説明

胃内浮遊滞留シームレスカプセルとその製造方法

【課題】本発明により、胃内で長時間の滞留に耐え得る耐酸性と強度を有し、目的有効成分の持続放出制御性に優れた胃内浮遊滞留シームレスカプセル、およびそれを量産する製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は内容物および該内容物を包含する少なくとも1層の皮膜物質層からなり、該内容物が気体または発泡成分を含有し、該皮膜物質層がカードランを含有し、かつ該内容物および/または該皮膜物質層が目的有効成分を更に含有し、該目的有効成分が該カードランを含有する層または該層より内側にあることを特徴とする胃内浮遊滞留シームレスカプセル、および上記シームレスカプセルを量産する製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃内で長時間の滞留に耐えうる耐酸性と強度を有し、目的有効成分の持続放出制御性に優れた胃内浮遊滞留シームレスカプセル、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の大量投与による副作用を軽減し、薬効成分を効果的に発揮させるため効率的な投与剤型が検討されてきた。このような背景から特に消化管疾患薬剤の剤型としては消化管粘膜付着性製剤と胃内浮遊滞留性製剤が提案されている。消化管粘膜付着性製剤に関しては、特許文献1において、カードランおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを消化管粘膜付着成分とし薬効成分の効果を飛躍的に向上させる方法が開示されている。具体例として少なくとも胃等の消化管の粘膜に付着および/または胃内に滞留し薬効成分を適度な速度で放出し、増強された薬効活性を発揮する組成物であることが明記されている。
【0003】
しかしながら、胃内粘膜付着においては胃内の食物の滞留状況により胃内上部粘膜への付着は困難であり、付着後も胃の運動による食物の撹拌流動により付着製剤が胃壁より剥離し食物と共に幽門部に流下し易く、胃内に滞留する時間も胃内浮遊滞留性製剤と比較すると短いという問題点があった。
【0004】
また、胃内浮遊滞留性製剤に関しては、特許文献2において、ゼラチンを主要な構成成分としてカプセル剤中に不活性気体などを充填し、胃内溶液に浮遊滞留させて薬物を持続放出させる方法が開示されている。具体的には空気や窒素のような不活性気体またはそれらの不活性気体を含有する物質をカプセル形成時に充填すること、およびカプセル形成の方法として2枚の軟化ゼラチンシートの間に充填物をはさみ込む方法あるいは袋状の軟化ゼラチンシートの中に充填物を流し込む方法が挙げられている。
【0005】
しかしながら、このようなゼラチン主体の皮膜剤では胃液の低pHにより皮膜自体の強度が低下し、胃内での物理的衝撃に弱くカプセルが壊れやすいという問題点があった。また、カプセル形成方法において2枚の軟化ゼラチンシートの間に充填物をはさみ込む過程で必然的に2枚のシートの継目が生じるし、袋状の軟化ゼラチンシートの中に充填物を流し込む場合も同様に袋の閉じ口に継目を生じる。これらの継目は胃内での物理的衝撃に弱くカプセルの充填物が漏れ出し易いという問題点があった。
【0006】
一方、ゼラチンよりも耐酸性を有するアルギン酸塩やペクチンがカプセル皮膜基剤として公知であるが、特許文献3に記載されているように、両基剤共にカルシウムイオンの存在や糖濃度が皮膜強度に関係しており、これらの条件が胃内では常に充足される条件ではないので、胃内の低pH下での皮膜ゲル強度がイオンや糖濃度に影響され易いという問題点があった。これらのことから、安定して胃内に浮遊滞留し、効率よく薬物を持続的に放出する製剤が望まれていた。
【特許文献1】特許第3136516号(特開平10‐324643号公報)
【特許文献2】特許第2671257号(特開平8‐99870号公報)
【特許文献3】特公表2005‐507409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来の剤型の有する問題点を解決し、胃内で長時間の滞留に耐え得る耐酸性と強度を有し、目的有効成分の持続放出制御性に優れた胃内浮遊滞留シームレスカプセル、およびそれを量産する製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究の結果、皮膜と内容物からなるシームレスカプセルにおいて、上記シームレスカプセルの内容物が気体または発泡成分を含有し、上記内容物を包含する皮膜が胃酸に充分耐え得る耐酸性と強度を有する天然高分子であるカードラン(Curdlan)を含有し、上記内容物および/または皮膜が更に目的有効成分を含有する構造を有することで、上記シームレスカプセルにおいて形成時に内容物の1つとして予め気体を封入するか、または胃液がカードラン皮膜中を浸透透過することで内容物の発泡成分が気体を発生し、カプセルがバルーン状に膨張拡大し胃内浮遊滞留状態で目的有効成分を徐々に放出する特徴を有する胃内浮遊滞留シームレスカプセル、およびそれを量産する製造方法を提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、内容物および該内容物を包含する少なくとも1層の皮膜物質層からなり、該内容物が気体または発泡成分を含有し、該皮膜物質層がカードランを含有し、かつ該内容物および/または該皮膜物質層が目的有効成分を更に含有し、該目的有効成分が該カードランを含有する層または該層より内側にあることを特徴とする胃内浮遊滞留シームレスカプセルに関する。
【0010】
更に本発明を好適に実施するために、
上記気体が、二酸化炭素、窒素、酸素およびこれらの混合物、並びに空気から成る群から選択され;
上記発泡成分が、胃酸による低pHにより炭酸ガスを発生させる炭酸水素ナトリウムから成り;
上記目的有効成分が小腸上部吸収薬効成分、健胃成分、胃粘膜保護成分、胃粘膜修復成分、ピロリ菌殺菌成分、ピロリ菌産生毒素分解成分、ピロリ菌産生毒素中和成分、ピロリ菌産生毒素無毒化成分、消臭成分およびそれらの2つ以上の組合せから成る群から選択される、医薬品成分または機能性食品成分であり;
上記目的有効成分が難水溶性または易水溶性であり;
上記目的有効成分の徐放性を高めるために、上記皮膜物質層が、カードランを含有するカードラン皮膜層の内側に、少なくとも1層のカードランを含有しない皮膜内層を更に含む;
ことが好ましい。
【0011】
本発明の他の態様として、二重ノズル以上の多重ノズルを用いることを特徴とする、内容物および該内容物を包含する少なくとも1層の皮膜物質層からなり、該内容物が気体または発泡成分を含有し、該皮膜物質層がカードランを含有し、かつ該内容物および/または該皮膜物質層が目的有効成分を更に含有し、該目的有効成分が該カードランを含有する層または該層より内側にあることを特徴とする胃内浮遊滞留シームレスカプセルの製造方法がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシームレスカプセルは、内容物および上記内容物を包含する少なくとも1層の皮膜物質層からなり、上記内容物が気体または発泡成分を含有し、上記皮膜物質層がカードランを含有し、かつ上記内容物および/または皮膜物質層が更に目的有効成分を含有し、上記目的有効成分が上記カードランを含有する層、またはその層より内側にあることにより、胃内で長時間の滞留に耐え得る耐酸性と強度を具備した皮膜と胃内で浮遊するための気体または発泡成分とを含有して成る、目的有効成分の持続放出制御性に優れた胃内浮遊滞留型のシームレスカプセルおよびその製造方法を提供し得たものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1〜2を用いて、本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルを更に詳細に説明する。図1は本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルの1つの態様(2層構造)を模式的に示す概略断面図であり、図2は、本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルの1つの態様(3層構造)を模式的に示す概略断面図である。本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルは、内容物(1)および上記内容物を包含する少なくとも1層の皮膜物質層(2)から成ることを要件とする。本発明のシームレスカプセルの態様として最も単純な構造は、図1に示すように、1層の皮膜物質層(2)を有する2層構造のシームレスカプセルである。
【0014】
また、上記皮膜物質層(2)は、カードランを含有するカードラン皮膜層(3)の内側に、少なくとも1層のカードランを含有しない皮膜内層(4)を更に含んでいてもよい。即ち、本発明のシームレスカプセルの上記皮膜物質層(2)は、カードラン皮膜層(3)と少なくとも1層のカードランを含有しない層を含む2層以上の多層構造を有していてもよい。本発明のシームレスカプセルのそのような態様として最も単純な構造は、図2に示すような、カードラン皮膜層(3)と1層の皮膜内層(4)とから成る皮膜物質層(2)を有する3層構造のシームレスカプセルである。
【0015】
本発明のシームレスカプセルの内容物溶液としては、気体または発泡成分と、使用する場合には目的有効成分とを内容物基剤に溶解した親油性または親水性の液状物質、上記基剤液状物質とこれに不溶の主成分粉末との懸濁液、またはこれらの混合液が挙げられる。前述のように、本発明のシームレスカプセルにおいては、上記内容物(1)および/または皮膜物質層(2)が目的有効成分を含有し、上記目的有効成分が上記カードランを含有する層、またはそれより内側にあることを要件とする。従って、皮膜物質層(2)が単層構造の場合、カードランは皮膜物質層(2)に含まれるため、目的有効成分は内容物(1)または皮膜物質層(2)に含まれる。また、上記皮膜物質層(2)が2層構造以上の場合、カードランはカードラン皮膜層(3)に含まれるため、上記目的有効成分はカードラン皮膜層(3)、皮膜内層(4)、内容物(1)またはそれらの2つ以上の組み合わせに含まれていてもよい。
【0016】
上記内容物溶液の粘度は、0℃〜55℃の温度範囲で、1mPa・s〜300mPa・s、好ましくは10mPa・s〜200mPa・sの範囲で使用される。上記内容物溶液の粘度が、1mPa・s未満では内容物の充填精度が低下し、300mPa・sを超えるとカプセル形成が困難になる。
【0017】
本発明のシームレスカプセルの内容物には、気体または発泡成分を含有することを要件とする。上記気体としては、二酸化炭素、窒素、酸素およびこれらの混合物または空気が挙げられ、胃内でのカプセルが充分な浮力を保持するためには気体の標準状態(0℃、1atm=101325Pa)における密度が2kg/m以下の気体が好ましい。
【0018】
上記気体の配合量としては、上記内容物の総体積をベースとして、5〜99体積%、好ましくは10〜90体積%、より好ましくは40〜60体積%である。上記気体の配合量が、5体積%未満では胃内で充分な浮力を保持できず、99体積%を超えると内容成分を充分に含有させることが困難である。
【0019】
上記発泡成分としては、胃内環境下で気体を発生して、上記カプセルが胃内で安定して浮遊滞留できるものであれば特に限定されないが、胃酸による低pHにより炭酸ガスを発生させる炭酸水素ナトリウムが好適である。
【0020】
上記発泡成分の配合量は、内容物100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは10〜30重量部、より好ましくは15〜25重量部であることが望ましい。上記発泡成分の配合量が、1重量部未満では発泡による気体成分の量が少なく胃内で充分な浮力を保持できなくなり、50重量部を超えると発泡による気体成分量が多くなり過ぎてカプセルが破裂する危険性がある。
【0021】
本発明のシームレスカプセルにおいて、上記目的有効成分としては、前述のように胃内で浮遊して滞留し、持続放出されることによって効力を発揮するものであれば特に限定されないが、小腸上部吸収薬効成分、健胃成分、胃粘膜保護成分、胃粘膜修復成分、ピロリ菌殺菌成分、ピロリ菌産生毒素分解成分、ピロリ菌産生毒素中和成分、ピロリ菌産生毒素無毒化成分、消臭成分およびそれらの2つ以上の組合せから成る群から選択される、医薬品成分または機能性食品成分等が挙げられる。
【0022】
また、更に上記目的有効成分としては難水溶性薬物と易水溶性薬物が挙げられる。従来、難水溶性薬物は胃内で完全溶解しないまま小腸へ放出される場合がほとんどで、胃内での効能を求められる薬物においては充分な効果を発揮できなかった。また、小腸上部に吸収部位が限定される薬物においては充分溶解されないまま通過してしまい吸収率低下の原因となっていた。一方、易水溶性薬物においても胃内で完全に溶解し一度に大量に小腸に到達してしまうため小腸部位の吸収能力以上になり、逆に小腸部位での吸収率低下の原因となる場合もある。これらの課題を解決するためには、胃内で滞留し薬物が持続放出する製剤が求められていた。本発明ではこれらの薬物としては胃内で滞留することによる持続放出で効果が期待できるものから成る目的有効成分であれば特に限定はないが、具体例としては難水溶性薬物では胃内では持続的に効果が期待できるメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、易水溶性薬物では胃内滞留により小腸まで経時的に徐放流出させることで小腸部位での吸収を効果的に高められるリボフラビン等が挙げられる。
【0023】
上記目的有効成分の配合量は、内容物100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは10〜20重量部であることが望ましい。上記目的有効成分の配合量が、1重量部未満では充分な有効成分の放出持続性が期待できない。
【0024】
上記内容物溶液基剤としては、中鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸トリグリセリド、硬化油脂、硬化ヒマシ油誘導体、ミツロウ、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、ジメチルポリシロキサン等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。上記内容物溶液基剤の配合量は、内容物100重量部に対して、50〜98重量部、好ましくは60〜90重量部、より好ましくは70〜90重量部であることが望ましい。上記内容物溶液基剤の配合量が、50重量部未満では内容液の粘度が高くなりカプセル形成が困難となる。また、上記基剤への主成分の溶解性を高める目的および内容物溶液の粘度を低減する目的で、エタノール等の有機溶媒を適時添加することもできる。
【0025】
本発明のシームレスカプセルに用いられる皮膜組成物は公知の物質であるが、本発明のシームレスカプセルに使用する用途は本発明に含まれるものである。具体的には、カードランを主要皮膜基剤とし、グリセリンやソルビトール等の可塑剤、色素等を適宜添加して調製された溶液を皮膜物質とする。
【0026】
本発明のシームレスカプセルにおいて、皮膜物質層(2)にはカードランのみが含まれてもよく、またカプセルの製造に通常使用されるカプセル皮膜形成材料を併用してもよい。このようなカプセル皮膜形成材料として、例えば、水溶性多価アルコール、多糖類、デキストリン、デンプンおよびそれらの誘導体などが挙げられる。また、本発明によって、非タンパク質系の皮膜物質層を含むカプセルの提供が可能となるが、皮膜物質層としてタンパク質系の基剤を使用することを排除するものではなく、ゼラチンなどのタンパク質系の基剤を併用してカプセルを製造することも可能である。
【0027】
本発明のシームレスカプセルにおいて、カードランは、カードラン含有皮膜物質層の総重量をベースとして、80重量%以上、好ましくは85〜100重量%、より好ましくは90〜99.9重量%の量で含まれることが望ましい。上記カードランの含有量が、80重量%未満では、得られるカプセルが所望の耐酸性、物理的強度、目的有効成分の持続放出制御性等を有しないことがある。ここで、カードラン含有皮膜物質層とは、皮膜物質層(2)が1層の場合には皮膜物質層を表し、皮膜物質層(2)が2層構造以上の場合にはカードラン皮膜層を表す。
【0028】
本発明のシームレスカプセルにおいて、カードランは、カードラン含有皮膜物質溶液の総重量に対して、0.1重量%〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、さらには3〜6重量%の量で含まれる。上記カードランの含有量が、20重量%を超えると上記皮膜物質溶液が高粘度となってカプセルの形成が困難となり、0.1重量%未満では、形成されたカプセルの物理的強度が低くなり、使用に困難が生じる。
【0029】
上記皮膜物質溶液中には、必要に応じて皮膜粘度調製剤を含んでいてもよい。この粘度調製剤は、皮膜物質100重量部に対して、0〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部含まれる。皮膜物質溶液の粘度は、0℃〜55℃の温度範囲で、5mPa・s〜300mPa・s、好ましくは10mPa・s〜200mPa・sで使用される。上記皮膜物質溶液の粘度が、5mPa・s未満では皮膜厚さが不均一になり易く、300mPa・sを超えるとカプセル形成が困難となる。
【0030】
更に、上記のようにカードランを含有しない皮膜内層(4)を形成する場合、上記層の基剤としてはゼラチン、寒天、カラギーナン、セルロース、キチン、キトサン、澱粉加水分解物、アクリル酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セラック、酸化チタンの内の単成分、若しくはそれらの2種以上の組合せを用いることができる。
【0031】
本発明のシームレスカプセルの皮膜物質には、上記皮膜基剤に、可塑剤および色素を添加してもよい。上記可塑剤としては、水溶性多価アルコールまたはその水溶性誘導体を用いることができ、上記可塑剤の配合量は、皮膜物質層の総重量をベースとして、1〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。上記可塑剤の配合量が、1重量%未満では充分な可塑性が得られず、50重量%を超えると皮膜が軟化し易く高温でカプセル同士が付着し易い。
【0032】
上記水溶性多価アルコールおよびその水溶性誘導体の例としては、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビット、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、酸化エチレン‐酸化プロピレン共重合体、オリゴサッカロイド、シュガーエステル、グリセリド、ソルビタンエステル類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
上記カードランを基剤として含有するカードラン皮膜層(3)の溶液粘度は、0℃〜20℃の温度範囲で、5mPa・s〜300mPa・s、好ましくは10mPa・s〜200mPa・sの範囲で使用されることが望ましい。上記カードラン皮膜層(3)の溶液粘度が、5mPa・s未満では皮膜厚さが不均一になり易く、300mPa・sを超えるとカプセル形成が困難となる。また、上記皮膜基剤の固形分濃度は、1重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜30重量%の範囲で使用されることが望ましい。上記固形分濃度が、1重量%未満では皮膜のゲル化力が弱すぎてカプセル強度が低く、50重量%を超えると皮膜溶液の粘度が高くなり過ぎてカプセル形成が困難となる。
【0034】
これらの内容物溶液を多重ノズルの最内側ノズルから、その外側のノズルから上記皮膜物質溶液を、最外側ノズルから保温液状油を、同時に80℃以上に加熱された油中に吐出することで、上記内容物を上記皮膜物質層で包み込んだシームレスカプセルが形成され所望のカプセルを得る。
【0035】
本発明のシームレスカプセルにおいて、カプセル皮膜物質としてカードランが用いられる。カードランは微生物(Alcoligenes faecails myxogenes)由来の多糖類であり、麺類のこしの増強、水産練り製品(かまぼこなど)の弾力の増強、食感改善に使用されている。カードランには、熱可逆性のローセットゲル、および熱不可逆性のハイセットゲル、の2種類のゲル形成能力がある。ローセットゲルはカードランの水分散液を約55〜65℃に加熱して常温以下に冷却したときに形成される熱可逆性ゲルであり、再び約60℃に加熱すると元のゾル状態に戻るゲルである。ハイセットゲルは、カードランの水分散液を約80℃以上に加熱すると形成される熱不可逆性のゲルである。本発明のシームレスカプセルでは、カードランをこのようなハイセットゲルとして用いることにより、優れた耐酸性や物理的な強度を有するものである。
【0036】
カードランをカプセル皮膜物質の主成分として使用されたカプセルを製造するためには、カードランを含むカプセル皮膜を約80℃以上に加熱して、熱不可逆性のゲルとする必要がある。ここで、このようなカプセルを製造するために、二重ノズルを用いて、その内側ノズルからカプセル内容物溶液を、そして外側ノズルからカードランを含むカプセル皮膜物質溶液を押出して複合ジェットを形成し、加熱された液状油中に滴下すると、カードランのノズル部分での急速なゲル化が生じてしまう。これにより、ノズル部分に詰まりが起こり、カプセル内容物溶液およびカプセル皮膜物質溶液を一定量で押出すことができなくなり、そのためカプセルを製造することができなくなる。このような理由から、カプセル皮膜物質としてのカードランの使用は困難であり、カードランがカプセル皮膜物質の主成分として使用されたカプセルの製造はなされていなかった。
【0037】
本発明者等は、カードランを含むカプセル皮膜溶液を押出す外側ノズルのさらに外側に、新たなノズル(最外側ノズル)を設け、この最外側ノズルから、加熱された液状油よりも低い温度である液状油を、上記の複合ジェットの押出と同時に押出すことにより、ノズル部分でのカードランの急速な加熱、ゲル化が緩和され、その結果、ノズル部分での詰まりが生じなくなり、カードランがカプセル皮膜物質の主成分として使用されたカプセルの連続的な製造を可能とした(特開2005‐52040号公報)。
【0038】
以下、本発明のシームレスカプセルとその製造方法について詳細に説明する。本発明のシームレスカプセルは、内容物および上記内容物を包含する少なくとも1層の皮膜物質層からなり、上記内容物が気体または発泡成分を含有し、上記皮膜物質層がカードランを含有し、かつ上記内容物および/または上記皮膜物質層が目的有効成分を更に含有することを要件とする。上記シームレスカプセルは、直径0.1〜10mm、好ましくは直径0.3〜8mm、および皮膜率2〜50%、好ましくは5〜40%の範囲内で形成することができる。ここで皮膜率とは、カプセル重量に対するカプセル皮膜重量の割合である。
【0039】
上記内容物が親油性物質の場合、本発明のシームレスカプセルは2層構造となり、上記内容物溶液は、液状油または硬化油脂を基剤として、これらに気体または発泡成分および目的有効成分を溶解した物、またはこれら基剤に不溶の発泡成分および目的有効成分の粉末と基剤の懸濁液であってよい。また、目的有効成分はカプセル内容物溶液に含有する形態(または皮膜物質に溶解若しくは懸濁した状態で含有する形態)であってもよい。
【0040】
本発明の2層構造のシームレスカプセルの製造方法としては図4に示すように、三重ノズルを用いて、気体または発泡成分および目的有効成分から成る内容物溶液(24)を最内側ノズル(21)へ、カードランを皮膜基剤とする皮膜物質溶液(25)を中間ノズル(22)へ、上記皮膜物質溶液の保温液状油(26)を外側ノズル(23)へそれぞれ供給し、各環状孔先端から同時に吐出し、流下する80℃以上に加熱された液状油(27)中に吐出することにより、本発明の2層構造のシームレスカプセル(10)を連続的に得ることができる。ここで、上記の加熱された液状油(27)の温度より低い温度の保温液状油(26)を外側ノズル(23)へ供給し、この液状油を上記の複合ジェットの押出と同時に押出すことにより、上記皮膜物質溶液(25)と加熱された液状油(27)とがノズル先端部で接触して急速にゲル化することを防ぐことができる。ここで、「ジェット」とは流体が連続的に押出された押出物をいい、「複合ジェット」とは複数の相(層)を有するジェットをいう。
【0041】
上記加熱された液状油(27)は、典型的には80℃以上であり、好ましくは85℃〜120℃、より好ましくは90℃〜100℃である。この液状油を80℃以上に加熱することにより、耐酸性や物理的な強度の優れたカプセルを得ることができる。この液状油として、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、植物油脂(ヤシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ゴマ油、ナタネ油、グレープ種子油、およびこれらの混合物など)、流動パラフィンおよびこれらの混合物を使用することができる。
【0042】
外側ノズル(23)から押出される保温液状油(26)の温度は、上記の加熱された液状油(27)より低い温度であり、典型的には70℃以下であり、好ましくは20〜65℃、さらには25〜40℃である。上記範囲の温度の液状油を複合ジェットの押出と同時に押出すことにより、カプセル皮膜液のノズル先端部での急速なゲル化を有効に防ぐことができる。この保温液状油として、上記の加熱された液状油として使用できる液状油と同じ液状油を使用することができる。なお、これらの液状油は、同一の液状油を用いてもよく、また異なる液状油を用いてもよい。
【0043】
上記の方法により、皮膜物質溶液に内包されたカプセル内容物溶液を有するシームレスカプセルが形成される。更に、カプセル皮膜物質溶液が加熱された液状油中で加熱され、皮膜物質溶液中のカードランがゲル化して、優れた耐酸性および強度を有するハイセットゲルとなり、所望のシームレスカプセルを得ることができる。
【0044】
本発明のシームレスカプセルの更に異なる態様としては、カードランを皮膜基剤とするカードラン皮膜(3)の内側に、上記カードラン皮膜とは異なる物質の層、即ち、カードランを含有しない皮膜内層(4)を有して親水性内容物を包含して成る3層構造シームレスカプセルが挙げられる。この3層構造シームレスカプセルの製造方法は、図4に示すように、四重ノズルを用いて内容物溶液(31)を最内側ノズル(35)へ、上記内容物溶液とカードランを皮膜基剤とするカードラン皮膜溶液とを隔離して上記内容物溶液を保護する皮膜内層溶液(32)を中間ノズルI(36)へ、カードランを皮膜基剤とするカードラン皮膜溶液(33)を中間ノズルII(37)へ、カードランを皮膜基剤とするカードラン皮膜溶液を保温するための保温液状油(34)を最外側ノズル(38)へそれぞれ供給し、各環状孔先端から同時に吐出し、この4層の複合ジェットを流下する80℃以上に加熱された液状油(39)中に吐出することにより、内容物、皮膜内層およびカードラン皮膜から成る3層構造のシームレスカプセル(20)が連続的に得られる。
ここで、上記の加熱された液状油(39)の温度より低い温度の保温液状油(34)を最外側ノズル(38)へ供給し、この保温液状油(34)を上記の複合ジェットの押出と同時に押出すことにより、カプセル皮膜物質溶液と加熱された液状油とがノズル先端部で接触して急速にゲル化することを防ぐことができる。
【0045】
ここで、最外側ノズル(38)から押出される保温液状油は、図4に示すような同心三重ノズルを用いてカプセルを製造する場合に、外側ノズルに供給される保温液状油と同様の液状油を使用することができる。
【0046】
上記の2層または3層構造を有するカプセルの製造方法において、振動手段を用いて複合ジェット流に適度な振動を与えて複合ジェットの切れを良くし、粒径を均一にさせたり、カプセル化を容易にしたりすることもできる。
【0047】
また、本発明のシームレスカプセルは、2層および3層構造に限定されず、内容物溶液がカプセル中に安定して包含されるためには4層以上の構造としてもよい。例えば、前述のような、親水性内容物、上記内容物の保護層およびカードラン皮膜層から成る上記3層構造を有する図2に示すようなシームレスカプセルにおいて、上記内容物の保護層とカードラン皮膜層との間に更に目的有効成分を含有する層を含む4層構造を有するシームレスカプセルが挙げられる。上記のような目的有効成分を含有する層や保護層等を多層構造の皮膜内層として、目的有効成分の徐放性を向上させた4層構造以上のシームレスカプセルも本発明の範囲内である。
【0048】
上記のような4層以上の構造を有するシームレスカプセルは、必要に応じた多重ノズルを用いて、上記方法と同様に製造することができる。また、本発明のシームレスカプセルは、通常は、皮膜物質中に水分が80重量%以上含まれる状態で用いられる。本発明のシームレスカプセルは、使用条件により、必要に応じて水洗、加熱殺菌、加熱滅菌をすることができる。また、このような本発明のシームレスカプセルを常套の乾燥方法で乾燥させて、乾燥カプセルを得ることもできる。
【0049】
なお、本発明の最終カプセル形態は通常は常套の乾燥方法を用いた乾燥カプセルであるが、乾燥前の皮膜に水分が多く含む状態でも使用できる。本発明の製造方法の引例としては、特開2005‐52040号公報に開示の同心多重ノズルを用いるシームレスカプセルの製造方法が挙げられる。
【実施例】
【0050】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
硬化油脂に発泡剤の炭酸水素ナトリウム(重曹)と主薬のメトロニダゾールとを加温混合分散しカプセル内容物溶液を調製した。次に皮膜基剤にカードランを、可塑剤にグリセリンを用いた皮膜物質溶液を調整して、同心多重ノズル用いて上記カプセル内容物溶液を上記皮膜物質溶液で包含した2層構造のシームレスカプセルを形成した。以下に、この内容を更に詳しく説明する。
【0052】
(i)内容物溶液の調製
まず、40℃に加温したヤシ硬化油脂(融点31℃)70重量部に炭酸水素ナトリウム(重曹)15重量部とメトロニダゾール15重量部を混合分散して100重量部とした内容物溶液を調製した。
【0053】
(ii)皮膜物質溶液の調製
次に、カードラン7重量部、グリセリン1重量部、精製水92重量部を均一混合後、5℃で保冷し皮膜物質溶液とした。
【0054】
(iii)2層構造シームレスカプセルの製造
次いで、同心三重ノズルを用いて内側ノズルから上記(i)で得られた内容物溶液、中間ノズルから上記(ii)で得られた皮膜物質溶液、外側ノズルから20℃保温液状油を同時に、流下する100℃に加熱された植物油中に吐出して粒径2mmの2層構造シームレスカプセルを製造した。
【0055】
製造後のカプセルを、下記の方法で、胃内における製剤滞留時間を延長するのに不可欠な浮遊性と上記製剤の含有薬物放出制御性の評価を行った。
【0056】
(実験方法)
試験液
以下の表1に示す各試験液にメトロニダゾールを溶解して紫外吸収スペクトルをとり、薬物放出試験における測定波長を以下のように決定した。
試験液(1)〜(2):277nm、試験液(3)〜(6):320nm
【0057】
【表1】

【0058】
(i)浮遊性試験
表1に示す各試験液(37℃)の比重を標準比重計により測定し、得られた結果を同表に示す(数値は小数点2桁で四捨五入)。浮遊性は薬物放出試験の実施時に同時に観察、合計60粒の本発明のシームレスカプセルについて、各時間における浮遊個数を目視でカウントした。
【0059】
(ii)薬物放出試験:日本薬局方XIV溶出試験法(パドル法)に準じ、各試験液500mL(37℃、150rpm)に本発明カプセル20粒を入れ、経時的に試験液を採取し、吸光度測定により薬物放出量を算出した。なお、すべての試験液において検量線を作成した。試験は各溶液について3回ずつ行い、平均と標準偏差を求めた。
【0060】
(試験結果)
(i)浮遊性測定結果
各試験液(37℃)に対する製剤の経時的浮遊率(n=60)を図5に示す。
人工胃液中(日本薬局方XIV,崩壊試験法第1液)では、試験開始後20分以内でほぼ全てが浮遊し、120分まで浮遊が確認された。また、pH2からpH5でも同様に浮遊が確認された。但し、pH6では全てのカプセルが浮遊するには到らなかった。これらの結果から、本発明のカプセルにおいて、一般的なヒト胃内条件では胃内容物排出時間内での浮遊性を有することが判った。
【0061】
(ii)薬物放出挙動測定結果
各試験液における本発明カプセルの浮遊時に薬物であるメトロニダゾールが放出される挙動を測定した。尚、いずれの液性においても試験中(4時間)においてカプセルの崩壊は観察されず、37℃における日本薬局方XIV,崩壊試験法第2液(人工腸液,pH6.8)中でのカプセル崩壊も見られなかった。また、これらの試験後のカプセルは形状を保持し、充分な強度を有していた。そこで、10分から90分(約80%以下)の放出データのHiguchi‐plotによる見かけの放出速度定数を比較(時間の平方根と放出量との関係を比較)したところ、図6のようになり、人工胃液(日本薬局方XIV,崩壊試験法第1液)を含めpH変化による大きな差は見られなかった。これらの結果から、本発明のカプセルにおいて、一般的なヒト胃内条件では胃内容物排出時間内での薬物の持続的な放出性を有することが判った。
【0062】
(実施例2)
実施例1の内容物溶液の主薬のメトロニダゾールをメタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびリボフラビンとした以外は実施例1と同様に、それぞれ2層構造のシームレスカプセルを形成した。
これらの2種類のカプセルを評価した結果、実施例1と同様な胃内浮遊性と目的有効成分の薬物放出挙動を有することが判った。
【0063】
以上の結果より、本発明のシームレスカプセルは、胃内浮遊滞留製剤として優れた製剤であることが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルは、胃内で長時間の滞留に耐えうる耐酸性と強度を有し、目的有効成分の持続放出制御性に優れた胃内浮遊滞留シームレスカプセルとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルの1つの態様(2層構造)を模式的に示す概略断面図である。
【図2】本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルの1つの態様(3層構造)の模式的に示す概略断面図である。
【図3】本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルの1つの態様(2層構造)の製造装置のノズル部の1つの態様を示す模式的縦断面図を示す。
【図4】本発明の胃内浮遊滞留シームレスカプセルの1つの態様(3層構造)の製造装置のノズル部の1つの態様を示す模式的縦断面図を示す。
【図5】本発明の実施例のシームレスカプセルの試験液に対する経時的浮遊率を示すグラフ図である。
【図6】本発明の実施例のシームレスカプセルの試験液に対する薬物の放出量と時間の平方根との関係を表すグラフ図である。
【符号の説明】
【0066】
1 … 内容物
2 … 皮膜物質層
3 … カードラン皮膜層
4 … 皮膜内層
10 … カプセル
20 … カプセル(3層構造)
21 … 最内側ノズル
22 … 中間ノズル
23 … 外側ノズル
24 … 内容物溶液
25 … 皮膜物質溶液
26 … 皮膜物質溶液の保温液状油
27 … 液状油
31 … 内容物溶液
32 … 皮膜内層溶液
33 … カードラン皮膜溶液
34 … カードラン皮膜溶液の保温液状油
35 … 最内側ノズル
36 … 中間ノズルI
37 … 中間ノズルII
38 … 最外側ノズル
39 … 液状油

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物および該内容物を包含する少なくとも1層の皮膜物質層からなり、該内容物が気体または発泡成分を含有し、該皮膜物質層がカードランを含有し、かつ該内容物および/または該皮膜物質層が目的有効成分を更に含有し、該目的有効成分が該カードランを含有する層または該層より内側にあることを特徴とする胃内浮遊滞留シームレスカプセル。
【請求項2】
前記発泡成分が、胃酸による低pHにより炭酸ガスを発生させる炭酸水素ナトリウムから成る請求項1記載のシームレスカプセル。
【請求項3】
前記目的有効成分が、小腸上部吸収薬効成分、健胃成分、胃粘膜保護成分、胃粘膜修復成分、ピロリ菌殺菌成分、ピロリ菌産生毒素分解成分、ピロリ菌産生毒素中和成分、ピロリ菌産生毒素無毒化成分、消臭成分およびそれらの2つ以上の組合せから成る群から選択される、医薬品成分または機能性食品成分である請求項1記載のシームレスカプセル。
【請求項4】
前記目的有効成分が難水溶性または易水溶性である請求項1記載のシームレスカプセル。
【請求項5】
前記目的有効成分の徐放性を高めるために、前記皮膜物質層が、カードランを含有するカードラン皮膜層の内側に、少なくとも1層のカードランを含有しない皮膜内層を更に含む請求項1記載のシームレスカプセル。
【請求項6】
二重ノズル以上の多重ノズルを用いる請求項1記載のシームレスカプセルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−145756(P2007−145756A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341925(P2005−341925)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000191755)森下仁丹株式会社 (30)
【Fターム(参考)】