能動トランスポンダの再充電
【課題】本発明は、最適な方法で能動トランスポンダを再充電可能な端末、及び端末を構成する方法を提供する。
【解決手段】トランスポンダ用に無線周波の電場のための信号を送ることが可能な端末を構成する方法は、前記トランスポンダが前記端末の送信範囲内に存在するときに、前記トランスポンダが前記電場に存在しない間の前記端末の動作によって決まるオフロード値に応じて、前記端末の振動回路の直列抵抗を適合させるステップを少なくとも1つ備える。
【解決手段】トランスポンダ用に無線周波の電場のための信号を送ることが可能な端末を構成する方法は、前記トランスポンダが前記端末の送信範囲内に存在するときに、前記トランスポンダが前記電場に存在しない間の前記端末の動作によって決まるオフロード値に応じて、前記端末の振動回路の直列抵抗を適合させるステップを少なくとも1つ備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、トランスポンダを用いたシステム、すなわち、端末と非接触式及び無線式で通信することが可能な(一般的には移動式)トランシーバに関する。より詳細には、本発明は、充電式バッテリを備えた能動トランスポンダを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスポンダは、一般的にバッテリを備えるか否かに応じて2つのカテゴリに区別される。
【0003】
いわゆる受動トランスポンダは、受動トランスポンダが通信する端末により与えられる高周波電場から、受動トランスポンダが備える電子回路の動作に必要な電力を抽出する。このようなトランスポンダは、一般に、(数メートルの)短距離の範囲内での送信向けである。端末から受けた電力が、トランスポンダのアンテナに接続されたコンデンサに蓄積される。
【0004】
本発明が特に適用されるいわゆる能動トランスポンダは、能動トランスポンダの動作に必要な電力を供給するバッテリを備える。このようなトランスポンダは、端末及びトランスポンダ間で電力の伝達が必要ではないため、(数百メートルまでの)長距離で動作することが可能である。
【0005】
バッテリを再充電するために、端末から短距離にある状態を利用する能動トランスポンダも公知である。
【0006】
例えば、特許文献1又は特許文献2には、受信した無線電気信号から生じる電力を蓄積するための蓄積コンデンサを備えた充電式能動トランスポンダについて記載されている。充電手段は、コンデンサ内に蓄積された電力からバッテリを再充電すべく設けられている。
【0007】
特許文献3には、内蔵バッテリから電力が供給され、受動的には無線周波電場から電力が供給されることが可能な電子タグについて記述されている。電力蓄積装置が、バッテリを再充電するためにバッテリに接続されている。
【0008】
トランスポンダと、トランスポンダのバッテリを再充電すべく用いられ得る端末との間の電磁結合から生じる電力は不十分である場合が多く、及び/又は再充電に時間がかかり過ぎて有効ではない。その結果、多くの場合には、能動トランスポンダは、再充電されるべく端末の範囲内に長時間置かれていない限り、実際には元のバッテリが放電されると、長距離での動作を停止する。しかしながら、端末の範囲内にトランスポンダを長時間置いておくことは常に容易であるとは限らない。
【0009】
例えば、トランスポンダが車両のキーである自動車では、走行の間キーは車両内に含まれる端末から短距離にある。従って、キーはこの走行中に再充電可能である。しかし、車両が使用されていないとき、キーは、車両の端末の範囲内にないので再充電されない。
【0010】
他の適用例では、トランスポンダが通信すると想定される端末の範囲内に長時間置かれることはほとんど不可能である。例えば、輸送で使用されるチップカードでは、トランスポンダが端末の範囲内にある期間は、情報交換を実行する時間に略相当し、常にバッテリを適切に再充電できるとは限らない。更に、このタイプの適用例では互いに接近している多くのトランスポンダ及び端末間の情報交換の衝突防止の理由から、通信(従って、再充電)は、極めて近接した結合(10cm未満)で設定されるだけであり、実際には、アンテナに最も近接した位置に相当する指定領域で端末の筐体上にカードを置く必要がある。
【0011】
更に、所与のタイプのトランスポンダは、一般的に専用の端末からのみ再充電可能であり、このことは常に都合が良いとは限らない。
【0012】
特許文献4は、電磁トランスポンダと通信し、その電場でトランスポンダの存在を有効にすることが可能な端末を開示している。特許文献4では、同調を変更するために振動回路の容量素子の値を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0999517号明細書
【特許文献2】米国特許第6462647号明細書
【特許文献3】米国特許第6944424号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1154367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
充電式能動トランスポンダと、再充電及び/又はトランスポンダとの通信のための端末と、充電式能動トランスポンダシステムとを有することが望ましい。該システムは、現在のシステムの不利点の全て又は一部を克服する。
【0015】
特に、たとえ短期間でもトランスポンダを遠隔供給電場に置くことを利用して、最適な方法で能動トランスポンダを再充電することが可能な端末を有することが望ましい。
【0016】
更に、同一の装置内で能動トランスポンダ及び受動トランスポンダの機能を維持することが望ましい。
【0017】
更に、能動トランスポンダは、専用の端末を必要とせずに、様々な端末の範囲内にあるときに再充電可能であることが望ましい。
【0018】
より一般的には、端末からトランスポンダへの電力の伝達を最適化することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的及び他の目的の全て又は一部を達成するために、本発明の少なくとも一実施形態は、トランスポンダ用に無線周波の電場のための信号を送ることが可能な端末を構成する方法であって、前記トランスポンダが前記端末の送信範囲内に存在するときに、前記トランスポンダが前記電場に存在しない間の前記端末の動作によって決まるオフロード値に応じて、前記端末の振動回路の直列抵抗を適合させるステップを少なくとも1つ備えることを特徴とする方法を提供する。
【0020】
一実施形態によれば、前記オフロード値は、前記端末の振動回路内の電流の特性を示している。
【0021】
一実施形態によれば、前記方法は、前記端末の振動回路の直列抵抗の第1の値を用いて、前記振動回路内の電流を表す情報を測定するステップと、前記情報を前記オフロード値と比較するステップと、前記第1の値、前記測定された情報及び前記オフロード値に応じて決定された第2の値へ前記直列抵抗を変更するステップとを更に備える。
【0022】
一実施形態によれば、前記直列抵抗の値は、前記測定された情報と前記オフロード値との比が略2に等しいように決定される。
【0023】
一実施形態によれば、前記トランスポンダに備えられているバッテリの充電サイクルが、前記直列抵抗の値が設定されると開始される。
【0024】
本発明の少なくとも1つの実施形態は更に、トランスポンダ用に電場を生成するための端末において、位相調整ループと、前記トランスポンダとの結合係数の推定に基づいて決定された値を有する切替可能な抵抗器の回路とを含む振動回路を備えることを特徴とする端末を提供する。
【0025】
一実施形態によれば、抵抗の値は、上述した方法により決定される。
【0026】
本発明の少なくとも1つの実施形態は更に、端末を備える携帯機器を提供する。
【0027】
本発明の少なくとも1つの実施形態は更に、端末と通信可能であり、前記端末により再充電されることが可能な能動トランスポンダを提供する。
【0028】
一実施形態によれば、前記トランスポンダは、前記トランスポンダのバッテリの充電レベルに関する情報を前記端末に送信するための手段を備える。
【0029】
本発明の少なくとも1つの実施形態は更に、前記端末と、前記トランスポンダとを備えることを特徴とする通信システムを提供する。
【0030】
本発明の前述の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】能動トランスポンダとの無線周波通信システムの一例を示す概略図である。
【図2】図1の端末を示すブロック略図である。
【図3】図1のトランスポンダを示すブロック略図である。
【図4】正規化結合に応じたトランスポンダの共振回路の電圧変動を示す図である。
【図5】図2の端末の切替可能な抵抗器の回路の別の実施形態を示す部分ブロック図である。
【図6A】端末の動作を示すグラフである。
【図6B】端末の動作を示すグラフである。
【図6C】端末の動作を示すグラフである。
【図7】端末側の適応回路の別の実施形態を示す部分図である。
【図8】端末を設定する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図9】本発明が一例として適用されるタイプのチップカードを示す概略図である。
【図10】本発明が一例として適用されるタイプの携帯電話を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
同一の要素は、異なる図面において同一の参照番号で示されている。明瞭さのために、本発明の理解に役立つステップ及び要素のみを示し、説明する。特に、トランスポンダ及び端末間の通信中に送信されるデータのデータ源及び宛先は詳述されていない。本発明は任意の通常の通信にも適合され得る。
【0033】
図1は、端末1又は読み出し/書き込み端末とトランスポンダ2とを備える通信及び遠隔供給システムの一例を非常に概略的に示す図である。
【0034】
通常、端末1は、コンデンサC1及び抵抗器R1と直列なインダクタンスL1から形成されている直列振動回路を備える。直列振動回路は、装置11により制御されている。装置11は、特に限定ではないが、増幅器又はアンテナ結合器と、送信を制御し利用する回路とを備え、特に変調器/復調器と制御回路及びデータ処理回路(一般的には、マイクロプロセッサ)とが設けられている。装置11は通常、種々な入力/出力回路(キーボード、ディスプレイ、サーバとの交換要素等)及び/又は処理回路と通信するが、これらの要素は図示されていない。端末1の要素は、例えば、配電システム又はバッテリ(例えば、自動車、携帯電話又はコンピュータの配電システム又はバッテリ)に接続された電源回路(図示せず)から、前記要素の動作に必要な電力を取り出す。
【0035】
端末1と協働可能な能動トランスポンダ2は、振動回路を備え、振動回路は、例えば、制御処理回路21の2つの入力端子22、23間にあるコンデンサC2と並列なインダクタンスL2から形成されている並列振動回路である。示された例では、トランスポンダ2は更に、少なくとも該トランスポンダが端末から短距離の範囲内にない場合、トランスポンダ2の様々な素子の電力を供給可能な充電式バッテリ24を備える。端子22及び端子23は、実際には整流素子(図1には図示せず)の入力に接続されており、整流素子は、トランスポンダ内部の回路の電源端子を形成する出力を有する。これらの回路は通常、メモリと、情報を端末に送信するための変調器とを備える。(適用例及び実行すると想定されるタスクによって決まる)トランスポンダのタイプに応じて、これらの回路は更に、場合によっては端末から受信される信号の復調器と、マイクロプロセッサと、種々な他の処理回路とを備える。
【0036】
端末の振動回路及びトランスポンダの振動回路は、通常、端末の振動回路の励磁信号の周波数に相当する同一の周波数に同調される。この高周波信号(例えば、13.56MHz)は、端末からトランスポンダにデータを送信する担体として用いられるだけではなく、端末の電場に位置するトランスポンダのための遠隔供給担体としても用いられる。トランスポンダ2が端末1の電場にあるとき、トランスポンダの共振回路の端子22及び端子23間で高周波電圧が生成される。この電圧は、一方では、トランスポンダが受動モードにあるときには、トランスポンダの電子回路21の供給電圧を供給するために用いられ、他方では、バッテリ24を充電するために用いられてもよい。バッテリ24は、トランスポンダが端末の範囲内にないときに、トランスポンダの回路に電力を供給するために用いられる。
【0037】
図2は、端末1の一実施形態のブロック図である。上述したように、端末1は、容量性素子C1及び抵抗素子R1と直列のインダクタンス又はアンテナL1から形成されている振動回路を備える。図2の例では、これらの素子は、増幅器又はアンテナ結合器14の出力端子12と、基準電圧(通常は、接地)の端子13との間に接続されている。振動回路内の電流を測定する要素15は、例えば、容量性素子C1と接地13との間に配置されている。測定要素15は、後述する位相調整ループに属する。増幅器14は、変調器16(MOD)から生じる高周波送信信号Eを受け取り、変調器16は、例えば水晶発振器(図示せず)から基準周波数(信号OSC)を受け取る。変調器16は、必要であれば、送信されるべきデータの信号Txを受け取り、端末からのデータ送信がない場合にはトランスポンダに遠隔で供給することが可能な高周波担体(例えば、13.56Mhz)を供給する。容量性素子C1は、信号CTRLにより制御可能な可変キャパシタンスを有する素子である。アンテナL1の電流の位相調整は、基準信号に対して行われる。この調整は、高周波信号、すなわち送信されるべきデータがない場合の信号Eに相当する担体の信号の調整である。調整は、基準信号との一定の位相関係でアンテナの電流を維持するために、端末の振動回路のキャパシタンスC1を変更することにより行われる。基準信号は、例えば、発振器により変調器へ供給される信号OSCに相当する。信号CTRLは、回路17(COMP)から生じ、回路17は、基準信号に対する位相間隔を検出し、それによって容量素子C1を修正する機能を有する。位相測定は、例えば、測定要素15による振動回路の電流Iの測定に基づいて行われる。示された例では、変流器が、素子C1及び接地端子13間に一次巻線151と、接地に直接接続されている第1の端子、及び測定結果を示す信号MESを供給する他の端子を有する二次巻線152とを含む。電流電圧変換抵抗器153が、二次巻線152と並列に接続されている。測定結果MESは、比較器17に送られて、それによって比較器17は、信号CTRLを用いて容量素子C1を制御する。
【0038】
図2に示される実施形態では、比較器17は、トランスポンダから送信される信号を復調するために用いられる位相復調器と同一の位相復調器(図示せず)を用いる。この信号は振動回路によって受信されてもよい。従って、比較器17は、トランスポンダからの受信データのあり得る逆変調を、端末の他の電子回路を表すブロック18に返す信号Rxを供給する。
【0039】
位相調整ループの応答時間が、トランスポンダからのあり得る逆変調を妨げないように十分に長く、またトランスポンダが端末の電場を横切るスピードと比較して十分に短くなるように決定される。これは、変調周波数(例えば、遠隔供給担体の周波数13.56MHz、及びトランスポンダから端末へデータを送信するために用いられる逆変調周波数847.5kHz)に対して静的調整と呼ばれ得る。
【0040】
図2の変流器に関する変形例として、他の電流測定要素(例えば、抵抗器)が用いられてもよい。
【0041】
位相を調整する端末の一例は、欧州特許出願公開第0857981号明細書に記載されている。
【0042】
図3は、トランスポンダ2の一実施形態を示す図である。整流素子25、例えば、全波ダイオードブリッジが振動回路(並列なインダクタンス又はアンテナL2及び容量素子C2)の端子22と端子23との間に接続されている。ブリッジ25の整流出力は、平滑容量素子C25に接続されて、トランスポンダの供給を管理するための回路26(ALIM)に電圧V25を供給する。回路26は更に、トランスポンダのバッテリ24により供給された電圧V24を受け取る。回路26は、ブロック27で表されるトランスポンダの他の回路に回路の動作に必要な電力を供給する。整流素子25、容量素子C25、回路26及び回路27は、図1のブロック21内に含まれる。回路27は、共振回路の端子22と端子23との間で情報をサンプリングして、整流前に端末から受信されたあり得る情報を復調することが可能である。更に、回路27は、端末により生成される電場に、トランスポンダにより形成された負荷を変調可能ないわゆる逆変調容量素子及び/又は抵抗素子を備える。この負荷変調は、(増幅器又はアンテナ結合器が定電流を供給可能であると仮定すれば、)端末側では振動回路の電流又は電圧の変更として解釈する。強度変換器(図2の15)又は(例えば、容量素子C1の電圧を測定するための)任意の他の測定要素により検出される電流又は電圧の変更により、端末はトランスポンダから受信される情報を復号化することが可能である。
【0043】
問題は、再充電されるべきトランスポンダを、許容再充電時間でバッテリを再充電するのに十分な電源を生成する誘導結合に相当する位置に配置することである。
【0044】
端末側で位相が調整されるという事実から、端末の振動回路内での電流及び電圧の測定を利用することにより、トランスポンダが端末の電場にあるとき、トランスポンダの結合に関する情報を推定することが可能である。
【0045】
前記情報には、特に、トランスポンダと端末との間の結合、すなわち、端末の振動回路とトランスポンダの振動回路との間の結合係数が考慮されている。この結合係数は、特に、トランスポンダを端末から離す距離によって決まる。トランスポンダの振動回路及び端末の振動回路間のkで示される結合係数は、常に0乃至1の範囲内にある。この結合係数は、以下の式1により定義することが可能である。
【0046】
【数1】
【0047】
ここで、Mは端末の振動回路のインダクタンスL1とトランスポンダの振動回路のインダクタンスL2との間の相互インダクタンスを示す。
【0048】
トランスポンダとの動作の様々な配置で端末により測定可能な電気量を関連付ける種々な関係を用いて、トランスポンダに設けられるバッテリの再充電、より詳細には、電力貯蔵素子C25又は回路26への電力の伝達を最適化する。このために、端末の振動回路の直列抵抗R1が、結合を最適化するために適合される。この機能は、図2にブロック30(制御可能なR1)で示されており、図4及び図5の説明と関連付けて更に理解される。
【0049】
抵抗R1は、結合システムをいわゆる最適な結合位置に配置するために、充電端末を電気的に調節すべく用いられる。この位置は、充電器から充電されるべきトランスポンダへ最大の電力が伝えられる位置に相当する。
【0050】
端末の振動回路の容量素子の調節に関する差は(例えば、既に述べた特許文献4のように)、振動回路の同調を変更するが、抵抗R1の値の調節が減衰を変化させるということである。
【0051】
端末側で利用可能な情報は、前記端末が位相調整ループを備えるときには、端末の直列振動回路の電流Iである。この電流は、以下の式2により、振動回路を駆動するいわゆる発生器の電圧(Vg で示される)、及び振動回路の見掛けインピーダンスZ1app に関連付けられる。
【0052】
【数2】
【0053】
基準値で振動回路の位相を調節するという事実から、端末の電場に入るトランスポンダの距離変動が、この振動回路のインピーダンスの実数部の変更としてのみ解釈できる。実際には、変調周波数及びトランスポンダにより形成される負荷の虚数部分に関して静的に変更する傾向にある全ての変動は、位相調整ループにより補償される。従って、静的動作では、インピーダンスZ1app の虚数部分は確実に0である。従って、インピーダンスZ1app は見掛け抵抗R1app と等しくなり、以下の式3及び式4のように表すことができる。
【0054】
【数3】
【0055】
ここで、ωは信号パルスを示し、X2はトランスポンダの振動回路のインピーダンスの虚数部分を示し(X2=ωL2−1/ωC2)、R2はトランスポンダの素子(インダクタンスL2及びコンデンサC2と並列な抵抗器R2によりモデル化された回路21の素子)により、自身の振動回路に形成された負荷を示す。すなわち、抵抗器R2は、コンデンサC2及びインダクタンスL2と並列に導入されたトランスポンダの全ての回路(マイクロプロセッサ、逆変調手段等)の等価な抵抗を示す。上記の式3では、他の2つの項に加わるインダクタンスL1の直列抵抗は無視される。更に、この直列抵抗の値は、簡略化により抵抗R1の値に含まれるとみなされ得る。
【0056】
式2、式3及び式4を組み合わせることにより、電流Iは以下に示す式5及び式6により表され得る。
【0057】
【数4】
【0058】
ここで、Z2は、トランスポンダのインピーダンスを表わす。
【0059】
更に、トランスポンダ側では、以下に示す式7により示すことができる。
【0060】
【数5】
【0061】
ここで、I2はトランスポンダの振動回路の電流を表わす。
【0062】
その結果、以下に示す式8が得られる。
【0063】
【数6】
【0064】
式4及び式6と組み合わせた式8は、以下の式9に変形され得る。
I2 = a.I. ・・・式9
【0065】
トランスポンダ2のコンデンサC2で回復される電圧VC2は、以下の式10により与えられる。
【0066】
【数7】
【0067】
第一近似として、以下の式11が、インピーダンスZ2の虚数部分X2が一次で0に近い(回路が同調されている)式5及び式6を組み合わせることにより表わされ得る。
【0068】
【数8】
【0069】
回復される電圧VC2は、同一条件で以下の式12により計算され得る。
【0070】
【数9】
【0071】
端末側で容易に実施可能な電気量の測定の内、以下で定義されるオフロードの値と最大結合の値とが用いられる。
【0072】
オフロードの値は、トランスポンダが端末の電場にないときの電流及び電圧を表す。このオフロード動作では、端末の振動回路のZ1off-loadと呼ばれる見掛けインピーダンスが、要素R1、要素L1及び要素C1によってのみ決められる。更に、位相調整により、インピーダンスの虚数部分は常に0である。従って、以下に示す式13により表わされ得る。
【0073】
【数10】
【0074】
最適な結合が、トランスポンダで回復される電圧VC2が最大である位置として定義される。kopt で示されるこの最適結合は、以下の式14により表わされ得る。
【0075】
【数11】
【0076】
最適結合での最大電圧VC2opt は、以下の式15により与えられる。
【0077】
【数12】
【0078】
位相調整によって決定可能な別の動作条件は、いわゆるトランスポンダ及び端末間の所与の基準距離に対して確立される基準結合kref に対応する。この基準条件は、例えば、所与の状態でのシステムの較正又は初期化に対応する。この条件は、最大結合に対応することが好ましく、最大結合は、例えば、トランスポンダが端末上にあり、従ってアンテナに可能な限り近いとき、トランスポンダ及び端末間の最小距離に対応する。
【0079】
以下では、kmax で示される最大結合条件について言及するが、最大結合で特定される数量を基準結合数量と入れ替えることにより、これから説明する全てが基準条件に置き換えられる。
【0080】
回復電圧VC2の式12及び電流Iの式13は、最適結合により正規化された結合(k/kopt )に応じて書き換えられ得る。常にインピーダンスZ2の虚数部分X2が0に近いと仮定して、以下の式16及び式17が得られる。
【0081】
【数13】
【0082】
従って、以下に示す式18で表わされ得る。
【0083】
【数14】
【0084】
更に、端末の抵抗器R1の電圧VR1の値が、以下の式19により与えられる。
【0085】
【数15】
【0086】
最適結合では、すなわち、k=kopt であるとき、以下に示す式20及び式21のように表わされる。
【0087】
【数16】
【0088】
端末の振動回路の電圧は、以下の式22により与えられ、更に最適結合の位置ではVg /2の値に達する。
【0089】
【数17】
【0090】
最適結合及び最大結合に関する情報は、端末1を再充電が必要なトランスポンダ2に適合するために用いられてもよい。例えば、トランスポンダのタイプが、読取装置との結合(遠隔又は近接)のタイプの専用であってもよい。従って、読取装置は、抵抗R1をトランスポンダの動作モードに適合することにより、トランスポンダとの最大結合の位置に応じて複数の動作モードで有効になる。
【0091】
図4は、正規化結合(k/kopt )に応じてトランスポンダ側で回復される電圧VC2の経過の一例を示す図である。
【0092】
曲線が、ゼロ結合の縦座標の始点(0電圧)から始まる。曲線は、信号がトランスポンダによって受信されないようなトランスポンダ及び端末間の距離に対応する。電圧VC2は、最適結合係数kopt (k/kopt =1)で最大値VC2opt に達し、その後、結合1で達する中間値VC2(1)に減少する。
【0093】
ゼロ結合に相当する位置は、端末のオフロード位置に相当し、従って、オフロード電流(Ioff-load)に相当する。この位置では、電圧VR1はオフロード値Vg に等しい。
【0094】
最適な結合位置(k=kopt )では、電流はIopt =Ioff-load/2であり、電圧はVR1opt =Vg /2である。
【0095】
kが1に等しい結合位置では、電流Iは式23により与えられ、電圧VR1は式24により与えられる。この位置は、結合係数k=1が実際には決して達成されることはないので、理論位置である。
【0096】
【数18】
【0097】
トランスポンダが端末上に置かれるとき、結合は最大値であるとみなされて、以下の式25及び式26により表され得る。
【0098】
【数19】
【0099】
従って、再充電されるべき携帯対象物が端末上に置かれるトレーニング位相における電流Imax 又は電圧VR1max の測定は、最適結合kopt に対する最大結合kmax を判断するのに十分である。
【0100】
電流Imax が値Ioff-load/2より小さい(VR1max がVg /2より小さい)状態は、最大結合が最適結合より大きい位置に相当する。従って、最適結合は、トランスポンダが端末上に置かれるときより端末から更に遠いトランスポンダの位置に相当する。すなわち、最適結合には、トランスポンダを端末から離すことにより達することができる。トランスポンダと充電器との間には距離があり、このために回復電圧VC2は最大値VC2opt と交差する。最大値VC2opt は、値VC2max に相当せず、この値VC2max は、最大値VC2opt より小さい。
【0101】
電流Imax が値Ioff-load/2より大きい(又は、VR1max がVg /2より大きい)状態は、最大結合が最適結合よりも小さい位置に相当する。これは、最適結合kopt が物理的に決して到達しない理論値に相当することを意味しており、この場合、最大結合VC2max で回復された電圧が最適結合の最大値VC2opt と交差しないためである。すなわち、最大結合では、値VC2max は常に値VC2opt より小さくなる。
【0102】
上記の2つの場合では、再充電されるべきトランスポンダは、値VC2max が値VC2opt より小さいので、原則として搭載されたバッテリを再充電するためにあり得る電圧の最大値VC2opt から得られない。
【0103】
この時、最大結合点が最適結合に相当するように、端末の直列抵抗(R1)の値が変更されて、その結果、最大の回復可能な電圧VC2opt から得られる。
【0104】
このために、最大結合では、トランスポンダが端末上に置かれるとき、電流I、すなわち、抵抗R1の初期値R10 での電流Imax0が測定される。端末は、測定され記憶されたオフロード値Ioff-loadを予め有するので、抵抗R1の値が変更される必要があるか否かが決定され得る。
【0105】
比Ioff-load/Imaxoが2より大きい(kmax /kopt0>1、ここでkopt0は値R10 を有する最適結合を示す)場合、端末−トランスポンダシステムの最適結合は、トランスポンダが端末上に置かれるときより端末から更に離れた位置に相当し、これは抵抗R10 を有する。
【0106】
比Ioff-load/Imaxoが2より小さい(kmax /kopt0<1)場合、最適結合kopt は、抵抗値R10 で物理的に決して得られない理論値に相当する。
【0107】
しかし、どちらの場合でも、トランスポンダのバッテリを再充電する、又はコンデンサ25を充電すべく最大回復可能電圧VC2opt から得るために、新たな値R11 が最大結合kmax の値と一致するシステムの最適結合kopt を有するように、抵抗R1の値を変更することが可能である。従って、システムの初期最適結合の値は、これがトランスポンダの最大結合に相当するように、すなわち、再充電位置で端末上に置かれた時点で、直列抵抗R1の値を変更することにより適合される。このことは、電流Iの値がIoff-load/2に達する、すなわち、臨界最適結合に相当するように、値R10 からR11 に移行することを意味する。
【0108】
上述した式25は、以下のように表わすことができる。
【0109】
【数20】
【0110】
ここで、Imax1及びkopt1は夫々、抵抗R1の値R11 に対する最大電流Imax 及び最適結合kopt を示す。
【0111】
上記の式は、以下に示す式27及び式28になる。
【0112】
【数21】
【0113】
従って、抵抗R1の値は、値kmax が値kopt より小さいとき減少させて、値kmax が値kopt より大きいとき増加させることにより設定され、その結果、電流Iの値は、Ioff-load/2に達する、すなわち、臨界最適結合に対応する。抵抗R1の値は更に、抵抗器R1の電圧VR1の測定に基づいて最適結合に達するように設定されてもよい。この場合、抵抗器R1の値は、振動回路の電圧VR1(又は電圧VL1C1)が最適結合でVg /2に達するように設定される。
【0114】
値R10 は、最大結合値kmax 、又は能動トランスポンダが端末から所与の距離にある場合の結合係数の任意の基準値のいずれかに対応する結合位置に対応してもよい。例えば、このような例は、車輪に組み立てられたトランスポンダの場合である。このトランスポンダは、いわゆる基準位置と交差する毎に再充電する。このタイプの例では、トレーニング位相が追加の予備的位相を備えてもよい。この位相では、車輪の全回転の間、システムは最大回復電圧VC2に対応する位置を示し、この基準最大結合位置での電流Imax を測定する。次に、端末は抵抗値R1を適合し、その結果、基準位置と交差する毎に、回復電圧VC2は最適結合に相当し、つまり、最大回復電圧に相当し、トランスポンダの容量素子C25(及び、場合によってはバッテリ24)を再充電する。
【0115】
図5は、回路30の一実施形態を部分的に示しており、図2のブロック図と同様のブロック図である。本例では、可変抵抗器31が固定抵抗器32と直列接続されており、抵抗器31及び抵抗器32の両方が、端末の電流抵抗要素R1を形成する。この抵抗要素の電圧が測定されて、最適結合点での電圧に相当する値VR1opt を有する比較回路37(COMP)により比較される。比較器37により得られた結果が、制御回路38(CT)により、値VR1opt で抵抗要素31の値を制御すべく用いられる。端末の他の素子は、図2に関して説明した素子と同一である。しかし、図5の例では、回路30は、増幅器14の出力端子12(図5では図示せず)側ではなく、接地端子13側に配置されている。位相制御の測定に用いられる変流器15は、容量素子C1と回路30との間に配置される。図5では説明されないが、キャパシタンスC1は可変であることが好ましい。
【0116】
図6A、図6B及び6Cは、図5の端末の動作を示す。
【0117】
これらの曲線は、トランスポンダのコンデンサの電圧VC2及び正規化結合係数k/kopt0間の関係の一例を示している。バッテリの再充電を可能にするのに望ましい電圧は、少なくとも6Vであると推定される。このレベルは、結合kmax での電圧VC2max と上記で説明されたように決定される抵抗R10 との比を示す。結合係数がkopt0=0.3であると更に推定される。
【0118】
図6Aの場合、抵抗R10 でのオフロード電流と最大電流との比Ioff-load/Imax0が4/3であることが推定される。係数kmax0と係数kopt0との比は0.58である。従って、これは、抵抗R10 で最適結合が達成できない場合である。図6Aは、このような条件で、抵抗R1の値を、上述したように選択されたR11 へ変更することにより、再充電の最適化が可能になることを示す。本例では、比R11 /R10 が0.33であることにより、0.15より大きい係数kを示す距離に対する7ボルトの電圧VC2の回復が可能になり、0.09の係数k(約0.3の比k/kopt0)を示す距離に達するように更に近付けることにより6ボルトの電圧VC2の回復が可能になり、再充電を最適化する。
【0119】
図6Bの場合、抵抗R10 でのオフロード電流と最大電流との比Ioff-load/Imax0が4である(2より大きい)ことが推定される。係数kmax0と係数kopt0との比が1.73である。従って、これは、抵抗R10 でトランスポンダが最適位置に達するように離されなければならない場合である。図6Bは、このような条件で、抵抗R1の値を、上述したように選択されたR11 へ変更することにより、比較的短距離(抵抗R10 での最適距離より短い)で再充電を最適化することができることを示す。本例では、比R11 /R10 が3であることにより、約0.37の係数k(約1.3の比k/kopt0)から6.8ボルトより大きい電圧VC2の回復が可能になり、再充電の最適化が可能になる。より長い距離では、値R10 は更に速い充電を提供する。
【0120】
図6Cの場合、抵抗R10 でのオフロード電流と最大電流との比Ioff-load/Imax0が2であることが推定される。係数kmax0と係数kopt0との比は1である。図6Cは、このような条件で、計算により得られた値R11 は、値R10 と同一であることを示す。従って、値の変更は無用である。
【0121】
図7は、抵抗の選択(抵抗器31)を実施するために用いられ得る切替可能な抵抗器の回路の一例を示す図である。本例では、抵抗器R11maxは、スイッチK31min 、及び並列なnブランチの抵抗器R11i(iは1乃至nの範囲にある)と並列である。各抵抗器R11iは制御可能なスイッチK31i と直列である。これらのスイッチは、実施された測定に応じて回路38により制御される。閉鎖位置にあるスイッチK31min は、抵抗R1を抵抗32と等しくする。全てのスイッチK31i がオフであるとき、抵抗器31の抵抗はR1max である。他の位置は、中間値を提供する。
【0122】
図8は、抵抗の選択方法の一実施形態のフローチャートである。このフローチャートは、電流の測定値を用いた場合を示すが、抵抗器R1の電圧の測定値と容易に置き換えられる。この測定値は、常に、端末の振動回路での電流を表す情報である。
【0123】
端末は、予めオフロード状態に初期化されており、値Ioff-load(又は任意の相当する情報)が記憶されていると仮定される。このような初期化は、製造の際に行われてもよいが、端末の環境に関連するあり得る障害を考慮するために、現場で、定期的に、又は電源オンの度に行われることが好ましい。
【0124】
変形例として、端末−トランスポンダ対をまず使用する際に、端末は、情報の取得のためにトランスポンダを置くように保持者に要求するメッセージを表示する。別の変形例によれば、端末は、トランスポンダの識別子又は特性データを有するトランスポンダのカテゴリの識別子を記録して、その結果、トランスポンダが通過する次の時点を認識することが可能になる。
【0125】
フローチャートは、振動回路での電流の値の測定(ブロック51)により開始する。この値は、オフロード値と比較される(ブロック52)。等しい場合(ブロック52でY)、トランスポンダが電場にないことを意味し、ブロック51に戻る。等しくない場合(ブロック52でN)、トランスポンダが最小距離にある(典型的には、端末上に置かれている)とみなして、最大電流Imax0が抵抗値R10 で測定される(ブロック53)。次に、オフロード電流と抵抗R10 での電流との比が、定数2と比較される(ブロック54)。これは、測定電流をオフロード電流の関数である値(Ioff-load/2)と比較することになる。等しい場合(ブロック54でY)、抵抗値R10 を用いてバッテリの充電を開始する(ブロック55)。等しくない場合(ブロック54でN)、抵抗値R11 が値R10 及び予め定められた比から計算されて(ブロック56)、最も近い値がネットワーク31から選択される。変形例として、可変抵抗器を適合する。すなわち、抵抗R1の値は、第1の値(R10 )、測定情報(Imax0)及び定数(Ioff-load/2)に応じて決定される。次に(ブロック57)、振動回路の抵抗値が、計算値R11 に相当するように(例えば、図7のネットワーク31を用いて)設定される。次に、設定値が適切な結合に対応するか否かが確認される(ブロック58)。対応する場合(ブロック58でY)、再充電が値R11 で行われる(ブロック55′)。対応しない場合(ブロック58でN)、抵抗R1の設定を元の値R10 に戻し(ブロック59)、処理を電流Iの測定(ブロック51)に戻す。
【0126】
示された例によれば、トランスポンダの再充電の間、端末は、値R10 又は値R11 を有しており、再充電の終了を示すメッセージをトランスポンダ2から待つ(ブロック60)。トランスポンダ2の側では、バッテリが完全に再充電されると(ブロック71)、トランスポンダは端末にメッセージを送信する(ブロック72)。端末がこのメッセージを受信すると、検出して(ブロック60)、抵抗器R1の初期値R10 への切り替えを行う(ブロック59)。その後、電流値監視ブロックに戻る。
【0127】
変形例では、ブロック58が省略され、ステップ57がステップ55′に直接続く。
【0128】
別の変形例として、抵抗R1の値の適合が再充電の間に行われる。これは、R10 を抵抗R1の電流値と入れ替えることにより、ブロック51、ブロック52、ブロック53、ブロック54、ブロック55、ブロック56、ブロック57及びブロック55′のステップを定期的に再生するのに十分である。
【0129】
図9は、本発明が適用されるチップカード100の一例を示す図である。本例では、回路21は、バッテリ24及び容量素子C2を備える集積回路チップである。アンテナL2は、チップカード上で平面的な巻線で形成されるか、又は該カード内に組み込まれる。
【0130】
図10は、別の適用例を示す図である。この適用例によれば、チップカード又は電子タグ101が、携帯電話102又は携帯情報端末のタイプの携帯機器を用いて再充電される。この場合、上述した端末とは異なり、トランスポンダ101を再充電するのに十分なバッテリ又は電源を有する別の携帯要素が端末として用いられる。
【0131】
端末又は充電器とのトランスポンダの結合を最適化することにより、最も速く為し得る方法でトランスポンダを再充電することが可能である。
【0132】
データ送信がトランスポンダと端末との間で設定される必要はない。ここでは、トランスポンダを充電することだけが目的である。しかし、このような通信は除外せず、再充電と同時に行ってもよい。
【0133】
更に、端末がトランスポンダ専用である必要はない。実際には、種々な計算、オフロード測定、種々な抵抗値での測定により、端末の振動回路のインピーダンス、特に直列抵抗を適合させて、広範囲の値で任意のトランスポンダの再充電を最適化することが可能になる。
【0134】
好ましい実施形態では、本発明の実施が、特に、端末内でのオフロード振動回路(端末の範囲内にトランスポンダがない)での電流を表す情報の値、及びトランスポンダの基準位置(典型的には、端末上に置かれる)でのこの情報の値の記憶として解釈する。
【0135】
種々な実施形態を説明している。様々な選択を想定してもよい。特に、数例の適用を説明しているが、本発明は、充電が望まれる能動トランスポンダのタイプであれば適用可能である。更に説明された実施形態の実際の実施は、端末で一般的に利用可能なツール(プログラム可能論理、検出器、マイクロプロセッサ等)を用いた上述した関数表示に基づいた当業者の技能の範囲にある。
【符号の説明】
【0136】
1 端末
2 トランスポンダ
24 バッテリ
R1 抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、トランスポンダを用いたシステム、すなわち、端末と非接触式及び無線式で通信することが可能な(一般的には移動式)トランシーバに関する。より詳細には、本発明は、充電式バッテリを備えた能動トランスポンダを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスポンダは、一般的にバッテリを備えるか否かに応じて2つのカテゴリに区別される。
【0003】
いわゆる受動トランスポンダは、受動トランスポンダが通信する端末により与えられる高周波電場から、受動トランスポンダが備える電子回路の動作に必要な電力を抽出する。このようなトランスポンダは、一般に、(数メートルの)短距離の範囲内での送信向けである。端末から受けた電力が、トランスポンダのアンテナに接続されたコンデンサに蓄積される。
【0004】
本発明が特に適用されるいわゆる能動トランスポンダは、能動トランスポンダの動作に必要な電力を供給するバッテリを備える。このようなトランスポンダは、端末及びトランスポンダ間で電力の伝達が必要ではないため、(数百メートルまでの)長距離で動作することが可能である。
【0005】
バッテリを再充電するために、端末から短距離にある状態を利用する能動トランスポンダも公知である。
【0006】
例えば、特許文献1又は特許文献2には、受信した無線電気信号から生じる電力を蓄積するための蓄積コンデンサを備えた充電式能動トランスポンダについて記載されている。充電手段は、コンデンサ内に蓄積された電力からバッテリを再充電すべく設けられている。
【0007】
特許文献3には、内蔵バッテリから電力が供給され、受動的には無線周波電場から電力が供給されることが可能な電子タグについて記述されている。電力蓄積装置が、バッテリを再充電するためにバッテリに接続されている。
【0008】
トランスポンダと、トランスポンダのバッテリを再充電すべく用いられ得る端末との間の電磁結合から生じる電力は不十分である場合が多く、及び/又は再充電に時間がかかり過ぎて有効ではない。その結果、多くの場合には、能動トランスポンダは、再充電されるべく端末の範囲内に長時間置かれていない限り、実際には元のバッテリが放電されると、長距離での動作を停止する。しかしながら、端末の範囲内にトランスポンダを長時間置いておくことは常に容易であるとは限らない。
【0009】
例えば、トランスポンダが車両のキーである自動車では、走行の間キーは車両内に含まれる端末から短距離にある。従って、キーはこの走行中に再充電可能である。しかし、車両が使用されていないとき、キーは、車両の端末の範囲内にないので再充電されない。
【0010】
他の適用例では、トランスポンダが通信すると想定される端末の範囲内に長時間置かれることはほとんど不可能である。例えば、輸送で使用されるチップカードでは、トランスポンダが端末の範囲内にある期間は、情報交換を実行する時間に略相当し、常にバッテリを適切に再充電できるとは限らない。更に、このタイプの適用例では互いに接近している多くのトランスポンダ及び端末間の情報交換の衝突防止の理由から、通信(従って、再充電)は、極めて近接した結合(10cm未満)で設定されるだけであり、実際には、アンテナに最も近接した位置に相当する指定領域で端末の筐体上にカードを置く必要がある。
【0011】
更に、所与のタイプのトランスポンダは、一般的に専用の端末からのみ再充電可能であり、このことは常に都合が良いとは限らない。
【0012】
特許文献4は、電磁トランスポンダと通信し、その電場でトランスポンダの存在を有効にすることが可能な端末を開示している。特許文献4では、同調を変更するために振動回路の容量素子の値を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0999517号明細書
【特許文献2】米国特許第6462647号明細書
【特許文献3】米国特許第6944424号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1154367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
充電式能動トランスポンダと、再充電及び/又はトランスポンダとの通信のための端末と、充電式能動トランスポンダシステムとを有することが望ましい。該システムは、現在のシステムの不利点の全て又は一部を克服する。
【0015】
特に、たとえ短期間でもトランスポンダを遠隔供給電場に置くことを利用して、最適な方法で能動トランスポンダを再充電することが可能な端末を有することが望ましい。
【0016】
更に、同一の装置内で能動トランスポンダ及び受動トランスポンダの機能を維持することが望ましい。
【0017】
更に、能動トランスポンダは、専用の端末を必要とせずに、様々な端末の範囲内にあるときに再充電可能であることが望ましい。
【0018】
より一般的には、端末からトランスポンダへの電力の伝達を最適化することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的及び他の目的の全て又は一部を達成するために、本発明の少なくとも一実施形態は、トランスポンダ用に無線周波の電場のための信号を送ることが可能な端末を構成する方法であって、前記トランスポンダが前記端末の送信範囲内に存在するときに、前記トランスポンダが前記電場に存在しない間の前記端末の動作によって決まるオフロード値に応じて、前記端末の振動回路の直列抵抗を適合させるステップを少なくとも1つ備えることを特徴とする方法を提供する。
【0020】
一実施形態によれば、前記オフロード値は、前記端末の振動回路内の電流の特性を示している。
【0021】
一実施形態によれば、前記方法は、前記端末の振動回路の直列抵抗の第1の値を用いて、前記振動回路内の電流を表す情報を測定するステップと、前記情報を前記オフロード値と比較するステップと、前記第1の値、前記測定された情報及び前記オフロード値に応じて決定された第2の値へ前記直列抵抗を変更するステップとを更に備える。
【0022】
一実施形態によれば、前記直列抵抗の値は、前記測定された情報と前記オフロード値との比が略2に等しいように決定される。
【0023】
一実施形態によれば、前記トランスポンダに備えられているバッテリの充電サイクルが、前記直列抵抗の値が設定されると開始される。
【0024】
本発明の少なくとも1つの実施形態は更に、トランスポンダ用に電場を生成するための端末において、位相調整ループと、前記トランスポンダとの結合係数の推定に基づいて決定された値を有する切替可能な抵抗器の回路とを含む振動回路を備えることを特徴とする端末を提供する。
【0025】
一実施形態によれば、抵抗の値は、上述した方法により決定される。
【0026】
本発明の少なくとも1つの実施形態は更に、端末を備える携帯機器を提供する。
【0027】
本発明の少なくとも1つの実施形態は更に、端末と通信可能であり、前記端末により再充電されることが可能な能動トランスポンダを提供する。
【0028】
一実施形態によれば、前記トランスポンダは、前記トランスポンダのバッテリの充電レベルに関する情報を前記端末に送信するための手段を備える。
【0029】
本発明の少なくとも1つの実施形態は更に、前記端末と、前記トランスポンダとを備えることを特徴とする通信システムを提供する。
【0030】
本発明の前述の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】能動トランスポンダとの無線周波通信システムの一例を示す概略図である。
【図2】図1の端末を示すブロック略図である。
【図3】図1のトランスポンダを示すブロック略図である。
【図4】正規化結合に応じたトランスポンダの共振回路の電圧変動を示す図である。
【図5】図2の端末の切替可能な抵抗器の回路の別の実施形態を示す部分ブロック図である。
【図6A】端末の動作を示すグラフである。
【図6B】端末の動作を示すグラフである。
【図6C】端末の動作を示すグラフである。
【図7】端末側の適応回路の別の実施形態を示す部分図である。
【図8】端末を設定する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図9】本発明が一例として適用されるタイプのチップカードを示す概略図である。
【図10】本発明が一例として適用されるタイプの携帯電話を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
同一の要素は、異なる図面において同一の参照番号で示されている。明瞭さのために、本発明の理解に役立つステップ及び要素のみを示し、説明する。特に、トランスポンダ及び端末間の通信中に送信されるデータのデータ源及び宛先は詳述されていない。本発明は任意の通常の通信にも適合され得る。
【0033】
図1は、端末1又は読み出し/書き込み端末とトランスポンダ2とを備える通信及び遠隔供給システムの一例を非常に概略的に示す図である。
【0034】
通常、端末1は、コンデンサC1及び抵抗器R1と直列なインダクタンスL1から形成されている直列振動回路を備える。直列振動回路は、装置11により制御されている。装置11は、特に限定ではないが、増幅器又はアンテナ結合器と、送信を制御し利用する回路とを備え、特に変調器/復調器と制御回路及びデータ処理回路(一般的には、マイクロプロセッサ)とが設けられている。装置11は通常、種々な入力/出力回路(キーボード、ディスプレイ、サーバとの交換要素等)及び/又は処理回路と通信するが、これらの要素は図示されていない。端末1の要素は、例えば、配電システム又はバッテリ(例えば、自動車、携帯電話又はコンピュータの配電システム又はバッテリ)に接続された電源回路(図示せず)から、前記要素の動作に必要な電力を取り出す。
【0035】
端末1と協働可能な能動トランスポンダ2は、振動回路を備え、振動回路は、例えば、制御処理回路21の2つの入力端子22、23間にあるコンデンサC2と並列なインダクタンスL2から形成されている並列振動回路である。示された例では、トランスポンダ2は更に、少なくとも該トランスポンダが端末から短距離の範囲内にない場合、トランスポンダ2の様々な素子の電力を供給可能な充電式バッテリ24を備える。端子22及び端子23は、実際には整流素子(図1には図示せず)の入力に接続されており、整流素子は、トランスポンダ内部の回路の電源端子を形成する出力を有する。これらの回路は通常、メモリと、情報を端末に送信するための変調器とを備える。(適用例及び実行すると想定されるタスクによって決まる)トランスポンダのタイプに応じて、これらの回路は更に、場合によっては端末から受信される信号の復調器と、マイクロプロセッサと、種々な他の処理回路とを備える。
【0036】
端末の振動回路及びトランスポンダの振動回路は、通常、端末の振動回路の励磁信号の周波数に相当する同一の周波数に同調される。この高周波信号(例えば、13.56MHz)は、端末からトランスポンダにデータを送信する担体として用いられるだけではなく、端末の電場に位置するトランスポンダのための遠隔供給担体としても用いられる。トランスポンダ2が端末1の電場にあるとき、トランスポンダの共振回路の端子22及び端子23間で高周波電圧が生成される。この電圧は、一方では、トランスポンダが受動モードにあるときには、トランスポンダの電子回路21の供給電圧を供給するために用いられ、他方では、バッテリ24を充電するために用いられてもよい。バッテリ24は、トランスポンダが端末の範囲内にないときに、トランスポンダの回路に電力を供給するために用いられる。
【0037】
図2は、端末1の一実施形態のブロック図である。上述したように、端末1は、容量性素子C1及び抵抗素子R1と直列のインダクタンス又はアンテナL1から形成されている振動回路を備える。図2の例では、これらの素子は、増幅器又はアンテナ結合器14の出力端子12と、基準電圧(通常は、接地)の端子13との間に接続されている。振動回路内の電流を測定する要素15は、例えば、容量性素子C1と接地13との間に配置されている。測定要素15は、後述する位相調整ループに属する。増幅器14は、変調器16(MOD)から生じる高周波送信信号Eを受け取り、変調器16は、例えば水晶発振器(図示せず)から基準周波数(信号OSC)を受け取る。変調器16は、必要であれば、送信されるべきデータの信号Txを受け取り、端末からのデータ送信がない場合にはトランスポンダに遠隔で供給することが可能な高周波担体(例えば、13.56Mhz)を供給する。容量性素子C1は、信号CTRLにより制御可能な可変キャパシタンスを有する素子である。アンテナL1の電流の位相調整は、基準信号に対して行われる。この調整は、高周波信号、すなわち送信されるべきデータがない場合の信号Eに相当する担体の信号の調整である。調整は、基準信号との一定の位相関係でアンテナの電流を維持するために、端末の振動回路のキャパシタンスC1を変更することにより行われる。基準信号は、例えば、発振器により変調器へ供給される信号OSCに相当する。信号CTRLは、回路17(COMP)から生じ、回路17は、基準信号に対する位相間隔を検出し、それによって容量素子C1を修正する機能を有する。位相測定は、例えば、測定要素15による振動回路の電流Iの測定に基づいて行われる。示された例では、変流器が、素子C1及び接地端子13間に一次巻線151と、接地に直接接続されている第1の端子、及び測定結果を示す信号MESを供給する他の端子を有する二次巻線152とを含む。電流電圧変換抵抗器153が、二次巻線152と並列に接続されている。測定結果MESは、比較器17に送られて、それによって比較器17は、信号CTRLを用いて容量素子C1を制御する。
【0038】
図2に示される実施形態では、比較器17は、トランスポンダから送信される信号を復調するために用いられる位相復調器と同一の位相復調器(図示せず)を用いる。この信号は振動回路によって受信されてもよい。従って、比較器17は、トランスポンダからの受信データのあり得る逆変調を、端末の他の電子回路を表すブロック18に返す信号Rxを供給する。
【0039】
位相調整ループの応答時間が、トランスポンダからのあり得る逆変調を妨げないように十分に長く、またトランスポンダが端末の電場を横切るスピードと比較して十分に短くなるように決定される。これは、変調周波数(例えば、遠隔供給担体の周波数13.56MHz、及びトランスポンダから端末へデータを送信するために用いられる逆変調周波数847.5kHz)に対して静的調整と呼ばれ得る。
【0040】
図2の変流器に関する変形例として、他の電流測定要素(例えば、抵抗器)が用いられてもよい。
【0041】
位相を調整する端末の一例は、欧州特許出願公開第0857981号明細書に記載されている。
【0042】
図3は、トランスポンダ2の一実施形態を示す図である。整流素子25、例えば、全波ダイオードブリッジが振動回路(並列なインダクタンス又はアンテナL2及び容量素子C2)の端子22と端子23との間に接続されている。ブリッジ25の整流出力は、平滑容量素子C25に接続されて、トランスポンダの供給を管理するための回路26(ALIM)に電圧V25を供給する。回路26は更に、トランスポンダのバッテリ24により供給された電圧V24を受け取る。回路26は、ブロック27で表されるトランスポンダの他の回路に回路の動作に必要な電力を供給する。整流素子25、容量素子C25、回路26及び回路27は、図1のブロック21内に含まれる。回路27は、共振回路の端子22と端子23との間で情報をサンプリングして、整流前に端末から受信されたあり得る情報を復調することが可能である。更に、回路27は、端末により生成される電場に、トランスポンダにより形成された負荷を変調可能ないわゆる逆変調容量素子及び/又は抵抗素子を備える。この負荷変調は、(増幅器又はアンテナ結合器が定電流を供給可能であると仮定すれば、)端末側では振動回路の電流又は電圧の変更として解釈する。強度変換器(図2の15)又は(例えば、容量素子C1の電圧を測定するための)任意の他の測定要素により検出される電流又は電圧の変更により、端末はトランスポンダから受信される情報を復号化することが可能である。
【0043】
問題は、再充電されるべきトランスポンダを、許容再充電時間でバッテリを再充電するのに十分な電源を生成する誘導結合に相当する位置に配置することである。
【0044】
端末側で位相が調整されるという事実から、端末の振動回路内での電流及び電圧の測定を利用することにより、トランスポンダが端末の電場にあるとき、トランスポンダの結合に関する情報を推定することが可能である。
【0045】
前記情報には、特に、トランスポンダと端末との間の結合、すなわち、端末の振動回路とトランスポンダの振動回路との間の結合係数が考慮されている。この結合係数は、特に、トランスポンダを端末から離す距離によって決まる。トランスポンダの振動回路及び端末の振動回路間のkで示される結合係数は、常に0乃至1の範囲内にある。この結合係数は、以下の式1により定義することが可能である。
【0046】
【数1】
【0047】
ここで、Mは端末の振動回路のインダクタンスL1とトランスポンダの振動回路のインダクタンスL2との間の相互インダクタンスを示す。
【0048】
トランスポンダとの動作の様々な配置で端末により測定可能な電気量を関連付ける種々な関係を用いて、トランスポンダに設けられるバッテリの再充電、より詳細には、電力貯蔵素子C25又は回路26への電力の伝達を最適化する。このために、端末の振動回路の直列抵抗R1が、結合を最適化するために適合される。この機能は、図2にブロック30(制御可能なR1)で示されており、図4及び図5の説明と関連付けて更に理解される。
【0049】
抵抗R1は、結合システムをいわゆる最適な結合位置に配置するために、充電端末を電気的に調節すべく用いられる。この位置は、充電器から充電されるべきトランスポンダへ最大の電力が伝えられる位置に相当する。
【0050】
端末の振動回路の容量素子の調節に関する差は(例えば、既に述べた特許文献4のように)、振動回路の同調を変更するが、抵抗R1の値の調節が減衰を変化させるということである。
【0051】
端末側で利用可能な情報は、前記端末が位相調整ループを備えるときには、端末の直列振動回路の電流Iである。この電流は、以下の式2により、振動回路を駆動するいわゆる発生器の電圧(Vg で示される)、及び振動回路の見掛けインピーダンスZ1app に関連付けられる。
【0052】
【数2】
【0053】
基準値で振動回路の位相を調節するという事実から、端末の電場に入るトランスポンダの距離変動が、この振動回路のインピーダンスの実数部の変更としてのみ解釈できる。実際には、変調周波数及びトランスポンダにより形成される負荷の虚数部分に関して静的に変更する傾向にある全ての変動は、位相調整ループにより補償される。従って、静的動作では、インピーダンスZ1app の虚数部分は確実に0である。従って、インピーダンスZ1app は見掛け抵抗R1app と等しくなり、以下の式3及び式4のように表すことができる。
【0054】
【数3】
【0055】
ここで、ωは信号パルスを示し、X2はトランスポンダの振動回路のインピーダンスの虚数部分を示し(X2=ωL2−1/ωC2)、R2はトランスポンダの素子(インダクタンスL2及びコンデンサC2と並列な抵抗器R2によりモデル化された回路21の素子)により、自身の振動回路に形成された負荷を示す。すなわち、抵抗器R2は、コンデンサC2及びインダクタンスL2と並列に導入されたトランスポンダの全ての回路(マイクロプロセッサ、逆変調手段等)の等価な抵抗を示す。上記の式3では、他の2つの項に加わるインダクタンスL1の直列抵抗は無視される。更に、この直列抵抗の値は、簡略化により抵抗R1の値に含まれるとみなされ得る。
【0056】
式2、式3及び式4を組み合わせることにより、電流Iは以下に示す式5及び式6により表され得る。
【0057】
【数4】
【0058】
ここで、Z2は、トランスポンダのインピーダンスを表わす。
【0059】
更に、トランスポンダ側では、以下に示す式7により示すことができる。
【0060】
【数5】
【0061】
ここで、I2はトランスポンダの振動回路の電流を表わす。
【0062】
その結果、以下に示す式8が得られる。
【0063】
【数6】
【0064】
式4及び式6と組み合わせた式8は、以下の式9に変形され得る。
I2 = a.I. ・・・式9
【0065】
トランスポンダ2のコンデンサC2で回復される電圧VC2は、以下の式10により与えられる。
【0066】
【数7】
【0067】
第一近似として、以下の式11が、インピーダンスZ2の虚数部分X2が一次で0に近い(回路が同調されている)式5及び式6を組み合わせることにより表わされ得る。
【0068】
【数8】
【0069】
回復される電圧VC2は、同一条件で以下の式12により計算され得る。
【0070】
【数9】
【0071】
端末側で容易に実施可能な電気量の測定の内、以下で定義されるオフロードの値と最大結合の値とが用いられる。
【0072】
オフロードの値は、トランスポンダが端末の電場にないときの電流及び電圧を表す。このオフロード動作では、端末の振動回路のZ1off-loadと呼ばれる見掛けインピーダンスが、要素R1、要素L1及び要素C1によってのみ決められる。更に、位相調整により、インピーダンスの虚数部分は常に0である。従って、以下に示す式13により表わされ得る。
【0073】
【数10】
【0074】
最適な結合が、トランスポンダで回復される電圧VC2が最大である位置として定義される。kopt で示されるこの最適結合は、以下の式14により表わされ得る。
【0075】
【数11】
【0076】
最適結合での最大電圧VC2opt は、以下の式15により与えられる。
【0077】
【数12】
【0078】
位相調整によって決定可能な別の動作条件は、いわゆるトランスポンダ及び端末間の所与の基準距離に対して確立される基準結合kref に対応する。この基準条件は、例えば、所与の状態でのシステムの較正又は初期化に対応する。この条件は、最大結合に対応することが好ましく、最大結合は、例えば、トランスポンダが端末上にあり、従ってアンテナに可能な限り近いとき、トランスポンダ及び端末間の最小距離に対応する。
【0079】
以下では、kmax で示される最大結合条件について言及するが、最大結合で特定される数量を基準結合数量と入れ替えることにより、これから説明する全てが基準条件に置き換えられる。
【0080】
回復電圧VC2の式12及び電流Iの式13は、最適結合により正規化された結合(k/kopt )に応じて書き換えられ得る。常にインピーダンスZ2の虚数部分X2が0に近いと仮定して、以下の式16及び式17が得られる。
【0081】
【数13】
【0082】
従って、以下に示す式18で表わされ得る。
【0083】
【数14】
【0084】
更に、端末の抵抗器R1の電圧VR1の値が、以下の式19により与えられる。
【0085】
【数15】
【0086】
最適結合では、すなわち、k=kopt であるとき、以下に示す式20及び式21のように表わされる。
【0087】
【数16】
【0088】
端末の振動回路の電圧は、以下の式22により与えられ、更に最適結合の位置ではVg /2の値に達する。
【0089】
【数17】
【0090】
最適結合及び最大結合に関する情報は、端末1を再充電が必要なトランスポンダ2に適合するために用いられてもよい。例えば、トランスポンダのタイプが、読取装置との結合(遠隔又は近接)のタイプの専用であってもよい。従って、読取装置は、抵抗R1をトランスポンダの動作モードに適合することにより、トランスポンダとの最大結合の位置に応じて複数の動作モードで有効になる。
【0091】
図4は、正規化結合(k/kopt )に応じてトランスポンダ側で回復される電圧VC2の経過の一例を示す図である。
【0092】
曲線が、ゼロ結合の縦座標の始点(0電圧)から始まる。曲線は、信号がトランスポンダによって受信されないようなトランスポンダ及び端末間の距離に対応する。電圧VC2は、最適結合係数kopt (k/kopt =1)で最大値VC2opt に達し、その後、結合1で達する中間値VC2(1)に減少する。
【0093】
ゼロ結合に相当する位置は、端末のオフロード位置に相当し、従って、オフロード電流(Ioff-load)に相当する。この位置では、電圧VR1はオフロード値Vg に等しい。
【0094】
最適な結合位置(k=kopt )では、電流はIopt =Ioff-load/2であり、電圧はVR1opt =Vg /2である。
【0095】
kが1に等しい結合位置では、電流Iは式23により与えられ、電圧VR1は式24により与えられる。この位置は、結合係数k=1が実際には決して達成されることはないので、理論位置である。
【0096】
【数18】
【0097】
トランスポンダが端末上に置かれるとき、結合は最大値であるとみなされて、以下の式25及び式26により表され得る。
【0098】
【数19】
【0099】
従って、再充電されるべき携帯対象物が端末上に置かれるトレーニング位相における電流Imax 又は電圧VR1max の測定は、最適結合kopt に対する最大結合kmax を判断するのに十分である。
【0100】
電流Imax が値Ioff-load/2より小さい(VR1max がVg /2より小さい)状態は、最大結合が最適結合より大きい位置に相当する。従って、最適結合は、トランスポンダが端末上に置かれるときより端末から更に遠いトランスポンダの位置に相当する。すなわち、最適結合には、トランスポンダを端末から離すことにより達することができる。トランスポンダと充電器との間には距離があり、このために回復電圧VC2は最大値VC2opt と交差する。最大値VC2opt は、値VC2max に相当せず、この値VC2max は、最大値VC2opt より小さい。
【0101】
電流Imax が値Ioff-load/2より大きい(又は、VR1max がVg /2より大きい)状態は、最大結合が最適結合よりも小さい位置に相当する。これは、最適結合kopt が物理的に決して到達しない理論値に相当することを意味しており、この場合、最大結合VC2max で回復された電圧が最適結合の最大値VC2opt と交差しないためである。すなわち、最大結合では、値VC2max は常に値VC2opt より小さくなる。
【0102】
上記の2つの場合では、再充電されるべきトランスポンダは、値VC2max が値VC2opt より小さいので、原則として搭載されたバッテリを再充電するためにあり得る電圧の最大値VC2opt から得られない。
【0103】
この時、最大結合点が最適結合に相当するように、端末の直列抵抗(R1)の値が変更されて、その結果、最大の回復可能な電圧VC2opt から得られる。
【0104】
このために、最大結合では、トランスポンダが端末上に置かれるとき、電流I、すなわち、抵抗R1の初期値R10 での電流Imax0が測定される。端末は、測定され記憶されたオフロード値Ioff-loadを予め有するので、抵抗R1の値が変更される必要があるか否かが決定され得る。
【0105】
比Ioff-load/Imaxoが2より大きい(kmax /kopt0>1、ここでkopt0は値R10 を有する最適結合を示す)場合、端末−トランスポンダシステムの最適結合は、トランスポンダが端末上に置かれるときより端末から更に離れた位置に相当し、これは抵抗R10 を有する。
【0106】
比Ioff-load/Imaxoが2より小さい(kmax /kopt0<1)場合、最適結合kopt は、抵抗値R10 で物理的に決して得られない理論値に相当する。
【0107】
しかし、どちらの場合でも、トランスポンダのバッテリを再充電する、又はコンデンサ25を充電すべく最大回復可能電圧VC2opt から得るために、新たな値R11 が最大結合kmax の値と一致するシステムの最適結合kopt を有するように、抵抗R1の値を変更することが可能である。従って、システムの初期最適結合の値は、これがトランスポンダの最大結合に相当するように、すなわち、再充電位置で端末上に置かれた時点で、直列抵抗R1の値を変更することにより適合される。このことは、電流Iの値がIoff-load/2に達する、すなわち、臨界最適結合に相当するように、値R10 からR11 に移行することを意味する。
【0108】
上述した式25は、以下のように表わすことができる。
【0109】
【数20】
【0110】
ここで、Imax1及びkopt1は夫々、抵抗R1の値R11 に対する最大電流Imax 及び最適結合kopt を示す。
【0111】
上記の式は、以下に示す式27及び式28になる。
【0112】
【数21】
【0113】
従って、抵抗R1の値は、値kmax が値kopt より小さいとき減少させて、値kmax が値kopt より大きいとき増加させることにより設定され、その結果、電流Iの値は、Ioff-load/2に達する、すなわち、臨界最適結合に対応する。抵抗R1の値は更に、抵抗器R1の電圧VR1の測定に基づいて最適結合に達するように設定されてもよい。この場合、抵抗器R1の値は、振動回路の電圧VR1(又は電圧VL1C1)が最適結合でVg /2に達するように設定される。
【0114】
値R10 は、最大結合値kmax 、又は能動トランスポンダが端末から所与の距離にある場合の結合係数の任意の基準値のいずれかに対応する結合位置に対応してもよい。例えば、このような例は、車輪に組み立てられたトランスポンダの場合である。このトランスポンダは、いわゆる基準位置と交差する毎に再充電する。このタイプの例では、トレーニング位相が追加の予備的位相を備えてもよい。この位相では、車輪の全回転の間、システムは最大回復電圧VC2に対応する位置を示し、この基準最大結合位置での電流Imax を測定する。次に、端末は抵抗値R1を適合し、その結果、基準位置と交差する毎に、回復電圧VC2は最適結合に相当し、つまり、最大回復電圧に相当し、トランスポンダの容量素子C25(及び、場合によってはバッテリ24)を再充電する。
【0115】
図5は、回路30の一実施形態を部分的に示しており、図2のブロック図と同様のブロック図である。本例では、可変抵抗器31が固定抵抗器32と直列接続されており、抵抗器31及び抵抗器32の両方が、端末の電流抵抗要素R1を形成する。この抵抗要素の電圧が測定されて、最適結合点での電圧に相当する値VR1opt を有する比較回路37(COMP)により比較される。比較器37により得られた結果が、制御回路38(CT)により、値VR1opt で抵抗要素31の値を制御すべく用いられる。端末の他の素子は、図2に関して説明した素子と同一である。しかし、図5の例では、回路30は、増幅器14の出力端子12(図5では図示せず)側ではなく、接地端子13側に配置されている。位相制御の測定に用いられる変流器15は、容量素子C1と回路30との間に配置される。図5では説明されないが、キャパシタンスC1は可変であることが好ましい。
【0116】
図6A、図6B及び6Cは、図5の端末の動作を示す。
【0117】
これらの曲線は、トランスポンダのコンデンサの電圧VC2及び正規化結合係数k/kopt0間の関係の一例を示している。バッテリの再充電を可能にするのに望ましい電圧は、少なくとも6Vであると推定される。このレベルは、結合kmax での電圧VC2max と上記で説明されたように決定される抵抗R10 との比を示す。結合係数がkopt0=0.3であると更に推定される。
【0118】
図6Aの場合、抵抗R10 でのオフロード電流と最大電流との比Ioff-load/Imax0が4/3であることが推定される。係数kmax0と係数kopt0との比は0.58である。従って、これは、抵抗R10 で最適結合が達成できない場合である。図6Aは、このような条件で、抵抗R1の値を、上述したように選択されたR11 へ変更することにより、再充電の最適化が可能になることを示す。本例では、比R11 /R10 が0.33であることにより、0.15より大きい係数kを示す距離に対する7ボルトの電圧VC2の回復が可能になり、0.09の係数k(約0.3の比k/kopt0)を示す距離に達するように更に近付けることにより6ボルトの電圧VC2の回復が可能になり、再充電を最適化する。
【0119】
図6Bの場合、抵抗R10 でのオフロード電流と最大電流との比Ioff-load/Imax0が4である(2より大きい)ことが推定される。係数kmax0と係数kopt0との比が1.73である。従って、これは、抵抗R10 でトランスポンダが最適位置に達するように離されなければならない場合である。図6Bは、このような条件で、抵抗R1の値を、上述したように選択されたR11 へ変更することにより、比較的短距離(抵抗R10 での最適距離より短い)で再充電を最適化することができることを示す。本例では、比R11 /R10 が3であることにより、約0.37の係数k(約1.3の比k/kopt0)から6.8ボルトより大きい電圧VC2の回復が可能になり、再充電の最適化が可能になる。より長い距離では、値R10 は更に速い充電を提供する。
【0120】
図6Cの場合、抵抗R10 でのオフロード電流と最大電流との比Ioff-load/Imax0が2であることが推定される。係数kmax0と係数kopt0との比は1である。図6Cは、このような条件で、計算により得られた値R11 は、値R10 と同一であることを示す。従って、値の変更は無用である。
【0121】
図7は、抵抗の選択(抵抗器31)を実施するために用いられ得る切替可能な抵抗器の回路の一例を示す図である。本例では、抵抗器R11maxは、スイッチK31min 、及び並列なnブランチの抵抗器R11i(iは1乃至nの範囲にある)と並列である。各抵抗器R11iは制御可能なスイッチK31i と直列である。これらのスイッチは、実施された測定に応じて回路38により制御される。閉鎖位置にあるスイッチK31min は、抵抗R1を抵抗32と等しくする。全てのスイッチK31i がオフであるとき、抵抗器31の抵抗はR1max である。他の位置は、中間値を提供する。
【0122】
図8は、抵抗の選択方法の一実施形態のフローチャートである。このフローチャートは、電流の測定値を用いた場合を示すが、抵抗器R1の電圧の測定値と容易に置き換えられる。この測定値は、常に、端末の振動回路での電流を表す情報である。
【0123】
端末は、予めオフロード状態に初期化されており、値Ioff-load(又は任意の相当する情報)が記憶されていると仮定される。このような初期化は、製造の際に行われてもよいが、端末の環境に関連するあり得る障害を考慮するために、現場で、定期的に、又は電源オンの度に行われることが好ましい。
【0124】
変形例として、端末−トランスポンダ対をまず使用する際に、端末は、情報の取得のためにトランスポンダを置くように保持者に要求するメッセージを表示する。別の変形例によれば、端末は、トランスポンダの識別子又は特性データを有するトランスポンダのカテゴリの識別子を記録して、その結果、トランスポンダが通過する次の時点を認識することが可能になる。
【0125】
フローチャートは、振動回路での電流の値の測定(ブロック51)により開始する。この値は、オフロード値と比較される(ブロック52)。等しい場合(ブロック52でY)、トランスポンダが電場にないことを意味し、ブロック51に戻る。等しくない場合(ブロック52でN)、トランスポンダが最小距離にある(典型的には、端末上に置かれている)とみなして、最大電流Imax0が抵抗値R10 で測定される(ブロック53)。次に、オフロード電流と抵抗R10 での電流との比が、定数2と比較される(ブロック54)。これは、測定電流をオフロード電流の関数である値(Ioff-load/2)と比較することになる。等しい場合(ブロック54でY)、抵抗値R10 を用いてバッテリの充電を開始する(ブロック55)。等しくない場合(ブロック54でN)、抵抗値R11 が値R10 及び予め定められた比から計算されて(ブロック56)、最も近い値がネットワーク31から選択される。変形例として、可変抵抗器を適合する。すなわち、抵抗R1の値は、第1の値(R10 )、測定情報(Imax0)及び定数(Ioff-load/2)に応じて決定される。次に(ブロック57)、振動回路の抵抗値が、計算値R11 に相当するように(例えば、図7のネットワーク31を用いて)設定される。次に、設定値が適切な結合に対応するか否かが確認される(ブロック58)。対応する場合(ブロック58でY)、再充電が値R11 で行われる(ブロック55′)。対応しない場合(ブロック58でN)、抵抗R1の設定を元の値R10 に戻し(ブロック59)、処理を電流Iの測定(ブロック51)に戻す。
【0126】
示された例によれば、トランスポンダの再充電の間、端末は、値R10 又は値R11 を有しており、再充電の終了を示すメッセージをトランスポンダ2から待つ(ブロック60)。トランスポンダ2の側では、バッテリが完全に再充電されると(ブロック71)、トランスポンダは端末にメッセージを送信する(ブロック72)。端末がこのメッセージを受信すると、検出して(ブロック60)、抵抗器R1の初期値R10 への切り替えを行う(ブロック59)。その後、電流値監視ブロックに戻る。
【0127】
変形例では、ブロック58が省略され、ステップ57がステップ55′に直接続く。
【0128】
別の変形例として、抵抗R1の値の適合が再充電の間に行われる。これは、R10 を抵抗R1の電流値と入れ替えることにより、ブロック51、ブロック52、ブロック53、ブロック54、ブロック55、ブロック56、ブロック57及びブロック55′のステップを定期的に再生するのに十分である。
【0129】
図9は、本発明が適用されるチップカード100の一例を示す図である。本例では、回路21は、バッテリ24及び容量素子C2を備える集積回路チップである。アンテナL2は、チップカード上で平面的な巻線で形成されるか、又は該カード内に組み込まれる。
【0130】
図10は、別の適用例を示す図である。この適用例によれば、チップカード又は電子タグ101が、携帯電話102又は携帯情報端末のタイプの携帯機器を用いて再充電される。この場合、上述した端末とは異なり、トランスポンダ101を再充電するのに十分なバッテリ又は電源を有する別の携帯要素が端末として用いられる。
【0131】
端末又は充電器とのトランスポンダの結合を最適化することにより、最も速く為し得る方法でトランスポンダを再充電することが可能である。
【0132】
データ送信がトランスポンダと端末との間で設定される必要はない。ここでは、トランスポンダを充電することだけが目的である。しかし、このような通信は除外せず、再充電と同時に行ってもよい。
【0133】
更に、端末がトランスポンダ専用である必要はない。実際には、種々な計算、オフロード測定、種々な抵抗値での測定により、端末の振動回路のインピーダンス、特に直列抵抗を適合させて、広範囲の値で任意のトランスポンダの再充電を最適化することが可能になる。
【0134】
好ましい実施形態では、本発明の実施が、特に、端末内でのオフロード振動回路(端末の範囲内にトランスポンダがない)での電流を表す情報の値、及びトランスポンダの基準位置(典型的には、端末上に置かれる)でのこの情報の値の記憶として解釈する。
【0135】
種々な実施形態を説明している。様々な選択を想定してもよい。特に、数例の適用を説明しているが、本発明は、充電が望まれる能動トランスポンダのタイプであれば適用可能である。更に説明された実施形態の実際の実施は、端末で一般的に利用可能なツール(プログラム可能論理、検出器、マイクロプロセッサ等)を用いた上述した関数表示に基づいた当業者の技能の範囲にある。
【符号の説明】
【0136】
1 端末
2 トランスポンダ
24 バッテリ
R1 抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスポンダ用に無線周波の電場のための信号を送ることが可能な端末を構成する方法であって、
前記トランスポンダが前記端末の送信範囲内に存在するときに、前記トランスポンダが前記電場に存在しない間の前記端末の動作によって決まるオフロード値に応じて、前記端末の振動回路の直列抵抗を適合させるステップを少なくとも1つ備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記オフロード値は、前記端末の振動回路内の電流の特性を示していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端末の振動回路の直列抵抗の第1の値を用いて、前記振動回路内の電流を表す情報を測定するステップと、
前記情報を前記オフロード値と比較するステップと、
前記第1の値、前記測定された情報及び前記オフロード値に応じて決定された第2の値へ前記直列抵抗を変更するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記直列抵抗の値は、前記測定された情報と前記オフロード値との比が略2に等しいように決定されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記トランスポンダに備えられているバッテリの充電サイクルが、前記直列抵抗の値が設定されると開始されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
トランスポンダ用に電場を生成するための端末において、
位相調整ループと、前記トランスポンダとの結合係数の推定に基づいて決定された値を有する切替可能な抵抗器の回路とを含む振動回路を備えることを特徴とする端末。
【請求項7】
抵抗の値は、請求項1により決定されることを特徴とする請求項6に記載の端末。
【請求項8】
請求項6に記載の前記端末を備える携帯機器。
【請求項9】
端末と通信可能であり、請求項5に応じて前記端末により再充電されることが可能な能動トランスポンダ。
【請求項10】
前記トランスポンダのバッテリの充電レベルに関する情報を前記端末に送信するための手段を備えることを特徴とする請求項9に記載のトランスポンダ。
【請求項11】
請求項7に記載の前記端末と、
請求項9に記載の前記トランスポンダと
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項1】
トランスポンダ用に無線周波の電場のための信号を送ることが可能な端末を構成する方法であって、
前記トランスポンダが前記端末の送信範囲内に存在するときに、前記トランスポンダが前記電場に存在しない間の前記端末の動作によって決まるオフロード値に応じて、前記端末の振動回路の直列抵抗を適合させるステップを少なくとも1つ備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記オフロード値は、前記端末の振動回路内の電流の特性を示していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端末の振動回路の直列抵抗の第1の値を用いて、前記振動回路内の電流を表す情報を測定するステップと、
前記情報を前記オフロード値と比較するステップと、
前記第1の値、前記測定された情報及び前記オフロード値に応じて決定された第2の値へ前記直列抵抗を変更するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記直列抵抗の値は、前記測定された情報と前記オフロード値との比が略2に等しいように決定されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記トランスポンダに備えられているバッテリの充電サイクルが、前記直列抵抗の値が設定されると開始されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
トランスポンダ用に電場を生成するための端末において、
位相調整ループと、前記トランスポンダとの結合係数の推定に基づいて決定された値を有する切替可能な抵抗器の回路とを含む振動回路を備えることを特徴とする端末。
【請求項7】
抵抗の値は、請求項1により決定されることを特徴とする請求項6に記載の端末。
【請求項8】
請求項6に記載の前記端末を備える携帯機器。
【請求項9】
端末と通信可能であり、請求項5に応じて前記端末により再充電されることが可能な能動トランスポンダ。
【請求項10】
前記トランスポンダのバッテリの充電レベルに関する情報を前記端末に送信するための手段を備えることを特徴とする請求項9に記載のトランスポンダ。
【請求項11】
請求項7に記載の前記端末と、
請求項9に記載の前記トランスポンダと
を備えることを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−271920(P2009−271920A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109849(P2009−109849)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(509096153)エス テ マイクロエレクトロニクス(ローセット)エス アー エス (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(509096153)エス テ マイクロエレクトロニクス(ローセット)エス アー エス (15)
【Fターム(参考)】
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