脱穀装置
【課題】揺動選別棚からの排出物の拡散不良。
【解決手段】走行装置2の上方に脱穀装置4を設ける。脱穀装置4は、上部の脱穀室11と、下部の風選室18と、該風選室18に設けられた揺動選別装置21とを備える。揺動選別装置21の揺動選別棚20上方で、穀稈供給搬送装置12を設けた側には吸引排塵ファン35を設け、前記穀稈供給搬送装置12と反対の側には前記脱穀室11と連通する排塵処理装置30を設け、前記揺動選別棚20の後部には、該揺動選別棚20上から機外に排出される塵埃を吸引排塵ファン35の排風口37側に向けて案内する揺動ガイド体40を前記揺動選別棚20と共に一体揺動するように設ける。
【解決手段】走行装置2の上方に脱穀装置4を設ける。脱穀装置4は、上部の脱穀室11と、下部の風選室18と、該風選室18に設けられた揺動選別装置21とを備える。揺動選別装置21の揺動選別棚20上方で、穀稈供給搬送装置12を設けた側には吸引排塵ファン35を設け、前記穀稈供給搬送装置12と反対の側には前記脱穀室11と連通する排塵処理装置30を設け、前記揺動選別棚20の後部には、該揺動選別棚20上から機外に排出される塵埃を吸引排塵ファン35の排風口37側に向けて案内する揺動ガイド体40を前記揺動選別棚20と共に一体揺動するように設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置の前方に刈取部を設け、前記走行装置の上方に脱穀装置を設け、前記脱穀装置は、扱胴を軸装した脱穀室の下方に、唐箕からの送風により風選する風選室を設け、該風選室に往復揺動する揺動選別棚により構成した揺動選別装置を設けて構成し、前記揺動選別棚の後部には、該揺動選別棚からの排出物を拡散させて排出する拡散用の揺動ガイド体を前記揺動選別棚と共に一体揺動するように設けた構成は、公知である(特許文献1)
【特許文献1】特開2001−204229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例の揺動ガイド体は、単に、既刈地側に低く傾斜する二つのガイド部を揺動選別棚に固定した構成のため、ガイド部上の排塵物はガイド部上を低い方に滑りながら移動して落下するので、塊状の排塵物はそのままガイド部の端部から落下し、ガイド部の低い側の端部の後方に塊状の排塵物が筋(条)状に堆積して、拡散性が低いという課題がある。
即ち、ガイド部上の排塵物には、ガイド部の傾斜から作用する重力と、揺動選別棚による揺動の両方とが作用するが、どちらの「力」も、ガイド部上のいずれの排塵物にも同様に作用するから、ばらばらに拡散するよりも各ガイド部の低い側端部から略同じ距離飛んで圃場に落下し、その結果、走行後の圃場には筋(条)状に排塵物が堆積する。
本願は、揺動ガイド体上の排塵物が落下する際に、吸引排塵ファン35からの排風の「力」が作用するように工夫して、揺動選別棚からの排塵物が圃場に広く拡散させるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、走行装置2の前方に刈取部5を設け、前記走行装置2の上方に穀稈供給搬送装置12によって搬送される穀稈を脱穀する脱穀装置4を設け、該脱穀装置4は、上部に扱胴10を軸装した脱穀室11の下方に、唐箕16からの送風により風選する風選室18を設け、該風選室18に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設けて構成し、前記揺動選別棚20上方の前記穀稈供給搬送装置12を設けた側には吸引排塵ファン35を設け、前記穀稈供給搬送装置12と反対の側には前記脱穀室11と連通する排塵処理装置30を設け、前記揺動選別棚20の後部には、該揺動選別棚20上から機外に排出される塵埃を吸引排塵ファン35の排風口37側に向けて案内する揺動ガイド体40を前記揺動選別棚20と共に一体揺動するように設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、穀稈供給搬送装置12とは反対側の揺動選別棚20上には穀稈供給搬送装置12側に比し被処理物が多いので、選別後の塵埃を揺動ガイド体40によって吸引排塵ファン35の排風口37側に向けて流下案内させ、吸引排塵ファン35からの排風に乗せることにより、塊になって落下させずに、拡散させる。
したがって、揺動選別棚20と一体で揺動する揺動ガイド体40の揺動と、吸引排塵ファン35からの排風を利用して排塵物を左右両側に拡散させる拡散性が向上する。
本発明は、前記揺動ガイド体40の吸引排塵ファン35側の端縁40Bは、吸引排塵ファン35の排風口37からの排風方向と略平行になるように配置したことを特徴とするコンバインとしたものであり、揺動選別棚20の後部から排出される塵埃は、吸引排塵ファン35の排風方向に沿うように流下案内されてこの吸引排塵ファン35の排風と合流し、吸引排塵ファン35の排風に攪拌されて飛散しながら拡散する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、揺動選別棚20の後部の揺動ガイド体40により排塵物の流下方向を変化させ、吸引排塵ファン35からの排風に乗せ、効率よく拡散させることができる。
請求項2の発明では、揺動選別棚20の後部から排出される塵埃を、吸引排塵ファン35の排風に円滑に合流させて拡散させることにより、拡散性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施例をコンバインの例にて図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は左右一対のクローラ3により走行する走行装置、4は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、5は脱穀装置4の前側に設けた刈取部、6は脱穀装置4の側部に設けたグレンタンク、7はグレンタンク6の前方に設けた操縦部である。
前記脱穀装置4は、上部に扱胴10を略水平に軸装した脱穀室11を設け、脱穀室11の一側には前記刈取部により刈り取った穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置12の穀稈を挾持搬送する挾扼杆13Aと供給搬送チエン13B(図10)を設けている。14は穀稈供給搬送装置12から引き継いだ脱穀済みの排藁を搬送する排藁搬送装置である。
なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して以下説明するが、これにより構成が限定されるものではない。
【0007】
扱胴10の主として下方側は扱網15により包囲し、扱網15の下方には唐箕16の唐箕ケーシング17を設ける。前記脱穀室11の下方には前記唐箕16の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室18を形成し、風選室18内には、唐箕16の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設ける。
揺動選別装置21は、その揺動選別棚20の始端部(前端部)を唐箕ケーシング12の上方に位置させて移送棚部22に形成する。移送棚部22の構成は任意であり、移送方向下手側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚部22の上面に突起や凹凸を設けて揺動選別装置21の移送方向下手側のグレンシーブ23に向けて扱網15からの落下物を移送できればよい。
【0008】
前記グレンシーブ23は、扱網15より落下した穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。グレンシーブ23は、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高くなるように傾斜させて設ける。
しかして、グレンシーブ23の下方から移送方向の下手側(後側)の揺動選別棚20にはチャフシーブ24を複数並設する。チャフシーブ24は任意の構成により前記揺動選別棚20に傾斜角度調節自在に取付ける。チャフシーブ24の下手側にはストローラック25を設ける。
【0009】
揺動選別棚20の下方には一番コンベア26を設け、一番コンベア26の後側には二番コンベア27を設ける。
前記脱穀室11の後方の一側(右側)の側部には排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴10の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装して構成する。排塵処理装置30の前側には、二番コンベア27により回収された二番物を処理する二番処理装置32を設ける。二番処理装置32の二番処理胴34の始端部側上方には二番還元装置33の先端を開口させ、二番還元装置33の基部は二番コンベア27の終端に接続している。二番処理胴34は、排塵処理胴31と同一軸心状に配置する。
【0010】
前記排塵処理装置30の反対側の側部には吸引排塵ファン35を設ける。36は吸引排塵ファン35のケーシング、37はケーシング36の排風口、37Aは排風ガイドである。脱穀装置4の後側にはカッター装置38を設ける。カッター装置38は公知の構成であり、一対のカッター刃39を設けている。
しかして、揺動選別棚20の後部には、排出物を拡散させて排出する拡散用の揺動ガイド体40を設ける。揺動ガイド体40は、揺動選別棚20からの排塵物を吸引排塵ファン35の排風に乗せるように案内させるように、傾斜させて設ける。
揺動ガイド体40は、揺動選別棚20に取り付けてある揺動ガイド体40の取付部41から後側に至るに従い低く、かつ、揺動ガイド体40の右側に対して左側が低くなるように左下がり傾斜に傾斜させる。
【0011】
即ち、揺動選別棚20上に落下する被処理物は、穀稈供給搬送装置12により搬送される穀稈の穂先側に元々多く落下する傾向にあり、しかも、穂先側(反穀稈供給搬送装置12側)には排塵処理装置30および二番処理装置32が設けられており、揺動選別棚20上に落下した被処理物は、反穀稈供給搬送装置12側に多く堆積する傾向となって、穀稈供給搬送装置12側の揺動選別棚20上には反穀稈供給搬送装置12側に比し被処理物は少ないので、揺動ガイド体40を左下がり傾斜に傾斜させて、揺動選別棚20の左側後方に一旦案内させ、吸引排塵ファン35からの排風に乗せることにより、塊になって落下させずに、拡散させる。
したがって、揺動選別棚20と共に揺動する揺動ガイド体40の揺動と、吸引排塵ファン35からの排風を利用して排塵物を左右両側に拡散させる拡散性を向上させる。
【0012】
また、排塵物を拡散させて圃場に排出するので、圃場の土質の改善を均一に行える作用も期待できる。
また、揺動ガイド体40は、背面視、取付部41の基部端縁41Aを左下がりの傾斜に傾斜させて(図10)、揺動ガイド体40全体として排塵物を左側に誘導するように構成し、吸引排塵ファン35からの排風に乗せることを期待している。
しかして、前記揺動ガイド体40は、左側から排塵物を落下拡散させるために、平面視頂点が後方となる三角形状に形成し、揺動ガイド体40の右端縁40Aには起立する右仕切体42を設け、右仕切体42の終端所定位置の上面の一部は切り欠いて切欠面43に形成する。
【0013】
揺動選別棚20からの排塵物は、揺動ガイド体40上に落下すると、揺動ガイド体40の傾斜と揺動により流下して右仕切体42に当たり、右仕切体42により左側に案内されるが、右仕切体42の終端所定位置の上面の一部は切り欠いて切欠面43に形成しているので、切欠面43により右仕切体42の抵抗を低くして簡単に排塵物を右仕切体42から落下させ、塊になって落下するのを防止して、拡散させる。換言すると、切欠面43により右仕切体42の引っかかるのを抑制して、拡散させる。
揺動ガイド体40の左右中間所定位置には、前記右仕切体42と略並行の中央仕切体44を設ける。
【0014】
中央仕切体44は、揺動ガイド体40上の排塵物の全てが右仕切体42に当たるのでなく、中央仕切体44により分散させて吸引排塵ファン35からの排風に乗せるように案内する。
また、中央仕切体44を設けることにより、揺動ガイド体40自体の剛性も向上させる。
45は、中央仕切体44の終端所定位置の上面の一部に切り欠いて形成した切欠面である。
また、揺動ガイド体40は、その基部の取付部41を縦板47に固定し、縦板47は揺動選別棚20に対して上下位置調節自在に、ボルト等の固定具48により取付ける(図10)。縦板47は、揺動選別棚20に対して高くすると、穀粒の機外排出を抑制し、揺動選別棚20に対して低くすると、排塵物の排出を促進し、揺動選別棚20の選別負荷を減少させられる。
【0015】
また、揺動ガイド体40は揺動選別棚20に取付けているので、吸引排塵ファン35の排風口37からの排風路中にて前後揺動し、排塵物を拡散させる。
また、揺動ガイド体40は、平面視において排塵処理装置30の終端より後方、かつ、下方に位置させて設ける。
したがって、排塵処理装置30から排出された排塵物が揺動ガイド体40上に落下し、吸引排塵ファン35からの排風に排塵物を乗せて、拡散性を向上させる。
この場合、排塵処理装置30の終端は左右方向の無孔板50により閉塞し(図8)、図示は省略するが、排塵処理装置30の終端側方に形成した排塵口から揺動選別棚20上に排塵物を落下させ、揺動選別棚20の終端より排出させるように構成すると、排塵処理装置30からの排塵物を一旦軸芯方向に対して側方の揺動選別棚20上に排出させて、排塵物が塊となるのを防止すると共に、排塵処理装置30から排出された排塵物に含まれる穀粒を揺動選別棚20上に落下させて回収することができ、しかも、排塵処理装置30からの排塵物を揺動ガイド体40により拡散させられるので、合理的構成となる。
【0016】
しかして、揺動ガイド体40は、その後側の一部が、前記カッター装置38の下方の後側カバー51に設けた固定拡散ガイド体53と、側面視(平面視)、重なるように設ける(図6,図8)。
したがって、カッター装置38から落下する切断藁屑に排塵物を合流させると共に、吸引排塵ファン35の排風に乗せて、固定拡散ガイド体53によっても拡散させることができ、拡散性を良好にする。
この場合、前記固定拡散ガイド体53は、第一固定拡散部54と第二固定拡散部55により形成し、背面視において、右側に至るに従い低くなるように傾斜させて設け、揺動ガイド体40は第一固定拡散部54の上方に位置させる(図10)。
【0017】
したがって、揺動ガイド体40からの排塵物および切断藁屑の一部は、主として第一固定拡散部54上に引き継がれ、第一固定拡散部54によって拡散されるが、カッター装置38から落下する切断藁屑および吸引排塵ファン35からの排風に乗った排塵物は、第二固定拡散部55上に引き継がれて拡散させられるので、一層、拡散性を良好にする。
しかして、前記揺動ガイド体40の左端縁40Bは、吸引排塵ファン35の排風口37からの排風方向と略平行になるように配置する(図10)。
したがって、揺動ガイド体40上を移動する排塵物は、略直角の交差方向に吸引排塵ファン35の排風と合流して排風に乗り、拡散性を向上させられる。
即ち、排塵物が排風に合流する際の抵抗を抑制し、拡散性を向上させられる。
【0018】
60は脱穀装置4の後板61に設けたシール部材であり(図6,図7)、弾性部材により形成する。シール部材60は、その下端を揺動選別棚20の後部の前記縦板47の上端に近接させ、カッター装置38から落下する切断藁屑が揺動選別棚20(ストローラック25)上に戻るのを防止しつつストローラック25上の排塵物は排出できるように構成する。
また、シール部材60が垂れているため、揺動ガイド体40上で跳ねた切り藁や排塵物が揺動選別棚20上に戻るのを防止する作用も期待する。
なお、揺動選別棚20の後部下方は開放して排塵物を圃場に落下させる排出口(符号省略)に形成し、この排出口上方に揺動ガイド体40は位置してる。
【0019】
また、前記カッター装置38の下方の後側カバー51の左右側には側部カバー62を設け(図10)、左右両側および後側の三方を包囲し、下方および前側は開放して排塵物および切断藁屑を拡散落下させる。
しかして、カッター装置38の前側には切藁案内板65を設け(図6,図7)、切藁案内板65は上部を上側カッター刃39の下部とほぼ同じ高さに位置させ、切藁案内板65は下方に至るに従い後側に位置するように、後下がりに傾斜させ、切藁案内板65の下部は下側カッター刃39の下部より下方で、上下のカッター刃39の重なった切断部の下方より後方に位置させる。
【0020】
切藁案内板65は、カッター装置38により切断した排藁の切断藁屑を後方に落下するように案内するものであり、この切藁案内板65の後端よりも後側に揺動ガイド体40の後部が位置するように、配置すると、切断藁屑も揺動ガイド体40により拡散させることができ、拡散性を一層良好にできる。
即ち、排塵物と切断藁屑とを混合させると、圃場の土質の改善に一層の効果を与えることが期待できる。
なお、切藁案内板65は、図7では前後に位置しているが、これは奥側の切藁案内板65と手前側の切藁案内板65が見えているためである。
【0021】
しかして、揺動ガイド体40は、吸引排塵ファン35の排風口37の排風の通路の上下中間に設ける。
即ち、排風口37は上下に所定の幅を有して形成し、側面視排風口37の上下中間に揺動ガイド体40を位置させる。
したがって、揺動ガイド体40上から落下する以前の排塵物も吸引排塵ファン35からの排風を受けるので、拡散性を向上させられる。
この場合、揺動ガイド体40は、揺動選別棚20の後方揺動して固定拡散ガイド体53と側面視重なったとき、揺動ガイド体40の下面と固定拡散ガイド体53の上面との間に所定の間隔を有するように構成し(図7)、排塵物および切断藁屑の一部が詰まるのを防止する。
【0022】
68はカッター装置38のロック装置である。即ち、カッター装置38は図示は省略するが、機体固定部に設けた回動支点軸を中心に縦軸回動自在に設け、ロック装置68はカッター装置38の回動を停止保持させる。
【0023】
(実施例の作用)
走行装置2により機体を走行させると、刈取部5が刈り取った穀稈の穂先を脱穀装置4の脱穀室11に供給して脱穀する。
脱穀された被処理物は揺動選別棚20上に落下し、唐箕16の送風および揺動選別棚20の揺動により選別され、穀粒は揺動選別棚20の下方の一番コンベア26に回収され、機外に集荷される。
また、揺動選別棚20の下方の二番コンベア27に回収された二番物は二番還元装置33により二番処理装置32の二番処理胴34の始端部側上方に還元されて処理され、穀粒は揺動選別棚20の始端部に戻されて脱穀室11で脱穀された脱穀物と共に再び揺動選別棚20により選別処理される。
【0024】
また、脱穀室11で脱穀されて扱網15より落下しない被処理物は、排塵処理装置30で排塵処理胴31により攪拌処理され、穀粒は処理網(図示省略)から揺動選別棚20上に落下して、選別処理される。
また、排塵処理装置30に対面するように吸引排塵ファン35が設けられているから、排塵処理装置30から排出される塵埃や藁屑等は、吸引排塵ファン35により吸引除去される。
【0025】
しかして、揺動選別棚20の後部には、揺動選別棚20からの排塵物を吸引排塵ファン35の排風に乗せるように案内させるように、傾斜させて揺動ガイド体40を設けているので、揺動選別棚20の後部から排出される排塵物は、揺動ガイド体40の揺動および吸引排塵ファン35からの排風により拡散しながら圃場に散布される。
即ち、揺動選別棚20上では藁屑等が塊になっていることがあるが、揺動ガイド体40上で揺動させて、しかも、吸引排塵ファン35からの排風に乗せるので、藁屑等は拡散しながら落下させることができる。
【0026】
したがって、揺動選別棚20と共に揺動する揺動ガイド体40の揺動と、吸引排塵ファン35からの排風を利用して、排塵物を揺動選別棚20の左右両側方向に拡散させて拡散性を向上させる。
それゆえ、排塵処理装置30と吸引排塵ファン35を対峙させ、その中間に揺動選別棚20を位置させた構成で、排塵物を拡散させるので、合理的な構成となる。
この場合、コンバインの刈取作業では、走行方向の左側(穀稈供給搬送装置12側)が未刈地側となって、未刈穀稈に排塵物や切断藁屑が掛かると、後の刈取作業の際の条合わせが困難になるので、左側にはあまり排塵物や切断藁屑を拡散させたくないが、この点でも、揺動ガイド体40が左側に排塵物を誘導しつつ吸引排塵ファン35の排風で右側へ拡散させるので、一層、揺動選別棚20から排出される排塵物およびカッター装置38からの切断藁屑は、拡散性を向上させつつ、既刈地全体に拡散させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同側面図。
【図3】同平面図。
【図4】同正面図。
【図5】同背面図。
【図6】脱穀装置の一部縦断側面図。
【図7】脱穀装置の一部拡大縦断側面図。
【図8】脱穀装置の横断平面図。
【図9】脱穀装置の一部拡大横断平面図。
【図10】脱穀装置の背面図。
【図11】同一部拡大図。
【符号の説明】
【0028】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…クローラ、4…脱穀装置、5…刈取部、6…グレンタンク、7…操縦部、10…扱胴、11…脱穀室、12…穀稈供給搬送装置、13A…挾扼杆、13B…供給搬送チエン、14…排藁搬送装置、15…扱網、16…唐箕、17…唐箕ケーシング、18…風選室、20…揺動選別棚、21…揺動選別装置、22…移送棚部、23…グレンシーブ、24…チャフシーブ、25…ストローラック、26…一番コンベア、27…二番コンベア、30…排塵処理装置、31…処理胴、32…二番処理装置、33…二番還元装置、35…吸引排塵ファン、36…ケーシング、37…排風口、38…カッター装置、39…カッター刃、40…揺動ガイド体、40B…端縁、41…取付部、42…右仕切体、43…切欠面、44…中央仕切体、47…縦板、48…固定具、50…無孔板、51…後側カバー、53…固定拡散ガイド体、54…第一固定拡散部、55…第二固定拡散部、60…シール部材、61…後板、62…側部カバー、65…切藁案内板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置の前方に刈取部を設け、前記走行装置の上方に脱穀装置を設け、前記脱穀装置は、扱胴を軸装した脱穀室の下方に、唐箕からの送風により風選する風選室を設け、該風選室に往復揺動する揺動選別棚により構成した揺動選別装置を設けて構成し、前記揺動選別棚の後部には、該揺動選別棚からの排出物を拡散させて排出する拡散用の揺動ガイド体を前記揺動選別棚と共に一体揺動するように設けた構成は、公知である(特許文献1)
【特許文献1】特開2001−204229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例の揺動ガイド体は、単に、既刈地側に低く傾斜する二つのガイド部を揺動選別棚に固定した構成のため、ガイド部上の排塵物はガイド部上を低い方に滑りながら移動して落下するので、塊状の排塵物はそのままガイド部の端部から落下し、ガイド部の低い側の端部の後方に塊状の排塵物が筋(条)状に堆積して、拡散性が低いという課題がある。
即ち、ガイド部上の排塵物には、ガイド部の傾斜から作用する重力と、揺動選別棚による揺動の両方とが作用するが、どちらの「力」も、ガイド部上のいずれの排塵物にも同様に作用するから、ばらばらに拡散するよりも各ガイド部の低い側端部から略同じ距離飛んで圃場に落下し、その結果、走行後の圃場には筋(条)状に排塵物が堆積する。
本願は、揺動ガイド体上の排塵物が落下する際に、吸引排塵ファン35からの排風の「力」が作用するように工夫して、揺動選別棚からの排塵物が圃場に広く拡散させるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、走行装置2の前方に刈取部5を設け、前記走行装置2の上方に穀稈供給搬送装置12によって搬送される穀稈を脱穀する脱穀装置4を設け、該脱穀装置4は、上部に扱胴10を軸装した脱穀室11の下方に、唐箕16からの送風により風選する風選室18を設け、該風選室18に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設けて構成し、前記揺動選別棚20上方の前記穀稈供給搬送装置12を設けた側には吸引排塵ファン35を設け、前記穀稈供給搬送装置12と反対の側には前記脱穀室11と連通する排塵処理装置30を設け、前記揺動選別棚20の後部には、該揺動選別棚20上から機外に排出される塵埃を吸引排塵ファン35の排風口37側に向けて案内する揺動ガイド体40を前記揺動選別棚20と共に一体揺動するように設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、穀稈供給搬送装置12とは反対側の揺動選別棚20上には穀稈供給搬送装置12側に比し被処理物が多いので、選別後の塵埃を揺動ガイド体40によって吸引排塵ファン35の排風口37側に向けて流下案内させ、吸引排塵ファン35からの排風に乗せることにより、塊になって落下させずに、拡散させる。
したがって、揺動選別棚20と一体で揺動する揺動ガイド体40の揺動と、吸引排塵ファン35からの排風を利用して排塵物を左右両側に拡散させる拡散性が向上する。
本発明は、前記揺動ガイド体40の吸引排塵ファン35側の端縁40Bは、吸引排塵ファン35の排風口37からの排風方向と略平行になるように配置したことを特徴とするコンバインとしたものであり、揺動選別棚20の後部から排出される塵埃は、吸引排塵ファン35の排風方向に沿うように流下案内されてこの吸引排塵ファン35の排風と合流し、吸引排塵ファン35の排風に攪拌されて飛散しながら拡散する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、揺動選別棚20の後部の揺動ガイド体40により排塵物の流下方向を変化させ、吸引排塵ファン35からの排風に乗せ、効率よく拡散させることができる。
請求項2の発明では、揺動選別棚20の後部から排出される塵埃を、吸引排塵ファン35の排風に円滑に合流させて拡散させることにより、拡散性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施例をコンバインの例にて図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は左右一対のクローラ3により走行する走行装置、4は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、5は脱穀装置4の前側に設けた刈取部、6は脱穀装置4の側部に設けたグレンタンク、7はグレンタンク6の前方に設けた操縦部である。
前記脱穀装置4は、上部に扱胴10を略水平に軸装した脱穀室11を設け、脱穀室11の一側には前記刈取部により刈り取った穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置12の穀稈を挾持搬送する挾扼杆13Aと供給搬送チエン13B(図10)を設けている。14は穀稈供給搬送装置12から引き継いだ脱穀済みの排藁を搬送する排藁搬送装置である。
なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して以下説明するが、これにより構成が限定されるものではない。
【0007】
扱胴10の主として下方側は扱網15により包囲し、扱網15の下方には唐箕16の唐箕ケーシング17を設ける。前記脱穀室11の下方には前記唐箕16の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室18を形成し、風選室18内には、唐箕16の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設ける。
揺動選別装置21は、その揺動選別棚20の始端部(前端部)を唐箕ケーシング12の上方に位置させて移送棚部22に形成する。移送棚部22の構成は任意であり、移送方向下手側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚部22の上面に突起や凹凸を設けて揺動選別装置21の移送方向下手側のグレンシーブ23に向けて扱網15からの落下物を移送できればよい。
【0008】
前記グレンシーブ23は、扱網15より落下した穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。グレンシーブ23は、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高くなるように傾斜させて設ける。
しかして、グレンシーブ23の下方から移送方向の下手側(後側)の揺動選別棚20にはチャフシーブ24を複数並設する。チャフシーブ24は任意の構成により前記揺動選別棚20に傾斜角度調節自在に取付ける。チャフシーブ24の下手側にはストローラック25を設ける。
【0009】
揺動選別棚20の下方には一番コンベア26を設け、一番コンベア26の後側には二番コンベア27を設ける。
前記脱穀室11の後方の一側(右側)の側部には排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴10の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装して構成する。排塵処理装置30の前側には、二番コンベア27により回収された二番物を処理する二番処理装置32を設ける。二番処理装置32の二番処理胴34の始端部側上方には二番還元装置33の先端を開口させ、二番還元装置33の基部は二番コンベア27の終端に接続している。二番処理胴34は、排塵処理胴31と同一軸心状に配置する。
【0010】
前記排塵処理装置30の反対側の側部には吸引排塵ファン35を設ける。36は吸引排塵ファン35のケーシング、37はケーシング36の排風口、37Aは排風ガイドである。脱穀装置4の後側にはカッター装置38を設ける。カッター装置38は公知の構成であり、一対のカッター刃39を設けている。
しかして、揺動選別棚20の後部には、排出物を拡散させて排出する拡散用の揺動ガイド体40を設ける。揺動ガイド体40は、揺動選別棚20からの排塵物を吸引排塵ファン35の排風に乗せるように案内させるように、傾斜させて設ける。
揺動ガイド体40は、揺動選別棚20に取り付けてある揺動ガイド体40の取付部41から後側に至るに従い低く、かつ、揺動ガイド体40の右側に対して左側が低くなるように左下がり傾斜に傾斜させる。
【0011】
即ち、揺動選別棚20上に落下する被処理物は、穀稈供給搬送装置12により搬送される穀稈の穂先側に元々多く落下する傾向にあり、しかも、穂先側(反穀稈供給搬送装置12側)には排塵処理装置30および二番処理装置32が設けられており、揺動選別棚20上に落下した被処理物は、反穀稈供給搬送装置12側に多く堆積する傾向となって、穀稈供給搬送装置12側の揺動選別棚20上には反穀稈供給搬送装置12側に比し被処理物は少ないので、揺動ガイド体40を左下がり傾斜に傾斜させて、揺動選別棚20の左側後方に一旦案内させ、吸引排塵ファン35からの排風に乗せることにより、塊になって落下させずに、拡散させる。
したがって、揺動選別棚20と共に揺動する揺動ガイド体40の揺動と、吸引排塵ファン35からの排風を利用して排塵物を左右両側に拡散させる拡散性を向上させる。
【0012】
また、排塵物を拡散させて圃場に排出するので、圃場の土質の改善を均一に行える作用も期待できる。
また、揺動ガイド体40は、背面視、取付部41の基部端縁41Aを左下がりの傾斜に傾斜させて(図10)、揺動ガイド体40全体として排塵物を左側に誘導するように構成し、吸引排塵ファン35からの排風に乗せることを期待している。
しかして、前記揺動ガイド体40は、左側から排塵物を落下拡散させるために、平面視頂点が後方となる三角形状に形成し、揺動ガイド体40の右端縁40Aには起立する右仕切体42を設け、右仕切体42の終端所定位置の上面の一部は切り欠いて切欠面43に形成する。
【0013】
揺動選別棚20からの排塵物は、揺動ガイド体40上に落下すると、揺動ガイド体40の傾斜と揺動により流下して右仕切体42に当たり、右仕切体42により左側に案内されるが、右仕切体42の終端所定位置の上面の一部は切り欠いて切欠面43に形成しているので、切欠面43により右仕切体42の抵抗を低くして簡単に排塵物を右仕切体42から落下させ、塊になって落下するのを防止して、拡散させる。換言すると、切欠面43により右仕切体42の引っかかるのを抑制して、拡散させる。
揺動ガイド体40の左右中間所定位置には、前記右仕切体42と略並行の中央仕切体44を設ける。
【0014】
中央仕切体44は、揺動ガイド体40上の排塵物の全てが右仕切体42に当たるのでなく、中央仕切体44により分散させて吸引排塵ファン35からの排風に乗せるように案内する。
また、中央仕切体44を設けることにより、揺動ガイド体40自体の剛性も向上させる。
45は、中央仕切体44の終端所定位置の上面の一部に切り欠いて形成した切欠面である。
また、揺動ガイド体40は、その基部の取付部41を縦板47に固定し、縦板47は揺動選別棚20に対して上下位置調節自在に、ボルト等の固定具48により取付ける(図10)。縦板47は、揺動選別棚20に対して高くすると、穀粒の機外排出を抑制し、揺動選別棚20に対して低くすると、排塵物の排出を促進し、揺動選別棚20の選別負荷を減少させられる。
【0015】
また、揺動ガイド体40は揺動選別棚20に取付けているので、吸引排塵ファン35の排風口37からの排風路中にて前後揺動し、排塵物を拡散させる。
また、揺動ガイド体40は、平面視において排塵処理装置30の終端より後方、かつ、下方に位置させて設ける。
したがって、排塵処理装置30から排出された排塵物が揺動ガイド体40上に落下し、吸引排塵ファン35からの排風に排塵物を乗せて、拡散性を向上させる。
この場合、排塵処理装置30の終端は左右方向の無孔板50により閉塞し(図8)、図示は省略するが、排塵処理装置30の終端側方に形成した排塵口から揺動選別棚20上に排塵物を落下させ、揺動選別棚20の終端より排出させるように構成すると、排塵処理装置30からの排塵物を一旦軸芯方向に対して側方の揺動選別棚20上に排出させて、排塵物が塊となるのを防止すると共に、排塵処理装置30から排出された排塵物に含まれる穀粒を揺動選別棚20上に落下させて回収することができ、しかも、排塵処理装置30からの排塵物を揺動ガイド体40により拡散させられるので、合理的構成となる。
【0016】
しかして、揺動ガイド体40は、その後側の一部が、前記カッター装置38の下方の後側カバー51に設けた固定拡散ガイド体53と、側面視(平面視)、重なるように設ける(図6,図8)。
したがって、カッター装置38から落下する切断藁屑に排塵物を合流させると共に、吸引排塵ファン35の排風に乗せて、固定拡散ガイド体53によっても拡散させることができ、拡散性を良好にする。
この場合、前記固定拡散ガイド体53は、第一固定拡散部54と第二固定拡散部55により形成し、背面視において、右側に至るに従い低くなるように傾斜させて設け、揺動ガイド体40は第一固定拡散部54の上方に位置させる(図10)。
【0017】
したがって、揺動ガイド体40からの排塵物および切断藁屑の一部は、主として第一固定拡散部54上に引き継がれ、第一固定拡散部54によって拡散されるが、カッター装置38から落下する切断藁屑および吸引排塵ファン35からの排風に乗った排塵物は、第二固定拡散部55上に引き継がれて拡散させられるので、一層、拡散性を良好にする。
しかして、前記揺動ガイド体40の左端縁40Bは、吸引排塵ファン35の排風口37からの排風方向と略平行になるように配置する(図10)。
したがって、揺動ガイド体40上を移動する排塵物は、略直角の交差方向に吸引排塵ファン35の排風と合流して排風に乗り、拡散性を向上させられる。
即ち、排塵物が排風に合流する際の抵抗を抑制し、拡散性を向上させられる。
【0018】
60は脱穀装置4の後板61に設けたシール部材であり(図6,図7)、弾性部材により形成する。シール部材60は、その下端を揺動選別棚20の後部の前記縦板47の上端に近接させ、カッター装置38から落下する切断藁屑が揺動選別棚20(ストローラック25)上に戻るのを防止しつつストローラック25上の排塵物は排出できるように構成する。
また、シール部材60が垂れているため、揺動ガイド体40上で跳ねた切り藁や排塵物が揺動選別棚20上に戻るのを防止する作用も期待する。
なお、揺動選別棚20の後部下方は開放して排塵物を圃場に落下させる排出口(符号省略)に形成し、この排出口上方に揺動ガイド体40は位置してる。
【0019】
また、前記カッター装置38の下方の後側カバー51の左右側には側部カバー62を設け(図10)、左右両側および後側の三方を包囲し、下方および前側は開放して排塵物および切断藁屑を拡散落下させる。
しかして、カッター装置38の前側には切藁案内板65を設け(図6,図7)、切藁案内板65は上部を上側カッター刃39の下部とほぼ同じ高さに位置させ、切藁案内板65は下方に至るに従い後側に位置するように、後下がりに傾斜させ、切藁案内板65の下部は下側カッター刃39の下部より下方で、上下のカッター刃39の重なった切断部の下方より後方に位置させる。
【0020】
切藁案内板65は、カッター装置38により切断した排藁の切断藁屑を後方に落下するように案内するものであり、この切藁案内板65の後端よりも後側に揺動ガイド体40の後部が位置するように、配置すると、切断藁屑も揺動ガイド体40により拡散させることができ、拡散性を一層良好にできる。
即ち、排塵物と切断藁屑とを混合させると、圃場の土質の改善に一層の効果を与えることが期待できる。
なお、切藁案内板65は、図7では前後に位置しているが、これは奥側の切藁案内板65と手前側の切藁案内板65が見えているためである。
【0021】
しかして、揺動ガイド体40は、吸引排塵ファン35の排風口37の排風の通路の上下中間に設ける。
即ち、排風口37は上下に所定の幅を有して形成し、側面視排風口37の上下中間に揺動ガイド体40を位置させる。
したがって、揺動ガイド体40上から落下する以前の排塵物も吸引排塵ファン35からの排風を受けるので、拡散性を向上させられる。
この場合、揺動ガイド体40は、揺動選別棚20の後方揺動して固定拡散ガイド体53と側面視重なったとき、揺動ガイド体40の下面と固定拡散ガイド体53の上面との間に所定の間隔を有するように構成し(図7)、排塵物および切断藁屑の一部が詰まるのを防止する。
【0022】
68はカッター装置38のロック装置である。即ち、カッター装置38は図示は省略するが、機体固定部に設けた回動支点軸を中心に縦軸回動自在に設け、ロック装置68はカッター装置38の回動を停止保持させる。
【0023】
(実施例の作用)
走行装置2により機体を走行させると、刈取部5が刈り取った穀稈の穂先を脱穀装置4の脱穀室11に供給して脱穀する。
脱穀された被処理物は揺動選別棚20上に落下し、唐箕16の送風および揺動選別棚20の揺動により選別され、穀粒は揺動選別棚20の下方の一番コンベア26に回収され、機外に集荷される。
また、揺動選別棚20の下方の二番コンベア27に回収された二番物は二番還元装置33により二番処理装置32の二番処理胴34の始端部側上方に還元されて処理され、穀粒は揺動選別棚20の始端部に戻されて脱穀室11で脱穀された脱穀物と共に再び揺動選別棚20により選別処理される。
【0024】
また、脱穀室11で脱穀されて扱網15より落下しない被処理物は、排塵処理装置30で排塵処理胴31により攪拌処理され、穀粒は処理網(図示省略)から揺動選別棚20上に落下して、選別処理される。
また、排塵処理装置30に対面するように吸引排塵ファン35が設けられているから、排塵処理装置30から排出される塵埃や藁屑等は、吸引排塵ファン35により吸引除去される。
【0025】
しかして、揺動選別棚20の後部には、揺動選別棚20からの排塵物を吸引排塵ファン35の排風に乗せるように案内させるように、傾斜させて揺動ガイド体40を設けているので、揺動選別棚20の後部から排出される排塵物は、揺動ガイド体40の揺動および吸引排塵ファン35からの排風により拡散しながら圃場に散布される。
即ち、揺動選別棚20上では藁屑等が塊になっていることがあるが、揺動ガイド体40上で揺動させて、しかも、吸引排塵ファン35からの排風に乗せるので、藁屑等は拡散しながら落下させることができる。
【0026】
したがって、揺動選別棚20と共に揺動する揺動ガイド体40の揺動と、吸引排塵ファン35からの排風を利用して、排塵物を揺動選別棚20の左右両側方向に拡散させて拡散性を向上させる。
それゆえ、排塵処理装置30と吸引排塵ファン35を対峙させ、その中間に揺動選別棚20を位置させた構成で、排塵物を拡散させるので、合理的な構成となる。
この場合、コンバインの刈取作業では、走行方向の左側(穀稈供給搬送装置12側)が未刈地側となって、未刈穀稈に排塵物や切断藁屑が掛かると、後の刈取作業の際の条合わせが困難になるので、左側にはあまり排塵物や切断藁屑を拡散させたくないが、この点でも、揺動ガイド体40が左側に排塵物を誘導しつつ吸引排塵ファン35の排風で右側へ拡散させるので、一層、揺動選別棚20から排出される排塵物およびカッター装置38からの切断藁屑は、拡散性を向上させつつ、既刈地全体に拡散させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同側面図。
【図3】同平面図。
【図4】同正面図。
【図5】同背面図。
【図6】脱穀装置の一部縦断側面図。
【図7】脱穀装置の一部拡大縦断側面図。
【図8】脱穀装置の横断平面図。
【図9】脱穀装置の一部拡大横断平面図。
【図10】脱穀装置の背面図。
【図11】同一部拡大図。
【符号の説明】
【0028】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…クローラ、4…脱穀装置、5…刈取部、6…グレンタンク、7…操縦部、10…扱胴、11…脱穀室、12…穀稈供給搬送装置、13A…挾扼杆、13B…供給搬送チエン、14…排藁搬送装置、15…扱網、16…唐箕、17…唐箕ケーシング、18…風選室、20…揺動選別棚、21…揺動選別装置、22…移送棚部、23…グレンシーブ、24…チャフシーブ、25…ストローラック、26…一番コンベア、27…二番コンベア、30…排塵処理装置、31…処理胴、32…二番処理装置、33…二番還元装置、35…吸引排塵ファン、36…ケーシング、37…排風口、38…カッター装置、39…カッター刃、40…揺動ガイド体、40B…端縁、41…取付部、42…右仕切体、43…切欠面、44…中央仕切体、47…縦板、48…固定具、50…無孔板、51…後側カバー、53…固定拡散ガイド体、54…第一固定拡散部、55…第二固定拡散部、60…シール部材、61…後板、62…側部カバー、65…切藁案内板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取部(5)を設け、前記走行装置(2)の上方に穀稈供給搬送装置(12)によって搬送される穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を設け、該脱穀装置(4)は、上部に扱胴(10)を軸装した脱穀室(11)の下方に、唐箕(16)からの送風により風選する風選室(18)を設け、該風選室(18)に往復揺動する揺動選別棚(20)により構成した揺動選別装置(21)を設けて構成し、前記揺動選別棚(20)上方の前記穀稈供給搬送装置(12)を設けた側には吸引排塵ファン(35)を設け、前記穀稈供給搬送装置(12)と反対の側には前記脱穀室(11)と連通する排塵処理装置(30)を設け、前記揺動選別棚(20)の後部には、該揺動選別棚(20)上から機外に排出される塵埃を吸引排塵ファン(35)の排風口(37)側に向けて案内する揺動ガイド体(40)を前記揺動選別棚(20)と共に一体揺動するように設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記揺動ガイド体(40)の吸引排塵ファン(35)側の端縁(40B)は、吸引排塵ファン(35)の排風口(37)からの排風方向と略平行になるように配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取部(5)を設け、前記走行装置(2)の上方に穀稈供給搬送装置(12)によって搬送される穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を設け、該脱穀装置(4)は、上部に扱胴(10)を軸装した脱穀室(11)の下方に、唐箕(16)からの送風により風選する風選室(18)を設け、該風選室(18)に往復揺動する揺動選別棚(20)により構成した揺動選別装置(21)を設けて構成し、前記揺動選別棚(20)上方の前記穀稈供給搬送装置(12)を設けた側には吸引排塵ファン(35)を設け、前記穀稈供給搬送装置(12)と反対の側には前記脱穀室(11)と連通する排塵処理装置(30)を設け、前記揺動選別棚(20)の後部には、該揺動選別棚(20)上から機外に排出される塵埃を吸引排塵ファン(35)の排風口(37)側に向けて案内する揺動ガイド体(40)を前記揺動選別棚(20)と共に一体揺動するように設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記揺動ガイド体(40)の吸引排塵ファン(35)側の端縁(40B)は、吸引排塵ファン(35)の排風口(37)からの排風方向と略平行になるように配置したことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−206488(P2008−206488A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48525(P2007−48525)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]