説明

脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去するためのデバイス、システム、及び方法

【課題】脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去するためのデバイス、システム、及び方法を提供する。
【解決手段】選択した実施例において、吸引源及び/又は熱除去源をアプリケータに連結する。アプリケータは、可撓性部分及び剛性部分を含む。剛性部分は熱伝導性プレート及び熱伝導性プレートと可撓性部分とを連結するフレームを含む。アプリケータの内部キャビティは吸引源と流体連通しており、フレームは熱除去源と熱伝導性プレートとの間を接触係合状態に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年4月30日に出願された、「脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去するためのデバイス、システム、及び方法」という表題の米国特許出願第61/174,487号について、米国特許法の優先権を主張するものである。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
一般に譲渡された以下の米国特許出願について、出典を明示することにより、これらの出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0002】
「脂肪が豊富な皮下細胞から熱を高度に除去する方法、及びアクチュエータを持つ治療装置」という表題の米国特許公開第2008/0287839号、
「脂肪吸引法によって脂肪組織を制御下で除去するための凍結方法」という表題の米国特許第6,032,675号、
「脂肪が豊富な皮下細胞の冷却を改善するため、治療デバイスで使用するための凍結防止物質」という表題の米国特許公開第2007/0255362号、
「脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去するための冷却デバイス」という表題の米国特許公開第2007/0198071号、
「可撓性センサを持つ冷却デバイス」という表題の米国特許公開第2008/0077201号、
「所定の冷却曲線を提供するための複数の制御可能な冷却エレメントを持つ冷却デバイス」という表題の米国特許公開第2008/0077211号、
「脂肪が豊富な皮下細胞又は組織を冷却するための方法及び装置」という表題の米国特許公開第2009/0118722号、
「使い捨ての対象物保護デバイスの使用制限」という表題の米国特許公開第2009/0018624号、
「脂肪が豊富な領域を治療するためのシステム」という表題の米国特許公開第2009/0018623号、
「脂肪が豊富な領域から熱を除去するためのシステム温度の管理」という表題の米国特許公開第2009/0018625号、
「脂肪が豊富な領域から熱を確実に除去するためのシステム」という表題の米国特許公開第2009/0018627号、
「脂肪が豊富な領域から熱を除去するシステム用の使用者インターフェース」という表題の米国特許公開第2009/0018626号、
「凍結手術中の凍結防止剤化合物の使用」という表題の米国特許開第6,041,787号、
「脂肪組織の冷却等の脂肪が豊富な皮下細胞の冷却の監視」という表題の米国特許公開第2009/0149929号、
「身体賦形用の治療計画システム及び方法」という表題の米国特許公開第2010/0081971号、
「脂肪が豊富な皮下細胞を冷却するための、中断/再開を行うシステム及び方法」という表題の米国特許出願第12/337,544号、
「組織治療方法」という表題の米国特許公開第2008/0077202号、
「皮下脂肪を減少するための家庭用ケア方法及びシステム」という表題の米国仮特許出願第61/298,175号、
「相転移温度を持つクーラントを含む、脂肪が豊富な皮下細胞から熱を非侵襲的に除去するための方法及び装置」という表題の米国特許公開第2007/0270925号、
「脂肪が豊富な皮下細胞の改良された冷却を行うためのシステムで使用する配合物」という表題の米国仮特許出願第61/297,238号。
【0003】
本願は、全体として、脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去するための治療デバイス、システム、及び方法に関する。詳細には、幾つかの実施例は、脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去即ち抽出するための真空アプリケータを含む治療デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
過剰な体脂肪又は脂肪組織が、例えば大腿部、臀部、腹部、膝、背部、顔面、腕、顎、及び他の領域を含む身体の様々な場所に存在する。更に、過剰の脂肪組織は、セルライトの醜い外観を大きく見せるものと考えられる。セルライトは、皮下脂肪が真皮内に突出した場合に形成され、皮膚がその下の構造繊維ストランドに取り付けられた場所に凹凸を形成する。セルライト及び過剰の量の脂肪組織は、多くの場合、見栄えがしないものと考えられている。更に、大量の過剰の体脂肪には、健康に対する大きな危険が伴う。
【0005】
過剰の体脂肪を持つ人の治療に様々な方法が使用されてきた。多くの場合、余分の皮下脂肪組織を非侵襲的に除去することにより、脂肪吸引等の侵襲的手順と関連した不必要な回復時間及び不快感をなくすことができる。過剰の体脂肪を除去するための従来の非侵襲的治療には、代表的には、外用薬(topical agent) 、抗肥満薬、定期的な運動、ダイエット、又はこれらの治療の組み合わせが含まれる。これらの治療には、効果を表さない場合があり、場合によっては特定の環境でしか行えないという欠点がある。例えば、怪我をしていたり病気のときは定期的な運動は選択肢に入らない。同様に、抗肥満薬や外用薬は、アレルギー又は陰性反応を引き起こす場合には選択肢に入らない。更に、多くの場合、全身減量法では、選択した身体の領域の脂肪を落とすことはできない。
【0006】
皮下脂肪組織を減少するように設計されたこの他の方法には、レーザー補助脂肪吸引法及びメソセラピーが含まれる。比較的最近の非侵襲的方法には、脂肪が豊富な皮下細胞に放射エネルギを当てる方法が含まれる。こうした方法には、米国特許公開第2006/0036300号及び米国特許第5,143,063号に記載されているように、高周波及び/又は光エネルギを用いる方法、又は米国特許第7,258,674号及び米国特許第7,347,855号に記載されているように、高密度焦点式超音波(HIFU)放射を用いる方法が含まれる。これとは対照的に、皮下脂肪組織を冷却によって非侵襲的に減少するための方法及びデバイスが、アンダーセン等に賦与された「制御冷却によって脂肪組織を選択的に破壊するための方法及びデバイス」という表題の米国特許第7,367,341号及びアンダーセン等の「制御冷却による脂肪組織の選択的破壊を検出し制御するための方法及びデバイス」という表題の米国特許公開第2005/0251120号に記載されている。出典を明示することにより、これらの文献に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第61/174,487号
【特許文献2】米国特許公開第2008/0287839号
【特許文献3】米国特許第6,032,675号
【特許文献4】米国特許公開第2007/0255362号
【特許文献5】米国特許公開第2007/0198071号
【特許文献6】米国特許公開第2008/0077201号
【特許文献7】米国特許公開第2008/0077211号
【特許文献8】米国特許公開第2009/0118722号
【特許文献9】米国特許公開第2009/0018624号
【特許文献10】米国特許公開第2009/0018623号
【特許文献11】米国特許公開第2009/0018625号
【特許文献12】米国特許公開第2009/0018627号
【特許文献13】米国特許公開第2009/0018626号
【特許文献14】米国特許開第6,041,787号
【特許文献15】米国特許公開第2009/0149929号
【特許文献16】米国特許公開第2010/0081971号
【特許文献17】米国特許出願第12/337,544号
【特許文献18】米国特許公開第2008/0077202号
【特許文献19】米国仮特許出願第61/298,175号
【特許文献20】米国特許公開第2007/0270925号
【特許文献21】米国仮特許出願第61/297,238号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消する脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去するためのデバイス、システム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の本願発明の目的は、本願の特許請求の範囲の各請求項に記載の解決手段によって達成される。
【0010】
添付図面において、同じ参照番号が同様のエレメント又は作用に付してある。添付図面におけるエレメントの大きさ及び相対的な位置は、必ずしも等縮尺ではない。例えば、様々なエレメントの形状及び角度は、必ずしも等縮尺で描かれておらず、これらのエレメントの幾つかが、図面を読み取り易くするために随意に拡大されており、位置決めされている。更に、図示のエレメントの特定の形状は、必ずしも特定のエレメントの実際の形状に関する何らかの情報を提供しようとするものではなく、全体として、図面を認識し易くするために選択されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、被術者11の脂肪が豊富な皮下領域を治療するための本開示の一実施例による治療システムを概略に示す斜視図である。
【図2】図2は、被術者11の脂肪が豊富な皮下領域を治療するための本開示の一実施例による治療デバイスを示す概略図である。
【図3A】図3Aは、脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去即ち抽出するための治療を行うためのデバイスの一実施例を示す側面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す治療デバイスの制御パネルを示す平面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aに示す治療デバイスを示す底面図である。
【図3D】図3Dは、図3Aに示す治療デバイスの部分分解斜視図である。
【図3E】図3Eは、図3Aに示す治療デバイスの一構成要素の詳細図である。
【図4A】図4Aは、図3Aに示す治療デバイスの剛性部分の一実施例の組み立て段階を示す図である。
【図4B】図4Bは、図3Aに示す治療デバイスの剛性部分の一実施例の組み立て段階を示す図である。
【図4C】図4Cは、図3Aに示す治療デバイスの剛性部分の一実施例の組み立て段階を示す図である。
【図4D】図4Dは、図3Aに示す治療デバイスの剛性部分の一実施例の組み立て段階を示す図である。
【図5A】図5Aは、図3Aに示す治療デバイスの可撓性部分の一実施例の正面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す可撓性部分の端面図である。
【図5C】図5Cは、図5Aに示す可撓性部分の平面図である。
【図5D】図5Dは、図5Aに示す可撓性部分の底面図である。
【0012】
【図6A】図6Aは、図3Aに示す治療デバイス用の被術者11ライナの一実施例を示す斜視図である。
【図6B】図6Bは、図6Aに示す被術者11ライナの分解図である。
【図6C】図6Cは、図6Aに示す被術者11ライナの斜視図である。
【図7A】図7Aは、図3Aに示す治療デバイスに接続されたトークンの一実施例の斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示すトークンの斜視図である。
【図7C】図7Cは、図7Aに示すトークンを受け入れるためのソケットの一実施例の斜視図である。
【図7D】図7Dは、図3Aに示す治療デバイス用のソケットの別の実施例を示す図である。
【図7E】図7Eは、図3Aに示す治療デバイス用のトークンの別の実施例を示す図である。
【図7F】図7Fは、本明細書中に説明した治療デバイス用のアジャスタを示す図である。
【図8】図8は、皮膚層の下の脂肪が豊富な細胞から熱を除去即ち抽出する治療を行うための別のアプリケータの一実施例を示す斜視図である。
【図9A】図9Aは、図8に示すアプリケータの可撓性部分の正面図である。
【図9B】図9Bは、図8に示すアプリケータの可撓性部分の側面図である。
【図9C】図9Cは、図8に示す真空アプリケータの可撓性部分の平面図である。
【図9D】図9Dは、図8に示す真空アプリケータの可撓性部分の底面図である。
【図10】図10は、図8に示す真空アプリケータの剛性部分のパネルの斜視図である。
【0013】
【図11A】図11Aは、図8に示す真空アプリケータのフレームの分解斜視図である。
【図11B】図11Bは、図11Aに示すフレームの第1フレーム部分の斜視図である。
【図11C】図11Cは、図11Aに示すフレームの第2フレーム部分の斜視図である。
【図12A】図12Aは、パネル及び第2フレーム部分を含む図8に示す真空アプリケータのサブアッセンブリの分解側面図である。
【図12B】図12Bは、可撓性部分、第1フレーム部分、及び図12Aに示すサブアッセンブリを含む、図8に示す真空アプリケータのサブアッセンブリの分解斜視図である。
【図13A】図13Aは、内部キャビティと図8に示す真空アプリケータのポートとの間を流体連通する流体分離器の一実施例を示す断面図である。
【図13B】図13Bは、内部キャビティと図8に示す真空アプリケータのポートとの間を流体連通する流体分離器の別の実施例を示す断面図である。
【図14】図14は、本開示の一実施例による真空アプリケータとともに使用できる個人用保護デバイスの平面図である。
【図15A】図15Aは、本発明によるアプリケータの一実施例を示す図である。
【図15B】図15Bは、本発明によるアプリケータの一実施例を示す図である。
【図16A】図16Aは、本発明によるアプリケータの別の実施例を示す図である。
【図16B】図16Bは、本発明によるアプリケータの別の実施例を示す図である。
【図17A】図17Aは、本発明によるアプリケータの更に別の実施例を示す図である。
【図17B】図17Bは、本発明によるアプリケータの更に別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
脂肪組織等の皮下組織の治療(冷却を含む)を監視し、閉ループ制御するためのデバイス、システム、及び方法を説明する。以下に説明する詳細の幾つかは、以下の例及び方法を、当業者がこれらを実施し、製造し、使用できるのに十分に説明するために与えられるものである。しかしながら、以下に説明する詳細及び利点は、技術の特定の例及び方法を実施する上で必ずしも必要ではない。更に、技術には、特許請求の範囲に含まれるが詳細には説明しないこの他の例及び方法が含まれる。
【0015】
本明細書中に亘り、「一つの例」、「一例」「一つの実施例」、又は「一実施例」という用語は、例と関連して説明した特定の態様、構造、又は特徴が、本発明の技術の少なくとも一つの例に含まれるということを意味する。かくして、本明細書中の様々な場所の「一つの例」、「一例」「一つの実施例」、又は「一実施例」という用語は、必ずしも同じ例に関するものではない。更に、特定の態様、構造、ルーチン、工程、又は特徴は、技術の一つ又はそれ以上の例で任意の適当な方法で組み合わせられてもよい。本明細書中の小見出しは、単に便宜的に記載したものであって、特許請求した技術の範囲又は意味を制限したり説明したりしようとするものではない。
【0016】
本発明の態様は、全体として、脂肪が豊富な皮下細胞を治療するためのデバイスに関する。特定の実施例の一態様は、剛性部分及び可撓性部分に関する。剛性部分は、内側面及びこの内側面の反対側の外側面を持つ熱伝導体を含む。可撓性部分は、内面、内面の反対側の外面、及び内面と外面との間を延びる切欠きを有する。熱伝導体は切欠きに位置決めされ、可撓性部分及び剛性部分が本体を形成する。本体は、内部面及び外部面を有する。内部面は、剛性部分の内側面及び可撓性部分の内面を含み、外部面は、剛性部分の外側面及び可撓性部分の外面を含む。
【0017】
本発明の他の態様は、全体として、ターゲット領域の脂肪が豊富な皮下細胞を治療するためのシステムに関する。特定の実施例の一態様は、治療デバイス及びトークンに関する。治療デバイスは、ターゲット領域と作動的に係合するように形成されたアプリケータを含む。このアプリケータは、脂肪が豊富な細胞から熱を除去するように形成された熱除去源を含む。トークンは、治療デバイスによる治療を許可するため、治療デバイスに接続される。トークンは、トークンが治療デバイスに接続された場合に熱除去源に電気的に接続される超小型電子デバイスを含む。
【0018】
本発明の他の態様は、全体として、ターゲット領域の脂肪が豊富な皮下細胞を治療するための方法に関する。特定の実施例の一態様は、治療デバイスをターゲット領域用に形成し、所定限度内での治療デバイスの使用を許可し、治療デバイスの連続的使用が所定の限度内にあることを確認し、所定限度を越えたとき、治療デバイスの使用を禁止することに関する。治療デバイスは、脂肪が豊富な細胞から熱を除去するように形成された熱除去源を含む。
【0019】
本発明の他の態様は、全体として、脂肪が豊富な皮下細胞を冷却/加熱ユニットによって治療するための真空アプリケータに関する。特定の実施例の一態様は、剛性部分及び可撓性部分に関する。剛性部分は、内側面、外側面、及び内側面と外側面との間を延びる剛性縁部を有する。剛性部分は、内側面を外側面に連結する熱伝導体を含む。可撓性部分は、内面、内面の反対側の外面、及び内面と外面との間を延びる可撓性縁部を含む。可撓性部分及び剛性部分は、内部面、外部面、及び穴を持つ本体を形成する。内部面は、剛性部分の内側面及び可撓性部分の内面を含む。外部面は、剛性部分の外側面及び可撓性部分の外面を含む。穴は、剛性部分の剛性縁部及び可撓性部分の可撓性縁部を含む。
【0020】
本発明の他の態様は、全体として、皮膚層の下の脂肪が豊富な細胞を治療するための方法に関する。特定の実施例の一態様は、熱除去源を真空アプリケータの熱伝導性プレートの外部面に連結し、吸引源を真空アプリケータの内部キャビティに連結し、真空アプリケータを皮膚層に置き、吸引源を作動して皮膚層を真空アプリケータの内部キャビティに引き込み、熱除去源を作動して脂肪が豊富な細胞から熱を除去することに関する。
【0021】
本発明の他の態様は、全体として、皮膚層の下の脂肪が豊富な細胞を治療するためのデバイスに関する。特定の実施例の一態様は、ベース、継手、及び熱伝導体に関する。ベースは、第1アタッチメントを含む。継手は、キャビティの口部を形成する輪郭の第1部分を含む。継手は、更に、第1デバイス構成において第1アタッチメントに連結され、第2デバイス構成において第1アタッチメントから外される第2アタッチメントを含む。熱伝導体は、キャビティの少なくとも一部の周囲に配置されており、第1デバイス構成において輪郭が皮膚層と係合したとき、脂肪が豊富な細胞に関して熱伝達するように形成されている。
【0022】
本発明の他の態様は、全体として、皮膚層の下の脂肪が豊富な細胞を治療するためのデバイスに関する。特定の実施例の一態様は、内部キャビティを形成する真空カップ、キャビティの少なくとも一部の周囲に配置された熱伝導体、及びアジャスタに関する。真空カップは、キャビティの口部を形成する輪郭を備えている。熱伝導体は、輪郭が皮膚層と係合したとき、脂肪が豊富な細胞に関して熱を伝達するように形成されている。アジャスタは、(a)部キャビティの寸法、及び(b)内部キャビティに関する熱伝導体の位置のうちの少なくとも一方を調節するように形成されている。
【0023】
本発明の他の態様は、全体として、ターゲット領域の脂肪が豊富な皮下細胞を治療するためのシステムに関する。特定の実施例の一態様は、ベース、第1継手、第2継手、及び熱伝導体に関する。ベースは、第1アタッチメントを含む。第1継手は、第1キャビティの第1口部を形成する第1輪郭の一部を含む。継手は、第1デバイス構成において第1アタッチメントに連結され、第2デバイス構成において第1アタッチメントから外される第2アタッチメントを含む。第2継手は、第2キャビティの第2口部を形成する第2輪郭の一部を含む。第2継手は、第3デバイス構成において第1アタッチメントに連結される第3アタッチメントを含む。熱伝導体は、キャビティの少なくとも一部の周囲に配置される。熱伝導体は、第1構成において第1輪郭が皮膚層と係合したとき、及び第3構成において第2輪郭が皮膚層と係合したとき、脂肪が豊富な細胞に関して熱を伝達するように形成されている。
【0024】
本発明の他の態様は、全体として、方法に関する。特定の実施例の一態様は、第1継手を真空アプリケータのベースに連結し、第1継手を第1皮膚層領域に配置し、熱伝導体と第1皮膚層領域の下の脂肪が豊富な細胞との間で熱を伝達し、第1継手を第1皮膚層領域から変位し、第1継手をベースから外し、第2継手をベースに連結し、第2継手を第2皮膚層領域に配置し、熱伝導体と第2皮膚層領域の下の脂肪が豊富な細胞との間で熱を伝達することに関する。
適当な治療システム
【0025】
図1及び以下の議論は、本開示の態様を実施できる適当な治療システム10の簡単な概略の説明を提供する。本開示は、侵襲的な、侵襲性が最小の、他の非侵襲的治療システム、及び/又は被術者11を治療するための上述の方法のうちの一つ又はそれ以上の組み合わせを含む他の治療システム及び治療プロトコルで実施できるということは当業者には理解されよう。一般的には、「治療システム」という用語は、本明細書中で使用されているように、医学的治療の上述のシステムカテゴリー並びに治療計画又は医療デバイスの使用に関する。
【0026】
治療システム10は、被術者の皮下脂肪組織を冷却等によって治療するのに適している。「皮下組織」には、真皮の下にある組織が含まれ、これには皮下脂肪即ち脂肪組織が含まれる。これは、主に脂肪が豊富な細胞即ち脂肪細胞を含む。皮下組織を37℃よりも低い温度まで冷却すると、脂肪が豊富な皮下細胞に影響を選択的に及ぼすことができる。一般的には、被術者11の表皮及び真皮には、その下にある、脂肪組織を形成する脂肪が豊富な細胞と比較して、脂肪が豊富な細胞がない。脂肪が豊富でない細胞は、通常は、脂肪が豊富な細胞よりも良好に比較的低い温度に耐えることができるため、真皮、表皮、及び他の周囲組織の脂肪が豊富でない細胞に悪影響を及ぼすことなく、脂肪が豊富な皮下細胞に選択的に影響を及ぼすことができるのである。幾つかの実施例では、治療システム10は、約−20℃乃至約20℃の範囲で被術者11の皮膚に冷却温度を加えることができる。他の実施例では、冷却温度は、約−20℃乃至約10℃、約0℃乃至約20℃、約−15℃乃至約5℃、約−5℃乃至約15℃、又は約−10℃乃至約0℃であってもよい。
【0027】
特定の理論によって括られるものではないが、冷却により脂肪が豊富な細胞に選択的に及ぼされる効果は、例えば、膜を破り、細胞を収縮し、脂肪が豊富な細胞を不能化し、破壊し、除去し、滅殺し、又はこの他の変質をもたらすものと考えられる。こうした変質は、単独で又は組み合わせて作用する一つ又はそれ以上の機構により生じるものと考えられる。こうした機構が、非侵襲的冷却による脂肪が豊富な細胞の死の優性型(dominant form) であると考えられるアポトーシスカスケードをトリガーすると考えられる。
【0028】
「プログラムされた細胞死」とも呼ばれるアポトーシスは、遺伝的に誘発された死のメカニズムであり、このメカニズムにより、細胞は、周囲組織に損傷を及ぼすことなく自己破壊する。規則正しい一連の生化学的イベントにより、細胞の形態学的変化が生じる。これらの変化には、細胞小疱形成、細胞膜の非対称性及び付着性の欠落、細胞の収縮、クロマチン凝縮、及び染色体DNA断片化が含まれる。低温暴露等の外部刺激で傷付くことにより、細胞の細胞アポトーシスが誘発される場合がある。低温細胞学誌第27巻(1990年)の第439頁乃至第451頁に記載された、ネイグルW.A.、ソロフB.L.、モスA.J.ジュニア、ヘンレK.J.等の「非凍結温度の低温に暴露した後のアポトーシス状態のチャイニーズハムスターの培養細胞」を参照されたい。
【0029】
アポトーシスの一態様は、細胞壊死(局所的炎症を引き起こす、外傷による細胞死)とは異なり、アポトーシス細胞が食細胞マーカーを細胞膜の表面上に発現し、表出し、かくしてマクロファージによる食作用のマークを細胞に付けることである。その結果、免疫応答を生じることなく、食細胞が瀕死の細胞(例えば脂質豊富な細胞)を飲み込んで除去する。脂質豊富な細胞でこれらのアポトーシスイベントを生じる温度は、皮下脂肪組織を長期に亘って及び/又は永久的に減少し再形成するのに寄与する。
【0030】
脂肪が豊富な細胞の冷却によるアポトーシス死の一機構は、脂質豊富でない細胞では結晶化を生じない温度で、脂肪細胞内の脂質を局所的に結晶化することであると考えられている。結晶化した脂質は、これらの細胞を選択的に傷害し、アポトーシスを生じる(更に、結晶化した脂質が脂肪細胞の脂質二重膜を損傷したり破ったりした場合に壊死を生じる)。別の傷害機構は、細胞の脂質二重膜内の脂質の相転移を伴う。これにより膜が破壊され、細胞膜の一体性及び/又は機能を損ない、アポトーシスを誘発する。この機構は、多くの種類の細胞で良好に記録されており、脂肪細胞即ち脂質豊富な細胞を冷却した場合に生じる。サイエンス誌第68巻(1970年)の第939頁乃至949頁に記載されたマズールP.の「低温細胞学:生命システムの凍結」、低温細胞学誌第22巻(1985年)の第128頁乃至第147頁に記載された、クインP.J.の「生体膜に対する低温傷害の脂質相分離モデル」、心不全レビュー誌の第8巻(2003年)の第277頁乃至284頁に記載されたスビンスキーB.の「低温保存の原理」を参照されたい。脂質豊富な細胞の脂質豊富でない細胞に対する冷却についての相対的感受性に基づき、未だ理解されていないこの他のアポトーシスを機序が存在する。
【0031】
脂質豊富な細胞の死と関連したアポトーシス機序に加え、局所的低温暴露もまた、脂肪が豊富な細胞の脂質分解(即ち脂肪代謝)を誘発すると考えられており、現存の脂肪の分解を高めることが示されてきた。これは、脂質豊富な皮下細胞の減少を更に高めるのに役立つ。航空、宇宙、及び環境医学誌第70巻(1999年)の第42頁乃至50頁に記載された、バレラントA.L.、ザメックニックJ.、ジョーンズP.J.H.、ヤコブI.の「低温ストレスの増大が脂質分解を高める。人体のFFA Ra及びTG/FFAサイクル」を参照されたい。
【0032】
様々な実施例において、治療システム10は、制御装置、コンピュータデバイス、データ収集デバイス、深冷器、及び一つ又はそれ以上のアプリケータを含む。治療システム10は、治療プロファイルの選択を受け取り、選択された治療を被術者11に適用するため、様々な実施例でこれらの構成要素を使用できる。
【0033】
図1は、被術者11の腹部領域12又は他の適当な領域等の脂肪が豊富な皮下ターゲット領域から熱を非侵襲的に除去するための治療システム10を示す。システム10は、被術者11の脂肪が豊富な皮下細胞を冷却する、即ち熱を除去するため、被術者11のターゲット領域と係合する治療デバイス14を含む。治療デバイス14は、被術者11の脂肪が豊富な任意の皮下ターゲット領域から熱を除去できるように、身体の様々な部位に適した様々な形態、形状、及び大きさを備えていてもよいということは理解されよう。
【0034】
治療デバイス14は、人間や動物(即ち「被術者11」)等の被術者11のターゲット領域を冷却するアプリケータ15を含む。治療中、真空アプリケータ(マッサージ機能又はバイブレート機能と組み合わせて使用してもよい)等の様々な種類のアプリケータを適用してもよい。各アプリケータは、顎、頬、腕、胸部領域、大腿、ふくらはぎ、臀部、背部、腹部、ウェスト周囲の余分な脂肪、等の患者の身体のターゲット領域を治療するように設計されていてもよい。例えば、真空アプリケータを背部領域にマッサージ又はバイブレーションとともに、又はマッサージ又はバイブレーションなしで適用してもよい。システム10で使用できるアプリケータの例及びこれらのアプリケータの形態は、例えば、一般に譲渡された米国特許公開第2007/0198071号、第2008/0077201号、及び第2008/0077211号、及び米国特許出願第11/750,953号に様々に記載されている。特定の実施例では、システム10には、アプリケータ15が患者の皮膚と直接的に接触しないようにする患者保護デバイス、例えばスリーブ又はライナが含まれていてもよい。これによって、患者間の交差感染の可能性を低減し、アプリケータ15のクリーニングの必要を減少する等の利点が得られる。特定の他の実施例では、患者保護デバイスは、例えばこのデバイスの監視及び/又は計測に使用できるように、電子タグ(RFID)構成要素等の様々な記憶デバイス、演算処理デバイス、及び通信デバイスを含んでいてもよく、即ち組み込んであってもよい。ライナ即ち患者保護デバイスの例は、本明細書中及び一般に譲渡された米国特許公開第2008/0077201号に記載されている。
【0035】
システム10は、更に、治療ユニット16と、治療デバイス14と治療ユニット16との間の供給−戻し流体ライン18a及び18bとを含んでいてもよい。治療ユニット16は、クーラントからヒートシンクに熱を除去でき、深冷したクーラントを流体ライン18a及び18bを介して治療デバイス14に提供できる。別の態様では、治療ユニット16は、温め期間中、暖かなクーラントを治療デバイス14に循環できる。循環するクーラントの例には、水、グリコール、合成熱伝達流体、オイル、冷媒、及び/又は任意の他の適当な熱伝導流体が含まれる。流体ライン18a及び18bは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、及び/又は特定の循環クーラントに適した他の材料で形成されたホース又は他の導管であってもよい。治療ユニット16は、冷却ユニット、冷却塔、熱電深冷器又は冷却器、又はクーラントから熱を除去できる任意の他のデバイスであってもよい。別の態様では、治療ユニットの代わりに上水道(水道水)を使用してもよい。更に、使用可能なこの他の多くの他の冷却技術があり、治療ユニット又は深冷器は必ずしも、本明細書中で説明したものに限定されないということは当業者には理解されよう。
【0036】
図1に示す実施例では、治療デバイス14は、米国特許第7,367,341号及び一般に譲渡された米国特許公開第2008/0287839号に記載されているように、振動、マッサージ、及び/又は脈動効果を発生する機械的エネルギを提供してもよい。治療デバイス14は、治療箇所に振動エネルギを提供するため、偏心重りを持つモータ、又は液圧モータ、電気モータ、空気圧モータ、ソレノイド、他の機械的モータ、圧電式振動器、等の他の振動モータ等の一つ又はそれ以上のアクチュエータを含んでいてもよい。例えば、単一の治療デバイス14及び/又はアプリケータ15と関連して任意の所望の組み合わせで使用するため、複数のアクチュエータが設けられていてもよい。例えば、偏心重りアクチュエータ(図示せず)が治療デバイス14のハウジング14aに連結されていてもよく(図3D参照)、更に、同じ治療デバイス14の様々な区分に様々な効果を提供できるように、空気圧モータ(図示せず)がハウジング14aに連結されていてもよい。例えば、これにより、治療システム10のオペレータには、被術者11の単一のターゲット領域内の又は多数のターゲット領域に亘る、脂肪が豊富な細胞の様々な治療の選択肢が与えられる。使用されるアクチュエータの数及び種類を様々に組み合わせることにより、様々な治療デバイス14又はアプリケータ15が得られる。
【0037】
治療デバイス14は、一つ又はそれ以上のペルチェ型熱電素子を含んでいてもよい。例えば、治療デバイス14は、カスタム空間冷却プロファイル及び/又は時変冷却プロファイルを形成するため、個別に制御される複数の熱セグメントを備えていてもよい。各カスタム治療プロファイルは、一つ又はそれ以上のセグメントを含んでいてもよく、各セグメントは指定の持続時間、ターゲット温度を含んでいてもよく、振動、マッサージ、真空、及び他の治療モード等の特徴についてのパラメータを制御してもよい。個別に制御される多数の熱交換ユニットを持つ冷却デバイスは、例えば、一般に譲渡された米国特許公開第2008/0077211号に記載されている。
【0038】
システム10は、更に、電源20と、治療デバイス14及びアプリケータ15に作動的に連結された演算処理ユニット24とを含んでいてもよい。一例では、電源20は、被術者11から熱を除去するため、アプリケータ15に連結された熱電素子に直流電流を電力ライン22を介して提供する。演算処理ユニット24は、治療デバイス14の近くに配置されたセンサ(図示せず)を介して、信号ライン26を通して、プロセスパラメータを監視してもよい。これは、とりわけ、プロセスパラメータに基づいて熱除去速度を調節するためである。演算処理ユニット24は、更に、プロセスパラメータに基づいてアプリケータ15を調節するため、プロセスパラメータを監視してもよい。
【0039】
演算処理ユニット24は、図1に示すように、信号ライン26を通して治療デバイス14と直接的に通信していてもよく、別の態様では、演算処理ユニット24は無線リンク又は光通信リンクを介して治療デバイスに連結されていてもよい。演算処理ユニット24は、任意のプロセッサ、プログラム可能論理制御装置、分散制御システム等であってもよい。電力ライン22及び信号ライン26は、支持構造を持たない状態で図1に示してあるということに着目されたい。別の態様では、電力ライン22及び信号ライン26(及び流体ライン18a及び18bを含むがこれらのラインに限定されないこの他のライン)は、これらのラインを保護し、使用者の安全性及び人間工学的快適さを高め、望ましからぬ(及びかくして被術者11からの熱の除去即ち抽出を非効率にする場合がある)動きを最小にし、絶縁及び断熱を提供し、システム10に美的な外観を提供するため、導管等によって束ねるなどして纏められていてもよい。こうした導管の例には、可撓性ポリマー製、布製、又は複合材料製のシース、調節自在のアーム等が含まれる。このような導管(図示せず)は、被術者11の治療を行うため、導管を所定の場所に「固定」するように設計(調節自在の関節等によって)されていてもよい。
【0040】
別の態様では、演算処理ユニット24は、入力デバイス28、出力デバイス30、及び/又は治療デバイス14のハウジング14aに設けられた制御パネル14b(図3B参照)と電気的に又は他の方法で通信してもよい。入力デバイス28は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、押しボタン、スイッチ、電位差計、これらの任意の組み合わせ、及び使用者の入力を受け入れるのに適したこの他の任意の一つ又はそれ以上のデバイスであってもよい。出力デバイス30には、ディスプレー又はタッチスクリーン、プリンター、メディアリーダー、オーディオデバイス、視覚デバイス、これらの任意の組み合わせ、及び使用者にフィードバックを提供するのに適したこの他の任意の一つ又はそれ以上のデバイスであってもよい。図1の実施例では、入力デバイス28及び出力デバイス30は、タッチスクリーン等の単一のユニットで組み合わせられていてもよい。制御パネル14bには、視覚的表示器デバイス又は制御装置(ライト、数字ディスプレー、等)及び/又は音響表示器デバイス又は制御装置が含まれていてもよい。制御パネル14bは、図3Bに示すように、入力デバイス28及び/又は出力デバイス30とは別個の構成要素であってもよく、入力デバイス28及び出力デバイス30のうちの一つ又はそれ以上と一体化していてもよく、別の場所に置かれていてもよい。この例では、演算処理ユニット24、電源20、制御パネル、治療ユニット16、入力デバイス28、及び出力デバイス30は可搬性のためにホイールを備えたラック又はカート34によって支持されている。別の例では、演算処理ユニット24は、治療デバイス14及び/又はアプリケータ15及び/又は上文中に説明した被術者11保護デバイスに内蔵されていてもよく、取り付けられていてもよく、又は一体化されていてもよい。更に別の例では、様々な構成要素は、患者支持体(例えば椅子、車輪付き担架、等)又は治療室内の他の器具に固定的に設置されていてもよいし、これと一体化してあってもよい。構成要素、及び/又は治療デバイス14、アプリケータ15、及び他の構成要素の作動に関する更なる詳細は、一般に譲渡された米国特許公開第2008/0287839号に記載されている。
【0041】
理論によって括られるものではないが、伝導により冷却を行うアプリケータ15による効果的冷却は、作動時に、多くの要因で決まると考えられる。皮膚領域及び関連した組織からの熱の除去又は抽出に影響を及ぼす要因の例には、例えば、治療ユニットの表面積、インターフェース部材の温度、及び組織に送出される機械的エネルギが含まれる。更に詳細には、作動時に、及び治療プロトコルを開始する入力を受け取ったとき、演算処理ユニット24により、処方された治療計画の各セグメントに亘って治療デバイス14のサイクルを行う。そうすることにより、治療デバイス14は熱電冷却器(例えばTEC「ゾーン」)等の一つ又はそれ以上の冷却セグメントに出力を加え、冷却サイクル、及び例えば振動、マッサージ、真空等の作動的な機能又はモードを開始する。演算処理ユニット24は、治療デバイス14、アプリケータ15、被術者11ライナ又はデバイス、患者の皮膚、又は他の位置又はこれらの組み合わせと近接して設けられた温度センサ又は熱流束センサ(図1には示さず)を使用し、温度又は熱流束がターゲット温度又は熱流束或に十分に近いかは或いは既に到達しているのかを決定する。身体の一領域(例えば脂肪組織)がターゲット温度まで、又はターゲット熱流束によって冷却又は加熱された場合、実際には、身体の自然の加熱及び冷却変化のため、身体の当該領域はターゲット温度に近いけれどもターゲット温度と等しくはないということは理解されよう。かくして、システムは、ターゲット温度まで又はターゲット熱流束によって加熱又は冷却しようとするけれども、センサは、十分に近い温度を計測する。ターゲット温度に達していない場合には、電力を増大し又は減少し、熱流束を必要とされるように変化し、ターゲット温度即ち「設定点」を維持する。処方されたセグメント持続時間が完了したとき、演算処理ユニット24は、次の治療プロファイルセグメントに表示された温度及び持続時間を適用する。幾つかの実施例では、電力以外の変数を使用して、又は電力及びその他の変数を使用して制御を行うことができる。
【0042】
システムの例によれば、治療デバイス14及びアプリケータ15は、冷却された脂肪組織の破壊を高める。更に、これらの例は、治療時間を短縮し、被術者11に対する不快感を低減し、治療効果を高める。
【0043】
システムのこれらの例は、治療ターゲット領域内の脂肪が豊富でない細胞に付帯的損傷を及ぼすことなく、脂肪が豊富な皮下細胞を損傷し、傷害し、破壊する治療デバイス14及びアプリケータ15を提供する。一般的には、脂肪が豊富な細胞は、脂肪が豊富でない細胞には脂肪が豊富な細胞と同程度又は同様の影響が及ぼされない低温にこれらの細胞を暴露することによって、影響(例えば、損傷、傷害、又は破壊)が選択的に及ぼされるものと考えられる。その結果、皮下脂肪組織等の脂肪が豊富な細胞には損傷が及ぼされるのに対し、同じ領域の他の細胞には、一般的には、たとえ表面にある脂肪が豊富でない細胞に更に低い温度が加えられようとも、損傷が及ぼされない。アプリケータによって加えられた機械的エネルギは、機械的エネルギの作用が及ぼされた脂肪が豊富な細胞を機械的に破壊することによって、脂肪が豊富な細胞に及ぼされる効果を更に高める。
【0044】
システムの幾つかの例では、治療デバイスは、(a)被術者11の皮膚と冷却ユニット50との間を熱的に結合し、これらの間の熱伝達を改善する物質、及び/又は(b)被術者11の生体組織を凍結損傷(例えば氷の形成による損傷)から保護する物質とともに使用されてもよい。物質は、流体、例えば液体、ゲル、又はペーストであってもよく、これらは、吸湿性であり、熱伝導性であり、そして生体親和性であってもよい。本開示による幾つかの実施例は、脂肪が豊富でない組織(例えば皮膚組織)が治療中に凍結しないようにするのを補助できる温度抑制剤を含む凍結防止物質を使用してもよい。適当な凍結防止物質及び凍結防止物質を適用するプロセスは、一般に譲渡された米国特許公開第2007/0255362号に記載されている。温度抑制剤は、凍結防止物質の部分であってもよく、増粘剤、pH緩衝剤、湿潤剤、界面活性剤、及び/又は他の添加剤を追加に含んでいてもよい。温度抑制剤は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、又は他の適当なアルコール化合物を含んでいてもよい。特定の実施例において、凍結防止物質は、ポリプロピレングリコールを約30%、グリセリン(湿潤剤)を約30%、及びエタノールを約40%含んでいてもよい。別の実施例では、凍結防止物質は、プロピレングリコールを約40%、ヒドロキシエチルセルロース(増粘剤)を約0.8%、及び水を約59.2%含んでいてもよい。更に別の実施例では、凍結防止物質は、ポリプロピレングリコールを約50%、グリセリンを約40%、及びエタノールを約10%含んでいてもよい。
【0045】
作動の一態様では、アプリケータ15は治療デバイス14に連結されている。以下に説明するように、治療を効率的に行う上で、治療デバイス14を真空等の力で被術者11の皮膚に適用するのが有利である。一般的には、被術者11の体温は約37℃であり、血液の循環が、体温を一定に保つための一つの機構である。その結果、皮膚及び治療が行われるべき領域の皮下層を通る血流は、皮下脂肪の冷却に対抗する熱源であると考えられる。従って、問題の組織を冷却するには、このような組織から熱を除去するばかりでなく、この組織を通る血液循環による熱も除去する必要がある。かくして、例えば真空を適用するといった手段によって、治療領域を通る血流を一時的に減少し又はなくすことにより、組織冷却の効率を改善できる。更に、真空により皮膚及び皮下脂肪組織を身体から引き離すことにより、皮下脂肪と血液が良好に循環している筋組織との間の距離を離すことによって、及び皮下脂肪組織を二つの側部から同時に冷却できるようにすることによって、皮下組織の冷却を補助できる。本開示による実施例は、組織が引き込まれる内部キャビティを含んでいてもよい。内部キャビティには、単一の冷却面又は内部キャビティの周囲の任意の別個の場所に配置された複数の冷却面が設けられていてもよく、又は内部キャビティの一部又は全体に冷却面が設けられていてもよい。
【0046】
皮下組織を37℃よりも低い温度まで冷却することによって、脂肪が豊富な皮下細胞を選択的に損傷してもよい。一般的には、被術者11の表皮及び真皮に含まれる脂肪酸の量は、その下にある皮下組織を形成する脂肪が豊富な細胞と比較して少ない。脂肪が豊富でない細胞は、通常は、比較的低い温度に対し、脂肪が豊富な細胞よりも良好に耐えることができるため、表皮及び真皮の脂肪が豊富でない細胞を維持したまま、脂肪が豊富な皮下細胞が選択的に傷害される。例えば、温度範囲は、約−20℃乃至約10℃、約0℃乃至約20℃、約15℃乃至約5℃、約−5℃乃至約15℃、又は約−10℃乃至約0℃であってもよい。
【0047】
図2は、脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去するための治療デバイス14を示す概略図である。治療デバイス14は、冷却ユニット50及びインターフェース層60を持つアプリケータ15を含んでいてもよい。インターフェース層60は、プレートであってもよく、フィルムであってもよく、カバーであってもよく、又は本明細書中に説明したこの他の適当な材料であってもよく、本明細書中に説明した被術者11保護デバイスとして役立っても良い。インターフェース層60は、冷却ユニット50と、治療デバイス14による治療を受ける被術者11の皮膚70との間に配置される。冷却ユニット50は、制御デバイス80と本明細書中に説明したように通信する通信構成要素55と、冷却プレート50の熱流束又は温度等の一つ又はそれ以上のプロセスパラメータを計測する計測構成要素57とを含んでいてもよい。インターフェース層60は、更に、同様の通信構成要素65、及びインターフェース層60の熱流束又は温度等の一つ又はそれ以上のプロセスパラメータを計測する計測構成要素67を含んでいてもよい。例えば、通信構成要素55及び/又は65が、制御デバイス80からの情報の受信及び送信の両方を行ってもよい。こうした情報には、計測ユニット57及び/又は67が決定した温度情報等が含まれる。デバイス14は、更に、図1及び関連出願に関して説明した電力構成要素及び他の構成要素を含んでいてもよい。
【0048】
幾つかの場合において、患者保護デバイスは、患者の皮膚との接触に使用されるスリーブ及び/又はインターフェース層を含んでいてもよい。このようなスリーブの一例は、第1スリーブ部分及び第2スリーブ部分を含む。第1スリーブ部分は、患者の皮膚と接触してもよく、及び/又は治療デバイスと患者の皮膚との接触を容易にする。第2スリーブ部分は、第1スリーブ部分から延びる遮断層であってもよい。例えば、第2スリーブ部分は、ラテックス、ゴム、ナイロン、ケブラー(ケブラー(Kevlar)は登録商標である)、又は他の実質的に不透過性の又は半透性の材料で形成されていてもよい。第2スリーブ部分は、とりわけ、患者の皮膚と冷却プレートとが接触しないようにする。患者保護デバイスに関するこの他の詳細は、米国特許公開第2008/0077201号に記載されている。
本開示の治療デバイスは、治療デバイスと患者の皮膚との間の接触を補助する上で真空を使用してもよい。真空は、治療中に機械的エネルギを加えるのに使用してもよい。例えば真空を被術者の組織に繰り返し加えたり解放したりすることによってターゲット領域に機械的振動を加え、又は例えば被術者の組織に加えられる真空のレベルを変調し、治療中にマッサージ作用を発生する。
【0049】
図3Aは、本技術の一実施例による、脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去するための治療デバイス14の一部を示す側面図である。図3Bは、ハウジング14a及び制御パネル14bを示す治療デバイス14の平面図であり、図3Cは、治療デバイス14に連結されたアプリケータ15を示す底面図である。図3Dは、アプリケータ15の特定の特徴を示す、治療デバイス14の部分分解斜視図である。図3Eは、アプリケータ15の構成要素の詳細図である。アプリケータ15は、可撓性部分100と、少なくとも一つの全体に剛性の部分、例えばパネル200a及び200bと、パネル200a及び200bと可撓性部分100との間の少なくとも一つのフレーム300(図3Eにフレーム300a及び300bとして別々に示してある)を含んでいてもよい。例示の実施例では、アプリケータ15は、内部面92及び外部面94を有する。内部面92は、真空が発生される内部キャビティ96を形成する。
【0050】
図3Bを参照すると、制御パネル14bは、治療システム10のオペレータが容易にアクセスできるように治療デバイス14に配置されていてもよい。制御パネル14bにより、オペレータは治療デバイス14により治療の制御及び/又は監視を行うことができる。例えば、第1オン/オフボタンが治療の開始又は終了を指示し、第2オン/オフボタンが内部キャビティ96内に真空を引くためのポンプ(図示せず)を作動する。例えば治療が進行中であるかどうか及び/又は真空ポンプが作動しているかどうかの視覚的表示をインジケータライトが提供してもよい。
【0051】
図3Cを参照すると、アプリケータ15は、可撓性部分100をハウジング14aと流体密係合するようにクランプする取り付けプレート110によって治療デバイス14に連結されていてもよい。取り付けプレート110は、可撓性部分100に一体形成されていてもよいし、可撓性部分110に別に連結されてもよい。取り付けプレート110の穴112は、内部キャビティ96内に真空を引くための通路を提供する。図3Cには、少なくとも一つのファスナ114、例えば4本のねじが示してあり、これらのねじにより取り付けプレート110をハウジング14aに取り外し自在に固定してもよい。従って、ファスナ114を取り外すことにより、アプリケータ15を治療デバイス14に関して交換できる。他の実施例では、接着剤又は別の種類のファスナを使用し、取り付けプレート110を用いて、又は取り付けプレート110を使用せずに、アプリケータ15を治療デバイス14に連結してもよい。取り付けプレート110には、更に、インターフェース層60(図2参照)を取り外し自在に保持するため、一つ又はそれ以上の磁石116(図3Cには二つの磁石116a及び116bが示してある)が設けられていてもよい。更に、ライナ400(図6A、図6B、及び図6C参照)がアプリケータ15の内部キャビティ96内に配置されているかどうかを感知するため、導電性回路検出器(electrical conductivity circuit detector)(図示せず)等のセンサが、少なくとも二つの磁石116を介して連結されていてもよい。
【0052】
図3Dを参照すると、各剛性部分200は、コールドプレート210、少なくとも一つの熱電冷却器(TEC)230、熱交換器240、フレキシブルプリント基板250、及び剛性部分200を覆う保護ハウジング260を含んでいてもよい。個々の剛性部分200は、可撓性部分100と比較して比較的剛性である。従って、剛性部分200は、内部キャビティ96内に真空を引いたとき、弓なりになる等の変形に抗する。こうした変形は、脂肪が豊富な皮下細胞から熱をコールドプレート210を通して引き出すTECの性能を低下してしまう。
【0053】
図4A乃至図4Dは、個々の剛性部分200の組み立ての異なる段階を示す。詳細には、図4Aは、コールドプレート210の一実施例を示し、図4Bは、コールドプレート210上に位置決めした三つの計測構成要素57(図2参照)の一例を示し、図4Cは、計測構成要素57上に位置決めした三つのTEC230(個々にTEC230a、230b、及び230cとして示す)を示し、図4Dは、これらのTECを覆う熱交換器240を示す。
【0054】
図4Aを参照すると、コールドプレート210は、第1表面212及び第2表面214を持つアルミニウムパネル又は銅パネルであってもよい。他の実施例では、コールドプレート210は、適当には剛性であり且つ熱伝導性の他の材料で形成されていてもよい。コールドプレート210は、内部キャビティ96(図3D参照)内に真空を引いたときに弓なりになる等の変形に抗し、TEC230(図3D参照)と被術者11との間の熱経路を維持する。図4Aに示すように凹状の輪郭を備えていてもよい第1表面212は、計測構成要素57(図2参照)を受け入れるための一つ又はそれ以上の凹所216(図4Aには三つの凹所216a、216b、及び216cが示してある)を備えていてもよく、TEC230を位置決めするための一つ又はそれ以上(図4Aには四つの肩部218a、218b、218c、及び218dが示してある)の肩部218を備えていてもよい。第1表面212の周囲には、剛性部分200をフレーム300(図3D及び図3E参照)に連結するための一つ又はそれ以上の特徴(例えば図示の四つの穴)を持つ取り付けフランジ212aが設けられていてもよい。コールドプレート210には、更に、切欠き210aが設けられていてもよい。この切欠き210aを通して、計測構成要素57及び/又はTEC230用の電線を通すことができる。
【0055】
図4Bを参照すると、計測構成要素57(図2参照)には、例えば、少なくとも一つの温度センサ220(図4Bには、三つの温度センサ220a、220b、及び220cが示してある)が設けられていてもよい。これらの温度センサ220は、コールドプレート210の温度を検出するため、第1表面212に位置決めされる。特定の実施例によれば、温度センサ220には、サーミスタ(例えば、ベータサーム・モデル10K3MBD12サーミスタ)、又はコールドプレート210の一つ又はそれ以上の位置の温度を検出するのに適した他の種類のセンサが含まれる。温度センサ220から延びる電線を、接着剤でコーティングしたカプトン(カプトン(Kapton)は登録商標である)等のポリイミドフィルム又は他の適当なテープによって一時的に保持してもよい。別の態様では、温度センサ220を凹所216a、216b、及び216c(図4A参照)に挿入してもよい。これらの温度センサ220の電線は、切欠き(図4A参照)に通される。本開示による幾つかの実施例は、温度以外のパラメータ、例えば熱流束を計測する計測構成要素57及び67を含んでいてもよい。更に、計測構成要素57及び67は、計測構成要素信号に及ぼされる周囲ノイズのカップリング又は影響を低減するため、差動信号を使用してもよい。
【0056】
図4Cを参照すると、第1表面212に設けられた温度センサ220上にTEC230を位置決めするのに肩部218を使用してもよい。TEC230は、熱インターフェースパッド(図示せず)、例えばロコタイト(ロコタイト(Loctite)は登録商標である)、パワーストレート(パワーストレート(Powerstrate)は登録商標である)、イクストリーム(イクストリーム(Xtreme)は登録商標である)、又はTEC230とコールドプレート210との間に顕著な断熱を提供しない任意の適当な接着剤によって、第1表面212に関して連結されていてもよい。TEC230は、電気を使用して熱をTEC230の一方の側から他方の側に伝達するペルチェデバイス又はその他のソリッドステートアクティブヒートポンプを含んでいてもよい。作動では、TEC230は、コールドプレート210に熱的に連結された「低温」側から、熱交換器240(図3D参照)に熱的に連結された「高温」側に熱を伝達する。熱伝導性接着剤であってもよいシーラント232(図4D参照)が、TECとコールドプレート210との間を結合し、ここにシールを提供し、コールドプレート210と熱交換器240との間を結合し、ここにシールを提供し、温度センサ220(図4B)から延びる電線の周囲にシールを形成する。シーラント232は、更に、接触する構成要素間の熱抵抗を最小にするのに役立つ。適当なシーラント材料の一例は、ダウ・コーニング社からカタログ番号第3−6651号として入手可能な熱伝導性エラストマーである。
【0057】
図4Dを参照すると、熱交換器240は、TEC230(図4C参照)上に位置決めされ、シーラント232によりコールドプレート210に対してシールされる。熱交換器240には流体入口242及び流体出口244が設けられており、これらの流体入口及び流体出口は、アプリケータ14のハウジング14aから延びる対応するチューブ(図示せず)と協働的に係合する。熱交換器240は、更に、熱交換器240内部へのアクセスを提供するカバー246(図3D参照)を含んでいてもよい。作動では、クーラントは、治療ユニット16(図2参照)から、流体供給ライン18a(図2参照)、ハウジング14a、流体入口242を通って熱交換器240に流入する。流体は、熱交換器240のTEC230の「高温」側から熱を吸収し、次いで、流体出口244、ハウジング14a、流体戻しライン18b(図2参照)を通って治療ユニット16に流入する。従って、治療ユニット16は、TEC230によって、脂肪が豊富な皮下細胞からコールドプレート210を介して伝達された熱を除去するためのヒートシンクを提供できる。
【0058】
フレキシブルプリント基板250(図3D参照)は、コールドプレート210の第2表面214に例えば接着によって連結されていてもよい。フレキシブルプリント基板250には、患者の皮膚の温度を検出するため、一つ又はそれ以上の熱流束センサ又は温度センサ252が設けられていてもよい(図3Dでは、三つの温度センサ252a、252b、及び252cが設けられている)。特定の実施例によれば、温度センサ252は、サーミスタ、熱電対、熱電対列、又は患者の皮膚の一つ又はそれ以上の場所で温度及び/又は熱流束を検出するのに適したこの他の種類のセンサを含んでいてもよい。患者の皮膚に突き合わせられる平らな表面を提供するため、コールドプレート210に面するフレキシブルプリント基板250の表面に温度センサ252を取り付けることができる。各温度センサ252が占める物理的容積は、第2表面214に形成された対応する凹所214a(図3D参照)に収容できる。凹所214a内の空いた容積は、フレキシブルプリント基板250が撓んで凹所214aに入り込むことがないように、フォーム、室温加硫材料、又は別の裏当材料で充填されていてもよい。フレキシブルプリント基板250用の基材として、カプトン(カプトン(Kapton)は登録商標である)、別のポリイミドフィルム、又は他の適当な材料が含まれる。
【0059】
温度センサ252からの信号出力は、ハウジング14a内に延びる導電性トレース(図示せず)を介して電気的に接続される。これらの導電性トレースは、温度センサ252をアプリケータ14のハウジング14a内の電気回路(図示せず)及び電力ライン22(図1参照)に電気的に接続する。他の実施例によれば、温度センサ252からの信号出力は、導電性トレースを介してでなく、無線で伝達されてもよい。作動では、温度センサ252は、患者の皮膚温度と関連できる温度を検出でき、例えばインターフェース層60(図2参照)、熱カップリング流体、及び/又は温度センサ252が計測した温度を患者の皮膚又は所定の深さの皮下脂肪組織の実際の温度からずらす他の要因の存在に関して較正される。
【0060】
プリント基板250は、更に、超小型電子デバイス(図示せず)を含んでいてもよい。超小型電子デバイスには、マイクロプロセッサ、メモリー、入出力デバイス、又はこれらの組み合わせが含まれる。超小型電子デバイスは、温度センサ252からの信号出力に電気的に接続されていてもよく、例えば、記憶、計算、及び/又は出力信号についての通信を行う。
【0061】
図5Aは、アプリケータ15の可撓性部分100の一実施例の正面図である。図5Bは、図5Aに示す可撓性部分100の側面図であり、図5Cは平面図であり、図5Dは底面図である。可撓性部分100は、例えばシリコーン、エラストマー、又は適当な可撓性を持つこの他の材料等の弾性変形可能な材料から型成形されてもよい。可撓性部分100は、可撓性部分100を通して皮膚を見ることができるように透明であってもよい。他の実施例では、可撓性部分100は、半透性であってもよいし不透明であってもよい。可撓性部分100は、ハウジング14aに連結されたほぼ矩形の上面と、平行な又はほぼ平行な側部及び楕円形の端部を持つ底面とを含んでいてもよい。
【0062】
図5Aを参照すると、可撓性部分100は、中央部分120、端部140(端部140a及び140bとして示してある)、及び端部140の底部間を延び且つこれらを連結する、即ち中央部分120の両側を連結するコネクタ160(コネクタ160a及び160bとして示してある)を含む。図5A乃至図5Dに示す実施例では、被術者11に当てたアプリケータ15の「輪郭」即ち形状は、リップ144及びコネクタ160の組み合わせを含む。可撓性部分100は、更に、内部面102、外部面104、及び内部面102と外部面104との間を延びるポート106を含む。このポートを通して内部キャビティ96(図3D参照) 内に真空を引く。取り付けプレート110(図3C参照)を使用して可撓性部分100をハウジング14aに連結するとき、ポート106及び穴112(図3D参照)はほぼ整合している。
【0063】
図5Bを参照すると、各端部140は、中央部分120から延びる頂部部分142を有する。端部140及び中央部分120を別々の構成要素として型成形し又は形成し、これらを互いに連結してもよい。図5B乃至図5Dに最も良く示すように、各端部140は、底部即ち頂部部分142の反対側にリップ144を有する。リップ144は、患者の皮膚の輪郭と形態を一致するのを容易にする立体的形状を備えていてもよい。例えば、特に図5Dを参照すると、上方又は下方から見たときのリップ144の呼称形態は、直線状セグメント145a、円弧状セグメント145b、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。これと同時に、特に図5Bを参照すると、リップ144の呼称寸法には、円弧状プロファイル図が含まれ、特に図5Aを参照すると、リップ144の呼称形態の正面図には、中央部分120に関して下方に傾斜した部分が含まれていてもよい。他の実施例によれば、リップ144は、アプリケータ15の所与のターゲット領域の輪郭と形態を一致するのに適した様々な形状を備えていてもよい。
【0064】
個々の端部140は、頂部部分142とリップ144との間に全体形態を提供する。この形態もまた、リップ144の形態を皮膚層の輪郭と一致するのを容易にする。図5A乃至図5Dに示す実施例では、個々の端部140は、頂部部分142から円弧状ウェストライン148に向かって外方に拡がった肩部146と、ウェストライン148とリップ144との間の円錐形末広がり部分を持つエプロン150と、五つの側部を持つ多角形形状のパネルを含む横腹部即ちフランク152とを含んでいてもよい。図5Aに示す実施例では、個々のフランク152は、頂部部分142のチップからリップ144まで延びており、肩部146及びエプロン150から切欠き154まで延びている。他の実施例によれば、端部140は、リップ144の形態を個々のターゲット領域の輪郭と一致させることを容易にする任意の適当な形状を備えていてもよい。例えば、人間の代表的な胴部の形状は、比較的大きな曲率半径を持つ部分、例えば胃部又は背部、及び比較的小さな曲率半径を持つ部分、例えば腹部側部を含む。更に、ほぼ一定の湾曲を持つ輪郭の大きさが変化してもよい。従って、本開示の利点は、個々のターゲット領域の皮膚の輪郭と形態を適当に一致するため、可撓性部分100に様々な形態、例えば形状及び大きさを与えることができるということである。
【0065】
図5A、図5B、及び図5Cに示すように、切欠き154(切欠き154a及び154bとして個々に示してある)は、端部140のフランク152、中央部分120、及びコネクタ160によって境界付けられている。切欠き154は、フレーム300を受け入れ(図3E参照)、これらのフレームは、本明細書中に説明されているように、剛性部分200を受け入れる。
【0066】
本開示の特定の実施例によれば、フレーム300(図3E参照)は、例えば矩形の剛性の金属製多角体を含み、その周囲に可撓性部分100が型成形されてもよい。従って、フレーム300は、型成形プロセス中に可撓性部分100の材料が流入し、強固な流体密連結を提供する多くの穴、溝、又は他の凹所を備えていてもよい。別の態様では、フレーム300は、可撓性部分100の開口部154に接着や溶接等で連結されていてもよい。フレーム300は、更に、金属以外の材料、例えば剛性部分200を固定できるプラスチックを含んでいてもよい。別の態様では、可撓性区分は、二つのフレーム間にクランプされ及び/又は結合されていてもよい。
【0067】
各フレーム300(図3E参照)は、個々の剛性部分200のコールドプレート210に任意の適当なファスナによって連結されていてもよい。例えば、ねじ302(図3D参照)がコールドプレート210のフランジ212a(図4A参照)の穴を通って延び、フレーム300のねじ穴(図示せず)と作動的に結合してもよい。更に、フレーム300は、脂肪が豊富な皮下細胞からフレーム300を介して熱が伝達されるように、TEC230がフランジ212aを介してコールドプレート210に熱的に連結されていてもよい。
図6Aは、アプリケータ15に装着した使い捨てライナ400を示す斜視図である。図6Bはライナ400の分解図であり、図6Cは図6Aのライナを示す斜視図である。ライナ400は、治療デバイス14とこの治療デバイス14による治療を受ける被術者11との間に障壁を提供するためのインターフェース層60(図2参照)の一実施例であってもよい。
【0068】
図6A及び図6Bを参照すると、カップ状ライナフィルム410は、中央部分412及び周囲部分414を含む。中央部分412は、全体として、アプリケータ15の内部面92に当てて置かれる。周囲部分414は、アプリケータ15の外部面94(図6A及び図3D参照)、剛性部分200の保護ハウジング260(図3D参照)、及び/又は治療デバイス14のハウジング14aに被せて折り畳まれるように大きさ及び形状が定められている。従って、ライナ400は、治療デバイス14が被術者11及び/又はカップリング流体、例えば温度抑制剤を含む凍結防止物質のゲルと接触しないようにシールドし、安価であり及びかくして使い捨ての衛生障壁を提供する。適切な補助的治療により、又は様々な設計又は材料を使用することによって、ライナ400は無菌障壁として役立つ。
【0069】
図6Bを参照すると、ライナフィルム410の一実施例は、厚さが約0.051mm(約0.002インチ)のショアーA硬度が80のポリエーテルウレタンフィルムを含む。このフィルムを所定の形状に合わせて切断した後、縁部を溶接し又は接着剤でシールし、所望のカップ形状を形成する。ライナフィルム410は、別の態様では、ポリエチレン又は他の薄ゲージフィルム等の材料を含んでいてもよい。これらの材料は全体に不透過性であり、脂肪が豊富な皮下細胞からの熱の移動を妨げないように厚さが約0.025mm乃至0.152mm(約0.001インチ乃至0.006インチ)であり、適当な弾性を提供するため、ヤング率が約35.15kg/cm2175.75kg/cm2(約500psi乃至2500psi)である。
【0070】
ライナフィルム410の中央部分412には、内部キャビティ96内に真空を引くとき、可撓性部分100のポート106(図5A、図5C、及び図5D参照)及び取り付けプレート110の穴112と整合する穴416が設けられている。選択的透過性を持つ障壁、即ち空気に対して透過性であるが熱カップリング材料に対して実質的に不透過性の障壁を提供するため、膜420が、ライナフィルム410に、穴416に亘って固定されている。この膜420は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、又は選択的透過性を持つこの他の疎水性材料又は親水性材料を含む。本例では、膜420は、不織布ポリエステル裏打ち材料に結合した、孔径が約0.1μm乃至10μmのePTFEを含む(例えば、アリゾナ州フラッグスタッフのW.L.ゴア及びアソシエーツ社の品番第R10126号を参照されたい)。膜420の周囲は、ヒートシール、超音波溶接、接着剤、又は流体密連結又は接合を提供する任意の他の適当な方法によって中央部分412にシールされていてもよい。
【0071】
フレキシブルプリント基板250(図3D参照)の近くのライナフィルム410の中央部分412を賦形するため、フレーム430をライナフィルム410に連結してもよい。フレーム430は、アプリケータ15の内部面92に沿ったフレーム300(図3E参照)の形状及び位置とほぼ一致する骨組みを含んでいてもよい。フレーム430は、熱溶接、超音波溶接、接着剤、又は流体密連結又は接合を提供する任意の他の適当な方法によって、中央部分412の膜420及びライナフィルム410に結合できるグリコール変成ポリエチレンテレフタレート(PETG)又は他の材料を含んでいてもよい。フレーム430は、更に、ライナフィルム410をフレキシブルプリント基板250(図3D参照)上にぴんと張った状態に保持するのにも役立つ。本開示による幾つかの実施例は、ライナフィルム410とともに折り畳で平らにできるフレーム430を含んでいてもよい。これにより、一つ又はそれ以上のライナ400を容器(図示せず)内に収容するのが容易になる。従って、フレーム430は、ミシン目線(segmentation perforation)又は一つ又はそれ以上の一体丁番を含んでいてもよい。本発明による他の実施例は、フレーム300と対応する骨組み又は図6B及び図6Cに示すフレーム430の他の部分を含んでいなくてもよい。
【0072】
ライナ400を治療デバイス14に取り外し自在に取り付けるため、磁気ストリップ又は強磁性ストリップ440(ストリップ440a及び440bとして個々に示す)がフレーム430に連結されている。これらのストリップ440は、鉄材料を含んでいてもよく、ストリップ440をフレーム430又はライナフィルム410に連結するため、両面テープ(例えばアクリル系接着剤350を含む)又は他の適当な接着剤を使用して孔416の両側に接着されていてもよい。ストリップ440は、ライナ400をキャビティ96の底部に位置決めし且つ保持するため、取り付けプレート110に設けられた磁石116と協働し、係合する。更に、ストリップ440は、ライナ400が治療アプリケータ14上で所定位置にある場合にこれを検出する回路(図示せず)を閉路するため、導電性であってもよい。治療デバイス14に設けられた協働する特徴を係合し、ライナ440を保持するため、吊り下げタブ450(吊り下げタブ450a及び450bとして個々に示す)がライナフィルム410の周囲部分414に連結されていてもよい。
【0073】
図6Cを参照すると、ライナフィルム410の中央部分412の凸状側部は、膜420及びこの膜420上に連結したフレーム430に連結されていてもよい。別の態様では、膜420及びフレーム430の一方又は両方が中央部分412の凹状側部に連結されていてもよく、及び/又はライナフィルム410、膜420、及びフレーム430の連結順序を変えてもよい。ストリップ440は、一般的には、磁石116との協働を容易にするため、中央部分412の凸状側部の最外層として設けられるが、ライナフィルム410、膜420、及びフレーム430に関し、他の構成で連結されていてもよい。
【0074】
図7Aは、治療デバイス14に接続されるトークン500を示す。図7Bはトークン500の斜視図であり、図7Cは、治療デバイス14に設けられた、トークン500を受け入れるためのソケット520の一実施例を示す。図7Dは、別の実施例による変形例のソケットを示し、図7Eは、別の実施例による変形例のトークンを示す。図7Aに示す実施例によれば、トークン500と治療デバイス14とを接続することにより、多くの構造的利点及び/又は機能的利点が得られる。構造的利点には、例えば、トークン500が治療デバイス14に誤った態様で連結されることがないようにすることが含まれ、機能的利点には、例えば、システム10を監視することが含まれる。
【0075】
図7Bを参照すると、トークン500は、筐体510、この筐体510内に配置された超小型電子デバイス520、及び超小型電子デバイス520に電気的に接続された、筐体510から延びる一組の接点530を含む。筐体510は、第1非対称噛み合い特徴512を含む。図7Bに示す実施例では、第1非対称噛み合い特徴512は、リム512b内の雌凹所512aを含む。接点530の組が雌凹所512aから延びていてもよい。図7Bの実施例に示すように、リム512bの形状には、例えば円弧状側部及び三つの直線状側部が含まれていてもよい。従って、第1非対称噛み合い特徴512の全体的形状及びリム512bの形状は非対称であり、筐体510をソケット520(図7C参照)に唯一の相対的配向でしか噛み合い係合できない。非対称噛み合い特徴512は、図7Bに示すように、接点530と隣接して設けられていてもよいし、筐体510の他の部分に設けられていてもよい。本開示による幾つかの実施例は、治療デバイス14のスロットを含んでいてもよい。このスロットは、筐体510の幾分か又は全体を唯一の相対的配向で協働的に受け入れることができ、これにより、例えば、トークン500がスロットに所定の相対的配置以外で挿入されることがない。
【0076】
超小型電子デバイス520は、例えば計算、記憶、及び/又は通信を行うためのマイクロプロセッサ、メモリー、及び入出力デバイス、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。超小型電子デバイス520は、例えば、治療デバイス14の使用回数を計測してもよい。本開示による幾つかの実施例では、超小型電子デバイス520は、所定限度からカウントダウンしてもよい。従って、治療デバイス14は、0以外の数字が表示されているときに使用でき、使用しようとする前に0の数字が表示されている場合には使用できない。治療デバイス14及び/又はシステム10を使用できる治療回数は、所定の即ちシステムオペレータが購入する前に限定されていてもよい。従って、使用限度に達したことを超小型電子デバイス520が確認したとき、超小型電子デバイス520は、トークン500を交換又は補充することによって、追加の治療を行う、例えば購入することが必要であることをオペレータに知らせる。トークン500の補充は、例えば、インターネットを介して行ってもよい。更に、異なるオペレータが、夫々の特定の使用を監視し、制限するため、個々のトークン500を所有していてもよい。更に、超小型電子デバイス520は、例えば、治療パラメータのプロファイル及び制限を記憶してもよい。パラメータの例には、治療の目的である身体部分の確認、治療時間、治療サイクル数、治療中の熱抽出量等が含まれていてもよい。超小型電子デバイス520が記憶できる制限の例には、例えば、特定のアプリケータ、システム、及び/又は特定の治療を行う特定の地域のオペレータを制限することが含まれる。
【0077】
更に、システム10(図2参照)に関する情報を提供するため、治療デバイス14及び演算処理ユニット24(図2参照)と関連してトークン500を使用してもよい。例えば、トークン500は、何らかのシステム異常の記録を記憶する性能を含むシステム10の性能、及び/又は所定の保守スケジュールを監視してもよい。トークン500を交換し又は補充したとき、システム情報を超小型電子デバイス520からガウンロードできる。超小型電子デバイス520は、ソフトウェアアップグレードや作動パラメータをシステム10にローディングし、新たな又は変更した治療パラメータプロファイルを提供するのにも使用できる。
【0078】
接点530の組は、第2非対称噛み合い特徴532を提供してもよい。図7Bに示す実施例では、第2非対称噛み合い特徴532は、大きさが異なる第1タブ532a及び第2タブ532bを含む。従って、これらのタブ532a及び532bは、接点530の組がソケット520(図7C参照)と一つの相対的配向でしか噛み合い係合できないように非対称である。この配向は、第1非対称噛み合い特徴512と対応する。
【0079】
接点530の組は、第1タブ532aにしか配置されていなくてもよく、第2タブ532bにしか配置されていなくてもよく、又は第1及び第2のタブ532a及び532bの両方に配置されていてもよい。更に、接点530の組は、タブ532a及び532bの一方の面にだけ配置されていてもよく、タブ532a及び532bの両面に配置されていてもよく、又はこれらの組み合わせで配置されていてもよい。更に、第2非対称噛み合い特徴532は、一つ、二つ、又はそれ以上のタブに設けられていてもよい。
【0080】
図7Cを参照すると、ソケット520は、トークン500に設けられた非対称噛み合い特徴と対をなす部分を提供する。図7Cに示す実施例では、ソケット520は、トークン500(図7B参照)の雌凹所512aに唯一の相対的配向で受け入れられる形状及び大きさの雄突出部522を含む。詳細には、雄突出部522は、例えば、円弧状側部及び三つの直線状側部を含んでいてもよい。これらの側部は、トークン500(図7B参照)のリム512bと対をなす。更に、図7Cの実施例に示すように、ソケット520は、トークン500(図7B参照)の第1タブ532aを受け入れる形状及び大きさの第1スロット524a及びトークン500(図7B参照)の第2タブ532bを受け入れる形状及び大きさの第2スロット524bを含む。従って、第1及び第2のスロット524a及び524bは、第1及び第2のタブ532a及び532bの夫々を唯一の相対的配向で受け入れる。
【0081】
ソケット520は、更に、接点530の組をソケット520に挿入するとき、これらの接点530の組から何らかの材料、例えば温度抑制剤を含む凍結防止物質ゲル等の熱カップリング流体を払拭するためのワイパー526を含んでいてもよい。ワイパー526には、例えば材料を接点530の組からゴム箆で刮げ取るように接点530の組に押し付けられるフラップ等の突出部が設けられていてもよい。接点530の組からこうした材料を除去することにより、接点530の組との電気的接続における干渉をなくし、内部電子装置を短絡や腐蝕から保護する。
【0082】
筐体510に設けられた非対称噛み合い特徴、及びこれらの特徴と対をなす、ソケット520に設けられた非対称噛み合い特徴は、トークン500と治療デバイス14との間のインターフェースが汚損しないようにするのを補助する。例えば、トークン500及び治療デバイス14を接続したとき、筐体500及びソケット520が互いに重なり、小さなゴミ即ちデブリが曲がりくねった経路を辿り、リム512b上、リム512bと雄突出部522との間を移動し、雄突出部522の頂部を横切り、第1及び第2のスロット524a及び524bに入り込む。更に、雄突出部522は、トークン500及び治療デバイス14が接続されていないとき、第1及び/又は第2のスロット524a及び524bに入れる前にデブリが雄突出部522を登るため、汚損しないようにするのを補助する。
【0083】
本開示による他の実施例は、特定の部材の構成を逆にすることを含んでいてもよい。例えば、リム及び雌凹所が治療デバイス14に設けられ、雄突出部522がトークン500から延びていてもよい。更に、接点の組が治療デバイス14から突出し、トークン500が、これらの接点の組と電気的に係合するための対をなす接続部を含んでいてもよい。
【0084】
リム及び雄突出部の湾曲した側部は、デブリを寄せつけないように配向されていてもよい。凸状の表面を治療デバイス14の公称構成で上方に配向する、例えば、制御パネル14b(図3B参照)に設けられた治療デバイス14及びアプリケータ15が上方に延びることにより、デブリが平らな又は凹状の表面に溜まるのでなく、寄せつけないようにするのである。
【0085】
図7Dを参照すると、ハウジング14aは、トークン(図示せず)の配向及び挿入を補助するため、一つ又はそれ以上の種類のガイド530(ガイド530a及び530bとして個々に示す)を含んでいてもよい。例えば、ガイド530は、トークン500をハウジング14aの表面に対して垂直に配向し、挿入する上で望ましい。
【0086】
図7Eを参照すると、トークン500が治療デバイス14に確実に正しく接続されるようにする単一の非対称噛み合い特徴が設けられている。例えば、第2非対称噛み合い特徴532(図7B及び図7C参照)の代わりに単一のタブが設けられていてもよい。従って第1非対称噛み合い特徴512(図7B及び図7C参照)が、トークン500が治療デバイス14に確実に正しく挿入されるようにする上で十分な非対称性を提供する。
【0087】
本発明による他の実施例には、トークン500を治療システム10の他の特徴に接続するための構成が含まれる。例えば、トークン500用のソケット520は、演算処理ユニット24、入力デバイス28、出力デバイス30、又はカート34(図1参照)に配置された何らかの他の構成要素に配置されていてもよい。更に、トークン500と噛み合い係合するためのソケット520は、治療デバイス14上を含む治療システム10の多くの位置に設けられていてもよい。
【0088】
本開示による幾つかのアプリケータの実施例は、可変形状冷却パネルを含む。例えば、冷却パネルの数及び相対的な配置を変え、これらのパネルを互いに近づけたり様々な相対的配向にしてもよい。
【0089】
図7Fを参照すると、アジャスタ600が示してある。アジャスタは、この図では、クランプ602として示してある。特定の治療レジメンについて、内部キャビティ96の寸法を調節するのが有利である。例えば、治療中に組織をアプリケータ15に引き込む場合、輪郭の形状、可撓性部分100の向き合った部分間の距離、及び/又は内部キャビティ96内のフレキシブルプリント基板250の向き合った部分250aと250bとの間等の距離を調節するのが有利である。本開示の幾分かの実施例によれば、アジャスタ600は、内部キャビティ96の形状及び大きさを調節し、固定し、又は制御し、治療中に真空によって内部キャビティ96に引き込まれる脂肪が豊富な皮下組織の冷却即ち熱抽出を非常に均等にするのを補助する。このように均等にすることにより、治療効率を改善でき、作用が及ぼされる脂肪が豊富な皮下組織の選択的損傷、傷害、又は破壊を更に大きく及び/又は更に均等にする。内部キャビティ96の向き合った面間の距離即ち隙間幅は約12.7mm乃至76.21mm(約0.5インチ乃至3インチ)であるのが望ましい。別の態様では、隙間幅は、約25.4mm乃至50.8mm(1.0インチ乃至2.0インチ)であり、又は別の態様では、約38.1mm(約1.5インチ)が望ましい。
【0090】
図7Fの実施例では、クランプ602は、所望の隙間幅と対応する第1クランプ部分602a及び第2クランプ部分602bを含む。第1及び第2のクランプ部分602a及び602bの各々の二つの受け入れ部分603が、パネル200a及び200bの各々の二つのタブ200cに、ねじ、接着剤、溶接、等によって取り付けられており、又はパネル200a及び200bと一体成形されている。クランプ602について、金属、ポリマー、又は注型成形ウレタンを含む他の材料等の任意の適当な材料を使用してもよい。図7Fに示す形態におけるクランプ602の利点は、可撓性部分100のリップ(縁部)を可撓性のままにしておくことができ、アプリケータ15の輪郭を、様々な被術者11の身体の大きさ及び/又は形状と一致させることができるということである。所望の隙間幅制御を行うため、この他の形態のクランプ602を使用してもよい。
【0091】
アジャスタ600をアプリケータ15に、製造中に又は被術者11の治療前の組み立てプロセス中に取り付けてもよい。これにより、被術者11の組織が可撓性部分100の内部キャビティ96に引き込まれるとき、所望の隙間幅が確実に得られる。別の態様では、アジャスタ600は、組織が内部キャビティ96に引き込まれる前又は引き込まれた後のいずれかで、医師等のオペレータが内部キャビティ96の寸法を調節できるように、アプリケータ15に一時的に取り付けられてもよい。アジャスタ600は、追加として、又は変形例として、クリップ、引き紐、又はアプリケータの内部キャビティ96の形状及び/又は大きさを変えるのに適した他の機構を備えていてもよい。アジャスタ600は、キャビティの任意の寸法を調節でき、これは一つの寸法に限定されない。本開示による幾つかの実施例は、キャビティの少なくとも一つの内部寸法を変えるため、アプリケータの内部キャビティ96に導入できる少なくとも一つの挿入体を含んでいてもよい。
【0092】
本開示による幾つかのアプリケータの実施例は、可変配向冷却パネルを含む。例えば、比較的大きな組織セグメントに適用する場合には、真空カップの両側の冷却パネルを末広がり構成に配向でき、比較的小さな組織セグメントに適用する場合には、例えば冷却パネルを互いに対してほぼ平行に配置することにより、狭幅の構成に配向できる。二つのクランプ602、例えば一方が輪郭口部の近くに配置されており且つ他方が真空ポート106(図5A、図5B、及び図5C参照)の近くに配置されたクランプ602によって隙間幅を調節自在に制御してもよく、及び/又は冷却プレートの相対的角度を制御してもよい。システム10は、アジャスタ位置即ち内部キャビティ96の調節後の寸法、隙間幅、及び/又は冷却プレート角度を感知するためのセンサ(図示せず)を含んでいてもよく、この情報を使用し、例えば施術者によって選択されたキャビティ寸法について一貫した性能を確保するため、施術者が選択する上で利用できる一つ又はそれ以上の治療パラメータを変更する。
【0093】
様々な構成の間で冷却パネルを離間し、配向を変えることにより、患者の不快感を減少し、治療サイクル内で達成できる組織の冷却程度に影響を及ぼす。例えば、冷却パネルの末広がり構成は、組織をカップ内に容易に通し、患者にひどい不快感を与えることなく治療を行うために冷却パネルに沿って引き込むことができるのに十分に大きい口部を維持する。他方、狭幅構成は、冷却を迅速にし、治療を短くし、これによっても患者の不快感を低減する。従って、カップ形状に角度を付けたり縦溝を形成したりすることを使用し、皮下脂肪層を減少するのに十分な冷却を達成するのに必要な時間を最適化する。更に、組織を比較的迅速に冷却することにより、比較的短い治療時間ばかりでなく、比較的長い治療時間も可能となり、これにより施術者は適用量を変化させることができ、これによって、一回の治療サイクルでの治療効果を制御する。
【0094】
更に、末広がりの縁部又はカップ縁部に付けたテーパにより、真空を加えてアプリケータのカップに引き込んだときにパッド/ライナ/組織に加わる摩擦を低減してもよい。末広がり形状は、更に、「挟み」点を減少する。挟み点では、アプリケータの縁部が患者の柔らかな組織と接触し、不快感を生じ、治療後に擦れ痕を残す。
【0095】
別の実施例によれば、トークン500及び治療デバイス14は、任意の相対的配向を使用できるようにする対応する構成を各々備えていてもよい。例えば、トークン500は、複数の相対的配向のうちの任意の配向で治療デバイス14に接続できる対称な筐体を含んでいてもよく、複数の相対的配向のうちの任意の配向で適正な電気接続部が完成するように重複する接点組が分配されていてもよい。
【0096】
作動では、本発明による一実施例は、温度抑制剤を含む凍結防止物質のゲル等の熱カップリング流体をしみ込ませたパッド、例えばケンドール社が製造しているウェブリル(ウェブリル(Webril)は登録商標である)を患者の皮膚に局所的に適用することによって、治療のターゲット領域を準備する工程を含んでいてもよい。治療デバイス14の準備は、ライナ400の中央部分412を内部キャビティ96内に位置決めし、ストリップ440を磁石116と協働するように係合し、ライナ400の周囲部分414を折り返してアプリケータ15の外部面94に被せ、吊り下げタブ450を治療デバイス14に連結することによって行われる。トークン500を治療デバイス14に接続し、治療デバイス14を患者の皮膚のターゲット領域の上のパッド上に位置決めし、制御パッド14b及びタッチスクリーン28の少なくとも一方を使用して治療を開始する。
【0097】
図8は、本技術の別の実施例に従って脂肪が豊富な皮下細胞から熱を除去する治療を行うための真空アプリケータ1015を示す斜視図である。真空アプリケータ1015は、全体に矩形の上面、及び平行な側部及び楕円形の端部を含む下面を備えていてもよい。例示の実施例では、真空アプリケータ1015は内部面1092及び外部面1094を有する。内部面1092は、真空が引かれる内部キャビティ1096を形成する。真空アプリケータ1015は、更に、可撓性部分1100、及び少なくとも一つのパネル1200(図8の実施例は、個々のパネル1200a及び1200bを含むが、図8には一方のパネル1200aしか示してない)及び少なくとも一つのフレーム1300(図8の実施例は、個々のフレーム1300a及び1300bを含む)を含む少なくとも一つの剛性部分を含んでいてもよい。作動では、真空アプリケータ1015と関連して使い捨て患者保護デバイス(PPD)1400を使用してもよい。
【0098】
図9Aは、真空アプリケータ1015の可撓性部分1100の一実施例の正面図である。図9Bは、図9Aに示す可撓性部分1100の端面図であり、図9Cは平面図であり、図9Dは底面図である。可撓性部分1100は弾性変形可能なプラスチック、例えばシリコーン又は適当には可撓性である他の材料から、型成形によって形成できる。可撓性部分1100は、可撓性部分1100を通して皮膚を見るのが容易であるように、透明であってもよい。他の実施例では、可撓性部分1100は半透明であってもよいし不透明であってもよい。
【0099】
図9Aを参照すると可撓性部分1100は、中央部分1120、端部1140(個々に端部1140a及び1140bとして示す)、内部面1102、及び外部面1104を含む。可撓性部分1100は、更に、ポート1122を含んでいてもよい。ポート1122には、空気又は他の流体をポート1122に通すときに皮膚又は他の固体構造がポート1122に入らないようにするため、ポート1122を部分的に閉鎖する障害部1128が設けられている。
【0100】
図9A及び図9Bを参照すると、各端部1140は、中央部分1120から延びる頂部分1142を有する。端部1140及び中央部分1120は一体成形されていてもよいし、別々の構成要素であってもよい。図9A、図9B、及び図9Dに最も良く示すように、各端部1140の底部、即ち頂部分1142の反対側にはリップ1144が設けられている。リップ1144は、その形態を皮膚層(図9A乃至図9Dには示さず)の輪郭と一致するのを容易にする立体的形状を備えていてもよい。例えば、特に図9Dを参照すると、リップ1144の公称形態には、上方又は下方から見たとき、直線状セグメント1145a、円弧状セグメント1145b、又はこれらの組を含んでいてもよい。これと同時に、特に図9Bを参照すると、リップ1144の公称形態には、円弧状の側面が含まれていてもよく、特に図9Aを参照すると、リップ1144の公称形態は、中央部分1120に関して下方に傾斜した部分を含んでいてもよい。他の実施例によれば、リップ1144は、その形態を所与の皮膚層の輪郭と一致するのに適した様々な形状を備えていてもよい。
【0101】
個々の端部1140は、リップ1144の形態を皮膚層の輪郭と一致させるのを容易にする全体的形状を頂部分1142とリップ1144との間に備えていてもよい。図9A乃至図9Dに示す実施例では、個々の端部1140は、頂部分1142からウェストライン1148に向かって外方に末広がりになった肩部1146と、ウェストライン1148とリップ1144との間に円錐形末広がり部分を持つエプロン1150と、五つの側部を持つ多角形形状のパネルを含む横腹部即ちフランク1152とを含んでいてもよい。図9Aに示す実施例では、個々のフランク1152は、頂部部分1142のチップからリップ1144まで延びており、肩部1146及びエプロン1150から周囲1154まで延びている。他の実施例によれば、端部1140は、リップ1144の形態を個々の皮膚層の輪郭と一致させることを容易にする任意の適当な形状を備えていてもよい。例えば、人間の代表的な胴部の形状は、比較的大きな曲率半径を持つ部分、例えば胃部又は背部と、比較的小さな曲率半径を持つ部分、例えば腹部側部との間で変化する。更に、ほぼ一定の湾曲を持つ輪郭の大きさが変化してもよい。従って、本開示の利点は、個々の皮膚層の輪郭と形態を適当に一致するため、可撓性部分1100に様々な形態、例えば形状及び大きさを与えることができるということである。
【0102】
図9A、図9C、及び図9Dに示すように、周囲1154は、端部1140aのフランク1152を上方に延び、中央部分1120を横切り、端部1140bのフランク1152を下方に延びる。周囲1154は、可撓性部分1100に流体密シールを形成する溝1156(図9D参照)及び/又はリブ1158(図9D参照)を含んでいてもよい。周囲1154は、更に、可撓性部分1100を一つ又はそれ以上の剛性部分1200に連結するための複数の孔1160を含んでいてもよい。従って、周囲1154は、可撓性部分1100の切欠きを形成し、この切欠きが個々の剛性部分を受け入れる。
【0103】
図10は、真空アプリケータ1015の剛性部分用のパネル1200の一実施例の斜視図である。パネル1200は、変形に抵抗し、冷却プレート(図10には示さず)と被術者11との間に一貫した機械的及び熱的インターフェースを提供するため、熱伝導性である。図10に示す実施例では、パネル1200は、内部面1202及び外部面1204を持つアルミニウムパネルであってもよい。他の実施例では、パネル1200は、真空を内部キャビティ1096内に引いたとき、弓なりになる等の変形に抵抗する。これは、冷却プレート50(図2参照)と被術者11との間に間断のない熱経路を維持するためである。更に詳細には、パネル1200が変形すると、真空アプリケータ1015が冷却プレート50から分離し、これにより、真空アプリケータ1015の内部キャビティ1096から熱を奪う冷却プレート50の冷却性能が低下してしまう。パネル1200は、個々のフレーム1300で可撓性部分1100に連結されてもよい。
【0104】
図11Aは、本開示による一実施例の真空アプリケータ1015の個々のフレーム1300の分解斜視図である。個々のフレーム1300は、第1フレーム部分1310及び第2フレーム部分1340を含んでいてもよい。図11Aに示す実施例では、第1フレーム部分1310は複数のタブ1312及び/又はピン1314を含んでいてもよい。これらのタブ及び/又はピンは、第1及び第2のフレーム部分1310及び1340を互いに固定するため、第2フレーム部分1340の対応する凹所1342、スロット1344及び/又は孔1346に受け入れられる。例えば、次いで、ピン1314のチップを例えば加熱及びプレスによって変形し、ピン1314がスロット1344及び/又は孔1346から外れないようにしてもよい。他の実施例では、ねじ又は任意の適当なファスナを使用して第1及び第2のフレーム部分1310及び1340を互いに固定してもよい。
【0105】
図11Bは、第1フレーム部分1310の一実施例の斜視図である。図11Bに示す実施例では、第1フレーム部分1310は、下バー1316と、二つの側バー1318a及び1318bと、上バー1320とを含む全体に矩形形状を備えていてもよい。個々のタブ1312は、下バー1316から突出していてもよく、個々のピン1314は、側バー1318a及び1318b及び上バー1320から突出していてもよい。図11Bに示す実施例では、第1フレーム部分1310に流体密シールを形成するため、側バー1318a及び1318b及び上バー1320には、溝1322及び/又はリブ1324が設けられていてもよい。
【0106】
図11Cは、本開示による一実施例の第2フレーム部分1340の斜視図である。図11Cに示す実施例では、第2フレーム部分1340は、下バー1348と、二つの側バー1350a及び1350bと、上バー1352とを含む全体に矩形形状を備えていてもよい。個々の凹所1342が下バー1348に形成されていてもよく、個々のスロット1344及び/又は孔1346が側バー1350a及び1350b及び上バー1352に形成されていてもよい。下バー1348、側バー1350a及び1350b、及び上バー1352は、互いに、開口部1354aを取り囲む矩形表面1354を形成してもよい。個々の側バー1350は、傾斜面1356aを持つ一つ又はそれ以上のカム1356を含んでいてもよい。個々の側バー1350は、更に、個々のラッチ1358を含んでいてもよい。図11Cに示す実施例では、個々のラッチ1358は、個々の側バー1350に、例えば開口部1354aの両側に位置決めされており、個々のカム1356は個々の側バー1350の対面する横側に位置決めされている。
【0107】
フレーム1300の幾つかの実施例は、可撓性部分1100をパネル1200に連結する流体密カップリングを提供してもよい。この特徴により、真空を真空アプリケータ1015内に引く上で悪影響を及ぼす漏れを低減し又はなくす。更に、個々のフレーム部分1340に設けられたカム1356は、冷却プレート50をパネル1200に押し付ける。従って、フレーム1300は、被術者11を制御下で冷却するため、冷却プレート50と真空アプリケータ1015との間を一貫して間断なく熱的に接触する。更に、第2フレーム部分1340に設けられたラッチ1358は、冷却プレート50をパネル1200から迅速に且つ容易に取り外すため、冷却プレート50を真空アプリケータ1015に関して取り外し自在に保持してもよい。この設計には、様々な輪郭又は形状を持つ可撓性部分1100を特定の被術者11の身体形状即ち輪郭に合わせることができるという追加の利点がある。別の態様では、二つのフレーム部分1310及び1340でなく、結合、熱頭造(heat stake)、インサート成形、又は他の方法で可撓性部分1100に取り付けた単一のフレーム部分(図示せず)によって同じ又は同様の機能を得ることができる。
【0108】
次に、本開示による一実施例の真空アプリケータ1015の組み立てを図12A及び図12Bを参照して説明する。図12Aは、真空アプリケータ1015のサブアッセンブリ1500の一実施例の分解図である。サブアッセンブリ1500は、パネル1200(図12Aに示す実施例は、個々のパネル1200a及び1200bを含む)、及び第2フレーム部分1340(図12Aに示す実施例は、個々のフレーム部分1340a及び1340bを含む)を含む。第2フレーム部分1340の個々の矩形表面1354が個々のパネル1200の外部面1204と重なり、例えば接着剤によってここに固定されてもよい。パネル1200の外部面1204は、冷却プレート50(図2参照)と係合するため、第2フレーム部分1340の開口部1354aによって露呈されている。
【0109】
図12Bは、可撓性部分1100、第1フレーム部分1310、及びサブアッセンブリ1500の関係の一実施例を示す分解図である。第1フレーム部分1310は、可撓性部分1100に関し、(1)第1フレーム部分1310に設けられた個々のピン1314が可撓性部分1100の個々の穴1160を通って突出し、(2)上バー1320に設けられた溝1322が可撓性部分1100の周囲1154に設けられたリブ1158と流体密シールを形成するように位置決めされる。次いで、第1フレーム部分1310に設けられた個々のピン1314が第2フレーム部分1340に設けられた個々のスロット1344及び/又は穴1346に受け入れられるように、サブアッセンブリ1500を可撓性部分1100に位置決めする。第1フレーム部分1310の下バー1316に設けられたタブ1312が第2フレーム部分1340の下バー1348に設けられた個々の凹所1342と係合するように、第2フレーム部分1340を第1フレーム部分1310に関して移動する。次いで、ピン1314がスロット1344及び/又は孔1346から引き抜かれないように、例えば加熱及びプレスによってピン1314のチップを変形してもよい。従って、フレーム1300は、可撓性部分1100とパネル1200との間に流体密連結部を形成する。可撓性部分1100のリップ1144は、治療中に皮膚70と接触係合するため、パネル1200及び第2フレーム部分1340の下バー1348とともに真空アプリケータ穴を形成する。
【0110】
図13Aは、真空アプリケータ1015の内部キャビティ1096とポート1122との間を流体連通する流体分離器1170の一実施例を示す断面図である。図13Aに示す実施例では、流体分離器1170は、パッド1172、例えばフォームパッドを含み、このパッドを通って気体状流体が流れることができるが、流体やゲルの流れを阻止する。パッド1172と真空アプリケータ1015の内部面1202との間の隙間に環状凹所1174が形成されていてもよい。環状凹所1174は、穴1018がパッド1172の上方に配置されるように真空アプリケータ1015を逆さまにしたとき、パッド1172の上面1176を通して液体やゲルが比較的ない経路を利用できるように、余分の液体又はゲル用の保持空間を提供する。
【0111】
図13Bは、真空アプリケータ1015の内部キャビティ1096とポート1122との間を流体連通する流体分離器1180の別の実施例を示す断面図である。図13Bに示す実施例では、流体分離器1180は、気体状の流体を通すが液体又はゲルの流れは通さない曲がりくねった経路1182、例えばラビリンスを含む。曲がりくねった経路1182への開口部1184は内部キャビティ1096に位置決めされており、液体やゲルが曲がりくねった経路1182内に飲み込まれることがないように、内部面1202から離間されている。
【0112】
図14は、本開示による一実施例のPPD1400の平面図である。PPD1400は、真空アプリケータ1015と被術者11の皮膚70との間に位置決めしたインターフェース層60(図2参照)の一例である。PPD1400は、被術者11の皮膚70と接触するための第1面1402及びこの第1面1402とは反対側に向いた第2面1404を有する。可撓性PPD1400は、治療を行うために配置された真空アプリケータ1015に取り外し自在に取り付けられていてもよい。
【0113】
PPD1400は、サーミスタ等の温度センサ1420(図14に示す実施例は、個々の温度センサ1420a乃至1420fを含む)を含んでいてもよい。これらの温度センサ1420からの信号出力は導電性トレース1422を介して出力コネクタ1424に連結されている。他の実施例によれば、温度センサ1420からの信号出力は、導電性トレース1422を介してでなく無線によって伝送されてもよい。図14に示すように、PPD1400は、更に、超小型電子デバイス1426を備えていてもよい。超小型電子デバイス1426は、温度センサ1420からの信号出力に電気的に接続されてもよく、例えば、出力信号の記憶、計算、及び/又は通信を行う。
【0114】
本開示によるアプリケータ15及び1015の実施例は、夫々、リップ144及び1144を含み、これらのリップは、被術者11の皮膚70と接触する輪郭の少なくとも一部を形成する。接触は、ゲルをしみ込ませたパッド、例えばケンドール社が製造しているウェブリル(ウェブリル(Webril)は登録商標である)を間に置くことによって行われる。輪郭の形状は、治療が行われることが確認された別個の組織セグメントの周囲に容易に馴染まなければならない。輪郭の長さ方向端部は、図5A乃至図5Dに示す実施例に関してリップ144とも呼ばれ、湾曲した身体の輪郭、例えば身体の「ウェスト周囲の余分な脂肪(love handle)」 領域とも呼ばれる横腹部即ちフランクと対応する耳のような形状を備えていてもよい。アプリケータ15又は1015を被術者11に押し付ける不当な力を加えずに輪郭が身体の輪郭とぴったりと一致した場合、アプリケータ15又は1015とパッド/皮膚表面との間にほぼ気密のシールが形成される。ほぼ気密のシール及びアプリケータ15又は1015の内部キャビティ96又は1096内の真空圧力が皮下脂肪及びその上にある皮膚に作用し、治療のために組織セグメントをカップに引き込む。輪郭が被術者11の身体と一致しない場合には、ほぼ気密のシールは形成されず、治療のために組織をアプリケータ15又は1015に引き込む真空圧力が内部キャビティ96又は1096内に形成されない。ほぼ気密のシールは、力を加えてアプリケータ15又は1015を軟組織に押し込むことによっても形成できる。しかしながら、真空圧力は、リップ144及び1144によって圧縮状態に置かれた皮下脂肪及びその上にある皮膚に作用する。従って、治療のためにアプリケータ15又は1015に引き込まれる組織/脂肪が少なくなる。更に、治療コース中の被術者11の動きが、治療領域の皮膚70に加わる張力を大幅に増大し、皮膚70をアプリケータ15又は1015から引き離してしまう。その結果、アプリケータ15又は1015が皮膚70とほぼ気密のシールを形成した状態が破られ、治療のために組織を内部キャビティ96又は1096に引き込む真空圧力が失われ、アプリケータ15又は1015が被術者11の身体から離れてしまう。
【0115】
本開示の発明者は、人体で自然に見られる脂肪が豊富な様々な細胞堆積物の治療に適した様々な輪郭を考案した。従って、特定の輪郭を個々の脂肪が豊富な細胞堆積物に適用し、ほぼ気密のシールを形成し、治療のために組織を内部キャビティに引き込むための真空圧力を発生し、アプリケータと患者との間の接触を維持するために力をほとんど又は全く使用しない。しかしながら、このような方法は、多数の独特の形状、及びそれらの費用、及びそれらの収納のため、非現実的となっている。本開示によるアプリケータの実施例は、堅固な少なくとも一つのほぼ剛性のカップと、このカップに関して着脱自在の一つ又はそれ以上の可撓性又はほぼ剛性の輪郭エレメントとを含む。カップキャビティの縁部に一つ又はそれ以上の輪郭エレメントを取り付けることにより、治療がなされるべき組織セグメントとほぼぴったりと一致する特定の輪郭を形成する。輪郭エレメントは、治療を行うための所望の輪郭を得るため、複数の組み合わせで着脱できる。従って、カップ、剛性冷却パネル、真空ポート、制御ハウジング、及び/又はアンビリカルケーブルを含む単一のアプリケータを相互交換可能な一組の輪郭エレメントと組み合わせ、様々な脂肪が豊富な細胞堆積物を対費用効果に優れた方法で治療するための様々な輪郭を形成してもよい。更に、治療を行う施術者は、脂肪が豊富な細胞の除去治療が行われる身体の特定の部分に対してアプリケータの輪郭を調節することによって、彼らの熟達の技をはっきりと見せることができる。このようにして、患者は、自分に施される治療が自分の身体に合わせて行われ、より快適であり且つ治療結果が優れていることを理解する。
【0116】
本開示による幾つかのアプリケータの実施例は、単エレメント取り付けシステム、二エレメント取り付けシステム、又は所望のアプリケータ輪郭を形成するための任意の数の輪郭エレメント用の取り付けシステムを含む。カップキャビティ縁部と輪郭エレメントとの間のインターフェースが協働し、ほぼ気密のシールを形成し、治療を行うために組織をカップキャビティに引き込むための真空圧力を発生する。こうしたほぼ気密のシールが、真空圧力治療中の輪郭エレメントの撓み、組織のマッサージ、重力、及び患者の動きに耐えるのに十分な丈夫さを備えているのが望ましい。
【0117】
本開示による幾つかのアプリケータの実施例は、輪郭エレメント及び/又は輪郭エレメントの配置を確認するための検出器を確実に適正に位置決めする位置合わせ器を含んでいてもよい。位置合わせ器及び検出器の例には、機械的インターロック、磁石、電気的センサ、無線送信機及び受信機、光センサ、等が含まれる。本開示の幾つかの実施例によれば、位置合わせ器及び/又は検出器は、所定位置に取り付けられた輪郭エレメントの何らかの形態のみでアプリケータが作動できることを確認するのに使用してもよい。別の態様では、カップは、所定位置に取り付けられた輪郭エレメントなしでアプリケータが作動できるように形成されていてもよい。これにより、輪郭エレメント位置合わせ器又は輪郭エレメント検出器を設けることと関連した必要、複雑さ、及び費用が低減される。
【0118】
本開示による幾つかのアプリケータの実施例は、アプリケータを身体に適用するときに患者の身体に適合できるように調節できる可撓性輪郭を含む。幾つかの実施例では、可撓性輪郭は、定常状態条件が得られるまで、例えば治療のために組織がカップに引き込まれるまで、調節可能であってもよい。アコーディオン状の蛇腹及び比較的可撓性の部分を含む単一の材料ピースが可撓性輪郭の二つの例である。可撓性の輪郭の別の例には、様々なジュロメータ硬度及び可撓性を持つ複合部分が含まれていてもよく、これにより、治療中に遭遇する応力に抗する比較的大きな強度及び剛性を提供すると同時に、治療中の快適性を高めるため、軟質で比較的可撓性の輪郭縁部が患者と接触できるようにする。
【0119】
本開示によるアプリケータの他の実施例は、様々な輪郭の相互交換可能なカップを含む。カップ全体をアプリケータハウジングから取り外し、脂肪が豊富な細胞堆積物を治療するのに適した輪郭を持つ別のカップと交換する。
【0120】
図15A及び図15Bは、本発明によるアプリケータの一実施例を示す。特に、図15Aは、ベース2000に磁気的に取り付けられる単ピース輪郭エレメント2200の一例を示し、図15Bは、アプリケータから取り外した輪郭エレメント2000を示す。磁気的に取り付けられる輪郭エレメント2000は、輪郭全体を形成する単一の一体のユニットを含む。従って、輪郭エレメント2000は、ベース2000に関する取り付け及び取り外しが磁気的に一体のユニットとして行われ、同じ又は異なる輪郭を持つ磁気的に取り付けられる他の輪郭エレメントと相互交換可能である。本開示による他の実施例は、磁気的に取り付けられる多ピース輪郭エレメント(図示せず)を含んでいてもよい。ベース2000は全体に剛性であってもよく、例えば、キャビティ表面96の部分として複数の冷却面を備えていてもよい。
【0121】
磁気的に取り付けられる輪郭エレメント2200の各々は、長さ方向端部に配置されたリップ2220(個々のリップ2220a及び2220bが示してある)及びこれらのリップ2220間を延び且つこれらのリップを連結する横方向に間隔が隔てられたウィング2230(個々のウィング2230a及び2230bが示してある)を含む。リップ2220は、被術者11の比較的湾曲した身体表面にぴったりと合う輪郭の部分を提供し、ウィング2230は被術者11の比較的平らな身体表面にぴったりと合う輪郭の部分を提供する。ウィング2230は、更に、輪郭の平らなセグメントがないような輪郭形状を提供してもよい。リップ2220の曲率半径、ウィング2230からのリップ2220の突出距離、ウィング2230間の横方向間隔、ウィング2230の長さ方向長さ、及びウィング2230の湾曲により、被術者11の様々な大きさ及び形状の領域を治療するためのほぼ気密のシールを形成する上で輪郭エレメント2200が適当であるかどうかが決まる。図15A及び図15Bに示す輪郭エレメント2200は、ほぼ対称な輪郭を備えているが、別の輪郭エレメント2200によって非対称輪郭を提供してもよい。
【0122】
輪郭エレメント2200は、更に、リップ2220及びウィング2230によって形成された輪郭の反対側に取り付け面2240を備えている。取り付け面2240は、ベース2000の内部キャビティ2006を取り囲むカップ縁部2004のベース面2002と協働的に係合する。図15Aに示す取り付け済構成では、取り付け面2240は、治療中に内部キャビティ2006内に真空圧力を発生するため、ベース面2002と密封係合する。相互交換可能な輪郭エレメントの各々は、同様の取り付け面2240を含むが、個々の輪郭エレメント2200のリップ2220及びウィング2230が形成する異なる輪郭を備えていてもよい。
【0123】
ウィング2230は、取り付け済構成(図15A参照)では、ベース2000のカップ縁部2004に磁気的に取り付けられている。詳細には、輪郭エレメント2200は第1コネクタ2250を含み、これらの第1コネクタ2250は、ベース2000の第2コネクタ2260に磁気的に取り付けられる。図15Aに示すように、ウィング2230は第1コネクタ2250(個々の第1コネクタ2150a乃至2150dを示す)を含み、これらの第1コネクタは、ベース2000に設けられた第2コネクタ2260(個々の第2コネクタ2160a及び2160bを示す)と噛み合って協働する。第1及び第2のコネクタ2250及び2260は、取り付け済構成(図15A参照)でベース2000及び輪郭エレメント2200を互いに整合し、取り外し自在に保持し、取り外し構成(図15B参照)においてベース2000を輪郭エレメント2200から分離できるようにするため、取り付け面2240又はベース面2002に埋設された又はその近くに設けられた磁石及び/又は鉄材料を含む。
【0124】
第1及び第2のコネクタ2250と2260との間の磁気引力により、ベース2000及び輪郭エレメント2200を自動的に整合し、取り付け済構成(図16A参照)において不時の分離を阻止するため、自動的に係止する。従って、ベース2000は、取り外し構成(図16B参照)において所期の分離を可能にするため、係止解除特徴2270を含んでいてもよい。本開示による係止解除特徴2270の一実施例は、第1及び第2のコネクタ2250と2260との間の磁界を遮断する係止解除位置まで第2コネクタ2260を往復動し、これによってベース2000と輪郭エレメント2200との間を分離できるようにするため、ベース2000に関して相対的に移動可能なレリーズ2010を含む。ベース2000と輪郭エレメント2200との間を分離するのに単一のレリーズ2010により複数の係止解除特徴2270を同時に可能化してもよく、個々のレリーズ2010が対応する係止解除特徴2270を独立して不能化してもよく、又はこれらの組み合わせを使用してもよい。
【0125】
図16A及び図16Bは、本発明によるアプリケータの別の実施例を示す。詳細には、図16Aは、ベース2000に取り付けられた輪郭エレメント2300の一例を示し、図16Bは、ベース2000から取り外した輪郭エレメント2300を示す。輪郭エレメント2300は、輪郭全体を形成する単一の一体のユニットを含んでいてもよい。従って、輪郭エレメント2300は、ベース2000に関して一体のユニットとして着脱され、同じ又は異なる輪郭を提供する他の輪郭エレメントと相互交換可能である。本開示による他の実施例は、磁気的に取り付けられた多ピース輪郭エレメント(図示せず)を含んでいてもよい。
【0126】
輪郭エレメント2300は、図15A及び図15Bに関して説明したリップ2120、ウィング2130、及び取り付け面2140と同様のリップ2320(個々のリップ2320a及び2320bを示す)、ウィング2330(個々のウィング2330a及び2330bを示す)、及び取り付け面2340を含んでいてもよい。輪郭エレメント2200と異なり、ベース2000及び輪郭エレメント2300は、輪郭エレメント2300の長さ方向両端に配置されたトウクリップ2350及びヒールロック2360を含む。
【0127】
トウクリップ2350は、少なくとも一つの第1突出部2352を含む。第1突出部2352は、取り付け構成(図16A参照)において、枢動スロット2354に受け入れられ、これと協働する。図16A及び図16Bに示す実施例によれば、トウクリップ2350は、輪郭エレメント2300から横方向に延びる一対の第1突出部2352(図16Aには一方だけしか示してない)及びベース2000の両横側に配置された一対の枢動スロット2354(図16A及び図16Bには一方だけしか示してない)を含む。第1突出部2352は、取り付け面2340とベース面2002との間の近傍を確実にシールするため、リップ2320とウィング2330との間の接合部の近くに配置されていてもよい。本開示による他の実施例は、輪郭エレメント2300の長さ方向端部に配置され、ベース2000の長さ方向端部に配置された単一の枢動スロット2354に協働するように受け入れられた単一の第1突出部2352を含んでいてもよい。
【0128】
ヒールロック2360は、取り付け構成(図16A参照)において少なくとも一つのスイングアーム2364と協働するように係合する少なくとも一つの第2突出部2362を含む。図16A及び図16Bに示す実施例によれば、ヒールロック2360は、輪郭エレメント2300から横方向に延びる一対の第2突出部2362(図16Bには一方だけしか示してない)と、ベース2000の両横側に枢着された二股スイングアーム2364とを含む。第2突出部2362は、取り付け面2340とベース面2002との間の近傍を確実にシールするため、全体が、リップ2320とウィング2330との間の近くに配置されていてもよい。スイングアーム2364は個々のカム2366を含み、これらのカムは、取り付け構成(図16A参照)において、対応する第2突出部2363と協働するように係合する。
【0129】
ベース2000への輪郭エレメント2300の取り付けは、取り付け面2340がベース面2002に関して鋭角をなして配向されているとき、第1突出部2352をトウクリップ2350の枢動スロット2354と係合する工程を含む。次いで、ベース2000の内部キャビティ2006を取り囲むほぼ気密なシールを形成するため、取り付け面2340及びベース面2002が互いに係合するまで、輪郭エレメント2300及びベース2000を互いに向かって枢動する。その後、カムが揺動して第2突出部2362と隣接して係合するようにスイングアーム2364をベース2000に関して枢動することによってヒールロック2360を適用する。スイングアーム2364をその係止位置(図16A参照)まで枢動し続けることによって、カム2366を第2突出部2362に作用し、輪郭エレメント2300をベース2000に押し付け、ベース2000の内部キャビティ2006を取り囲むほぼ気密なシールを形成する。取り付けプロセスを逆に行うことによって、輪郭エレメント2300をベース2000から取り外すことができる。
【0130】
ベース2000及び輪郭エレメント2300は、取り付け構成(図16A参照)において不時に分離しないようにする係止特徴2270を備えていてもよい。本開示による係止特徴の一実施例は、スイングアーム2364をオーバセンタでその係止位置(図16A参照)まで枢動することを含む。
【0131】
ベース2000及び輪郭エレメント2300の取り付けは、積極的に係合していることの視覚的表示を提供しなくてもよい。積極的係合(又は係合解除)の感覚を提供するデバイスの例には、ベース2000と輪郭エレメント2300との間に配置されたオーバセンタ機構が含まれる。この機構は、カチッと嵌まった触感を提供し、カチッと嵌まった音を提供し、又は取り付け中に必要とされる力が取り外し中に必要とされる力よりも大きく、これによっても触感を提供する。
【0132】
図17A及び図17Bは、本発明によるアプリケータの更に別の実施例を示す。詳細には、図17Aは、ベース2000に取り付けられた2ピース輪郭エレメント2400の一例を示し、図17Bは、ベース2000から取り外した2ピース輪郭エレメント2400を示す。2ピース輪郭エレメント2400は、二つの独立したピース2400a及び2400bを含む。これらのピースは、輪郭を部分的に形成する。各ピース2400a及び2400bは、ベース2000に関して独立して着脱される。各ピースは、同じ又は異なる輪郭を形成するため、他の2ピース輪郭エレメントと独立して相互交換可能である。
【0133】
各ピース2400a及び2400bはリップを形成し、このリップは、輪郭エレメント2400の長さ方向反対端に配置される図15A及び図15Bを参照して説明した磁気的に取り付けられた輪郭エレメント2200とは異なり、ベース2000のカップ縁部2004のベース面2002が、ピース2400aと2400bとの間の輪郭の部分を形成する。図17A及び図17Bに示す輪郭エレメント2400は、全体に非対称な輪郭を備えている。しかしながら、ほぼ同じ形状及び大きさのピース2400a及び2400bを使用することによって対称な輪郭を形成してもよい。
【0134】
各ピース2400a及び2400bは、治療中に内部キャビティ2006内に真空を形成するためにほぼ気密なシールを形成するため、ベース面2002と協働するように係合する取り付け面2440を含んでいてもよい。輪郭エレメント2400の相互交換可能なピースの各々は、同様の取り付け面2440を含み、それでも、異なる輪郭の部分を形成する。
【0135】
ベース2000及び輪郭エレメント2400は、取り付け構成(図17A参照)において不時に分離しないようにし、取り外し構成(図17B参照)において所期の分離を可能にする係止特徴2450を含んでいてもよい。本開示による係止特徴2450の一実施例は、弾性変形可能な少なくとも一つのスナップアーム2452を含む。このスナップアーム2452は、取り付け構成(図17A参照)においてスナップポケット2454によって協働するように受け入れられる。図17Aに示す実施例は、各ピース2400a及び2400b用の一対のスナップアーム2452(個々のスナップアーム2452a及び2452bを示す)を示し、対応する対をなしたスナップポケット2454(個々のスナップポケット2454a及び2454bを示す)がベース2000に設けられている。
【0136】
ベース2000及び輪郭エレメント2400は、更に、取り付け構成(図17A参照)において輪郭が不時に変形することがないようにする整合特徴2460を含んでいてもよい。治療中に輪郭が変形すると、内部キャビティ2006内で真空が発生しなくなる。本開示による係合特徴2460の一実施例は、取り付け構成(図17A参照)において穴2464によって協働的に受け入れられる少なくとも一つのピン2462を含む。図17Aに示す実施例は、各ピース2400a及び2400bの一対のピン2462(個々のピン2462a及び2462bを示す)を示し、穴2464(個々の穴2464a及び2464bを示す)の対応する対がベース2000に設けられている。整合特徴2460は、取り付け面2440とベース面2002との間の近傍を確実にシールするため、輪郭エレメント2400のチップとベース面2002との間の接合部と近接して配置されていてもよい。
【0137】
輪郭エレメント2400をベース2000に取り付ける工程は、スナップアーム2452をスナップポケット2454内に摺動しながらピン2462及び穴2464を整合する工程を含む。ベース2000からの輪郭エレメント2400の取り外しは、スナップアーム2452を弾性変形し、例えばスナップアームを互いに向かって押し、輪郭エレメント2400をアプリケータから遠ざかるように摺動することによって行ってもよい。
【0138】
本開示による実施例は、アプリケータと一つ又はそれ以上の輪郭エレメントとの間に他の取り付けデバイス及び/又はシールを含んでいてもよい。例えば、アプリケータ及び輪郭エレメントは、カム、相互係止チャンネル区分、弾性スカート、弾性ストラップ、ラッチ、及び少なくともほぼ気密な連結部を提供する他のアタッチメントを含んでいてもよい。気密連結部を解放し、輪郭エレメントをアプリケータに関して相互交換できるようにしてもよい。
【0139】
本開示による実施例は、一つ又はそれ以上の追加の利点を提供する。例えば、パネル及びフレームの大きさ、形状、及び他の物理的特徴を、個々の真空アプリケータで使用/再使用できる標準的な熱除去源を受け入れるように選択してもよい。従って、個々の真空アプリケータの可撓性部分を変更することによって、標準的な熱除去源を使用でき、個々の皮膚層の様々な輪郭を収容できる。同様に、これによって、比較的高価な熱除去吸引源を再使用でき、比較的安価な個人用保護デバイス及び/又は真空アプリケータを治療毎に廃棄できる。真空アプリケータの剛性部分は、可撓性部分に関して比較的剛性であり、熱除去源の取り付け点を提供し、真空アプリケータ内に部分真空を引いたときに弓なりになって内部キャビティ内に入り込んだり熱除去源から分離したりしないようにする。分離器により、真空アプリケータは、熱カップリング流体、即ち温度抑制剤を含む凍結防止物質を内部キャビティ内に保持でき、真空アプリケータを逆さまにしたとき、流体が吸引ポートを通過しないようにする。カム及びラッチが熱除去源を剛性部分に押し付けて保持することによって、真空アプリケータの内部キャビティと熱除去源との間で熱を確実に伝導する。温度センサを真空アプリケータの内側に、例えば患者保護デバイスに配置することによって、皮膚層の温度を更に正確に計測する。更に、可撓性区分により、被術者11の様々な身体輪郭に対して幾分かの柔軟性を提供する。
【0140】
以上から、開示の特定の実施例を例示の目的で本明細書中に説明したということは理解されよう。しかし、本開示から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。例えば、特定の実施例で説明した構造及び/又はプロセスは、他の実施例では、組み合わせたりなくしたりしてもよい。詳細には、特定の実施例を参照して上文中に説明した取り付け特徴には、一つ又はそれ以上の追加の特徴又は構成要素が含まれていてもよく、上文中に説明した一つ又はそれ以上の特徴が省略されていてもよい。更に、本開示の特定の実施例と関連した利点をこれらの実施例で説明したが、他の実施例にも同様の利点があってもよく、必ずしも、本開示の範疇の全ての実施例にこのような利点がなくてもよい。従って、本開示には、図示も上文中に説明もなされていない他の実施例も含まれる。
【符号の説明】
【0141】
10 治療システム
11 被術者
12 腹部領域
14 治療デバイス
15 アプリケータ
16 治療ユニット
18 供給−戻し流体ライン
20 電源
24 演算処理ユニット
26 信号ライン26

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪が豊富な皮下細胞を治療するためのデバイスにおいて、
内側面及びこの内側面とは反対側に位置決めされた外側面を持つ熱伝導体を含む剛性部分と、
内面、この内面とは反対側に位置決めされた外面、及び前記内面と前記外面との間を延びる切欠きとを持つ可撓性部分とを含み、
前記熱伝導体は、前記切欠きに位置決めされ、前記可撓性部分及び前記剛性部分が本体を形成し、この本体は、
前記剛性部分の前記内側面及び前記可撓性部分の前記内面を含む内部面と、
前記剛性部分の前記外側面及び前記可撓性部分の前記外面を含む外部面とを含む、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記剛性部分は、
前記熱伝導体と熱的に接触した低温側及び前記低温側とは反対側に位置決めされた高温側を持つ少なくとも一つの熱電冷却ユニットと、
前記熱電冷却ユニットの前記高温側と熱的に接触した熱交換器とを含む、デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスにおいて、更に、
前記剛性部分と前記可撓性部分とを連結するフレームを含む、デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記剛性部分は、前記熱伝導体と熱的に接触した熱交換器を含み、前記熱交換器は、熱交換流体を循環するように形成された通路を含む、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記熱伝導体の前記内側面は、プリント基板を含む、デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスにおいて、
前記プリント基板は第1計測センサを含み、前記熱伝導体は、前記第1計測センサを受け入れる第1凹所を含む、デバイス。
【請求項7】
請求項5に記載のデバイスにおいて、
前記プリント基板は第1計測センサを含み、第2計測センサが前記熱伝導体の前記外側面の第2凹所に位置決めされている、デバイス。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のデバイスにおいて、
前記計測センサは、温度センサ及び熱流束センサのうちの少なくとも一方を含む、デバイス。
【請求項9】
請求項6又は7に記載のデバイスにおいて、
前記計測センサは、様々な計測信号を提供するように形成されている、デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスにおいて、更に、
前記可撓性部分に連結された、第1電気接点を持つソケットを含むハウジングと、
前記ソケットに接続されるように形成された、前記第1電気接点に電気的に接続されるように形成された第2接点を含むトークンと、
前記第2接点に電気的に接続された超小型電子デバイスと、
前記第2電気接点及び前記超小型電子デバイスを支持し、前記ソケットと協働的に係合するように形成された筐体とを含む、デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスにおいて、更に、
前記熱伝導体の前記内側面に位置決めされた計測センサを含む、デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、
前記計測センサは、前記第1電気接点と電気的に通信する、デバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のデバイスにおいて、
前記熱伝導体の前記内側面には、前記計測センサに電気的に接続されたプリント基板が設けられている、デバイス。
【請求項14】
請求項11又は13に記載のデバイスにおいて、
前記計測センサは、前記温度センサ及び熱流束センサのうちの少なくとも一方を含む、デバイス。
【請求項15】
請求項11に記載のデバイスにおいて、更に、
差動計測信号を提供するように形成された複数の計測センサを含む、デバイス。
【請求項16】
請求項10に記載のデバイスにおいて、
前記ソケット及び前記筐体は、前記トークンを前記ソケットに接続したときに協働的に係合する対応する非対称特徴を含む、デバイス。
【請求項17】
請求項10に記載のデバイスにおいて、
前記第1及び第2の電気接点は、前記トークンを前記ソケットに接続したときに協働的に係合する対応する非対称特徴を含む、デバイス。
【請求項18】
請求項1に記載のデバイスにおいて、更に、
前記本体の少なくとも内部面に被せられる障壁を含む、デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のデバイスにおいて、
前記障壁は、患者間に配置されるように形成された障壁を含む、デバイス。
【請求項20】
請求項18に記載のデバイスにおいて、
前記障壁は、前記本体の前記外部面に被せられている、デバイス。
【請求項21】
請求項18に記載のデバイスにおいて、
前記本体は磁石を含み、前記障壁は前記磁石と協働的に係合するように形成された鉄材料を含む、デバイス。
【請求項22】
請求項18に記載のデバイスにおいて、前記障壁は、
薄ゲージフィルムを含むライナと、
前記薄ゲージフィルムと比較して比較的剛性のフレーム材料を含むフレームとを含み、前記フレームは前記ライナに連結され、前記ライナを前記熱伝導体の内側面上にぴんと張った状態に保持するように形成されている、デバイス。
【請求項23】
請求項18に記載のデバイスにおいて、
前記障壁は、前記ライナに連結された選択的に透過性の膜を含み、前記部材は前記本体内に真空を引くときに空気を通すことができ、ゲルの通過に抵抗するように形成されている、デバイス。
【請求項24】
ターゲット領域の脂肪が豊富な皮下細胞を治療するためのシステムにおいて、
前記ターゲット領域と作動的に係合するように形成された、前記脂肪が豊富な細胞から熱を除去するように形成された熱除去源を含むアプリケータを含む治療デバイスと、
前記熱除去源に電気的に接続された超小型電子デバイスを含む、前記治療デバイスによる治療を許可するトークンとを含む、システム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記トークンは前記治療デバイスに接続される、システム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムにおいて、更に、
前記治療デバイスと前記トークンとを接続する非対称インターフェースを含む、システム。
【請求項27】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記トークンは非対称インターフェースを含む、システム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムにおいて、
前記非対称インターフェースは、非対称雄部材及び非対称雌部材を含み、前記トークンが前記治療デバイスによる治療を許可するとき、前記非対称雌部材が前記非対称雄部材を受け入れる、システム。
【請求項29】
請求項24に記載のシステムにおいて、更に、
前記治療デバイスと前記ターゲット領域との間に位置決めされるように形成されたライナを含む、システム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムにおいて、
前記ライナは患者間に配置されるように形成されており、前記治療デバイスは一回以上の治療に使用されるように形成されている、システム。
【請求項31】
請求項29に記載のシステムにおいて、
前記ライナは薄ゲージフィルム及び前記フィルムに作動的に連結された鉄材料を含み、前記治療デバイスは、前記鉄材料に磁気的に結合するように形成された磁石を含む、システム。
【請求項32】
請求項29に記載のシステムにおいて、
前記超小型電子デバイスは、前記ライナを前記治療デバイスに関して位置決めしたとき、これを確認する、システム。
【請求項33】
ターゲット領域の脂肪が豊富な皮下細胞を治療するための方法において、
前記脂肪が豊富な細胞から熱を除去するように形成された熱除去源を含む治療システムを前記ターゲット領域用に形成する工程と、
所定限度内での前記治療システムの使用を許容する工程と、
前記治療システムの連続使用が前記所定限度内にあることを確認する工程と、
前記所定限度を越えたとき、前記治療システムの使用を禁止する工程とを含む、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、更に、
超小型電子デバイスを含むトークンに前記所定限度を記憶する工程と、
前記トークンを前記治療システムに連結する工程とを含む、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、
前記超小型電子デバイスは、前記治療システムの使用が前記トークンに記憶された前記所定限度内であることを確認し、前記超小型電子デバイスは、前記所定限度を越えたとき、前記治療システムの使用を禁止する、方法。
【請求項36】
請求項34に記載の方法において、更に、
前記所定限度を越えたとき、前記トークンを交換トークンと交換する工程と、
前記交換トークンに別の所定限度を記憶する工程と、
前記交換トークンを前記治療システムに連結し、前記治療システムの使用を再び許容する工程とを含む、方法。
【請求項37】
請求項33に記載の方法において、更に、
前記治療システムに取り外し自在に取り付けられるように形成されたトークンで治療システムの使用を計測する工程と、
前記治療システムの使用に対する料金を前記トークンによる計測に基づいて科料する工程とを含む、方法。
【請求項38】
皮膚層の下の脂肪が豊富な細胞を冷却/加熱ユニットで治療するための真空アプリケータにおいて、
内側面、外側面、及び前記内側面と前記外側面との間を延びる剛性縁部を有し、前記内側面を前記外側面に連結する熱伝導体を含む剛性部分と、
内面、この内面とは反対側に位置決めされた外面、及び前記内面と前記外面との間を延びる可撓性縁部を持つ可撓性部分とを含み、
前記可撓性部分及び前記剛性部分は本体を形成し、この本体は、
前記剛性部分の前記内側面及び前記可撓性部分の前記内面を含む内部面と、
前記剛性部分の前記外側面及び前記可撓性部分の前記外面を含む外部面と、
前記剛性部分の前記剛性縁部及び前記可撓性部分の前記可撓性縁部を含む穴とを含む、真空アプリケータ。
【請求項39】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、前記剛性部分は、
前記熱伝導体を含むパネルと、
前記パネルを取り囲み、前記剛性部分と前記可撓性部分とを連結するフレームとを含み、
前記フレームは
前記内部面に位置決めされた第1フレーム部分及び前記外部面に位置決めされた第2フレーム部分を含む、真空アプリケータ。
【請求項40】
請求項39に記載の真空アプリケータにおいて、
前記剛性部分は前記第1及び第2のフレーム部分を連結する複数のファスナを含み、
個々のファスナは前記可撓性部分を通って延びる、真空アプリケータ。
【請求項41】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、
前記剛性部分の前記外側面は、前記冷却/加熱ユニットと接触係合するように形成されている、真空アプリケータ。
【請求項42】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、
前記剛性部分は、前記冷却/加熱ユニットを押圧し、前記熱伝導体と接触係合するように形成されたカムを含む、真空アプリケータ。
【請求項43】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、
前記剛性部分は、前記冷却/加熱ユニットを前記本体に取り外し自在に固定するように形成されたラッチを含む、真空アプリケータ。
【請求項44】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、
前記可撓性部分は、第1端部と第2端部とを連結する中央部分を含む、真空アプリケータ。
【請求項45】
請求項44に記載の真空アプリケータにおいて、
個々の端部は、直線状セグメント、円弧状セグメント、及び直線状セグメント及び円弧状セグメントの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む立体的形状を持つ、個々の可撓性縁部を含む、真空アプリケータ。
【請求項46】
請求項44に記載の真空アプリケータにおいて、
個々の端部は、前記中央部分に関して傾斜した個々の可撓性縁部の少なくとも一部を含む、真空アプリケータ。
【請求項47】
請求項44に記載の真空アプリケータにおいて、個々の端部は、
前記中央部分と近接した頂部分及び前記中央部分から遠い個々の可撓性縁部と、
前記頂部分から、前記頂部分と前記可撓性縁部との間に配置された円弧状ウェストラインまで外方に末広がりになった肩部と、
前記ウェストラインと前記可撓性縁部との間を延びる円錐形末広がり部分を持つエプロンと、
前記頂部分と前記可撓性縁部との間、及び前記肩部及びウェストラインから個々の剛性部分まで延びる個々のフランクとを含む、真空アプリケータ。
【請求項48】
請求項44に記載の真空アプリケータにおいて、前記可撓性部分は、
第1及び第2の剛性部分と隣接して位置決めされた、各々が前記第1部分、前記第2部分、及び前記中央部分に沿って延びる第1及び第2の周囲と、
個々の周囲と平行に延び、個々の剛性部分と係合する、溝及びリブのうちの少なくとも一方とを含む、真空アプリケータ。
【請求項49】
請求項44に記載の真空アプリケータにおいて、前記可撓性部分は、
第1及び第2の剛性部分と隣接して位置決めされた、各々が前記第1部分、前記第2部分、及び前記中央部分に沿って延びる第1及び第2の周囲と、
個々の周囲と隣接した少なくとも一つの穴とを含み、個々の剛性部分が前記穴を通って延びる、真空アプリケータ。
【請求項50】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、
前記可撓性部分は、第1及び第2の構成間で弾性変形可能であり、前記剛性部分は前記可撓性部分の前記第1及び第2の構成間で実質的に変形しない、真空アプリケータ。
【請求項51】
請求項50に記載の真空アプリケータにおいて、
前記可撓性部分の前記第1構成は、前記穴の第1形状と対応し、前記可撓性部分の前記第2構成は、前記穴の第2形状と対応する、真空アプリケータ。
【請求項52】
請求項50に記載の真空アプリケータにおいて、
前記可撓性部分は真空ポートを含み、前記可撓性部分の前記第1構成は、前記真空ポートを通して部分真空を引くことに応答し、前記可撓性部分の前記第2構成は、前記部分真空の解放に応答する、真空アプリケータ。
【請求項53】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、
前記熱伝導体は、熱電冷却エレメント及び循環流体冷却エレメントのうちの少なくとも一方に連結されている、真空アプリケータ。
【請求項54】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、更に、
前記熱伝導体に連結されたペルチェ型熱電冷却エレメントを含む、真空アプリケータ。
【請求項55】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、更に、
前記熱伝導体と皮膚層との間に位置決めされるように形成された個人用保護デバイスを含み、前記個人用保護デバイスは、熱伝導性プレート及び皮膚層のうちの少なくとも一つの温度を検出するセンサを含む、真空アプリケータ。
【請求項56】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、更に、
真空ポート及びこの真空ポートを部分的に塞ぐ障害部を含み、前記障害部は、皮膚層が前記真空ポートを通過することを禁止すると同時に流体が前記真空ポートを通過することを許容する、真空アプリケータ。
【請求項57】
請求項38に記載の真空アプリケータにおいて、更に、
真空ポート及びこの真空ポートと流体連通した流体分離器を含み、前記流体分離器は、気体又は蒸気を前記真空ポートに通すが液体又はゲルの前記真空ポートの通過を禁止するように形成されている、真空アプリケータ。
【請求項58】
請求項57に記載の真空アプリケータにおいて、
前記流体分離器は、前記真空ポートと流体連通した内部キャビティ内に位置決めされたフォームパッドを含む、真空アプリケータ。
【請求項59】
請求項57に記載の真空アプリケータにおいて、
前記流体分離器は、前記真空ポートと流体連通した曲がりくねった通路を含む、真空アプリケータ。
【請求項60】
請求項57に記載の真空アプリケータにおいて、更に、
前記個人用保護デバイスと皮膚層との間に位置決めされるように形成された流体を含み、前記真空ポート及び前記流体分離器は、前記真空ポートを通る流体の通過を禁止するが、空気を前記真空ポートに通す、真空アプリケータ。
【請求項61】
請求項60に記載の治療デバイスにおいて、
前記流体は温度抑制剤を含む、治療デバイス。
【請求項62】
請求項60に記載の治療デバイスにおいて、
前記流体は、液体、ゲル、及びペーストのうちの少なくとも一つを含み、前記流体は吸湿性であり、熱伝導性であり、生体親和性である、治療デバイス。
【請求項63】
皮膚層の下の脂肪が豊富な細胞を治療するための方法において、
熱除去源を真空アプリケータの熱伝導性プレートの外部面に連結する工程と、
吸引源を前記真空アプリケータの内部キャビティに連結する工程と、
前記真空アプリケータを皮膚層に置く工程と、
前記吸引源を作動し、皮膚層を前記真空アプリケータの前記内部キャビティに引き込む工程と、
前記熱除去源を作動し、前記脂肪が豊富な細胞から熱を除去する工程とを含む、方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法において、更に、
前記真空アプリケータの大きさ及び形状を皮膚層の輪郭と対応するように選択する工程を含む、方法。
【請求項65】
請求項63に記載の方法において、更に、
個人用保護デバイスを、皮膚層と前記真空アプリケータの前記内部キャビティとの間に位置決めする工程を含む、方法。
【請求項66】
請求項63に記載の方法において、更に、
前記吸引源及び前記熱除去源を消勢する工程と、
前記吸引源及び前記熱除去源を前記真空アプリケータから取り外す工程と、
前記個人用保護デバイス及び前記真空アプリケータの少なくとも一方を廃棄する工程とを含む、方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法において、更に、
前記吸引源及び前記熱除去源を別の真空アプリケータとともに再使用する工程を含む、方法。
【請求項68】
請求項63に記載の方法において、
前記熱除去源を連結する工程は、前記熱除去源を押圧し、熱伝導性プレートと接触係合する工程及び前記熱除去源を前記真空アプリケータにラッチ止めする工程とを含む、方法。
【請求項69】
請求項63に記載の方法において、更に、
温度抑制剤を含む凍結防止物質を前記真空アプリケータ内に配置し、前記真空アプリケータ及び皮膚層上に氷が形成しないようにする工程を含む、方法。
【請求項70】
請求項63に記載の方法において、更に、
皮膚層の温度及び前記熱伝導性プレートの温度の少なくとも一方を監視する工程を含む、方法。
【請求項71】
皮膚層の下の脂肪が豊富な細胞を治療するためのデバイスにおいて、
第1アタッチメントを含むベースと、
キャビティの口部を形成する輪郭の第1部分を含み、第1デバイス構成において前記第1アタッチメントに連結され、第2デバイス構成において前記第1アタッチメントから外される第2アタッチメントを含む、継手と、
前記キャビティの少なくとも一部の周囲に配置された熱伝導体とを含み、前記熱伝導体は、前記第1デバイス構成において前記輪郭が皮膚層と係合したとき、前記脂肪が豊富な細胞に関して熱伝達するように形成される、デバイス。
【請求項72】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記輪郭は、皮膚層と形態が一致するように形成されている、デバイス。
【請求項73】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記継手は前記ベースに関して比較的可撓性である、デバイス。
【請求項74】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記継手は前記キャビティを形成する、デバイス。
【請求項75】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記ベースは前記キャビティの第1部分を形成し、前記継手は前記キャビティの第2部分を形成する、デバイス。
【請求項76】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記ベースは前記輪郭の第2部分を含む、デバイス。
【請求項77】
請求項76に記載のデバイスにおいて、
前記第1及び第2の部分は、前記輪郭を形成する、デバイス。
【請求項78】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記第1部分は前記輪郭を形成する、デバイス。
【請求項79】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記継手は前記輪郭の前記第1部分を形成する第1及び第2のリップを含む、デバイス。
【請求項80】
請求項79に記載のデバイスにおいて、
前記第1リップは前記第1アタッチメントを含み、前記第2リップは第3アタッチメントを含み、前記第3アタッチメントは第4アタッチメントによって前記ベースに連結されている、デバイス。
【請求項81】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記口部は前記キャビティに関して外方に末広がりになっている、デバイス。
【請求項82】
請求項71に記載のデバイスにおいて、更に、
前記第1デバイス構成において前記輪郭が皮膚層と係合したとき、前記キャビティと流体連通する真空圧力ポートを含む、デバイス。
【請求項83】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記第1及び第2のアタッチメントの一方が突出部を含み、前記第1及び第2のアタッチメントの他方が、前記第1構成において前記突出部を受け入れる形態の溝を含む、デバイス。
【請求項84】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記第1及び第2のアタッチメントの一方が磁石を含み、前記第1及び第2のアタッチメントの他方が、前記第1構成において前記突出部に磁気的に連結される鉄材料を含む、デバイス。
【請求項85】
請求項71に記載のデバイスにおいて、
前記第1及び第2のアタッチメントの一方が弾性スナップレバーを含み、前記第1及び第2のアタッチメントの他方が、前記第1構成において前記スナップレバーを受け入れるように形成されたスナップポケットを含む、デバイス。
【請求項86】
請求項71に記載のデバイスにおいて、更に、
前記ベースと前記継手との間にほぼ気密なシールを含む、デバイス。
【請求項87】
請求項71に記載のデバイスにおいて、更に、
前記第1構成において、前記第1及び第2のアタッチメントを分離するように形成されたレリーズを含む、デバイス。
【請求項88】
請求項71に記載のデバイスにおいて、更に、
前記ベース及び前記継手のうちの一方に配置された第1整合器と、
前記ベース及び前記継手のうちの他方に配置された第2整合器とを含み、
前記第1及び第2の整合器は、前記第2構成において、前記ベース及び前記継手を整合するように形成されている、デバイス。
【請求項89】
皮膚層の下の脂肪が豊富な細胞を治療するためのデバイスにおいて、
内部キャビティを形成し、前記キャビティの口部を形成する輪郭を備えた真空カップと、
前記キャビティの少なくとも一部の周囲に配置された、前記輪郭が皮膚層と係合したとき、脂肪が豊富な細胞に関して熱を伝達するように形成された熱伝導体と、
(a)前記内部キャビティの寸法、及び(b)前記内部キャビティに関する前記熱伝導体の位置のうちの少なくとも一方を調節するように形成されたアジャスタとを含む、デバイス。
【請求項90】
請求項89に記載のデバイスにおいて、更に、
前記キャビティの少なくとも一部の周囲に配置された複数の熱伝導体を含む、デバイス。
【請求項91】
請求項90に記載のデバイスにおいて、
前記アジャスタは、アプリケータのキャビティの寸法及び第1熱伝導体の第2熱伝導体に対する間隔及び配向のうちの少なくとも一つを変化するように形成されている、デバイス。
【請求項92】
請求項90に記載のデバイスにおいて、更に、
アプリケータのキャビティの寸法及び第1熱伝導体の第2熱伝導体に対する間隔及び配向のうちの少なくとも一つを感知するように形成された少なくとも一つのセンサを含む、デバイス。
【請求項93】
請求項92に記載のデバイスにおいて、
前記少なくとも一つのセンサからのデータを使用し、脂肪が豊富な皮下細胞の治療パラメータを調節する、デバイス。
【請求項94】
請求項89に記載のデバイスにおいて、
前記アジャスタは、前記輪郭を再形成するように形成されている、デバイス。
【請求項95】
ターゲット領域の脂肪が豊富な皮下細胞を治療するためのシステムにおいて、
第1アタッチメントを含むベースと、
第1キャビティの第1口部を形成する第1輪郭の一部を含み、第1デバイス構成において前記第1アタッチメントに連結され、第2デバイス構成において前記第1アタッチメントから外される第2アタッチメントを含む、第1継手と、
第2キャビティの第2口部を形成する第2輪郭の一部を含み、第3デバイス構成において前記第1アタッチメントに連結される第3アタッチメントを含む、第2継手と、
前記キャビティの少なくとも一部の周囲に配置され、第1構成において前記第1輪郭が皮膚層と係合したとき、及び前記第3構成において前記第2輪郭が皮膚層と係合したとき、脂肪が豊富な細胞に関して熱伝達を行うように形成された熱伝導体とを含む、システム。
【請求項96】
請求項95に記載のシステムにおいて、
前記第1輪郭は前記第2輪郭と異なる、システム。
【請求項97】
請求項95に記載のシステムにおいて、
前記第1及び第2の継手は、前記ベースに関して相互交換可能であるように形成されている、システム。
【請求項98】
請求項95に記載のシステムにおいて、
前記第1及び第3のアタッチメントは、前記第2アタッチメントに関して同様に連結するように形成されている、システム。
【請求項99】
請求項95に記載のシステムにおいて、
前記第1口部は、前記第1キャビティに関して外方に末広がりになっている、システム。
【請求項100】
方法において、
第1継手を真空アプリケータのベースに連結する工程と、
前記第1継手を第1皮膚層領域に配置する工程と、
熱伝導体と前記第1皮膚層領域の下の脂肪が豊富な細胞との間で熱を伝達する工程と、
前記第1継手を前記第1皮膚層領域から変位する工程と、
前記第1継手を前記ベースから外す工程と、
第2継手を前記ベースに連結する工程と、
前記第2継手を第2皮膚層領域に配置する工程と、
前記熱伝導体と前記第2皮膚層領域の下の脂肪が豊富な細胞との間で熱を伝達する工程とを含む、方法。
【請求項101】
請求項100に記載の方法において、更に、
真空圧力を前記キャビティに加えるのに応じて前記第1皮膚層領域を前記真空アプリケータのキャビティに引き込む工程を含む、方法。
【請求項102】
請求項100に記載の方法において、更に、
真空圧力を前記キャビティに加えるのに応じて前記第2皮膚層領域を前記真空アプリケータのキャビティに引き込む工程を含む、方法。
【請求項103】
請求項100に記載の方法において、
前記第1及び第2の皮膚層領域は、一人の患者に配置されている、方法。
【請求項104】
請求項100に記載の方法において、
前記第1継手を前記ベースに連結することにより、前記第1皮膚層領域に配置された第1輪郭を形成し、前記第2継手を前記ベースに連結することにより、前記第2皮膚層領域に配置された第2輪郭を形成する、方法。
【請求項105】
請求項102に記載の方法において、
前記第1輪郭は前記第2輪郭と異なる、方法。
【請求項106】
請求項100に記載の方法において、更に、
前記第1継手を前記第1皮膚層領域に配置するのに応じて、前記第1継手と前記第1皮膚層領域との間にほぼ気密の第1シールを形成する工程と、
前記第2継手を前記第2皮膚層領域に配置するのに応じて、前記第2継手と前記第2皮膚層領域との間にほぼ気密の第2シールを形成する工程とを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【公表番号】特表2012−525241(P2012−525241A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508803(P2012−508803)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/033290
【国際公開番号】WO2010/127315
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507159980)ゼルティック エステティックス インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】