説明

肺腺癌患者の術後予後を予測するための方法及び組成物

【課題】肺腺癌患者の予後を予測する新規の方法を提供する。
【解決手段】特定の遺伝子セットを用いて、肺腺癌をその亜型であるTRU型又は非TRU型のいずれかに識別し、次いでTRU型腺癌であると識別された場合、TRU型肺腺癌をさらにTRU-a型又はTRU-b型のいずれかに識別し、、肺腺癌の術後予後と亜型との関連性に基づいて患者の予後をインビトロで予測する方法、及び肺腺癌を上記亜型のいずれかに分類する方法、並びにこれらの方法に使用するための組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肺腺癌患者の術後予後を予測するための方法及び組成物に関する。
本発明はまた、肺腺癌をその亜型に分類する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肺癌は、先進諸国において癌関連死亡原因のトップである(非特許文献1、2)。現在、腫瘍の分類は、大きく、顕微鏡観察による組織学的特徴に基づいているが、一方、特定の組織型の中でさえ臨床判定の著しい変化がときどき明らかとなるし、また腺癌が最も高い度合いの形態学的及び臨床的多様性を示すことが知られている(非特許文献3)。それゆえ、非小細胞肺癌(NSCLC)、特に腺癌、を分類するためのより詳細で精確かつ目的にあった手段が、病因のより良い理解だけでなく今日の不適切な診断能を改善してより有効な治療法を実施可能にするために大いに期待されている。
【0003】
最近のマイクロアレイ技術の開発は、種々の臨床パラメーターと、個々の症例の遺伝子発現プロファイルとを相関させることを可能にしている(非特許文献4〜9)。今日まで、本発明者らのグループを含む種々の他のグループが、発現プロファイリングがNSCLCの形態学的分類を再現できることを報告しているし、また、いくつかの研究により、腺癌がさらに亜分類可能であることが示されている(非特許文献10〜13)。
【0004】
しかしながら、これまで報告されたこれらの亜分類の結果は、互いにかなり食い違っており、それらの知見に単純に順応することは難しいし、また何らかの明確な結論を得ることも難しい。従来の発現プロファイリング研究は、発現プロファイルと基本的な遺伝子変化との関係について非常に少ない情報しか提供しないということも指摘しなければならない(非特許文献14)。そのような情報は、本来、肺癌の病因を明らかにするうえで重要であることが知られている。
【0005】
ところで、上皮成長因子受容体(EGFR)の活性化型突然変異の発見は、肺癌研究の分野で今日最も注目に値する知見の1つである(非特許文献15及び16)。EGFR変異は肺腺癌のサブセットに存在し(非特許文献15〜20)、この突然変異を有する腫瘍がゲフィチニブ(gefitinib;選択的EGFRチロシンキナーゼ阻害剤;例えばIressaTM)に高度に感受性であることが示されている(非特許文献15〜17、19)。ゲフィチニブに対する良好な臨床応答は、日本人や他のアジア民族の女性の非喫煙腺癌患者において最も高頻繁に観察されている(非特許文献21、22)。本発明者らはまた、EGFR変異が、末梢気道上皮細胞由来と形態学的に考えられる肺腺癌、いわゆる終末気道単位(terminal respiratory unit; TRU)型腺癌で高頻度に検出されることを報告した(非特許文献23、24)。
【0006】
【非特許文献1】Minna JDら(編集), Harrison’s Principals of Internal Medicine(16版), McGraw−Hill, 2001, pp506−516
【非特許文献2】Statistics and Information Department, Minister’s Secretariat: Vital Statistics of Japan 2001 Vol. 3, Ministry of Health, Labor and Welfare, Japan, 2003, pp384−411
【非特許文献3】Travis WDら, Pathology and genetics of tumors of the lung, pleura, thymus and heart, World Health Organization classification of tumors, Lyon, IARC press, 2004
【非特許文献4】Perou CMら, nature 406:747−52, 2000
【非特許文献5】Alizadeh AAら, Nature 403:503−11, 2000
【非特許文献6】Shipp MAら, Nat Med 8:68−74, 2002
【非特許文献7】Singh Dら, Cancer Cell 1:203−9, 2002
【非特許文献8】van’t Veer LJら, Nature 415:530−6, 2002
【非特許文献9】Hedenfalk Iら, Proc Natl Acad Sci USA 100:2532−7, 2003
【非特許文献10】Garber MEら, Proc Natl Acad Sci USA 98:13784−9, 2001
【非特許文献11】Bhattacharjee Aら, Proc Natl Acad Sci USA 98:13790−5, 2001
【非特許文献12】Beer DGら, Nat Med 8:816−24, 2002
【非特許文献13】Tomida Sら, Oncogene 23:5360−70, 2004
【非特許文献14】Meyerson Mら, J Clin Oncol 23:3219−26, 2005
【非特許文献15】Paez JGら, Science 304:1497−500, 2004
【非特許文献16】Lynch TJら, N Engl J Med 350:2129−39, 2004
【非特許文献17】Pao Wら, Proc Natl Acad Sci USA 101:13306−11, 2004
【非特許文献18】Kosaka Tら,Cancer Res 64:8919−23, 2004
【非特許文献19】Mitsudomi Tら, J clin Oncol 23:2513−20, 2005
【非特許文献20】Shigematsu Hら, J Natl Cancer Inst 97:339−46, 2005
【非特許文献21】Fukuoka Mら, J Clin Oncol 21:2237−46, 2003
【非特許文献22】Kris MGら, Jama 290:2149−58, 2003
【非特許文献23】Yatabe Yら, Am J Surg Pathol 29:633−639, 2005
【非特許文献24】Yatabe Yら, Am J Surg Pathol26:767−73, 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、実際の臨床の場においては、ヒト肺癌は臨床的・病理学的な病型分類に基づいて診断されていた。すなわち、従来の診断は、顕微鏡観察による形態学的診断に頼ることとなるため、客観性に欠けるとともに、患者の予後についての情報はきわめて限定的であった。また、網羅的・系統的発現プロファイルに基づく診断の試みも、肺癌の発生、進展に密接に関わる遺伝子異常がもっているはずの情報を、発現プロファイルと統合的に解析し有用な形で診断に取り込むことができていなかった。
【0008】
このような状況において、本発明者らは、90例の腺癌を含む149のNSCLC症例において、広範囲の発現プロファイルと、EGFR、p53及びK−rasの突然変異状態とを同時に分析し、遺伝子的かつ臨床病理学的にともに関連する発現プロファイルによって規定される分類法を確立することを目的とした。
【0009】
さらに、本発明者らは、この分類法を用いて、肺腺癌で同定された2つの主要な亜型の1つ(TRU型)において、有意に高い罹患率と、EGFR突然変異の明瞭な予後への影響を明らかにすることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において、本発明者らはヒト肺癌の網羅的な遺伝子解析によって同定した4つの遺伝子セットを見出し、これらのセットを用いることによって肺腺癌が、その発現プロファイルに基づいて客観的に臨床的にも分子生物学的にも意味のある2つの主要な群に大別でき、さらにそのうちうちの1つの群は2つの亜群に分けられることを見出した。
【0011】
このような知見に基づいて、さらに研究を進めた結果、これらの遺伝子セットを用いることによって、肺腺癌をもつ患者の術後予後の予測を可能とするとともに、肺癌の発生・進展に重要な役割を担うEGFR遺伝子の変異と予後との関連性を検出することに成功した。このような新しい知見により、NSCLC、特に肺腺癌の治療法の決定に重要な情報を提供することが可能になった。
【0012】
したがって、本発明は、要約すると、以下の特徴を有する。
【0013】
本発明は、第1の態様において、 肺腺癌をもつ患者の術後予後をインビトロで予測する方法であって、該方法が、肺腺癌を、その亜型であるTRU型又は非TRU型のいずれかに識別し、次いでTRU型であると識別された場合、TRU型肺腺癌をさらにTRU-a型又はTRU-b型のいずれかに識別し、TRU-b型であれば術後予後が良好である、或いは、TRU-a型又は非TRU型であれば術後予後が不良であると判定することを含み、ここで、該TRU型、非TRU型、TRU-a型及びTRU-b型は、該患者の生物学的試料中の下記の対応する遺伝子セットの1又は2以上の遺伝子について、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間、又はTRU-a型腺癌とTRU-b型腺癌の間、の相対的発現レベルの差を測定することによって識別される、ならびに、
該TRU型に属する遺伝子セットが、下記のユニジーン(UniGene)登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体である、
該非TRU型に属する遺伝子セットが、下記のUniGene登録番号:
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体である、
該TRU-a型に属する遺伝子セットが、下記のUniGene登録番号:
Hs.220629、Hs.153322、Hs.127821、Hs.218366、Hs.436996、Hs.247824、Hs.550526、Hs.62604、Hs.104555、Hs.465720、Hs.480281、Hs.495480、Hs.545862、Hs.1051、Hs.133062、Hs.115263、Hs.349470、Hs.495774、Hs.155538、Hs.435759、Hs.128041、Hs.465643、Hs.169943、Hs.534496、Hs.379010、Hs.184507、Hs.469359、Hs.2012、Hs.109358、Hs.438016、Hs.326561、Hs.367956、Hs.271285、Hs.176626、Hs.137556、Hs.437806、Hs.240457、Hs.533055、Hs.532492、Hs.85962、Hs.268698、Hs.520627、Hs.524479、Hs.449585、Hs.158339、Hs.522836、Hs.279580、Hs.444535、Hs.446388、Hs.149769、Hs.513779、Hs.103983、Hs.512756、Hs.348012、Hs.467529、Hs.434374、Hs.389311、Hs.49653、Hs.424542、Hs.436667、Hs.516036、Hs.533526、Hs.463079、Hs.310456、Hs.125950、Hs.351571、Hs.478930、Hs.483906、Hs.259563、Hs.249196、Hs.412792、Hs.183390、Hs.87191、Hs.171995、Hs.117545、Hs.554891、Hs.351544、Hs.368353、Hs.482417、Hs.126561、Hs.154224、Hs.232696、Hs.520319、Hs.153299、Hs.449621、Hs.502092、Hs.537722、Hs.127189、Hs.525589、Hs.476231、Hs.527095、Hs.511839、Hs.372773、Hs.112087、Hs.458252、Hs.181973、Hs.289319、Hs.25333、Hs.513075、Hs.356820、Hs.549577、Hs.380222、Hs.46700、Hs.129227、Hs.100431、Hs.129493、Hs.173656、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.151219、Hs.369385、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.355236、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体である、および、
該TRU-b型に属する遺伝子セットが、下記のUniGene登録番号:
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.253495、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.279611、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.90250、Hs.436317、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.42091、Hs.32417、Hs.75812、Hs.355394を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体である、
ことを特徴とする、前記方法を提供する。
【0014】
本明細書中、TRU(終末気道単位;terminal respiratory unit)とは、肺のなかでもとくに末梢に位置する気道上皮からなる単位であり、それらの構成単位から発生した或いはそれらと類似の性格を持つ腺癌をTRU型腺癌と称する。また、非TRU型腺癌は、TRU型以外の亜型を指す。
【0015】
本明細書中、術後予後とは、肺腺癌の手術後の患者の予後を、代表的には術後5年時点での生存率で判定することを意味する。予後は、癌の転移と深く関係しており、予後不良とは、癌の浸潤性、転移性又は進行度が高いことを意味し、一方、予後良好又は予後良とは、そのような浸潤性、転移性又は進行度が低いことを意味する。
【0016】
本明細書中、前記遺伝子の変異体とは、例えば突然変異、遺伝子多型、選択的スプライシングなどの生物学的事象、遺伝暗号の縮重などに起因して生じる変異体を包含する。変異体は、前記遺伝子の本来のヌクレオチド配列上に1又は複数の置換、欠失、付加、挿入などの変異を有するものである。
【0017】
本明細書中、同族体とは、生物種が異なるなどの理由のために前記遺伝子と部分的に配列が異なるが、該遺伝子と同一の生物学的機能又は作用を有することから同一のファミリーに属する核酸を指す。
【0018】
変異体及び同族体は、前記対応する遺伝子の各々とヌクレオチドレベルで70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有する。ここで、同一性(%)は、ギャップを導入した公知のBLASTプラグラムを用いて決定することができる。一般に、全塩基数に対する一致した塩基数の百分率として同一性(%)を算出できる。
【0019】
本明細書中、誘導体とは、塩基の化学的修飾を含む前記遺伝子を指し、そのような化学的修飾には、例えばメチル化、アセチル化、チオ化、カルボキシメチル化、メトキシ化などが含まれる。
【0020】
本明細書中、患者とは、ヒト、イヌ、ネコを含む哺乳動物を指し、好ましい哺乳動物はヒトである。
【0021】
本発明の一の実施形態において、前記UniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443、
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583、
Hs.1051、Hs.115263、Hs.379010、Hs.2012、Hs.268698、Hs.49653、Hs.424542、Hs.525589、Hs.25333、Hs.513075、Hs.549577、Hs.100431、Hs.9613、Hs.301478、 Hs.553740、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055、
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.32417、Hs.75812
を有する遺伝子はそれぞれ、配列番号1〜351に示される配列又はその相補的配列を含むことを特徴とする。
【0022】
別の実施形態において、 前記TRU型又は非TRU型腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差が、それぞれ非TRU型又はTRU型腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差と比べて相対的に大きいとき、前記腺癌をそれぞれTRU型腺癌又は非TRU型腺癌と判定する。
【0023】
あるいは前記TRU-a型又はTRU型-b腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差が、それぞれTRU-b型又はTRU型-a腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差と比べて相対的に大きいとき、前記腺癌をそれぞれTRU-a型腺癌又は非TRU型-b腺癌と判定する。
【0024】
そのような発現レベルの差は、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間、或いはTRU-a型腺癌とTRU型-b腺癌の間、の相対的な差であるため、一方が他方に比べて大きいか小さいかで決まる。好ましくは、そのような差は1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上である。
【0025】
別の実施形態において、前記遺伝子の発現レベルが、該遺伝子に対応する核酸又はタンパク質の存在もしくは量を測定することによって決定される。
【0026】
本明細書中、核酸は、DNA又はRNAのいずれかであり、例えば各遺伝子の転写産物(mRNA)、cDNA、cRNAなどが含まれる。
【0027】
また、タンパク質は、各遺伝子によってコードされるタンパク質、その変異体又はその断片を意味する。変異体は、スプライシングや多型性に基づく変異体を含む。断片は、生体内でプロテアーゼやペプチダーゼの作用によって自然発生的に生じたタンパク質断片であり、目的タンパク質の断片であるとして識別できるならば、いずれのサイズの断片も包含する。断片の好ましいサイズは、20以上のアミノ酸数、より好ましくは30以上のアミノ酸数、さらに好ましくは50以上のアミノ酸数である。
【0028】
さらに別の実施形態において、前記遺伝子の発現レベルは、ハイブリダイゼーション法や遺伝子増幅法によって測定することができる。
【0029】
ハイブリダイゼーション法には、例えばマイクロアレイ法、ブロット法、例えばノーザンブロットもしくはサザンブロット法、更にはノーザンもしくはサザンハイブリダイゼーション法、in situeハイブリダイゼーションなどが含まれる。好ましいハイブリダイゼーション法は、マイクロアレイ法、例えばDNAマイクロアレイ、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ及びタンパク質マイクロアレイである。遺伝子増幅法には、逆転写酵素でRNAから変換したcDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法や、ICAN法、LAMP法、PALSAR法などが含まれる。好ましい遺伝子増幅法はPCR法である。
【0030】
別の実施形態において、前記遺伝子の発現レベルは、代替的に、免疫学的方法によって測定することができる。
【0031】
免疫学的方法では、前記遺伝子によってコードされるタンパク質又はその断片に対する特異抗体と標的タンパク質との免疫学的複合体を検出することを含む。ここで、タンパク質又はその断片は、好適には、遺伝子バンクに登録された配列に基づく慣用のcDNAクローニング法と発現ベクター/宿主系を利用するタンパク合成法とによって得ることができる。免疫学的方法には、酵素免疫測定法(EIA、ELISAなど)、蛍光抗体法、放射性免疫測定法、凝集法、比濁法などが含まれる。また、抗原-抗体反応は、均一又は不均一、或いは、固相又は非固相のいずれの条件で行うこともできるが、固相法による反応が望ましい。さらに、標識二次抗体を使用するサンドイッチ法も好ましく使用される。
【0032】
さらに別の実施形態において、本発明の予後予測法には、前記TRU型肺腺癌において、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子が突然変異を含む場合、野生型EGFR遺伝子を含む肺腺癌と比べて患者の術後予後が不良であると予測することをさらに含むことができる。
【0033】
EGFR遺伝子に突然変異が含まれるかどうかは、例えばKosaka Tら,Cancer Res 64:8919−23,2004(非特許文献18)、Mitsudomi Tら, J clin Oncol 23:2513−20,2005(非特許文献19)などに記載される方法によって検出することができる。簡単に説明すると、そのような方法は当該遺伝子領域をPCR法を用いて遺伝子増幅して変異をゲル電気泳動法や塩基配列の決定などを用いた検出が可能である。
【0034】
本発明はまた、第2の態様において、肺腺癌を、TRU型又は非TRU型のいずれかの亜型に分類し、次いでTRU型腺癌をTRU-a型又はTRU-b型に分類する方法であって、該方法が、患者の生物学的試料中の下記の対応する遺伝子セットの1又は2以上の遺伝子について、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間、又はTRU-a型腺癌とTRU-b型腺癌の間、の相対的発現レベルの差を測定し、該発現レベルの差を示す遺伝子が、
(a)下記のUniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体からなる遺伝子セット中の遺伝子である場合、該肺腺癌がTRU型であると決定する、あるいは、
(b)下記のUniGene登録番号:
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体からなる遺伝子セット中の遺伝子である場合、該肺腺癌が非TRU型であると決定する、あるいは、
(c)下記のUniGene登録番号:
Hs.220629、Hs.153322、Hs.127821、Hs.218366、Hs.436996、Hs.247824、Hs.550526、Hs.62604、Hs.104555、Hs.465720、Hs.480281、Hs.495480、Hs.545862、Hs.1051、Hs.133062、Hs.115263、Hs.349470、Hs.495774、Hs.155538、Hs.435759、Hs.128041、Hs.465643、Hs.169943、Hs.534496、Hs.379010、Hs.184507、Hs.469359、Hs.2012、Hs.109358、Hs.438016、Hs.326561、Hs.367956、Hs.271285、Hs.176626、Hs.137556、Hs.437806、Hs.240457、Hs.533055、Hs.532492、Hs.85962、Hs.268698、Hs.520627、Hs.524479、Hs.449585、Hs.158339、Hs.522836、Hs.279580、Hs.444535、Hs.446388、Hs.149769、Hs.513779、Hs.103983、Hs.512756、Hs.348012、Hs.467529、Hs.434374、Hs.389311、Hs.49653、Hs.424542、Hs.436667、Hs.516036、Hs.533526、Hs.463079、Hs.310456、Hs.125950、Hs.351571、Hs.478930、Hs.483906、Hs.259563、Hs.249196、Hs.412792、Hs.183390、Hs.87191、Hs.171995、Hs.117545、Hs.554891、Hs.351544、Hs.368353、Hs.482417、Hs.126561、Hs.154224、Hs.232696、Hs.520319、Hs.153299、Hs.449621、Hs.502092、Hs.537722、Hs.127189、Hs.525589、Hs.476231、Hs.527095、Hs.511839、Hs.372773、Hs.112087、Hs.458252、Hs.181973、Hs.289319、Hs.25333、Hs.513075、Hs.356820、Hs.549577、Hs.380222、Hs.46700、Hs.129227、Hs.100431、Hs.129493、Hs.173656、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.151219、Hs.369385、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.355236、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体からなる遺伝子セット中の遺伝子である場合、該肺腺癌がTRU-a型であると決定する、あるいは、
(d)下記のUniGene登録番号:
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.253495、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.279611、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.90250、Hs.436317、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.42091、Hs.32417、Hs.75812、Hs.355394を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体からなる遺伝子セット中の遺伝子である場合、該肺腺癌がTRU-b型であると決定する、
ことを含む前記方法を提供する。
【0035】
ここで、TRU、非TRU、変異体、同族体及び誘導体は、上記と同義である。
また、ここで、上記TRU型又は非TRU型腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差が、それぞれ非TRU型又はTRU型腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差と比べて相対的に大きいとき、上記腺癌をそれぞれTRU型腺癌又は非TRU型腺癌と判定する。
【0036】
さらに、上記TRU-a型又はTRU型-b腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差が、それぞれTRU-b型又はTRU型-a腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差と比べて相対的に大きいとき、上記腺癌をそれぞれTRU-a型腺癌又は非TRU型-b腺癌と判定する。
【0037】
その一の実施形態において、前記UniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443、
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583、
Hs.1051、Hs.115263、Hs.379010、Hs.2012、Hs.268698、Hs.49653、Hs.424542、Hs.525589、Hs.25333、Hs.513075、Hs.549577、Hs.100431、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055、
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.32417、Hs.75812
を有する遺伝子はそれぞれ、配列番号1〜351に示される配列又はその相補的配列を含むものである。
【0038】
別の実施形態において、前記遺伝子の発現レベルは、ハイブリダイゼーション法によって測定することができる。
【0039】
ハイブリダイゼーション法は、上記と同様の方法、例えばマイクロアレイ法、又はノーザンブロットもしくはサザンブロットなどのブロット法を例示することができる。この目的には、マイクロアレイが好ましく使用できる。
【0040】
本発明は、第3の態様において、下記のUniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443、
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583、
Hs.1051、Hs.115263、Hs.379010、Hs.2012、Hs.268698、Hs.49653、Hs.424542、Hs.525589、Hs.25333、Hs.513075、Hs.549577、Hs.100431、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055、
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.32417、Hs.75812
を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体の発現を検出することができる核酸であって、
(1)配列番号1〜351に示されるヌクレオチド配列、
(2)配列番号1〜351に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、
(3)前記(1)又は(2)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、
(4)前記(1)、(2)又は(3)のいずれかの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、並びに、
(5)前記(1)、(3)又は(4)のヌクレオチド配列の15塩基から全塩基数未満の部分配列、
からなる群から選択される配列を有する核酸、或いは該遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体によってコードされるタンパク質又は断片に対する抗体又はその断片、を含む、肺腺癌をもつ患者の術後予後をインビトロで予測するための又は肺腺癌をTRU型、非TRU型、TRU-a型又はTRU-b型のいずれかの亜型に分類するための組成物
を提供する。
【0041】
本発明の組成物は、上記の肺腺癌をもつ患者の術後予後をインビトロで予測する方法、ならびに、上記のとおり、肺腺癌を4つの型に分類するために使用されうる。
【0042】
本明細書中、ストリンジェントな条件とは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列が互いにハイブリダイズするようなハイブリダイゼーション及び洗浄条件を意味し、例えばマイクロアレイ解析におけるハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、1M塩化ナトリウム/0.5%(W/V)サルコシル/30%ホルムアミド中、60℃、17時間のハイブリダイゼーション、その後、6×SSC/0.005%(W/V)トライトンX-102溶液中、室温、10分間を一回、さらに、0.1×SSC/0.005%(W/V)トライトンX-102溶液中で0〜4℃に保ちながら5分間を一回が洗浄の条件である。ここでの1×SSCは150mM塩化ナトリウムと15mMクエン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)である。ハイブリダイゼーションについては、Ausbel FMら, Short Protocols in Molecular Biology(3版)A Compendium of Method s from Current Protocols in Molecular Biology, 1995年, John Wiley & Sons, Inc.(米国)に記載されている。
【0043】
別の実施形態において、本発明の組成物はキット又はDNAマイクロアレイ(DNAチップともいう)又はタンパク質アレイの形態である。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、肺腺癌をその亜型(TRU、非TRU型、TRU-a及びTRU-b)に分類し、各亜型と術後予後との関係、並びに、TRU型の肺腺癌におけるEGFR遺伝子変異と術後予後との関係が明らかになった。本発明の方法を用いることによって、術後に再発する可能性の高い患者を選別して生存率を改善するための治療計画を立てることができるし、或いは、肺癌の分子標的薬として臨床使用されているゲフィチニブ(商品名Iressa)の反応性に関わることが知られるEGFR変異をもつ患者の中から特に予後が悪い患者を選別して、EGFR阻害剤による術後治療の対象者として選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
愛知県がんセンター(名古屋)で非小細胞肺癌(NSCLC)であると診断された症例のうち、90例の腺癌、35例の扁平上皮癌、18例の大細胞癌、4例の扁平上皮腺癌及び2例の大細胞神経内分泌癌を含む149症例からの腫瘍標本について、二本鎖cDNA、次いでcRNAを調製し、18,175個のユニーク遺伝子を結合したマイクロアレイを使用して網羅的・系統的発現プロファイルを得た。さらに、CLUSTERプログラムを用いて、遺伝子と症例の序列的クラスタリングを行い、TREEVIEW(Eisen MBら, Proc Natl Acad Sci USA 95:14863−8, 1998)により結果を表示し、マイクロアレイの有意解析法(SAM)を用いて患者亜型の各々に特異的な遺伝子に評点を付けた(Tusher VGら, Proc Natl Acad Sci USA 98:5116−21, 2001)。
【0046】
ジーンオントロジー(gene ontology;GO)(Ashburner Mら, Nat Genet 25:25−9, 2000)を用いた解析により、患者亜型の各々に特異的な遺伝子セットの機能的に異なる生物学的特徴を明らかにした。
【0047】
さらに、種々の臨床パラメーターと、発現プロファイルで規定される亜型の発現との関係を調べるために、多変量ロジスティック回帰分析を実施し、また、Kaplan-Meier法を用いて術後の生存率を評価した。
【0048】
その結果、肺腺癌症例が、2つの主要なサブクラスターに分類できることを見出し、これをTRU型及び非TRU型と称した。腺癌内で最も可変的に発現された4,138個の転写物を用いて行った分類体系的クラスタリングにより、2つの主要な樹形図(TRU型及び非TRU型)と、右側樹形図中にさらに2つのサブクラスター(TRU-a型及びTRU-b型)の存在が明らかになった(図2A)。
【0049】
これらの2つの主要な発現プロファイルによって規定される肺腺癌亜型、すなわち非TRU型及びTRU型、の樹形図及び生物学的性質について更に知見を得るために、SAM分析を行い、0.1%未満の擬陽性率の有意レベルでのプレフィルタリングにおいて、示差的に発現された1,657個の遺伝子を抽出した。これらの遺伝子のうち286個の遺伝子が、TRU型と非TRU型において2倍以上の倍率で発現レベルに差異を示した。今回見出した286個の遺伝子は、TRU型においてより高い発現を有する194個の遺伝子と、非TRU型においてより高い発現を有する92個の遺伝子からなっていた。TRU型と非TRU型との間の基本的な機能の差異を調べた結果、TRU型は正常の肺機能との明らかな関係を示したのに対し、非TRU型は細胞周期及び増殖との関係を示すことが判明した。
【0050】
さらにまた、術後の予後について調べた結果、TRU-a型は非TRU型のものと類似した予後不良を示したのに対して、TRU-b型の予後は非TRU型の予後よりも有意に良好であることが判明した(図4)。同様の基準(0.1%未満の擬陽性率)でSAM分析を行い、TRU−a型とTRU−b型において2倍以上の倍率で発現レベルに差異を示す169個の遺伝子を抽出した。この169個の遺伝子は、TRU−a型においてより高い発現を有する119個の遺伝子と、TRU−b型においてより高い発現を有する50個の遺伝子からなっていた。
【0051】
TRU型、非TRU型、TRU-a及びTRU-bの各腺癌亜型に属する遺伝子セットをそれぞれ表1〜4に示す。表中、Uni-Gene symbol及びUniIDはそれぞれ、Uni−Geneデータバンクに登録された遺伝子の記号及び配列の登録番号であり、GBIDは、GenBankに登録された遺伝子の配列の登録番号を表す。また同時に、遺伝子名(或いは、タンパク質の名称又は特徴)も表示する。
【0052】
【表1】







【0053】
【表2】




【0054】
【表3】




【0055】
【表4】


【0056】
したがって、本発明は、その一の態様により、肺腺癌を、TRU型又は非TRU型に識別、分類し、次いでTRU型腺癌をTRU-a型又はTRU-b型に識別、分類する方法を提供する。
【0057】
この方法は、患者の生物学的試料中の上記の各遺伝子セットの1又は2以上の遺伝子について、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間、又はTRU-a型腺癌とTRU-b型腺癌の間、の相対的発現レベルの差を測定し、該発現レベルの差を示す遺伝子が、表1に列挙された遺伝子群のいずれかである場合、肺腺癌がTRU型であると決定し、表2に列挙された遺伝子群のいずれかである場合、肺腺癌が非TRU型であると決定する。さらに、TRU型と決定された腺癌のうち、表3に列挙された遺伝子群のいずれかである場合、肺腺癌がTRU−a型であると決定し、表4に列挙された遺伝子群のいずれかである場合、肺腺癌がTRU−b型であると決定することを含む。
【0058】
より具体的にいうと、上記TRU型又は非TRU型腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差が、それぞれ非TRU型又はTRU型腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差と比べて相対的に大きいとき、上記腺癌をそれぞれTRU型腺癌又は非TRU型腺癌と判定する。
【0059】
さらに、上記TRU-a型又はTRU型-b腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差が、それぞれTRU-b型又はTRU型-a腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差と比べて相対的に大きいとき、上記腺癌をそれぞれTRU-a型腺癌又は非TRU型-b腺癌と判定する。
【0060】
例えば、TRU型腺癌に属する遺伝子A,B,C、非TRU型腺癌に属する遺伝子X,Y,Zについて、腺癌試料1及び試料2中の遺伝子Aの発現レベルがそれぞれ130、80(恣意的単位)であり、腺癌試料1及び試料2中の遺伝子Bの発現レベルがそれぞれ25、20(恣意的単位)であり、腺癌試料1及び試料2中の遺伝子Cの発現レベルがそれぞれ1050、950(恣意的単位)であり、腺癌試料1及び試料2中の遺伝子Xの発現レベルがそれぞれ600、650(恣意的単位)であり、腺癌試料1及び試料2中の遺伝子Yの発現レベルがそれぞれ350、450(恣意的単位)であり、同じ試料1及び試料2中の遺伝子Zの発現レベルがそれぞれ25、50(恣意的単位)であるとき、試料1がTRU型腺癌、試料2が非TRU型腺癌であると識別する。
【0061】
本発明はさらに、別の態様により、肺腺癌のTRU型、非TRU型、TRU-a型又はTRU-b型を、患者の生物学的試料中の上記の表1〜4に列挙した対応の遺伝子セットの1又は2以上の遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体について、上記分類法と同様に、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間、又はTRU-a型腺癌とTRU-b型腺癌の間、の相対的発現レベルの差を測定することによって識別することを含む、患者の術後予後を予測する方法を提供する。
【0062】
この方法によれば、肺腺癌を先ずTRU型又は非TRU型に識別し、次いでTRU型腺癌であると判定された場合、TRU型をさらにTRU-a型又はTRU-b型に識別することを含み、肺腺癌の亜型がTRU-b型であれば術後予後が良好である、或いは、TRU-a型又は非TRU型であれば術後予後が不良であると判定することを含む。
【0063】
さらに、本発明者ら、TRU型腺癌において、EGFR突然変異の存在が非TRU型腺癌よりも有意に多く観察されたこと(45.3%対21.6%)、及びEGFR突然変異を含むTRU型腺癌をもつ患者の術後予後が、野生型の非突然変異EGFRを含むTRU腺癌をもつ患者の予後と比べて不良であるという興味ある知見を得た。EGFR遺伝子変異を有する肺癌、特にNSCLCがゲフィチニブ(EGFRチロシンキナーゼ阻害剤)に高い感受性を示すことが知られているため、このような分子標的薬治療を施すための患者の選別のために前記知見を利用することができる。
【0064】
すなわち、本発明は、上記予後予測方法において、特にTRU型肺腺癌でEGFR遺伝子が突然変異を含む場合、野生型EGFR遺伝子を含む肺腺癌と比べて患者の術後予後が不良であると予測することをさらに含む。TRU型肺腺癌におけるこのような予測は上記の亜型と予後との関係に基づく予測と組み合わせることによって、より確度が高く臨床的な応用価値の高い診断又は判定が可能になると考えられる。
【0065】
また、すべての腺癌において、EGFR突然変異を有しかつ腺癌内に2倍以上のアップレギュレーションをもつ5つの遺伝子と、EGFR突然変異の存在と関連して1.5〜2倍のアップレギュレーションを示す11の遺伝子を同定し、さらに、高い頻度で出現するEGFR突然変異を有するTRU型腺癌内で特異的かつ示差的に発現される遺伝子について検索し、EGFR突然変異の存在下で2倍以上のアップレギュレーションを有するGGTLA4遺伝子、及び1.5〜2倍のアップレギュレーションを示す、RAMP1、APOH、PEX3、EST及びDHRS7遺伝子を同定した。
【0066】
さらにまた、非TRU型腺癌症例は、最も高いパーセンテージの、p53及び/又はK−ras突然変異(p53について41%;K−rasについて16%)を有する腫瘍を含み、次いでTRU-a型(それぞれ29%及び12%)、TRU-b型(それぞれ21%及び0%)の順であった。このことは、非TRU型腺癌は、他の亜型、特にTRU-a型及びTRU-b型腺癌、と比べて、相対的に高いp53及び/又はK−ras突然変異を含むことを示している。
【0067】
これらの知見もまた、同様に、肺腺癌患者の術後予後の判定と組み合わせて使用することによって、予後判定のために役立つと考えられる。
【0068】
本発明の方法においては、はじめに、表1〜4に列挙される各遺伝子セットに含まれる遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体の発現を測定するための核酸を準備する。
【0069】
そのような核酸は、下記のUniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443、
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583、
Hs.1051、Hs.115263、Hs.379010、Hs.2012、Hs.268698、Hs.49653、Hs.424542、Hs.525589、Hs.25333、Hs.513075、Hs.549577、Hs.100431、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055、
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.32417、Hs.75812
を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体の発現を検出することができる核酸であって、
(1)配列番号1〜351に示されるヌクレオチド配列、
(2)配列番号1〜351に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、
(3)前記(1)又は(2)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、
(4)前記(1)、(2)又は(3)のいずれかの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、並びに、
(5)前記(1)、(3)又は(4)のヌクレオチド配列の15塩基から全塩基数未満の部分配列、
からなる群から選択される配列を有する1又は2以上の核酸である。
【0070】
上記核酸は、例えば約100塩基以下のDNA分子であれば、ホスホアミダイト法を利用するDNA自動合成装置(例えばApplied Biosystems、米国)を用いて合成することができる。或いは、上記核酸は、cDNAクローニングによって作製することができる。腫瘍の肺組織から全RNAを取得し、オリゴdTセルロースカラム処理によってポリA(+)RNAを得たのち、逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法によってcDNAライブラリーを作製し、このライブラリーから、遺伝子バンクに登録された配列に基づいて予め作製したプローブ(15以上、好ましくは30以上、より好ましくは、50〜100以上の塩基長)とのハイブリダイゼーションによりcDNAクローンを得ることができる。取得したクローンは、例えば市販されるような発現ベクターに組み込んだのち大腸菌、枯草菌などの適当な宿主細胞に導入し、宿主細胞を増殖することによって、或いは遺伝子バンクに登録された配列に基づいて予め作製したプライマー(通常15〜30塩基、好ましくは17〜25塩基長)を使用し、かつ前記cDNAクローンを鋳型とするポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、増幅することができる。cDNAクローニング及びPCR法の具体的手順や試薬等については、市販のキット、装置、試薬を使用することができるし、また、例えばSambrook Jら, Molecular Cloning A Laboratory Manual,1989年, Cold Spring Harbor Laboratory Press(米国);Ausbel FMら, Short Protocols in Molecular Biology(3版)A Compendium of Method s from Current Protocols in Molecular Biology, 1995年, John Wiley & Sons, Inc.(米国)などに教示されている。
【0071】
上記(4)の核酸において、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号1〜351に示される配列又はその相補的配列を含むいずれかの核酸とハイブリダイズする任意の核酸である。このような核酸はDNA又はRNAである。
【0072】
ストリンジェントな条件は、上に定義し例示した条件を含む。すなわち、そのような条件の例は、1M塩化ナトリウム/0.5%(W/V)サルコシル/30%ホルムアミド中、60℃、17時間のハイブリダイゼーション、その後、6×SSC/0.005%(W/V)トライトンX-102溶液中、室温、10分間を一回、さらに、0.1×SSC/0.005%(W/V)トライトンX-102溶液中で0〜4℃に保ちながら5分間を一回が洗浄の条件である。ここでの1×SSCは150mM塩化ナトリウムと15mMクエン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)である。
【0073】
ハイブリダイゼーションは、マイクロアレイ法、ブロット法、例えばノーザンもしくはサザンブロット、ノーザンもしくはサザンハイブリダイゼーション法、in situeハイブリダイゼーション、定量RT-PCR法などを含む。
【0074】
上記(5)の核酸において、上記(1)、(3)又は(4)のヌクレオチド配列を有する核酸の断片は、15塩基数〜全塩基数未満のサイズを有する。断片は、この範囲の任意の塩基数、例えば20塩基以上、30塩基以上、50塩基以上、70塩基以上、100塩基以上、150塩基以上、200塩基以上、300塩基以上、400塩基以上、500塩基以上などの塩基数である。
【0075】
本発明によれば、患者の生物学的試料中の上記表中の各遺伝子セットの1又は2以上の遺伝子について、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間、又はTRU-a型腺癌とTRU-b型腺癌の間、の相対的発現レベルの差を測定する。
【0076】
ここで、相対的発現レベルの差とは、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間或いはTRU-a型腺癌とTRU-b型腺癌の間で、上記遺伝子セットのある特定の遺伝子の発現レベルを比較したとき、該遺伝子が上記の亜型間で示す発現レベルの差を意味する。本発明では、特定の遺伝子についての好ましい発現レベルの差は、1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上である。
【0077】
発現レベルの差を示す遺伝子を同定することによって、該遺伝子と肺腺癌の亜型(すなわちTRU、TRU-a、TRU-b又は非TRU型)との関係を明らかにすることができる。これによって、例えば、肺腺癌の亜型を識別することによって患者の術後予後を予測することができるし、或いは、同定された遺伝子が含まれる遺伝子セットと亜型との上記関係に基づいて肺腺癌を4つの型に分類することができる。
【0078】
本発明によれば、遺伝子の発現レベルの差は、該遺伝子に対応する核酸又はタンパク質の存在又は量を測定することによって行うことができる。
【0079】
生物学的試料は、肺癌患者の肺癌組織又細胞を含み、手術によって切除された癌組織、生検によって得られた組織又は細胞などである。
【0080】
以下に、これらの2つの異なる方法について具体的に説明する。
【0081】
(核酸による方法)
本発明に関わる351個の遺伝子マーカーを検出するために、それらの各マーカーとハイブリダイズする上記核酸を使用する。検出すべき遺伝子の数は、各遺伝子セット毎に1又は2以上であり、好ましくは2以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、又は60以上である。遺伝子の数が多いほど、肺腺癌の亜型の識別の確度が向上する。
【0082】
ハイブリダイゼーションは、マイクロアレイ法、ブロット法、例えばノーザンもしくはサザンブロット、ノーザンもしくはサザンハイブリダイゼーション法、in situeハイブリダイゼーション法、定量RT-PCR法などの方法で実施することができる。好ましいハイブリダイゼーション法は、マイクロアレイ、定量RT-PCR又はブロット法である。また、好ましいマイクロアレイの例は、DNAマイクロアレイ及びタンパク質マイクロアレイである。
【0083】
DNAマイクロアレイ法では、上記表1〜4に列挙した遺伝子(1〜全数)とハイブリダイズする核酸プローブを基板に結合したDNAチップを作製し使用する。
【0084】
DNAチップは、核酸プローブを固相化できるものであればいずれの種類の基板も使用できる。固相には、例えばガラス、ポリマーなどが含まれ、さらに核酸を共有結合するための反応性基を含むスペーサーやクロスリンカーを導入することができる。このようなチップは市販されているため、それらを使用することが望ましい。
【0085】
核酸プローブの固相化は、特に制限はないが、一般的な方法、例えばスポッター又はアレイヤーと呼ばれる高密度分注機を用いてDNAをスポットする方法、ノズルから液滴を噴射するインクジェット方式などの方法を用いて実施することができる。
【0086】
生物学的試料中のDNA又はRNA、それから誘導されたcDNA、cRNAなどの核酸を、Cy染料(Cr3又はCy5)などの蛍光物質で標識した核酸を、DNAチップ上のプローブとハイブリダイズさせる。レーザースキャンによる読み取り装置を用いて蛍光強度を読み取り、コンピュータでデータを解析する。
【0087】
ブロット法では、本発明の核酸プローブを放射性同位元素(例えば、32P及び35S)や蛍光物質(ローダミン誘導体、Cy染料など)などで標識したのち、ナイロンなどのポリマーメンブレンに転写した生物学的試料中のDNA又はRNA、それから誘導されたcDNA、cRNAなどの核酸との間でハイブリダイゼーションを行う。シグナルを、放射線検出器又は蛍光検出器を用いて検出し、その強度を測定する。
【0088】
定量RT―PCR法では、生物学的試料中のRNAから作製したcDNAを鋳型として標的の各遺伝子の領域が増幅できるように、プライマーをcDNAとアニーリングさせPCRを行い、得られた二本鎖DNAを検出する。プライマーを予め放射性同位元素や蛍光物質で標識しておくか、或いは、PCR産物をアガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドなどで二本鎖DNAを染色するなどの方法で、標的遺伝子を検出、定量することができる。
【0089】
PCR条件は、例えば変性:92〜94℃で30〜60秒;アニーリング:50〜55℃で30〜60秒;伸長:68〜72℃で30〜60秒を1サイクルとして30〜40サイクルの反応を含む。逆転写酵素は、市販の酵素、例えばSuperScriptTM III(Invitrogen、米国)、AMV Reverse Transcriptase (Promega、米国)、M−MLV(RNaseH)(宝酒造、京都)などを使用することができる。
【0090】
(タンパク質による方法)
上記遺伝子の発現レベルの代替的測定法は、免疫学的方法である。
この方法では、各遺伝子に対応するタンパク質又はその断片を、タンパク質合成又は遺伝子組換え技術を用いて合成し、その結果得られたタンパク質又はその断片を抗原としてウサギ、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの動物を免疫し、それらの抗原に対する抗体を産生し、精製する。
抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗ペプチド抗体などを含む。
【0091】
ポリクローナル抗体は、前記動物を10〜300μg程度の抗原で皮下に免疫し、さらに約2週間後に追加免疫し、初回免疫から約3週間〜1か月後に採血し、抗血清から目的のポリクローナル抗体を含むIgG成分を硫安分画、イオン交換クロマトグラフィーを使用して分離することを含む方法によって作製することができる。特異性を高めるために、得られたIgGを、目的タンパク質をセルロース又はアガロースなどの担体に結合して作製されたカラムに結合させたのち、高塩濃度のバッファーで溶出し、透析や限外ろ過などの方法で脱塩して、特異的ポリクローナル抗体を得ることができる。抗体価は、通常の免疫測定法、例えば酵素免疫測定法(EIA、ELISA)、放射性免疫測定法(RIA)、蛍光抗体法などによって測定することができる。
【0092】
モノクローナル抗体は、例えば以下の一般的方法によって作製することができる。
標的タンパク質又はその断片を、ポリクローナル抗体の作製と同様にマウス又はラット(例えばBalb/cマウス)の皮下に投与し、1〜4週間間隔で、約2〜4回追加免疫を行う。抗体価が頭打ちになったとき、抗原を静脈内または腹腔内に注射し、最終免疫とする。2〜5日後、抗体産生細胞(例えば脾臓細胞又はリンパ節細胞)を採取する。次いで、抗体産生細胞を骨髄腫細胞株(好ましくはヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT)欠損細胞株)に融合させてハイブリドーマ細胞を生成し、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミン)選択を行う。細胞融合は、血清を含まないDMEM、RPMI−1640培地などの動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを約1:1〜 20:1の割合で混合し、ポリエチレングリコールなどの細胞融合促進剤の存在下で実施する。目的の抗体かどうかの確認は、上記の免疫測定法によって行うことができる。さらに、ハイブリドーマの増殖のために、マウスの腹腔内にハイブリドーマを約1000万個投与し、ハイブリドーマを増殖させたのち、1〜2週間後に腹水を採取する。抗体の精製は、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせて行うことができる。
【0093】
抗ペプチド抗体は、タンパク質の表面上のリニアーなペプチドに対する抗体であり、免疫学的特異性を高めることができる。そのようなペプチドは、例えばKyte−Doolittleらの親水性-疎水性領域の推定法、Eminiらによるタンパク質分子上の特定ペプチド部位の表面に位置する確率、ポリペプチド鎖の折れ曲がり程度、例えばChou−Fasmanらなどのαヘリックス、βシート、ターンを表示するタンパク質の二次構造予測、等を単独で又は組み合わせて使用して推定しうる。次いで、推定されたペプチドは、ペプチド合成機を用いて合成することができる。
【0094】
ここで、標的タンパク質(上記表1〜4に示される遺伝子によってコードされる)の合成は、cDNAクローンを発現ベクターに組み込み、該ベクターによって形質転換又はトランスフェクションされた原核又は真核宿主細胞を培養することによって該細胞又は培養上清から得ることができる。発現ベクターは市販のものを使用することができる。宿主細胞は、細菌などの原核細胞(例えば大腸菌、枯草菌、シュウドモナス属細菌など)、酵母(例えばサッカロマイセス属、ピチア属など)、昆虫細胞(例えばSf細胞)、哺乳動物細胞(例えばCHO、COS、BHK、HEK293など)などを含む。また、ベクターは、プラスミド、コスミド、ファージなどからなり、標的タンパク質をコードするDNA、プロモーター、必要ならエンハンサー、ポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位、複製開始点、ターミネーター、選択マーカーなどを含むことができる。ポリペプチドの精製を容易にするために、標識ペプチド、例えば6〜10残基のヒスチジンタグ、FLAG、GFPポリペプチドなどをコードするDNA配列を含有させることもできる。遺伝子組換え技術については、Sambrookら(上記)、Ausbelら(上記)に記載されており、それらに記載の技術を本発明のために使用することができる。
【0095】
上記のようにして得られた標的タンパク質は、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、等電点電気泳動、電気泳動、限外ろ過、塩析、透析などを適宜組み合わせて精製することができる。
【0096】
標的タンパク質又はその断片の配列は、上記表1〜4に記載されるGenBank登録番号に基づいてNCBI HomePageにアクセスすることによって入手可能である。
【0097】
上記の抗体を、生物学的試料中の標的タンパク質又はその断片の検出のために使用することができる。多数の抗体をマイクロアレイ基板上に結合したタンパク質マイクロアレイを作製することによって、或いは、多数の抗体をPVDF膜などのフィルター上にドット状にスポットすることによって、一度に多数の標的タンパク質を検出又は定量することが可能になる。或いは、慣用の免疫学的測定法、例えば酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光抗体法、放射性免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法、免疫比濁法、ラテックス凝集反応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応、粒子凝集反応またはウェスタンブロット法などによって、生物学的試料中の標的タンパク質又はその断片を検出又は定量することができる。
【0098】
固相上で反応を行うときには、固相担体として、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンなどのポリマーの膜(フィルター)、プレート、チューブ、ストリップなど、ラテックス、磁性体などの粒子、などが含まれる。固相化は、物理的に或いは化学的に行うことができる。化学的結合のためには、例えばマレイル化試薬、臭化シアンなどの試薬で固相を処理し、タンパク質のアミノ基などと反応する官能基を固相に導入することができる。
【0099】
標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどの酵素、フルオレセイン、ローダミン、それらの誘導体などの蛍光物質、ルシフェラーゼ系、ルミノール系などの発光物質、32P、125Iなどの放射性同位元素などが含まれる。標識化は、例えばグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、クロラミンT法、ボルトンハンター法などを含む。
【0100】
本発明はまた、上記表1〜4に列挙される各遺伝子セットに含まれる遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体の発現を測定するための上記核酸(1)〜(5)、或いは該遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体によってコードされるタンパク質又は断片に対する抗体又はその断片、を含む、肺腺癌をもつ患者の術後予後をインビトロで予測するための又は肺腺癌をTRU型、非TRU型、TRU-a型又はTRU-b型のいずれかの亜型に分類するための組成物を提供する。
【0101】
本発明の実施形態により、前記組成物は、キット又はマイクロアレイの形態である。
本発明のキットでは、上記(1)〜(5)に示す核酸であってTRU型、非TRU型、TRU-a型及びTRU-bの各遺伝子セット(それぞれ表1〜4参照)からの1又は2以上から全数の遺伝子を検出することができる核酸を、遺伝子セット毎に包装する。
【0102】
本発明の別のキットは、上記表1〜4に列挙される各遺伝子セットに含まれる遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体によってコードされるタンパク質又はその断片に対する抗体又はその断片を、各遺伝子セットに対応するタンパク質セット毎に包装する。
【0103】
本発明の組成物に含まれる抗体は、上記の方法で作製されるようなポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗ペプチド抗体などであるが、それらに限定されないものとする。抗体の種類は、いずれのタイプ、クラス、サブクラスでもよく、例えばIgG、IgM、IgE、IgD、IgAなどを含む。また、抗体の断片は、Fab、(Fab')、Fvなどを含む。
【0104】
キットにはさらに、ハイブリダイゼーションを行うための試薬類、例えばバッファー、逆転写酵素、標識二次抗体などを含有させてもよい。
【0105】
本発明のマイクロアレイは、DNAマイクロアレイ(DNAチップともいう)又はタンパク質マイクロアレイである。
【0106】
これらのマイクロアレイチップにはそれぞれ、上記の核酸(1)〜(5)或いは上記の抗体又はその断片が結合される。すなわち、チップの表面に、上記表1〜4に列挙される遺伝子セットに含まれる遺伝子又はその変異体、同族体もしくは誘導体とハイブリダイズすることが可能な核酸、或いはそれらの遺伝子によってコードされるタンパク質、又はその変異体もしくは誘導体と免疫学的に特異的に反応する抗体又はその断片が結合される。
【0107】
変異体は、上記遺伝子又はタンパク質の完全成熟配列と、ヌクレオチド又はアミノ酸レベルで70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、95%以上又は98%以上の同一性を有するものである。ここで、同一性(%)は、ギャップを導入した公知のBLASTやFASTAプラグラムを用いて決定することができる。一般に、全塩基数に対する一致した塩基数の百分率として同一性(%)を算出できる。
【0108】
タンパク質の誘導体は、例えば、グリコシル化、リン酸化、硫酸化、アルキル化、アシル化などの化学修飾誘導体を含む。
【0109】
チップの基板としては、ガラス又は樹脂(ポリマー)が通常使用され、その表面に例えばポリL-リジン、シラン又は高密度化アミノ基が導入される。
【0110】
基板上への核酸又は抗体の結合は、上記のとおり、スポット法又はインクジェット法によって行われる。
【0111】
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例によって制限されないものとする。
【実施例】
【0112】
A.材料と方法
患者
90例の腺癌、35例の扁平上皮癌、18例の大細胞癌、4例の扁平上皮腺癌及び2例の大細胞神経内分泌癌を含む一連の149のNSCLC症例を、愛知県がんセンターの胸部外科(名古屋)で1995年12月から1999年12月の間に治癒的切除術を行い成功した患者のファイルから得た。術後の生存解析のために、腺癌をもつ、かつ、6〜108か月(中間値77.0か月;平均65.1か月)の範囲の追跡期間をもつ症例のうち82例を使用した。残りの8例はゲフィチニブ治療を受けていたため排除した。すべての腫瘍標本をOCT化合物に包埋し、正規の検討部門からの必要な承認と患者からのインフォームドコンセントの書面を得たあとで−80℃に保存した。
【0113】
発現プロファイルの取得
腫瘍標本の凍結組織を、ギムザ染色したすべて第10切片を用いて病理学者の指導下で大まかな顕微解剖にかけた。RNeasyキット(Qiagen社、米国)を用いて全RNAを抽出したのち、DNase Iで処理した。すべて主要組織型の肺癌を表す20種の肺細胞系統を使用することによって大バッチの参照RNAを調製した。全RNA250ngから、T7プロモーターを取り込んだポリdTプライマーとMMLV−RTを用いて、二本鎖cDNAを合成した。cRNAを作製し、低RNA Fluorescent Liniear Amplificationキット(Agilent Technologies社、米国)を用いてCy3又はCy5(Cy染料;Amersham Pharmacia Biotech社、米国)で標識した。Cy5-サンプルcRNA及びCy3-通常参照cRNAを、18,175個のユニーク遺伝子に相当する全21,619スポットを含む注文して作ったAgilentオリゴヌクレオチドマイクロアレイとハイブリダイズさせたのち、共焦点レーザースキャニング(Agilent Technologies社、米国)で分析した。スキャンしたイメージ上の蛍光強度を定量し、その値をバックグラウンド値に対し補正し正規化した。
【0114】
バイオインフォマティクス解析
解析中の潜在的ノイズをフィルターにかけるため、10サンプル以上で十分な発現シグナルが得られなかった遺伝子は更なる解析から排除された。さらに、その発現レベルが目的のサンプルセットを通じて3倍未満変化した遺伝子を排除したが、これはそのような遺伝子は有益な情報を提供しうるとは考えられなかったからである。CLUSTERプログラムを用いて、遺伝子と症例の両方の平均連関序列クラスタリングを、メジアンセンタリングと正規化を用いて行い、次いで、TREEVIEW(Eisen MBら, Proc Natl Acad Sci USA 95:14863−8, 1998)によって結果を表示した。特徴的なシグナル抽出手法であるSAMを用いて、患者の肺腺癌亜型の各々に特異的な遺伝子に評点を付けた(Tusher VGら, Proc Natl Acad Sci USA 98:5116−21, 2001)。
【0115】
EGFR、p53及びK−ras遺伝子の突然変異分析
p53(エクソン4〜10)、EGFR(エクソン15〜24)及びK−ras(エクソン1〜2)遺伝子を、マイクロアレイ分析のために使用した同一のRNAから増幅した。その結果得られたPCR産物を、先に記載されたと同様に直接配列決定した(Kosaka Tら, Cancer Res 64:8919−23, 2004)。
【0116】
GO項目に基づいた同定法と他の統計分析
ジーンオントロジー(GO)(Ashburner Mら, Nat Genet 25:25−9, 2000)を用いた解析により、患者の腺癌亜型の各々に特異的な遺伝子セットの異なる機能の生物学的特徴を明らかにした。このGO分析に使用したデータベースファイルは、UniGeneのftpサイト(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/repository/UniGene/)からダウンロードした。マイクロアレイ上のスポットに対応するUnigene IDを、本発明者らが新たに開発したPerlで書かれたプログラムの支援下で、Hs. seq. all、 His data及び LL_templを含むデータベースファイルを解析することによってLocusLink IDを介して対応するGO項目に接続した。最終的に、マイクロアレイ上の18,175個のユニーク遺伝子のうち12,745個の既知の遺伝子が、約67,000個のGO項目に対応付けられた。これらの項目のうち、目的の遺伝子セットにおいて有意に頻出する項目をFisherの正確テストによって同定した。
【0117】
頻度解析には、χテスト又はFisherの正確テストを用いた。種々の臨床パラメーターと、発現プロファイルで規定される亜型の発現との関係を調べるために、多変量ロジスティック回帰分析を実施した。Kaplan-Meier法を用いて時間の関数として生存を評価し、生存率の差をlog−rankテストで解析した。Cox比例ハザードモデルを用いて、生存に影響を与える独立した因子の解析を行った。解析はすべて、Stataソフトウエア(version 7; Stata Corp社、米国)を用いて行い、両側有意レベルがP<0.05に設定された。
【0118】
B.結果
非小細胞肺癌の発現プロファイル分類
はじめ教師値なしの系統クラスタリング法を用いて149個のすべてのサンプルを分類した。このとき、4,834個の最も可変的に発現された転写物を用い、個々の腫瘍におけるゲノムワイドの発現パターンの類似性に基づく分子分類法を確立した。その結果得られたクラスターは、十分に確立され広く使用されているNSCLC組織学的分類を精確に再現した(図1)。SAM分析は、各クラスターについてアップレグレーション又はダウンレギュレーションを有する異なる遺伝子セットの存在を明らかにし、また、この遺伝子セットは、本発明者ら(Tomida Sら, Oncogene 23:5360−70, 2004)及び他の研究者ら(Garber MEら, Proc Natl Acad Sci USA 98:13784−9, 2001; Bhattacharjee Aら, Proc Natl Acad Sci USA 98:13790−5, 2001)によってこれまで報告された遺伝子セットと類似することが判明した。
【0119】
本研究では、肺癌の発症の原因であると強く考えられているEGFR、p53及びK−ras遺伝子の突然変異について広範囲にわたる検索を行い、発現プロファイルによって規定される亜型がこれらの遺伝子変化の存在又は非存在と関係があるかどうかを調べた。慣用のNSCLC組織学的分類の明らかに精確な再現と、これら3つの遺伝子変化に関する従来の報告から予測されるように、高度に有意な関係が、EGFR突然変異と対応腺癌の樹形図との間(36%対0%;P<0.001)で、並びに、p53突然変異と、ほとんど扁平上皮癌及び大細胞癌からなる樹形図との間(67%対33%;P<0.001)で観察された。
【0120】
発現プロファイルによって特定される2つの腺癌腫瘍型
この研究中に、本発明者らは、腺癌症例が大きな単一の樹形図として一緒にクラスター化される一方で、2つの主要なサブクラスターがあることに気付いた。この知見は、腺癌の別個の分析を、他のNSCLC組織型の強い特徴が腺癌内で違いを曖昧にする可能性があるという理由のために実施した。この目的のために、腺癌内で最も可変的に発現された4,138個の転写物を用いて行った分類体系的クラスタリングにより、2つの主要な樹形図と、右側樹形図中のさらに2つのサブクラスターの存在が明らかに示された(図2A)。形態学的分析により、細気管支肺胞癌が極右手サブクラスター内に位置するが、他の腺癌亜型又はWHO分類に準ずる変異体は任意の特定の樹形図内にはっきりとはクラスター化されないことが示された。しかしながら、本発明者らは、右側樹形図内の症例の特徴がTRU型腺癌、すなわち本発明者らが先にその異なる細胞形態などに基づいて提案した異なる腺癌サブセット(Yatabe Yら, Am J Surg Pathol 29:633−639, 2005; Yatabe Yら, Am J Surg Pathl 26:767−73, 2002; Yatabe Y, Elsevier Science/Academic Press, 2004, pp169−179, New York)と類似することに気付いた。((注)便宜的に、右側樹形図と左側樹形図の腫瘍をそれぞれ、TRU腺癌及び非TRU腺癌と称する。)
【0121】
これらの2つの主要な発現プロファイルによって規定される腺癌亜型、すなわち非TRU型及びTRU型、の樹形図及び生物学的性質について更に見識を得るために、SAM分析をはじめに行い、示差的に発現された遺伝子を選択した。SAM分析において0.1%未満の擬陽性率の有意のレベルでのプレフィルタリングにより1,657個の遺伝子を抽出し、これらの遺伝子のうち286個の遺伝子が、2以上の倍率でTRU型と非TRU型とでのそれらの発現レベルの間に差異を示した。これらの286個の遺伝子は、TRU型においてより高い発現を有する194個の遺伝子と、非TRU型においてより高い発現を有する92個の遺伝子からなっていた(データを示さず)。TRUと非TRUとの間の基本的な機能の差異をより良く理解するために、SAMで同定した遺伝子セットを、GO項目を用いて解析した。この方法は本研究のために本発明者らの研究室で開発されたものである。この同定法を用いて、9個の生物学的プロセス、6個の分子機能、及び2個の細胞成分に関係したGO項目が、TRU型腺癌に有意に頻出するものとして抽出され、これは正常の肺機能との明らかな関係を示した(表5)。
【0122】
【表5】

【0123】
これに対して、非TRU型に特異的なものとして同定されたGO項目は、細胞周期及び増殖に関係するものを含んでおり、このことは、非TRU型腺癌の固有の攻撃的性質を示唆している。
【0124】
腺癌のこれらの非常に確固たる発現プロファイルによって特定される亜型の同定は、独立したデータセットを用いて類似の教師値なしクラスタリング分析により行われた。34症例の肺腺癌からなるStanfordデータセット(Garber MEら, Proc Natl Acad Sci USA 98:13784−9, 2001)を、非TRU型、TRU−a型及びTRU-b型における区別的発現に関して、30個の上位にランクされた遺伝子の発現プロファイルに基づいた教師値なしの分類体系的クラスタリングによって解析した。この解析により、サブクラスターをもつ2つの主要な樹形図の明瞭な視覚化が生じた。この樹形図は、本研究で同定された3つの発現プロファイルで特定された腺癌亜型によく対応しているように思われた(図3)。
【0125】
発現プロファイルで特定される腺癌亜型を臨床病理学的特徴との有意な関係
次に、種々の臨床病理学的性質と、2つの発現プロファイルで特定される腺癌亜型、すなわちTRU腺癌及び非TRU腺癌、との間の関係を調べた(表6)。
【0126】
【表6】

【0127】
TRU型腺癌は、女性(P=0.005)及び非喫煙者(P<0.001)において、非TRU型よりも有意により頻繁にTRU型腺癌が認められた。一方、詳細な顕微鏡検査により、より高い悪性の可能性/出現と急速な増殖性との指標である、侵襲的増殖及び壊死の存在が、非TRU型腫瘍と区別される細胞周期関連のGO項目及び優勢な増殖にしたがって、非TRU型において特徴的に広く認められた(侵襲的な増殖及び壊死の双方についてP<0.001)。年齢、性別、喫煙状態及び病理学的ステージを変数とする多変量ロジスティック回帰分析により、有意に関連する変数として非喫煙状態が同定された(P=0.001)。術後の予後について、本発明者らは、図2に見られるTRU型腺癌の樹形図下の2つの明らかなクラスター、すなわちTRU-a及びTRU-b、に属する症例は、それらの術後の予後の点で区別されることに気付いた。TRU-a型は非TRU型のものと類似した予後を有するのに対して、TRU-b型腺癌の予後は非TRU型の予後よりも有意に良好であった(P=0.021;図4)。このことは、顕微鏡検査により、TRU-b型腺癌において他の腺癌型に比べてはるかに少ない頻度で明示的な侵襲的増殖が生じたことが示された、という事実と一致するように思われる(P<0.001)。
【0128】
発現プロファイルで特定される腺癌の亜型とEGFR突然変異状態との有意の関係
NSCLCにおける3つの主要な遺伝子変化のいずれかが、発現プロファイルで特定される腺癌の亜型と有意に関係付けられるかどうかを調べた(図2B)。EGFR突然変異の存在が、TRU型腺癌において、非TRU型腺癌におけるよりも有意により多く頻出的であることが判明した(45.3%対21.6%;P=0.026)。また、本発明者らは、TRU型腺癌の樹形図下の2つの明らかなクラスター、すなわちTRU-a及びTRU-b、はEGFR突然変異の頻出度の点でわずかに異なっている、すなわちTRU-a型腺癌(41.2%)についてよりもTRU-b型腺癌(52.6%)について、より高いEGFR突然変異頻度を示すことに気付いた。これに対して、K−rasとp53は腺癌の亜型と相関性を示さなかったが(p53についてP=0.33;K−rasについてP=0.17)、突然変異頻度の興味深い逆相関が、これらの遺伝子変化とEGFR突然変異との間で観察された。非TRU型腺癌は、最も高いパーセンテージの、p53及び/又はK−ras突然変異(p53について41%;K−rasについて16%)を有する腫瘍を含み、次いでTRU-a型(それぞれ29%及び12%)、TRU-b型(それぞれ21%及び0%)の順であった。
【0129】
TRU型腺癌におけるEGFR突然変異の予後有意性
本発明者ら及び他の研究者は、EGFR突然変異の存在がNSCLC患者の術後の予後に影響を与えないことを報告しているが(Kosaka Tら, Cancer Res 64:8919−23, 2004; Shigematsu Hら, J Natl Cancer Inst 97:339−46, 2005)、このことは、この独立のデータセットにおいて確認された(図5A;P=0.42)。今回の知見が、特にTRU型の腺癌の発症において、他の肺癌型の発症におけるよりも、EGFR突然変異のより重要な役割を示している可能性があるという理由に基づいて、本発明者らは、TRU型腺癌症例の別個の解析を行い、EGFR突然変異と術後の予後との間の潜在的な関係を調べた。有意な関係が、TRU型腺癌において術後の悪い予後とEGFR突然変異の存在との間で検出された(図5B;P=0.024)。この関係はさらに、多変数Cox回帰分析の結果によって確認された(表7)。
【0130】
【表7】

【0131】
TRU型腺癌でのEGFR突然変異の存在は、病気の段階(H.R.=7.61;P=0.001)及び発現プロファイルで特定された組織学的亜型(H.R.=8.25;P=0.003)の他に、独立の予後因子(H.R.=7.71;P=0.003)を示したが、一方、性別、年齢及び喫煙状態はいかなる有意な関係も示さなかった。
【0132】
EGFR突然変異の存在又は非存在下の有意の示差的発現を有する遺伝子の検索
すべての腺癌症例において、EGFR突然変異の存在と関連がある遺伝子を選択するために、5%の擬陽性率といった有意レベルを使用したが、これは、1%の擬陽性率を用いたときにはまったく選択されなかったからである(表8)。
【0133】
【表8】

【0134】
EGFR突然変異を有し腫瘍内に2倍以上のアップレギュレーションをもつ5つの遺伝子を同定し、一方、さらに11の遺伝子がEGFR突然変異の存在と関連して1.5〜2倍のアップレギュレーションを示した。本発明者らはさらに、有意により高い頻度で出現するEGFR突然変異を有するTRU型腺癌内で特異的にかつ示差的に発現される遺伝子について検索した。SAMにより遺伝子を選択するためにかなり高い擬陽性率(10%)を使用する必要があったが、EGFR突然変異の存在下で2倍以上のアップレギュレーションを有する単一の遺伝子、すなわちGGTLA4を同定した。さらに8つの遺伝子は、同じ有意差レベルで1.5〜2倍のアップレギュレーションを示した(表5)。
【0135】
考察
所与の腫瘍での発現プロファイルは、複雑な影響の結果とみなすことができる。このような影響は、病因に重要な蓄積された遺伝子変化、並びに始原細胞の分化−コミットメントの結果によるものである。その理解を求める本研究において、本発明者らは、発現プロファイルによって特定される非常にしっかりした腺癌分類法の確立に成功した。その方法との関連性は、種々の区別的な分子遺伝学的及び臨床病理学的特徴を包含することによって明らかに支持される。2つの主要な亜型、すなわちTRU型と非TRU型は多数の遺伝子の示差的発現を特徴とし、したがって遺伝子使用の点でそれらの有意の差異を示す(Yatabe Yら, Am J Surg Pathol 29:633−639, 2005)。本発明者らのGO項目の同定法を用いて得られる結果はさらにそれらの異なる性質を支持する。TRU型腫瘍は末梢の肺機能の管理にとって重要である生物学的プロセスによって特徴付けられる(Veldhuizen EJら, Biochim Biophys Acta 1467:255−70, 2000)。同様に、TRU型に関連した分子機能はそれらの始原細胞の特徴の保持を反映しているように思われる。対照的に、多くの非TRU型関連GO項目は、細胞周期及び細胞増殖に関連しており、高グレードの特性の顕微鏡所見と一致するように思われる。
【0136】
TRUと非TRUの亜型間の臨床的特徴の著しい差異はまた、本発明の発現プロファイルで特定される分類法が確固たるものであることを支持している。TRU型の注目に値する臨床上の特徴は、女性及び非喫煙者の割合が有意に高いことであり、一方、多変数解析の結果は、独立的に関連した因子として、非喫煙状態を示すが性別を示していないことである。すなわち、この腫瘍型は、喫煙の影響がはるかに少ない中で末梢肺気道細胞から生じるように思われること、並びに、GO項目ベースの解析によって示されるようにその先祖の特徴を保持するように思われることである。TRU-b型は最も好ましい予後を有しており、侵襲的増殖の頻度が小さく、また、TRU-a型と比較したときでさえ、より高いレベルの種々の分化マーカーを発現する。このことは、TRU-b型が他の型よりもより良い正常の末梢肺気道細胞の特徴を保持するがTRU-a型に進行するかもしれないことを示唆している。
【0137】
本研究は明らかに、EGFR突然変異の存在が有意にTRU型腺癌と関連性があることを示している。実際、TRU型腺癌症例の45.3%がEGFR突然変異を有しているのに対して、非TRU型では21.6%の発生率である。一方、p53やK−rasはそれらの突然変異頻度の点で有意な差異を示さなかったが、非TRU型において最も高い発生率であるという興味ある逆の傾向があった。EGFR突然変異の存在は、特にTRU型腺癌について、病気の段階と無関係に術後の短い生存と有意に関係があった。実際、TRU型のステージII/IIIの病気をもつ患者の5年生存率は、EGFR突然変異の存在下で25%、その非存在下で78%であることが判明した。これらの知見から、可能ならゲフィチニブによる集中的なアジュバント療法のための候補薬剤を選択するための、発現プロファイルで特定される亜型とEGFRの突然変異状態の同時分析の可能な臨床的有用性を示唆している。
【0138】
結論として、本研究は、肺癌、特に腺癌における不均質性の存在に対し、遺伝子的及び臨床病理学的に関連する発現プロファイルにより特定された分子分類法を確立することによって、光をあてた。
【0139】
C.TRU型腺癌及び非TRU型腺癌の識別例
肺腺癌をTRU型と非TRU型に分類するために、シグナル−ノイズ関数(signal−to−noise metrics、Golubら、Science, Vol.286, pp531 to537, 1999)を用いた。肺腺癌症例群をTRU型の場合class1、非TRU型の場合class2とそれぞれ規定した場合、シグナル−ノイズ統計値である重みSは次式によって計算される(図6)。
S=(μclass1−μclass2/σclass1+σclass2
【0140】
ここで、各遺伝子について、μclass1はclass1の全発現強度データの平均値を示し、μclass2はclass2の全発現強度データの平均値を示し、σclass1はclass1の全発現強度データの標準偏差を示し、σclass2はclass2の全発現強度データの標準偏差を示す。
【0141】
次に、遺伝子xに関する重み付き投票を、下記のWeighted-Voting の計算式を用いて計算する(図7)。
=S(G−b
【0142】
ここで、Vは、遺伝子xに関する重み付き投票を示し、Sは上記式によって算出される重みを示し、Gは、遺伝子xの発現強度(又は発現レベル)を示し、bは、
=(μ1+μ2)/2
(ここで、μ1及びμ2は、それぞれclass1、class2の各平均値の平均を示す。)によって示され、2つの群の中心(すなわち、重心)を示す。
【0143】
重心からのずれに応じて重みを加算していく手法により、各群のVの総和が0より大きいとき、腺癌はclass1に分類され、Vの総和が0より小さいとき、腺癌はclass2に分類される、とすることができる。
【0144】
例えば、class1に属するsample1, 2, 3, 4 及び5と、class2 に属するsample6, 7, 8, 9及び10について、遺伝子(Gene)A, B, C(以上、TRU特徴遺伝子)、遺伝子(Gene)X, Y,Z(以上、非TRU遺伝子)の発現強度(又は発現レベル)を測定し、各群の5つのサンプルの各遺伝子の発現強度の平均値(μ)と標準偏差(σ)を算出し、さらに、上記の式から、重み(S)と重心(bX)を計算する。この結果を、表9に示す。
【0145】
【表9】

【0146】
型分類すべきsampleAとsampleBについて、各遺伝子の発現強度(又は発現レベル)を測定し、上記式から重み(S)、G−bを計算して各VXを求め、さらに6つの遺伝子のVXの総和を求める(図8)。
【0147】
その結果、sampleAは、VXの総和が0より大きいため、TRU型と識別される。また、sampleBは、VXの総和が0より小さいため、非TRU型と識別される。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明により、肺腺癌患者において腺癌の亜型と術後予後の関係、及びある亜型(TRU型)のEGFR遺伝子変異と術後予後の関係を予測することが可能となるため、術後の患者に適した治療計画を立てることができる。このように、本発明は、肺腺癌の治療のために医療産業に寄与することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】149のNSCLC症例における4つの主要遺伝子変化の教師値なし分類体系的クラスタリング及び分析結果を示す。組織学の行中のボックス(「Hist」)は、扁平上皮癌(青色;SQ)、大細胞癌(赤色、LA)、腺癌(橙色、AD)、扁平上皮腺癌(灰色)、及び大細胞内分泌癌(黄色)を表す。黒色のボックスは、それらの個々の行において、EGFR、p53及びK−ras突然変異の存在を示す。試料(列)中の転写物配列(行)の発現指数は、カラーコードによって示されている(図中の底部のバー中の発現指数を参照のこと)。
【図2】90の肺腺癌症例における4つの主要遺伝子変化の教師値なし分類体系的クラスタリング(TRU,非TRU(non-TRU),TRU−a,TRU−b)及び分析結果を示す。図2Aは、突然変異の分類体系的クラスタリングと検索の結果を示す。発現指数は図1と同様である。図2Bは、EGFR、p53及びK−ras突然変異の頻度(Frequencies of mutations)(%)を示すグラフである。黒色ボックスは、それらの個々の行において、EGFR、p53及びK−ras突然変異の存在を示す。顕著な侵襲的増殖は黒色ボックスによって、限局性の侵襲的増殖は灰色ボックスによって、陰性の又は無視しうる侵襲的増殖は白色ボックスによってそれぞれ示されている。
【図3】非TRU型、TRU-a型又はTRU-b型、及びStanfordデータセット(Garber MEら, Proc Natl Acad Sci USA 98:13784−9, 2001)を用いて同定されたプロファイリングで特定された肺腺癌サブセットにおける、区別的発現の点で上位にランクされた30個の遺伝子の発現プロファイルに基づいた、教師値なし分類体系的クラスタリングの結果を示す。発現指数は図1と同様である。この図は、腺癌症例は、体系的にTRU型と非TRU型に大きく分類され、TRU型として識別された症例はさらにTRU-a型又はTRU-b型に分類されることを示している。
【図4】発現プロファイルで特定された肺腺癌亜型のKaplan-Meier生存曲線を示す。横軸は術後観察月数(Months after surgery)、縦軸は生存率(Survaival)を示す。また、各術後観察月数における、非TRU型、TRU-a型及びTRU-b型に分類されたリスク患者数を併せて示した。図から、TRU-b腺癌は、非TRU型よりも有意に良好な予後を有したが、TRU-a型の予後は非TRU型のものと類似していた。
【図5】肺腺癌の全症例及びTRU型肺腺癌におけるEGFR突然変異の存在又は非存在に関するKaplan-Meier生存曲線を示す。図5Aは、EGFR遺伝子変異を有する又は有さない腺癌症例の術後生存曲線を示す。図5Bは、TRU型腺癌におけるEGFR遺伝子変異の存在又は非存在に関する術後生存曲線を示す。横軸は術後観察月数(Months after surgery)、縦軸は生存率(Survaival)を示す。また、各術後観察月数における、野生型又は突然変異型EGFR(それぞれwt-EGFR、 mut-EGFR)をもつリスク患者数を併せて示した。
【図6】重み(S)の計算式を示す。
【図7】Weighted-Voting(重み付き-投票)の計算式とその意味を示す。
【図8】Weighted-Votingによる判別モデルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺腺癌をもつ患者の術後予後をインビトロで予測する方法であって、該方法が、肺腺癌を、その亜型であるTRU型又は非TRU型のいずれかに識別し、次いでTRU型であると識別された場合、TRU型肺腺癌をさらにTRU-a型又はTRU-b型のいずれかに識別し、TRU-b型であれば術後予後が良好である、或いは、TRU-a型又は非TRU型であれば術後予後が不良であると判定することを含み、ここで、該TRU型、非TRU型、TRU-a型及びTRU-b型は、該患者の生物学的試料中の下記の対応する遺伝子セットの1又は2以上の遺伝子の発現について、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間、又はTRU-a型腺癌とTRU-b型腺癌の間、の相対的発現レベルの差を測定することによって識別される、ならびに、
該TRU型に属する遺伝子セットが、下記のUniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体である、
該非TRU型に属する遺伝子セットが、下記のUniGene登録番号:
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体である、
該TRU-a型に属する遺伝子セットが、下記のUniGene登録番号:
Hs.220629、Hs.153322、Hs.127821、Hs.218366、Hs.436996、Hs.247824、Hs.550526、Hs.62604、Hs.104555、Hs.465720、Hs.480281、Hs.495480、Hs.545862、Hs.1051、Hs.133062、Hs.115263、Hs.349470、Hs.495774、Hs.155538、Hs.435759、Hs.128041、Hs.465643、Hs.169943、Hs.534496、Hs.379010、Hs.184507、Hs.469359、Hs.2012、Hs.109358、Hs.438016、Hs.326561、Hs.367956、Hs.271285、Hs.176626、Hs.137556、Hs.437806、Hs.240457、Hs.533055、Hs.532492、Hs.85962、Hs.268698、Hs.520627、Hs.524479、Hs.449585、Hs.158339、Hs.522836、Hs.279580、Hs.444535、Hs.446388、Hs.149769、Hs.513779、Hs.103983、Hs.512756、Hs.348012、Hs.467529、Hs.434374、Hs.389311、Hs.49653、Hs.424542、Hs.436667、Hs.516036、Hs.533526、Hs.463079、Hs.310456、Hs.125950、Hs.351571、Hs.478930、Hs.483906、Hs.259563、Hs.249196、Hs.412792、Hs.183390、Hs.87191、Hs.171995、Hs.117545、Hs.554891、Hs.351544、Hs.368353、Hs.482417、Hs.126561、Hs.154224、Hs.232696、Hs.520319、Hs.153299、Hs.449621、Hs.502092、Hs.537722、Hs.127189、Hs.525589、Hs.476231、Hs.527095、Hs.511839、Hs.372773、Hs.112087、Hs.458252、Hs.181973、Hs.289319、Hs.25333、Hs.513075、Hs.356820、Hs.549577、Hs.380222、Hs.46700、Hs.129227、Hs.100431、Hs.129493、Hs.173656、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.151219、Hs.369385、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.355236、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体である、および、
該TRU-b型に属する遺伝子セットが、下記のUniGene登録番号:
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.253495、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.279611、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.90250、Hs.436317、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.42091、Hs.32417、Hs.75812、Hs.355394を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体である、
ことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記UniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443、
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583、
Hs.1051、Hs.115263、Hs.379010、Hs.2012、Hs.268698、Hs.49653、Hs.424542、Hs.525589、Hs.25333、Hs.513075、Hs.549577、Hs.100431、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055、
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.32417、Hs.75812
を有する遺伝子がそれぞれ、配列番号1〜351に示される配列又はその相補的配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TRU型又は非TRU型腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差が、それぞれ非TRU型又はTRU型腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差と比べて相対的に大きいとき、前記腺癌をそれぞれTRU型腺癌又は非TRU型腺癌と判定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記TRU-a型又はTRU型-b腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差が、それぞれTRU-b型又はTRU型-a腺癌に属する遺伝子の発現レベルの差と比べて相対的に大きいとき、前記腺癌をそれぞれTRU-a型腺癌又は非TRU型-b腺癌と判定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記遺伝子の発現レベルが、該遺伝子に対応する核酸又はタンパク質の存在もしくは量を測定することによって決定される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記遺伝子の発現レベルが、ハイブリダイゼーション法によって測定される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ハイブリダイゼーション法が、マイクロアレイ法又はブロット法である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記遺伝子の発現レベルが、免疫学的方法によって測定される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫学的方法が、前記遺伝子によってコードされるタンパク質又はその断片に対する特異抗体と標的タンパク質との免疫学的複合体を検出することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記TRU型肺腺癌において、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子が突然変異を含む場合、野生型EGFR遺伝子を含む肺腺癌と比べて患者の術後予後が不良であると予測することをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
肺腺癌を、TRU型又は非TRU型のいずれかの亜型に分類し、次いでTRU型をTRU-a型又はTRU-b型に分類する方法であって、該方法が、患者の生物学的試料中の下記の対応する遺伝子セットの1又は2以上の遺伝子について、TRU型腺癌と非TRU型腺癌の間、又はTRU-a型腺癌とTRU-b型腺癌の間、の相対的発現レベルの差を測定し、該発現レベルの差を示す遺伝子が、
(a)下記のUniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体からなる遺伝子セット中の遺伝子である場合、該肺腺癌がTRU型であると決定する、あるいは、
(b)下記のUniGene登録番号:
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体からなる遺伝子セット中の遺伝子である場合、該肺腺癌が非TRU型であると決定する、あるいは、
(c)下記のUniGene登録番号:
Hs.220629、Hs.153322、Hs.127821、Hs.218366、Hs.436996、Hs.247824、Hs.550526、Hs.62604、Hs.104555、Hs.465720、Hs.480281、Hs.495480、Hs.545862、Hs.1051、Hs.133062、Hs.115263、Hs.349470、Hs.495774、Hs.155538、Hs.435759、Hs.128041、Hs.465643、Hs.169943、Hs.534496、Hs.379010、Hs.184507、Hs.469359、Hs.2012、Hs.109358、Hs.438016、Hs.326561、Hs.367956、Hs.271285、Hs.176626、Hs.137556、Hs.437806、Hs.240457、Hs.533055、Hs.532492、Hs.85962、Hs.268698、Hs.520627、Hs.524479、Hs.449585、Hs.158339、Hs.522836、Hs.279580、Hs.444535、Hs.446388、Hs.149769、Hs.513779、Hs.103983、Hs.512756、Hs.348012、Hs.467529、Hs.434374、Hs.389311、Hs.49653、Hs.424542、Hs.436667、Hs.516036、Hs.533526、Hs.463079、Hs.310456、Hs.125950、Hs.351571、Hs.478930、Hs.483906、Hs.259563、Hs.249196、Hs.412792、Hs.183390、Hs.87191、Hs.171995、Hs.117545、Hs.554891、Hs.351544、Hs.368353、Hs.482417、Hs.126561、Hs.154224、Hs.232696、Hs.520319、Hs.153299、Hs.449621、Hs.502092、Hs.537722、Hs.127189、Hs.525589、Hs.476231、Hs.527095、Hs.511839、Hs.372773、Hs.112087、Hs.458252、Hs.181973、Hs.289319、Hs.25333、Hs.513075、Hs.356820、Hs.549577、Hs.380222、Hs.46700、Hs.129227、Hs.100431、Hs.129493、Hs.173656、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.151219、Hs.369385、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.355236、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体からなる遺伝子セット中の遺伝子である場合、該肺腺癌がTRU-a型であると決定する、あるいは、
(d)下記のUniGene登録番号:
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.253495、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.279611、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.90250、Hs.436317、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.42091、Hs.32417、Hs.75812、Hs.355394を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体からなる遺伝子セット中の遺伝子である場合、該肺腺癌がTRU-b型であると決定する、
ことを含む前記方法。
【請求項12】
前記UniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443、
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583、
Hs.1051、Hs.115263、Hs.379010、Hs.2012、Hs.268698、Hs.49653、Hs.424542、Hs.525589、Hs.25333、Hs.513075、Hs.549577、Hs.100431、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055、
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.32417、Hs.75812
を有する遺伝子がそれぞれ、配列番号1〜351に示される配列又はその相補的配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記遺伝子の発現レベルが、ハイブリダイゼーション法によって測定される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記ハイブリダイゼーション法が、マイクロアレイ法又はブロット法である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
下記のUniGene登録番号:
Hs.512690、Hs.153322、Hs.218366、Hs.220629、Hs.436996、Hs.435759、Hs.104555、Hs.247824、Hs.127821、Hs.480281、Hs.529117、Hs.545862、Hs.391561、Hs.479372、Hs.533055、Hs.550526、Hs.322854、Hs.465720、Hs.356664、Hs.26630、Hs.534496、Hs.85962、Hs.211267、Hs.128041、Hs.534458、Hs.495774、Hs.437806、Hs.133062、Hs.501758、Hs.444535、Hs.495480、Hs.326561、Hs.483906、Hs.169943、Hs.271285、Hs.158339、Hs.62604、Hs.469359、Hs.436657、Hs.8417、Hs.155538、Hs.533526、Hs.512756、Hs.87191、Hs.463079、Hs.513779、Hs.476209、Hs.279580、Hs.351544、Hs.269408、Hs.134807、Hs.482417、Hs.176626、Hs.465643、Hs.183390、Hs.411299、Hs.234027、Hs.109358、Hs.103983、Hs.26216、Hs.534352、Hs.240457、Hs.516036、Hs.144875、Hs.411312、Hs.103989、Hs.537722、Hs.333130、Hs.517962、Hs.90250、Hs.478930、Hs.121629、Hs.194061、Hs.520627、Hs.348012、Hs.522836、Hs.1376、Hs.520049、Hs.512856、Hs.355236、Hs.349470、Hs.476231、Hs.137556、Hs.390567、Hs.368353、Hs.412792、Hs.449207、Hs.527095、Hs.118722、Hs.377090、Hs.232696、Hs.447544、Hs.372773、Hs.222055、Hs.511839、Hs.153299、Hs.434374、Hs.287729、Hs.553740、Hs.127189、Hs.497723、Hs.181973、Hs.173656、Hs.451956、Hs.184507、Hs.532492、Hs.370904、Hs.460468、 Hs.520612、Hs.436667、Hs.125116、Hs.459391、Hs.450320、Hs.149769、Hs.325890、Hs.356820、Hs.289319、Hs.73893、Hs.129493、Hs.515069、Hs.34560、Hs.477278、Hs.351571、Hs.112087、Hs.154224、Hs.125950、Hs.438016、Hs.367956、Hs.553778、Hs.329266、Hs.479658、Hs.458713、Hs.249196、Hs.467529、Hs.145061、Hs.49653、Hs.129227、Hs.313343、Hs.194554、Hs.123114、Hs.126561、Hs.42091、Hs.369385、Hs.98661、Hs.458306、Hs.148584、Hs.501684、Hs.422466、Hs.523732、Hs.525557、Hs.1372、Hs.379097、Hs.208124、Hs.389311、Hs.2561、Hs.117545、Hs.446388、Hs.2813、Hs.473894、Hs.502092、Hs.524479、Hs.314261、Hs.382306、Hs.458252、Hs.380222、Hs.379636、Hs.302034、Hs.253495、Hs.345877、Hs.259563、Hs.528569、Hs.152337、Hs.436317、Hs.546408、Hs.46700、Hs.1027、Hs.151219、Hs.279611、Hs.310456、Hs.520319、Hs.406976、Hs.181245、Hs.449621、Hs.515465、Hs.310540、Hs.554891、Hs.449601、Hs.355394、Hs.380710、Hs.171995、Hs.449585、Hs.522484、Hs.298023、Hs.520339、Hs.121443、
Hs.62661、Hs.200804、Hs.533185、Hs.461329、Hs.479270、Hs.446201、Hs.35086、Hs.500761、Hs.44298、Hs.469030、Hs.309767、Hs.441047、Hs.98309、Hs.31409、Hs.518299、Hs.532870、Hs.196534、Hs.108106、Hs.289319、Hs.69771、Hs.374378、Hs.369422、Hs.368641、Hs.302963、Hs.530461、Hs.1955、Hs.513726、Hs.148767、Hs.523220、Hs.525796、Hs.271264、Hs.69321、Hs.231367、Hs.500761、Hs.528304、Hs.148685、Hs.87417、Hs.164060、Hs.514843、Hs.418416、Hs.126521、Hs.519839、Hs.103834、Hs.279840、Hs.497741、Hs.531457、Hs.226390、Hs.480143、Hs.473721、Hs.369762、Hs.514527、Hs.204238、Hs.3104、Hs.519873、Hs.519909、Hs.179718、Hs.103183、Hs.520210、Hs.444683、Hs.234545、Hs.80976、Hs.311187、Hs.89497、Hs.444118、Hs.541635、Hs.477898、Hs.511776、Hs.434886、Hs.117299、Hs.252451、Hs.468058、Hs.21554、Hs.165904、Hs.445244、Hs.413924、Hs.99120、Hs.521171、Hs.462379、Hs.481860、Hs.489207、Hs.414407、Hs.505575、Hs.516826、Hs.62180、Hs.368934、Hs.530509、Hs.278906、Hs.511987、Hs.444082、Hs.471873、Hs.24583、
Hs.1051、Hs.115263、Hs.379010、Hs.2012、Hs.268698、Hs.49653、Hs.424542、Hs.525589、Hs.25333、Hs.513075、Hs.549577、Hs.100431、Hs.9613、Hs.301478、Hs.553740、Hs.525383、Hs.473721、Hs.375624、Hs.116724、Hs.9613、Hs.418055、
Hs.334873、Hs.180878、Hs.126521、Hs.519033、Hs.187636、Hs.518448、Hs.322761、Hs.31409、Hs.524513、Hs.436437、Hs.148989、Hs.279575、Hs.75668、Hs.470791、Hs.104476、Hs.494496、Hs.517549、Hs.278906、Hs.498586、Hs.183617、Hs.499758、Hs.350065、Hs.511138、Hs.150793、Hs.129174、Hs.212606、Hs.275775、Hs.496414、Hs.436142、Hs.282984、Hs.32417、Hs.69321、Hs.414629、Hs.502618、Hs.405755、Hs.480143、Hs.60371、Hs.283683、Hs.208093、Hs.336768、Hs.116459、Hs.131673、Hs.32417、Hs.75812
を有する遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体の発現を検出することができる核酸であって、
(1)配列番号1〜351に示されるヌクレオチド配列、
(2)配列番号1〜351に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、
(3)前記(1)又は(2)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、
(4)前記(1)、(2)又は(3)のいずれかの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、並びに、
(5)前記(1)、(3)又は(4)のヌクレオチド配列の15塩基から全塩基数未満の部分配列、
からなる群から選択される配列を有する核酸、或いは該遺伝子、又はその変異体、同族体もしくは誘導体によってコードされるタンパク質又は断片に対する抗体又はその断片、を含む、肺腺癌をもつ患者の術後予後をインビトロで予測するための又は肺腺癌をTRU型、非TRU型、TRU-a型又はTRU-b型のいずれかの亜型に分類するための組成物。
【請求項16】
前記組成物がキット又はDNAチップ又はタンパク質アレイの形態である、請求項15に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−97486(P2007−97486A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291588(P2005−291588)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(304031427)愛知県 (36)
【出願人】(500535301)社団法人バイオ産業情報化コンソーシアム (22)
【Fターム(参考)】