説明

脊柱補装具

【課題】構造、及び着脱操作が簡単で、胸腹部や頚部を圧迫することなく、暑さも感じなく、手術後の脊柱の前屈、後屈、側屈、及び回転も防いで患者を安静に保持することができる脊柱補装具を提供する。
【解決手段】尾骨から上部胸椎にかけての脊柱の彎曲に沿って形成された、剛性の強い帯板状の脊柱プレート1を形成し、その下部に骨盤部保持具3を着脱可能に設けて骨盤部を保持し、上部には肩背部保持具4を着脱可能に設けて肩背部を保持して、身体の脊柱部と脊柱プレート1を密着することにより、身体の前屈、後屈、側屈、及び回転を防止する。また、上部胸椎から頭部にかけての脊柱の彎曲に沿って、剛性に強い帯板状の頚部プレート2を形成し、その上端に頭部の左右回転を防止する頭部保持具5を着脱可能に設けて頭部を保持し、下部は脊柱プレート1の上部に固設連結して肩背部を保持することにより、後頭部と後頚部を頚部プレート2に密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰部や頚部の手術後、胸腹部や頚部を圧迫することなく患者を安静に保つことのできる補装具に係る。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の補装具としては、いわゆるコルセットやカラーとして普及しているが、いずれも腹部や胸部、または頚部を包み込むことによって前屈、後屈、側屈や回転を防止しているタイプが殆どである。
これらのものは包み込むことにより、患者に圧迫感と苦痛を与えてしまう。
また、圧迫による疼痛を誘発しやすく、夏期は暑くて快適とは言えない。
特開2000−107215号公報には、圧迫を受けにくい補装具に関する技術を開示するが、この場合にも圧迫を完全になくすことはできず、構造も複雑である。
また、特開2003−135499号公報には、構造が簡単な脊柱補装具に関する技術を開示するが、補装具が頭部から腰部までとなっているため、腰部の前屈、後屈、側屈や回転を完全に防ぐことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−107215号公報
【特許文献2】特開2003−135499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記実状に鑑み、構造、及び着脱操作が簡単で、胸腹部や頚部を圧迫することなく、暑さも感じなく、手術後の脊柱の前屈、後屈、側屈、及び回転も防いで患者を安静に保持する脊柱補装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る脊柱補装具は、尾骨から上部胸椎にかけての脊柱の彎曲に沿って形成された、剛性の強い帯板状の脊柱プレートと、当該脊柱プレートの下部に着脱可能に設けた骨盤部保持具と、上部に着脱可能に設けた肩背部保持具とを有し、骨盤部保持具は、骨盤部を脊柱プレートに保持するものであり、肩背部保持具は、肩背部を脊柱プレートに保持するものであることを特徴とする。
【0006】
また、さらに上部胸椎から頭部にかけての脊柱の彎曲に沿って形成された、剛性の強い帯板状の頚部プレートを有し、当該頚部プレートの上端部に頭部保持具を着脱可能に設け、下部は前記脊柱プレートの上部に固設連結してあり、頭部保持具は、頭部が左右回転しないように頚部プレートに保持するものであっても良い。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、この発明の脊柱補装具によれば、構造、及び着脱が簡単で、胸腹部を圧迫することなく、腰部の前屈、後屈、側屈、及び回転を防ぐことができ、ひいては、圧迫骨折などによる腰痛を防ぐことができる。
また、頚部を圧迫することなく頭部の前屈、後屈、側屈、及び回転を防いで、手術後の患者を安静に保持することができる。
その他、補装具を装着したまま座位や仰臥位で寝ることも可能であり、軽度の手作業や歩行も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】脊柱プレートに骨盤部と肩背部を保持している状態を示す。
【図2】固設連結した脊柱プレートと頚部プレートに、骨盤部、肩背部、頭部を保持している状態を示す。
【図3】脊柱プレートを示す。
【図4】頚部プレートを示す。
【図5】骨盤部保持具を示す。
【図6】肩背部保持具を示す。
【図7】頭部保持具を示す。
【図8】脊柱プレートと肩背部保持具及び骨盤部保持具との位置関係を示す。
【図9】脊柱プレートに頚部プレートを連結した状態及び部品構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、尾骨22から上部胸椎17にかけての脊柱19の彎曲に沿って形成された、剛性の強い帯板状の脊柱プレート1を基本としている、
その下部に、例えばマジックテープ(登録商標)等の面ファスナーで骨盤部保持具3を着脱可能に設け、骨盤部21を保持するようにしている。
骨盤部保持具3は市販されているコルセットで充分に間に合う。
上部には肩背部保持具4をマジックテープ等で着脱可能に設け、肩背部を保持するようになっている。
肩背部保持具4は、肩背部13から脇の下16、前胸部15、肩上部14を通って肩背部13へ戻るようにマジックベルト等の伸縮する面ファスナーで締めるタイプが良い。
【0010】
このように、肩背部13と骨盤部21を保持することにより、身体の脊柱部と脊柱プレート1が密着するので、脊柱の前屈、後屈、側屈、回転を防いで、手術後の身体を安静に保持することができる。
また、脊柱プレート1を弾性のある材料で形成すれば、ある程度の前屈、後屈、側屈、回転も可能となり、筋力トレーニング等のリハビリにも応用できる。
その他、図には示していないが、胸部脊柱側弯のある人に、胸部保持装具によって側弯部を脊柱プレートに保持することにより、側弯強制補装具としても応用できる。
【0011】
また、上部胸椎17から頭部11にかけての脊柱の彎曲に沿って、剛性の強い帯板状の頚部プレート2を形成し、その上端部にマジックテープ等で頭部の左右回転を防止する頭部保持具5を着脱可能に設けて頭部を保持する。
頭部保持具5は、帯状のプレートを後頭部の水平方向彎曲に沿って形成されたもので、これに後頭部11aを当ててハチマキ状にマジックベルトを巻いて頚部プレート2に頭部11を保持する。
頚部プレート2の下部は脊柱プレート1の上部に、ネジ止等で固設連結して、頚部プレート2と脊柱プレート1を一体化する。
そして肩背部保持具4で肩背部を保持して、後頭部と後頚部をこの頚部プレート2に密着させることにより、頭部の前屈、後屈、側屈及び回転を防いでいる。
これにより手術後の頭頚部を安静に保持することができる。
【0012】
次に各保持具の構成例を説明する。
図3は脊柱プレート1を示し、脊柱の彎曲に沿った曲げ部を有する帯状のプレートであり、下部にベルト状の骨盤部保持具3を着脱自在に取り付ける面ファスナー部1aを有する。
図4は頚部プレート2を示し、背部、首部及び頭部にフィットするような彎曲形状になっていて、ネジ2a等で脊柱プレートの上部と連結できるようになっている。
また、頭部保持具を着脱自在に取り付ける面ファスナー部2c,2dを有する。
図5は骨盤部保持具5を示し、骨盤の周囲に巻き付けるベルト状になっていて、伸縮するとともに面ファスナー部3a,3b,3cを有する。
図6は肩背部保持具4を示し、伸縮するベルト4a,4bの2本をクロスさせてある。
また、ベルトの両端部には面ファスナー4cを有する。
図7は頭部保持具5を示し、後頭部に当てる頭部プレート5dとハチマキ状の頭部ベルト5aからなり、面ファスナー5b,5c,5eを有する。
図8,図9はこれらの部品の位置関係を示す。
【符号の説明】
【0013】
1 脊柱プレート
2 頚部プレート
3 骨盤部保持具
4 肩背部保持具
4a,4b ベルト
5 頭部保持具
5a 頭部ベルト
5d 頭部プレート
10,10a 脊柱補装具
11 頭部
11a 後頭部
12 頚部
12a 後頚部
13 肩背部
14 肩上部
15 前胸部
16 脇の下
17 上部胸椎
18 脊柱部
19 脊柱
20 腰部
21 骨盤部
22 尾骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尾骨から上部胸椎にかけての脊柱の彎曲に沿って形成された、剛性の強い帯板状の脊柱プレートと、当該脊柱プレートの下部に着脱可能に設けた骨盤部保持具と、上部に着脱可能に設けた肩背部保持具とを有し、
骨盤部保持具は、骨盤部を脊柱プレートに保持するものであり、
肩背部保持具は、肩背部を脊柱プレートに保持するものであることを特徴とする脊柱補装具。
【請求項2】
上部胸椎から頭部にかけての脊柱の彎曲に沿って形成された、剛性の強い帯板状の頚部プレートを有し、当該頚部プレートの上端部に頭部保持具を着脱可能に設け、下部は前記脊柱プレートの上部に固設連結してあり、
頭部保持具は、頭部が左右回転しないように頚部プレートに保持するものであることを特徴とする請求項1記載の脊柱補装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−40152(P2012−40152A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183485(P2010−183485)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(598141361)
【Fターム(参考)】