説明

胃腸への影響が減少した即効型ナプロキセン組成物

本発明は、ナプロキセンおよび送達剤を含む医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照により本明細書に取り込まれる、2009年8月3日に提出された米国仮出願第61/230,964号の利益を主張する。
本発明は、ナプロキセンまたはその医薬的に許容される塩および送達剤を含む経口医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナプロキセンは、非ステロイド性抗炎症剤のアリール酢酸基に関連するプロピオン酸誘導体である。これは腫脹を減じ、かつ歯痛、頭痛、有痛性の月経、有痛性の関節ならびに筋肉の問題、例えば関節炎、腱炎、滑液包炎、および痛風を含む疼痛を治療するために広く用いられている。
【0003】
ナプロキセンは消化管から迅速かつ完全に吸収され、そのin vivoでの生物学的利用能は95%である。ナプロキセンの排出半減期は12ないし17時間の範囲である。ナプロキセンは4ないし5日で定常状態濃度に達し、ナプロキセン蓄積の程度はこの半減期に一致する。しかしながら、ナプロキセンは数時間でピーク血漿濃度に達する。ナプロキセン懸濁液として投与した場合、ナプロキセンのピーク血漿濃度は1ないし4時間で達成される。ナプロキセン錠剤として投与した場合、ナプロキセンのピーク血漿濃度は2ないし4時間で達成される。さらに、ナプロキセンは、胃または腸の致死的な出血、潰瘍形成、および穿孔を含む重篤な胃腸の有害事象の危険性を増大させる。これらの事象は使用中いつでも、前兆としての症状がないままに起こり得る。高齢患者には、重篤な胃腸の事象のより高い危険性がある。迅速な緩和とより低い胃腸の有害事象のためのピーク血漿濃度に達し得る、ナプロキセン製剤の開発が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ナプロキセンおよび少なくとも1の送達剤を含んでなる経口医薬組成物(例えば錠剤または懸濁液)である。この医薬組成物により、被験体(例えばヒト被験体)に、送達剤を含まない類似の組成物よりもより早いナプロキセンの作用開始が提供されることから、より速い疼痛の軽減および胃潰瘍発生の危険性の低下が提供される。さらに、本発明の医薬組成物は、同量のナプロキセンを含む即効型液体ゲルカプセルよりも著しく小さい。サイズの縮小によって患者の快適さと服薬尊守が改善され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、ナプロキセン、およびSNAC、SNAD、4−CNAB、5−CNAC、または4−MOACのような送達剤の少なくとも1を含んでなる経口医薬組成物である。好ましい一実施形態によれば、該経口医薬組成物は、被験体(例えば健常ヒト被験体)が摂取すると、ピーク血漿ナプロキセン濃度に達するまでの時間が送達剤を含まない類似の組成物に比較して短縮される。
【0006】
一実施形態によれば、経口医薬組成物は約50ないし約600mgのナプロキセン(ナプロキセン基剤の重量に基づいて算出)を含む。その他の実施形態によれば、経口医薬組成物は約100ないし約400mg、約150ないし約300mg、または約150ないし約250mgのナプロキセン(ナプロキセン基剤の重量に基づいて算出)を含む。さらに別の実施形態によれば、経口医薬組成物は約200mgのナプロキセン(ナプロキセン基剤の重量に基づいて算出)を含む。例えば、経口医薬組成物は約220mgのナプロキセンナトリウム(200mgのナプロキセン基剤に等しい)を含んでよい。
【0007】
経口医薬組成物は、別の鎮痛剤、例えば5−HTアゴニスト(例えばスマトリプタン、またはスマトリプタンコハク酸塩のようなその医薬的に許容される塩)をさらに含んでよい。一実施形態によれば、経口医薬組成物は約25ないし約100mgのスマトリプタン(例えば85mg)および約225ないし約825mgのナプロキセン(例えば500mgのナプロキセンナトリウム)を含む。
【0008】
経口医薬組成物は、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、またはそれらの任意の組み合わせのような、プロトンポンプ阻害剤をさらに含んでよい。プロトンポンプ阻害剤は、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)に付随する胃潰瘍を発症する危険性のある被験体において、胃潰瘍発症の危険性をさらに減少させるために十分な用量が取り込まれてよい。
【0009】
別の実施形態は、本発明の経口医薬組成物を経口投与することによって、被験体にナプロキセンの迅速な経口送達を提供する方法である。
【0010】
さらに別の実施形態は、ヒト被験体におけるナプロキセンの経口摂取により引き起こされる胃腸の有害事象を減少させる方法である。該方法には本発明の経口医薬組成物を投与することが含まれる。
【0011】
さらに別の実施形態は、ヒト被験体においてナプロキセン製剤の経口摂取により引き起こされる胃腸の有害事象を減少させる方法である。該方法には、ナプロキセン製剤の投与を中止すること、および本発明の経口医薬組成物による治療を開始すること(例えば本発明の経口医薬組成物を投与すること)が含まれる。
【0012】
さらに別の実施形態は、被験体の疼痛をその必要に応じて治療する方法である。該方法は、本発明の経口医薬組成物を投与することを含む。
【0013】
さらに別の実施形態は、1以上の本発明の経口医薬組成物を投与することによって、被験体における関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、若年性関節炎、腱炎、滑液包炎、または急性痛風の徴候および症状を、その必要に応じて軽減する方法である。有効量のナプロキセンの投与は、有効量のナプロキセンを含む単一組成物、または2以上の組成物を投与することにより達成される。
【0014】
さらに別の実施形態は、1以上の本発明の経口医薬組成物を投与することによって、被験体における疼痛(例えば急性疼痛)または原発性月経困難症を、その必要に応じて治療する方法である。
【0015】
さらに別の実施形態は、1以上の本発明の経口医薬組成物を投与することによって、被験体における片頭痛発作をその必要に応じて治療する方法である。一実施形態によれば、該経口医薬組成物は別の鎮痛剤、例えば5−HTアゴニスト(例えばスマトリプタン、またはスマトリプタンコハク酸塩のようなその医薬的に許容される塩)をさらに含む。
【0016】
前述の各方法において、本発明の経口医薬組成物は、各投与によって約200ないし約600mgのナプロキセン用量を供給するように、一日1回または2回投与されてよい。急性痛風については、約600ないし約1000mgのナプロキセン(例えば750または825mg)の初回用量に、発作が鎮静するまで8時間ごとに約200ないし約350mgのナプロキセン(例えば250または275mg)を続ける。
【0017】
一実施形態によれば、1または2の本発明の経口医薬組成物(例えば、200mgのナプロキセン、例として220mgのナプロキセンナトリウムを含む経口医薬組成物)が、8ないし12時間ごとに投与される。好ましい一実施形態によれば、本発明の経口医薬組成物は、24時間の間に3を超えて投与されない。
【0018】
発明の詳細な説明
定義
「約」または「おおよそ」の語は、当業者により決定された特定の値についての許容される誤差範囲を意味し、これは値がどのように測定または決定されたかということ、すなわち測定系の限界に部分的に依存し得る。例えば「約」は、当該技術分野における実践あたりの、1以内または1を超える標準偏差を意味する。あるいは、組成物に関して「約」は、10%まで、好ましくは5%までの範囲を意味し得る。
【0019】
「アルキル」、「アルケニル」、「アルコキシ」、「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルキル(アリーレン)」、および「アリール(アルキレン)」の語には、それぞれ直鎖および分岐のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキレン、アルケニレン、アルキル(アリーレン)、およびアリール(アルキレン)基が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
「医薬的に許容される」の句は、哺乳類に投与した際、生理的に許容可能であり、かつアレルギー性または同様の有害な反応、例えば胃の不調、浮動性めまいなどを典型的には起こさない化合物または組成物を指す。
【0021】
本明細書で用いられる「ピーク血漿濃度」の語は、ヒト被験体のような哺乳類の血漿中で達成される最大濃度を意味する。
【0022】
「生物学的利用能」の語は、有効成分または有効部分が薬品から吸収され、系統的に利用可能となる割合及び程度を指す。
【0023】
「多形」の語は、物質の結晶学的に異なる形を指す。
【0024】
本明細書で用いられる「水和物」の語には、(i)分子の形の中に結合した水を含む物質および(ii)結晶化された水分子を1以上含む結晶性物質または遊離の水を含む結晶性材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で用いられる「SNAC」の語は、N−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]−アミノ)カプリル酸、およびその一ナトリウムおよび二ナトリウム塩を含む、その医薬的に許容される塩を指す。「SNAC遊離酸」の語は、N−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]−アミノ)カプリル酸を指す。他に記載のない限り、「SNAC」の語は、SNACの全ての非晶質および多形性の形、例えばSNAC三水和物、およびその両方が参照により本明細書に取り込まれる、米国特許出願番号11/568,753およびPCT出願番号PCT/US2005/016126に記載されるものを含む、SNACの全ての形を指す。
【0026】
本明細書で用いられる「SNAD」の語は、N−(10−[2−ヒドロキシベンゾイル]−アミノ)デカン酸、およびその一ナトリウム塩を含む、その医薬的に許容される塩を指す。他に記載のない限り、「SNAD」の語は、SNADの全ての非晶質および多形性の形を含む、SNADの全ての形を指す。
【0027】
本明細書で用いられる「4−CNAB」の語は、4−[(4−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)アミノ]−ブタン酸(4−[(2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾイル)アミノ]ブタノアートとしても知られる)、およびそのナトリウム塩(例えば一ナトリウム塩)を含む、その医薬的に許容される塩を指す。他に記載のない限り、「4−CNAB」の語は、4−CNABの全ての非晶質および多形性の形を含む、4−CNABの全ての形を指す。「4−CNABナトリウム」および「4−CNAB一ナトリウム」の語は、4−[(2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾイル)アミノ]ブタノアート一ナトリウムを指し、その無水物、一水和物、およびイソプロパノール溶媒和物、ならびにその非晶質および多形性の形、例えば米国特許第7,227,033号、第7,208,178号、第7,462,368号、および第7,420,085号に記載されるものが含まれる。
【0028】
本明細書で用いられる「5−CNAC」の語は、8−(N−2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾイル)アミノカプリル酸、およびその一ナトリウムおよび二ナトリウム塩を含む、その医薬的に許容される塩を指す。「5−CNAC遊離酸」の語は、8−(N−2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾイル)アミノカプリル酸を指す。他に記載のない限り、「5−CNAC」の語は、5−CNACの全ての非晶質および結晶の形、例えば参照により本明細書に取り込まれる、米国特許出願公開番号2008−0269108に記載されるような、5−CNACの二ナトリウム塩の結晶形を含む、5−CNACの全ての形を指す。
【0029】
本明細書で用いられる「4−MOAC」の語は、8−(N−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾイル)−アミノカプリル酸、およびその一ナトリウムおよび二ナトリウム塩を含む、その医薬的に許容される塩を指す。「4−MOAC遊離酸」の語は、8−(N−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾイル)−アミノカプリル酸を指す。他に記載のない限り、「4−MOAC」の語は、4−MOACの全ての形を指す。
【0030】
「送達剤」の語は、本明細書に開示されるかまたは参照により取り込まれるいずれの送達剤化合物も指す。
【0031】
式1および2で用いられる「2−OH−Ar」または「2−HO−Ar」の語は2位においてヒドロキシ基により置換されるアリール基を指す。
【0032】
「被験体」の語には、哺乳類、特にヒトが含まれる。
【0033】
送達剤化合物
適切な送達剤には、以下の構造:
2−HO−Ar−C(O)−NR−R−COOH 式(1)
(式中、化合物は酸基またはその塩へのアルファ位でアミノ基に置換されない条件下で;
ArはOH、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、もしくはC−Cハロアルコキシにより任意に置換された、フェニルまたはナフチルであり;
はC−C20アルキル、C−C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C−C10アルキル)フェニル、(C−C10アルケニル)フェニル、(C−C10アルキル)ナフチル、(C−C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C−C10アルキル)、フェニル(C−C10アルケニル)、ナフチル(C−C10アルキル)、またはナフチル(C−C10アルケニル)であり;
は水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、またはC−Cハロアルコキシであり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、−OH、−SH、および−CO、またはそれらの任意の組み合わせによって任意に置換され;
は水素、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり;かつ
は酸素、窒素、硫黄、またはそれらの任意の組み合わせにより任意に割り込まれる)
を有するもの、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。
【0034】
一実施形態によれば、Arはハロゲンにより置換される。
【0035】
好ましくは、RはC−C20アルキルまたはフェニル(C−C10アルキル)である。さらに好ましくは、RはC−C10アルキルまたはフェニル(Cアルキル)である。最も好ましくは、RはC−Cアルキルまたはフェニル(Cアルキル)である。
【0036】
その他の適切な送達剤には、以下の構造:
2−OH−Ar−C(O)−NH−R−R 式(2)
(式中、
Arはフェニルまたはナフチルであり;
Arは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール、アリールオキシ、複素環、C−C炭素環、ハロゲン、−OH、−SH、CO、−NR、または−Nにより任意に置換され;
(a)RはC−C16アルキレン、C−C16アルケニレン、C−C16アルキニレン、C−C16アリーレン、(C−C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C−C16アルキレン)であり;
は−NR、または−Nであり;
およびRは独立して水素;酸素;ヒドロキシ;置換もしくは非置換のC−C16アルキル;置換もしくは非置換のC−C16アルケニル;置換もしくは非置換のC−C16アルキニル;置換もしくは非置換のアリール;置換もしくは非置換のアルキルカルボニル;置換もしくは非置換のアリールカルボニル;置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル;置換もしくは非置換のアリールスルフィニル;置換もしくは非置換のアルカンスルホニル;置換もしくは非置換のアリールスルホニル;置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル;または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニルであり;
は独立して水素;置換もしくは非置換のC−C16アルキル;置換もしくは非置換のC−C16アルケニル;置換もしくは非置換のC−C16アルキニル;置換もしくは非置換のアリール;置換もしくは非置換のアルキルカルボニル;置換もしくは非置換のアリールカルボニル;置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル;置換もしくは非置換のアリールスルフィニル;置換もしくは非置換のアルカンスルホニル;置換もしくは非置換のアリールスルホニル;置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル;または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニルであり;
(b)R、R、およびRは上に定義され;かつ
およびRは、5、6、もしくは7員複素環;またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキソ基、もしくは炭素環により置換された5、6、もしくは7員複素環を形成するために結合されるか;または
(c)RおよびRは上に定義され;かつ
およびRは、5、6、もしくは7員複素環;またはC−Cアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、もしくはオキソ基、または炭素環により置換された5、6、もしくは7員複素環を形成するために結合され;
は水素;酸素;ヒドロキシ;置換もしくは非置換のC−C16アルキル;置換もしくは非置換のC−C16アルケニル;置換もしくは非置換のC−C16アルキニル;置換もしくは非置換のアリール;置換もしくは非置換のアルキルカルボニル;置換もしくは非置換のアリールカルボニル;置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル;置換もしくは非置換のアリールスルフィニル;置換もしくは非置換のアルカンスルホニル;置換もしくは非置換のアリールスルホニル;置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル;または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニルであり;
は水素;C−Cアルキル;ハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルキル;C−Cアルケニル;またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルケニルであり;
、R、およびRは独立して水素;酸素;C−Cアルキル;ハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルキル;C−Cアルケニル;またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルケニルであり;かつ
Yはハロゲン、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはカルボン酸塩である。適切なカルボン酸塩の限定されない例は酢酸塩である。)
を有するもの、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。
【0037】
式(2)の化合物に関して本明細書で用いられる「置換された」との語には、ヒドロキシルおよびハロゲンのいずれか1、または任意の組み合わせによる置換が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
一実施形態によれば、Arは非置換のフェニル、またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、もしくはハロゲンの1以上により置換されたフェニルである。さらに好ましくは、Arはメトキシ、Cl、F、もしくはBrにより置換されたフェニルであり、さらになお好ましくは、ArはClにより置換されたフェニルである。
【0039】
別の実施形態によれば、RはC−C12アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルキル、またはCアルキルである。
【0040】
別の実施形態によれば、RおよびRは独立してHもしくはC−Cアルキルであるか;またはさらにRおよびRの両方はHではないか;またはさらにRおよびRは独立してメチルもしくはエチルであり;かつ、さらに好ましくはRおよびRの両方はメチルである。
【0041】
その他の適切な送達剤には、以下の構造:
【化1】

(式中、
、R、R、およびRは独立して水素、−OH、−NR、ハロゲン、C−Cアルキル、またはC−Cアルコキシであり;
は置換もしくは非置換のC−C16アルキレン、置換もしくは非置換のC−C16アルケニレン、置換もしくは非置換のC−C12アルキル(アリーレン)、または置換もしくは非置換のアリール(C−C12アルキレン)であり;かつ
およびRは独立して水素、酸素、またはC−Cアルキルである)
を有するもの、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。
【0042】
式(3)に関して用いられる「置換された」の語には、以下の置換基:ハロゲン、水酸化物、C−Cアルキル、およびC−Cアルコキシのいずれか1、または任意の組み合わせによる置換が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
その他の適切な送達剤には、以下の構造:
【化2】

(式中、
(a)R、R、R、およびRは独立してH、−OH、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、−C(O)R、−NO、−NR10、または−N1011(Y)であり;
は水素、−OH、C−Cアルキル、ハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルキル、非置換またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルケニル、または−NR1415であり;
、R10、およびR11は独立して水素、酸素、非置換またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルキル、非置換またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルケニルであり;
Yはハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボン酸塩、メシラート、フマル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、またはマレイン酸塩であり;
はH、−OH、−NO、ハロゲン、−CF、−NR1415、−N141516(Y)、アミド、C−C12アルコキシ、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、カルバミン酸塩、炭酸塩、尿素、または−C(O)R22であり;Rはハロゲン、−OH、−SH、または−COOHにより任意に置換され;RはO、N、S、または−C(O)−により任意に割り込まれ;
14、R15、およびR16は独立してHまたはC−C10アルキルであり;
22はH、C−Cアルキル、−OH、−NR1415であり;
は、置換もしくは非置換のC−C16アルキレン、C−C16アルケニレン、C−C16アルキニレン、C−C16アリーレン、(C−C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C−C16アルキレン)であり;RはC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルにより任意に置換され;
は−NR1819またはN181920であり;
18およびR19は独立して水素、酸素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のC−C16アルキル、置換もしくは非置換のC−C16アルケニル、置換もしくは非置換のC−C16アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルキル)カルボニル)、置換もしくは非置換のアリールカルボニル、置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルカン)スルフィニル)、置換もしくは非置換のアリールスルフィニル、置換もしくは非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルカン)スルホニル)、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルコキシ)カルボニル)、または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル、または置換もしくは非置換のC−C複素環(すなわち5、6、もしくは7員複素環)であり、ここで置換はハロゲンもしくは−OHであってよく;かつ
20は独立して水素、置換もしくは非置換のC−C16アルキル、置換もしくは非置換のC−C16アルケニル、置換もしくは非置換のC−C16アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルキル)カルボニル)、置換もしくは非置換のアリールカルボニル、置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルカン)スルフィニル)、置換もしくは非置換のアリールスルフィニル、置換もしくは非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルカン)スルホニル)、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルコキシ)カルボニル)、または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニルであるか;または
(b)R−R16およびR20は上に定義され;かつ
(c)オキソ基により任意に割り込まれ、かつ非置換であるか、またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アリール、アリールオキシ、もしくは炭素環により置換された5、6、もしくは7員複素環を形成するために、R18およびR19は結合される)
を有するもの、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。
【0044】
一実施形態によれば、Rはモルホリノ、モルホリニウム塩、またはジエタノールアミノである。
【0045】
別の実施形態によれば、RはC−C16アルキレン、Rはモルホリノまたはモルホリニウム塩である。好ましくは、RはC−C12アルキレン、例えば非置換のC−C12アルキレンである。さらに好ましくは、RはC−C10、C−C、またはC−Cアルキレン、例えば非置換のC−C10、C−C、またはC−Cアルキレンである。一実施形態によれば、R−Rの一つはヒドロキシであり、例えばRはヒドロキシであってよい。
【0046】
さらに別の実施形態によれば、RがC−C10アルキレンである場合、RおよびRの高々一つがハロゲンである。別の実施形態によれば、RはC−C16、C−C16、C10−C16、またはC11−C16アルキレンである。例えば、RはC、C、C10、C11、またはC12アルキレンであってよい(例えば直鎖のC−C12アルキレン)。さらに別の実施形態によれば、RおよびRの高々一つがアルキルである。
【0047】
さらに別の実施形態によれば、Rはヒドロキシであり、R、R、R、およびRは独立して水素またはハロゲンである。
【0048】
さらに別の実施形態によれば、Rはヒドロキシであり、R、R、R、およびRは独立して水素またはハロゲンである。
【0049】
さらに別の実施形態によれば、Rはヒドロキシであり、R、R、R、およびRは独立して水素またはハロゲンである。
【0050】
好ましい実施形態によれば、ハロゲンはF、Cl、またはBrであり、さらに好ましくはFまたはClであり、さらになお好ましくはClである。
【0051】
さらに別の実施形態によれば、RはC−C16アルキレン、(C−C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C−C16アルキレン)である。さらに好ましくは、RはC−C12アルキレンであり、さらに好ましくはC−C10アルキレンであり、さらに好ましくはC−C10またはC−Cアルキレンであり、さらに好ましくはC−Cアルキレンである。さらに好ましくは、Rは非置換である。
【0052】
さらに別の実施形態によれば、Rは−NR1819であり、R18およびR19は独立して、−OHにより置換されたC−Cアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、またはブチル)である。別の実施形態によれば、Rは−NR1819であり、R18およびR19は、オキソ基により置換された6員複素環を形成するために結合される。
【0053】
好ましい一実施形態によれば、Rは水素であり;R、R、およびRは独立して水素、ハロゲン、−OH、または−OCHであり;Rは水素、−OH、または−C(O)CHであり;RはC−C12アルキレンであり、RはNR1819であり、ここでR18およびR19は5、6、または7員複素環を形成するために結合する。
【0054】
別の好ましい実施形態によれば、R、R、およびRの一つはヒドロキシであり、その他は独立してハロゲンまたは水素であり;RおよびRは独立してハロゲンまたは水素であり;RはC−C16アルキレンであり;RはNR1819であり、ここでR18およびR19は5、6、または7員複素環を形成するために結合する。Rは、好ましくはC−C16、C−C10、C−C16、C10−C16、またはC−Cアルキレンであり、例えば非置換のC−C16、C−C10、C−C16、C10−C16、またはC−Cアルキレンである。好ましくは、R18およびR19はモルホリノまたはイミダゾールを形成する。
【0055】
別の好ましい実施形態によれば、Rは水素であり;R、R、およびRは独立して水素、ハロゲン、−OH、または−OCHであり;Rは水素、−OH、または−C(O)CHであり;RはC−C12アルキレンであり;RはN181920(Y)であり、ここでR18およびR19はC−C16アルキルにより置換されたヒドロキシであり、R20は水素である。
【0056】
別の好ましい実施形態によれば、Rは水素であり;R、R、およびRは独立して水素、ハロゲン、−OH、または−OCHであり;Rは水素、−OH、または−C(O)CHであり;RはC−C12アルキレンであり;RはN181920(Y)であり、ここでR18およびR19はC−C16アルキルにより置換されたヒドロキシルであり、R20は水素である。
【0057】
別の好ましい実施形態によれば、R、R、R、Rは独立してハロゲンまたは水素であり;Rは−OH、または−OCHであり;RはN181920(Y)であり、ここでR18およびR19はC−C16アルキルにより置換されたヒドロキシルであり、R20は水素である。
【0058】
好ましい一実施形態によれば、Rは水素であり;R、R、およびRは独立して水素、ハロゲン、−OH、または−OCHであり;Rは水素、−OH、または−C(O)CHであり;RはC−Cアルキレン、またはC−C12アルキルにより置換されたアリールであり;Rは−NR1819であり、ここでR18およびR19は5、6、または7員複素環を形成するために結合するか、またはRはN181920(Y)であり、ここでR18およびR19はC−C16アルキルにより置換されたヒドロキシであり、R20は水素である。
【0059】
別の好ましい実施形態によれば、クエン酸塩の送達剤が用いられる。
【0060】
その他の適切な送達剤には、以下の構造:
【化3】

(式中、
、R、R、およびRは独立してH、−OH、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、−C(O)R、−NO、−NR10、または−N1011(R13であり;
はH、−OH、−NO、ハロゲン、−CF、−NR1415、−N141516(R13、アミド、C−C12アルコキシ、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、カルバミン酸塩、炭酸塩、尿素、または−C(O)R18であり;
はハロゲン、−OH、−SH、または−COOHにより任意に置換され;
はO、N、S、または−C(O)−により任意に割り込まれ;
はC−C12アルキレン、C−C12アルケニレン、またはアリーレンであり;
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、−OH、−SH、ハロゲン、−NH、または−COにより任意に置換され;
はOまたはNにより任意に割り込まれ;
は結合であるかまたはアリーレンであり;
は−OH、ハロゲン、−C(O)CH、−NR1011、または−N101112(R13により任意に置換され;
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、または−NHであり;
、R10、R11、およびR12は独立してHまたはC−C10アルキルであり;
13はハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはリン酸塩であり;かつ
14、R15、およびR16は独立してH、C−C10アルキル、−COOHにより置換されたC−C10アルキル、C−C12アルケニル、−COOH、−C(O)R17により置換されたC−C12アルケニルであり;
17は−OH、C−C10アルキル、またはC−C12アルケニルであり;かつ
18はH、C−Cアルキル、−OH、−NR1415、またはN141516(R13である)
を有するもの、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。
【0061】
一実施形態によれば、
(1)R、R、R、R、およびRがHであり、Rが結合である場合、RはC−C、C、またはC10アルキルではなく;
(2)R、R、R、およびRがHであり、Rが−OHであり、Rが結合である場合、RはC−Cアルキルではなく;
(3)R、R、R、およびRの少なくとも1がHではなく、Rが−OHであり、Rが結合である場合、RはC−Cアルキルではなく;
(4)R、R、およびRがHであり、Rが−OCHであり、Rが−C(O)CHであり、Rが結合である場合、RはCアルキルではなく;かつ
(5)R、R、R、およびRがHであり、Rが−OHであり、Rが結合である場合、Rはメチルではない。
【0062】
好ましい一実施形態によれば、Rは水素であり;R、R、およびRは独立して水素、ハロゲン、−OH、または−OCHであり;Rは水素、−OH、または−C(O)CHであり;RはC−C12アルキレンであり、Rは結合であるかまたはパラフェニレンである。Rはさらに好ましくはC−Cアルキルである。
【0063】
別の好ましい実施形態によれば、R、R、R、およびRの少なくとも1は水素、−C(O)CH、−OH、Cl、−OCH、F、または−NOである。さらに好ましい一実施形態によれば、Rは−C(O)CH、−OH、−OCH、または−Clである。別のさらに好ましい実施形態によれば、RはCl、−OCH、F、または−OHである。別のさらになお好ましい実施形態によれば、Rは−OCHまたは−NOである。
【0064】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは−C(O)CH、−OH、H、−CH=CHCH、−NH、−NO、−NHC(O)CH、−CH=CHCOH、−C(O)CHCH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−COOH、−C(O)NHCHCH、−C(O)NHCH(CH、−OCH、−C(CHOH、−C(OH)(CH、または−CH(OH)CHである。
【0065】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは直鎖のC−C12アルキレンである。さらに好ましくは、Rは−(CH−であり、ここでnは1ないし10の整数である。
【0066】
別のさらに好ましい実施形態によれば、RおよびRはアルキルまたはハロゲンではない。
【0067】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rはパラフェニレンまたは結合である。
【0068】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは−CHであり、Rはフェニレンであり、さらに好ましくはパラフェニレンである。さらに好ましくは、R、R、R、およびRの少なくとも1は水素である。さらに好ましくは、Rは−C(O)CH、−OH、または−C(CHOHである。
【0069】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは結合であり、Rは−OHであり、R、R、R、およびRは水素である。Rは好ましくはC−C12アルキレンであり、さらに好ましくはC−Cアルキレンである。
【0070】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは結合であり、Rは−OHであり、R、R、R、およびRの少なくとも1は水素ではない。Rは好ましくはC−C12アルキレン、さらに好ましくはC−C12アルキレン、最も好ましくはC−Cアルキレンである。
【0071】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは結合であり、Rは−C(O)CHであり、R、R、R、およびRは水素である。Rは好ましくはC−C12アルキレン、さらに好ましくはC−C12アルキレン、最も好ましくはC−Cアルキレンである。
【0072】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは結合であり、R、R、R、R、およびRは水素である。好ましくは、RはC−Cアルキレンである。
【0073】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは結合であり、Rは水素であり、R、R、R、およびRの少なくとも1は水素ではない。Rは好ましくはC−C12アルキレン、さらに好ましくはC−Cアルキレン、最も好ましくはC−Cアルキレンである。
【0074】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは−OHである。さらに好ましくは、Rは結合であり、Rは水素である。好ましくは、RはC−C12アルキレン、さらに好ましくはC−Cアルキレン、最も好ましくはCアルキレンである。
【0075】
別のさらに好ましい実施形態によれば、Rは−OHである。さらに好ましくは、Rは結合であり、Rは水素である。Rは好ましくはC−C12アルキレン、さらに好ましくはC−Cアルキレン、最も好ましくはCアルキレンである。
【0076】
その他の適切な送達剤には、以下の構造:
【化4】

(式中、
、R、R、およびRは独立してH、−OH、ハロゲン、−OCH、−NR1011、または−N101112(R13であり;
はH、−OH、−NO、−NR1415、−N141516(R13、アミド、C−C12アルコキシ、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、カルバミン酸塩、炭酸塩、尿素、または−C(O)R18であり;
は−OH、−SH、または−COOHにより任意に置換され;
はO、N、S、または−C(O)−により任意に割り込まれ;
はC−C12アルキレン、C−C12アルケニレン、またはアリーレンであり;
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、−OH、−SH、ハロゲン、−NH、または−COにより任意に置換され;
はOまたはNにより任意に割り込まれ;
は結合であるかまたはアリーレンであり;
は−OH、ハロゲン、−C(O)CH、−NR1011、または−N101112(R13により任意に置換され;
はHまたはC−Cアルキルであり;
はH、C−Cアルキル、またはC−Cアルケニルであり;
10、R11、およびR12は独立してHまたはC−C10アルキルであり;
13はハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはリン酸塩であり;
14、R15、およびR16は独立してH、C−C10アルキル、C−C12アルケニル、O、または−C(O)R17であり;
17は−OH、C−C10アルキル、またはC−C12アルケニルであり;かつ
18は−OH、C−Cアルキル、−NR1415、−N141516(R13である)
を有するもの、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。
【0077】
一実施形態によれば、RがOCHである場合、RはC−CまたはC10−C12アルキルである。
【0078】
好ましい実施形態によれば、Rは−OCHではない。さらに好ましくは、Rはアルコキシではない。
【0079】
別の好ましい実施形態によれば、R、R、R、およびRは水素であり、Rは−COOH、−C(O)NH、−C(O)CH、または−NOであり、Rは−(CH7−であり、Rは結合である。
【0080】
別のさらに好ましい実施形態によれば、R、R、R、およびRは水素であり、Rは−C(O)NHであり、Rは−CH−であり、Rはパラフェニレンである。
【0081】
一実施形態によれば、式(7)の送達剤は式:
【化5】

(式中、
19は−NOまたは−C(O)R23であり;
20はC−C12アルキレンまたはC−C12アルケニレンであり;
21は結合またはアリーレンであり;
22はHまたはC−Cアルキルであり;かつ
23は−OH、C−Cアルキル、または−NHである)
を有する。
【0082】
好ましい送達剤にはSNAC、SNAD、5−CNAC、4−MOAC、4−CNAB、およびそれらの医薬的に許容される塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
好ましい一実施形態によれば、送達剤はSNACである(遊離酸またはその医薬的に許容される塩)。一実施形態によれば、送達剤はSNACのナトリウム塩である。別の実施形態によれば、送達剤はSNACの一ナトリウム塩であり、例えば、その両方が参照により本明細書に取り込まれる米国特許出願番号11568,753およびPCT出願番号PCT/US2005/016126に開示される、SNAC一ナトリウムの固体形のいずれであってもよい。さらに別の実施形態によれば、送達剤はSNACの二ナトリウム塩である。
【0084】
別の好ましい一実施形態によれば、送達剤はSNADである(遊離酸またはその医薬的に許容される塩)。一実施形態によれば、送達剤はSNADのナトリウム塩である。別の実施形態によれば、送達剤はSNADの二ナトリウム塩である。
【0085】
さらに別の好ましい一実施形態によれば、送達剤は4−CNABである(遊離酸またはその医薬的に許容される塩)。一実施形態によれば、送達剤は4−CNABのナトリウム塩である。4−CNABナトリウムは、参照により本明細書に取り込まれる国際公開第03/057650号に記載される、非晶質および多形性の形のいずれであってもよい。
【0086】
本発明の適切なその他の送達剤は、米国特許第6,699,467号、第6,663,898号、第6,693,208号、第6,693,073号、第6,693,898号、第6,663,887号、第6,646,162号、第6,642,411号、第6,627,228号、第6,623,731号、第6,610,329号、第6,558,706号、第6,525,020号、第6,461,643号、第6,461,545号、第6,440,929号、第6,428,780号、第6,413,550号、第6,399,798号、第6,395,774号、第6,391,303号、第6,384,278号、第6,375,983号、第6,358,504号、第6,346,242号、第6,344,213号、第6,331,318号、第6,313,088号、第6,245,359号、第6,242,495号、第6,221,367号、第6,180,140号、第6,100,298号、第6,100,285号、第6,099,856号、第6,090,958号、第6,084,112号、第6,071,510号、第6,060,513号、第6,051,561号、第6,051,258号、第6,001,347号、第5,990,166号、第5,989,539号、第5,976,569号、第5,972,387号、第5,965,121号、第5,962,710号、第5,958,451号、第5,955,503号、第5,939,381号、第5,935,601号、第5,879,681号、第5,876,710号、第5,866,536号、第5,863,944号、第5,840,340号、第5,824,345号、第5,820,881号、第5,811,127号、第5,804,688号、第5,792,451号、第5,776,888号、第5,773,647号、第5,766,633号、第5,750,147号、第5,714,167号、第5,709,861号、第5,693,338号、第5,667,806号、第5,650,386号、第5,643,957号、第5,629,020号、第5,601,846号、第5,578,323号、第5,541,155号、第5,540,939号、第5,451,410号、第5,447,728号、第5,443,841号、および第5,401,516号に記載される。本発明の送達剤はまた、米国特許出願公開第20040110839号、第20040106825号、第20040068013号、第20040062773号、第20040022856号、第20030235612号、第20030232085号、第20030225300号、第20030198658号、第20030133953号、第20030078302号、第20030072740号、第20030045579号、第20030012817号、第20030008900号、第20020155993号、第20020127202号、第20020120009号、第20020119910号、第20020102286号、第20020065255号、第20020052422号、第20020040061号、第20020028250号、第20020013497号、第20020001591号、第20010039258号、および第20010003001号にも記載される。本発明の送達剤はまた、国際公開第2004/4104018号、第2004080401号、第2004062587号、第2003/057650号、第2003/057170号、第2003/045331号、第2003/045306号、第2003/026582号、第2002/100338号、第2002/070438号、第2002/069937号、第02/20466号、第02/19969号、第021/6309号、第02/15959号、第02/02509号、第01/92206号、第01/70219号、第01/51454号、第01/44199号、第01/34114号、第01/32596号、第01/32130号、第00/07979号、第00/06534号、第00/06184号、第00/59863号、第00/59480号、第00/50386号、第00/48589号、第00/47188号、第00/46182号、第00/40203号、第99/16427号、第98/50341号、第98/49135号、第98/34632号、第98/25589号、第98/21951号、第97/47288号、第97/31938号、第97/10197号、第96/40076号、第96/40070号、第96/39835号、第96/33699号、第96/30036号、第96/21464号、第96/12475号、および第9612474号にも記載される。上記の米国特許ならびに米国および国際出願公開は、それぞれが参照により本明細書に取り込まれる。
【0087】
カルボン酸としての送達剤化合物は、カルボン酸またはその塩の形であってよい。適切な塩には、有機および無機塩、例えばナトリウム(例えば一ナトリウムおよび二ナトリウム塩)、カリウム、およびリチウムのようなアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム、またはバリウムのようなアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;リジンまたはアルギニンのような塩基性アミノ酸;およびジメチルアミンまたはピリジンのような有機アミンが含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、塩はナトリウム塩である。塩は、一ナトリウム塩および二ナトリウム塩のような、一価または多価の塩であってよい。塩はまた、エタノール溶媒和物および水和物を含む溶媒和物であってもよい。
【0088】
アミンとしての送達剤化合物は、遊離アミンまたはその塩の形であってよい。適切な塩には、有機および無機塩、例えばナトリウム塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、フッ化物塩、炭酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、オキシド、ギ酸塩、酢酸塩、またはクエン酸塩が含まれるがこれらに限定されない。
【0089】
本発明の送達剤化合物の塩は、当該技術分野において公知の方法により調製され得る。例えばナトリウム塩は、送達剤化合物をエタノールに溶解すること、および水性の水酸化ナトリウムを加えることにより調製され得る。
【0090】
送達剤がアミン部分およびカルボン酸部分を有する場合、これらの化合物の1以上を含んでなるポリアミノ酸およびペプチドが用いられてよい。アミノ酸は、少なくとも1の遊離アミン基を有するいずれのカルボン酸でもあり、天然および合成アミノ酸が含まれる。ポリアミノ酸は、ペプチド(ペプチド結合により連結される2以上のアミノ酸)、または例えばエステルまたは無水物結合により連結され得るその他の基によって形成される結合により連結される2以上のアミノ酸のいずれかである。ペプチドの長さは、2個のアミノ酸を有するジペプチドから数百個のアミノ酸を有するポリペプチドまで変化し得る。1以上のアミノ酸またはペプチド単位はアシル化もしくはスルホン化されてよい。
【0091】
送達剤は、国際公開第03/045306号に記載されるように、ポリマーをそれに結合させて含んでよい。例えば送達剤とポリマーは、重合送達剤がポリペプチドまたはポリアミノ酸ではないという条件で、−NHC(O)NH−、−C(O)NH−、−NHC(O)、−OOC−、−COO−、NHC(O)O−、−OC(O)NH−、CHNH−NHCH−、−CHNHC(O)O−、−OC(O)NHCH−、−CHNHCOCHO−、−OCHC(O)NHCH−、NHC(O)CHO−、−OCHC(O)NH−、−NH−、−OP、および炭素−炭素結合からなる群より選択される連結基によって結合されてよい。ポリマーは、交互共重合体、ブロック共重合体、およびランダム共重合体を含むがこれらに限定されない、哺乳類での使用に安全ないずれのポリマーであってもよい。
【0092】
好ましいポリマーには、ポリエチレン;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;ポリ(オキシエチレン);ポリ(プロピレン);ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール(PEG);ならびにそれらの誘導体およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ポリマーの分子量は、典型的には約100ないし約200,000ダルトンの範囲である。ポリマーの分子量は、好ましくは約200ないし約10,000ダルトンの範囲である。一実施形態によれば、ポリマーの分子量は約200ないし約600ダルトンの範囲であり、さらに好ましくは約300ないし約550ダルトンの範囲である。
【0093】
本明細書に記載される化合物はアミノ酸由来であってよく、全てが参照により取り込まれる国際公開第96/30036号、第97/36480号、第00/06534号、第00/46812号、第00/50386号、第00/59863号、第01/32596号、および第00/07979号、ならびに米国特許第5,643,957号、第5,650,386号、および第5,866,536号に記載されるような当該技術分野における方法によって、アミノ酸から容易に調製され得る。例えば化合物は、単一のアミノ酸を、適切なアシル化剤、またはアミドを形成するためにアミノ酸中の遊離のアミノ部分と反応するアミン修飾剤と反応させることによって調製され得る。当業者に公知であり得るように、望まれない副反応を避けるために保護基が用いられてよい。保護基に関しては、その開示が参照により本明細書に取り込まれる、T.W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York (1981)を参照されたい。
【0094】
送達剤化合物は、再結晶化によるか、または単独もしくは直列に連結した1以上の個体クロマトグラフィー支持体上での分画によって精製されてよい。適切な再結晶化の溶媒系には、アセトニトリル、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、水、テトラヒドロフラン、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。分画は、メタノール/n−プロパノール混合物を移動相として用いる、アルミナのような適切なクロマトグラフィー支持体;トリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を移動相として用いる逆相クロマトグラフィー;および水または適切な緩衝液を移動相として用いるイオン交換クロマトグラフィーにおいて行われてよい。陰イオン交換クロマトグラフィーを行う際、好ましくは0〜500mMの塩化ナトリウム勾配が用いられる。
【0095】
ナプロキセン
ナプロキセンは、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸、およびそのナトリウム塩を含むその医薬的に許容される塩を意味する。「ナプロキセン遊離酸」の語は、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸を指す。他に記載のない限り、「ナプロキセン」の語は、ナプロキセンの全ての非晶質および結晶形を含む、ナプロキセンの全ての形を指す。
【0096】
固体医薬組成物は、錠剤、カプセル剤(硬および軟ゼラチンカプセルを含む)、ならびに散剤およびサシェ剤のような粒子の形であってよい。本発明の好ましい剤形は経口錠剤である。固体剤形は、送達剤の固体をインクレチンホルモンの固体と混合することにより調製され得る。あるいは固体は、フリーズドライ(凍結乾燥)、沈殿、結晶化、および固体分散のような当該技術分野において公知の方法により、送達剤およびインクレチンホルモンの溶液から得られてよい。
【0097】
医薬組成物は、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、注入剤、可塑剤、着色剤、香料、矯味剤、糖類、甘味料、および塩類のうちの、任意の一つまたは組み合わせを含んでよい。
【0098】
一実施形態によれば、送達剤対ナプロキセンの重量比は約1:8ないし約2:1である。別の実施形態によれば、送達剤対ナプロキセンの重量比は約1:6ないし約1.5:1、約1:4ないし約1:1.25、または約1:4.5ないし約1:1である。
【0099】
一実施形態によれば、送達剤はSNAC、SNAD、5−CNAC、4−MOAC、または4−CNABであり、送達剤とナプロキセンの重量比は1:5ないし20:1、好ましくは1:3ないし15:1、さらに好ましくは1:1ないし10:1、最も好ましくは2:1ないし5:1である。
【0100】
さらに別の実施形態によれば、送達剤はSNAC、SNAD、5−CNAC、4−MOAC、または4−CNABであり、ナプロキセンはナプロキセンナトリウムであり、SNAC、SNAD、または4−CNAB対ナプロキセンナトリウムの重量比は約1:4.4、約1:2.2、または約1:1.1である。
【0101】
さらに別の実施形態によれば、送達剤はSNACの一ナトリウム塩であり、ナプロキセンはナプロキセンナトリウムであり、SNACの一ナトリウム塩対ナプロキセンナトリウムの重量比は約1:4.4、約1:2.2、または約1:1.1である。
【0102】
別の実施形態によれば、医薬組成物は約25mgないし約500mgのナプロキセン、および約50mgないし約600mgの送達剤を含む。好ましくは、ヒトが医薬組成物を経口摂取することにより、ナプロキセンのピーク血漿濃度は60分以内、さらに好ましくは45分以内、最も好ましくは30分以内に提供される。
【0103】
さらに別の実施形態によれば、医薬組成物は約25mgないし約500mgのナプロキセン、および約50mgないし約600mgのSNAC一ナトリウム塩を含む。例えば医薬組成物は、約150ないし約300mgのナプロキセン(好ましくはナプロキセンナトリウム)(ナプロキセン基剤の重量に基づいて算出)および約50ないし約200mgのSNAC(好ましくはSNAC一ナトリウム塩)を含んでよい。
【0104】
該医薬組成物は、ヒト被験体においてナプロキセンの経口摂取により引き起こされる胃腸の有害事象を減少させて、疼痛を治療するために有用である。好ましくは胃腸の有害事象は、ナプロキセンの単独投与に比較して20%を超えて、さらに好ましくは40%を超えて、最も好ましくは60%を超えて減少する。
【実施例1】
【0105】
各錠剤が110mgのナプロキセンおよび250mgのSNACを含む、ナプロキセン錠剤を作製した。これらの錠剤は、SNACを含まないナプロキセン錠剤に比較すると、非常に短時間でナプロキセン濃度のピークに達する。
【0106】
本明細書に引用される全ての出版物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口医薬組成物であって、(a)ナプロキセンと(b)以下の化合物:
2−HO−Ar−C(O)−NR−R−COOH 式(1)
(式中、化合物は酸基またはその塩へのアルファ位でアミノ基に置換されない条件下で;
ArはOH、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、もしくはC−Cハロアルコキシにより任意に置換された、フェニルまたはナフチルであり;
はC−C20アルキル、C−C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C−C10アルキル)フェニル、(C−C10アルケニル)フェニル、(C−C10アルキル)ナフチル、(C−C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C−C10アルキル)、フェニル(C−C10アルケニル)、ナフチル(C−C10アルキル)、またはナフチル(C−C10アルケニル)であり;
は水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、またはC−Cハロアルコキシであり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、−OH、−SH、および−CO、またはそれらの任意の組み合わせによって任意に置換され;
は水素、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり;かつ
は酸素、窒素、硫黄、またはそれらの任意の組み合わせにより任意に割り込まれる);
2−OH−Ar−C(O)−NH−R−R 式(2)
(式中、
Arはフェニルまたはナフチルであり;
Arは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール、アリールオキシ、複素環、C−C炭素環、ハロゲン、−OH、−SH、CO、−NR、または−Nにより任意に置換され;
(a)RはC−C16アルキレン、C−C16アルケニレン、C−C16アルキニレン、C−C16アリーレン、(C−C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C−C16アルキレン)であり;
は−NR、または−Nであり;
およびRは独立して水素;酸素;ヒドロキシ;置換もしくは非置換のC−C16アルキル;置換もしくは非置換のC−C16アルケニル;置換もしくは非置換のC−C16アルキニル;置換もしくは非置換のアリール;置換もしくは非置換のアルキルカルボニル;置換もしくは非置換のアリールカルボニル;置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル;置換もしくは非置換のアリールスルフィニル;置換もしくは非置換のアルカンスルホニル;置換もしくは非置換のアリールスルホニル;置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル;または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニルであり;
は独立して水素;置換もしくは非置換のC−C16アルキル;置換もしくは非置換のC−C16アルケニル;置換もしくは非置換のC−C16アルキニル;置換もしくは非置換のアリール;置換もしくは非置換のアルキルカルボニル;置換もしくは非置換のアリールカルボニル;置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル;置換もしくは非置換のアリールスルフィニル;置換もしくは非置換のアルカンスルホニル;置換もしくは非置換のアリールスルホニル;置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル;または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニルであり;
(b)R、R、およびRは上に定義され;かつ
およびRは、5、6、もしくは7員複素環;またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキソ基、もしくは炭素環により置換された5、6、もしくは7員複素環を形成するために結合されるか;または
(c)RおよびRは上に定義され;かつ
およびRは、5、6、もしくは7員複素環;またはC−Cアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、もしくはオキソ基、または炭素環により置換された5、6、もしくは7員複素環を形成するために結合され;
は水素;酸素;ヒドロキシ;置換もしくは非置換のC−C16アルキル;置換もしくは非置換のC−C16アルケニル;置換もしくは非置換のC−C16アルキニル;置換もしくは非置換のアリール;置換もしくは非置換のアルキルカルボニル;置換もしくは非置換のアリールカルボニル;置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル;置換もしくは非置換のアリールスルフィニル;置換もしくは非置換のアルカンスルホニル;置換もしくは非置換のアリールスルホニル;置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル;または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニルであり;
は水素;C−Cアルキル;ハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルキル;C−Cアルケニル;またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルケニルであり;
、R、およびRは独立して水素;酸素;C−Cアルキル;ハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルキル;C−Cアルケニル;またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルケニルであり;かつ
Yはハロゲン、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはカルボン酸塩である);
【化1】

(式中、
、R、R、およびRは独立して水素、−OH、−NR、ハロゲン、C−Cアルキル、またはC−Cアルコキシであり;
は置換もしくは非置換のC−C16アルキレン、置換もしくは非置換のC−C16アルケニレン、置換もしくは非置換のC−C12アルキル(アリーレン)、または置換もしくは非置換のアリール(C−C12アルキレン)であり;かつ
およびRは独立して水素、酸素、またはC−Cアルキルである);
【化2】

(式中、
(a)R、R、R、およびRは独立してH、−OH、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、−C(O)R、−NO、−NR10、または−N1011(Y)であり;
は水素、−OH、C−Cアルキル、ハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルキル、非置換またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルケニル、または−NR1415であり;
、R10、およびR11は独立して水素、酸素、非置換またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルキル、非置換またはハロゲンもしくは−OHにより置換されたC−Cアルケニルであり;
Yはハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボン酸塩、メシラート、フマル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、またはマレイン酸塩であり;
はH、−OH、−NO、ハロゲン、−CF、−NR1415、−N141516(Y)、アミド、C−C12アルコキシ、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、カルバミン酸塩、炭酸塩、尿素、または−C(O)R22であり;Rはハロゲン、−OH、−SH、または−COOHにより任意に置換され;RはO、N、S、または−C(O)−により任意に割り込まれ;
14、R15、およびR16は独立してHまたはC−C10アルキルであり;
22はH、C−Cアルキル、−OH、−NR1415であり;
は、置換もしくは非置換のC−C16アルキレン、C−C16アルケニレン、C−C16アルキニレン、C−C16アリーレン、(C−C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C−C16アルキレン)であり;RはC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルにより任意に置換され;
は−NR1819またはN181920であり;
18およびR19は独立して水素、酸素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のC−C16アルキル、置換もしくは非置換のC−C16アルケニル、置換もしくは非置換のC−C16アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルキル)カルボニル)、置換もしくは非置換のアリールカルボニル、置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルカン)スルフィニル)、置換もしくは非置換のアリールスルフィニル、置換もしくは非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルカン)スルホニル)、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルコキシ)カルボニル)、または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル、または置換もしくは非置換のC−C複素環(すなわち5、6、もしくは7員複素環)であり、ここで置換はハロゲンもしくは−OHであってよく;かつ
20は独立して水素、置換もしくは非置換のC−C16アルキル、置換もしくは非置換のC−C16アルケニル、置換もしくは非置換のC−C16アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルキル)カルボニル)、置換もしくは非置換のアリールカルボニル、置換もしくは非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルカン)スルフィニル)、置換もしくは非置換のアリールスルフィニル、置換もしくは非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルカン)スルホニル)、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換もしくは非置換の(C1−6アルコキシ)カルボニル)、または置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニルであるか;または
(b)R−R16およびR20は上に定義され;かつ
オキソ基により任意に割り込まれ、かつ非置換であるか、またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、アリール、アリールオキシ、もしくは炭素環により置換された5、6、もしくは7員複素環を形成するために、R18およびR19は結合される);
【化3】

(式中、
、R、R、およびRは独立してH、−OH、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、−C(O)R、−NO、−NR10、または−N1011(R12であり;
はH、−OH、−NO、ハロゲン、−CF、−NR1415、−N141516(R13、アミド、C−C12アルコキシ、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、カルバミン酸塩、炭酸塩、尿素、または−C(O)R18であり;
はハロゲン、−OH、−SH、または−COOHにより任意に置換され;
はO、N、S、または−C(O)−により任意に割り込まれ;
はC−C12アルキレン、C−C12アルケニレン、またはアリーレンであり;
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、−OH、−SH、ハロゲン、−NH、または−COにより任意に置換され;
はOまたはNにより任意に割り込まれ;
は結合であるかまたはアリーレンであり;
は−OH、ハロゲン、−C(O)CH、−NR1011、または−N101112(R13により任意に置換され;
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、または−NHであり;
、R10、R11、およびR12は独立してHまたはC−C10アルキルであり;
13はハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはリン酸塩であり;かつ
14、R15、およびR16は独立してH、C−C10アルキル、−COOHにより置換されたC−C10アルキル、C−C12アルケニル、−COOH、−C(O)R17により置換されたC−C12アルケニルであり;
17は−OH、C−C10アルキル、またはC−C12アルケニルであり;かつ
18はH、C−Cアルキル、−OH、−NR1415、またはN141516(R13である);
【化4】

(式中、
、R、R、およびRは独立してH、−OH、ハロゲン、−OCH、−NR1011、または−N101112(R13であり;
はH、−OH、−NO、−NR1415、−N141516(R13、アミド、C−C12アルコキシ、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、カルバミン酸塩、炭酸塩、尿素、または−C(O)R18であり;
は−OH、−SH、または−COOHにより任意に置換され;
はO、N、S、または−C(O)−により任意に割り込まれ;
はC−C12アルキレン、C−C12アルケニレン、またはアリーレンであり;
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、−OH、−SH、ハロゲン、−NH、または−COにより任意に置換され;
はOまたはNにより任意に割り込まれ;
は結合であるかまたはアリーレンであり;
は−OH、ハロゲン、−C(O)CH、−NR1011、または−N101112(R13により任意に置換され;
はHまたはC−Cアルキルであり;
はH、C−Cアルキル、またはC−Cアルケニルであり;
10、R11、およびR12は独立してHまたはC−C10アルキルであり;
13はハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはリン酸塩であり;
14、R15、およびR16は独立してH、C−C10アルキル、C−C12アルケニル、O、または−C(O)R17であり;
17は−OH、C−C10アルキル、またはC−C12アルケニルであり;かつ
18は−OH、C−Cアルキル、−NR1415、−N141516(R13である);
【化5】

(式中、
19は−NOまたは−C(O)R23であり;
20はC−C12アルキレンまたはC−C12アルケニレンであり;
21は結合またはアリーレンであり;
22はHまたはC−Cアルキルであり;かつ
23は−OH、C−Cアルキル、または−NHである)
から選択される少なくとも1の送達剤、およびその医薬的に許容される塩を含んでなる経口医薬組成物。
【請求項2】
前記送達剤がSNACである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記SNACと前記ナプロキセンの重量比が1:5ないし20:1である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記SNACと前記ナプロキセンの重量比が1:3ないし15:1である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記SNACと前記ナプロキセンの重量比が1:1ないし10:1である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記SNACと前記ナプロキセンの重量比が2:1ないし5:1である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記送達剤がSNADである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記送達剤が4−CNABである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が約25mgないし約500mgのナプロキセンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が約50mgないし約600mgの送達剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ヒトへの前記医薬組成物の経口摂取により、ナプロキセンのピーク血漿濃度が60分以内に提供される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
ヒトへの前記医薬組成物の経口摂取により、ピーク血漿ナプロキセンが45分以内に提供される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ヒトへの前記医薬組成物の経口摂取により、ピーク血漿ナプロキセンが30分以内に提供される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ヒト被験体においてナプロキセンの経口摂取により引き起こされる胃腸の有害事象を減少させる方法であって、請求項1に記載の医薬組成物を前記ヒト被験体に投与する工程を含んでなる方法。
【請求項15】
前記胃腸の有害事象が20%を超えて減少する、請求項17に記載の方法。
【請求項16】
前記胃腸の有害事象が40%を超えて減少する、請求項17に記載の方法。
【請求項17】
前記胃腸の有害事象が60%を超えて減少する、請求項17に記載の方法。
【請求項18】
被験体の疼痛をその必要に応じて治療する方法であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の経口医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項19】
被験体の疼痛をその必要に応じて治療する方法であって、約150ないし約300mgのナプロキセンまたはその医薬的に許容される塩(ナプロキセン基剤の重量に基づいて算出)および約50ないし約200mgのN−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸またはその医薬的に許容される塩を含んでなる経口医薬組成物の有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項20】
経口医薬組成物が、約220mgのナプロキセンナトリウムおよび約50ないし約200mgのN−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸の一ナトリウム塩を含んでなり、該経口医薬組成物が錠剤である、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2013−501062(P2013−501062A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523707(P2012−523707)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044279
【国際公開番号】WO2011/017346
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(504209183)エミスフィアー テクノロジーズ インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Emisphere Technologies,Inc.
【Fターム(参考)】