説明

背負式動力散布機の搭載用走行台車

【課題】 大型化する背負式動力散布機を使っての散布作業が高齢者等においてもこれを使えば容易に行えると共に、これに搭載しての走行散布時にはこれを前後の操作ハンドルを使って前後どちらの方向にも押せるので作業方向(進行方向)の切り替えが楽に行えるし、この前後の操作ハンドルを使って二人作業が可能になるので高齢者等において特に走行散布作業が二人で楽に行える背負式動力散布機の搭載用走行台車を得る。
【解決手段】 前後輪1aで自立して走行する車台枠1と、この車台枠1の前後方にそれぞれ設けた操作ハンドル2と、車台枠1の中ほどに設けた背負式動力散布機4を着脱可能に搭載するための搭載台部3とを備え、かつ搭載台部3に搭載した状態でも背負式動力散布機4の散布が可能になるようにしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負式動力散布機を着脱可能に搭載することができると共に搭載した背負式動力散布機から散布しながら走行することができる背負式動力散布機の搭載用走行台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背負式動力散布機は、その名の通り作業者がこれを背負って歩行しながら散布するというものである。
最近では、市場のニーズや便宜上から背負式動力散布機が大型化して、大きいものでは総重量が30Kg(例として通常、満タン部分:20Kg、エンジン部分:10Kg)位のものも出現している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題は、当然のことながら大型化する背負式動力散布機を背負って歩行散布する場合には散布作業に体力が要求されることにより、高齢者のように体力に衰えのある作業者にはきつい作業となるにもかかわらず、作業者に高齢化が進み、背負式動力散布機の使用に問題を投げかけているという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前後輪で自立して走行する車台枠と、この車台枠の前後方にそれぞれ設けた操作ハンドルと、前記車台枠の中ほどに設けた背負式動力散布機を着脱可能に搭載するための搭載台部とを備え、かつ前記搭載台部に搭載した状態でも背負式動力散布機の散布が可能になるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、背負式動力散布機としての本来の背負い散布の機能をそのままにして、この背負式動力散布機の散布能力を走行する台車上でも発揮できるようにすることにより、大型化する背負式動力散布機を使っての散布作業が高齢者等においてもこれを使えば容易に行えると共に、これに搭載しての走行散布時にはこれを前後の操作ハンドルを使って前後どちらの方向にも押せるので作業方向(進行方向)の切り替えが楽に行えるし、この前後の操作ハンドルを使って二人作業が可能になるので高齢者等において特に走行散布作業が二人で楽に行えるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
前後輪で自立して走行する車台枠と操作ハンドルと搭載台部とを備えた走行台車であって、その搭載台部に背負式動力散布機を搭載できるようにすると共に搭載した状態で背負式動力散布機からの散布を可能にすることにより、実現した。
【実施例1】
【0007】
本発明の一実施例を図1,図2を用いて説明する。図1は全体を示す斜視図、図2は搭載した背負式動力散布機を点線で表して示す図1の側面図である。
【0008】
図において、1は三輪(前方大一輪)1aで自立して走行する車台枠、2は車台枠1の前後方にそれぞれ設けた操作ハンドル、3は車台枠1の中ほどに設けた背負式動力散布機4を着脱可能に搭載するための搭載台部である。
なお、背負式動力散布機4は、タンク5とポンプ6とエンジン7とが背負枠にセットされてなると共にその背負ベルト8により背負い可能で、さらに切換レバー9の操作によりタンク下口の開口調節部10を切り換えて散布量の調節ができるようになっている。
【0009】
本走行台車としては図1に示すように自立走行型の構造をしており、これの搭載台部3の部分に背負式動力散布機4を図2に示すように搭載できるようになっている。
このときの背負式動力散布機4の搭載台部3への固定手段は、特に定めるものではないが、例えば搭載台部3にある押え金具(図示せず)を用いてその下部をボルト4bで止めると共にその背負枠の部分を押え金具4cに嵌め込んで止めて着脱可能に固定できるようにしても良い。
【0010】
本走行台車は、図2に示すように背負式動力散布機4を搭載した状態で走行自在であるので、エンジン7によりポンプ6を駆動してその吐出口(後記する)から散布しながら走行すると、背負式動力散布機4を背負わずに本走行台車を押しながら走行散布ができる。よって、背負式動力散布機4が大型で背負いながらの歩行散布が困難なときにはこのように本走行台車を使って楽に走行散布ができる。
【0011】
勿論、背負式動力散布機4を本走行台車の搭載台部3から外せば、背負式動力散布機4としての本来の背負い散布もできるので、散布地形などを考えながら、自在に背負っての歩行散布,本走行台車に搭載しての走行散布の使い分けが簡単にできる。
【0012】
また、本走行台車の前後に操作ハンドル2をそれぞれ設けてあるので、進行方向を逆にしたいときには、本走行台車の前後をひっくり返さなくても、反対側の操作ハンドル2を使って簡単に逆の方向に進行できるし、この両操作ハンドル2を使って二人作業も簡単に行えるので、特に高齢者による作業が容易となる。
【実施例2】
【0013】
この実施例のものは長距離散布用ブロワーを備えた走行台車であって、図3,図4を用いて説明する。図3は側面図、図4は図3を後方からみた図であり、図中前記した実施例1のものと同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0014】
図において、11は車台枠1に設置した長距離散布用ブロワーで、その基端側の蛇腹管11aが背負式動力散布機4の吐出口4aに接続できるような連結構造体になっている。 この長距離散布用ブロワー11は、固定縦杆11bの上端軸11cを中心として図4中想像線で示すように左右に旋回する(手動で)ようになっていると共に、その旋回位置では弾力的に伸縮する伸縮杆11dをピン(図示せず)により長さ決めすることにより想像線で示す位置にそれぞれ固定できるようになっている。
【0015】
このように本走行台車に設けた長距離散布用ブロワー11を使うと、背負式動力散布機4の吐出口4aからの散布に比べて大幅に散布域が拡大するし、その角度の調整により好みの散布域が得られる。
【実施例3】
【0016】
この実施例のものは散布量を調節するための切換レバーとして操作ハンドル2に手元切換レバーを備えた走行台車であって、図5を用いて説明する。図5は側面図であり、図中前記した実施例1のものと同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0017】
図において、12は操作ハンドル2に設置した散布量調節用の手元切換レバーで、連結リンク機構13により背負式動力散布機4のタンク下口の開口調節部10に接続できるような連結構造体になっている。
【0018】
よって、本走行台車の搭載台部3の部分に背負式動力散布機4が搭載されると、そのタンク下口の開口調節部10に連結リンク機構13の先を接続すれば良い。
このように本走行台車に設けた連結リンク機構13により手元切換レバー12を連結すれば、図5に示すように操作ハンドル2の位置での手元切換レバー12の操作により開口調節部10を切り換えることができ、散布量の調節が操作ハンドル2の手元で容易に行えるようになる。さらなる安定走行と作業性の向上が図れる。なお、手元切換レバー12は両操作ハンドル2にそれぞれ設けても良い。
【実施例4】
【0019】
以上の各実施例では、本走行台車を三輪車としたものを示したが、四輪車であっても良いし、二輪車(幅広車輪として)であっても良いし、さらに走行用エンジンを搭載して自走するようにしたものとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、背負式動力散布機を搭載する走行台車として広く活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1を示す全体斜視図である。
【図2】搭載した背負式動力散布機を点線で表して示す図1の側面図である。
【図3】本発明の実施例2を示す側面図である。
【図4】図3を後方からみた図である。
【図5】本発明の実施例3を示す側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1:車台枠
1a:三輪
2:操作ハンドル
3:搭載台部
4:背負式動力散布機
4a:吐出口
5:タンク
6:ポンプ
7:エンジン
8:背負ベルト
9:切換レバー
10:タンク下口の開口調節部
11:長距離散布用ブロワー
11a:蛇腹管
12:手元切換レバー
13:連結リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後輪で自立して走行する車台枠と、この車台枠の前後方にそれぞれ設けた操作ハンドルと、前記車台枠の中ほどに設けた背負式動力散布機を着脱可能に搭載するための搭載台部とを備え、かつ前記搭載台部に搭載した状態でも背負式動力散布機の散布が可能になるようにしたことを特徴とする背負式動力散布機の搭載用走行台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−101814(P2006−101814A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295480(P2004−295480)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000183842)初田工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】