説明

脱衣籠

【課題】 入浴中に小物やロッカーキーを保管し、かつ保管した小物の置き忘れや盗難を防止する脱衣籠を提供すること。
【解決手段】 底部13の外側に底上げ用の突出部12を形成し、底部13の内側において蓋21を開閉できる貴重品などを収納する蓋付きの箱部2を設けた脱衣籠1である。また、底部13の外側に底上げ用の突出部12を形成し、底部13の下にあって、底上げ用の突出部12に開口した角筒62を形成し、この角筒62に抽出6を挿通したものである。箱部2の蓋21や抽出6の正面にキーで操作される錠3を設けたり、箱部の蓋21や抽出6を施錠する電磁錠5を設けて、この電磁錠5をテンキーにより入力された暗証番号や指紋認証装置により入力された指紋データにより施錠・解錠を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴルフ場、温泉などの浴場で使用する脱衣籠に関し、衣服などの他に身の回りの貴重品、時計、小物、ルームキー、ロッカーキーなど(以下、「貴重品」という)を保管する収納部を設けたものである。
【背景技術】
【0002】
従来の脱衣籠は、入浴の際に脱いだ浴衣、肌着、衣服などを保管するもので、時計、指輪などの身の回りの貴重品を保管する区画を具備していなかった。
【0003】
そこで、下記特許文献に開示されているように、衣服などを保管する収納部の他に小物を入れる抽出や棚を設けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭56−22759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の脱衣籠においては、貴重品を保管する収納部が脱衣籠とは別個に設けられていたので、置き忘れることがあった。また、貴重品の場合には盗難のおそれもあった。
【0006】
そこで、この発明の脱衣籠は、貴重品の置き忘れや盗難のおそれを解消するために考えられたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の脱衣籠は、底部の外側に底上げ用の突出部を形成し、底部の内側において蓋を開閉できる貴重品を収納する蓋付きの箱部を設けたものである。
【0008】
また、この発明の脱衣籠の他の形態は、底部の外側に底上げ用の突出部を形成し、底部の下にあって、底上げ用の突出部に開口した角筒を形成し、この角筒に貴重品を収納する抽出を挿通したものである。
【0009】
箱部の蓋や抽出の正面にキーで操作される錠を設けたり、箱部の蓋や抽出を施錠する電磁錠を設けて、この電磁錠をテンキーで入力された暗証番号や指紋認証装置で入力された指紋データにより施錠・解錠を制御してもよいのである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の脱衣籠によると、脱衣所における盗難の危険を減らすことができ、利用者も安心して入浴設備を利用でき、ひいては集客増をも見込むことができる。
【0011】
ゴルフ場に限らず、銭湯、大浴場のあるホテル、スポーツクラブのシャワールーム、病院において診療・治療中に衣服を保管する籠などにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の脱衣籠の第1の実施形態を示す斜視図(a)および縦断面図(b)、
【図2】第2の実施形態を示す斜視図(a)および縦断面図(b)、
【図3】第3および第4の実施形態を示す斜視図(a)および縦断面図(b)、
【図4】第5の実施形態を示す斜視図(a)および縦断面図(b)、
【図5】第6の実施形態を示す斜視図(a)および縦断面図(b)、
【図6】第5および第6の実施形態の脱衣籠1を棚に載せた状態を示す図、
【図7】第7の実施形態を示す平面図(a)および縦断面図(b)、
【図8】第8の実施形態を示す平面図(a)および縦断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
この発明の脱衣籠1は、図1の斜視図(a)および図1(a)の線b−bに沿って切断した縦断面図(b)に示すように、衣服を入れる籠部11と、この籠部11の底部13に形成した浅い箱部2と、この箱部2に設けた透明な板で作った蓋21とにより構成されて、箱部2の底が直接床に接触しないように、籠部11の底部の四隅または周囲に底上げ用の突出部12が形成されている。脱衣籠1の中には濡れた衣類を入れられることがあるので、箱部2の開口部周囲にゴムリングなどの防水手段が設けられている。
【0014】
この脱衣籠としては、従来の籐籠のほかに合成樹脂を射出成型した籠などの各種の籠に適用することができる。
【0015】
このように構成された脱衣籠1を入浴のために使用する際には、まず、箱部2の蓋21を開いて貴重品を入れたのち蓋21を閉じ、その上に脱いだ浴衣や衣服をいれて入浴する。
【0016】
入浴が終わって、脱衣籠1に入れた浴衣や衣服を着用すると、脱衣籠1の底部13に設けた箱部2が現れて透明な蓋21を介して入れた小物やロッカーキーなどの貴重品を視認できるので、蓋21を開けて貴重品を取り出す。このように、箱部2の中を視認できるので取り忘れを防止できる。
【0017】
錠を設けていなくとも、箱部2を取り付けた脱衣籠1であって、使用中は脱衣籠1の中に衣類が入れられているので、箱部2の中の小物やロッカーキーを取り出そうとすると、衣類を取り出すか掻き分ける必要があり、利用者以外の者が行うと不自然であり、好奇の視線に晒されるので、ある程度セキュリティの効果を見込むことができる。
【0018】
(第2の実施形態)
第1の実施形態における箱部2の蓋21は無施錠であるが、この第2の実施形態においては、図2の斜視図(a)および図2(a)の線b−bに沿って切断した縦断面図(b)に示すように、開閉式の蓋21に錠3を取り付けたものである。この錠3は簡易なものでもよく、キーは、入浴中に無くさないように手首を通す紐または輪ゴムを取り付けておくと便利である。
【0019】
(第3の実施形態)
この第3の実施形態においては、図3の斜視図(a)および図3(a)の線b−bに沿って切断した縦断面図(b)に示すように、箱部2に乾電池で動作する電磁錠5を設け、暗証番号を入力するテンキー、施錠キーおよび解錠キーを有し、マイクロコンピュータで制御される操作盤4を籠部11の開口部に設けたものである。
【0020】
貴重品を箱部2の中に入れて蓋21を閉じて、暗証番号を入力して施錠キーを押すと施錠される。解錠する場合には、暗証番号を入力して解錠キーを押すと解錠されて中の小物やロッカーキーなどの貴重品を取り出すことができる。
【0021】
箱部2の中に何も入れないで暗証番号により施錠して放置されると、その脱衣籠1の箱部2は使用不能になる。そこで、このような悪戯を防ぐために、箱部2の内壁または蓋21の内側に硬貨を保持するポケットおよび硬貨の存在により作動するマイクロスイッチを設け、このポケットに硬貨が保持されてマイクロスイッチが動作している場合に限り、施錠キーの操作を有効ならしめておくことにより悪戯を防止することができる。
【0022】
(第4の実施形態)
この第4の実施形態においては、第3の実施形態と同様に、箱部2に乾電池で動作する電磁錠を設け、籠部11の開口部に取り付けたマイクロコンピュータで制御される操作盤4に指紋認証装置、施錠キーおよび解錠キーを設けたものである。
【0023】
貴重品を箱部2の中に入れて蓋21を閉じて、指紋認証装置により指紋データを入力しながら施錠キーを押すと施錠される。解錠する場合には、指紋認証装置により指紋データを入力しながら解錠キーを押すと解錠されて中の小物やロッカーキーなどの貴重品を取り出すことができる。
【0024】
この第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、箱部2の中に何も入れないで指紋認証装置および施錠キーにより施錠して放置される悪戯を防ぐために、硬貨を保持するポケットおよび硬貨の存在により作動するマイクロスイッチを設けておけばよいのである。
【0025】
(第5の実施形態)
この発明の第5の実施形態における脱衣籠1は、図4の斜視図(a)および図4(a)の線b−bに沿って切断した縦断面図(b)に示すように、衣服を入れる籠部11と、この籠部11の底部13の周囲に底上げ用の突出部12が形成されている。
【0026】
この籠部11の底部13の下にあって、底上げ用の突出部12に開口した角筒62を形成し、この角筒62に抽出6を挿通したものである。そして、この抽出6の正面には、把手61と錠3を取り付けたものである。この錠3は簡易なものでもよく、キーは、入浴中に無くさないように手首を通す紐または輪ゴムを取り付けておくと便利である。
【0027】
(第6の実施形態)
この第6の実施形態においては、図5の斜視図(a)および図5(a)の線b−bに沿って切断した縦断面図(b)に示すように、抽出6に乾電池で動作する電磁錠5を設け、抽出6の正面に暗証番号を入力するテンキー、施錠キーおよび解錠キーなどを有し、マイクロコンピュータで制御される操作盤4を設けたものである。
【0028】
貴重品などを抽出6の中に入れて押し込み、暗証番号を入力して施錠キーを押すと施錠される。解錠する場合には、暗証番号を入力して解錠キーを押すと解錠されて中の小物やロッカーキーを取り出すことができる。
【0029】
この第6の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、抽出6の中に何も入れないで暗証番号を入力し、施錠して放置される悪戯を防ぐために、硬貨を保時するポケットおよび硬貨の存在により作動するマイクロスイッチを設けておけばよいのである。
【0030】
第5および第6の実施形態においては、脱衣籠1の側面に抽出6を備えているので、図6に示すように、抽出6が正面を向くように棚7に載せて固定しておくことができる。
【0031】
このように、複数の脱衣籠1を棚7に固定しておくと、脱衣籠1を持ち去られる虞がなく、抽出6を引き出したときに中を覗き易くなって小物の出し入れが容易である。また、棚7に脱衣籠1を固定すると、電池を使用することなく、コンセントを介して共通の電源から電力を供給するように構成することができる。
【0032】
(第7の実施形態)
図7(a)の平面図および図7(a)の線b−bに沿って切断した縦断面図(b)に示すように、貴重品を収納する蓋付きの箱であって、暗証番号を入力するテンキー、施錠キー、解錠キー、指紋認証装置などを配置した操作盤4を端面に設けた貴重品保管庫10を作っておく。
【0033】
このように汎用性のある貴重品保管庫10を予め用意しておき、既製の脱衣籠1に鋲111などにより固定して使用するものである。
【0034】
(第8の実施形態)
図8(a)の平面図および図8(a)の線b−bに沿って切断した縦断面図(b)に示すように、脱衣籠1の一方の上端部を覆う覆板部8と、この覆板部8の下に形成されて、電磁錠5、マイクロコンピュータを含む電子回路、電池などを収納する空間と、蝶番24を介して回動される箱部22とにより構成され、覆板部8の表面には、暗証番号を入力するテンキー、施錠キー、解錠キー、指紋認証装置などを配置した操作盤4が形成されている。
【0035】
箱部22には、貴重品を出し入れする開口部23が形成されており、箱部22の上面に電磁錠5と係合する穴があけられている。そして、蝶番24にはコイルスプリングを有するものを使用し、点線で図示するように箱部22を開く方向に賦勢させている。
【0036】
貴重品を箱部22の中に入れたのち箱部22を回動させて閉じ、指紋認証装置により指紋データを入力するか、テンキーにより暗証番号を入力して、施錠キーを押すと施錠される。解錠する場合には、指紋認証装置を入力するか、テンキーにより暗証番号を入力して、解錠キーを押すと解錠されて箱部22が開き、中の貴重品を取り出すことができる。
【0037】
以上で説明した各実施形態における箱部2および抽出6の底の隅部に丸みをつけておくと、小さい物の取り出しが容易である。
【符号の説明】
【0038】
1 脱衣籠
11 籠部
12 底上げ用の突出部
13 底部
2 箱部
21 蓋
22 箱部
23 開口部
3 錠
4 操作盤
5 電磁錠
6 抽出
7 棚
8 覆板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部の外側に底上げ用の突出部を形成し、底部の内側において蓋を開閉できる貴重品などを収納する蓋付きの箱部を設けたことを特徴とする脱衣籠。
【請求項2】
キーで操作される錠を設けたことを特徴とする請求項1に記載の脱衣籠。
【請求項3】
箱部の蓋を透明にして、内部を視認可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の脱衣籠。
【請求項4】
箱部の蓋を施錠する電磁錠と、マイクロコンピュータと、籠部の開口部に設けられた暗証番号を入力するテンキー、施錠キーおよび解錠キーを有する操作盤とを具備することを特徴とする請求項1に記載の脱衣籠。
【請求項5】
箱部の蓋を施錠する電磁錠と、マイクロコンピュータと、籠部の開口部に設けられた指紋認証装置、施錠キーおよび解錠キーを有する操作盤とを具備することを特徴とする請求項1に記載の脱衣籠。
【請求項6】
底部の外側に底上げ用の突出部を形成し、底部の下にあって、底上げ用の突出部に開口した角筒を形成し、該角筒に貴重品などを収納する抽出を挿通したことを特徴とする脱衣籠。
【請求項7】
抽出の正面にキーで操作される錠を設けたことを特徴とする請求項6に記載の脱衣籠。
【請求項8】
抽出を施錠する電磁錠と、マイクロコンピュータと、抽出の正面に設けられた暗証番号を入力するテンキー、施錠キーおよび解錠キーを有する操作盤とを具備することを特徴とする請求項6に記載の脱衣籠。
【請求項9】
脱衣籠の一方の上端部を覆う覆板部と、該覆板部の下に形成されて、電磁錠、電子回路、電池などを収納する空間と、蝶番を介して回動される箱部とにより構成され、上記覆板部の表面に、暗証番号を入力するテンキー、施錠キー、解錠キー、指紋認証装置などを配置した操作盤を形成したことを特徴とする脱衣籠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−29638(P2010−29638A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95362(P2009−95362)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(599155682)
【Fターム(参考)】