説明

脱凝集微粒子を含む医薬製剤を製造する方法

乾燥粉末医薬製剤を製造する方法であって、(i)1種の医薬物質を含む微粒子を形成するステップと、(ii)該微粒子の体積平均径より大きい体積平均径を有する微粒子の形状にある少なくとも1種の賦形剤を提供するステップと、(iii)粉末混合物を形成するために該微粒子を該賦形剤とを混合するステップと、および(iv)個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子の少なくとも一部分を脱凝集させるために粉末混合物をジェットミル処理するステップと、を含む方法が提供される。ジェットミル処理は、有益にもより複雑な湿式脱凝集工程の必要を排除し、微粒子内の残留水分および溶媒レベルを低下させ(乾燥粉末製剤のためにより良好な安定性および取扱い特性をもたらす)、ならびに乾燥粉末混合製剤の湿潤性、懸濁製、および含量均一性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般に微粒子を含む組成物の分野に関し、より詳細には薬物および診断薬などの医薬物質を患者に送達するための微粒子製剤を製造する方法に関する。
【0002】
治療薬および診断薬のマイクロカプセル化は、ヒトまたは動物へのそのような薬剤の制御された送達を増進するための有用なツールであることが知られている。これらの用途においてこれらの薬剤を効果的に送達するためには極めて特異的なサイズおよびサイズ範囲を有する微粒子が必要とされる。しかし、微粒子はそれらの製造および加工処理中に凝集する傾向があり、それによりやっかいなことにも微粒子製剤の性能及び/又は再現性を損なわせるほど粒子の有効サイズの好ましくない変化を生じさせる。凝集は、微粒子が暴露させられる温度、湿度、および圧縮力を含む様々な因子、ならびに微粒子を製造する際に使用される粒子材料および方法に左右される。このため、最初に形成された微粒子のサイズおよび形態へ実質的に影響を及ぼさない工程を使用して製造後の微粒子及び/又は微粒子乾燥粉末製剤を脱凝集させることができれば有用であろう。そのような工程は、好ましくは単純なものであって装置および運転経費を最小限に抑え、熱不安定性薬剤などの医薬物質の分解を回避するために、周囲条件で運転できなければならない。
【0003】
微粒子製造技術は、典型的には1種以上の水性溶媒または有機溶媒の使用を必要とする。例えば有機溶媒は、噴霧乾燥によってポリマー微粒子を形成する工程においてポリマーマトリックス物質と結合させ、その後でポリマーマトリックス物質から除去することができる。しかし多くの場合、微粒子に溶媒残留物レベルが残存するという望ましくない結果が生じる。医薬製剤中のこれらの溶媒残留物を最小限に抑えることが極めて望ましい。このため、微粒子製剤からの溶媒除去を強化する工程を開発できれば有益であろう。
【0004】
同様に、微粒子製剤中の水分レベルを低下させることができれば、その水分が導入される起源とは無関係に、製剤の固化を低下させ、流動性を増加させ、そして貯蔵安定性を向上させるために望ましいであろう。例えば賦形剤を溶解または分散させるために水性溶媒を使用すると、賦形剤と微粒子の混合を容易にし、その後で水性溶媒を除去することができる。このため、微粒子製剤からの水分除去を強化する工程を開発することは有益であろう。
【0005】
賦形剤は、しばしば一定の所望の特性を備える微粒子製剤を提供するため、または微粒子製剤の加工処理を強化するために微粒子および医薬物質に添加される。例えば、賦形剤は微粒子の投与を容易にすること、保存もしくは復元後の微粒子凝集を最小限に抑えること、活性物質の適切な放出または滞留を容易にすること、及び/又は生成物の保管寿命を強化することができる。これらの賦形剤の代表的タイプには、浸透圧剤、増量剤、界面活性剤、保存料、湿潤剤、医薬上許容される担体、希釈剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、および潤滑剤が含まれる。これらの賦形剤と微粒子を結合する工程が、均一な混合物を産出することは重要である。これらの賦形剤と微粒子とを結合させると、製造および規模の拡大が複雑になる可能性があり、そのような微粒子医薬製剤を特に工業規模で製造することは重要な問題である。
【0006】
微粒子医薬製剤を製造するための実験室規模の方法には、より大規模の製造へ容易に、または効率的に移すことのできない幾つかのステップが必要な場合がある。これらのステップの例には、微粒子の分散、微粒子のサイズ分類、微粒子の乾燥及び/又は凍結乾燥、微粒子への1種以上の活性物質の装填、および微粒子と1種以上の賦形剤物質とを結合して包装準備の整った均質な製剤を形成するステップが含まれる。液体窒素を使用することによる微粒子を冷凍するステップ(例、溶媒除去工程の一部として)などの一部の処理ステップは、高額の費用がかかり、大量の作業をクリーンルーム内で実行するのは困難である。超音波処理などの他の工程ステップは、大規模で実施するには高価な特注装置を必要とすることがある。これらのステップのいずれかを排除、結合、または単純化するために医薬製剤製造方法を開発することは有益であろう。
【0007】
このため、残留物が少ない、脱凝集させられた微粒子医薬製剤を提供することは望ましいであろう。注射用製剤を提供するためには、乾燥形の微粒子製剤が復元後に分散かつ懸濁することが特に望ましいであろう。吸入用製剤を提供するためには、乾燥形の微粒子製剤が乾燥形で良好に分散することが望ましいであろう。経口固形剤形を提供するためには、乾燥形の微粒子製剤が経口投与後に良好に分散することが望ましいであろう。
【0008】
最初に形成された微粒子のサイズおよび形態へ実質的な影響を及ぼさない工程を使用して、微粒子医薬製剤を脱凝集させ、そしてこれらの製剤中の残留水分(及び/又は溶媒)レベルを低下させる両方のための方法を提供することが望ましいであろう。好ましくは賦形剤溶媒を使用せずに、脱凝集した微粒子および賦形剤の均一な混合物を製造する方法を提供することもまた望ましいであろう。そのような方法は、効率的な工業規模製造のために適合することが望ましいであろう。
【0009】
(発明の要約)
乾燥粉末医薬製剤を製造する方法であって、(i)1種の医薬物質を含む微粒子を形成するステップと、(ii)その微粒子の体積平均径より大きい体積平均径を有する微粒子の形状にある少なくとも1種の賦形剤(例、増量剤、界面活性剤、湿潤剤、または浸透圧剤)を提供するステップと、(iii)粉末混合物を形成するために微粒子と賦形剤とを混合するステップと、および(iv)個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子の少なくとも一部分を脱凝集させるために粉末混合物をジェットミル処理するステップと、を含む方法が提供される。
【0010】
賦形剤粒子は、一部には特定の医薬製剤および投与経路に依存して、例えば10から500μm、20から200μm、または40から100μmの間の体積平均サイズを有していてよい。賦形剤の例には、脂質、糖、アミノ酸、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。1つの実施形態では、賦形剤はラクトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、キシリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。また別の実施形態では、賦形剤はロイシン、イソロイシン、アラニン、グリシン、バリン、プロリン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンなどの疎水性アミノ酸を含んでいる。また別の実施形態では、賦形剤は、錠剤、カプセル剤、またはカシェ剤などの経口固形製剤のための結合剤、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、着色剤、着香剤、甘味料、および潤滑剤を含んでいる。2種以上の相違する賦形剤を1つ以上のステップで微粒子と混合することができる。1つの実施形態では、微粒子は本質的に治療用または予防用医薬物質から構成される。また別の実施形態では、微粒子はシェル材料(例、ポリマー、タンパク質、脂質、糖、またはアミノ酸)をさらに含んでいる。
【0011】
また別の態様では、2種以上の医薬物質を含む乾燥粉末混合医薬製剤を製造する方法が提供される。1つの方法では、これらのステップには(a)第1医薬物質を含む第1量の微粒子を提供するステップと、(b)第2医薬物質を含む第2量の微粒子を提供するステップと、(c)粉末混合物を形成するために第1量および第2量を混合するステップと、および(d)個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子の少なくとも一部分を脱凝集させるために粉末混合物をジェットミル処理するステップと、が含まれる。この方法は、賦形剤材料と第1量、第2量、粉末混合物、またはそれらの組み合わせとを混合するステップをさらに含むことができる。
【0012】
さらにまた別の実施形態では、微粒子を含む医薬製剤を製造する方法が提供されるが、本方法は(i)溶媒および医薬物質の液滴を形成するために1種の溶媒および1種の医薬物質を含むエマルジョン、溶液、または懸濁液を噴霧器に通して噴霧するステップと、(ii)液滴を固化させて微粒子を形成するために溶媒の一部分を蒸発させるステップと、および(iii)個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子があれば、少なくともその一部分を脱凝集させるために微粒子をジェットミル処理するステップと、を含んでいる。1つの実施形態では、微粒子は本質的に治療用または予防用医薬物質から構成される。また別の実施形態では、そのエマルジョン、溶液、または懸濁液は1種のシェル材料(例、ポリマー、脂質、糖、またはアミノ酸)をさらに含んでいる。
【0013】
さらにまた別の実施形態では、微粒子を含む医薬製剤を製造する方法が提供されるが、本方法は(i)1種の医薬物質および1種のシェル材料を含む微粒子を形成するステップと、および、個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子の少なくとも一部分を脱凝集させるために微粒子をジェットミル処理するステップと、を含んでいる。微粒子形成ステップでは、噴霧乾燥法またはその他の方法を使用できる。1つの実施形態では、医薬物質はシェル材料全体に分散させられる。また別の実施形態では、微粒子は、シェル材料によって取り囲まれた医薬物質のコアを含んでいる。シェル材料の例には、ポリマー、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物、および脂質が含まれる。1つの実施形態では、シェル材料は生体適合性合成ポリマーを含んでいる。
【0014】
また別の実施形態では、微粒子内の結晶化率を増加させるため、または薬物の非晶質含量を減少させるためにジェットミル処理が使用される。
【0015】
これらの方法の1つの実施形態では、ジェットミル処理は約80℃未満、より好ましくは約30℃未満の温度でジェットミルへ供給される供給ガス及び/又は粉砕ガスを用いて実施される。1つの実施形態では、ジェットミルに供給される供給ガス及び/又は粉砕ガスは本質的に乾燥窒素ガスから構成される。
【0016】
これらの方法の様々な実施形態では、微粒子は1から10μmの数平均サイズ、2から50μmの体積平均サイズ、及び/又は1から50μmの空気動力学的径を有している。
【0017】
1つの実施形態では、微粒子はその中に空隙または細孔を有するミクロスフェアを含んでいる。この実施形態の好ましい変形では、医薬物質は、疎水性である治療薬または予防薬である。
【0018】
これらの方法の1つの実施形態では、医薬物質は治療薬または予防薬である。これらの物質のクラスの例には、非ステロイド抗炎症薬、コルチコステロイド薬、抗腫瘍薬、抗微生物薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬、免疫抑制薬、抗不安薬、鎮静薬/催眠薬、抗精神病薬、抗痙攣薬、およびカルシウムチャネル遮断薬が含まれる。治療薬または予防薬の例には、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ドセタキセル、パクリタキセル、アシクロビル、アルプラゾラム、アミオダロン、アモキシリン、アナグレリド、バクトリム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ビアキシン、ブデソニド、ブルスルファン(bulsulfan)、カルバマゼピン、セフタジジム、セフプロジル、シプロフロキシン(ciprofloxcin)、クラリスロマイシン、クロザピン、シクロスポリン、エストラジオール、エトドラク、ファムシクロビル、フェノフィブラート、フェキソフェナジン、プロピオン酸フルチカゾン、ゲムシタビン、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ラモトリジン、ロラチジン(loratidine)、ロラゼパム、メロキシカム、メサラミン、ミノサイクリン、ナブメトン、メシル酸ネルフィナビル、オランザピン、オキサカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェニトイン、プロポフォール(propfol)、リトナビル(ritinavir)、SN−38、スルファサラジン、タクロリムス(tracrolimus)、チアガビン(tiagabine)、チザニジン、バルサルタン、ボリコナゾール、ザフィルルカスト、ジロートン(zilueton)、およびジプラシドンが含まれる。
【0019】
また別の実施形態では、医薬物質は超音波造影剤などの診断薬である。
【0020】
乾燥粉末医薬製剤もまた提供される。これらの製剤は、製剤中の低い含水量および残留溶媒レベル、製剤の向上した懸濁性、向上した空気動力学的特性、低い非晶質薬物含量、および(混合物については)向上した含量均一性を提供できる、本明細書に記載したように脱凝集させられている混合または非混合微粒子を含んでいる。
【0021】
(発明の詳細な説明)
脱凝集微粒子を含む医薬製剤を製造するため、ならびに含量均一性を強化した微粒子および賦形剤の混合物を製造するための改良された方法が開発された。ジェットミル処理は、有益にも微粒子凝集体を粉砕する。微粒子凝集体の減少は注射用剤形のための向上した懸濁性、経口用剤形のための向上した分散性、または吸入用剤形のための向上した空気動力学的特性をもたらす。さらに、ジェットミル処理は、有益にも微粒子中の残留水分および溶媒レベルを低下させ、乾燥粉末医薬製剤のためのより良好な安定性および取扱い特性をもたらす。
【0022】
本明細書で使用する用語「含む」、「含んでいる」、「含有する」、および「含有している」は明示的に指摘しない限り、開かれた非限定的用語であることが意図されている。
【0023】
(I.微粒子製剤)
本製剤は、治療薬または診断薬などの医薬物質と、および任意で1種以上の賦形剤と、を含む微粒子を含んでいる。1つの実施形態では、本製剤は賦形剤のより大きな微粒子と混合された医薬物質の微粒子を含んでいる均一な乾燥粉末混合物である。
【0024】
(A.微粒子)
本明細書で使用する用語「微粒子」には、他に特別に規定しない限り、ミクロスフェアおよびマイクロカプセル、ならびに微粒子が含まれる。微粒子の形状は球状であってもなくてもよい。マイクロカプセルは、別の物質のコアを取り囲んでいるシェルを有する微粒子であると規定されている、この場合コアは医薬物質である。コアは、気体、液体、ゲル、または固体であってよい。ミクロスフェアは固体スフェアであってよく、多孔性でマトリックス材料またはシェル中の細孔もしくは空隙によって形成されたスポンジ様もしくはハニカム構造を含んでいてよく、またはマトリックス材料またはシェル中に単一の内部空隙を含んでいてもよい。
【0025】
1つの実施形態では、微粒子はその全体が医薬物質から形成される。また別の実施形態では、微粒子はシェルの中に被包化された医薬物質のコアを有する。また別の実施形態では、医薬物質はシェルまたはマトリックス内に散在している。また別の実施形態では、医薬物質はシェルまたはマトリックスを含む材料内に均一に混合されている。任意で、微粒子は1種以上の賦形剤と混合することができる。
【0026】
(1.サイズおよび形態)
本明細書で使用する微粒子に関連する用語「サイズ」または「径」は、他に特別に規定しない限り、数平均粒径を意味する。数平均粒径を記載するために使用できる方程式の例を下記に示す:
【数1】

【0027】
式中、n=所定の径(d)を有する粒子の数である。
【0028】
本明細書で使用する用語「体積平均径」は、体積加重径平均を意味する。体積平均径を記載するために使用できる方程式の例を下記に示す:
【数2】

【0029】
式中、n=所定の径(d)を有する粒子の数である。
【0030】
本明細書で使用する用語「空気動力学的径」は、重力下で分析対象の粒子と同一速度で落下する、1g/mLの密度を備える球と等価の径を意味する。粒子の分布に対する空気動力学平均径の数値を報告する。空気動力学的径は、飛行時間法であるAerosizer(TSI社製)を使用して乾燥粉末上で、またはカスケードインパクション法、もしくはリキッドインピンジャー法によって決定できる。
【0031】
粒径分析は、コールターカウンター上で、光線顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、レーザー回折法、光散乱法または飛行時間法によって実施できる。コールター法では、粉末が電解質中に分散させられ、結果として生じた懸濁液が50μm口径チューブを装備したCoulter Multisizer IIを使用して分析される。
【0032】
本明細書に記載したジェットミル処理は、個々の微粒子のサイズおよび形態が実質的に維持されるように、凝集している微粒子を脱凝集させる。すなわち、ジェットミル処理前後の微粒子サイズの比較は、体積平均サイズの少なくとも15%の減少および75%以下の数平均サイズ減少を示さなければならない。
【0033】
製剤中では、微粒子は約1から20μmの数平均サイズを有することが好ましい。ジェットミル処理工程は、約2μmより大きい体積平均径または空気動力学平均径を有する微粒子を脱凝集させる際に最も有用であろうと考えられる。1つの実施形態では、微粒子は好ましくは2から50μmの体積平均サイズを有する。また別の実施形態では、微粒子は1から50μmの空気動力学的径を有する。
【0034】
微粒子は、所定の投与経路のために適合するサイズ(すなわち、径)を有するように製造される。粒径は、さらにまたRES取り込みに影響を及ぼす可能性がある。血管内投与のためには、微粒子は約0.5から8μmの数平均径を有することが好ましい。皮下または筋肉内投与のためには、微粒子は約1から100μmの数平均径を有することが好ましい。消化管へ送達するための経口投与および他の内腔または粘膜表面(例、直腸、膣、口腔、または鼻腔)への投与のためには、微粒子は0.5μmから5mmの数平均粒径を有することが好ましい。肺系へ投与するために好ましいサイズは、5μm以下の実際的体積平均径(または空気動力学平均径)とともに、1から5μmの空気動力学的径である。
【0035】
1つの実施形態では、微粒子はその中に空隙を有するミクロスフェアを含んでいる。1つの実施形態では、ミクロスフェアは1から3μmの数平均サイズおよび3から8μmの体積平均サイズを有している。
【0036】
また別の実施形態では、ジェットミル処理は、透明性を増加させる、または示差走査熱量測定法によって評価されるようなミクロスフェア内の薬物の非晶質含量を低下させる。
【0037】
(2.医薬物質)
医薬物質は、治療薬、診断薬、または予防薬である。医薬物質は、本明細書では一般に「薬物」または「活性物質」と記載することがある。医薬物質は、非晶質状態、結晶状態、またはそれらの混合状態で存在してよい。医薬物質は、蛍光標識、放射性標識、または酵素もしくはクロマトグラフィーにより検出可能な物質などの検出可能な標識を用いて標識することができる。
【0038】
多種多様な治療薬、診断薬および予防薬を微粒子内に装填することができる。これらは、タンパク質もしくはペプチド、糖、オリゴ糖、核酸分子、またはその他の合成もしくは天然物質であってよい。適切な薬物の代表的な例には、以下のカテゴリーおよび薬物の例、ならびに代替の塩形、遊離酸形、遊離塩基形、および水和物などのこれらの薬物の代替形が含まれる:
(鎮痛薬/解熱薬)(例、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノルフィン、塩酸プロポキシフェン、プロポキシフェンナプシレート、塩酸メペリジン、塩酸ヒドロモルフォン、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、重酒石酸ジヒドロコデイン、ペンタゾシン、重酒石酸ヒドロコドン、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、塩酸ナルブフィン、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール、クエン酸フェニルトロキサミン、およびメプロバメート)、
(抗喘息薬)(例、ケトチフェンおよびトラキサノクス)、
(抗生物質)(例、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリン、およびシプロフロキサシン)、
(抗うつ薬)(例、ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、イミプラミン、イミプラミンパモエート、イソカルボキサジド、トリミプラミン、およびプロトリプチリン)、
(抗糖尿病薬)(例、ビグアニド系およびスルホニル尿素誘導体系)、
(抗真菌薬)(例、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ビルコナゾール、アムホテリシンB、ナイスタチン、およびカンジシジン)、
(抗高血圧薬)(例、プロプラノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、塩酸パージリン、デセルピジン、ジアゾキシド、グアネチジンモノサルフェート、ミノキシジル、レシンナミン、ニトロプルシドナトリウム、ラウオフィアセルペンチーナ、アルサーオキシロン、およびフェントラミン)、
(抗炎症薬)(例、(非ステロイド性)セレコキシブ、ロフェコキシブ、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド性)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、およびプレドニゾン)、
(抗腫瘍薬)(例、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェン、およびピポスルファン)、
(抗不安薬)(例、ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸ヒドロキシジン、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノン、およびダントロレン)、
(免疫抑制薬)(例、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビン、およびFK506(タクロリムス)、シロリムス)、
(抗偏頭痛薬)(例、エルゴタミン、プロプラノロール、およびジクロラールフェナゾン)、
(鎮静薬/催眠薬)(例、ペントバルビタールおよびセコバルビタールなどのバルビツール酸系;ならびに塩酸フルラゼパムおよびトリアゾラムなどのベンゾジアゼピン系)、
(抗狭心症薬)(例、β−アドレナリン遮断薬;ニフェジピンおよびジルチアゼムなどのカルシウムチャンネル遮断薬;ならびにニトログリセリンおよび四硝酸エリトリチルなどの硝酸塩系)、
抗精神病薬(例、ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、塩酸ロキサピン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、トリフロペラジン、クエン酸リチウム、プロクロルペラジン、アリピプラゾール、およびリスペリドン)、
(抗躁薬)(例、炭酸リチウム)、
(抗不整脈薬)(例、トシル酸ブレチリウム、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、リン酸ジソピラミド、プロカインアミド、硫酸キニジン、グルコン酸キニジン、酢酸フレカイニド、トカイニド、およびリドカイン)、
(抗関節炎薬)(例、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン、サルサレート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナム酸塩、チオリンゴ酸金ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、金チオグルコース、およびトルメチンナトリウム)、
(抗通風薬)(例、コルヒチン、およびアロプリノール)、
(抗凝固薬)(例、ヘパリン、ヘパリンナトリウム、およびワルファリンナトリウム)、
(血栓溶解薬)(例、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、およびアルテプラーゼ)、
(抗線維素溶解薬)(例、アミノカプロン酸)、
(ヘモレオロジック薬)(例、ペントキシフィリン)、
(抗血小板薬)(例、アスピリン)、
(抗痙攣薬)(例、バルプロ酸、ジバルプロエックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビタールナトリウム、クロラゼプ酸二カリウム、オクスカルバゼピンおよびトリメタジオン)、
(抗パーキンソン薬)(例、エトスクシミド)、
(抗ヒスタミン薬/止痒薬)(例、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニラミン、塩酸シプロヘプタジン、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、アザタディン、トリペレナミン、マレイン酸d−クロルフェニラミン、メトジラジン)、
(カルシウム調節に有用な物質)(例、カルシトニン、および副甲状腺ホルモン)、
(抗菌薬)(例、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、メトリニダゾール、塩酸メトロニダゾール、硫酸ゲンタマイシン、塩酸リンコマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸バンコマイシン、硫酸ポリミキシンB、コリスチンメタナトリウム、クラリスロマイシン、および硫酸コリスチン)、
(抗ウイルス薬)(例、インターフェロン、ジドブジン、塩酸アマンタジン、リバビリン、およびアシクロビル)、
(抗微生物薬)(例、セフタジジムなどのセファロスポリン系;ペニシリン系;エリスロマイシン;ならびに塩酸テトラサイクリン、ドキシサイクリンハイクレート(doxycycline hyclate)、および塩酸ミノサイクリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシンなどのテトラサイクリン系)、
(抗感染薬)(例、GM−SF)、
(気管支拡張薬)(例、塩酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、硫酸テルブタリン、イソエタリン、メシル酸イソエタリン、塩酸イソエタリン、硫酸アルブテロール、アルブテロール、メシル酸ビトルテロール、塩酸イソプロテレノール、硫酸テルブタリン、重酒石酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、エピネフリン、重酒石酸エピネフリンなどの交感神経作用薬;臭化イプラトロピウムなどの抗コリン作用薬;アミノフィリン、ダイフィリン、硫酸メタプロテレノール、およびアミノフィリンなどのキサンチン系;クロモリンナトリウムなどの肥満細胞安定剤;サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ケトチフェン;サルメテロール;キシナホ酸塩;硫酸テルブタリン;テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;硫酸メタプロテレノール;アルブテロール)、
(吸入コルチコステロイド薬)(例、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)、ジプロピオン酸ベクロメタゾン一水和物;ブデソニド、トリアムシノロン;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン;モメタゾン)、
(ステロイド化合物およびホルモン剤)(例、ダナゾール、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、エナント酸テストステロン、メチルテストステロン、フルオキシメステロン、およびテストステロンシピオネートなどのアンドロゲン類;エストラジオール、エストロピペート、および抱合卵胞ホルモンなどのエストロゲン類;酢酸メトキシプロゲストロン、および酢酸ノルエチンドロンなどのプロゲスチン類;トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサアセトニド、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、テブト酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムなどのコルチコステロイド薬;ならびにレボチロキシンナトリウムなどの甲状腺ホルモン)、
(血糖降下薬)(例、ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド、およびトラザミド)、
(脂質低下薬)(例、クロフィブラート、デキストロチロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、およびナイアシン)、
(タンパク質)(例、DNアーゼ、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼおよびリパーゼ)、
(核酸)(例、本明細書に記載のいずれかのタンパク質を含む治療上有用なタンパク質をコードするセンスまたはアンチセンス核酸)、
(赤血球生成を刺激するために有用な物質)(例、エリスロポエチン)、
(抗潰瘍薬/逆流防止薬)(例、ファモチジン、シメチジン、および塩酸ラニチジン)、
(制吐薬/鎮吐薬)(例、塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリナート、塩酸プロメタジン、トリエチルペラジン、およびスコポラミン)、
(油溶性ビタミン類)(例、ビタミンA、D、E、Kなど)、
ならびにミトーテン、ハロニトロソ尿素、アンスロサイクリン、およびエリプチシンなどの他の薬物。これらやその他のクラスの有用な薬物についての説明および各クラス内に含まれる種の一覧は、Martindale、The Extra Pharmacopoeia、第30版(The Pharmaceutical Press、ロンドン、1993)の中に見いだすことができる。
【0039】
本明細書に記載した組成物および方法において有用な他の薬物の例には、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、尿性卵胞性刺激ホルモン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトフォルミン、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、フォシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム、卵胞性刺激ホルモン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リシノプリル、トラマドール、レボフロキサシン、ザフィルルカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ビュープロピオン、ペリンドプリル、エルブミン、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニル、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピル三ナトリウム、メサラミン、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテルカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン、ドラセトロン、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニン、および臭化イプラトロピウムが含まれる。これらの薬物は、一般に水溶性であると見なされている。
【0040】
好ましい薬物には、アルブテロール、アダパレン、メシル酸ドキサゾシン、フロン酸モメタゾン、ウルソジオール、アムホテリシン、マレイン酸エナラプリル、フェロジピン、塩酸ネファゾドン、バルルビシン、アルベンダゾール、抱合卵胞ホルモン、酢酸メドロキシプロゲステロン、塩酸ニカルジピン、酒石酸ゾルピデム、ベシル酸アムロジピン、エチニルエストラジオール、オメプラゾール、ルビテカン、ベシル酸アムロジピン/塩酸ベナゼプリル、エトドラク、塩酸パロキセチン、パクリタキセル、アトバコン、フェロジピン、ポドフィロクス、パリカルシトール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、フェンタニル、二塩酸プラミペキソール、ビタミンDおよび関連した類似物、フィナステリド、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、シレキセチル、フルコナゾール、リトナビル、ブルスルファン、カルバマゼピン、フラマゼニル、リスペリドン、カルバマゼピン、カルビドパ、レボドパ、ガンシクロビル、サキナビル、アンプレナビル、カルボプラチン、グリブリド、塩酸セルトラリン、ロフェコキシブカルベジロール、プロピオン酸ハロベタソール、クエン酸シルデナフィル、セレコキシブ、クロロサリドン、イミキモド、シンバスタチン、シタロプラム、シプロフロキサシン、塩酸イリノテカン、スパルフロキサシン、エファビレンツ、シサプリド一水和物、ランソプラゾール、塩酸タムスロシン、モファフィニル、クラリスロマイシン、レトロゾール、塩酸テルビナフィン、マレイン酸ロシグリタゾン、ジクロフェナクナトリウム、塩酸ロメフロキサシン、塩酸チロフィバン、テルミサルタン、ジアゼパム、ロラチジン、クエン酸トレミフェン、サリドマイド、ジノプロストン、塩酸メフロキン、トランドラプリル、ドセタキセル、塩酸ミトキサントロン、トレチノイン、エトドラク、酢酸トリアムシノロン、エストラジオール、ウルソジオール、メシル酸ネルフィナビル、インジナビル、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、オキサプロジン、フルタミド、ファモチジン、ニフェジピン、プレドニゾン、セフロキシム、ロラゼパム、ジゴキシン、ロバスタチン、グリセオフルビン、ナプロキセン、イブプロフェン、イソトレチノイン、クエン酸タモキシフェン、ニモジピン、アミオダロン、およびアルプラゾラムが含まれる。
【0041】
1つの実施形態では、医薬物質は疎水性化合物、特に疎水性治療薬である。そのような疎水性薬物の例には、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パクリタキセル、ドセタキセル、アシクロビル、アルプラゾラム、アミオダロン、アモキシリン、アナグレリド、バクトリム、ビアキシン、ブデソニド、ブルスルファン、カルバマゼピン、セフタジジム、セフプロジル、シプロフロキシン、クラリスロマイシン、クロザピン、シクロスポリン、ジアゼパム、エストラジオール、エトドラク、ファムシクロビル、フェノフィブラート、フェキソフェナジン、ゲムシタビン、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ラモトリジン、ロラチジン、ロラゼパム、メロキシカム、メサラミン、ミノサイクリン、ナブメトン、メシル酸ネルフィナビル、オランザピン、オキサカルバゼピン、フェニトイン、プロポフォール、リトナビル、SN−38、スルファメタキサゾール、スルファサラジン、タクロリムス、チアガビン、チザニジン、トリメトプリム、バリウム、バルサルタン、ボリコナゾール、ザフィルルカスト、ジロートン、およびジプラシドンが含まれる。この実施形態では、微粒子は好ましくは多孔性である。
【0042】
1つの実施形態では、医薬物質は肺投与用である。例には、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、モメタゾン、フルニソリド、およびトリアムシノロンアセトニドなどのコルチコステロイド薬、テストステロン、プロゲステロン、およびエストラジオールなどのその他のステロイド薬、ザフィルルカストおよびジロートンなどのロイコトリエン阻害薬、セフプロジル、アモキシリンなどの抗生物質、シプロフロキサシン、およびイトラコナゾールなどの抗真菌薬、アルブテロール、フォルモテロール、およびサルメテロールなどの気管支拡張薬、パクリタキセルおよびドセタキセルなどの抗腫瘍薬、ならびにインスリン、カルシトニン、リュープロライド、顆粒球コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、およびソマトスタチンなどのペプチドまたはタンパク質が含まれる。
【0043】
また別の実施形態では、医薬物質は、画像診断用の超音波造影剤、特に超音波イメージング用のガスである。1つの好ましい実施形態では、その気体は、例えばBernsteinらへの米国特許第5,611,344号に記載されているような生体適合性または薬理学的に許容されるフッ化ガスである。用語「気体(ガス)」は、気体、またはイメージングが実施される温度で気体を形成できる化合物である。気体は、単一化合物または化合物の混合物から構成されてよい。ペルフルオロカーボンガスが好ましい;例には、CF、C、C、C10、SF、C、およびCが含まれる。気体の代わりに、またはその気体と組み合わせてその他の造影剤を組み込むことができる。利用できる造影剤には、ポジトロン放射断層撮影法(PET)、コンピュータ援用断層撮影法(CAT)、シングルフォトンエミッションCT、X線、蛍光透視法、および磁気共鳴イメージング法(MRI)に使用される市販で入手できる物質が含まれる。これらの物質が装填された微粒子は、当技術分野において利用できる標準技術および市販で入手できる装置を使用して検出できる。MRIにおける造影剤として使用するために適切な材料の例には、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびガドペントエートジメグルミンなどの現在利用できるガドリニウムキレート剤、ならびに鉄、マグネシウム、マンガン、銅およびクロムが含まれる。CATおよびX線のために有用な材料の例には、ジアトリアゾエートおよびイオタラメートに代表されるイオン性モノマー、イオパミドール、イソヘキソール、およびイオベルソールなどの非イオン性モノマー、イオトロールおよびイオジキサノールなどの非イオン性ダイマー、ならびに例えばイオキサグレートなどのイオン性ダイマーなどの静脈投与用のヨウ素に基づく材料が含まれる。他の有用な材料には経口用のバリウムが含まれる。
【0044】
(3.シェル材料)
シェル材料は、合成材料または天然材料であってよい。シェル材料は、水溶性または非水溶性であってよい。微粒子は非生物分解性または生物分解性材料から形成されてよいが、特に非経口投与のためには生物分解性材料が好ましい。シェル材料のタイプの例には、ポリマー、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物、および脂質が含まれる。ポリマーシェル材料は分解性または非分解性、腐食性または非腐食性、天然または合成であってよい。経口投与には非腐食性ポリマーを使用できる。一般に、合成ポリマーは、合成および分解がより再現性があるために好ましい。天然ポリマーもまた使用できる。ポリヒドロキシブチレートなどの加水分解によって分解する天然バイオポリマーが特に重要な場合がある。このポリマーは、インビボ安定性のために必要な時間、すなわち望ましい送達部位への分布のために必要な時間、および送達のために望ましい時間を含む様々な性能因子に基づいて選択される。その他の選択因子には、ポリマーの保管寿命、分解速度、機械的特性、およびガラス転移温度が含まれることがある。
【0045】
代表的な合成ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびポリ乳酸−co−グリコール酸などのポリヒドロキシ酸、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリラクチド−co−グリコライド、ポリ無水物、ポリオストエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリアルキレン、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリウレタンおよびそのコポリマーなどのポリビニルハロゲン化物、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース、および硫酸セルロースナトリウム塩などの誘導体化セルロース(本明細書ではまとめて「合成セルロース」と呼ぶ)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリイソデシルメタクリレート、ポリイソデシルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、およびポリオクタデシルアクリレートを含むアクリル酸、メタクリル酸またはそれらのコポリマーもしくはエステルを含む誘導体(本明細書ではまとめて「ポリアクリル酸」と呼ぶ)、ポリ酪酸、ポリ吉草酸、およびポリラクチド−co−カプロラクトン、それらのコポリマーおよび混合物である。本明細書で使用する「誘導体」には、置換基、例えばアルキル基、アルキレン基のような化学基の付加、ヒドロキシル化、酸化、およびその他の当業者によってルーチン的に加えられる修飾を有するポリマーが含まれる。
【0046】
好ましい生物分解性ポリマーの例には、乳酸およびグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマー、ならびにPEG、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリウレタン、ポリ酪酸、ポリ吉草酸、ポリラクチド−co−カプロラクトン、それらの混合物およびコポリマーとのコポリマーが含まれる。
【0047】
好ましい天然ポリマーの例には、アルブミンおよびプロラミン、例えばゼインなどのタンパク質、ならびにアルギネート、セルロースおよびポリヒドロキシアルカノエート、例えばポリヒドロキシブチレートなどの多糖類が含まれる。マトリックスのインビボ安定性は、ポリエチレングリコール(PEG)と共重合させたポリラクチド−co−グリコライドなどのポリマーを使用することにより製造中に調整できる。PEGを外部表面上に露出させると、PEGは親水性でRES(網内系)認識を遮蔽することが証明されているので、これらの材料は脈管内投与後に循環する時間を延長させることができる。
【0048】
好ましい非生物分解性ポリマーの例には、エチレン酢酸ビニル、ポリメタクリル酸、ポリアミド、それらのコポリマーおよび混合物が含まれる。
【0049】
生体接着性ポリマーは、粘膜表面(例、消化管、口腔、鼻腔、肺、膣、および眼)を標的とする際に使用するために特に重要な場合がある。これらの例には、ポリ無水物、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリイソデシルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、およびポリオクタデシルアクリレートが含まれる。
【0050】
シェルに使用できる代表的アミノ酸には、天然型および非天然型アミノ酸のどちらも含まれる。アミノ酸は疎水性または親水性であってよく、さらにDアミノ酸、Lアミノ酸またはラセミ混合物であってよい。使用できるアミノ酸には、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸塩、プロリン、システイン、メチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、リシン、アラニン、およびグルタミンが含まれる。アミノ酸は、増量剤として、または非晶質状態にある薬物のための非結晶化剤として、または結晶状態にある薬物のための結晶成長阻害剤、または湿潤剤として使用できる。非結晶化剤または結晶成長阻害剤としては、ロイシン、イソロイシン、アラニン、グリシン、バリン、プロリン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンなどの疎水性アミノ酸がより有効であると思われる。さらに、アミノ酸はシェルに溶解性、溶解速度または湿潤性などのシェルの医薬上の特性に影響を及ぼすために使用できるpH依存性を持たせるために役立つことができる。
【0051】
シェル材料は、賦形剤材料が存在する場合はその賦形剤材料と同一であっても相違していてもよい。1つの実施形態では、賦形剤はシェルを形成するために使用される同一クラスまたは同一タイプの材料を含んでいてよい。また別の実施形態では、賦形剤はシェル材料とは相違する1つ以上の材料を含んでいる。この後者の実施形態では、賦形剤は界面活性剤、湿潤剤、塩、増量剤などであってよい。1つの実施形態では、製剤は、(b)増量剤または張性剤として機能するまた別の糖もしくはアミノ酸と混合された、(a)薬物のコアおよび糖もしくはアミノ酸を含むシェルを有する微粒子を含んでいる。
【0052】
(B.賦形剤)
用語「賦形剤」は、所定の経路による送達および投与を容易にすることを目的とする製剤のあらゆる非有効成分を意味する。例えば、賦形剤はタンパク質、アミノ酸、糖もしくは他の炭水化物、デンプン、脂質、またはそれらの組み合わせを含むことができる。賦形剤は、活性物質の取扱い性、安定性、空気動力学的特性、および分散性を強化することができる。
【0053】
好ましい実施形態では、賦形剤は薬物微粒子と混合される(例えば、微粒子の形状にある)乾燥粉末である。好ましくは、賦形剤微粒子のサイズは医薬物質微粒子のサイズより大きい。1つの実施形態では、賦形剤微粒子は10から500μm、好ましくは20から200μm、より好ましくは40から100μmの体積平均サイズを有する。
【0054】
薬物マトリックスに使用できる代表的アミノ酸には、天然型および非天然型アミノ酸のどちらも含まれる。アミノ酸は疎水性または親水性であってよく、さらにDアミノ酸、Lアミノ酸またはラセミ混合物であってよい。使用できるアミノ酸には、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸塩、プロリン、システイン、メチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、リシン、アラニン、およびグルタミンが含まれる。アミノ酸は、増量剤として、湿潤剤として、または結晶状態にある薬物のための結晶成長阻害剤として使用できる。結晶成長阻害剤としては、ロイシン、イソロイシン、アラニン、グリシン、バリン、プロリン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンなどの疎水性アミノ酸がより有効であると思われる。さらに、アミノ酸はマトリックスに溶解性、溶解速度または湿潤性などのマトリックスの医薬上の特性に影響を及ぼすために使用できるpH依存性を持たせるために役立つことができる。
【0055】
賦形剤の例には、ラクトース、マンニトール、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、デキストラン、サッカロース、およびフルクトースなどの糖を含む医薬上許容される担体および増量剤が含まれる。これらの糖は湿潤剤として機能することもある。その他の適切な賦形剤には、界面活性剤、分散剤、浸透圧剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、着色剤、着香剤、甘味料、および潤滑剤が含まれる。例には、デスオキシコリン酸ナトリウム;ドデシル硫酸ナトリウム;例えばポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート(TWEEN(商標)20)、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノラウレート(TWEEN(商標)21)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミタート(TWEEN(商標)40)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート(TWEEN(商標)80)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;例えば、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテル(BRIJ(商標)30)、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(BRIJ(商標)35)、ポリオキシエチレン10オレイルエーテル(BRIJ(商標)97)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル;例えば、ポリオキシエチレン8ステアレート(MYRJ(商標)45)、ポリオキシエチレン40ステアレート(MYRJ(商標)52)などのポリオキシエチレングリコールエステル;チロキサポール;Spans;およびそれらの混合物が含まれる。
【0056】
結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、糖、ガム、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、ロウおよびポリビニルピロリドンが含まれる。崩壊剤(超崩壊剤を含む)には、デンプン、クレイ、セルロース、クロスカルメロース、クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムが含まれる。流動促進剤の例には、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクが含まれる。希釈剤の例には、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプンおよび粉砂糖が含まれる。潤滑剤の例には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油、およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0057】
特定製剤のための賦形剤の量は、様々な因子に左右され、当業者であれば選択できる。これらの因子の例には、賦形剤の選択、薬物のタイプおよび量、微粒子のサイズおよび形態、ならびに最終製剤の所望の特性および投与経路が含まれる。
【0058】
注射用微粒子の1つの実施形態では、マンニトールとTWEEN(商標)80との組み合わせがポリマーミクロスフェアと混合される。ある場合には、マンニトールが100から200%(w/w)、好ましくは130から170%(w/w)の微粒子で提供されるが、TWEEN(商標)80が0.1から10%(w/w)、好ましくは3.0から5.1%(w/w)の微粒子で提供される。また別の場合には、マンニトールが10から500μmの体積平均粒径で提供される。
【0059】
また別の実施形態では、賦形剤は、経口固形剤形のために使用するための結合剤、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、着色剤、着香剤、甘味料、潤滑剤、またはそれらの組み合わせを含んでいる。経口固形剤形の例には、カプセル剤、錠剤、およびカシェ剤が含まれる。
【0060】
(II.微粒子製剤の製造方法)
医薬製剤は、医薬物質を含む選択されたサイズおよび形態を有するある量の微粒子を形成するステップと、および次に個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子を脱凝集させるために有効な微粒子をジェットミル処理するステップと、を含む工程によって製造される。すなわち、ジェットミル処理は個々の微粒子を著しく破砕することなく微粒子を脱凝集させる。ジェットミル処理は、有益にも製剤中の含水量および残留溶媒レベルを低下させることができ、(例えば、より良好な注射可能性のために)乾燥粉末製剤の懸濁性および湿潤性を改善し、および(例えば、より良好な肺送達のために)乾燥粉末製剤のために向上した空気動力学的特性を与えることができる。
【0061】
1つの実施形態では、この工程はさらに(および任意で)微粒子を1種以上の賦形剤と混合して、乾燥状態にある微粒子と賦形剤との均一な混合物を作製するステップを含む。好ましくは、混合するステップは、ジェットミル処理の前に実施される。しかし所望であれば、混合した製剤の一部または全部の構成成分を混合するステップの前にジェットミル処理することができる。さらに、そのような混合物は混合した微粒子をさらに脱凝集させるためにジェットミル処理することができる。
【0062】
この工程の1つの特定実施形態を図1に示した。この実施形態では、ミクロスフェアが噴霧乾燥器10内での噴霧乾燥によって製造される。ミクロスフェアは、次にブレンダー20内で賦形剤と混合される。最後に、混合されたミクロスフェア/賦形剤はジェットミル30へ供給され、そこでミクロスフェアは脱凝集させられて残留溶媒レベルが低下させられる。ミクロスフェア製剤中の水分レベルもまたジェットミル処理中に低下させることができる。さらに、混合されたミクロスフェア/賦形剤の含量均一性は、ジェットミル処理されていない混合されたミクロスフェア/賦形剤の含量均一性より向上させることができる。
【0063】
本明細書に記載した工程は、バッチ法、連続法、または半バッチ法を使用して実施できる。
【0064】
(微粒子の製造)
微粒子は、当技術分野における様々な技術を使用して作製できる。適切な技術には、噴霧乾燥法、溶融押出法、圧縮成形法、流動床乾燥法、溶媒抽出法、ホットメルトカプセル充填法、および溶媒蒸発法が含まれる。
【0065】
最も好ましい実施形態では、微粒子は噴霧乾燥法によって製造される。例えば、Straubらへの米国特許第5,853,698号;Bernsteinらへの米国特許第5,611,344号;Straubらへの米国特許第6,395,300号;およびChickering IIIらへの米国特許第6,223,455号を参照されたい。例えば、微粒子は医薬物質及び/又はシェル材料を適切な溶媒中に溶解させるステップと、(および任意で固形もしくは液状活性物質、孔形成剤(例、揮発性塩)、または他の添加物を、医薬物質及び/又はシェル材料を含有する溶液内に分散させるステップと)、および次に微粒子を形成するためにその溶液を噴霧乾燥させるステップとによって製造できる。本明細書で定義した医薬物質及び/又はシェル材料を含有する溶液を「噴霧乾燥する」工程は、溶液が微細なミストを形成するために噴霧化されて高温担体ガスとの直接接触によって乾燥させられる工程を意味する。当技術分野において利用できる噴霧乾燥装置を使用して、医薬物質及び/又はシェル材料を含有する溶液を乾燥チャンバー内へ噴霧し、そのチャンバー内で乾燥させ、次にそのチャンバーの出口でサイクロンによって収集することができる。適切な噴霧化装置のタイプの代表的な例には、超音波法、圧送法、空気噴霧法、および回転円板法が含まれる。温度は、使用する溶媒または材料に依存して変動することがある。所望の生成物を製造するために、入口および出口ポートの温度を制御できる。医薬物質及び/又はシェル材料の微粒子のサイズは、医薬物質及び/又はシェル材料の溶液を噴霧するために使用されるノズル、ノズル圧、溶液および噴霧流速、使用される医薬物質及び/又はシェル材料、医薬物質及び/又はシェル材料の濃度、溶媒のタイプ、噴霧温度(入口および出口両方の温度)、ならびにポリマーまたは他のマトリックス材料などのシェル材料の分子量の関数である。一般に、濃度が同一であると仮定すると、分子量が高いほど粒径が大きくなる(分子量の上昇は一般に溶液粘度を上昇させるからである)。0.5から500μmの標的径を有する微粒子を入手できる。これらの微粒子の形態は、例えばシェル材料の選択、ポリマーまたはその他のマトリックス材料などのシェル材料の分子量、噴霧流量、および乾燥条件に左右される。
【0066】
溶媒の蒸発は、Mathiowitzら、J.Scannitag Microscopy,4:329(1990);Beckら、Fertil.Steril,31:545(1979);およびBenitaら、J.Pharm.Sci.,73:1721(1984)によって記載されている。この方法では、シェル材料は塩化メチレンなどの揮発性有機溶媒中に溶解させられる。溶液には固形または液状の孔形成剤を添加することができる。医薬物質は、固体または溶液のいずれかでシェル材料溶液に添加することができる。この混合物は超音波処理またはホモジナイズされ、結果として生じた分散液もしくはエマルジョンは界面活性剤(TWEEN(商標)20、TWEEN(商標)80、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールなど)を含有していてよい水溶液へ添加され、そしてホモジナイズさせてエマルジョンが形成される。結果として生じるエマルジョンは、微粒子を残して有機溶媒の大部分が蒸発するまで撹拌される。数種の相違するポリマー濃度(例、0.05〜0.60g/mL)を使用できる。この方法によって相違するサイズ(1〜1000μm)および形態を備える微粒子を入手できる。この方法は、ポリエステルなどの比較的安定性のポリマーを含むシェル材料のために特に有用である。
【0067】
ホットメルト式マイクロカプセル化法についてはMathiowitzら、Reactive Polymers,6:275(1987)に記載されている。この方法では、シェル材料が最初に溶融され、次に固形もしくは液状医薬物質と混合される。溶融物には固形または液状の孔形成剤を添加することができる。この混合物は非混合性溶媒(例、シリコン油)中に懸濁させられ、持続的に撹拌しながら、シェル材料の溶融点の5℃上方へ加熱される。エマルジョンが安定化させられると、シェル材料粒子が固化するまで冷却される。結果として生じる微粒子は、易流動性粉末を生じさせるために石油エーテルなどのシェル材料非溶媒とのデカンテーションによって洗浄される。一般に、この方法を用いて50から5,000μmのサイズを備える微粒子が入手される。この技術を用いて調製される粒子の外面は通常は平滑かつ緻密である。この方法は、ポリエステルおよびポリ無水物から製造された微粒子を調製するために使用される。しかし、この方法は1,000から50,000の分子量を備えるポリマーなどのシェル材料に限定される。好ましいポリ無水物には、ビスカルボキシフェノキシプロパンと20:80(P(CPP−SA)20:80)(分子量:20,000)のモル比を備えるセバシン酸およびポリフマル酸−co−セバシン酸(20:80)(分子量:15,000)とから製造されるポリ無水物が含まれる。
【0068】
溶媒除去法は、主としてポリ無水物などのシェル材料のために設計された技術である。この方法では、固形もしくは液状の医薬物質が、塩化メチレンなどの揮発性有機溶媒中のシェル材料の溶液中に分散または溶解させられる。この混合物は、エマルジョンを形成するために有機油(例、シリコン油)中で撹拌することによって懸濁させられる。しかし溶媒蒸発法とは相違して、この方法を使用すると高融点および種々の分子量を備えるポリマーなどのシェル材料から微粒子を製造することができる。この技術を用いて製造された微粒子の外部形態は、使用されるシェル材料のタイプに大きく左右される。
【0069】
微粒子を製造するために押出技術を使用できる。この方法では、ポリホスファゼンもしくはポリメチルメタクリレートなどのゲルタイプのポリマーなどのシェル材料から製造される微粒子が、シェル材料を水溶液中に溶解させ、所望であればその混合物中に孔形成剤を懸濁させ、その混合物をホモジナイズし、微小液滴形成装置を通して材料を押出し、反対に荷電したイオンまたはポリ電解質溶液がゆっくりと撹拌される硬化浴中に、微小液滴を落下させることによって製造される。これらのシステムの利点は、それらを製造後にポリリシンのようなポリカチオン性ポリマーでコーティングすることによってヒドロゲル微粒子の表面をさらに修飾できる能力である。微粒子サイズは、様々なサイズの押出機または噴霧装置を使用して制御できる。
【0070】
位相反転式カプセル化法は、Mathiowitzらへの米国特許第6,143,211号に記載されている。比較的低い粘度及び/又は比較的低いシェル材料濃度を使用することによって、混合性である溶媒および非溶媒対を使用することによって、そして10倍以上過剰な非溶媒を使用することによって、非溶媒と溶解した医薬物質及び/又はシェル材料との連続相を非溶媒中に迅速に導入することができる。これは、典型的には10nmから10μmの平均粒径を有する個々の微粒子の位相反転および自発的形成を引き起こす。
【0071】
(ジェットミル処理)
本明細書で使用する用語「ジェットミル」および「ジェットミル処理」には、内部空気分級器を備えた、または備えていないいずれかのタイプのスパイラルジェットミル、ループジェットミル、および流動床ジェットミルを含む流体エネルギー衝撃ミルが含まれ、それらの使用を意味する。本明細書で使用するジェットミル処理は、典型的にはスパイラルフローまたは循環フローで、供給微粒子に高速の空気もしくは他のガスを衝突させることによって、微粒子の形成中または形成に引き続いて製造された実質的に微粒子凝集体を脱凝集させるための技術である。ジェットミル処理工程条件は、微粒子は、少なくとも15%の体積平均サイズ減少および75%以下の数平均サイズ減少を提供するように定量できる個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら実質的に脱凝集させられるように選択される。この工程は、同様に加速された他の粒子上で衝突するために気流中の粒子を高速度へ加速することを特徴とする。
【0072】
典型的なスパイラルジェットミルは図2に示した。ジェットミル50の断面図が示されている。微粒子(混合された、または混合されていない)は、供給シュート52内に供給され、1つ以上のポート56を通して噴射ガスが供給される。微粒子は、インジェクター54を通して脱凝集チャンバー58内へ推し進められる。微粒子はチャンバー58内の極めて高速の渦の中に入り、そこで気流によってミル内の中央放出ポート62から(渦の中で経験する遠心力に逆らって)引っ張り出すために十分小さくなるまで相互にそしてチャンバー壁と衝突する。粉砕ガスはポート60からガス供給リング61内に供給される。粉砕ガスは、次に複数の開口部を通ってチャンバー58内に供給されるが、63aおよび63bの2つのみを示す。脱凝集させられた、均一に混合された微粒子がミル50から放出される。
【0073】
微粒子のバルクを形成する材料の選択およびミル内の微粒子の温度は、脱凝集に影響を及ぼす因子の1つである。このため、ミルには任意で温度制御システムを提供することができる。例えば、制御システムは微粒子を加熱し、材料を低脆弱性にし、したがってミル内で易破砕性を低くし、それによって望ましくないサイズ減少を最小限に抑えることができる。あるいは、制御システムは、脱凝集が可能になるように、微粒子をその材料のガラス転移温度または融点より低温へ冷却することが必要になる場合がある。
【0074】
1つの実施形態では、ホッパーおよびフィーダーを使用してミルへ材料の定常流を提供するために、乾燥粉末材料のジェットミル内への導入を制御することができる。適切なフィーダーの例には、振動フィーダーおよびスクリューフィーダーが含まれる。ジェットミル内に乾燥粉末材料を導入するために当技術分野において知られているその他の手段もまた使用できる。
【0075】
1つの操作方法では、微粒子はフィーダーを介してジェットミルへ無菌的に供給され、そしてミルを通して微粒子を供給および粉砕するために適切なガス、好ましくは乾燥窒素が使用される。粉砕および供給ガス圧は、材料の特性に基づいて調整できる。これらのガス圧は、好ましくは0から10bar、より好ましくは2から8barである。微粒子スループットは、ミルのサイズおよび能力に左右される。ミル処理された微粒子は、濾過によって、またはより好ましくはサイクロンによって収集できる。
【0076】
微粒子のジェットミル処理が微粒子を脱凝集させるだけではなく、微粒子内の残留溶媒および水分レベルを低下させられることが見いだされた。したがって、単一工程ステップが脱凝集および水分/溶媒減少の両方を提供することが見いだされた。残留レベルの低下を達成するためには、噴射/粉砕ガスは好ましくは乾燥窒素などの低湿度ガスである。1つの実施形態では、噴射/粉砕ガスは100℃未満(例、75℃未満、50℃未満、25℃未満)の温度にある。
【0077】
微粒子を脱凝集させるために微粒子(または微粒子含有乾燥粉末混合物)をジェットミル処理することによって、微粒子の分散性が改善されることも見いだされた。本明細書で使用する用語「分散性」には液体中での粉末(例、微粒子の量もしくは用量)の懸濁性、ならびにそのような粉末またはそのような微粒子の空気動力学的特性が含まれる。したがって、用語「向上した分散性」は液体もしくは気体内の粉末の微粒子の粒子−粒子相互作用の減少を意味する。
【0078】
また別の実施形態では、微粒子のジェットミル処理は少なくとも部分的非晶質形から低非晶質形(すなわち、より結晶形)への微粒子内の薬物の形質転換を誘導できる。これは、有益にもより安定な形状にある薬物を提供する。
【0079】
(混合)
1つの好ましい実施形態では、均一の乾燥微粒子混合物が製造される。すなわち、脱凝集させられた微粒子を例えば賦形剤材料、(第2)医薬物質、またはそれらの組み合わせなどの別の材料と混合することができる。ジェットミル処理は、有益にも乾燥粉末混合物の含量均一性を強化することができる。
【0080】
1つの好ましい実施形態では、賦形剤または医薬物質は乾燥粉末の形状にある。1つの実施形態では、脱凝集させる方法は、微粒子を、微粒子の粒径より大きな粒径を有する1種以上の他の材料と混合するステップをさらに含む。
【0081】
1つの実施形態では、混合物は第1医薬物質を含む微粒子を脱凝集させるステップと、そして次にこれらの微粒子を(1つ以上のステップで)1種以上の賦形剤材料および第2医薬物質と混合するステップと、によって製造される。第2実施形態では、混合物は賦形剤材料を含まずに2種以上の医薬物質から製造される。例えば、本方法は第1医薬物質を含む微粒子を脱凝集させるステップと、そして次にこれらの微粒子と第2医薬物質と混合するステップと、を含むことができるであろう。あるいはまた、第1医薬物質を含む微粒子は第2医薬物質を含む微粒子と混合することができ、そして結果として生じた混合物を次に脱凝集させることができよう。
【0082】
混合するステップは、連続、バッチ、または半バッチ工程において1つ以上のステップで実施できる。例えば、2種以上の賦形剤が使用される場合、それらは微粒子と混合される前に、または混合と同時に混合することができる。一般に、賦形剤を微粒子へ添加するために2つのアプローチ:湿式添加法および乾式添加法がある。湿式添加法は、典型的には賦形剤の水溶液を微粒子へ添加するステップを含んでいる。微粒子は次に混合することによって分散させられ、微粒子を十分に分散させるために超音波処理などの追加の処理ステップを必要とすることがある。乾燥分散剤を作製するためには、例えば凍結乾燥などの方法を使用して水を取り除かなければならない。このため湿潤加工処理を排除すること、したがって乾燥添加法を使用することが望ましいであろう。乾燥添加法では、賦形剤は乾燥状態にある微粒子に添加され、構成成分は標準的な乾燥固体混合技術を使用して混合される。乾燥混合法は、都合の良いことに賦形剤と微粒子とを結合する前に賦形剤を溶媒中に溶解または分散させる必要を排除し、したがって引き続いてその溶媒を除去する必要を排除する。それは特に、溶媒除去ステップ、さもなければ凍結乾燥、冷凍、蒸留、または真空乾燥ステップを必要とする場合に有益である。
【0083】
固形−固形医薬混合物の含量均一性は極めて重要である。ジェットミル処理は、含量均一性を強化するために、混合前及び/又は混合後のいずれかにおいて微粒子上で実施できる。1つの好ましい実施形態では、微粒子は当該の1種以上の賦形剤と混合され、そして結果として生じた混合物は次に脱凝集させられた微粒子および賦形剤の均一混合物を産出させるためにジェットミル処理される。
【0084】
ジェットミル処理は、有益にも再構成後に向上した湿潤性および分散性を提供できる。さらに、結果として生じる微粒子製剤はシリンジの針をより容易に通過できる向上した注射可能性を提供できる。
【0085】
ジェットミル処理は、肺投与のための向上した空気動力学的特性を提供する乾燥粉末の向上した分散性を提供することができる。
【0086】
また別の実施形態では、ジェットミル処理微粒子または微粒子/賦形剤のジェットミル処理混合物は、粉末充填カプセル、カシェ剤、または錠剤などの経口固形剤形にさらに加工処理することができる。ジェットミル処理は、有益にもジェットミル処理微粒子または微粒子/賦形剤のジェットミル処理混合物から形成された経口固形剤形として経口投与後の向上した湿潤性および分散性を提供できる。
【0087】
混合は、好ましくは混合物の均一性を達成するために、微粒子を1種以上の他の材料(例、賦形剤)と適切に結合するために本質的にあらゆる技術または装置を使用して実施できる。例えば、混合工程は様々なブレンダーを使用して実施できる。適切なブレンダーの代表的な例には、V型ブレンダー、スラント−コーンブレンダー、キューブブレンダー、ビンブレンダー、静的連続ブレンダー、動的連続ブレンダー、軌道式スクリューブレンダー、遊星ブレンダー、Forbergブレンダー、水平二重アームブレンダー、水平高強度ミキサー、垂直高強度ミキサー、撹拌羽根型ミキサー、ツインコーンミキサー、ドラムミキサー、およびタンブルブレンダーが含まれる。ブレンダーは、医薬品のために必要とされる厳密な衛生的設計であるのが好ましい。
【0088】
バッチ運転のためには、タンブルブレンダーが好ましい。1つの実施形態では、混合は適切な容器中で2種以上の構成成分(乾燥構成成分および小さな比率の液体構成成分のどちらも含むことができる)を無菌的に結合させることによって遂行される。容器は、例えば研磨したステンレススチール製またはガラス製容器であってよい。容器は次に密封して、タンブルブレンダー(例、Willy A.Bachofen AG,Maschinenfabrik社(スイス国バーゼル)によって製造され、Glen Mills社(米国ニュージャージー州クリフトン)によって販売されたTURBULA(商標))内に置かれ(すなわち、固定され)、次に適切な時間にわたり特定速度で混合される。(TURBULA(商標)は、2Lのバスケットおよび最大装填重量10kgを有するT2F型のために22、32、46、67、および96rpmの速度を挙げている。)時間は、好ましくは約5分間から6時間、より好ましくは約5から60分間である。実際の操作パラメータは、例えば特定製剤、混合容器のサイズ、および混合される材料の量に左右されるであろう。
【0089】
連続または半連続運転のために、ブレンダーには任意で、ブレンダー内への1種以上の乾燥粉末構成成分の導入を制御するために、ロータリーフィーダー、スクリューコンベヤー、またはその他のフィーダー機構を提供することができる。
【0090】
(製剤工程におけるその他のステップ)
混合およびジェットミル処理された生成物にはさらに追加の加工処理を受けさせることができる。そのような工程の代表的例には、残留溶媒をさらに除去するための凍結乾燥または真空乾燥、材料をアニーリングするための温度状態調節、粒子の一定分画を回収または除去するため(すなわち、サイズ分布を最適化するために)のサイズ分類、錠剤もしくはその他の形状を形成するための圧縮成形、および包装が含まれる。1つの実施形態では、超過サイズ(例、20μm以上、好ましくは10μm以上)の微粒子が当該微粒子から分離される。一部の製剤は、さらにまたγ線照射などの滅菌処理を受けさせることができる。
【0091】
(III.微粒子製剤を使用する用途)
好ましい実施形態では、微粒子製剤はそれを必要とするヒトまたは動物に、治療薬、診断薬、または予防薬を有効量で送達するために投与される。製剤は、注射または経口投与のために乾燥形または注射用生理食塩液に分散させて投与できる。乾燥形は、エーロゾル化させて、肺投与のために吸入させることができる。投与経路は、送達される医薬物質に左右される。
【0092】
カプセル充填造影剤を含有する微粒子製剤は、血管イメージング、ならびに肝および腎疾患を検出するための用途、循環器科用途、腫瘍塊および組織を検出および特徴付ける際に、ならびに末梢血速度を測定する際に使用できる。組織への付着を最小限に抑えるリガンド、あるいは当技術分野において知られているように微粒子を身体内の特定領域へ標的とさせるリガンドと結合させることができる。
【0093】
本発明は、以下の非限定的実施例を参照することでより詳細に理解できる。
【0094】
(実施例)
PLGAミクロスフェア、TWEEN(商標)80(Spectrum Chemicals社、ニュージャージー州ニューブランズウィック)、およびマンニトール(Spectrum Chemicals社)とを結合して、混合およびジェットミル処理実験を実施した。TWEEN(商標)80を下記では「Tween 80」と呼ぶ。乾式混合は、以下の相対量の各材料に基づいて実施した:39mgのPLGAミクロスフェア、54.6mgのマンニトール、および0.16mgのTween 80。
【0095】
混合のためにはTURBULA(商標)反転ミキサー(T2F型)を使用した。脱凝集のためには、噴射および粉砕ガスとして乾燥窒素ガスを使用するAlpine Aeroplexスパイラルジェットミル(50AS型)を使用した。実施例1〜4に記載するように、4つの混合工程を試験し、4つの混合工程各々に対して3種の相違するジェットミル操作条件を試験した。
【0096】
全試験において、乾燥粉末はジェットミルに手作業で供給したので、したがって粉末供給速度は一定ではなかった。粉末供給は手作業であったが、供給速度は全試験についておよそ1.0g/分であると計算したことに留意されたい。供給速度は、1バッチで加工される材料対全バッチ時間で加工される全材料の比率である。ジェットミル処理サンプルの粒径測定は、他に特別に指示していない限り、50μmの口径を備えるCoulter Multisizer IIを使用して実施した。空気動力学粒径が報告されている場合は、Aerosizer(TSI社)を使用して実施した。
【0097】
実施例1〜4において使用したPLGAミクロスフェアは同一バッチ(「ロットA」)からのものであった。ミクロスフェアは、以下のとおりに調製した:ポリマーエマルジョンは、連続ポリマー相/有機溶媒相中に懸濁させた水相の液滴から調製かつ構成した。ポリマーは市販で入手したポリラクチド−co−グリコライド(PLGA)(50:50)であり、有機溶媒は塩化メチレンであった。結果として生じたエマルジョンは、乾燥チャンバーを備える特注噴霧乾燥器上で12℃の出口温度とともに150mL/分の流量で噴霧乾燥させた。
【0098】
実施例5で使用したPLGAミクロスフェアは上記に記載したロットAならびにロットBおよびロットCからであり、これらは以下のとおりに調製した:ロットB:ポリマーが異なる市販供給源から提供されたこと以外は、ロットAと同様にエマルジョンを作製した。結果として生じたエマルジョンは、乾燥チャンバーを備える特注噴霧乾燥器上で12℃の出口温度とともに200mL/分の流量で噴霧乾燥させた。ロットC:結果として生じたエマルジョンを150mL/分の流量で噴霧乾燥させた以外は、ロットBと同一の方法でエマルジョンを作製した。以下の表Aは、噴霧乾燥条件およびそれによって作製されたバルクミクロスフェアについて記載している情報を提供している。
【表1】

【0099】
(実施例1)
PLGAミクロスフェア/賦形剤混合物(乾燥/乾燥2段階混合により製造された)のジェットミル処理
混合は2つの乾燥ステップで実施した。第1ステップでは、5.46gのマンニトールおよび0.16gのTween 80を125mLのガラスジャー内に添加した。このジャーを次に46分−1で15分間に設定したTURBULA(商標)ミキサー内にセットした。第2ステップでは、混合されたマンニトールおよびTween 80を含有するガラスジャー内に3.9gのPLGAミクロスフェアを添加した。このジャーを次に46分−1で30分間に設定したTURBULA(商標)ミキサー内にセットした。乾燥混合粉末を製造した。この乾燥混合粉末を次に粒子脱凝集のために手作業でジェットミル内に供給した。表1に記載したようにジェットミルの3セットの操作条件を使用した。
【表2】

【0100】
結果として生じたジェットミル処理サンプルを粒径について分析した。比較のために、マンニトールの代表的サンプル(混合およびジェットミル処理の前)およびコントロールサンプル(混合されているがジェットミル処理はされていない)を分析した。Coulter Multisizer IIの結果は表2に示した。
【表3】

【0101】
コントロールサンプルとジェットミル処理サンプルのデータを比較することによって、ジェットミル処理が有意な粒子脱凝集を提供すると推論できる。粉砕空気圧が上昇するにつれて、Xはほぼ一定であったが、Xは低下した。
【0102】
(実施例2)
湿式/乾式2段階混合により製造されたPLGAミクロスフェア/賦形剤混合物のジェットミル処理
混合は、1つは湿式および1つは乾式の2つのステップで実施した。第1ステップでは、マンニトールおよびTween 80を液状形で混合した。Tween 80、マンニトール、および水から500mL量のTween 80/マンニトールビヒクルを調製した。ビヒクルは、濃度0.16%のTween 80および54.6mg/mLのマンニトールを有していた。ビヒクルを1,200mLのVirtisガラスジャー内へ移し、次に液体窒素を用いて冷凍した。ビヒクルをジャーの内側周囲でシェルとして30分間で冷凍し、次に31mTorrに設定したVirtis乾燥器(FreezeMobile 8EL型)内で115時間にわたり真空乾燥処理を受けさせた。真空乾燥の終了時に、ビヒクルはマンニトールとともに均質に分散したTween 80であると考えられる粉末形であった。第2ステップでは、混合したマンニトールおよびTween 80を含有するガラスジャー内に3.9gのPLGAミクロスフェアを添加した。このジャーを次に46分−1で30分間に設定したTURBULA(商標)ミキサー内にセットした。乾燥混合粉末を製造した。この乾燥混合粉末を次に粒子脱凝集のために手作業でジェットミル内に供給した。表3に記載したようにジェットミルの3セットの操作条件を使用した。
【表4】

【0103】
結果として生じたジェットミル処理サンプルを粒径について分析した。比較のために、コントロールサンプル(混合されたがジェットミル処理されていない)を同様に分析した。Coulter Multisizer IIの結果は表4に示した。
【表5】

【0104】
同様に、コントロールサンプルとジェットミル処理サンプルのデータを比較することによって、ジェットミル処理が有意な粒子脱凝集を提供すると推論できる。
【0105】
(実施例3)
1段階乾式混合により製造されたPLGAミクロスフェア/賦形剤混合物のジェットミル処理
混合時間をさらにいっそう減少させる試みで、単一混合段階について試験した。最初に、5.46gのマンニトールを125mLのガラスジャー内に添加した。次に0.16gのTween 80および3.9gのPLGAミクロスフェアをジャー内に添加した。このジャーを次に46分−1で30分間に設定したTURBULA(商標)ミキサー内にセットした。乾燥混合粉末を製造した。この乾燥混合粉末を粒子脱凝集のために手作業でジェットミル内に供給した。表5に記載したようにジェットミルの3セットの操作条件を使用した。
【表6】

【0106】
結果として生じたジェットミル処理サンプルを粒径について分析した。比較のために、コントロールサンプル(混合されたがジェットミル処理されていない)を同様に分析した。Coulter Multisizer IIの数値は表6に示した。
【表7】

【0107】
同様に、コントロールサンプルとジェットミル処理サンプルのデータを比較することによって、ジェットミル処理が有意な粒子脱凝集を提供すると推論できる。
【0108】
(実施例4)
PLGAミクロスフェア/賦形剤混合物(1段階乾式混合−高速により製造された)のジェットミル処理
混合時間をさらにいっそう減少させる試みにおいて、実施例3において使用した速度と比較して、TURBULA(商標)ミキサーの混合速度を増加して単一混合段階を試験した。はじめに、5.46gのマンニトールを125mLのガラスジャー内に添加した。次に0.16gのTween 80および3.9gのPLGAミクロスフェアをジャー内に添加した。このジャーを次に96分−1で30分間に設定したTURBULA(商標)ミキサー内にセットした。乾燥混合粉末を製造した。この乾燥混合粉末を粒子脱凝集のために手作業でジェットミル内に供給した。表7に記載したようにジェットミルの3セットの操作条件を使用した。
【表8】

【0109】
結果として生じたジェットミル処理サンプルを粒径について分析した。比較のために、コントロールサンプル(混合されたがジェットミル処理されていない)を同様に分析した。Coulter Multisizer IIの結果は表8に示した。
【表9】

【0110】
同様に、コントロールサンプルとジェットミル処理サンプルのデータを比較することによって、ジェットミル処理が有意な粒子脱凝集を提供すると推論できる。
【0111】
(実施例5)
ジェットミル処理がミクロスフェアの残留水分レベルおよびミクロスフェアの形態に及ぼす作用
PLGAミクロスフェアの含水量をジェットミル処理の前および後に、カールフィッシャー滴定法によって測定した。溶媒としてのクロロホルム−メタノール(70:30)および滴定剤としてのHydranl−Componsite 1と一緒に、Brinkman Metrohm 701 KF Titrinio滴定装置を使用した。PLGAミクロスフェアは全部実施例の緒言部分に記載したとおりに噴霧乾燥によって生成し、次に表9に示した条件を使用してジェットミル処理した。粉砕圧は、およそ18から20℃の温度で周囲窒素によって提供した。結果は表10に示した。
【表10】

【表11】

【0112】
表10に示したデータは、水分レベルの実質的減少が発生したことを示している。10%を越える水分レベルは粉末状製剤を不安定に、そして取扱いを困難にさせる可能性があるので、ジェットミル処理は高度に有用かつ予想外の補助的利点を提供すると思われる。すなわち、脱凝集と一緒に、ジェットミル処理は材料をより有効な、より安定な、そしてより容易に取り扱える材料に転換させた。
【0113】
図3A〜Bは、ミクロスフェアの形態が無傷のままであることを示している、ジェットミル処理の前後に撮影したSEM画像(3.6barの噴射圧、3.1barの粉砕圧、表9からのサンプル5.1)を示している。特に、図3Aは個々の微粒子の凝集体を明白に示しているミル処理前のミクロスフェアのSEMであり、図3Bは類似の凝集塊を示していないミル処理後ミクロスフェアのSEMである。さらに、全体的ミクロスフェア構造は無傷のままであり、個々の球体の粉砕または破砕の徴候は見られない。これは、ジェットミル処理が微粒子を脱凝集または脱凝結させること、そして個々の微粒子を実際に破砕したりサイズを減少させたりしないことを示している。
【0114】
(実施例6)
ジェットミル処理が混合物残留水分レベルに及ぼす作用
混合物は実施例1に記載したとおりに調製し、水分レベルは実施例5に記載したとおりに測定した。表11は、24℃で粉砕ガスを使用してジェットミル処理前(コントロール)およびジェットミル処理後に測定した、ミクロスフェア(ロットA)、マンニトール、およびTween 80の乾燥混合物の水分レベルを示している。
【表12】

【0115】
結果は、乾燥混合材料の含水量がジェットミル処理によって約80%減少したことを証明している。粉砕圧を上昇させても、含水量をそれ以上有意には減少させなかった。
【0116】
(実施例7)
ジェットミル処理が残留有機溶媒レベルに及ぼす作用
PLGAミクロスフェアの残留塩化メチレン含量を混合およびジェットミル処理前ならびにジェットミル処理後にガスクロマトグラフィーによって測定した。多孔性PLGAミクロスフェア(実施例1に記載したロットAから)をマンニトールと46rpmで30分間混合し、次にジェットミル処理した(噴射圧3.9bar、粉砕圧3.0bar、および空気温度24℃)。このアッセイは、ヘッドスペース・オートサンプラーおよび電子捕獲検出器を装備したHewlett Packard製5890型ガスクロマトグラフ上で実施した。使用したカラムは、DBWaxカラム(30m×0.25mm(内径)、膜厚0.5μm)であった。サンプルを計量してヘッドスペースバイアル内に入れ、これを次に40℃に加熱した。ヘッドスペースガスを1.5mL/分のカラム流量でカラムに移し、次に40℃から180℃の熱勾配を受けさせた。結果は表12に示した。
【表13】

【0117】
結果は、微粒子乾燥混合製剤をジェットミル処理することによって残留塩化メチレンのレベルにおける実質的減少を達成できることを証明している。
【0118】
本明細書で言及した出版物およびそれらが言及している文献は、参照として特別に組み込まれる。本明細書に記載した方法および装置の修飾および変形は、上記の詳細な説明から当業者には明白であろう。そのような修飾および変形は、添付の特許請求項の範囲内に含まれると意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】脱凝集微粒子製剤を製造する好ましい工程のフローチャートである。
【図2】微粒子を脱凝集させる方法において有用な典型的ジェットミルの図である。
【図3】ジェットミル処理の前後に撮影したミクロスフェアのSEM画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥粉末混合医薬製剤を製造する方法であって、
医薬物質を含む微粒子を形成するステップと、
該微粒子の体積平均径より大きい体積平均径を有する粒子形状である少なくとも1種の賦形剤を提供するステップと、
粉末混合物を形成するために該微粒子を該賦形剤と混合するステップと、および
個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子の少なくとも一部分を脱凝集させるために該粉末混合物をジェットミル処理するステップと、を含む方法。
【請求項2】
該ジェットミル処理するステップが、ジェットミル処理されていない乾燥粉末混合物の溶媒もしくは含水量に比較して該乾燥粉末混合物の残留溶媒もしくは含水量を減少させる、及び/又は該乾燥粉末混合物の分散性を向上させる、及び/又は該乾燥粉末混合物内の該医薬物質の非晶質含量を減少させる、請求項1の方法。
【請求項3】
該賦形剤粒子が10から500μmの体積平均サイズを有する、請求項1または2の方法。
【請求項4】
該賦形剤が、増量剤、保存料、湿潤剤、界面活性剤、浸透圧剤、医薬上許容される担体、希釈剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1から3のいずれかの方法。
【請求項5】
該賦形剤が、脂質、糖、アミノ酸、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ならびにそれらの組み合わせから選択される、請求項1から3のいずれかの方法。
【請求項6】
該賦形剤が、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、キシリトール、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1から3のいずれかの方法。
【請求項7】
該賦形剤が、経口固形剤形に使用するために適合する結合剤、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、着色剤、着香剤、甘味料、潤滑剤、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1から3のいずれかの方法。
【請求項8】
2種以上の賦形剤が該微粒子と混合される、請求項1から7のいずれかの方法。
【請求項9】
該2種以上の賦形剤が賦形剤混合物を形成するために湿式または乾式混合段階で混合され、該賦形剤混合物が次に該微粒子と混合される、請求項8の方法。
【請求項10】
該2種以上の賦形剤および該微粒子が単一段階で混合される、請求項8の方法。
【請求項11】
該微粒子が1種の生体適合性ポリマーをさらに含む、請求項1から10のいずれかの方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかの方法によって製造された乾燥粉末混合物を含む医薬組成物。
【請求項13】
医薬製剤に使用するための微粒子を製造する方法であって、
(a)噴霧乾燥工程によって微粒子を形成するステップであって、
該溶媒および該医薬物質の液滴を形成するために溶媒および医薬物質を含むエマルジョン、溶液、または懸濁液を噴霧器に通して噴霧するステップと、および
該液滴を固化させて微粒子を形成するために該溶媒の一部分を蒸発させるステップと、を含むステップと、および
(b)個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子があれば、少なくともその一部分を脱凝集させるために該微粒子をジェットミル処理するステップと、を含む方法。
【請求項14】
該ジェットミル処理する段階が、ジェットミル処理されていない該微粒子の溶媒もしくは含水量に比較して該微粒子の残留溶媒もしくは含水量を減少させる、及び/又は該微粒子の分散性を向上させる、及び/又は該微粒子内の該医薬物質の非晶質含量を減少させる、請求項13の方法。
【請求項15】
該微粒子のジェットミル処理前、ジェットミル処理後、またはジェットミル処理前およびジェットミル処理後の両方において、該微粒子と1種以上の賦形剤及び/又は第2医薬物質を含む第2量の微粒子とを混合するステップをさらに含む、請求項13または14の方法。
【請求項16】
該エマルジョン、溶液、または懸濁液が生体適合性ポリマーをさらに含む、請求項13から15のいずれかの方法。
【請求項17】
該生体適合性ポリマーが、ポリヒドロキシ酸、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリウレタン、ポリ酪酸、ポリ吉草酸、ポリラクチド−co−カプロラクトン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーから選択された合成ポリマーである、請求項11または16の方法。
【請求項18】
該エマルジョン、溶液、または懸濁液がシェル材料をさらに含む、請求項13から15のいずれかの方法。
【請求項19】
該微粒子が該医薬物質のコアを取り囲むシェル材料を含む、請求項1または13の方法。
【請求項20】
請求項13から19のいずれかの方法によって製造された微粒子を含む医薬組成物。
【請求項21】
微粒子を含む医薬製剤を製造する方法であって:
医薬物質およびシェル材料を含む微粒子を形成するステップと、および
個々の微粒子のサイズおよび形態を実質的に維持しながら、凝集している微粒子の少なくとも一部分を脱凝集させるために該微粒子をジェットミル処理するステップと、を含む方法。
【請求項22】
該微粒子のジェットミル処理前、ジェットミル処理後、またはジェットミル処理前およびジェットミル処理後の両方において、該微粒子と1種以上の賦形剤とを混合するステップをさらに含む、請求項21の方法。
【請求項23】
該医薬物質が該シェル材料全体に分散している、請求項21または22の方法。
【請求項24】
該微粒子が該シェル材料によって取り囲まれた該医薬物質のコアを含む、請求項21または22の方法。
【請求項25】
請求項21から24のいずれかの方法によって製造され、脱凝集させられた微粒子を含む医薬組成物。
【請求項26】
該シェル材料が糖もしくはアミノ酸を含み、該賦形剤が増量剤もしくは張性剤として機能する糖もしくはアミノ酸を含む、請求項22の方法によって製造され、脱凝集させられた微粒子を含む医薬組成物。
【請求項27】
該シェル材料が、ポリマー、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物、および脂質から選択される、請求項18、19、または21の方法。
【請求項28】
該微粒子が噴霧乾燥工程によって形成される、請求項1または21の方法。
【請求項29】
該ジェットミル処理が、約100℃未満の温度でジェットミルへ供給される供給ガス及び/又は粉砕ガスを用いて実施される、請求項1、13、および21のいずれかの方法。
【請求項30】
該微粒子が1から10μmの数平均サイズを有する、請求項1、14、または22の方法。
【請求項31】
該微粒子が2から50μmの体積平均サイズを有する、請求項1、13、または21の方法。
【請求項32】
該微粒子が1から50μmの空気動力学的径を有する、請求項1、13、または21の方法。
【請求項33】
該微粒子がその中に空隙または細孔を有するミクロスフェアを含む、請求項1、13、または21の方法。
【請求項34】
該医薬物質が治療薬または予防薬である、請求項1、13、または21の方法。
【請求項35】
該治療薬または予防薬が疎水性であり、該微粒子がその中に空隙または細孔を有するミクロスフェアを含む、請求項34の方法。
【請求項36】
該治療薬または予防薬が、非ステロイド抗炎症薬、コルチコステロイド薬、抗腫瘍薬、抗微生物薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬、免疫抑制薬、抗不安薬、鎮静薬/催眠薬、抗精神病薬、抗痙攣薬、およびカルシウムチャネル遮断薬から選択される、請求項34の方法。
【請求項37】
治療薬または予防薬が、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ドセタキセル、パクリタキセル、アシクロビル、アルブテロール、アルプラゾラム、アミオダロン、アモキシリン、アナグレリド、バクトリム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ビアキシン、ブデソニド、ブルスルファン、カルシトニン、カルバマゼピン、セフタジジム、セフプロジル、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クロザピン、シクロスポリン、ジアゼパム、エストラジオール、エトドラク、ファムシクロビル、フェノフィブラート、フェキソフェナジン、フォモテロール、フルニゾリド、プロピオン酸フルチカゾン、ゲムシタビン、ガンシクロビル、顆粒球コロニー刺激因子、インスリン、イトラコナゾール、ラモトリジン、ロイブロリド、ロラチジン、ロラゼパム、メロキシカム、メサラミン、ミノサイクリン、モダフィニル、モメタゾン、ナブメトン、メシル酸ネルフィナビル、オランザピン、オキサカルバゼピン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、フェニトイン、プロゲステロン、プロポフォール、リトナビル、サルメテロール、シロリムス、SN−38、ソマトスタチン、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、テストステロン、タクロリムス、チアガビン、チザニジン、トリアムシノロンアセトニド、トリメトプリム、バルサルタン、ボリコナゾール、ザフィルルカスト、ジロートン、およびジプラシドンから選択される、請求項34の方法。
【請求項38】
該医薬物質が診断薬を含む、請求項1、13、または21の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−514044(P2006−514044A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565051(P2004−565051)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/037100
【国際公開番号】WO2004/060344
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(505113768)アキュスフィア, インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】