説明

脱硫装置用インペラ交換装置及び脱硫装置用インペラ

【課題】設置スペースをとらず、インペラの交換を効率よく行うことができる脱硫装置用インペラ交換装置を提供する。
【解決手段】脱硫装置用インペラの交換装置は、昇降手段201により昇降可能に支持され、かつ第1回転駆動手段202により旋回可能とされる第1旋回部材203と、第1旋回部材に載置され、往復動手段204により水平移動可能とされるスライド部材205と、スライド部材に前記第1旋回部材の旋回軸を中心に複数載置され、第2回転駆動手段206によりそれぞれ旋回可能とされる第2旋回部材207から構成され、第2旋回部材は、支柱207と、該支柱の上部に設けられインペラ211を当該第2旋回部材の旋回中心に支持する二股状の支持具209を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶銑の脱硫に用いられる脱硫装置用インペラ交換装置及び脱硫装置用インペラに関するものであり、具体的には、設置スペースをとらず効率的にインペラを交換できるインペラ交換装置、ならびに該インペラ交換装置で取り扱われ、脱硫装置における攪拌機の駆動軸下端へ効率よく着脱することができるインペラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、溶銑が入れられた取鍋に脱硫剤を投入するとともに該取鍋内の溶銑にインペラを浸漬させ、該インペラを回転させることにより溶銑と脱硫剤を攪拌混合し溶銑の脱硫を行うことが行われている。
【0003】
図1は、上記脱硫に用いられる脱硫装置の攪拌機を示すものである。
攪拌機20は、当該攪拌機20を昇降可能に支持するデッキ24の先端部に連結される筒体26と、筒体26の軸心に配置され上下のベアリングにより筒体26に回転可能に支持される駆動軸28と、駆動軸28下端にカップリング29を介して着脱可能に取り付けられるインペラ11と、デッキ24上に固定されるモータ及び該モータと駆動軸28を連結する歯車伝動機構よりなる駆動軸回転手段38とを有している。
【0004】
また、図示しない脱硫装置の本体には、インペラ11の上方で取鍋30の上部を覆う位置に耐火物で被覆された防塵カバー22が取り付けられており、排気ダクトを通して脱硫時に発生した粉塵を捕集するものとなっている。
【0005】
一般に、溶銑中に浸漬されるインペラ11の表面は、高温の溶銑によるインペラの溶損を防ぐため耐火物で被覆されるものであるが、使用回数の増加にともない、耐火物が剥離、欠落したり、スラグが付着したりして変形する。
このため、上記攪拌機においては、インペラを定期的に交換する必要があり、そのための交換装置が開発されている。(特許文献1,2参照。)
【0006】
このうち、特許文献1に記載されたインペラ交換装置は、図2に示すように、脱硫処理ライン上を走行させる自走式台車101上に、シリンダ装置102により昇降可能に支持された複数のインペラ容器103を設置し、該インペラ容器103上においてインペラ104の回転軸105と攪拌機の駆動軸106とをフランジ継手107により着脱させるものであり、インペラ容器103内に、シリンダにより水平方向に可動とされる台車108と、該台車108上に回転自在に支持されるターンテーブル109から構成される芯出し装置110を設けることにより、インペラの交換作業を簡易かつ迅速に行えるようにしたものである。
【0007】
また、特許文献2に記載されたインペラ交換装置は、図3に示すように、脱硫処理ライン上を走行可能なインペラ交換台車121と、その上に立設され、シリンダ装置等により昇降可能に構成された昇降支柱122と、その昇降支柱122の上部に取付けられたインペラ支持用の支持アーム123と、その支持アームの遊端部に取付けられた支持具124とから構成され、該支持具124によりインペラ125の張り出し部126の部分を持ち上げ支持することでインペラの交換作業を行うものである。
【特許文献1】実開平5−37949号公報
【特許文献2】特開2003−185358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載されたインペラ交換装置は、新旧インペラを交換するに際し、台車101が、攪拌機における駆動軸106直下の交換位置と、攪拌機から離れ新旧インペラを外部から台車に対し搬入出する準備位置との間を直線往復動するものであり、設置スペースが大きなものである。また、インペラ容器103にインペラ104下端面を載置して交換作業を行うものであるため、インペラ容器103はインペラ104の径より大きなものが必要となり、装置全体の寸法も必然的に大きなものとなる。さらに、インペラの製作の精度が悪い場合や、インペラ下端面に溶銑やスラグが付着している場合は、インペラ容器103に載置したインペラ104は斜めに傾きフランジ継手107の着脱が困難となるため交換作業がスムーズに行えないという問題があった。
【0009】
一方、特許文献2に記載されたインペラ交換装置は、支持具124によりインペラの張り出し部126の部分を持ち上げ支持することでインペラ125の交換作業を行うものであることから、上記特許文献1に記載されたインペラ容器103は不要なものであり、装置の小型化が図れる。また、インペラの下端に付着物があった場合でも、該インペラを水平に支持することができるため、インペラの交換作業がスムースに行えるものである。
しかしながら、特許文献2に記載されたインペラ交換装置も、新旧インペラを交換するに際し、特許文献1に記載された装置と同様に、台車121が、インペラ125の交換位置と準備位置との間を直線往復動するものであり、依然として装置の設置に大きなスペースを要するものである。
【0010】
そこで、本発明は、設置スペースをとらず、インペラの交換を効率よく行うことができる脱硫装置用インペラ交換装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、当該インペラ交換装置で取り扱われ、脱硫装置における攪拌機の駆動軸下端へ効率よく着脱することができるインペラを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、駆動軸228下端にカップリング240を介して着脱可能に取り付けられる脱硫装置用インペラ211の交換装置において、昇降手段201により昇降可能に支持され、かつ第1回転駆動手段202により旋回可能とされる第1旋回部材203と、第1旋回部材203に載置され、往復動手段204により水平移動可能とされるスライド部材205と、スライド部材205に前記第1旋回部材203の旋回軸を中心に複数載置され、第2回転駆動手段206によりそれぞれ旋回可能とされる第2旋回部材207,207から構成され、第2旋回部材207は、支柱208と、該支柱208の上部に設けられインペラ211を当該第2旋回部材207の旋回中心に支持する二股状の支持具209を有することを特徴とする。
【0012】
前記第2の目的を達成するため、請求項2に係る発明は、駆動軸228下端にカップリング240を介して着脱可能に取り付けられる脱硫装置用インペラ211であって、カップリング240が、駆動軸228下端に接続される上部カップリング部材242と、インペラ211の回転軸212上端に接続される下部カップリング部材241とから構成されるとともに、両カップリング部材241,242がボルトナットによる締結手段で連結可能とされ、下部カップリング部材241の下方にフランジ状支持部221が設けられてなる脱硫装置用インペラにおいて、下部カップリング部材241は、その外周位置に上部カップリング部材242との接合面から外周面にかけて開口する溝243が複数形成され、該溝243内に倒立状とされるボルト245の軸部247が外周側に傾倒可能となるようボルト頭部246が枢着されるとともに、上部カップリング部材242は、その外周位置に前記下部カップリング部材241の溝243に対応して軸方向に貫通し外周面に開口する溝244が複数形成され、該溝244内に外周面から前記ボルトの軸部247が嵌入可能なものとされており、上部カップリング部材242に形成された溝244内に嵌入したボルト軸部247に、当該上部カップリング部材242の上方からナット248を締め付けることで、両カップリング部材241,242が連結可能とされることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、カップリング240は、両カップリング部材241,242の接触面内方に、上方に向けて小径となるテーパ250,251が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の脱硫装置用インペラ交換装置は、インペラ交換装置を旋回式としたので、従来の直線往復動式の交換装置に比べ、装置の設置スペースを小さくできる。また、従来の直線往復動式のインペラ交換装置は、インペラを攪拌機における駆動軸直下の交換位置へ搬送する装置とは別に該インペラを駆動軸に対し芯出しする装置が必要とされるものであったが、本発明のインペラ交換装置は、第1旋回部材203にスライド部材205を載置する構成とすることで、インペラ211を駆動軸228直下の交換装置へ搬送する装置を、該インペラ211を駆動軸228に対し芯出しする装置として利用することができるため、装置全体の構成を簡素化できるとともに、作業の効率化を図ることができる。さらに、スライド部材205に第2旋回部材207を載置することで、前記芯出し作業後における駆動軸側のカップリング部材とインペラ側のカップリング部材の各ボルト連結孔またはボルト連結溝の位置合わせを行うことができ、作業の一層の効率化を図ることができるとともに、インペラ211を外部からインペラ交換装置に対し搬入出する準備位置において、インペラを搬入出する方向を自由に設定することができ、該準備位置におけるインペラ搬入出作業も効率的に行うことができる。
【0015】
請求項2に係る発明の脱硫装置用インペラは、フランジ状支持部221が設けられており、請求項1に係る発明のインペラ交換装置における二股状のインペラ支持具209により支持することが可能なものである。そして、前記インペラ交換装置で、駆動軸228に対し効率よく芯出しされ、かつ効率よくボルト連結溝243,244の位置合わせがされた本発明のインペラ211は、インペラ211の回転軸212上端に接続される下部カップリング部材241の溝43内に頭部246が枢着されるボルト245の軸部247を、駆動軸228下端に接続される上部カップリング部材242の溝244内に嵌入させ、上部カップリング部材242の上方からナット248を締め付けることで、両カップリング部材241,242を連結することができ、駆動軸への取り付け作業を簡単に効率よく行うことができる。
【0016】
請求項3に係る発明の脱硫装置用インペラは、下部カップリング部材241の上部カップリング部材242との接触面内方に、上部カップリング部材242に形成されるテーパ251に対応し、上方に向けて小径となるテーパ250が形成されているので、インペラの交換に際し、両者の芯合わせを容易に行うことができ、交換作業を一層効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図4は、本発明の脱硫装置用インペラ交換装置の概略図、図5は、本発明の脱硫装置用インペラ交換装置のインペラ支持部付近を示す説明図、をそれぞれ示す。
また、図6は、本発明の脱硫装置用インペラ交換装置で取り扱われる脱硫装置用インペラと該インペラが装着される攪拌機の駆動軸とのカップリング部の構造を示す断面図、図7は、本発明の脱硫装置用インペラの上端に接続される下部カップリング部材の平面図であり、一部図6におけるA−A断面図、をそれぞれ示す。
【0018】
(1)インペラ交換装置
図4に示すように、本発明の実施の形態における脱硫装置用インペラ交換装置は、油圧シリンダ201により昇降可能とされ、親旋回用モータ202により旋回可能とされる親旋回フレーム203、親旋回フレーム203に載置され、親旋回フレーム203とともに旋回するとともに該親旋回フレーム203に固定された油圧シリンダ204により親旋回フレーム203に対し水平方向に移動可能とされるスライドフレーム205、スライドフレーム205上において前記親旋回フレーム203の旋回中心に対し対称となる位置に載置され、子旋回用モータ206により旋回可能とされる一対の子旋回フレーム207から構成される。
【0019】
一対の子旋回フレーム207は、上方に伸びる支柱208と、該支柱208上部に取り付けられインペラ211に設けられたフランジ状支持部221を支持する二股状のインペラ支持部209とを有しており、該インペラ支持部209は、インペラ211の軸心を子旋回フレーム207の旋回中心にほぼ一致させた状態で支持するものとなっている。そして、一対の子旋回フレーム207は、一方の子旋回フレーム207が攪拌機側の交換位置に位置する場合、他方の子旋回フレーム207はインペラを外部からインペラ交換装置に対し搬入出する準備位置に位置するよう配置されている。
【0020】
また、前記支柱208における二股状のインペラ支持部209の下方には作業デッキ210が設けられており、図5に示すように、作業員が作業デッキ210上において攪拌機の駆動軸228に対しインペラ211の着脱作業等を行えるようになっている。そして、一方の作業デッキ下方位置は、図示しない防熱カバーで覆われており、攪拌機からインペラを取り外す際に、インペラ等の輻射熱から作業員を保護する構成となっている。
【0021】
次に、上記本発明の実施の形態におけるインペラ交換装置を用いてインペラを交換する方法について説明する。
攪拌機にインペラ211を取り付ける場合、まず、親旋回フレーム203を旋回させ子旋回フレーム207を上記準備位置に移動させるとともに、子旋回フレーム207を旋回させることで二股状インペラ支持部209の股部をインペラ211の搬入方向へ向ける。そして、クレーン等によりインペラ211をインペラ支持部209の股部に対し搬入し、該インペラ支持部209上面でインペラ211に設けられたフランジ状支持部221を支持する。なお、このとき、インペラ211の軸心は、子旋回フレーム207の旋回中心にほぼ一致する。
次に、親旋回フレーム203を旋回させ子旋回フレーム207のインペラ支持部209に支持されたインペラ211を上記交換位置に移動させるとともに、親旋回フレーム203に載置されたスライドフレーム205を水平方向に調整することで、攪拌機の駆動軸228に対するインペラ211の芯出しを行う。
そして、親旋回フレーム203とともに子旋回フレーム207を上昇させインペラ211を駆動軸228に対し接近させた後、子旋回フレーム207を旋回させて、後述する駆動軸228側のカップリング部材とインペラ211側のカップリング部材の各ボルト連結孔あるいはボルト連結溝243,244の位置合わせを行う。
その後、作業員が、作業デッキ210上において駆動軸228に対するインペラ211の取り付け作業を行った後、子旋回フレームを交換位置から退避させる。
【0022】
攪拌機からインペラ211を取り外す場合、上記とは逆に、上記交換位置において二股状のインペラ支持部209を上昇させ、インペラ211に設けられるフランジ状支持部221を支持した状態で、駆動軸228とインペラ211の連結を解除する。
そして、親旋回フレーム203とともに子旋回フレーム207を下降させ駆動軸228からインペラ211を切り離すとともに、親旋回フレーム203を旋回させることで、インペラ211を準備位置に移動させる。
その後、二股状のインペラ支持部209の股部をインペラ211の搬出位置へ向けた後、クレーン等によりインペラ211を搬出する。
【0023】
なお、上記本発明の実施の形態では、親旋回フレーム203やスライドフレーム205は、油圧シリンダ201,204により昇降あるいは水平移動させられるものであるが、他の駆動手段を用いてもよいことはいうまでもない。また、親旋回フレーム203や子旋回フレーム207は、モータ202,206により旋回させられるものであるが、同様に、他の駆動手段を用いてもよいことはいうまでもない。
【0024】
本発明の実施の形態における脱硫装置用インペラ交換装置は、インペラ交換装置を旋回式としたので、従来の直線往復動式の交換装置に比べ、装置の設置スペースを小さくできる。また、従来の直線往復動式のインペラ交換装置は、インペラを攪拌機における駆動軸直下の交換位置へ搬送する装置とは別に該インペラを駆動軸に対し芯出しする装置が必要とされるものであったが、本実施の形態のインペラ交換装置は、第1旋回部材203にスライド部材205を載置する構成とすることで、インペラ211を駆動軸228直下の交換装置へ搬送する装置を、該インペラ211を駆動軸228に対し芯出しする装置として利用することができるため、装置全体の構成を簡素化できるとともに、作業の効率化を図ることができる。さらに、スライド部材205に第2旋回部材207を載置することで、前記芯出し作業後における駆動軸側のカップリング部材とインペラ側のカップリング部材の各ボルト連結孔またはボルト連結溝の位置合わせを行うことができ、作業の一層の効率化を図ることができるとともに、インペラ211を外部からインペラ交換装置に対し搬入出する準備位置において、インペラを搬入出する方向を自由に設定することができ、該準備位置におけるインペラ搬入出作業も効率的に行うことができる。
【0025】
(2)インペラ
図5に示すように、本発明の実施の形態における脱硫装置用インペラ211は、前記インペラ交換装置で取り扱われるもので、回転軸212の上部位置にフランジ状支持部221が設けられており、インペラ交換装置における二股状のインペラ支持部209によって該フランジ状支持部212が支持される構成となっている。
また、本発明の実施の形態におけるインペラ211は、攪拌機における駆動軸228下端にカップリング240を介して着脱可能に取り付けられるものであり、図6に詳述するように、当該カップリング240が、駆動軸228下端に接続される上部カップリング部材242と、インペラ211の回転軸212上端に接続される下部カップリング部材241とから構成され、両者はボルト245とナット248による締結手段で連結されるものである。ここで、両カップリング部材241,242は、それらの接触面であって締結手段より内方に、上方に向けて小径となるテーパ250,251が形成されており、インペラの交換に際し、両者の芯合わせを容易に行うことができるものとなっている。
【0026】
図6及び図7に示すように、下部カップリング部材241は、その外周位置に上部カップリング部材242との接合面から外周面にかけて開口する溝243が複数形成されている。当該下部カップリング部材241の溝243には、ボルト245の頭部246が枢軸249を中心に回動可能に枢着されており、倒立状とされるボルト245は溝243内を外側に向けて傾倒可能に構成されている。
一方、上部カップリング部材242は、その外周位置に下部カップリング部材241の溝243に対応して軸方向に貫通するスリット状の溝244が複数形成されている。そして、当該スリット状の溝244には、前記ボルト245の軸部247が外周側から嵌入可能なものとされており、該溝244に嵌入したボルト軸部247に上部カップリング部材242の上方からナット248を締め付けることで、両カップリング部材241,242が連結されるものとなっている。
なお、下部カップリング部材241の溝243は、軸方向に貫通するものとしてもよいが、連結時の作業性を考慮すれば、図6に示すとおり下方に開口させないほうが望ましい。
【0027】
本実施の形態におけるインペラ211は、フランジ状支持部221が設けられており、前記した本発明のインペラ交換装置における二股状のインペラ支持具209により支持することが可能なものである。
そして、本実施の形態におけるインペラ211は、上記インペラ交換装置により攪拌機の駆動軸228に対し効率よく芯出しされ、かつ効率よくカップリング部におけるボルト溝が位置合わせされるものであり、当該インペラ211の回転軸212上端に接続される下部カップリング部材241の溝243内に頭部246が枢着されるボルト245の軸部247を、駆動軸228下端に接続される上部カップリング部材242の溝244内に外周側から嵌入させ、上部カップリング部材242の上方からナット248を締め付けることで、両カップリング部材241,242を連結することができ、駆動軸228への取り付け作業を効率よく行うことができる。
【0028】
また、本実施の形態におけるインペラ211は、下部カップリング部材241の上部カップリング部材242との接触面内方に、上部カップリング部材242に形成されるテーパ251に対応し、上方に向けて小径となるテーパ250が形成されているので、インペラ211の交換に際し、両者の芯合わせを容易に行うことができ、交換作業を効率よく行うことができる。
【0029】
なお、本実施の形態におけるインペラ211に設けられるフランジ状支持部212は、脱硫時において、取鍋からの飛散物からカップリング240を保護できるものであるが、該フランジ状支持部221を耐火物で被覆されたものとすれば、該カップリング240を取鍋の輻射熱から保護することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の脱硫装置用インペラ交換装置は、設置スペースをとらず効率的にインペラを交換できるものである。また、本発明の脱硫装置用インペラは、前記インペラ交換装置で取り扱われ、脱硫装置における攪拌機の駆動軸下端へ効率よく着脱することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】攪拌式脱硫装置の攪拌機を示す概略図。
【図2】従来の脱硫装置用インペラ交換装置の概略図。
【図3】従来の脱硫装置用インペラ交換装置の概略図。
【図4】本発明の脱硫装置用インペラ交換装置を示す概略図。
【図5】本発明の脱硫装置用インペラ交換装置のインペラ支持部付近を示す説明図。
【図6】本発明の脱硫装置用インペラのカップリングの説明図。
【図7】本発明の脱硫装置用インペラのカップリングの平面図及び一部断面図。
【符号の説明】
【0032】
11・・・インペラ
20・・・攪拌機
22・・・防塵カバー
28・・・駆動軸
29・・・カップリング
30・・・取鍋
201・・・油圧シリンダ
202・・・親旋回用モータ
203・・・親旋回フレーム
204・・・油圧シリンダ
205・・・スライドフレーム
206・・・子旋回用モータ
207・・・子旋回フレーム
208・・・支柱
209・・・二股状インペラ支持部
210・・・作業デッキ
211・・・インペラ
212・・・回転軸
221・・・フランジ状支持部
228・・・駆動軸
240・・・カップリング
241・・・下部カップリング部材
242・・・上部カップリング部材
243,244・・・溝
245・・・ボルト
246・・・ボルト頭部
247・・・ボルト軸部
248・・・ナット
249・・・枢軸
250,251・・・テーパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸(228)下端にカップリング(240)を介して着脱可能に取り付けられる脱硫装置用インペラ(211)の交換装置において、
昇降手段(201)により昇降可能に支持され、かつ第1回転駆動手段(202)により旋回可能とされる第1旋回部材(203)と、第1旋回部材(203)に載置され、往復動手段(204)により水平移動可能とされるスライド部材(205)と、スライド部材(205)に前記第1旋回部材(203)の旋回軸を中心に複数載置され、第2回転駆動手段(206)によりそれぞれ旋回可能とされる第2旋回部材(207),(207)から構成され、第2旋回部材(207)は、支柱(208)と、該支柱(208)の上部に設けられインペラ(211)を当該第2旋回部材(207)の旋回中心に支持する二股状の支持具(209)を有することを特徴とする脱硫装置用インペラ交換装置。
【請求項2】
駆動軸(228)下端にカップリング(240)を介して着脱可能に取り付けられる脱硫装置用インペラ(211)であって、カップリング(240)が、駆動軸(228)下端に接続される上部カップリング部材(242)と、インペラ(211)の回転軸(212)上端に接続される下部カップリング部材(241)とから構成されるとともに、両カップリング部材(241),(242)がボルトナットによる締結手段で連結可能とされ、下部カップリング部材(241)の下方にフランジ状支持部(221)が設けられてなる脱硫装置用インペラにおいて、
下部カップリング部材(241)は、その外周位置に上部カップリング部材(242)との接合面から外周面にかけて開口する溝(243)が複数形成され、該溝(243)内に倒立状とされるボルト(245)の軸部(247)が外周側に傾倒可能となるようボルト頭部(246)が枢着されるとともに、
上部カップリング部材(242)は、その外周位置に前記下部カップリング部材(241)の溝(243)に対応して軸方向に貫通し外周面に開口する溝(244)が複数形成され、該溝(244)内に外周面から前記ボルトの軸部(247)が嵌入可能なものとされており、
上部カップリング部材(242)に形成された溝(244)内に嵌入したボルト軸部(247)に、当該上部カップリング部材(242)の上方からナット(248)を締め付けることで、両カップリング部材(241),(242)が連結可能とされることを特徴とする脱硫装置用インペラ。
【請求項3】
前記カップリング(240)は、両カップリング部材(241),(242)の接触面内方に、上方に向けて小径となるテーパ(250),(251)が形成されていることを特徴とする請求項2記載の脱硫装置用インペラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−116585(P2010−116585A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288822(P2008−288822)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【出願人】(591223149)日新工機株式会社 (26)
【Fターム(参考)】