説明

育苗箱

【課題】 本発明は、充分な保水性のある水たまり部を多数形成するとともに、その水たまり部を形成するためのリブによって薄肉厚に形成した育苗箱の強度を保てるようにした薄肉厚で形成した保水性のある育苗箱を提供することにある。
【解決手段】 底板2とその周囲の側板3a,3b,3c,3dとを備えた箱の前記底板2に上方に凸形状に突出する突出部を多数設け、該突出部に水抜き孔5を設けた苗を育苗する育苗箱において、前記底板2及び側板3a,3b,3c,3dを形成する板厚を薄肉厚に形成し、前記突出部を、下部に細幅空間6を形成されるように、薄肉底板2を上方に凸形状に突出させて成形したリブ4として形成し、該リブ4で囲まれた又はリブ4と側板3a,3b,3c,3dで囲まれた底板2の上面部分を水たまり部7としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機に使用するマット苗を育苗する育苗箱で、底板とその周囲に側板を備えた箱の前記底板に上方に凸形状に突出する突出部を設け、該突出部に水抜き孔を設けた育苗箱に関する。
【背景技術】
【0002】
育苗箱の底壁の下面を平坦に形成し、底壁の上面から上方に連設状態に突出させて形成した囲い壁により水たまり部を多数個配設し、この水たまり部の間の突出部に水抜き孔を穿設したものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−276584号公報(第3頁の段落0024、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の育苗箱は射出成形により製造されており、底板や側板の厚みは4mm程度で、水たまり部形成箇所は7〜8mm程度の厚みがある。この育苗箱は底板の反りや変形がなく、底板の構造的強度が強く丈夫で、土地の狭い日本で多く使用されていた。
上記の育苗箱では材料の使用量が多く、海外の広大な土地で使用する場合は育苗箱の使用量が桁違いに多くなり、空の育苗箱を扱うにも数多く必要となり、総重量も相当重いものとなっていた。
【0005】
上記従来構造のものでは、リブが中実であるので、それが重量増大につながるだけでなく、水抜き孔は中実のリブに穿設された状態となっているので、水抜き穴の開口位置が地面より上方位置に位置している分、苗の根が成長し難いが、根が一旦ついて集中的に生えると、育苗箱を移動するときに根張っているために持ち上げに相当な力がいるという不都合がある。
【0006】
本発明の目的は、薄肉厚の育苗箱で少ない材料使用で、床土を備えたマット苗を育苗でき、しかも充分な保水性のある水たまり部を形成するとともに、その水たまり部を形成するためのリブによって薄い育苗箱の強度を保てるようにした育苗箱を提供することにある。
本発明の第2の目的は、水抜き孔からの根が地面に集中的に生え難いようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔構成〕
本件第1発明の特徴(請求項1の構成)は、底板とその周囲の側板とを備えた箱の前記底板に上方に凸形状に突出する突出部を多数設け、該突出部に水抜き孔を設けた苗を育苗する育苗箱において、前記底板及び側板を形成する板厚を薄肉厚に形成し、前記突出部を、下部に細幅空間を形成されるように、薄肉底板を上方に凸形状に突出させて成形したリブとして形成し、該リブで囲まれた又はリブと側板で囲まれた底板の上面部分を水たまり部とした点にある。
【0008】
〔作用〕
本件第1発明の特徴によると、育苗箱の底板及び側板を形成する板厚を薄肉厚に形成し、薄肉の底板の下部に細幅空間が形成されるように、上方に凸形状に突出させて成形したリブ(突出部)を多数形成し、このリブに水抜き孔を設け、リブで囲まれた又はリブと側板で囲まれた底板の上面部分を水たまり部としたことによって、軽量にしながら水抜き孔よりも低い位置にある水たまり部に水が残るので育苗箱の保水性がよくなる。
【0009】
本件第1発明の水抜き孔は下方に細幅空間を有するリブに形成してあるので、例え根が水抜き孔から外にでることがあっても細長い空間内で宙に浮くようになるので、根付けが生じ難く、仮に一部に根が付いた状態となっても一部だけとなる場合が多いので根を地面に強く張ることはない。
【0010】
上記育苗箱内で育苗された苗を運ぶときは、育苗箱の下に手や腕を添えて育苗箱が壊れないように持ち運ぶか、またはすくい板を用いて、育苗箱の側壁を少し持ち上げ、その下にすくい板を入れて、育苗箱を軽く持ち上げながらすくい板上に引上げる。このようにして育苗箱をすくい板に載せた状態ですくい板を持ち上げて育苗箱を運ぶ。
【0011】
〔発明の効果〕
本件第1発明によれば、育苗箱の薄肉底板を、上方に凸形状にしてその下部に細溝空間を形成するように屈曲させた形にしたもので、リブの下方が中実構造ではないので、材料の使用量を最大限に少なくした軽量のものでありながら、水たまり部による保水性がよい。
又、リブの下の長い空間によって強く根が張ることがないから、田植えに適した育苗状態に育った苗の育苗箱を移動させる場合にもマット苗の重量を大きく超えるような力を必要としないから、薄板で形成された育苗箱が不足に変形したり破損することがない。
【0012】
〔構成〕
本件第2発明の特徴(請求項2の構成)は請求項1に係る発明において、水たまり部を形成する底板部分の裏面を接地面に形成した点にある。
【0013】
〔作用〕
本件第2発明の特徴によると、床土で苗を育苗する底板部分の広い底面を形成する水たまり部の裏面を接地面となるようにしてあるので、育苗箱を形成する板厚が従来よりも薄いプラスチック製のものであっても、保水用の水、床土、苗、肥料等の重量が掛かっても育苗箱を地面に並べて育苗している段階で、底板に大きな曲げ荷重は加わらない。
【0014】
〔発明の効果〕
本件第2発明によれば、育苗箱を地面に並べて育苗している段階で、底板に大きな曲げ荷重が加わらないから、育苗箱を形成する板厚を薄いプラスチック材料で形成しても育苗箱がマット苗の重量等で変形したり破損したりすることがない。
【0015】
〔構成〕
本件第3発明の特徴(請求項3の構成)は請求項1または2に係る発明において、水たまり部は多数の平行なリブとこれと交差する多数の平行なリブとによって囲まれた矩形状に形成されている点にある。
【0016】
〔作用〕
本件第3発明の特徴によると、底板に多数の平行なリブとこれと交差する多数の平行なリブ3を設けてあるので、底板を薄板のプラスチック材で形成しても育苗箱としての箱の保形性を維持することができ、少ない材料で多数の育苗箱を製造できる。
又、多数の平行するリブを縦横に交差して井桁状に囲まれた水たまり部が多数形成され、それらの各水たまり部に保水されるので、育苗箱を並べておく地面が多少傾斜地であっても水が一箇所に集まって排水されてしまうというような不都合がない。
【0017】
〔発明の効果〕
本件第3発明によれば、少ない材料で育苗に必要な箱の保形性を維持することができ、又、少ない材料で多数の育苗箱を製造できる利点がある。これにより育苗箱を安価に製造できるようになった。
又、一つの育苗箱に井桁状に囲まれた多数の水たまり部が形成されるので、傾斜地で育苗しても水が育苗箱の傾斜した低い箇所に集まって排水されることがないから、マット苗に育苗に必要な保水量を育苗箱全体に確保することができ、良好に育苗を行なえる利点がる。
【0018】
〔構成〕
本件第4発明の特徴(請求項4の構成)は請求項1または2に係る発明において、水たまり部は多数の円形のリブによって囲まれており、該円形リブは方眼状に多数配設されている点にある。
【0019】
〔作用〕
本件第4発明の特徴によると、第3発明と同様、育苗箱の保形性並びに水の保水性がよいという作用を奏し得るとともに、水たまり部が円形であるので、育苗箱を並べておく地面全体が一定角度の傾斜地である場合には、各水たまり部で保水する水量が、育苗箱の並べる方向に拘わらず一定になりやすく、育苗箱全体の苗の育成が均一になる。
【0020】
〔発明の効果〕
本件第4発明によれば、特に、傾斜している地面に育苗箱を並べてもその並べる方向に拘わらず、保水量が一定になりやすいので、育苗箱全体の苗の育成が均一になり、良好な育苗を行なうことができる利点がある。
【0021】
〔構成〕
本件第5発明の特徴(請求項5の構成)は請求項1または2に係る発明において、水たまり部は円が引伸ばされた大小長円形状のリブを多重に形成し、当該長円形状に隣接するリブ間に形成されている点にある。
【0022】
〔作用〕
田植機の苗載せ台の各条のマット苗の苗幅は通常30cmであることから、育苗箱は幅30cm、長さ60cmの大きさである。育苗箱の板厚を薄くすると、強度上の問題が顕著になり、縦横の底板の長さに対応して底板の中央部が長円形状に応力が大になり、又、側壁との接続部付近も縦横の中間部付近に応力集中が生じやすい。
【0023】
本件第5発明の特徴によると、育苗箱の長手方向に引伸ばされた大小長円形状のリブを多重に形成してあるので、長手方向に対する曲げに強いとともに、各リブが各曲率半径でループ状につながっているので、育苗箱底板の中央部で生じる応力を分散させることができる。
【0024】
〔発明の効果〕
本件第5発明によれば、育苗箱の長手方向に対する曲げ強度が大きく、しかも各リブが各曲率半径でループ状につながっているので、育苗箱底板の中央部で生じる応力を分散することができ、育苗箱の保形のために必要な強度も箱の広い範囲に亘って得ることができ、これによって、薄い均一な厚さの材料で育苗箱を製造することができるようになった。
【0025】
〔構成〕
本件第6発明の特徴(請求項6の構成)は請求項5に係る発明において、側板を形成する辺の中央部近傍の底板部分に、リブを長円形状のリブ間隔よりも狭い間隔で複数設けた点にある。
【0026】
〔作用〕
本件第6発明の特徴によると、側板を形成する辺の中央部近傍の底板部分に、リブを底板中央部の長円形状のリブ間隔よりも狭い間隔で複数設けたことにより、側板に近い側板長の中央部付近の底板部分に生じる応力を効果的に分散させることができる。
【0027】
〔発明の効果〕
本件第6発明によれば、側板を形成する辺の中央部近傍の底板部分に、リブを底板中央部の長円形状のリブ間隔よりも狭い間隔で複数設けたことで、板厚を部分的に厚くすることなく、均一な厚さの板厚で、側板に近い側板長の中央部付近の底板部分に生じる応力を効果的に分散させることができる利点がある。
【0028】
〔構成〕
本件第7発明の特徴(請求項7の構成)は請求項6に係る発明において、リブの始端と終端を同一の側板に形成した点にある。
【0029】
〔作用〕
本件第7発明の特徴によると、側板付近に備えた底板部分に形成するリブの始端部と終端部を同一の側板につなげてあるので、側板に加わる応力を底板のリブで分担させることができるとともに、側板付近の底板部分に形成したリブに加わる応力の一部を側板に分担させることができ、側板と側板付近の底板部分に形成したリブとの協働で応力を分散させることができる。
【0030】
〔発明の効果〕
本件第7発明では、側板と側板付近の底板部分に形成したリブとの協働で応力を分散させることができるので、側板を及び底板の両者の板厚を均一な厚さの板厚でもって、側板並びに側板に近い側板長の中央部付近の底板部分に生じる応力を効果的に分散させることができる利点がある。
【0031】
〔構成〕
本件第8発明の特徴(請求項8の構成)は請求項1乃至7のいずれかに係る発明において、底板に連なる側板の外側に上端から下方に向かう折り返しリブを設けた点にある。
【0032】
〔作用〕
本件第8発明の特徴によると、底板に連なる側板の外側に上端から下方に向かう折り返しリブを設けたことによって、側板の強度を一層高めることができる。
【0033】
〔発明の効果〕
本件第8発明では、側板の外側に上端から下方に向かう折り返しリブを設けて側板の強度を一層高めることによって、育苗箱を薄い板厚で形成しても育苗箱全体の保形性をより一層高めることがきる。
【0034】
〔構成〕
本件第9発明の特徴(請求項9の構成)は請求項11に係る発明において、側板と前記折り返しリブとで形成される側壁の上部を内側に下る傾斜状に形成した点にある。
【0035】
〔作用〕
本件第9発明の特徴によると、側板と前記折り返しリブとで形成される側壁の上部を内側に下る傾斜状に形成したので、育苗箱の内部に籾や土を落下させることができる。
【0036】
〔発明の効果〕
本件第9発明では、側壁の上部を内側に下る傾斜より育苗箱の内部に籾や土を落下させることができるので、育苗箱の側壁上に籾や土が残ることがなく、それを取り除くといった作業が不要となり、育苗箱による取り扱いの作業性が向上する。
【0037】
〔構成〕
本件第10発明の特徴(請求項10の構成)は請求項1乃至請求項9のいずれかに係る発明において、育苗箱の材質がポリエチレンテレフタート、ナイロン6またはポリプロピレンのうちから選択されたプラスチップ材料とした点にある。
【0038】
〔作用〕
ポリエチレンテレフタート、ナイロン6またはポリプロピレンのシートに熱を加えて軟化させ、金型を用いて真空成形により育苗箱の形を形成し、冷却後、プレスで水抜き孔を形成するとともに不要な部分を切除する。
【0039】
〔発明の効果〕
特に、ポリエチレンテレフタートを使用した場合は、安価で製造も行ないやすい。
【0040】
〔構成〕
本件第11発明の特徴(請求項11の構成)は請求項10に係る発明において、育苗箱を形成する底板及び側板が0.2〜2.0mmの範囲の厚さに形成した点にある。
【0041】
〔作用〕
底板及び側板の厚さを0.2mm未満にすると、加工性、特に底板と側板の角部の加工性が悪くなり、強度不足が生じやすい。厚さは2.0mmまで可能であるが、特に0.3mm〜0.8mmが好適であり、0.4mmが最も好ましい。
【0042】
〔発明の効果〕
この程度の厚さにすれば、丁寧に扱えば、育苗箱を破損させない厚さでしかも1個当たりの重量を軽くすることができるから、軽量で安価に製造できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2、図3及び図4に示すように、育苗箱1は、底板2とその周囲の側板3a,3b,3c,3dからなる側壁3とを備え、底板2には上方に凸形状に突出してリブ4を形成する突出部を多数設け、リブ4の頂部に水抜き孔5を設けている。リブ4は平面視で側板3a‥と45度で交差し、平行なリブ4,4同士が互いに直交する状態で多数配設されている。前記底板2及び側板3a‥を形成する板厚は0.4mmの薄肉厚に形成してある。リブ4の下部は細幅空間6が形成されており、薄肉の底板2を上方に凸形状に突出させて成形されている。該リブ4で囲まれた又はリブ4と側板3a‥で囲まれた底板2の上面部分に矩形(実施の形態では平面正方形)状の水たまり部7を形成してある。水たまり部7の底板2の裏面は、箱全体に亘って面一で、地面に設置する接地面となっている。
【0044】
上記リブ4は底板2の面に対して直角に立ち上がっている。このリブ4を上側ほど幅が少し狭くなるテーパー状にして重ね合わせられるようにすることもでき、このようにすると多数重ね合わせても嵩を低くすることができる。
【0045】
側板3a‥は、底板2と連なり、上端付近で内側ほど低い傾斜面を備え、上端から外側下方に向かう折り返しリブ8が形成されている。この折り返しリブ8は内側の側板高さの中間部で更に外側に向けて水平な鍔9が延設されている。この鍔9は空の育苗箱1を積み重ねて運ぶときの掴み部となる。各側板3a‥及びこれに連なる外側の折り返しリブ8により側壁3を構成している。側壁3の上端は内側ほど円弧状に下がっていても、直線状に下がっていてもよい。このように傾斜させていると籾や土が育苗箱内に落下させやすい。
折り返しリブ8には水平断面で内側に突出する補助リブ10が形成されている。この補助リブ10は側板3a‥と折り返しリブ8とに亘って形成してもよい。このようにすれば、側板3a‥の強度も向上する。補助リブ10は水平に長く側板3a‥または折り返しリブ8の一方または双方に上下に多数設けてもよい。
【0046】
この実施の形態では、育苗箱1の材質としてポリエチレンテレフタート(PET)を使用している。このPETはペットボトルにも広く利用されていて安価である。育苗箱1を形成する材質としては、ポリエチレンテレフタート(PET)、ポリプロピレン(PP)やナイロン6(N6)のうちから選択されたプラスチップ材料であれば好ましいが、他のプラスチック材料でも可能である。
【0047】
底板2及び側板3a‥の厚さは0.2〜2.0mm、好ましくは0.2〜0.8mm、より好ましくは0.3〜0.8mmがよい。0.2mm未満にすると、加工性、特に底板2と側板3a‥の角部の加工性が悪くなり、強度不足が生じやすい。厚さは0.8mmあるいは2.0mmを超える厚さでも当然可能であるが、例えば、従来のように4mmとすると実施の形態の0.4mmの厚さに比べてその厚さが十倍にもなり、樹脂量が極めて多くなる不都合がある。
【0048】
〔実施例〕
育苗箱1は真空成形により製造する。
図5は、真空成形のフローチャートである。厚さ0.4mmのポリエチレンテレフタートのロール11のシート12をシート繰り出し部13から引き出され、引き出されたシート12を加熱部14で加熱し、過熱されたシート12を金型を備えた成形装置15で真空成形により連続的に成形される。成形された半製品の育苗箱を冷却装置16で冷却した後、切断装置17で分離し、プレス機18で成形された箱の不要な部分を除去するとともに水抜き孔5をあけ、製品として搬出される。
【0049】
〔別実施の態様〕
〔1〕 第2の実施例
図6は、図2のB−B矢視の部分縦断面図を示す第2実施例で、育苗箱1のリブ4を形成するための底板2の立ち上がり部18及び側壁3a‥の立ち上がり部19を丸く形成したものである。
【0050】
〔2〕 第3の実施例
図7に示す育苗箱1は多数の円形のリブ4を方眼状に多数配設したもので、円形リブ4に囲まれた凹所が水たまり部7として形成されている。
【0051】
〔3〕 第4の実施例
図8に示す育苗箱1は円を長手方向に引伸ばしたような競技トラック状の大小長円形状のリブ4を多重に形成したもので、長円形状に隣接するリブ4,4間に水たまり部7が形成されている。側板3a,3b,3c,3dを形成する各辺の長さの中央部近傍の底板部分にリブ4を長円形状のリブ間隔よりも狭い間隔で複数設けてある。そして、このリブ4の始端と終端を同一の側板3a,3b,3c,3dにつながるように形成してある。
【0052】
〔4〕 第5〜第9の実施例
図9はリブ4を菱形に形成した第5実施例、図10はリブ4を長方形に形成した第6実施例、図11、図12及び図13はリブ4を二等辺三角形に形成した第7乃至第9の実施例を示す。これらの実施例のリブ4は三角形や四角形等の多角形を独立して多数形成しており、各リブ4で囲まれた箇所で水たまり部7を形成している。この他、六角形、八角形など種々の多角形とすることもできる。
【0053】
〔5〕 第10〜第17の実施例
図14及び図15はリブ4を波形に形成した第10実施例と第11実施例を示す。図16及び図17はリブ4をジグザグ形に形成した第12実施例と第13実施例を示す。これらの実施例のリブ4はそれぞれ独立して形成されている。
図のようにリブ4が側板3a‥に接続されていない場合は、個別の水たまり部を形成しないが、地面が傾斜している場合は、波列を上下方向となるように置くと、波形やジグザグ形の谷部が水たまり部として機能する。
図ではリブ4の端部は側壁3a‥から離れているが、側壁3a‥に連結されていてもよい。この実施例(第10〜第13の実施例の変形例としての第14〜第17の実施例)の場合は、水たまり部7は対向する側板間に多数形成された隣接する波形のリブ4またはジグザグ形のリブ4で囲まれた部分に形成されることになる。
【0054】
〔6〕 第18、第19の実施例
図18及び図19はリブ4をV形に形成した第18実施例と第19実施例を示す。リブ4をV形にすることによって剛性が向上する。
図18はリブ4を同方向に縦横に多数配設してある。図19ではV形リブ4の向きを列によって逆にしてある。
【0055】
〔7〕 第20の実施例
図20は底板2全体を波形に形成した育苗箱1の断面形状を示す。波形の底板2の頂部に水抜き孔5を形成してあり、底板2の底部から立ち上がっている突出部がリブ4として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】育苗箱の全体平面図
【図2】図1のA−A部分を示す部分拡大平面図
【図3】図2のB−B矢視を示す部分縦断面図
【図4】図1のC−C矢視を示す縦断面図
【図5】育苗箱の真空成形を示すフローチャート図
【図6】第2実施例の図2のB−B矢視及びC−C矢視を示す部分縦断面図
【図7】第3実施例を示す円形リブを備えた育苗箱の平面図
【図8】第4実施例を示す多重長円形リブを備えた育苗箱の平面図
【図9】第5実施例を示す菱形リブを備えた育苗箱の平面図
【図10】第6実施例を示す長方形リブを備えた育苗箱の平面図
【図11】第7実施例を示し、二等辺三角形リブを同方向に備えた育苗箱の平面図
【図12】第8実施例を示し、二等辺三角形リブの向きをリブ毎に交互に変えた育苗箱の平面図
【図13】第9実施例を示し、二等辺三角形リブの向きを列毎に交互に変えた育苗箱の平面図
【図14】第10実施例を示す波形リブを備えた育苗箱の平面図
【図15】第11実施例を示す波形リブを備えた育苗箱の平面図
【図16】第12実施例を示すジグザグ形リブを備えた育苗箱の平面図
【図17】第13実施例を示すジグザグ形リブを備えた育苗箱の平面図
【図18】第18実施例を示すV形リブを備えた育苗箱の平面図
【図19】第19実施例を示すV形リブを備えた育苗箱の平面図
【図20】第20実施例を示し、育苗箱の底板を波形に形成した育苗箱の断面図
【符号の説明】
【0057】
1 育苗箱
2 底板
3 側壁
3a,3b,3c,3d 側板
4 リブ
5 水抜き孔
6 細幅空間
7 水たまり部
8 折り返しリブ
10 補助リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板とその周囲の側板とを備えた箱の前記底板に上方に凸形状に突出する突出部を多数設け、該突出部に水抜き孔を設けた苗を育苗する育苗箱において、前記底板及び側板を形成する板厚を薄肉厚に形成し、前記突出部を、下部に細幅空間を形成されるように、薄肉底板を上方に凸形状に突出させて成形したリブとして形成し、該リブで囲まれた又はリブと側板で囲まれた底板の上面部分を水たまり部としてあることを特徴とする育苗箱。
【請求項2】
水たまり部を形成する底板部分の裏面を接地面に形成してある請求項1記載の育苗箱。
【請求項3】
前記水たまり部は多数の平行なリブとこれと交差する多数の平行なリブとによって囲まれた矩形状に形成されている請求項1または2記載の育苗箱。
【請求項4】
前記水たまり部は多数の円形のリブによって囲まれており、該円形リブは方眼状に多数配設されたものである請求項1または2記載の育苗箱。
【請求項5】
前記水たまり部は円が引伸ばされた大小長円形状のリブを多重に形成し、当該長円形状に隣接するリブ間に形成されている請求項1または2記載の育苗箱。
【請求項6】
側板を形成する辺の中央部近傍の底板部分に、リブを底板中央部の長円形状のリブ間隔よりも狭い間隔で複数設けてある請求項5記載の育苗箱。
【請求項7】
リブの始端と終端を同一の側板に形成してある請求項6記載の育苗箱。
【請求項8】
底板に連なる側板の外側に上端から下方に向かう折り返しリブを設けてある請求項1乃至7のいずれか1項に記載の育苗箱。
【請求項9】
前記側板と前記折り返しリブとで形成される側壁の上部を内側に下る傾斜状に形成してある請求項8に記載の育苗箱。
【請求項10】
育苗箱の材質は、ポリエチレンテレフタート、ナイロン6またはポリプロピレンのうちから選択されたプラスチップ材料である請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の育苗箱。
【請求項11】
育苗箱を形成する底板及び側板が0.2〜2.0mmの範囲の厚さに形成してある請求項10記載の育苗箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−61041(P2007−61041A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253546(P2005−253546)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】