垂直ブラケット15の内側には角筒で形成された垂直支持スタンド16が上下方向に貫通して挿着され、所定の高さになるようにボルト14で固定されている。この垂直支持スタンド16の上部側面にはストッパープレート18が接合され、ここに2個のボルト状のストッパー20が突設されている。
【0014】
垂直支持スタンド16にはシート取付フレーム19が上下に回動自在に支持されている。このシート取付フレーム19は、回動アーム22と縦シートフレーム23および横シートフレーム24とで構成されている。回動アーム22はその基端側に回転軸25が横方向に突設され、これが図3に示すように前記ストッパープレート18と垂直支持スタンド16を貫通して、ここに回動自在に支持されている。更に図1に示すようにシート取付フレーム19は、ストッパープレート18に突設したストッパー20、20により上下方向の回動範囲が規制されている。
【0015】
また回動アーム22の上には、パイプで枠状に形成された縦シートフレーム23がボス26で回動自在に支持され、また回動アーム22の中間にはストッパー板27が水平に接続され、縦シートフレーム23を支持している。更に縦シートフレーム23の後部には、ボス26が接合され、ここを貫通してパイプで形成された横シートフレーム24が取付けられて、全体として平面L形に形成されている。
【0016】
上記構成の肥料散布機の飛散防止装置は、トラクター2に取付けた肥料散布機1に接続して、シート取付フレーム19にシート29を掛ける。シート29は、垂直支持スタンド16の枠状の縦シートフレーム23の上部からトラクター2の進行方向に沿って外側側面を囲むように取付け、また横シートフレーム24にはトラクター2の進行方向に沿って直交するように取付けて、上面と左側面および背面をカバーする。
【0017】
この状態で、肥料散布機1の肥料ホッパー6に肥料10を入れて、肥料散布機1を駆動させながら水田や畑の畦に沿って右回転しながらトラクター2を走行する。肥料散布機1の噴出筒9から後方に向かって肥料10が散布されるが、この畦側にはシート取付フレーム19に取付けたシート29により上面と左側面および背面を囲ってカバーされているので、ここで遮蔽され畦に散布されるのを防止することができる。
【0018】
このようにして、畦に沿って1周し終ったら、図1に仮想線で示すようにシート29を外してシート取付フレーム19を上方に回動させてストッパープレート18のストッパー20で立てた状態に保持する。この後は、通常と同じように畦から離れた内側を走行して肥料10を散布する。つまり畦に散布されないので肥料が無駄にならず、畦から離れた位置では、後方に向かって均一に散布される。
【0019】
図4は、水田を左回りに散布する場合で、図1の状態で垂直ブラケット15からボルト14を外して、垂直支持スタンド16とシート取付フレーム19を上方に引き抜く。次に垂直ブラケット15と一体に接合されている水平支持アーム13を取付ブラケット12から横方向に引き抜いた後、反対側から差し込んでボルト14で固定する。次にシート取付フレーム19と一体になっている垂直支持スタンド16を垂直ブラケット15に上方から挿着してボルト14で固定する。
【0020】
次に回動アーム22の上のボス26に支持されている縦シートフレーム23を矢印方向に回動させて、ストッパー板27で水平に支持させる。また縦シートフレーム23の後部にボス26で支持した横シートフレーム24を内側に移動させて固定する。この後、シート29をかけて、上面と右側面および背面を囲ってカバーする。この状態で、畦に沿って左回転しながら散布していく。
【0021】
なお上記説明では、シート取付フレーム19を回動アーム22と縦シートフレーム23、横シートフレーム24で形成した場合について示したが、シート29を取付けられれば他の組合せ構成でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の一形態による肥料散布機の飛散防止装置を示す斜視図である。
【図2】図1の飛散防止装置を示す側面図である。
【図3】図1の飛散防止装置を示す背面図である。
【図4】取付け方向を変えた肥料散布機の飛散防止装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 肥料散布機
2 トラクター
3 飛散防止装置
5 支持フレーム
6 肥料ホッパー
7 散布部
8 回転噴射部
9 噴出筒
10 肥料
12 取付ブラケット
13 水平支持アーム
14 ボルト
15 垂直ブラケット
16 垂直支持スタンド
18 ストッパープレート
19 シート取付フレーム
20 ストッパー
22 回動アーム
23 縦シートフレーム
24 横シートフレーム
25 回転軸
26 ボス
27 ストッパー板
29 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームに取付けた肥料ホッパーの下部に散布部を設けて、トラクターに牽引されて走行する肥料散布機において、前記支持フレームに取付ブラケットを接続し、ここに進行方向に対して直交して水平支持アームを取付け、この端部に垂直支持スタンドを立設して、ここにシート取付フレームを上下に回動自在に支持して、このシート取付フレームにシートを取付けて、散布部から散布される肥料の横方向への飛散をシートで防止するようにしたことを特徴とする肥料散布機の飛散防止装置。
【請求項2】
シート取付フレームを平面L形に形成し、ここにシートを平面L形に取付けたことを特徴とする請求項1記載の肥料散布機の飛散防止装置。
【請求項3】
シート取付フレームを上下に回動自在に支持する垂直支持スタンドに、回動範囲を規制するストッパーを取付けたことを特徴とする請求項1記載の肥料散布機の飛散防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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