説明

腎不全、腎疾患または腎障害、特に糖尿病患者におけるこれらの治療のための医薬組成物

本発明は、大型ほ乳類および特にヒト、好ましくは糖尿病のヒト患者における、窒素に対してα−位でオキソ基を含有し、かつ3位で1−(カルボキシアルキル)シクロペンチルカルボニルアミノ基により置換されているベンズアゼピン−N−酢酸誘導体および/またはその塩および生物学的不安定性(biolabil)エステルおよび/またはこれらの生理学的認容性の溶媒和物の新規使用、医薬組成物の製造および新規治療に適した製品に関する。本発明は、特に腎不全、腎疾患または腎障害、好ましくは腎臓病患者における腎不全、腎疾患または腎障害の治療および/または予防に関し、しかしながら広い意味においてはさらに、シンドロームXの患者または特に加えて高血圧、肥満、高血糖および/または代謝障害を有する腎不全、腎疾患および/または腎障害の患者における治療および/または予防に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ほ乳類および特にヒト、好ましくは糖尿病のヒト患者における、窒素に対してα−位でオキソ基を含有し、かつ3位で1−(カルボキシアルキル)シクロペンチルカルボニルアミノ基により置換されているベンズアゼピン−N−酢酸誘導体および/またはその塩および生物学的不安定性(biolabil)エステルおよび/またはこれらの生理学的認容性の溶媒和物の新規使用、さらには医薬組成物の製造および新規治療に適した製品に関する。
【0002】
窒素に対してα−位でオキソ基を含有し、かつ3位で1−(カルボキシアルキル)シクロペンチルカルボニルアミノ基により置換されている、ベンズアゼピン−N−酢酸誘導体およびその塩および生物学的不安定性エステルは、窒素に対してα−位でオキソ基を含有し、かつ3位で1−(カルボキシアルキル)シクロペンチルカルボニルアミノ基により置換されている、ベンズアゼピン、ベンズオキサゼピンおよびベンゾチアゼピン−N−酢酸誘導体の保護範囲内に含まれるものであって、かつ、ドイツ特許出願DE19510566(US5677297またはEP0733642)に記載されているような、心臓におけるNEP−阻害効果を有するものである。本発明の範囲内で使用されるベンズアゼピン−N−酢酸化合物は、DE19510566に記載の方法(US5677297またはEP0733642)により製造することができる。さらに、治療すべき高血圧の発生は、広範囲の種々の起源を有する。本態性高血圧(一次性高血圧)に加えて、種々の非−心臓疾患を原因として生じうる二次性高血圧の形が存在し、この場合、これらはさらに前記ベンズゼピン−N−酢酸誘導体を用いて、US6482820(WO00/48601またはEP1154777)に記載のように治療することができる。さらに、US5783573の開示は、窒素に対してα−位でオキソ基を含有し、かつ3位で1−(カルボキシアルキル)シクロペンチルカルボニルアミノ基により置換されている、べンズアゼピン−N−酢酸誘導体に関し、たとえば、胃腸血液循環の改善のための前記化合物の使用が引用されている(腸間膜血流)。減少した胃腸血流は、多くの異なる理由、たとえば、血管の増加した抵抗性により生じていてもよく、この場合、糖尿病および/または心臓疾患、たとえば高血圧性心筋症と関連しうる血管機能の胃腸領域または病理学的変化を生じさせる。さらに、従来技術では、中性エンドペプチダーゼと、アンギオテンシン変換酵素またはエンドセリン変換酵素との組み合わせによる試験的糖尿病の抑制がTikkanen Iらにより示されたが(Journal of Hypertension 2002, 20: 707-714)、しかしながら糖尿病に関する記載された効果については、使用されたストレプトゾトシン−誘発型糖尿病Sprague−Dawleyラットモデル中で、Tillanen Iらにより投与された化合物による血圧減少に対して二次的なものであるとみられた。
【0003】
本発明の対象は、患者、特に糖尿病の症状を有する患者の治療のため、特に糖尿病特有の重篤な腎合併症を治療するための新規医薬組成物を提供することである。本発明の対象は、好ましくは、糖尿病の結果として損なわれうる腎機能に関する糖尿病合併症のこれらの形の治療および/または予防のための新規医薬組成物を開発することに関する。したがって、本発明の最も好ましい対象は、糖尿病患者の腎臓機能を改善させるか、あるいは、たとえば糖尿病の内容または合併症として生じる、たとえば腎疾患に関する治療および/または予防を提供することである。
【0004】
一般式I
【0005】
【化1】

[式中、Rはフェニル−低級−アルキル基を示し、この場合、これらは、場合によってはフェニル環中で、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンによって置換されていてもよいか、あるいは、ナフチル−低級−アルキル基を示し、
は水素または生物学的不安定性エステルを形成する基を意味し、かつ、
は水素または生物学的不安定性エステルを形成する基を意味する]の化合物および/または式Iの酸の生理学的認容性の塩、および/またはこれらの生理学的認容性の溶媒和物を、大型ほ乳類またはヒト患者、および好ましくは、糖尿病患者における腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のための医薬組成物の製造に使用する。
【0006】
式Iの化合物の置換基が、低級アルキル基またはアルコキシ基であるか、またはこれを含有する場合には、これらは、直鎖または分枝であってもよく、かつ、特に1〜4個、好ましくは1〜2個の炭素原子を含有し、かつ、好ましくはメチルまたはメトキシである。置換基がハロゲンである場合には、特に適しているのはフッ素、塩素または臭素であり、好ましくはフッ素または塩素である。
【0007】
基R中、低級アルキレン鎖は1〜4個、好ましくは1〜2個の炭素原子を含有していていもよい。特にRは、場合により置換されたフェネチル基であり、この場合、これらは、場合によってはハロゲン、低級アルコキシまたは低級アルキルによって1個または複数個置換されていてもよいか、あるいは、ナフチルエチル基である。
【0008】
式Iの化合物は、場合によってはエステル化されたジカルボン酸誘導体である。投与様式に依存して、生物学的不安定性モノエステル、特にRが、生物学的不安定性エステルを形成する基であり、かつRが水素である特定の化合物、またはジカルボン酸が好ましく、その際、ジカルボン酸は、i.v.投与に特に適している。
【0009】
生物学的不安定性エステルを形成する適したRおよびR基は、低級アルキル基、フェニルまたはフェニル−低級−アルキル基であり、この場合、これらは、場合によってはフェニル環中で、低級アルキル基または2個の隣接する炭素原子と結合する低級アルキレン鎖により置換されており、ジオキソラニルメチル基、この場合、これらは、場合によってはジオキソラン環中で、低級アルキルにより置換されているか、あるいはC〜C−アルカノイルオキシメチル基、この場合、これらは、場合によってはオキシメチル基上で、低級アルキルにより置換されている。生物学的不安定性エステルを形成するRまたはR基が、低級アルキル基である場合には、これは、好ましくは1〜4個、特に2個の炭素原子を有する非分枝アルキル基であってもよい。生分解性エステルを形成する基が、場合によっては置換されたフェニル−低級−アルキル基である場合には、そのアルキレン鎖は1〜3個、好ましくは1個の炭素原子を含有していてもよい。フェニル環が、低級アルキレン鎖により置換されている場合には、これは3〜4個、好ましくは3個の炭素原子を含有していてもよい。フェニル、ベンジルまたはインダニルは、フェニル含有置換基Rおよび/またはRとして特に適している。Rおよび/またはRが場合により置換されたアルカノイルオキシメチル基である場合には、これらのアルカノイルオキシ基が2〜6個、好ましくは3〜5個の炭素原子を含有していてもよく、かつ好ましくは分枝であり、かつたとえば、ピバロイルオキシメチル基であってもよい(=tert−ブチルカルボニル−オキシメチル基)。
【0010】
式Iのジカルボン酸またはモノエステルの適した生理学的認容性の塩は、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩を含み、たとえばナトリウム塩またはカリウム塩または生理学的認容性の、製薬学的に中性の有機アミン、たとえばジエチルアミンまたはtert−ブチルアミンを含む。
【0011】
式Iの化合物は2個のキラル炭素原子を含有し、すなわち、環骨格中3位に存在し、かつアミド側鎖を有する炭素原子であり、かつ、基Rを有するアミド側鎖の炭素原子を含有する。したがって化合物は、いくつかの場合により活性の立体異性の形またはラセミ体として存在していてもよい。本発明によれば、式Iのラセミ混合物および異性体として純粋な化合物の双方を使用することができる。
【0012】
驚くべきことに、本発明により使用された式Iの化合物の群が、ヒトおよび大型ほ乳類におけるその血圧低下作用の他に、腎疾患、腎障害または腎不全の治療および/または予防のために、特に糖尿病患者において使用することができることが見いだされた。これらの患者は、しばしば腎合併症、たとえば腎臓の不適切な機能または欠損した機能を示す。糖尿病に関連して知られている種々の重篤な腎臓合併症は、いわゆる糖尿病性ネフロパシーである。腎臓機能の欠損は、結果として望ましくない増加したタンパク尿および/またはアルブミン分泌を生じ、この場合、これらは腎臓の病理学的合併症の明りょうなサインである。
【0013】
したがって、式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩、およびその生物学的不安定性エステルまたは溶媒和物は、高血圧症の任意の形の治療、たとえば本態性高血圧または一次性高血圧および種々の広範囲の由来を有する二次高血圧の特定の形の治療のためのみならず、本発明によれば、さらに腎疾患、腎障害または腎不全の予防および/または治療、特に糖尿病を患う患者の治療および/または予防のために適していることが見いだされた。好ましくは式Iの化合物およびその酸の生理学的に認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物は、糖尿病の腎合併症の治療および/または予防のために適している。最も好ましくは、式Iの化合物は、この場合、その酸の塩およびその生物学的不安定性エステルを含み、有利には、ネフロパシーの症状、特に糖尿病性ネフロパシーの症状の治療および/または予防に適している。本発明は、むしろ驚異的であることが見いだされ、それというのも、ここで示されかつ以下に評価された試験結果が、式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルが、完全に、その技術水準から公知の血圧調節特性とは無関係に、腎臓保護的特性を示すためといった結論を導くためである。これは、有利な効果が、抗高血圧特性に関連するのではなく、それ自体による作用機序に属するものであることを含む。それにもかかわらず。式Iの化合物およびその酸の生理学的に認容性の塩およびその生体的不安定性エステルは、その驚異的な製薬学的特性により、腎臓機能の有利な効果による高血圧および腎臓保護の並列的治療を可能にする。
【0014】
したがって、本発明の一つの実施態様において、式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物を、腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のために使用し、この場合、これらはネフロパシー、好ましくは糖尿病患者におけるネフロパシー(糖尿病性ネフロパシー)である。たとえば、本発明の態様に関する治療および/または予防は、タンパク尿および/または尿アルブミン排出および/または腎臓瘢痕化(renal scaring)の治療および/または予防に関する。これらはさらに、増加した心臓血管リスクに関連する。したがって、本発明によれば、式Iの化合物と、その酸の生理学的に認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物を、増大した血管性リスクを示す大型ほ乳類またはヒト患者、特にシンドロームXを示す患者において、前記腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のために使用することは有利である。好ましくは、本発明は、腎不全、腎疾患および/または腎障害を有する患者の治療および/または予防のために有利であってもよく、この場合、これらの患者は、高血圧の他に、肥満、高血糖を有し、および/または代謝障害を有する。
【0015】
糖尿病の用語は通常真性糖尿病として認識されており、いわゆる糖尿病性疾患である。これに加えて、たとえば、他の原発性疾患の結果として生じうる糖尿病の二次的形態は、炭水化物代謝障害の2の主要な群に区別され、すなわちインスリン欠損によるI型糖尿病および減少したインスリン作用に関するII型糖尿病であり、糖尿病の過程は、型に依存するものとされ、特に要因に依存する。さらに糖尿病は、種々の病理的症状を有する慢性疾患であり、かつたとえば、脂質代謝、循環およびグルコース代謝の疾患を伴う。この疾病の典型的症状は、上昇した血糖(高血糖)、尿中の糖排出(糖尿)、感染症傾向および痒みを含む。進行性疾病の傾向のある糖尿病は、多くの場合において種々の合併症を伴う。公知の合併症は、たとえば神経性および血管性疾病を含む。
【0016】
式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物の、腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のための投与は、腎不全、腎疾患および/または腎障害の他に、さらに高血糖および/または代謝性障害を有する患者のために適しており、たとえば、この投与はさらに、高血糖を伴う種々の由来のグルコース代謝障害を有する患者、たとえば増加したグルコース放出および/または減少した代謝グルコース利用の結果としての上昇した血しょうグルコース値の発生を伴う患者に適しており、この場合、これらは、上昇した血圧、インスリン耐性、グルコース不耐性、II型糖尿病および/または肥満に関連するものであってもよい。
【0017】
式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物の、腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のための投与は、さらにシンドロームXを示す患者に効果的である。シンドロームXは、特に多数の異常パターンであり、この場合、これらは、公知であるか、あるいはまれに原因となって組み合わされるものと想定される。広い意味でのシンドロームX患者は、通常は、不全、疾患または障害の同様の徴候を示し、たとえば、未知、不明瞭または極めて広範囲の原因のメディカルヒストリーを有する、顕性疾患の主に同型の症候群または症状を示す。特にシンドロームXは、インスリン耐性、グルコース不耐性、高インスリン血症、増加したVLDLトリグリセリド値、減少したHDLクレステロールおよび高血圧を含む症状の組み合わせのための、臨床的用語である。
【0018】
式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物の、腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のための投与は、付加的に高血圧症の患者にも効果的である。高血圧症(高血圧)とは、通常レベルを超えての血圧の上昇を意味し、この場合、これらは主に動脈性高血圧として明確になる。留意すべきであるのは、高血圧の原因は2種の基本的形態に区別され、すなわち本態性または一次性高血圧と、他方は二次性高血圧である。一般的に、本態性高血圧は、最初には純粋に機能的に、最終的には動脈循環の有機的狭小化により生じる増加した流れ抵抗性により生じる。逆に、二次性高血圧または徴候的高血圧は、器官関連性高血圧、すなわち、器官の疾病により誘発され、この場合、たとえば、内分泌、腎臓、肺または心臓血管系から生じるものであってもよい。二次性高血圧の原因となる疾病は、種々の性質から成り、たとえば慢性閉塞性気管疾病または慢性喘息である。成人の肺における血液の通常の循環は、低い圧力および低い抵抗で生じる。しかしながら、予め存在する慢性低酸素症は、たとえば慢性閉塞性気管疾病において生じてもよく、この場合、これらは肺性の動脈性高血圧および肺性細動脈(血管筋肉細胞の増加した成長)および右心室(心筋細胞の増加した成長)のリモデリングを招く。
【0019】
式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物の、腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のための投与は、肥満患者においても効果的である。肥満は、正のエネルギー平衡により引き起こされる脂肪組織の一般的増加として知られている。肥満は、特に代謝疾病の徴候である。
【0020】
本発明による治療および予防のために、常用の医薬組成物中での式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルは、経口的、静脈的または経皮的経路により投与することができる。
【0021】
式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステル、またはその溶媒和物は、腎臓保護のための効果的量で、常用の製薬学的アジュバントおよび/または担持剤と一緒に、固体または液体医薬組成物中に含有されていてもよい。固体製剤の例は、経口的投与製剤、たとえば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、粉末または顆粒、さらには坐剤またはパッチ剤(経皮的治療系)を含む。これらの固体製剤は、製薬学的に常用の無機および/または有機担持剤、たとえばラクトース、滑石または澱粉、ならびに製薬学的に常用のアジュバント、たとえば滑剤または錠剤崩壊剤を含有するものであってもよい。液体製剤、たとえば活性成分の溶液、懸濁液またはエマルションは、常用の希釈剤、たとえば水、油および/または懸濁剤、たとえばポリエチレングリコールおよび同様の薬剤を含有するものであってもよい。他のアジュバントとして、たとえば保存剤、矯味剤および同様の添加剤を添加することができる。
【0022】
活性成分は、公知方法で、製薬学的アジュバントおよび/または担持剤と混合し、かつ配合することができる。固体薬剤形の製造に関して、活性成分は、たとえば、通常の方法で、アジュバントおよび/または担持剤と一緒に混合し、かつ湿式または乾式で造粒することができる。顆粒または粉末は、直接的にカプセル中に充填するかまたは通常の方法で、錠剤コアの形に圧縮することができる。これらは、場合によっては公知方法で被覆することができる。液体組成物は、溶液または懸濁液の形で、活性成分および場合によっては他のアジュバントを、適した液体担持剤中に溶解または分散させることによって得ることができる。
【0023】
したがって、本発明の一つの好ましい実施態様は、本発明により前記に示された式Iの化合物少なく1種、および/または式Iの酸の生理学的認容性の塩少なくとも1種、および/またはその生理学的に認容性の溶媒和物の治療的有効量を含有し、この場合、この量は、大型ほ乳類またはヒト患者、および好ましくは糖尿病患者の腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のための、治療的有効量であり、およびさらには製薬学的認容性の賦形剤または担持剤の少なくとも1種およびさらに場合によっては製薬学的補助および/またはアジュバントを含有する、医薬組成物に関する。
【0024】
大型ほ乳類またはヒト患者、および好ましくは糖尿病患者における腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のための前記医薬組成物は、本発明による方法にしたがって、本発明により前記に示された式Iの化合物少なくとも1種、および/または式Iの酸の生理学的認容性の塩少なくとも1種、および/またはその生理学的に認容性の溶媒和物少なくとも1種の治療的有効量を、製薬学的認容性の賦形剤または担持剤少なくとも1種、および場合によりさらに製薬学的補助剤および/またはアジュバントと一緒に、適していると見られる製薬形に変える工程によって、製造することができる。
【0025】
他の実施態様において、本発明は、さらに本発明により前記に示された一般式Iの化合物少なくとも1種、および/または式Iの酸の生理学的認容性の塩少なくとも1種、および/またはその生理学的認容性の溶媒和物少なくとも1種の治療的効果量を含有する医薬組成物を医薬として含み、さらには一般式Iの前記化合物、式Iの酸の生理学的認容性の酸付加塩および/またはその生理学的認容性の溶媒和物を示す、ラベル、リーフレットおよび/または包装挿入物を含有する、医薬品および/またはパッケージに関し、この場合、これらは、大型ほ乳類またはヒト患者、および好ましくは糖尿病患者の腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のために投与することができる。
【0026】
最後に、本発明は他の実施態様において、大型ほ乳類またはヒト患者における腎不全、腎疾患および/または腎障害、および好ましくは糖尿病の治療および/または予防のための方法を提供し、この場合、この方法は、本発明により示される3,7−ジアザビシクロ[3,3,1]ノナン化合物の少なくとも1種、および/またはその酸の生理学的認容性の塩少なくとも1種、および/またはその生理学的認容性の溶媒和物少なくとも1種の治療的有効量を含有する医薬組成物を、前記大型ほ乳類またはヒト患者に投与することに関する。
【0027】
したがって、本発明のこの実施態様において、式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物は、腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防のための方法に使用し、この場合、これらはネフロパシー、好ましくは糖尿病患者におけるネフロパシー(糖尿病性ネフロパシー)である。たとえば、これに関して、本発明は好ましくは、タンパク尿症および/または尿アルブミン排出および/または腎臓瘢痕化の治療および/または予防に関する。本発明の他の実施態様において、腎不全、腎疾患および/または腎障害は、さらに特定の患者における増加した心臓血管リスクに関連するものであってもよい。したがって、本発明によれば、さらに式Iの化合物およびその酸の生理学的認容性の塩およびその生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物は、増加した心臓血管リスクを示す大型ほ乳類またはヒト患者、たとえばシンドロームXの患者における腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療および/または予防に使用することが有利である。好ましくは、本発明は、腎不全、腎疾患および/または腎障害を有する患者の治療および/または予防のために有利であってもよく、この場合、これらの患者は、さらに高血圧、肥満、高血糖および/または代謝性疾患の患者である。
【0028】
本発明による式Iの化合物の、腎臓保護作用、特に糖尿病性ネフロパシー中の特に有利な効果は、薬理試験において、in vivoの動物モデルで、たとえば、適した薬理学的指標に関連する試験物質の効果を測定することによって試験することができ、この場合、この目的のために、たとえばタンパク尿および/またはアルブミン尿の測定が適している。
【0029】
試験方法および結果の記載
特に本発明によれば、動物モデル中で以下に示すように見いだされ、詳細には、中性エンドペプチダーゼおよびエンドセリン変換酵素の双方の阻害が、タンパク尿および尿アルブミン排出を、糖尿病ラット中で血圧とは無関係に減少させる。糖尿病性ネフロパシーは、糖尿病の重篤な合併症であり、かつ腎疾患の最終段階に向かって乏しい進行性を伴い、劣化する。タンパク質およびアルブミンの増加した尿排出は、糖尿病性腎疾患のための早期臨床的マーカーであり、かつ心臓血管疾病のリスクを増加させる。糖尿病は、腎臓瘢痕化を含む腎臓エンドセリン系の活性化を引き起こす。たとえば、化合物名(3S,2’R)−3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸は、中性−エンドペプチダーゼ(NEP)およびエンドセリン−変換−酵素(ECE)の双方のインヒビターであり、かつエンドセリン(ET)形成を阻害する。ストレプトゾトシン−誘発性糖尿病を有するラットにおいて、前記式Iの化合物のタンパク尿における効果(30mg/kg/日、18週)について、対象群、たとえばビヒクル処理群、非糖尿病コントロール群に対して試験した。薬剤は、食事の形で経口的に投与される。
【0030】
糖尿病および研究デザインの導入:すべての試験を、実験動物の処理および使用のためのガイドラインに従って実施した。糖尿病は、ラットにおいて、ストレプトゾトシン(60mg/kg b.質量)の単回尾静脈注射により誘発させ、その際、インスリン処理を用いることなく、この場合、これらの方法は、最近では、Horcherらにより記載されている(“Renal endothelin system in diabets: inhibition and endothelin-A antagonism.”J. Cardiovasc. Pharmacol. 1998; 31: 492-495)。糖尿病は、ストレプトソトシン処理されたラットにおいて、血清グルコース濃度により確認された。これらのラットとしては、血漿グルコース濃度>15mmol/l(高血糖ラット、糖尿病ラット)を有するもののみを含む。ラットの3種の群は、n7〜11/群の範囲で試験した:
1)非糖尿病ラットコントロール群;
2)糖尿病ラットコントロール群、ビヒクル処理;
3)処理された糖尿病ラット群;式Iの試験化合物((3S,2’R)−3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸)、30mg/kg/日を18週に亘って投与した。
【0031】
尿中の尿タンパク質濃度は、ピロガロールリドモリブデート錯体試薬(分析キット)を用いて、自動分析器中で(たとえば、Hitachi717; Watanabe N. Kamei S. Ohkubo A, Yamanaka M, Ohsawa S, Makino K, Tokuda, K:“Urinary protein as measured with a pyrogallol red-molybdate complex reagent (analytic test kit)、Hitachi717 automated analyzer”, Clin. Chem. 1986, 32: 1551-1554参照)測定した。
【0032】
尿アルブミン排出は、酵素結合免疫吸着アッセイにより測定した。ウサギ抗−ラットアルブミンは、10000および600倍にそれぞれ希釈した。熱不活性化された正常ウサギ血清をブロック剤として使用した。標準曲線をウェル当たり0.3〜40ngのアルブミンに直線化した。尿に対する公知の標準的アルブミン量の添加は、添加アルブミンの97%回収率を生じた(参照:Horcher ら、Nephron 2001; 87:161-169; “Effects of Endothelin Receptor Antagonists on the Progression of Diabetic Nephropathy”)。
【0033】
糸球体濾過率は、外来クレアチニンクリアランスにより算定した。これにより、前記に示す式Iの化合物の投与によって、全糸球体濾過率が改善することが観察された。
【0034】
本発明により18週の処理期間で実施された試験は、以下の結果を生じ、この場合、これらは第1表ならびに図1および図2に示した。本発明の範囲内において、考慮すべき最も重要なデータは、平均血圧(BP;尾部切断、プレチスモグラフ)、尿中のタンパク質およびアルブミン排出(平均値、標準偏差)であり、この場合、これらは、代謝ケージ中に24時間に亘って回収され、かつそれぞれの群中の動物数(n)は、非糖尿病のコントロール群、糖尿病ビヒクル処理群(=プラセボ)および試験化合物処理群に関する。
【0035】
基線、血清グルコースおよび血圧は、双方の糖尿病群中で類似していた。ビヒクル群と比較して、式Iの試験化合物は、処理期間のこれらのパラメータ上で効果を有するものではない。18週の処理後に、尿タンパク質およびアルブミン排出を測定した。ビヒクル処理群中のタンパク質排出は、約18mg/24時間であり、式Iの化合物を投与した群では約4.8mg/24時間であった(p=0.03、ビヒクルに対して)。ビヒクル群中のアルブミン排出は約0.5mg/24時間であり、式Iの化合物処理群では、約0.1mg/24時間(p=0.04)であった。ビヒクルと比較して、血漿濃度ET−1、bigET−1およびアンギオテンシン−IIは、式Iの化合物により変化しない。副作用については、式Iの試験化合物での処理で観察されなかった。試験から、式Iの試験化合物が、血圧とは無関係に、糖尿病ラットにおけるタンパク質およびアルブミン排出を減少させるものと考えられる。結果から、式Iの化合物は、末梢器官疾病における原発性効果を提供するものと結論付けることができる。
【0036】
第1表:
中性エンドペプチダーゼおよびエンドセリン変換酵素の双方の抑制が、糖尿病ラットにおいて、血圧とは無関係にタンパク尿およびアルブミン尿排出を減少させる。処理の18週後の試験データ。すべて3種の群は、処理期間中において、血圧上の主要な効果を観察することはなかった。
【0037】
【表1】

図1:
12週間後(図1A)および18週間後(図1B)のタンパク質排出を示す図。
30mg/kg/日の試験化合物を用いての、糖尿病ラットの経口的処理の12週間および18週間後のタンパク質排出;値は平均±S.E.M(平均標準誤差)、動物n7〜11。
図2:
18週間後のアルブミン排出
30mg/kg/日の試験化合物を用いての、糖尿病ラットの経口的処理の18週間後のアルブミン排出;値は平均±S.E.M(平均標準誤差)、動物n7〜11。
【0038】
試験データは、特にタンパク尿、さらにはアルブミン尿を減少させることを示す。これらの効果は、式Iの化合物の投与が、腎臓リモルディングに関する正の効果、たとえば、間質性マトリックス含量における正の効果が存在し、この場合、これらは、減少したタンパク尿およびアルブミン尿によるものである。特に、本発明により投与された化合物は、抗繊維症作用を示し、たとえば、処理された動物は、減少した線維化を示す。したがって、糸球体濾過率、尿アルブミンおよび全タンパク質排出の研究に加えて、さらに組織学的研究、たとえば腎臓の形態学的試験は、驚くべきことに、本発明により定義された式Iの化合物の正の腎臓保護的作用を支持する。したがって驚くべきことに、本発明により定義された式Iの化合物は、本質的な腎臓保護作用を示す。
【0039】
組織学的研究を、通常はストレプトゾトシン−誘発型糖尿病ラットで、試験化合物の投与によりおこない、その後に間質性および糸球体コラーゲンI型、III型およびIV型の発現における効果、ならびに、フィブロネクチンおよびラミニンにおける効果を、コンピューターによる画像解析システムを用いて定量的免疫組織学的に分析することにより、実施した。全糸球体マトリックス沈着は、PAS染色後に分析した。組織学的試験のために使用してもよい一般的方法のより詳細な記載は、B.Hoecherらにより提供されている(in Nephron 2001; 87:161-169 (“Effects of Endothelin Receptor Antagonists on the Prigression of Diabetic Nephropathy”))。
【0040】
本発明により観察される効果は、原発的に、たとえば直接的効果であり、この場合、これらの効果が、本発明により記載された式Iの化合物の血圧降下作用とは無関係であることを示す。特に、本発明による試験からの結果は、本発明により投与された式Iの化合物が、長期間の治療および/または予防のために有利に適していることを示すものである。
【0041】
前記に示すこれらの神経保護的効果の点において、式Iの化合物およびその塩および生物学的不安定性エステルおよび/または溶媒和物は、腎不全、腎疾患および/または腎障害の治療のために、大型ほ乳類およびヒトのための製薬学的組成物として適しており、この場合、これらはネフロパシー、好ましくは糖尿病患者におけるネフロパシー(糖尿病性ネフロパシー)および/または前記で詳細に示された病理学的症状である。
【0042】
本発明により使用される化合物は、特に、糖尿病性ネフロパシーのこれらの型の治療に適しており、この場合、これらは、心臓血管性リスクに関連して、たとえば、シンドロームXの患者において生じうる。好ましくは、本発明により使用された化合物は、腎不全、腎疾患および/または腎障害を有する患者の治療および/または予防のために有利であってもよく、この場合、これらの患者は、さらに高血圧症、肥満症、高血糖および/または代謝障害を有する。これに関して、本発明により使用された化合物は、腎不全、腎疾患および/または腎障害、特に、糖尿病患者におけるネフロパシーの治療および/または予防のために、全身の血圧とは無関係の、有利な直接的アプローチを提供するものである。
【0043】
この目的のために、式Iのジカルボン酸およびその塩は、適切には非経口、特にi.v.投与のための医薬形において使用され、かつ式Iのモノエステルおよびジエステルは、適切には、経口投与の医薬形中で使用される。使用すべき投与量は、個体間および当然のことながら治療すべき症状の性質、使用された物質および投与形態にしたがって、異なっていてもよい。たとえば、非経口配合物は、一般には経口製剤よりも低い活性を有する物質を含有していてもよい。しかしながら、個々の投与量に対して1〜200mgの活性物質含量を有する医薬形は、一般には大型ほ乳類、特にヒトへの投与に、一般には適している。式Iの化合物、この場合、その酸の塩およびその生物学的不安定性エステルを含み、この目的のために、活性物質の迅速な放出および遅延したおよび/または制御された放出の双方のための、医薬組成物の形で投与することができる。
【0044】
以下の例は、本発明の範囲を制限することなく、より詳細に例証するものである。
【0045】
以下の例1および例2は、式Iの活性物質を含有する本発明による医薬組成物およびこのような医薬組成物の製造方法を記載するものである。本発明により使用された式Iの化合物は、この目的のために、前記で引用するドイツ特許出願DE19510566に記載された方法によって製造することができる。例3は、本発明による使用のための好ましい実施態様を示す。
【0046】
実施例
例1:
(3S,2’R)−3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有する錠剤
1個の錠剤あたり以下の成分を有する錠剤を製造した:
(3S,2’R)−3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸 20mg
トウモロコシデンプン 60mg
ラクトース 135mg
ゼラチン(10%溶液として) 6mg
活性物質、トウモロコシデンプンおよびラクトースを、10%ゼラチン溶液を用いて増粘させた。ペーストを粉砕し、かつ得られた顆粒を、適したシート上に置き、かつ45℃に乾燥させた。乾燥した顆粒を、粉砕機に通して供給し、かつさらにミキサ中で以下の他のアジュバントと一緒に混合した:
滑石 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
トウモロコシデンプン 9mg
かつ、その後に圧縮して240mgの錠剤に成形する。
【0047】
例2:
(3S,2’R)−3−{1−[2’−カルボニル−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有する注射溶液
5ml当たり以下の組成を有する注射溶液を製造した:
(3S,2’R)−3−{1−(2’−カルボキシ−4’−フェニルブチル)−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸 10mg
Na2HPO4・7H2O 43.24mg
NaH2PO4・2H2O 7.72mg
NaCl 30.0mg
精製水 4948.0mg
固体を水中に溶解し、この溶液を滅菌し、かつアンプル中に5mlずつ充填した。
【0048】
例3:高血圧、特に高血圧の二次的形態、たとえば肺性高血圧の治療のための医薬組成物の製造のための、本発明による使用のための式Iの好ましい実施態様は、たとえば以下のとおりである(酸の塩を含む):
3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−tert−ブチルエステル、
3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸、
(3S,2’R)−3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−tert−ブチルエステル、
(3S,2’R)−3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸、
(3S,2’R)−3−{1−[2’−(カルボニル−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸、
3−{1−[2’−(tert−ブトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−tert−ブチルエステル、
3−[1−(2’−カルボニル−4’−フェニルブチル)シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸、
3−{1−[2’−(tert−ブトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−ベンジルエステル、
3−[1−(2’−カルボニル−4’−フェニルブチル)シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−ベンジルエステル、
3−{1−[2’−(tert−ブチルカルボニルオキシメトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル)シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−ベンジルエステル、
3−{1−[2’−(ピバロイルオキシメトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】12週間後(図1A)および18週間後(図1B)のタンパク質排出を示す図。
【図2】18週間後のアルブミン排出を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型ほ乳類またはヒト患者における、タンパク尿、尿アルブミン排出および/または腎臓瘢痕化を含むネフロパシーを治療および/または予防するための、医薬組成物を製造するための、一般式I
【化1】

[式中、Rは、フェニル−C〜C−アルキル基、この場合、これは、場合によってはフェニル環中でC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシまたはハロゲンにより置換されていてもよい、あるいは、ナフチルC〜C−アルキル基を示し、
は、水素または生物学的不安定性エステルを形成する基を意味し、かつ、
は、水素または生物学的不安定性エステルを形成する基を意味する]の化合物および/または式Iの酸の生理学的認容性の塩、および/またはこれらの生理学的認容性の溶媒和物の使用。
【請求項2】
ネフロパシーが、糖尿病由来である、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項3】
ネフロパシーの治療および/または予防を、増大した心臓血管リスクを示す大型ほ乳類またはヒト患者において、特にシンドロームXの患者において、および好ましくは腎不全、腎疾患および/または腎障害を有する患者であってさらに高血圧、肥満、高血糖および/または代謝障害を有する患者においておこなう、請求項1または2に記載の化合物の使用。
【請求項4】
および/またはRが生物学的不安定性エステルを形成する基を意味する、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項5】
生物学的不安定性エステルを形成する基が、C〜C−アルキル基、またはフェニルまたはフェニル−C〜C−アルキル基、特にフェニル、ベンジルまたはインダニルであり、この場合、これらは場合によっては、フェニル環中で、C〜C−アルキルまたは2個の隣接する炭素原子と結合したC〜C−アルキレン鎖により置換されている、あるいは、ジオキソラニルメチル基、特に(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルであり、この場合、これらは、場合によってはジオキソラン環中で、C〜C−アルキル基により置換されている、あるいは、C−C−アルカノイルオキシメチル基であり、この場合、これらは、場合によってはオキシメチル基上でC〜C−アルキルにより置換されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項6】
が生物学的不安定性エステルを形成する基であり、かつRが水素である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
(3S,2’R)−3−{1−[2’−(エトキシカルボニル)−4’−フェニルブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸またはこれらの生理学的認容性の塩を使用する、請求項6に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511582(P2007−511582A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540446(P2006−540446)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052963
【国際公開番号】WO2005/049035
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(391027619)ゾルファイ ファーマスーティカルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (46)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20, D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】