説明

脱血圧検知手段の校正方法及び血液浄化装置

【課題】脱血圧検知手段を容易且つ正確に校正することができる脱血圧検知手段の校正方法及び血液浄化装置を提供する。
【解決手段】動脈側血液回路1aの先端から血液ポンプ2の配設位置までの間に接続されたチャンバ部材10を有し、チャンバ部材10の変形時の力を検知して電気信号に変換することにより脱血圧を検知可能な脱血圧検知手段9と、静脈側エアトラップチャンバ5内の圧力を検知して静脈圧を検知可能な圧力トランスデューサ13とを有した血液回路1における脱血圧検知手段9の校正方法であって、動脈側血液回路1aの先端と静脈側血液回路1bの先端とを接続して閉ループを形成するとともに、圧力トランスデューサ13で検知された静脈側エアトラップチャンバ5内の圧力を基準として脱血圧検知手段9を校正することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液を体外循環させるための血液回路における脱血圧検知手段の校正方法及び血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透析治療時に用いられ患者の血液を体外循環させる血液回路は、通常、一端に動脈側穿刺針が取り付けられる動脈側血液回路と、一端に静脈側穿刺針が取り付けられる静脈側血液回路とから主に構成されており、これら動脈側血液回路及び静脈側血液回路の各他端に血液浄化器としてのダイアライザを接続し得るよう構成されている。動脈側血液回路には、しごき型の血液ポンプが配設されており、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を患者に穿刺した状態で当該血液ポンプを駆動させることにより、動脈側穿刺針から血液を採取するとともに、その血液を動脈側血液回路内で流動させてダイアライザまで導き、該ダイアライザによる浄化後の血液を静脈側血液回路内で流動させ、静脈側穿刺針を介して患者の体内に戻して透析治療が行われる。
【0003】
体外循環を行う血液回路、特に動脈側穿刺針から血液ポンプの配設部の間においては、患者からの採血不良(脱血不良)によって血液回路内が陰圧になる場合がある。そのため、動脈側血液回路における血液ポンプよりも上流側には、陰圧を検出するための所謂ピローと称されるチャンバ部材(陰圧検出部材)が接続されている。かかるチャンバ部材は、例えば特許文献1にて開示されているように、血液回路に接続されるとともに、その血液回路内の圧力に応じて変形し得る可撓性中空状部材から成る。このチャンバ部材は、動脈側血液回路内を流れる血液が陰圧となると表面部と裏面部とが近接する方向に撓むよう構成されるとともに、その撓みの度合いを目視によって観察し、血液回路内の陰圧状態を判断している。
【0004】
ところで、上記圧力検知装置においては、動脈側血液回路内が陰圧になったか否かを検知し得るものの、その圧力がどの程度になっているか定量的に把握することができないという不具合があるため、本出願人は、動脈側血液回路における血液ポンプより上流側にチャンバ部材を接続するとともに、当該チャンバ部材の変形時の力を検知して電気信号に変換することにより脱血圧を定量的に検知可能な脱血圧検知手段を鋭意研究するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−267198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の脱血圧検知手段においては、脱血圧を定量的に検知可能であるものの、例えばチャンバ部材の個体差を吸収するための校正が困難であるという問題があった。即ち、動脈側血液回路に接続されるチャンバ部材には、通常、個体差が生じてしまうので、脱血圧検知手段の校正が必要とされるが、例えば校正のための基準となる別個のセンサを血液回路等に新たに設ける場合、校正作業が極めて煩わしくなってしまい作業性が悪化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、脱血圧検知手段を容易且つ正確に校正することができる脱血圧検知手段の校正方法及び血液浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、血液ポンプが配設される動脈側血液回路及びエアトラップチャンバが接続される静脈側血液回路から成るとともに、前記動脈側血液回路の先端から前記静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環可能な血液回路であって、前記動脈側血液回路の先端から前記血液ポンプの配設位置までの間に接続されたチャンバ部材を有し、当該チャンバ部材の変形時の力を検知して電気信号に変換することにより脱血圧を検知可能な脱血圧検知手段と、前記エアトラップチャンバの上部に接続され、当該エアトラップチャンバ内の圧力を検知して静脈圧を検知可能な静脈圧検知手段とを有した血液回路における脱血圧検知手段の校正方法であって、前記動脈側血液回路の先端と前記静脈側血液回路の先端とを接続して閉ループを形成するとともに、前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力を基準として前記脱血圧検知手段を校正することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の脱血圧検知手段の校正方法において、前記動脈側血液回路の先端から前記血液ポンプの配設位置までの間から分岐した分岐ラインを延設させるとともに、当該分岐ラインに前記脱血圧検知手段が配設されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の脱血圧検知手段の校正方法において、前記エアトラップチャンバと前記チャンバ部材とを連通状態としつつ当該エアトラップチャンバ内を大気開放とするとともに、前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力に基づいて前記脱血圧検知手段の零点を測定する零点測定工程を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の脱血圧検知手段の校正方法において、前記エアトラップチャンバ内と前記チャンバ部材内とで圧力差を生じさせる圧力差形成工程と、前記エアトラップチャンバと前記チャンバ部材とを連通状態とすることにより、前記圧力差形成工程で生じた圧力差を解消させて互いの圧力を平衡化させる平衡化工程とを有し、前記平衡化工程で互いの圧力が平衡化した状態にて前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力と、前記零点測定工程にて測定された零点とに基づき前記脱血圧検知手段を校正することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の脱血圧検知手段の校正方法において、前記血液ポンプは、しごき型ポンプから成るとともに、前記圧力差形成工程は、前記血液ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の脱血圧検知手段の校正方法において、前記血液回路には体外循環する血液を浄化するための血液浄化手段が接続されるとともに、当該血液浄化手段を介して除水を行わせる除水ポンプ及び当該血液浄化手段に透析液を供給するための複式ポンプを具備するとともに、前記圧力差形成工程は、前記除水ポンプ又は複式ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6の何れか1つに記載の脱血圧検知手段の校正方法において、前記圧力差形成工程時又は平衡化工程時、閉ループを形成する前記血液回路のリークの有無を判断することを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7の何れか1つに記載の脱血圧検知手段の校正方法において、前記脱血圧検知手段の校正は、前記血液回路内にプライミング液を充填させるプライミング工程時に行われることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、血液ポンプが配設される動脈側血液回路及びエアトラップチャンバが接続される静脈側血液回路から成るとともに、前記動脈側血液回路の先端から前記静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環可能な血液回路であって、前記動脈側血液回路の先端から前記血液ポンプの配設位置までの間に接続されたチャンバ部材を有し、当該チャンバ部材の変形時の力を検知して電気信号に変換することにより脱血圧を検知可能な脱血圧検知手段と、前記エアトラップチャンバの上部に接続され、当該エアトラップチャンバ内の圧力を検知して静脈圧を検知可能な静脈圧検知手段とを有した血液回路を設置可能な血液浄化装置であって、前記動脈側血液回路の先端と前記静脈側血液回路の先端とを接続して閉ループを形成した状態で、前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力を基準として前記脱血圧検知手段を校正する制御手段を具備したことを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の血液浄化装置において、前記動脈側血液回路の先端から前記血液ポンプの配設位置までの間から分岐した分岐ラインを延設させるとともに、当該分岐ラインに前記脱血圧検知手段が配設されたことを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項9又は請求項10記載の血液浄化装置において、前記制御手段は、前記エアトラップチャンバと前記チャンバ部材とを連通状態としつつ当該エアトラップチャンバ内を大気開放とするとともに、前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力に基づいて前記脱血圧検知手段の零点を測定する零点測定工程を行わせることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の血液浄化装置において、前記制御手段は、前記エアトラップチャンバ内と前記チャンバ部材内とで圧力差を生じさせる圧力差形成工程と、前記エアトラップチャンバと前記チャンバ部材とを連通状態とすることにより、前記圧力差形成工程で生じた圧力差を解消させて互いの圧力を平衡化させる平衡化工程とを行わせ、前記平衡化工程で互いの圧力が平衡化した状態にて前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力と、前記零点測定工程にて測定された零点とに基づき前記脱血圧検知手段を校正することを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の血液浄化装置において、前記血液ポンプは、しごき型ポンプから成るとともに、前記制御手段は、前記圧力差形成工程にて前記血液ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせることを特徴とする。
【0021】
請求項14記載の発明は、請求項12記載の血液浄化装置において、前記血液回路には体外循環する血液を浄化するための血液浄化手段が接続されるとともに、当該血液浄化手段を介して除水を行わせる除水ポンプ及び当該血液浄化手段に透析液を供給するための複式ポンプを具備するとともに、前記圧力差形成工程は、前記除水ポンプ又は複式ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせることを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の発明は、請求項12〜14の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記圧力差形成工程時又は平衡化工程時、閉ループを形成する前記血液回路のリークの有無を判断するリーク有無判断手段を具備したことを特徴とする。
【0023】
請求項16記載の発明は、請求項9〜15の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記制御手段は、前記血液回路内にプライミング液を充填させるプライミング工程時に前記脱血圧検知手段の校正を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1、9の発明によれば、動脈側血液回路の先端と静脈側血液回路の先端とを接続して閉ループを形成するとともに、静脈圧検知手段で検知されたエアトラップチャンバ内の圧力を基準として脱血圧検知手段を校正するので、当該脱血圧検知手段の校正のための別個新たなセンサ等を不要とすることができ、脱血圧検知手段を容易且つ正確に校正することができる。
【0025】
請求項2、10の発明によれば、動脈側血液回路の先端から血液ポンプの配設位置までの間から分岐した分岐ラインを延設させるとともに、当該分岐ラインに脱血圧検知手段が配設されたので、脱血圧を精度よく検知することができるとともに、血液を確実且つスムーズに体外循環させることができる。
【0026】
請求項3、11の発明によれば、エアトラップチャンバとチャンバ部材とを連通状態としつつ当該エアトラップチャンバ内を大気開放とするとともに、静脈圧検知手段で検知されたエアトラップチャンバ内の圧力に基づいて脱血圧検知手段の零点を測定する零点測定工程を有するので、校正のための零点を容易且つ正確に測定することができる。
【0027】
請求項4、12の発明によれば、エアトラップチャンバ内とチャンバ部材内とで圧力差を生じさせる圧力差形成工程と、エアトラップチャンバとチャンバ部材とを連通状態とすることにより、圧力差形成工程で生じた圧力差を解消させて互いの圧力を平衡化させる平衡化工程とを有し、平衡化工程で互いの圧力が平衡化した状態にて静脈圧検知手段で検知されたエアトラップチャンバ内の圧力と、零点測定工程にて測定された零点とに基づき脱血圧検知手段を校正するので、より正確に脱血圧検知手段の校正を行うことができる。
【0028】
請求項5、13の発明によれば、血液ポンプは、しごき型ポンプから成るとともに、圧力差形成工程は、血液ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせるので、圧力差形成工程のための別個新たな手段を不要とすることができ、より容易に脱血圧検知手段の校正を行わせることができる。
【0029】
請求項6、14の発明によれば、血液回路には体外循環する血液を浄化するための血液浄化手段が接続されるとともに、当該血液浄化手段を介して除水を行わせる除水ポンプ及び当該血液浄化手段に透析液を供給するための複式ポンプを具備するとともに、圧力差形成工程は、除水ポンプ又は複式ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせるので、血液ポンプを駆動させることなく圧力差形成工程を行わせることができる。
【0030】
請求項7、15の発明によれば、圧力差形成工程時又は平衡化工程時、閉ループを形成する血液回路のリークの有無を判断するので、脱血圧検知手段の校正と同時に血液回路のリーク検査を行わせることができ、作業性を一層向上させることができる。
【0031】
請求項8、16の発明によれば、脱血圧検知手段の校正は、血液回路内にプライミング液を充填させるプライミング工程時に行われるので、プライミング作業時に脱血圧検知手段の校正を行わせることができ、作業性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る血液透析装置を示す全体模式図
【図2】同血液透析装置における静脈圧検知手段(トランスデューサ)を示す模式図
【図3】同血液透析装置に適用される脱血圧検知装置を示す3面図(正面図、平面図及び側面図)
【図4】同脱血圧検知装置におけるチャンバ部材を示す平面図
【図5】同脱血圧検知装置におけるチャンバ部材を示す正面図
【図6】図4におけるVI−VI線断面図
【図7】同脱血圧検知装置におけるチャンバ部材及び検知手段を示す模式図
【図8】同脱血圧検知装置における検知手段を構成する第2アーム及び固定係止部を示す斜視図
【図9】実施形態に係る血液透析装置におけるプライミング工程時の状態を示す模式図
【図10】同血液透析装置における零点測定工程時の状態を示す模式図
【図11】同血液透析装置における圧力差形成工程時の状態を示す模式図
【図12】同血液透析装置における平衡化工程時の状態を示す模式図
【図13】同血液透析装置におけるプライミング工程が終了した状態を示す模式図
【図14】同血液透析装置における静脈圧検知手段(トランスデューサ)により検知された圧力の変動、及び脱血圧検知手段で検知されるべき実圧力の変動を示すグラフ
【図15】本発明の他の実施形態における圧力差形成工程時の状態を示す模式図
【図16】本発明の更に他の実施形態における圧力差形成工程時の状態を示す模式図
【図17】本発明の更に他の実施形態における圧力差形成工程時の状態を示す模式図
【図18】本実施例における実験形態を示す模式図
【図19】本実施例における実験結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に適用される血液浄化装置は、血液透析治療のための血液透析装置から成るもので、図1に示すように、患者の血液を体外循環するために可撓性チューブで構成された血液回路1(動脈側血液回路1a及び静脈側血液回路1b)を有するとともに、当該血液回路1から分岐して延設された分岐ラインL3を有したものである。
【0034】
より具体的には、適用される血液透析装置は、動脈側血液回路1a及び静脈側血液回路1bから成る血液回路1(主ライン)と、動脈側血液回路1aの途中に配設されたしごき型の血液ポンプ2と、動脈側血液回路1a及び静脈側血液回路1bの間に介装されて血液回路を流れる血液を浄化するダイアライザ3(血液浄化手段)と、動脈側血液回路1aに接続された動脈側エアトラップチャンバ4と、静脈側血液回路1bに接続された静脈側エアトラップチャンバ5と、透析装置本体6と、補液(生理食塩液など)を収容した収容手段7(補液供給源)と、該収容手段7と動脈側血液回路1aとを連結した分岐ラインL3と、該分岐ラインL3の途中に接続されたエアトラップチャンバ8と、圧力トランスデューサ13(静脈圧検知手段)と、リーク有無判断手段14と、制御手段15とから主に構成されている。
【0035】
動脈側血液回路1aには、その先端にコネクタcを介して動脈側穿刺針aが接続されるとともに、途中にしごき型の血液ポンプ2が配設され、動脈側エアトラップチャンバ4が接続される一方、静脈側血液回路1bには、その先端にコネクタdを介して静脈側穿刺針bが接続されるとともに、途中に静脈側エアトラップチャンバ5が接続されている。そして、動脈側穿刺針a及び静脈側穿刺針bを患者に穿刺した状態で、血液ポンプ2を駆動させると、患者の血液は、動脈側エアトラップチャンバ4で除泡がなされつつ動脈側血液回路1aを通ってダイアライザ3に至った後、該ダイアライザ3によって血液浄化が施され、静脈側エアトラップチャンバ5で除泡がなされつつ静脈側血液回路1bを通って患者の体内に戻る。即ち、患者の血液を血液回路の動脈側血液回路1aの先端から静脈側血液回路1bの先端まで体外循環させつつダイアライザ3にて浄化するのである。
【0036】
尚、動脈側エアトラップチャンバ4及び静脈側エアトラップチャンバ5には、上部(空気層側)から延びて先端が大気解放とされたオーバーフローライン4a、5aがそれぞれ延設されており、当該動脈側エアトラップチャンバ4及び静脈側エアトラップチャンバ5をオーバーフローした液体(生理食塩液等のプライミング液)を外部に排出させ得るよう構成されている。このオーバーフローライン4a、5aには、それぞれ電磁弁V4、V5が配設されており、当該オーバーフローライン4a、5aを任意に閉塞又は開放可能とされている。
【0037】
ダイアライザ3は、その筐体部に、血液導入口3a(血液導入ポート)、血液導出口3b(血液導出ポート)、透析液導入口3c(透析液流路入口:透析液導入ポート)及び透析液導出口3d(透析液流路出口:透析液導出ポート)が形成されており、このうち血液導入口3aには動脈側血液回路1aが、血液導出口3bには静脈側血液回路1bがそれぞれ接続されている。また、透析液導入口3c及び透析液導出口3dは、透析装置本体6から延設された透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されている。
【0038】
ダイアライザ3内には、複数の中空糸(不図示)が収容されており、この中空糸が血液を浄化するための血液浄化膜を構成している。而して、ダイアライザ3内には、血液浄化膜を介して患者の血液が流れる血液流路(血液導入口3aと血液導出口3bとの間の流路)及び透析液が流れる透析液流路(透析液導入口3cと透析液導出口3dとの間の流路)が形成されている。そして、血液浄化膜を構成する中空糸には、その外周面と内周面とを貫通した微小な孔(ポア)が多数形成されて中空糸膜を形成しており、該膜を介して血液中の老廃物等が透析液内に透過し得るよう構成されている。
【0039】
一方、透析装置本体6は、図1に示すように、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2に跨って形成された複式ポンプ11と、透析液排出ラインL2において複式ポンプ11を迂回して接続されたバイパスラインL4と、該バイパスラインL4に接続された除水ポンプ12とから主に構成されている。そして、透析液導入ラインL1の一端がダイアライザ3(透析液導入ポート3c)に接続されるとともに、他端が所定濃度の透析液を調製する透析液供給装置(不図示)に接続されている。尚、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2には、それぞれ電磁弁V6、V7が配設されており、それら流路を任意に開放又は閉塞可能とされている。
【0040】
また、透析液排出ラインL2の一端は、ダイアライザ3(透析液導出ポート3d)に接続されるとともに、他端が図示しない排液手段と接続されており、透析液供給装置から供給された透析液が透析液導入ラインL1を通ってダイアライザ3に至った後、透析液排出ラインL2及びバイパスラインL4を通って排液手段に送られるようになっている。尚、除水ポンプ12は、駆動により、ダイアライザ3中(血液流路中)を流れる患者の血液から水分を除去するためのものである。
【0041】
収容手段7(所謂「生理食塩液バッグ」と称されるもの)は、可撓性の透明な容器から成り、生理食塩液(プライミング液)等の補液を所定容量収容し得るもので、例えば透析装置本体6に突設されたポール(不図示)の先端に取り付けられている。分岐ラインL3は、動脈側血液回路1aにおける動脈側穿刺針aと動脈側エアトラップチャンバ4との間の部位(連結部H)に接続され、収容手段7内の生理食塩液(プライミング液)を血液回路1内に供給し得るものである。尚、連結部Hは、汎用のT字管、Y字管等の接続部品が用いられている。
【0042】
また、分岐ラインL3の途中には、エアトラップチャンバ8が接続されており、生理食塩液(プライミング液)の供給(滴下)を目視し得るよう構成されるとともに、電磁弁V3が配設されている。かかる電磁弁V3は、分岐ラインL3における脱血圧検知手段9と収容手段7(補液供給源)との間(より具体的には、脱血圧検知手段9とエアトラップチャンバ8との間)に位置する所定部位をクランプ可能とされ、当該所定部位の流路を任意タイミングにて閉塞可能とされている。尚、動脈側血液回路1aの先端(コネクタc近傍)及び静脈側血液回路1bの先端(コネクタd近傍)には、同様の電磁弁が配設されており、その配設部位における流路を任意タイミングにて閉塞可能とされている。
【0043】
脱血圧検知手段9は、分岐ラインL3に接続されるとともに、当該分岐ラインL3を流れる液体(生理食塩液等の補液)を収容可能なチャンバ部材10を有し、当該チャンバ部材10内の液圧を検知することにより血液回路1(動脈側血液回路1aにおける先端から血液ポンプ2までの間の流路)内の液圧(即ち、脱血圧)を検知可能なものである。より具体的には、脱血圧検知手段9は、図3に示すように、チャンバ部材10と、第1アーム18及び第2アーム19とを有して構成されている。尚、チャンバ部材10には、一対のポートP1、P2が形成されており、これらポートP1、P2に分岐ラインL3が接続されるようになっている。
【0044】
チャンバ部材10は、ポートP1、P2を介して分岐ラインL3と接続されるとともに、当該分岐ラインL3内の圧力変化に伴い変形し得る可撓性中空状部材から成るものであり、略円盤状(平面視で略円形)に形成されている。このチャンバ部材10は、図4〜6に示すように、その内部に分岐ラインL3と連通する連通空間Sが形成されるとともに、当該連通空間Sが分岐ラインL3を流れる液体(生理食塩液等の補液)で満たされるようになっている。
【0045】
また、本実施形態に係るチャンバ部材10は、軟質樹脂10a(軟質塩化ビニル等)にて形成されるとともに、当該軟質樹脂10aより硬質とされた硬質樹脂(硬質塩化ビニル等)から成る硬質樹脂部10bを有して成る。即ち、全体形状が軟質樹脂10aで構成され、連通空間S及びポートP1、P2が形成されるとともに、その表裏面に対して硬質樹脂部10bが突出形成されているのである。軟質樹脂10a及び硬質樹脂部10bは、相対的に軟質及び硬質とされていれば足り、硬質樹脂部10bの方が軟質樹脂10aよりも硬質とは硬質樹脂10bの方が剛性が高く可撓性に乏しいことをいう。
【0046】
硬質樹脂部10bは、例えば軟質樹脂10aに対してインサート成形されることにより当該軟質樹脂10aの表裏面それぞれに形成され、図5において上方及び下方にそれぞれ突出形成されて成るものであり、第2アーム19又は固定係止部20(図3、8参照)と係止可能な係止部10baが一体的に形成されている。この係止部10baは、硬質樹脂部10bの突出部における細径部から成り、図8に示すように、第2アーム19に形成された切欠き部19a及び固定係止部20に形成された切欠き部20aに挿通されて係止可能な形状及び寸法とされている。尚、固定係止部20は、フレームFに固定されたものであり、この係止部20と第2アーム19との間にチャンバ部材10が保持されるようになっている。
【0047】
第2アーム19は、連結部材21を介して第1アーム18と連結されており、当該第1アーム18は、フレームFの突起部Faに対して片持ちで連結されて成るものである。即ち、第1アーム18は、その基端がネジなどの支持部材22にて突起部Faに連結され、先端が連結部材21を介して第2アーム19と連結されており、チャンバ部材10の変形に伴う変位にて圧力を受け得るようになっている。
【0048】
第1アーム18には、フォースセンサとしての歪みゲージが形成されており、チャンバ部材10の変形に伴う力を第2アーム19を介して受けると、その圧力の大きさに応じた電圧(電気信号)を発生させ得るよう構成されている。即ち、フォースセンサは、液圧変化に伴うチャンバ部材10の変形時の力を検知し、その検知した力を電気信号に変換し得るものとされている。このとき発生する電圧は、第2アーム19に付与される力(即ち、硬質樹脂部10bの変位量)と略比例したものとされる。これにより、チャンバ部材10の変形による力を検知し得るようになっており、当該チャンバ部材10の表面の変位による力の検知により分岐ラインL3内の圧力を検知し得るよう構成されている。
【0049】
具体的には、歪みゲージは金属抵抗体が伸縮するとその抵抗値が変化する原理を利用しており、第2アーム19の切欠き部19a及び固定係止部20に形成された切欠き部20aに対し、一対の係止部10baをそれぞれ挿通して当接させ、係止させることにより、図7に示すように、チャンバ部材10をセットするよう構成されており、血液回路1(動脈側血液回路1a)内の圧力変化に伴い分岐ラインL3内の液圧が変化してチャンバ部材10が変形(動脈側血液回路1a内の圧力上昇により膨張し、圧力低下により収縮する如き変形)するのに伴って硬質樹脂部10bが変位し、第1アーム18及び第2アーム19が図7中α方向(チャンバ部材10が膨張した場合)又はβ方向(チャンバ部材10が収縮した場合)に歪むので、歪みゲージ(フォースセンサ)にてその歪みによる抵抗値の変化を検知すれば硬質樹脂部10bの変位量を検知することができ、従って血液回路1内(動脈側血液回路1a内)の圧力を検知することができるのである。
【0050】
本実施形態の脱血圧検知手段9によれば、第2アーム19が硬質樹脂部10bと当接してその力を検知することにより分岐ラインL3内(即ち、動脈側血液回路1a内)の圧力(即ち、脱血圧)を検知し得るよう構成されているので、当該硬質樹脂部10bに対する第2アーム19の受圧面積の変化を抑制して血液回路内の圧力を精度よく検知することができる。即ち、可撓性に富んだ軟質樹脂のみでチャンバ部材を構成し、その表裏面の変位を検知しようとした場合、当該チャンバ部材の変形に伴って第2アーム19との当接面積(受圧面積)が変化してしまい、変位量の検知に誤差が生じてしまうのに対し、本実施形態によれば、撓むのが比較的困難な硬質樹脂部10bに第2アーム19が当接しているので、当該不具合を抑制することができるのである。
【0051】
また、チャンバ部材10は、その内部に血液回路と連通する連通空間Sが形成されるとともに、当該連通空間Sが分岐ラインL3を流れる液体(生理食塩液などの補液)で満たされるので、内部に空気層が形成されるものに比べ、より精度よく血液回路1内の圧力を検知することができる。即ち、血液回路に接続されるエアトラップチャンバの如く上部に空気層が形成されるもので圧力検知装置を構成した場合、当該空気層の体積が変動するため、チャンバ部材の変形と血液回路内の圧力との関係が一定とならず、精度よく血液回路内の圧力を検知することができないのに対し、本実施形態によれば連通空間S内が液体(生理食塩液等の補液)で満たされるため、当該不具合を抑制することができるのである。
【0052】
更に、硬質樹脂部10bは、第2アーム19と係止可能な係止部10baが一体的に形成されたので、チャンバ部材10の変形による力に第2アーム19及び第1アーム18を確実に追従させることができ、更に精度よく分岐ラインL3内(即ち、血液回路1内)の圧力を検知することができる。また、係止部10baが固定係止部20及び第2アーム19に係止されてセットされるので、チャンバ部材10の膨張による変形は勿論、収縮による変形に対しても確実に第1アーム18及び第2アーム19を追従させることができる。
【0053】
一方、本実施形態においては、図1に示すように、静脈側エアトラップチャンバ5の空気層側(即ち、静脈側エアトラップチャンバ5の上部側)からはモニタ用チューブ5bが延設されており、かかるモニタ用チューブ5bの先端には静脈圧検知手段としての圧力トランスデューサ13が接続されている。この圧力トランスデューサ13は、透析装置本体6内に配設されつつ静脈側エアトラップチャンバ5の空気層側と連通した静脈圧センサから成り、透析治療中において、血液回路1(静脈側血液回路1b)を流れる患者の血液の圧力(静脈圧)をリアルタイムで検出し得るよう構成されている。尚、圧力トランスデューサ13は、透析装置本体6内に配設されて、長期に亘って校正が不要とされる一方、使い捨て(ディスポーザブル)を前提とされた血液回路1に接続されるチャンバ部材10を有した脱血圧検知手段9は、治療毎にその校正が必要とされる。
【0054】
また、図2に示すように、モニタ用チューブ5bの途中(透析装置本体5と接続される側)には保護フィルタ16(TPフィルタと称されるトランスデューサプロテクタ)が配設されており、圧力トランスデューサ13は、当該保護フィルタ16及び圧力ポート17を介して静脈側エアトラップチャンバ5の空気層側と連通されるよう構成されている。かかる保護フィルタ16は、静脈側エアトラップチャンバ5側と連通した微小空間と、圧力トランスデューサ13側と連通した微小空間とをフィルタ部材(不図示)にて隔てた構成とされており、このフィルタ部材により、空気の通過を許容しつつ液体の通過を規制し得るようになっている。
【0055】
また、透析装置本体6内には、圧力トランスデューサ13と電気的に接続されたリーク有無判断手段14が配設されている。かかるリーク有無判断手段14は、後述する脱血圧検知手段9の校正時(圧力差形成工程時又は平衡化工程時)、閉ループを形成する血液回路1のリーク(漏れ)の有無を判断するためのものであり、本実施形態においては、プライミング工程においてリークの判断が行われるよう構成されている。
【0056】
制御手段15は、動脈側血液回路1aの先端と静脈側血液回路1bの先端とを接続して閉ループを形成した状態(図9等参照)で、圧力トランスデューサ13(静脈圧検知手段)で検知された静脈側エアトラップチャンバ5内の圧力を基準として脱血圧検知手段9を校正するためのものであり、本実施形態においては、透析装置本体6内に配設されている。即ち、制御手段15は、脱血圧検知手段9を校正するための種々動作(電磁弁V1〜V7の開閉動作、血液ポンプ2の駆動或いは除水ポンプ12等の駆動等)を指示するためのものである。
【0057】
次に、本実施形態に係る血液回路におけるプライミング方法(治療前のプライミング工程)について説明する。
まず、図9に示すように、動脈側血液回路1a先端のコネクタcと静脈側血液回路1b先端のコネクタdとを接続しておく。そして、電磁弁V4、V6及びV7を閉状態(流路を閉塞した状態:以下同じ)及びその他の電磁弁(V1〜V3、V5)を開状態(流路を開放した状態:以下同じ)とするとともに、血液ポンプ2を正転方向(図中矢印方向)に駆動させる。
【0058】
このとき、血液ポンプ2の駆動速度はプライミング液(収容手段7に収容された生理食塩液等の補液)の供給速度を上回らないものとすれば、血液ポンプ2によって、動脈側血液回路1aを経由させてプライミング液を動脈側エアトラップチャンバ4及びダイアライザ3を充填させつつ静脈側エアトラップチャンバ5に設置したオーバーフローライン5aから排出させ、それと同時に、静脈側血液回路1bを経由して動脈側血液回路1a先端のコネクタcと静脈側血液回路1b先端のコネクタdの接続部にてプライミング液を充填させつつ静脈側エアトラップチャンバ5に設置したオーバーフローライン5aから当該プライミング液を排出させることができる。
【0059】
これにより、オーバーフローライン5aからプライミング液(収容手段7に収容された生理食塩液等の補液)を排出させつつ血液回路1内にプライミング液を充填させてプライミング工程が行われることとなる。尚、プライミング工程においては、電磁弁V5を閉状態とする一方、電磁弁V4を開状態とし、オーバーフローライン4aからプライミング液を排出させるようにしてもよく、更には電磁弁V4、V5の何れも開状態として、オーバーフローライン4a、5aの両方からプライミング液を排出させるようにしてもよい。
【0060】
上記の如く血液回路1内にプライミング液が充填された後、図10に示すように、制御手段15からの指示により、電磁弁V3を閉状態とする(他の電磁弁は、図9で示す状態を維持)とともに血液ポンプ2を停止させる(零点測定工程)。これにより、静脈側エアトラップチャンバ5と脱血圧検知手段9を構成するチャンバ部材10とを連通状態としつつ当該静脈側エアトラップチャンバ5内を大気開放とするとともに、圧力トランスデューサ13(静脈圧検知手段)で検知された静脈側エアトラップチャンバ5内の圧力に基づいて脱血圧検知手段9の零点を測定することができる。
【0061】
その後、図11で示すように、制御手段15の指示により、電磁弁V2、V5を閉状態としつつ電磁弁V4を開状態とし(他の電磁弁V1、V3、V6、V7は図10で示す状態を維持)、血液ポンプ2を正転側に駆動させる(圧力差形成工程)。これにより、血液回路1における脱血圧検知手段9を構成するチャンバ部材10側の流路(電磁弁V2から電磁弁V1を通って血液ポンプ2及び電磁弁V3までの間の流路)を負圧(陰圧)とする一方、静脈側エアトラップチャンバ5側の流路(血液ポンプ2から動脈側エアトラップチャンバ4及び静脈側エアトラップチャンバ5を通って電磁弁V2までの間の流路)を大気圧に維持することができ、図14で示すように、静脈側エアトラップチャンバ5内とチャンバ部材10内とで圧力差(圧力αと圧力βとで形成される圧力差)を生じさせることができる。
【0062】
そして、図12に示すように、制御手段15の指示により、電磁弁V4を閉状態としつつ電磁弁V2を開状態とするとともに、血液ポンプ2を停止させる(平衡化工程)。これにより、静脈側エアトラップチャンバ5とチャンバ部材10とを連通状態とすることができ、図14に示すように、圧力差形成工程で生じた圧力差を解消させて互いの圧力を平衡化(圧力α:脱血圧検知手段9の実圧力と圧力β:静脈圧とを圧力γ(−200mmHg)とする平衡化)させることができる。
【0063】
然るに、平衡化工程で互いの圧力が平衡化した状態にてトランスデューサ13(静脈圧検知手段)で検知された静脈側エアトラップチャンバ5内の圧力と、零点測定工程にて測定された零点とに基づき(平衡化工程の1点(平衡となった圧力γ)と零点測定工程の1点との2点により)脱血圧検知手段9を校正することができる。かかる校正は、制御手段15により自動的に行われるものとするのが好ましいが、平衡化工程で検知された圧力と零点測定工程で測定された零点に基づいて手作業により校正を行うものであってもよい。
【0064】
更に、本実施形態においては、上記の如き圧力差形成工程時又は平衡化工程時、リーク有無判断手段14によって、閉ループを形成する血液回路1のリークの有無を判断することができるよう構成されている。即ち、圧力差形成工程時又は平衡化工程時においては、負圧箇所が形成されているが、血液回路1やダイアライザ3内の液密性及び気密性が不十分でリークが生じていると、その部分からエアを吸い込んで徐々に常圧に戻ろうとする。而して、これをリーク有無判断手段14が検知することにより、リークの有無を判断できるのである。
【0065】
上記の如く脱血圧検知手段9の校正が終了した後、図13で示すように、電磁弁V3を開状態として血液回路1内を常圧(大気圧)とし、再び当該電磁弁V3を閉状態とすることにより、脱血圧検知手段9の校正作業を含む一連のプライミング工程が終了する。本実施形態によれば、脱血圧検知手段9の校正は、血液回路1内にプライミング液を充填させるプライミング工程時に行われるので、プライミング作業時に脱血圧検知手段9の校正を行わせることができ、作業性をより一層向上させることができる。
【0066】
かかるプライミング工程が終了した後、図1に示すように、コネクタc、dに患者に穿刺した状態の動脈側穿刺針a及び静脈側穿刺針bを接続し、血液ポンプ2を正転側に駆動させることにより、患者の血液を血液回路1において体外循環させつつダイアライザ3にて血液浄化治療(透析治療)が施されることとなる。このとき、動脈側血液回路1aと分岐ラインL3とは、連結部Hを介して連結されている(但し、電磁弁V3は閉状態とされる)ため、脱血圧検知手段9によりチャンバ部材10内の液圧を検知することにより血液回路1内(動脈側血液回路1aにおける血液ポンプ2より上流側の部位)の液圧(即ち、脱血圧)を検知可能とされている。
【0067】
上記実施形態によれば、動脈側血液回路1aの先端と静脈側血液回路1bの先端とを接続して閉ループを形成するとともに、圧力トランスデューサ13(静脈圧検知手段)で検知された静脈側エアトラップチャンバ5内の圧力を基準として脱血圧検知手段9を校正するので、当該脱血圧検知手段9の校正のための別個新たなセンサ等を不要とすることができ、脱血圧検知手段9を容易且つ正確に校正することができる。
【0068】
また、動脈側血液回路1aの先端から血液ポンプ2の配設位置までの間か(連結部H)ら分岐した分岐ラインL3を延設させるとともに、当該分岐ラインL3に脱血圧検知手段9が配設されたので、脱血圧を精度よく検知することができるとともに、動脈側血液回路1aに脱血圧検知手段9を配設すべくチャンバ部材10を接続したものに比べ、血液が流動する部位に段差等が形成されるのを回避することができ、血液を確実且つスムーズに体外循環させることができる。
【0069】
また、静脈側エアトラップチャンバ5とチャンバ部材10とを連通状態としつつ当該静脈側エアトラップチャンバ5内を大気開放とするとともに、圧力トランスデューサ13(静脈圧検知手段)で検知された静脈側エアトラップチャンバ5内の圧力に基づいて脱血圧検知手段9の零点を測定する零点測定工程を有するので、校正のための零点を容易且つ正確に測定することができる。
【0070】
更に、静脈側エアトラップチャンバ5内とチャンバ部材10内とで圧力差を生じさせる圧力差形成工程と、静脈側エアトラップチャンバ5とチャンバ部材10とを連通状態とすることにより、圧力差形成工程で生じた圧力差を解消させて互いの圧力を平衡化させる平衡化工程とを有し、平衡化工程で互いの圧力が平衡化した状態にて圧力トランスデューサ13(静脈圧検知手段)で検知された静脈側エアトラップチャンバ5内の圧力と、零点測定工程にて測定された零点とに基づき脱血圧検知手段9を校正するので、より正確に脱血圧検知手段9の校正を行うことができる。
【0071】
尚、本実施形態においては、血液ポンプ2は、しごき型ポンプから成るとともに、圧力差形成工程は、血液ポンプ2を駆動させることにより圧力差を生じさせるので、圧力差形成工程のための別個新たな手段を不要とすることができ、より容易に脱血圧検知手段9の校正を行わせることができる。また、圧力差形成工程時又は平衡化工程時、閉ループを形成する血液回路1のリークの有無を判断するので、脱血圧検知手段9の校正と同時に血液回路1のリーク検査を行わせることができ、作業性を一層向上させることができる。
【0072】
次に、本発明の技術的優位性を示す実験について実施例に基づき説明する。
まず、図18に示すように、血液回路に見立てた流路にチャンバ部材10を接続した水再循環系回路(収容器A内に収容された37℃の水を循環させる回路)を用意し、その途中において上記実施形態と同様のしごき型の血液ポンプ2を配設した。また、流路における先端と血液ポンプ2との間には、基準液圧を測定するためのセンサ(基準マノメータT)を接続し、当該部位での液圧を併せて測定するとともに、脱血圧検知手段9は、上記実施形態と同様のものとした。尚、図中符号Bは、圧力絞り弁を示している。
【0073】
然るに、本実験は、基準マノメータTの指示圧力と脱血圧検知手段9におけるフォースセンサの出力電圧との関係を1時間毎にプロットすることにより1時間毎の圧応答性を確認するための実験であり、0時間、1時間、2時間、3時間、4時間及び5時間経過した場合の脱血圧検知手段9の出力電圧と基準マノメータTの指示圧力との相関関係を調べるものである。
【0074】
その結果について図19のグラフに示す。脱血圧検知手段9の出力電圧と基準マノメータの指示圧力との0時間経過した場合の近似式は、y=0.0010x+2.10、相関係数(R)=0.98、1時間経過した場合の近似式は、y=0.0010x+2.10、相関係数(R)=0.98、2時間経過した場合の近似式は、y=0.0010x+2.10、相関係数(R)=0.96、3時間経過した場合の近似式は、y=0.0010x+2.10、相関係数(R)=0.96、4時間経過した場合の近似式は、y=0.0011x+2.10、相関係数(R)=0.96、5時間経過した場合の近似式は、y=0.0010x+2.11、相関係数(R)=0.96なる結果となっており、全ての実施例について相関係数(R)が0.96以上と良好な結果となった。これにより、脱血圧検知手段9の校正は、長時間に亘って有効とされることが分かり、プライミング工程時に校正を行えば、その後の血液浄化治療(血液透析治療)において再校正しなくてもよいことが実証された。
【0075】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば圧力差形成工程において、図15に示すように、制御手段15の指示により、電磁弁V1及びV3を開状態としつつ電磁弁V2、V4、V5、V6及びV7を閉状態とするとともに、血液ポンプ2を正転側に駆動させることもできる。
【0076】
かかる圧力差形成工程によっても、血液回路1における脱血圧検知手段9を構成するチャンバ部材10側の流路(電磁弁V2から電磁弁V1を通って血液ポンプ2及び電磁弁V3までの間の流路)を大気圧に維持する一方、静脈側エアトラップチャンバ5側の流路(血液ポンプ2から動脈側エアトラップチャンバ4及び静脈側エアトラップチャンバ5を通って電磁弁V2までの間の流路)を正圧(陽圧)とすることができ、図11のものと同様、静脈側エアトラップチャンバ5内とチャンバ部材10内とで圧力差を生じさせることができる。
【0077】
上記実施形態においては、何れも血液ポンプ2を駆動させることにより圧力差形成工程を行わせているが、これに代えて、図16に示すように、制御手段15が、圧力差形成工程にて除水ポンプ12を駆動させることにより圧力差を生じさせるものとしてもよい。即ち、制御手段15の指示により、電磁弁V1、V6及びV7を開状態としつつ電磁弁V2〜V5を閉状態とするとともに、除水ポンプ12を駆動(血液ポンプ2は停止)させるのである。
【0078】
これにより、ダイアライザ3における血液流路側から透析液流路側にプライミング液(血液回路1およびダイアライザ3内の充填液)を正濾過して移動(除水)させることができ、血液回路1における静脈側エアトラップチャンバ5側の流路(血液ポンプ2から動脈側エアトラップチャンバ4及び静脈側エアトラップチャンバ5を通って電磁弁V2までの間の流路)を負圧(陰圧)とする一方、脱血圧検知手段9を構成するチャンバ部材10側の流路(電磁弁V2から電磁弁V1を通って血液ポンプ2及び電磁弁V3までの間の流路)を大気圧に維持することができ、図11のものと同様、静脈側エアトラップチャンバ5内とチャンバ部材10内とで圧力差を生じさせることができる。
【0079】
更に、上記実施形態においては、血液ポンプ2又は除水ポンプ12を駆動させることにより圧力差形成工程を行わせているが、これに代えて、図17に示すように、制御手段15が、圧力差形成工程にて複式ポンプ11を駆動させることにより圧力差を生じさせるものとしてもよい。即ち、制御手段15の指示により、電磁弁V1及びV6を開状態としつつ電磁弁V2〜V5及びV7を閉状態とするとともに、複式ポンプ11を駆動(血液ポンプ2及び除水ポンプ12は停止)させるのである。
【0080】
これにより、ダイアライザ3における透析液流路から血液流路にプライミング液を逆濾過して透析液を血液回路1側に圧送させることができ、血液回路1における静脈側エアトラップチャンバ5側の流路(血液ポンプ2から動脈側エアトラップチャンバ4及び静脈側エアトラップチャンバ5を通って電磁弁V2までの間の流路)を正圧(陽圧)とする一方、脱血圧検知手段9を構成するチャンバ部材10側の流路(電磁弁V2から電磁弁V1を通って血液ポンプ2及び電磁弁V3までの間の流路)を大気圧に維持することができ、図11のものと同様、静脈側エアトラップチャンバ5内とチャンバ部材10内とで圧力差を生じさせることができる。
【0081】
上記の如き実施形態によれば、血液回路1には体外循環する血液を浄化するためのダイアライザ3(血液浄化手段)が接続されるとともに、当該ダイアライザ3(血液浄化手段)を介して除水を行わせる除水ポンプ12及び当該ダイアライザ3(血液浄化手段)に透析液を供給するための複式ポンプ11を具備するとともに、圧力差形成工程は、除水ポンプ12又は複式ポンプ11を駆動させることにより圧力差を生じさせるので、血液ポンプ2を駆動させることなく圧力差形成工程を行わせることができる。
【0082】
一方、上記実施形態においては、何れも動脈側血液回路1aの先端から血液ポンプ2の配設位置までの間から分岐した分岐ラインL3を延設させるとともに、当該分岐ラインL3に脱血圧検知手段9が配設されているが、これに代えて、動脈側血液回路1aにおける先端から血液ポンプ2の配設位置までの間にチャンバ部材10を接続させ、その部位に脱血圧検知手段9を配設するようにしてもよい。即ち、チャンバ部材10は、動脈側血液回路1bの先端から血液ポンプ2の配設位置までの間(動脈側血液回路1aであっても当該動脈側血液回路1aから分岐した分岐ラインL3であってもよい)に接続されていれば足りるのである。
【0083】
尚、分岐ラインL3は、その延設端に生理食塩液等の補液を収容する補液供給源が接続されたものに限らず、血液回路1に透析液を導入して補液するための補液ラインや血液回路1に薬剤を注入するための薬液注入ライン等であってもよい。尚、本実施形態においては、透析治療時に用いられる透析装置に適用しているが、患者の血液を体外循環させつつ浄化し得る他の装置(例えば血液濾過透析法、血液濾過法、AFBFで使用される血液浄化装置、血漿吸着装置など)に適用してもよい。
【0084】
更に、本実施形態においては、プライミング工程時であって血液回路1内にプライミング液が満たされた状態で脱血圧検知手段9の校正を行っているが、当該血液回路1内にプライミング液が満たされていない状態(プライミング工程に限らず、血液回路1内に空気が満たされた状態)でも当該校正は可能である。但し、その場合、圧力差形成工程における陰圧又は陽圧発生時、気体(空気)の体積変化が生じ、その分だけ血液ポンプ2(除水ポンプ12又は複式ポンプ11を駆動させる場合は、当該除水ポンプ12又は複式ポンプ11)を長時間駆動させる必要があることから、上記実施形態の如くプライミング液等の液体を血液回路1内に充填させた後、脱血圧検知手段9の校正を行うのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
動脈側血液回路の先端と静脈側血液回路の先端とを接続して閉ループを形成するとともに、静脈圧検知手段で検知されたエアトラップチャンバ内の圧力を基準として脱血圧検知手段を校正する脱血圧検知手段の校正方法及び血液浄化装置であれば、全体形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 血液回路
1a 動脈側血液回路
1b 静脈側血液回路
2 血液ポンプ
3 ダイアライザ(血液浄化手段)
4 動脈側エアトラップチャンバ
5 静脈側エアトラップチャンバ
6 透析装置本体
7 収容手段(補液供給源)
8 エアトラップチャンバ
9 液圧検知手段
10 チャンバ部材
11 複式ポンプ
12 除水ポンプ
13 圧力トランスデューサ(静脈圧検知手段)
14 リーク有無判断手段
15 制御手段
16 保護フィルタ
17 圧力ポート
18 第1アーム
19 第2アーム
20 固定係止部
21 連結部材
22 支持部材
L3 分岐ライン
V1〜V7 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプが配設される動脈側血液回路及びエアトラップチャンバが接続される静脈側血液回路から成るとともに、前記動脈側血液回路の先端から前記静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環可能な血液回路であって、
前記動脈側血液回路の先端から前記血液ポンプの配設位置までの間に接続されたチャンバ部材を有し、当該チャンバ部材の変形時の力を検知して電気信号に変換することにより脱血圧を検知可能な脱血圧検知手段と、
前記エアトラップチャンバの上部に接続され、当該エアトラップチャンバ内の圧力を検知して静脈圧を検知可能な静脈圧検知手段と、
を有した血液回路における脱血圧検知手段の校正方法であって、
前記動脈側血液回路の先端と前記静脈側血液回路の先端とを接続して閉ループを形成するとともに、前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力を基準として前記脱血圧検知手段を校正することを特徴とする脱血圧検知手段の校正方法。
【請求項2】
前記動脈側血液回路の先端から前記血液ポンプの配設位置までの間から分岐した分岐ラインを延設させるとともに、当該分岐ラインに前記脱血圧検知手段が配設されたことを特徴とする請求項1記載の脱血圧検知手段の校正方法。
【請求項3】
前記エアトラップチャンバと前記チャンバ部材とを連通状態としつつ当該エアトラップチャンバ内を大気開放とするとともに、前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力に基づいて前記脱血圧検知手段の零点を測定する零点測定工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱血圧検知手段の校正方法。
【請求項4】
前記エアトラップチャンバ内と前記チャンバ部材内とで圧力差を生じさせる圧力差形成工程と、
前記エアトラップチャンバと前記チャンバ部材とを連通状態とすることにより、前記圧力差形成工程で生じた圧力差を解消させて互いの圧力を平衡化させる平衡化工程と、
を有し、前記平衡化工程で互いの圧力が平衡化した状態にて前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力と、前記零点測定工程にて測定された零点とに基づき前記脱血圧検知手段を校正することを特徴とする請求項3記載の脱血圧検知手段の校正方法。
【請求項5】
前記血液ポンプは、しごき型ポンプから成るとともに、前記圧力差形成工程は、前記血液ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせることを特徴とする請求項4記載の脱血圧検知手段の校正方法。
【請求項6】
前記血液回路には体外循環する血液を浄化するための血液浄化手段が接続されるとともに、当該血液浄化手段を介して除水を行わせる除水ポンプ及び当該血液浄化手段に透析液を供給するための複式ポンプを具備するとともに、前記圧力差形成工程は、前記除水ポンプ又は複式ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせることを特徴とする請求項4記載の脱血圧検知手段の校正方法。
【請求項7】
前記圧力差形成工程時又は平衡化工程時、閉ループを形成する前記血液回路のリークの有無を判断することを特徴とする請求項4〜6の何れか1つに記載の脱血圧検知手段の校正方法。
【請求項8】
前記脱血圧検知手段の校正は、前記血液回路内にプライミング液を充填させるプライミング工程時に行われることを特徴とする請求項1〜7の何れか1つに記載の脱血圧検知手段の校正方法。
【請求項9】
血液ポンプが配設される動脈側血液回路及びエアトラップチャンバが接続される静脈側血液回路から成るとともに、前記動脈側血液回路の先端から前記静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環可能な血液回路であって、
前記動脈側血液回路の先端から前記血液ポンプの配設位置までの間に接続されたチャンバ部材を有し、当該チャンバ部材の変形時の力を検知して電気信号に変換することにより脱血圧を検知可能な脱血圧検知手段と、
前記エアトラップチャンバの上部に接続され、当該エアトラップチャンバ内の圧力を検知して静脈圧を検知可能な静脈圧検知手段と、
を有した血液回路を設置可能な血液浄化装置であって、
前記動脈側血液回路の先端と前記静脈側血液回路の先端とを接続して閉ループを形成した状態で、前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力を基準として前記脱血圧検知手段を校正する制御手段を具備したことを特徴とする血液浄化装置。
【請求項10】
前記動脈側血液回路の先端から前記血液ポンプの配設位置までの間から分岐した分岐ラインを延設させるとともに、当該分岐ラインに前記脱血圧検知手段が配設されたことを特徴とする請求項9記載の血液浄化装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記エアトラップチャンバと前記チャンバ部材とを連通状態としつつ当該エアトラップチャンバ内を大気開放とするとともに、前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力に基づいて前記脱血圧検知手段の零点を測定する零点測定工程を行わせることを特徴とする請求項9又は請求項10記載の血液浄化装置。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記エアトラップチャンバ内と前記チャンバ部材内とで圧力差を生じさせる圧力差形成工程と、
前記エアトラップチャンバと前記チャンバ部材とを連通状態とすることにより、前記圧力差形成工程で生じた圧力差を解消させて互いの圧力を平衡化させる平衡化工程と、
を行わせ、前記平衡化工程で互いの圧力が平衡化した状態にて前記静脈圧検知手段で検知された前記エアトラップチャンバ内の圧力と、前記零点測定工程にて測定された零点とに基づき前記脱血圧検知手段を校正することを特徴とする請求項11記載の血液浄化装置。
【請求項13】
前記血液ポンプは、しごき型ポンプから成るとともに、前記制御手段は、前記圧力差形成工程にて前記血液ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせることを特徴とする請求項12記載の血液浄化装置。
【請求項14】
前記血液回路には体外循環する血液を浄化するための血液浄化手段が接続されるとともに、当該血液浄化手段を介して除水を行わせる除水ポンプ及び当該血液浄化手段に透析液を供給するための複式ポンプを具備するとともに、前記圧力差形成工程は、前記除水ポンプ又は複式ポンプを駆動させることにより圧力差を生じさせることを特徴とする請求項12記載の血液浄化装置。
【請求項15】
前記圧力差形成工程時又は平衡化工程時、閉ループを形成する前記血液回路のリークの有無を判断するリーク有無判断手段を具備したことを特徴とする請求項12〜14の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記血液回路内にプライミング液を充填させるプライミング工程時に前記脱血圧検知手段の校正を行わせることを特徴とする請求項9〜15の何れか1つに記載の血液浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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