説明

能動的な建物表皮を用いる建物管理システム、斯かるシステムに用いられる環境資源収集器、及び建物において使用される資源を管理する方法

建物管理システムは、上記建物内部での資源に対する需要を測定する測定システムと、上記建物の外側で入手可能な天然資源を集める収集システムとを有する。建物管理システムは、余剰資源を格納する格納システムと、上記前記建物の外側での資源の入手可能性及び/又は格納システムに格納された資源を測定するセンサシステムを更に具備する。更に、上記測定システム、上記センサシステム及び上記格納システムからデータを受信するよう構成されるコントローラが提供される。資源に対する現在の及び/又は予想される需要へと上記収集システムによる上記資源の収集を調整するよう、コントローラは、上記データに基づき上記収集システムを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動的な建築表皮を有する建物管理システム、及び斯かるシステムにおいて使用する環境資源収集器に関する。特に、本発明は、例えば空気/風、水及び太陽エネルギーといった利用可能な環境資源を集めることができる能動的な建物表皮を用いて、建物の外部及び/又は内部で利用可能な資源と、建物内部で必要とされる資源とのバランスをとるよう構築及び構成される建物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化、エネルギーコスト及びエネルギー製造コストの上昇、人口爆発といった問題により、エネルギーを節約する必要性及び/又は利用可能な天然エネルギー資源をもっと利用する必要性が強調される。
【0003】
例えば京都議定書といった世界規模でのコミットメントに沿った温室効果ガス排出削減に向けた最近の法律は、世界中で建物の外層性能の検査を増加させる(可能性が高い)であろう。例えばヨーロッパにおける建物は、欧州連合諸国によるエネルギー使用の1/3を占めると考えられる。そのエネルギー消費及び削減は、長年の調査及び注目対象であった。なぜなら、運用に必要とされるエネルギーを減らす大きな機会を建物が提供するからである。
【0004】
大部分のエネルギー消費が生じる建物内部と周囲の環境との主な境界は建物外層であるので、建物外層は、例えば公共施設グリッド、及び例えば風、光及び水といった天然資源等の建物の外側で利用可能な資源と、建物内部で必要とされ、使用される資源との間の主な境界でもある。多くの研究及び開発は、建物外層に向けられて来た。特に熱損失を減らすための隔離に関する外層の温度特性を改良することに向けられてきた。代替的に、例えば公共電気グリッドに対する需要を減らす試みとして、他の開発では、太陽電池を用いることでエネルギー生産の処理に外層が使用されている。環境資源の使用の別の例は、例えばトイレを流すため、又は空調システムにおいて蒸発により冷却するために格納及び使用されることができる雨水といった降水の収集である。これは、公共水グリッドからの真水に対する需要を減らすことができる。
【0005】
最近の開発は、建物をよりエネルギー効率の良いものにすることでエネルギーを節約するのに利用可能なオプションと、建物外部で利用可能な(天然)資源を建物内部での斯かる資源の必要性を満足するよう収集するため建物外層を使用するのに利用可能なオプションとを組み合わせることに向けられる。斯かる開発において、建物管理システムは、ある役割を果たす。
【0006】
例えば空調、照明、温度、湿度等のさまざまな建物デバイスを制御及び監視する建物管理システムは、例えば、米国特許出願公開第2006/0159043号から知られる。米国特許出願公開第2006/0159043号に開示される建物管理又は制御及び情報システムは、測定デバイスを用いて、例えば電気、水、ガス等の建物ユーティリティを制御するユーティリティ監視及び/又は制御システムを含むシステムを有する。これは、制御される装置を介した要求側のユーティリティ管理を可能にする。既知の建物管理システムは、制御される装置のより効率的な利用により建物のユーザがエネルギーを節約し、こうしてお金を節約できる点に向けられる。
【0007】
建物管理システムに対する別の手法及び建物におけるエネルギーのより効率的な利用は、いわゆるゼロ・エネルギー建物又はオフ・ザ・グリッド(off-the-grid)建物の概念において見つけることができる。斯かる建物は、全く又は非常に限られた範囲だけしか公共施設グリッドに依存しないよう設計される。その代わりに、斯かる建物は、必要とされる資源を提供及び/又は節約するため、例えばより良好な絶縁、熱ポンプ、太陽エネルギー等のより高度な建築技術を使用する。斯かる建物は、建物の外郭構造又は表皮が、建物の外側の外部要素又は外部資源の能動的な操作部として使用されることができるという基礎的な思想を用いて建設されることができる。斯かる能動的な建物表皮は、レギュレーション、エンハンスメント、アテニュエイション、リジェクション又はエントラップメントにより建物外層を介してエネルギー流を能動的に修正することができる(http://www.tech.plym.ac.uk/soa/arch/intel2.htm参照)。主に、斯かる建物は、光を電気エネルギーに能動的に変換する太陽電池を使用する。斯かる太陽電池システムの例は、例えばhttp://www.wbdg.org/design/bipv.php.に表される。
【0008】
光を電気エネルギーに変換するための太陽電池の使用とは別に、環境資源としての風を集めるソリューションも、従来技術において記載される。斯かるシステムの例がDE102005038490に開示され、この場合、風力外車に対する吸気口を持つ外壁空腔を有する建物が示される。外車は、電気エネルギーを生成するために、発電装置に連結される。
【0009】
更に、BG109049によれば、建物の外から水が集められ、格納されることも知られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
既知の建物管理システム及び関連するデバイスは、利用可能な資源をある程度利用することができ、公共グリッドに対する需要の削減を支援することができるが、既知のシステムを具備する関連建物は、少なくともある程度公共グリッドに依存する。従って、建物を実質的にオフ・ザ・グリッドにする必要性、即ち、資源に対する要求の大部分を、斯かる建物の外側で入手可能な天然資源に依存する建物を作る必要性が存在する。
【0011】
従って、本発明の目的は、建物を実質的にオフ・ザ・グリッドにする目的を実現するソリューションを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、建物における資源の消費量の削減を主に目的とする既存の建物管理システムに対する少なくとも変形例を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、本発明により実現され、この点に関し本発明は、建物管理システムを提供する。この建物管理システムは、上記建物内部での資源に対する需要を測定するよう構築及び構成される測定システムと、上記建物の外側で利用可能な資源を集めるよう構築及び構成される収集システムとを有する。この建物管理システムは更に、上記建物の外側での資源の入手可能性を測定するよう構築及び構成されるセンサシステムを具備する。
【0014】
好ましくは、この建物管理システムは、収集された余剰資源を格納するよう構築される格納システムを具備し、上記センサシステムが上記格納システムに格納された資源も測定するよう構築され、格納済み資源に関するデータをコントローラに供給するよう構成される。
【0015】
更に、上記測定システム、上記センサシステム及び上記格納システムからデータを受信するよう構成されるコントローラが与えられ、資源に対する現在の及び/又は予想される需要へと上記収集システムによる上記資源の収集を調整するため、上記データに基づき上記収集システムを制御するよう上記コントローラが更に構成される。
【0016】
本発明によるシステムを用いると、需要に基づき天然資源を集めることができる完全に一体化されたシステムが提供される。一方、後の使用のため、上記集められた資源を格納することができることは、本発明によるシステムを具備する上記建物を実質的にオフ・ザ・グリッドなものにする。更に、本発明による上記建物管理システムを用いると、資源に対する現在の需要と上記建物の外側での及び/又は上記格納システムにおける資源とのバランスを少なくともとるよう、上記測定されたデータに基づき上記収集システムを制御することが可能である。
【0017】
本発明の有利な実施形態において、上記建物管理システムは、上記資源に対する需要を満たすよう上記コントローラの制御下で、上記集められた資源に含まれる上記エネルギーを別の形式のエネルギーに変換するよう構築及び構成されるエネルギー変換手段を有する。これは、上記システムが、上記資源に対する需要と上記利用可能な資源とをより好適にバランスさせることを可能にするであろう。例は、電気エネルギーを生成するか、又は熱を提供するかのいずれかに使用されることができる太陽エネルギーである。
【0018】
本発明の更に有利な実施形態において、上記収集システムは、上記建物の外側に取り付けられ、太陽エネルギー、降水、風力エネルギー及び上記建物とその周囲との間の温度差からなる資源の1つ又は複数のグループを集めるよう構成される収集器のアセンブリを有する。このようにして、上記建物の外側周辺部が、上記利用可能な資源を利用するために用いられる。
【0019】
本発明の更に別の有利な実施形態において、上記収集器が、可動に構築され、駆動手段に関連付けられ、上記駆動手段は、上記コントローラの制御下にあり、上記駆動手段が、上記建物に対する上記収集器の位置及び/又は方向を変化させるよう構築される。これは、集められることになる上記資源に対して上記収集器が常に理想的な方向に向けられることを確実にすることにより、上記収集器を最適に使用することを可能にする。
【0020】
更に、本発明による上記建物管理システムは、上記建物の使用パターンに関する情報を格納することができるメモリを有することができ、上記情報は、上記コントローラに対して利用可能とすることができる。上記システムは、気象予測システムに接続されることもできる。使用を予測し、需要のタイミングとは異なるタイミングに資源を集めることにより、斯かる情報は、資源とシステムによる時間をかけた使用とを整合させるのに使用されることができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、上記収集システムの上記収集器が、上記建物の上記外側から延在する漏斗形状を持つ。上記建物から離れるにつれ、上記漏斗が広がる形で配置される。斯かる漏斗又はトランペット形状の収集器は、正確に方向付けされることを可能にするその形状ゆえ複数の資源を簡単に集めるのに特に適しており、例えば降水及び風といった流動資源を収集するのに特に適している。
【0022】
本発明の別の態様では、実質的に漏斗形のメインボディを有する環境資源収集器が提供される。上記メインボディが、上記広い部分及び狭い部分の両方においてオープンであり、上記メインボディの上記広い部分から上記狭い部分へと環境資源のための通路が提供される。上記資源収集器の特定の漏斗形状は、その形状により、風及び例えば雨といった降水を集めるのに特に適している。より広い部分は、上記資源を集めるための最大化された領域を可能にし、直径が徐々に小さくなる上記漏斗形状は、上記収集した風及び/又は水を輸送するのに役立つ。
【0023】
本発明の更に別の側面によれば、建物において使用される資源の管理方法が与えられ、この方法は、上記建物内部での資源に対する需要を測定するステップと、収集システムを用いて上記建物の外側で利用可能な資源を集めるステップと、集められた資源の余剰を格納システムに格納するステップとを有する。更に、上記方法は、上記建物の外側での資源の入手可能性及び/又は上記格納システムに格納された資源を測定するステップと、上記建物内部での資源に対する需要に関するデータと上記建物外部の資源及び上記格納システムにおける資源の入手可能性に関するデータとをコントローラに供給するステップとを含む。このデータを用いて、上記資源に対する現在の及び/又は予想される需要への上記収集システムによる資源収集の調整が実行されるか、又は上記資源の収集と上記需要とのバランス化が少なくとも実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による建物管理システムを具備する建物を概略的に表す図である。
【図2】本発明による多数の収集器を具備する建物を概略的に表す図である。
【図3】本発明による収集器が建物の外層に対する3つの異なる位置にある状況を概略的に表す図である。
【図4】多くの収集器が取り付けられた建物の外層の一部を概略的に表す図である。
【図5】4つの異なる形状、サイズ及び方向を持つ本発明による収集器についての美術的印象(artists impression)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のこれら及び他の側面、特性及び利点が、本発明による建物管理システムの以下の説明及び添付の図面を参照して、より詳細に説明されることになる。この中で、同じ参照番号は、同一の要素を表す。
【0026】
図1は、本発明による建物管理システム100を具備する建物110を概略的に示す。建物管理システム100は、中央コントローラ102を具備する。このコントローラは、例えばマイクロプロセッサ、又は特殊なソフトウェアを実行するパーソナル・コンピュータ・システムといった他の任意の適切な手段とすることができる。中央コントローラ102は、建物110の資源消費量又は需要を測定する測定システムに接続される。図1の例において、測定システムは、参照番号104、106及び108により表される3つの別々の測定システムにより形成される。しかしながら、これは例示に過ぎない点を理解されたい。図1の実施形態において、水消費量は、第1の測定システム104により測定され、電力消費量は、第2の測定システム106により測定され、例えば(図示省略された)空調システムによる空気への需要は、第3の測定システム108により測定される。
【0027】
例えば上述の空調システムといった、資源の単一消費者の資源消費量又は需要は、異なる要素により影響を受ける場合がある点に留意されたい。空調システムにより冷却される必要がある空気は、例えば電気エネルギーを利用する冷却システムを用いて冷やされることができるか、又は代替的に、水の蒸発により作動する空調システムを用いて冷やされることができる。更に別のオプションでは、建物周辺の空気微風を集めることで空気が冷やされることになる。
【0028】
中央コントローラ102は更に、図1の実施形態においてセンサ112、114、116を有するセンサシステムに接続される。センサ112、114及び116は、建物周辺の資源の入手可能性を測定するよう構築される。図1の例において、センサ112は、利用可能な太陽エネルギーを測定することができ、センサ114は、例えば雨の形で建物の周囲に降水が存在するかを測定し、センサ116は、建物の外側に風があるかどうか、またある場合どれくらいあるかを測定する。
【0029】
センサシステムは更に、同じくコントローラ102に接続される追加的なセンサ118、120を有する。センサ118、120は、収集した資源を格納することができる格納システムに関連付けられる。センサ118及び120は、斯かる格納された資源を測定するために提供される。センサ118は、格納された電気エネルギーの利用可能性を測定し、センサ120は、格納された水の利用可能性を測定する。
【0030】
建物管理システム100は、建物110の外側で入手可能な天然資源を利用するよう特別に設計され、建物の外側に取り付けられる多数の環境資源収集器、短い収集器、収集器122、124のアセンブリを有する収集システムを具備する。図1においては、収集器122、124が、非常に概略的にのみ表され、特に、図面の明確さのため、非常に限られた数の収集器だけが図示される。当業者であれば、建物管理システム100が必要とされる任意の数の収集器を有することができる点、及び図1に示される収集器の数は、本発明の範囲を限定するものではない点を理解されたい。例として、建物110の外層に取り付けられるより多くの収集器122が、図2に示される。この場合、明確化のため収集器のサイズが誇張されている点に留意されたい。
【0031】
図1に戻り、収集器は、建物の外層を占める又は形成するよう取り付けられる。以下により詳細に説明されるように、収集器(のアセンブリ)122、124は、太陽エネルギー、降水、風力エネルギー及び建物とその周囲との間の温度差からなる1つ又は複数のグループの資源を集めるよう構成される。
【0032】
収集器122、124のアセンブリの各々は、特定の環境資源を集めるよう特別に設計される複数のタイプの収集器を有することができる。例えば、太陽エネルギーだけを集める専用の収集器又は収集器のアセンブリが与えられることができる。しかしながら、収集器のアセンブリは、建物110の周囲から1つ又は複数の資源を集めることができる単一のタイプの収集器を複数有することもできる。
【0033】
収集器又は収集器アセンブリ122、124は、互いに影響を与える場合がある。例えば、雨水又は雪といった降水を集める収集器が、太陽エネルギーを集めるための隣接する収集器を覆う場合がある。代替的に、建物110の外側又は外層に取り付けられる収集器が、建物内部での資源に対する需要に影響を与える場合もある。例えば、太陽エネルギー収集器が、通常部屋に明るさを提供する日光を遮断する場合がある。別の建物が1つ又は複数の収集器に対して陰影を投げる可能性もある。
【0034】
他のパーツ又は建物によるこの相互依存性又は影響は、コントローラ102を用いて収集器を制御することにより管理されることができる。例えば、物理的にそれらを移動させる、それらの形状を変化させる、又は、建物に対するそれらの方向及び/若しくは位置を変化させることにより行われる。例えば集められる天然資源がそれを必要とするときには、収集器のサイズを変化させることさえ可能である。これは、モーター及び制御ギヤを有することができる駆動手段126を用いて実現されることができる。しかしながら、他の任意の適切な駆動手段も可能である。駆動手段126は、目の前の作業、即ち資源集めに最適な位置まで、個別の収集器122、124又は複数の収集器のアセンブリを調整することができる。これにより、コントローラ102は、1つ又は複数の資源を最適に集める収集器の位置、方向、サイズ及び/又は形状を最適化することができる。この処理は、収集器、あるタイプの収集器又は一群の収集器に関連付けられるサブコントローラ130を与えることにより更に最適化されることができる。駆動手段126が、単一の収集器を作動させるように構成されることができるが、一群の収集器を作動させるために用いられることもできる点を理解されたい。同様に、収集器につき1つ又は複数のサブコントローラ130が提供されることができるか、又は複数の収集器が、1つのサブコントローラの管理下にあるようすることができる。
【0035】
当業者により理解されるように、収集器122、124は、建物110の外層にわたり均一に分散される必要はない。例えば、太陽エネルギーの収集は、例えば北半球において建つ建物の北側面では行われることができない。代替的に、建物の特定の設計が使用されることもできる。特に、太陽エネルギーの収集又は雨水の収集のため斜面が使用されることができる。別の例として、特に降水の収集専用の収集器は、ほとんどの降水を長時間にわたり受信する、又は受信が予測される建物外層の部分に配置されることができる。
【0036】
建物での資源に対する需要と周囲からの資源の入手可能性のバランスを少なくともとるため、駆動手段126を作動させることでどのように収集器を最適な態様で使用するかを決定するべく、中央コントローラ102は、測定システム104−108及びセンサシステム112−120により集められるデータを使用する。しかしながら、環境資源の収集が、建物における少なくとも現在の需要に調整されるよう、中央コントローラはシステムを制御することになる。中央コントローラ102、及び入手可能なかつ必要な資源を扱う異なるシステムにわたるその制御は、メモリ128を与えることにより更に改善されることができる。メモリ128は、建物の資源の使用パターンに関する情報を集め及び格納するのに使用されることができ、資源収集及び/又はその格納と、時間をかけての資源の使用との間の好適な適合のため、コントローラ102にこの情報を提供することができる。更に、メモリ128は、将来の気象状況及び天然資源の入手可能性に関する将来予想をこのメモリ128に提供する1つ又は複数の気象予測サービスに連結されることもでき、この情報は、コントローラ102に対して利用可能である。気象予測サービスにより提供される情報の精度は、例えば、そのGPS座標、又は従来の座標(経度及び緯度)を用いて、建物の正確な位置を確立し、この位置をリアルタイム天気図に連結することにより、更に増加されることができる。
【0037】
前述の情報とは別に、メモリ128は、利用可能な収集器のタイプ及び量に関する情報を格納することもできる。コントローラ102は、資源と時間をかけての使用とを適合させるのにこの情報を利用することができる。代替的に又は追加的に、収集器は、同じ目的のためコントローラ102にそれらのタイプを通信することができる。コントローラ102は更に、たった1つの建物に対してではなく、より広い領域における最適な資源バランスを実現するため、他の建物の類似するコントローラ又は資源の他の提供者と通信することができる。
【0038】
上述したように、収集器122、124は異なる天然資源を集めることができる。例えば、収集器は、光といった太陽エネルギー、風力エネルギー、及び雨の形での降水を集めるよう設計される。これらの天然資源の収集が、図3において更に示される。図3には、収集器122が建物110の外層に対する3つの異なる位置にある状況が、概略的な表現で与えられる。この3つの位置で異なる資源が集められる。図3から明確に理解できるように、収集器122は、資源の収集を最適化するため建物110の外層に対するそれらの方向を変化させることができる。
【0039】
図4には、建物の外層のわずかな部分が示される。この図において、中央コントローラの制御下にあるとき、収集器122が、どのように取り付けられ、能動的な建物表皮を形成するかが理解されることができる。図4から、収集器122の漏斗形状が、明確に見られることができる。すべての収集器122が同じサイズであるというわけではないことも分かる。更に、収集器122の間の空間200が窓として使用されることができることが分かる。従って、建物の居住者は外を見ることができ、直射日光が建物に入ることができる。
【0040】
収集器の形状、サイズ及び方向の変化の可能性の更なる例として、図5は、同じセットの収集器の4つの異なる形状、サイズ及び方向についての芸術的印象を示す。図5の左上画像は、その最も減少した又は最も小さいサイズにある収集器122を示す。これは、例えば非活動状態又は収集器が風だけを集める状態とすることができる。図5の右上画像において、収集器は、建物110に対して実質的に垂直に向けられ、漏斗の広い部分が拡大されている。収集器122のこの位置、形状及びサイズは、風力エネルギーの収集に特に適している。この理由のために、収集器は、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するよう構築される風力駆動インペラを具備することができるか、又は収集器は、中央インペラの方へ収集した風を運搬する配管アセンブリに接続されることができる。
【0041】
左下画像において、収集器、特に漏斗の広い部分が更に一層拡大され、広い部分は、上方に向けられる。この方向において、収集器は、雨水を集めるのに特に適している。図5の右下画像において、収集器の広い部分、特にその横断面は、もはや正確な円形ではないが、その下部はその上部よりいくらか長く延在することが分かる。この形状において、収集器122は、太陽エネルギーを集めるのに特に適している。この理由のために、収集器122は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するよう構築される太陽電池のカバーを具備する内側表面を具備することができる。しかしながら、焦点の方へ入射する光を反射するよう、代替的に又は追加的に、収集器は、反射特性を持つ内側表面を有することもできる。焦点上に焦束される光は、例えば追加的な反射表面又は光ファイバにより更に運搬されることができる。
【0042】
本発明の範囲は、上述の例に限定されるものではなく、むしろ、添付された特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、上述の例に対する様々な変形及び修正が可能である点は、当業者には明らかであろう。
【0043】
例えば、上記の建物管理システムは、建物の使用の間生成される廃棄物からエネルギーを抽出することができる廃棄物処理装置を具備することもできる。従来の廃棄物焼却システムが蒸気駆動のパワー・プラントに結合されるとき、このエネルギーは、例えば廃棄物の焼却の直接生成物としての熱の形で、又は電気の形とすることができる。この点に関して、生成される任意の余剰エネルギー又は建物管理システムにより集められる余剰資源が、公共グリッドに接続されることができる又は他の建物に接続されることができる点にも留意されたい。
【0044】
別の例として、収集器は、好ましくは漏斗形状を持つものとして記載される。収集器に関して他の形状も可能である点を理解されたい。これは、収集すべき単一の資源を持つ収集器に特に当てはまる。例えば、フラットな収集器として非常にうまく形成されることができる太陽電池を具備する収集器といったものである。しかしながら、他の形状も可能である。
【0045】
更に、本発明の建物管理システムを備える単一の建物を提供することが可能であるが、建物の複合体を単一の建物管理システムの管理下に置くことも同様に可能である点を理解されたい。
【0046】
最終的に、上記実施形態が複数の収集器を持つものとして説明される点に留意されたい。例えば、建物の全ての(側)面が、大きな1つの収集器によりカバーされることも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物で使用する建物管理システムであって、
前記建物内部での資源に対する需要を測定するよう構築及び構成される測定システムと、
前記建物の外側で利用可能な資源を集めるよう構築及び構成される収集システムと、
前記建物の外側での資源の入手可能性を測定するよう構築及び構成されるセンサシステムと、
前記測定システム、前記センサシステム及び前記格納システムからデータを受信するよう構成されるコントローラとを有し、
資源に対する現在の及び/又は予想される需要へと前記収集システムによる前記資源の収集を調整するため、前記データに基づき前記収集システムを制御するよう前記コントローラが更に構成される、建物管理システム。
【請求項2】
収集された余剰資源を格納するよう構築される格納システムを更に有し、前記センサシステムが更に、前記格納システムにおける資源の入手可能性を測定するよう構築及び構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記収集システムが、前記建物の外側に取り付けられる収集器のアセンブリを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記収集器のアセンブリが、太陽エネルギー、降水、風力エネルギー及び前記建物と周囲との間の温度差からなる前記資源の1つ又は複数のグループを集めるよう構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記収集器のアセンブリが、特定の資源を集めるための専用の複数のタイプの収集器を有する、請求項2乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記収集器のアセンブリが、1つ又は複数の資源を集めることができる単一のタイプの収集器を有する、請求項2乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記収集器が、可動に構築され、駆動手段に関連付けられ、前記駆動手段は、前記コントローラの制御下にあり、前記駆動手段が、前記建物に対する前記収集器の位置及び/又は方向を変化させるよう構築される、請求項2乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、前記建物の外側で入手可能な資源を考慮して前記収集器のアセンブリの前記位置及び/又は前記方向を局所的に最適化するサブコントローラを有する、請求項2乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記システムが、前記建物の使用パターンに関する情報を格納することができるメモリを有し、前記情報は、前記コントローラに対して利用可能である、請求項1乃至8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記メモリが、気象予測システムに接続されることができる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記収集システムの前記収集器が、前記建物の前記外側から延在する漏斗形状を持ち、前記建物から離れるにつれ、前記漏斗が広がる形で配置される、請求項2乃至10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記収集器が、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するよう構築される太陽電池のカバーを具備する内側表面を有する、請求項2乃至11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
焦点の方へ入射する光を反射するよう、前記収集器が、反射特性を持つ内側表面を有する、請求項2乃至11のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記収集器が、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するよう構築される風力駆動インペラを具備する、請求項2乃至13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記収集器が、前記収集器の前記広い部分の前記サイズを変化させるよう構築及び構成される追加的な駆動手段に関連付けられ、前記追加的な駆動手段は、前記コントローラの制御下にある、請求項11乃至14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
各収集器が、資源の前記入手可能性を局所的に測定する専用のセンサに関連付けられる、請求項2乃至15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記収集器が、前記建物の外層に取り付けられる、請求項2乃至16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記集められた資源に含まれるエネルギーを別の形式のエネルギーに変換するよう構築及び構成されるエネルギー変換手段を更に有する、請求項1乃至17のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
前記収集システムが、前記コントローラの制御の下で、前記建物の外側で入手可能な資源を能動的に集めることができる能動的な建物表皮の一部である、請求項1乃至18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかに記載の建物管理システムを有する建物。
【請求項21】
環境資源収集器であって、実質的に漏斗形のメインボディを有し、前記メインボディが、広い部分及び狭い部分の両方においてオープンであり、前記メインボディの前記広い部分から前記狭い部分へと環境資源のための通路が提供される、環境資源収集器。
【請求項22】
前記メインボディが、太陽電池のカバーを具備する内側表面を有する、請求項20に記載の資源収集器。
【請求項23】
前記収集器が、焦点の方へ入射する光を反射するよう反射特性を持つ内側表面を有する、請求項20に記載の資源収集器。
【請求項24】
前記メインボディの前記広い部分及び前記狭い部分の間に、流れ駆動インペラが提供される、請求項20乃至22のいずれかに記載の資源収集器。
【請求項25】
前記資源収集器が、形状変化特性を持つ、請求項20乃至23のいずれかに記載の資源収集器。
【請求項26】
建物において使用される資源の管理方法において、
前記建物内部での資源に対する需要を測定するステップと、
収集システムを用いて前記建物の外側で入手可能な資源を集めるステップと、
前記建物の外側での資源の入手可能性を測定するステップと、
前記建物の内部の資源に対する前記需要に関するデータと前記建物の外側での資源の前記入手可能性に関するデータとをコントローラに供給するステップと、
前記コントローラに供給される前記データを用いて、資源に対する現在の及び/又は予想される需要へと、前記収集システムによる前記資源の収集を調整するステップとを有する、方法。
【請求項27】
集められた資源の余剰を格納システムに格納するステップと、
前記格納システムにおける資源の利用可能性を測定するステップと、
前記格納システムにおける資源の利用可能性に関するデータを前記コントローラに供給するステップとを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
建物において使用される資源を管理する方法において、
前記建物内部での資源に対する需要を測定するステップと、
収集システムを用いて前記建物の外側で入手可能な資源を集めるステップと、
前記建物の外側での資源の入手可能性を測定するステップと、
前記建物内部の資源に対する前記需要に関するデータと前記建物の外側での資源の前記入手可能性に関するデータとをコントローラに供給するステップと、
前記コントローラに供給される前記データを用いて、資源に対する現在の及び/又は予想される需要と前記収集システムによる前記資源の収集との少なくともバランスをとるステップとを有する、方法。
【請求項29】
集められた資源の余剰を格納システムに格納するステップと、
前記格納システムにおける資源の利用可能性を測定するステップと、
前記格納システムにおける資源の利用可能性に関するデータを前記コントローラに供給するステップとを有する、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−540803(P2010−540803A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526413(P2010−526413)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053958
【国際公開番号】WO2009/044329
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】