脱穀機の揺動選別装置
【課題】脱穀機の揺動選別装置の選別精度および選別能率を向上させる。
【解決手段】第2チャフシーブ(12)の中間に第2ストローラック(13)の始端部を配置し、第2ストローラック(13)の始端部は前側シーブ(12a)の上面と略同一高さに配置し、後側シーブ(12b)は第2ストローラック(13)の終端部下方に配置し、唐箕(20)から前側シーブ(12a)と後側シーブ(12b)との間に向かう第2選別風路(19)を、下方に位置する1番移送螺旋(21)と2番移送螺旋(23)との間の1番戻し棚(16)の延長線近傍に形成する。
【解決手段】第2チャフシーブ(12)の中間に第2ストローラック(13)の始端部を配置し、第2ストローラック(13)の始端部は前側シーブ(12a)の上面と略同一高さに配置し、後側シーブ(12b)は第2ストローラック(13)の終端部下方に配置し、唐箕(20)から前側シーブ(12a)と後側シーブ(12b)との間に向かう第2選別風路(19)を、下方に位置する1番移送螺旋(21)と2番移送螺旋(23)との間の1番戻し棚(16)の延長線近傍に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀処理された処理物を受け入れて揺動選別する脱穀機の揺動選別装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、脱穀部からの脱穀処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する揺動選別棚において、選別方向上手側から移送棚、第1チャフシーブ、第1ストローラック、第2チャフシーブ、第3チャフシーブ、第2ストローラックの順に配置した構成のものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−206462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成のものでは、移送棚、チャフシーブ、ストローラック等が一面的に配置されたものであり、選別風路が確保できず、被選別物の流量が増加すると選別が充分に行われず被選別物に含まれた穀粒がそのまま後方に移送されて、穀粒損失が急激に増加する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、揺動選別棚(8)に、移送棚(9)と第1チャフシーブ(10)と第2チャフシ−ブ(12)と後部ストロ−ラック(14)とを選別移送方向上手側から順に配置し、前記第2チャフシーブ(12)の中間部位に第2ストローラック(13)の始端部を配置し、該第2ストローラック(13)の始端部は直前に配置される前側シーブ(12a)の上面と略同一高さに配置し、該第2ストローラック(13)の始端部の直後に位置する後側シーブ(12b)は前記第2ストローラック(13)の終端部下方に配置し、該第2ストローラック(13)の下方には後部ストローラック(14)の始端部を臨ませ、唐箕(20)から前記前側シーブ(12a)と後側シーブ(12b)との間に向かう第2選別風路(19)を、下方に位置する1番移送螺旋(21)と2番移送螺旋(23)との間に斜設した1番戻し棚(16)の後上方への延長線の近傍に形成したことを特徴とする脱穀機の揺動選別装置とする。
【0006】
扱室の受網及び排塵口から落下する処理物は、移送棚(9)、第1チャフシーブ(10)、第2チャフシーブ(12)を経てふるい選別されると共に、第2チャフシーブ(12)では、途中部から第2ストローラック(13)上に受けられてふるい選別されながら、下方の第2チャフシーブ(12)の終端側及び後部ストローラック(14)上に受けられて再選別される。
【0007】
第2チャフシーブ(12)の始端側に至った処理物は、これが第2ストローラック(13)上に受けられる際に、唐箕(20)からの選別風が1番戻し棚(16)上に沿って上昇し第2選別風路(19)を経て吹き抜ける上昇気流によって選別される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2チャフシーブ(12)の中間部に第2ストローラック(13)を配置すると共に、第2選別風路(19)を確保することによって、1番戻し棚(16)上における唐箕(20)からの選別風を直接第2選別風路(19)に沿わせて吹き抜かせることができ、第2ストローラック(13)によるふるい選別とあいまって風力選別が良好に行われ、被選別物の流量増加に対しても充分に処理できて3番ロスが減少し、選別精度および選別能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】脱穀機の側断面図
【図2】揺動選別棚の平面図
【図3】同上要部の側断面図
【図4】脱穀機の要部の背面図
【図5】排塵処理装置の背面図
【図6】同上要部の側断面図
【図7】コンバインの側面図
【図8】排出オーガ要部の平面図
【図9】オーガ受けの正面図
【図10】オーガ受けの正面図
【図11】コンバイン要部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、脱穀機の側断面図を示すものであり、次のような構成になっている。
すなわち、脱穀機1は、脱穀フィードチエンにより株元を挟持して搬送される穀稈の穂先部を扱室3内で駆動回転する扱胴4により脱穀処理するよう構成している。扱室3の下半周部に受網5が張設され、扱室3終端には排塵口6が開口されている。扱胴4の上部を覆う扱胴カバー7は、扱室の一側を支点として揺動開閉する構成である。扱室下方から後方にわたって揺動可能に架設した揺動選別棚8は、脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚9、第1チャフシーブ10、第1ストローラック11、前部チャフ前側シーブ12aと後部チャフ後側シーブ12bからなる第2チャフシーブ12、第2ストローラック13、後部ストロ−ラック14の順に配置し、且つ、前記第1チャフシ−ブ10及び前部チャフ前側シーブ12aの下方にグレンシ−ブ15、1番戻し棚16、2番戻し棚17を配置して設けた構成としている。
【0011】
また、揺動選別棚8の下方には選別方向の上手側から順に、唐箕20と、1番移送螺旋21、選別ファン22、2番移送螺旋23と、その上方に排塵ファン(横断流ファン)24を設けて排塵選別室を構成している。
【0012】
前記揺動選別棚8上に受け入れられる被選別処理物は、風割体25u,25dにより3方向に分岐された矢印(イ)・(ロ)・(ハ)の風選経路に沿って流れる唐箕20からの選別風によって風選されるようになっている。
【0013】
第1チャフシーブ10と第2チャフシーブ12の前部チャフ前側シーブ12aとの間には第1選別風路18が形成され、唐箕20による風選経路(ロ)からの選別風が通過するようになっており、第1チャフシーブ10の上面と略同一高さ位置で連設すると共に、これより下方に配した前部チャフ前側シーブ12aよりも上方に位置する第1ストローラック11に向けて吹き抜けるように構成されている。
【0014】
第2ストローラック13は、この始端部を直前の前部チャフ前側シーブ12a上面と略同一高さ位置にて連設されてあり、その直後に位置する後部チャフ後側シーブ12bは前記第2ストローラック13の終端部下方に配置されている。そして、前部チャフ前側シーブ12aと後部チャフ後側シーブ12bとの間には第2選別風路19が形成され、唐箕20の風選経路(ハ)からの選別風が通過するようになっている。第2ストローラック13の下方には後部ストローラック14の始端部が臨むように配置され、前記第2選別風路19は下方に位置する1番移送螺旋21と2番移送螺旋23との間に斜設された1番戻し棚16の延長線上近傍に配置された構成になっている。
【0015】
なお、風選経路(イ)は、唐箕20からの選別風が第1チャフシーブ10に向けて吹き抜けるようになっており、また、選別ファン22からの選別風は、主として第2チャフシーブ12の後部チャフ後側シーブ12b及び後部ストローラック14に向けて吹き抜けるようになっている。
【0016】
また、前記第2ストローラック13は、図例では長さの異なるロングラック板13aとショートラック板13bを左右方向交互に配置し、かつ、両者の傾斜角度が異なるように配置した構成としている。なお、第1ストローラック11においても前記第2ストローラックと同様の構成としている。
【0017】
図3に示す実施例では、グレンシーブ15の前方を側板27で覆い、この側板とグレンシーブとの間にはグレンシーブ始端部位の濾過面積を調節する調節板28を前後方向摺動自在に設けた構成としている。稲、麦や品種の違いによって適宜調節し、選別性能を高めるようにしている。
【0018】
また、図4に示すように、扱室3の一側には、扱室3後部の送塵口からの処理物を受け入れて処理する排塵処理胴30を内装軸架した排塵処理室31が並設されている。排塵処理胴30を包囲する受け枠(コンケーブ)32は着脱自在に設けられ、排塵処理胴30と対向する位置に設けられた排塵ファン(横断流ファン)24の下方に排塵ファンガイド33が設けられている。排塵処理胴受け枠32の終端部位は、側面視で排塵ファンガイド33の前縁部位と略同じ位置に設けた構成とし、前記排塵処理胴受け枠32の下方及び排塵ファンガイド33の前縁部下方には、選別室後方に向けて傾斜させたガイド体34が配設されている。そして、これら排塵ファンガイド33とガイド体34は、選別室全幅にわたって設けられ、ゴム材或いは樹脂などで上下に屈曲変形可能に構成されている。また、前記ガイド体34の下端部は、側面視で下方の第2ストローラック13の終端と前後位置を略同一位置とし、且つ後部ストローラック14上に位置するように配置されている。これによれば、第2ストローラック13の上方に浮上した被選別物がガイド体34に衝突して、ワラ屑と穀粒との分離作用が促進されることになる。
【0019】
図5及び図6に示す実施例では、排塵処理室31の終端側には、排塵処理胴30を軸受保持する上部後側板35と、排塵物を後方斜め下方に向けて案内する下部後側ガイド板36を設けてあり、下部後側ガイド板36の右側面部を開放して排塵物を右外側方(既刈地側)に向けても拡散排出できるように構成している。
【0020】
図7は、グレンタンクG内の穀粒を排出する排出オーガ40を備えたコンバインの側面図を示すものであり、その排出オーガ40は、揚穀オーガ39に対して上下及び左右旋回自在に構成され、作業時は、機体の外側位置で上方に高く設定された作業位置オーガ受け42に、また、走行時は、機体幅内中央側位置で下方に低く設定された走行位置オーガ受け43に自動収納されるようになっている。
【0021】
各オーガ受け42,43は、図9に示すように、張圧スプリング44を介して上下動するように構成され、また、オーガ収納位置(作業位置、走行位置)の検知は、オーガ受け42,43側(又は排出オーガ側)に設けたリミットスイッチ45のスイッチオン作動にて行えるように構成されている。
【0022】
図10に示すように、オーガ受け42,43を下方に設けたモータ46により昇降螺旋46aを介して上下に昇降駆動可能に構成し、排出オーガとオーガ受けを同時に走行位置に収納可能とするスイッチボタン47を運転席53前側の操作ボックス54近くに設けておくと、オペレータは運転操作しながらそのスイッチボタンを利用して収納操作することができて便利である。また、このスイッチボタンは排出オーガをリモコン操作するリモコン側に設けておくこともできる。
【0023】
路上走行時、排出オーガが走行位置に収納されていない場合は、副変速が入らないように副変速レバー48の操作を牽制する牽制装置49を設けておくと、高速で走行されることがないので安全性の向上が図れる。また、排出オーガが走行位置に収納されていない場合には、車速が一定以上に速くならないように主変速レバー(HSTレバ−)50の操作を牽制する牽制装置を設けておくことによっても上記同様に安全性が確保される。
【0024】
また、オーガ受けが下方のモータにて上下動する構成のものにおいて、自動収納中に排出オーガを下向きにするとオーガ受けも自動的に走行位置に下がるように連動構成することができる。更に、副変速装置にリミットスイッチを設け、副変速(高速・作業速・低速)を「高速」走行にすると、オーガ受けが走行位置に下がり、排出オーガが下向きになるように構成することもできる。副変速を「作業速」又は「低速」にした場合は、オーガ受け及び排出オーガが作業位置になるように連動構成することができる。また、副変速を「作業速」、「低速」にし、刈脱クラッチレバー51を「入」にすると、オーガ受け、排出オーガも作業位置になるよう連動構成することもできる。
【0025】
オーガ受けを上下動するモータ46は、車体の適所に設けられた機体左右又は前後の傾斜を検出する傾斜センサと連動して、傾斜角度が一定以上になると自動的にオーガ受け、排出オーガが走行位置に下がるように構成することもでき、安全性が向上する。
【0026】
排出作業時に排出を中断したとは、排出オーガを縮小せずに自動収納可能な自動収納ボタンを設けておくことにより、穀粒ロスの減少並びに損傷粒の発生を防止することができる。
【0027】
自動収納ボタンは1回押すと排出オーガを作業位置に収納し、2回押すと排出オーガとオーガ受けを走行位置に自動収納するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0028】
8 揺動選別棚
9 移送棚
10 第1チャフシーブ
12 第2チャフシーブ
12a 前側シーブ
12b 後側シーブ
13 第2ストローラック
14 後部ストローラック
16 1番戻し棚
19 第2選別風路
21 1番移送螺旋
23 2番移送螺旋
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀処理された処理物を受け入れて揺動選別する脱穀機の揺動選別装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、脱穀部からの脱穀処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する揺動選別棚において、選別方向上手側から移送棚、第1チャフシーブ、第1ストローラック、第2チャフシーブ、第3チャフシーブ、第2ストローラックの順に配置した構成のものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−206462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成のものでは、移送棚、チャフシーブ、ストローラック等が一面的に配置されたものであり、選別風路が確保できず、被選別物の流量が増加すると選別が充分に行われず被選別物に含まれた穀粒がそのまま後方に移送されて、穀粒損失が急激に増加する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、揺動選別棚(8)に、移送棚(9)と第1チャフシーブ(10)と第2チャフシ−ブ(12)と後部ストロ−ラック(14)とを選別移送方向上手側から順に配置し、前記第2チャフシーブ(12)の中間部位に第2ストローラック(13)の始端部を配置し、該第2ストローラック(13)の始端部は直前に配置される前側シーブ(12a)の上面と略同一高さに配置し、該第2ストローラック(13)の始端部の直後に位置する後側シーブ(12b)は前記第2ストローラック(13)の終端部下方に配置し、該第2ストローラック(13)の下方には後部ストローラック(14)の始端部を臨ませ、唐箕(20)から前記前側シーブ(12a)と後側シーブ(12b)との間に向かう第2選別風路(19)を、下方に位置する1番移送螺旋(21)と2番移送螺旋(23)との間に斜設した1番戻し棚(16)の後上方への延長線の近傍に形成したことを特徴とする脱穀機の揺動選別装置とする。
【0006】
扱室の受網及び排塵口から落下する処理物は、移送棚(9)、第1チャフシーブ(10)、第2チャフシーブ(12)を経てふるい選別されると共に、第2チャフシーブ(12)では、途中部から第2ストローラック(13)上に受けられてふるい選別されながら、下方の第2チャフシーブ(12)の終端側及び後部ストローラック(14)上に受けられて再選別される。
【0007】
第2チャフシーブ(12)の始端側に至った処理物は、これが第2ストローラック(13)上に受けられる際に、唐箕(20)からの選別風が1番戻し棚(16)上に沿って上昇し第2選別風路(19)を経て吹き抜ける上昇気流によって選別される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2チャフシーブ(12)の中間部に第2ストローラック(13)を配置すると共に、第2選別風路(19)を確保することによって、1番戻し棚(16)上における唐箕(20)からの選別風を直接第2選別風路(19)に沿わせて吹き抜かせることができ、第2ストローラック(13)によるふるい選別とあいまって風力選別が良好に行われ、被選別物の流量増加に対しても充分に処理できて3番ロスが減少し、選別精度および選別能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】脱穀機の側断面図
【図2】揺動選別棚の平面図
【図3】同上要部の側断面図
【図4】脱穀機の要部の背面図
【図5】排塵処理装置の背面図
【図6】同上要部の側断面図
【図7】コンバインの側面図
【図8】排出オーガ要部の平面図
【図9】オーガ受けの正面図
【図10】オーガ受けの正面図
【図11】コンバイン要部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、脱穀機の側断面図を示すものであり、次のような構成になっている。
すなわち、脱穀機1は、脱穀フィードチエンにより株元を挟持して搬送される穀稈の穂先部を扱室3内で駆動回転する扱胴4により脱穀処理するよう構成している。扱室3の下半周部に受網5が張設され、扱室3終端には排塵口6が開口されている。扱胴4の上部を覆う扱胴カバー7は、扱室の一側を支点として揺動開閉する構成である。扱室下方から後方にわたって揺動可能に架設した揺動選別棚8は、脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚9、第1チャフシーブ10、第1ストローラック11、前部チャフ前側シーブ12aと後部チャフ後側シーブ12bからなる第2チャフシーブ12、第2ストローラック13、後部ストロ−ラック14の順に配置し、且つ、前記第1チャフシ−ブ10及び前部チャフ前側シーブ12aの下方にグレンシ−ブ15、1番戻し棚16、2番戻し棚17を配置して設けた構成としている。
【0011】
また、揺動選別棚8の下方には選別方向の上手側から順に、唐箕20と、1番移送螺旋21、選別ファン22、2番移送螺旋23と、その上方に排塵ファン(横断流ファン)24を設けて排塵選別室を構成している。
【0012】
前記揺動選別棚8上に受け入れられる被選別処理物は、風割体25u,25dにより3方向に分岐された矢印(イ)・(ロ)・(ハ)の風選経路に沿って流れる唐箕20からの選別風によって風選されるようになっている。
【0013】
第1チャフシーブ10と第2チャフシーブ12の前部チャフ前側シーブ12aとの間には第1選別風路18が形成され、唐箕20による風選経路(ロ)からの選別風が通過するようになっており、第1チャフシーブ10の上面と略同一高さ位置で連設すると共に、これより下方に配した前部チャフ前側シーブ12aよりも上方に位置する第1ストローラック11に向けて吹き抜けるように構成されている。
【0014】
第2ストローラック13は、この始端部を直前の前部チャフ前側シーブ12a上面と略同一高さ位置にて連設されてあり、その直後に位置する後部チャフ後側シーブ12bは前記第2ストローラック13の終端部下方に配置されている。そして、前部チャフ前側シーブ12aと後部チャフ後側シーブ12bとの間には第2選別風路19が形成され、唐箕20の風選経路(ハ)からの選別風が通過するようになっている。第2ストローラック13の下方には後部ストローラック14の始端部が臨むように配置され、前記第2選別風路19は下方に位置する1番移送螺旋21と2番移送螺旋23との間に斜設された1番戻し棚16の延長線上近傍に配置された構成になっている。
【0015】
なお、風選経路(イ)は、唐箕20からの選別風が第1チャフシーブ10に向けて吹き抜けるようになっており、また、選別ファン22からの選別風は、主として第2チャフシーブ12の後部チャフ後側シーブ12b及び後部ストローラック14に向けて吹き抜けるようになっている。
【0016】
また、前記第2ストローラック13は、図例では長さの異なるロングラック板13aとショートラック板13bを左右方向交互に配置し、かつ、両者の傾斜角度が異なるように配置した構成としている。なお、第1ストローラック11においても前記第2ストローラックと同様の構成としている。
【0017】
図3に示す実施例では、グレンシーブ15の前方を側板27で覆い、この側板とグレンシーブとの間にはグレンシーブ始端部位の濾過面積を調節する調節板28を前後方向摺動自在に設けた構成としている。稲、麦や品種の違いによって適宜調節し、選別性能を高めるようにしている。
【0018】
また、図4に示すように、扱室3の一側には、扱室3後部の送塵口からの処理物を受け入れて処理する排塵処理胴30を内装軸架した排塵処理室31が並設されている。排塵処理胴30を包囲する受け枠(コンケーブ)32は着脱自在に設けられ、排塵処理胴30と対向する位置に設けられた排塵ファン(横断流ファン)24の下方に排塵ファンガイド33が設けられている。排塵処理胴受け枠32の終端部位は、側面視で排塵ファンガイド33の前縁部位と略同じ位置に設けた構成とし、前記排塵処理胴受け枠32の下方及び排塵ファンガイド33の前縁部下方には、選別室後方に向けて傾斜させたガイド体34が配設されている。そして、これら排塵ファンガイド33とガイド体34は、選別室全幅にわたって設けられ、ゴム材或いは樹脂などで上下に屈曲変形可能に構成されている。また、前記ガイド体34の下端部は、側面視で下方の第2ストローラック13の終端と前後位置を略同一位置とし、且つ後部ストローラック14上に位置するように配置されている。これによれば、第2ストローラック13の上方に浮上した被選別物がガイド体34に衝突して、ワラ屑と穀粒との分離作用が促進されることになる。
【0019】
図5及び図6に示す実施例では、排塵処理室31の終端側には、排塵処理胴30を軸受保持する上部後側板35と、排塵物を後方斜め下方に向けて案内する下部後側ガイド板36を設けてあり、下部後側ガイド板36の右側面部を開放して排塵物を右外側方(既刈地側)に向けても拡散排出できるように構成している。
【0020】
図7は、グレンタンクG内の穀粒を排出する排出オーガ40を備えたコンバインの側面図を示すものであり、その排出オーガ40は、揚穀オーガ39に対して上下及び左右旋回自在に構成され、作業時は、機体の外側位置で上方に高く設定された作業位置オーガ受け42に、また、走行時は、機体幅内中央側位置で下方に低く設定された走行位置オーガ受け43に自動収納されるようになっている。
【0021】
各オーガ受け42,43は、図9に示すように、張圧スプリング44を介して上下動するように構成され、また、オーガ収納位置(作業位置、走行位置)の検知は、オーガ受け42,43側(又は排出オーガ側)に設けたリミットスイッチ45のスイッチオン作動にて行えるように構成されている。
【0022】
図10に示すように、オーガ受け42,43を下方に設けたモータ46により昇降螺旋46aを介して上下に昇降駆動可能に構成し、排出オーガとオーガ受けを同時に走行位置に収納可能とするスイッチボタン47を運転席53前側の操作ボックス54近くに設けておくと、オペレータは運転操作しながらそのスイッチボタンを利用して収納操作することができて便利である。また、このスイッチボタンは排出オーガをリモコン操作するリモコン側に設けておくこともできる。
【0023】
路上走行時、排出オーガが走行位置に収納されていない場合は、副変速が入らないように副変速レバー48の操作を牽制する牽制装置49を設けておくと、高速で走行されることがないので安全性の向上が図れる。また、排出オーガが走行位置に収納されていない場合には、車速が一定以上に速くならないように主変速レバー(HSTレバ−)50の操作を牽制する牽制装置を設けておくことによっても上記同様に安全性が確保される。
【0024】
また、オーガ受けが下方のモータにて上下動する構成のものにおいて、自動収納中に排出オーガを下向きにするとオーガ受けも自動的に走行位置に下がるように連動構成することができる。更に、副変速装置にリミットスイッチを設け、副変速(高速・作業速・低速)を「高速」走行にすると、オーガ受けが走行位置に下がり、排出オーガが下向きになるように構成することもできる。副変速を「作業速」又は「低速」にした場合は、オーガ受け及び排出オーガが作業位置になるように連動構成することができる。また、副変速を「作業速」、「低速」にし、刈脱クラッチレバー51を「入」にすると、オーガ受け、排出オーガも作業位置になるよう連動構成することもできる。
【0025】
オーガ受けを上下動するモータ46は、車体の適所に設けられた機体左右又は前後の傾斜を検出する傾斜センサと連動して、傾斜角度が一定以上になると自動的にオーガ受け、排出オーガが走行位置に下がるように構成することもでき、安全性が向上する。
【0026】
排出作業時に排出を中断したとは、排出オーガを縮小せずに自動収納可能な自動収納ボタンを設けておくことにより、穀粒ロスの減少並びに損傷粒の発生を防止することができる。
【0027】
自動収納ボタンは1回押すと排出オーガを作業位置に収納し、2回押すと排出オーガとオーガ受けを走行位置に自動収納するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0028】
8 揺動選別棚
9 移送棚
10 第1チャフシーブ
12 第2チャフシーブ
12a 前側シーブ
12b 後側シーブ
13 第2ストローラック
14 後部ストローラック
16 1番戻し棚
19 第2選別風路
21 1番移送螺旋
23 2番移送螺旋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動選別棚(8)に、移送棚(9)と第1チャフシーブ(10)と第2チャフシ−ブ(12)と後部ストロ−ラック(14)とを選別移送方向上手側から順に配置し、前記第2チャフシーブ(12)の中間部位に第2ストローラック(13)の始端部を配置し、該第2ストローラック(13)の始端部は直前に配置される前側シーブ(12a)の上面と略同一高さに配置し、該第2ストローラック(13)の始端部の直後に位置する後側シーブ(12b)は前記第2ストローラック(13)の終端部下方に配置し、該第2ストローラック(13)の下方には後部ストローラック(14)の始端部を臨ませ、唐箕(20)から前記前側シーブ(12a)と後側シーブ(12b)との間に向かう第2選別風路(19)を、下方に位置する1番移送螺旋(21)と2番移送螺旋(23)との間に斜設した1番戻し棚(16)の後上方への延長線の近傍に形成したことを特徴とする脱穀機の揺動選別装置。
【請求項1】
揺動選別棚(8)に、移送棚(9)と第1チャフシーブ(10)と第2チャフシ−ブ(12)と後部ストロ−ラック(14)とを選別移送方向上手側から順に配置し、前記第2チャフシーブ(12)の中間部位に第2ストローラック(13)の始端部を配置し、該第2ストローラック(13)の始端部は直前に配置される前側シーブ(12a)の上面と略同一高さに配置し、該第2ストローラック(13)の始端部の直後に位置する後側シーブ(12b)は前記第2ストローラック(13)の終端部下方に配置し、該第2ストローラック(13)の下方には後部ストローラック(14)の始端部を臨ませ、唐箕(20)から前記前側シーブ(12a)と後側シーブ(12b)との間に向かう第2選別風路(19)を、下方に位置する1番移送螺旋(21)と2番移送螺旋(23)との間に斜設した1番戻し棚(16)の後上方への延長線の近傍に形成したことを特徴とする脱穀機の揺動選別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−273563(P2010−273563A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126692(P2009−126692)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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