説明

脱臭器

【課題】 配線系統を簡素化して、装置の組立性及びメンテナンス作業性をより向上することのできる脱臭器を提供することを目的とする。
【解決手段】 センタパネル4に、UVランプ16に接続されるUVインバータモジュール22と、各種機器に電源を供給するとともに、信号線の中継を行う電源/中継基板21と、操作部に接続されるとともに、各種機器の制御を行う操作/制御基板20とを集約するように設け、これらを接続する信号線を、センタパネル4上に集中して配線処理を行う。又、UVランプ16の各信号線は、前記UVインバータモジュール内でOR回路となるように接続し、これにより、信号線を単線で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機としての脱臭器に係わり、より詳細には、配線構造の簡素化により組立性及びメンテナンス性を向上させた構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の一種として、例えば図8(A)の分解斜視図に示すように、空気清浄機40がある。同空気清浄機40は、本体41の最前面に前面パネル42を配置し、順次、プレフィルタ43と、微小ほこりをプラスに帯電させるためのイオン化部44と、プラズマ集塵と光触媒の役割を有するロールフィルタ45とを配設するとともに、前記本体41の下部に操作表示パネル46を設けている。前記本体41内には、送風ファンが設けられており、前記前面パネル42から吸い込まれた室内空気は、プレフィルタ43、イオン化部44、ロールフィルタ45とを通って浄化された後、前記本体41の上部に設けられた吹出口から吹き出されるようになっている。又、前記本体41内には粉塵センサ50及びガスセンサ51が設けられている。
【0003】
図8(B)は空気清浄機40の主たる電気的構成を示すブロック図である。同空気清浄機40の動作は、CPUやメモリからなるマイクロコンピュータ48により制御されるようになっており、同マイクロコンピュータ48には、前記粉塵センサ50及びガスセンサ51により検出された空気の汚れ度合いを表す信号が入力されるとともに、運転切換・停止スイッチ52からの切換信号や、リモコン受信部を介して受信した各種操作信号及びリセットスイッチからのリセット信号が入力されるようになっている。
【0004】
前記粉塵センサ50は埃等の粒子を検出するものであり、内部には素子及び受光素子が収容されており、受光素子の受光量に基づく信号を前記マイクロコンピュータ48に入力するようになっている。前記ガスセンサ51は、臭いの原因となるガス成分を検出するためのものであり、前記粉塵センサ50及びガスセンサ51は前記マイクロコンピュータ48に接続されたセンサ駆動回路49によって駆動されるようになっている。また、前記マイクロコンピュータ48には表示制御回路55及びモータ駆動回路が接続されるとともに、図示はしていないが、前記送風ファンを駆動するモータ等に支障が発生した場合や、又は他の各種機器に支障が発生した際、その異常発生を伝える信号線が、夫々直接入力されるようになっている。
【0005】
しかしながら、前記マイクロコンピュータ48に、前記粉塵センサ50、前記ガスセンサ51の信号線とともに、各種機器の信号線が複数本、直接入力されることは、前記マイクロコンピュータ48の入力ポートが多数必要となり、コストアップを招くとともに、制御系統及び前記本体41内での配線系統が複雑となって、装置の組立性が猥雑となる虞があり、配線構造をより簡素化できる機器が求められていた。
【0006】
【特許文献1】特開2002−13793号(3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、制御系統及び配線系統を簡素化して、装置の組立性をより向上することのできる、空気調和機としての脱臭器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、異常状態を伝達する複数の信号線を各種機器から複数のモジュールに夫々接続する一方、同モジュールと電源/中継基板及び同電源/中継基板と操作/制御基板とを夫々信号線により接続してなる脱臭器において、前記モジュール内に、前記複数の信号線からの信号を論理和処理するOR回路を設け、前記複数のモジュールと前記電源/中継基板とを結ぶ信号線を、夫々、少なくとも一本で構成するとともに、前記電源/中継基板に複数のモジュールからの信号を論理和処理するOR回路を設け、前記電源/中継基板と操作/制御基板とを結ぶ信号線を、少なくとも一本で構成してなる。又、前記モジュール及び各種基板を、本体内に配置されたセンタパネルに集約するように設けるとともに、これらを接続する信号線を、前記センタパネル上に集約するように配線処理した構成となっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、フロントパネルと、リアパネルと、トップパネルとから本体を構成し、同本体内に、前記フロントパネルと前記リアパネルとに挟持されるように、センタパネルを配設し、同センタパネルに、UVランプに接続されるUVインバータモジュールと、各種機器に電源を供給するとともに、信号線の中継を行う電源/中継基板と、操作部に接続されるとともに、各種機器の制御を行う操作/制御基板とを集約するように設け、又、これらを接続する信号線を、前記センタパネル上に集中して配線処理を行うことにより、組立性及びメンテナンス作業性を向上させることができるようになっている。又、UVランプの各信号線は、前記UVインバータモジュール内で、トランジスタQ1〜Q4を介してOR回路となるように接続されており、これにより、前記UVインバータモジュールと前記電源/中継基板とを結ぶ信号線及び前記電源/中継基板と前記操作/制御基板とを結ぶ信号線は一本で接続することができるようになっており、各基板の入出力ポートとなるコネクタの個数を低減して、より配線構造を簡素化することができる脱臭器となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明による脱臭器を示す外観斜視図であり、図2はその断面図及び図3は分解斜視図である。図4は吸着脱臭部を示す斜視図であり、図5はオゾン脱臭部を示す斜視図である。図6はセンタパネルを示す斜視図であり、図7は配線の構成を示す構成図である。
【0012】
本発明による脱臭器は、図1の外観斜視図で示すように、樹脂材からなり床面に立設可能な縦長状の本体1の前面中央に、横方向の桟を上下方向に連設して吸込口6を形成し、本体1上面に、風向板としての第一ルーバ7aと、第二ルーバ7bとを備えた吹出口7を形成している。前記吸込口6の上方にはリモートコントローラからの信号を受信する受光部9が設けられ、前記吹出口7の前方には、複数の表示ランプと操作ボタンとを備えた操作部8が夫々設けられている。
【0013】
前記本体1は、前記吸込口6を形成し後面が開放されたフロントパネル2と、前面と上面とが開放され、前記フロントパネル2が装着されるリアパネル3と、前記吹出口7を形成し下面が開放されたトップパネル5とから構成され、これらは螺着あるいは係合等により一体に組付られるようになっている。
【0014】
前記本体1内には、図2の断面図及び図3の分解斜視図で示すように、前記吸込口6の裏面に、吸着脱臭部10が設けられており、同吸着脱臭部10は、集塵フィルタ11と、触媒フィルタ12と、活性炭フィルタ13とを前後に積層して形成されている。又、本体1の略中央には、前記フロントパネル2と前記リアパネル3とに挟持されるように、通気孔を穿設した略平板状のセンタパネル4が設けられており、同センタパネル4には、前記通気孔に臨んで、前記吸着脱臭部10を通過してきた空気を吸引する一方、前記吹出口7側に向けて上方に吹出す送風ファン14が装着されるようになっている。又、同送風ファン14と、前記吹出口7との間には、オゾン脱臭部15が設けられている。
【0015】
前記吸着脱臭部10は前記吸込口6から吸込まれた空気に含有される高濃度臭気成分を脱臭処理するようになっており、前記オゾン脱臭部15は、オゾンを発生させて低濃度臭気成分を脱臭処理するようになっている。又、同オゾン脱臭部15は低濃度オゾンを前記吹出口7から室内に放出して、壁面、家具、衣服等に染みついた臭気成分を分解することも可能となっている。
【0016】
前記吸着脱臭部10は、図4で示すように、前面側から集塵フィルタ11、触媒フィルタ12、活性炭フィルタ13を順次積層した三層構造に構成され、前記集塵フィルタ11はプリーツ構造を有し、空気中に含有される塵埃、微粒子等を吸着するようになっている。前記触媒フィルタ12はアンモニア吸着特性を有するゼオライトが配合されたフィルタ及びホルムアルデヒト分解特性を有する金属酸化物を含有するフィルタにより構成され、空気中に含有される汗臭等のアルデヒト系臭気、体臭等の脂肪酸臭気、アンモニア系臭気等を吸着するようになっている。又、同触媒フィルタ12の前面側には蛇行状に加熱ヒータ12aが配設されおり、同加熱ヒータ12aの加熱により吸着された臭気成分の分解が促進されるようになっている。前記活性炭フィルタ13は、前記触媒フィルタ12で吸収しきれなかった臭気成分を吸着し、一時的に蓄積するようになっている。
【0017】
前記オゾン脱臭部15は、図5で示すように、内壁面に光触媒を塗布した金属性の箱体状のケース17と、同ケース17内に配設されたUVランプ(紫外線ランプ)16とからなり、下面に複数の流入口18を形成し、又、側面に複数の流出口19を形成している。前記UVランプ16が電圧印加され、紫外線が発光されると周囲を流れる空気中にオゾンが発生し、同オゾンにより空気中に含有される低濃度臭気成分が分解されるようになっている。又、前記ケース17の内壁面に塗布された光触媒に紫外線が照射されると強力な臭気分解作用を有する水酸基ラジアルが発生するようになっている。
【0018】
前記流入口18には、フィンを左右に形成した桟が多数備えられており、流入した空気は前記フィンにより乱流となって、前記UVランプ16により発生したオゾンと充分に混合され、脱臭効率を向上させるようになっている。又、前記ケース17の天井面内壁には、略くの字形状に形成されたガイド部材17aが備えられており、同ガイド部材17aにより空気は左右方向に偏向されて、再度オゾンと混合され、前記流出口19から流出するようになっている。
【0019】
前記センタパネル4には、図6の背面側からの斜視図で示すように、中央部に前記送風ファン14が装着されるようになっている。同送風ファン14は、遠心ファンを内蔵した円筒状のケーシング14aと、同ケーシング14aから上方に向かい導出され、一側にくびれ部14cを形成した断面矩形状のダクト14bとからなり、同ダクト14bの流出口には、前記UVランプ16を固定した前記ケース17の底板が固着されるようになっている。
【0020】
又、前記センタパネル4の上部には、コネクタ20aを備え、前記操作部8に接続されるとともに、前記送風ファン14、前記UVランプ16等の制御を行う操作/制御基板20が固定されており、前記センタパネル4の下部には、前記送風ファン14、前記UVランプ16等に電源を供給するとともに、これらと前記操作/制御基板20との間で信号の送受の際の中継を行う電源/中継基板21が固定されている。又、前記ダクト14bのくびれ部14cには、前記UVランプ16に、前記電源/中継基板21からの電源を供給する一方、同UVランプ16に異常が発生した際は、前記前記電源/中継基板21を介して前記操作/制御基板20に異常信号を送出するUVインバータモジュール22が設けられている。
【0021】
前記UVインバータモジュール22は、図7(A)で示すように、前記UVランプ16と複数の信号線で接続されており、同UVランプ16に、異常放電、過電圧印加、ランプ破壊等の異常状態が発生した際は、信号線を介して前記UVインバータモジュール22に信号が送出されるようになっている。
【0022】
各信号線は、前記UVインバータモジュール22内で、トランジスタQ1〜Q4を介してOR回路となるように接続されており、これにより、前記UVインバータモジュール22と前記電源/中継基板21とを結ぶ信号線23及び前記電源/中継基板21と前記操作/制御基板20とを結ぶ信号線は一本で接続されるようになっている。又、これにより、前記電源/中継基板21及び前記操作/制御基板20での入出力ポートとなるコネクタの個数を低減することができるようになっている。
【0023】
前記UVランプ16に、異常放電、過電圧印加、過電流、ランプ破壊等のいずれかの異常が発生した際は、夫々の信号線を介して異常状態を伝える信号が前記UVインバータモジュール22に伝達されるようになっている。伝達された信号は、前記UVインバータモジュール22の前記トランジスタQ1〜Q4を備えたOR回路により論理和処理され、これにより前記UVインバータモジュール22と前記電源/中継基板21を接続する前記信号線23が、電流が流れる所謂励起状態となり前記電源/中継基板21に異常発生を伝える信号が送出されるようになっている。前記電源/中継基板21に伝えられた信号は、一本で構成された前記信号線24により前記操作/制御基板20により伝達され、複数の表示ランプと操作ボタンとを備えた前記操作部8に表示されるようになっている。これにより、前記UVインバータモジュール22と前記電源/中継基板21を接続する前記信号線23及び前記電源/中継基板21と前記操作/制御基板20を接続する前記信号線24は夫々一本で構成することができ、配線構造が簡素化されるとともに、前記前記電源/中継基板21及び前記操作/制御基板20に備えられたマイクロコンピュータの入出力ポートも削減でき、制御構成も簡素化することができるようになっている。又、異常が発生した際は、前記操作部8に表示することができるようになっている。
【0024】
又、前記電源/中継基板21には、図7(B)で示すように、前記UVインバータモジュール22とともに、前記送風ファン14に備えられたファンモータ14dの信号線14e及び前記吹出口7の近傍に設けられたガスセンサ25の信号線等が接続されており、これらは、前記電源/中継基板21内でOR回路となるように接続されることにより、前記電源/中継基板21と前記操作/制御基板20とは、少なくとも一本で接続でき、極力配線構造を簡素化できるとともに、制御の構成も簡素化することができるようになっている。又、図7(C)で示すように、前記UVインバータモジュール22と、ファンモータ14dと、ガスセンサ25との夫々にOR回路を備えることにより、これらを一本の信号線で直列に接続し、前記電源/中継基板21に入力することもできる。
【0025】
前記送風ファン14のケーシング14a上には、図6で示すように、配線のガイド及び固定を行うガイドバー4aが複数突設されており、前記UVインバータモジュール22から導出された一本としての信号線23はガイドバー4aにガイドされて前記電源/中継基板21に接続され、同電源/中継基板21から導出された信号線24は、同様に、ガイドバー4aにガイドされて前記操作/制御基板20に接続されるようになっている。
【0026】
上記したように、前記センタパネル4に、前記UVインバータモジュール22、前記電源/中継基板21及び前記操作/制御基板20を集約するように設け、又、これらを接続する前記信号線23及び信号線24を一本で構成して、前記センタパネル4上に配線処理を行うことにより、脱臭器の組立性を向上させることができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による脱臭器を示す外観斜視図である。
【図2】本発明による脱臭器を示す断面図である。
【図3】本発明による脱臭器を示す分解斜視図である。
【図4】吸着脱臭部を示す斜視図である。
【図5】オゾン脱臭部を示す斜視図である。
【図6】センタパネルを示す斜視図である。
【図7】(A)及び(B)(C)は配線の構成を示す構成図である。
【図8】(A)は従来の空気調和機を示す分解斜視図である。 (B)は、配線部材を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 本体
2 フロントパネル
3 リアパネル
4 センタパネル
4a ガイドバー
5 トップパネル
6 吸込口
7 吹出口
7a 第一ルーバ
7b 第二ルーバ
8 操作部
9 受光部
10 吸着脱臭部
11 集塵フィルタ
12 触媒フィルタ
12a 加熱ヒータ
13 活性炭フィルタ
14 送風ファン
14a ケーシング
14b ダクト
14c くびれ部
14d ファンモータ
14e 信号線
15 オゾン脱臭部
16 UVランプ
17 ケース
17a ガイド部材
18 流入口
19 流出口
20 操作/制御基板
20a コネクタ
21 電源/中継基板21
22 UVインバータモジュール
23 信号線
24 信号線
25 ガスセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常状態を伝達する複数の信号線を各種機器から複数のモジュールに夫々接続する一方、同モジュールと電源/中継基板及び同電源/中継基板と操作/制御基板とを夫々信号線により接続してなる脱臭器において、
前記モジュール内に、前記複数の信号線からの信号を論理和処理するOR回路を設け、前記複数のモジュールと前記電源/中継基板とを結ぶ信号線を、夫々、少なくとも一本で構成するとともに、前記電源/中継基板に複数のモジュールからの信号を論理和処理するOR回路を設け、前記電源/中継基板と操作/制御基板とを結ぶ信号線を、少なくとも一本で構成したことを特徴とする脱臭器。
【請求項2】
前記モジュール及び各種基板を、本体内に配置されたセンタパネルに集約するように設けるとともに、これらを接続する信号線を、前記センタパネル上に集約するように配線処理したことを特徴とする請求項1に記載の脱臭器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−195842(P2007−195842A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20047(P2006−20047)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】