説明

脱髄障害を治療する方法

CNSおよびPNSグリア細胞(乏突起膠細胞、および、シュヴァン細胞、および、これらの系統に含まれる前駆細胞)のEphB1が介在する細胞の反発を阻害することによって、脱髄障害(例えば多発性硬化症)を治療することができる化合物を同定する方法、および、それらを用いる方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多発性硬化症を治療する分野に関し、具体的には、CNSおよび末梢グリア細胞(乏突起膠細胞およびシュヴァン細胞)ならびにこれらの系統に含まれる前駆細胞において、EphB1が介在する細胞の反発を阻害することによって多発性硬化症を治療する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
引用された全ての文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に包含される。
【0003】
エリスロポイエチンを生産する肝細胞(「Eph」)受容体は、受容体チロシンキナーゼのファミリーであり、シグナル伝達に関与する細胞内チロシンキナーゼドメインと共に、独特なシステインリッチモチーフと2個のフィブロネクチンIII型モチーフを有する細胞外領域を含む(Connor RJおよびPasquale EB.(1995)Oncogene 11:2429〜381995)。(Vindis等,J Cell Biol.2003年8月18日;162(4):661〜71)。Eph受容体は、神経の発達と生理学に関与し、発達中の神経系と成人の神経系で発現される。(Tuzi NLおよびGullick WJ.(1994)Br.J.Cancer 69:417〜21)。Eph受容体に対するリガンドは、エフリンとして知られている。全ての既知のエフリンリガンドはいずれも、膜結合型である。エフリン−Aサブクラスは、グリコシルホスファチジルイノシトール(「GPI」)基を介して膜に結合している。エフリンBサブクラスは、膜貫通ドメインを介して結合している。(FlanaganおよびVanderhaeghen,Annu.Rev.Neurosci.1998.21:309〜45)。エフリンリガンドは、直接の細胞間の接触によってそれらのEph受容体と相互作用する(Davis,S.等(1994)Science 266,816〜819;Drescher,U.等(1997)Curr.Opin.Neurobiol.7,75〜80;Flanagan,J.G.およびVanderhaeghen,P.(1998)Annu.Rev.Neurosci.21,309〜345;Frisen,J.等(1999)EMBO J.18,5159〜5165;Mellitzer,G.等(1999)Nature 400,77〜81)。
【0004】
エフリンリガンドは、軸索反発を誘導するきっかけとして作用することが示されており、Eph受容体は、インビボでの正しい軸索のナビゲーションに必要である。(Holland,S.J.等(1998)Curr.Opin.Neurobiol 8,117〜127)。EphB1受容体チロシンキナーゼ(「EphB1」)はまた、Elk、Cek6、NetおよびHek6としても知られており、中枢および末梢神経系の発達中に、適切な空間的なパターン形成を確立することによって特徴のある役割を果たす。EphB1受容体とエフリンBリガンドとの相互作用は、神経の発達において役割を果たすことが示されている。(Smith等,Curr Biol.1997年8月1日;7(8):561〜70)。例えば、EphB1およびエフリンB2は、中脳ドーパミン作動性ニューロンとそれらの標的で相補的なパターンで発現されるが、これは、それらの相互作用は、別個の神経経路の確立に寄与する可能性があることを示す。(Yue等,J Neurosci.1999年3月15日;19(6):2090〜101)。EphBは、シナプス形成(Dalva等(2000)Cell 103:945.)、同様に、細胞の移動および増殖において役割を果たすことが示されている。(Conover等(2000)Nature Neurosci 3:1091)。Eph受容体およびエフリンリガンドは、細胞の運動性に関する細胞のシグナル伝達経路に関連付けられており、細胞の移動および反発におけるそれらの役割を裏付けている。(SchmuckerおよびZipursky(2001)Cell 105:701)。エフリンB1は、新皮質の神経形成と相関して神経上皮細胞で発現される。(Stuckmann等(2001)JNS 21:2726)。ニューロンの発達に加えて、Ephおよびエフリンは、成人のCNSで機能することが示されている。例えば、EphB1とエフリンBとの相互作用は、脊髄におけるシナプス効率と痛みの処理を調節することが示されている。(Battaglia等(2003)Nature Neurosci 6:339)。
【0005】
Ephファミリーとエフリンファミリーはいずれも膜結合型であって、直接的な細胞間相互作用で互いに伝達しあっているため、Ephファミリーが「受容体」であり、エフリンが「リガンド」であるという指定は、多少任意である。実際に、Ephとエフリンとのシグナル伝達は、二方向性が可能であることが示されている。Eph受容体との相互作用により、エフリンBリガンドがチロシン−リン酸化を引き起こし、それによって細胞内シグナルが変換され、エフリンB発現細胞の細胞骨格の再編成が起こる。(Xu等,J.Biol.Chem.,2003,第278巻,27号,24767〜24775)。エフリンBは、SH2/SH3ドメインに関する既知のアダプタータンパク質であるGrb4タンパク質を用いて逆のシグナル伝達経路を変換することが示されている。(Cowan CAおよびHenkemeyer M.,Nature.2001年9月13日;413(6852):174〜9)。
【0006】
エフリンリガンドは、中枢神経系(CNS)の胚域で高度に発現され(Conover等,2000,Nature Neurosci.,第3巻,11号,1091〜1097;Stuckmann等,2001,J.Neurosci.,第21巻,8号,2726〜2737)、これは、これらは、グリア前駆細胞の、周囲の軟膜への移動および正中線を超えた軸索誘導の調節に関与する可能性があることを示唆している。
【0007】
出願人により、Ephは、細胞の移動を調節することによって神経学的な発達において役割を果たすことが示されている。抗Eph抗体とPCRの使用によって、EphB1は、培養した未成熟の、および成熟したげっ歯類の乏突起膠細胞で発現され、EphB1の発現レベルは、細胞が成熟するにつれて減少することが示されている。また、これらの研究は、希突起膠細胞の移動は、エフリンBリガンドの影響を受ける可能性があることも実証している。
【0008】
エフリンBリガンドの希突起膠細胞の移動に対する作用は、ストライプ分析(stripe assay,出典:Bonhoeffer等,Development.1987年12月;101(4):685〜96)として知られている細胞の移動分析を用いて測定された。典型的なストライプ分析において、推定の誘引物質または防虫剤が、プレートに、ストライプとして知られている縞模様に付着させる。次に、このプレート上に細胞懸濁液を置き、平衡化させる。その後、このストライプと比較して、細胞の移動の速度および方向を測定する。ストライプに化学的忌避剤が含まれる場合、培養皿中の細胞は、ストライプ領域に移動しないか、または、ストライプから離れて移動するかのいずれかと予想される。それゆえに、細胞が、ストライプを回避するか、または、ストライプから離れて移動することが観察される場合、ストライプの内容物は、細胞の培養物中の細胞の種類に適した化学的忌避剤と同定される。
【0009】
Ephとエフリンは、インビボで、直接の細胞間相互作用を介して相互作用するが、IgG FcにEphまたはエフリンの細胞外ドメインを連結させることにより、そのそれぞれのエフリンまたはEphを活性化することができる可溶性融合タンパク質が生産可能であることが示されている。(Kaneko MおよびNighorn A,J Neurosci.2003年12月17日;23(37):11523〜38)。
【0010】
ストライプ分析は、細胞間相互作用を必要とすることなく、EphB1受容体を活性化することができるエフリンB−Fc融合タンパク質を用いて行われた。エフリンB−Fc融合タンパク質を、プレート中の縞模様の領域(ストライプとして知られている)に付着させた。次に、乏突起膠細胞の懸濁液をプレートに置き、エフリンB−Fcストライプと比較して、培養した乏突起膠細胞の移動の速度および方向を測定した。エフリンB−Fcのストライプは、インビトロでは、培養した乏突起膠細胞の移動に反発することが示されている。
【0011】
CNSにおいて、軸索の周りのミエリン鞘は、軸索に沿ったシグナル伝達速度を高める絶縁物質としてとして役立つ。ミエリンは、乏突起膠細胞で生産され、軸索を包む希突起膠細胞の多層膜からなる。多発性硬化症(「MS」)のような脱髄疾患において、神経学的な症状は、脱髄した軸索における伝達が十分に機能しないために起こる。その他の脱髄障害としては、橋中央ミエリン溶解、白質萎縮症、急性散在性脳脊髄炎、進行性多病巣性白質脳障害、および、亜急性硬化性全脳炎が挙げられる。脱髄性のMSの病巣の神経病理学的な試験により、希突起膠細胞数が顕著に減少することが解明されている。乏突起膠細胞の損失は、急性および慢性MSの病巣の両方で観察されている。MSの病巣における乏突起膠細胞の減少は、希突起膠細胞の死の結果であることが示唆されている(Bruck,W.等(1994)Ann Neurol 35,65〜73)。
【0012】
エフリンリガンドは、希突起膠細胞とニューロン移動を直接阻害することが示されている。その上、EphB1受容体と対応するエフリンリガンドは、多発性硬化症の病巣、脊髄の損傷、ならびに、肺および乳房腫瘍などの病的状態でアップレギュレートされており、これは、この受容体が、罹患した組織における細胞移動の制限に関与することを示唆している(Bundesen等,2003,J.Neurosci.,23(21),7789〜7800)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
新たに形成された乏突起膠細胞は、MSの病巣中とその周辺に存在しており、これは、これらの細胞が病巣に移動することができるならば、自己修復が可能であることを示唆している。近年の研究によれば、これらの希突起膠細胞の前駆細胞の移動は、EphB1が介在する阻害シグナルの発現の影響を受ける可能性があることが示唆されている。さらに、EphB1シグナル伝達経路を妨害することにより、希突起膠細胞の前駆細胞を損傷した脳領域に移動させ、修復プロセスにプラスの影響を与える可能性があることも示唆されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、EphB1が介在する細胞の反発を妨害する化合物を同定することが望ましい。本発明は、EphB1受容体活性のモジュレーターに関するスクリーニング分析を行うことによって、EphB1シグナル伝達経路を妨害する化合物を同定する方法を提供する。さらに望ましくは、このようにして同定された化合物を、脱髄障害(例えばMS)に罹った患者を治療するのに使用することである。
【0015】
発明の簡単な要約
一形態において、本発明は、EphB1活性を阻害することができる化合物を同定する方法に関し、本方法は、候補化合物の非存在下で、EphB1活性を測定する工程;および、該候補化合物の存在下で、EphB1活性を測定する工程を含み、ここにおいて、前記候補化合物は、該候補化合物の存在下で測定された活性が、該候補化合物の非存在下で測定された活性より低い場合、EphB1活性を阻害することができると同定される。本発明のさらなる形態において、EphB1活性は、以下で示す3つの分析:細胞の反発の分析、チロシンキナーゼ分析、および、インビボでの分析のいずれか1つで測定することもできる。
【0016】
細胞の反発は、プレート上の特定の領域または領域にエフリンBリガンドを塗布すること、プレートにEphB1を発現する細胞の懸濁液を添加すること、および、特定の領域または領域と比較して、細胞移動の速度、程度および方向を測定することによって測定することもできる。エフリンBリガンドは、エフリンB−Fc融合タンパク質として、プレートに塗布される細胞の表面で発現されるタンパク質として、または、プレートに塗布される細胞質膜に包含されるタンパク質として、プレートに塗布してもよい。
【0017】
EphB1チロシンキナーゼ活性は、EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインのリン酸化活性を測定することによって決定される。チロシンキナーゼ活性は、無傷細胞で測定することもできる。
【0018】
EphB1活性は、インビボで、脱髄性の動物モデルにおける修復の進行または速度を測定することによって決定してもよい。動物モデルは、げっ歯類EAEでもよいし、または、EtBrで誘導された病巣でもよい。
【0019】
その他の側面において、本発明は、EphB1活性を阻害する治療が必要なヒト宿主においてEphB1遺伝子産物の活性を阻害する化合物を投与することによって、ヒト宿主においてEphB1活性を阻害することに関し、ここにおいて、該化合物のEphB1遺伝子産物の活性を阻害する能力は、候補化合物の非存在下で、前記EphB1遺伝子産物の活性を測定すること、および、該候補化合物の存在下で、前記EphB1遺伝子産物の活性を測定することによって同定され、ここにおいて、該候補化合物は、該候補化合物の存在下で測定された活性が、該候補化合物の非存在下で測定された活性より低い場合、EphB1活性を阻害することができると同定される。さらなる側面において、該化合物は、該化合物と製薬上許容できる補助剤とを含む医薬組成物として投与される。
【0020】
図面の簡単な説明
図1は、ラット希突起膠細胞の前駆細胞(OLP)、成熟乏突起膠細胞(OL)、星状細胞および小グリア細胞におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示す棒グラフである。
図2は、全身から選択される多種多様なヒトの組織型におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示すチャートである。
図3は、成人の脳の異なる小区域におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示すチャートである。
図4は、ヒトの病理学的な組織におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示すチャートである。
図5は、正常な脳およびMSの脳由来のヒト白質におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示す棒グラフである。MS組織サンプルは、様々な重症度の病巣の代表的なものであり、これらは、組織病理学的な評価(「MS−PVC」、血管周囲の尖を含む組織;「50%プラーク」、約50%未満またはそれに等しいプラークを含む組織;「>50%プラーク」、50%より多いプラークを含む組織;「100%プラーク」、100%プラークを含む組織;「MS−NAWM」、正常な「外観の」白質を含む組織;「C−WM」、正常な成人の脳由来の組織)に基づく。
図6は、様々な重症度のMSの病巣を含む様々な組織型におけるEphB1発現の相対レベルを示す棒グラフである。
【0021】
発明の詳細な説明
EphB1のmRNAが発現される組織、同様に発現の相対レベルを決定するために、一連のEphB1のmRNA発現の特徴付けを、多種多様な細胞型で行った。
【0022】
EphB1のmRNAレベルは、乏突起膠細胞で高濃度化されることが見出された。図1は、4タイプの細胞、成熟乏突起膠細胞(「OL」)、希突起膠細胞の前駆(「OLP」)細胞、星状細胞および小グリア細胞におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示す棒グラフである。EphB1発現の測定は、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(「RT−PCR」)分析を用いてなされた。RT−PCRは、蛍光に基づく分析であり、定常状態のmRNAレベルの定量化に関して当業界で十分に確立されている。このRT−PCR分析において、EphB1のmRNAは逆転写され、次に、PCRを用いて増幅される。このPCRは、蛍光団が各増幅ラウンド毎にそれらのクエンチャーから分離するように特別に設計された(その結果として、蛍光レベルが増幅されたEphB1の量に比例して増加する)、蛍光団とクエンチャーを含むプローブを用いて行われる。蛍光レベルが予め決められたしきい値に到達するのに必要な増幅サイクル数を測定する。蛍光レベルが予め決められたしきい値に到達するのに必要な増幅サイクルの数は、Ctと定義される。多数の増幅反応を行い、Ct値をいくつも測定する。次に、これらのCt値の平均を算出する。平均Ct値は、dCtと定義される。しきい値に到達するサイクル数が多いことは、転写の開始量が低いことを示す。逆に言えば、しきい値に到達するのに必要なサイクル数が少なければ少ないほど、転写の開始量は高くなる。従って、mRNA発現は、dCtに反比例する。特に他の規定がない限り、本明細書におけるチャートに示された発現レベルは、測定されたmRNA発現レベルを、18SRNAまたはβ2ミクログロブリンのような1種またはそれ以上のハウスキーピング遺伝子の発現レベルに合わせて標準化することによって計算された。図1で示されるように、EphB1のmRNAのレベルは、星状細胞と小グリア細胞と比べて、ラット希突起膠細胞の前駆細胞(「OLP」)と成熟乏突起膠細胞(「OL」)で著しく高濃度化されている。
【0023】
EphB1のmRNAレベルは、ヒト中枢神経系(「CNS」)で高濃度化されていることが見出された。図2は、全身から選択される多種多様の組織型におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示すチャートである。これらのレベルは、RT−PCRを用いて測定された。図2で示されるように、EphB1のmRNAは、胎児および成人の脳の組織で比較的高い発現レベルを有する。
【0024】
成人のCNSにおいて、EphB1のmRNAは、ヒト成人の白質より低いレベルで発現される。図3は、成人の脳の異なる小区域におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示すチャートである。図3で示されるように、EphB1のmRNAは、成人ヒトの白質では比較的低い。
【0025】
EphB1のmRNA発現レベルは、特定のヒトの病理学において増加することが示されている。図4で観察されるように、EphB1のmRNAレベルは、ヒト肺および乳房腫瘍で増加する。これらの組織型における発現は、EphB1は、罹患した組織における細胞の移動の調節に関与することを示唆している。
【0026】
図5は、様々な重症度のMSの病巣におけるEphB1のmRNA発現レベルを示す棒グラフである。図5で示されるように、EphB1のmRNAレベルは、プラーク材料の量が増加するにつれて増加しており、MSの病巣の灰白質において最大であることを示唆している。同様に、図6は、正常な白質に対する、様々な重症度のMSの病巣におけるEphB1のmRNAの発現を示す棒グラフである。図6で示されるように、EphB1のmRNA発現レベルは、最も重度のMSの病巣において最大である。
【0027】
これらの結果から、細胞表面でEphB1を発現するグリア前駆細胞は、MSプラーク中とその周辺において、エフリンBが介在する細胞の反発が増加する傾向があることが示され、その結果として、それらの炎症および髄鞘脱落領域に移動する能力が、著しく損なわれるか、または阻害される可能性がある。このエフリンBが介在する細胞の反発がブロックされる場合、数が増加した希突起膠細胞の前駆細胞が、MSの病巣に移動すると予想され、そこでそれらは軸索と相互作用し、分化してミエリン鞘を改質することができると予想される。
【0028】
乏突起膠細胞のようなEphB1を発現する細胞のエフリンBが介在する細胞の反発を妨害する1つの方法は、EphB1受容体とエフリンBリガンドとの相互作用、または、EphB1の機能(具体的にはEphB1シグナル伝達経路)のいずれかを妨害することができる化合物を同定することを含む。次に、このようにして同定された化合物は、脱髄障害(例えば多発性硬化症)に罹った患者投与することができる。その他の脱髄障害としては、橋中央ミエリン溶解、白質萎縮症、急性散在性脳脊髄炎、進行性多病巣性白質脳障害、および、亜急性硬化性全脳炎が挙げられる。
【0029】
本発明の一実施形態において、エフリンBが介在する細胞の反発を妨害することができる化合物は、候補化合物の存在および非存在下で、このような反発の速度を測定することによって同定される。
【0030】
細胞の反発の速度を測定するのに用いられる分析の1つは、ストライプ分析として知られている。Bonhoeffer等,Development.1987年12月;101(4):685〜96。本発明の目的において、「ストライプ分析」は、インビトロで行われる細胞の移動の分析であって、この分析において、推定の誘引物質または防虫剤が、プレート中で、1またはそれ以上の縞模様の領域(ストライプとして知られている)に塗布され、このプレート上に、細胞の培養物が置かれ、ストライプまたはストライプ群と比較して、細胞移動の速度および方向が測定される。
【0031】
典型的なストライプ分析は、縞模様の領域(ストライプとして知られている)を1つ用い、この領域は、そのストライプと隣接して平板培養した細胞懸濁液と共に、プレートに付着した推定の反発分子を含む。次に、リアルタイムフォトイメージング技術を用いて、細胞移動の程度、速度および/または方向が測定される。ストライプが化学的忌避剤を含む場合、細胞は、そのストライプを回避するか、または、そのストライプから離れて移動するかのいずれかと予想される。ストライプ分析のその他の改変型は、推定の反発分子の一連の平行な縞模様の領域(ストライプとして知られている)を用いるものであり、これらのストライプは、既知の距離(ギャップと呼ばれる)で分離されている。この改変型では、ストライプが防虫剤を含む場合、細胞の培養物中の細胞は、ストライプを回避するか、または、そのストライプから離れてストライプ間のギャップに移動するかのいずれかと予想される。
【0032】
ストライプ分析の一実施形態において、付着させたエフリンB−Fc融合タンパク質を含むストライプまたはストライプ群が用いられる。Ephとエフリンが、インビボで、直接の細胞間相互作用で相互作用するとしても、IgG Fcに対するEphまたはエフリンの細胞外ドメインとの連結により、そのそれぞれのエフリンまたはEphを活性化することができる可溶性融合タンパク質を形成することができることが示されている。(Kaneko MおよびNighorn A,J Neurosci.2003年12月17日;23(37):11523〜38)。エフリンB−Fc融合タンパク質は、IgG免疫グロブリンのFc領域に機能するように結合したエフリンB受容体の機能的な部分を含む。適切なエフリンB−Fc融合タンパク質の構築は、Beckmann,M.P.等,EMBO J.13:3757〜3762(1994)、および、Davis,S.等,Science 266,816〜819(1994)で説明されている。その代わりの実施形態において、ストライプまたはストライプ群は、塗布された、エフリンBリガンドを含む細胞膜を含む。さらにその他の実施形態において、ストライプまたはストライプ群は、付着させた、それらの表面でエフリンBリガンドを発現する細胞を含む。
【0033】
上述の分析の改変型において、2群のストライプ分析は、ストライプまたはストライプ群と比較した、EphB1を発現する細胞の細胞移動の程度、速度および方向を測定することによって行われる。分析の第一群において、移動は、候補化合物の非存在下で測定される。第二群において、候補化合物が添加され、移動は、該化合物の存在下で測定される。次に、2つの分析群の間で、移動度、速度および方向を比較する。候補化合物の非存在下よりも存在下において、測定されたストライプ上への移動度が増加する場合、または、ストライプまたはストライプ群から離れた細胞移動の程度または速度が低い場合、その候補化合物は、エフリンBが介在する細胞の反発を妨害することができる化合物と同定される。同様に、候補化合物の非存在下よりも存在下において、測定されたストライプへの細胞の移動の程度または方向が高い場合、または、ストライプまたはストライプ群から離れた移動の程度または方向が低い場合、その候補化合物は、エフリンBが介在する細胞の反発を妨害することができる化合物と同定される。代わりの実施形態において、細胞の移動の分析に、縞模様以外の形状でプレートに塗布された反発分子が用いられる。例えば、反発物質は、プレート上の1つの特定の地点に塗布してもよい。
【0034】
EphB1を発現する細胞のエフリンBが介在する細胞の反発を減少させるその他のアプローチは、シグナル伝達経路を調節することによってEphB1の機能を妨害することである。EphB1タンパク質は、シグナル伝達に関与する細胞内チロシンキナーゼドメインを含む。(Vindis等,J Cell Biol.2003年8月18日;162(4):661〜71)。EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインは、配列番号1の613位〜881位に位置する。このチロシンキナーゼドメインの機能を妨害することにより、EphB1経路に沿ったシグナル伝達が予防されるため、エフリンBが介在する細胞の反発が弱められると予想される。
【0035】
従って、本発明のその他の実施形態において、EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインのチロシンキナーゼ活性を妨害することができる化合物は、候補化合物の存在および非存在下で、EphB1が介在するチロシンキナーゼ活性を測定することによって同定される。この実施形態において、チロシンキナーゼ分析の2つの群が行われる。第一群は、候補化合物の非存在下で行われる。第二群において、上記化合物が添加され、上記化合物の存在下で活性が測定される。次に、2つの分析群の間で、チロシンキナーゼ活性を比較する。候補化合物は、測定されたチロシンキナーゼ活性が、それらの非存在下よりも存在下において著しく低い場合、EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインのチロシンキナーゼ活性を妨害することができる化合物と同定される。
【0036】
チロシンキナーゼ活性を測定する方法は、当業界で十分に確立されている。例えば、チロシンキナーゼ分析キットが、ロシュ・モレキュラー・バイオシステムズ(Roche Molecular Biosystems)、カルバイオケム(Calbiochem)、ケミコン(Chemicon)、パーキン・エルマー・ライフサイエンス(Perkin−Elmer life sciences)、アップステート・バイオテクノロジーズ(Upstate Biotechnologies)、および、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)から商業的に利用可能である。チロシンキナーゼ分析は、ビーズまたはウェルのような表面に塗布されるリン酸化チロシンに特異的な蛍光タグおよび抗体を含む基質ペプチドを用いてもよい。基質ペプチドがリン酸化されると、基質ペプチドは抗体に結合するため、基質ペプチドとその蛍光タグは、抗体が結合した部分に局在化する。基質がリン酸化されない場合、基質とその蛍光タグは、散在したままである。チロシンキナーゼ活性のレベルは、抗体が結合した位置の蛍光レベルを決定することによって測定することができる。
【0037】
チロシンキナーゼ活性はまた、無傷のEphB1を発現する細胞、または、表面にEphB1タンパク質を含む原形質膜の小胞で測定してもよい。これらの小胞は、無傷のEphB1を発現する細胞を音波破砕することによって作製してもよい。また、チロシンキナーゼ活性は、EphB1を発現する細胞の細胞溶解産物を用いて、または、細胞内ドメインを含むEphB1の単離したフラグメントを用いて測定してもよい。また、組換えによって作製されたEphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインを用いて、本発明を実施してもよい。この実施形態において、EphB1のチロシンキナーゼドメインのDNA配列(配列番号2のヌクレオチド2051〜2857)は、発現ベクターにクローニングするが、例えば、pMALシステムのプロトコールに従って、pMALベクター(ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs)より入手可能)にクローニングし、これを次に、E.コリ(E.coli)細胞で発現させ、精製する。(ニューイングランドバイオラボ製のpMALタンパク質融合および精製システムマニュアル(pMAL Protein Fusion and Purification System Manual),ニューイングランドバイオラボより入手可能)。
【0038】
EphB1活性は、そのシグナル伝達経路上のその他の要素の活性を測定することによっても測定することもできる。EphB1の下流にある既知の要素としては、Cdc42およびRacが挙げられる。(MuraiおよびPasquale,Journal of Cell Science 116,2823〜2832(2003))。Cdc42およびRacは、GTPアーゼであり、その活性は、標識されたGTP基質から放出された標識の量を測定することによって測定してもよいし、または、Kraynov,V.S.等,Science 290:333〜337(2000)で説明されている蛍光共鳴エネルギー移動(「FRET」)分析を測定することによって測定してもよい。典型的なFRET分析では、無傷細胞にマイクロインジェクションされた基質からのフルオロフォアの放出が測定される。この実施形態において、下流の構成要素の活性は、2つの分析群で測定される。第一群は、該候補化合物の非存在下で行われる。第二群において、該化合物が添加され、該化合物の存在下で活性が測定される。次に、2つの分析群の間で、下流の要素の活性を比較する。候補化合物は、測定されたチロシンキナーゼ活性が、それらの非存在下よりも存在下において著しく低い場合、EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインのチロシンキナーゼ活性を妨害することができる化合物と同定される。
【0039】
本発明のさらにその他の実施形態において、候補化合物のエフリンBが介在する細胞の反発に対する作用は、インビボで、髄鞘脱落および再ミエリン化の動物モデルで測定されるが、このようなモデルとしては、哺乳動物のエチジウムブロマイド(「EtBr」)モデル、および、ラット、マウスおよびマーモセットの実験的自己免疫性脳脊髄炎(「EAE」)モデルが挙げられる。この実施形態において、上記動物において、「MS」様の症状および病態生理学が誘導される。次に、上記動物を候補化合物で処理する。上記動物におけるMSの進行をモニターする。典型的には、動物モデルにおけるMSの進行は、「臨床スコア」として知られている数値として定量化され、このスコアは、典型的には、動物におけるMS症状の重症度に基づいてゼロ(健康)〜5(瀕死または死亡)のスケールの範囲である。特定のタイムポイントで、動物を殺し、LUXOL FAST BLUE(「LFB」)とミエリン塩基性タンパク質(「MBP」)染色によって再ミエリン化について評価し、再ミエリン化を確認する。候補化合物は、処理した動物が、未処理動物の臨床スコアまたは再ミエリン化を上回る著しく改善された臨床スコアまたは再ミエリン化を示す場合、エフリンBが介在する細胞の反発を妨害することができると同定される。あるいは、化合物の有効性は、未処理動物の再ミエリン化の速度および/または程度を上回って再ミエリン化の速度および/または程度を高める可能性がある。
【0040】
候補化合物の例としては、これらに限定されないが、コンビナトリアルケミストリー法で生成したような低分子物質、または、タンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、多糖類のような高分子、上記の分子のあらゆる修飾された誘導体、同様に、上記の分子の1種またはそれ以上を含むあらゆる複合体が挙げられる。候補化合物の一例は、RNA干渉(「RNAi」)に用いられる二本鎖RNAである。RNAiは、標的遺伝子の発現を阻害する方法であり、例えば、米国特許第6,506,559号で詳細に説明されている。RNAi法および材料は、米国特許出願公報第20020086356号、および、20030108923号でさらに説明されており、さらに、RNAiの大要は、Tuschl,Chembiochem.2;2(4):239〜45(April,2001)で示されている。
【0041】
前述の方法によって同定された化合物は、単独で投与してもよいし、または、製薬上許容できるキャリアーまたは賦形剤と組み合わせた医薬組成物の形態で投与することができる。同定された化合物は、化合物が有効量で生物的に利用可能になるようならばどのような形態または様式で投与してもよい。同定された化合物は、経口、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、鼻腔内、直腸、眼内等に投与してもよい。経口投与が好ましい。同定された化合物の医薬組成物は、投与経路に適合させることができる。同定された化合物の医薬組成物の例としては、投与経路が経口、非経口(parental)または局所の場合、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、シロップ、カシェ剤、チューインガム、坐剤、溶液または懸濁液が挙げられる。同定された化合物の好ましい経口用医薬組成物は、上記化合物を不活性希釈剤または食用キャリアーと共に含む。医薬製剤製造の当業者であれば、化合物の具体的な特徴、治療しようとする病気、病気の段階、その他の患者の反応およびその他の関連する環境を決定することによって、同定された化合物に適した形態を容易に決定することができる。
【0042】
脳に同定された化合物を投与することが望ましい場合がある。脳に同定された化合物を投与する方法の例としては、これらに限定されないが、外科手術中の局所的な注入、注射、カテーテルの使用、坐剤の使用、または、インプラントの使用が挙げられる。インプラントは、多孔質、非多孔質またはゲル状の材料を含んでいてもよく、このような材料としては、メンブレン、例えばシラスティック(sialastic)メンブレンまたはファイバーが挙げられる。薬物を中枢神経系に誘導することが望ましい場合、血液脳関門を、薬物をそこを通過させて送達するのに十分な時間、適宜開くことができる技術を用いることができる。例えば、5%マンニトール(mannitose)と水との組成物を用いることができる。
【0043】
本発明の医薬組成物は、病気が盛んに発症している間と寛解期の両方に、単独で、または、1種またはそれ以上の抗炎症薬と共にのいずれかで定期的に投与されるべきであろうと予想される。本発明の医薬組成物は、適切に投与された場合、EphB1を発現する細胞(例えば希突起膠細胞の前駆細胞)を、細胞の反発作用物質(例えばエフリンBリガンド)を発現する罹患した部位に移動させることが可能になると予想される。さらに、本発明の材料および方法を用いて、細胞の反発を弱めることによって回復が可能なその他の病理(例えば、髄鞘脱落に関連する病理)を治療することができると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ラット希突起膠細胞の前駆細胞(OLP)、成熟乏突起膠細胞(OL)、星状細胞および小グリア細胞におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示す棒グラフである。
【図2】全身から選択される多種多様なヒトの組織型におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示すチャートである。
【図3】成人の脳の異なる小区域におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示すチャートである。
【図4】ヒトの病理学的な組織におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示すチャートである。
【図5】正常な脳およびMSの脳由来のヒト白質におけるEphB1のmRNA発現の相対レベルを示す棒グラフである。
【図6】様々な重症度のMSの病巣を含む様々な組織型におけるEphB1発現の相対レベルを示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エフリンBが介在するEphB1活性を阻害することができる化合物を同定する方法であって:
(a)候補化合物の非存在下で、該EphB1の活性を測定する工程;および、
(b)候補化合物の存在下で、該EphB1の活性を測定する工程、
を含み、ここにおいて、該候補化合物は、工程(b)で測定された活性が工程(a)で測定された活性より低い場合に、エフリンBが介在するEphB1活性を阻害することができると同定される、上記方法。
【請求項2】
測定する工程(a)は、候補化合物の非存在下で、EphB1を発現する細胞のエフリンBが介在する反発を測定することを含み、測定する工程(b)は、該候補化合物の存在下で、該細胞のエフリンBが介在する反発を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞のエフリンBが介在する反発の測定は、
(i)プレート上の少なくとも1つの特定の領域に、エフリンBリガンドを塗布する工程;
(ii)プレートに、EphB1を発現する細胞の培養物を添加する工程;および、
(iii)少なくとも1つの特定の領域と比較して、該細胞の培養物の移動の程度、速度および方向を測定する工程、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
エフリンBリガンド は、エフリンB−Fc 融合タンパク質である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
エフリンBリガンドは、エフリンBを発現する細胞を用いて、プレートに塗布される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
エフリンBリガンドは、細胞質膜を用いて、プレートに塗布される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
測定する工程(a)は、候補化合物の非存在下で、EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインのキナーゼ活性を測定することを含み、測定する工程(b)は、該候補化合物の存在下で、該EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインのキナーゼ活性を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインの活性を測定することは、無傷細胞のチロシンキナーゼ活性を測定することである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
測定する工程(a)は、候補化合物の非存在下で、動物における脱髄障害の進行を測定することを含み、そして、測定する工程(b)は、該候補化合物の存在下で、動物における脱髄障害の進行または修復の速度/程度を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
動物は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(「EAE」)モデル、および、エチジウムブロマイド(「EtBr」)モデルからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
EphB1活性を阻害する治療が必要なヒト宿主においてEphB1遺伝子産物の活性を阻害する化合物を投与することを含む、ヒト宿主においてEphB1活性を阻害する方法であって、ここにおいて、該化合物のEphB1遺伝子産物の活性を阻害する能力は:
(a)候補化合物の非存在下で、EphB1遺伝子産物の活性を測定すること;および、
(b)該候補化合物の存在下で、EphB1遺伝子産物の活性を測定すること、
によって同定され、ここにおいて、該候補化合物は、工程(b)で測定された活性が工程(a)で測定された活性より低い場合、EphB1活性を阻害することができると同定される、上記方法。
【請求項12】
化合物は、該化合物および製薬上許容できる補助剤を含む医薬組成物として投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
測定する工程(a)は、候補化合物の非存在下で、EphB1を発現する細胞のエフリンBが介在する反発を測定することを含み、そして測定する工程(b)は、該候補化合物の存在下で、該細胞のエフリンBが介在する反発を測定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
エフリンBが介在する細胞の反発を測定することは:
(i)プレート上の少なくとも1つの特定の領域に、エフリンBリガンドを塗布する工程;
(ii)プレートに、EphB1を発現する細胞の培養物を添加する工程;および、
(iii)少なくとも1つの特定の領域と比較して、該細胞の培養物の移動の程度、速度および方向を測定する工程、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エフリンBリガンドは、エフリンB−Fc融合タンパク質である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エフリンBリガンドは、エフリンBを発現する細胞を用いて、プレートに塗布される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
エフリンBリガンドは、細胞質膜を用いて、プレートに塗布される請求項14に記載の方法。
【請求項18】
測定する工程(a)は、候補化合物の非存在下で、EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインのキナーゼ活性を測定することを含み、そして測定する工程(b)は、該候補化合物の存在下で、該EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインのキナーゼ活性を測定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
EphB1の細胞内チロシンキナーゼドメインの活性を測定することは、無傷細胞のチロシンキナーゼ活性を測定することである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
測定する工程(a)は、候補化合物の非存在下で、動物における脱髄障害の進行を測定することを含み、そして測定する工程(b)は、該候補化合物の存在下で、動物における脱髄障害の進行または修復の程度/速度を測定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
動物は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(「EAE」)モデル、および、エチジウムブロマイド(「EtBr」)モデルからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−535934(P2007−535934A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511515(P2007−511515)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/015387
【国際公開番号】WO2005/108990
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(500137976)アベンティス・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテツド (76)
【Fターム(参考)】