説明

脊椎固定の多軸骨アンカーおよび方法

本発明は、棒を骨に取り付ける多軸骨アンカーで、骨に取り付けるアンカー部材と、アンカー部材が最初に自身に対して多軸状に角形成することができるように、棒を受けるU字形溝およびアンカー部材の頭部を受ける圧縮性凹部を有する本体部材と、本体部材の周囲に摺動自在に配置され、頭部の周囲の凹部を圧迫可能なカラーと、棒をカラーに押しつけることができる締結具とを備える多軸骨アンカーを指向する。本体部材は第1の軸、上部境界縁部および下部境界縁部を画定することができ、下部境界縁部は座ぐり領域を含み、これによってアンカー部材が座ぐり領域へと配向されると、アンカー部材が第1の軸に対して角形成を増大させることができる。アンカー部材の角形成を増大させる他の構造も開示される。さらに、本発明は脊椎の頚部を固定する方法を指向する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、骨固定器具および関連する固定方法に関する。より詳細には、本発明は、脊椎固定用のねじおよびフックのような多軸骨アンカー、および関連する脊椎固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者であれば周知の脊椎障害を治療する多くの方法がある。周知の方法の1つは、ねじまたはフックを椎骨に係留し、脊椎棒に沿ってねじまたはフックを固定し、椎骨を相互に位置決めするか固定する。ねじまたはフックは、一般的に、U字形溝がある頭部を有し、脊椎棒をこれに挿入し、その後に止めねじまたは他の締結具機構で締め付ける。この方法は、一般的に、複数のねじまたはフック、さらに複数の脊椎棒を伴う。この方法では、考慮中の脊椎障害を矯正するような方向に脊骨を維持する(例えば、異常な湾曲を有する脊椎を真っ直ぐにする)ように、脊椎棒を成形することができる。追加的または代替的に、ねじまたはフックは1つまたは複数の棒に沿って隔置し、隣接する椎骨を圧迫または伸延することができる。
外科医は、この方法を使用すると、ねじまたはフックの頭部のU字形溝と脊椎棒を位置合わせするのが困難なために、往々にして深刻な問題に遭遇している。例えば、ねじまたはフックの頭部は往々にして、脊椎の湾曲または各椎骨のサイズおよび形状のせいで、相互との位置合わせ不良になることが多い。脊椎棒のU字形溝へのより簡単な挿入を促進し、脊椎棒とねじおよびフックの位置合わせに追加の融通性を提供するために、頭部または「本体」(およびその結果としてU字形溝)が最初にねじ軸またはフックに対して旋回するねじおよびフックが開発されている。このようなねじの一例が、Errico他の、米国特許第5,586,984号に開示されている。上記特許の内容は、参照により本明細書に組み込むものとする。Erricoの特許で開示された器具、および他の同様の周知の器具は、通常、本体に対してねじまたはフックを対称で角形成することができる。しかし、このような器具の1つの限界は、ねじまたはフックの軸と本体の下部境界縁部との接触のせいで角形成の度合いが制限されることがあることである。これは、例えば、脊椎の頚部の治療のように角形成の増大が必要な特定の脊椎用途では問題となることがある。
したがって、当技術分野には、頭部とねじまたはフックの間の角形成を増加させる多軸骨アンカーに対する要求が依然として残っている。また、当技術分野には、脊椎頚部の固定のような角形成の増大を必要とする脊椎障害の治療方法に対する要求が依然として残っている。
【特許文献1】米国特許第5,586,984号
【発明の開示】
【0003】
本発明は、脊椎棒のような棒を椎骨のような骨に取り付ける多軸骨アンカーを指向している。多軸骨アンカーは、骨に取り付ける(ねじまたはフックなどの)アンカー部材、アンカー部材が最初に自身に対して多軸状に角形成できるように、棒を受けるためのU字形溝およびアンカー部材の頭部を受けるための圧縮性凹部を有する本体部材、本体部材の周囲に摺動自在に配置され、頭部の周囲で凹部を圧迫可能であるカラー、および棒をカラーに押しつけることができる締結具を含むことができる。本体部材は、第1の軸、上部境界縁部、および下部境界縁部を画定することができ、下部境界縁部は、座ぐり領域を含むことができ、これによってアンカー部材が座ぐり領域へと配向されると、第1の軸に対するアンカー部材の角形成を増大させることができる。境界縁部は、アンカー部材が第1の軸に対して約30°の第1の角度まで角形成できるように構成し、寸法決定することができ、座ぐり領域は、アンカー部材が第1の軸に対して約50°の第2の角度まで角形成できるように構成し、寸法決定することができる。代替的に、第1の角度は約20°であってもよく、第2の角度は約45°であってもよい。座ぐり領域は、第1の軸に対して約5°と約180°の間の角度領域を通して延びることができる。座ぐり領域は、第1の軸に対して約15°と約20°の間の角度領域を通して延びることができることが好ましい。U字形溝は第2の軸を画定することができ、座ぐり領域の中間点は第2の軸から約±45°以内でオフセットさせることができる。1つの例示としての実施形態によると、座ぐり領域の中間点は、第2の軸から(プラスまたはマイナス方向に)約20°と約25°の間の角度だけオフセットさせることができる。本体部材の少なくとも一部はテーパ状の外面を有してもよく、カラーの少なくとも一部はテーパ状の内面を有してもよい。例えば、棒に締結具を締め付けることによって本体部材に対してカラーを下方向に摺動させると、テーパ状内面がテーパ状外面と係合し、頭部の周囲で凹部を圧迫して、本体部材に対するアンカー部材の方位を固定することができる。
【0004】
本発明の別の実施形態によると、多軸骨アンカーは、骨に取り付けるアンカー部材、アンカー部材に多軸状に装着する本体部材、棒を配向する座、および本体部材と係合して、座に棒を押しつけることができる締結具を含むことができる。本体部材は第1の軸を画定することができ、座は第2の軸に沿って棒を配向することができ、第1の軸は第2の軸に対して鋭角に配向される。例えば、第1の軸は、第2の軸に対して約60°と約40°の間の角度で配向することができる。代替的に、第1の軸は、第2の軸に対して約70°と約45°の間の角度で配向することができる。多軸骨アンカーはさらに、頭部を受けるために本体部材内に配置された挿入部材を含むことができ、座は挿入部材に関連することもできる。例えば、座は第2の軸にほぼ平行に延びる挿入部材上の傾斜表面を画定することができる。代替的または追加的に、骨アンカーはさらに、本体部材の周囲に配置されたカラーを含むことができ、座はカラーに関連することもできる。例えば、座は、第2の軸にほぼ平行に延びるカラー上の傾斜表面を画定することができる。
本発明の別の実施形態によると、アンカー部材は、頭部に取り付ける第1の端部、および第1の端部と反対側の第2の端部がある軸部を有する骨ねじを含むことができ、軸部は非ねじ部分とねじ部分を含むことができる。非ねじ部分は第1の端部にほぼ隣接することが好ましく、ねじ部分は第2の端部にほぼ隣接することが好ましい。軸部は、第1の端部から第2の端部までの軸部長さを画定し、非ねじ部分は軸部長さの約1/4より大きい長さにわたって延びることができる。非ねじ部分は、軸部長さの約1/2より大きい長さにわたって延びることが好ましい。追加的または代替的に、非ねじ部分は非ねじ外径を画定することができ、ねじ部分はねじ内径およびねじ外径を画定することができ、ねじ外径は非ねじ外径より大きい。また、非ねじ外径はねじ内径より大きくてもよい。代替的に、非ねじ外径はねじ内径以下であってもよい。
【0005】
本発明は、第1のねじ部材、および第1の棒受け溝がある第1の本体部材を有する第1の多軸骨アンカーと、第2のねじ部材、および第2の棒受け溝がある第2の本体部材を有する第2の多軸骨アンカーを使用して、脊椎の頚部を固定する方法にも関する。方法は、第1の椎骨を通して第2の椎骨へと第1のねじ部材を挿入するステップと、第2のねじ部材を第3の椎骨に挿入するステップと、第1の棒受け溝を第2の棒受け溝と整列させるステップと、椎骨棒を第1の棒受け溝および第2の棒受け溝内に固定するステップとを含むことができる。第1のねじ部材はC2椎骨を通してC1椎骨内へと延びることができる。例えば、第1のねじ部材はC2椎骨の尾部関節突起を通してC1椎骨の外側塊内へ延び、それによってC2椎骨に対してC1椎骨を固定することができる。第1のねじ部材は、約0°と約25°の間の方向で内側または外側に、好ましくは約0°と約15°の間で内側または外側に挿入することができる。第1のねじ部材は、約30°と約50°の間の方向で上方向に、好ましくは約30°と約40°の間で上方向に挿入することもできる。第2のねじ部材は、例えば、椎骨C3〜C7、T1〜T3のいずれかに挿入することができる。
本発明の別の実施形態によると、第1のねじ部材は第1の椎骨の外側塊内に挿入することができる。第2のねじ部材は、第2の椎骨の外側塊に挿入することができる。第1および第2の椎骨の少なくとも1つは、C3〜C7およびT1〜T3で構成された椎骨のグループから選択することもできる。第1のねじ部材は、約0°と約45°の間の方向で横方向に、約0°と約50°の間で上方向に挿入することができる。第1のねじ部材は、約25°と約45°の間の方向で上方向に挿入できることが好ましい。
【0006】
(図面の簡単な説明)
詳細な説明は、添付の図面との組合せでよりよく理解することができるだろう。類似の参照文字は類似の要素を表す。
図1は、本発明による多軸骨アンカーの第1の例示としての実施形態の斜視図である。
図2は、図1の多軸骨アンカーの側面図である。
図3は、図2の線III−IIIに沿って切り取った図1の多軸骨アンカーの断面図である。
図4は、図1の多軸骨アンカーの本体部材の側面図である。
図5は、図4の本体部材の平面図である。
図6は、アンカー部材が第1の角度で角形成した状態で示した図1の多軸骨アンカーの側面図である。
図7は、アンカー部材が第2の角度で角形成した状態で示した図1の多軸骨アンカーの側面図である。
図8は、本発明による多軸骨アンカーの第2の例示としての実施形態の側面図である。
図9は、隠れた部分を破線で示した図8の多軸骨アンカーの側面図である。
図10は、本発明のよる多軸骨アンカーの第3の例示としての実施形態の側面図である。
図11は、隠れた部分を破線で示した図10の多軸骨アンカーの側面図である。
図12は、隠れた部分を破線で示した、本発明による多軸骨アンカーに棒を固定する止めねじの1つの例示としての実施形態の側面図である。
図13は、図12の止めねじの平面図である。
図14は、本発明による多軸骨アンカーに棒を固定するナットの1つの例示としての実施形態の側面図である。
図15は、図14のナットの底面図である。
図16は、本発明による多軸骨アンカーの第4の例示としての実施形態の側面図である。
図17は、本発明による多軸骨アンカーの第5の例示としての実施形態の側面図である。
図18は、線XVIII−XVIIIに沿って切り取った図17の多軸骨アンカーの断面図である。
図19は、本発明による脊椎固定の第1の例示としての方法によって安定化させた状態で示した脊椎の頚部および上胸部の左側面図である。
図20は、図19の背面図である。
図21は、本発明による脊椎固定の第2の例示としての方法によって安定化させた状態で示した脊椎の頚部および上胸部の左側面図である。
図22は、図21の背面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照すると、本発明による多軸骨アンカーの第1の例示としての実施形態が図示されている。多軸骨アンカー10は通常、脊椎棒14または他の器具を受ける溝を有する本体12、本体12に対して多軸状に回転できるように本体12に取り付けたアンカー部材16、および脊椎棒14を本体12に固定する締結具18を含む。締結具18は、アンカー部材16の角度位置を本体12に対して固定することもできる。1つまたは複数の多軸骨アンカー10は、アンカー部材16(骨ねじとして図示)を介して椎骨に取り付けられ、脊椎棒14または他の器具に沿って位置決めされて、脊椎を適正に位置合わせしたり、他の脊椎障害を治療することができる。
【0008】
図2および図3を参照すると、それぞれ多軸骨アンカー10の側面図および断面図が図示されている。図示のように、本体12は、第1の軸20、上部境界縁部22および下部境界縁部24を画定するほぼ円筒形の部材を備えることができる。本体12は、ほぼ中空、すなわち上部境界縁部22から下部境界縁部24までの孔部21を画定することができる。第1の軸20は、孔部21の中心線に沿って延びることができる。本体12は、上部境界縁部22および/または孔部21と連絡して形成された棒受け溝26(例示としての目的のためにU字形溝として図示)を含むことができる。下部境界縁部24にほぼ隣接して凹部28を形成することができる。図示の例示としての実施形態では、棒受け溝26は第1の軸20に対してほぼ横方向に配向されるが、以下で検討するように他の構成も可能である。特に図3を参照すると、アンカー部材16は、本体12がアンカー部材16上で多軸状に角形成できるように凹部28内に填るように成形し、寸法決定した湾曲頭部30を含むことができる。図3の例示としての実施形態で示すように、湾曲頭部30はほぼ球形または切頭球形であってもよく、凹部28は一致する形状であってもよいが、他の形状および構成も予想される。湾曲頭部30は、アンカー部材16を椎骨に植え込むことができるように、六角レンチ、トルクレンチ(torx wrench)、または当技術分野で周知の他のドライバを受けるためにキー溝付きの凹部を有することが好ましい。
【0009】
図2および図3と関連して図4を参照すると、凹部28を囲む本体12の下部分32は、本体12を湾曲頭部30上にスナップ留めできるように圧縮性または弾性であることが好ましい。図示の例示としての実施形態では、本体12の下部分32は、自身内に形成された複数のスリット34を有し、所望の圧縮性または弾性を提供する。
なお図2、図3および図4を参照すると、本体12の下部分32の周囲にカラー36を摺動自在に配置することができる。カラー36は、本体12の下部分32の外面と相互作用して、カラー36が本体12に対して下方向に押下されると湾曲頭部30の周囲の凹部28を圧迫する内面38を有することもできる。特に、カラー36の内面38がテーパ状であるか、本体12の下部分32の外面40がテーパ状であるか、あるいはその両方であってもよい。本体12の下部分32の外面40も、本体12の上部分42の外面に対して内側に窪ませることができ、したがってカラー36の外面44と本体12の上部分42の外面46が相対的に同じ直径である。この構成は、多軸骨アンカー10の輪郭を最小限に抑えるのに役立てることができる。
【0010】
図3に止めねじとして図示された締結具18は、本体部材12の上部分42の内面に形成された雌ねじ48と係合することができる。締結具18を本体12に締め付けると、(棒受け溝26内に配置された場合に)脊椎棒14に対して締結具18が移動し、カラー36に対して脊椎棒14を押して、カラー36が本体12の下部分32のテーパ状外面40に沿って下方向に摺動する。その結果、下部分32がアンカー部材16の湾曲頭部30の周囲の凹部28を収縮し、本体12に対してアンカー部材16の角度位置をロックする。すなわち、締結具18を十分に締め付けると、本体12に対するアンカー部材16の多軸運動を防止する。また、締結具18およびカラー36によって脊椎棒14に加えられる対向する力が、本体12上で脊椎棒14の位置および方向を固定する。カラー36および本体12は、アンカー部材16および脊椎棒14を以前に所定の位置に固定した後に、締結具18を緩めると、アンカー部材16が本体12に対して固定された状態のまま、使用者が溝26内で脊椎棒14を移動させ、再配置できるように構成することができる。例えば、カラー36および本体12には、ほぼ一致するか、対応するテーパを設けることができる。この構成によると、アンカー部材16では、アンカー部材16が再び本体12に対して多軸状に角形成できるように、例えば、解放機器を使用することによって、使用者がこれを積極的にロック解除する必要があることがある。締結具18は図3では内部止めねじとして図示されているが、本発明では以下で検討するものを含めて他の実施形態も予想される。
【0011】
図4および図5を参照すると、本体12は、特定の角度領域にわたって本体12に対するアンカー部材16の角形成が増大可能であるように適合させ、構成することができる。本体12、および特に境界縁部24は、凹部または座ぐり領域50を含むことができる。座ぐり領域50の構成のせいで、アンカー部材16は、下部境界縁部24に接触する前に、アンカー部材を座ぐり領域50から逸らす(すなわち、下部境界縁部24の残りの部分に向かって配向する)場合より、座ぐり領域50に向かって配向した場合の方が第1の軸20に対して大きい角度まで角形成することができる。図6で示すように下部境界縁部24は、アンカー部材16が下部境界縁部24に接触する前に、第1の角度A1までアンカー部材16の角形成を提供するような寸法および構成にすることができる。図7で示すように、座ぐり領域50(カラー36で一部が隠れている)が、アンカー部材16と座ぐり領域50またはカラー36との接触によって、さらなる角形成が停止される前に、第2の角度A2までアンカー部材16の角形成を提供するような寸法および構成にすることができる。1つの好ましい実施形態によると、第1の角度A1は約30°であってもよく(アンカー部材16が約0°から約30°まで角形成できるようにする)、第2の角度A2は約50°であってもよい(アンカー部材16が約0°から約50°まで角形成できるようにする)。別の好ましい実施形態によると、第1の角度A1は約20°であってもよく、第2の角度A2は約45°であってもよい。
【0012】
図4および図5に戻ると、座ぐり領域50は、様々な医療用途に適合するために、棒受け溝26に対して、したがって脊椎棒14(破線で図示)に対して配向することができる。図示のように、脊椎棒14は(棒受け溝26に配置された場合に)第2の軸52を画定する。座ぐり領域50は中間点54を画定する。中間点54は、第2の軸52から約±45°以内の第3の角度A3だけ角度をオフセットさせることができる。第3の角度は(プラスまたはマイナスの方向に)約20°と約25°の間であることが、さらに好ましい。図4および図5で示す例示としての実施形態によると、第3の角度A3は約22.5°であるが、他の角度および構成も可能である。座ぐり領域50は、約5°と約180°の間、好ましくは約15°と約20°の間の角度領域C1を通して延びることができるが、他の角度および構成も可能である。
【0013】
図8および図9を参照すると、多軸骨アンカーの第2の例示としての実施形態が図示されている。多軸骨アンカー110は通常、脊椎棒114を受ける棒受け溝126を有する本体112、湾曲頭部130を有するアンカー部材116(例示としての目的のために骨ねじとして図示)、および締結具118を含む。本体112は第1の軸120を画定することができる。多軸骨アンカー110は挿入部材160も含むことができ、これは本体112内に摺動自在に配置され、アンカー部材116の湾曲頭部130を受ける凹部128を有する。凹部128および/または湾曲頭部130は、アンカー部材116が挿入部材160に対して、その結果として本体112に対して多軸状態で角形成できるような構成および寸法にすることが好ましい。例えば、湾曲頭部130および凹部128は、図8および図9で示すように球形または切頭球形であってもよい。
なお図8および図9を参照すると、挿入部材160は湾曲頭部130の周囲で圧縮可能であることが好ましい。例えば、挿入部材160に複数のスリット162を設けてもよいが、所望の圧縮性を提供する他の周知の構成を代替的に実施することもできる。例えば、挿入部材160は弾性材料で形成することができる。また、挿入部材160がテーパ状外面164を有するか、本体112が対応するテーパ状内面166を有する、あるいはその両方であってもよい。対応するテーパ状表面164、166は、挿入部材160が本体112内で(例えば、脊椎棒114の力によって)下方向に押下されると、湾曲頭部130の周囲で挿入部材160および凹部128を圧迫し、それによって挿入部材160および本体112に対してアンカー部材116の角度位置を固定するように働くことができる。図8および図9で示すように、締結具118は、本体112上に形成された雌ねじ148と係合する内部止めねじであってもよいが、以下で検討するものを含めて締結具118の他の構成も可能である。
【0014】
締結具118を締め付けると、脊椎棒114を挿入部材160に押しつけ、挿入部材160が本体112内で下方向に移動する。その結果、締結具118を締め付けると、本体112に対してアンカー部材116の角度位置が固定され、棒受け溝126内で脊椎棒114も固定する。挿入部材160および本体112は、アンカー部材116および脊椎棒114が所定の位置に固定された後に締結具118を緩めると、アンカー部材116が本体112に対して固定された状態のまま、使用者が溝126内で脊椎棒114を移動可能であるように構成することができる。例えば、挿入部材118および本体112には、ほぼ一致するか、対応するテーパを設けることができる。この構成によると、アンカー部材116では、アンカー部材116が再び本体112に対して多軸状に角形成するために、例えば、解放機器を使用することによって、使用者がこれを積極的にロック解除する必要があることがある。
多軸骨アンカー110は、本体112の第1の軸120に対して鋭角A4に配向された第2の軸168に沿って脊椎棒114が延びるように構成することができる。例えば、挿入部材160に座170を設けて、第2の軸168に沿って脊椎棒114を配向することができる。座170は、挿入部材160の上部分に形成した傾斜表面であってもよい。座170は第2の軸168にほぼ平行に延びることが好ましい。代替的に、座170は、例えば、棒受け溝126を第1の軸120と位置合わせすることにより、本体112自体に設けることができる。すなわち、棒受け溝126を形成する本体112の2つのU字形切り欠きが異なるサイズになる。1つの好ましい実施形態によると、角度A4は約40°と約60°の間である。別の好ましい実施形態によると、角度A4は約45°と約70°の間であるが、他の角度も可能である。また、本体112および/または挿入部材160には、図1から図9に関して上述したような座ぐり領域を設けることができる。
【0015】
図10および図11を参照すると、多軸骨アンカーの第3の例示としての実施形態が図示されている。多軸骨アンカー210は通常、脊椎棒214を受ける棒受け溝226を有する本体212、湾曲頭部230を有するアンカー部材216(例示としての目的で骨ねじとして図示)、および脊椎棒214を棒受け溝226に固定する締結具218を含む。本体212は第1の軸220を画定することができる。多軸骨アンカー210は、本体212の下部分232の周囲に摺動自在に配置されたカラー236も含むことができる。
多軸骨アンカー10(図1から図7で図示)の場合と同様に、本体212は湾曲頭部230を受ける凹部228を有することができ、そのためアンカー部材216は本体212に対して多軸状に角形成することができる。凹部228および湾曲頭部230はほぼ球形または切頭球形であることが好ましいが、他の構成も可能である。また、本体212の下部分232は複数のスリット234を有することが好ましく、これによって本体212および凹部228が湾曲頭部230の周囲を圧迫することができる。スリット234によって、本体212を湾曲頭部230上に弾力的にスナップ留めすることもできる。また、カラー236の内面238および/または本体212の下部分232の外面240は、カラー236が本体212に対して下方向に動作した場合に、本体212および凹部228が湾曲頭部230の周囲を圧迫する整合テーパを有することもできる。それ故、締結具218を脊椎棒214に対して締め付けると、カラー236をカラー236に対して下方向に押しつけ、本体212および凹部228を湾曲頭部の周囲で圧迫する。その結果、アンカー部材216の角度位置が本体212に対して固定され、脊椎棒214が棒受け溝226内に固定される。カラー236および本体212は、アンカー部材216および脊椎棒214を所定の位置に固定した後に、締結具218を緩めると、アンカー部材216が本体212に対して固定された状態のまま、使用者が溝226内で脊椎棒214を移動させられるように構成することができる。例えば、カラー236および本体212には、ほぼ一致するか、対応するテーパを設けることができる。この構成によると、アンカー部材216では、アンカー部材216が再び本体212に対して多軸状に角形成できるように、例えば、解放機器を使用することによって、使用者がこれを積極的にロック解除する必要があることがある。
カラー236は、第2の軸268に沿って脊椎棒214を配向する座270を含むことができる。座270は、棒受け溝226に配置されると脊椎棒214と接触するカラー236の傾斜上面を備えることができ、その場合、傾斜上面は第2の軸268に平行であることが好ましい。1つの好ましい実施形態によると、座270は、第2の軸268が本体212の第1の軸220に対して鋭角A4を形成するように脊椎棒214を位置決めする。1つの好ましい実施形態によると、角度A4は約40°と約60°の間であってもよい。別の好ましい実施形態によると、角度A4は約45°と約70°の間であってもよいが、他の角度も可能である。本体212および/またはカラー236には、図1から図9に関して説明したような座ぐり領域も設けることができる。
【0016】
図12および図13を参照すると、締結具の代替実施形態が図示されている。締結具318は止めねじ380およびキャップ382を含むことができる。止めねじ380は、雄ねじ加工が施され、(上述した)本体12、112、212上に形成された雌ねじと係合することができる。また、止めねじ380は、六角レンチ、トルクレンチ、または当技術分野で周知の他の工具のような打ち込み工具を受けるためにキー溝付きの凹部384を含むことができる。キャップ382は、(上述した)本体12、112、212の上部分に適合する外縁部386を含むことが好ましい。外縁部386は、本体12、112、212内で受けた脊椎棒に対して締結具380を締め付けた場合に、本体12、112、212の上部分が止めねじ380の軸方向の力で外側に広がるのを防止することを補助することができる。止めねじ380およびキャップ382は一体形成することができ、あるいは、溶着、結合、圧着または当技術分野で周知の他の技術によって接合できる別個の部片であってもよい。
【0017】
図14および図15を参照すると、締結具の別の代替実施形態が図示されている。この実施形態によると、締結具418は、本体部材(図示せず)の上面に形成された雄ねじと係合する雌ねじ490を有するナット488である。締結具418は、本体部材の上部分で受けるべき内部スペーサ492も含むことができる。内部スペーサ492を設けた場合、これは、締結具418を脊椎棒に締め付けた場合に、本体部材の上部分がナット488によって加えられた軸方向の力で内側に偏向するのを防止するのに役に立つ。ナット488およびスペーサ492は一体形成することができ、代替的に、溶着、結合、圧着または当技術分野で周知の他の技術によって接合できる別個の部片であってもよい。
図16を参照すると、アンカー部材516がフック594である多軸骨アンカー510の代替実施形態が図示されている。この実施形態によると、フック594は、当業者にとって周知であるように、椎骨の椎弓根、椎弓板または他の部分に取り付けるような寸法および構成にすることもできる。
【0018】
図17および図18を参照すると、多軸骨アンカーの別の代替実施形態が図示されている。多軸骨アンカー610は、以下で詳述することを除き、(上述し、図1から図7で示した)多軸骨アンカー10とほぼ同様である。図17および図18で示すように、アンカー部材616は、湾曲頭部630に取り付けた第1の端部696、および第1の端部696とは反対側の第2の端部697がある軸部695を有する骨ねじを備えることができる。また、軸部695は、ねじ部分698および非ねじ部分699を含むことができる。図示のように、非ねじ部分699が第1の端部696にほぼ隣接するか、ねじ部分698が第2の端部697にほぼ隣接する、あるいはその両方であってもよいが、他の構成も可能である。非ねじ部分699は、アンカー部材616を脊骨に植え込む場合に神経根とのねじ干渉を除去するのに役に立つ。
図17で示すように、軸部695は、第1の端部696から第2の端部697までの軸部長さL1を画定し、非ねじ部分699は非ねじ長さL2を画定することができる。1つの好ましい実施形態によると、非ねじ長さL2は軸部長さL1の約1/4より大きい。別の好ましい実施形態によると、非ねじ長さL2は軸部長さL1の約1/2より大きくてもよい。
なお図17を参照すると、非ねじ部分699は非ねじ外径D1を画定し、ねじ部分699は、非ねじ外径D1より大きいねじ外径D2を画定することができる。また、ねじ部分699はねじ内径D3を画定することができ、非ねじ外径D1はねじ内径D3より大きい。代替的に、D1はD2と等しいか、それより大きくてもよい。
図17および図18では、本体612の下部境界縁部624に座ぐり領域650または他の凹部領域を設けないことに留意されたい。その結果、アンカー部材616は、本体部材612に対するアンカー部材616の方向に関係なく、本体部材612に対して等しく角形成することができる。例えば、アンカー部材616は、全ての軸線の周囲で本体612に対して約30°まで角形成することができる。しかし、通常の当業者であれば、特定の医療用途に適合するために、座ぐり領域を代替的に設けることができることを理解することができるだろう。また、当業者であれば、図1から図16の実施形態に本体612を使用することができることも理解することができるだろう。
【0019】
図19および図20を参照して、脊椎の頚部を固定する第1の例示としての方法について説明する。以下で説明する方法は、上述した多軸骨アンカーのいずれか、または当技術分野で周知の他の任意の多軸骨アンカーを使用して実行することができるが、上述した多軸骨アンカーが好ましい。方法は通常、第1の多軸骨アンカー1010をC1およびC2椎骨に取り付けるステップ、好ましくは第2の多軸骨アンカー2010をC3またはC4椎骨に取り付けるステップ(しかしC3からT3椎骨もさらなる可能な代替物である)、および脊椎棒を第1および第2の多軸骨アンカー1010、2010に固定して、椎骨を整列させるステップを含む。これは、例えば、C2椎骨の尾部関節突起を通してC1椎骨の外側塊へと第1の多軸アンカー1010の骨ねじ1016を挿入し、それによってC2椎骨に対してC1椎骨を固定することによって遂行することができる。第2の骨アンカー2010は代替的に、脊椎の他の領域(すなわち、下部胸椎または腰椎領域)にある1つまたは複数の椎骨に植え込むことができる。
C2椎骨を通してC1椎骨へと骨ねじ1016を挿入するために、図20の角度αで表すように内側または外側に約0°と約25°の間の方向、さらに好ましくは内側または外側に約0°と約15°の間の方向で骨ねじ1016を挿入する必要があることがある。追加的または代替的に、図19の角度βで表すように上方向に約30°と約50°の間の方向、さらに好ましくは上方向に約30°と約40°の間の方向で骨ねじ1016を挿入する必要があることがある。本発明の多軸骨アンカーに関して上述した座ぐり領域は、必要な内側または外側および/または上方向の角形成を提供するような構成および寸法にすることができるが、本発明の方法は本明細書で説明する多軸骨アンカーの構造に制限されない。
【0020】
骨ねじ1016を挿入する前に、C2椎骨からC1椎骨へと穴を穿孔するおよび/または雌ねじを切ることが望ましい。穴に雌ねじを切る場合は、C1椎骨の前皮質に雌ねじを切らないことが好ましい。骨ねじ1016をC2およびC1椎骨に十分に挿入すると、本体1012を骨ねじ1016の湾曲頭部1030にスナップ留めすることができる。代替的に、本体1012および湾曲頭部1030は、骨ねじ1016をC2およびC1椎骨に挿入する前に予め組み立ててもよい。
第2の多軸アンカー2010は、例えば、骨ねじ2016をC3またはC4椎骨にねじ込むことによって、C3またはC4椎骨に取り付けることが好ましい。代替的に、第2の多軸アンカー2010は、C3からT3領域内のものを含む他の椎骨に取り付けてもよい。第2の多軸アンカー2010を植え込むと、脊椎棒1014を挿入できるように、本体1012および本体2012を回転して、個々の棒受け溝(図19および図20には図示せず)を整列させることができる。問題の変形を矯正するために椎骨を再配置すると、第1および第2の多軸アンカー1010、2010の締結具(図19および図20には図示せず)を締め付けて、脊椎棒1014を第1および第2の多軸アンカー1010、2010に固定し、骨ねじ1016、2016に対して本体1012、2012の角度位置を固定し、それ故ほぼ剛性の構造を形成することができる。
代替的に、脊椎棒1014の一方の端部を本体1012、2012の1つに挿入し、脊椎棒1014を操作して、椎体を再配置することができる。次に、脊椎棒1014の他方端部を本体1012、2012の他方に挿入し、次に脊椎棒1014を所定の位置に固定することができる。脊椎棒1014を操作して、椎体を再配置する前に、脊椎棒1014の第1の端部を本体1012、2012の1つに固定し、締結具を本体1012、2012に対して固定することができる。この方法のさらに別の実施形態では、骨アンカー1010、2010を上述したように脊椎に挿入し、脊椎棒1014の両方の端部をアンカー1010、2010に挿入して、脊椎棒の一方の端部をアンカー1010、2010に固定するか、固定して、伸延または圧縮力を加えて脊椎棒1014に沿って多軸アンカーを移動させ、伸延または圧縮力を加え、その後に脊椎棒1014の第2の端部を多軸アンカー内に固定することができる。
【0021】
図21および図22を参照して、頸椎を固定する第2の例示としての方法について説明する。この方法によると、第1の骨ねじ1016を第1の椎骨の外側塊に挿入することができる。例えば、第1の骨ねじ1016を、例えば、図21および図22で示すようなC4など、C3からT3の範囲にある任意の椎骨に挿入することができる。また、第2の骨ねじ2016を第2の椎骨の外側塊に挿入することができる。例えば、第2の骨ねじ2016は、例えば、図21および図22で示すようなC6など、C3からT3までの範囲にある任意の他の椎骨を通して挿入することができる。代替的に、第2の骨ねじ2016は、脊椎の他の領域(すなわち、下部胸椎または腰椎領域)の1つまたは複数の椎骨に挿入することができる。図21および図22で示すように、第1および第2の骨ねじ1016、2016は1つの椎骨のみの外側塊の中へと延びるか、あるいは隣接する椎骨内へと延び、(例えば、図19および図20に関して説明したように)椎骨を相互に固定することができる。
骨ねじを植え込む前に椎骨内の穴を予め穿孔するおよび/または雌ねじを切ることが望ましい。穴に雌ねじを切る場合は、近位皮質のみに雌ねじを切ることが好ましい。また、骨ねじ1016および/または2016は、植え込む前に本体1012、2012に予め組み付けるか、あるいはねじを植え込んだ後に本体1012、2012を骨ねじ1016、2016の湾曲頭部1030、2030にスナップ留めすることができる。
第1の骨ねじ1016または第2の骨ねじ2016を椎骨の外側塊に挿入するために、第1または第2の骨ねじ1016、2016を、図21の角度γで表すように、上方向に約0°と約50°の間の方向、好ましくは上方向に約25°と約45°の間の方向で挿入する必要があることがある。追加的または代替的に、第1または第2の骨ねじ1016、2016は、図22の角度δで表すように外側に約0°と約45°の間の方向で挿入する必要があることがある。1つの好ましい実施形態によると、第1の骨ねじ1016または第2の骨ねじ2016を挿入する開始点は、外側塊の中心に対して約2mm内側または約2mm内側で2mm尾部側である。
第1および第2の多軸アンカー1010、2010を植え込むと、脊椎棒1014を挿入できるように、その本体1012、2012を回転して、その個々の棒受け溝(図21および図22には図示せず)を整列させることができる。問題の変形を矯正するために椎骨を再配置すると、締結具(図21および図22には図示せず)を締め付けて脊椎棒1014を第1および第2の多軸アンカー1010、2010に固定し、骨ねじ1016、2016に対して本体1012、2012の角度位置を固定し、それ故ほぼ剛性の構造を形成することができる。
本明細書で開示した本発明の例示としての実施形態が、上述した目的を達成することは明白であるが、当業者なら無数の変形および他の実施形態が考案できることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲に入るこのような変形および実施形態の全てをカバーするものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による多軸骨アンカーの第1の例示としての実施形態の斜視図である。
【図2】図1の多軸骨アンカーの側面図である。
【図3】図2の線III−IIIに沿って切り取った図1の多軸骨アンカーの断面図である。
【図4】図1の多軸骨アンカーの本体部材の側面図である。
【図5】図4の本体部材の平面図である。
【図6】アンカー部材が第1の角度で角形成した状態で示した図1の多軸骨アンカーの側面図である。
【図7】アンカー部材が第2の角度で角形成した状態で示した図1の多軸骨アンカーの側面図である。
【図8】本発明による多軸骨アンカーの第2の例示としての実施形態の側面図である。
【図9】隠れた部分を破線で示した図8の多軸骨アンカーの側面図である。
【図10】本発明のよる多軸骨アンカーの第3の例示としての実施形態の側面図である。
【図11】隠れた部分を破線で示した図10の多軸骨アンカーの側面図である。
【図12】隠れた部分を破線で示した、本発明による多軸骨アンカーに棒を固定する止めねじの1つの例示としての実施形態の側面図である。
【図13】図12の止めねじの平面図である。
【図14】本発明による多軸骨アンカーに棒を固定するナットの1つの例示としての実施形態の側面図である。
【図15】図14のナットの底面図である。
【図16】本発明による多軸骨アンカーの第4の例示としての実施形態の側面図である。
【図17】本発明による多軸骨アンカーの第5の例示としての実施形態の側面図である。
【図18】線XVIII−XVIIIに沿って切り取った図17の多軸骨アンカーの断面図である。
【図19】本発明による脊椎固定の第1の例示としての方法によって安定化させた状態で示した脊椎の頚部および上胸部の左側面図である。
【図20】図19の背面図である。
【図21】本発明による脊椎固定の第2の例示としての方法によって安定化させた状態で示した脊椎の頚部および上胸部の左側面図である。
【図22】図21の背面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 多軸骨アンカー 12 本体 16 アンカー部材
20 第1の軸 21 孔部 22 上部境界縁部
24 下部境界縁部 26 棒受け溝 28 凹部 30 湾曲頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒を骨に取り付ける多軸骨アンカーであって、
前記骨に取り付けるアンカー部材を備え、前記アンカー部材が湾曲頭部を有し、さらに、
前記湾曲頭部に多軸状に装着した本体部材を備え、前記本体部材が第1の軸を画定し、さらに、
第2の軸に沿って前記棒を配向する座と、
前記本体部材と係合して、前記棒を前記座に押しつけることができる締結具とを備え、
前記第1の軸が前記第2の軸に対して鋭角に配向される多軸骨アンカー。
【請求項2】
前記第1の軸が前記第2の軸に対して約40°と約60°の間の角度で配向される、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項3】
前記第1の軸が前記第2の軸に対して約45°と約70°の間の角度で配向される、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項4】
前記本体部材内に配置され、前記頭部を受ける圧縮性の凹部を有する挿入部材をさらに備え、前記座が前記挿入部材に関連する、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項5】
前記座が前記挿入部材の傾斜表面を画定し、前記傾斜表面が前記第2の軸にほぼ平行に延びる、請求項4に記載の多軸骨アンカー。
【請求項6】
前記締結具を締め付けると、前記棒を前記座に押しつけ、それによって前記挿入部が前記湾曲頭部の周囲を圧迫し、前記本体部材に対して前記アンカー部材の角度位置を固定する、請求項4に記載の多軸骨アンカー。
【請求項7】
前記本体部材の周囲に配置されたカラーをさらに備え、前記座が前記カラーに関連する、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項8】
前記座が前記カラー上の傾斜表面を画定し、前記傾斜表面が前記第2の軸にほぼ平行に延びる、請求項7に記載の多軸骨アンカー。
【請求項9】
前記締結具を締め付けると、前記棒を前記座に押しつけ、それによって前記カラーが前記本体を前記湾曲頭部の周囲で圧迫し、前記本体部材に対して前記アンカー部材の角度位置を固定する、請求項7に記載の多軸骨アンカー。
【請求項10】
前記締結具が、前記本体部材上に形成された雌ねじと係合可能な止めねじである、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項11】
前記止めねじと関連する外部キャップをさらに備える、請求項10に記載の多軸骨アンカー。
【請求項12】
前記締結具が、前記本体部材上に形成された雄ねじと係合可能なナットである、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項13】
前記ナットと関連する内部スペーサをさらに備える、請求項12に記載の多軸骨アンカー。
【請求項14】
前記アンカー部材がねじまたはフックである、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項15】
前記アンカー部材が、前記湾曲頭部に取り付けられた第1の端部、および前記第1の端部とは反対側の第2の端部がある軸部を有する骨ねじを備え、前記軸部が非ねじ部分およびねじ部分を含む、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項16】
前記非ねじ部分が前記第1の端部にほぼ隣接し、前記ねじ部分が前記第2の端部にほぼ隣接する、請求項15に記載の多軸骨アンカー。
【請求項17】
前記軸部が、前記第1の端部から前記第2の端部までの軸部長さを画定し、前記非ねじ部分が前記軸部長さの約1/4より大きい長さにわたって延びる、請求項16に記載の多軸骨アンカー。
【請求項18】
前記非ねじ部分が前記軸部長さの約1/2より大きい長さにわたって延びる、請求項17に記載の多軸骨アンカー。
【請求項19】
前記非ねじ部分が非ねじ外径を画定し、
前記ねじ部分がねじ内径およびねじ外径を画定し、
前記ねじ外径が前記非ねじ外径より大きい、請求項15に記載の多軸骨アンカー。
【請求項20】
前記非ねじ外径がねじ内径より大きい、請求項19に記載の多軸骨アンカー。
【請求項21】
前記本体部材が自身を通って延びる孔部を有し、前記孔部が前記第1の軸を画定する、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項22】
前記骨が椎骨である、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項23】
前記棒が脊椎棒である、請求項1に記載の多軸骨アンカー。
【請求項24】
棒を骨に取り付ける多軸骨アンカーであって、
前記骨に取り付けるアンカー部材を備え、前記アンカー部材が頭部を有し、さらに、
前記アンカー部材が最初に自身に対して多軸状に角形成することができるように、前記棒を受けるU字形溝、および前記頭部を受ける圧縮性凹部を有する本体部材と、
前記本体部材の周囲に摺動自在に配置され、前記頭部の周囲の凹部を圧迫可能なカラーと、
前記棒を前記カラーに押しつけることができる締結具とを備え、
前記本体部材が第1の軸、上部境界縁部および下部境界縁部を画定し、前記下部境界縁部は座ぐり領域を含み、これによって前記アンカー部材が前記座ぐり領域へと配向されると、前記アンカー部材が前記第1の軸に対して角形成を増大させることができる多軸骨アンカー。
【請求項25】
前記境界縁部は、前記アンカー部材が前記第1の軸に対して約30°の第1の角度まで角形成できるような構成および寸法にされ、前記座ぐり領域は、前記アンカー部材が前記第1の軸に対して約50°の第2の角度まで角形成できるような構成および寸法にされる、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項26】
前記第1の角度が約20°であり、前記第2の角度が約45°である、請求項25に記載の多軸骨アンカー。
【請求項27】
前記U字形溝が第2の軸を画定し、前記座ぐり領域の中間点が前記第2の軸から約0°と約45°の間でオフセットされる、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項28】
前記座ぐり領域の中間点が、前記第2の軸から約20°と約25°の間でオフセットされる、請求項27に記載の多軸骨アンカー。
【請求項29】
前記座ぐり領域が、前記第1の軸に対して約5°と約180°の間の角度領域を通して延びる、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項30】
前記座ぐり領域が、前記第1の軸に対して約15°と約20°の間の角度領域を通して延びる、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項31】
前記本体部材の少なくとも一部がテーパ状外面を有し、前記カラーの少なくとも一部がテーパ状内面を有する、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項32】
前記カラーを前記本体部材に対して下方向に摺動させると、前記テーパ状内面が前記テーパ状外面と係合して、前記頭部の周囲の凹部を圧迫し、前記本体部材に対する前記アンカー部材の方向を固定する、請求項31に記載の多軸骨アンカー。
【請求項33】
前記締結具を締め付けると、前記棒を前記カラーに押しつけ、前記カラーを前記本体部材に対して下方向に摺動させる、請求項32に記載の多軸骨アンカー。
【請求項34】
前記締結具が、前記本体部材上に形成された雌ねじと係合可能な止めねじである、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項35】
前記止めねじと関連する外部キャップをさらに備える、請求項34に記載の多軸骨アンカー。
【請求項36】
前記締結具が、前記本体部材上に形成された雄ねじと係合可能なナットである、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項37】
前記ナットと関連する内部スペーサをさらに備える、請求項36に記載の多軸骨アンカー。
【請求項38】
前記アンカー部材がねじまたはフックである、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項39】
前記アンカー部材が、前記頭部に取り付けた第1の端部、および前記第1の端部とは反対側の第2の端部がある軸部を有する骨ねじを備え、前記軸部が非ねじ部分およびねじ部分を含む、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項40】
前記非ねじ部分が前記第1の端部にほぼ隣接し、前記ねじ部分が前記第2の端部にほぼ隣接する、請求項39に記載の多軸骨アンカー。
【請求項41】
前記軸部が前記第1の端部から前記第2の端部までの軸部長さを画定し、前記非ねじ部分が前記軸部長さの約1/4より大きい長さにわたって延びる、請求項40に記載の多軸骨アンカー。
【請求項42】
前記非ねじ部分が前記軸部長さの約1/2より大きい長さにわたって延びる、請求項41に記載の多軸骨アンカー。
【請求項43】
前記非ねじ部分が非ねじ外径を画定し、
前記ねじ部分がねじ内径およびねじ外径を画定し、
前記ねじ外径が前記非ねじ外径より大きい、請求項39に記載の多軸骨アンカー。
【請求項44】
前記非ねじ外径が前記ねじ内径より大きい、請求項43に記載の多軸骨アンカー。
【請求項45】
前記骨が椎骨である、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項46】
前記棒が脊椎棒である、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項47】
前記頭部がほぼ球形である、請求項24に記載の多軸骨アンカー。
【請求項48】
第1のねじ部材、および第1の棒受け溝がある第1の本体部材を有する第1の多軸骨アンカーと、第2のねじ部材、および第2の棒受け溝がある第2の本体部材を有する第2の多軸骨アンカーを使用して、脊椎の頚部を固定する方法であって、
第1の椎骨を通して第2の椎骨へと前記第1のねじ部材を挿入するステップと、
前記第2のねじ部材を第3の椎骨に挿入するステップと、
前記第1の棒受け溝を前記第2の棒受け溝と整列させるステップと、
脊椎棒を前記第1の棒受け溝および前記第2の棒受け溝内に固定するステップとを含む方法。
【請求項49】
前記第1のねじ部材がC2椎骨を通してC1椎骨内へと延びる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1のねじ部材が前記C1椎骨の外側塊内へ延びる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1のねじ部材が前記C2椎骨の尾部関節突起を通して延びる、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のねじ部材が前記第1の椎骨に対して前記第2の椎骨を固定する、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のねじ部材が、約0°と約25°の間の方向で内側または外側に挿入される、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記第1のねじ部材が、約0°と約15°の間の方向で内側または外側に挿入される、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記第1のねじ部材が、約30°と約50°の間の方向で上方向に挿入される、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記第1のねじ部材が、約30°と約40°の間の方向で上方向に挿入される、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
前記第1のねじ部材を挿入する前記ステップが、前記第1の椎骨から前記第2の椎骨へと第1の穴を穿孔することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
前記第1のねじ部材を挿入するステップが、前記第1の穴の少なくとも一部に雌ねじを切ることをさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の本体部材が第1の軸、上部境界縁部、および下部境界縁部を画定し、前記下部境界縁部は座ぐり領域を含み、これによって前記第1のねじ部材が前記座ぐり領域へと配向されると、前記第1のねじ部材が前記第1の軸に対して角形成を増大させることができる、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
前記境界縁部は、前記第1のねじ部材が前記第1の軸に対して約30°の第1の角度まで角形成できるような構成および寸法にされ、前記座ぐり領域は、前記第1のねじ部材が前記第1の軸に対して約50°の第2の角度まで角形成できるような構成および寸法にされる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の角度が約20°であり、前記第2の角度が約45°である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の棒受け溝が第2の軸を画定し、前記座ぐり領域の中間点が前記第2の軸から約0°と約45°の間でオフセットされる、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記座ぐり領域が、前記第1の軸に対して約5°と約180°の間の角度領域を通して延びる、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
第1のねじ部材、および第1の棒受け溝がある第1の本体部材を有する第1の多軸骨アンカーと、第2のねじ部材、および第2の棒受け溝がある第2の本体部材を有する第2の多軸骨アンカーとを使用して脊椎を固定する方法であって、
前記第1のねじ部材を第1の椎骨の外側塊に挿入するステップと、
前記第2のねじ部材を第2の椎骨に挿入するステップと、
前記第1の棒受け溝を前記第2の棒受け溝と整列させるステップと、
脊椎棒を前記第1の棒受け溝および前記第2の棒受け溝内に固定するステップとを含む方法。
【請求項65】
前記第2のねじ部材を前記第2の椎骨の外側塊に挿入する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1および第2の椎骨の少なくとも一方が、C3、C4、C5、C6、C7、T1、T2およびT3で構成した椎骨のグループから選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記第1のねじ部材を、約0°と約45°の間の方向で横方向に挿入する、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記第1のねじ部材を、約0°と約50°の間の方向で上方向に挿入する、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記第1のねじ部材を約25°と約45°の間の方向で上方向に挿入する、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の本体部材が第1の軸、上部境界縁部、および下部境界縁部を画定し、前記下部境界縁部は座ぐり領域を含み、これによって前記第1のねじ部材が前記座ぐり領域へと配向されると、前記第1のねじ部材が前記第1の軸に対して角形成を増大させることができる、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記境界縁部は、前記第1のねじ部材が前記第1の軸に対して約30°の第1の角度まで角形成できるような構成および寸法にされ、前記座ぐり領域は、前記第1のねじ部材が前記第1の軸に対して約50°の第2の角度まで角形成できるような構成および寸法にされる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の角度が約20°であり、前記第2の角度が約45°である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の棒受け溝が第2の軸を画定し、前記座ぐり領域の中間点が前記第2の軸から約0°と約45°の間でオフセットされる、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記座ぐり領域が、前記第1の軸に対して約5°と約180°の間の角度領域を通して延びる、請求項70に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−508119(P2007−508119A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535606(P2006−535606)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/033683
【国際公開番号】WO2005/037067
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(591073555)ジンテーズ アクチエンゲゼルシャフト クール (36)
【氏名又は名称原語表記】SYNTHES AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】