説明

脈波解析装置

【課題】測定結果を示すアナログ信号をデジタル信号に変換する際の量子化誤差を低減す
る。
【解決手段】コントローラー18は、脈波測定装置2に測定開始の指示を伝達する。制御
回路21は、この指示に応じて駆動回路22を制御する。駆動回路22は、制御回路21
の制御の下、発光素子23に電圧を印加し、発光素子23は電圧を印加されたタイミング
で発光する。発光素子23から放射された光は測定対象3において反射し、受光素子24
により受光される。受光素子24は、受光した光の量に応じたアナログ信号を増幅回路2
5に出力する。増幅回路25によって増幅されたアナログ信号は、微分回路26を経て時
間微分されたアナログ信号に変換されて解析装置1に出力される。解析装置1のA/D変
換回路111は、微分回路26が出力したアナログ信号をデジタル信号に変換する。積分
部112はこのデジタル信号が示す値を時間積分する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈波解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の循環器機能を計測する医療用測定機器として脈波を計測する脈波計測装置がある
。脈波とは、心臓の拍動に伴う末梢血管系内の血圧・体積の変化である。この脈波による
血管内の圧力変化を捕らえたものが圧脈波であり、血管の容量変化を捕らえたものが容量
脈波である。
【0003】
脈波による診断は、その波形の変曲点の位置によるものが中心であり、微妙な変曲点の
診断には脈波波形を微分処理する手法がある。脈波を1回微分した波形を速度脈波と呼び
、2回微分した波形を加速度脈波と呼ぶ。加速度脈波に現れる波形形状や各波高の波高比
等から生体の循環器機能が評価される。
【0004】
ところで脈波測定機器にはアナログ・デジタル変換回路によって、測定結果を示すアナ
ログ信号をデジタル信号に変換してから脈波の解析等に利用するもの(以下、脈波解析装
置という)がある。このような脈波解析装置において、アナログ・デジタル変換回路によ
ってアナログ信号をデジタル信号に変換する際には、そのアナログ・デジタル変換回路の
解像度に応じた量子化誤差が発生する。量子化誤差が蓄積すると、測定機器が認識し出力
する測定値が、実際に測定された値から離れてしまうことがある。
量子化誤差を抑制する技術として、特許文献1には、受信信号の入力に対し、その入力
振幅の増大と共に出力振幅増幅率が増大する特性を有する非線形圧縮手段をアナログ・デ
ジタル変換回路の前に備えた超音波診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−149502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、循環器機能の計測において、測定結果のうち振幅の大きい部分における
信号が振幅の小さい部分における信号よりも重要であるとは限らない。一般に脈波解析装
置の場合には、振幅の全範囲において均等にアナログ信号をデジタル信号に変換する必要
がある。
【0007】
本発明は、脈波を解析する脈波解析装置において測定結果を示すアナログ信号をデジタ
ル信号に変換する際に、量子化誤差を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本願に係る脈波解析装置は、生体から脈波を測定し、当
該脈波に応じた第1のアナログ信号を出力する測定手段と、前記測定手段により出力され
た第1のアナログ信号を受け取り、当該第1のアナログ信号の時間微分に比例した第2の
アナログ信号を出力する微分回路と、前記微分回路により出力された第2のアナログ信号
をデジタル信号に変換する変換手段と、前記変換手段により変換されたデジタル信号を解
析して前記脈波を示す脈波情報を生成する生成手段とを具備することを特徴とする。
これにより、測定結果を示すアナログ信号をデジタル信号に変換する際に、量子化誤差
を低減することができる。
【0009】
好ましくは、前記測定手段により出力された第1のアナログ信号を増幅する増幅回路を
具備し、前記微分回路は、前記増幅回路により増幅された後の前記第1のアナログ信号を
受け取り、前記第2のアナログ信号を出力するとよい。
これにより、微分回路に由来するノイズの影響を抑制することができる。
【0010】
また、好ましくは、前記生成手段は、前記変換手段により変換されたデジタル信号が示
す値を時間積分し、積分値を取得する積分手段と、前記積分手段により取得された積分値
を補正値を用いて補正する補正手段と、前記補正手段により補正された積分値の時間変化
におけるピーク位置を検出する検出手段と、前記検出手段により検出されたピーク位置の
時刻を示す時刻情報と当該ピーク位置の積分値とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記
記憶手段の記憶内容に応じて、前記補正値を更新する更新手段とを具備するとよい。
これにより脈波の時間微分から脈波を得ることができる。また、数値積分に伴って蓄積
される誤差の影響を低減させることができる。
【0011】
また、好ましくは、前記更新手段は、前記検出手段により検出された複数のピーク位置
の各積分値に応じた基線の傾きを求め、当該傾きが予め定められた範囲内にない場合に、
前記補正値を、当該傾きが急なほど大きくなる値へと更新し、前記補正手段は、前記更新
手段により更新された補正値を用いて前記積分値を補正して、前記基線の傾きを緩やかに
するとよい。
これにより、各積分値に応じた基線の傾きを予め定められた範囲内に収めることができ
る。
【0012】
また、好ましくは、前記更新手段は、前記検出手段により検出された最新のピーク位置
の積分値が、予め定められた範囲内にない場合に、前記補正値を、当該ピーク位置の積分
値が前記範囲を超えた量以上の値へと更新し、前記補正手段は、前記更新手段により更新
された補正値を用いて前記積分値を補正して、前記最新のピーク位置の積分値を前記範囲
内に収めるとよい。
これにより、ピーク位置の値を予め定められた範囲内に収めることができる。
【0013】
また、好ましくは、前記生成手段は、前記変換手段により変換されたデジタル信号が示
す値を時間積分し、積分値を取得する積分手段と、前記積分手段により取得された積分値
を補正値に応じて補正する補正手段と、予め定められた回数に亘って連続して前記積分手
段により取得され、前記補正手段により補正された複数の積分値の平均値を前記補正値と
して算出する算出手段とを具備するとよい。
これにより、積分値の算出において突発的に生じる誤差に基づくノイズの影響を抑制す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る脈波解析システムの全体構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る脈波測定装置の構成を示す図である。
【図3】微分回路の一例を示す回路図である。
【図4】第1実施形態に係る時間積分の動作を示すフロー図である。
【図5】第2実施形態に係る脈波解析システムの全体構成を示す図である。
【図6】第2実施形態に係るCPUの構成を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る補正値を説明するための図である。
【図8】第2実施形態に係る時間積分の動作を示すフロー図である。
【図9】第3実施形態に係る脈波解析システムの全体構成を示す図である。
【図10】第3実施形態に係るCPUの構成を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る時間積分の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1実施形態
1−1.構成
1−1−1.全体構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る脈波解析システム9の全体構成を示す図である。
脈波解析システム9は、解析装置1と脈波測定装置2とを含む。解析装置1は、脈波測定
装置2を制御し、この脈波測定装置2が出力する信号を取得してこれを解析し、この解析
結果を出力する。脈波測定装置2は、測定対象である生体から脈波を測定し、この脈波に
応じたアナログ信号を解析装置1へ出力する。脈波解析システム9は脈波解析装置の一例
である。
【0016】
解析装置1のCPU11は、ROM12に記憶されているブートローダーや記憶部16
に記憶されているコンピュータープログラムを読み出して実行することにより解析装置1
の各部を制御する。また、このコンピュータープログラムを実行することにより、例えば
、CPU11はバスを介して順次得られる数値を積分する積分部112として機能する。
また、解析装置1のCPU11は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回
路111を備えている。
【0017】
ROM12は半導体素子等で構成された読み出し専用の不揮発性記憶装置である。この
ROM12には、記憶部16に記憶されている基本OS(Operating System)をRAM(
Random Access Memory)13にロードするためのブートローダーやBIOS(Basic Inpu
t/Output System)等が記憶されている。
RAM13はCPU11がプログラムを実行する際のワークエリアとして利用される。
【0018】
表示部14は、脈波測定装置2で測定された脈波に応じた画像等を表示する。表示部1
4は、例えば、液晶ディスプレイであり、複数の画素により構成される表示面を有する。
【0019】
入力部15は、各種の指示を入力するためのタッチパネルや操作ボタン等を備えており
、ユーザーによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号をCPU11に供給する。
【0020】
記憶部16はハードディスクドライブやEEPROM(Electrically Erasable Progra
mmable Read Only Memory)等の大容量かつ書き換え可能な記憶手段であり、CPU11
に読み込まれるコンピュータープログラムを記憶する。なお、記憶部16は、外付けの不
揮発性メモリー等の記録媒体であってもよい。この場合、図示しない接続インターフェー
ス等を介して記憶部16がバスに接続されている。
【0021】
通信部17は、例えば各種のモデムやIMT-2000に準拠した無線通信回路、あるいは、U
SB(Universal Serial Bus)規格に準拠したシリアルインターフェースや、IrDA(
Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)等に準拠した無線インターフェー
ス等である。解析装置1のRAM13に記憶される解析結果は、この通信部17を介して
接続された外部装置により読み出される。
【0022】
コントローラー18は、脈波測定装置2に接続されており、CPU11の制御の下で、
この脈波測定装置2を制御するコントローラーである。なお、脈波測定装置2はCPU1
1にも接続されている。
【0023】
これらの機器はバスを介して互いに接続されている。このバスは、バスコントローラー
19により制御される。
【0024】
1−1−2.脈波測定装置の構成
図2は、主に脈波測定装置2の構成を示す図である。脈波測定装置2は、生体の一部か
ら、その生体の脈波を測定する測定装置である。具体的には以下の通りである。
【0025】
制御回路21は、解析装置1のコントローラー18から指示を受けて、この指示に応じ
て駆動回路22を制御する。制御回路21は、水晶振動子を有する発振回路(図示せず)
を備えており、その発振回路から出力される発振信号に基づいて現在時刻を算出する。上
記の指示が発光素子23を間欠的に発光させる旨の指示である場合、この指示には発光間
隔を示す間隔情報が含まれており、制御回路21は上記指示よりこの間隔情報を抽出し、
上記の算出された現在時刻に基づいて間隔情報に応じた時間間隔で駆動回路22に命令を
出力する。
【0026】
駆動回路22は、制御回路21から命令を受けたタイミングで発光素子23に電圧を印
加して、これを駆動させる。
血中ヘモグロビンは、ある波長帯の光に強い吸収スペクトルを持っている。この波長帯
の光を照射した時の生体の透過光や反射光は、血管の容量変動に伴い変化するヘモグロビ
ン量に応じて変化するので、この透過光や反射光の強度を電気信号に変えて脈波を測定す
ることが可能である。
【0027】
発光素子23は、発光波長帯域の狭い発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode
)であり、例えば上記の血中ヘモグロビンの吸収スペクトルに対応した近赤外波長の光を
発光する。発光素子23は、駆動回路22から電圧を印加されると発光する。この発光に
より生じた光は人の指先等の測定対象3に放射される。
【0028】
受光素子24は、例えばフォトダイオードやフォトトランジスター等であり、測定対象
3の表面で反射した光を受光する。そして、受光素子24は、受光した光の量に応じたア
ナログ信号を出力する。増幅回路25は、受光素子24から出力されたアナログ信号(第
1のアナログ信号)を増幅する。
【0029】
微分回路26は、キャパシターと抵抗を含んで成る微分回路であり、増幅回路25によ
って増幅されたアナログ信号を受け取り、このアナログ信号の時間微分に比例したアナロ
グ信号(第2のアナログ信号)を出力する。図3は、微分回路26の一例を示す回路図で
ある。この例では、2つのキャパシターC1,C2と2つの抵抗R1,R2が用いられて
おり、出力される電圧Voutは入力される電圧Vinの時間微分(導関数)に比例する
ことがわかっている。
【0030】
A/D変換回路111にはアナログ信号を入力するためのピンが設けられており、微分
回路26の出力端はこのピンに接続されている。A/D変換回路111は、このピンから
微分回路26により出力されたアナログ信号を受け取って、これに応じたデジタル信号に
変換する。CPU11は、A/D変換回路111により変換されたデジタル信号を解析し
て測定対象3の脈波を示す脈波情報を生成する。この解析の一部として、例えばCPU1
1がコンピュータープログラムを実行することにより実現する積分部112は、A/D変
換回路111により変換されたデジタル信号が示す値を時間積分し、積分値を取得する。
【0031】
1−2.動作
次に、第1実施形態に係る脈波解析システム9の動作を説明する。
ユーザーが解析装置1の入力部15を操作して、脈波の測定を開始する旨の指示をする
と、この指示を受けたCPU11はコントローラー18を介して脈波測定装置2にこの指
示を伝達する。この指示を伝達された脈波測定装置2の制御回路21は、この指示を解釈
し、解釈結果に応じて駆動回路22を制御する。駆動回路22は、制御回路21の制御の
下、発光素子23に電圧を印加し、電圧を印加された発光素子23はそのタイミングで発
光する。
【0032】
発光素子23から放射された光は測定対象3において反射し、受光素子24により受光
される。受光素子24は、受光した光の量に応じたアナログ信号を増幅回路25に出力す
る。増幅回路25によって増幅されたアナログ信号は、微分回路26を経て時間微分され
たアナログ信号に変換されて解析装置1に出力される。
【0033】
解析装置1のCPU11に設けられたA/D変換回路111は、微分回路26が出力し
たアナログ信号をデジタル信号に変換する。積分部112はA/D変換回路111が変換
したデジタル信号が示す値を時間積分する。
図4は、積分部112による時間積分の動作を示すフロー図である。同図に示すように
、積分部112は上記のデジタル信号が示す値を時間積分する前に、現在の信号値yとし
て予め定められた初期値y0を記憶する。すなわち、積分部112は、現在の信号値yを
初期値y0で初期化する(ステップS101)。
【0034】
次に、積分部112は、現在時刻tにおいてA/D変換回路111から得られたデジタ
ル信号が示す値f(t)に予め定められた係数を乗じる等の処理をして得られた数値Δy
を現在の信号値yに加算する(ステップS102)。この予め定められた係数とは、例え
ば受光素子24が受光する時間間隔がΔtという一定値であるならば、Δtである。すな
わち、積分部112は、f(t)にΔtを乗じてΔyを得ることにより、区分求積法にお
けるいわゆる矩形法の1つ分の矩形に相当する値を算出しており、これを逐次積算し、現
在の信号値yを更新することにより数値積分を行っている。なお、信号値yの時間変化を
原関数とすると、f(t)は導関数に相当する。そして、積分部112は、現在の信号値
yを脈波を示す脈波情報として出力し(ステップS103)、処理をステップS102に
戻す。
【0035】
このようにして、ステップS102→ステップS103→ステップS102・・・とい
うように処理を循環する度に現在の信号値yは更新された上で出力される。出力された信
号値yは、例えばバスを介して表示部14に受け取られると、表示部14の表示内容に反
映される。信号値yの時間変化は脈波の波形を表している。この信号値yは、脈波の測定
信号がアナログ信号である段階で、微分回路26によりその信号の時間微分に比例したア
ナログ信号に変換されており、その後でA/D変換回路111によりデジタル信号に変換
されている。したがって、A/D変換回路111による変換に伴って生じる量子化誤差が
抑制されるので、上記の測定信号を直接、A/D変換回路111がデジタル信号に変換し
た場合と比較すると、脈波解析システム9は、時間変化に対して高い精度で脈波の測定値
を得ることができる。
【0036】
特に、脈波のように、比較的緩慢な波形を示し、突発的な時間変化が少ない事象を測定
する場合には、微分回路26により出力されるアナログ信号の値は或る限られた範囲内に
収まる可能性が高いため、他の事象を測定する場合と比較すると、A/D変換回路111
の解像度とダイナミックレンジを設計・選択することは容易である。なお、この信号値y
の時間変化の形状、周期、または変曲点の位置等を、医師等が判断することで、測定対象
となった生体(例えばヒト)の健康状態は診断される。
【0037】
2.第2実施形態
2−1.構成
図5は、本発明の第2実施形態に係る脈波解析システム9aの全体構成を示す図である
。脈波解析システム9aは、第1実施形態に係る脈波解析システム9と共通する構成を備
えており、これら共通する構成については脈波解析システム9と同じ符号を付して説明を
省略する。脈波解析システム9aが脈波解析システム9と異なる点は、解析装置1に替え
て解析装置1aを備える点である。そして、解析装置1aは、CPU11に替えてCPU
11aを備えており、CPU11aはピーク検出部113および補正値計算部114を備
えている。
【0038】
図6は、CPU11aの構成を示す図である。ピーク検出部113は、積分部112が
算出する信号値yの時間変化におけるピーク位置を検出する。具体的には、以下の通りで
ある。
CPU11aは、積分部112により信号値yが更新されるときに加算される値、すな
わちその時刻tにおける数値Δyを、現在の更新時と1回前の更新時との2回分RAM1
3に記憶させている。ピーク検出部113は、この値を監視し、この値の符号、すなわち
正負の別が切り替わった時点を、ピーク位置として検出する。ピーク位置とは、具体的に
は、上記の時点のおける時刻を示す時刻情報と、その時点における信号値yの組である。
ピーク検出部113は、CPU11aが上述したコンピュータープログラムを実行するこ
とにより実現される。
【0039】
補正値計算部114は、信号値yを補正する値である補正値ξを計算する。具体的には
、以下の通りである。
CPU11aは、ピーク検出部113が検出するピーク位置のうち、最大値または最小
値のいずれかを少なくとも2回分RAM13に記憶させている。補正値計算部114は、
この2回分のピーク位置に基づいて、補正値ξを計算する。補正値計算部114は、CP
U11aが上述したコンピュータープログラムを実行することにより実現される。
【0040】
図7は、この補正値ξを説明するための図である。同図に示すように、信号値yは時刻
t1においてy1を示し、時刻t2においてy2(y2>y1)を示している。(t1,
y1)および(t2,y2)はいずれも最大値を示すピーク位置であり、(t1,y1)
の直後に到来する最大値のピーク位置が(t2,y2)である。補正値計算部114では
、予めピーク位置がとり得る範囲が、上限値yHおよび下限値yLによって定められてい
る。ここでy1は上限値yHを超えておらず、y2は上限値yHを超えているとすると、
補正値計算部114は時刻t2において、信号値y2を得て、これを上記の範囲と比較し
、上限値yHを超えていると判断して、補正値ξとして(y1−y2)を計算する。ここ
で、y2>y1であるので、ξ=y1−y2<0である。
【0041】
このようにして得られた補正値ξは積分部112に送られる。積分部112は、A/D
変換回路111から得られた数値Δyを積分して得た信号値yに補正値ξを加算した値を
、新たな信号値yとして上書きすることで補正を行う。つまり、補正後の信号値yを、補
正前の信号値yと補正値ξで表すと、y=y+ξである。この補正は、例えば、ピー
ク位置が検出されたときに行われる。
なお、補正値計算部114は、予め定められた補正値ξを補正値ξの初期値として保
持しており、最初にピーク位置が検出されたときの信号値yは、この初期値ξにより補
正される。初期値ξの値は例えば0である。
【0042】
この結果、図7の例において、時刻t2における補正後の信号値yはy=y+ξ=y
2+(y1−y2)=y1となる。補正がされない場合、信号値yは図7に示す破線のよ
うに変化し、脈波の振幅は次第に大きくなると予測されるが、このように、ピーク位置に
おいて信号値yが補正されるため、脈波の振幅は予め定められた範囲に収まる可能性が高
い。
【0043】
2−2.動作
次に、第2実施形態に係る脈波解析システム9aの動作を説明する。この動作のうち、
第1実施形態に係る脈波解析システム9と共通する動作については説明を省略する。
図8は、積分部112、ピーク検出部113、および補正値計算部114による時間積
分の動作を示すフロー図である。同図に示すように、積分部112は上記のデジタル信号
が示す値を時間積分する前に、現在の信号値yとして予め定められた初期値yを記憶す
る。すなわち、積分部112は、現在の信号値yを初期値yで初期化する(ステップS
201)。また、積分部112は、現在の補正値ξを初期値ξで初期化する(ステップ
S202)。また、積分部112は、直前のピーク位置が記憶されている場合には、これ
を削除する(ステップS203)。
【0044】
次に、積分部112は、ステップS102と同様にして得られた数値Δyを現在の信号
値yに加算する(ステップS204)。そして、積分部112は、得られた現在の信号値
yに現在の補正値ξを加算して得られる値で信号値yを上書きすることで、信号値yを補
正する(ステップS205)。信号値yを補正すると、積分部112は、この信号値yを
脈波を示す脈波情報として出力する(ステップS206)。
【0045】
次に、ピーク検出部113は、現在の更新時と1回前の更新時との2回分の数値Δyを
比較し、この値の符号が切り替わったか否かを判断することで、現在の信号値yがピーク
位置のものか否かを判定する(ステップS207)。ピーク検出部113により、現在の
信号値yがピーク位置のものであると判定された場合には(ステップS207;YES)
、補正値計算部114は、新たな補正値ξを計算する(ステップS208)。その後、C
PU11は処理をステップS204に戻す。
一方、ピーク検出部113により、現在の信号値yがピーク位置のものではないと判定
された場合には(ステップS207;NO)、CPU11は処理をステップS204に戻
す。
【0046】
このようにして、ステップS204→ステップS205→ステップS206→ステップ
S207→(ステップS208)→ステップS204・・・というように処理を循環する
度に現在の信号値yは更新され、さらに補正された上で出力される。これにより、算出さ
れる信号値yが予め定められた範囲内を超えることが抑制されるので、数値積分に伴って
蓄積される誤差の影響が低減される。
【0047】
3.第3実施形態
3−1.構成
図9は、本発明の第3実施形態に係る脈波解析システム9bの全体構成を示す図である
。脈波解析システム9bは、第2実施形態に係る脈波解析システム9aと共通する構成を
備えており、これら共通する構成については脈波解析システム9aと同じ符号を付して説
明を省略する。脈波解析システム9bが脈波解析システム9aと異なる点は、解析装置1
aに替えて解析装置1bを備える点である。そして、解析装置1bは、CPU11aに替
えてCPU11bを備えており、CPU11bはピーク検出部113に替えて数判定部1
15を、補正値計算部114に替えて補正値計算部114bを備えている。
【0048】
図10は、CPU11bの構成を示す図である。数判定部115は、積分部112が算
出する信号値yをRAM13上のFIFO(First In, First Out)バッファに蓄積する
。FIFOバッファは、信号値yをn個(n>1:nは1を超える整数)だけ蓄積可能な
バッファであり、最初に蓄積されたデータは最初に処理され、最後に蓄積されたデータは
最後に処理されるバッファである。数判定部115は、FIFOバッファに蓄積した信号
値(以下、信号値群という)の数が閾値nに到ったか否かを判定する。閾値nに到ってい
ると判定した場合には、数判定部115は、この信号値群のうち最も古いものを現在の信
号値yで上書きする。一方、閾値nに到っていないと判定した場合には、数判定部115
は、信号値群に現在の信号値yを追加する。数判定部115は、CPU11bが上述した
コンピュータープログラムを実行することにより実現される。
【0049】
補正値計算部114bは、数判定部115により信号値群の数が閾値nに到っていると
判定された場合には、信号値群の平均値(相加平均)を補正値ξとして計算する。なお、
信号値群の平均値とは、予め定められた回数、すなわちn回に亘って連続して積分部11
2により算出(取得)され、補正値計算部114bにより補正された複数の積分値の平均
値である。補正値計算部114bは、CPU11bが上述したコンピュータープログラム
を実行することにより実現される。
【0050】
このようにして得られた補正値ξは積分部112に送られる。積分部112は、A/D
変換回路111から得られた数値Δyを積算して得た信号値yに補正値ξを減算した値を
、新たな信号値yとして上書きすることで補正を行う。つまり、補正後の信号値yを、補
正前の信号値yと補正値ξで表すと、y=y−ξである。
なお、補正値計算部114は、予め定められた補正値ξを補正値ξの初期値として保
持しており、最初にピーク位置が検出されたときの信号値yは、この初期値ξにより補
正される。
【0051】
3−2.動作
次に、第3実施形態に係る脈波解析システム9bの動作を説明する。この動作のうち、
第2実施形態に係る脈波解析システム9bと共通する動作については説明を省略する。
図11は、積分部112、数判定部115、および補正値計算部114bによる時間積
分の動作を示すフロー図である。ステップS301は、テップS201と共通し、ステッ
プS302はステップS202と共通する。
積分部112は、信号値群が蓄積されている場合には、これを削除する(ステップS3
03)。
【0052】
次に、積分部112は、ステップS102と同様にして得られた数値Δyを現在の信号
値yに加算する(ステップS304)。そして、積分部112は、得られた現在の信号値
yに現在の補正値ξを減算して得られる値で信号値yを上書きすることで、信号値yを補
正する(ステップS305)。信号値yを補正すると、積分部112は、この信号値yを
脈波を示す脈波情報として出力する(ステップS306)。
【0053】
次に、数判定部115は、信号値群の数が閾値nに到ったか否かを判定する(ステップ
S307)。数判定部115により、信号値群の数が閾値nに到ったと判定された場合に
は(ステップS307;YES)、数判定部115は、信号値群のうち最も古いものを現
在の信号値yで上書きし(ステップS308)、補正値計算部114bは、新たな補正値
ξを計算する(ステップS309)。その後、CPU11は処理をステップS304に戻
す。
【0054】
一方、数判定部115により、信号値群の数が閾値nに到っていないと判定された場合
には(ステップS307;NO)、数判定部115は、信号値群に現在の信号値yを追加
し(ステップS310;NO)、処理をステップS304に戻す。
【0055】
このようにして、ステップS304→ステップS305→ステップS306→ステップ
S307→ステップS310→ステップS304・・・というように処理を循環する度に
現在の信号値yは更新され、さらに、ステップS304→ステップS305→ステップS
306→ステップS307→ステップS308→ステップS309→ステップS304・
・・というように処理を循環する度に現在の信号値yはn個の信号値yの平均値により補
正された上で出力される。これにより、信号値yの平均値は0に近づくため、信号値yは
0を中心とした範囲に分布するようになり、数値積分に伴って蓄積される誤差の影響が低
減される。
【0056】
4.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また
、以下の変形例を組み合わせてもよい。
(1−1)上述の実施形態において、積分部112は現在の信号値yを脈波情報として出
力しており、医師等がこの信号値yの変曲点の位置等を診断することで、測定対象となっ
た生体の健康状態を診断していたが、速度脈波により診断する場合には、上述した、A/
D変換回路111から得られるデジタル信号に基づいて算出した数値Δyをそのまま出力
してもよい。この数値Δyは、受光素子24により測定された脈波を一回微分した速度脈
波に相当するので、医師等がこの数値Δyをそのまま速度脈波として診断すればよいから
である。この場合、積分部112は時間積分の処理を行わなくてもよい。
【0057】
(1−2)また、加速度脈波により診断する場合には、CPU11bは、上記の数値Δy
を、数値演算により時間微分してもよい。これにより算出される値は、脈波を二回微分し
た加速度脈波に相当するので、医師等が数値Δyの時間微分をそのまま加速度脈波として
診断すればよいからである。この場合においても、積分部112は時間積分の処理を行わ
なくてよい。
【0058】
(1−3)さらに、加速度脈波により診断する場合には、CPU11bが上記の数値Δy
を数値演算により時間微分するのではなく、脈波測定装置2において、微分回路26の出
力をさらに微分する微分回路を別途設けてもよい。例えば、微分回路26が出力するアナ
ログ信号を、さらに別の微分回路(図示せず)に供給すると、この微分回路は受光素子2
4が測定した脈波の二回微分に比例したアナログ信号を出力する。これは上述した加速度
脈波に相当している。そして、このアナログ信号を、解析装置1のA/D変換回路111
がデジタル信号に変換することで、解析装置1は、加速度脈波を表すデジタル信号を得る
。これにより、診断の基準とするデータが加速度脈波である場合には、脈波測定装置2に
おいて加速度脈波に相当するアナログ信号を出力することで、A/D変換に伴う量子化誤
差を抑制することができる。
【0059】
(2)上述の実施形態において、受光素子24、増幅回路25、および微分回路26は、
この順に接続されていたが、受光素子24→微分回路26→増幅回路25の順に接続され
ていてもよい。この場合、微分回路26は、受光素子24から出力されたアナログ信号を
受け取り、この信号の時間微分に比例したアナログ信号を出力する。そして、増幅回路2
5は、微分回路26が出力したアナログ信号を増幅する。
なお、実施形態に示したように、微分回路26よりも前に増幅回路25を設けることに
より、微分回路26に由来するノイズの影響を抑制することができる。
【0060】
(3)上述の実施形態において、積分部112は区分求積法におけるいわゆる矩形法によ
り数値積分を行っていたが、数値積分の近似公式(例えば台形法、シンプソン法等のNewt
on-Cotes求積法)を利用して数値積分を行ってもよい。この場合、数値Δyは、複数の時
点における値f(t)に基づいて算出すればよい。例えば、台形公式を用いるのであれば
、積分部112は、値f(t)と値f(t+Δt)の相加平均にΔtを乗じて数値Δyを
得るといった具合である。なお、数値積分のアルゴリズムには、時間の刻み幅Δtが変動
するものを採用してもよいことは言うまでもない。
【0061】
(4)上述の実施形態において、補正値ξを信号値yに加算することで上記の補正は行わ
れていたが、補正値ξによる信号値yの補正は加算に限られず、四則演算および対数関数
、指数関数等、種々の関数を含んだ計算式に沿って行われてもよい。
【0062】
(5−1)上述の第2実施形態において、信号値yがy2であった場合に、これをy1に
するために、補正値ξとして(y1−y2)が計算されていたが、補正値ξとして(yH
−y2)が計算されてもよい。この場合、補正後の信号値yはyHとなる。要するに、ピ
ーク位置の積分値が予め定められた範囲を超えたときに、補正値計算部114は、補正値
ξを、その積分値がその範囲を超えた量以上の値へと更新すればよい。
【0063】
(5−2)また、信号値yを測定値(y2)から目標とする目標値そのもの(y1やyH
)に変化させるのではなく、目標値に近づくように変化させてもよい。この場合、目標値
と測定値との差分に予め定めた係数を乗算して補正値を計算してもよい。例えば、測定値
が目標値に60%の割合で近づくようにするためには、係数として0.6を定め、これを
目標値と測定値との差分に乗算すればよい。すなわち、上述の実施形態の場合、補正値ξ
として(y1−y2)×0.6が計算されることとなる。
【0064】
(6)上述の実施形態において、受光素子24は、測定対象3の表面で反射した光を受光
していたが、測定対象3を透過した光を受光してもよい。この場合、発光素子23と受光
素子24の間に指尖部、耳朶等の測定対象3を挟み、照射された光のうち測定対象3を透
過した透過光の光量を測定することにより行う。
【0065】
(7)上述の実施形態において、解析装置1のCPU11は、アナログ信号をデジタル信
号に変換するA/D変換回路111を備えていたが、A/D変換回路111は、CPU1
1によって備えられていてもよい。例えば、A/D変換回路111は、コントローラー1
8に備えられていてもよい。また、A/D変換回路111は、CPU11やコントローラ
ー18に備えられているのではなく、これらとは別にバスに直接、接続されていてもよい

【0066】
(8−1)第2実施形態において、補正値ξの計算方法は様々に定められる。例えば、補
正値計算部114は、ピーク検出部113により検出された2つのピーク位置の各値を結
んで成る基線の傾きkを求め、この傾きkが予め定められた範囲内に収まるように補正値
ξを更新してもよい。この場合、この傾きkの絶対値が大きい、すなわちこの傾きが急な
ほど、補正値の絶対値を大きい値にすれば、積分部112は、補正値ξを用いて信号値y
を補正することで、この傾きを緩やかにすることとなる。
【0067】
(8−2)また、基線は2つのピーク位置の各値を結んで成るものに限られない。例えば
、複数のピーク位置の各値に対して最小二乗法を適用して回帰直線を引き、この回帰直線
を基線としてもよい。また、この複数のピーク位置の各値に基づいてスプライン曲線やベ
ジエ曲線等の曲線を引き、この曲線のうち、例えば最も新しい点における接線を基線とし
てもよい。要するに、基線は、検出手段により検出された複数のピーク位置の各積分値に
応じた基線であればよい。
【0068】
(9)第2実施形態において、ピーク位置とは、最大値または最小値であったが、脈波の
振幅が或る値となる点であってもよい。例えば、ピーク検出部113は、脈波を時刻tを
示すt軸と振幅yを示すy軸とで表した場合、この脈波がy=0のt軸と交差するいわゆ
る“ゼロクロス点”をピーク位置として検出してもよい。
【0069】
(10)第2実施形態において、ピーク検出部113は、現在の更新時と1回前の更新時
との2回分の数値Δyを監視し、この符号が切り替わった時点を、ピーク位置として検出
していたが、2回以上の数値Δyに基づいて、ピーク位置を検出してもよい。例えば、ピ
ーク検出部113は、連続して更新された複数の数値Δyの相加平均を算出して、その時
刻の数値Δyとした上で、現在の更新時と1回前の更新時との2回分の数値Δyの符号が
切り替わった時点を、ピーク位置として検出してもよい。つまり、ピーク検出部113は
、ピーク位置の検出に先立って、監視対象の移動平均を算出し、この移動平均のピーク位
置を検出してもよい。これにより、突発的に発生するノイズの影響を低減することができ
る。
【0070】
(11)第2実施形態において、補正を行うタイミングはピーク位置が検出されたときだ
けに限られない。例えば、補正値計算部114は、ピーク位置が検出されたときに現在の
ピーク位置と1回前のピーク位置との差を求める。そして、補正値計算部114は、次の
ピーク位置が到来するまでに積分部112が信号値yを更新する回数で、求めた上記差の
値を除算して得られた商を補正値ξとし、信号値yが更新される度にこの信号値yを補正
値ξで補正すればよい。すなわち、ピーク位置が検出されたときに1度で行う補正を複数
回に分配して行ってもよい。この分配が等分でなくてもよいことは言うまでもない。
【0071】
(12)CPU11、CPU11a、およびCPU11b(以下、CPU11等という)
によって実行される各コンピュータープログラムは、磁気テープや磁気ディスク等の磁気
記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリー等の、コンピュ
ーター装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このコンピ
ュータープログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせる
ことも可能である。なお、CPU11等によって例示した制御手段としてはCPU以外に
も種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサ等を用いてもよい。また
、CPU11等がコンピュータープログラムを実行することにより実現される各種機能は
、それぞれ専用のプロセッサ等によって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1,1a,1b…解析装置、11,11a,11b…CPU、111…A/D変換回路、
112…積分部、113…ピーク検出部、114,114b…補正値計算部、115…数
判定部、12…ROM、13…RAM、14…表示部、15…入力部、16…記憶部、1
7…通信部、18…コントローラー、19…バスコントローラー、2…脈波測定装置、2
1…制御回路、22…駆動回路、23…発光素子、24…受光素子、25…増幅回路、2
6…微分回路、3…測定対象、9,9a,9b…脈波解析システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から脈波を測定し、当該脈波に応じた第1のアナログ信号を出力する測定手段と、
前記測定手段により出力された第1のアナログ信号を受け取り、当該第1のアナログ信
号の時間微分に比例した第2のアナログ信号を出力する微分回路と、
前記微分回路により出力された第2のアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段
と、
前記変換手段により変換されたデジタル信号を解析して前記脈波を示す脈波情報を生成
する生成手段と
を具備することを特徴とする脈波解析装置。
【請求項2】
前記測定手段により出力された第1のアナログ信号を増幅する増幅回路を具備し、
前記微分回路は、前記増幅回路により増幅された後の前記第1のアナログ信号を受け取
り、前記第2のアナログ信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の脈波解析装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記変換手段により変換されたデジタル信号が示す値を時間積分し、積分値を取得する
積分手段と、
前記積分手段により取得された積分値を補正値を用いて補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された積分値の時間変化におけるピーク位置を検出する検出手
段と、
前記検出手段により検出されたピーク位置の時刻を示す時刻情報と当該ピーク位置の積
分値とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の記憶内容に応じて、前記補正値を更新する更新手段と
を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の脈波解析装置。
【請求項4】
前記更新手段は、前記検出手段により検出された複数のピーク位置の各積分値に応じた
基線の傾きを求め、当該傾きが予め定められた範囲内にない場合に、前記補正値を、当該
傾きが急なほど大きくなる値へと更新し、
前記補正手段は、前記更新手段により更新された補正値を用いて前記積分値を補正して
、前記基線の傾きを緩やかにする
ことを特徴とする請求項3に記載の脈波解析装置。
【請求項5】
前記更新手段は、前記検出手段により検出された最新のピーク位置の積分値が、予め定
められた範囲内にない場合に、前記補正値を、当該ピーク位置の積分値が前記範囲を超え
た量以上の値へと更新し、
前記補正手段は、前記更新手段により更新された補正値を用いて前記積分値を補正して
、前記最新のピーク位置の積分値を前記範囲内に収める
ことを特徴とする請求項3に記載の脈波解析装置。
【請求項6】
前記生成手段は、
前記変換手段により変換されたデジタル信号が示す値を時間積分し、積分値を取得する
積分手段と、
前記積分手段により取得された積分値を補正値に応じて補正する補正手段と、
予め定められた回数に亘って連続して前記積分手段により取得され、前記補正手段によ
り補正された複数の積分値の平均値を前記補正値として算出する算出手段と
を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の脈波解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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