肺炎レンサ球菌表面タンパク質PSPAおよびPSPCの非−コイル保護領域
本明細書に記載する形態は、アルファヘリックス構造を欠くストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)表面タンパク質Aおよび表面タンパク質Cの免疫原性部分を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦財政支援
本発明は、一部、NIH/NIAID契約番号ROl AI21543の下で連邦政府による資金供給を受けた。
【0002】
本明細書に記載する態様は、分子免疫学、細菌学およびワクチン開発に関連する。より詳細には、種々の態様は、アルファヘリックス構造を欠いたストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)表面タンパク質Aおよび表面タンパク質Cの抗原性および免疫原性部分に関する。
【背景技術】
【0003】
ストレプトコッカス・ニューモニエはよく知られたヒト病原菌であり、主として若年の子供および高齢の成人の中で、肺炎、髄膜炎、中耳炎ならびに敗血症の主な病因因子である。被膜多糖(PS)に対する抗体は、同一の被膜血清型を発現している肺炎レンサ球菌に対して保護を提供し得る。最近の利用可能な肺炎レンサ球菌ワクチンは、複数の血清型の被膜PSの混合物を含んでいる。例えば、1の肺炎レンサ球菌ワクチンは、23の通常見出される血清型からの被膜PSを含んでいる。最も近年に開発されたタイプのワクチンは、タンパク質分子にコンジュゲートした11ないし13の血清型からの被膜PSを含んでいる。7価のコンジュゲートワクチンが合衆国において臨床的用途のために2000人に導入され、子供および成人における侵襲性の肺炎レンサ球菌疾患の発病率を低下した。
【0004】
肺炎レンサ球菌感染から子供および高齢者を保護するための別のアプローチでは、保護免疫応答を誘起し得るタンパク質抗原を用いる。かかるタンパク質はそれ自体でワクチンとして作用し得、首尾よい多糖−タンパク質コンジュゲートと結合して使用することができ、または、多糖成分の担体として作用することができる。肺炎レンサ球菌表面タンパク質A(PspA)は、肺炎レンサ球菌ワクチンの潜在能力を有する免疫原性タンパク質として同定された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンパク質ベースの肺炎レンサ球菌ワクチンの潜在能力としてのPspAに関する研究の大部分は、コイル化したコイルタンパク質コンフォメーションを有すると予想される領域であるPspAタンパク質のアルファヘリックス領域内に存在する交差保護エピトープに焦点を当てている。しかしながら、このアルファヘリックス領域は、ヒトの心臓および骨格筋のタンパク質と交差反応する抗体を誘起する潜在能力を有するかもしれないことが示唆されている。一方、成人が、幼少の間に自然に誘起された、リウマチ心疾患または自己免疫症候群に何ら関連しないPspA抗体を有する場合がある。それにもかかわらず、自己反応性の応答の危険性を最小限にする免疫原性である肺炎レンサ球菌表面ポリペプチドに対する要望が存在しつづけている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本明細書に記載する態様は、免疫応答を誘起することができるPspAおよびPspCポリペプチドの非アルファヘリックス領域を提供する。いくつかの形態において、これらのポリペプチドは、ワクチンの成分として用いた場合、肺炎レンサ球菌疾患に対する保護免疫を提供する。
【0007】
他の形態において、ポリペプチドは、アミノ酸配列:
【0008】
【化1】
【0009】
およびいずれか前記したものの抗原性または免疫原性ホモログ、部分、フラグメント、変異型または誘導体を有する。
【0010】
本発明のもう1の態様は、PspAおよびPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を含むワクチンを提供する。他の態様において、ワクチンは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4に示すアミノ酸配列を有する1またはそれを超えるペプチド、ならびにその抗原性もしくは免疫原性ホモログ、部分、フラグメント、変異型または誘導体を含むことができる。
【0011】
もう1の形態は、PspAおよびPspCポリペプチドの免疫原性非−アルファヘリックス領域をコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、およびこれらの核酸またはベクターを含む宿主細胞を提供する。もう1の形態は、PspAおよびPspCポリペプチドの免疫原性非−アルファヘリックス領域を産生する宿主細胞を提供する。
【0012】
さらなる態様は、PspAまたはPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を構成する免疫原性ポリペプチドを発現する宿主細胞から該ポリペプチドを調製する工程を含む該免疫原性ポリペプチドの製造方法を提供する。
【0013】
もう1の態様は、PspAまたはPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を構成する少なくとも1の免疫原性ポリペプチドの有効量を投与することを含む患者を免疫化する方法を提供する。
【0014】
(図面の簡単な説明)
図1は、すべての知られている科およびクレードのPspA(および幾つかの例においてPspC)に共通する領域のマップを示す。それは、また、組換えPspポリペプチドMB001、PAC003、PAC001およびNPBも示す。
図2A−Eは組換えPspAポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図3A−Dは組換えタンパク質免疫原の態様のPspA−特異的部分を示す。
図4は本明細書に例示するマウス敗血症攻撃の結果のグラフ表示である。
図5A−Cは、PspA−特異的免疫原性ポリペプチドのChou−Fasman構造確率プロットを示す。
図6は、免疫原性PspA/PspCポリペプチドの実施例態様のアライメントを示す。
図7は、PspAのプロリンに富む領域で免疫化し、3型被膜3JYP2670株で攻撃した後のデータを示す。
図8は、mAb KL67がPspA/PspCポリペプチドのプロリンに富む領域の非−プロリンブロックに特異的であることを示す染色ゲルおよび対応するウエスタンブロットを示す。
図9は、肺炎レンサ球菌の幾つかの菌株に対するmAb KL67の蛍光活性化セルソーティング(FACS)結合からのデータを示す。
図10は、WU2野生型およびPspAおよびHieまたは被膜を欠く突然変異株に対するmAb KL67のFACS結合からのデータを示す。
図11は、TIGR4野生型株および被膜、PspA、PspCまたはPspAおよびPspCの両方を欠く突然変異株に対するmAb KL67のFACS結合からのデータを示す。
図12A−Bは、多様なpspAおよびpspC遺伝子中の非−proブロックの配列における類似性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明が、本明細書に記載する特定の方法、プロトコールおよび試薬ほかに限定されるものでないことは理解され、それ自体変化し得る。本明細書で用いる用語は特定の形態を記載する目的のみのためであって、特許請求の範囲によって唯一定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0016】
本明細書および特許請求の範囲で用いる単数形の用語は、文章が明らかに示していない限り、複数の指示を含む。したがって、例えば、ポリペプチドに対する指示は、当業者に知られているその等価物を含む、1またはそれを超えるかかるポリペプチドに対する指示である。作動する例以外においてまたは別段指摘しない限り、本明細書において用いる成分の量または反応条件を表すすべての数字は、「約」なる用語によってすべての例において修飾されていると理解すべきである。「約」なる用語は、パーセンテージと結合して用いる場合、±1%を意味し得る。
【0017】
同定したすべての特許および他の刊行物は、例えばかかる刊行物に記載された方法を本発明と結合して使用することができることを説明または開示することを目的として、出典明示して本明細書の一部とみなす。これらの刊行物は、本願の出願日以前のそれらの開示について唯一提供される。これに関して、発明者は先行技術またはいずれの他の理由によってかかる開示が前に起こることの資格を何ら与えるものでないことを意図する。現在までのすべての陳述またはこれらの書類の内容についての表示は、出願人に入手可能な情報に基づき、これらの書類の日付または内容の正確さとしていずれの承認も構成するものではない。
【0018】
別段定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。いずれの知られている方法、デバイスおよび材料も抗原性または免疫原性非−アルファヘリックスPspA/PspCポリヌクレオチドの形態を実施または試験するのに用いることができるが、これに関する幾つかの方法、デバイスおよび材料を本明細書に記載する。
【0019】
ストレプトコッカス・ニューモニエはグラム陽性の、槍状形状をした球菌(わずかに尖った外側の曲線を有する細長い球菌)である。通常、それらは一対の球菌(双球菌)のように見えるが、それらは単独で短い鎖でも生息し得る。血液寒天培地で培養した場合、それらはα溶血的である。個々の細胞は0.5マイクロメートルないし1.25マイクロメートル径である。それらは胞子を形成せず、非運動性である。他の連鎖球菌と同様に、それらはカタラーゼを下記、グルコースを乳酸に発酵する。他のレンサ球菌とは異なり、それらはMタンパク質を提示せず、それらはインスリンを加水分解し、それらの細胞壁組成はそれらのペプチドグルカンおよびそれらのテイコ酸組成の両方の観点から特徴的である。
【0020】
エス・ニューモニエは、主に若年の子供および高齢の成人のなかで、よく知られたヒト病原菌であり、肺炎、髄膜炎、中耳炎ならびに敗血症の主要な病因因子である。FedsonおよびMusher,VACCINES 第2版. (PlotkinおよびMortimer編, W.B. Saunders Co., Philadelphia, PA, 1994)。多糖からなる被膜は、肺炎レンサ球菌の細胞を完全に覆っている。侵入の間、被膜は必須の病原決定因子である。被膜は、細菌細胞のC3bオプソニン作用を妨害することによってファゴサイトーシスを妨げる。抗−肺炎レンサ球菌ワクチンは、非常に流行している菌株に由来する種々の被膜(多糖)抗原の処方に基づいている。
【0021】
エス・ニューモニエは、血清学的に異なる炭水化物被膜の発現に基づいて90の血清型に分けられている。Henrichsen, 33 J. CLlN. MICROBIOL. 2759-62 (1995)。被膜多糖(PS)に対する抗体は、同一の被膜血清型を発現している肺炎レンサ球菌に対して保護を提供し得る。最近利用可能になった肺炎レンサ球菌ワクチンは、複数の血清型の被膜PSの混合物を含んでいる。例えば、1の肺炎レンサ球菌ワクチン(PSワクチンと呼ばれる)は、23の一般的に見出される血清型からの被膜PSを含んでいる。Robbinsら, 148 J. INFECT. DlS. 1136-59 (1983)。最近開発された型のワクチン(コンジュゲートワクチンと呼ばれる)は、タンパク質分子にコンジュゲートした7ないし13の血清型からの被膜PSを含んでいる。WuorimaaおよびKayhty, 56 SCAND. J. IMMUNOL. 111-29 (2002)。7価のコンジュゲートワクチンが合衆国における臨床使用のために2000年に紹介され、子供における侵襲性の肺炎レンサ球菌疾患の発病率を低下している。Whitney, 348 N. ENGL. J. MED. 1737-46 (2003)。
【0022】
肺炎レンサ球菌感染から子供も高齢者も保護する別のアプローチは、保護免疫応答を誘起し得るタンパク質抗原を用いる。かかるタンパク質はそれ自体でワクチンとして作用することができ、首尾よい多糖−タンパク質コンジュゲートと結合して用いることができ、または多糖成分のキャリアーとして作用し得る。肺炎レンサ球菌表面タンパク質A(PspA)は、肺炎レンサ球菌ワクチンの可能性を有するタンパク質として同定されている。例えば、米国特許第6,592,876号;第 6,500,613号;および第5,997,882号を参照されたい。実際、PspAタンパク質または該タンパク質の部分は、特にコレラ毒素のようなアジュバントと一緒に、粘膜または経口投与した後に保護免疫応答を誘起した。米国特許第6,042,838号および第6,232,116号を参照されたい。
【0023】
また、PspAは、それがマウスにおいて保護的なマウス、サルおよびヒト抗体を誘起し;すべての肺炎レンサ球菌によって生成され;補体沈殿を妨害し;ラクトフェリンを結合し(アポラクトフェリン殺菌を阻害する);および血清学的に変わりやすく、なお交差反応性であるため、魅力のある標的でもある。
【0024】
潜在的なタンパク質に基づく肺炎レンサ球菌ワクチンとしてのPspAを使用するアプローチは、しばしば、PspAタンパク質のアルファヘリックス領域(コイル化したコイルタンパク質コンフォメーションを有すると予想される領域)内に見出される交差保護エピトープに焦点が当てられている。しかしながら、このコンフォメーションは、骨格筋および/または心臓からの損傷したヒト筋肉タンパク質と交差反応する抗体を誘起する可能性を有するかもしれない。例えば、Cunningham, 8 FRONT. BIOSCI., 533-43 (2003); Cunningham, 40 MOL. IMMUNOL., 1 121-27 (2004); KrishnerおよびCunnimgham, 227, SCIENCE, 413-15 (1985)を参照されたい。したがって、これは、肺炎レンサ球菌ワクチン中の免疫原としてPspAを用いることに関心を生じた。しかしながら、このことは、おそらく、成人がストレプトコッカス・ニューモニエに遭遇した幼少期の過程で自然に生じたPspAに対する存在する抗体を有し得るという知見と均衡をとらなければならない。これらの本来の抗体は、リューマチ心疾患または自己反応性免疫症候群と関係がないことが示されている。
【0025】
本明細書における形態は、抗−ミオシン交差反応抗体を誘起しそうがなく、かつ、いずれかのこの型の予め存在する抗体を刺激しそうにないプロリンに富む領域またはコリン結合領域のような、PspAおよびPspCタンパク質の免疫原性非−コイル化コイル領域を提供する。本明細書において使用するPspAおよびPspCアミノ酸配列、ペプチド分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質ならびにPspAまたはPspC部分またはフラグメントは、(本発明のポリペプチドの二次または三次構造は確かに本発明の範囲にあるが)ミオシンのコイル化コイル構造をなお欠いている免疫応答を誘起することができるPspAまたはPspC遺伝子(または複数の遺伝子)によってコードされるアミノ酸配列をいうのに類義的に使用することができる。事実、本明細書の形態は、保護抗体を誘起することができる、PspCにも見出されるPspAの非−アルファヘリックス領域を提供する。アルファヘリックス領域内からのPspAおよび/またはPspCのこれらの小さな部分はコイル化コイルを形成する能力を欠いていてもよい。それらの小さなサイズでも保護を誘起する能力を保持しているからである。これらのポリペプチドは、肺炎レンサ球菌細胞から収集することができ、あるいは、当該技術分野でよく知られている組換え技術を用いて得ることができる。したがって、これらのPspA/PspC部分は、タンパク質−ベースの肺炎レンサ球菌ワクチン開発の良好な候補とし得る。
【0026】
そのために、組換えPspA/PspCポリペプチドを用いてマウスを免疫した。マウスはつづいて致死容量の生エス・ニューモニエで攻撃した。保護応答は、延長した生存時間によって判定した。これらのデータは、プロリンに富む領域のコリン結合領域ならびに非−proブロックのプロリンに富む範囲が保護を誘起し得ることを示した。これらの領域は、可能な抗−ミオシン反応に関係しているコイル化コイル構造を欠いている。
【0027】
本形態の範囲内に存在するのは、非−コイル化コイル抗原性PspAおよびPspCポリペプチドの誘導体である。「誘導体」とは、天然のポリペプチドの抗原性または免疫活性のいずれかを保持している本来のPspAおよびPspC非−アルファコイル・ポリペプチドの修飾を包含することを意図する。該語は、限定するものではないが、そのアミノ酸配列がそのタンパク質のまたはその活性部分のものと同一または実質的に同一である(すなわち、望ましいレベルの抗原性を実質的に低下しない様式において異なる)、または、置換基を欠いているまたは異なる置換基を有している(例えば、グルコシル化を欠いているまたはグリコシル化において異なる)、組換えDNAまたは他の精製技術によって作製した部分、フラグメント、またはタンパク質の複合体、ペプチド、ポリペプチド、または融合パートナータンパク質、および、タンパク質またはかかるフラグメント、オリゴマー、ポリペプチド、ならびに融合タンパク質およびキャリアータンパク質を包含することを意図する。かかるポリペプチドおよび誘導体の創製および使用は等外技術分野においてよく知られている。
【0028】
また、本発明に用いるタンパク質コード領域も、本明細書に記載するペプチドの変異型(アゴニスト)を生じる標準的な分子生物学的技術を用いて存在するPspAまたはPspC遺伝子を改変することによっても、本発明において使用するタンパク質コード領域を提供し得ることも意図される。かかる変異型には、限定するものではないが、当該技術分野でよく知られているPspA/PspCペプチドのアミノ酸配列における欠失、付加および置換が含まれる。
【0029】
例えば、置換の1つのクラスは、同類アミノ酸置換である。かかる置換は、同様の特徴の他のアミノ酸によってペプチド中の所定のアミノ酸を置換するものである。典型的には、同類置換としては、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびHeの中での1から他のものへの置換;ヒドロキシル残基SerおよびThrの相互交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGln間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、芳香族残基Phe、Tyrなどの中での置換である。どのアミノ酸変化が表現型的にサイレントでありそうなことに関する案内は、Bowieら, 247 SCIENCE 1306-10 (1990)に見出される。
【0030】
変異型またはアゴニストペプチドは、完全に機能的なものであっても、または1またはそれを超える活性で機能を欠いているものであってもよい。完全に機能的な変異型は、典型的には、同類変化または重要でない残基または重要でない領域の変化のみを含む。機能的変異型は、機能において全く変化を生じないかまたは重要でない変化を生じる同様なアミノ酸の置換も含むことができる。あるいは、かかる置換は、幾分かの程度で機能に対して正または負の影響を及ぼし得る。
【0031】
非−機能的変異型は、典型的には、1またはそれを超える非−保存性アミノ酸置換、欠失、挿入、逆位、または切頭、あるいは極めて重要な残基または領域中の置換、挿入、逆位または欠失を含む。
【0032】
機能に必須であるアミノ酸は、部位特異的突然変異導入法またはアラニン−スキャニング突然変異導入法のような当該技術分野で知られている方法によって同定することができる(Cunninghamら, 244 SCIENCE 1081-85 (1989))。後者の手法は、分子の各々の残基に単一のアラニン変異を導入する。ついで、得られた突然変異分子を、エピトープ結合性またはイン・ビトロ(in vitro)ADCC活性のような生物活性について試験する。リガンド−受容体結合に重要である部位は、結晶学、核磁気共鳴または光アフィニティーラベリング法のような構造解析によっても決定することができる(Smithら, 224 J. MOL. BIOL. 899-904 (1992); de Vos ら, 255 SCIENCE 306-12 (1992))。
【0033】
また、ポリペプチドは20種類の「天然に生じる」アミノ酸以外のアミノ酸を含む場合がある。さらに、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、当該技術分野でよく知られているプロセシングおよび他の翻訳後修飾のような天然方法、または化学修飾技術によって改変し得る。知られている修飾には、限定されるものではないが、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘモ基の共有結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質加水分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランスファー−RNA媒介付加、およびユビキチン化が含まれる。
【0034】
かかる修飾は当業者によく知られており、科学刊行物に非常に詳細に記載されている。幾つかの特に一般的な修飾、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基の水酸化およびガンマ−リボシル化ならびにADP−リボシル化は、例えば、Proteins-Structure and Molecular Properties (第2版, T. E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York 1993)のような最も基本的なテキストに記載されている。この主題については、Wold, POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, 1-12 (Johnson編, Academic Press, New York 1983); Seifterら, 182 METH. ENZYMOL. 626-46 (1990);およびRattanら, 663 ANN. N.Y. ACAD. SCI. 48-62 (1992)のような多くの詳細なレビューが入手可能である。本発明のペプチドの二次および三次構造は、当該技術分野でよく知られている多くの技術のいずれかによって決定することができ、あるいは、例えば、図5A−Cに示すようなChou-Fasman二次構造解析のようなよく知られた方法によって予想することができる。
【0035】
したがって、本発明のペプチドは、置換されたアミノ酸残基が遺伝コードによってコードされていない、置換基が以前に言及したように含まれる(peg化のような)誘導体またはアナログも含む。
【0036】
同様に、アミノ酸配列の付加および置換ならびに変異、およびたった今記載した修飾は、当該技術分野でよく知られている方法によって本発明のタンパク質に対して生起し得る抗−PspA抗体および/または抗−PspC抗体のアミノ酸配列に等しく適用可能であり、したがって本発明に包含される。
【0037】
本明細書に記載する非−アルファヘリックスPspAペプチドおよび対応するPspCペプチドは、免疫応答を生成し得る。「免疫応答」なる用語は、細胞傷害性T−細胞応答および/または抗原に特異的な抗体の血清レベルの上昇、または抗原に対する中和抗体の存在をいう。実際には、免疫応答は、ヒト肺炎レンサ球菌感染からヒト対象を保護するワクチンとして本発明の抗原が有用となるのに十分となり得る。また、本発明の抗原によって生成した抗体は抽出し、体液試料中の細菌を検出するために使用することができる。本明細書において「保護」または「保護免疫」なる用語は、感染因子、例えばヒトのエス・ニューモニエによって引き起こされる疾患に対して(部分的または全体的に)保護する、免疫化の間に誘導された血清抗体および/または細胞傷害性T−細胞応答の能力をいう。ワクチンにおける免疫原性ポリペプチドの使用は、重篤な臨床症状を防ぐことが知られている肺炎レンサ球菌に対する抗体を誘導することによって重篤な肺炎レンサ球菌感染症に対してヒトに保護免疫を提供することが予想される。
【0038】
もう1の形態において、免疫原性非−アルファヘリックスPspA/PspCペプチドはもう1のハプテンにコンジュゲートし、その結果、そのハプテンの有効なタンパク質キャリアーまたはアジュバントとして作用する。ハプテンとは、生化学、遺伝学または計算的手段によって同定した疾患特異的な抗原性決定因子をいう。ハプテンは、エス・ニューモニエまたは細菌、ウイルス、細胞内寄生体、菌類およびトランスフォーム(ガン性または前ガン性の)細胞によって引き起こされる疾患症状と関連し得る。
【0039】
本発明は、肺炎レンサ球菌−媒介疾患に対して患者に免疫応答および保護免疫を提供する方法を含む。方法には、本発明のPspA/PspC抗原を動物またはヒトに投与することが含まれる。本発明のPspA/PspC抗原は、好ましくは有効量の抗原を含む処方として投与する。種々の生理学的に許容し得るキャリアーが当該技術分野で知られており、それには、例えば、塩類溶液が含まれる。受容者対象に保護免疫を提供するための投与経路、投与量および投与頻度は、当業者に知られている。投与経路には受容者に保護免疫を付与するいずれの方法も含まれ、限定するものではないが、吸入、静脈内、筋肉内、腹膜内、皮内および皮下が含まれる。好ましくは、本発明の抗原は、皮下または筋肉内注射によってヒト対象に供する。投与の量および頻度の範囲は、受容者の保護免疫が達成される限り容認し得る。例えば、5μgないし20μgを、3ヶ月間にわたって1ないし4回筋肉内注射することによって投与し得る。
【0040】
したがって、本明細書で提供する新規な免疫原性PspA/PspCポリペプチドは、ワクチンまたは肺炎レンサ球菌ワクチンの開発において有用になり得る。例えば、当該ポリペプチドは、単独で、成分として、または多糖コンジュゲートワクチン用のタンパク質キャリアーとしてのいずれかで、ワクチンに入れることができる。例えば、米国特許第5,866,135号; 第5,773,007号;および第6,936,252号を参照されたい。
【0041】
本発明のPspA/PspCフラグメントに対して生起した抗体もここに包含される。例えば、KL67と命名したモノクローナル抗体は、PspA/PspC非−アルファヘリックス・ポリペプチドの非−proブロック部分に結合する。交差保護(異なる被膜型を示し、固有のPspA/PspCがワクチンにおけるものとは同一でない領域を示すさらなる菌株に対する保護)を誘起する抗−PspA/PspCペプチド抗体の能力は、さらなる免疫化およびさらなる攻撃菌株を用いる攻撃実験によって決定して、広い交差保護を証明する。マウスおよびウサギのような免疫化した動物からの血清を、マウスを受動的に保護する能力について試験して、該保護が主に誘起した抗体を介したものであるかを決定する。保護はさらなるマウスモデル(肺炎およびキャリッジ(carriage)モデル)でさらに特徴付けし、T−細胞が保護に関与する可能性を決定する。
【0042】
また、保護抗体を誘起し得るPspA/PspCの最小部分は、肺炎レンサ球菌感染症のマウスモデルで同定し得る。これは、存在する免疫原領域からの小さな組換え部分、フラグメントまたはポリペプチドを作製して最小有効エピトープを決定することによって行う。
【0043】
免疫化マウスからの血清は、補体沈着を向上するおよび/またはラクトフェリン死滅を向上する能力、保護的であることが見出された他の抗−PspA/PspC抗体と関連付けられている活性についても試験する。両方の活性は、1のPspA/PspCフラグメントによって誘起されることが見出し得、1を超えるフラグメント、すなわち組み合わせて使用する異なるフラグメントが必要なのかもしれない。これらの実験は、ワクチン開発における保護の相関減少として使用する必要のあるアッセイを特定することを助けることができる。
【0044】
したがって、例えば、コイル化−コイル構造を欠いている免疫原性PspA/PspCポリペプチドの特定の形態は、アミノ酸配列:
【0045】
【化2】
【0046】
を有する。
配列EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:4] は、PspA/PspCの非コイル化領域の他のプロリンに富む領域にプロリンアミノ酸残基を有さない非−pro−ブロック(NPB)ともいう。このペプチドは、KL67と命名したモノクローナル抗体との結合性によっても同定され、DLKKAVNEPEKPAEEPENPAPAPKPAPAPQPEKPAPAPAPKPEKSADQQAEEDYARR SEEEYNRLTQQQPPKAEKPAPAPVPKPEQPAPAPKTGWGQENGMW [配列番号:1]および
MAKKAELEKTPEKPAEEPENPAPAPQPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKA [配列番号:3]にも結合する。それ自体で、EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:4]は、本明細書に開示する免疫原性PspA/PspCペプチドの例示的な部分として考えることができる。また、配列
MAKKAELEKTPEKPAEEPENPAPAPQPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKA [配列番号:3]が、天然PspA/PspC配列の半−人工変異型または誘導体の例であり、天然配列ではそれに付加されたSM−Iアミノ酸配列AAKKAELEKT [配列番号:5]を有することは注記する。後記する実施例1を参照されたい。
【0047】
NPBのもう1の例示的な変異型は、アミノ酸配列
MEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 6]を有し、これは、発現ベクターにおいて発現し得る、アミノ末端にメチオニンを有する。
【0048】
特定の形態は、アミノ酸配列MEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 6]を含む免疫原性組換えペプチドも提供する。ポジション5でAがVに置換されている同類アミノ酸置換を有するこの配列の変異型は、MEKSVDQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 7]である。
【0049】
本明細書に記載する形態の前に、同様の構造を発現する多くのpspAおよびpspC遺伝子が知られている(すなわち、EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 4]を有するか有しないPAP...反復性プロリンに富むストレッチ)。これらのペプチドのいずれかの末端のアミノ酸は、プロリンに富む領域の境界に印を付けている。領域のアミノ末端はDLKKA VNE... [配列番号: 8]であり、そのカルボキシ末端は (K/G)TGW(K/G)QENGMW [配列番号: 9]である。NPBを含むペプチドは免疫原性であり、NPB(例えば、配列番号: 4)が重要なエピトープであり得ることを示唆している。アミノ酸のこの配列は、細菌の表面から抗体結合に近づき易いこともある。FACSデータを示す実施例3、図9を参照されたい。表面結合は保護に重要のようであり、将来のワクチン開発の因子である。
【0050】
PCRに基づく事実は、アフリカ、アジアおよび南アメリカからの単離体におけるpspC遺伝子の約77%、pspA遺伝子の約50%がNPB配列(例えば、EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 4]) またはこのペプチドの似たホモログであることを示している。したがって、これらのホモログは、別の形態を表す。また、NPBはワクチンが必要である大部分の細菌株の中に存在する共通エピトープを構成する。
【0051】
非−アルファヘリックスPspA/PspCペプチド、ハイブリダイゼーション・プローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、突然変異誘発し、または増幅するためのPCRプライマーの1またはそれを超えるものをコードする核酸も提供する。核酸はいずれの長さであってもよく、および/または、1またはそれを超えるさらなる配列、例えば調節配列を含むことができ、および/または、より長い核酸、例えばベクターの一部分となり得る。非−アルファヘリックスPspA/PspCペプチド、ハイブリダイゼーション・プローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、突然変異誘発し、または増幅するためのPCRプライマーまたはシークエンシング・プライマー、ポリヌクレオチドの発現を阻害するアンチセンス核酸、および前記のものの相補的配列の1またはそれを超えるものをコードする核酸も提供する。核酸はいずれの長さであってもよく、および/または1またはそれを超えるさらなる配列、例えば、調節配列を含むことができ、および/またはより長い核酸、例えばベクターの一部分となり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖とすることができ、RNAおよび/またはDNAヌクレオチドおよびその人工的変異型(例えば、ペプチド核酸)を含むことができる。
【0052】
例えば、本明細書に包含される核酸(DNA)には、以下の配列を有するPAC001ペプチド(以下の実施例を参照されたい)をコードするものが含まれる。
【0053】
【化3】
【0054】
PAC003ペプチドをコードする一例のDNAは以下の配列を有する:
【0055】
【化4】
【0056】
MB001ペプチドをコードする一例のDNAは以下の配列を有する:
【0057】
【化5】
【0058】
(MB001からの)NPBをコードする一例のDNAは以下の配列を有する:
【0059】
【化6】
【0060】
(PAC001における)NPBをコードする一例のDNAは以下の配列を有する:
【0061】
【化7】
【0062】
ここで、本発明を非限定的な実施例によってさらに記載する。
【実施例】
【0063】
実施例1.組換えPspAポリペプチド
幾つかの関連するPspAポリペプチドを生成する組換えプラスミドを生成し、精製rPspAタンパク質を提供するために使用した。生成したタンパク質を図1に示し、詳細なアミノ酸配列を図2A−Eおよび図3A−Dに提供する。簡単には、発現ベクターはマウスからのチオレドキシン遺伝子(trx)を含む。関心のあるペプチドをコードする遺伝子フラグメントは、チオレドキシンとのタンパク質融合物を生成する方法でクローン化する。図2A−Eにおいて、下線を引いていないアミノ酸はベクターに由来するものである。下線を引いたアミノ酸はクローン化部分に由来するものである。PET32AおよびPET32Bタンパク質は、「融合パートナー」という。
【0064】
クローンpPAC001の構築およびPspA/AC94AAPro-richの精製
タンパク質はPAC001(またはPspA/AC94pro)と呼ぶ。この組換えタンパク質は、AC94株からのpspA遺伝子のプロリンに富む領域を含む。これは、アミノ酸の2のプロリンに富むストレッチの中央にNPBを有するプロリンに富む領域である。NPBはアミノ酸配列DQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 15]を有する。Robinsonら, 2001.
【0065】
ベクターの構築。PspA/AC94ProをコードするpspA.AC94遺伝子の内部遺伝子フラグメント(Robinsonら, Clones of Streptococcus pneumoniae isolated from nasopharyngeal carriage and invasive disease in young children in Tennessee, 183 J. INFECT. DlS. (2001)を参照されたい)は、オリゴヌクレオチド5'GGGAGCCATGGCTGACCTTAAGAAAGCAGTTAATGAGCCA3' [配列番号: 16] (pspA27-Ncol)および5'CCGTCGACACCACATACCGTTTTCTTGTTTCCAGCC3' [配列番号: 17] (pspA22-Sall) (下線部は制限エンドヌクレアーゼ(RE)認識部位)を用いてストレプトコッカス・ニューモニエからポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。反応は、3.0mM MgCl2、125mM dNTP、50ピコモルの各プライマー、および2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼを含有する合計体積50mlのカクテル中で30サイクル行った。サイクルは、94℃、1分;55℃、1分;72℃、5分とした。この増幅した遺伝子フラグメントをNcoIおよびSalIで消化し、ついで、〜300bpのpspA遺伝子フラグメントを強力なT7プロモーターおよび翻訳シグナルを有するベクター(pET32a, Novagen, Inc.)のNcoIおよびSalI部位の間に組み入れた。DNA配列は、組換えプラスミドpPAC001がベクターpET32a中のtrx遺伝子およびHis−タグ部位の後に挿入された予想した315kbpのpspA遺伝子フラグメントを含むことを確認した。
【0066】
プラスミドpPAC001はタンパク質生成用にイー・コリ(E.coli)BL21 STAR(DE3)株に形質転換した。この菌株は、誘導性UV5プロモーターの制御下のT7プロモーターの染色体コピーを含む。IPTGを用いて誘導すると、283のアミノ酸、そのうちの105はPspAタンパク質のプロリンに富む領域に由来するもの、を含む組換えタンパク質が発現された。rPAC001は、チオレドキシン(ベクターからの)とプロリンに富む領域との間のタンパク質融合物である。完全な組換えタンパク質の配列を以下に示す(イタリックはプロリンインサートのみを示す)。組換えタンパク質の中央に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその精製を単純化した。それはエンテロキナーゼによっても切断されて、trx融合パートナーからそれが遊離することが許容される。タンパク質は、PspA−特異的部分の小さいサイズのために、免疫原性を確保するように作製した。rPET32aタンパク質(ほとんどチオレドキシン)を免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いる。
【0067】
インサートのタンパク質配列は:
【0068】
【化8】
である。
【0069】
チオレドキシン遺伝子およびHisタグ、ならびにN−末端およびC−末端のいくつかの配列はpET32aベクター由来のものである。全アミノ酸の組成が本明細書に含まれており、105のアミノ酸はイタリックで、上段は本来のPspAアミノ酸である。これらのアミノ酸の約1/4がプロリンであることは注目すべきである。NcoIおよびSalIで切断する前のPCR産物のDNA配列は以下のとおりである:
【0070】
【化9】
【0071】
これには、プライマー上に存在していたNcoI部位およびSaiI部位が含まれる(RE部位は上記配列中に下線を引いている)。PACOOIポリペプチドをコードする一例の核酸(DNA)は以下の配列を有する:
【0072】
【化10】
【0073】
PAC001ポリペプチド内のNPBをコードする一例の核酸配列は以下の配列を有する:
【0074】
【化11】
【0075】
計算分子量=30531.77
概算pI=5.56
アミノ酸組成:
非−極性 数 パーセント
A 36 12.72
V 8 2.83
L 18 6.36
I 9 3.18
P 37 13.07
M 7 2.47
F 5 1.77
W 4 1.41
【0076】
極性 数 パーセント
G 21 7.42
S 12 4.24
T 11 3.89
C 5 1.77
Y 4 1.41
N 8 2.83
Q 13 4.59
【0077】
酸性: 数 パーセント
D 20 7.07
E 22 7.77
【0078】
塩基性: 数 パーセント
K 24 8.48
R 10 3.53
H 9 3.18
【0079】
ELISA法を用いて、PspAのプロリンに富む部分に対する抗体価を決定する。ELISAにおけるこの抗原の最初の試験、および融合パートナータンパク質(pET32a)に指向された抗体応答を測定する。PspA−特異的応答のデータを得るために、大部分のpET32a−特異的応答を阻害する阻害ELISAを用いる。Bioradプロテインアッセイによって決定した全タンパク質濃度に基づいて、Nunc MaxiSorpプレート(Nalge Nunc Int'l, Denmark)を、3μg/mlのリン酸緩衝化生理食塩水中の組換えタンパク質で一晩コートする。対照ウェルは、同量のpET32a単独でコートする。1:1000希釈のマウスをELISAに用いる。非−特異的反応は、血清希釈を用いて3−10μg/mLのpET32aタンパク質をそれに添加することによって阻害する。これは、血清希釈の全域において一定である。PspAクレードおよびファミリーに関するさらなる参考文献には、Hollingsheadら, 68 INFECT. IMMUN. 5889-900 (2000); Brilesら, 182 J. INFECT. DIS. 1694-1791(2000);およびBrilesら, 18 VACCINE 1707-11 (2000)が含まれる。pspC遺伝子に関するさらなる情報は入手可能である。例えば、Brooks- Walterら, 67 INFECT. IMMUN. 6533-6542 (1999)を参照されたい。
【0080】
クローンpPAC003の構築およびPspA/BG9739AAPro-richの精製
タンパク質はPAC003(またはPspA/BG9739Pro)と呼ぶ。この組換えタンパク質は、BG9739株からのpspA遺伝子のプロリンに富む領域を含む。これは、アミノ酸の2のプロリンに富むストレッチの中央にNPBを有していないプロリンに富む領域である。NPBは配列番号:15のものである。NPBはPspAの免疫原性区画であり、したがって本発明者らは、この構築物を用いて、保護抗体がプロリンに富むエピトープまたはおそらくこの領域中の他のものと反応するかを区別した。
【0081】
ベクターの構築において、pspA/BG9739ProをコードするpspA.BG9739遺伝子の内部遺伝子フラグメントを、配列番号:16および配列番号:17のオリゴヌクレオチドを用いてエス・ニューモニエBG9739株からポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。反応は、pPAC001の構築と同様に行った。DNA配列は、組換えプラスミドpPAC003が、ベクターpET32a中のtrx遺伝子およびHis−タグ部位の後に挿入された予想された334kbpのpspA遺伝子フラグメントを含むことを確認した。
【0082】
プラスミドpPAC003はタンパク質生成のためにイー・コリ(E.coli)BL21 AI(DE3)株に形質転換した。この菌株は、誘導性araBADプロモーターの制御下のT7プロモーターの染色体コピーを含む。アラビノースおよびIPTGで誘導すると、288アミノ酸を含む(そのうちの110はPspA BG9739タンパク質由来である)組換えタンパク質が発現する。rPAC003はチオレドキシン(ベクターからの)およびプロリンに富む領域の間のタンパク質融合物である。完全組換えタンパク質の配列を以下に示す(イタリックはプロリンインサートのみを示す)。組換えタンパク質の中央に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその生成を簡単にする。それはエンテロキナーゼによっても切断されて、trx融合パートナーからのその遊離を許容する。PspA−特異的部分の小さいサイズのため、タンパク質をこのように作製して免疫原性を保証した。rPET32aタンパク質(ほとんどチオレドキシン)を、免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いる。
【0083】
インサートのタンパク質配列は以下のとおりである:
【0084】
【化12】
【0085】
チオレドキシン遺伝子およびHisタグ、プラスN−末端の小部分およびC−末端の小部分は、pET32aベクター由来のものである。全アミノ酸組成は以下のとおりである。上記のアミノ酸配列のうち109(上方のイタリック)は本来のPspAアミノ酸である。チオレドキシン遺伝子およびHisタグ、およびよりN−末端の小部分およびC−末端の小部分はpET32aベクター由来のものである。全アミノ酸組成は以下のとおりである。上記のアミノ酸配列のうち109(上方のイタリック)は本来のPspAアミノ酸である。その約1/3はプロリンである。NcoIおよびSaiIで切断する前のPCR産物のDNA配列は以下のとおりである:
【0086】
【化13】
【0087】
これは、プライマー上に存在していたNcoI部位およびSalI部位(RE部位は上記配列に下線を引いている)を含む。PAC003ポリペプチドをコードする関連する核酸(DNA)は以下の配列を有する:
【0088】
【化14】
【0089】
計算分子量=29795.33
概算pI=8.48
アミノ酸組成:
非−極性: 数 パーセント
A 48 16.78
V 7 2.45
L 17 5.94
I 9 3.15
P 53 18.53
M 7 2.45
F 5 1.75
W 4 1.40
【0090】
極性: 数 パーセント
G 20 6.99
S 10 3.50
T 13 4.55
C 4 1.40
Y 2 0.70
N 6 2.10
Q 6 2.10
【0091】
酸性: 数 パーセント
D 18 6.29
E 14 4.90
【0092】
塩基性: 数 パーセント
K 27 9.44
R 7 2.45
H 9 3.15
【0093】
この構築物を用いて、PspAのこの部分が動物モデル系およびヒトにおいて保護抗体を誘起することができるかを試験することができる。また、これは、保護がどのくらい広いか (例えば、異なるPspA/PspCタンパク質を有する菌株に対して保護することができるか)を試験するのに有用である。それは、プロリンに富むエピトープとPspAタンパク質のこの領域に入り得る他のものとを区別することができる。
【0094】
クローンpMB001の構築およびPspASM−1 Pro−richの精製
タンパク質はMB001(またはPspASM−l_非−pro−ブロック)と呼ぶ。この組換えタンパク質は、ペプチドSM−1(Shaperら, 72 Infect. Immun. 5031-40 (2004))に沿ったpspA遺伝子の幾つかのプロリンに富む領域に存在する非−pro−ブロック(Brooks- Walterら, 1999)、およびプロリンに富むセグメントからの幾つかの小さな残存物の両方を含む。NPBは配列番号:15のアミノ酸配列を有し、SM−1と呼ぶ配列はAAKKAELEKT [配列番号: 7]である。
【0095】
これらの2の領域は以下の知見のために興味深い:
(1)非−proブロック:その多くがこのブロックを含む種々のrPspCタンパク質での免疫化において、発明者らは、PspCを欠くが非常に類似する非−pro−ブロックを有するPspAを有する攻撃菌株に対して免疫化および保護することができた。ELISAにおいてUAB055およびUAB103(非−pro−ブロックによってのみ異なる2のタンパク質)を用いると、rPspCでの免疫化がUAB103における非−pro−ブロックと反応する抗体を誘起することを見出した。種々のBC100型抗血清の中の交差反応の幾つかのスクリーンは、非−pro−ブロックが、それを取り巻く特異的なプロリンに富むセグメントよりもより免疫原性であることを示唆した。ブロックは、配列決定した24のPspA遺伝子の中の15に存在し、配列決定した12のPspC遺伝子の中の10に存在し;(2)SM−1ペプチド:アポ−ラクトフェリンは肺炎レンサ球菌を殺菌し得るが、この殺菌はSM−1ペプチドによって阻害し得る(しかし、他のペプチドによってはされない)ことが見出された。このペプチドは、PspAがラクトフェリンに結合する領域を表し得る(または表し得ない)。この小さな領域は、PspAの4のクレード間のアライメントの最良に保存されたセグメントである:
【0096】
クレード 1 I.. AKKAELEKA...EAD [配列番号: 22]
クレード 2 A..AKKAELEKT...EAD [配列番号: 23]
クレード 3 A..TKKAELEKT...QKE [配列番号: 24]
クレード 4 A..TKKAELEKT...QKE [配列番号: 25]
【0097】
(3)pMB001におけるプロリンに富むセグメントに関連する領域:この構築物も、ブラジル株に由来する以下の小セグメントPEKPAEEPENPAPAPQPEKS [配列番号: 26]を有する。各プロリンに富むセグメントは菌株間で異なり得るが、PAPAP [配列番号: 27]およびPEKPA [配列番号: 28] は反復パターンで見られる場合がある。もう1のクローン化したタンパク質、PAC003は、この領域の抗原性を取り扱う。
【0098】
ベクターの構築においては、内部遺伝子フラグメントをEcoRIを用いて先のクローンから切断した(後記を参照されたい)。pET32bはEcoRIおよびホスファターゼで切断した。この2つを一緒に連結し、適当な向きについて形質転換体をスクリーニングした。スクリーニングは、プライマー5'GGTACCTGCTTTTGGCGGTTGCTG3' [配列番号: 29] CLlprol.を用いて行った。T7promプライマーと一緒に用いた場合、適当な向きの783bpのPCRフラグメントが得られた。この向きにおいては、以下に示す融合タンパク質を生成する。pMB001、PspA特異的部分に関連する配列
【0099】
【化15】
【0100】
このフラグメントはpGem−TからのEcoRIによって切断したため、このポリヌクレオチド片はEcoRIで切断したpET32bにインサートしてpMB001を作製した。T7promと一緒にプライマーCL1pro1を用いて(783bpのPCRフラグメントを与える)向きをチェックした。この向きにおいては、以下に示す融合タンパク質を生成する。
【0101】
【化16】
【0102】
【化17】
【0103】
上記に示したアミノ酸のうち、イタリックはtrxタンパク質を示し;下線部はHis−タグ・トロンビンS−タグ・エンテロキナーゼ領域を示し;非装飾文字はpGEM−Tから運ばれてきた部分であり;太字はSM1ペプチドおよびプロリン領域の部分を含むPspA関連部分を示す。
【0104】
例えば、DNA配列は組換えプラスミドpMB001がベクターpET32b中のtrx遺伝子およびHis−tag部位の後にインサートされたpspA遺伝子(2の非連続フラグメント)からの162bpを含む。これらは、最終組換えタンパク質中のPspAの54のAAに通じることを確認した。
【0105】
pMB001は、タンパク質産生のためにイー・コリ(E.coli)BL21 STAR(DE3)株に形質転換した。この菌株は誘導性UV5プロモーターの制御下にT7プロモーターの染色体コピーを含む。IPTGで誘導すると、275アミノ酸(そのうちの54はPspAタンパク質由来)を含む組換えタンパク質を発現する。rPAC001はチオレドキシン(ベクターからの)およびプロリンに富む領域の間の融合タンパク質である。完全な組換えタンパク質の配列を以下に示す(イタリックのプロリンインサートのみ)。組換えタンパク質の中位に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその精製を単純化した。それはエンテロキナーゼでも切断して、trx融合パートナーからのその遊離を許容する。タンパク質をこのように作製して、PspA−特異的部分の小さいサイズのために免疫原性を確実にした。rPET32aタンパク質(大部分チオレドキシン)を免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いる。
【0106】
MB001ポリペプチドをコードする例示的な核酸(DNA)は以下の配列を有する:
【0107】
【化18】
【0108】
また、NPBペプチドをコードする例示的な核酸(DNA)は以下の配列を有する:
【0109】
【化19】
【0110】
計算分子量=30141.38
概算pI=5.40
アミノ酸組成:
極性 数 パーセント
G 21 7.42
非−極性: 数 パーセント
A 27 9.82
V 7 2.55
L 26 9.45
I 13 4.73
P 22 8.00
M 7 2.55
F 5 1.82
W 3 1.09
【0111】
極性: 数 パーセント
G 17 6.18
S 19 6.91
T 19 6.91
C 2 0.73
Y 4 1.45
N 10 3.64
Q 10 3.64
【0112】
酸性: 数 パーセント
D 20 7.27
E 22 8.00
【0113】
塩基性: 数 パーセント
K 21 7.64
R 11 4.00
H 10 3.64
【0114】
この構築物を用いて、PspAの部分(詳細にはSM−1)を付加することが動物モデル系およびヒトにおいてプロリンに富むサブ区画のみを含む免疫原(PAC001またはPAC003のような)と比較して動物モデル系およびヒトにおいて優れた保護抗体を誘起し得るかを試験した。保護の幅(例えば、それが異なるPspAを有する菌株に対して保護し得るか)も決定し得る。
【0115】
クローンpCD1 NPBの構築およびGST NPBペプチドの精製
この構築物から発現したものをGST NPB(または、別にNPBタンパク質)と呼ぶ。この組換えタンパク質は、幾つかのPspAおよび幾つかのPspC遺伝子のプロリンに富む領域に横たわるNPBを含む。この特別の構築物はpPAC001(AC94株)からクローン化した。NPBというアミノ酸配列は、例えば、MEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 6]である。このNPBはこのポリペプチドの中の非常に免疫原性のセクションのようであり、保護的であり、被膜化した細胞の表面に結合する抗体を生起し得るようである。
【0116】
ベクターは以下のように構築した:PspA/AC94ProをコードするPspA/AC94Pro遺伝子の内部遺伝子フラグメントを、オリゴヌクレオチド5'-GACGACGACAAGATGGAGAAGTCAGCAGATCAA-3'[配列番号:33] (非-pro-L5)および5'-GAGGAGAAGCCCGGTTTACCGTTGCTGTTGAGTCAAGCG-3'[配列番号:34] (非-pro-R3-修正済み)を用いてpPAC001プラスミドからポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。修正した配列はTAAを加えて終止コドンを提供する。PCR反応は、最終濃度3.0mM MgCl2、125mM dNTP、0.4μmolの各プライマーおよび0.4ユニットのKOD DNAポリメラーゼを含有するカクテル合計体積50mlで30サイクル行った。この反応からのアンプリコンは、pET41の製造業者のプロトコールに従ってT4 DNAポリメラーゼで処理した。サイクルは、94℃、1分;55℃、1分;72℃、5分とした。この増幅したフラグメントは、強力なT7プロモーターおよび翻訳シグナルを含むベクター(pET41 EK/LIC,Novagen, Inc.)のEK/LICにライゲーション・インディペンデント・クローニングによって取り込ませた。DNA配列は、予想される〜117bpのpspA遺伝子フラグメントを含む組換えプラスミドpCD NPBがベクターpET41 EK/LICのGST遺伝子およびHis−tag部位の後に挿入されたことを確認した。
【0117】
プラスミドpCD NPBは、タンパク質産生のためにイー・コリ(E.coli)BL21 STAR(DE3)株に形質転換した。この菌株は、誘導性UV5プロモーターの制御下のT7プロモーターの染色体コピーを含む。IPTGで誘導すると、307アミノ酸を含む組換えタンパク質(そのうちの28はPspAタンパク質のプロリンに富む領域に由来する)を発現した。rCD NPBは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−タグ)(ベクターからの)とプロリンに富む領域の非−pro−ブロックとの間のタンパク質融合体である。完全な組換えタンパク質の配列を以下に示す(下線部)。組換えタンパク質の中位に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその精製を単純化した。それはトロンビンまたはエンテロキナーゼを用いても切断することができ、GST融合パートナーからのその遊離を許容する。タンパク質をこの様に作製して、PspA−特異的部分の小さいサイズのために、免疫原性を確認した。rPET41タンパク質(大部分がGST)を免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いた。
【0118】
【化20】
【0119】
GST遺伝子、Hisタグ、トロンビン部位、S−タグ、およびよりN−末端の先端部分はpET41 Ek/LICベクターから来たものである。全アミノ酸組成を示す。28のアミノ酸(非装飾文字、非下線)は非−pro−ブロックからの天然PspAアミノ酸である。
【0120】
T4 DNAポリメラーゼを用いて末端をエキソ型で消化する前のLIC末端を有するPCR産物のDNA配列は以下のとおりであった:
【0121】
【化21】
【0122】
これは、プライマー上に存在したLIC部位を含む(上記配列の下線部のRE部位)。
計算分子量=34983.93
概算pI=5.58
アミノ酸組成:
非−極性: 数 パーセント
A 18 5.88
V 10 3.27
L 30 9.80
I 14 4.58
P 16 5.23
M 12 3.92
F 10 3.27
W 4 1.31
【0123】
極性: 数 パーセント
G 25 8.17
S 18 5.88
T 11 3.59
C 4 1.31
Y 16 5.23
N 5 1.63
Q 11 3.59
【0124】
酸性: 数 パーセント
D 26 8.50
E 24 7.84
【0125】
塩基性: 数 パーセント
K 25 8.17
R 14 4.58
H 13 4.25
【0126】
複数pspAおよびpspC遺伝子中の非−pro−ブロックの類似性を図12A−Bに示す。類似する配列を有するこれらのポリペプチドも、本明細書に記載する免疫原性非−アルファコイル化PspA/PspCポリペプチドの範囲に入る。これらのアミノ酸配列中の変化も、本明細書に記載する免疫原性ポリペプチドの誘導体、変異型または部分と考えることができる。
【0127】
クローンpCD42 NPBの構築およびGST NPBペプチドの精製
このクローンから発現したタンパク質をGST NPB(またはNPBタンパク質)と命名した。組換えタンパク質は、幾つかのpspAおよび幾つかのpspC遺伝子のプロリンに富む領域に埋め込まれたNPBを含む。この特定のものは、pPAC001(AC94株)からクローニングした。この構築物のNPBのアミノ酸配列はMEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 6]である。NPBは免疫原性であり、それに対する抗体は保護的であり、被膜化した細胞の表面にも結合する。
【0128】
ベクターの構築。PspA/AC94ProをコードするPspA/AC94Pro遺伝子1を、オリゴヌクレオチド
5'GACGACGACAAGATGGAGAAGTCAGCAGATCAA3'[配列番号: 37](非-pro-L5)および5'GAGGAGAAGCCCGGTTTACCGTTGCTGTTGAGTCAAGCG3'[配列番号:38](非-pro-R3-修正済み)を用いてpPAC001プラスミドからポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。修正はTAAを付加して終止コドンを提供した。PCR反応は、3.0mM MgCl2、125mM dNTP、最終濃度0.4ユニットの各プライマー、および0.4ユニットのKOD DNAポリメラーゼを含有するカクテル中、合計体積50mlで30サイクル行った。この反応からのアンプリコンを、pET41製造業者のプロトコールに従ってT4 DNAポリメラーゼで処理した。サイクルは94℃、1分;55℃、1分;72℃、5分とした。この増幅した遺伝子フラグメントは、強力なT7プロモーターおよび翻訳シグナルを含むベクター(pET41 EK/LIC,Novagen, Inc.)のEK/LIC部位にライゲーション・インディペンデント・クローニングによって取り込ませた。DNA配列決定は、予想される〜117bpのpspA遺伝子フラグメントを含む組換えプラスミドpCD NPBがベクターpET41 EK/LICのGST遺伝子およびHis−タグ部位の後に挿入されたことを確認した。
【0129】
タンパク質産生のために、プラスミドpCD42 NPBをイー・コリ(E.coli)BL21 STAR(DE3)株に形質転換した。この菌株は、誘導性UV5プロモーターの制御下のT7プロモーターの染色体コピーを含む。IPTGで誘導すると、307のアミノ酸を含む組換えタンパク質(そのうちの28はPspAタンパク質のプロリンに富む領域に由来する)が発現する。rCD NPBは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−タグ)(ベクターからの)およびプロリンに富む領域の非−pro−ブロックの間のタンパク質融合体である。完全組換えタンパク質の配列を以下に示す(イタリックはインサートのみ)。組換えタンパク質の中位に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその精製を単純化する。それはトロンビンまたはエンテロキナーゼでも切断して、GST融合パートナーからのその遊離を許容する。タンパク質をこのように作製して、PspA−特定部位の小さいサイズのために、免疫原性を確保した。rPET41タンパク質(大部分GST)を、免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いる。
【0130】
インサートのタンパク質配列は以下のとおりである:
【0131】
【化22】
【0132】
GST遺伝子、Hisタグ、トロンビン部位、S−タグ、およびよりN−末端の先端部分は、pET41/LICベクターから来たものである。全アミノ酸組成の分析は後記する。太字で示す28の上記のアミノ酸は、NPBからの天然PspAアミノ酸である。T4 DNAポリメラーゼを用いて末端をエキソ型で消化する前のLIC末端(イタリックの)を含むPCR産物のDNA配列は以下のとおりである:
【0133】
【化23】
【0134】
計算分子量=34983.93
概算pI=5.58
アミノ酸組成:
非−極性: 数 パーセント
A 18 5.88
V 10 3.27
L 30 9.80
I 14 4.58
P 16 5.23
M 12 3.92
F 10 3.27
W 4 1.31
【0135】
極性: 数 パーセント
G 25 8.17
S 18 5.88
T 11 3.59
C 4 1.31
Y 16 5.23
N 5 1.63
Q 11 3.59
【0136】
酸性: 数 パーセント
D 26 8.50
E 24 7.84
【0137】
塩基性: 数 パーセント
K 25 8.17
R 14 4.58
H 13 4.25
【0138】
実施例2 マウス免疫化実験
組換えタンパク質PAC001、PAC003およびMB001を用いてマウスMB001(非−proブロックを含むSM−1およびPAC001の1/2を含む)を免疫化した。マウスは、アジュバントとしてアルミニウムを用いて10日間隔で3回皮下的に免疫化した。対照はアルミニウム単独で免疫化するか、または、アルミニウムおよび組換えタンパク質(方法が非−特異的免疫を生じない対照としての融合パートナー)で免疫化した。この場合に融合パートナーを用いる理由は精製を促進すること、および、ペプチドが十分な免疫原性を有するのに十分に大きいかを確かめるためである。その後に、マウスを尾部静脈注射によって静脈内的に送達する致死容量の生エス・ニューモニエ3JYP2670で攻撃する。攻撃株は3の組換えタンパク質のいずれかを有する非−コグネイトであるPspAを有し、したがって交差保護について試験した。図4および図7に反映するように、マウスが瀕死になるまでの時間を記録した。試験した3の免疫原の各々について、生存時間によって判断されるように保護応答を誘起した。
【0139】
図4を参照して、MB001の結果はP=0.021でアルミニウム対照から統計学的に異なった。PAC001の結果はP=0.0006でアルミニウム対照から統計学的に異なった。PAC003については、結果はアルミニウムから全く有意でなかった(0.0537)が、アルミニウム対照について14のうちの2に対して、5のマウスのうちの3が生存した。この差は、より多くのマウスを用いた場合にはより顕著になったかもしれない。融合パートナーを用いた結果は、試験したマウスの数ははるかに少ないが、アルミニウムによって得たものと一致した。この実験から、PspAのプロリンに富む配列が保護を誘起し得ることが明らかであった。
【0140】
pCD42 NPBからの組換えタンパク質(GST NPB)を作製し、PspAおよびPspCペプチドのこの部分が動物モデル系およびヒトにおいて保護抗体を誘起し得るか否かを試験した。この活性が見出されれば、実験はその保護がどの位広いか(すなわち、それは異なるPspAを有する菌株に対して保護し得るか)を示すであろう。さらに、例えば、抗体が被膜化した細胞に結合し得るか、抗体が補体沈着を増大し得るか、および、抗体は増殖している細胞のみに結合するのかは、ついで調べる。
【0141】
プロリンに富む領域は、それが非−pro−ブロックを含むか否かにかかわりなく、図5A−Cに示すようにコイル化したコイル配列の部分ではないため、ミオシン中のコイル化−コイルタンパク質配列を含むそれらの中のエピトープを有するいずれの抗体交差反応も誘起しないにちがいない。
【0142】
実施例3 抗体結合実験
KL67と命名したモノクローナル抗体は、幾つかのPspAおよびPspCタンパク質内に取り囲まれたプロリンに富む領域の非−プロリンブロックと特異的に結合することが判定された。PspAおよびKL67特異性のペプチドは染色ゲルおよび図8に示す対応するウエスタンブロットに示す。
【0143】
マウスIgGにコンジュゲートしたFITCを用いたフローサイトメトリー分析によって検出したストレプトコッカス・ニューモニエ株に対するKL67の抗体結合性を、図9に示す。抗体は1/3に希釈し、示すのは3回実験の平均である。縦軸スケールの値は「対照よりも大きな倍数」であり、これは二次抗体のみで標識した細菌の蛍光で除した標識細菌の蛍光の比率である。菌株は脚注に記載し、それは示すようにD39野生株、ならびにPspAおよびPspCまたは被膜の発現を欠いている突然変異株を含む。最初の3株は被膜化されている。D39株においては、PspA遺伝子およびPspC遺伝子の両方がmAb KL67によって認識されるNPBを含むプロリンに富む領域を有している。
【0144】
マウスIgGにコンジュゲートしたFITCを用いたフローサイトメトリー解析によって検出したストレプトコッカス・ニューモニエ株に対するKL67の抗体結合性のもう1の実験を図10に要約する。抗体は1/3に希釈し、3回実験の平均を示す。縦軸スケールの値は「対照よりも大きな倍数」であり、二次抗体のみで標識した細菌の蛍光で除した標識細菌の蛍光の比率である。菌株を脚注に記載し、それは示すようにWU2野生株、および、PspAおよびHicまたは被膜の発現を欠くWU2突然変異株を含む。最初の3株は被膜化されている。WU2株においては、PspA遺伝子のみがKL67によって認識されるNPBを含むプロリンに富む領域を有する。
【0145】
マウスIgGにコンジュゲートしたFITCを用いたフローサイトメトリー解析によって検出した、KL67ニューモニエ株の結合性に対するさらなる実験を図11に要約する。抗体は1/3に希釈し、3回実験の平均を示す。縦軸スケールの値は「対照よりも大きな倍数」であり、二次抗体のみで標識した細菌の蛍光で除した標識細菌の蛍光の比率である。菌株を脚注に記載し、それは示すようにTIGR4野生株、および、PspA、PspC、その両方、または被膜の発現を欠く突然変異株を含む。最初の5株は被膜化されている。TIGR4株においては、PspC遺伝子のみがmAb KL67によって認識されるNPBを含むプロリンに富む領域を有する。PspAは有しない。
【0146】
これらの実験は、mAb KL67が、幾つかのPspAおよびPspC分子のプロリンに富む領域に存在するNPB領域を特異的に認識することを示している。PspAまたはPspCのいずれかに関連するNPBは、被膜2、被膜3および被膜4血清型を有する生エス・ニューモニエ上へのmAb KL67抗体に近づきやすい。さらに、PspA上のNBPは、PspC不存在下および被膜不存在下の抗体にわずかにより近づきやすい。また、構築物PAC001に対して生起したポリクローナル血清は、肺炎レンサ球菌細胞の表面に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、すべての知られている科およびクレードのPspA(および幾つかの例においてPspC)に共通する領域のマップを示す。それは、また、組換えPspポリペプチドMB001、PAC003、PAC001およびNPBも示す。
【図2−1】図2A−Bは組換えPspAポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【図2−2】図2C−Eは組換えPspAポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【図3】図3A−Dは組換えタンパク質免疫原の態様のPspA−特異的部分を示す。
【図4】図4は本明細書に例示するマウス敗血症攻撃の結果のグラフ表示である。
【図5】図5A−Cは、PspA−特異的免疫原性ポリペプチドのChou−Fasman構造確率プロットを示す。
【図6】図6は、免疫原性PspA/PspCポリペプチドの実施例態様のアライメントを示す。
【図7】図7は、PspAのプロリンに富む領域で免疫化し、3型被膜3JYP2670株で攻撃した後のデータを示す。
【図8】図8は、mAb KL67がPspA/PspCポリペプチドのプロリンに富む領域の非−プロリンブロックに特異的であることを示す染色ゲルおよび対応するウエスタンブロットを示す。
【図9】図9は、肺炎レンサ球菌の幾つかの菌株に対するmAb KL67の蛍光活性化セルソーティング(FACS)結合からのデータを示す。
【図10】図10は、WU2野生型およびPspAおよびHieまたは被膜を欠く突然変異株に対するmAb KL67のFACS結合からのデータを示す。
【図11】図11は、TIGR4野生型株および被膜、PspA、PspCまたはPspAおよびPspCの両方を欠く突然変異株に対するmAb KL67のFACS結合からのデータを示す。
【図12】図12A−Bは、多様なpspAおよびpspC遺伝子中の非−proブロックの配列における類似性を示す。
【技術分野】
【0001】
連邦財政支援
本発明は、一部、NIH/NIAID契約番号ROl AI21543の下で連邦政府による資金供給を受けた。
【0002】
本明細書に記載する態様は、分子免疫学、細菌学およびワクチン開発に関連する。より詳細には、種々の態様は、アルファヘリックス構造を欠いたストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)表面タンパク質Aおよび表面タンパク質Cの抗原性および免疫原性部分に関する。
【背景技術】
【0003】
ストレプトコッカス・ニューモニエはよく知られたヒト病原菌であり、主として若年の子供および高齢の成人の中で、肺炎、髄膜炎、中耳炎ならびに敗血症の主な病因因子である。被膜多糖(PS)に対する抗体は、同一の被膜血清型を発現している肺炎レンサ球菌に対して保護を提供し得る。最近の利用可能な肺炎レンサ球菌ワクチンは、複数の血清型の被膜PSの混合物を含んでいる。例えば、1の肺炎レンサ球菌ワクチンは、23の通常見出される血清型からの被膜PSを含んでいる。最も近年に開発されたタイプのワクチンは、タンパク質分子にコンジュゲートした11ないし13の血清型からの被膜PSを含んでいる。7価のコンジュゲートワクチンが合衆国において臨床的用途のために2000人に導入され、子供および成人における侵襲性の肺炎レンサ球菌疾患の発病率を低下した。
【0004】
肺炎レンサ球菌感染から子供および高齢者を保護するための別のアプローチでは、保護免疫応答を誘起し得るタンパク質抗原を用いる。かかるタンパク質はそれ自体でワクチンとして作用し得、首尾よい多糖−タンパク質コンジュゲートと結合して使用することができ、または、多糖成分の担体として作用することができる。肺炎レンサ球菌表面タンパク質A(PspA)は、肺炎レンサ球菌ワクチンの潜在能力を有する免疫原性タンパク質として同定された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンパク質ベースの肺炎レンサ球菌ワクチンの潜在能力としてのPspAに関する研究の大部分は、コイル化したコイルタンパク質コンフォメーションを有すると予想される領域であるPspAタンパク質のアルファヘリックス領域内に存在する交差保護エピトープに焦点を当てている。しかしながら、このアルファヘリックス領域は、ヒトの心臓および骨格筋のタンパク質と交差反応する抗体を誘起する潜在能力を有するかもしれないことが示唆されている。一方、成人が、幼少の間に自然に誘起された、リウマチ心疾患または自己免疫症候群に何ら関連しないPspA抗体を有する場合がある。それにもかかわらず、自己反応性の応答の危険性を最小限にする免疫原性である肺炎レンサ球菌表面ポリペプチドに対する要望が存在しつづけている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本明細書に記載する態様は、免疫応答を誘起することができるPspAおよびPspCポリペプチドの非アルファヘリックス領域を提供する。いくつかの形態において、これらのポリペプチドは、ワクチンの成分として用いた場合、肺炎レンサ球菌疾患に対する保護免疫を提供する。
【0007】
他の形態において、ポリペプチドは、アミノ酸配列:
【0008】
【化1】
【0009】
およびいずれか前記したものの抗原性または免疫原性ホモログ、部分、フラグメント、変異型または誘導体を有する。
【0010】
本発明のもう1の態様は、PspAおよびPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を含むワクチンを提供する。他の態様において、ワクチンは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4に示すアミノ酸配列を有する1またはそれを超えるペプチド、ならびにその抗原性もしくは免疫原性ホモログ、部分、フラグメント、変異型または誘導体を含むことができる。
【0011】
もう1の形態は、PspAおよびPspCポリペプチドの免疫原性非−アルファヘリックス領域をコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、およびこれらの核酸またはベクターを含む宿主細胞を提供する。もう1の形態は、PspAおよびPspCポリペプチドの免疫原性非−アルファヘリックス領域を産生する宿主細胞を提供する。
【0012】
さらなる態様は、PspAまたはPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を構成する免疫原性ポリペプチドを発現する宿主細胞から該ポリペプチドを調製する工程を含む該免疫原性ポリペプチドの製造方法を提供する。
【0013】
もう1の態様は、PspAまたはPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を構成する少なくとも1の免疫原性ポリペプチドの有効量を投与することを含む患者を免疫化する方法を提供する。
【0014】
(図面の簡単な説明)
図1は、すべての知られている科およびクレードのPspA(および幾つかの例においてPspC)に共通する領域のマップを示す。それは、また、組換えPspポリペプチドMB001、PAC003、PAC001およびNPBも示す。
図2A−Eは組換えPspAポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図3A−Dは組換えタンパク質免疫原の態様のPspA−特異的部分を示す。
図4は本明細書に例示するマウス敗血症攻撃の結果のグラフ表示である。
図5A−Cは、PspA−特異的免疫原性ポリペプチドのChou−Fasman構造確率プロットを示す。
図6は、免疫原性PspA/PspCポリペプチドの実施例態様のアライメントを示す。
図7は、PspAのプロリンに富む領域で免疫化し、3型被膜3JYP2670株で攻撃した後のデータを示す。
図8は、mAb KL67がPspA/PspCポリペプチドのプロリンに富む領域の非−プロリンブロックに特異的であることを示す染色ゲルおよび対応するウエスタンブロットを示す。
図9は、肺炎レンサ球菌の幾つかの菌株に対するmAb KL67の蛍光活性化セルソーティング(FACS)結合からのデータを示す。
図10は、WU2野生型およびPspAおよびHieまたは被膜を欠く突然変異株に対するmAb KL67のFACS結合からのデータを示す。
図11は、TIGR4野生型株および被膜、PspA、PspCまたはPspAおよびPspCの両方を欠く突然変異株に対するmAb KL67のFACS結合からのデータを示す。
図12A−Bは、多様なpspAおよびpspC遺伝子中の非−proブロックの配列における類似性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明が、本明細書に記載する特定の方法、プロトコールおよび試薬ほかに限定されるものでないことは理解され、それ自体変化し得る。本明細書で用いる用語は特定の形態を記載する目的のみのためであって、特許請求の範囲によって唯一定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0016】
本明細書および特許請求の範囲で用いる単数形の用語は、文章が明らかに示していない限り、複数の指示を含む。したがって、例えば、ポリペプチドに対する指示は、当業者に知られているその等価物を含む、1またはそれを超えるかかるポリペプチドに対する指示である。作動する例以外においてまたは別段指摘しない限り、本明細書において用いる成分の量または反応条件を表すすべての数字は、「約」なる用語によってすべての例において修飾されていると理解すべきである。「約」なる用語は、パーセンテージと結合して用いる場合、±1%を意味し得る。
【0017】
同定したすべての特許および他の刊行物は、例えばかかる刊行物に記載された方法を本発明と結合して使用することができることを説明または開示することを目的として、出典明示して本明細書の一部とみなす。これらの刊行物は、本願の出願日以前のそれらの開示について唯一提供される。これに関して、発明者は先行技術またはいずれの他の理由によってかかる開示が前に起こることの資格を何ら与えるものでないことを意図する。現在までのすべての陳述またはこれらの書類の内容についての表示は、出願人に入手可能な情報に基づき、これらの書類の日付または内容の正確さとしていずれの承認も構成するものではない。
【0018】
別段定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。いずれの知られている方法、デバイスおよび材料も抗原性または免疫原性非−アルファヘリックスPspA/PspCポリヌクレオチドの形態を実施または試験するのに用いることができるが、これに関する幾つかの方法、デバイスおよび材料を本明細書に記載する。
【0019】
ストレプトコッカス・ニューモニエはグラム陽性の、槍状形状をした球菌(わずかに尖った外側の曲線を有する細長い球菌)である。通常、それらは一対の球菌(双球菌)のように見えるが、それらは単独で短い鎖でも生息し得る。血液寒天培地で培養した場合、それらはα溶血的である。個々の細胞は0.5マイクロメートルないし1.25マイクロメートル径である。それらは胞子を形成せず、非運動性である。他の連鎖球菌と同様に、それらはカタラーゼを下記、グルコースを乳酸に発酵する。他のレンサ球菌とは異なり、それらはMタンパク質を提示せず、それらはインスリンを加水分解し、それらの細胞壁組成はそれらのペプチドグルカンおよびそれらのテイコ酸組成の両方の観点から特徴的である。
【0020】
エス・ニューモニエは、主に若年の子供および高齢の成人のなかで、よく知られたヒト病原菌であり、肺炎、髄膜炎、中耳炎ならびに敗血症の主要な病因因子である。FedsonおよびMusher,VACCINES 第2版. (PlotkinおよびMortimer編, W.B. Saunders Co., Philadelphia, PA, 1994)。多糖からなる被膜は、肺炎レンサ球菌の細胞を完全に覆っている。侵入の間、被膜は必須の病原決定因子である。被膜は、細菌細胞のC3bオプソニン作用を妨害することによってファゴサイトーシスを妨げる。抗−肺炎レンサ球菌ワクチンは、非常に流行している菌株に由来する種々の被膜(多糖)抗原の処方に基づいている。
【0021】
エス・ニューモニエは、血清学的に異なる炭水化物被膜の発現に基づいて90の血清型に分けられている。Henrichsen, 33 J. CLlN. MICROBIOL. 2759-62 (1995)。被膜多糖(PS)に対する抗体は、同一の被膜血清型を発現している肺炎レンサ球菌に対して保護を提供し得る。最近利用可能になった肺炎レンサ球菌ワクチンは、複数の血清型の被膜PSの混合物を含んでいる。例えば、1の肺炎レンサ球菌ワクチン(PSワクチンと呼ばれる)は、23の一般的に見出される血清型からの被膜PSを含んでいる。Robbinsら, 148 J. INFECT. DlS. 1136-59 (1983)。最近開発された型のワクチン(コンジュゲートワクチンと呼ばれる)は、タンパク質分子にコンジュゲートした7ないし13の血清型からの被膜PSを含んでいる。WuorimaaおよびKayhty, 56 SCAND. J. IMMUNOL. 111-29 (2002)。7価のコンジュゲートワクチンが合衆国における臨床使用のために2000年に紹介され、子供における侵襲性の肺炎レンサ球菌疾患の発病率を低下している。Whitney, 348 N. ENGL. J. MED. 1737-46 (2003)。
【0022】
肺炎レンサ球菌感染から子供も高齢者も保護する別のアプローチは、保護免疫応答を誘起し得るタンパク質抗原を用いる。かかるタンパク質はそれ自体でワクチンとして作用することができ、首尾よい多糖−タンパク質コンジュゲートと結合して用いることができ、または多糖成分のキャリアーとして作用し得る。肺炎レンサ球菌表面タンパク質A(PspA)は、肺炎レンサ球菌ワクチンの可能性を有するタンパク質として同定されている。例えば、米国特許第6,592,876号;第 6,500,613号;および第5,997,882号を参照されたい。実際、PspAタンパク質または該タンパク質の部分は、特にコレラ毒素のようなアジュバントと一緒に、粘膜または経口投与した後に保護免疫応答を誘起した。米国特許第6,042,838号および第6,232,116号を参照されたい。
【0023】
また、PspAは、それがマウスにおいて保護的なマウス、サルおよびヒト抗体を誘起し;すべての肺炎レンサ球菌によって生成され;補体沈殿を妨害し;ラクトフェリンを結合し(アポラクトフェリン殺菌を阻害する);および血清学的に変わりやすく、なお交差反応性であるため、魅力のある標的でもある。
【0024】
潜在的なタンパク質に基づく肺炎レンサ球菌ワクチンとしてのPspAを使用するアプローチは、しばしば、PspAタンパク質のアルファヘリックス領域(コイル化したコイルタンパク質コンフォメーションを有すると予想される領域)内に見出される交差保護エピトープに焦点が当てられている。しかしながら、このコンフォメーションは、骨格筋および/または心臓からの損傷したヒト筋肉タンパク質と交差反応する抗体を誘起する可能性を有するかもしれない。例えば、Cunningham, 8 FRONT. BIOSCI., 533-43 (2003); Cunningham, 40 MOL. IMMUNOL., 1 121-27 (2004); KrishnerおよびCunnimgham, 227, SCIENCE, 413-15 (1985)を参照されたい。したがって、これは、肺炎レンサ球菌ワクチン中の免疫原としてPspAを用いることに関心を生じた。しかしながら、このことは、おそらく、成人がストレプトコッカス・ニューモニエに遭遇した幼少期の過程で自然に生じたPspAに対する存在する抗体を有し得るという知見と均衡をとらなければならない。これらの本来の抗体は、リューマチ心疾患または自己反応性免疫症候群と関係がないことが示されている。
【0025】
本明細書における形態は、抗−ミオシン交差反応抗体を誘起しそうがなく、かつ、いずれかのこの型の予め存在する抗体を刺激しそうにないプロリンに富む領域またはコリン結合領域のような、PspAおよびPspCタンパク質の免疫原性非−コイル化コイル領域を提供する。本明細書において使用するPspAおよびPspCアミノ酸配列、ペプチド分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質ならびにPspAまたはPspC部分またはフラグメントは、(本発明のポリペプチドの二次または三次構造は確かに本発明の範囲にあるが)ミオシンのコイル化コイル構造をなお欠いている免疫応答を誘起することができるPspAまたはPspC遺伝子(または複数の遺伝子)によってコードされるアミノ酸配列をいうのに類義的に使用することができる。事実、本明細書の形態は、保護抗体を誘起することができる、PspCにも見出されるPspAの非−アルファヘリックス領域を提供する。アルファヘリックス領域内からのPspAおよび/またはPspCのこれらの小さな部分はコイル化コイルを形成する能力を欠いていてもよい。それらの小さなサイズでも保護を誘起する能力を保持しているからである。これらのポリペプチドは、肺炎レンサ球菌細胞から収集することができ、あるいは、当該技術分野でよく知られている組換え技術を用いて得ることができる。したがって、これらのPspA/PspC部分は、タンパク質−ベースの肺炎レンサ球菌ワクチン開発の良好な候補とし得る。
【0026】
そのために、組換えPspA/PspCポリペプチドを用いてマウスを免疫した。マウスはつづいて致死容量の生エス・ニューモニエで攻撃した。保護応答は、延長した生存時間によって判定した。これらのデータは、プロリンに富む領域のコリン結合領域ならびに非−proブロックのプロリンに富む範囲が保護を誘起し得ることを示した。これらの領域は、可能な抗−ミオシン反応に関係しているコイル化コイル構造を欠いている。
【0027】
本形態の範囲内に存在するのは、非−コイル化コイル抗原性PspAおよびPspCポリペプチドの誘導体である。「誘導体」とは、天然のポリペプチドの抗原性または免疫活性のいずれかを保持している本来のPspAおよびPspC非−アルファコイル・ポリペプチドの修飾を包含することを意図する。該語は、限定するものではないが、そのアミノ酸配列がそのタンパク質のまたはその活性部分のものと同一または実質的に同一である(すなわち、望ましいレベルの抗原性を実質的に低下しない様式において異なる)、または、置換基を欠いているまたは異なる置換基を有している(例えば、グルコシル化を欠いているまたはグリコシル化において異なる)、組換えDNAまたは他の精製技術によって作製した部分、フラグメント、またはタンパク質の複合体、ペプチド、ポリペプチド、または融合パートナータンパク質、および、タンパク質またはかかるフラグメント、オリゴマー、ポリペプチド、ならびに融合タンパク質およびキャリアータンパク質を包含することを意図する。かかるポリペプチドおよび誘導体の創製および使用は等外技術分野においてよく知られている。
【0028】
また、本発明に用いるタンパク質コード領域も、本明細書に記載するペプチドの変異型(アゴニスト)を生じる標準的な分子生物学的技術を用いて存在するPspAまたはPspC遺伝子を改変することによっても、本発明において使用するタンパク質コード領域を提供し得ることも意図される。かかる変異型には、限定するものではないが、当該技術分野でよく知られているPspA/PspCペプチドのアミノ酸配列における欠失、付加および置換が含まれる。
【0029】
例えば、置換の1つのクラスは、同類アミノ酸置換である。かかる置換は、同様の特徴の他のアミノ酸によってペプチド中の所定のアミノ酸を置換するものである。典型的には、同類置換としては、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびHeの中での1から他のものへの置換;ヒドロキシル残基SerおよびThrの相互交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGln間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、芳香族残基Phe、Tyrなどの中での置換である。どのアミノ酸変化が表現型的にサイレントでありそうなことに関する案内は、Bowieら, 247 SCIENCE 1306-10 (1990)に見出される。
【0030】
変異型またはアゴニストペプチドは、完全に機能的なものであっても、または1またはそれを超える活性で機能を欠いているものであってもよい。完全に機能的な変異型は、典型的には、同類変化または重要でない残基または重要でない領域の変化のみを含む。機能的変異型は、機能において全く変化を生じないかまたは重要でない変化を生じる同様なアミノ酸の置換も含むことができる。あるいは、かかる置換は、幾分かの程度で機能に対して正または負の影響を及ぼし得る。
【0031】
非−機能的変異型は、典型的には、1またはそれを超える非−保存性アミノ酸置換、欠失、挿入、逆位、または切頭、あるいは極めて重要な残基または領域中の置換、挿入、逆位または欠失を含む。
【0032】
機能に必須であるアミノ酸は、部位特異的突然変異導入法またはアラニン−スキャニング突然変異導入法のような当該技術分野で知られている方法によって同定することができる(Cunninghamら, 244 SCIENCE 1081-85 (1989))。後者の手法は、分子の各々の残基に単一のアラニン変異を導入する。ついで、得られた突然変異分子を、エピトープ結合性またはイン・ビトロ(in vitro)ADCC活性のような生物活性について試験する。リガンド−受容体結合に重要である部位は、結晶学、核磁気共鳴または光アフィニティーラベリング法のような構造解析によっても決定することができる(Smithら, 224 J. MOL. BIOL. 899-904 (1992); de Vos ら, 255 SCIENCE 306-12 (1992))。
【0033】
また、ポリペプチドは20種類の「天然に生じる」アミノ酸以外のアミノ酸を含む場合がある。さらに、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、当該技術分野でよく知られているプロセシングおよび他の翻訳後修飾のような天然方法、または化学修飾技術によって改変し得る。知られている修飾には、限定されるものではないが、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘモ基の共有結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質加水分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランスファー−RNA媒介付加、およびユビキチン化が含まれる。
【0034】
かかる修飾は当業者によく知られており、科学刊行物に非常に詳細に記載されている。幾つかの特に一般的な修飾、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基の水酸化およびガンマ−リボシル化ならびにADP−リボシル化は、例えば、Proteins-Structure and Molecular Properties (第2版, T. E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York 1993)のような最も基本的なテキストに記載されている。この主題については、Wold, POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, 1-12 (Johnson編, Academic Press, New York 1983); Seifterら, 182 METH. ENZYMOL. 626-46 (1990);およびRattanら, 663 ANN. N.Y. ACAD. SCI. 48-62 (1992)のような多くの詳細なレビューが入手可能である。本発明のペプチドの二次および三次構造は、当該技術分野でよく知られている多くの技術のいずれかによって決定することができ、あるいは、例えば、図5A−Cに示すようなChou-Fasman二次構造解析のようなよく知られた方法によって予想することができる。
【0035】
したがって、本発明のペプチドは、置換されたアミノ酸残基が遺伝コードによってコードされていない、置換基が以前に言及したように含まれる(peg化のような)誘導体またはアナログも含む。
【0036】
同様に、アミノ酸配列の付加および置換ならびに変異、およびたった今記載した修飾は、当該技術分野でよく知られている方法によって本発明のタンパク質に対して生起し得る抗−PspA抗体および/または抗−PspC抗体のアミノ酸配列に等しく適用可能であり、したがって本発明に包含される。
【0037】
本明細書に記載する非−アルファヘリックスPspAペプチドおよび対応するPspCペプチドは、免疫応答を生成し得る。「免疫応答」なる用語は、細胞傷害性T−細胞応答および/または抗原に特異的な抗体の血清レベルの上昇、または抗原に対する中和抗体の存在をいう。実際には、免疫応答は、ヒト肺炎レンサ球菌感染からヒト対象を保護するワクチンとして本発明の抗原が有用となるのに十分となり得る。また、本発明の抗原によって生成した抗体は抽出し、体液試料中の細菌を検出するために使用することができる。本明細書において「保護」または「保護免疫」なる用語は、感染因子、例えばヒトのエス・ニューモニエによって引き起こされる疾患に対して(部分的または全体的に)保護する、免疫化の間に誘導された血清抗体および/または細胞傷害性T−細胞応答の能力をいう。ワクチンにおける免疫原性ポリペプチドの使用は、重篤な臨床症状を防ぐことが知られている肺炎レンサ球菌に対する抗体を誘導することによって重篤な肺炎レンサ球菌感染症に対してヒトに保護免疫を提供することが予想される。
【0038】
もう1の形態において、免疫原性非−アルファヘリックスPspA/PspCペプチドはもう1のハプテンにコンジュゲートし、その結果、そのハプテンの有効なタンパク質キャリアーまたはアジュバントとして作用する。ハプテンとは、生化学、遺伝学または計算的手段によって同定した疾患特異的な抗原性決定因子をいう。ハプテンは、エス・ニューモニエまたは細菌、ウイルス、細胞内寄生体、菌類およびトランスフォーム(ガン性または前ガン性の)細胞によって引き起こされる疾患症状と関連し得る。
【0039】
本発明は、肺炎レンサ球菌−媒介疾患に対して患者に免疫応答および保護免疫を提供する方法を含む。方法には、本発明のPspA/PspC抗原を動物またはヒトに投与することが含まれる。本発明のPspA/PspC抗原は、好ましくは有効量の抗原を含む処方として投与する。種々の生理学的に許容し得るキャリアーが当該技術分野で知られており、それには、例えば、塩類溶液が含まれる。受容者対象に保護免疫を提供するための投与経路、投与量および投与頻度は、当業者に知られている。投与経路には受容者に保護免疫を付与するいずれの方法も含まれ、限定するものではないが、吸入、静脈内、筋肉内、腹膜内、皮内および皮下が含まれる。好ましくは、本発明の抗原は、皮下または筋肉内注射によってヒト対象に供する。投与の量および頻度の範囲は、受容者の保護免疫が達成される限り容認し得る。例えば、5μgないし20μgを、3ヶ月間にわたって1ないし4回筋肉内注射することによって投与し得る。
【0040】
したがって、本明細書で提供する新規な免疫原性PspA/PspCポリペプチドは、ワクチンまたは肺炎レンサ球菌ワクチンの開発において有用になり得る。例えば、当該ポリペプチドは、単独で、成分として、または多糖コンジュゲートワクチン用のタンパク質キャリアーとしてのいずれかで、ワクチンに入れることができる。例えば、米国特許第5,866,135号; 第5,773,007号;および第6,936,252号を参照されたい。
【0041】
本発明のPspA/PspCフラグメントに対して生起した抗体もここに包含される。例えば、KL67と命名したモノクローナル抗体は、PspA/PspC非−アルファヘリックス・ポリペプチドの非−proブロック部分に結合する。交差保護(異なる被膜型を示し、固有のPspA/PspCがワクチンにおけるものとは同一でない領域を示すさらなる菌株に対する保護)を誘起する抗−PspA/PspCペプチド抗体の能力は、さらなる免疫化およびさらなる攻撃菌株を用いる攻撃実験によって決定して、広い交差保護を証明する。マウスおよびウサギのような免疫化した動物からの血清を、マウスを受動的に保護する能力について試験して、該保護が主に誘起した抗体を介したものであるかを決定する。保護はさらなるマウスモデル(肺炎およびキャリッジ(carriage)モデル)でさらに特徴付けし、T−細胞が保護に関与する可能性を決定する。
【0042】
また、保護抗体を誘起し得るPspA/PspCの最小部分は、肺炎レンサ球菌感染症のマウスモデルで同定し得る。これは、存在する免疫原領域からの小さな組換え部分、フラグメントまたはポリペプチドを作製して最小有効エピトープを決定することによって行う。
【0043】
免疫化マウスからの血清は、補体沈着を向上するおよび/またはラクトフェリン死滅を向上する能力、保護的であることが見出された他の抗−PspA/PspC抗体と関連付けられている活性についても試験する。両方の活性は、1のPspA/PspCフラグメントによって誘起されることが見出し得、1を超えるフラグメント、すなわち組み合わせて使用する異なるフラグメントが必要なのかもしれない。これらの実験は、ワクチン開発における保護の相関減少として使用する必要のあるアッセイを特定することを助けることができる。
【0044】
したがって、例えば、コイル化−コイル構造を欠いている免疫原性PspA/PspCポリペプチドの特定の形態は、アミノ酸配列:
【0045】
【化2】
【0046】
を有する。
配列EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:4] は、PspA/PspCの非コイル化領域の他のプロリンに富む領域にプロリンアミノ酸残基を有さない非−pro−ブロック(NPB)ともいう。このペプチドは、KL67と命名したモノクローナル抗体との結合性によっても同定され、DLKKAVNEPEKPAEEPENPAPAPKPAPAPQPEKPAPAPAPKPEKSADQQAEEDYARR SEEEYNRLTQQQPPKAEKPAPAPVPKPEQPAPAPKTGWGQENGMW [配列番号:1]および
MAKKAELEKTPEKPAEEPENPAPAPQPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKA [配列番号:3]にも結合する。それ自体で、EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:4]は、本明細書に開示する免疫原性PspA/PspCペプチドの例示的な部分として考えることができる。また、配列
MAKKAELEKTPEKPAEEPENPAPAPQPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKA [配列番号:3]が、天然PspA/PspC配列の半−人工変異型または誘導体の例であり、天然配列ではそれに付加されたSM−Iアミノ酸配列AAKKAELEKT [配列番号:5]を有することは注記する。後記する実施例1を参照されたい。
【0047】
NPBのもう1の例示的な変異型は、アミノ酸配列
MEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 6]を有し、これは、発現ベクターにおいて発現し得る、アミノ末端にメチオニンを有する。
【0048】
特定の形態は、アミノ酸配列MEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 6]を含む免疫原性組換えペプチドも提供する。ポジション5でAがVに置換されている同類アミノ酸置換を有するこの配列の変異型は、MEKSVDQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 7]である。
【0049】
本明細書に記載する形態の前に、同様の構造を発現する多くのpspAおよびpspC遺伝子が知られている(すなわち、EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 4]を有するか有しないPAP...反復性プロリンに富むストレッチ)。これらのペプチドのいずれかの末端のアミノ酸は、プロリンに富む領域の境界に印を付けている。領域のアミノ末端はDLKKA VNE... [配列番号: 8]であり、そのカルボキシ末端は (K/G)TGW(K/G)QENGMW [配列番号: 9]である。NPBを含むペプチドは免疫原性であり、NPB(例えば、配列番号: 4)が重要なエピトープであり得ることを示唆している。アミノ酸のこの配列は、細菌の表面から抗体結合に近づき易いこともある。FACSデータを示す実施例3、図9を参照されたい。表面結合は保護に重要のようであり、将来のワクチン開発の因子である。
【0050】
PCRに基づく事実は、アフリカ、アジアおよび南アメリカからの単離体におけるpspC遺伝子の約77%、pspA遺伝子の約50%がNPB配列(例えば、EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 4]) またはこのペプチドの似たホモログであることを示している。したがって、これらのホモログは、別の形態を表す。また、NPBはワクチンが必要である大部分の細菌株の中に存在する共通エピトープを構成する。
【0051】
非−アルファヘリックスPspA/PspCペプチド、ハイブリダイゼーション・プローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、突然変異誘発し、または増幅するためのPCRプライマーの1またはそれを超えるものをコードする核酸も提供する。核酸はいずれの長さであってもよく、および/または、1またはそれを超えるさらなる配列、例えば調節配列を含むことができ、および/または、より長い核酸、例えばベクターの一部分となり得る。非−アルファヘリックスPspA/PspCペプチド、ハイブリダイゼーション・プローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、突然変異誘発し、または増幅するためのPCRプライマーまたはシークエンシング・プライマー、ポリヌクレオチドの発現を阻害するアンチセンス核酸、および前記のものの相補的配列の1またはそれを超えるものをコードする核酸も提供する。核酸はいずれの長さであってもよく、および/または1またはそれを超えるさらなる配列、例えば、調節配列を含むことができ、および/またはより長い核酸、例えばベクターの一部分となり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖とすることができ、RNAおよび/またはDNAヌクレオチドおよびその人工的変異型(例えば、ペプチド核酸)を含むことができる。
【0052】
例えば、本明細書に包含される核酸(DNA)には、以下の配列を有するPAC001ペプチド(以下の実施例を参照されたい)をコードするものが含まれる。
【0053】
【化3】
【0054】
PAC003ペプチドをコードする一例のDNAは以下の配列を有する:
【0055】
【化4】
【0056】
MB001ペプチドをコードする一例のDNAは以下の配列を有する:
【0057】
【化5】
【0058】
(MB001からの)NPBをコードする一例のDNAは以下の配列を有する:
【0059】
【化6】
【0060】
(PAC001における)NPBをコードする一例のDNAは以下の配列を有する:
【0061】
【化7】
【0062】
ここで、本発明を非限定的な実施例によってさらに記載する。
【実施例】
【0063】
実施例1.組換えPspAポリペプチド
幾つかの関連するPspAポリペプチドを生成する組換えプラスミドを生成し、精製rPspAタンパク質を提供するために使用した。生成したタンパク質を図1に示し、詳細なアミノ酸配列を図2A−Eおよび図3A−Dに提供する。簡単には、発現ベクターはマウスからのチオレドキシン遺伝子(trx)を含む。関心のあるペプチドをコードする遺伝子フラグメントは、チオレドキシンとのタンパク質融合物を生成する方法でクローン化する。図2A−Eにおいて、下線を引いていないアミノ酸はベクターに由来するものである。下線を引いたアミノ酸はクローン化部分に由来するものである。PET32AおよびPET32Bタンパク質は、「融合パートナー」という。
【0064】
クローンpPAC001の構築およびPspA/AC94AAPro-richの精製
タンパク質はPAC001(またはPspA/AC94pro)と呼ぶ。この組換えタンパク質は、AC94株からのpspA遺伝子のプロリンに富む領域を含む。これは、アミノ酸の2のプロリンに富むストレッチの中央にNPBを有するプロリンに富む領域である。NPBはアミノ酸配列DQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 15]を有する。Robinsonら, 2001.
【0065】
ベクターの構築。PspA/AC94ProをコードするpspA.AC94遺伝子の内部遺伝子フラグメント(Robinsonら, Clones of Streptococcus pneumoniae isolated from nasopharyngeal carriage and invasive disease in young children in Tennessee, 183 J. INFECT. DlS. (2001)を参照されたい)は、オリゴヌクレオチド5'GGGAGCCATGGCTGACCTTAAGAAAGCAGTTAATGAGCCA3' [配列番号: 16] (pspA27-Ncol)および5'CCGTCGACACCACATACCGTTTTCTTGTTTCCAGCC3' [配列番号: 17] (pspA22-Sall) (下線部は制限エンドヌクレアーゼ(RE)認識部位)を用いてストレプトコッカス・ニューモニエからポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。反応は、3.0mM MgCl2、125mM dNTP、50ピコモルの各プライマー、および2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼを含有する合計体積50mlのカクテル中で30サイクル行った。サイクルは、94℃、1分;55℃、1分;72℃、5分とした。この増幅した遺伝子フラグメントをNcoIおよびSalIで消化し、ついで、〜300bpのpspA遺伝子フラグメントを強力なT7プロモーターおよび翻訳シグナルを有するベクター(pET32a, Novagen, Inc.)のNcoIおよびSalI部位の間に組み入れた。DNA配列は、組換えプラスミドpPAC001がベクターpET32a中のtrx遺伝子およびHis−タグ部位の後に挿入された予想した315kbpのpspA遺伝子フラグメントを含むことを確認した。
【0066】
プラスミドpPAC001はタンパク質生成用にイー・コリ(E.coli)BL21 STAR(DE3)株に形質転換した。この菌株は、誘導性UV5プロモーターの制御下のT7プロモーターの染色体コピーを含む。IPTGを用いて誘導すると、283のアミノ酸、そのうちの105はPspAタンパク質のプロリンに富む領域に由来するもの、を含む組換えタンパク質が発現された。rPAC001は、チオレドキシン(ベクターからの)とプロリンに富む領域との間のタンパク質融合物である。完全な組換えタンパク質の配列を以下に示す(イタリックはプロリンインサートのみを示す)。組換えタンパク質の中央に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその精製を単純化した。それはエンテロキナーゼによっても切断されて、trx融合パートナーからそれが遊離することが許容される。タンパク質は、PspA−特異的部分の小さいサイズのために、免疫原性を確保するように作製した。rPET32aタンパク質(ほとんどチオレドキシン)を免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いる。
【0067】
インサートのタンパク質配列は:
【0068】
【化8】
である。
【0069】
チオレドキシン遺伝子およびHisタグ、ならびにN−末端およびC−末端のいくつかの配列はpET32aベクター由来のものである。全アミノ酸の組成が本明細書に含まれており、105のアミノ酸はイタリックで、上段は本来のPspAアミノ酸である。これらのアミノ酸の約1/4がプロリンであることは注目すべきである。NcoIおよびSalIで切断する前のPCR産物のDNA配列は以下のとおりである:
【0070】
【化9】
【0071】
これには、プライマー上に存在していたNcoI部位およびSaiI部位が含まれる(RE部位は上記配列中に下線を引いている)。PACOOIポリペプチドをコードする一例の核酸(DNA)は以下の配列を有する:
【0072】
【化10】
【0073】
PAC001ポリペプチド内のNPBをコードする一例の核酸配列は以下の配列を有する:
【0074】
【化11】
【0075】
計算分子量=30531.77
概算pI=5.56
アミノ酸組成:
非−極性 数 パーセント
A 36 12.72
V 8 2.83
L 18 6.36
I 9 3.18
P 37 13.07
M 7 2.47
F 5 1.77
W 4 1.41
【0076】
極性 数 パーセント
G 21 7.42
S 12 4.24
T 11 3.89
C 5 1.77
Y 4 1.41
N 8 2.83
Q 13 4.59
【0077】
酸性: 数 パーセント
D 20 7.07
E 22 7.77
【0078】
塩基性: 数 パーセント
K 24 8.48
R 10 3.53
H 9 3.18
【0079】
ELISA法を用いて、PspAのプロリンに富む部分に対する抗体価を決定する。ELISAにおけるこの抗原の最初の試験、および融合パートナータンパク質(pET32a)に指向された抗体応答を測定する。PspA−特異的応答のデータを得るために、大部分のpET32a−特異的応答を阻害する阻害ELISAを用いる。Bioradプロテインアッセイによって決定した全タンパク質濃度に基づいて、Nunc MaxiSorpプレート(Nalge Nunc Int'l, Denmark)を、3μg/mlのリン酸緩衝化生理食塩水中の組換えタンパク質で一晩コートする。対照ウェルは、同量のpET32a単独でコートする。1:1000希釈のマウスをELISAに用いる。非−特異的反応は、血清希釈を用いて3−10μg/mLのpET32aタンパク質をそれに添加することによって阻害する。これは、血清希釈の全域において一定である。PspAクレードおよびファミリーに関するさらなる参考文献には、Hollingsheadら, 68 INFECT. IMMUN. 5889-900 (2000); Brilesら, 182 J. INFECT. DIS. 1694-1791(2000);およびBrilesら, 18 VACCINE 1707-11 (2000)が含まれる。pspC遺伝子に関するさらなる情報は入手可能である。例えば、Brooks- Walterら, 67 INFECT. IMMUN. 6533-6542 (1999)を参照されたい。
【0080】
クローンpPAC003の構築およびPspA/BG9739AAPro-richの精製
タンパク質はPAC003(またはPspA/BG9739Pro)と呼ぶ。この組換えタンパク質は、BG9739株からのpspA遺伝子のプロリンに富む領域を含む。これは、アミノ酸の2のプロリンに富むストレッチの中央にNPBを有していないプロリンに富む領域である。NPBは配列番号:15のものである。NPBはPspAの免疫原性区画であり、したがって本発明者らは、この構築物を用いて、保護抗体がプロリンに富むエピトープまたはおそらくこの領域中の他のものと反応するかを区別した。
【0081】
ベクターの構築において、pspA/BG9739ProをコードするpspA.BG9739遺伝子の内部遺伝子フラグメントを、配列番号:16および配列番号:17のオリゴヌクレオチドを用いてエス・ニューモニエBG9739株からポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。反応は、pPAC001の構築と同様に行った。DNA配列は、組換えプラスミドpPAC003が、ベクターpET32a中のtrx遺伝子およびHis−タグ部位の後に挿入された予想された334kbpのpspA遺伝子フラグメントを含むことを確認した。
【0082】
プラスミドpPAC003はタンパク質生成のためにイー・コリ(E.coli)BL21 AI(DE3)株に形質転換した。この菌株は、誘導性araBADプロモーターの制御下のT7プロモーターの染色体コピーを含む。アラビノースおよびIPTGで誘導すると、288アミノ酸を含む(そのうちの110はPspA BG9739タンパク質由来である)組換えタンパク質が発現する。rPAC003はチオレドキシン(ベクターからの)およびプロリンに富む領域の間のタンパク質融合物である。完全組換えタンパク質の配列を以下に示す(イタリックはプロリンインサートのみを示す)。組換えタンパク質の中央に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその生成を簡単にする。それはエンテロキナーゼによっても切断されて、trx融合パートナーからのその遊離を許容する。PspA−特異的部分の小さいサイズのため、タンパク質をこのように作製して免疫原性を保証した。rPET32aタンパク質(ほとんどチオレドキシン)を、免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いる。
【0083】
インサートのタンパク質配列は以下のとおりである:
【0084】
【化12】
【0085】
チオレドキシン遺伝子およびHisタグ、プラスN−末端の小部分およびC−末端の小部分は、pET32aベクター由来のものである。全アミノ酸組成は以下のとおりである。上記のアミノ酸配列のうち109(上方のイタリック)は本来のPspAアミノ酸である。チオレドキシン遺伝子およびHisタグ、およびよりN−末端の小部分およびC−末端の小部分はpET32aベクター由来のものである。全アミノ酸組成は以下のとおりである。上記のアミノ酸配列のうち109(上方のイタリック)は本来のPspAアミノ酸である。その約1/3はプロリンである。NcoIおよびSaiIで切断する前のPCR産物のDNA配列は以下のとおりである:
【0086】
【化13】
【0087】
これは、プライマー上に存在していたNcoI部位およびSalI部位(RE部位は上記配列に下線を引いている)を含む。PAC003ポリペプチドをコードする関連する核酸(DNA)は以下の配列を有する:
【0088】
【化14】
【0089】
計算分子量=29795.33
概算pI=8.48
アミノ酸組成:
非−極性: 数 パーセント
A 48 16.78
V 7 2.45
L 17 5.94
I 9 3.15
P 53 18.53
M 7 2.45
F 5 1.75
W 4 1.40
【0090】
極性: 数 パーセント
G 20 6.99
S 10 3.50
T 13 4.55
C 4 1.40
Y 2 0.70
N 6 2.10
Q 6 2.10
【0091】
酸性: 数 パーセント
D 18 6.29
E 14 4.90
【0092】
塩基性: 数 パーセント
K 27 9.44
R 7 2.45
H 9 3.15
【0093】
この構築物を用いて、PspAのこの部分が動物モデル系およびヒトにおいて保護抗体を誘起することができるかを試験することができる。また、これは、保護がどのくらい広いか (例えば、異なるPspA/PspCタンパク質を有する菌株に対して保護することができるか)を試験するのに有用である。それは、プロリンに富むエピトープとPspAタンパク質のこの領域に入り得る他のものとを区別することができる。
【0094】
クローンpMB001の構築およびPspASM−1 Pro−richの精製
タンパク質はMB001(またはPspASM−l_非−pro−ブロック)と呼ぶ。この組換えタンパク質は、ペプチドSM−1(Shaperら, 72 Infect. Immun. 5031-40 (2004))に沿ったpspA遺伝子の幾つかのプロリンに富む領域に存在する非−pro−ブロック(Brooks- Walterら, 1999)、およびプロリンに富むセグメントからの幾つかの小さな残存物の両方を含む。NPBは配列番号:15のアミノ酸配列を有し、SM−1と呼ぶ配列はAAKKAELEKT [配列番号: 7]である。
【0095】
これらの2の領域は以下の知見のために興味深い:
(1)非−proブロック:その多くがこのブロックを含む種々のrPspCタンパク質での免疫化において、発明者らは、PspCを欠くが非常に類似する非−pro−ブロックを有するPspAを有する攻撃菌株に対して免疫化および保護することができた。ELISAにおいてUAB055およびUAB103(非−pro−ブロックによってのみ異なる2のタンパク質)を用いると、rPspCでの免疫化がUAB103における非−pro−ブロックと反応する抗体を誘起することを見出した。種々のBC100型抗血清の中の交差反応の幾つかのスクリーンは、非−pro−ブロックが、それを取り巻く特異的なプロリンに富むセグメントよりもより免疫原性であることを示唆した。ブロックは、配列決定した24のPspA遺伝子の中の15に存在し、配列決定した12のPspC遺伝子の中の10に存在し;(2)SM−1ペプチド:アポ−ラクトフェリンは肺炎レンサ球菌を殺菌し得るが、この殺菌はSM−1ペプチドによって阻害し得る(しかし、他のペプチドによってはされない)ことが見出された。このペプチドは、PspAがラクトフェリンに結合する領域を表し得る(または表し得ない)。この小さな領域は、PspAの4のクレード間のアライメントの最良に保存されたセグメントである:
【0096】
クレード 1 I.. AKKAELEKA...EAD [配列番号: 22]
クレード 2 A..AKKAELEKT...EAD [配列番号: 23]
クレード 3 A..TKKAELEKT...QKE [配列番号: 24]
クレード 4 A..TKKAELEKT...QKE [配列番号: 25]
【0097】
(3)pMB001におけるプロリンに富むセグメントに関連する領域:この構築物も、ブラジル株に由来する以下の小セグメントPEKPAEEPENPAPAPQPEKS [配列番号: 26]を有する。各プロリンに富むセグメントは菌株間で異なり得るが、PAPAP [配列番号: 27]およびPEKPA [配列番号: 28] は反復パターンで見られる場合がある。もう1のクローン化したタンパク質、PAC003は、この領域の抗原性を取り扱う。
【0098】
ベクターの構築においては、内部遺伝子フラグメントをEcoRIを用いて先のクローンから切断した(後記を参照されたい)。pET32bはEcoRIおよびホスファターゼで切断した。この2つを一緒に連結し、適当な向きについて形質転換体をスクリーニングした。スクリーニングは、プライマー5'GGTACCTGCTTTTGGCGGTTGCTG3' [配列番号: 29] CLlprol.を用いて行った。T7promプライマーと一緒に用いた場合、適当な向きの783bpのPCRフラグメントが得られた。この向きにおいては、以下に示す融合タンパク質を生成する。pMB001、PspA特異的部分に関連する配列
【0099】
【化15】
【0100】
このフラグメントはpGem−TからのEcoRIによって切断したため、このポリヌクレオチド片はEcoRIで切断したpET32bにインサートしてpMB001を作製した。T7promと一緒にプライマーCL1pro1を用いて(783bpのPCRフラグメントを与える)向きをチェックした。この向きにおいては、以下に示す融合タンパク質を生成する。
【0101】
【化16】
【0102】
【化17】
【0103】
上記に示したアミノ酸のうち、イタリックはtrxタンパク質を示し;下線部はHis−タグ・トロンビンS−タグ・エンテロキナーゼ領域を示し;非装飾文字はpGEM−Tから運ばれてきた部分であり;太字はSM1ペプチドおよびプロリン領域の部分を含むPspA関連部分を示す。
【0104】
例えば、DNA配列は組換えプラスミドpMB001がベクターpET32b中のtrx遺伝子およびHis−tag部位の後にインサートされたpspA遺伝子(2の非連続フラグメント)からの162bpを含む。これらは、最終組換えタンパク質中のPspAの54のAAに通じることを確認した。
【0105】
pMB001は、タンパク質産生のためにイー・コリ(E.coli)BL21 STAR(DE3)株に形質転換した。この菌株は誘導性UV5プロモーターの制御下にT7プロモーターの染色体コピーを含む。IPTGで誘導すると、275アミノ酸(そのうちの54はPspAタンパク質由来)を含む組換えタンパク質を発現する。rPAC001はチオレドキシン(ベクターからの)およびプロリンに富む領域の間の融合タンパク質である。完全な組換えタンパク質の配列を以下に示す(イタリックのプロリンインサートのみ)。組換えタンパク質の中位に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその精製を単純化した。それはエンテロキナーゼでも切断して、trx融合パートナーからのその遊離を許容する。タンパク質をこのように作製して、PspA−特異的部分の小さいサイズのために免疫原性を確実にした。rPET32aタンパク質(大部分チオレドキシン)を免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いる。
【0106】
MB001ポリペプチドをコードする例示的な核酸(DNA)は以下の配列を有する:
【0107】
【化18】
【0108】
また、NPBペプチドをコードする例示的な核酸(DNA)は以下の配列を有する:
【0109】
【化19】
【0110】
計算分子量=30141.38
概算pI=5.40
アミノ酸組成:
極性 数 パーセント
G 21 7.42
非−極性: 数 パーセント
A 27 9.82
V 7 2.55
L 26 9.45
I 13 4.73
P 22 8.00
M 7 2.55
F 5 1.82
W 3 1.09
【0111】
極性: 数 パーセント
G 17 6.18
S 19 6.91
T 19 6.91
C 2 0.73
Y 4 1.45
N 10 3.64
Q 10 3.64
【0112】
酸性: 数 パーセント
D 20 7.27
E 22 8.00
【0113】
塩基性: 数 パーセント
K 21 7.64
R 11 4.00
H 10 3.64
【0114】
この構築物を用いて、PspAの部分(詳細にはSM−1)を付加することが動物モデル系およびヒトにおいてプロリンに富むサブ区画のみを含む免疫原(PAC001またはPAC003のような)と比較して動物モデル系およびヒトにおいて優れた保護抗体を誘起し得るかを試験した。保護の幅(例えば、それが異なるPspAを有する菌株に対して保護し得るか)も決定し得る。
【0115】
クローンpCD1 NPBの構築およびGST NPBペプチドの精製
この構築物から発現したものをGST NPB(または、別にNPBタンパク質)と呼ぶ。この組換えタンパク質は、幾つかのPspAおよび幾つかのPspC遺伝子のプロリンに富む領域に横たわるNPBを含む。この特別の構築物はpPAC001(AC94株)からクローン化した。NPBというアミノ酸配列は、例えば、MEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 6]である。このNPBはこのポリペプチドの中の非常に免疫原性のセクションのようであり、保護的であり、被膜化した細胞の表面に結合する抗体を生起し得るようである。
【0116】
ベクターは以下のように構築した:PspA/AC94ProをコードするPspA/AC94Pro遺伝子の内部遺伝子フラグメントを、オリゴヌクレオチド5'-GACGACGACAAGATGGAGAAGTCAGCAGATCAA-3'[配列番号:33] (非-pro-L5)および5'-GAGGAGAAGCCCGGTTTACCGTTGCTGTTGAGTCAAGCG-3'[配列番号:34] (非-pro-R3-修正済み)を用いてpPAC001プラスミドからポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。修正した配列はTAAを加えて終止コドンを提供する。PCR反応は、最終濃度3.0mM MgCl2、125mM dNTP、0.4μmolの各プライマーおよび0.4ユニットのKOD DNAポリメラーゼを含有するカクテル合計体積50mlで30サイクル行った。この反応からのアンプリコンは、pET41の製造業者のプロトコールに従ってT4 DNAポリメラーゼで処理した。サイクルは、94℃、1分;55℃、1分;72℃、5分とした。この増幅したフラグメントは、強力なT7プロモーターおよび翻訳シグナルを含むベクター(pET41 EK/LIC,Novagen, Inc.)のEK/LICにライゲーション・インディペンデント・クローニングによって取り込ませた。DNA配列は、予想される〜117bpのpspA遺伝子フラグメントを含む組換えプラスミドpCD NPBがベクターpET41 EK/LICのGST遺伝子およびHis−tag部位の後に挿入されたことを確認した。
【0117】
プラスミドpCD NPBは、タンパク質産生のためにイー・コリ(E.coli)BL21 STAR(DE3)株に形質転換した。この菌株は、誘導性UV5プロモーターの制御下のT7プロモーターの染色体コピーを含む。IPTGで誘導すると、307アミノ酸を含む組換えタンパク質(そのうちの28はPspAタンパク質のプロリンに富む領域に由来する)を発現した。rCD NPBは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−タグ)(ベクターからの)とプロリンに富む領域の非−pro−ブロックとの間のタンパク質融合体である。完全な組換えタンパク質の配列を以下に示す(下線部)。組換えタンパク質の中位に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその精製を単純化した。それはトロンビンまたはエンテロキナーゼを用いても切断することができ、GST融合パートナーからのその遊離を許容する。タンパク質をこの様に作製して、PspA−特異的部分の小さいサイズのために、免疫原性を確認した。rPET41タンパク質(大部分がGST)を免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いた。
【0118】
【化20】
【0119】
GST遺伝子、Hisタグ、トロンビン部位、S−タグ、およびよりN−末端の先端部分はpET41 Ek/LICベクターから来たものである。全アミノ酸組成を示す。28のアミノ酸(非装飾文字、非下線)は非−pro−ブロックからの天然PspAアミノ酸である。
【0120】
T4 DNAポリメラーゼを用いて末端をエキソ型で消化する前のLIC末端を有するPCR産物のDNA配列は以下のとおりであった:
【0121】
【化21】
【0122】
これは、プライマー上に存在したLIC部位を含む(上記配列の下線部のRE部位)。
計算分子量=34983.93
概算pI=5.58
アミノ酸組成:
非−極性: 数 パーセント
A 18 5.88
V 10 3.27
L 30 9.80
I 14 4.58
P 16 5.23
M 12 3.92
F 10 3.27
W 4 1.31
【0123】
極性: 数 パーセント
G 25 8.17
S 18 5.88
T 11 3.59
C 4 1.31
Y 16 5.23
N 5 1.63
Q 11 3.59
【0124】
酸性: 数 パーセント
D 26 8.50
E 24 7.84
【0125】
塩基性: 数 パーセント
K 25 8.17
R 14 4.58
H 13 4.25
【0126】
複数pspAおよびpspC遺伝子中の非−pro−ブロックの類似性を図12A−Bに示す。類似する配列を有するこれらのポリペプチドも、本明細書に記載する免疫原性非−アルファコイル化PspA/PspCポリペプチドの範囲に入る。これらのアミノ酸配列中の変化も、本明細書に記載する免疫原性ポリペプチドの誘導体、変異型または部分と考えることができる。
【0127】
クローンpCD42 NPBの構築およびGST NPBペプチドの精製
このクローンから発現したタンパク質をGST NPB(またはNPBタンパク質)と命名した。組換えタンパク質は、幾つかのpspAおよび幾つかのpspC遺伝子のプロリンに富む領域に埋め込まれたNPBを含む。この特定のものは、pPAC001(AC94株)からクローニングした。この構築物のNPBのアミノ酸配列はMEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号: 6]である。NPBは免疫原性であり、それに対する抗体は保護的であり、被膜化した細胞の表面にも結合する。
【0128】
ベクターの構築。PspA/AC94ProをコードするPspA/AC94Pro遺伝子1を、オリゴヌクレオチド
5'GACGACGACAAGATGGAGAAGTCAGCAGATCAA3'[配列番号: 37](非-pro-L5)および5'GAGGAGAAGCCCGGTTTACCGTTGCTGTTGAGTCAAGCG3'[配列番号:38](非-pro-R3-修正済み)を用いてpPAC001プラスミドからポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。修正はTAAを付加して終止コドンを提供した。PCR反応は、3.0mM MgCl2、125mM dNTP、最終濃度0.4ユニットの各プライマー、および0.4ユニットのKOD DNAポリメラーゼを含有するカクテル中、合計体積50mlで30サイクル行った。この反応からのアンプリコンを、pET41製造業者のプロトコールに従ってT4 DNAポリメラーゼで処理した。サイクルは94℃、1分;55℃、1分;72℃、5分とした。この増幅した遺伝子フラグメントは、強力なT7プロモーターおよび翻訳シグナルを含むベクター(pET41 EK/LIC,Novagen, Inc.)のEK/LIC部位にライゲーション・インディペンデント・クローニングによって取り込ませた。DNA配列決定は、予想される〜117bpのpspA遺伝子フラグメントを含む組換えプラスミドpCD NPBがベクターpET41 EK/LICのGST遺伝子およびHis−タグ部位の後に挿入されたことを確認した。
【0129】
タンパク質産生のために、プラスミドpCD42 NPBをイー・コリ(E.coli)BL21 STAR(DE3)株に形質転換した。この菌株は、誘導性UV5プロモーターの制御下のT7プロモーターの染色体コピーを含む。IPTGで誘導すると、307のアミノ酸を含む組換えタンパク質(そのうちの28はPspAタンパク質のプロリンに富む領域に由来する)が発現する。rCD NPBは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−タグ)(ベクターからの)およびプロリンに富む領域の非−pro−ブロックの間のタンパク質融合体である。完全組換えタンパク質の配列を以下に示す(イタリックはインサートのみ)。組換えタンパク質の中位に存在する6のヒスチジン残基を用いて、ニッケル・クロマトグラフィーによるその精製を単純化する。それはトロンビンまたはエンテロキナーゼでも切断して、GST融合パートナーからのその遊離を許容する。タンパク質をこのように作製して、PspA−特定部位の小さいサイズのために、免疫原性を確保した。rPET41タンパク質(大部分GST)を、免疫化プロトコールにおける陰性対照免疫原として用いる。
【0130】
インサートのタンパク質配列は以下のとおりである:
【0131】
【化22】
【0132】
GST遺伝子、Hisタグ、トロンビン部位、S−タグ、およびよりN−末端の先端部分は、pET41/LICベクターから来たものである。全アミノ酸組成の分析は後記する。太字で示す28の上記のアミノ酸は、NPBからの天然PspAアミノ酸である。T4 DNAポリメラーゼを用いて末端をエキソ型で消化する前のLIC末端(イタリックの)を含むPCR産物のDNA配列は以下のとおりである:
【0133】
【化23】
【0134】
計算分子量=34983.93
概算pI=5.58
アミノ酸組成:
非−極性: 数 パーセント
A 18 5.88
V 10 3.27
L 30 9.80
I 14 4.58
P 16 5.23
M 12 3.92
F 10 3.27
W 4 1.31
【0135】
極性: 数 パーセント
G 25 8.17
S 18 5.88
T 11 3.59
C 4 1.31
Y 16 5.23
N 5 1.63
Q 11 3.59
【0136】
酸性: 数 パーセント
D 26 8.50
E 24 7.84
【0137】
塩基性: 数 パーセント
K 25 8.17
R 14 4.58
H 13 4.25
【0138】
実施例2 マウス免疫化実験
組換えタンパク質PAC001、PAC003およびMB001を用いてマウスMB001(非−proブロックを含むSM−1およびPAC001の1/2を含む)を免疫化した。マウスは、アジュバントとしてアルミニウムを用いて10日間隔で3回皮下的に免疫化した。対照はアルミニウム単独で免疫化するか、または、アルミニウムおよび組換えタンパク質(方法が非−特異的免疫を生じない対照としての融合パートナー)で免疫化した。この場合に融合パートナーを用いる理由は精製を促進すること、および、ペプチドが十分な免疫原性を有するのに十分に大きいかを確かめるためである。その後に、マウスを尾部静脈注射によって静脈内的に送達する致死容量の生エス・ニューモニエ3JYP2670で攻撃する。攻撃株は3の組換えタンパク質のいずれかを有する非−コグネイトであるPspAを有し、したがって交差保護について試験した。図4および図7に反映するように、マウスが瀕死になるまでの時間を記録した。試験した3の免疫原の各々について、生存時間によって判断されるように保護応答を誘起した。
【0139】
図4を参照して、MB001の結果はP=0.021でアルミニウム対照から統計学的に異なった。PAC001の結果はP=0.0006でアルミニウム対照から統計学的に異なった。PAC003については、結果はアルミニウムから全く有意でなかった(0.0537)が、アルミニウム対照について14のうちの2に対して、5のマウスのうちの3が生存した。この差は、より多くのマウスを用いた場合にはより顕著になったかもしれない。融合パートナーを用いた結果は、試験したマウスの数ははるかに少ないが、アルミニウムによって得たものと一致した。この実験から、PspAのプロリンに富む配列が保護を誘起し得ることが明らかであった。
【0140】
pCD42 NPBからの組換えタンパク質(GST NPB)を作製し、PspAおよびPspCペプチドのこの部分が動物モデル系およびヒトにおいて保護抗体を誘起し得るか否かを試験した。この活性が見出されれば、実験はその保護がどの位広いか(すなわち、それは異なるPspAを有する菌株に対して保護し得るか)を示すであろう。さらに、例えば、抗体が被膜化した細胞に結合し得るか、抗体が補体沈着を増大し得るか、および、抗体は増殖している細胞のみに結合するのかは、ついで調べる。
【0141】
プロリンに富む領域は、それが非−pro−ブロックを含むか否かにかかわりなく、図5A−Cに示すようにコイル化したコイル配列の部分ではないため、ミオシン中のコイル化−コイルタンパク質配列を含むそれらの中のエピトープを有するいずれの抗体交差反応も誘起しないにちがいない。
【0142】
実施例3 抗体結合実験
KL67と命名したモノクローナル抗体は、幾つかのPspAおよびPspCタンパク質内に取り囲まれたプロリンに富む領域の非−プロリンブロックと特異的に結合することが判定された。PspAおよびKL67特異性のペプチドは染色ゲルおよび図8に示す対応するウエスタンブロットに示す。
【0143】
マウスIgGにコンジュゲートしたFITCを用いたフローサイトメトリー分析によって検出したストレプトコッカス・ニューモニエ株に対するKL67の抗体結合性を、図9に示す。抗体は1/3に希釈し、示すのは3回実験の平均である。縦軸スケールの値は「対照よりも大きな倍数」であり、これは二次抗体のみで標識した細菌の蛍光で除した標識細菌の蛍光の比率である。菌株は脚注に記載し、それは示すようにD39野生株、ならびにPspAおよびPspCまたは被膜の発現を欠いている突然変異株を含む。最初の3株は被膜化されている。D39株においては、PspA遺伝子およびPspC遺伝子の両方がmAb KL67によって認識されるNPBを含むプロリンに富む領域を有している。
【0144】
マウスIgGにコンジュゲートしたFITCを用いたフローサイトメトリー解析によって検出したストレプトコッカス・ニューモニエ株に対するKL67の抗体結合性のもう1の実験を図10に要約する。抗体は1/3に希釈し、3回実験の平均を示す。縦軸スケールの値は「対照よりも大きな倍数」であり、二次抗体のみで標識した細菌の蛍光で除した標識細菌の蛍光の比率である。菌株を脚注に記載し、それは示すようにWU2野生株、および、PspAおよびHicまたは被膜の発現を欠くWU2突然変異株を含む。最初の3株は被膜化されている。WU2株においては、PspA遺伝子のみがKL67によって認識されるNPBを含むプロリンに富む領域を有する。
【0145】
マウスIgGにコンジュゲートしたFITCを用いたフローサイトメトリー解析によって検出した、KL67ニューモニエ株の結合性に対するさらなる実験を図11に要約する。抗体は1/3に希釈し、3回実験の平均を示す。縦軸スケールの値は「対照よりも大きな倍数」であり、二次抗体のみで標識した細菌の蛍光で除した標識細菌の蛍光の比率である。菌株を脚注に記載し、それは示すようにTIGR4野生株、および、PspA、PspC、その両方、または被膜の発現を欠く突然変異株を含む。最初の5株は被膜化されている。TIGR4株においては、PspC遺伝子のみがmAb KL67によって認識されるNPBを含むプロリンに富む領域を有する。PspAは有しない。
【0146】
これらの実験は、mAb KL67が、幾つかのPspAおよびPspC分子のプロリンに富む領域に存在するNPB領域を特異的に認識することを示している。PspAまたはPspCのいずれかに関連するNPBは、被膜2、被膜3および被膜4血清型を有する生エス・ニューモニエ上へのmAb KL67抗体に近づきやすい。さらに、PspA上のNBPは、PspC不存在下および被膜不存在下の抗体にわずかにより近づきやすい。また、構築物PAC001に対して生起したポリクローナル血清は、肺炎レンサ球菌細胞の表面に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、すべての知られている科およびクレードのPspA(および幾つかの例においてPspC)に共通する領域のマップを示す。それは、また、組換えPspポリペプチドMB001、PAC003、PAC001およびNPBも示す。
【図2−1】図2A−Bは組換えPspAポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【図2−2】図2C−Eは組換えPspAポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【図3】図3A−Dは組換えタンパク質免疫原の態様のPspA−特異的部分を示す。
【図4】図4は本明細書に例示するマウス敗血症攻撃の結果のグラフ表示である。
【図5】図5A−Cは、PspA−特異的免疫原性ポリペプチドのChou−Fasman構造確率プロットを示す。
【図6】図6は、免疫原性PspA/PspCポリペプチドの実施例態様のアライメントを示す。
【図7】図7は、PspAのプロリンに富む領域で免疫化し、3型被膜3JYP2670株で攻撃した後のデータを示す。
【図8】図8は、mAb KL67がPspA/PspCポリペプチドのプロリンに富む領域の非−プロリンブロックに特異的であることを示す染色ゲルおよび対応するウエスタンブロットを示す。
【図9】図9は、肺炎レンサ球菌の幾つかの菌株に対するmAb KL67の蛍光活性化セルソーティング(FACS)結合からのデータを示す。
【図10】図10は、WU2野生型およびPspAおよびHieまたは被膜を欠く突然変異株に対するmAb KL67のFACS結合からのデータを示す。
【図11】図11は、TIGR4野生型株および被膜、PspA、PspCまたはPspAおよびPspCの両方を欠く突然変異株に対するmAb KL67のFACS結合からのデータを示す。
【図12】図12A−Bは、多様なpspAおよびpspC遺伝子中の非−proブロックの配列における類似性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファヘリックス構造を欠くストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)表面タンパク質A(PspA)または表面タンパク質C(PspC)の精製した免疫原性ポリペプチド。
【請求項2】
アルファヘリックス構造を欠くPspAまたはPspC分子の非−プロリン・ブロックのアミノ酸配列を有する精製した免疫原性ポリペプチド。
【請求項3】
DLKKAVNEPEKPAEEPENPAPAPKPAPAPQPEKPAPAPAPKPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKAEKPAPAPVPKPEQPAPAPKTGWGQENGMW [配列番号:1];
DLKKAVNEPETPAPAPAPAPAPAPTPEAPAPAPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPAPAPKPEKPAEKPAPAPKPETPKTGWKQENGMW [配列番号:2];
MAKKAELEKTPEKPAEEPENPAPAPQPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKA [配列番号:3];
EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:4]、および前記のいずれかの免疫原性ホモログ、部分、フラグメント、変異型または誘導体
よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有するストレプトコッカス・ニューモニエ表面タンパク質A(PspA)または表面タンパク質(PspC)の精製した免疫原性ポリペプチド。
【請求項4】
アルファヘリックス構造を欠く(PspA)または(PspC)の免疫原性ポリペプチドを含むワクチン。
【請求項5】
該部分が、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4、またはそれらの免疫原性ホモログ、部分、フラグメント、変異型、または誘導体のアミノ酸を有するポリペプチドからなる請求項4記載のワクチン。
【請求項6】
PspAまたはPspCポリペプチドの免疫原性非−アルファヘリックス領域をコードする精製した核酸。
【請求項7】
DNA配列:
GACCTTAAGAAAGCAGTTAATGAGCCAGAAAAACCAGCTGAAGAGCCTGAGAATCCAGCTCCTGCACCAAAACCAGCGCCGGCTCCTCAACCAGAAAAACCAGCTCCAGCTCCTGCACCAAAACCAGAGAAGTCAGCAGATCAACAAGCTGAAGAAGACTATGCTCGTAGATCAGAAGAAGAATATAACCGCTTGACTCAACAGCAACCGCCAAAAGCAGAAAAACCAGCTCCAGCTCCTGTACCAAAACCAGAGCAACCAGCTCCCGCACCAAAAACGGGCTGGGGACAAGAAAACGGTATGTGG [配列番号:10];
GACCTTAAGAAAGCAGTTAATGAGCCAGAAACTCCAGCTCCGGCTCCAGCCCCAGCTCCAGCTCCAGCTCCAACTCCAGAAGCCCCAGCTCCAGCTCCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCAGCTCCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGAAAAGCCAGCAGAAAAACCAGCTCCAGCTCCTAAACCAGAAACTCCAAAAACAGGCTGGAAACAAGAAAACGGTATGTGG [配列番号:11];
ATGGCTAAAAAAGCTGAATTAGAAAAAACTCCAGAAAAACCAGCTGAAGAGCCTGAGAATCCAGCTCCAGCACCACAACCAGAGAAGTCAGCAGATCAACAAGCTGAAGAAGACTATGCTCGTAGATCAGAAGAAGAATATAATCGCTTGACCCAACAGCAACCGCCAAAAGCA [配列番号:12];
GAGAAGTCAGCAGATCAACAAGCTGAAGAAGACTATGCTCGTAGATCAGAAGAAGAATATAATCGCTTGACCCAACAGCAACCG [配列番号:13];または
GAGAAGTCAGCAGATCAACAAGCTGAAGAAGACTATGCTCGTAGATCAGAAGAAGAATATAACCGCTTGACTCAACAGCAACCG [配列番号:14]
を有する請求項6記載の核酸。
【請求項8】
請求項6または7に記載の核酸を含むベクター。
【請求項9】
請求項6記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項10】
請求項8記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項11】
該ポリペプチドを産生する請求項9または請求項10記載の宿主細胞からポリペプチドを調製する肯定を含む、PspAまたはPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を構成する免疫原性ポリペプチドを製造する方法。
【請求項12】
請求項3記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを産生することができる宿主細胞。
【請求項13】
PspAまたはPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を構成する少なくとも1の有効量の免疫原性ポリペプチドを投与することを含む、患者を免疫化する方法。
【請求項14】
アミノ酸配列:EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:4]を含む精製した免疫原性ポリペプチド。
【請求項15】
MEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:5];
EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQP [配列番号:8];
DLKKAVNEPEKPAEEPENPAPAPKPAPAPQPEKPAPAPAPKPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKAEKPAPAPVPKPEQPAPAPKTGWGQENGMW [配列番号:1];および
MAKKAELEKTPEKPAEEPENPAPAPQPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKA [配列番号:3]
よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項14記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項1】
アルファヘリックス構造を欠くストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)表面タンパク質A(PspA)または表面タンパク質C(PspC)の精製した免疫原性ポリペプチド。
【請求項2】
アルファヘリックス構造を欠くPspAまたはPspC分子の非−プロリン・ブロックのアミノ酸配列を有する精製した免疫原性ポリペプチド。
【請求項3】
DLKKAVNEPEKPAEEPENPAPAPKPAPAPQPEKPAPAPAPKPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKAEKPAPAPVPKPEQPAPAPKTGWGQENGMW [配列番号:1];
DLKKAVNEPETPAPAPAPAPAPAPTPEAPAPAPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPAPAPKPEKPAEKPAPAPKPETPKTGWKQENGMW [配列番号:2];
MAKKAELEKTPEKPAEEPENPAPAPQPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKA [配列番号:3];
EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:4]、および前記のいずれかの免疫原性ホモログ、部分、フラグメント、変異型または誘導体
よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有するストレプトコッカス・ニューモニエ表面タンパク質A(PspA)または表面タンパク質(PspC)の精製した免疫原性ポリペプチド。
【請求項4】
アルファヘリックス構造を欠く(PspA)または(PspC)の免疫原性ポリペプチドを含むワクチン。
【請求項5】
該部分が、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4、またはそれらの免疫原性ホモログ、部分、フラグメント、変異型、または誘導体のアミノ酸を有するポリペプチドからなる請求項4記載のワクチン。
【請求項6】
PspAまたはPspCポリペプチドの免疫原性非−アルファヘリックス領域をコードする精製した核酸。
【請求項7】
DNA配列:
GACCTTAAGAAAGCAGTTAATGAGCCAGAAAAACCAGCTGAAGAGCCTGAGAATCCAGCTCCTGCACCAAAACCAGCGCCGGCTCCTCAACCAGAAAAACCAGCTCCAGCTCCTGCACCAAAACCAGAGAAGTCAGCAGATCAACAAGCTGAAGAAGACTATGCTCGTAGATCAGAAGAAGAATATAACCGCTTGACTCAACAGCAACCGCCAAAAGCAGAAAAACCAGCTCCAGCTCCTGTACCAAAACCAGAGCAACCAGCTCCCGCACCAAAAACGGGCTGGGGACAAGAAAACGGTATGTGG [配列番号:10];
GACCTTAAGAAAGCAGTTAATGAGCCAGAAACTCCAGCTCCGGCTCCAGCCCCAGCTCCAGCTCCAGCTCCAACTCCAGAAGCCCCAGCTCCAGCTCCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGCTCCAGCTCCAGCTCCGGCTCCTAAACCAGAAAAGCCAGCAGAAAAACCAGCTCCAGCTCCTAAACCAGAAACTCCAAAAACAGGCTGGAAACAAGAAAACGGTATGTGG [配列番号:11];
ATGGCTAAAAAAGCTGAATTAGAAAAAACTCCAGAAAAACCAGCTGAAGAGCCTGAGAATCCAGCTCCAGCACCACAACCAGAGAAGTCAGCAGATCAACAAGCTGAAGAAGACTATGCTCGTAGATCAGAAGAAGAATATAATCGCTTGACCCAACAGCAACCGCCAAAAGCA [配列番号:12];
GAGAAGTCAGCAGATCAACAAGCTGAAGAAGACTATGCTCGTAGATCAGAAGAAGAATATAATCGCTTGACCCAACAGCAACCG [配列番号:13];または
GAGAAGTCAGCAGATCAACAAGCTGAAGAAGACTATGCTCGTAGATCAGAAGAAGAATATAACCGCTTGACTCAACAGCAACCG [配列番号:14]
を有する請求項6記載の核酸。
【請求項8】
請求項6または7に記載の核酸を含むベクター。
【請求項9】
請求項6記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項10】
請求項8記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項11】
該ポリペプチドを産生する請求項9または請求項10記載の宿主細胞からポリペプチドを調製する肯定を含む、PspAまたはPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を構成する免疫原性ポリペプチドを製造する方法。
【請求項12】
請求項3記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを産生することができる宿主細胞。
【請求項13】
PspAまたはPspCポリペプチドの非−アルファヘリックス領域を構成する少なくとも1の有効量の免疫原性ポリペプチドを投与することを含む、患者を免疫化する方法。
【請求項14】
アミノ酸配列:EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:4]を含む精製した免疫原性ポリペプチド。
【請求項15】
MEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ [配列番号:5];
EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQP [配列番号:8];
DLKKAVNEPEKPAEEPENPAPAPKPAPAPQPEKPAPAPAPKPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKAEKPAPAPVPKPEQPAPAPKTGWGQENGMW [配列番号:1];および
MAKKAELEKTPEKPAEEPENPAPAPQPEKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQPPKA [配列番号:3]
よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項14記載の免疫原性ポリペプチド。
【図1】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12−2】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12−2】
【公表番号】特表2009−525047(P2009−525047A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553339(P2008−553339)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/002698
【国際公開番号】WO2007/089866
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(301044015)ザ ユーエイビー リサーチ ファウンデイション (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/002698
【国際公開番号】WO2007/089866
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(301044015)ザ ユーエイビー リサーチ ファウンデイション (4)
【Fターム(参考)】
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