説明

肩掛け式の三線

【課題】快適に装着でき、三線への負担も小さく、演奏者の腕や手の動きの制約も小さくて済むような肩掛け式三線を提供することである。
【解決手段】本発明は、胴(21)の一部に接続要素(22)が設けられた三線本体(20)と、前記接続要素(22)に接続される肩掛け具(30)と、備えた肩掛け式三線(10)である。肩掛け具(30)は、横方向から見てU字状のフック部(31)と、U字状のフック部の一方側の脚にのみ接続された剛性担保部(32)と、剛性担保部(32)に接続された柔軟性担保部(33)と、柔軟性担保部(33)に設けられ、三線本体(20)の接続要素(22)に対して接続可能な接続部(34)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩掛け式の三線に関する。
【背景技術】
【0002】
三線は、沖縄文化(琉球文化)を代表する弦楽器として広く知られており、棹(ソー:長細い棒状の部位)と胴(チーガ:太鼓状の部位)とからなる本体に、三本の弦が張設されていて、胴(チーガ)と三本の弦との間に駒(ウマ)が差し込まれた状態で、山羊や水牛の角等からなる爪・撥(チミ・バチ)を用いて弦がつま弾かれることで、演奏される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常の演奏の際には、三線の棹(ソー)の部分が利き手でない方の手(通常は左手)で把持されて、利き手の方(通常は右手)で爪・撥(チミ・バチ)を用いて弦がつま弾かれる。
【0004】
ここで、コンサートにおいて三線を演奏するような場合において、利き手でない方の手をフリーにしておきたい、という要望がある。
【0005】
従来より、図2に示すような鞄用の肩掛け具が知られている。この肩掛け具は、全体が柔軟なベルト状の形態で、鞄を2点で支持するものである。この肩掛け具を応用することで、図3に示すような肩掛け式三線が考案される。
【0006】
しかしながら、図3のような肩掛け式三線は、ベルト状の肩掛け具が背中周りを辿るため、装着感に煩わしさがあり、評判が悪かった。また、三線を2点で支持するという原理上、2つの支持部位において、演奏者の腕や手の動きに制約が生じてしまうという問題がある。更に、1つの支持部位は胴(チーガ)でよいが、バランス上、もう1つの支持部位は棹(ソー)とする必要があり、棹(ソー)に負担がかかって破損する懸念があるという問題もある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、快適に装着でき、三線への負担も小さく、演奏者の腕や手の動きの制約も小さくて済むような肩掛け式三線を提供することである。また、三線用から独立して、弦楽器等を肩掛け式にすることに好適な肩掛け具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、胴の一部に接続要素が設けられた三線本体と、前記接続要素に接続される肩掛け具と、備え、前記肩掛け具は、横方向から見てU字状のフック部と、U字状のフック部の一方側の脚にのみ接続された剛性担保部と、剛性担保部に接続された柔軟性担保部と、柔軟性担保部に設けられ、三線本体の接続要素に対して接続可能な接続部と、を有することを特徴とする肩掛け式三線である。
【0009】
本発明の肩掛け式三線によれば、肩掛け具が背中周りを辿らないため、装着感が快適である。また、三線を胴のみで支持するという原理上、三線への負担も小さく、演奏者の腕や手の動きへの制約も小さい。更に、剛性担保部によって肩掛け具の剛性が担保されている(変形が抑制されている)ことにより、肩掛け状態が安定で、立って演奏する場合でも座って演奏する場合でも三線を同じ位置に調整することができる。
【0010】
好ましくは、フック部と剛性担保部とは、一体に構成されている。この場合、肩掛け状態が更に安定である。例えば、フック部と剛性担保部とは、硬質の樹脂等から構成され、柔軟性担保部は、柔軟なベルト等から構成される。
【0011】
また、好ましくは、フック部と剛性担保部とは、平ぺったい断面形状を有している。この場合、肩掛け状態が更に安定であり、装着感が更に快適である。
【0012】
以上の構成は、肩掛け式三線のために開発されたものであるが、ウクレレやマンドリンのような他の弦楽器に対しても有効である。
【0013】
すなわち、本発明は、横方向から見てU字状のフック部と、U字状のフック部の一方側の脚にのみ接続された剛性担保部と、剛性担保部に接続された柔軟性担保部と、柔軟性担保部に設けられた接続部と、を有することを特徴とする肩掛け具である。
【0014】
本発明の肩掛け具によれば、肩掛け具が背中周りを辿らないため、装着感が快適である。また、肩掛け対象物を1点のみで支持するという原理上、肩掛け対象物への負担も小さく、肩掛け者の腕や手の動きへの制約も小さい。更に、剛性担保部によって肩掛け具の剛性が担保されている(変形が抑制されている)ことにより、肩掛け状態が安定である。
【0015】
好ましくは、フック部と剛性担保部とは、一体に構成されている。この場合、肩掛け状態が更に安定である。例えば、フック部と剛性担保部とは、硬質の樹脂等から構成され、柔軟性担保部は、柔軟なベルト等から構成される。
【0016】
また、好ましくは、フック部と剛性担保部とは、平ぺったい断面形状を有している。この場合、肩掛け状態が更に安定であり、装着感が更に快適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の肩掛け式三線によれば、肩掛け具が背中周りを辿らないため、装着感が快適である。また、三線を胴のみで支持するという原理上、三線への負担も小さく、演奏者の腕や手の動きへの制約も小さい。更に、剛性担保部によって肩掛け具の剛性が担保されていることにより、肩掛け状態が安定で、立って演奏する場合でも座って演奏する場合でも三線を同じ位置に調整することができる。
【0018】
本発明の肩掛け具によれば、肩掛け具が背中周りを辿らないため、装着感が快適である。また、肩掛け対象物を1点のみで支持するという原理上、肩掛け対象物への負担も小さく、肩掛け者の腕や手の動きへの制約も小さい。更に、剛性担保部によって肩掛け具の変形が抑制されていることにより、肩掛け状態が安定である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態の肩掛け式三線の斜視図である。
【図2】従来の鞄用の肩掛け具を示す概略図である。
【図3】本発明に至る過程で考案された肩掛け式三線を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る肩掛け式三線の一実施の形態を、添付図面に基づいて詳述する。図1は、本発明の一実施の形態の肩掛け式三線の斜視図である。
【0021】
図1の実施の形態の肩掛け式三線10は、胴21の一部に接続リング22が設けられた三線本体20と、接続リング22に接続された肩掛け具30と、備えている。
【0022】
本実施の形態の肩掛け具30は、横方向から見てU字状のフック部31と、U字状のフック部31の一方側の脚にのみ接続された剛性担保部32と、剛性担保部32に接続された柔軟性担保部33と、柔軟性担保部33に設けられ、三線本体20の接続リング22に対して接続可能な金具34と、を有している。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態のフック部31と剛性担保部32とは、一体に連続的に構成されており、平ぺったいベルト状の断面形状を有している。また、本実施の形態のフック部31と剛性担保部32とは、容易には変形しない硬質の樹脂材料から構成されている。
【0024】
一方、柔軟性担保部33は、ある程度容易に変形するベルト状の繊維材から構成されてりる。
【0025】
接続リング22と金具34との組み合わせは、種々の公知のものが適宜に選択されて採用され得る。
【0026】
次に、本実施の形態の作用について説明する。図1に示すように、本実施の形態の肩掛け式三線10によれば、肩掛け具30が背中周りを辿らない。このため、装着感が極めて快適である。
【0027】
また、三線本体20を胴のみで支持するという原理上、三線本体20への負担も小さく、演奏者の腕や手の動きへの制約も小さい。更に、剛性担保部32によって肩掛け具30の剛性が担保されている(変形が抑制されている)ことにより、肩掛け状態が安定で、立って演奏する場合でも座って演奏する場合でも三線本体20を同じ位置に調整することができる。
【0028】
また、本実施の形態では、フック部31と剛性担保部32とが一体的に構成されているため、肩掛け状態がより一層安定である。また、フック部31と剛性担保部32とが平ぺったい断面形状を有しているため、肩掛け状態が更により一層安定であり、装着感も更に快適である。
【0029】
以上の実施の形態の説明は、肩掛け式三線についてなされている。しかしながら、肩掛け具30の構成は、三線の代わりに、ウクレレやマンドリンのような他の弦楽器に対しても有効である。
【符号の説明】
【0030】
10 肩掛け式三線
20 三線本体
21 胴
22 接続リング(接続要素)
30 肩掛け具
31 U字状のフック部
32 剛性担保部
33 柔軟性担保部
34 金具(接続要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴の一部に接続要素が設けられた三線本体と、
前記接続要素に接続される肩掛け具と、
備え、
前記肩掛け具は、
横方向から見てU字状のフック部と、
U字状のフック部の一方側の脚にのみ接続された剛性担保部と、
剛性担保部に接続された柔軟性担保部と、
柔軟性担保部に設けられ、三線本体の接続要素に対して接続可能な接続部と、
を有することを特徴とする肩掛け式三線。
【請求項2】
フック部と剛性担保部とは、一体に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の肩掛け式三線。
【請求項3】
フック部と剛性担保部とは、平ぺったい断面形状を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の肩掛け式三線。
【請求項4】
横方向から見てU字状のフック部と、
U字状のフック部の一方側の脚にのみ接続された剛性担保部と、
剛性担保部に接続された柔軟性担保部と、
柔軟性担保部に設けられた接続部と、
を有することを特徴とする肩掛け具。
【請求項5】
フック部と剛性担保部とは、一体に構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の肩掛け具。
【請求項6】
フック部と剛性担保部とは、平ぺったい断面形状を有している
ことを特徴とする請求項4または5に記載の肩掛け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−83777(P2013−83777A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223262(P2011−223262)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(397043259)株式会社アミューズ (3)
【Fターム(参考)】