説明

脱臭除菌除塵空気清浄装置

【課題】 脱臭殺菌装置の中でも、オゾンを使用した脱臭装置では、人体や動物に対する影響が問題視されている事は周知の事実である。その他、活性炭使用の方式や、薬品等を使用する方式の脱臭装置は、脱臭装置の運転経費がかさみ、メンテナンスを怠ると逆に臭気を発生させるような脱臭装置も多々あることが、幾多の事例として報告されている。
【解決手段】 空気中に浮遊する悪臭や細菌を含んだ汚染空気を、水を電気分解して得た強酸性水を、ミスト状にして汚染空気に噴霧し、悪臭や細菌を除去して脱臭、除菌を行う。さらに電気分解した強アルカリ水を脱臭除菌した空気にミスト状にして噴霧し、空気中に含まれる浮遊塵やタンパク質系、脂質系の汚染された空気を浄化するのと同時に、強酸性水で酸化した空気を中和して、その水分を含んだ空気をエジェクターでサイクロンに送りサイクロンで脱水、除塵し、外部に放出する事を特徴とした脱臭除菌除塵空気清浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ処理装置や汚水槽等、悪臭を発生させる総ての場所で発生する悪臭を有する空気を脱臭除菌除塵し、清浄化する脱臭除菌除塵空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の脱臭技術に関しては、一部メーカーはオゾンによる脱臭殺菌作用を実用化した脱臭殺菌装置を商品として発売している。この商品はオゾンの影響で人体に悪影響を及ぼす事がある。この悪影響を和らげるために、紫外線を照射する等の無害化を実施しているが、オゾンの完全無害化は困難である。
病院の病室や老人施設等長期にわたって入院、入室している人の中には、オゾン脱臭装置から出る活性酸素の影響で体調の不良を訴える事態も発生している。特に、老人施設等ではオゾンによる脱臭装置を撤去している施設も有る。
【0003】
脱臭における従来技術は、活性炭やバイオ脱臭吸着剤等を使用して脱臭を行っている装置もある。運転中に脱臭吸着剤の吸着量が飽和点に達し、同時に空気中の水分も吸着して脱臭効果が低下する。そのため吸着した臭気成分を吐き出して悪臭を置換する現象も数多く確認されている。この様な現状で、活性炭やバイオ脱臭吸着剤等による脱臭装置は、吸着剤の有効期間内での脱臭効果しか期待できないのが現状である。
【0004】
その他、空気中の酸素分子を高圧電流で特殊放電管に帯電させ、酸素クラスターを作り出す方式の脱臭装置もある。酸素クラスターは集合体構造で+イオンや−イオンが同時に発生する。この状態を保つ僅かな時間の雰囲気の中に、空気中に含まれる悪臭や汚染成分を放出すると、これらの成分を包み込む性質があり、この性質を応用した脱臭殺菌装置も実用化されているが、酸素クラスターもオゾンに近い性質で、人体に対する影響が危惧されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、脱臭殺菌装置の中でも、オゾンを使用した脱臭装置に対して、人体や動物に対する影響が問題視されている事は周知の事実である。全体的に機能の低下した高齢者の施設や、免疫力の極端に低い新生児室等ではすでにオゾンによる脱臭装置の採用を中止しているのが現状である。
その他、活性炭使用の方式や、薬品等を使用する方式の脱臭装置は、脱臭装置の運転経費がかさみ、メンテナンスを怠ると逆に臭気を発生させるような脱臭装置も多々あることが、幾多の事例として報告されている。
本発明の、強酸性水および強アルカリ水の性質を応用した脱臭除菌空気清浄装置は、人体や生物に悪影響を及ぼす物質や、オゾン等の活性酸素を出すことなく、無害な物質である電解水のみを効果的に応用した脱臭除菌空気清浄装置である。
【課題を解決する手段】
【0006】
本発明の、脱臭除菌除塵空気清浄装置の作用及び構成について説明する。
電気分解して強酸性水と強アルカリ水に分離した水の、お互いの特徴を応用することにより、脱臭除菌除塵空気清浄装置として利用している。一般的には、どちらか一方を主体に造水して使用しているが、本発明は、強酸性水で脱臭除菌しその酸性化した空気を強アルカリ水で中和し清浄化した空気にして放出する方式とした。
【0007】
以下、本発明の脱臭除菌除塵空気清浄装置の構成について説明する。
本装置内に設けている脱臭除菌室に取り込んだ悪性や細菌を含んだ汚染した空気に、強酸性水をミストにして放出すると、空気中に存在する悪臭や細菌を除去し強力な脱臭殺菌作用を発揮する。
【0008】
基本的な方式は、装置に内蔵しているエジェクター方式による排風機構により悪臭や汚染微粒子を含んだ空気を脱臭装置内の脱臭殺菌室に吸引する。吸引した汚染空気に対して電気分解して得た強酸性水と強アルカリ水を平均粒径40マイクロメートル程度の微細な粒子のミストにして噴霧する。このとき汚染空気中に浮遊している悪臭の原因である窒素酸化物系のトリメチルアミンやアンモニア、老人の加齢臭や動物臭の脂肪族化合物等の各種悪臭成分や細菌をこの微細な強酸性水と強アルカリ水の霧により脱臭除菌する。
排風の為の送風機は、汚染空気を直接インペラー式のブロアーで排風する方式が一般的であるが、汚染された空気のためインペラーが短期日で腐食する恐れがある。そのために耐腐食性の材質で製作する必要があり価格的にもメンテナンスにも、余分の経費が掛かる。
本装置の排風方式は、エジェクター方式を採用する事により、直接汚染空気を送風機で排出することなく、外気を取り込む事により悪臭を希釈し、汚染空気を排出する事が出来き、送風機の損傷を無くす事を特徴とする。
【0009】
脱臭除菌室で脱臭除菌した空気は、空気中の粒度の大きい浮遊塵やタンパク質系、脂質系の除去と、強酸性水で酸性化している空気を中和させるため、脱臭殺菌室の後部において電気分解で得た強アルカリ水を強酸性水と同様にミスト状にして噴霧する。其れにより空気中に含まれる浮遊塵やタンパク質系、脂質系の汚れを除去すると同時に、酸性を帯びた空気を強アルカリ水の噴霧で中和させる。
中和した空気は、サイクロンを応用した脱水、除塵装置で塵埃を取り除き、同時に脱水をして清浄な空気にして、外部へ放出する。
【0010】
本発明の脱臭装置で、装置を構成する筐体は一般的に酸に強いSUS316等の高価な素材で製造するが、本脱臭装置では強酸性水をミストして脱臭する部分の筐体、脱臭した酸を含んだ空気を、強アルカリ水のミストで中和する筐体および、外部に排気するための排風部分のエジェクターの筐体、その水分を含んだ空気を脱水するサイクロン部分を除いた総て筐体を、低価格で酸に強い塩化ビニール系及びアクリル樹脂等の耐酸樹脂で構成し製造する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、地球の生命の基である水の持つ潜在能力を応用した事にある。水は生命の源であると同時に、動植物には無くてはならない物質であり、人畜無害である事に異を唱える人間はいない。
本発明は、その水の持つ能力を水の電気分解により、その能力の一部である特徴を利用したものに過ぎない。人体に有害なオゾンや薬品を使用することなく、地球の生みの親である水のみを使用する事で、脱臭と除菌効果を創出することは、人間だけでなく、動物全体が住む環境の整備に寄与出来るものと確信する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】脱臭除菌空気清浄装置の構成の平面図を示す。
【図2】脱臭殺菌空気清浄装置の構成の正面図を示す。
【図3】エジェクター部分の詳細を示す。
【図4】サイクロンの詳細を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、生ゴミ処理装置や汚水槽等で発生した悪臭に、水を電気分解して生成した強酸性水をミスト状にして噴霧し脱臭除菌除塵する。その脱臭除菌除塵した酸を帯びた空気を強アルカリ水をミスト状にして噴霧し中和させ、その水分を含んだ空気をエジェクター送風方式で外部に放出する。
その際、排気中に含む水分及び塵埃を除去するため、サイクロンを応用して脱水除塵して清浄になった空気を、外部に放出する事を特徴とした脱臭除菌除塵空気清浄装置である。
【0014】
一般的に臭除菌除塵空気清浄装置は、脱臭装置を構成する筐体の製造について、酸に強いSUS316等の高価な素材で製造するのが一般的である。
本発明の脱臭除菌除塵空気清浄装置は、強酸性水をミスト状にして脱臭する部分の筐体、脱臭した酸を含んだ空気を、強アルカリ水のミスト状にして噴霧し中和する筐体および、外部に排気するための排風部分のエジェクターの筐体、その水分を含んだ空気を脱水するサイクロン部分を除く筐体を、酸や腐食に強い塩化ビニール及びアクリル樹脂等の耐酸性で、低価格な素材で構成する事を特徴とした脱臭除菌除塵空気清浄装置である。
【0015】
本発明の脱臭除菌除塵空気清浄装置に使用する強酸性水及び、強アルカリ水を造水するために、水を電気分解する装置を使用する。この装置の電解槽には水と電解補助剤として少量の食塩水を添加する。
電解槽の内部には、陽極と陰極の二つの電極を取り付け、電極の間には隔膜を設置し、所定の条件下で通電し電気分解することにより、陽極側に強酸性水が、陰極側に強アルカリ水が生成される。
陽極側に出来る強酸性水には強力な殺菌力があり、その殺菌力を応用して脱臭除菌する作用を発揮する。強酸性水の殺菌脱臭メカニズムは、色々な機関で研究されており、現在は、下記に記す説が定着している。
1.細菌細胞膜に浸透し、細胞膜に不可欠な呼吸系酸素を破壊する事で、細胞の同化作用 を停止させる。
2.細菌の細胞組織のタンパク質やアミノ酸に作用して、その化学性質を変質させたり分 解したりする。
一方、陰極側に出来る強アルカリ水にはタンパク質系、脂質系の汚れに洗浄効果がある、強酸性水と反応して酸性化している空気を中和させる効果がある。
【0016】
ここで、電気分解で生成した強酸性水の持つ最大の特徴である脱臭、殺菌の性質を応用して脱臭、除菌する事を本発明の課題とした。
一般空間に存在する臭いの成分は総て物質である。たとえば、老人施設の加齢臭は脂肪族化合物のノルマル核酸が臭気の元凶物質である。生ゴミの悪臭は窒素酸化物系トリメチルアミンが主体で、トイレや動物の飼育臭の主体も窒素酸化物系のアンモニアで、悪臭の根源は総て物質である。物質である限り、理論的に強酸性水の持つ悪臭を除去する性質に適合する。この基本理論に基づき、悪臭や汚染微粒子を脱臭除去する装置の開発を課題として発明した。
【0017】
以下、本発明の形態について、実施例に基づき図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
図1、図2に示す機器の配置及び組み合わせによる本発明の効果及び要綱について説明する。
図2に示す如く、本発明の脱臭除菌空気清浄装置の運転を開始するために、先ず制御装置1により本装置を起動させると同時に、排風するためにエジェクターの外気導入用送風機2を起動させる。送風機2が運転を開始してエジェクター部分3に外気23を送風する事により、エジェクター部分3が負圧となり悪臭発生源4より悪臭と塵埃を含んだ空気5を脱臭室6に吸引し取り込むことができる。脱臭室に散布する電解水は、電解水生成装置7の制御回路の設定により、起動させる以前から強酸性水8と強アルカリ水9を生成している。
この脱臭室6に取り込んだ悪臭と塵埃を含んだ汚染空気5は、上記、機器内部に装置した水の電解水生成装置7で生成した強酸性水8を図2に示すごとく、圧力ポンプ10で加圧して圧力パイプ12により脱臭室6に取り付けた数個のノズル13から、空気の流れと逆の方向に極微細なミスト状の粒子14として脱臭室6に噴射し、取り込んだ汚染空気に散布する。(本実施例では、強酸性水を放出するノズルを3段にして空気の流れと逆の方向に設置し、機器保護のため安全弁21を設けた。)図2
この極微細なミスト状の強酸性水の粒子が、汚染空気中の悪臭成分及び、細菌を除去して脱臭除菌する。
【0019】
悪臭成分と細菌が、極微細なミスト状の強酸性水で除去され無臭無菌状態となった酸性をおびた空気15は、脱臭室後部で強アルカリ水9を、圧力ポンプ11で加圧して圧力パイプ16で強酸性水と同様に数個のノズル17から、空気中にミスト状にして強酸性水で脱臭と除去した空気に噴霧する。(本実施例では、強アルカリ水を放出するノズルを3段にして空気の流れと逆の方向に設置し機器保護のため安全弁22を設けた。)図2
この装置で脱臭した酸姓の空気に強アルカリ水を噴霧する事で、空気中の粒度の大きい浮遊塵やタンパク質系、脂質系の汚染物質を除去し酸性の空気を中和させる。強アルカリ水で中和して水分を含んだ空気は、サイクロン、脱水除塵装置18を通過する事により、空気中に含んだ水分を脱水し、汚染物質を除去した空気を外部に無臭の清浄空気19として排気筒20より排出する事が出来る。汚染物質を含んだ汚染水25は、サイクロン18下部に設けた汚染水溜り24に回収しオーバーフローパイプ26により外部に放出する。
【0020】
本発明の脱臭除菌空気清浄装置を構成する材料として、実施例では強酸性水をミスト状にして脱臭する部分の筐体、脱臭した酸を含んだ空気を、強アルカリ水のミスト状の粒子で中和する筐体および、装置を構成する脱臭室のエジェクター部等、総ての筐体を塩化ビニール製の円筒を採用した。
外部に排気するための排風部分のエジェクターの筐体および、その水分を含んだ空気を脱水するサイクロン部分の総ての筐体を、低価格で酸に強い塩化ビニール及びアクリル樹脂等の耐酸樹脂で構成し製造した。
【符号の説明】
【0021】
1.制御装置
2.送風機
3.エジェクター部分
4.悪臭発生源
5.悪臭と塵埃を含んだ空気
6.脱臭室
7.電気分解装置
8.強酸性水
9.強アルカリ水
10.圧力ポンプ(強酸性水用)
11.圧力ポンプ(強アルカリ水用)
12.圧力パイプ(強酸性水用)
13.ノズル(強酸性水用)
14.極微細な霧状の粒子
15.酸性をおびた空気
16.圧力パイプ(強アルカリ水用)
17.ノズル(強アルカリ水用)
18.サイクロンを応用した脱水除塵装置
19.無臭の清浄空気
20.排気筒
21.安全弁
22.安全弁
23 新鮮な外気
24 汚染水溜り
25 汚染水
26 オーバーフローパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミ処理装置や汚水槽等で発生した悪臭にミスト状にした強酸性水を噴霧して脱臭除菌した酸を含んだ空気に、ミスト状にした強アルカリ水を噴霧してタンパク質系及び油脂系の汚染物質を除去すると共に酸性化した空気を中和し、その水分を含んだ空気をエジェクターでサイクロンに送り脱水除塵し、外部に放出する事を特徴とした脱臭除菌除塵空気清浄装置。
【請求項2】
サイクロン以外の総ての筐体を、塩化ビニール系及びアクリル樹脂などの樹脂で構成する事を特徴とした請求項1に記載の脱臭除菌除塵気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−31825(P2013−31825A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179946(P2011−179946)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(592245960)
【出願人】(511204234)
【Fターム(参考)】