説明

脱穀機

【課題】拡散処理後の排塵物を横断流排塵ファンの中央側に集中させ、横断流排塵ファンによる後方への吸込み排塵作用を効率よく行えるものとし、排塵効果を高める。
【解決手段】扱室(3)内に軸架した扱胴(5)と平行に排塵処理胴(15)を設け、扱室(3)の終端と横断流排塵ファン(18)との間に、横断流排塵ファン(18)の左右方向の吸引排塵作用幅と略同じ長さを有する拡散処理胴(20)を左右横方向に軸架し、該拡散処理胴(20)を扱室(3)の終端からの排塵処理物を受け入れて左右中央側に寄せながら拡散処理する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、扱室終端からの排塵処理物を拡散処理する拡散処理装置を備えた脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀部からの排塵処理物を受け入れて拡散処理する拡散処理胴を扱胴軸と直交する左右横方向に架設したものは公知(例えば、特許文献1参照)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−262867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
拡散処理胴の左右方向における拡散処理作用長さと、後方の横断流排塵ファンの左右方向における排塵作用幅とが異なるものにあっては、拡散処理後の排塵物の効率的な吸引排塵作用が期待できない問題があった。
【0005】
この発明は、上記の点に鑑み、拡散処理胴の拡散処理作用長さを排塵ファンの左右方向における吸引排塵作用幅と略同一長さとし、しかも、拡散処理胴は扱室からの排塵処理物を左右中央側に寄せながら拡散処理することによって横断流排塵ファンによる効果的な吸込み排塵作用が可能な拡散処理装置を具現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、扱室(3)内に軸架した扱胴(5)と平行に排塵処理胴(15)を設け、前記扱室(3)の終端と、該扱室(3)の後方に横向きに軸架した横断流排塵ファン(18)との間には、該横断流排塵ファン(18)の左右方向の吸引排塵作用幅と略同じ長さを有する拡散処理胴(20)を扱胴(5)の軸芯方向と直交する左右横方向に軸架し、該拡散処理胴(20)は扱室(3)の終端からの排塵処理物を受け入れて左右中央側に寄せながら拡散処理する構成としたことを特徴とする脱穀機としたものである。
【0007】
扱室(3)の終端部の送塵口に至った排塵処理物は、排塵処理室(16)内の始端部に取り込まれ、排塵処理胴(15)の回転によって後方に向けて搬送しながら脱粒処理される。
【0008】
扱室(3)の終端から排出される排塵物は、扱胴軸と直交する拡散処理胴(20)の作用圏内に受け入れられ、左右中央側に寄せられながら拡散処理され、排塵物に混入する穀粒は下方に落下すると共に、排出すべき排塵物は、排塵ファン(18)の中央側に集中されることになるので、排塵ファン(18)によって効率よく吸込んで排塵することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、拡散処理胴(20)は、横断流排塵ファン(18)の作用長さと同じとし、排塵処理物を中央側に寄せながら拡散処理するので、拡散処理後の排塵物が横断流排塵ファン(18)の中央側に集中されることになるので、横断流排塵ファン(18)による後方への吸込み排塵作用が効率よく行え、排塵効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】脱穀機の要部の側断面図
【図2】同上要部の平面図
【図3】同上要部の縦断背面図
【図4】穀粒排出装置の要部の側断面図
【図5】同上要部の側断面図
【図6】穀粒排出装置の要部の側断面図
【図7】同じく穀粒排出装置の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、脱穀機の側断面図を示すものであり、次のような構成になっている。
すなわち、脱穀機(脱穀部)1は、脱穀フィードチエン2により株元を挟持しながら搬送される穀稈の穂先部を扱室3内で駆動回転する扱歯4付扱胴5により脱穀処理するよう構成している。扱室3の下半周部には受網6が張設され、扱室上部には扱胴カバー7が揺動開閉可能に設けられている。扱室3の終端側には多量のわら屑や未処理物を含む排塵処理物を下方に落下させる排塵口8が設けられている。
【0012】
前記扱室3のフィードチエン2側とは反対側一側には、扱室からの2番物を受け入れて脱粒処理する処理歯11を備えた2番処理胴12を内装軸架した2番処理室13を並設している。また、前記2番処理胴12の後方にはこれと同一軸芯上において外周に螺旋状の排塵処理歯14を備えた排塵処理胴15を内装軸架した排塵処理室16を構成して設けている。
【0013】
2番処理胴12は、2番還元装置を介して2番処理室13内に還元された2番物を前方に向けて搬送しながら脱粒処理するように構成している。また、排塵処理胴15は、前記扱室終端の排塵口8に対応する部位の送塵口9から排塵処理室16の始端へ受け入れた排塵処理物を後方に向けて搬送しながら脱粒処理するように構成している。
【0014】
扱室3の後方で排塵選別室の上方に配置された横断流排塵ファン18と扱室3の終端部との間には、扱室終端の排塵口8からの排塵物を受け入れて拡散処理する拡散処理胴20が扱胴5の軸芯方向と直交する左右横方向に軸架して設けられている。拡散処理胴20は、排塵ファン18の左右方向における吸引排塵作用幅と前記排塵口8の左右幅と略同一長さとし、排塵口からの排塵処理物を外周に設けられた螺旋処理歯19によって左右中央側に寄せながら拡散処理するように構成されている。
【0015】
また、拡散処理胴20は、この軸芯が排塵処理胴15の軸芯より低くなる位置に設定されてあり、排塵処理室からの排塵物の一部を受け入れて再処理することができ、3番ロスの減少を図るようにしている。
【0016】
前記脱穀フィードチエン2は、始端側の支軸2aを回動支点として左右内外に揺動開閉可能に構成され、これを外側方にオープンすると、拡散処理胴20の下方部が開放されるようになっており、拡散処理胴と選別室のメンテナンスが容易にできる。
【0017】
扱室終端の排塵口8下方から後方の拡散処理胴20間にわたって排塵移送ラック22、排塵シーブ23、排塵ラック24などからなる排塵選別棚21が配設され、後記する揺動選別棚26と一体的に揺動するよう連動構成されている。
【0018】
揺動選別棚26は、脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚27、チャフシ−ブ28、ストロ−ラック29の順に配置し、且つ、前記チャフシ−ブ28の下方にグレンシ−ブ30を配置して設けた構成としている。また、揺動選別棚26の下方には選別方向の上手側から順に、唐箕31と、1番移送螺旋32、2番移送螺旋33と、その上方に横断流排塵フアン18を設けて選別室を構成している。
【0019】
前記排塵選別棚21において、この排塵シーブ23のシーブ間隔L1を下方のチャフシーブ28のシーブ間隔L2よりも広くすることによって、小さなワラ屑は下方に落下し、比較的長いワラ屑のみが拡散処理胴に投入されることになり、拡散処理胴にかかる負荷が軽減される。
【0020】
また、排塵ラック24は、長短24a,24bを交互に配設し、長い排塵ラック24aのみが拡散処理胴20の下方に臨むように配置構成することで、小さなワラ屑は拡散処理胴に至る前に下方に落下させ、長いワラ屑のみ拡散処理胴に投入されることになって拡散処理胴による処理負担が軽くなる。
【0021】
次に、グレンタンクの穀粒排出装置について説明する。
図4及び図5に示す実施例においては、一対のベベルギヤ37,37,37を内臓するロワーメタル38、左右アッパメタル39L,39Rからなる3個のオーガメタルを使用して、上下、旋回を可能にしたグレンタンク35の穀粒排出装置において、ロワーメタル38の出口側内径D1、アッパメタル39Rの入口側内径D2、アッパメタル39Lの出口側内径D3、アッパリレーメタル40の内径D4を、D1<D2=D3<D4とし、ロワーラセン41及びアッパラセン(基部側)43の外径を同一とし、そして、各ラセンの外径は、ロワーラセン41=アッパラセン43<アッパ伸縮ラセン(先端側)44<リレーラセン42の構成とすることで、アッパメタル部での搬送能力を上げることができ、穀粒排出能率の向上を図ることができる。
【0022】
また、上記構成において、各ベベルギヤ37のギヤボックス45の取付部材46をラセンの進行方向に設けることで、ロワーメタル及びアッパメタル内での穀粒の搬送抵抗を少なくすることができ、搬送能力の拡大が図れる。
【0023】
図6に示すように、ロワーメタル38の出口側内径D1、アッパメタル39Rの入口側内径D2、アッパメタル39Lの出口側内径D3を同一径とし、アッパリレーメタル40の内径D4をそれらより大きくすることによって、2種類以上の搬送チューブが装着できるように構成している。これにより、ロワーメタル及びアッパメタルを搬送容量の異なる穀粒排出装置に使用可能となる。
【0024】
また、上記構成において、ロワーメタル出口側内径D1、右アッパメタル入口側内径D2、左アッパメタル出口側内径D3をロワーチューブ47、アッパチューブ48の内径より大きくし、アッパチューブ48の内径とアッパメタル39L内径とが同一となるよう構成することで、メタル内の搬送能力が増大し、排出装置全体の搬送力アップにつながる。
【0025】
更に、図7に示すように、ロワーメタル38とロワーチューブ47との引継部、ロワーチューブ47とアッパメタル39Rとの引継部及びアッパメタル39Lとアッパチューブ48との引継部をテーパーS面に形成することで、メタル内の搬送能力が増し、引継部での搬送抵抗が減少する。なお、ロワー側のテーパーよりアッパ側のテーパーを急角度に構成しておくと穀粒の戻りが減少する。また、ロワーチューブ47の補強部材47aの内面をテーパーS面として補強部材と兼ねた構成とすこともできる。
【0026】
なお、ロワーメタル38の出口側内径D1、アッパメタル39Rの入口側内径D2、アッパメタル39Lの出口側内径D3を同一径とし、アッパリレーメタル40の内径D4をそれらより大きくした構成とし、2種類以上の搬送チューブを装着可能とした構成において(図6の実施例参照)、ロワーチューブ47内径、アッパチューブ48内径、アッパ伸縮チューブ49内径を、ロワーメタル38出口側内径、アッパメタル39R入口側内径、アッパメタル39L出口側内径と同じに構成すると、アッパリレーメタル部の内径を大きくすることで、アップメタル部の搬送力のアップにつながり、搬送能力が向上する。
【0027】
また、上記構成において、ロワーチューブ47内径、アッパ伸縮チューブ49内径を、ロワーメタル38出口側内径、アッパメタル39R入口側内径、アッパメタル39L出口側内径と同じにし、アッパチューブ48内径をそれらより小さくなるよう構成すると、ロワーチューブの内径をアッパチューブの内径より大きくすることで、穀粒排出装置の搬送能力をアップすることができる。
【0028】
なお、図7中、36はグレンタンク底部に設けられた搬出ラセンを示し、ロワーメタル38内に向けて穀粒を搬送するようになっている。
【符号の説明】
【0029】
3 扱室
5 扱胴
8 排塵口
9 送塵口
14 排塵処理胴
18 横断流排塵ファン
19 螺旋処理歯
20 拡散処理胴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(3)内に軸架した扱胴(5)と平行に排塵処理胴(15)を設け、前記扱室(3)の終端と、該扱室(3)の後方に横向きに軸架した横断流排塵ファン(18)との間には、該横断流排塵ファン(18)の左右方向の吸引排塵作用幅と略同じ長さを有する拡散処理胴(20)を扱胴(5)の軸芯方向と直交する左右横方向に軸架し、該拡散処理胴(20)は扱室(3)の終端からの排塵処理物を受け入れて左右中央側に寄せながら拡散処理する構成としたことを特徴とする脱穀機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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