説明

肺炎球菌血清型14の糖を含む組み合わせ

髄膜炎菌リポオリゴ糖と肺炎球菌血清型14莢膜糖とは、ヒト組織と交差反応できる抗原を共有する。本発明は、これらの2つの抗原を共投与した場合に自己反応性抗体の生成を最小限にするための種々の方法を提供する。一局面において、本発明は、髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)とを含む免疫原性組成物を提供し、上記LOSおよび/または上記CS14が、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第61/162,996号(2009年3月24日出願)からの優先権を主張する。この出願の完全な内容は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、混合ワクチン、特に肺炎球菌血清型14莢膜糖とリポオリゴ糖成分(例えばNeisseria meningitidisから)との両方を含有するものの分野にある。
【背景技術】
【0003】
肺炎球菌としても知られるStreptococcus pneumoniaeは、グラム陽性球状細菌である。現在の肺炎球菌ワクチンは、莢膜糖に基づく。承認された小児ワクチンは、(a)血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fからの結合体化糖の7価混合物であるPREVNAR(商標)、(b)血清型1、5および7Fについてもカバーする10価結合体混合物であるSYNFLORIX(商標)、ならびに(c)血清型3、6Aおよび19Aについてもカバーする13価結合体混合物であるPREVNAR13(商標)である。その他の9価、10価、11価および13価結合体の組合せも公知である。
【0004】
髄膜炎菌としても公知のNeisseria meningitidisは、グラム陰性の球状細菌である。現在の髄膜炎菌ワクチンも、莢膜糖に基づく。これらは、1価血清群C結合体ワクチン(MENJUGATE(商標)、MENINGITEC(商標)、NEISVAC−C(商標))と、血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yについての4価結合体混合物(MENACTRA(商標))とを含む。血清群B(「MenB」)に対する一般的な使用のために承認された有用なワクチンは、現在のところ存在しない。MenBワクチンを作製するための現在の研究努力は、外膜小胞(例えばMENZB(商標)、HEXAMEN(商標)、NONAMEN(商標))またはリポオリゴ糖および外膜タンパク質のような外膜からの精製された成分に焦点を当てている。外膜小胞(OMV)に基づくMenBワクチンが、近年、注目されている。例えば、Novartis Vaccines、GlaxoSmithKlineおよびRIVM/NVIはそれぞれ、小胞に基づく製品を有する。
【0005】
参考文献1(非特許文献1)は、13価肺炎球菌結合体ワクチン(「13vPnC」、WyethのPREVNAR 13TM)と9価MenB外膜小胞ワクチン(NONAMEN(商標)、NVI)とを組み合わせることにより形成された、肺炎球菌とMenBの両方に対して免疫化するための組成物を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】van den Dobbelsteenら、Vaccine(2007)25:2491〜6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
髄膜炎菌血清群Bと肺炎球菌の両方に対して防御するためのさらなる、そして改良された混合ワクチンに対する必要性がまだ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の開示
本発明者は、参考文献1の混合ワクチンでの問題点を同定した。13vPnC成分は、肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)を含み、MenB成分中の小胞は、細菌外膜のリポオリゴ糖(LOS;LPSともいう)成分を含む。本発明者は、LOS(少なくとも髄膜炎菌イムノタイプL2、L3、L4およびL7について)とCS14とが、四糖構造Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcを共有することを認識した。この四糖は、ラクト−N−ネオテトラオース(LNnT)として公知であり、ヒト、特に母乳にも存在し、ラクト−N−ネオテトラオシルセラミド(パラグロボシドとしても公知)の末端部分としても存在し、これは、ABHおよびP血液型スフィンゴ糖脂質ならびにいくつかのガングリオシドの生合成前駆体である。LNnTエピトープは、通常、ヒト組織においてin vivoで末端シアリル化(MenBでも見られるが、CS14では見られない)により、いくつかの状況(例えば低温)において遮蔽されているが、これは、免疫到達可能になり、このエピトープへの抗体の結合は、溶血を導く。この近づきやすさは、寒冷凝集素症またはAIHA(自己免疫性溶血性貧血)として公知の自己免疫反応を導く。
【0009】
本発明者は、MenBのLOSおよびCS14の両方におけるLNnT構造の存在が、これらの抗原のいずれかを患者に投与することにより、抗LNnT抗体のレベルの増加をもたらす可能性があり得ることを意味することを認識した。これらの2つの抗原を共投与した場合、抗原をワクチンアジュバントと共に投与した場合は特に、非常に高レベルの抗LNnT抗体が惹起される危険性がある。よって、MenBのLOSとCS14を共に含む混合ワクチンは、ワクチンを冬の間に投与する場合は特に、患者においてAIHAの原因となる危険性がより高いことがある。本発明は、このようなワクチンにおけるLNnTエピトープの免疫原性効果を制限することによりこの危険性を減少させることを目的とし、MenBと肺炎球菌抗原とを共投与する場合に自己反応性抗体を生成する危険性を最小限にする種々の方法を提供する。
【0010】
第1の態様において、LNnTエピトープを、LOSもしくはCS14のいずれかまたは両方において破壊する。よって、本発明は、髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)とを含む免疫原性組成物であって、前記LOSおよび/または前記CS14が、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含まない組成物を提供する。免疫原性組成物は、典型的には、アジュバントをさらに含む。エピトープがLOSおよびCS14の一方にだけ存在する場合、これは、LOSに存在しないことが好ましい。
【0011】
第2の態様において、LNnTエピトープは、LOSおよびCS14の両方に保持されるが、ワクチンはアジュバント無添加である。よって、本発明は、髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)とを含むアジュバント無添加免疫原性組成物であって、前記LOSおよび前記CS14が共にGalβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含む組成物を提供する。例えば、LOSは、髄膜炎菌イムノタイプL2またはL3(またはこれらの両方の混合物が含まれ得る)からであり得る。
【0012】
第3の態様において、LNnTエピトープは、LOSおよびCS14の両方に保持されるが、用量が低レベルに低減される。よって、本発明は、髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)とを含む免疫原性組成物であって、(i)前記LOSおよび前記CS14が共にGalβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含み、(ii)LOSの濃度が5μg/ml未満であり、(iii)CS14の濃度が5μg/ml未満である組成物を提供する。
【0013】
第4の態様において、ワクチンは、MenBに対するLNnT含有LOSを用いるが、肺炎球菌に対するタンパク質抗原を用いることにより、MenBおよび14型肺炎球菌の両方に対して作製される。よって、本発明は、髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌ポリペプチド抗原とを含む免疫原性組成物であって、(i)前記LOSが、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含み、(ii)前記肺炎球菌ポリペプチドが、血清型14肺炎球菌に対して有効な免疫応答を惹起でき、(iii)前記組成物が、肺炎球菌血清型14莢膜糖を含まない組成物を提供する。
【0014】
第5の態様において、ワクチンは、LNnT含有CS14莢膜糖を用いるが、MenBに対する非LOS抗原を用いることにより、MenBおよび14型肺炎球菌の両方に対して作製される。よって、本発明は、髄膜炎菌ポリペプチドと肺炎球菌血清型14莢膜糖とを含む免疫原性組成物であって、(i)前記肺炎球菌血清型14莢膜糖が、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含み、(ii)前記髄膜炎菌ポリペプチドが、血清群B髄膜炎菌に対して有効な免疫応答を惹起でき、(iii)前記組成物が、髄膜炎菌リポオリゴ糖を含まない組成物を提供する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、1以下の髄膜炎菌PorA血清サブタイプを含み、例えば、これらは、PorA外膜タンパク質を含まないことがある。
【0016】
髄膜炎菌リポオリゴ糖
髄膜炎菌LOSは、細菌の外膜の外側の単層で見出されるグルコサミンベースのリン脂質である。これは、リピドA部分とコアオリゴ糖領域とを含み、リピドA部分は、膜において疎水性アンカーとして作用する。オリゴ糖コア中の不均質性が、異なる髄膜炎菌株の間での構造的および抗原的多様性を生じ、これは、株を12のイムノタイプ(L1〜L12)に細分するために用いられている。図1は、L3イムノタイプについてのコアの糖を示す。Hep(ヘプトース)に連結したα鎖は、シアル酸キャップを有するLNnT四糖を含有する。同じ構造が、イムノタイプL7およびL9において観察される。L2およびL4イムノタイプは、L3と同じα鎖を含むが、HepIIに付着するβおよび/またはγ鎖が異なる。KDO残基(2−ケト−3−デオキシ−オクツロソン酸)は、LOSのリピドA部分に付着し、しばしば、第2のKDO残基(図1においてKDOIIと示す)にも連結している。
【0017】
L2およびL3α鎖は、LNnT四糖を含む。本発明がLNnT四糖を含まないLOSを用いる場合、これは、異なるイムノタイプから(例えばL1、L4、L5、L6またはL8から)のLOSを用い得る。いくつかの実施形態において、しかし、L2および/またはL3エピトープ(それらのLNnTエピトープ以外)を保持することが望ましいことがある。これは、α鎖内でLNnT四糖を合成する能力が破壊されるように操作された変異体株を用いることにより、便利に達成できる。関連する生合成付加を担う酵素のノックアウトによりこの目的が達成されることが公知である(例えば参考文献2〜7を参照されたい)。例えば、LgtB酵素のノックアウトは、LNnTの末端ガラクトースの付加を妨げると共に、α鎖の末端シアル酸の下流の付加も妨げる。LgtA酵素のノックアウトは、LNnTのN−アセチル−グルコサミンの付加および、下流の付加も妨げる。LgtAノックアウトは、問題の株がlgtC遺伝子を有する場合(例えばL3イムノタイプを有する血清群B髄膜炎菌のMC58株は、lgtAとlgtBとlgtEとからなり、lgtCおよびlgtDを含まない)に、LgtCノックアウトを伴い得る。同様に、LgtEおよび/またはGalE酵素のノックアウトは、内部ガラクトースの付加を妨げ、LgtFのノックアウトは、Hep残基へのグルコースの付加を妨げる。これらのノックアウトのいずれも、L2、L3、L4、L7またはL9イムノタイプ株におけるLNnT四糖の破壊のために、単独または組み合わせて用いることができる。有用な免疫原性を保持しながらLNnTエピトープが除去されたLOSを提供するので、少なくともLgtBのノックアウトが好ましい。
【0018】
LNnTエピトープを破壊する変異以外に、galE遺伝子のノックアウトも、有用な改変LOSを提供し、リピドA脂肪トランスフェラーゼ遺伝子も同様にノックアウトされ得る[8]。少なくとも1つの第1級O連結脂肪酸を、LOSから除去してよい[9]。LOS分子あたりの第2級アシル鎖の数が低減されたLOSを用いることもできる[10]。LOSは、典型的に、少なくともGlcNAc−Hepホスホエタノールアミン−KDO−リピドA構造を含む[11]。LOSは、GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc三糖を含むが、LNnT四糖を欠くことがある。
【0019】
LOSは、本発明の組成物中に種々の形態で含まれ得る。これは、精製された形態にてそれ自体で用いてよい。これは、担体タンパク質と結合体化してよい。これは、髄膜炎菌外膜小胞内に存在してよい。これは、髄膜炎菌外膜小胞と結合体化してよい。
【0020】
LOSが結合体化されている場合、結合体化は、LOS中のリピドA部分を介するか、または任意のその他の適切な部分、例えばそのKDO残基によるものであってよい。LOSのリピドA部分が存在しない場合、このような代替の連結が必要となる。LOSについての結合体化技術は、参考文献9、11、12、13などから公知である。これらの結合体のために好ましい担体タンパク質は、ジフテリアもしくは破傷風毒素またはそのトキソイドもしくは変異体のような細菌毒素である。これらは、結合体ワクチンにおいて通常用いられる。CRM197ジフテリア毒素変異体が有用である[14]。その他の適切な担体タンパク質は、N.meningitidis外膜タンパク質複合体[15]、合成ペプチド[16、17]、熱ショックタンパク質[18、19]、百日咳タンパク質[20、21]、サイトカイン[22]、リンホカイン[22]、ホルモン[22]、成長因子[22]、N19[24]のような種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4T細胞エピトープを含む人工タンパク質[23]、H.influenzaeからのタンパク質D[25〜27]、ニューモリシン[28]またはその非毒性誘導体[29]、肺炎球菌表面タンパク質PspA[30]、鉄取り込みタンパク質[31]、C.difficileからの毒素AまたはB[32]、組換えPseudomonas aeruginosaエキソタンパク質A(rEPA)[33]などを含む。
【0021】
LOSは、小胞内に存在し得る。このような小胞は、髄膜炎菌外膜を破壊するかまたは小疱形成(blebbing)させて、外膜からのタンパク質成分とLOSとを含む小胞を形成することにより得られる任意のプロテオリポソーム性小胞を含む。よって、この用語は、OMV(時に、「小疱(bleb)」ともよばれる)、微小胞(MV[34])および「未変性OMV」(「NOMV」[35])を含む。
【0022】
MVおよびNOMVは、細菌の成長中に自発的に形成され、培養培地中に放出される、天然に存在する膜小胞である。MVは、Neisseriaをブロス培養培地中で培養し、全細胞をブロス培養培地中のより小さいMVから分離し(例えばろ過または低速遠心分離により、より小さい小胞でなく細胞だけをペレットにすることにより)、次いで、MVを、細胞を除いた培地から回収する(例えばろ過、MVの分別沈殿(differential precipitation)もしくは凝集形成、高速遠心分離によりMVをペレットにすることにより)ことにより得ることができる。MVの生成において用いる株は、通常、培養において生成されるMVの量に基づいて選択でき、例えば、参考文献36および37は、MVの生成が高いNeisseriaについて記載している。
【0023】
OMVは、細菌から人工的に調製され、洗浄剤処理(例えばデオキシコール酸塩)を用いて、または洗浄剤でない手段(例えば参考文献38を参照されたい)により調製してよい。OMVを形成する技術は、細菌を胆汁酸塩洗浄剤(例えばリトコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸、ウルソコール酸などの塩、デオキシコール酸ナトリウム[39および40]が、Neisseriaを処理するために好ましい)で、洗浄剤を沈殿させないように十分に高いpHにて処理すること[41]を含む。その他の技術は、洗浄剤の実質的な非存在下で[38]、超音波処理、均質化、微小流動化、キャビテーション、浸透圧ショック、粉砕、フレンチプレス、ブレンドなどのような技術を用いて行ってよい。洗浄剤を全く用いないかまたは少量で用いる方法は、NspAのような有用な抗原を保持できる[38]。よって、方法は、約0.5%またはより低い、例えば約0.2%、約0.1%、<0.05%もしくはゼロのデオキシコール酸塩を含むOMV抽出緩衝液を用いてよい。
【0024】
OMV調製のための有用なプロセスは、参考文献42に記載され、高速遠心分離の代わりにむしろ粗OMVに対する限外ろ過を含む。プロセスは、限外ろ過を行った後に超遠心分離のステップを含んでよい。
【0025】
本発明で用いるための小胞は、任意の髄膜炎菌株から調製できる。小胞は、通常、血清群B株からであるが、A、C、W135またはYのようなB以外の血清型からこれらを調製することが可能である(例えば参考文献41は、血清群Aについてのプロセスを開示する)。株は、任意の血清型(例えば1、2a、2b、4、14、15、16など)、任意の血清サブタイプ、および任意のイムノタイプ(例えばL1;L2;L3;L3,3,7;L10など)のものであってよい。髄膜炎菌は、高度侵襲性および高度病原性の系列を含む任意の適切な系列、例えば以下の7つの高度侵襲性系列のいずれか:サブグループI;サブグループIII;サブグループIV−1;ET−5菌群(complex);ET−37菌群;A4クラスタ;系列3からであってよい。これらの系列は、多座位酵素電気泳動(MLEE)により規定されているが、多座位配列タイピング(MLST)を用いても髄膜炎菌が分類されている[参考文献43]。例えば、ET−37菌群は、MLSTによりST−11菌群であり、ET−5菌群は、ST−32であり(ET−5)、系列3は、ST41/44である、などである。小胞は、以下のサブタイプの1つを有する株から調製できる:P1.2;P1.2,5;P1.4;P1.5;P1.5,2;P1.5,c;P1.5c,10;P1.7,16;P1.7,16b;P1.7h,4;P1.9;P1.15;P1.9,15;P1.12,13;P1.13;P1.14;P1.21,16;P1.22,14。
【0026】
本発明で用いられる小胞は、野生型髄膜炎菌株または変異体髄膜炎菌株から調製し得る。例えば、参考文献44は、改変fur遺伝子を有するN.meningitidisから得られる小胞の調製を開示している。参考文献51は、nspA発現が、porAおよびcpsノックアウトと同時に上方調節されるはずであることを教示している。OMV生成のためのN.meningitidisのさらなるノックアウト変異体は、参考文献3、51および52に開示されている。参考文献45は、fHBPが上方調節された小胞を開示している。参考文献46は、6つの異なるPorAサブタイプを発現するように改変された株からの小胞の構築を開示している。これらのまたはその他の変異体は全て、本発明で用いることができる。
【0027】
よって、本発明で用いられる株は、いくつかの実施形態において、1より多いPorAサブタイプを発現する。6価および9価のPorA株が、以前に構築されている。株は、2、3、4、5、6、7、8または9のPorAサブタイプ:P1.7,16;P1.5−1,2−2;P1.19,15−1;P1.5−2,10;P1.12−1,13;P1.7−2,4;P1.22,14;P1.7−1,1および/またはP1.18−1,3,6を発現してよい。その他の実施形態において、しかし、株は、PorA発現について下方調節されてよく、すなわち、PorAの量が野生型のレベルに対して(例えば参考文献50に開示されるH44/76株に対して)少なくとも20%(例えば≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%など)低減されているかまたはノックアウトさえされている。
【0028】
有利には、髄膜炎菌のLgtB−ve株から調製された小胞は、組合せ調製物において抗CS14応答を改善することが示されている。
【0029】
LOSは、参考文献47に記載されるような固定(すなわち相変動性でない)LOSイムノタイプを有する株(例えば遺伝子操作された髄膜炎菌株)からであってよい。例えば、L2およびL3 LOSイムノタイプを固定してよい。このような株は、イムノタイプ間のスイッチング率が、元の野生型株に対して1/2未満に(>1/50にさえ)低減されてよい。参考文献47は、lgtAおよび/またはlgtG遺伝子生成物の改変によりこの結果をどのようにして達成できるかについて開示している。
【0030】
いくつかの実施形態において、株は、あるタンパク質を過剰発現(対応する野生型株に対して)してよい。例えば、株は、NspA、タンパク質287[48]、fHBP[45]、TbpAおよび/またはTbpB[49]、Cu,Zn−スーパーオキシドジスムターゼ[49]などを過剰発現してよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、株は、参考文献3および50〜52に開示されるノックアウトおよび/または過剰発現変異体の1または複数を含んでよい。下方調節および/またはノックアウトのために有用な遺伝子は、(a)Cps、CtrA、CtrB、CtrC、CtrD、FrpB、GalE、HtrB/MsbB、LbpA、LbpB、LpxK、Opa、Opc、PilC、PorB、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[50];(b)CtrA、CtrB、CtrC、CtrD、FrpB、GalE、HtrB/MsbB、LbpA、LbpB、LpxK、Opa、Opc、PhoP、PilC、PmrE、PmrF、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[51];(c)ExbB、ExbD、rmpM、CtrA、CtrB、CtrD、GalE、LbpA、LpbB、Opa、Opc、PilC、PorB、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[52];ならびに(d)CtrA、CtrB、CtrD、FrpB、OpA、OpC、PilC、PorB、SiaD、SynA、SynBおよび/またはSynC[3]を含む。
【0032】
変異体株を用いる場合、いくつかの実施形態において、これは、所望によりLNnT破壊変異(複数可)に加えて、以下の特徴の1もしくは複数または全てを有してよい。(i)上方調節されたTbpA;(ii)上方調節されたNhhA;(iii)上方調節されたOmp85;(iv)上方調節されたLbpA;(v)上方調節されたNspA;(vi)ノックアウトされたPorA;(vii)下方調節またはノックアウトされたFrpB;(viii)下方調節またはノックアウトされたOpa;(ix)下方調節またはノックアウトされたOpc;(x)欠失されたcps遺伝子複合体。
【0033】
有利には、小胞中のLOSは、LOSとタンパク質成分とを小胞中で連結するように(「小疱内」結合体化[3])処理できる。
【0034】
LOSは、例えばL3について、そのヘプトースII残基に付着したGlcNac残基上でO−アセチル化されてよい[53]。
【0035】
免疫原性組成物は、1より多い型のLOS、例えば髄膜炎菌イムノタイプL2およびL3からのLOSを含むことができる。例えば、参考文献54に開示されるLOSの組合せを用いてよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、LOSは、5μg/ml未満、例えば≦4μg/ml、≦3μg/ml、≦2μg/ml、≦1μg/mlで組成物中に存在する。この低濃度は、CS14がLNnTエピトープを保持する場合に有用であり得る。
【0037】
LOS抗原は、好ましくは、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0038】
肺炎球菌血清型14莢膜糖
本発明の組成物は、肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)を含む。参考文献55は、CS14が、図2に示す反復構造を含むことを報告している。
【0039】
本発明で用いられるCS14糖は、通常、野生型反復単位を含むが、いくつかの実施形態において、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含まないように改変され得る。この改変は、1もしくは複数の関連する生合成酵素のノックアウト、あるいは四糖中の4つの残基の1もしくは複数を改変するような糖の化学的および/または酵素的処理により達成できる。例えば、Cytophaga keratolyticaの培養上清から精製されたエンド−β−ガラクトシダーゼは、CS14を含む影響を受けやすい多糖のガラクトースβ(1→4)グルコース結合の加水分解を触媒する[55]。
【0040】
CS14は、N−アセチル化されていてよい。参考文献56に記載されるように、例えば、これは、50%、60%、70%、80%または90%より多くN−アセチル化されてよい。
【0041】
CS14は、典型的には、組成物中に結合体として含まれる。このような結合体に適切な担体タンパク質は、ジフテリアもしくは破傷風毒素またはそのトキソイドもしくは変異体のような上記の例えば細菌毒素、例えばCRM197、N.meningitidis外膜タンパク質複合体、合成ペプチド、熱ショックタンパク質、百日咳タンパク質、サイトカイン、リンホカイン、ホルモン、成長因子、N19のような種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4T細胞エピトープを含む人工タンパク質、H.influenzaeからのタンパク質D、ニューモリシンまたはその非毒性誘導体、肺炎球菌表面タンパク質PspA、鉄取り込みタンパク質、C.difficileからの毒素AまたはB、rEPAなどである。CS14に特に有用な担体タンパク質は、CRM197、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドおよびH.influenzaeタンパク質Dである。PREVNAR(商標)に見られるCRM197は、非常に有用である。
【0042】
担体分子は、CS14に、直接またはリンカーを介して共有結合によって結合体化してよい。種々のリンカー、例えば遊離の−NH基(例えばアミノ化により糖に導入される)とアジピン酸(例えばジイミド活性化を用いて)とのカップリングと、次いで得られた糖−アジピン酸中間体へのタンパク質のカップリングにより形成し得る[57、58]アジピン酸リンカーが公知である。別の好ましい型の連結は、改変糖の遊離のヒドロキシル基とCDIとの反応[59、60]と、その後のタンパク質との反応によりカルバメート連結を形成することにより形成され得るカルボニルリンカーである。その他のリンカーは、β−プロピオンアミド[61]、ニトロフェニル−エチルアミン[62]、ハロアシルハロゲン化物[63]、グリコシド結合による連結[64]、6−アミノカプロン酸[65]、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(SPDP)[66]、アジピン酸ジヒドラジドADH[67]、C〜C12部分[68]などを含む。カルボジイミド縮合も用いることができる[69]。
【0043】
還元的アミノ化によるCS14の結合体化を用いることができる。糖は、過ヨウ素酸塩を用いてまず酸化してアルデヒド基を導入し、これが、次いで、担体タンパク質との直接的な共有結合による連結を、還元的アミノ化により例えばリジンのε−アミノ基に形成できる。糖が分子あたりに複数のアルデヒド基を含む場合、この連結技術は、複数のアルデヒドが複数の担体アミンと反応した架橋生成物を導くことができる。
【0044】
CS14糖は、肺炎球菌から調製される全長のインタクトな糖を含んでよく、かつ/または全長の糖のフラグメントを含んでよく、すなわち、糖は、細菌において見られる天然の莢膜糖よりも短くてよい。糖は、よって、解重合されてよく、この解重合は、糖の精製中もしくはその後であるが、結合体化の前に生じる。解重合は、糖の鎖長を低減する。解重合は、免疫原性のために最適な鎖長を提供し、かつ/または糖の物理的管理しやすさのために鎖長を低減するために用いることができる。Prevnar(商標)に見られるインタクトなCS14が好ましい。
【0045】
いくつかの実施形態において、CS14は、組成物中に5μg/ml未満、例えば≦4μg/ml、≦3μg/ml、≦2μg/ml、≦1μg/mlで存在する。この低濃度は、LOSがLNnTエピトープを保持する場合に有用であり得る。約4μg/mlの濃度が便利である。
【0046】
CS14抗原は、好ましくは、CS14と結合する抗莢膜抗体を惹起でき、例えば≧0.20μg/mLの抗CS14抗体レベルを惹起できる[70]。抗体は、酵素イムノアッセイ(EIA)および/またはオプソニン作用活性(OPA)の測定により評価してよい。EIA法は、広範に確認されており、抗体濃度とワクチン効力との間に関連が存在する。
【0047】
代替の髄膜炎菌抗原
本発明のいくつかの実施形態において、組成物は、LNnT含有CS14莢膜糖を含むが、MenBに対する非LOS抗原を含む。LOSの代替として、fHBP、287、NadA、NspA、HmbR、NhhA、Appおよび/またはOmp85のようなポリペプチド抗原が挙げられる。これらの抗原は、精製ポリペプチド、例えば組換えポリペプチドとして有用に存在する。
【0048】
髄膜炎菌抗原は、好ましくは、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0049】
fHBP(H因子結合タンパク質)
本発明の組成物は、fHBP抗原を含んでよい。fHBP抗原は、詳細に特徴決定されている。fHBP抗原は、タンパク質「741」(参考文献81中の配列番号2535および2536)、「NMB1870」、「GNA1870」[参考文献71〜73]、「P2086」、「LP2086」または「ORF2086」[74〜76]としても公知である。これは、天然ではリポタンパク質であり、全ての髄膜炎菌血清群にわたって発現されている。fHbpのC末端免疫優性ドメイン(「fHbpC」)の構造は、NMRにより決定されている[77]。タンパク質のこの部分は、8本鎖のβバレルを形成し、その鎖は、種々の長さのループで接続されている。バレルの前には、短いαヘリックスとフレキシブルN末端テイルがある。
【0050】
fHBP抗原は、3つの別々のバリアントに当てはまり[78]、ある所定のファミリーに対して産生された血清が、同じファミリー内で殺菌性であるが、その他の2つのファミリーの1つを発現する株に対しては活性でない、すなわちファミリー内交差防御が存在するが、ファミリー間交差防御は存在しないことが見出されている。本発明は、単一fHBPバリアントを用いることができるが、2または3のバリアントからのfHBPを含むことが有用である。
【0051】
本発明が単一fHBPバリアントを用いる場合、組成物は、(a)配列番号1と少なくともa%の配列同一性を有し、かつ/または配列番号1からの少なくともx隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列;あるいは(b)配列番号2と少なくともb%の配列同一性を有し、かつ/または配列番号2からの少なくともy隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列;あるいは(c)配列番号3と少なくともc%の配列同一性を有し、かつ/または配列番号3からの少なくともz隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含むポリペプチドを含んでよい。
【0052】
本発明が2または3のバリアントからのfHBPを用いる場合、組成物は、(a)配列番号1と少なくともa%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号1からの少なくともx隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1ポリペプチド;(b)配列番号2と少なくともb%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号2からの少なくともy隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2ポリペプチド;および/あるいは(c)配列番号3と少なくともc%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号3からの少なくともz隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第3ポリペプチドから選択される2または3の異なるfHBPの組合せを含んでよい。第1、第2および第3ポリペプチドは、異なるアミノ酸配列を有する。
【0053】
本発明が2つのバリアントからのfHBPを用いる場合、組成物は、(a)配列番号1と少なくともa%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号1からの少なくともx隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1ポリペプチドと、(b)配列番号2と少なくともb%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号2からの少なくともy隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2ポリペプチドとの両方を含み得る。第1および第2ポリペプチドは、異なるアミノ酸配列を有する。
【0054】
本発明が2つのバリアントからのfHBPを用いる場合、組成物は、(a)配列番号1と少なくともa%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号1からの少なくともx隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1ポリペプチドと、(b)配列番号3と少なくともc%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号3からの少なくともz隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2ポリペプチドとの両方を含み得る。第1および第2ポリペプチドは、異なるアミノ酸配列を有する。
【0055】
aの値は、少なくとも85であり、例えば86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5またはそれより大きい。bの値は、少なくとも85であり、例えば86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5またはそれより大きい。cの値は、少なくとも85であり、例えば86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5またはそれより大きい。a、bおよびcの値は、本質的に互いに関連しない。
【0056】
xの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。yの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。zの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。x、yおよびzの値は、本質的に互いに関連しない。配列番号1、2または3のフラグメントは、好ましくは、関連する配列番号のエピトープを含む。
【0057】
有用な組成物は、配列番号3と少なくとも90%(例えば少なくとも93%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号3からの少なくとも40隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、fHBPポリペプチド(複数可)は、例えばN末端システインにて脂質付加され、通常、トリパルミトイル−S−グリセリル−システインを形成する。その他の実施形態において、これらは脂質付加されない。
【0059】
fHBPの投与は、好ましくは、配列番号1、2または3のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起する。本発明で用いるために有利なfHBP抗原は、被験体への投与の後に殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0060】
1または複数のfHBPポリペプチドが存在する場合、fHBPの全用量は、60μg/用量から200μg/用量の間であってよい。
【0061】
287
本発明の組成物は、287抗原を含んでよい。287抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[79]中に、遺伝子NMB2132(GenBank受理番号GI:7227388;本明細書において配列番号9)として含まれた。多くの株からの287抗原の配列が、それ以降公開されている。例えば、287の対立遺伝子型は、参考文献80の図5および15、参考文献81の実施例13および図21(その中の配列番号3179〜3184)で見ることができる。287抗原の種々の免疫原性フラグメントも報告されている。
【0062】
本発明で用いるために好ましい287抗原は、(a)配列番号9と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号9の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号9からのエピトープを含む。
【0063】
本発明の最も有用な287抗原は、被験体に投与した後に、配列番号9のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利な287抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0064】
NadA(ナイセリア付着因子A)
本発明の組成物は、NadA抗原を含んでよい。NadA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[79]中に、遺伝子NMB1994(GenBank受理番号GI:7227256;本明細書において配列番号10)として含まれた。多くの株からのNadA抗原の配列がそれ以降公開され、ナイセリアの付着因子としてのタンパク質活性は、詳細に文書化されている。NadAの種々の免疫原性フラグメントも報告されている。
【0065】
本発明で用いるために好ましいNadA抗原は、(a)配列番号10と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号10の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号10からのエピトープを含む。
【0066】
本発明の最も有用なNadA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号10のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNadA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。配列番号6は、あるそのようなフラグメントである。
【0067】
NspA(ナイセリア表面タンパク質A)
本発明の組成物は、NspA抗原を含んでよい。NspA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[79]中に、遺伝子NMB0663(GenBank受理番号GI:7225888;本明細書において配列番号11)として含まれた。抗原は、参考文献82および83から、以前に公知であった。多くの株からのNspA抗原の配列が、それ以降公開されている。NspAの種々の免疫原性フラグメントも報告されている。
【0068】
本発明で用いるために好ましいNspA抗原は、(a)配列番号11と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号11の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号11からのエピトープを含む。
【0069】
本発明の最も有用なNspA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号11のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNspA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0070】
HmbR
本発明の組成物は、髄膜炎菌HmbR抗原を含んでよい。全長HmbR配列は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[79]中に、遺伝子NMB1668(本明細書において配列番号7)として含まれた。参考文献84は、異なる株からのHmbR配列(本明細書において配列番号8)を報告している。配列番号7と8は、1アミノ酸長異なり、94.2%の同一性を有する。
【0071】
本発明は、全長HmbR配列を含むポリペプチドを用いることができるが、部分的なHmbR配列を含むポリペプチドを頻繁に用いる。よって、いくつかの実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、配列番号7と少なくともi%(ここで、iの値は、50、60、70、80、90、95、99またはそれより多い)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでよい。別の実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、配列番号7からの少なくともj連続アミノ酸のフラグメント(ここで、jの値は、7、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い)のフラグメントを含んでよい。別の実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、(i)配列番号7と少なくともi%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号7からの少なくともj連続アミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列を含んでよい。
【0072】
jアミノ酸の好ましいフラグメントは、配列番号7からのエピトープを含む。このようなエピトープは、通常、HmbRの表面上にあるアミノ酸を含む。有用なエピトープは、ヘモグロビンとのHmbRの結合に関与するアミノ酸を有するものを含む。なぜなら、これらのエピトープと結合する抗体は、宿主のヘモグロビンと結合する細菌の能力を遮断できるからである。HmbRの位相幾何学およびその重要な機能的残基は、参考文献85において調べられた。
【0073】
本発明の最も有用なHmbR抗原は、被験体に投与した後に、配列番号7のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なHmbR抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0074】
参考文献31とは異なって、本発明のHmbR抗原は、通常、莢膜糖抗原に結合体化されない。
【0075】
NhhA(Neisseria hiaホモログ)
本発明の組成物は、NhhA抗原を含んでよい。NhhA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[79]中に、遺伝子NMB0992(GenBank受理番号GI:7226232;本明細書において配列番号12)として含まれた。多くの株からのNhhA抗原の配列がそれ以降公開され、例えば参考文献80および86であり、NhhAの種々の免疫原性フラグメントが報告されている。これは、Hsfとしても公知である。
【0076】
本発明で用いるために好ましいNhhA抗原は、(a)配列番号12と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号12の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号12からのエピトープを含む。
【0077】
本発明の最も有用なNhhA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号12のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNhhA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0078】
App(付着および貫通タンパク質(adhesion and penetration protein))
本発明の組成物は、App抗原を含んでよい。App抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[79]中に、遺伝子NMB1985(GenBank受理番号GI:7227246;本明細書において配列番号13)として含まれた。多くの株からのApp抗原の配列がそれ以降公開されている。Appの種々の免疫原性フラグメントが報告されている。
【0079】
本発明で用いるために好ましいApp抗原は、(a)配列番号13と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号13の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号13からのエピトープを含む。
【0080】
本発明の最も有用なApp抗原は、被験体に投与した後に、配列番号13のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なApp抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0081】
Omp85(85kDa 外膜タンパク質)
本発明の組成物は、Omp85抗原を含んでよい。Omp85抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[79]中に、遺伝子NMB0182(GenBank受理番号GI:7225401;本明細書において配列番号14)として含まれた。多くの株からのOmp85抗原の配列がそれ以降公開されている。Omp85についてのさらなる情報は、参考文献87および88で見出すことができる。Omp85の種々の免疫原性フラグメントも報告されている。
【0082】
本発明で用いるために好ましいOmp85抗原は、(a)配列番号14と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号14の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号14からのエピトープを含む。
【0083】
本発明の最も有用なOmp85抗原は、被験体に投与した後に、配列番号14のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なOmp85抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0084】
代替の肺炎球菌抗原
組成物中にCS14を含むよりもむしろ、いくつかの実施形態において、ワクチンは、MenBに対して防御するためのLNnT含有LOSを含むが、肺炎球菌に対するタンパク質抗原を含む。肺炎球菌ポリペプチドは、血清型14肺炎球菌に対して有効な免疫応答を惹起できる。
【0085】
組成物は、(1)spr0057抗原、(2)spr0286抗原、(3)spr0565抗原、(4)spr1098抗原、(5)spr1345抗原、(6)spr1416抗原、(7)spr1418抗原、(8)spr0867抗原、(9)spr1431抗原、(10)spr1739抗原、(11)spr2021抗原、(12)spr0096抗原、(13)spr1433抗原および/または(14)spr1707抗原の1または複数を含んでよい。
【0086】
組成物は、(1)PspAポリペプチド、(2)PsaAポリペプチド、(3)PspCポリペプチド、(4)LytAポリペプチド、(5)PhtAポリペプチド、(6)PhtAポリペプチド、(7)PhtAポリペプチドおよび/または(8)PhtDポリペプチドの1または複数を含んでよい。
【0087】
組成物は、RrgA、RrgBおよび/またはRrgCのような肺炎球菌ピリ繊毛のサブユニットを含んでよい。
【0088】
肺炎球菌ポリペプチド抗原は、好ましくは、被験体に投与した後に、防御抗体を惹起できる。
【0089】
spr0057
元の「spr0057」配列は、参考文献89中に「ベータ−N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ前駆体」(GI:15902101を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0057のアミノ酸配列を、配列番号18として本明細書中に示す。
【0090】
本発明で用いるために好ましいspr0057ポリペプチドは、(a)配列番号18と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号18の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0057タンパク質は、配列番号18のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号18からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号18のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号18の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号32であり、これは、天然のリーダーペプチド配列とソルターゼ(sortase)認識配列とを欠いている。
【0091】
spr0286
元の「spr0286配列」は、参考文献89中に「ヒアルロン酸リアーゼ前駆体」(GI:15902330を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0286のアミノ酸配列を、配列番号19として本明細書中に示す。
【0092】
本発明で用いるために好ましいspr0286ポリペプチドは、(a)配列番号19と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号19の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0286タンパク質は、配列番号19のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号19からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号19のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号19の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号33であり、これは、天然のリーダーペプチド配列とソルターゼ認識配列とを欠いている。その他の適切なフラグメントは、配列番号34および35である。
【0093】
spr0565
元の「spr0565」配列は、参考文献89中に「ベータ−ガラクトシダーゼ前駆体」(GI:15902609を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0565のアミノ酸配列を、配列番号20として本明細書中に示す。
【0094】
本発明で用いるために好ましいspr0565ポリペプチドは、(a)配列番号20と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号20の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0565タンパク質は、配列番号20のバリアントを含む(例えば配列番号66;以下を参照されたい)。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号20からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号20のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号20の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号36であり、これは、天然のリーダーペプチド配列とソルターゼ認識配列とを欠いている。その他の適切なフラグメントは、配列番号37および38である。
【0095】
spr0565のバリアント形態は、本明細書中の配列番号39である。免疫化のためのこのバリアント形態の使用は、参考文献90に報告されている(その中の配列番号178)。有用なspr0565ポリペプチドは、(a)配列番号39と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号39の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号39のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号39からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号39のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号39の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0096】
配列番号39の免疫原性フラグメントは、参考文献90の表1に同定されている。
【0097】
spr0565は天然において長いポリペプチド(>2000aa)であるので、フラグメントを発現させることがより便利であり得る。よって、本発明で用いるためのspr0565の適切な形態は、1500アミノ酸未満の長さ(例えば<1400、<1300、<1200、<1100など)であり得る。spr0565のこのような短い形態は、「spr0565A」(配列番号37)および「spr0565B」(配列番号38)を含む。
【0098】
spr1098
元の「spr1098」配列は、参考文献89中に「ソルターゼ」(GI:15903141を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1098のアミノ酸配列を、配列番号21として本明細書中に示す。
【0099】
本発明で用いるために好ましいspr1098ポリペプチドは、(a)配列番号21と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号21の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1098タンパク質は、配列番号21のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号21からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号21のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号21の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号40であり、これは、天然のリーダーペプチド配列を欠いている。
【0100】
spr1345
元の「spr1345」配列は、参考文献89中に「仮想タンパク質」(GI:15903388を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1345のアミノ酸配列を、配列番号22として本明細書中に示す。
【0101】
本発明で用いるために好ましいspr1345ポリペプチドは、(a)配列番号22と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号22の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1345タンパク質は、配列番号22のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号22からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号22のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号22の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号41であり、これは、天然のリーダーペプチド配列とソルターゼ認識配列とを欠いている。
【0102】
spr1416
元の「spr1416」配列は、参考文献89中に「仮想タンパク質」(GI:15903459を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1416のアミノ酸配列を、配列番号23として本明細書中に示す。
【0103】
本発明で用いるために好ましいspr1416ポリペプチドは、(a)配列番号23と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号23の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1416タンパク質は、配列番号23のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号23からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号23のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号23の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0104】
spr1418
元の「spr1418」配列は、参考文献89中に「仮想タンパク質」(GI:15903461を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1418のアミノ酸配列を、配列番号24として本明細書中に示す。
【0105】
本発明で用いるために好ましいspr1418ポリペプチドは、(a)配列番号24と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号24の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1418タンパク質は、配列番号24のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号24からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号24のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号24の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0106】
spr0867
元の「spr0867」配列は、参考文献89中に「エンド−ベータ−N−アセチルグルコサミニダーゼ」(GI:15902911を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0867のアミノ酸配列を、配列番号25として本明細書中に示す。
【0107】
本発明で用いるために好ましいspr0867ポリペプチドは、(a)配列番号25と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号25の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0867タンパク質は、配列番号25のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号25からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号25のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号25の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号42であり、これは、天然のリーダーペプチド配列を欠いている。
【0108】
spr1431
元の「spr1431」配列は、参考文献89中に「1,4−ベータ−N−アセチルムラミダーゼ」(GI:15903474を参照されたい)としてアノテートされた。これは、「LytC」として公知であり、免疫化のためのその使用は、参考文献104に報告されている。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1431のアミノ酸配列を、配列番号26として本明細書中に示す。
【0109】
本発明で用いるために好ましいspr1431ポリペプチドは、(a)配列番号26と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号26の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1431タンパク質は、配列番号26のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号26からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号26のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号26の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号43であり、これは、天然のリーダーペプチド配列を欠いている。
【0110】
spr1739
「spr1739」ポリペプチドは、ニューモリシン(例えばGI:15903781を参照されたい)である。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1739のアミノ酸配列を、配列番号27として本明細書中に示す。
【0111】
本発明で用いるために好ましいspr1739ポリペプチドは、(a)配列番号27と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号27の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1739タンパク質は、配列番号27のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号27からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号27のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号27の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0112】
ワクチン接種で用いるためのニューモリシンの変異体形態は、当該技術において公知であり[29、91〜96]、これらの変異体形態は、本発明で用いてよい。解毒化は、例えば34アミノ酸、45アミノ酸、7アミノ酸[98]などを欠失するC末端切断(例えば参考文献97を参照されたい)により達成できる。さらなる変異は、配列番号27に従って番号付けすると、Pro325→Leu(例えば配列番号44)および/またはTrp433→Phe(配列番号45)を含む。これらの変異は、C末端切断と組み合わせて、例えばPro325→Leu変異を7mer切断と組み合わせる(例えば配列番号46)ことができる。
【0113】
spr2021
元の「spr2021」配列は、参考文献89中に「一般ストレスタンパク質GSP−781」(GI:15904062を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr2021のアミノ酸配列を、配列番号28として本明細書中に示す。
【0114】
本発明で用いるために好ましいspr2021ポリペプチドは、(a)配列番号28と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号28の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr2021タンパク質は、配列番号28のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号28からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号28のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号28の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号47であり、これは、天然のリーダーペプチド配列を欠いている。
【0115】
参考文献90は、spr2021を、GbpBに対する相同性を有する分泌45kDaタンパク質としてアノテートし、免疫原としてのその使用を開示している(その中の配列番号243;SP2216)。spr2021の免疫原性フラグメントは、参考文献90の表1(第73頁)に同定されている。spr2021の別の有用なフラグメントは、参考文献99の配列番号1として開示される(本明細書の配列番号28のアミノ酸28〜278)。
【0116】
spr0096
元の「spr0096」配列は、参考文献89中に「仮想タンパク質」(GI:15902140を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0096のアミノ酸配列を、配列番号29として本明細書中に示す。
【0117】
本発明で用いるために好ましいspr0096ポリペプチドは、(a)配列番号29と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号29の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0096タンパク質は、配列番号29のバリアントを含む(例えば配列番号40;以下を参照されたい)。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号29からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号29のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号29の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0118】
配列番号29に対するそのC末端付近に挿入物を有するspr0096のバリアント形態は、本明細書中の配列番号48である。免疫化のためのこのバリアントの使用は、参考文献90に報告されており(その中の配列番号150)、ここでは、LysMドメインタンパク質としてアノテートされている。よって、本発明で用いるためのspr0096は、(a)配列番号48と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号48の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含んでよい。これらのポリペプチドは、配列番号48のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号48からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号48のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号48の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。配列番号48の免疫原性フラグメントは、参考文献90の表1に同定されている。
【0119】
spr0096ポリペプチドは、二量体、例えばホモ二量体の形態で用いてよい。
【0120】
spr1433
元の「spr1433」配列は、参考文献89中に「仮想タンパク質」(GI:15903476を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1433のアミノ酸配列を、配列番号30として本明細書中に示す。
【0121】
本発明で用いるために好ましいspr1433ポリペプチドは、(a)配列番号30と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号30の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1433タンパク質は、配列番号30のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号30からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号30のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号30の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0122】
spr1707
元の「spr1707」配列は、参考文献89中に「ABCトランスポーター基質結合タンパク質−オリゴペプチド輸送」(GI:15903749を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1707のアミノ酸配列を、配列番号31として本明細書中に示す。
【0123】
本発明で用いるために好ましいspr1707ポリペプチドは、(a)配列番号31と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号31の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1707タンパク質は、配列番号31のバリアントを含む(例えば配列番号100;以下を参照されたい)。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号31からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号31のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号31の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0124】
配列番号31とは4アミノ酸異なるspr1707のバリアント形態は、本明細書中の配列番号49である。免疫化のための配列番号49の使用は、参考文献90に報告されている(その中の配列番号220)。よって、本発明で用いるためのspr1707ポリペプチドは、(a)配列番号49と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号49の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号49のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号49からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号49のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号49の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0125】
配列番号49の免疫原性フラグメントは、参考文献90の表1に同定されている。
【0126】
PspA
PspAは、肺炎球菌表面タンパク質Aである。参照の目的のために、全長PspAのアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号50である。R6ゲノムにおいて、PspAはspr0121である[89]。
【0127】
本発明で用いるために好ましいPspAポリペプチドは、(a)配列番号50と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号50の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPspAタンパク質は、配列番号50のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号50からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号50のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号50の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0128】
免疫化のためのPspAの使用は、なかでも参考文献100に報告されている。これは、PspCと組み合わせて有利に投与できる。
【0129】
PsaA
PsaAは、肺炎球菌表面付着因子である。参照の目的のために、全長PsaAのアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号51である。
【0130】
本発明で用いるために好ましいPsaAポリペプチドは、(a)配列番号51と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号51の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPsaAタンパク質は、配列番号51のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号51からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号51のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号51の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。PsaAの有用なフラグメントは、参考文献99に配列番号3として開示されている(本明細書中の配列番号51のアミノ酸21〜519に相当)。
【0131】
免疫化のためのPsaAの使用は、参考文献101に報告されている。これは、PspAおよび/またはPspCと組み合わせて使用できる。
【0132】
PspC
PspCは、肺炎球菌表面タンパク質C[102]であり、コリン結合タンパク質A(CbpA)としても公知である。免疫化のためのその使用は、参考文献103および104に報告されている。R6株において、これはspr1995であり、参照のために、全長spr1995のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号52である。
【0133】
本発明で用いるために好ましいPspCポリペプチドは、a)配列番号52と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号52の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1995タンパク質は、配列番号52のバリアントを含む(例えば配列番号27;以下を参照されたい)。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号52からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号52のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号52の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0134】
PspCのバリアントは、「Hic」として公知である。これは、参考文献105の図1に示すPspCと類似しており、ここでは、これはH因子(fH)と結合すると報告されている。参照の目的のために、全長Hicのアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号53である。Hicタンパク質は、本発明において、PspCポリペプチドに加えてまたはその代わりに用いてよい。
【0135】
本発明で用いるために好ましいHicポリペプチドは、(a)配列番号53と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号53の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのHicタンパク質は、配列番号53のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号53からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号53のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号53の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0136】
PspCおよび/またはHicは、PspAおよび/またはPsaAと組み合わせて有利に用いることができる。
【0137】
LytA
LytAは、N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ(自己溶解素)である。参照の目的のために、全長LytAのアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号54である。R6ゲノムにおいて、LytAは、spr1754である[89]。
【0138】
本発明で用いるために好ましいLytAポリペプチドは、(a)配列番号54と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号54の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのLytAタンパク質は、配列番号54のバリアント(例えばGI:18568354)を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号54からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号54のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号54の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0139】
特に異種乱雑(promiscuous)Tヘルパーエピトープと融合したLytAコリン結合ドメインを含む形態での、免疫化のためのLytAの使用は、参考文献106に報告されている。
【0140】
PhtA
PhtAは、肺炎球菌ヒスチジン三連タンパク質(histidine triad protein)Aである。参照の目的のために、全長PhtA前駆体のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号55である。R6ゲノムにおいて、PhtAはspr1061である[89]。
【0141】
本発明で用いるために好ましいPhtAポリペプチドは、(a)配列番号55と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号55の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtAタンパク質は、配列番号55のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号55からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号55のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号55の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0142】
免疫化のためのPhtAの使用は、参考文献107および108に報告されている。
【0143】
PhtB
PhtBは、肺炎球菌ヒスチジン三連タンパク質Bである。参照の目的のために、全長PhtB前駆体のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号56である。残基578のXaaは、リジンであり得る。
【0144】
本発明で用いるために好ましいPhtBポリペプチドは、(a)配列番号56と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号56の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtBタンパク質は、配列番号56のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号56からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号56のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号56の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0145】
免疫化のためのPhtBの使用は、参考文献107、108および109に報告されている。
【0146】
PhtD
PhtDは、肺炎球菌ヒスチジン三連タンパク質Dである。参照の目的のために、全長PhtD前駆体のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号57である。R6ゲノムにおいて、PhtDはspr0907である[89]。
【0147】
本発明で用いるために好ましいPhtDポリペプチドは、(a)配列番号57と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号57の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtDタンパク質は、配列番号57のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号57からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号57のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号57の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0148】
免疫化のためのPhtDの使用は、参考文献107、108および110に報告されている。
【0149】
PhtE
PhtEは、肺炎球菌ヒスチジン三連タンパク質Eである。参照の目的のために、全長PhtE前駆体のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号58である。R6ゲノムにおいて、PhtEはspr0908である[89]。
【0150】
本発明で用いるために好ましいPhtEポリペプチドは、(a)配列番号58と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号58の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtEタンパク質は、配列番号58のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号58からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号58のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号58の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0151】
免疫化のためのPhtEの使用は、参考文献107および108に報告されている。
【0152】
ハイブリッドポリペプチド
代替の髄膜炎菌または肺炎球菌抗原を本発明で用いる場合、これらは、個別の分離したポリペプチドとして組成物中に存在してよい。1より多いこのような抗原を用いる場合、しかし、これらは、分離したポリペプチドとして存在する必要はない。代わりに、少なくとも2(例えば2、3、4、5またはそれより多い)の抗原は、参考文献111中に髄膜炎菌抗原について開示されるように、単一ポリペプチド鎖(「ハイブリッド」ポリペプチド)として発現され得る。ハイブリッドポリペプチドは、2つの主な利点を提供する。第1に、それ自体では不安定または発現が乏しいことがあるポリペプチドが、この問題を克服する適切なハイブリッドパートナーを加えることにより援助され得る。第2に、商業的な製造が単純化される。なぜなら、ともに抗原的に有用な2つのポリペプチドを生成するために、1回の発現および精製を使用することしか必要とされないからである。
【0153】
ハイブリッドポリペプチドは、上に開示されるように2以上の髄膜炎菌および/または肺炎球菌のポリペプチド配列を含んでよい。2、3、4、5、6、7、8、9または10の抗原からのアミノ酸配列からなるハイブリッドが有用である。特に、2または3の抗原のような2、3、4または5の抗原からのアミノ酸配列からなるハイブリッドが好ましい。
【0154】
ハイブリッドポリペプチドは、式NH−A−{−X−L−}−B−COOH(式中、Xは、上で論じたように、二者択一の髄膜炎菌または肺炎球菌抗原のアミノ酸配列であり、Lは、任意選択のリンカーアミノ酸配列であり、Aは、任意選択のN末端アミノ酸配列であり、Bは、任意選択のC末端アミノ酸配列であり、nは、2以上の整数である(例えば2、3、4、5、6など))で表すことができる。通常、nは、2または3である。
【0155】
−X−部分が、その野生型形のリーダーペプチド配列を有する場合、これは、ハイブリッドタンパク質に含めてよいか、またはハイブリッドタンパク質から省いてよい。いくつかの実施形態において、リーダーペプチドは、ハイブリッドタンパク質のN末端にある−X−部分のもの以外は削除され、すなわち、Xのリーダーペプチドが保持されるが、X・・・Xのリーダーペプチドは省かれる。このことは、全てのリーダーペプチドを削除し、Xのリーダーペプチドを−A−部分として用いることと等しい。
【0156】
{−X−L−}のnの場合のそれぞれについて、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在してよいかまたは存在しなくてよい。例えば、n=2である場合、ハイブリッドは、NH−X−L−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X−L−X−COOH、NH−X−X−L−COOHなどであってよい。リンカーアミノ酸配列(複数可)−L−は、典型的には短い(例えば20以下のアミノ酸、すなわち20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリグリシンリンカー(すなわちGly(n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い)を含む)およびヒスチジンタグ(すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い))が含まれる。その他の適切なリンカーアミノ酸配列は、当業者に明らかである。有用なリンカーは、GSGGGG(配列番号15)またはGSGSGGGG(配列番号16)であり、Gly−SerジペプチドがBamHI制限部位から形成されるので、クローニングおよび操作の助けとなり、(Gly)テトラペプチドが、典型的なポリグリシンリンカーである。特に最後のLとして用いるためのその他の適切なリンカーは、Leu−Gluジペプチドまたは配列番号59である。
【0157】
−A−は、任意選択のN末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば40以下のアミノ酸、すなわち40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質輸送を指示するリーダー配列、またはクローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えばヒスチジンタグ、すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い))が含まれる。その他の適切なN末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。Xがそれ自体のN末端メチオニンを欠失している場合、−A−は、N末端メチオニン、例えばMet−Ala−Serを提供するオリゴペプチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8アミノ酸を有する)、または単一Met残基であることが好ましい。
【0158】
−B−は、任意選択のC末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば40以下のアミノ酸、すなわち39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質輸送を指示する配列、クローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えばヒスチジンタグ、すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い)を含む、例えば配列番号17)、またはタンパク質安定性を増進する配列が含まれる。その他の適切なC末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。
【0159】
髄膜炎菌ポリペプチド抗原の特に有用な組み合わせは、参考文献111および112に開示され、本発明の組成物は、よって、(1)「NadA」タンパク質;(2)「936」タンパク質;(3)「953」タンパク質;(4)「287」タンパク質;および(5)fHBPタンパク質の1、2、3、4または5つを含んでよい。例えば、組成物は、(i)配列番号4のアミノ酸配列を有する第1ポリペプチド;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を有する第2ポリペプチド;および(iii)配列番号6のアミノ酸配列を有する第3ポリペプチドとを含んでよい。
【0160】
アジュバント
本発明の組成物は、免疫学的アジュバントを含んでよい。よって、例えば、これらは、アルミニウム塩アジュバントまたは水中油型エマルジョン(例えば水中スクアレンエマルジョン)を含んでよい。その他のアジュバントも用いてよい。
【0161】
適切なアルミニウム塩は、水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)(例えば、参考文献113の第8および9章を参照されたい)またはそれらの混合物を含む。塩は、任意の適切な形態を取り得る(例えばゲル、結晶、非晶質など)。抗原の塩への吸着が代表的である。患者に投与するための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは、5mg/ml未満、例えば≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlである。最大で0.85mg/用量が好ましい。CS14および髄膜炎菌抗原と共に用いるための好ましいアルミニウム塩アジュバントは、リン酸アルミニウムである。
【0162】
種々の水中油型エマルジョンアジュバントが公知である。これらは、典型的には、少なくとも1種の油と少なくとも1種の界面活性剤とを含み、油(複数可)および界面活性剤(複数可)は、生分解性(代謝可能)であり、生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、通常、直径5μm未満であり、サブミクロンの直径さえ有してよく、これらの小さいサイズは、マイクロフルイダイザーを用いて安定なエマルジョンを得ることにより達成される。220nm未満のサイズの液滴は、フィルタ滅菌に供することができるので好ましい。
【0163】
本発明は、動物(例えば魚類)または植物の供給源からのもののような油を用いることができる。植物油の供給源は、堅果、種子および穀粒を含む。ピーナツ油、大豆油、ココナツ油およびオリーブ油が、最も一般的に入手可能な堅果油の例である。例えばホホバ豆から得られるホホバ油を用いることができる。種子油は、紅花油、綿実油、ひまわり種子油、ごま種子油などを含む。穀粒の群において、コーン油が最も容易に入手可能であるが、小麦、オート麦、ライ麦、米、テフ、ライ小麦などのようなその他の穀類の穀粒の油も用いてよい。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素脂肪酸エステルは、種子油中に天然に存在しないが、堅果油および種子油から出発する適切な材料の加水分解、分離およびエステル化により調製し得る。哺乳動物の乳からの脂肪および油は代謝可能であり、よって、本発明の実施において用いてよい。動物の供給源から純粋な油を得るために必要な分離、精製、けん化およびその他の手段の手順は、当該技術において周知である。ほとんどの魚類は、容易に回収し得る代謝可能な油を含有する。例えば、タラ肝油、サメ肝油および鯨ろうのような鯨油は、本明細書において用い得る魚油のいくつかの例である。いくつかの分岐鎖油が、5炭素イソプレンユニットで生化学的に合成され、通常、テルペノイドとよばれる。サメ肝油は、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして公知の分岐不飽和テルペノイドを含有し、これは、本明細書において特に好ましい。スクアレンの飽和類似体であるスクワランも好ましい油である。スクアレンおよびスクワランを含む魚油は、商業的な供給源から容易に入手可能であるか、または当該技術において公知の方法により得ることができる。その他の好ましい油は、トコフェロールである。油の混合物を用いることができる。
【0164】
組成物がトコフェロールを含む場合、α、β、γ、δ、εまたはξトコフェロールのいずれを用いることもできるが、α−トコフェロールが好ましい。トコフェロールは、いくつかの形態、例えば異なる塩および/または異性体を取ることができる。塩は、コハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩などのような有機塩を含む。D−α−トコフェロールおよびDL−α−トコフェロールの両方を用いることができる。好ましいα−トコフェロールは、DL−α−トコフェロールであり、このトコフェロールの好ましい塩は、コハク酸塩である。
【0165】
界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性比)により分類できる。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、それらに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にTweenとよばれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;線状EO/POブロックコポリマーのようなDOWFAX(商標)の商標の下で販売されるエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー;反復エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数が変動し得るオクトキシノール、特にオクトキシノール−9(TritonX−100またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が興味深い;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)のようなリン脂質;トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij30)のようなラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪酸エーテル(Brij界面活性剤として公知である);ならびにソルビタントリオレエート(Span85)およびソルビタンモノラウレートのようなソルビタンエステル(一般的にSPANとして公知である)を含む界面活性剤を用いることができる。エマルジョンに含めるために好ましい界面活性剤は、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span85(ソルビタントリオレエート)、レシチンおよびTritonX−100である。
【0166】
界面活性剤の混合物、例えばTween80/Span85混合物を用いることができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)のようなポリオキシエチレンソルビタンエステルと、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TritonX−100)のようなオクトキシノールとの組み合わせも適切である。別の有用な組み合わせは、ラウレス−9とポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールとを含む。
【0167】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えばTween80)0.01〜1%、特に約0.1%;オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えばTritonX−100またはTritonシリーズのその他の洗浄剤)0.001〜0.1%、特に0.005〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(例えばラウレス9)0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、特に0.1〜1%または約0.5%である。
【0168】
本発明で有用な具体的な水中油型エマルジョンアジュバントは、それらに限定されないが、以下のものを含む:
・スクアレンとTween80とSpan85とのサブミクロンのエマルジョン。エマルジョンの容量での組成は、約5%スクアレン、約0.5%ポリソルベート80および約0.5%Span85であり得る。重量の点において、これらの比率は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80および0.48%Span85になる。このアジュバントは、参考文献113の第10章および参考文献117の第12章により詳細に記載されるように、「MF59」[114〜116]として公知である。MF59エマルジョンは、シトレートイオン、例えば10mMクエン酸ナトリウム緩衝剤を含んでよい。
・スクアレンとトコフェロールとポリソルベート80(Tween80)とのエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝生理食塩水を含んでよい。これは、Span85(例えば1%で)および/またはレシチンも含んでよい。これらのエマルジョンは、2〜10%スクアレン、2〜10%トコフェロールおよび0.3〜3%Tween80を有してよく、スクアレン:トコフェロールの重量比は、より安定なエマルジョンが得られるので、好ましくは≦1である。スクアレンとTween80とは、約5:2の容量比または約11:5の重量比で存在してよい。あるこのようなエマルジョンは、Tween80をPBS中に溶解して2%溶液を得て、次いで90mlのこの溶液を、(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mlスクアレン)の混合物と混合し、次いで混合物を微小流動化する(microfluidise)ことにより作製できる。得られるエマルジョンは、100〜250nm、好ましくは約180nmの平均直径のサブミクロンの油滴を有し得る。エマルジョンは、3−脱−O−アシル化モノホスホリルリピドA(3d−MPL)も含んでよい。この型の別の有用なエマルジョンは、1ヒト用量あたりに0.5〜10mgスクアレン、0.5〜11mgトコフェロールおよび0.1〜4mgポリソルベート80を含んでよい[118]。
・スクアレンとトコフェロールとTriton洗浄剤(例えばTritonX−100)とのエマルジョン。エマルジョンは、3d−MPLも含んでよい。エマルジョンは、リン酸塩緩衝剤を含有してよい。
・ポリソルベート(例えばポリソルベート80)とTriton洗浄剤(例えばTritonX−100)とトコフェロール(例えばα−トコフェロールスクシネート)とを含むエマルジョン。エマルジョンは、これらの3成分を、約75:11:10の質量比で含んでよく(例えば750μg/mlポリソルベート80、110μg/mlTritonX−100および100μg/mlα−トコフェロールスクシネート)、これらの濃度は、抗原からのこれらの成分のいずれの寄与も含むべきである。エマルジョンは、スクアレンも含んでよい。エマルジョンは、3d−MPLも含んでよい。水相は、リン酸塩緩衝剤を含有してよい。
・スクワランとポリソルベート80とポロキサマー401(「Pluronic(商標)L121」)とのエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4中で処方できる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドについての有用な送達媒体であり、スレオニル−MDPとともに「SAF−1」アジュバント中で用いられている[119](0.05〜1%Thr−MDP、5%スクワラン、2.5%PluronicL121および0.2%ポリソルベート80)。これは、「AF」アジュバントでのようにThr−MDPなしで用いることもできる[120](5%スクワラン、1.25%PluronicL121および0.2%ポリソルベート80)。微小流動化が好ましい。
・スクアレンと水性溶媒とポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン界面活性剤(例えばポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)と疎水性非イオン界面活性剤(例えばソルビタンモノオレエートまたは「Span80」のようなソルビタンエステルまたはマンニドエステル)とを含むエマルジョン。エマルジョンは、好ましくは、熱可逆性であり、かつ/または少なくとも90%の油滴(容量による)が200nm未満のサイズである[121]。エマルジョンは、アルジトール、凍結保護剤(例えばドデシルマルトシドおよび/またはスクロースのような糖)、および/またはアルキルポリグリコシドの1または複数も含んでよい。このようなエマルジョンは、凍結乾燥してよい。
・0.5〜50%の油と、0.1〜10%のリン脂質と、0.05〜5%の非イオン界面活性剤とを含むエマルジョン。参考文献122に記載されるように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
・代謝不可能油(例えば軽鉱油(light mineral oil))と少なくとも1種の界面活性剤(例えばレシチン、Tween80またはSpan80)とのサブミクロンの水中油型エマルジョン。QuilAサポニン、コレステロール、サポニン親油性物質結合体(例えば脂肪族アミンをデスアシルサポニンに、グルクロン酸のカルボキシル基を介して付加することにより生成される、参考文献123に記載されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(dimethyidioctadecylammonium)ブロミドおよび/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンのような添加物を含んでよい。
・鉱油と、非イオン親油性エトキシ化脂肪アルコールと、非イオン親水性界面活性剤(例えばエトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)とを含むエマルジョン[124]。
・鉱油と、非イオン親水性エトキシ化脂肪アルコールと、非イオン親油性界面活性剤(例えばエトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)とを含むエマルジョン[124]。
・サポニン(例えばQuilAまたはQS21)とステロール(例えばコレステロール)とが、らせん状ミセルとして会合しているエマルジョン[125]。
【0169】
水中油型エマルジョンは、それら自体でアジュバントとして、またはさらなる免疫賦活性化合物、例えば免疫賦活性オリゴヌクレオチド、3d−MPLなどのための担体として用いることができる。
【0170】
医薬組成物
本発明は、患者に投与するための医薬組成物に関する。これらは、典型的には、薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体の詳細な考察は、参考文献126で入手可能である。
【0171】
有効投薬容量は、日常的に確立できるが、組成物の典型的なヒト用量は、例えば筋肉内注射について約0.5mlの容量である。これは、PREVNAR(商標)製品、RIVM OMVベースのワクチンおよびMeNZB(商標)についての投薬容量である。これらの投薬容量は、筋肉内注射について典型的であるが、同様の用量をその他の送達経路のために用いてよく、例えば噴霧化(atomisation)用の鼻内OMVベースのワクチンは、1スプレーあたり約100μlまたは約130μlの容量を有して4回のスプレーで投与して、約0.5mlの合計用量を与えてよい。
【0172】
本発明の組成物のpHは、通常、6から8の間、より好ましくは6.5から7.5の間(例えば約7)である。RIVM OMVベースのワクチンのpHは7.4であり[127]、pH<7.5が、本発明の組成物について好ましい。RIVM OMVベースのワクチンは、10mM Tris/HCl緩衝剤を用いることによりpHを維持し、本発明の組成物における安定なpHは、緩衝剤、例えばTris緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤またはヒスチジン緩衝剤を用いることにより維持してよい。よって、本発明の組成物は、通常、緩衝剤を含む。
【0173】
組成物は、滅菌され、かつ/または発熱物質を含まなくてもよい。本発明の組成物は、ヒトに関して等張であってよい。
【0174】
患者に投与するための本発明の組成物は、免疫原性であり、より好ましくはワクチン組成物である。本発明によるワクチンは、予防的(すなわち感染を防止する)または治療的(すなわち感染を処置する)のいずれかであってよいが、典型的には予防的である。ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(複数可)と、必要に応じて任意のその他の成分とを含む。「免疫学的有効量」により、単回用量または連続するものの一部のいずれかとしてその量を個体に投与することが、処置または予防のために有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康および体調、年齢、処置される個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、望まれる防御の程度、ワクチンの処方、医療状態についての処置医の評価およびその他の関連する因子に依存して変動する。この量は、日常的な試験により決定できる比較的広い範囲にあると予測される。本発明の組成物の抗原含量は、通常、1用量あたりのタンパク質の量で表される。1mlあたり約0.9mgタンパク質の用量が、OMVベースの鼻腔内ワクチンについて典型的である。
【0175】
髄膜炎菌および肺炎球菌は、身体の種々の領域に影響し、よって、本発明の組成物は、種々の液体の形態で調製してよい。例えば、組成物は、溶液または懸濁液のいずれかとしての注射用剤として調製してよい。組成物は、例えば吸入器により、微細な噴霧(spray)を用いての肺投与のために調製してよい。組成物は、例えばスプレー剤またはドロップ剤として鼻、耳または眼投与のために調製してよい。筋肉内投与のための注射用剤が典型的である。
【0176】
本発明の組成物は、多回用量フォーマットで包装される場合は特に、抗菌剤を含んでよい。チオメルサールおよび2−フェノキシエタノールのような抗菌剤が、ワクチン中で通常見られるが、水銀を含まない防腐剤を用いるか、または防腐剤を全く用いないことが好ましい。
【0177】
本発明の組成物は、洗浄剤、例えばTween80のようなTween(ポリソルベート)を含んでよい。洗浄剤は、通常、低いレベル、例えば<0.01%で存在する。
【0178】
本発明の組成物は、張度を得るためにナトリウム塩(例えば塩化ナトリウム)を含んでよい。10±2mg/ml NaClの濃度、例えば約9mg/mlが典型的である。
【0179】
処置方法
本発明は、本発明の組成物を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類における免疫応答を惹起するための方法も提供する。免疫応答は、好ましくは、髄膜炎菌と肺炎球菌との両方に対して防御的であり(少なくとも、組成物中にある髄膜炎菌イムノタイプと肺炎球菌血清型(血清型14を含む)とについて)、好ましくは抗体を含む。方法は、既に初回刺激(prime)された患者における追加免疫応答を惹起し得る。
【0180】
哺乳類は、好ましくはヒトである。ワクチンが予防用である場合、ヒトは、好ましくは、小児(例えば、よちよち歩きの幼児または幼児)または10代の若者であり、ワクチンが治療用である場合、ヒトは好ましくは成人である。小児用を意図するワクチンは、例えば安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために、成人に投与してもよい。
【0181】
本発明は、医薬品として用いるための本発明の組成物も提供する。医薬品は、好ましくは、上記のように、哺乳類における免疫応答を惹起するために用いられ(すなわちこれは免疫原性組成物である)、より好ましくはワクチンである。
【0182】
本発明は、(i)髄膜炎菌LOSおよびCS14(LOSおよび/またはCS14は、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含まない)、(ii)髄膜炎菌LOSおよびCS14、しかしアジュバントを含まない(LOSおよびCS14は共にGalβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含む)、(iii)髄膜炎菌LOSおよび肺炎球菌ポリペプチド抗原(LOSは、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含み、肺炎球菌ポリペプチドは、血清型14肺炎球菌に対して有効な免疫応答を惹起できる)、または(iv)髄膜炎菌ポリペプチドおよびCS14(CS14は、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含み、髄膜炎菌ポリペプチドは、血清群B髄膜炎菌に対して有効な免疫応答を惹起できる)の、哺乳類における免疫応答を惹起するための医薬品の製造における使用も提供する。
【0183】
これらの使用および方法は、N.meningitidisおよび/またはS.pneumoniaeを原因とする疾患、例えば細菌性(またはより具体的には髄膜炎菌および/もしくは肺炎球菌性)髄膜炎もしくは敗血症の予防および/または処置のためであることが好ましい。
【0184】
治療処置の効力を確認するある方法は、本発明の組成物の投与後の髄膜炎菌および/または肺炎球菌への感染を監視することを含む。予防的処置の効力を確認するある方法は、組成物の投与後の抗原に対する免疫応答を監視することを含む。本発明の組成物の免疫原性は、それらを試験被験体(例えば12〜16ヶ月齢の小児、または動物モデル[128])に投与し、次いで、髄膜炎菌についての血清殺菌性抗体(SBA)およびELISA力価(GMT)を含む標準的なパラメータを決定することにより決定できる。これらの免疫応答は、通常、組成物の投与の4週間後付近に決定され、組成物の投与前に決定された値と比較される。少なくとも4倍または8倍のSBAの増加が好ましい。組成物の1回より多い用量を投与する場合、1回より多い投与後測定を行ってよい。
【0185】
本発明の組成物は、通常、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内または組織の間隙の空間へ)または任意のその他の適切な経路により達成してよい。本発明は、全身および/または粘膜免疫を惹起するために用いてよい。大腿または上腕への筋肉内投与が好ましい。注射は、針を介して(例えば皮下針)であってよいが、無針注射を代わりに用いてよい。典型的な筋肉内用量は、0.5mlである。
【0186】
投薬処置は、単回用量計画または多回用量計画であり得る。多回用量は、一次免疫化計画および/または追加免疫化計画で用い得る。一次用量計画の後に、追加用量計画を行い得る。初回刺激用量間(例えば4〜16週間)、および初回刺激と追加刺激との間の適切なタイミングは、日常的に決定できる。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態において、肺炎球菌および髄膜炎菌の抗原は、別々であるが共投与(co−administer)してよく、すなわち2つの抗原を、同時、別々または逐次的に投与してよい。典型的には、しかし、2つの抗原を、同時の組み合わせた投与のために混合する。
【0188】
さらなる抗原
上で論じた髄膜炎菌および肺炎球菌抗原を含むことと共に、組成物は、さらなる病原体(複数可)からのさらなる抗原(複数可)を含み得る。例えば、組成物は、以下のさらなる抗原の1または複数を含んでよい:
−表面抗原HBsAgのようなB型肝炎ウイルスからの抗原。
−所望によりパータクチンおよび/または凝集原2および3とも組み合わせた、Bordetella pertussisからの百日咳ホロ毒素(PT)および繊維状ヘマグルチニン(FHA)のようなB.pertussisからの抗原。
−ジフテリアトキソイドのようなジフテリア抗原。
−破傷風トキソイドのような破傷風抗原。
−Haemophilus influenzae B(Hib)からの、典型的には結合体化された糖抗原。
−不活化ポリオウイルス抗原。
【0189】
ジフテリア抗原が組成物に含まれる場合、破傷風抗原と百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原と百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原と破傷風抗原も含むことが好ましい。DTPの組み合わせが、よって、好ましい。
【0190】
さらに、組成物は、さらなる髄膜炎菌または肺炎球菌抗原を含んでよい。
【0191】
CS14抗原に加えて、例えば、組成物は、1または複数のその他の肺炎球菌血清型からの莢膜糖を含むことができる。よって、血清型14に加えて、組成物は、以下の肺炎球菌血清型の1または複数からの莢膜糖を含んでよい:1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび/または33F。組成物は、複数の血清型、例えば合計で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23またはそれより多い血清型を含んでよい。7価、9価、10価、11価および13価の結合体の組合せが、23価の結合体化されていない組合せと同様に当該技術において既に公知である。例えば、10価の組合せは、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fからの糖を含んでよい。11価の組合せは、血清型3からの糖をさらに含み得る。12価の組合せは、10価混合物に、血清型6Aおよび19A;6Aおよび22F;19Aおよび22F;6Aおよび15B;19Aおよび15B;または22Fおよび15Bを加えてよい。13価の組合せは、11価混合物に、血清型19Aおよび22F;8および12F;8および15B;8および19A;8および22F;12Fおよび15B;12Fおよび19A;12Fおよび22F;15Bおよび19A;15Bおよび22F;6Aおよび19Aなどを加えてよい。有用な13価の組合せは、参考文献129、130および131に開示されるようにして調製された、例えば全て別々にCRM197に結合体化された血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19、19Fおよび23Fからの莢膜糖を含む。あるこのような組合せは、血清型6Bの糖を約8μg/mlで、およびその他の12の糖をそれぞれ約4μg/mlの濃度で含む。別のこのような組合せは、血清型6Aおよび6Bの糖をそれぞれ約8μg/mlで、およびその他の11の糖をそれぞれ約4μg/mlで含む。
【0192】
組成物が1より多い肺炎球菌結合体を含む場合、それぞれの結合体は、同じ担体タンパク質または異なる担体タンパク質を用いてよい。参考文献132は、多価肺炎球菌結合体ワクチン中に異なる担体タンパク質を用いる場合の潜在的な利点について記載している。
【0193】
組成物が1より多い血清型からの糖抗原を含む場合、これらは好ましくは別々に調製され、別々に結合体化され、それから組み合わされる。
【0194】
髄膜炎菌LOSまたはポリペプチド抗原に加えて、組成物は、担体タンパク質に通常結合体化される髄膜炎菌莢膜糖を含んでよい。本発明の組成物は、髄膜炎菌血清群A、C、W135およびYの1、2、3または4つ、例えばA+C、A+W135、A+Y、C+W135、C+Y、W135+Y、A+C+W135、A+C+Y、A+W135+Y、A+C+W135+Yなどからの莢膜糖の1または複数の結合体を含んでよい。血清群A、C、W135およびYの4つ全てからの糖を含む成分が理想的である。
【0195】
血清群A髄膜炎菌の莢膜糖は、C3位およびC4位に部分的O−アセチル化を有する(α1→6)連結N−アセチル−D−マンノースアミン−1−ホスフェートのホモポリマーである。C3位でのアセチル化は、70〜95%であり得る。糖を精製するために用いる条件は、脱O−アセチル化をもたらし得る(例えば塩基性条件下で)が、このC3位にてOAcを保持することが有用である。いくつかの実施形態において、血清群Aの糖中のマンノースアミン残基の少なくとも50%(例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%またはそれより多く)が、C3位にてO−アセチル化される。アセチル基は、加水分解を防ぐために、ブロック基で置き換えることができ[133]、このような改変糖は、本発明の意味において、まだ血清群Aの糖である。
【0196】
血清群Cの莢膜糖は、(α2→9)連結シアル酸(N−アセチルノイラミン酸または「NeuNAc」)のホモポリマーである。糖の構造は、→9)−NeupNAc7/8OAc−(α2→と記載される。ほとんどの血清群C株は、シアル酸残基のC7および/またはC8にてO−アセチル基を有するが、臨床単離株の約15%は、これらのO−アセチル基を欠く[134、136]。OAc基の存在または非存在は、ユニークエピトープを生じ、糖と結合する抗体の特異性は、O−アセチル化された株(OAc+)および脱O−アセチル化された株(OAc−)に対するその殺菌活性に影響し得る[136〜138]。本発明で用いられる血清群Cの糖は、OAc+またはOAc−株のいずれかから調製してよい。許諾されたMenC結合体ワクチンは、OAc−(NEISVAC−C(商標))およびOAc+(MENJUGATE(商標)およびMENINGITEC(商標))糖の両方を含む。いくつかの実施形態において、血清群C結合体の生成のための株は、例えば、血清型16、血清サブタイプP1.7a,1などのOAc+株である。よって、C:16:P1.7a,1 OAc+株を用いてよい。C11株のような血清サブタイプP1.1中のOAc+株も有用である。
【0197】
血清群W135の糖は、シアル酸−ガラクトース二糖単位のポリマーである。血清群C株の糖と同様に、これは、変動性のO−アセチル化を有するが、シアル酸7位および9位においてである[139]。この構造は、→4)−D−Neup5Ac(7/9OAc)−α−(2→6)−D−Gal−α−(1→と記載される。
【0198】
血清群Yの糖は、二糖反復単位がガラクトースの代わりにグルコースを含む以外は、血清群W135の糖と同様である。血清群W135と同様に、これは、シアル酸7位および9位において変動性のO−アセチル化を有する[139]。血清群Yの構造は、→4)−D−Neup5Ac(7/9OAc)−α−(2→6)−D−Glc−α−(1→と記載される。
【0199】
本発明に従って用いられる糖は、上記のようにO−アセチル化されてよい(例えば、天然の莢膜糖で見られるのと同じO−アセチル化パターンで)か、またはこれらは、糖の環の1または複数の位置にて部分的もしくは完全に脱O−アセチル化されてよいか、またはこれらは、天然の莢膜糖に比べて過剰O−アセチル化されてよい。
【0200】
結合体中の糖部分は、髄膜炎菌から調製される全長の糖を含んでよく、かつ/または全長の糖のフラグメントを含んでよく、すなわち、糖は、細菌で見られる天然の莢膜糖より短くてよい。糖は、よって、解重合されてよく、この解重合は、糖の精製中もしくはその後であるが、結合体化の前に生じる。解重合は、糖の鎖長を低減する。ある解重合法は、過酸化水素の使用を伴う。過酸化水素を糖に加え(例えば1%の最終H濃度まで)、混合物を、次いで、所望の鎖長の低減が達成されるまでインキュベートする(例えば約55℃にて)。別の解重合法は、酸加水分解を伴う。その他の解重合法は、当該技術において公知である。本発明に従って用いるための結合体を調製するために用いる糖は、これらの解重合法のいずれによっても得ることができる。解重合は、免疫原性のために最適な鎖長を提供し、かつ/または糖の物理的管理しやすさのために鎖長を低減するために用いることができる。いくつかの実施形態において、糖は、以下の範囲の平均重合度(Dp)を有する:A=10〜20;C=12〜22;W135=15〜25;Y=15〜25。Dpよりもむしろ分子量の点において、有用な範囲は、全ての血清型について<100kDa;5kDa〜75kDa;7kDa〜50kDa;8kDa〜35kDa;12kDa〜25kDa;15kDa〜22kDaである。
【0201】
いくつかの実施形態において、髄膜炎菌血清群A株、C株、W135株およびY株のそれぞれからの糖についての平均分子量は、特にMALLSにより決定して、50kDaより高く、例えば≧75kDa、≧100kDa、≧110kDa、≧120kDa、≧130kDaなどであってよく[140]、1500kDaまででさえあってよい。例えば、MenAの糖は、50〜500kDa、例えば60〜80kDaの範囲であってよく、MenCの糖は、100〜210kDaの範囲であってよく、MenW135の糖は、60〜190kDa、例えば120〜140kDaの範囲であってよく、かつ/またはMenYの糖は、60〜190kDa、例えば150〜160kDaの範囲であってよい。
【0202】
組成物中の血清型あたりの髄膜炎菌の糖の質量は、通常、1μgから20μgの間、例えば血清型あたり2から10μgの間、または約4μgもしくは約5μgもしくは約10μgである。1より多い血清型からの結合体が含まれる場合、これらは、実質的に等しい質量で存在してよく、例えば、各血清型の糖の質量が、互いの+10%以内である。等しい比率の代替として、2倍の質量の血清群Aの糖を用いてよい。したがって、ワクチンは、MenAの糖を10μgと、MenC、W135およびYの糖をそれぞれ5μgで含んでよい。
【0203】
有用な担体タンパク質および連結化学は、上で論じている。有用な担体は、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドおよびCRM197を含む。
【0204】
1:5(すなわち過剰のタンパク質)から5:1の間(すなわち過剰の糖)の糖:タンパク質比率(w/w)、例えば1:2から5:1の間の比率および1:1.2から〜1:2.5の間の比率の結合体を用いてよい。参考文献141に記載されるように、混合物中の異なる髄膜炎菌血清群結合体は、異なる糖:タンパク質の比率を有することができ、例えば、あるものは1:2から1:5の間の比率を有してよく、別のものは5:1から1:1.99の間の比率を有する。
【0205】
参考文献142に記載されるように、混合物は、直接の糖/タンパク質連結を有する1つの結合体と、リンカーを介する連結を有する別の結合体とを含むことができる。この取り合わせは、異なる髄膜炎菌血清群からの糖結合体を用いる場合に特に当てはまり、例えばMenAおよびMenCの糖はリンカーを介して結合体化してよく、MenW135およびMenYの糖は、担体タンパク質と直接結合体化してよい。
【0206】
全般
本発明の実施は、そうでないと記載しない限り、当該技術の技量内の化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来の方法を用いる。このような技術は、文献に詳細に説明されている。例えば参考文献143〜149などを参照されたい。
【0207】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「からなる」を包含し、例えばXを「含む(comprising)」組成物は、Xのみからなり得るか、または何か追加のもの、例えばX+Yを含み得る。
【0208】
数値xに関する「約」との用語は、任意選択であり、例えばx±10%を意味する。
【0209】
本発明が「エピトープ」に関する場合、このエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであってよいが、通常、B細胞エピトープである。このようなエピトープは、経験的に同定できる(例えばPEPSCAN[150、151]または類似の方法を用いて)か、またはこれは予想できる(例えばJameson−Wolf抗原インデックス(antigenic index)[152]、行列に基づくアプローチ[153]、MAPITOPE[154]、TEPITOPE[155、156]、ニューラルネットワーク[157]、OptiMer&EpiMer[158、159]、ADEPT[160]、Tsites[161]、親水性[162]、抗原インデックス[163]または参考文献164〜168に開示される方法などを用いて)。エピトープは、抗体またはT細胞受容体の抗原結合部位により認識され、それと結合する抗原の部分であり、これらは、「抗原決定基」とよぶこともできる。
【0210】
本発明が、「精製された」抗原を用いる場合、この抗原は、それが天然に存在する環境から分離されている。例えば、抗原は、存在する任意のその他の精製された抗原に由来するもの以外のその他の髄膜炎菌成分を実質的に有さない。精製された抗原の混合物は、2つの抗原が天然に混合されて存在していても、それぞれの抗原を別々に精製し、次いでそれらを再び組み合わせることにより典型的に調製される。
【0211】
2つのアミノ酸配列間のパーセンテージ配列同一性についての言及は、整列させたときに、アミノ酸のそのパーセンテージが、2つの配列の比較において同じであることを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当該技術において公知のソフトウェアプログラム、例えば参考文献169の7.7.18節に記載されるものを用いて決定できる。好ましいアラインメントは、12のギャップ開始ペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティでのアフィンギャップ検索、62のBLOSUMマトリクスを用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献170に開示されている。
【0212】
「実質的に」との語句は、「完全に」を除外せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないことがある。必要であれば、「実質的に」との語句を、本発明の定義から省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】図1は、L3イムノタイプについてのコアの糖を示す。
【図2】図2は、参考文献55からのCS14の反復構造を示す。
【図3】図3は、動物の群における抗LNnT IgG力価を示す。図3は、RLU/mlで測定されるGMT値を示す。
【図4】同様に、図4は、抗CP14 IgG力価を示す。図4は、RLU/mlで測定されるGMT値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0214】
マウスを、(i)0.4μg用量でのPREVNAR(商標)ワクチン、(ii)PREVNAR(商標)と組み合わせた、血清群B髄膜炎菌の野生型MC58株から調製した10μg用量での外膜小胞、または(iii)PREVNAR(商標)と組み合わせた、ΔlgtBノックアウトを有する血清群B髄膜炎菌のMC58株から調製した10μg用量での外膜小胞で免疫化した。全ての組成物は、水酸化アルミニウムアジュバントを加えることにより処方した。
【0215】
血清を、とりわけ肺炎球菌血清型14莢膜糖およびLNnTエピトープに対する抗体について、Luminexアッセイを用いて分析した。
【0216】
図3は、第1日および第21日の免疫化後の第34日での3群についての抗LNnT応答を示す。PREVNAR(商標)ワクチン単独では、ブランク対照の約2倍の抗LNnT応答を惹起した(0.2対0.12)。LOS含有OMVを加えることにより、応答が増加した(0.7)が、LgtB−ve OMVにおいて、増加はより低かった(0.5)。群(iii)における増加対群(i)における増加は、OMVのアジュバント効果の可能性によるものであり得る(参考文献51を参照されたい)。
【0217】
図4は、第34日での抗CS14応答を示す。両方のOMV調製物が抗CS14応答を増加させた。有利には、より大きい増加が、LgtB−ve OMVを用いて見られた。
【0218】
これらのデータは不完全で、十分に決定的ではなく、抗LNnTアッセイは、低いシグナルだけを与えたが、これらは、CS14およびLgtB−ve OMVを組み合わせて、CS14と野生型OMVとを組み合わせるよりもよい結果を得ることができることを示す。
【0219】
本発明は、例としてのみ記載され、本発明の範囲および精神内に留まったまま改変を行うことができることが理解される。
【0220】
参考文献
【0221】
【化1】

【0222】
【化2】

【0223】
【化3】

【0224】
【化4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)とを含む免疫原性組成物であって、前記LOSおよび/または前記CS14が、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含まない、組成物。
【請求項2】
前記四糖が、CS14中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アジュバントを含む、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記LOSが、LgtB酵素活性を欠く髄膜炎菌株から調製される、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記LOSが、GalE酵素活性を欠く髄膜炎菌株から調製される、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記LOSが、LgtAおよび/またはLgtE酵素活性を欠く髄膜炎菌株から調製される、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記LOSが、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖の末端ガラクトースを欠く、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記LOSが、髄膜炎菌外膜小胞内に存在する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記LOSが、前記小胞中のタンパク質に結合体化されている、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記小胞が、TbpAを過剰発現する髄膜炎菌から調製される、請求項8または請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記LOSが、担体タンパク質に結合体化されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
結合体化が、前記LOS中のリピドA部分を介するか、またはKDO残基によるものであり得る、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
1または複数の髄膜炎菌ポリペプチドと肺炎球菌血清型14莢膜糖とを含む免疫原性組成物であって、(i)前記肺炎球菌血清型14莢膜糖が、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含み、(ii)前記髄膜炎菌ポリペプチドが、血清群B髄膜炎菌に対して有効な免疫応答を惹起でき、(iii)前記組成物が、髄膜炎菌リポオリゴ糖を含まない、組成物。
【請求項14】
前記髄膜炎菌ポリペプチド(複数可)が、fHBPを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記fHBPが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を有し、かつ/または配列番号1からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記fHBPが、配列番号2と少なくとも85%の配列同一性を有し、かつ/または配列番号2からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記fHBPが、配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を有し、かつ/または配列番号3からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
前記fHBPが、脂質付加されている、請求項14、15、16または17に記載の組成物。
【請求項19】
前記fHBPが、配列番号1、2または3のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起する、請求項14、15、16、17または18に記載の組成物。
【請求項20】
髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)とを含むアジュバント無添加免疫原性組成物であって、前記LOSおよび前記CS14が共にGalβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含む、組成物。
【請求項21】
髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌血清型14莢膜糖(CS14)とを含む免疫原性組成物であって、(i)前記LOSおよび前記CS14が共にGalβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含み、かつ(ii)LOSの濃度が5μg/ml未満であり、(iii)CS14の濃度が5μg/ml未満である、組成物。
【請求項22】
前記CS14が、担体タンパク質に結合体化されている、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記担体タンパク質が、CRM197、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドまたはH.influenzaeタンパク質Dである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)と肺炎球菌ポリペプチド抗原とを含む免疫原性組成物であって、(i)前記LOSが、Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc四糖を含み、(ii)前記肺炎球菌ポリペプチドが、血清型14肺炎球菌に対して有効な免疫応答を惹起でき、(iii)前記組成物が、肺炎球菌血清型14莢膜糖を含まない、組成物。
【請求項25】
アルミニウム塩アジュバントを含む、請求項1から19、請求項1から19に従属する場合の請求項21から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記アルミニウム塩が、リン酸アルミニウムである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記請求項のいずれかに記載の組成物を哺乳類に投与するステップを含む、前記哺乳類における免疫応答を惹起するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−521404(P2012−521404A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501410(P2012−501410)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000735
【国際公開番号】WO2010/109325
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】