説明

脱バンドル化したナノチューブの分散および回収

ナノチューブを分散させる方法であって、会合したナノチューブとナノプレートレットを用いてナノコンポジットの溶液を形成するステップと、該ナノコンポジットの溶液に界面活性剤を混合するステップと、前記ナノチューブを界面活性剤の溶液中に懸濁させたままで溶液中の前記ナノコンポジットを分離するステップと、溶液中のナノチューブを単離するステップと、を有している。場合によってこの方法は、溶液中のナノチューブを官能化させるステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連分野に対する相互参照
非適用。
【0002】
連邦政府の支援による研究または開発に関する記述
非適用。
【0003】
背景
発明の分野
本発明は一般にナノチューブを取り扱う方法に関する。さらに詳しくは、本発明は溶液中に分散したナノチューブを回収し、単離する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ナノチューブは、有意な機械的、電気的、熱的特性を有する新しい種類のナノ構造体であり、このため、航空宇宙産業、自動車産業、マイクロ電子産業、太陽電池産業、エネルギー伝送産業において、ナノスケールのプローブデバイスやエネルギー蓄積部品、センサ、難燃性材料、導電性インク、電気伝導体等として応用される可能性を有している。さらに、ナノチューブは、炭素、シリコン、金属酸化物その他の無機化合物を含む様々な種類の材料から構成される。ナノチューブは多層ナノチューブ(MWNT)と単層ナノチューブ(SWNT)に分類される。特にSWNTは注目すべき特性を有しているが、個々に取り扱うことが困難である。
【0005】
詳しく説明すると、合成後のSWNTナノチューブは、ロープ状(roped)、バンドル状(bundled)、または絡み合い状(entangled)の形態をとるような親和性を示す。凝集したナノチューブバンドルは、計算から期待される理論的に有利な特性を示さない。ナノチューブを有機媒質や無機媒質中で用いるために分散させることの技術的な利点は、ナノチューブの均一な分布が構造的、機械的、導電的、または熱的な要素として働くような材料を形成する場合において意味がある。
【0006】
ナノチューブが凝集およびバンドル化することは、ナノスケールでの応用において、これらの構造を実施するにあたってその有利な特性を最大限に発揮させるための制約として表れる。ナノチューブを分散させる従来の試みには、共有結合性および非共有結合性の官能基付与があり、長時間の超遠心分離も含まれる。共有結合性の官能基付与によれば効率が非常に高いが、物理的および電気的特性が著しく劣化してしまう。超遠心分離法によれば未反応でかつ個々に分散したナノチューブを作製できるが、分散したナノチューブの生成量が少ないため、効率が悪い。
【0007】
ナノチューブバンドルを完全に分散させることは困難であるため、個々のナノチューブの位置や向きについて個別に制御することが、商業的利用にとっては更なる課題となる。このため、組成中にナノチューブを均一に組み込むことは、これまでマクロスケールの材料での利用に限定されてきた。蒸着後の配向のため高温およびレーザーを用いる方法が研究レベルでは試されているが、商業的な規模での応用は実現していない。さらに、これらの方法はナノチューブやそれを支持する基板を非可逆的に切除し、損傷させ、改質してしまうため、ナノチューブを用いた高分子のナノコンポジットやマイクロエレクトロニクスを製造するには実用的ではない。
【0008】
結果として、ナノチューブを分散させ、懸濁液から回収し、基板の上または埋め込みで、高精度かつ高秩序で配置及び配向させるのに適した物理的方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
ナノチューブを分散させる方法であって、会合したナノチューブとナノプレートレット(nanoplatelet)とを含むナノコンポジットの溶液を形成するステップと、このナノコンポジットの溶液に界面活性剤を混合するステップと、ナノチューブを界面活性剤の溶液中に懸濁させたままで該溶液中のナノコンポジットを分離するステップと、溶液中のナノチューブを単離するステップと、を有している。
【0010】
場合によっては、前記方法はさらに、溶液中のナノチューブを官能化させるステップと、ナノチューブを溶液から単離するステップと、ナノチューブを溶媒中に分散させるステップと、を有している。
【0011】
前記方法はさらに、ナノチューブを酸化する第1の溶液に少なくとも一つのナノチューブを添加するステップと、この第1の溶液からナノチューブを単離し、水性溶媒中にナノチューブを再懸濁させて、酸化したナノチューブの溶液を形成するステップと、ナノプレートレットを剥離する第2の溶液へ少なくとも一つのナノプレートレットを添加して、剥離したナノプレートレットの溶液を形成するステップと、酸化したナノチューブの溶液と剥離したナノプレートレットの溶液とを混合して、剥離してまたは絡み合いが解けて前記少なくとも一つのナノプレートレットと会合した少なくとも一つのナノチューブを含むナノコンポジットの溶液を形成するステップと、を有している。
【0012】
以下の本発明の詳細な説明を良く理解することができるように、以上では本発明の特徴や利点の概略をかなり大まかに述べた。本発明のさらなる特徴や利点を以下に説明するが、これは本発明の特許請求の範囲の主題を形成するものである。当該分野の技術者であれば、開示された概念や特定の実施形態を、本発明と同じ目的で実施するために修正したり他の構造を設計したりする基礎として、容易に利用できることを理解できるはずである。当該分野の技術者はまた、そうした均等な構成が添付の特許請求の範囲に規定された発明の精神および範囲から逸脱するものではないことも理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明を実施するための好ましい形態を詳しく説明するために、ここで添付図面を参照する。
【図1】図1は、開示する一つの実施形態によって、ナノチューブを分散させ、回収する方法を示す模式図である。
【図2】図2は、開示する一つの実施形態によって、剥離したナノチューブからZrPナノプレートレットを分離するために提案するメカニズムを示す図である。ここで、(A)水性媒質中に、前処理したナノチューブの大きな凝集塊(アグリゲート、aggregate)があり、(B)正に帯電したナノプレートレットが添加されて、負に帯電したナノチューブの凝集塊に静電気的に拘束されており、(C)超音波処理のもとでナノプレートレットによってナノチューブが繋がって小さなバンドルとなり、その後個々のチューブとなるところを示しており、(D)非イオン性またはイオン性の界面活性剤が添加されて、ナノチューブが安定化し、(E)界面活性剤が溶液中のナノチューブを安定化させつつ、系のイオン強度またはPH値を注意深く調節することによってZrPナノプレートレットを沈殿させ、(F)ナノチューブが界面活性剤によって安定化し、ZrPナノプレートレットのない状態で水性媒質中で個々に分散しているところを示している。
【図3】図3は、いろいろな濃度における、(A)SWNTおよび、(B)MWNTの分散物のUV吸収スペクトルとともに、濃度と吸収強度についての対応する校正曲線とともに示す。
【図4】図4は、個体のCNTの官能化と、水溶液から有機系への移行を示す概念図および実際の図である。ここで、(A)高濃度のスルファニルアミドのアセトン溶液がSDS水溶液中に添加されて、個体のCNTが官能化され、(B)スルファニルアミドを用いて官能化したCNTが水に不溶となり、アセトン相中で凝縮して綿状沈殿を形成し、(C)CNTの凝集塊が超音波処理によってアセトンの中に再分散する。
【図5】図5は、ナノプレートレットアシストによる脱バンドル化(debundling)の前後における、(A)UV−vis−NIR、(B)ラマンスペクトル、(C)SWNTラマンスペクトルのRBM領域を含む分析曲線を示す。黒の線は、前処理したSWNTバンドルを表している。グレーの線は、ZrPナノプレートレットを用いて剥離したSWNTを表している。CNTとZrPの重量比は1対5である。
【図6】図6は、(A)CNT−ナノプレートレット混成凝集塊の中で剥離したZrPナノプレートレットを、(B)強いイオン強度条件、または(C)酸性条件の影響下に置いて、それぞれ遠心分離を経て、(D)イオン誘導されたナノプレートレットの沈殿物、または(E)酸誘導された沈殿物の分離を示す。
【図7】図7は、HCl/SDS法を用いたZrP分離の前後における(A)SWNTと(B)MWNTのEDSパターンと元素マッピングを示す。濃い色のドットはC元素からの信号を示しており、薄い色のドットはP元素からのものを示す。ここで、試料のマウントの背景が灰色であるため、薄い色のドットと混同してはならない。
【図8】図8は、KCl/Triton法を用いたZrP分離の前後における(A)SWNTと(B)MWNTのEDSパターンと元素マッピングを示す。濃い色のドットはC元素からの信号を示しており、薄い色のドットはP元素からのものを示す。
【図9】図9は、ZrPアシストによる剥離とZrPの除去の後、SDS水溶液中で安定化したSWNTの(A)ラマンスペクトルと、(B)RBM領域を、前処理したSWNTのものと比較して示す。
【図10】図10は、ZrPアシストによる剥離とZrPの除去の後、ピペリジンとCTAB溶液中へ移したSWNTの(A)ラマンスペクトルと、(B)RBM領域を、前処理したSWNTのものと比較して示す。
【図11】図11は、水とエタノールの濃度比をさまざまに変えたときの精製ZrP分散物の外観を示す。
【図12】図12は、SWNTと、Tritonと、剥離し精製したZrPナノプレートレットとを含む混合物から分離された上澄み液と凝集物のラマンスペクトルを示す。
【図13】図13は、(A)ZrPナノプレートレットを用いて剥離させたSWNTと、(B)ナノプレートレットから分離したSWNTのTEM写真と、(C)PSS水溶液中に移したSWNTのSEM写真を示す。
【図14】図14は、ZrPの分離前(A)と分離後(B)の、絡み合いを解かれたMWNTのTEM写真を示す。分かりやすくするために、図14Aでは多数のZrPナノプレートレットのうちの2つを丸で囲んだ。
【図15】図15は、質量比が1:5のSWNTと、Kでイオン化したZrPナノプレートレットのTEM写真を示す。
【図16】図16は、(A)ナノプレートレットから分離してSDS水溶液中に分散した個体のXD−CNTのTEM写真と、(B)アセトン中に分散した、スルファニルアミドで官能化したXD−CNTのOMイメージと、(C)官能化したXD−CNTの低倍率TEM写真と、(D)高倍率TEM写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
表記および用語
以下の記述および請求項を通じて、特定の系の構成要素を指すため用いられている用語がある。この記述は、名称は異なるが機能は異ならないような構成要素を区別するものではない。
【0015】
本明細書で用いる「ナノチューブ」またはNTという用語は、直径が少なくとも約0.2nmで、長さが約20nm以上で、アスペクト比(長さの直径に対する比)が少なくとも約10で、外壁が1つまたは複数の層からなる、任意の円筒形状の原子同素体または多原子分子を指す。
【0016】
本明細書で用いる「カーボンナノチューブ」またはCNTという用語は、直径が約0.2nm以上で、外壁が一つまたは複数のグラフェン層からなる、任意の円筒形状の炭素同素体を指す。
【0017】
本明細書で用いる「単層ナノチューブ(single walled nanotube)」または「SWNT」という用語は、外壁が1層からなる任意のナノチューブを指す。さらに、「多層ナノチューブ(multi−walled nanotube)」または「MWNT」という用語は、本明細書において用いる場合には、外壁が少なくとも2層からなる任意のナノチューブを指す。本開示はカーボンナノチューブのみに用途を限定しているわけではないが、本開示の「SWNT」および「MWNT」は、「単層カーボンナノチューブ」および「多層カーボンナノチューブ」のことである。
【0018】
また、本明細書で用いる「分散(disperse)」、「脱ロープ化(de−rope)」、「脱バンドル化(de−bundle)」という用語は、一つのナノチューブまたは互いに会合している複数のナノチューブからなる、バンドル、ロープ、凝集塊(aggregate)、塊(clump)、絡み合い(interwined)、または類似の形態から、個々のナノチューブを実質的に分離する、あるいはその絡み合いを解く(disentanglement)ことを指す。
【0019】
さらに、本明細書で用いる「剥離(exfoliate)」という用語は、材料から層を除去するプロセスを指す。本明細書で用いる「剥離した(exfoliated)」という用語は、一つの層に剥ぎ取られたナノ構造を指す。また、本明細書で用いる「剥離した」という用語は、類似したナノ材料のバンドル、ロープまたは凝集塊から一つ一つの層に剥ぎ取られ、部分的に分散した、または個々に分散した、または単分散したナノ材料を指す。
【0020】
さらに、ここで用いられている「ナノコンポジット」または「ハイブリッド」という用語は、その前後(preceding or proceeding)の材料の組み合わせ、混合、または複合を指しているが、そこに含まれる材料のみに限定するわけではない。
【0021】
実施形態の詳細な説明
概略。
図1は本開示の一つの実施形態を示す図である。場合によっては、本方法はナノチューブの脱バンドル化および回収プロセスを含んでおり、ナノチューブの前処理と、ナノプレートレットの剥離と、ナノプレートレットアシストによるCNTの分散と、酸/イオン溶液および界面活性剤を用いたナノチューブ−ナノプレートレット混合物からのナノチューブの回収と、ナノチューブの分散をさらに繰り返すために再利用されるナノプレートレットのリサイクルを含む。化学的方法によってカーボンナノチューブを分散し堆積(deposit)させる方法は、例えば米国特許出願12/112,675号"Dispersion, Alignment and Deposition of Nanotubes"および米国仮特許出願61/150,192号"Preparation ofIsolated Nanotubes and Related Polymer Nanocomposites"にすでに開示されており、これらはいずれも参照によりその全体をあらゆる目的のために本明細書に援用するが、ここで開示するものは、溶液中のナノコンポジットからナノチューブを単離してそれを回収する別の方法にまで及ぶものである。
【0022】
ナノチューブ。
本開示において取り扱うナノチューブは市販で入手可能な任意のものである。開示されている方法の実施形態において用いられているナノチューブは、当該分野の技術者にはわかるように、合成した任意のタイプのものでよい。このナノチューブは任意の材料、例としては、これらに限定しないが炭素、シリコン、金属、または無機化合物から構成される。ナノチューブには、単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、またはこれらの組み合わせが含まれる。ナノチューブは、直径が約0.2nmから約30nmの間であり、好ましくは約1nmから約10nmの間である。ナノチューブは、アスペクト比、すなわち長さの直径に対する比が少なくとも約20であり、好ましくはナノチューブのアスペクト比は少なくとも約30であり、最も好ましくはアスペクト比が少なくとも約1000である。
【0023】
場合によっては、ナノチューブはカーボンナノチューブとする。カーボンナノチューブは、直径が約0.2nmから約20nmの間である。カーボンナノチューブの長さは少なくとも約100nmである。特定の実施形態では、長さが少なくとも1000nmである。カーボンナノチューブのアスペクト比は少なくとも20であり、特定の実施形態では、アスペクト比は少なくとも1000である。カーボンナノチューブには、単層カーボンナノチューブ(SWNT)か多層カーボンナノチューブ(MWNT)が含まれる。特定の例として、ナノチューブにはXD−Gradeナノチューブ、またはHIPCO(登録商標) SWNTが含まれ、これらは例えばカーボン・ナノテクノロジーズ社(Carbon Nanotechnologies, INC)やUNIDYM(TM)から入手可能である。特定の例として、SWNTには金属SWNTと半導体SWNTの混合物が含まれる。理論的に限定することを望むわけではないが、SWNTグラフェン格子のラッピング方向性によって、これに限定しないが導電性や半導体性を含むナノチューブの多くの特性が決まる。場合によっては、高い導電性を有するナノチューブは金属SWNTであると考えることができ、低い導電性を有するナノチューブは半導体SWNTと考えることができる。当該分野の技術者にはわかるであろうが、ナノチューブは導電性ナノチューブと半導体性ナノチューブの混合物としてもよい。
【0024】
実施形態によっては、ナノチューブは官能化したナノチューブとする。官能化したナノチューブとは、化学処理された外壁を有し、外壁が官能基を有しているナノチューブである。特定の実施形態では、官能化したナノチューブには酸化したナノチューブが含まれる。理論的な限定ではないが、ナノチューブ溶液内における酸化したナノチューブのパーセンテージを定量することは困難な場合がある。しかしながら、ここに開示する方法は、最小限の酸化を含む広い範囲の酸化レベルに適用が可能である。したがって、ナノチューブの酸化は少なくとも約1%であり、あるいは酸化は少なくとも約4%であり、特定の例として酸化は少なくとも約10%である。化学処理には、化学的に活性な媒質や、光化学的あるいは電気化学的に活性な環境に曝すことが含まれる。化学的に活性な媒質または環境は、オキシ酸、過酸化物、酸素プラズマ、マイクロ波、電流パルス(voltaic pulse)、これらの組み合わせ、またはその他当該分野の技術者に周知のものとすることができる。実施形態によっては、酸溶液を含む化学的に活性な媒質中に一つまたは複数のナノチューブが混合されて、酸化したナノチューブが形成される。酸溶液には、当該分野の技術者に周知の任意の酸が含まれる。酸溶液は強酸であることが好ましい。さらに、酸溶液には強酸の混合物が含まれる。適する酸には、これらに限定しないが、例として、濃硫酸、濃硝酸、およびこれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態では、強酸溶液は体積比が約3:1の濃硫酸と濃硝酸を含む。ナノチューブは、超音波処理装置を用いて、約30分から約5時間まで、好ましくは約2時間から約5時間まで、最も好ましくは約2時間から約3時間までの時間にわたってナノチューブを混合することによって、強酸溶液中で酸化させる。場合によっては、SWNTを化学的に活性な媒質中で少なくとも約3時間超音波処理する。別の場合としては、MWNTを化学的に活性な媒質中で少なくとも2時間超音波処理する。過度な酸化を低減または防止するには、ナノチューブをほぼ室温で超音波処理する。酸の中で超音波処理した後、酸化したナノチューブの凝集塊は、負に帯電したカルボキシル基を有する端部が広がる。技術者にはわかるであろうが、酸化工程の方法および持続時間は、ソース(source)やバッチ、ナノチューブの欠陥に依存する。場合によっては、ナノチューブは本プロセスで実施するための十分なカルボキシル基の官能性(carboxylic functionality)を有している。
【0025】
酸化したナノチューブは、酸から単離される。例えば、真空濾過によってナノチューブを単離する。さらに場合によっては、PVDF(ポリフッ化ビニリドン)薄膜フィルター等のフィルターまたは薄膜を用いて、酸化したナノチューブを単離する。フィルターは、これに限定しないが、例としてMILLIPORE(登録商標)製の任意のものとすることができる。場合によって、濾過の際にマイルドな溶液を用いて、酸化したナノチューブを洗浄する。場合によって、マイルドな溶液には、中性溶液、弱塩基性溶液、希釈塩基性溶液、またはこれらの組み合わせが含まれる。希釈塩基性溶液には、これらに限定しないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、およびその他技術者に周知のもの等、任意の塩基が含まれる。場合によって、希釈塩基性溶液には、塩基の濃度が約5mMから約900mMまで、あるいは約50mMから約500mMまでである水溶液が含まれる。場合によっては、100mMの水酸化カリウム水溶液を用いて、酸化したナノチューブの濾過と洗浄が行われる。
【0026】
濾過と単離の後、別の酸を用いてナノチューブをさらに洗浄して、カルボキシル基を回復(restore)させる。技術者にはわかるであろうが、希釈塩基性溶液中で洗浄することによって、酸化したカルボキシル基は少なくとも部分的に除去または中和される。理論的な限定ではないが、再懸濁前に酸でナノチューブを洗浄することによって、単離したナノチューブに酸化したカルボキシル基が回復する。場合によって酸には塩酸が含まれ、別の場合として硫酸または硝酸が含まれる。
【0027】
単離したナノチューブは、水溶液中で再懸濁させる。水溶液は当該分野の技術者に周知の任意のもの、例として、これに限定しないが脱イオン水(DI HO)とすることができる。水溶液中のナノチューブの重量パーセント(wt%)は、0.001%から5%まで、より好ましくは0.1%から0.3%まで、最も好ましくは0.1%から0.2%までの範囲である。単離したナノチューブは、これらに限定しないが、攪拌、振動、超音波処理等によって再懸濁させる。
【0028】
ナノプレートレット。
ナノプレートレットとは、薄い平面状の形状を有するナノ粒子のことである。ナノプレートレットは、直径が約10nmから約20000nmであり、好ましくはナノプレートレットの直径は約100nmから1000nmの間である。ナノプレートレットは、直径の厚みに対する比として定義されるアスペクト比が約10から約20000であり、好ましくはアスペクト比が約100から約4000の間であり、最も好ましくは約100から500の間である。またナノプレートレットは、これらに限定しないが、円形、長方形、三角形、またはこれらの組み合わせ等、任意の適当な形状を有するものとすることができる。さらにナノプレートレットは、これらに限定しないが、グラファイト、無機結晶、有機結晶、モンモリロナイト粘土(ナノクレイ(nanoclay))、またはこれらの組み合わせ等、当該分野の技術者に周知の任意の適当な材料を含むものとすることができる。実施形態によっては、ナノプレートレットは、以下ではZrPと記載するアルファ−リン酸ジルコニウムZr(HPO・HO等の無機結晶から構成されている。
【0029】
実施形態によっては、ナノプレートレットは剥離している。剥離したナノプレートレットとは、個々の結晶層に分離している、あるいは化学的に分離させたナノプレートレットのことである。剥離したナノプレートレットは、化学的に活性な媒質中で生成される。場合によって、化学的に活性な媒質には、塩基性水溶液が含まれる。この水溶液には、プロトンを交換する溶液であって当該分野の技術者に周知のものが含まれる。使用するのに適した溶液には、例としてアルコール−水、アミン塩基、炭化水素溶液、食塩水、塩基水溶液、またはこれらの組み合わせが含まれる。特定の例として、溶液は水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム水溶液(TBAOH)とされる。水溶液には、DI HOが含まれる。水溶液中のナノプレートレットと塩基のモル重量比は約1:0.05から約1:2の、好ましくは約1:0.05から約1:1の、より好ましくは約1:0.8から約1:1の範囲である。
【0030】
場合によっては、剥離したナノプレートは両側の表面が正の静電気を帯びている。理論的に限定することを望むわけではないが、両側の表面が正の静電気を帯びたナノプレートレットは、脱プロトン化し、剥離したナノプレートレットと考えられる。理論的な限定ではないが、剥離したナノプレートレットの溶液中では、塩基がプレートレットの表面を覆っており、強く帯電したイオン対を形成している。場合によっては、正のイオンは嵩高く直径が約1nmであり、プレートレット間の間隔よりもずっと大きい。正の電荷は塩基内のイオンから来る。正のイオンは、プレートレットの表面のP−Oイオンと対を形成する際、ブチル鎖が妨害となって負の電荷の近くには来れず、このためプレート状の表面は強い正の電荷を帯びることができる。反応時間および/または反応物の濃度を変えて、アスペクト比が所望の範囲となるZrPを得ることができる。
【0031】
さらに実施形態によっては、剥離したナノプレートレットを複数回にわたって再凝集および再分散させる。場合によっては、ナノプレートレットを再プロトン化させて、溶液中で再凝集させる。特定の例として、酸溶液または酸性水溶液によって、剥離したナノプレートレットを再プロトン化させる。理論的な限定ではないが、新たに合成したナノプレートレットZr(HPO・HOと、塩基(例えばTBAOH)との共役結合(conjugation)は、HPO2−の酸性が弱い(pKa=12.3)ために可逆な酸塩基反応である。したがって、強酸(例えばHCl(pKa≒−6))を添加すると、共役結合が壊れ、TBAがナノプレートレットの表面から脱離する可能性がある。結果として、ナノプレートレットの表面は中和される。場合によって、中和したナノプレートレットは、溶液中で緩く再凝集する傾向を有する。上述のように、理論的な限定ではないが、中和したナノプレートレットは、新たに合成した未剥離のナノプレートレットと同様の電荷状態を有することがある。しかし、中和したナノプレートレットは、新しいナノプレートレットにあるような密接に詰まった構造を形成しないことがある。さらに場合によっては、中和したナノプレートレットを溶液中あるいは他の湿った状態に維持すると、繰り返し脱プロトン化および再分散させることが可能となる。したがって、ナノプレートレットは、分散し剥離した状態と凝集した状態との間で無制限にリサイクル可能である。
【0032】
特定の例として、剥離したナノプレートレットを別のイオン溶液によって再凝集させる。理論的な限定ではないが、イオン溶液は剥離したナノプレートレットの表面から正の電荷を排除し、ナノプレートレットを不安定化させる。場合によっては、不安定化したナノプレートレットは溶液中で緩やかに再凝集する傾向にある。さらに場合によっては、不安定化したナノプレートレットを溶解状態またはその他の湿潤状態に維持すると、(必要なら)脱プロトン化および再分散させることが可能となる。したがって、ナノプレートレットは、分散し剥離した状態と凝集した状態との間で無制限にリサイクル可能である。
【0033】
剥離したナノチューブ。
特定の実施形態では、酸化したナノチューブを剥離し分散させるために、酸化したナノチューブの水溶液と剥離したナノプレートレットの水溶液とを混合する。場合によっては、ナノチューブとナノプレートレットの重量比は約1:1から約1:5の間である。当該分野の技術者にはわかるであろうが、この重量比はナノチューブのタイプ、長さ、直径、および欠陥レベルに依って変えることができる。また重量比は、所望の剥離効率、最終生成物、意図する用途、および剥離のプロセスに依って変えることができる。場合によっては、ナノチューブ/ナノプレートレットの複合溶液を、約10分から約60分までの範囲の時間にわたって機械的に攪拌(agitate)する。使用することのできる機械的な攪拌方法には、これらに限定しないが、例として揺動、かき混ぜ(stirring)、超音波処理またはその他の機械的手段が含まれる。特定の例として、ナノチューブ/ナノプレートレットの溶液はかき混ぜられる。初回の機械的な攪拌の後、例えば超音波処理によって混合物を均質化させる。均質化させる際の温度は、約4℃から約80℃の間、好ましくは約20℃から約40℃の間、最も好ましくは約20℃から約30℃の間である。場合によっては、溶液をほぼ室温で超音波処理して均質化する。場合によっては、溶液は約0.5時間から約12時間の間、好ましくは約1時間から約12時間の間、最も好ましくは1時間から約8時間の間、超音波処理される。ある条件においては、この時間および温度は、超音波処理装置のパワーおよび処理槽の効率に依存する。別の条件においては、ソース、バッチ、カルボキシル基の官能性によって、超音波装置の処理槽、時間温度(time temperature)、およびパワーが決まる。超音波処理の後、ナノチューブ/ナノプレートレットの水溶液は、分散したナノチューブと、会合したナノプレートレットの均質な溶液になる。
【0034】
ナノチューブが剥離し分散するのは、ナノプレートレットが存在することに起因する。理論的な限定ではないが、負に帯電したナノチューブの表面が、正に帯電したナノプレートレットの表面を引き付ける。正に帯電したナノプレートレットを負に帯電したバンドル状のナノチューブと混合すると、ナノプレートレットがナノチューブの側壁に付着し、超音波処理の際にナノチューブバンドルが個々のチューブとなる。場合によっては、ナノプレートレットは、超音波処理の際およびその後、静電気によってナノチューブに繋がる。ナノチューブの分散の後、個々のナノチューブの表面には少なくとも一つのナノプレートレットが付着している。ナノチューブが存在するため、ナノプレートレットは一体に再積層して規則的な層構造を形成することができない。場合によっては、複数のナノプレートレットが静電気によってナノチューブに繋がると考えられる。したがって、各ナノ粒子は、立体効果、または物理的な妨害効果によって、他方の再凝集を邪魔する。この妨害効果は、近傍のナノチューブと会合している他のナノプレートレットの邪魔をするナノプレートレットが二次元的異方性形状を有していることから来るものである。剥離したナノプレートレットの表面電荷と二次元的性質によってナノチューブが分散し、その再凝集が妨害される。ナノプレートレットによって分散したナノチューブは剥離される。これらのナノチューブとナノプレートレットは静電気的に会合する。ナノプレートレットと会合するナノチューブはナノコンポジットを構成する。
【0035】
ナノコンポジットの溶液に界面活性剤を添加して、剥離されたナノチューブを安定化させる。界面活性剤を添加することによって、ナノコンポジット−界面活性剤溶液が形成される。界面活性剤は、ナノチューブが少なくとも約5ppmの濃度に達するまで添加する。また、界面活性剤はナノチューブが少なくとも約80ppmの濃度に達するまで添加し、特定の例として、界面活性剤はナノチューブの濃度が約240ppmとなるまで添加する。界面活性剤は、これらに限定しないが、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、およびこれらの組み合わせでよい。適した界面活性剤の例には、ポリビニルピロリドン(PVP)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および親水性ポリエチレンオキシド(TRITON(登録商標) X−100)が含まれる。界面活性剤は、酸化され剥離したナノチューブを懸濁するための、当該分野の技術者に周知の任意のものでよい。界面活性剤は、界面活性剤の濃度が約0.1wt%から約10wt%の間になるまで添加し、場合によっては界面活性剤の濃度が約1.0wt%に維持される。さらに、ナノコンポジット−界面活性剤溶液を機械的に攪拌し、場合によっては少なくとも5分間かき混ぜる。また、ナノコンポジット−界面活性剤溶液は、少なくとも約30分間、さらに場合によっては約60分間かき混ぜる。当該分野の技術者にはわかるであろうが、界面活性剤と剥離されたナノチューブの水溶液を合わせた最終的な容積は、元のナノチューブの質量、最終濃度、または所定の用途に必要な分散に応じて変わる。また場合によっては、界面活性剤と剥離したナノチューブの水溶液の容積は、規模の拡大のため、または商用目的のために変更することもできる。さらに、ナノコンポジット−界面活性剤溶液を機械的に攪拌する方法および時間も調節可能である。
【0036】
ナノチューブの分散および回収。
ナノコンポジットは分離し、剥離したナノチューブが分散したナノチューブとして回収される。ナノチューブおよび会合したナノプレートレットを含むナノコンポジットは、ナノコンポジット−界面活性剤溶液のイオンバランスまたはpHを調節することによって分離される。場合によっては、界面活性剤を添加した後、酸水溶液をナノコンポジット−界面活性剤溶液に添加する。理論的な限定ではないが、酸を添加することによってナノコンポジットの静電気的な繋がりが分裂し、ナノプレートレットの再凝集が起きる。溶液中の界面活性剤は分散したナノチューブを安定化させ、これらに限定しないが、ナノチューブが集塊状、バンドル状、ロープ状に変化したり、その他の形態に再凝集しにくくなる。さらに、ナノプレートレットは凝集塊として回収し、さらなるナノチューブの分散のためにリサイクルされる。
【0037】
実施形態によっては、酸水溶液には当該分野の技術者に周知の任意のものが含まれる。場合によって、酸水溶液には、塩酸、酢酸、硫酸、またはリン酸が含まれる。特定の例として、酸水溶液は塩酸を含む。酸水溶液は、濃度が約0.1mMから約900mMの間、あるいは約50mMから約250mMの間であり、特定の例として、濃度が約100mMとする。さらに、ナノコンポジット−界面活性剤溶液に酸を添加した後、ナノコンポジット−界面活性剤溶液中の水素イオン濃度は、約0.01mMから約5mMの間、あるいは約0.5mMから約2.5mMの間、特定の例として約0.75mMから約1.5mMの間とする。当該分野の技術者にはわかるであろうが、酸水溶液と水素イオンの濃度は、ナノコンポジットの濃度、界面活性剤の濃度、使用する界面活性剤、元のナノチューブの質量、終濃度、所定の用途に必要な分散、またはこれらの組み合わせに応じて変えてもよい。さらに場合によっては、規模の大きい、あるいは商用の目的のために、酸水溶液と水素イオンの濃度を変えることができる。
【0038】
実施形態によっては、ナノコンポジット−界面活性剤溶液に酸水溶液を添加する。場合によって、酸は段階的にナノコンポジット−界面活性剤溶液に添加する。酸は、これに限定しないが、技術者に周知の任意の段階的な方法でナノコンポジット−界面活性剤溶液に添加することができる。例えば、滴下(drop−wise)、流下(trickling)、滲出(seeping)、または小流量あるいは少量で酸を添加するその他の任意の方法が可能である。さらに、ナノコンポジット−界面活性剤溶液を前述のように機械的に攪拌して、ナノコンポジットの解離速度を増加させることもできる。場合によっては、ナノコンポジット−界面活性剤溶液はかき混ぜ(stirring)られる。
【0039】
場合によっては、酸水溶液を添加してかき混ぜることによって、ナノコンポジットの解離が起きる。ナノチューブはナノプレートレットから分離し、溶解状態のまま安定する。場合によっては、ナノプレートレットは再凝集して部分的に沈殿する。場合によっては、ナノプレートレットの再凝集によって、ナノプレートレットからなるより大きな分子量のナノ粒子が形成される。ナノチューブとナノプレートレットの分離によって、解離したナノ粒子の溶液が形成される。
【0040】
また、塩類または塩溶液を添加することによって、ナノコンポジットが分離し、剥離したナノチューブが分散したナノチューブとして回収される。ナノチューブおよび会合したナノプレートレットを含むナノコンポジットは、塩類を添加してナノコンポジット−界面活性剤溶液のイオンバランスを変えることによって分離する。場合によっては、界面活性剤を添加した後、ナノコンポジット−界面活性剤溶液に(水性)塩水溶液を添加する。理論的な限定ではないが、塩類を添加することによってナノコンポジットの静電気的繋がりが分裂する。場合によっては、溶液中の界面活性剤が分散したナノチューブを安定化させ、これらに限定しないが、ナノチューブが集塊状、バンドル状、ロープ状に変化しにくなる。
【0041】
水性塩には、これらに限定しないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、または酢酸ナトリウム等、当該分野の技術者に周知の任意のものが含まれる。特定の例として、水性塩は塩化カリウムとされる。(水性)塩水溶液は、濃度が約1mMから約500mMの間、あるいは約10mMから約250mMの間であり、特定の例として濃度が約100mMとされる。さらに、水性塩を添加した後、ナノコンポジット−界面活性剤溶液中のイオン濃度は、約0.01mMから約80mMの間、あるいは約0.1mMから約35mMの間、特定の(例えば1価の塩の)場合には約21mMから約26mMの間とされる。当該分野の技術者にはわかるであろうが、水性塩イオンの濃度は、塩のタイプ、ナノコンポジットの濃度、界面活性剤の濃度、使用する界面活性剤、元のナノチューブ質量、最終濃度、または所定の用途に必要な分散に応じて、または規模の拡大および/または商用目的のために、変えることができる。
【0042】
場合によっては、水性塩は段階的にナノコンポジット−界面活性剤溶液に添加される。塩は、これに限定しないが、技術者に周知の任意の段階的な方法でナノコンポジット−界面活性剤溶液に添加することができる。例えば、滴下(drop−wise)、流下(trickling)、滲出(seeping)、または小流量あるいは少量で塩を添加するその他の任意の方法が可能である。さらに、ナノコンポジット−界面活性剤溶液を前述のように機械的に攪拌して、ナノコンポジットの解離速度を増加させることもできる。
【0043】
場合によっては、塩水溶液を添加してかき混ぜる(stirring)ことによって、ナノコンポジットの解離が起きる。ナノチューブはナノプレートレットから分離し、ナノチューブは溶解状態のままで安定する。場合によっては、ナノプレートレットは再凝集して部分的に沈殿する。特定の例として、ナノプレートレットの再凝集によって、ナノプレートレットからなるより大きな分子量のナノ粒子が形成される。ナノチューブとナノプレートレットが分離することによって、解離したナノ粒子の溶液が形成される。
【0044】
実施形態によっては、解離したナノ粒子の溶液を分離して、分散したナノチューブの溶液を形成する。解離したナノ粒子の溶液は、これらに限定しないが、沈降、濾過、遠心分離、またはその他の方法によって分離する。場合によっては、解離されたナノ粒子の溶液は沈降する。また場合によっては、解離したナノ粒子の溶液を遠心分離する。ナノプレートレットとこれに捕捉された一部のナノチューブは、溶液から遠心分離によってペレット化する。場合によっては、少なくとも約5000Gの相対遠心力(RCF)を生じるように遠心分離を行う。あるいは、遠心分離は約10000Gから約20000Gの範囲のRCFを維持する。さらに、約1分から約20分間、解離したナノ粒子の溶液を遠心分離する。特定の例として、約16800Gで約10分間、解離した溶液を遠心分離する。当該分野の技術者にはわかるであろうが、ナノプレートレットと捕捉されたナノチューブをペレット化するのに適したRCFを得るために、遠心分離の工程は別の(alternate)時間および回転周波数で行ってもよい。特定の例として、ロータの直径と回転周波数によって、界面活性剤に加わる相対遠心力と、分散したナノチューブの溶液から再凝集したナノプレートレットを除去するために必要な時間とが決まる。
【0045】
実施形態によっては、上澄み液を回収して、分散したナノチューブの溶液を形成する。場合によっては、上澄み液はデカント(decanting)やシッピング(sipping)、またはその他の技術者に周知の方法によって回収することができる。特定の場合として、上澄み液は分散したナノチューブの溶液を含み、特定の用途にすぐに使用できる。さらに、剥離、解離、および分離の後、上澄み液の中に分散したナノチューブを不安定化させ、濾過および/または遠心分離によって上澄み液から分離する。不純物を除去するためには、濾過の際に溶媒を追加するか、遠心分離と再懸濁を繰返し行うことが必要となり得る。理論的な限定ではないが、界面活性剤によって、ナノチューブを不安定化させるために使用される溶媒が決まる。ナノコンポジットを解離するために使用する界面活性剤のタイプに応じて、有機溶媒(例えばアセトン)、または塩−有機複合溶媒を用いてナノチューブを不安定化させる。これに限定しないが、例として、ナノプレートレットからナノチューブを分離するのにSDS/酸を使用した場合にはアセトンを使用することができ、ナノプレートレットからナノチューブを分離するのにTriton/イオンを使用した場合にはアセトンと塩を共に使用することができる。別の場合として、不安定化したナノチューブは、溶解状態または何らかの湿潤状態のままでさまざまな組成を有する種々の溶液または溶媒中に再分散させたり、あるいは乾燥させてさまざまなマトリックスまたは基板の中で用いたりすることができる。
【0046】
実施形態によっては、分散したナノチューブは、ナノプレートレットから分離した後、官能化あるいは再官能化させる。場合によっては、官能化物質または官能化溶液を、分散したナノチューブの溶液に添加する。官能化溶液には、ナノチューブを水に不溶にするような任意の溶液または反応物が含まれる。官能化溶液には、これらに限定しないが、ナノチューブと反応してアミノ基、アミド基、イオン、またはその他有機基や無機基を付与する任意の化合物が含まれる。特定の例として、分散したナノチューブの分散液にスルファニルアミド溶液を添加する。さらに、水と混和性を有する溶媒を用いて官能化の速度を増加させてもよい。場合によっては、アセトンは濃度が約5%から約20%の間であり、特定の例としてアセトンの濃度は約10%である。スルファニルアミドの濃度は、官能化したナノチューブの溶液を形成するスルファニルアミドのアミノ基とナノチューブのカルボキシル基が1:1の化学量論的関係を成すのに十分な濃度とされる。理論的な限定ではないが、ナノチューブの官能化の所望の化学量論的関係は、官能化溶液の濃度によって制御することができる。官能化溶液と分散したナノチューブの溶液との混合物は約40℃から約200℃まで、約60℃から約100℃まで、そして特定の例としては約70℃の温度に維持される。あるいは、官能化溶液と分散したナノチューブの溶液との混合物は、ほぼ室温に維持される。別の場合として、官能化を制御するために、混合物を維持する時間を変更することができる。特定の例として、官能化したナノチューブの溶液を実現するために、官能化溶液と分散したナノチューブの溶液との混合物は、少なくとも30分間、あるいは少なくとも240分間反応させ、特定の例としては夜通し反応させることも可能である。さらに場合によっては、ナノチューブが綿状沈殿を形成するまで混合物を反応させる。理論的な限定ではないが、ナノチューブの綿状沈殿が形成されることは、スルファニルアミドによってナノチューブの表面が官能化し、ナノチューブが水溶液中で不溶性になっていることを示しており、また官能化したナノチューブが形成されていることを示している。
【0047】
官能化したナノチューブの溶液からのナノチューブの回収と再懸濁は、乾燥や濾過、または遠心分離等、この明細書ですでに述べた任意の方法によって行うことができる。回収の後、官能化したナノチューブは洗浄されて、界面活性剤および化学物質の残留分が除去される。場合によっては、官能化したナノチューブは、これらに限定しないが、アルコール、アセトン、トルエン、またはその他の溶媒で洗浄される。非限定的な例としては、スルファニルアミドで官能化したナノチューブは少なくとも一度は水またはアルコールで洗浄され、界面活性剤の残留分が除去される。洗浄されたナノチューブは、アセトン等の有機溶媒中で超音波処理によって再懸濁させる。場合によっては、官能化し再懸濁したナノチューブは、少なくとも約1ppmの濃度、さらには少なくとも約200ppmの濃度、あるいは少なくとも約600ppmの濃度である。当該分野の技術者にはわかるであろうが、ナノチューブを洗浄する工程は、用途または最終生成物によっては除外してもよい。ナノチューブを洗浄する工程は、その用途または最終生成物の純度の要求に応じて変更される。
【0048】
不安定化または官能化の後、ナノチューブは凝集塊または綿状沈殿の形にある。しかし、それらが溶解状態またはなんらかの湿潤状態に維持されている限り、それらは自然なままのナノチューブのようにしっかりとつながったナノチューブ−バンドル構造が再形成されない。ナノチューブの個々の剥離状態は、溶液中で綿状沈殿したナノチューブを超音波処理によって再懸濁させることによって容易に復元される。
【0049】
ナノプレートレットのリサイクルおよび用途。
実施形態によっては、再凝集したナノプレートレットは、別のナノコンポジット溶液を形成するためにリサイクルすることができる。理論的な限定ではないが、ナノプレートレットは何回ものサイクルにわたってリサイクルして、質量、容積、またはその他の量が同じであるようなナノプレートレットを使用して、剥離し分散したナノチューブの多数のバッチ(batch)が生成される。場合によっては、再凝集したナノプレートレットは、化学的に活性な媒質中で再分散または再剥離させて、脱プロトン化し剥離したナノプレートレットを形成し、前述したように水溶液中に再懸濁させる。場合によっては、再凝集したナノプレートレットの一部はナノチューブと会合する。化学的に活性な媒質は、これに限定しないが、ナノプレートレットの一次的(primary)な剥離に使用する媒質を含む、前述の任意のものとすることができる。あるいは、化学的に活性な媒質には、小さい塩基、または低分子量の塩基の水溶液が含まれる。再凝集したナノプレートレットは新たに合成したナノプレートレットほど密接に詰まっていないため、理論的な限定ではないが、比較的小さいサイズの塩基(例えばKOHやNaOH等)が利用可能となる。再剥離したナノプレートレットの水溶液を用いて、前述したような経路によって、別の剥離したナノチューブを形成してもよい。
【0050】
再凝集したナノプレートレットは、ナノチューブと会合しているかに関わらず、追加の活性化学物質を用いずに、適当な媒質中で再剥離させる。緩やかに凝集したナノプレートレットは、極性が一致した媒質中で剥離される。ナノプレートレットの再凝集がイオンによって起こった場合には、ナノプレートレットの表面からどれだけのTBAが剥がされるかに応じて、ナノプレートレットはDI HOまたは類似の極性を有するその他の溶媒中において直接、再分散される。ナノプレートレットの再凝集の際またはその後、大量の酸を用いてナノプレートレットの表面から相当な割合のTBAを剥ぎ取る場合、再凝集したナノプレートレットは中和している(すなわち帯電していない)と考えられ、水とエタノールの体積比を約1:5から約5:1の間、あるいは約1:1から約5:1の間、さらには体積比が約3:1とした脱イオン水とエタノールの混合液中で再分散させることができる。媒質の組成は当該分野の技術者が変えてもよいが、脱プロトン化せずにナノプレートレットを分散させる原理は、(例えば誘電率を一致させることによって)溶媒の極性をナノプレートレットの極性に一致させることである。場合によっては、再剥離は超音波処理を用いて行われる。好ましい超音波処理の時間は少なくとも1時間であり、ナノプレートレットの濃度と超音波装置のパワーに応じて変えてもよい。溶媒のみで安定化させた中和したナノプレートレットは、静電気による反発力によって安定化した正に帯電したナノプレートレット(例えばTBAと会合しているナノプレートレット)に対して異なる安定性を示す。中和したナノプレートレットは、掻き乱さなければ、極性が一致した溶媒中で沈殿させずに何ヶ月もの間安定化させることができるが、遠心分離によって容易に再凝集させることができる。他方、帯電したナノプレートレットは遠心分離の間も安定したままである。
【0051】
さらに別の場合として、十分な量の酸によって表面のTBA基がほとんど完全に剥ぎ取られている中和したナノプレートレットは、ナノチューブを選別するために使用することができる。選別効率を最大限に高めるために、中和したナノプレートレットをDI HOとエタノールとの混合液中で再分散させて再剥離させることができる。中和したナノプレートレットは、ある種のSWNTに対してはより良い親和性を有することがわかっている。中和した再剥離したナノプレートレットは、酸化したHiPco SWNTの溶液と混合すると、導電性または金属性のSWNTバンドルと選択的に会合する。
【0052】
さらに実施形態によっては、ナノプレートレットアシストによる剥離の後、ナノチューブを選別することができる。静電気的なつながり(tethering)を介して脱プロトン化して剥離したナノプレートレットによってナノチューブを剥離し、その後、ナノコンポジット溶液中のナノチューブとナノプレートレットを、前述のように酸、塩ならびに、酸性溶液またはイオン溶液によって共沈させる。ナノチューブを安定化させるために予め界面活性剤は必要とされない。場合によっては、共沈したナノチューブとナノプレートレットは、これに限定しないが、これも前述した例えば沈降または遠心分離によって溶媒から分離してゲルを形成する。このゲルは、剥離したナノチューブとナノプレートレットを含んでおり、特定の例としては前述した水溶液の一部を含んでいる。実施形態によっては、ゲルを酸性溶液に浸して、内部のナノプレートレットを中和させる(すなわちTBAの剥ぎ取り)。その後、余分な酸を遠心分離および懸濁により除去する。ナノチューブ−ナノプレートレットのゲルは、例えば水溶液または溶媒−水溶液等の溶液中で再分散させることができる。場合によっては、この溶液はDI HOとエタノールを含む。特定の場合には、この溶液は水とアルコールの体積比を約1:5から約5:1の間、あるいは約1:1から約5:1の間、さらには水とエタノールの体積比を約3:1とする。実施形態によっては、再懸濁したゲル溶液は、再剥離したナノプレートレットとナノチューブを含んでいる。
【0053】
実施形態によっては、再剥離したナノプレートレットは、種々のキラリティを有するナノチューブと差別的に会合する。より詳しくは、再剥離したナノプレートレットは導電性または金属性のSWNTと優先的に会合する。場合によって、金属SWNTと会合した再剥離したナノプレートレットは、金属ナノコンポジットを形成する。金属ナノコンポジットは、沈降によって半導体SWNTから分離するか、あるいは遠心分離によってこれを促進させることができる。場合によっては、遠心分離を行う前に界面活性剤(例えばTriton)を添加し、界面活性剤が半導体SWNTを安定化させるようにその混合物を超音波処理する。遠心分離は、少なくとも約5000Gの相対遠心力(RCF)を発生するように駆動する。別の場合として、遠心分離はRCFを約10000Gから約20000Gの間に維持する。また、解離したナノ粒子の溶液は、約1分から約120分間、あるいは約30分から約90分間遠心分離する。特定の例として、解離した溶液は約16800Gで約60分間遠心分離する。理論的な限定ではないが、上澄み液は実質的に半導体SWNTからなり、ペレットは実質的に金属SWNTからなる。半導体SWNTは上澄み液から回収することができ、金属SWNTは再懸濁させ、剥離したナノプレートレットから解離し、そして本明細書で述べた任意の適用可能な方法によって官能化させることができる。
【0054】
リサイクル可能なナノプレートレットはさらに、コンポジット、金属、液体、またはその他技術者に周知の用途での応用に適する。また、多数のナノチューブの分散を経るナノプレートレットのリサイクルは、開示した本プロセスを産業規模に応用するにあたってコスト削減になる。ナノプレートレットの合成および、一次的または初回の剥離に必要な材料および工程は、頻度や量を減らすことができる。コスト削減として、小さなサイズおよび分子量の塩基を用いて、再凝集したナノプレートレットを剥離することができる。ある用途においては、リサイクル可能なナノプレートレットは、後のナノチューブ分散で使用するために不定期間溶解状態で貯蔵できるため、中断や製造停止という事態が起きても、剥離したナノチューブの製造を再開するコストを削減することができる。
【0055】
分散したナノチューブの用途。
再懸濁させて単離したナノチューブは、官能化しているかどうかに関わらず、コンポジット、金属、液体、またはその他の技術者に周知の用途に適する。非限定的な例として、単離したナノチューブは、液体やオイル、インク、ポリマー、エポキシ、樹脂、ワックス、合金、ナノクレイ、またはこれらの組み合わせ等のマトリックス中に組み入れることができる。理論的な限定ではないが、分散し、剥離し、かつ/または官能化したナノチューブは、任意のマトリックスまたは懸濁液中に直接混ぜることができる。非限定的な例として、剥離したナノチューブは、ナノクレイの懸濁液中に混ぜられる。
【0056】
ある用途においては、単離したナノチューブは、再懸濁し、単離したナノチューブの溶液から、表面または基板の上に堆積(deposit)させる。実施形態によっては、分散したナノチューブはインクとして使用して薄膜を形成することができる。場合によっては、ナノチューブの水溶性分散剤が基板の上に堆積される。場合によっては、ナノチューブはインクとして基板の上に堆積される。また場合によっては、ナノチューブはコーティングとして基板の上に堆積させる。さらに、ナノチューブは、加熱しながら、または真空中で、または他の材料を堆積させながら、またはこれらの組み合わせで基板の上に堆積される。実施形態によっては、基板の上に堆積させたナノチューブから溶液を除去する。場合によっては、溶液は蒸発、真空引き、加熱、またはこれらの組み合わせによって除去することができる。理論的な限定ではないが、乾燥させたナノチューブは薄膜を含むことがある。
【0057】
少なくとも一つの実施形態を開示したが、当該分野の通常の技術を有する者が、この実施形態および/または実施形態の特徴を変形したり、組み合わせたり、かつ/または修正を添加したりすることは、この開示の範囲内にある。実施形態の特徴を組み合わせたり、統合したり、かつ/または省略したりして得られる別の実施形態もまた、この開示の範囲内にある。数値の範囲または限定が明示的に記載されている箇所では、そうした明示的な範囲または限定は、その明示的に記載された範囲または限定に収まる均等な大きさの範囲または限定を反復して含むものと理解すべきである(例えば、約1から約10までには2、3、4等が含まれ、0.1より大きいものには0.11、0.12、0.13等が含まれる)。例えば、下限Rと上限Rを有する数値的な範囲が開示されているときは常に、その範囲内に入る任意の数がその特別な場合として開示されていることとする。特に、その範囲内にある以下の数Rが特別な場合として開示されていることとする。ここで、R=R+k×(R−R)で、kは1パーセントの増分で1パーセントから100パーセントまでをわたる変数、すなわち1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント・・・95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、100パーセントである。さらに、上で定義した数Rの2つで境界を定めた任意の数値範囲も、その特別な場合として開示されていることとする。請求項の任意の構成要素について使用している「オプションとして」という用語は、その要素が必要であること、あるいは必要ではないことを意味しており、このいずれもが請求項の範囲内であることを意味している。「含む(comprises、includes)」、「有する(having)」等の広義の用語の使用は、「〜からなる(consisting of)」、「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」、「実質的に〜から構成されている(comprised substantially of)」、等の狭義の用語をサポートしていると理解すべきである。したがって、保護の範囲は前述の説明によって制限されず、後記の特許請求の範囲によってのみ定まり、この範囲は特許請求の範囲の対象事項のすべての均等物を含む。各請求項、すべての請求項は、本明細書中にさらなる開示として援用し、特許請求の範囲は本発明の実施形態とする。本明細書中での参考文献の議論は、特に本願の優先日以降の刊行日を有する参考文献について、それが先行技術であると認めるわけではない。本明細書に引用したすべての特許、特許出願、および出版物は、この開示を補足する例示的、手続的その他の詳細となる範囲で参照して援用する。
【実施例】
【0058】
本発明の様々な実施形態をさらに説明するために、以下に実施例を示す。
【0059】
実施例
概略。図1はCNTの脱バンドル化および回収のプロセスの概略を示しており、CNTの前処理、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)を用いたナノプレートの剥離、ナノプレートレットアシストによるCNTの分散(ステップ1)、酸/イオンおよび界面活性剤を用いたCNT−ナノプレートレット混合物からのCNTの回収(ステップ2)、再度のCNTの分散に再利用するためのナノプレートレットのリサイクル(ステップ3)を含む。
【0060】
アルファ−リン酸ジルコニウムナノプレートレット(ZrP)およびCNTの調製および、剥離したナノプレートレットを用いたCNTの分散
【0061】
ZrPナノプレートレットの合成およびCNTの前処理。ZrPナノプレートレットの直径は約100nmである。ZrPナノプレートレットを脱プロトン化し、ZrP:TBA=1:1のモル比の水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)によって水中で完全に剥離させた。
【0062】
精製したHiPco SWNTおよびXD−CNTはカーボン・ナノテクノロジーズ社(Carbon Nanotechnologies, Inc.)から入手した。TBAOHおよびMWNTはシグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)から購入した。まず、体積比3:1の濃硫酸と濃硝酸の混合液中で、室温において、超音波槽(BRANSONIC(登録商標) 2510)中において、SWNTおよびXD−CNTについては3時間、MWNTについては2時間にわたってそれぞれ超音波処理することによって、CNTを酸化した。次に、脱イオン水(DI−HO)を添加して酸を希釈し、その混合液をさらに1時間超音波処理した。以上の工程の後、酸化したCNTを真空中でPVDFフィルター膜(MILLIPORE(登録商標)、孔サイズ0.45mm)を用いて単離した。濾過する間、脱イオン水のみを用いて、または100mMのKOH水溶液とDI−HOとを繰り返し用いて、CNTを数回にわたって洗浄して間に入った酸の残基をさらに除去した。CNTのカルボキシル基は、必要であれば後にHClを用いて回復させることができる。集められたCNTは、その後超音波処理によって水中に再分散させた。
【0063】
剥離したナノプレートレットを用いた、前処理したCNTの分散。酸化したCNTと完全に剥離したZrPナノプレートレットとを含む2つの水溶液を直接混合した。CNTとZrPナノプレートレットの重量比は1:5とした。CNT/ZrP溶液中のCNTとZrPの終濃度は、それぞれ100ppmと500ppmである。この混合液を室温で30分間超音波槽の中で超音波処理した。
【0064】
HiPcoグレードのSWNTとXDグレードのSWNTは、表面の官能化および、その後の剥離、ナノプレートレット除去、再分散プロセスにおける振る舞いが類似しているため、本研究においては両方とも同じものとして扱い、SWNTと表す。
【0065】
剥離したCNTからのナノプレートレットの分離
【0066】
ZrPアシストによる剥離の後、CNTを溶解状態で安定化させるための界面活性剤の使用。ZrPアシストによるCNTの剥離とZrPの分離のプロセスの概略図を図2に示す。TBAを含む正に帯電したZrPナノプレートレットは、静電気結合により負に帯電したCNTに結合するとともに、ナノプレートレットからの超音波エネルギーをCNTの表面上に局在化し、結果として、個々に分散したCNTが得られる(図2A〜C)。分散の後、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびTRITON(登録商標) X−100(Triton)等のイオン系および非イオン系の界面活性剤を添加し、最終的な容積を10mlとして、溶液中で1.0wt%の界面活性剤濃度および80ppmのCNT濃度を実現した。次に、この溶液を1時間かき混ぜた(図2D)。
【0067】
CNTとナノプレートレットを分離するための酸の使用。SDSまたはTritonの界面活性剤を添加した後、かき混ぜる際に100mMの濃度のHCl水溶液をCNT/ZrP/界面活性剤の混合液中に滴下によって添加して、pHを調節しながら脱離したナノプレートレットの集塊(agglomeration)を導入した。陰イオン系または非イオン系の界面活性剤が存在するため、CNTは溶液中で安定したままであった(図2E)。CNT/ZrP/SDS溶液中に導入された[H]の濃度は0.75mMであり、CNT/ZrP/Triton溶液中では1.5mMであった。次に、これらの溶液を16800Gで(THERMO IEC CL31)10分間遠心分離した。ZrPナノプレートレットはこれに捕捉されたある程度の量のCNTと共に遠心分離管の底部に沈殿した一方、界面活性剤で安定化したCNTの大部分は上澄み液の中に残った(図2F)。その後、1mlの上澄み液を10回希釈して、生成物を定量、すなわちZrP分離後上澄み液の中に残ったCNTのパーセンテージを求めた。
【0068】
CNTとナノプレートレットの分離のための塩の使用。Triton界面活性剤を添加した後、かき混ぜる際に100mMの濃度のKCl塩水溶液をCNT/ZrP/界面活性剤の混合液中に滴下によって添加して、ナノプレートレットの集塊を導入した。SWNT/ZrPおよびMWNT/ZrP溶液中のイオン濃度は、それぞれ21mMおよび26mMに保った。次に、これらの溶液を16800Gで10分間遠心分離した。ZrPナノプレートレットがある程度の量のCNTと共に遠心分離管の底部に沈殿した一方、Tritonで処理したCNTの大部分が上澄み液の中に残った(図2F)。その後、1mlの上澄み液を10回希釈して、生成物を定量した。
【0069】
表1は、上述の各種方法に対する実験条件、分離効率の結果、生成量を示している。分離効率は、CNT−ナノプレートレット混合物からナノプレートレットの量を除いて求めた。
【表1】

【0070】
分離効率の評価。エネルギー分散型X線分光(EDS)分析を用いて分離効率を評価した。界面活性剤を使わないCNTを界面活性剤で安定化させた分散物から得るため、CNT/SDS溶液とアセトンの体積比が1:1となるアセトンを用いて、SDSによって安定化したCNTを不安定化させた。Tritonによって安定化したCNTについては、100mMの濃度のアセトンとKClの溶液を共に用いてCNTを沈殿させた。CNT/Triton溶液とアセトンとKCl溶液との体積比は2:2:1に維持した。沈殿後、16800Gで10分間遠心分離することによってCNTを集め、その後エタノールまたはメタノールで、分散と遠心分離のプロセスを繰り返して3回洗浄した。CNTをアルミニウムのスタブ(stub)上に移して、70℃で乾燥させ、SEM観察を行った。
【0071】
ZrPナノプレートレットとTBA中の元素の含有量を、P元素のEDS強度と、ZrP:TBAを1:1とする化学量論的関係に基づいて計算した。CNT中のC元素の含有量は、C元素の全含有量からTBAのそれを引いて計算した。
【0072】
生成量の評価。生成量は吸収スペクトルから求めた。ナノプレートレットによって剥離したCNTの標準溶液を、CNT濃度を2.5ppmから12.5ppmまで系統的に増加させながら作製した。ランベルト・ベールの法則A=elc(A:吸収強度、e:定数、l:光路長、c:溶質の濃度)によると吸収度は溶質の濃度に比例する。前述の希釈したCNT分散液の吸収度と、使用した界面活性剤に対して光が透過する400nmでの標準溶液の吸収度とを比較することによって、ナノプレートレットが分離した溶液中から回収されるCNTの生成量を正確に定量することができる。図3は、異なる濃度における(A)HiPco SWNTと(B)MWNTの分散物のUV吸収スペクトルを示している。CNT濃度と吸収度との間の直線関係を示す標準化した直線的なフィッティングカーブも示している。
【0073】
安定化した個体のSWNTを目的とする別の系への移行
【0074】
個体のSWNTを移し安定化させる一般的なプロセス。剥離とZrP除去の後、上述したEDSサンプルの作製と同じ方法によって、単離されたSWNTを界面活性剤から分離した。EDS実験を行うためにSWNTを乾燥させる代わりに、湿潤状態にあるSWNTをさまざまな組成をもつ種々の溶液および溶媒中に再分散した。そのようにして、次節で示すラマン特性評価で裏付けられるように、SWNTの分散物は安定になり、剥離状態を維持することが可能である。
【0075】
有機媒質への個体のCNTの官能化および安定化の2イン1ステップ。図4には官能化のメカニズムとプロセスが描かれている。アセトンに溶解した濃スルファニルアミド溶液(10%)または他の官能化剤を、スルファニルアミドのアミノ基とSWNTのカルボキシル基が1:1となる化学量論的関係に基づいて、SWNT/SDS溶液中に添加した(図4A)。EDSおよびXPSによってCNTの炭素および酸素の化学的性質を大まかに決定した。混合液を一晩中70℃に維持すると、SWNTは綿状沈殿を形成したが、これは表面に官能基が付加したことによってSWNTが水相に不溶となったことを示している(図4B)。次に、SWNTを濾過または遠心分離によって回収し、余分なSDSと未反応のスルファニルアミドをアルコールで洗い流した。アセトンを用いて超音波処理でSWNTを再分散させた(図4C)。SWNTの分散物は少なくとも2ヶ月間にわたって安定していることがわかった。分散物中のCNT濃度は約600ppm以上の濃度で安定したままである。
【0076】
エポキシ中への剥離したCNTの取り込み。個体のCNTをスルファニルアミドまたは他のタイプの界面活性剤または硬化剤を用いて官能化し、アセトン中に分散させた。その後、追加の硬化剤および化学量論的量のエポキシを添加して、超音波処理した。エポキシへの安定したCNTの分散液が得られた後、ロータリーエバポレータを用いてアセトンを除去した。次に、この混合物を140℃で8時間、さらに180℃で2時間かけて硬化させた(スルファニルアミドで硬化させたEPON(登録商標) Resin 862エポキシ)。
【0077】
ZrPナノプレートレットの中和(再プロトン化)および精製
【0078】
TBAOH、またはその他の有効な塩基性の剥離剤を用いてZrPナノプレートレットを剥離した後、分散液に十分な量の酸(例えばHCl)を添加してTBAを完全に中和して、ZrPを再プロトン化し、ナノプレートレットを沈殿させた。凝固したナノプレートレットをDI HOで3〜4回洗浄して、余分な酸を除去した。
【0079】
精製したZrPナノプレートレットの溶媒安定化
【0080】
ナノプレートレットを中和し、精製した後、再凝集したナノプレートレットを、種々の体積比を有するエタノールとDI HOの混合液中で再分散させた。体積比3:1のDI HOとエタノールの溶媒が、界面活性剤を含めた追加の添加物を必要とせずに、精製したZrPを良好に安定化させることがわかった。
【0081】
精製したZrPナノプレートレットを用いたSWNTの分類
【0082】
精製したα−ZrPを得る上述のアプローチと類似のものを用いて、剥離したSWNTと精製したナノプレートレットの混合物を作製および凝集させた。再凝集プロセスの際またはその後、十分な量のHClを用いて大部分のTBAを剥ぎ取った。SWNT−ZrP凝集塊をDI HOで3〜4回洗浄し、体積比1:3のエタノールとDI HOの混合液から構成され1%のTritonを含む溶液中に再分散させた。次に、SWNT−ZrP分散物を16800Gで1時間遠心分離した。遠心分離の後、上澄み液と沈殿物を別々に集めて、ラマン分光で分析した。
【0083】
KOH(ZrP−K)によって脱プロトン化したZrPナノプレートレットを用いて行うCNTの脱バンドル化/絡み合いの解消およびZrPナノプレートレットのリサイクル
【0084】
ZrP−Kナノプレートレットの作製およびCNTの脱バンドル化/絡み合いの解消
【0085】
精製後、中和したZrPナノプレートレットを100mMのKOH水溶液中に30分間浸して、DI HOで3〜4回洗浄して余分なKOHを除去した。次に、ZrP構造中にKを含む修飾されたナノプレートレットを、超音波処理によってDI HOの中に再分散した。SWNTと、Kで官能化したZrPナノプレートレットとを質量比1:5で混合して、その後超音波処理した。TEMを用いてSWNTの剥離状態を調べた。
【0086】
CNTの分散のためのZrPナノプレートレットのリサイクル
【0087】
図1のステップ3に示すように、CNT−ナノプレートレットの混合物を、遠心分離を用いて酸/イオンおよび界面活性剤を添加した後、二相に分離した。大部分のCNTは上澄み液相中で回収される。沈殿物相はゲル状の外観を有し、沈殿したナノプレートレットと少量のCNTを含む。ゲル状相をDI HOで3〜4回洗浄して、酸/イオンと界面活性剤の残留を除去し、その後100mMのKOH水溶液中に30分間浸した。その後、再びDI HOで洗浄することによって余分なKOHを除去し、再びKOHのアシストによって脱プロトン化したナノプレートレットを、超音波処理を介してDI HOの中に再分散させた。次に、酸化したCNTバンドルを反応炉(reactor)に添加して、CNTの脱バンドル化および絡み合いを解消するプロセスの別のサイクルを始めた。
【0088】
特性評価および分析
【0089】
ZrPナノプレートレットによって剥離したHiPco SWNTの分散状態の分光特性評価。水中のCNTの吸収スペクトルをHitachi UV−vis−NIR分光光度計(Model U−4100)に記録した。CNTのラマンスペクトルをHoriba JY LabRam分光装置を用いて行った。EDSパターンとSEM像をFEI Quanta 600電界放射型SEM(FE−SEM)でとった。TEM写真を高分解能のJEOL 2010顕微鏡で撮影した。
【0090】
ZrPアシストによる剥離の前後におけるHiPco SWNTのUV−vis−NIR分光。UV−vis−NIR分光は、SWNTを調べるために最も広く使用されている装置の一つである。図5Aは、ZrPアシストによる剥離の前後におけるSWNTのUV−vis−NIRスペクトルを示している。ZrPアシストによる剥離の後で見られるSWNTのNIR領域におけるより明確で狭く強いvan Hove遷移ピークと、UV−可視域でブルーシフトした吸収ピークは、大部分のSWNTが個々に分散したことを示している。
【0091】
ZrPアシストによる剥離の前後におけるHiPco SWNTのラマン分光。SWNTのラマンスペクトルは3つの際立った領域を有し、これらは180〜300cm−1のラジアル・ブリージング・モード(Radial Breathing Mode)(RBM)と、〜1300cm−1のdefect band(Dバンド)と、〜1600cm−1のtangential Gモード(Gバンド)である。DバンドはSWNTの側壁における欠陥を示す。図5BはZrPアシストによる脱バンドル化の前後におけるSWNTのラマンスペクトルを示している。SWNTのDバンドの強度は脱バンドル化後に増加してピークがシャープとなっており、このことは剥離後にSWNTのより大きな表面積にラマンレーザーが当たっていることを示唆している。ZrP処理したサンプルのGバンドが(約5cm−1)ブルーシフトしていることは、バンドル状の形態と比べて相対的に側壁の振動が無くなっていることを示しており、このことはかなりの可能性でSWNTが剥離していることを意味する。図5Cに示すように、ブルーシフトはRBM(Radial Breathing Mode)領域においても観察されている。
【0092】
イオンスクリーニング法の分離効率。表1は、各種方法の実験条件、分離効率、生成量を示している。イオンスクリーニング法は低イオン濃度(1価イオンに対して10mM)を使用してSWNTを沈殿させる一方、ZrPは上澄み液の中に残り界面活性剤はこれに含まれない。次に、低速の遠心分離によって(1500Gで5分間)SWNTを集め、超音波処理によって分散した。次に、イオン添加、遠心分離、および分散の別のサイクルを実施した。上澄み液の中に残ったZrP残留の重量測定に基づいて、イオンスクリーニング法の分離効率を測定したところ、我々の以前の報告における90%よりも高かった。しかし、EDSは、初回のスクリーニングサイクルの分離効率はたった55%であったが、2回目のスクリーニングサイクルの後では85%まで増加したことを示している。2回目のスクリーンングサイクルの後は分離効率に著しい改善は見られなかった。
【0093】
塩/界面活性剤法の分離効率および生成量。ZrPナノプレートレットを再凝集するために塩および界面活性剤を使用する場合には、CNTを安定化させるために使用した界面活性剤はイオン強度に敏感であってはならない。結果として、TritonやPVP等の非イオン系界面活性剤が好ましい。なぜなら、大部分のイオン系界面活性剤は高イオン濃度では不安定となるからである。1%Tritonを使用した場合、分離効率はほぼ100%で61%の生成量であった。CNTを安定化させるPVPの能力は、Tritonのそれほどは、特にMWNTではよくない。MWNTからZrPナノプレートレットを分離するためにKCl/PVP法を使用する場合には、80ppmのMWNT分散物に対して少なくとも2.5%の界面活性剤濃度が推奨される。
【0094】
イオン系界面活性剤は、イオンと組み合わせて用いるとCNTとZrPを分離させる効率がよくないことがわかった。これはイオン環境(例えば、高イオン強度におけるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、臭化セトリモニウム(CTAB)、およびSDS)でCNTを安定化させることができず、CNTとZrPの両方(例えば低イオン強度におけるSDBS)を同時に安定化させることもできない。多価イオンはイオンスクリーニング効果についてより効率的であることが知られている。塩/界面活性剤法において2価または3価のイオンと界面活性剤とを組み合わせて使用すると、CNT−ナノプレートレット混合物の生成量が多くかつ分離効率が高くなることが期待される。
【0095】
酸/界面活性剤法の分離効率および生成量。HCl/界面活性剤アプローチの効率は上述のものよりずっと良く、分離効率が100%で、生成量がより多くなる。この改善は、図6に示すように、イオンによって起きる分離と酸によって起きる分離のメカニズムの間の違いにある。剥離したZrPナノプレートレットはTBA分子でコーティングされ、静電気球に覆われており(図6A)、これがナノプレートレットの凝集を妨げている。追加したイオンの存在により静電気球は収縮し、反応を制限するZrPナノプレートレットの凝集が起きる。しかし、TBA分子はなおイオン結合を介してZrPナノプレートレットの表面上に束縛されやすく、集塊は緩く詰まった状態になる(図6B)。他方、HClの状況は非常に異なる。HClの酸性度(pKa≒−6)はZr(HPOの酸性度(pKa=12.3)よりも遥かに強く、TBAOHはZrPよりもHClと反応しやすい。したがって、剥離したZrPナノプレートレットを含む溶液中にHClを添加した場合、TBA分子はナノプレートレットから脱離し、ナノプレートレットはより密に詰まった凝集をし(図6C)、KCl法のそれに比べて(<100%、図6D)より完全にCNTから分離する(100%、図6E)。
【0096】
HCl/界面活性剤法の別の利点は、ここで使用するHClの濃度が、KCl/界面活性剤法で使用するKCl濃度(>20mM)よりもずっと低い(<2mM)ことである。イオン強度が小さいことで、この方法はPVPやTriton等の非イオン系界面活性剤に適用可能になるだけでなく、SDSやSDBS等のイオン強度に敏感な陰イオン系界面活性剤にも適用可能になる。CTAB等の陽イオン系界面活性剤はCNTの代わりにZrPナノプレートレットと結合する傾向があり、したがって効率がよくない。理論的には、ZrPナノプレートレットを完全に分離するために必要なHClの最大量は、溶液中のTBAの量よりも多くはない。しかし、他の要因が結果(outcome)に影響を与える可能性があり、効率的にするにはより高い濃度が必要かもしれない。
【0097】
CNTを安定化させるためにTritonを使用する際には、100%の分離効率を達成するために実際に使用するHClとTBAのモル比が、63%の生成量となる理論値の1:1よりも若干大きい(1.13:1)。これはおそらく、SWNTがカルボキシル基(pKa(CHCOOH)=4.75)を有することと、SWNTの合成に由来する残留金属触媒が存在する可能性があってこれが添加した酸で中和することとによって、系全体の構成が複雑となっているためであろう。
【0098】
ZrPを分離しCNTを安定化させるためにSDSおよびHClを用いる場合には、100%の分離効率を達成するために分散に用いる実際のHClとTBAのモル比はたった0.56:1であり、これはTritonを用いる場合よりもずっと小さい。我々は、CNT−ZrP混合物にSDSを添加した場合には、酸を添加する前に少量の沈殿物が形成されることに気付いた。この現象はTritonを用いる場合には見られない。SDSは、弱い塩基であるドデカノールと比較的強い酸であるNaHSO(pKa=1.9)から構成されるタイプのイオンであり、Zr(HPOと対比すると、水に溶解したときに加水分解して酸性になる。SDSは、酸を添加する前に、ナノプレートレットからTBAを部分的に脱離させる傾向がある。可能性のある別の理由としては、SDSを添加することによってCNT−ZrP混合物中のイオン強度が増加し、酸を添加する前のZrPを不安定化させることである。結果として、安定化界面活性剤としてTritonを使用する場合に理論的かつ実際に必要な量の半分のHClを用いるだけで、CNTの生成量がかなり(80%まで)増加する。
【0099】
図7は、それぞれHiPco SWNT(A)とMWNT(B)に対してHCl/SDS法を用いたZrP分離の前後におけるCNTのEDSデータと元素マッピングを示している。CNT/ZrP混合物中のZr(Lα=2.042keV、National Institute of Standards and TechnologyからのX線遷移エネルギーのオンラインデータベース)元素およびP(Kα=2.014keV)元素のエネルギー信号は、ナノプレートレットの分離手続きの後は消えている。1回のサイクルの後で分離効率は100%で、70%以上の生成量である。SDSのNa(kα=1.041 keV)元素の信号もなく、このことはアセトンおよびアルコールでCNTを洗浄した後にSDSが完全に除去されていることを示している。
【0100】
図8は、KCl/Triton法を用いてZrPを除去した後の、HiPco SWNT(A)とMWNT(B)のEDSデータおよび元素マッピングを示している。Zr元素とP元素からの信号が非常に弱いことが示すように、分離効率は100%に近い。それでも生成量は61%であり、これはHCl/SDS法のそれよりも小さく、HCl/Triton法と同じくらいである。
【0101】
イオンスクリーニングと酸/界面活性剤(またはイオン/界面活性剤)を組み合わせた方法の分離効率および生成量。我々が気付いた一つの現象は、SWNT−ナノプレートレット混合物中のナノプレートレットの量が減少するにつれて初回のサイクルでの生成量が増加することである。例えば、SWNTとZrPの重量比を1対5とせず1対1にまで下げたとき、HCl/SDS法を用いてCNTを回収する初回のサイクルの生成量は、90%以上と大きく改善できる。しかし、多くのナノプレートレットを組み込むほど、SWNTの完全な剥離が起きやすいこともわかっている。高い生成量およびCNTの良好な剥離を実現させるために、我々はまずイオンスクリーニングアプローチを用いて、重量比を1対5としたSWNTとZrPの混合物から大部分のナノプレートレットを除去する。次に、SWNTの凝集塊をこれに捕捉されたナノプレートレットと共に集めて、SDS溶液中に再分散させ、続いてHClを用いてZrPを沈殿させる。このようにして、個体のSWNTの90%以上を上澄み液中のSDSによって安定化させることができる。SWNTの回収にあたって複数のサイクルを用いて生成量を高めるような場合と比較して、上述の組み合わせによるプロセスはより簡単で効率的である。イオンスクリーニング法は、塩/界面活性剤法と組み合わせることで初回のサイクルでの生成量を増加させることもできる。この場合には、イオンによって沈殿されたSWNTは、これに捕捉されたZrPと共に、非イオン性界面活系剤水溶液中で再分散させ、追加のイオンを用いてZrPを完全に除去した。
【0102】
ナノプレートレットの分離後の個体のHiPco SWNTのラマンスペクトル。図9は、ZrPアシストによる剥離とZrPの除去の後、SDS水溶液中で安定化したHiPco SWNTの(A)ラマンスペクトルおよび(B)RBM領域を、前処理したSWNTのそれらと比較して示している。図10は、ZrPアシストによる剥離、ZrPの除去、およびSDSの除去の後、ピペリジンとCTABの中に移されたHiPco SWNTの(A)ラマンスペクトルと(B)RBM領域を、前処理されたSWNTバンドルのそれらと比較して示している。GバンドとRBM領域におけるブルーシフトから、ZrPアシストによる剥離を経て得られた分散状態は、ZrP分離の後十分に維持されているということができる。
【0103】
ZrPナノプレートレットとその誘導体の元素分析
【0104】
官能化したZrPナノプレートレットとその誘導体の化学組成を、XPSを用いて定量した。表2には、各種の方法で処理したナノプレートレットのZr、P、K(存在する場合)、O、Cの原子比率を挙げ、Zr原子の量で規格化して示している。Zr(PO(ZrP−K)、Zr(HPO)(PO)−C16H36(1:1のモル比で結合したZrP−TBA)、およびZr(HPO・HO(すなわち精製したZrP)のナノプレートレットの化学構造に対して、上付きの「e」は実験値を、上付きの「t」はその理論値を示している。ZrP−TBAナノプレートレット中に多く含まれるCは明らかにTBA分子から来たものである。十分な量の酸を用いてTBAを中和した後は、精製したZrP中に含まれるCが著しく減少しており、このことはナノプレートレットの表面からかなりの部分のTBA分子が脱離していることを示している。ZrP−Kナノプレートレット中にPやZrに匹敵する量のKがあることは、ナノプレートレット構造にKが存在することの証明となる。生成物の化学構造は、KOHとの反応後はHPO2−がZr(POとなりやすい。各種の処理を施したナノプレートレットの化学構造を定量化することによって、CNTを剥離させるメカニズムを対照することが可能となる。なお本研究におけるCNTとナノプレートレットの質量比は、イオンやTBA分子を取り込んでいるかどうかに関わらず、ZrP(Zr(HPO・HO)の含有量のみを見ていることに留意すること。
【表2】

【0105】
ZrPの誘導体の溶媒による安定化
【0106】
図11は、ZrPナノプレートレットをTBAで剥離し、酸でTBAを中和し、超音波処理後に種々の体積比を有するDI HOとエタノールの混合液中に再分散させることによって作製した、水への精製ナノプレートレットの分散液(500ppm)の画像である。分散液は、DI HOとエタノールの体積比を3:1としたときに、最も透明性があり安定していることがわかった。しかし、TBAアシストによる剥離を行っていない未処理のZrPナノプレートレットは、たとえその化学組成が精製したナノプレートレットの組成と同じであっても、この混合液中で分散し安定化することができない。これらの結果は、分散させるリガンドを除去した後でさえも、剥離したナノプレートレットが高秩序の層構造に再積層することはないことを示している。これに対して、リガンドのないナノプレートレットの凝集塊は、湿潤状態で緩く詰まった構造を形成する。分散媒質の組成は変えてもよいが、界面活性剤を用いなくてもナノプレートレットが分散する原理は、(例えば誘電定数を一致させることによって)溶媒の極性をナノプレートの極性に一致させることである。同様の原理を界面活性剤のないZnO量子ドットおよびCNTに適用することもできる。溶媒のみによって安定化させた、中和したナノプレートレットは、静電気的反発によって安定化させた正に帯電したナノプレートレット(例えばTBAと会合しているナノプレートレット)とは異なる安定性を示す。中和したナノプレートレットは、掻き乱さなければ極性が一致した溶媒中で沈殿せずに何ヶ月も安定化しておくことができる一方、遠心分離すれば容易に再凝集させることができる。この現象によって、上述の中和したナノプレートレットに基づいてSWNTを選別することが可能となる。
【0107】
種々の誘導体ナノプレートレットに対するCNTの親和性とSWNTの選別
【0108】
精製したZrPナノプレートレットは、キラリティの異なるCNTに対し異なる態様で相互作用する傾向にある。ZrP−TBAを用いれば完全に脱バンドル化したSWNT分散液が得られる一方、我々は、精製したナノプレートレットが一部の酸化したSWNTのみと相互作用し、安定した溶液を形成することを発見した。ラマン分光によると、溶液の安定した部分と未相互作用部分のSWNTとは、異なる電子構造を有することが示される。しかし、選別の効果はあまり明瞭ではない。これはおそらく大部分のSWNTがバンドル状のままとなっているためであろう。
【0109】
個々に分散したSWNTに対するナノプレートレット選別の効果を調べるために、まずZrP−TBAナノプレートレット分散液を用いてSWNTを剥離し、次に酸で精製した。遠心分離の後、すべてのSWNTおよびナノプレートレットは、主として剥離したSWNTと精製したZrPナノプレートレットを含むゲル状の形態で沈殿した。精製した単独のZrPナノプレートレットと同様に、剥離したSWNTと精製したナノプレートレットのゲル状混合物は、体積比を3:1としたDI HOとエタノールの混合液中に再分散させることができる。次に、遠心分離する前にTritonを添加して特定のタイプのSWNTを安定化させる一方、精製したZrPナノプレートレットに対する親和性が高いSWNTを遠心分離で沈殿させた。16800Gで1時間遠心分離した後の浮遊部分と沈殿部分のラマンスペクトルは、図12に示されているように、精製ZrPに付着した金属SWNTの特徴的な電子構造を示し、半導体SWNTは上澄み液の中に留まっている。
【0110】
ZrP−TBAおよびZrP−Kナノプレートレットは、CNTを分散させる際に非常に似通った振る舞いをする。ZrP−Kナノプレートレットは他のナノプレートレット誘導体から容易に作製できるため、CNTを分散させるにあたってZrPをリサイクルすることができる。予備試験の結果によれば、イオン/酸と界面活性剤を用いてCNT−ZrP(−TBA)混合物からCNTを回収した後、沈殿したナノプレートレットゲルを用いてZrP−Kナノプレートレット(またはナノプレートレットの再凝集の際にどれだけのTBAが除去されるかによっては、ZrP−KとZrP−TBAのナノプレートレットの混合物)を作製し、また再利用してCNTを再分散させることができることが示される。予備試験の結果によれば、イオン/酸と界面活性剤を用いたCNT−ZrP(−TBA)混合物からのCNT回収の後、沈殿したナノプレートレットゲルを単離して、たとえCNTが内部に捕捉されていても、再び脱プロトン化できることが示される。ゲル状の凝集塊の中のナノプレートレットは密に詰まった構造に再積層しにくいため、TBAOHのような大きな分子サイズを有する剥離剤はもはや不要である。次に、KOH等の小さな塩基性分子を用いて剥離したZrP−Kナノプレートレットを作製し、より多くのCNTを分散させた。留意すべきは、イオン/界面活性剤法によってCNTから分離したナノプレートレットは、酸/界面活性剤法を用いて分離したものよりも、再分散が容易なことである。これは、前者は後者よりもナノプレートレット表面により多くのTBA分子が付着しやすいためである。
【0111】
ナノプレートレットを除去する前後における、剥離したHiPco SWNTの顕微鏡観察。図13Aおよび図13Bは、HCl/SDS法を用いたZrP分離の前後における個体のSWNTのTEM写真を示している。SWNTは個別に剥離した状態にあり、約1.5nmの直径を有している。SWNTに結合したナノプレートレット(図13A)は、ZrP分離の後、完全に除去されている(図13B)。図13Cは、0.25%のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)溶液中に移した個体のSWNTのSEM画像を示している。画像中のSWNTは、SWNTの表面上にPSSがコーティングされているために、ぼやけた形態を有しており、直径が大きく見える。同様に、図14は、ZrP分離の前(図14A)と、後(図14B)の、絡み合いが解かれたMWCNTのTEM写真を示している。
【0112】
ZrP−Kナノプレートレットを用いて分散させたSWNTの顕微鏡観察。図15は、SWNTとZrP(Zr(HPO・HO)が計算による質量比1:5のSWNTとZrP−Kナノプレートレットとの混合物のモルフォロジを示しており、大部分のSWNTは脱バンドル化していて、バンドル化したSWNTは一部である。さらに最適化することで、ZrP−KナノプレートレットはCNTを完全に脱バンドル化できることが期待される。
【0113】
ナノプレートレットの除去およびスルファニルアミドでの官能化後の、剥離したXD−CNTの顕微鏡観察。HiPco SWNTに関する上述したすべての研究を、XD−CNTおよびMWNTの場合に拡張して、同じように成功した。XD−CNTはスルファニルアミドでの官能化後およそ5nmの直径を有し、観察に適しており、またポリマーナノコンポジットを作製するには経済的である。XD−CNT/エポキシナノコンポジットを作製するために、前処理したXD−CNTをZrPナノプレートレットで剥離し、次にHCl/SDS法を用いてZrPナノプレートレットから分離し、その後SDS溶液中でスルファニルアミド処理を行って、アセトン中に再分散した。この官能化の手順の一つの利点は、SDSの除去と、剥離したCNTの官能化を同時に行うことができ、界面活性剤を除去する余分な工程を避けられることである。ここでスルファニルアミドとアセトンを使用しているのは、個体のCNTの官能化と、有機ポリマー媒質中への移行の簡単な方法の代表例である。別の例は、アルキルアミンまたはアルカノールでCNTを官能化させることによるものであり、個体のCNTは無極性溶媒中でも可溶になる。
【0114】
図16Aは、SDS溶液中に分散した、単離したXD−CNTのTEM画像を示しており、ナノプレートレットは観察されていない。挿入図は高倍率画像であり、ナノチューブの表面上にSDS層がコーティングされた2つの個体のXD−CNTが重なっているところを示している。図16Bは、アセトン中で単離したXD−CNTのOMであり、ミクロサイズの凝集塊は見えない。TEM画像(図16Cおよび16D)は、XD−CNTがアセトン中で個々に剥離しており、いくつかの箇所でアミンがコーティングされていることを示している。次に、アセトンへのXD−CNTの分散液をアセトンを含んだエポキシと混合し、エポキシナノコンポジットを形成する。
【0115】
蛍光性エポキシ−SWNTナノコンポジット。現在のポリマー−SWNTコンポジットの作製方法は、通常、SWNTの化学的に厳しい処理を伴い、それによって電子構造が損傷を受けるという事実に起因して、ポリママトリックス中のSWNTの蛍光は通常は抑制される。我々のアプローチを用いて作製したエポキシ/SWNTナノコンポジットは蛍光シグナルを示しており、SWNT構造の損傷が最小限に抑えられていることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのナノチューブと少なくとも一つのナノプレートレットとを有するナノコンポジットの溶液を形成するステップと、
前記ナノコンポジットの溶液に少なくとも一つの界面活性剤を混合するステップと、
前記ナノチューブを前記界面活性剤の溶液中に懸濁させたまま前記ナノプレートレットを沈殿させてナノコンポジットを分離するステップと、
溶液中のナノチューブを単離するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記ナノコンポジット溶液を形成するステップが、
少なくとも一つのナノチューブを第1の溶液へ添加し、この第1の溶液がナノチューブを酸化させるステップと、
前記第1の溶液からナノチューブを単離し、ナノチューブを水性溶媒の中に再懸濁させて、酸化したナノチューブの溶液を形成するステップと、
少なくとも一つのナノプレートレットを第2の溶液に添加し、この第2の溶液がナノプレートレットを剥離させて、剥離したナノプレートレットの溶液を形成するステップと、
前記酸化したナノチューブの溶液と剥離したナノプレートレットの溶液を混合して、前記少なくとも一つのナノプレートレットと会合した少なくとも一つの剥離したナノチューブから構成されるナノコンポジット溶液を形成するステップと、
を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ナノコンポジット溶液に少なくとも一つの界面活性剤を混合するステップが、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、およびその組み合わせからなるグループから選択した少なくとも一つの界面活性剤を添加するステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ナノコンポジット溶液に少なくとも一つの界面活性剤を混合するステップが、約0.01wt%から約10wt%の間の重量濃度まで界面活性剤を添加するステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ナノコンポジット溶液に少なくとも一つの界面活性剤を混合するステップの際に、ナノコンポジット溶液を機械的に攪拌するステップを有する請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ナノコンポジットを分離するステップがさらに、少なくとも一つのイオン溶液を混合するステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ナノコンポジットを分離するステップがさらに、ナノプレートレットを沈殿させるステップを有する請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ナノプレートレットを沈殿させるステップが、ナノチューブからナノプレートレットを解離させるステップを有する請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つのイオン溶液がさらに酸溶液を有する請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記酸溶液が約0.1mMから約900mMの間の濃度を有する請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記溶液中のナノチューブを単離するステップがさらに、濾過、遠心分離、乾燥、およびその組み合わせからなるグループから選択した一つのプロセスを有する
請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記溶液を遠心分離するステップが、少なくとも約1,000Gの相対遠心力を有する請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記溶液中のナノチューブを単離するステップがさらに、
溶液中のナノチューブを官能化させるステップと、
溶媒中にナノチューブを分散させるステップと、
を有する請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記ナノチューブを官能化させるステップが、化学的に活性な溶液を混合するステップを有する請求項13記載の方法。
【請求項15】
さらにスルファニルアミド溶液を混合するステップを有する請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒中にナノチューブを分散させるステップがさらに、
前記ナノチューブを洗浄するステップと、
前記ナノチューブを溶液から濾過するステップと、
前記ナノチューブを乾燥させるステップと、
前記ナノチューブを溶媒中に再分散させるステップと、
を有する請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記ナノチューブを洗浄するステップがさらに、界面活性剤溶液を除去するステップと、溶液残留物を官能化させるステップと、を有する請求項16記載の方法。
【請求項18】
さらに前記沈殿したナノプレートレットの少なくとも一つを集めるステップと、
前記ナノプレートレットを再懸濁させるステップと、
少なくとも一つの別のナノチューブ溶液と混合するためにナノプレートレットをリサイクルするステップと、
を有する請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記ナノプレートレットを再懸濁させるステップが、ナノプレートレットを再剥離させるステップを有する請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも一つの別のナノチューブ溶液と混合するためにナノプレートレットをリサイクルするステップがさらに、前記少なくとも一つの別のナノチューブ溶液中のナノチューブを、リサイクルされるナノプレートレットに対するナノチューブの親和性によって選別するステップを有する請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記リサイクルされるナノプレートレットに対するナノチューブの親和性によってナノチューブを選別するステップが、ナノチューブの一部を、リサイクルされるナノプレートレットで凝集させるステップを有する請求項20記載の方法。
【請求項22】
溶液中の前記単離したナノチューブをマトリックスに混合するステップを有し、前記マトリックスが、液体、オイル、インク、導電性インク、ポリマ、エポキシ、樹脂、ワックス、合金、ナノクレイ、またはその組み合わせからなるグループから選択した少なくとも一つからなる請求項1記載の方法。


【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−518017(P2013−518017A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550001(P2012−550001)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/062244
【国際公開番号】WO2011/090718
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(511134458)ザ テキサス エー アンド エム ユニバーシティ システム (2)
【出願人】(512183792)カネカ ノース アメリカ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】