腐敗しやすい食品を維持するためのシステムおよび方法
鮮魚等の食品の保存寿命を延長させるのに有用な包装システムおよび方法を開示する。包装システムおよび方法は、長期間にわたって食品を輸送または保存するために使用することができる。包装システムは、好ましくは、高い上部空間および可撓性構造を採用し、食品を包囲する高二酸化炭素環境内で低減した酸素レベルを維持するために、燃料電池を使用し得る。また、鮮魚等の食品の保存寿命を延長させるのに有用な方法も開示する。方法は、長期間にわたって食品を輸送または保存するために使用することができる。方法は、好ましくは、食品を包囲する環境内で低減した酸素レベルを維持するために、低酸素ガス源を使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第61/__,__の利益を主張する。該仮出願は、米国特許出願12/610,126号(2009年10月30日出願)および米国仮特許出願第61/256,868号(2009年10月30日出願)から変更されたものである。両出願は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、鮮魚等の酸化的分解性食品の保存寿命を増大させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
魚、肉、鳥肉、パン製品、果物、穀物、および野菜等の酸化的分解性食品の保存寿命は、標準大気環境の存在下で限定される。標準大気環境で見られるレベルでの酸素の存在は、化学効果による、または好気性腐敗微生物による、食品の品質の全体的低下をもたらす、におい、風味、色、および質感の変化につながる。
【0004】
調整雰囲気包装(MAP)が、腐敗微生物および病原菌の阻止によって保存食品の保存寿命および安全を向上させるために使用されてきた。MAPは、食品保存パックにおける単一のガスまたはガスの混合物による標準大気環境の代用である。MAPで使用されるガスは、ほとんどの場合、酸素(O2)、窒素(N2)、および二酸化炭素(CO2)の組み合わせである。大抵の場合、静菌効果は、減少したO2濃度および増加したCO2濃度の組み合わせによって得られる。(非特許文献1参照)。
【0005】
従来のMAPシステムでは、MAPガス組成は、標準大気環境の初期置換後に操作されない。したがって、食品パック内に存在するガスの組成は、経時的に変化する可能性が高い。包装のガス部分の変化は、製品の内外へのガスの拡散、食品パックの内外へのガスの拡散、および微生物代謝の効果によるものであり得る。ある場合では、食品が二酸化炭素(CO2)を吸収し、包装のガス部分内のCO2の量を低減し、酸素等の他のガスの相対量の同時増加を伴う。二酸化炭素吸収は、例えば、残留酸素濃度の対応する増加とともに、食品の微生物腐敗を阻止するために効果的なレベル以下に二酸化炭素濃度を低減することによって、潜在的に食品を損傷し得る「真空化」状況を生成する、トート内の陰圧につながり得る。CO2吸収によって引き起こされる真空化はまた、特に硬いトートにおいて、漏出も引き起こし、故障をもたらし得る。
【0006】
MAPシステムおよび関連技術の利用は、食品の出荷および保存に使用されてきた。しかしながら、これらのシステムは、魚等の酸化的分解に敏感な食品の配送に有意な制限を課した。まず最も重要なことには、これらのシステムの冷却および酸素除去プロセスは、単一の密閉コンテナ(典型的には、冷蔵運送用コンテナ、リーファーユニット)に組み込まれ、その結果、開くと出荷品全体が環境大気条件に暴露される。これは、食品を異なる配送場所に分ける能力を限定し、典型的には、買い主が開く時に製品全体を獲得することを必要とした。第2に、コンテナへの酸素除去プロセスの統合は、密閉コンテナのシールの不慮または時期尚早の破損が製品全体を危険にさらすことを決定づけた。第3に、運送用コンテナへの酸素除去プロセスの統合は、保存および/または輸送中にコンテナ内で別個の大気条件を許さず、それにより、プロセスの融通性を制限した。第4に、運送用コンテナの密閉は、特に、コンテナ内の大気圧がコンテナの外側の大気圧より小さくなった時に、困難を引き起こした。最も一般的なMAP用途は、腐敗しやすいものが、箱/カートンの内側に含まれる袋/包装の内側に含まれるバッグインボックス構造を採用する。袋/包装は、袋/包装が熱融着され、箱が閉じられる前に、所望の調整雰囲気を生成するように1回以上ガス洗浄される。このシステムは、多くの腐敗しやすいものによって吸収されるCO2等のガスの過剰充填を可能にするために、余剰上部空間を採用することもしないこともある。どれだけ多くの余剰上部空間を採用することができるかに対する典型的な制約は、これらのMAP包装が輸送および取扱のために結合される(積み重ねられる)という要件である。この構造的制約は、袋/包装の周囲で閉じて積み重ね、供給チェーンの全体を通して容易に取り扱うことができる外部カートンまたは箱を決定づける。その結果として、これらの構造の中に設計される「余剰」上部空間は、酸素の対応する増加とともに、経時的にCO2分圧の減少を防止するには不十分である。
【0007】
上記で論議されるような従来のMAPシステムに加えて、米国特許第6,179,986号によって開示されるような、酸素を除去するために外部燃料電池を使用して、腐敗しやすい食品を輸送するためのシステムが開発されてきた。この特許は、燃料電池の使用を説明していないが、代わりに、燃料電池とは異なって操作され、DC電力の印加を必要とする、プロトン交換膜(PEM)スタックベースの固体ポリマー電解質(EOC)電気化学酸素制御システムの使用を開示している。PEMは、密閉コンテナの外側への燃料電池反応の生成物のうちの少なくとも1つの放出を必要とする程度に、密閉コンテナの外部で操作される。加えて、‘986特許で説明されているシステムは、燃料電池に電力を提供するための専用電力供給の使用を必要とした。
【0008】
上記で説明されるシステムは、酸化的分解性である食品の長期輸送または保存に望ましくなくなる、多くの不利点を有する。したがって、従来の出荷および保存技法の不利点を回避する、輸送および保存中に酸化的分解性物質の保存寿命を増大させる改良型システムの必要性が存在する。加えて、包装の保存環境を損なうことなく、輸送し、次いで、種々の目的地で輸送された食品のモジュール包装を除去する能力を有することが有利であろう。
【0009】
さらに、通常はサイズが小さい、これらの構造は、初期ガス洗浄または初期ガス洗浄プロセス後の付加的なガス洗浄を促進する弁または継手を持たないため、概して1回限り(多重ガス洗浄イベント)を決定づける。さらに、複数のガス洗浄は、合理的な生産スループット要件の必要性により、経済的に実行可能ではない。これらの構造は、概して小さく、扱いやすい包装(通常は40ポンド以下)であるため、MAPプロセスを採用するための1ポンドあたりの費用が非常に高く、最大保管寿命延長のために理想的とは言えないMAPガス混合物を生じる。
【0010】
上記への改良は、燃料電池が、酸化的分解性食品と、内部水素源とを備える、トートと一体化している、米国特許出願第11/769,944号で開示されている。燃料電池は、水素との反応によって、トート内の過剰な酸素を水に変換するように動作する。
【0011】
したがって、現在までの技術は、概して、化学、電気、または触媒プロセスによって、システムの内部から残留酸素を除去する、または除去しない、密閉システムとして特徴付けることができる。
【0012】
そのような保存システムから酸素を除去するための既存のプロセスの機能および経済的欠陥を回避することが有益であろう。そして、そのような保存システムから残留酸素を除去する必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Farber, J. M.「Microbiological aspects of modified−atmosphere packaging technology」 a review. J. Food Protect. 1991、54:58−70.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一側面では、本発明は、鮮魚等の二酸化炭素吸収食品の保存寿命を延長するのに有用なトート、包装モジュール、システム、および方法を提供する。本発明の一側面は、酸化的分解性食品の輸送および/または保存に有用である、限定された酸素透過性の圧力が安定した密閉可能なトートを提供する。トートは、水素と酸素とを水に変換することが可能である、トートの内部に含まれる1つ以上の燃料電池を備える。トートはさらに、随意で、トートの内部の水素源を維持するために好適な保持要素を備える。トート内の水素源のための保持要素は、好ましくは、水素源、およびいくつかの実施形態では燃料電池を保持するように構成された箱またはブラダーである。好ましい実施形態では、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る群より選択される。他の実施形態では、1つ以上の燃料電池および/または水素源は、トートの外部にあり得る。トートの外部にある時、燃料電池は、トートとガス連通している。
【0015】
本発明のこの側面は、鮮魚等の二酸化炭素吸収食品が、魚より上側の雰囲気のガス組成に有意に悪影響を及ぼし得るという発見に基づく。そのような実施形態では、ますます多くの二酸化炭素が吸収されるにつれて、例えば、最初に容認可能な低レベルの酸素が増加し、残余ガス内のより高い酸素レベルにつながる。それはまた、潜在的に製品を損傷し得る「真空化」状況および構造的損傷を引き起こすトートを生成し、または微生物腐敗を阻止するために効果的なレベル以下に二酸化炭素濃度を低減し得る。
【0016】
極端には、十分な量の二酸化炭素が吸収されるため、保存または出荷後に上部空間がほとんど、または全く残らず、不利な真空状況を残す。
【0017】
本発明のこの側面はさらに、上記の問題は、圧力が安定した密閉トートであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、酸化的分解性二酸化炭素吸収食品と、水素と酸素とを水に変換することが可能であるトートと併せて使用される燃料電池と、好ましくはトートの内部に含まれる水素源とを備え、さらに、初期上部空間は、トートの少なくとも30容量パーセントを占め、上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、圧力が安定した密閉トートを含む酸化炭素吸収食品の輸送および/または保存に有用な包装モジュールによって対処することができるという発見に基づく。一実施形態では、上部空間は、トートの少なくとも50容量パーセントである。一実施形態では、上部空間は、トートの約または少なくとも69容量パーセントである。一実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも60容量パーセントの二酸化炭素を含む。別の実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも90容量パーセントの二酸化炭素を含む。
【0018】
この実施形態では、最初に上部空間内にある二酸化炭素は、食品によって吸収される二酸化炭素の量を大きく超え、それにより、その吸収の補償を提供する。保存および/または輸送中に食品によって吸収することができる二酸化炭素の量は、経験的に決定することができるか、または当技術分野で公知である。
【0019】
本発明の別の側面は、1つ以上のトートを備える、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存に有用なシステムを提供する。各包装モジュールは、限定された酸素透過性の圧力が安定した密閉トートであって、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、酸化的分解性二酸化炭素吸収食品と、水素と酸素とを水に変換することが可能である燃料電池と、水素源とを備え、さらに、初期上部空間は、トートの少なくとも30容量パーセントを占める。一実施形態では、初期上部空間は、トートの少なくとも50容量パーセントである。別の実施形態では、初期上部空間は、トートの約または少なくとも69容量パーセントである。いくつかの実施形態では、上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む。一実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも60容量パーセントの二酸化炭素を含む。別の実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも90容量パーセントの二酸化炭素を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、燃料電池および/または水素源は、トートの内部にある。いくつかの実施形態では、包装モジュールはさらに、トートの内部で水素源を維持するために好適な保持要素を備え、好ましくは、トート内の水素源のための保持要素は、水素源および随意で燃料電池を保持するように構成された箱またはブラダーである。いくつかの実施形態では、燃料電池および/または水素源は、トートの外部にある。燃料電池は、トートの外部にある時にトートとガス連通し、1つの燃料電池が、1つまたは複数のトートとガス連通してもよく、燃料電池の生成物が、トートの内部または外部にあり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、輸送および/または保存される酸化的分解性二酸化炭素吸収食品は、好ましくは、魚である。より好ましくは、魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である。最も好ましくは、輸送および/または保存される鮮魚は、サケまたはティラピアである。調理したばかりの腐敗しやすい食品も、低酸素環境で利益を得る。
【0022】
加えて、いくつかの実施形態では、水素源は、ブラダー水素源、剛体コンテナ水素源、または二酸化炭素と5容量%未満の水素とを含むガス混合物である。いくつかの実施形態では、包装モジュールは、ファンをさらに備える。いくつかの実施形態では、ファンは、燃料電池によって電力供給される。いくつかの実施形態では、ファンは、別の電源によって電力供給される。
【0023】
システムはさらに、いくつかの実施形態では、食品の鮮度を維持するために十分なレベルで、モジュールの内側の温度を維持するように、包装モジュールの内部または外部にあり得る、温度制御システムを備える。
【0024】
本発明の別の側面は、上記で説明される包装モジュールを使用する、酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法を提供する。方法は、包装モジュール内で低減酸素環境を生成するために、酸化的分解性二酸化炭素吸収食品を含む包装モジュールの中の酸素を除去することと、初期ガス上部空間を提供するように、低酸素ガスでトートを充填することであって、初期上部空間は、トートの少なくとも30容量パーセントを占め、上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、ことと、トートを密閉することと、トート内の低減酸素環境を維持するために、トート内の酸素が水素との反応によって水に変換されるように、輸送または保存中に燃料電池を動作させることと、トートの中で物質を輸送または保存することとを含む。包装モジュールは、限定された酸素透過性の圧力が安定した密閉可能なトートであって、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、燃料電池と、水素源とを備える。一実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも60容量パーセントの二酸化炭素を含む。別の実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも90容量パーセントの二酸化炭素を含む。
【0025】
一実施形態では、酸素除去プロセスは、食品をトートに追加する前に生じ、別の実施形態では、食品をトートに追加した後に生じる。いくつかの実施形態では、トートは、低酸素ガス源でトートを洗い流して上部空間を充填するように使用するために、トート内に配管弁および継手を備える。いくつかの実施形態では、トートは、燃料電池をオンにする前に洗い流される。次いで、燃料電池は、残留酸素を除去し続ける。
【0026】
方法は、最大100日の期間にわたって食品を輸送または保存する際に使用することができる。例えば、保存のための期間は、5日から50日の間、または代替として、5日から45日の間、あるいは15日から45日の間である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、輸送または保存中に物質の鮮度を維持するために十分なトート内の温度を維持することを含む。
【0027】
好ましい実施形態では、方法は、低減酸素環境が1%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が0.1%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が0.01%未満の酸素を含むように行われる。
【0028】
低減酸素環境は、二酸化炭素と水素とを含むか、二酸化炭素と窒素とを含むか、窒素を含むか、または二酸化炭素と窒素と水素とを含む。
【0029】
本発明のさらに別の側面は、化学、電気、および/または触媒プロセスの使用を必要とせずに、酸化的分解性食品を備えるトートの内部の酸素を除去する方法を提供する。
【0030】
具体的には、本発明のこの側面は、食品に悪影響を及ぼす濃度レベルに達する前に、トートの中に蓄積する酸素がトートから洗い流されるように、適切な構造を有するトートが、低酸素ガス源を用いたトートの洗浄を可能にするという発見を前提とする。したがって、その方法の側面のうちの1つでは、酸化的分解性食品を有するトートから酸素を除去する方法が提供され、方法は、
a)トートが、密閉可能なガス入口ポートと、密閉可能なガス出口ポートとを有することであって、両方のポートは、トートの上部空間の中に位置付けられ、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料を含む、ことと、
b)入口および出口ポートが閉塞されないような量で、酸化的分解性食品をトートに追加することと、
c)トートを密閉することと、
d)トート内の低酸素雰囲気および十分な容積のガス上部空間を提供して、トート内の残りのガス上部空間内の酸素含有量を、約1500ppm以上のレベルまで増加させることなく、食品へのガスの吸収を可能にするよう、出口ポートを通してガスを放出しながら、入口ポートを通してトートに十分な量の低酸素ガス源を注入することによって、そのようなガス源を用いたトートの1回以上の初期洗浄を行うことと、
e)入口および出口ポートを密閉することと、
f)残りのガス上部空間内の酸素濃度が常に1500ppmを超えないように、洗浄した後に、食品へのガス吸収を補償するように十分なガス上部空間が残るように、低酸素ガス源でトートを随意で周期的に洗浄することと、
を含む。
【0031】
好ましい実施形態では、トートは、燃料電池、触媒、および同等物等の、トートから酸素を除去するための内部構成要素を含まない。
【0032】
輸送および/または保存される酸化的分解性食品は、好ましくは、魚である。より好ましくは、魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である。最も好ましくは、輸送および/または保存される鮮魚は、サケまたはティラピアである。
【0033】
本明細書で開示されるトートの垂直構造は、並んでいる最大数のパレットを出荷するための水平空間要件を最小限化することを促進する。上部空間を水平に広げる実施形態は、上部空間が陽性のままである限り、漏出抵抗を享受しないことに加えて、大規模で経済的に実行可能ではない場合がある。ある実施形態では、トートの拡張のわずか約20%が水平方向であり、残りのガス膨張は垂直方向であり、したがって、トートの「上部圧力」および上部空間高さを生成する。トートは、垂直に拡張し、初期「上部圧力」を生成するように構成される。初期トート上部圧力は、大気圧より約0.1インチから約1.0インチ水柱以上の範囲であり得る。可撓性トートは、垂直方向により可撓性の材料を使用すること等の従来の方法によって、水平方向よりも垂直方向に可撓性にすることができる。
【0034】
加えて、いくつかの実施形態では、低酸素ガス源は、ガス源をトートの入口ポートに提供するように適合することができる、外部ガス源である。好ましくは、ガス源は二酸化炭素であり、より好ましくは、二酸化炭素は、約1500ppm未満の酸素を含有する。なおもさらに好ましくは、トートに注入される二酸化炭素は、約100ppm未満の酸素を含有する。
【0035】
トートはさらに、いくつかの実施形態では、食品の鮮度を維持するために十分なレベルで、モジュールの内側の温度を維持するように、包装モジュールの外部に温度制御システムを備える。
【0036】
本発明の別の側面は、上記で説明されるトート内での酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法を提供する。方法は、1500ppm未満の酸素を含む二酸化炭素でトートから酸素を洗い流し、それにより、トート内で低減酸素環境を生成することであって、トートは、酸化的分解性食品を含む、ことと、トートを密閉することと、トート内の低減酸素環境を維持するように、二酸化炭素でトートを随意で周期的に洗浄することと、トートの中で食品を輸送および/または保存することであって、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料を含む、こととを含む。
【0037】
一実施形態では、酸素除去プロセスは、食品をトートに追加する前に生じ、別の実施形態では、食品をトートに追加した後に生じる。一実施形態では、酸素除去は、好ましくはトートの上部空間の中に設置される、入口および出口ポートを介した、ガス洗浄を採用することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、複数の周期的ガス洗浄を採用することができる。入口および出口ポートは、トートが低酸素ガス源で洗浄された後に、トートの内部が隔離されるように密閉可能である。一実施形態では、入口および出口ポートは、穴であり、ポートは、単純に穴を覆い、ガス洗浄が必要とされる時に覆いを取ることができる。そのような実施形態では、テープを使用して穴(入口および出口ポート)を覆うことができる。これは、入口および出口ポートが周期的に密閉および密閉解除されることを可能にする。この構造は、酸素を除去し、窒素および/またはCO2等の低酸素ガスのレベルを上昇させるために、経時的に複数のガス洗浄を採用するという経済的実践を促進する。
【0038】
方法は、最大100日の期間にわたって食品を輸送および/または保存する際に使用することができる。例えば、保存のための期間は、5日から50日の間、または代替として、15日から45日の間である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、輸送または保存中に物質の鮮度を維持するために十分なトート内の温度を維持することを含む。
【0039】
好ましい実施形態では、方法は、低減酸素環境が2%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が1.5%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が1%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が0.1%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が0.01%未満の酸素を含むように行われる。酸素のレベルは、監視することができる。
【0040】
低減酸素環境は、二酸化炭素を含み、または場合によっては、二酸化炭素と窒素とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、添付図面を参照してさらに説明される。
【図1】図1は、酸化的分解性物質を輸送または保存するために使用される包装モジュールの概略図である。
【図2】図2は、コンテナ内の複数の包装モジュールを備えるシステムの概略図である。
【図3】図3は、酸素除去器の燃料電池実施形態の概略図である。
【図4】図4は、標準MAPシステムと比較した、包装モジュールを使用する低酸素レベルの増大した持続時間を示すグラフである。
【図5】図5は、標準MAPシステムと比較した、包装モジュールの中に保存された新鮮なチリ産大西洋養殖サケの写真である。
【図6】図6は、二酸化炭素除去器を伴う酸素除去器の燃料電池実施形態の概略図である。
【図7】図7は、輸送前の包装モジュール実施形態の写真である。
【図8】図8は、輸送後の包装モジュール実施形態の写真である。
【図9】図9は、例示トートを示す。
【図10】図10は、酸化的分解性物質を輸送または保存するために使用されるトートの概略図である。
【図11】図11は、貨物輸送手段の中の低酸素ガス源に接続された複数のトートを備えるシステムの概略図である。
【図12】図12は、貨物輸送手段の中の酸化的分解性物質を搭載したトートの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、酸化的分解性食品を輸送および保存するために有用なシステムおよび方法を包含する。本明細書で説明されるシステムおよび方法は、出荷コンテナ内の個別トートの中で保存される酸化的分解性食品を包囲する大気環境からの、例えば、周期的または連続的な酸素の除去を可能にする。いくつかの実施形態では、食品は、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品である。
【0043】
以下でより完全に説明されるような、本明細書で使用されるトートまたは包装モジュールは、好ましくは、統合温度制御システムを組み込まず、むしろ、それらが出荷される出荷コンテナの温度制御システムに依存する。加えて、トートまたは包装モジュールは、輸送および/または出荷中に食品による非酸素(二酸化炭素)ガス吸収等の内圧損失(また獲得)に耐え、またはそれを補償するように設計され、その方法は、例えば、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料を採用することによって、さらに、真空条件を生成することなく、および/またはトート内のガスの酸素含有量が1500ppmを超えることを許すことなく、そのような吸収を補償するトート内のガス上部空間を採用することによる。
【0044】
輸送および/または保存中の酸素の周期的または連続的除去は、長期間にわたって物質の鮮度を維持するのに好適である、制御された低減酸素環境を可能にする。結果として、従来の出荷および保存技法を使用して現在可能であるよりも長い期間にわたって、酸化的分解性物質を輸送および/または保存することができる。本明細書で説明される方法は、例えば、通常はより高価な航空便のみによって供給される市場に、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品、例えば、魚等の酸化的分解性物質を輸送するための貨物輸送の使用を可能にする。
【0045】
一実施形態では、本発明は、酸化的分解性食品の保存寿命を延長するために有用なシステムおよび方法を提供する。好ましい実施形態では、酸化的分解性食品は、無呼吸性である。無呼吸性食品は、呼吸しない。つまり、これらの食品は、二酸化炭素の関連放出に関連する酸素を取り込まない。無呼吸性食品の例は、新鮮な、または加工された魚、肉(牛肉、豚肉、および子羊肉等)、鳥肉(鶏、七面鳥、ならびに他の野鳥および家禽等)、およびパン製品(パン、トルティーヤ、およびペストリー、パンおよびペストリーを生成するために使用する包装混合物、および穀物ベースのスナック食品)を含む。本発明のシステムおよび方法によって輸送および/または保存される好ましい無呼吸性食品は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、ホッキョクイワナ、貝、および他の魚介類等の新鮮な、または加工された魚を含む。より好ましくは、無呼吸性食品は、新鮮なサケまたは新鮮なティラピアであり、最も好ましくは、無呼吸性食品は、新鮮なチリ産大西洋養殖サケである。
【0046】
一般に、本発明のシステムおよび方法は、酸化的分解性食品が輸送および/または保存されるトートと、二酸化炭素等の低酸素ガスでトートを周期的に洗い流し、したがって、少なくとも保存および/または輸送期間の一部分にわたって食品を包囲するガス環境を制御するよう、トートの内側から利用可能な酸素を除去する低酸素ガス源とを伴う。好ましい実施形態では、トート内の低減酸素環境は、トートの内部に存在するガスが出口ポートを通して排出されている間に、入口ポートを介した真空の印加および/または低酸素ガス源の導入を介して、トート内の環境を洗い流すことによって生成される。トートの洗浄後、入口および出口ポートは密閉され、トート内の環境は低減酸素環境である。次いで、随意で、包装モジュール内の低減酸素環境を維持し、したがって、酸化的分解性物質の鮮度を維持するように、トートは、酸素が存在する時の輸送および/または保存の持続時間の全体を通して、必要に応じて二酸化炭素で周期的に洗い流される。ある実施形態では、二酸化炭素で洗い流す必要性を信号伝達するために、酸素センサがトートの内部に存在する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品が輸送および/または保存されるトートと、少なくとも保存および/または輸送期間の一部分にわたって食品を包囲するガス環境を制御するよう、酸素が存在する時にトートの内側から利用可能な酸素を連続的に除去するデバイスとを備える、包装モジュールを伴う。このデバイスはまた、酸素除去器とも呼ばれる。場合によっては、トート環境から酸素をより効果的に除去するために、1つより多くの酸素除去器を採用することが望ましいであろう。二酸化炭素吸収酸化的分解性食品は、トートに挿入され、トート内の環境は、トート内で低減酸素環境を生成するように操作される。好ましい実施形態では、トート内の低減酸素環境は、真空の印加および/または低酸素ガス源の導入を介して、トート内の環境を洗い流すことによって生成される。トートの洗浄後、トート内の環境は、低減酸素環境である。トートは、ガス上部空間の体積が、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品によって吸収されるガスの体積よりも大きくなるように、ガス上部空間を提供するよう低酸素ガスで充填される。一実施形態では、トートは、ガス上部空間がトートの全体積の少なくとも30容量パーセントを占め、上部空間内のガスが少なくとも99容量パーセントの二酸化炭素を含むように、二酸化炭素で充填される。次いで、トートは密閉される。酸素除去器は、包装モジュール内の低減酸素環境を維持し、したがって、二酸化炭素吸収酸化的分解性物質の鮮度を維持するように、酸素が存在する時の輸送および/または保存の持続時間の全体を通して動作する。しかしながら、採用される二酸化炭素の量が、食品によって吸収される量よりも有意に多いため、容量パーセント基準での上部空間内の酸素の量は、ガス上部空間が二酸化炭素吸収に対処するのに不十分である場合にトートが崩壊する可能性により限定される。
【0048】
「低酸素ガス源」という用語は、1000ppm未満の酸素、好ましくは100ppm未満の酸素、より好ましくは10ppm未満の酸素を含有する、ガス源を指す。低酸素ガス源は、好ましくは、CO2、またはその構成要素のうちの1つとしてCO2を含有するガスの混合物から成る。CO2は、無色、無臭、不燃性、および静菌性であり、食物に毒性残留物を残さない。一実施形態では、低酸素ガス源は、100%CO2である。別の実施形態では、低酸素ガス源は、CO2および窒素または他の不活性ガスの混合物である。不活性ガスの例は、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、酸化窒素、亜酸化窒素、およびキセノンを含むが、それらに限定されない。低酸素ガス源の識別は、食品に好適であるものとして様々であり得、十分に当技術分野の知識および技能の範囲内である。例えば、サケの輸送および保存に使用される低酸素ガス源は、好ましくは、100%CO2である。ティラピア等の他の魚は、好ましくは、低酸素ガス源として60%CO2および40%窒素を使用して、保存または出荷される。
【0049】
上記で説明されるように、限定された酸素透過性の圧力安定密閉性トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料、あるいは硬質材料を含むトートを含む。これらのトートは、一般に、可撓性鋳造物または押出プラスチックシートで構成される。
【0050】
本発明で使用するための可撓性、折り畳み式、または拡張型材料は、限定された酸素透過性を有するものである。限定された酸素透過性の材料は、好ましくは、10立方センチメートル/100平方インチ/24時間/atm未満の酸素透過率(OTR)を有し、より好ましい限定された酸素透過性の材料は、5立方センチメートル/100平方インチ/24時間/atm未満のOTRを有する材料であり、さらにより好ましくは、限定された酸素透過性の材料は、2立方センチメートル/100平方インチ/24時間/atm未満のOTRを有し、最も好ましくは、限定された酸素透過性の材料は、1立方センチメートル/100平方インチ/24時間/atm未満のOTRを有する。可撓性、折り畳み式、または拡張型トートを作製するために使用することができる材料の非包括的リストが、表1に示される。
【0051】
【化1】
【0052】
【化2】
トートはさらに、トートを周期的に洗い流し、したがって、1つ以上の出口ポートを介してトート内の環境から酸素を除去するように、外部にあり、かつ入口ポートを介してトートとガス接触している、1つ以上の低酸素ガス源を備え得る。酸素は、例えば、限定された酸素透過性の材料を通した、またはトートのシールにおける、トートを通した拡散によって、使用中にトートの中で蓄積し得る。酸素はまた、トート内の酸化的分解性食品によって、または食品が包装されるコンテナから放出され得る。好ましい実施形態では、二酸化炭素は、10ppm未満の酸素を有する二酸化炭素ガスである。
【0053】
いくつかの実施形態では、トートはさらに、酸素が存在する限りトート内の環境から酸素を連蔵的に除去するように、1つ以上の酸素除去器を備える。酸素除去器は、トートが密閉された後にシステムに導入され得る酸素を連続的に除去することによって、トート内の低減酸素環境を維持する。例えば、酸素は、限定された酸素透過性の材料を通した、またはトートのシールにおける、トートを通した拡散によって導入され得る。酸素はまた、トート内の二酸化炭素吸収酸化的分解性食品によって、または食品が包装されるコンテナから放出され得る
好ましい実施形態では、酸素除去器は、酸素分子消費燃料電池である。好ましくは、燃料電池は、水素燃料電池である。本明細書で使用される場合、「水素燃料電池」は、酸素および水素を水に変換することが可能な任意のデバイスである。好ましい実施形態では、完全な燃料電池はトートの内部にある。これは、トートまたは包装モジュールの内部または外部に水素源を有することによって達成することができる。燃料電池のアノードは、水素源と連通している。この水素源は、陽子および電子の生成を可能にする。燃料電池のカソードは、トート内の環境(酸素源)と連通している。酸素の存在下で、アノードによって生成される陽子および電子は、カソードに存在する酸素と相互作用して水を生成する。好ましい実施形態では、燃料電池は、酸素および水素を水に変換するために外部電源を必要としない。さらなる実施形態では、燃料電池は、燃料電池が動作している時、および水が利用可能である時を示す、インジケータに接続される。
【0054】
別の実施形態では、物理的な燃料電池は、トートの外部にあるが、アノードおよびカソードで生成される生成物がトートの内部で維持されるような方式で、トートのガス環境と直接連通している。1つの燃料電池は、1つまたは複数のトートとガス連通し得る。そのような実施形態では、燃料電池は、その生成物がトートの内部で維持されるため、トートの内部にあるものとして解釈される。燃料電池がトートの外側で物理的に位置付けられる時、燃料電池によって生成される水は、トートの外側で放出され得る。
【0055】
好ましい実施形態では、水素源は、純水素ガスである。水素源は、好ましくは、ブラダー内に含有され、ブラダーは、プロセス全体がトート内に含まれるように、トートの内部に含まれる。水素源は、好ましくは、輸送または保存時間の持続時間にわたって水素を提供するような方式で、水素燃料電池のアノードと直接連通している。ブラダーは、水素ガスを含むことが可能である任意の材料でできている。例えば、表1に記載された材料は、ブラダー材料として使用することができる。
【0056】
好ましい実施形態では、ブラダーは、非圧縮水素源を含むが、圧縮源をブラダーに含むことができる限り、圧縮水素源を使用することができる。
【0057】
別の実施形態では、水素源は、プロセス全体がトート内に含まれるように、トートの内部に含まれる、ガスシリンダ等の剛体コンテナ内に含まれる。この実施形態では、水素源は、圧縮または非圧縮水素源である。剛体コンテナは、輸送または保存時間の持続時間にわたって水素を提供するような方式で、水素燃料電池のアノードと直接連通している。圧縮水素源は、好ましくは、10,000psia未満の大きさの圧力で維持される。好ましくは、水素源は、40psia未満の大きさの圧力を有し、非圧縮である。
【0058】
さらなる実施形態では、水素源は、化学反応によって生成される。水素を化学的に生成する方法の実施例は、当技術分野で周知であり、PEM電解槽、水酸化ナトリウムまたはカリウムを使用したアルカリ電解槽、固体酸化物電解槽、および水酸化ホウ素ナトリウムからの水素の生成を使用する方法を含む、電解プロセスによる水素の生成を含む。それぞれの場合において、水素は、水素が燃料電池のアノードに利用可能となるように生成される。
【0059】
別の実施形態では、水素源は、トートの環境内に存在する水素を含む、ガス混合物である。この実施形態では、ガス混合物は、好ましくは、二酸化炭素と、水素とを備える。他の実施形態では、ガス混合物は、窒素と、水素とを備える。さらなる実施形態では、ガス混合物は、水素と、二酸化炭素と、窒素とを備える。他の不活性ガスがガス混合物中に存在し得ることが想定される。ガス混合物中に存在する水素の量は、好ましくは、10容量%未満の水素、より好ましくは、5容量%未満の水素、最も好ましくは、2容量%未満の水素である。このガス混合物は、酸化的分解性物質の導入前、中、または後、およびトートの密閉前に、トートに導入される。
【0060】
いくつかの実施形態では、燃料電池は、燃料電池の密閉されたアノード構成要素と直接連通している二酸化炭素除去器を備える。二酸化炭素は、PEMを横断してアノードプレートまで浸透し、それにより、アノードプレートへの水素アクセスに干渉する可能性がある。二酸化炭素除去器による燃料電池のアノードプレートからの二酸化炭素の一部または全ての除去は、水素による燃料電池への増大したアクセスを可能にし、したがって、トート環境から酸素を除去する燃料電池の能力を増大させる。
【0061】
二酸化炭素除去器で利用することができる、当技術分野で公知である多数のプロセスがある。これらの方法は、吸収プロセス、圧力スイング吸着(PSA)および温度スイング吸着(TSA)方法等の吸着プロセス、および膜ベースの二酸化炭素除去を含むことができる。二酸化炭素除去器で使用することができる化合物は、消石灰、活性炭、水酸化リチウム、ならびに酸化銀、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛等の金属酸化物を含むが、それらに限定されない。二酸化炭素はまた、水素ガスまたは水蒸気等のガスでアノードを浄化することによって、アノードから除去することもできる。
【0062】
一実施形態では、二酸化炭素除去器は、消石灰を含む。この実施形態では、例えば、消石灰は、燃料電池のアノードプレートに存在する二酸化炭素が消石灰と接触し、それに吸収されるように、燃料電池アノードと蒸気連通しているフィルタカートリッジに含まれる。特定の実施形態は、それぞれアノード出口と蒸気連通している、2つの消石灰フィルタカートリッジを備える。消石灰フィルタは、燃料電池のアノードプレートからの二酸化炭素の除去を促進する(図6)。
【0063】
トートは、入口ポートを介して、二酸化炭素等の外部ガスを導入することができるように、管、ワイヤ、および同等物のためのアクセスを提供するように構成することができる。入口ポートは、密閉可能であり、トート内で低酸素環境を維持することができる継手を使用して提供される。いくつかの実施形態では、ファンおよび酸素除去器を操作するために、外部電源を使用することができる。1つの特定の実施形態では、トートは、外部源から内部燃料電池水素供給システムの中への水素の導入を可能にするように構成される。さらなる実施形態では、外部水素源は、水素で燃料電池を洗浄することを支援するように方向付けられる。
【0064】
トート内の酸素を除去するために、水素燃料電池以外の酸素除去器を使用することができる。例えば、鉄含有吸収体等の酸素吸収体、および酸素吸着体を使用することができる。酸素吸収体および吸着体は、当技術分野で公知であり、市販されている。酸素除去器はまた、圧力スイング吸着方法(PSA)および膜分離方法を利用する除去器も含む。
【0065】
白金またはパラジウム触媒等の元素金属を利用するもの等の触媒システムを酸素除去器として使用することができるが、高触媒表面積を提供するために必要な粉末の使用は、汚染の危険を冒す。それにもかかわらず、適切な防護対策が使用される時に、これらを採用することができる。そのような防護対策は、PEM燃料電池に存在するような膜電極アセンブリに金属触媒を埋め込むことを含む。
【0066】
トートはさらに、好ましくは、水素源がトート内で安定して保持されるよう、水素源を維持するために好適保持要素を備える。好ましい実施形態では、保持要素は、水素源を安定して保持するように構成された箱である。さらに好ましい実施形態では、保持要素は、水素源および燃料電池の両方を保持するように構成される。他の実施形態では、保持要素は、トートの内壁に付加されるスリーブである。このスリーブは、ブラダー収納水素源または剛体コンテナ水素源、ならびに水素源を含むために好適な他のコンテナを保持することが可能である。いずれにしても、水素源は、燃料電池のアノードと直接連通している。
【0067】
包装モジュールで使用される酸素除去器が水素燃料電池である時、水素および酸素の反応の結果として生成される、ある量の水が液体または気体形態で生じる。いくつかの実施形態では、そのようにして生成される水は、トートの中へ放出される。水を収納または除去するための手段をトート内に含むことが望ましいことがある。例えば、トートはさらに、燃料電池において生成されるにつれて水を収集するように構成される、トレイまたはタンク等の水保持装置を備え得る。代替として、トートは、水を吸収して含むために使用される、乾燥剤または吸収材料を含み得る。好適な乾燥剤および吸収材料が当技術分野で周知である。水は、代替として、トートの外側に放出されてもよく、したがって、乾燥した環境で最適に保存される品物の保存および輸送のための好適な環境を提供する。
【0068】
トートは、物質を包囲する低減酸素環境を維持するように構成される。低減酸素環境は、物質の鮮度を維持しながら、物質が長期間にわたって保存および/または輸送されることを可能にする。物質の導入に続いて、または導入後であるが、トートの密封前に、真空の印加および/または低無酸素ガス源の導入を介して、トート内の環境が随意で洗浄される。この時点で、トート内の環境は、低減酸素環境である。特定の実施形態では、低減酸素環境内の酸素のレベルは、1%未満の酸素であり、または代替として、低減酸素環境内の酸素のレベルは、0.1%未満の酸素であり、または代替として、低減酸素環境内の酸素のレベルは、0.01%未満の酸素である。
【0069】
ある期間後に、食品とトート環境との間のガス交換が自然最小化または停止に達するので、トートまたは包装モジュール内に存在する酸素レベルは、低減したレベルにとどまる。この時点で、燃料電池が動作を停止する。一実施形態では、燃料電池は、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、動作を停止するようにプログラムすることができる。好ましくは、燃料電池は、約0.5〜50時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、より好ましくは、燃料電池は、約1〜25時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、より好ましくは、燃料電池は、約2〜15時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、さらにより好ましくは、燃料電池は、約3〜10時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされる。
【0070】
いくつかの実施形態では、低酸素ガス源は、トートが密閉される前にトートに導入される。低酸素ガス源は、好ましくは、CO2、またはその構成要素のうちの1つとしてCO2を含有するガスの混合物から成る。CO2は、無色、無臭、不燃性、および静菌性であり、食物に毒性残留物を残さない。一実施形態では、低酸素ガス源は、100%CO2である。別の実施形態では、低酸素ガス源は、CO2および窒素または他の不活性ガスの混合物である。不活性ガスの例は、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、酸化窒素、亜酸化窒素、およびキセノンを含むが、それらに限定されない。低酸素ガス源の識別は、食品に好適であるものとして様々であり得、十分に当技術分野の知識および技能の範囲内である。例えば、サケの輸送および保存に使用される低酸素ガス源は、好ましくは、100%CO2である。ティラピア等の他の魚は、好ましくは、低酸素ガス源として60%CO2および40%窒素を使用して、保存または出荷される。
【0071】
長期輸送または保存中に発生する圧力差を補償するために、トートは、酸素、低酸素ガス源(例えば、二酸化炭素等)のガスの吸収を可能にする、初期上部空間を含む。「初期上部空間」という用語は、トートが二酸化炭素吸収酸化的分解性食品で充填された後のトートの余剰ガス体積の量を指すことを目的としている。いくつかの実施形態では、初期上部空間は、トートの内部容積の約30%から約95%である。他の実施形態では、初期上部空間は、トートの内部容積の約35%から約40%、または代替として、初期上部空間は、トートの内部容積の約30%から約35%、または代替として、初期上部空間は、トートの内部容積の約35%である。
【0072】
最終的に、トートは、長期輸送または保存中に発生する圧力差を補償するよう、ガス上部空間の体積が酸化的分解性食品によって吸収されるガスの体積よりも大きくなるように、初期ガス上部空間を提供するために十分な低酸素ガスで充填される。圧力差の結果は、図7および8で見ることができる。図7は、トートの輸送および取扱サイクルの全体を通して、食品への二酸化炭素の吸収に適応するために、および陰圧が酸素除去プロセスによって生成されることを防止するために、十分な量の二酸化炭素で充填されている本発明の可撓性トートを示す。図8は、減少した量のガス上部空間を伴う、輸送の17日後の図7の同じトートを示す。図8の写真は、右のトートが左のトートよりも膨張している(またはあまり収縮していない)ように見えることを示すが、両方のトートは、あらゆる側面から見ると、実際には同じく収縮していた。輸送後に残留する上部空間の量は、この「真空化」が、微生物腐敗を阻止するために効果的なレベル以下に二酸化炭素濃度を低減し、および/または残留酸素濃度および漏出の増大した可能性を増加させて、製品を潜在的に損傷し得るため、陰圧が生成されないように十分となるべきである。ある実施形態では、輸送または保存後のトート内の二酸化炭素の濃度は、少なくとも90%である。
【0073】
トートは、内部トート環境が酸素除去器と連通し、酸素がトート環境内に存在する限り、内部トート環境からの酸素分子の連続除去を可能にするように構成される。トート内の酸素除去器は、酸素レベルが、鮮度の低減または物質の腐敗をもたらすレベル以下にとどまるように、内部トート環境から酸素を除去するように構成される。この低減したレベルの酸素は、輸送および/または保存の持続時間にわたって酸素除去器によって維持される。低減酸素環境内の酸素のレベルは、1%未満の酸素、より好ましくは、0.1%未満、最も好ましくは、0.01%未満の酸素である。
【0074】
酸素除去器の効率は、トート内の空気を循環させるためのファンの使用、したがって、酸素除去器とトート環境内の酸素との間の接触を促進することを通して強化することができる。燃料電池を使用する時に、ファンは、ある実施形態では、燃料電池が水素と酸素とを水に変換する時に生成されるエネルギーから作動するように構成することができる。
【0075】
予想外に大量の酸素含有空気がトート環境に導入される、トートの完全性の破損の場合に、酸素除去器は、導入された酸素の全てを除去できなくなる。好ましい実施形態では、トートは、トート内の酸素レベルが低減酸素環境として表されるレベルを超えたという事実を警告する、酸素インジケータをさらに備える。
【0076】
いくつかの実施形態では、低酸素ガスを用いた複数の洗浄が、食品によるガス吸収を可能にし、したがって、多くの初期上部空間の必要性を軽減することが想定される。しかしながら、大規模出荷(すなわち、複数のカートンに包装された2,000ポンドの食品)では、出荷目的に対して実用的であるために、ガス吸収があまりに多くの日数を必要とするので、上部空間が必要であり得ることが想定される。
【0077】
ある実施形態では、複数のガス洗浄と組み合わせた上部空間が、連続酸素監視、または最初の複数のガス洗浄を超えたさらなる周期的ガス洗浄を必要としないように、トートは、(主に、CO2吸収に適応し、空気漏出から保護する/空気漏出を遅延するように)非常に大きな上部空間を収容することができる。初期ガス洗浄は、トートが酸化的分解性食品を伴って密閉されている最初の72時間中に、周期的に続行できることが想定される。代替として、初期ガス洗浄は、トートが密閉されている最初の72時間以下、または代替として、最初の60時間、または代替として、最初の48時間、または代替として、最初の24時間中に続行することができる。
【0078】
本明細書で開示されるトートの垂直構造は、並んでいる最大数のパレットを出荷するための水平空間要件を最小限化することを促進する。上部空間を水平に広げる実施形態は、上部空間が陽性のままである限り、漏出抵抗を享受しないことに加えて、大規模で経済的に実行可能ではない場合がある。ある実施形態では、トートの拡張のわずか約20%が水平方向であり、残りのガス膨張は垂直方向であり、したがって、トートの「上部圧力」および上部空間高さを生成する。トートは、垂直に拡張し、初期「上部圧力」を生成するように構成される。初期トート上部圧力は、大気圧より約0.1インチから約1.0インチ水柱以上上回る範囲であり得る。
【0079】
ある実施形態では、低酸素ガス源は、輸送および/または保存の持続時間の全体を通した所定の時間間隔で、トートの内部環境を洗い流すようにプログラムされる。他の実施形態では、低酸素ガス源は、内部トート環境の酸素レベルが食品に有害なレベルを超える時に、トートの内部環境を洗い流すようにプログラムされる。輸送および/または保存の初めに、酸素は、トート内の酸化的分解性食品によって、または食品が包装されるコンテナから放出され得る。
【0080】
好ましい実施形態では、トートはさらに、トート内の酸素レベルが低減酸素環境として表されるレベルを超えたという事実を警告する、インジケータを備える。ある実施形態では、低酸素ガス源は、低減酸素環境内の酸素のレベルが、約2%の酸素、より好ましくは約1.5%、より好ましくは約1%、より好ましくは約0.1%、最も好ましくは約0.01%の酸素である時、または酸素のレベルが約1500ppmの酸素を超える時に、トートの内部環境を洗い流すようにプログラムされる。特定の実施形態では、酸素センサ、例えば、微量酸素センサ(Teledyne)が、トート環境内に存在する酸素のレベルを監視するために使用される。
【0081】
トートは、随意で、酸素レベル、水素レベル、燃料電池動作、および温度を監視するように、モニタを含む。特定実施形態では、酸素センサ、例えば、微量酸素センサ(Teledyne)が、トート環境内に存在する酸素のレベルを監視するために使用される。
【0082】
いくつかの実施形態では、トートは、燃料電池、トート内の酸素レベルが低減酸素環境として表されるレベルを超える時に警告する酸素インジケータ、および/または酸素レベル、水素レベル、燃料電池動作、および温度を監視するモニタを含む、デバイスを備える箱(図9参照)を備える。箱はさらに、随意で、トートを密閉する前に、問題のあるデバイスまたは箱を即座に交換することができるように、箱の中のデバイスの問題を示す、LEDライト等の可視的インジケータを備える。これは、非熟練労働者による失敗の迅速な検出を促進し、最小限の検査とともに使用開始するように箱の迅速な転換を可能にする。箱はまた、好ましくは、赤色LEDライト等の可視的インジケータとともに、無線周波数伝送等の無線通信を使用して、システムの到着時に、酸素または温度(時間および温度)限界を超えた場合にユーザに警告する。
【0083】
本発明の別の側面は、酸化的分解性物質の輸送および/または保存のために有用な包装モジュールを提供する。包装モジュールは、上記で説明されるように構成されるトートを備える。包装モジュールでは、トートは、密閉され、輸送および/または保存される二酸化炭素吸収酸化的分解性物質と、酸素が存在する限り、物質を包囲する環境から酸素を連続的に除去するデバイスとを含む。デバイスは、密閉トート内に位置する。空調、暖房、および同等物等の温度制御手段は、好ましくは、包装モジュールに組み込まれず、モジュールのサイズは、単一の温度制御手段を備える運送用コンテナが複数のモジュールを含むことができるようなものである。そのような場合、各トートが異なるガス環境および異なる包装された物質を有することが可能である。
【0084】
本発明の別の側面は、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を輸送および/または保存するためのシステムを提供する。システムは、包装モジュールのうちの1つ以上を備え、各包装モジュールは、トートと、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品と、酸素除去器とを備える。包装モジュールおよびその構成要素は、上記で説明される。
【0085】
システムまたはトートは、貨物輸送手段で輸送および/または保存するために好適となるよう構成される。貨物輸送手段とは、海上貨物輸送手段、トラック貨物輸送手段(けん引トレーラ等)、貨車、および貨物を輸送することが可能な航空機を含むが、それらに限定されない、システムを輸送および/または保存するために使用することができる、任意のコンテナを意味する。いくつかの実施形態では、トートはさらに、システムまたはコンテナの温度を監視および/または記録するためのデバイスを備える。そのようなデバイスは、Sensitech、Temptale、Logtag、Dickson、Marathon、Testo、およびHoboを含む、製造業者から市販されている。
【0086】
上述のように、1つ以上のトートまたは包装モジュールを単一の貨物輸送手段で使用することができ、したがって、それぞれは、異なるガス環境ならびに異なる食品を有するように構成することができる。さらに、配送時に、貨物輸送手段の開放は、トートまたは包装モジュールの内部雰囲気の破壊をもたらさず、したがって、トートまたは包装モジュールのうちの1つ以上を1つの場所に配送し、他を異なる場所に配送することができる。各トートまたは包装モジュールのサイズは、各買い主によって所望される食品の品質に対応するように出荷前に構成することができる。そのようなものとして、トートまたは包装モジュールは、好ましくは、わずか数オンスの食品から50,000ポンドまたは1トン以上も多くの食品を含むようにサイズ決定することができる。加えて、垂直構造は、並んでいる最大数のパレットを出荷するための水平空間要件を最小限化することを促進する。上部空間を水平に広げる実施形態は、上部空間が陽性のままである限り、漏出抵抗を享受しないことに加えて、大規模で経済的に実行可能ではない場合がある。システムあたりの包装モジュールの数は、システムを輸送および/または保存するために使用される貨物輸送手段のサイズおよび包装モジュールのサイズの両方に依存する。システムあたりの包装モジュールの数の具体的実施例は、以下の具体的実施形態の説明に記載される。
【0087】
各包装モジュールのサイズは、約500ポンド以上の二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の出荷品を単一のトートの中へ包装することができるように、十分に大きくなり得る。いくつかの実施形態では、約500ポンドの二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を単一のトートの中へ包装することができ、または代替として約1000ポンド、または代替として約2000ポンド、または代替として約2000ポンドより多くを包装することができる。この大きいサイズは、トートを積み重ねる必要なく、貨物輸送手段が最大容量まで充填されることを可能にし、したがって、ガス上部空間を可能にする。包装モジュールが貨物輸送手段の内部寸法よりも小さい場合、包装モジュールを収納し、積み重ねを可能にするために、足場が採用され得る。
【0088】
別の実施形態では、システムは、1つ以上のトートを備え、各トートは、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を含む。この実施形態では、トートは、酸素除去器を含む別個のモジュールに着脱可能に接続される。別個のモジュールはまた、酸素除去器が水素燃料電池である時に水素源も含む。酸素除去器は、別個のモジュールが接続されるトートの全てから酸素を除去するように作用する。この実施形態では、物理的な燃料電池は、トートの外部にあるが、トートのガス環境と直接連通している。いくつかの実施形態では、アノードおよびカソードで生成される生成物は、トートの内部で維持される。そのような実施形態では、燃料電池は、その生成物がトートの内部で維持されるため、トートの内部にあるものとして解釈される。別の実施形態では、燃料電池によって生成される水は、トートの外部に放出され得る。別の実施形態では、トートは、剛体のトートであり、別個のモジュールはさらに、接続されたトートの中で陽圧を維持するようにガス源を含む。コンテナは随意で、トート内の酸素レベル、水素レベル、および温度、ならびに燃料電池動作を示すインジケータを監視するように、モニタを含む。一実施形態では、モジュールは、包装モジュールと同様のサイズの箱である。別の実施形態では、モジュールは、システムを輸送および/または保存するために使用される貨物輸送手段の壁、蓋、または扉に付加される。
【0089】
いくつかの実施形態では、システムおよび/または貨物輸送手段はまた、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の鮮度を保つのに十分な包装モジュールの温度を維持するための冷却システムも備える。二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の鮮度を保つために必要とされる温度は、この食品の性質に依存する。当業者であれば、システムまたは貨物輸送手段の中で輸送または保存されている物質に必要とされる適切な温度が分かるか、または決定することができるであろう。食品の輸送および/または保存のために、温度は、概して、約30°F(華氏)である。温度は、概して、32〜38°Fの範囲で、より好ましくは32〜35°Fの範囲で、最も好ましくは32〜33°Fまたは28〜32°Fの範囲で維持される。例えば、輸送または保存中に魚を保護するための適切な温度は、32〜35°Fの間である。温度の変動は、温度が食品を保護する範囲内で維持される限り許容される。いくつかの実施形態では、トートはさらに、システムまたはコンテナの温度を監視および/または記録するためのデバイスを備える。そのようなデバイスは、Sensitech、Temptale、Logtag、Dickson、Marathon、Testo、およびHoboを含む、製造業者から市販されている。
【0090】
一実施形態では、システムは、食品保存冷蔵温度で包装モジュールを維持することが可能である。代替として、システムを輸送および/または保存するために使用される貨物輸送手段は、食品保存冷蔵温度で包装モジュールを維持することが可能な冷蔵貨物輸送手段である。
【0091】
輸送または保存中に過剰な水素への食品の暴露を制限することが望ましことが想定される。したがって、いくつかの実施形態では、トートまたはシステムは、トート環境内に存在する水素への食品の暴露を最小限化するように構成される。これは、機械的方法、化学的方法、またはそれらの組み合わせによって、トートまたはシステム内の過剰な水素を除去することによって達成することができる。水素を除去する化学的方法の実施例は、水素を吸収するポリマーまたは他の化合物から成る、水素シンクの使用を含む。水素吸収体として使用するために好適な化合物が当技術分野で公知であり、市販されている(「Hydrogen Getters」Sandia National Laboratories, New Mexico; REB Research & Consulting, Ferndale, MI.)。化合物は、トートの中に存在することができ、または燃料電池のカソードと直接連通することができる。
【0092】
過剰な水素は、トート環境内への水素の流入を調節または遮断するための遮断弁または流量制限器の使用を含む、機械的手段を採用することによって制限することができる。水素の調節は、酸素のレベルが最小設定点を下回る時に水素流量が最小限化または排除されるように、水素源に接続される酸素センサを使用することによって制御することができる。
【0093】
本発明のさらなる側面は、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を輸送および保存する方法を提供する。方法は、上記で説明されるような包装モジュールおよびシステムを利用する。好ましい実施形態では、方法は、包装モジュール内で低減酸素環境を生成するために、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の挿入後に包装モジュール内の酸素を除去することを含む。二酸化炭素吸収酸化的分解性食品に加えて、包装モジュールは、限定された酸素透過性の圧力が安定した密閉可能なトートと、酸素除去器とを備える。包装モジュール内の低減酸素環境は、例えば、真空の印加および/またはトートを洗い流すための低酸素ガス源の導入を介して、トート内の環境を洗い流すことによって生成される。トートの洗浄後、トート内の環境は、低酸素環境である。トートは、初期上部空間が、トートの少なくとも30容量パーセントを占め、上部空間内のガスが、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含むように、初期ガス上部空間を提供するよう低酸素ガスで充填される。次いで、トートは密閉される。
【0094】
別の側面では、本発明は、酸化的分解性食品を輸送および/または保存する方法を提供する。この側面は、本明細書で説明される方法が、出荷コンテナ内の個別トートの中で保存される酸化的分解性食品を包囲する大気環境からの酸素の随意的な周期的除去を可能にすることを規定する。
【0095】
好ましい実施形態では、本発明は、酸化的分解性食品を有するトートから酸素を除去する方法を含み、方法は、
a)トートが、密閉可能なガス入口ポートと、密閉可能なガス出口ポートとを有することであって、両方のポートは、トートの上部空間の中に位置付けられ、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、ことと、
b)入口および出口ポートが閉塞されないような量で、酸化的分解性食品をトートに追加することと、
c)トートを密閉することと、
d)トート内の低酸素雰囲気および十分な容積のガス上部空間を提供して、トート内の残りのガス上部空間内の酸素含有量を、約1500ppm以上のレベルまで増加させることなく、食品へのガスの吸収を可能にするよう、出口ポートを通してガスを放出しながら、入口ポートを通してトートに十分な量の低酸素ガス源を注入することによって、そのようなガス源を用いたトートの1回以上の初期洗浄を行うことと、
e)入口および出口ポートを密閉することと、
f)残りのガス上部空間内の酸素濃度が常に1500ppmを超えないように、洗浄した後に、食品へのガス吸収を補償するように十分なガス上部空間が残るように、低酸素ガス源でトートを随意で周期的に洗浄することと、
を含む。
【0096】
低酸素ガス源は、好ましくは、CO2、またはその構成要素のうちの1つとしてCO2を含有するガスの混合物から成る。1つの特定の実施形態では、低酸素ガス源は、100%CO2である。別の実施形態では、低酸素ガス源は、CO2および窒素または他の不活性ガスの混合物である。不活性ガスの例は、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、酸化窒素、亜酸化窒素、およびキセノンを含むが、それらに限定されない。低酸素ガス源の識別は、食品に好適であるものとして様々であり得る。例えば、サケの輸送および保存に使用される低酸素ガス源は、好ましくは、100%CO2である。ティラピア等の他の魚は、好ましくは、低酸素ガス源として60%CO2および40%窒素を使用して、保存または出荷される。
【0097】
包装モジュール内の酸素除去器は、酸素レベルが物質の鮮度の低減または腐敗をもたらすレベル以下にとどまるように、酸素が存在する限り、輸送および/または保存中に操作される。この低減したレベルの酸素は、輸送および/または保存の持続時間にわたって酸素除去器によって維持され得る。低減酸素環境内の酸素のレベルは、1%未満の酸素、より好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.01%未満の酸素である。
【0098】
ある期間後に、食品とトート環境との間のガス交換が自然最小化または停止に達するので、トート内に存在する酸素レベルは、低減したレベルにとどまる。一実施形態では、低酸素ガス源は、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、動作を停止するようにプログラムすることができる。好ましくは、低酸素ガス源は、約0.5〜50時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、より好ましくは、低酸素ガス源は、約1〜25時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、より好ましくは、低酸素ガス源は、約2〜15時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、さらにより好ましくは、低酸素ガス源は、約3〜10時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされる。
【0099】
代替として、低酸素ガス源は、酸素レベルが所定レベル以下に達し、維持されている場合に、動作を停止するようにプログラムすることができる。一実施形態では、酸素レベルは、5%酸素v/v以下に達して維持され、または代替として、酸素レベルは、1%酸素v/v以下に達して維持され、または代替として、酸素レベルは、0.1%酸素v/v以下に達して維持され、または代替として、酸素レベルは、約1500ppm以下の酸素に達して維持される。
【0100】
いくつかの実施形態では、低酸素ガス源を用いた初期洗浄は、酸化的分解性食品の輸送および/保存中に低酸素環境を維持するために十分である。
【0101】
燃料電池がトートの外部にあるモジュールの中に存在する実施形態では、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、または上記で論議されるパラメータに従って酸素レベルが所定レベル以下に達し、維持されている場合に、モジュールを取り除くことができる。トート内の圧力の変化を補償する必要性が最小限化されるため、食品とトート環境との間のガス交換が自然最小化または停止に達した後に、トート内で陽圧を維持するために使用される任意の外部ガス源も除去することができる。
【0102】
好ましい実施形態では、方法は、上記で説明されるような二酸化炭素吸収酸化的分解性物質を輸送または保存するためのシステムに関する。したがって、好ましい実施形態では、方法は、単一の運送用コンテナの中で包装モジュールのうちの1つ以上を輸送または保存することを含む。この実施形態では、個別包装モジュールまたはトートは、システムから別個に取り外し可能である。この特徴は、システム内に残る包装モジュールまたはトートの完全性を乱すことなく、個別包装モジュールまたは包装モジュールのトートの配送を可能にする。
【0103】
次いで、トート、包装モジュール、および/またはシステムは、長期間にわたって、酸化的分解性物質、例えば、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を輸送および/または保存するために使用される。好ましくは、長期間は、1日から100日の間であり、より好ましくは、長期間は、5日から50日の間であり、さらにより好ましくは、長期間は、15日から45日の間である。
【0104】
本明細書で説明される方法は、標準MAP技術または他の標準食品保存方法を使用して可能ではない長期間にわたって、酸化的分解性物質が輸送または保存されることを可能にする。長期間は、酸化的分解性物質の性質によって異なる。本明細書で開示される方法を使用して、少なくとも30日の長期間にわたって保護された方式で、新鮮なサケを保存または輸送できることが想定される。対照的に、低減酸素環境がない場合は、10日から20日の間の期間にわたって保護された方式で、新鮮なサケを保存または輸送することしかできない(実施例を参照)。
【0105】
(実施例)
以下の説明は、本発明で使用することができる具体的実施形態を説明する。具体的実施形態は、本発明の可能な構成および使用のうちの1つにすぎず、決して本発明の制限として解釈されるべきではない。
【0106】
本発明は、サケ等の魚の輸送および保存に特に適している。具体的には、本発明は、養殖チリ産サケが、貨物輸送手段を介して米国内の目的地に出荷されることを可能にする。この輸送の長さ(約30日)は、サケの鮮度を保つための本発明の使用を必要とする。従来、チリ産サケは、サケが腐敗する前に米国内の目的地に到達するために、航空貨物を介して出荷されなければならない。
【0107】
サケは、ケースの中に事前包装される。各ケースは、約38.5ポンドのサケを含む。これらのケースのうちの64個が、1つのトートの中へ配置される。トートは、約50”X42”X130”、42”X50”X130”、または48”X46”X100”でサイズ決定され、ポリ/ナイロン混合材料でできている。トートは、十分なガス上部空間を提供し、CO2(および酸素)吸収を可能にするように、約35%または50%過大にサイズ決定される。トートは、1つの事前密封された端部と、1つの密封可能な端部とを有する。トートは、事前密封された端部を下にしてパレット上に配置される。パレットは、好ましくは、トートを保護し、トートに安定性を提供するように、保護シートで覆われる。54ケースのサケがトートの中で積み重ねられる。トートの概略図が図1に示されている。
【0108】
理想的にはサケのケースと同じ寸法を伴う別の箱が、トートに追加される。この箱は、1つまたは複数の水素燃料電池と、水素源とを含む。水素源は、純粋な水素を含むブラダーである。ブラダーは、輸送および/または保存の持続時間にわたって、水素燃料電池がトート内に存在する酸素を水に変換することを可能にするよう、燃料電池のアノードと直接連通するように構成される。
【0109】
箱はまた、トート内の空気を循環させ、したがって、酸素除去器とトート環境内の酸素との間の接触を促進するように、ファンも含む。ファンは、燃料電池が酸素を水に変換する時に生成されるエネルギーから、または分離されたバッテリによって電力供給される。
【0110】
さらに、箱は、輸送および/または保存の持続時間にわたって温度変化の記録を行うことができるように、温度記録計を含む。同様に、箱は、輸送および/または保存の持続時間にわたって酸素レベルの記録を行うことができるように、酸素レベル記録計を含む。箱はまた、トート内の酸素レベルが特定最大レベルを超える、または温度が特定最大レベルに達する時に関して警告を提供する、インジケータも含む。この具体的実施形態では、インジケータは、酸素レベルが0.1%の酸素を超えた場合、または温度が38°Fを超えた場合に警告する。箱はさらに、水素レベルおよび燃料電池動作を監視するようにモニタを含む。箱はさらに、随意で、箱の中のデバイスの問題を示す、LEDライト等の可視的インジケータを備え、好ましくは、LEDライト等の可視的インジケータとともに、無線周波数伝送等の無線通信を使用して、システムの到着時に、酸素または温度限界を超えた場合にユーザに警告する。
【0111】
次いで、サケのケースおよび箱は、結合され(隅を合わせてひもで縛られ)、トートは、結合スタックの4辺全ての周囲で引っ張り上げられ、トートの開放端が熱融着装置の中へまとめられる。残留酸素が約5%v/v未満、好ましくは約1%v/v未満になるまで、最大100%の二酸化炭素のガス洗浄が行われる。トートは、初期上部空間がトートの約50または30容量パーセントを占めるように、二酸化炭素で過剰充填される。トート内の環境がそのように修正された後、熱融着サイクルが開始され、トートが密閉されて、包装モジュールを形成する。燃料電池は、トート材料を通した、またはトートのシールにおける拡散によって、包装モジュールに導入される酸素を除去するように、輸送および保存の持続時間にわたって動作する。少量の酸素も、包装モジュール内の魚または包装材料によって放出される場合がある。使用される燃料電池の種類は、酸素および水素を水に変換するために外部電源を必要としない、PEM燃料電池である。図3を参照されたい。
【0112】
包装モジュールは、上記で説明されるように構成される付加的な包装モジュールとともに、冷蔵貨物輸送手段に搭載される。図2を参照されたい。この包装モジュールのシステムは、冷蔵海上貨物輸送手段に搭載される。貨物輸送手段は、チリから米国へサケを輸送する。米国内の最初の目的地に到達した後、ある数の包装モジュールが貨物輸送手段から除去される。トートのそれぞれが、酸素を除去するように燃料電池を含むため、低減酸素条件下で、海上貨物輸送手段を介して、または二次陸上あるいは航空貨物輸送手段によって、貨物輸送手段に残っている包装モジュールを他の目的地に輸送することができる。
【0113】
(実施例1)
1つは燃料電池を伴い、もう1つは燃料電池を伴わない、2つの卓上剛体コンテナを構築した。ガスが洗い流され、連続的に(非常に低い圧力で)各コンテナに導入することができるように、密閉可能な蓋を伴う2つの9リットルプラスチック食品保存コンテナを修正した。剛体コンテナの外側から燃料電池の(行き止まりの)アノード側の中へ直接水素も導入されることができるように、市販の燃料電池(Fuel Cell Storeを通して購入される、hydro−GeniusTM Dismantable Fuel Cell Extension Kit)を、1つの9リットル剛体コンテナの蓋の中へ設置した。燃料電池のカソード側は、コンテナのガスが燃料電池カソードに自由にアクセスすることを可能にする、対流プレートを装着された。(水と混合された時の)水素ガスの化学源として、Fuel Cell Storeから水素化ホウ素ナトリウムを購入した。水素を燃料電池の中へ絶えず押し込み、過剰な水素産生および消費に合わせて調整するために、静水圧を印加することができるように、2つのプラスチックボトルから水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)リアクタを構築した。これは、長期間(数日間)にわたって、無人水素産生および燃料電池への導入を可能にした。
【0114】
二酸化炭素シリンダ(ガス)、調節器、弁、および管類を、大型家庭用冷蔵庫とともに購入した。外部二酸化炭素が剛体コンテナの中へ、および水素が燃料電池へと連続的に導入されることを可能にするように、冷蔵庫を配管した。
【0115】
初期酸素レベルがほぼ1%に下がるまでCO2で洗浄し、流入弁を開いたままにして流出弁を閉鎖し、CO2の非常に低い定圧以下で両方のコンテナを維持することによって、卓上システムを試験した。燃料電池が1つのコンテナから残りの酸素を消費している間、(Dansensor)CO2/酸素分析器を使用して、酸素およびCO2濃度を経時的に測定した。燃料電池を伴うコンテナは、酸素レベルを0.1%以下に維持することができる一方で、燃料電池を伴わないコンテナは、酸素レベルを0.3%以下に保持できなかったことが決定された。
【0116】
第1日に、新鮮なチリ産大西洋サケの切り身を地元(Sand City, CA)の小売店から直接購入した。「脂肪がない腰部」が6日前にチリで包装されたことを示すラベルを伴う発泡スチロールコンテナからサケを取り出した。小売店の店員は、6つの切り身(2つずつ)を小売展示トレイの中へ配置し、3つのトレイのそれぞれをストレッチ包装し、重量を量り、ラベルを付けた。
【0117】
これらの3つのパッケージを、氷上で研究室に輸送し、各パッケージの半分を、異なる処理を受けた他方の半分と直接比較することができるように、各トレイを半分に切断した。パッケージの半分を、1.)空気制御、2.)100%CO2、燃料電池酸素除去器なし、3)100%CO2、燃料電池酸素除去器あり、といった3つの処理グループの中へ配置した。3つ全ての処理を、実験の持続時間にわたって華氏36度にて同じ冷蔵庫の中で保存した。酸素およびCO2レベルを毎日監視し、以下で説明されるように官能評価を行った。酸素の最初の除去後、酸素レベルは、器具類によって検出不能なレベルにとどまった。結果が表2に示される。
【0118】
【化3】
実験の持続時間にわたる酸素のレベルが、図4にグラフで示される。
【0119】
(官能評価:)
3つの処理を冷蔵庫の中に入れた7日後に、空気制御がにおいによってわずかに腐敗したと判断され、第8日に36°Fで容認しがたいほど腐敗したと判断された。これは、空気制御の切り身については生産から約13日、および36°Fで7日(未知の温度で最初の6日後)の全保管寿命を確立した。
【0120】
(試験が始まる前の6日を加えた)高CO2環境内での22日後、燃料電池および非燃料電池処理からの切り身をコンテナから取り出し、4人の官能パネリストによって評価した。評価尺度は、5=最も新鮮、4=新鮮、3=わずかに新鮮ではない、2=新鮮ではない、1=容認不可能であった。未加工の官能結果が表3に示されている。
【0121】
【化4】
36°Fで空気中保存のさらに6日後、残りのサンプルを未加工で撮影し、主に異臭(微生物腐敗ではない)および非常に黄色がかかった肉色により、「燃料電池なし」サンプルを食べられないと見なした。「燃料電池」サンプルを、未加工の色およびにおいで新鮮(4)と評定した。次いで、これらのサンプルを調理し、風味および質感について4人のパネリストによって評価し、両方の属性で新鮮(4)と評定した。サケサンプルの視覚的比較が、図5に提示されている。
【0122】
要約すると、「燃料電池」サンプルが、全34日の新鮮保管寿命後に依然として新鮮と評価された一方で、「燃料電池なし」サンプルは容認不可能であった
(実施例2)
図7は、約30容量パーセントの初期上部空間を有する、二酸化炭素を用いたガス洗浄直後の(上記で開示されるような)可撓性トートを示す。トートのそれぞれは、約42”x50”x130”であり、54個の個別カートンに含まれた約2,000〜2,200ポンドの魚を含む。トートの他のサイズも使用することができ、例えば、トートは、50”X42”X130”または48”x46”x100”のサイズを有する。トートを最初に(弁および配管を介して)窒素で洗い流した。約8時間以上後に、燃料電池をオンにする前に、非常に低い酸素レベルを達成するように、トートを二酸化炭素で洗い流した。1回だけのCO2洗浄エピソードおよび燃料電池を使用して、窒素洗浄を置換できることが想定される。最初にトートの中へCO2を流して、90%より多くのCO2に達するように、穴を切り取った(流入および流出)(または配管を使用することができる)。加えて、酸素レベルを約1%の酸素まで低減するために窒素洗浄を採用することができ、その後に弁を閉じ、閉じ込められた酸素が包装および製品から発生ことを可能にするように、少なくとも9時間待つ。その時点で(9時間後)、酸素は、概して、1.5〜2%に上昇しており、トートを最大で少なくとも90%のCO2(1,500ppm未満の酸素)で洗浄し、出荷のために弁を閉じる。このプロセスが「オフライン」で行われ、ほとんどのMAPプロセスが「インライン」で行われるという事実と組み合わせた、(40ポンドのパッケージの代わりに)2,000ポンドのパッケージを取り扱っていたという事実が、長期間にわたる複数のガス洗浄を経済的に実行可能にする。
【0123】
図8は、輸送および保存の17日後の同じ可撓性トートを示す。トートは、トートの輸送および取扱/保存の全体を通した魚へのCO2の吸収に適応するために、トートの内側で最初に大量のCO2を許容した。加えて、初期ガス上部空間は、陰圧が酸素除去によって生成されることを防止した。これらのトートが漏出していなかったこと、および(図7と比較した)図8で見られる収縮の程度が主に輸送の17日間のCO2吸収によるものであることに留意することが重要である。CO2レベルは、輸送および保存の全体を通して90%以上にとどまった。次いで、魚を鮮度について評価した。
【0124】
図9は、約1トンの魚と、水素ブラダーと、燃料電池、トート内の酸素レベルが低減酸素環境として表されるレベルを超えるかどうかを示す酸素インジケータ、ならびに酸素レベル、水素レベル、燃料電池動作、および温度を監視するモニタを備える、箱とを備える、トートを図示する。箱はさらに、箱の中のデバイスのうちのいずれかの問題を示す、LEDライトと、システムの到着時に、酸素または温度(時間および温度)限界を超えた場合にユーザに警告する警告システムとを備える。
【0125】
要約すると、各トートは、約30容量パーセントの初期酸化炭素を含有する上部空間を備えた。トート内のガスは、輸送および取扱の全体を通して90〜100%の間のCO2にとどまり、微生物腐敗の阻止をもたらした。
【0126】
(実施例3)
トート1が、可撓性酸素不透過障壁層3と、入口ポート5と、出口ポート7とを備え、入口ポート5は、低酸素ガス源9に接続される、図10を参照する。トート1は、食品(例えば、魚)11と、上部空間13とを含む。上部空間13は、その中に含まれた食品11に対してトートの有意な過大サイズを提供する。一実施形態では、過大サイズは、トートの最大40%容量パーセントの上部空間を提供する。
【0127】
本明細書で開示される、この独特の構造は、トート1および上部空間13の主要な過大サイズ(図12参照)と、流入(入口)および放出(出口)開口部と、(その後にガス注入が続く、真空とは対照的に)ガス洗浄とを含む。また、トートは、トートの内側に酸化的分解性食品を配置することによって搭載され、トートは、(トートが食品の最上部を覆って配置される際に工場シールが最上部にあることとは対照的に)工場で密閉された端部(閉鎖端部)を下にしてパレット上に位置付けられる。次いで、トートは、食品が、パレットの上に位置して、トートの「内側」に積み重ねられるか、または位置付けられた後に、(食品より上側で)トートの最上部を横断して熱融着される。より低い酸素までトートを通したガス洗浄を促進するために、流入(入口)および放出(出口)開口部がトートで採用される。ガスの流入は、パレットの底部にあるように位置付けられ、流出は、(上から下の洗浄を促すように)反対側の最上部にある。弁または穴(テープで覆われている)を、流入および/または流出に使用することができる。空気よりもはるかに重いCO2が使用される時、トートが、空気を押し上げて排出口の外に押し出すCO2で水泳プールのように充填するように、CO2をトートの底部にゆっくりと流し込むことができる。洗浄後の最後のステップは、排出口(出口ポート)を閉じ、低酸素ガスの流入(入口)を遮断する前に、トートの上部圧力および上部空間を最大限化するように、トートの上部空間領域を膨張させることである。CO2レベルが90+%に達した後に、後続の洗浄/充填が残留酸素の大部分を除去するように、閉じ込められた酸素が包装および腐敗しやすい内容物から拡散することを可能にするよう、ガス流が停止され、トートが数時間から最大1日以上保持される。主要な過大サイズの上部空間は、完全CO2吸収の長い持続時間、および(漏出が存在する場合)トートの中への空気の漏出を妨げるための余剰上部空間によって生成される余剰容器(およびわずかな陽圧)により、必要なままである。
【0128】
図12に示されるように、トート1はまた、可撓性トートの上部空間13の高さを最大化することによって生成される「上部圧力」も利用する。垂直トートに閉じ込められるCO2の高さは、膨張したバルーンのように、陽圧を生成すると考えられる。図12では、トートは、伸張を介して文字通りに加圧されていないが、好適な材料からトートを構築することによって、加圧することができる。一実施例では、トートは、大気圧を上回る約2.2インチ水柱以上の圧力まで膨張させられ、約1.8インチ水柱までの減少が、漏出を検出するために時間を計られる。トートが漏出試験(6分以上)に合格した後、次いで、トートは、ガス洗浄され、最終ガス洗浄が約0.5インチ水柱以下をもたらすことが想定される。トートは、その時点で「バルーン状」である。プラスチックは、垂直に拡張するように構成され、そのような方法および材料は、当技術分野で公知である。初期トート上部圧力は、大気圧より約0.1から約1.0インチ水柱以上の範囲であり得る。加えて、垂直構造は、並んでいる最大数のパレットを出荷するための水平空間要件を最小限化することを促進する。トートの拡張のわずか20%が水平方向であり、残りのガス膨張は垂直方向であり、したがって、トートの「上部圧力」および上部空間高さを生成する。
【0129】
ある実施形態では、複数のガス洗浄と組み合わせた上部空間が、連続酸素監視、または最初の複数のガス洗浄を超えたさらなる周期的ガス洗浄を必要としないように、トートは、(主に、CO2吸収に適応し、空気漏出から保護する/空気漏出を遅延するように)非常に大きな上部空間を収容することができる。初期ガス洗浄は、トートが酸化的分解性食品を伴って密閉されている最初の72時間中に、周期的に続行できることが想定される。代替として、初期ガス洗浄は、トートが密閉されている最初の72時間以下、または代替として、最初の60時間、または代替として、最初の48時間、または代替として、最初の24時間中に続行することができる。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第61/__,__の利益を主張する。該仮出願は、米国特許出願12/610,126号(2009年10月30日出願)および米国仮特許出願第61/256,868号(2009年10月30日出願)から変更されたものである。両出願は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、鮮魚等の酸化的分解性食品の保存寿命を増大させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
魚、肉、鳥肉、パン製品、果物、穀物、および野菜等の酸化的分解性食品の保存寿命は、標準大気環境の存在下で限定される。標準大気環境で見られるレベルでの酸素の存在は、化学効果による、または好気性腐敗微生物による、食品の品質の全体的低下をもたらす、におい、風味、色、および質感の変化につながる。
【0004】
調整雰囲気包装(MAP)が、腐敗微生物および病原菌の阻止によって保存食品の保存寿命および安全を向上させるために使用されてきた。MAPは、食品保存パックにおける単一のガスまたはガスの混合物による標準大気環境の代用である。MAPで使用されるガスは、ほとんどの場合、酸素(O2)、窒素(N2)、および二酸化炭素(CO2)の組み合わせである。大抵の場合、静菌効果は、減少したO2濃度および増加したCO2濃度の組み合わせによって得られる。(非特許文献1参照)。
【0005】
従来のMAPシステムでは、MAPガス組成は、標準大気環境の初期置換後に操作されない。したがって、食品パック内に存在するガスの組成は、経時的に変化する可能性が高い。包装のガス部分の変化は、製品の内外へのガスの拡散、食品パックの内外へのガスの拡散、および微生物代謝の効果によるものであり得る。ある場合では、食品が二酸化炭素(CO2)を吸収し、包装のガス部分内のCO2の量を低減し、酸素等の他のガスの相対量の同時増加を伴う。二酸化炭素吸収は、例えば、残留酸素濃度の対応する増加とともに、食品の微生物腐敗を阻止するために効果的なレベル以下に二酸化炭素濃度を低減することによって、潜在的に食品を損傷し得る「真空化」状況を生成する、トート内の陰圧につながり得る。CO2吸収によって引き起こされる真空化はまた、特に硬いトートにおいて、漏出も引き起こし、故障をもたらし得る。
【0006】
MAPシステムおよび関連技術の利用は、食品の出荷および保存に使用されてきた。しかしながら、これらのシステムは、魚等の酸化的分解に敏感な食品の配送に有意な制限を課した。まず最も重要なことには、これらのシステムの冷却および酸素除去プロセスは、単一の密閉コンテナ(典型的には、冷蔵運送用コンテナ、リーファーユニット)に組み込まれ、その結果、開くと出荷品全体が環境大気条件に暴露される。これは、食品を異なる配送場所に分ける能力を限定し、典型的には、買い主が開く時に製品全体を獲得することを必要とした。第2に、コンテナへの酸素除去プロセスの統合は、密閉コンテナのシールの不慮または時期尚早の破損が製品全体を危険にさらすことを決定づけた。第3に、運送用コンテナへの酸素除去プロセスの統合は、保存および/または輸送中にコンテナ内で別個の大気条件を許さず、それにより、プロセスの融通性を制限した。第4に、運送用コンテナの密閉は、特に、コンテナ内の大気圧がコンテナの外側の大気圧より小さくなった時に、困難を引き起こした。最も一般的なMAP用途は、腐敗しやすいものが、箱/カートンの内側に含まれる袋/包装の内側に含まれるバッグインボックス構造を採用する。袋/包装は、袋/包装が熱融着され、箱が閉じられる前に、所望の調整雰囲気を生成するように1回以上ガス洗浄される。このシステムは、多くの腐敗しやすいものによって吸収されるCO2等のガスの過剰充填を可能にするために、余剰上部空間を採用することもしないこともある。どれだけ多くの余剰上部空間を採用することができるかに対する典型的な制約は、これらのMAP包装が輸送および取扱のために結合される(積み重ねられる)という要件である。この構造的制約は、袋/包装の周囲で閉じて積み重ね、供給チェーンの全体を通して容易に取り扱うことができる外部カートンまたは箱を決定づける。その結果として、これらの構造の中に設計される「余剰」上部空間は、酸素の対応する増加とともに、経時的にCO2分圧の減少を防止するには不十分である。
【0007】
上記で論議されるような従来のMAPシステムに加えて、米国特許第6,179,986号によって開示されるような、酸素を除去するために外部燃料電池を使用して、腐敗しやすい食品を輸送するためのシステムが開発されてきた。この特許は、燃料電池の使用を説明していないが、代わりに、燃料電池とは異なって操作され、DC電力の印加を必要とする、プロトン交換膜(PEM)スタックベースの固体ポリマー電解質(EOC)電気化学酸素制御システムの使用を開示している。PEMは、密閉コンテナの外側への燃料電池反応の生成物のうちの少なくとも1つの放出を必要とする程度に、密閉コンテナの外部で操作される。加えて、‘986特許で説明されているシステムは、燃料電池に電力を提供するための専用電力供給の使用を必要とした。
【0008】
上記で説明されるシステムは、酸化的分解性である食品の長期輸送または保存に望ましくなくなる、多くの不利点を有する。したがって、従来の出荷および保存技法の不利点を回避する、輸送および保存中に酸化的分解性物質の保存寿命を増大させる改良型システムの必要性が存在する。加えて、包装の保存環境を損なうことなく、輸送し、次いで、種々の目的地で輸送された食品のモジュール包装を除去する能力を有することが有利であろう。
【0009】
さらに、通常はサイズが小さい、これらの構造は、初期ガス洗浄または初期ガス洗浄プロセス後の付加的なガス洗浄を促進する弁または継手を持たないため、概して1回限り(多重ガス洗浄イベント)を決定づける。さらに、複数のガス洗浄は、合理的な生産スループット要件の必要性により、経済的に実行可能ではない。これらの構造は、概して小さく、扱いやすい包装(通常は40ポンド以下)であるため、MAPプロセスを採用するための1ポンドあたりの費用が非常に高く、最大保管寿命延長のために理想的とは言えないMAPガス混合物を生じる。
【0010】
上記への改良は、燃料電池が、酸化的分解性食品と、内部水素源とを備える、トートと一体化している、米国特許出願第11/769,944号で開示されている。燃料電池は、水素との反応によって、トート内の過剰な酸素を水に変換するように動作する。
【0011】
したがって、現在までの技術は、概して、化学、電気、または触媒プロセスによって、システムの内部から残留酸素を除去する、または除去しない、密閉システムとして特徴付けることができる。
【0012】
そのような保存システムから酸素を除去するための既存のプロセスの機能および経済的欠陥を回避することが有益であろう。そして、そのような保存システムから残留酸素を除去する必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Farber, J. M.「Microbiological aspects of modified−atmosphere packaging technology」 a review. J. Food Protect. 1991、54:58−70.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一側面では、本発明は、鮮魚等の二酸化炭素吸収食品の保存寿命を延長するのに有用なトート、包装モジュール、システム、および方法を提供する。本発明の一側面は、酸化的分解性食品の輸送および/または保存に有用である、限定された酸素透過性の圧力が安定した密閉可能なトートを提供する。トートは、水素と酸素とを水に変換することが可能である、トートの内部に含まれる1つ以上の燃料電池を備える。トートはさらに、随意で、トートの内部の水素源を維持するために好適な保持要素を備える。トート内の水素源のための保持要素は、好ましくは、水素源、およびいくつかの実施形態では燃料電池を保持するように構成された箱またはブラダーである。好ましい実施形態では、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る群より選択される。他の実施形態では、1つ以上の燃料電池および/または水素源は、トートの外部にあり得る。トートの外部にある時、燃料電池は、トートとガス連通している。
【0015】
本発明のこの側面は、鮮魚等の二酸化炭素吸収食品が、魚より上側の雰囲気のガス組成に有意に悪影響を及ぼし得るという発見に基づく。そのような実施形態では、ますます多くの二酸化炭素が吸収されるにつれて、例えば、最初に容認可能な低レベルの酸素が増加し、残余ガス内のより高い酸素レベルにつながる。それはまた、潜在的に製品を損傷し得る「真空化」状況および構造的損傷を引き起こすトートを生成し、または微生物腐敗を阻止するために効果的なレベル以下に二酸化炭素濃度を低減し得る。
【0016】
極端には、十分な量の二酸化炭素が吸収されるため、保存または出荷後に上部空間がほとんど、または全く残らず、不利な真空状況を残す。
【0017】
本発明のこの側面はさらに、上記の問題は、圧力が安定した密閉トートであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、酸化的分解性二酸化炭素吸収食品と、水素と酸素とを水に変換することが可能であるトートと併せて使用される燃料電池と、好ましくはトートの内部に含まれる水素源とを備え、さらに、初期上部空間は、トートの少なくとも30容量パーセントを占め、上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、圧力が安定した密閉トートを含む酸化炭素吸収食品の輸送および/または保存に有用な包装モジュールによって対処することができるという発見に基づく。一実施形態では、上部空間は、トートの少なくとも50容量パーセントである。一実施形態では、上部空間は、トートの約または少なくとも69容量パーセントである。一実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも60容量パーセントの二酸化炭素を含む。別の実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも90容量パーセントの二酸化炭素を含む。
【0018】
この実施形態では、最初に上部空間内にある二酸化炭素は、食品によって吸収される二酸化炭素の量を大きく超え、それにより、その吸収の補償を提供する。保存および/または輸送中に食品によって吸収することができる二酸化炭素の量は、経験的に決定することができるか、または当技術分野で公知である。
【0019】
本発明の別の側面は、1つ以上のトートを備える、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存に有用なシステムを提供する。各包装モジュールは、限定された酸素透過性の圧力が安定した密閉トートであって、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、酸化的分解性二酸化炭素吸収食品と、水素と酸素とを水に変換することが可能である燃料電池と、水素源とを備え、さらに、初期上部空間は、トートの少なくとも30容量パーセントを占める。一実施形態では、初期上部空間は、トートの少なくとも50容量パーセントである。別の実施形態では、初期上部空間は、トートの約または少なくとも69容量パーセントである。いくつかの実施形態では、上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む。一実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも60容量パーセントの二酸化炭素を含む。別の実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも90容量パーセントの二酸化炭素を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、燃料電池および/または水素源は、トートの内部にある。いくつかの実施形態では、包装モジュールはさらに、トートの内部で水素源を維持するために好適な保持要素を備え、好ましくは、トート内の水素源のための保持要素は、水素源および随意で燃料電池を保持するように構成された箱またはブラダーである。いくつかの実施形態では、燃料電池および/または水素源は、トートの外部にある。燃料電池は、トートの外部にある時にトートとガス連通し、1つの燃料電池が、1つまたは複数のトートとガス連通してもよく、燃料電池の生成物が、トートの内部または外部にあり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、輸送および/または保存される酸化的分解性二酸化炭素吸収食品は、好ましくは、魚である。より好ましくは、魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である。最も好ましくは、輸送および/または保存される鮮魚は、サケまたはティラピアである。調理したばかりの腐敗しやすい食品も、低酸素環境で利益を得る。
【0022】
加えて、いくつかの実施形態では、水素源は、ブラダー水素源、剛体コンテナ水素源、または二酸化炭素と5容量%未満の水素とを含むガス混合物である。いくつかの実施形態では、包装モジュールは、ファンをさらに備える。いくつかの実施形態では、ファンは、燃料電池によって電力供給される。いくつかの実施形態では、ファンは、別の電源によって電力供給される。
【0023】
システムはさらに、いくつかの実施形態では、食品の鮮度を維持するために十分なレベルで、モジュールの内側の温度を維持するように、包装モジュールの内部または外部にあり得る、温度制御システムを備える。
【0024】
本発明の別の側面は、上記で説明される包装モジュールを使用する、酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法を提供する。方法は、包装モジュール内で低減酸素環境を生成するために、酸化的分解性二酸化炭素吸収食品を含む包装モジュールの中の酸素を除去することと、初期ガス上部空間を提供するように、低酸素ガスでトートを充填することであって、初期上部空間は、トートの少なくとも30容量パーセントを占め、上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、ことと、トートを密閉することと、トート内の低減酸素環境を維持するために、トート内の酸素が水素との反応によって水に変換されるように、輸送または保存中に燃料電池を動作させることと、トートの中で物質を輸送または保存することとを含む。包装モジュールは、限定された酸素透過性の圧力が安定した密閉可能なトートであって、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、燃料電池と、水素源とを備える。一実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも60容量パーセントの二酸化炭素を含む。別の実施形態では、上部空間内のガスは、少なくとも90容量パーセントの二酸化炭素を含む。
【0025】
一実施形態では、酸素除去プロセスは、食品をトートに追加する前に生じ、別の実施形態では、食品をトートに追加した後に生じる。いくつかの実施形態では、トートは、低酸素ガス源でトートを洗い流して上部空間を充填するように使用するために、トート内に配管弁および継手を備える。いくつかの実施形態では、トートは、燃料電池をオンにする前に洗い流される。次いで、燃料電池は、残留酸素を除去し続ける。
【0026】
方法は、最大100日の期間にわたって食品を輸送または保存する際に使用することができる。例えば、保存のための期間は、5日から50日の間、または代替として、5日から45日の間、あるいは15日から45日の間である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、輸送または保存中に物質の鮮度を維持するために十分なトート内の温度を維持することを含む。
【0027】
好ましい実施形態では、方法は、低減酸素環境が1%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が0.1%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が0.01%未満の酸素を含むように行われる。
【0028】
低減酸素環境は、二酸化炭素と水素とを含むか、二酸化炭素と窒素とを含むか、窒素を含むか、または二酸化炭素と窒素と水素とを含む。
【0029】
本発明のさらに別の側面は、化学、電気、および/または触媒プロセスの使用を必要とせずに、酸化的分解性食品を備えるトートの内部の酸素を除去する方法を提供する。
【0030】
具体的には、本発明のこの側面は、食品に悪影響を及ぼす濃度レベルに達する前に、トートの中に蓄積する酸素がトートから洗い流されるように、適切な構造を有するトートが、低酸素ガス源を用いたトートの洗浄を可能にするという発見を前提とする。したがって、その方法の側面のうちの1つでは、酸化的分解性食品を有するトートから酸素を除去する方法が提供され、方法は、
a)トートが、密閉可能なガス入口ポートと、密閉可能なガス出口ポートとを有することであって、両方のポートは、トートの上部空間の中に位置付けられ、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料を含む、ことと、
b)入口および出口ポートが閉塞されないような量で、酸化的分解性食品をトートに追加することと、
c)トートを密閉することと、
d)トート内の低酸素雰囲気および十分な容積のガス上部空間を提供して、トート内の残りのガス上部空間内の酸素含有量を、約1500ppm以上のレベルまで増加させることなく、食品へのガスの吸収を可能にするよう、出口ポートを通してガスを放出しながら、入口ポートを通してトートに十分な量の低酸素ガス源を注入することによって、そのようなガス源を用いたトートの1回以上の初期洗浄を行うことと、
e)入口および出口ポートを密閉することと、
f)残りのガス上部空間内の酸素濃度が常に1500ppmを超えないように、洗浄した後に、食品へのガス吸収を補償するように十分なガス上部空間が残るように、低酸素ガス源でトートを随意で周期的に洗浄することと、
を含む。
【0031】
好ましい実施形態では、トートは、燃料電池、触媒、および同等物等の、トートから酸素を除去するための内部構成要素を含まない。
【0032】
輸送および/または保存される酸化的分解性食品は、好ましくは、魚である。より好ましくは、魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である。最も好ましくは、輸送および/または保存される鮮魚は、サケまたはティラピアである。
【0033】
本明細書で開示されるトートの垂直構造は、並んでいる最大数のパレットを出荷するための水平空間要件を最小限化することを促進する。上部空間を水平に広げる実施形態は、上部空間が陽性のままである限り、漏出抵抗を享受しないことに加えて、大規模で経済的に実行可能ではない場合がある。ある実施形態では、トートの拡張のわずか約20%が水平方向であり、残りのガス膨張は垂直方向であり、したがって、トートの「上部圧力」および上部空間高さを生成する。トートは、垂直に拡張し、初期「上部圧力」を生成するように構成される。初期トート上部圧力は、大気圧より約0.1インチから約1.0インチ水柱以上の範囲であり得る。可撓性トートは、垂直方向により可撓性の材料を使用すること等の従来の方法によって、水平方向よりも垂直方向に可撓性にすることができる。
【0034】
加えて、いくつかの実施形態では、低酸素ガス源は、ガス源をトートの入口ポートに提供するように適合することができる、外部ガス源である。好ましくは、ガス源は二酸化炭素であり、より好ましくは、二酸化炭素は、約1500ppm未満の酸素を含有する。なおもさらに好ましくは、トートに注入される二酸化炭素は、約100ppm未満の酸素を含有する。
【0035】
トートはさらに、いくつかの実施形態では、食品の鮮度を維持するために十分なレベルで、モジュールの内側の温度を維持するように、包装モジュールの外部に温度制御システムを備える。
【0036】
本発明の別の側面は、上記で説明されるトート内での酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法を提供する。方法は、1500ppm未満の酸素を含む二酸化炭素でトートから酸素を洗い流し、それにより、トート内で低減酸素環境を生成することであって、トートは、酸化的分解性食品を含む、ことと、トートを密閉することと、トート内の低減酸素環境を維持するように、二酸化炭素でトートを随意で周期的に洗浄することと、トートの中で食品を輸送および/または保存することであって、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料を含む、こととを含む。
【0037】
一実施形態では、酸素除去プロセスは、食品をトートに追加する前に生じ、別の実施形態では、食品をトートに追加した後に生じる。一実施形態では、酸素除去は、好ましくはトートの上部空間の中に設置される、入口および出口ポートを介した、ガス洗浄を採用することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、複数の周期的ガス洗浄を採用することができる。入口および出口ポートは、トートが低酸素ガス源で洗浄された後に、トートの内部が隔離されるように密閉可能である。一実施形態では、入口および出口ポートは、穴であり、ポートは、単純に穴を覆い、ガス洗浄が必要とされる時に覆いを取ることができる。そのような実施形態では、テープを使用して穴(入口および出口ポート)を覆うことができる。これは、入口および出口ポートが周期的に密閉および密閉解除されることを可能にする。この構造は、酸素を除去し、窒素および/またはCO2等の低酸素ガスのレベルを上昇させるために、経時的に複数のガス洗浄を採用するという経済的実践を促進する。
【0038】
方法は、最大100日の期間にわたって食品を輸送および/または保存する際に使用することができる。例えば、保存のための期間は、5日から50日の間、または代替として、15日から45日の間である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、輸送または保存中に物質の鮮度を維持するために十分なトート内の温度を維持することを含む。
【0039】
好ましい実施形態では、方法は、低減酸素環境が2%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が1.5%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が1%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が0.1%未満の酸素を含む、または代替として、低減酸素環境が0.01%未満の酸素を含むように行われる。酸素のレベルは、監視することができる。
【0040】
低減酸素環境は、二酸化炭素を含み、または場合によっては、二酸化炭素と窒素とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、添付図面を参照してさらに説明される。
【図1】図1は、酸化的分解性物質を輸送または保存するために使用される包装モジュールの概略図である。
【図2】図2は、コンテナ内の複数の包装モジュールを備えるシステムの概略図である。
【図3】図3は、酸素除去器の燃料電池実施形態の概略図である。
【図4】図4は、標準MAPシステムと比較した、包装モジュールを使用する低酸素レベルの増大した持続時間を示すグラフである。
【図5】図5は、標準MAPシステムと比較した、包装モジュールの中に保存された新鮮なチリ産大西洋養殖サケの写真である。
【図6】図6は、二酸化炭素除去器を伴う酸素除去器の燃料電池実施形態の概略図である。
【図7】図7は、輸送前の包装モジュール実施形態の写真である。
【図8】図8は、輸送後の包装モジュール実施形態の写真である。
【図9】図9は、例示トートを示す。
【図10】図10は、酸化的分解性物質を輸送または保存するために使用されるトートの概略図である。
【図11】図11は、貨物輸送手段の中の低酸素ガス源に接続された複数のトートを備えるシステムの概略図である。
【図12】図12は、貨物輸送手段の中の酸化的分解性物質を搭載したトートの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、酸化的分解性食品を輸送および保存するために有用なシステムおよび方法を包含する。本明細書で説明されるシステムおよび方法は、出荷コンテナ内の個別トートの中で保存される酸化的分解性食品を包囲する大気環境からの、例えば、周期的または連続的な酸素の除去を可能にする。いくつかの実施形態では、食品は、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品である。
【0043】
以下でより完全に説明されるような、本明細書で使用されるトートまたは包装モジュールは、好ましくは、統合温度制御システムを組み込まず、むしろ、それらが出荷される出荷コンテナの温度制御システムに依存する。加えて、トートまたは包装モジュールは、輸送および/または出荷中に食品による非酸素(二酸化炭素)ガス吸収等の内圧損失(また獲得)に耐え、またはそれを補償するように設計され、その方法は、例えば、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料を採用することによって、さらに、真空条件を生成することなく、および/またはトート内のガスの酸素含有量が1500ppmを超えることを許すことなく、そのような吸収を補償するトート内のガス上部空間を採用することによる。
【0044】
輸送および/または保存中の酸素の周期的または連続的除去は、長期間にわたって物質の鮮度を維持するのに好適である、制御された低減酸素環境を可能にする。結果として、従来の出荷および保存技法を使用して現在可能であるよりも長い期間にわたって、酸化的分解性物質を輸送および/または保存することができる。本明細書で説明される方法は、例えば、通常はより高価な航空便のみによって供給される市場に、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品、例えば、魚等の酸化的分解性物質を輸送するための貨物輸送の使用を可能にする。
【0045】
一実施形態では、本発明は、酸化的分解性食品の保存寿命を延長するために有用なシステムおよび方法を提供する。好ましい実施形態では、酸化的分解性食品は、無呼吸性である。無呼吸性食品は、呼吸しない。つまり、これらの食品は、二酸化炭素の関連放出に関連する酸素を取り込まない。無呼吸性食品の例は、新鮮な、または加工された魚、肉(牛肉、豚肉、および子羊肉等)、鳥肉(鶏、七面鳥、ならびに他の野鳥および家禽等)、およびパン製品(パン、トルティーヤ、およびペストリー、パンおよびペストリーを生成するために使用する包装混合物、および穀物ベースのスナック食品)を含む。本発明のシステムおよび方法によって輸送および/または保存される好ましい無呼吸性食品は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、ホッキョクイワナ、貝、および他の魚介類等の新鮮な、または加工された魚を含む。より好ましくは、無呼吸性食品は、新鮮なサケまたは新鮮なティラピアであり、最も好ましくは、無呼吸性食品は、新鮮なチリ産大西洋養殖サケである。
【0046】
一般に、本発明のシステムおよび方法は、酸化的分解性食品が輸送および/または保存されるトートと、二酸化炭素等の低酸素ガスでトートを周期的に洗い流し、したがって、少なくとも保存および/または輸送期間の一部分にわたって食品を包囲するガス環境を制御するよう、トートの内側から利用可能な酸素を除去する低酸素ガス源とを伴う。好ましい実施形態では、トート内の低減酸素環境は、トートの内部に存在するガスが出口ポートを通して排出されている間に、入口ポートを介した真空の印加および/または低酸素ガス源の導入を介して、トート内の環境を洗い流すことによって生成される。トートの洗浄後、入口および出口ポートは密閉され、トート内の環境は低減酸素環境である。次いで、随意で、包装モジュール内の低減酸素環境を維持し、したがって、酸化的分解性物質の鮮度を維持するように、トートは、酸素が存在する時の輸送および/または保存の持続時間の全体を通して、必要に応じて二酸化炭素で周期的に洗い流される。ある実施形態では、二酸化炭素で洗い流す必要性を信号伝達するために、酸素センサがトートの内部に存在する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品が輸送および/または保存されるトートと、少なくとも保存および/または輸送期間の一部分にわたって食品を包囲するガス環境を制御するよう、酸素が存在する時にトートの内側から利用可能な酸素を連続的に除去するデバイスとを備える、包装モジュールを伴う。このデバイスはまた、酸素除去器とも呼ばれる。場合によっては、トート環境から酸素をより効果的に除去するために、1つより多くの酸素除去器を採用することが望ましいであろう。二酸化炭素吸収酸化的分解性食品は、トートに挿入され、トート内の環境は、トート内で低減酸素環境を生成するように操作される。好ましい実施形態では、トート内の低減酸素環境は、真空の印加および/または低酸素ガス源の導入を介して、トート内の環境を洗い流すことによって生成される。トートの洗浄後、トート内の環境は、低減酸素環境である。トートは、ガス上部空間の体積が、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品によって吸収されるガスの体積よりも大きくなるように、ガス上部空間を提供するよう低酸素ガスで充填される。一実施形態では、トートは、ガス上部空間がトートの全体積の少なくとも30容量パーセントを占め、上部空間内のガスが少なくとも99容量パーセントの二酸化炭素を含むように、二酸化炭素で充填される。次いで、トートは密閉される。酸素除去器は、包装モジュール内の低減酸素環境を維持し、したがって、二酸化炭素吸収酸化的分解性物質の鮮度を維持するように、酸素が存在する時の輸送および/または保存の持続時間の全体を通して動作する。しかしながら、採用される二酸化炭素の量が、食品によって吸収される量よりも有意に多いため、容量パーセント基準での上部空間内の酸素の量は、ガス上部空間が二酸化炭素吸収に対処するのに不十分である場合にトートが崩壊する可能性により限定される。
【0048】
「低酸素ガス源」という用語は、1000ppm未満の酸素、好ましくは100ppm未満の酸素、より好ましくは10ppm未満の酸素を含有する、ガス源を指す。低酸素ガス源は、好ましくは、CO2、またはその構成要素のうちの1つとしてCO2を含有するガスの混合物から成る。CO2は、無色、無臭、不燃性、および静菌性であり、食物に毒性残留物を残さない。一実施形態では、低酸素ガス源は、100%CO2である。別の実施形態では、低酸素ガス源は、CO2および窒素または他の不活性ガスの混合物である。不活性ガスの例は、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、酸化窒素、亜酸化窒素、およびキセノンを含むが、それらに限定されない。低酸素ガス源の識別は、食品に好適であるものとして様々であり得、十分に当技術分野の知識および技能の範囲内である。例えば、サケの輸送および保存に使用される低酸素ガス源は、好ましくは、100%CO2である。ティラピア等の他の魚は、好ましくは、低酸素ガス源として60%CO2および40%窒素を使用して、保存または出荷される。
【0049】
上記で説明されるように、限定された酸素透過性の圧力安定密閉性トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料、あるいは硬質材料を含むトートを含む。これらのトートは、一般に、可撓性鋳造物または押出プラスチックシートで構成される。
【0050】
本発明で使用するための可撓性、折り畳み式、または拡張型材料は、限定された酸素透過性を有するものである。限定された酸素透過性の材料は、好ましくは、10立方センチメートル/100平方インチ/24時間/atm未満の酸素透過率(OTR)を有し、より好ましい限定された酸素透過性の材料は、5立方センチメートル/100平方インチ/24時間/atm未満のOTRを有する材料であり、さらにより好ましくは、限定された酸素透過性の材料は、2立方センチメートル/100平方インチ/24時間/atm未満のOTRを有し、最も好ましくは、限定された酸素透過性の材料は、1立方センチメートル/100平方インチ/24時間/atm未満のOTRを有する。可撓性、折り畳み式、または拡張型トートを作製するために使用することができる材料の非包括的リストが、表1に示される。
【0051】
【化1】
【0052】
【化2】
トートはさらに、トートを周期的に洗い流し、したがって、1つ以上の出口ポートを介してトート内の環境から酸素を除去するように、外部にあり、かつ入口ポートを介してトートとガス接触している、1つ以上の低酸素ガス源を備え得る。酸素は、例えば、限定された酸素透過性の材料を通した、またはトートのシールにおける、トートを通した拡散によって、使用中にトートの中で蓄積し得る。酸素はまた、トート内の酸化的分解性食品によって、または食品が包装されるコンテナから放出され得る。好ましい実施形態では、二酸化炭素は、10ppm未満の酸素を有する二酸化炭素ガスである。
【0053】
いくつかの実施形態では、トートはさらに、酸素が存在する限りトート内の環境から酸素を連蔵的に除去するように、1つ以上の酸素除去器を備える。酸素除去器は、トートが密閉された後にシステムに導入され得る酸素を連続的に除去することによって、トート内の低減酸素環境を維持する。例えば、酸素は、限定された酸素透過性の材料を通した、またはトートのシールにおける、トートを通した拡散によって導入され得る。酸素はまた、トート内の二酸化炭素吸収酸化的分解性食品によって、または食品が包装されるコンテナから放出され得る
好ましい実施形態では、酸素除去器は、酸素分子消費燃料電池である。好ましくは、燃料電池は、水素燃料電池である。本明細書で使用される場合、「水素燃料電池」は、酸素および水素を水に変換することが可能な任意のデバイスである。好ましい実施形態では、完全な燃料電池はトートの内部にある。これは、トートまたは包装モジュールの内部または外部に水素源を有することによって達成することができる。燃料電池のアノードは、水素源と連通している。この水素源は、陽子および電子の生成を可能にする。燃料電池のカソードは、トート内の環境(酸素源)と連通している。酸素の存在下で、アノードによって生成される陽子および電子は、カソードに存在する酸素と相互作用して水を生成する。好ましい実施形態では、燃料電池は、酸素および水素を水に変換するために外部電源を必要としない。さらなる実施形態では、燃料電池は、燃料電池が動作している時、および水が利用可能である時を示す、インジケータに接続される。
【0054】
別の実施形態では、物理的な燃料電池は、トートの外部にあるが、アノードおよびカソードで生成される生成物がトートの内部で維持されるような方式で、トートのガス環境と直接連通している。1つの燃料電池は、1つまたは複数のトートとガス連通し得る。そのような実施形態では、燃料電池は、その生成物がトートの内部で維持されるため、トートの内部にあるものとして解釈される。燃料電池がトートの外側で物理的に位置付けられる時、燃料電池によって生成される水は、トートの外側で放出され得る。
【0055】
好ましい実施形態では、水素源は、純水素ガスである。水素源は、好ましくは、ブラダー内に含有され、ブラダーは、プロセス全体がトート内に含まれるように、トートの内部に含まれる。水素源は、好ましくは、輸送または保存時間の持続時間にわたって水素を提供するような方式で、水素燃料電池のアノードと直接連通している。ブラダーは、水素ガスを含むことが可能である任意の材料でできている。例えば、表1に記載された材料は、ブラダー材料として使用することができる。
【0056】
好ましい実施形態では、ブラダーは、非圧縮水素源を含むが、圧縮源をブラダーに含むことができる限り、圧縮水素源を使用することができる。
【0057】
別の実施形態では、水素源は、プロセス全体がトート内に含まれるように、トートの内部に含まれる、ガスシリンダ等の剛体コンテナ内に含まれる。この実施形態では、水素源は、圧縮または非圧縮水素源である。剛体コンテナは、輸送または保存時間の持続時間にわたって水素を提供するような方式で、水素燃料電池のアノードと直接連通している。圧縮水素源は、好ましくは、10,000psia未満の大きさの圧力で維持される。好ましくは、水素源は、40psia未満の大きさの圧力を有し、非圧縮である。
【0058】
さらなる実施形態では、水素源は、化学反応によって生成される。水素を化学的に生成する方法の実施例は、当技術分野で周知であり、PEM電解槽、水酸化ナトリウムまたはカリウムを使用したアルカリ電解槽、固体酸化物電解槽、および水酸化ホウ素ナトリウムからの水素の生成を使用する方法を含む、電解プロセスによる水素の生成を含む。それぞれの場合において、水素は、水素が燃料電池のアノードに利用可能となるように生成される。
【0059】
別の実施形態では、水素源は、トートの環境内に存在する水素を含む、ガス混合物である。この実施形態では、ガス混合物は、好ましくは、二酸化炭素と、水素とを備える。他の実施形態では、ガス混合物は、窒素と、水素とを備える。さらなる実施形態では、ガス混合物は、水素と、二酸化炭素と、窒素とを備える。他の不活性ガスがガス混合物中に存在し得ることが想定される。ガス混合物中に存在する水素の量は、好ましくは、10容量%未満の水素、より好ましくは、5容量%未満の水素、最も好ましくは、2容量%未満の水素である。このガス混合物は、酸化的分解性物質の導入前、中、または後、およびトートの密閉前に、トートに導入される。
【0060】
いくつかの実施形態では、燃料電池は、燃料電池の密閉されたアノード構成要素と直接連通している二酸化炭素除去器を備える。二酸化炭素は、PEMを横断してアノードプレートまで浸透し、それにより、アノードプレートへの水素アクセスに干渉する可能性がある。二酸化炭素除去器による燃料電池のアノードプレートからの二酸化炭素の一部または全ての除去は、水素による燃料電池への増大したアクセスを可能にし、したがって、トート環境から酸素を除去する燃料電池の能力を増大させる。
【0061】
二酸化炭素除去器で利用することができる、当技術分野で公知である多数のプロセスがある。これらの方法は、吸収プロセス、圧力スイング吸着(PSA)および温度スイング吸着(TSA)方法等の吸着プロセス、および膜ベースの二酸化炭素除去を含むことができる。二酸化炭素除去器で使用することができる化合物は、消石灰、活性炭、水酸化リチウム、ならびに酸化銀、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛等の金属酸化物を含むが、それらに限定されない。二酸化炭素はまた、水素ガスまたは水蒸気等のガスでアノードを浄化することによって、アノードから除去することもできる。
【0062】
一実施形態では、二酸化炭素除去器は、消石灰を含む。この実施形態では、例えば、消石灰は、燃料電池のアノードプレートに存在する二酸化炭素が消石灰と接触し、それに吸収されるように、燃料電池アノードと蒸気連通しているフィルタカートリッジに含まれる。特定の実施形態は、それぞれアノード出口と蒸気連通している、2つの消石灰フィルタカートリッジを備える。消石灰フィルタは、燃料電池のアノードプレートからの二酸化炭素の除去を促進する(図6)。
【0063】
トートは、入口ポートを介して、二酸化炭素等の外部ガスを導入することができるように、管、ワイヤ、および同等物のためのアクセスを提供するように構成することができる。入口ポートは、密閉可能であり、トート内で低酸素環境を維持することができる継手を使用して提供される。いくつかの実施形態では、ファンおよび酸素除去器を操作するために、外部電源を使用することができる。1つの特定の実施形態では、トートは、外部源から内部燃料電池水素供給システムの中への水素の導入を可能にするように構成される。さらなる実施形態では、外部水素源は、水素で燃料電池を洗浄することを支援するように方向付けられる。
【0064】
トート内の酸素を除去するために、水素燃料電池以外の酸素除去器を使用することができる。例えば、鉄含有吸収体等の酸素吸収体、および酸素吸着体を使用することができる。酸素吸収体および吸着体は、当技術分野で公知であり、市販されている。酸素除去器はまた、圧力スイング吸着方法(PSA)および膜分離方法を利用する除去器も含む。
【0065】
白金またはパラジウム触媒等の元素金属を利用するもの等の触媒システムを酸素除去器として使用することができるが、高触媒表面積を提供するために必要な粉末の使用は、汚染の危険を冒す。それにもかかわらず、適切な防護対策が使用される時に、これらを採用することができる。そのような防護対策は、PEM燃料電池に存在するような膜電極アセンブリに金属触媒を埋め込むことを含む。
【0066】
トートはさらに、好ましくは、水素源がトート内で安定して保持されるよう、水素源を維持するために好適保持要素を備える。好ましい実施形態では、保持要素は、水素源を安定して保持するように構成された箱である。さらに好ましい実施形態では、保持要素は、水素源および燃料電池の両方を保持するように構成される。他の実施形態では、保持要素は、トートの内壁に付加されるスリーブである。このスリーブは、ブラダー収納水素源または剛体コンテナ水素源、ならびに水素源を含むために好適な他のコンテナを保持することが可能である。いずれにしても、水素源は、燃料電池のアノードと直接連通している。
【0067】
包装モジュールで使用される酸素除去器が水素燃料電池である時、水素および酸素の反応の結果として生成される、ある量の水が液体または気体形態で生じる。いくつかの実施形態では、そのようにして生成される水は、トートの中へ放出される。水を収納または除去するための手段をトート内に含むことが望ましいことがある。例えば、トートはさらに、燃料電池において生成されるにつれて水を収集するように構成される、トレイまたはタンク等の水保持装置を備え得る。代替として、トートは、水を吸収して含むために使用される、乾燥剤または吸収材料を含み得る。好適な乾燥剤および吸収材料が当技術分野で周知である。水は、代替として、トートの外側に放出されてもよく、したがって、乾燥した環境で最適に保存される品物の保存および輸送のための好適な環境を提供する。
【0068】
トートは、物質を包囲する低減酸素環境を維持するように構成される。低減酸素環境は、物質の鮮度を維持しながら、物質が長期間にわたって保存および/または輸送されることを可能にする。物質の導入に続いて、または導入後であるが、トートの密封前に、真空の印加および/または低無酸素ガス源の導入を介して、トート内の環境が随意で洗浄される。この時点で、トート内の環境は、低減酸素環境である。特定の実施形態では、低減酸素環境内の酸素のレベルは、1%未満の酸素であり、または代替として、低減酸素環境内の酸素のレベルは、0.1%未満の酸素であり、または代替として、低減酸素環境内の酸素のレベルは、0.01%未満の酸素である。
【0069】
ある期間後に、食品とトート環境との間のガス交換が自然最小化または停止に達するので、トートまたは包装モジュール内に存在する酸素レベルは、低減したレベルにとどまる。この時点で、燃料電池が動作を停止する。一実施形態では、燃料電池は、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、動作を停止するようにプログラムすることができる。好ましくは、燃料電池は、約0.5〜50時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、より好ましくは、燃料電池は、約1〜25時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、より好ましくは、燃料電池は、約2〜15時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、さらにより好ましくは、燃料電池は、約3〜10時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされる。
【0070】
いくつかの実施形態では、低酸素ガス源は、トートが密閉される前にトートに導入される。低酸素ガス源は、好ましくは、CO2、またはその構成要素のうちの1つとしてCO2を含有するガスの混合物から成る。CO2は、無色、無臭、不燃性、および静菌性であり、食物に毒性残留物を残さない。一実施形態では、低酸素ガス源は、100%CO2である。別の実施形態では、低酸素ガス源は、CO2および窒素または他の不活性ガスの混合物である。不活性ガスの例は、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、酸化窒素、亜酸化窒素、およびキセノンを含むが、それらに限定されない。低酸素ガス源の識別は、食品に好適であるものとして様々であり得、十分に当技術分野の知識および技能の範囲内である。例えば、サケの輸送および保存に使用される低酸素ガス源は、好ましくは、100%CO2である。ティラピア等の他の魚は、好ましくは、低酸素ガス源として60%CO2および40%窒素を使用して、保存または出荷される。
【0071】
長期輸送または保存中に発生する圧力差を補償するために、トートは、酸素、低酸素ガス源(例えば、二酸化炭素等)のガスの吸収を可能にする、初期上部空間を含む。「初期上部空間」という用語は、トートが二酸化炭素吸収酸化的分解性食品で充填された後のトートの余剰ガス体積の量を指すことを目的としている。いくつかの実施形態では、初期上部空間は、トートの内部容積の約30%から約95%である。他の実施形態では、初期上部空間は、トートの内部容積の約35%から約40%、または代替として、初期上部空間は、トートの内部容積の約30%から約35%、または代替として、初期上部空間は、トートの内部容積の約35%である。
【0072】
最終的に、トートは、長期輸送または保存中に発生する圧力差を補償するよう、ガス上部空間の体積が酸化的分解性食品によって吸収されるガスの体積よりも大きくなるように、初期ガス上部空間を提供するために十分な低酸素ガスで充填される。圧力差の結果は、図7および8で見ることができる。図7は、トートの輸送および取扱サイクルの全体を通して、食品への二酸化炭素の吸収に適応するために、および陰圧が酸素除去プロセスによって生成されることを防止するために、十分な量の二酸化炭素で充填されている本発明の可撓性トートを示す。図8は、減少した量のガス上部空間を伴う、輸送の17日後の図7の同じトートを示す。図8の写真は、右のトートが左のトートよりも膨張している(またはあまり収縮していない)ように見えることを示すが、両方のトートは、あらゆる側面から見ると、実際には同じく収縮していた。輸送後に残留する上部空間の量は、この「真空化」が、微生物腐敗を阻止するために効果的なレベル以下に二酸化炭素濃度を低減し、および/または残留酸素濃度および漏出の増大した可能性を増加させて、製品を潜在的に損傷し得るため、陰圧が生成されないように十分となるべきである。ある実施形態では、輸送または保存後のトート内の二酸化炭素の濃度は、少なくとも90%である。
【0073】
トートは、内部トート環境が酸素除去器と連通し、酸素がトート環境内に存在する限り、内部トート環境からの酸素分子の連続除去を可能にするように構成される。トート内の酸素除去器は、酸素レベルが、鮮度の低減または物質の腐敗をもたらすレベル以下にとどまるように、内部トート環境から酸素を除去するように構成される。この低減したレベルの酸素は、輸送および/または保存の持続時間にわたって酸素除去器によって維持される。低減酸素環境内の酸素のレベルは、1%未満の酸素、より好ましくは、0.1%未満、最も好ましくは、0.01%未満の酸素である。
【0074】
酸素除去器の効率は、トート内の空気を循環させるためのファンの使用、したがって、酸素除去器とトート環境内の酸素との間の接触を促進することを通して強化することができる。燃料電池を使用する時に、ファンは、ある実施形態では、燃料電池が水素と酸素とを水に変換する時に生成されるエネルギーから作動するように構成することができる。
【0075】
予想外に大量の酸素含有空気がトート環境に導入される、トートの完全性の破損の場合に、酸素除去器は、導入された酸素の全てを除去できなくなる。好ましい実施形態では、トートは、トート内の酸素レベルが低減酸素環境として表されるレベルを超えたという事実を警告する、酸素インジケータをさらに備える。
【0076】
いくつかの実施形態では、低酸素ガスを用いた複数の洗浄が、食品によるガス吸収を可能にし、したがって、多くの初期上部空間の必要性を軽減することが想定される。しかしながら、大規模出荷(すなわち、複数のカートンに包装された2,000ポンドの食品)では、出荷目的に対して実用的であるために、ガス吸収があまりに多くの日数を必要とするので、上部空間が必要であり得ることが想定される。
【0077】
ある実施形態では、複数のガス洗浄と組み合わせた上部空間が、連続酸素監視、または最初の複数のガス洗浄を超えたさらなる周期的ガス洗浄を必要としないように、トートは、(主に、CO2吸収に適応し、空気漏出から保護する/空気漏出を遅延するように)非常に大きな上部空間を収容することができる。初期ガス洗浄は、トートが酸化的分解性食品を伴って密閉されている最初の72時間中に、周期的に続行できることが想定される。代替として、初期ガス洗浄は、トートが密閉されている最初の72時間以下、または代替として、最初の60時間、または代替として、最初の48時間、または代替として、最初の24時間中に続行することができる。
【0078】
本明細書で開示されるトートの垂直構造は、並んでいる最大数のパレットを出荷するための水平空間要件を最小限化することを促進する。上部空間を水平に広げる実施形態は、上部空間が陽性のままである限り、漏出抵抗を享受しないことに加えて、大規模で経済的に実行可能ではない場合がある。ある実施形態では、トートの拡張のわずか約20%が水平方向であり、残りのガス膨張は垂直方向であり、したがって、トートの「上部圧力」および上部空間高さを生成する。トートは、垂直に拡張し、初期「上部圧力」を生成するように構成される。初期トート上部圧力は、大気圧より約0.1インチから約1.0インチ水柱以上上回る範囲であり得る。
【0079】
ある実施形態では、低酸素ガス源は、輸送および/または保存の持続時間の全体を通した所定の時間間隔で、トートの内部環境を洗い流すようにプログラムされる。他の実施形態では、低酸素ガス源は、内部トート環境の酸素レベルが食品に有害なレベルを超える時に、トートの内部環境を洗い流すようにプログラムされる。輸送および/または保存の初めに、酸素は、トート内の酸化的分解性食品によって、または食品が包装されるコンテナから放出され得る。
【0080】
好ましい実施形態では、トートはさらに、トート内の酸素レベルが低減酸素環境として表されるレベルを超えたという事実を警告する、インジケータを備える。ある実施形態では、低酸素ガス源は、低減酸素環境内の酸素のレベルが、約2%の酸素、より好ましくは約1.5%、より好ましくは約1%、より好ましくは約0.1%、最も好ましくは約0.01%の酸素である時、または酸素のレベルが約1500ppmの酸素を超える時に、トートの内部環境を洗い流すようにプログラムされる。特定の実施形態では、酸素センサ、例えば、微量酸素センサ(Teledyne)が、トート環境内に存在する酸素のレベルを監視するために使用される。
【0081】
トートは、随意で、酸素レベル、水素レベル、燃料電池動作、および温度を監視するように、モニタを含む。特定実施形態では、酸素センサ、例えば、微量酸素センサ(Teledyne)が、トート環境内に存在する酸素のレベルを監視するために使用される。
【0082】
いくつかの実施形態では、トートは、燃料電池、トート内の酸素レベルが低減酸素環境として表されるレベルを超える時に警告する酸素インジケータ、および/または酸素レベル、水素レベル、燃料電池動作、および温度を監視するモニタを含む、デバイスを備える箱(図9参照)を備える。箱はさらに、随意で、トートを密閉する前に、問題のあるデバイスまたは箱を即座に交換することができるように、箱の中のデバイスの問題を示す、LEDライト等の可視的インジケータを備える。これは、非熟練労働者による失敗の迅速な検出を促進し、最小限の検査とともに使用開始するように箱の迅速な転換を可能にする。箱はまた、好ましくは、赤色LEDライト等の可視的インジケータとともに、無線周波数伝送等の無線通信を使用して、システムの到着時に、酸素または温度(時間および温度)限界を超えた場合にユーザに警告する。
【0083】
本発明の別の側面は、酸化的分解性物質の輸送および/または保存のために有用な包装モジュールを提供する。包装モジュールは、上記で説明されるように構成されるトートを備える。包装モジュールでは、トートは、密閉され、輸送および/または保存される二酸化炭素吸収酸化的分解性物質と、酸素が存在する限り、物質を包囲する環境から酸素を連続的に除去するデバイスとを含む。デバイスは、密閉トート内に位置する。空調、暖房、および同等物等の温度制御手段は、好ましくは、包装モジュールに組み込まれず、モジュールのサイズは、単一の温度制御手段を備える運送用コンテナが複数のモジュールを含むことができるようなものである。そのような場合、各トートが異なるガス環境および異なる包装された物質を有することが可能である。
【0084】
本発明の別の側面は、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を輸送および/または保存するためのシステムを提供する。システムは、包装モジュールのうちの1つ以上を備え、各包装モジュールは、トートと、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品と、酸素除去器とを備える。包装モジュールおよびその構成要素は、上記で説明される。
【0085】
システムまたはトートは、貨物輸送手段で輸送および/または保存するために好適となるよう構成される。貨物輸送手段とは、海上貨物輸送手段、トラック貨物輸送手段(けん引トレーラ等)、貨車、および貨物を輸送することが可能な航空機を含むが、それらに限定されない、システムを輸送および/または保存するために使用することができる、任意のコンテナを意味する。いくつかの実施形態では、トートはさらに、システムまたはコンテナの温度を監視および/または記録するためのデバイスを備える。そのようなデバイスは、Sensitech、Temptale、Logtag、Dickson、Marathon、Testo、およびHoboを含む、製造業者から市販されている。
【0086】
上述のように、1つ以上のトートまたは包装モジュールを単一の貨物輸送手段で使用することができ、したがって、それぞれは、異なるガス環境ならびに異なる食品を有するように構成することができる。さらに、配送時に、貨物輸送手段の開放は、トートまたは包装モジュールの内部雰囲気の破壊をもたらさず、したがって、トートまたは包装モジュールのうちの1つ以上を1つの場所に配送し、他を異なる場所に配送することができる。各トートまたは包装モジュールのサイズは、各買い主によって所望される食品の品質に対応するように出荷前に構成することができる。そのようなものとして、トートまたは包装モジュールは、好ましくは、わずか数オンスの食品から50,000ポンドまたは1トン以上も多くの食品を含むようにサイズ決定することができる。加えて、垂直構造は、並んでいる最大数のパレットを出荷するための水平空間要件を最小限化することを促進する。上部空間を水平に広げる実施形態は、上部空間が陽性のままである限り、漏出抵抗を享受しないことに加えて、大規模で経済的に実行可能ではない場合がある。システムあたりの包装モジュールの数は、システムを輸送および/または保存するために使用される貨物輸送手段のサイズおよび包装モジュールのサイズの両方に依存する。システムあたりの包装モジュールの数の具体的実施例は、以下の具体的実施形態の説明に記載される。
【0087】
各包装モジュールのサイズは、約500ポンド以上の二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の出荷品を単一のトートの中へ包装することができるように、十分に大きくなり得る。いくつかの実施形態では、約500ポンドの二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を単一のトートの中へ包装することができ、または代替として約1000ポンド、または代替として約2000ポンド、または代替として約2000ポンドより多くを包装することができる。この大きいサイズは、トートを積み重ねる必要なく、貨物輸送手段が最大容量まで充填されることを可能にし、したがって、ガス上部空間を可能にする。包装モジュールが貨物輸送手段の内部寸法よりも小さい場合、包装モジュールを収納し、積み重ねを可能にするために、足場が採用され得る。
【0088】
別の実施形態では、システムは、1つ以上のトートを備え、各トートは、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を含む。この実施形態では、トートは、酸素除去器を含む別個のモジュールに着脱可能に接続される。別個のモジュールはまた、酸素除去器が水素燃料電池である時に水素源も含む。酸素除去器は、別個のモジュールが接続されるトートの全てから酸素を除去するように作用する。この実施形態では、物理的な燃料電池は、トートの外部にあるが、トートのガス環境と直接連通している。いくつかの実施形態では、アノードおよびカソードで生成される生成物は、トートの内部で維持される。そのような実施形態では、燃料電池は、その生成物がトートの内部で維持されるため、トートの内部にあるものとして解釈される。別の実施形態では、燃料電池によって生成される水は、トートの外部に放出され得る。別の実施形態では、トートは、剛体のトートであり、別個のモジュールはさらに、接続されたトートの中で陽圧を維持するようにガス源を含む。コンテナは随意で、トート内の酸素レベル、水素レベル、および温度、ならびに燃料電池動作を示すインジケータを監視するように、モニタを含む。一実施形態では、モジュールは、包装モジュールと同様のサイズの箱である。別の実施形態では、モジュールは、システムを輸送および/または保存するために使用される貨物輸送手段の壁、蓋、または扉に付加される。
【0089】
いくつかの実施形態では、システムおよび/または貨物輸送手段はまた、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の鮮度を保つのに十分な包装モジュールの温度を維持するための冷却システムも備える。二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の鮮度を保つために必要とされる温度は、この食品の性質に依存する。当業者であれば、システムまたは貨物輸送手段の中で輸送または保存されている物質に必要とされる適切な温度が分かるか、または決定することができるであろう。食品の輸送および/または保存のために、温度は、概して、約30°F(華氏)である。温度は、概して、32〜38°Fの範囲で、より好ましくは32〜35°Fの範囲で、最も好ましくは32〜33°Fまたは28〜32°Fの範囲で維持される。例えば、輸送または保存中に魚を保護するための適切な温度は、32〜35°Fの間である。温度の変動は、温度が食品を保護する範囲内で維持される限り許容される。いくつかの実施形態では、トートはさらに、システムまたはコンテナの温度を監視および/または記録するためのデバイスを備える。そのようなデバイスは、Sensitech、Temptale、Logtag、Dickson、Marathon、Testo、およびHoboを含む、製造業者から市販されている。
【0090】
一実施形態では、システムは、食品保存冷蔵温度で包装モジュールを維持することが可能である。代替として、システムを輸送および/または保存するために使用される貨物輸送手段は、食品保存冷蔵温度で包装モジュールを維持することが可能な冷蔵貨物輸送手段である。
【0091】
輸送または保存中に過剰な水素への食品の暴露を制限することが望ましことが想定される。したがって、いくつかの実施形態では、トートまたはシステムは、トート環境内に存在する水素への食品の暴露を最小限化するように構成される。これは、機械的方法、化学的方法、またはそれらの組み合わせによって、トートまたはシステム内の過剰な水素を除去することによって達成することができる。水素を除去する化学的方法の実施例は、水素を吸収するポリマーまたは他の化合物から成る、水素シンクの使用を含む。水素吸収体として使用するために好適な化合物が当技術分野で公知であり、市販されている(「Hydrogen Getters」Sandia National Laboratories, New Mexico; REB Research & Consulting, Ferndale, MI.)。化合物は、トートの中に存在することができ、または燃料電池のカソードと直接連通することができる。
【0092】
過剰な水素は、トート環境内への水素の流入を調節または遮断するための遮断弁または流量制限器の使用を含む、機械的手段を採用することによって制限することができる。水素の調節は、酸素のレベルが最小設定点を下回る時に水素流量が最小限化または排除されるように、水素源に接続される酸素センサを使用することによって制御することができる。
【0093】
本発明のさらなる側面は、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を輸送および保存する方法を提供する。方法は、上記で説明されるような包装モジュールおよびシステムを利用する。好ましい実施形態では、方法は、包装モジュール内で低減酸素環境を生成するために、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の挿入後に包装モジュール内の酸素を除去することを含む。二酸化炭素吸収酸化的分解性食品に加えて、包装モジュールは、限定された酸素透過性の圧力が安定した密閉可能なトートと、酸素除去器とを備える。包装モジュール内の低減酸素環境は、例えば、真空の印加および/またはトートを洗い流すための低酸素ガス源の導入を介して、トート内の環境を洗い流すことによって生成される。トートの洗浄後、トート内の環境は、低酸素環境である。トートは、初期上部空間が、トートの少なくとも30容量パーセントを占め、上部空間内のガスが、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含むように、初期ガス上部空間を提供するよう低酸素ガスで充填される。次いで、トートは密閉される。
【0094】
別の側面では、本発明は、酸化的分解性食品を輸送および/または保存する方法を提供する。この側面は、本明細書で説明される方法が、出荷コンテナ内の個別トートの中で保存される酸化的分解性食品を包囲する大気環境からの酸素の随意的な周期的除去を可能にすることを規定する。
【0095】
好ましい実施形態では、本発明は、酸化的分解性食品を有するトートから酸素を除去する方法を含み、方法は、
a)トートが、密閉可能なガス入口ポートと、密閉可能なガス出口ポートとを有することであって、両方のポートは、トートの上部空間の中に位置付けられ、トートは、折り畳む、または拡張する時にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、ことと、
b)入口および出口ポートが閉塞されないような量で、酸化的分解性食品をトートに追加することと、
c)トートを密閉することと、
d)トート内の低酸素雰囲気および十分な容積のガス上部空間を提供して、トート内の残りのガス上部空間内の酸素含有量を、約1500ppm以上のレベルまで増加させることなく、食品へのガスの吸収を可能にするよう、出口ポートを通してガスを放出しながら、入口ポートを通してトートに十分な量の低酸素ガス源を注入することによって、そのようなガス源を用いたトートの1回以上の初期洗浄を行うことと、
e)入口および出口ポートを密閉することと、
f)残りのガス上部空間内の酸素濃度が常に1500ppmを超えないように、洗浄した後に、食品へのガス吸収を補償するように十分なガス上部空間が残るように、低酸素ガス源でトートを随意で周期的に洗浄することと、
を含む。
【0096】
低酸素ガス源は、好ましくは、CO2、またはその構成要素のうちの1つとしてCO2を含有するガスの混合物から成る。1つの特定の実施形態では、低酸素ガス源は、100%CO2である。別の実施形態では、低酸素ガス源は、CO2および窒素または他の不活性ガスの混合物である。不活性ガスの例は、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、酸化窒素、亜酸化窒素、およびキセノンを含むが、それらに限定されない。低酸素ガス源の識別は、食品に好適であるものとして様々であり得る。例えば、サケの輸送および保存に使用される低酸素ガス源は、好ましくは、100%CO2である。ティラピア等の他の魚は、好ましくは、低酸素ガス源として60%CO2および40%窒素を使用して、保存または出荷される。
【0097】
包装モジュール内の酸素除去器は、酸素レベルが物質の鮮度の低減または腐敗をもたらすレベル以下にとどまるように、酸素が存在する限り、輸送および/または保存中に操作される。この低減したレベルの酸素は、輸送および/または保存の持続時間にわたって酸素除去器によって維持され得る。低減酸素環境内の酸素のレベルは、1%未満の酸素、より好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.01%未満の酸素である。
【0098】
ある期間後に、食品とトート環境との間のガス交換が自然最小化または停止に達するので、トート内に存在する酸素レベルは、低減したレベルにとどまる。一実施形態では、低酸素ガス源は、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、動作を停止するようにプログラムすることができる。好ましくは、低酸素ガス源は、約0.5〜50時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、より好ましくは、低酸素ガス源は、約1〜25時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、より好ましくは、低酸素ガス源は、約2〜15時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされ、さらにより好ましくは、低酸素ガス源は、約3〜10時間の間の期間後に動作を停止するようにプログラムされる。
【0099】
代替として、低酸素ガス源は、酸素レベルが所定レベル以下に達し、維持されている場合に、動作を停止するようにプログラムすることができる。一実施形態では、酸素レベルは、5%酸素v/v以下に達して維持され、または代替として、酸素レベルは、1%酸素v/v以下に達して維持され、または代替として、酸素レベルは、0.1%酸素v/v以下に達して維持され、または代替として、酸素レベルは、約1500ppm以下の酸素に達して維持される。
【0100】
いくつかの実施形態では、低酸素ガス源を用いた初期洗浄は、酸化的分解性食品の輸送および/保存中に低酸素環境を維持するために十分である。
【0101】
燃料電池がトートの外部にあるモジュールの中に存在する実施形態では、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、または上記で論議されるパラメータに従って酸素レベルが所定レベル以下に達し、維持されている場合に、モジュールを取り除くことができる。トート内の圧力の変化を補償する必要性が最小限化されるため、食品とトート環境との間のガス交換が自然最小化または停止に達した後に、トート内で陽圧を維持するために使用される任意の外部ガス源も除去することができる。
【0102】
好ましい実施形態では、方法は、上記で説明されるような二酸化炭素吸収酸化的分解性物質を輸送または保存するためのシステムに関する。したがって、好ましい実施形態では、方法は、単一の運送用コンテナの中で包装モジュールのうちの1つ以上を輸送または保存することを含む。この実施形態では、個別包装モジュールまたはトートは、システムから別個に取り外し可能である。この特徴は、システム内に残る包装モジュールまたはトートの完全性を乱すことなく、個別包装モジュールまたは包装モジュールのトートの配送を可能にする。
【0103】
次いで、トート、包装モジュール、および/またはシステムは、長期間にわたって、酸化的分解性物質、例えば、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を輸送および/または保存するために使用される。好ましくは、長期間は、1日から100日の間であり、より好ましくは、長期間は、5日から50日の間であり、さらにより好ましくは、長期間は、15日から45日の間である。
【0104】
本明細書で説明される方法は、標準MAP技術または他の標準食品保存方法を使用して可能ではない長期間にわたって、酸化的分解性物質が輸送または保存されることを可能にする。長期間は、酸化的分解性物質の性質によって異なる。本明細書で開示される方法を使用して、少なくとも30日の長期間にわたって保護された方式で、新鮮なサケを保存または輸送できることが想定される。対照的に、低減酸素環境がない場合は、10日から20日の間の期間にわたって保護された方式で、新鮮なサケを保存または輸送することしかできない(実施例を参照)。
【0105】
(実施例)
以下の説明は、本発明で使用することができる具体的実施形態を説明する。具体的実施形態は、本発明の可能な構成および使用のうちの1つにすぎず、決して本発明の制限として解釈されるべきではない。
【0106】
本発明は、サケ等の魚の輸送および保存に特に適している。具体的には、本発明は、養殖チリ産サケが、貨物輸送手段を介して米国内の目的地に出荷されることを可能にする。この輸送の長さ(約30日)は、サケの鮮度を保つための本発明の使用を必要とする。従来、チリ産サケは、サケが腐敗する前に米国内の目的地に到達するために、航空貨物を介して出荷されなければならない。
【0107】
サケは、ケースの中に事前包装される。各ケースは、約38.5ポンドのサケを含む。これらのケースのうちの64個が、1つのトートの中へ配置される。トートは、約50”X42”X130”、42”X50”X130”、または48”X46”X100”でサイズ決定され、ポリ/ナイロン混合材料でできている。トートは、十分なガス上部空間を提供し、CO2(および酸素)吸収を可能にするように、約35%または50%過大にサイズ決定される。トートは、1つの事前密封された端部と、1つの密封可能な端部とを有する。トートは、事前密封された端部を下にしてパレット上に配置される。パレットは、好ましくは、トートを保護し、トートに安定性を提供するように、保護シートで覆われる。54ケースのサケがトートの中で積み重ねられる。トートの概略図が図1に示されている。
【0108】
理想的にはサケのケースと同じ寸法を伴う別の箱が、トートに追加される。この箱は、1つまたは複数の水素燃料電池と、水素源とを含む。水素源は、純粋な水素を含むブラダーである。ブラダーは、輸送および/または保存の持続時間にわたって、水素燃料電池がトート内に存在する酸素を水に変換することを可能にするよう、燃料電池のアノードと直接連通するように構成される。
【0109】
箱はまた、トート内の空気を循環させ、したがって、酸素除去器とトート環境内の酸素との間の接触を促進するように、ファンも含む。ファンは、燃料電池が酸素を水に変換する時に生成されるエネルギーから、または分離されたバッテリによって電力供給される。
【0110】
さらに、箱は、輸送および/または保存の持続時間にわたって温度変化の記録を行うことができるように、温度記録計を含む。同様に、箱は、輸送および/または保存の持続時間にわたって酸素レベルの記録を行うことができるように、酸素レベル記録計を含む。箱はまた、トート内の酸素レベルが特定最大レベルを超える、または温度が特定最大レベルに達する時に関して警告を提供する、インジケータも含む。この具体的実施形態では、インジケータは、酸素レベルが0.1%の酸素を超えた場合、または温度が38°Fを超えた場合に警告する。箱はさらに、水素レベルおよび燃料電池動作を監視するようにモニタを含む。箱はさらに、随意で、箱の中のデバイスの問題を示す、LEDライト等の可視的インジケータを備え、好ましくは、LEDライト等の可視的インジケータとともに、無線周波数伝送等の無線通信を使用して、システムの到着時に、酸素または温度限界を超えた場合にユーザに警告する。
【0111】
次いで、サケのケースおよび箱は、結合され(隅を合わせてひもで縛られ)、トートは、結合スタックの4辺全ての周囲で引っ張り上げられ、トートの開放端が熱融着装置の中へまとめられる。残留酸素が約5%v/v未満、好ましくは約1%v/v未満になるまで、最大100%の二酸化炭素のガス洗浄が行われる。トートは、初期上部空間がトートの約50または30容量パーセントを占めるように、二酸化炭素で過剰充填される。トート内の環境がそのように修正された後、熱融着サイクルが開始され、トートが密閉されて、包装モジュールを形成する。燃料電池は、トート材料を通した、またはトートのシールにおける拡散によって、包装モジュールに導入される酸素を除去するように、輸送および保存の持続時間にわたって動作する。少量の酸素も、包装モジュール内の魚または包装材料によって放出される場合がある。使用される燃料電池の種類は、酸素および水素を水に変換するために外部電源を必要としない、PEM燃料電池である。図3を参照されたい。
【0112】
包装モジュールは、上記で説明されるように構成される付加的な包装モジュールとともに、冷蔵貨物輸送手段に搭載される。図2を参照されたい。この包装モジュールのシステムは、冷蔵海上貨物輸送手段に搭載される。貨物輸送手段は、チリから米国へサケを輸送する。米国内の最初の目的地に到達した後、ある数の包装モジュールが貨物輸送手段から除去される。トートのそれぞれが、酸素を除去するように燃料電池を含むため、低減酸素条件下で、海上貨物輸送手段を介して、または二次陸上あるいは航空貨物輸送手段によって、貨物輸送手段に残っている包装モジュールを他の目的地に輸送することができる。
【0113】
(実施例1)
1つは燃料電池を伴い、もう1つは燃料電池を伴わない、2つの卓上剛体コンテナを構築した。ガスが洗い流され、連続的に(非常に低い圧力で)各コンテナに導入することができるように、密閉可能な蓋を伴う2つの9リットルプラスチック食品保存コンテナを修正した。剛体コンテナの外側から燃料電池の(行き止まりの)アノード側の中へ直接水素も導入されることができるように、市販の燃料電池(Fuel Cell Storeを通して購入される、hydro−GeniusTM Dismantable Fuel Cell Extension Kit)を、1つの9リットル剛体コンテナの蓋の中へ設置した。燃料電池のカソード側は、コンテナのガスが燃料電池カソードに自由にアクセスすることを可能にする、対流プレートを装着された。(水と混合された時の)水素ガスの化学源として、Fuel Cell Storeから水素化ホウ素ナトリウムを購入した。水素を燃料電池の中へ絶えず押し込み、過剰な水素産生および消費に合わせて調整するために、静水圧を印加することができるように、2つのプラスチックボトルから水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)リアクタを構築した。これは、長期間(数日間)にわたって、無人水素産生および燃料電池への導入を可能にした。
【0114】
二酸化炭素シリンダ(ガス)、調節器、弁、および管類を、大型家庭用冷蔵庫とともに購入した。外部二酸化炭素が剛体コンテナの中へ、および水素が燃料電池へと連続的に導入されることを可能にするように、冷蔵庫を配管した。
【0115】
初期酸素レベルがほぼ1%に下がるまでCO2で洗浄し、流入弁を開いたままにして流出弁を閉鎖し、CO2の非常に低い定圧以下で両方のコンテナを維持することによって、卓上システムを試験した。燃料電池が1つのコンテナから残りの酸素を消費している間、(Dansensor)CO2/酸素分析器を使用して、酸素およびCO2濃度を経時的に測定した。燃料電池を伴うコンテナは、酸素レベルを0.1%以下に維持することができる一方で、燃料電池を伴わないコンテナは、酸素レベルを0.3%以下に保持できなかったことが決定された。
【0116】
第1日に、新鮮なチリ産大西洋サケの切り身を地元(Sand City, CA)の小売店から直接購入した。「脂肪がない腰部」が6日前にチリで包装されたことを示すラベルを伴う発泡スチロールコンテナからサケを取り出した。小売店の店員は、6つの切り身(2つずつ)を小売展示トレイの中へ配置し、3つのトレイのそれぞれをストレッチ包装し、重量を量り、ラベルを付けた。
【0117】
これらの3つのパッケージを、氷上で研究室に輸送し、各パッケージの半分を、異なる処理を受けた他方の半分と直接比較することができるように、各トレイを半分に切断した。パッケージの半分を、1.)空気制御、2.)100%CO2、燃料電池酸素除去器なし、3)100%CO2、燃料電池酸素除去器あり、といった3つの処理グループの中へ配置した。3つ全ての処理を、実験の持続時間にわたって華氏36度にて同じ冷蔵庫の中で保存した。酸素およびCO2レベルを毎日監視し、以下で説明されるように官能評価を行った。酸素の最初の除去後、酸素レベルは、器具類によって検出不能なレベルにとどまった。結果が表2に示される。
【0118】
【化3】
実験の持続時間にわたる酸素のレベルが、図4にグラフで示される。
【0119】
(官能評価:)
3つの処理を冷蔵庫の中に入れた7日後に、空気制御がにおいによってわずかに腐敗したと判断され、第8日に36°Fで容認しがたいほど腐敗したと判断された。これは、空気制御の切り身については生産から約13日、および36°Fで7日(未知の温度で最初の6日後)の全保管寿命を確立した。
【0120】
(試験が始まる前の6日を加えた)高CO2環境内での22日後、燃料電池および非燃料電池処理からの切り身をコンテナから取り出し、4人の官能パネリストによって評価した。評価尺度は、5=最も新鮮、4=新鮮、3=わずかに新鮮ではない、2=新鮮ではない、1=容認不可能であった。未加工の官能結果が表3に示されている。
【0121】
【化4】
36°Fで空気中保存のさらに6日後、残りのサンプルを未加工で撮影し、主に異臭(微生物腐敗ではない)および非常に黄色がかかった肉色により、「燃料電池なし」サンプルを食べられないと見なした。「燃料電池」サンプルを、未加工の色およびにおいで新鮮(4)と評定した。次いで、これらのサンプルを調理し、風味および質感について4人のパネリストによって評価し、両方の属性で新鮮(4)と評定した。サケサンプルの視覚的比較が、図5に提示されている。
【0122】
要約すると、「燃料電池」サンプルが、全34日の新鮮保管寿命後に依然として新鮮と評価された一方で、「燃料電池なし」サンプルは容認不可能であった
(実施例2)
図7は、約30容量パーセントの初期上部空間を有する、二酸化炭素を用いたガス洗浄直後の(上記で開示されるような)可撓性トートを示す。トートのそれぞれは、約42”x50”x130”であり、54個の個別カートンに含まれた約2,000〜2,200ポンドの魚を含む。トートの他のサイズも使用することができ、例えば、トートは、50”X42”X130”または48”x46”x100”のサイズを有する。トートを最初に(弁および配管を介して)窒素で洗い流した。約8時間以上後に、燃料電池をオンにする前に、非常に低い酸素レベルを達成するように、トートを二酸化炭素で洗い流した。1回だけのCO2洗浄エピソードおよび燃料電池を使用して、窒素洗浄を置換できることが想定される。最初にトートの中へCO2を流して、90%より多くのCO2に達するように、穴を切り取った(流入および流出)(または配管を使用することができる)。加えて、酸素レベルを約1%の酸素まで低減するために窒素洗浄を採用することができ、その後に弁を閉じ、閉じ込められた酸素が包装および製品から発生ことを可能にするように、少なくとも9時間待つ。その時点で(9時間後)、酸素は、概して、1.5〜2%に上昇しており、トートを最大で少なくとも90%のCO2(1,500ppm未満の酸素)で洗浄し、出荷のために弁を閉じる。このプロセスが「オフライン」で行われ、ほとんどのMAPプロセスが「インライン」で行われるという事実と組み合わせた、(40ポンドのパッケージの代わりに)2,000ポンドのパッケージを取り扱っていたという事実が、長期間にわたる複数のガス洗浄を経済的に実行可能にする。
【0123】
図8は、輸送および保存の17日後の同じ可撓性トートを示す。トートは、トートの輸送および取扱/保存の全体を通した魚へのCO2の吸収に適応するために、トートの内側で最初に大量のCO2を許容した。加えて、初期ガス上部空間は、陰圧が酸素除去によって生成されることを防止した。これらのトートが漏出していなかったこと、および(図7と比較した)図8で見られる収縮の程度が主に輸送の17日間のCO2吸収によるものであることに留意することが重要である。CO2レベルは、輸送および保存の全体を通して90%以上にとどまった。次いで、魚を鮮度について評価した。
【0124】
図9は、約1トンの魚と、水素ブラダーと、燃料電池、トート内の酸素レベルが低減酸素環境として表されるレベルを超えるかどうかを示す酸素インジケータ、ならびに酸素レベル、水素レベル、燃料電池動作、および温度を監視するモニタを備える、箱とを備える、トートを図示する。箱はさらに、箱の中のデバイスのうちのいずれかの問題を示す、LEDライトと、システムの到着時に、酸素または温度(時間および温度)限界を超えた場合にユーザに警告する警告システムとを備える。
【0125】
要約すると、各トートは、約30容量パーセントの初期酸化炭素を含有する上部空間を備えた。トート内のガスは、輸送および取扱の全体を通して90〜100%の間のCO2にとどまり、微生物腐敗の阻止をもたらした。
【0126】
(実施例3)
トート1が、可撓性酸素不透過障壁層3と、入口ポート5と、出口ポート7とを備え、入口ポート5は、低酸素ガス源9に接続される、図10を参照する。トート1は、食品(例えば、魚)11と、上部空間13とを含む。上部空間13は、その中に含まれた食品11に対してトートの有意な過大サイズを提供する。一実施形態では、過大サイズは、トートの最大40%容量パーセントの上部空間を提供する。
【0127】
本明細書で開示される、この独特の構造は、トート1および上部空間13の主要な過大サイズ(図12参照)と、流入(入口)および放出(出口)開口部と、(その後にガス注入が続く、真空とは対照的に)ガス洗浄とを含む。また、トートは、トートの内側に酸化的分解性食品を配置することによって搭載され、トートは、(トートが食品の最上部を覆って配置される際に工場シールが最上部にあることとは対照的に)工場で密閉された端部(閉鎖端部)を下にしてパレット上に位置付けられる。次いで、トートは、食品が、パレットの上に位置して、トートの「内側」に積み重ねられるか、または位置付けられた後に、(食品より上側で)トートの最上部を横断して熱融着される。より低い酸素までトートを通したガス洗浄を促進するために、流入(入口)および放出(出口)開口部がトートで採用される。ガスの流入は、パレットの底部にあるように位置付けられ、流出は、(上から下の洗浄を促すように)反対側の最上部にある。弁または穴(テープで覆われている)を、流入および/または流出に使用することができる。空気よりもはるかに重いCO2が使用される時、トートが、空気を押し上げて排出口の外に押し出すCO2で水泳プールのように充填するように、CO2をトートの底部にゆっくりと流し込むことができる。洗浄後の最後のステップは、排出口(出口ポート)を閉じ、低酸素ガスの流入(入口)を遮断する前に、トートの上部圧力および上部空間を最大限化するように、トートの上部空間領域を膨張させることである。CO2レベルが90+%に達した後に、後続の洗浄/充填が残留酸素の大部分を除去するように、閉じ込められた酸素が包装および腐敗しやすい内容物から拡散することを可能にするよう、ガス流が停止され、トートが数時間から最大1日以上保持される。主要な過大サイズの上部空間は、完全CO2吸収の長い持続時間、および(漏出が存在する場合)トートの中への空気の漏出を妨げるための余剰上部空間によって生成される余剰容器(およびわずかな陽圧)により、必要なままである。
【0128】
図12に示されるように、トート1はまた、可撓性トートの上部空間13の高さを最大化することによって生成される「上部圧力」も利用する。垂直トートに閉じ込められるCO2の高さは、膨張したバルーンのように、陽圧を生成すると考えられる。図12では、トートは、伸張を介して文字通りに加圧されていないが、好適な材料からトートを構築することによって、加圧することができる。一実施例では、トートは、大気圧を上回る約2.2インチ水柱以上の圧力まで膨張させられ、約1.8インチ水柱までの減少が、漏出を検出するために時間を計られる。トートが漏出試験(6分以上)に合格した後、次いで、トートは、ガス洗浄され、最終ガス洗浄が約0.5インチ水柱以下をもたらすことが想定される。トートは、その時点で「バルーン状」である。プラスチックは、垂直に拡張するように構成され、そのような方法および材料は、当技術分野で公知である。初期トート上部圧力は、大気圧より約0.1から約1.0インチ水柱以上の範囲であり得る。加えて、垂直構造は、並んでいる最大数のパレットを出荷するための水平空間要件を最小限化することを促進する。トートの拡張のわずか20%が水平方向であり、残りのガス膨張は垂直方向であり、したがって、トートの「上部圧力」および上部空間高さを生成する。
【0129】
ある実施形態では、複数のガス洗浄と組み合わせた上部空間が、連続酸素監視、または最初の複数のガス洗浄を超えたさらなる周期的ガス洗浄を必要としないように、トートは、(主に、CO2吸収に適応し、空気漏出から保護する/空気漏出を遅延するように)非常に大きな上部空間を収容することができる。初期ガス洗浄は、トートが酸化的分解性食品を伴って密閉されている最初の72時間中に、周期的に続行できることが想定される。代替として、初期ガス洗浄は、トートが密閉されている最初の72時間以下、または代替として、最初の60時間、または代替として、最初の48時間、または代替として、最初の24時間中に続行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存に有用な包装モジュールであって、
a)圧力が安定した密閉トートであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、
b)二酸化炭素吸収酸化的分解性食品と、
c)水素と酸素とを水に変換することが可能な燃料電池と、
d)水素源と
を備え、
e)さらに、初期の前記上部空間は、前記トートの少なくとも30容量パーセントを占め、前記上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、
包装モジュール。
【請求項2】
前記ガス上部空間は、少なくとも約90%の二酸化炭素を含む、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項3】
前記ガス上部空間は、前記トートの内部容積の約30%から約35%を含む、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項4】
前記ガス上部空間は、前記トートの全内部容積の約35%を含む、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項5】
前記トートの内部の水素源を維持するために好適な保持要素をさらに備える、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項6】
前記トート内の前記水素源のための前記保持要素は、前記水素源および前記燃料電池を保持するように構成された箱である、請求項5に記載の包装モジュール。
【請求項7】
前記包装モジュールは、輸送または保存中に前記包装モジュール内で陽圧を維持するためのガス源を含まない、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項8】
前記食品は、魚である、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項9】
前記魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である、請求項8に記載の包装モジュール。
【請求項10】
前記鮮魚は、サケまたはティラピアである、請求項9に記載の包装モジュール。
【請求項11】
前記水素源は、ブラダー水素源または剛体コンテナ水素源から成る群より選択される、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項12】
前記水素源は、二酸化炭素と5容量%未満の水素とを含むガス混合物である、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項13】
ファンをさらに備える、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項14】
前記ファンは、前記燃料電池によって電力供給される、請求項12に記載の包装モジュール。
【請求項15】
1つ以上の包装モジュールを備えた二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存に有用なシステムであって、各包装モジュールは、
i)圧力が安定した密閉トートであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、
ii)二酸化炭素吸収酸化的分解性食品と、
iii)水素と酸素とを水に変換することが可能な燃料電池と、
iv)水素源と
を備え、
v)さらに、初期の前記上部空間は、前記トートの少なくとも30容量パーセントを占め、前記上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、
システム。
【請求項16】
前記初期ガス上部空間は、少なくとも約90%の二酸化炭素を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記初期ガス上部空間は、前記トートの内部容積の約30%から約35%を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記包装モジュールの外部に温度制御システムをさらに備え、前記システムは、前記食品の鮮度を維持するために十分なレベルで、前記モジュールの内側の温度を維持する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記包装モジュールは、前記トートの内部で水素源を維持するために好適な保持要素をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記トート内の前記水素源のための前記保持要素は、前記水素源および前記燃料電池を保持するように構成された箱である、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記包装モジュールは、輸送または保存中に前記包装モジュール内で陽圧を維持するためのガス源を含まない、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記食品は、魚である、請求項16に記載のシステム。
【請求項23】
前記魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記鮮魚は、サケまたはティラピアである、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記水素源は、水素を含むブラダーである、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記水素源は、二酸化炭素と5容量%未満の水素とを含むガス混合物である、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記包装モジュールは、ファンをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
前記ファンは、前記燃料電池によって電力供給される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法であって、
a)包装モジュール内で低減酸素環境を生成するために、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を含む包装モジュールの中の酸素を除去することであって、前記包装モジュールは、圧力が安定した密閉可能なトートであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、燃料電池と、水素源とを備える、ことと、
b)前記トートが初期ガス上部空間を備えるように、不活性ガスで前記トートを洗い流すことであって、前記初期上部空間は、前記トートの少なくとも30容量パーセントを占め、前記上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、ことと、
c)前記トートを密閉することと、
d)前記トート内の前記低減酸素環境を維持するために、酸素が前記トート内に存在する水素によって水に変換されるように、輸送または保存中に前記燃料電池を動作させることと、
d)前記トートの中で物質を輸送または保存することと
を含む、方法。
【請求項30】
前記初期ガス上部空間は、少なくとも約90%の二酸化炭素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記初期ガス上部空間は、前記トートの全内部容積の約30%から約35%を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記輸送または保存することは、5日から50日の間の期間にわたる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記輸送または保存することは、15日から45日の間の期間にわたる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
輸送または保存中に、前記物質の鮮度を維持するために十分な前記トート内の温度を維持することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記包装モジュールは、前記トートの内部で水素源を維持するために好適な保持要素をさらに備える、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記トート内の前記水素源のための前記保持要素は、前記水素源および前記燃料電池を保持するように構成された箱である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記低減酸素環境は、1%未満の酸素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記低減酸素環境は、0.1%未満の酸素を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素と水素とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記低減酸素環境は、窒素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素と窒素と水素とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記食品は、魚である、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
前記魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記鮮魚は、サケまたはティラピアである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記水素源は、水素を含むブラダーである、請求項29に記載の方法。
【請求項47】
前記水素源は、二酸化炭素と5容量%未満の水素とを含むガス混合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項48】
前記燃料電池は、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、動作を停止するようにプログラムされる、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
前記初期期間は、約0.5〜50時間の間である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記燃料電池は、酸素レベルが所定レベル以下に達し、維持されている場合に、動作を停止するようにプログラムされる、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記所定レベルの酸素は、5%酸素v/vを下回る、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記所定レベルの酸素は、1%酸素v/vを下回る、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法であって、
a)圧力が安定した密閉トートを取得することであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、前記上部空間は、二酸化炭素吸収酸化的分解性物質を含み、初期の前記上部空間は、前記トートの少なくとも30容量パーセントを占め、前記上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含み、さらに、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成り、さらに、前記トートは、燃料電池と水素源とを備えるモジュールに接続され、前記燃料電池のアノードは、前記トートの環境と直接連通する、ことと、
b)前記トート内の酸素が前記燃料電池によって水に変換されるように、輸送または保存中に前記燃料電池を動作させることと、
c)前記トートの中で物質を輸送または保存することと
を含む、方法。
【請求項54】
前記初期ガス上部空間は、少なくとも約90%の二酸化炭素を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記初期ガス上部空間は、前記トートの内部容積の約30%から約35%を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記モジュールは、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、前記トートから断絶される、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記初期期間は、約0.5〜50時間の間である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記モジュールは、酸素レベルが所定レベル以下に達し、維持されている場合に、前記トートから断絶される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記所定レベルの酸素は、5%酸素v/vを下回る、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記所定レベルの酸素は、1%酸素v/vを下回る、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
酸化的分解性食品を有するトートから酸素を除去する方法であって、
a)トートが、密閉可能なガス入口ポートと、密閉可能なガス出口ポートとを有することであって、両方のポートは、前記トートの上部空間の中に位置付けられ、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料を含む、ことと、
b)前記入口および出口ポートが閉塞されないような量で、酸化的分解性食品を前記トートに追加することと、
c)前記トートを密閉することと、
d)前記出口ポートを通してガスを放出しながら、前記入口ポートを通して前記トートに十分な量の低酸素ガス源を注入することによって、そのようなガス源を用いた前記トートの1回以上の初期洗浄を行うことにより、前記トート内に残っているガス上部空間内の酸素含有量を約1500ppmより上のレベルまで増加させることなく、前記トート内の低酸素雰囲気と、前記食品へのガスの吸収とを可能にするために十分な容積のガス上部空間を提供することと、
e)前記入口および出口ポートを密閉することと、
f)洗浄した後、前記食品へのガス吸収を補償するために十分なガス上部空間が残るように、低酸素ガス源で前記トートを随意で周期的に洗浄することであって、残っているガス上部空間内の酸素濃度は、常に1500ppmを超えない、ことと
を含む、方法。
【請求項62】
前記トートの前記上部空間は、前記トートの内部容積の約20%から約40%を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記トートは、酸素センサをさらに備える、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記低酸素ガスは、二酸化炭素を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記低減酸素環境は、窒素を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素と窒素とを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記食品は、魚である、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
前記魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記鮮魚は、サケまたはティラピアである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記低酸素ガス源は、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、動作を停止するようにプログラムされる、請求項61に記載の方法。
【請求項72】
前記初期期間は、約0.5〜50時間の間である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記トートは、大気圧を約0.1インチから約1.0インチ水柱上回る初期「上部圧力」を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項74】
二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法であって、
a)低減酸素環境を生成するために、酸化的分解性食品を含むトートの中の酸素を除去することであって、前記トートは、
限定された酸素透過性の可撓性、折り畳み式、または拡張型材料であって、前記材料は、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない、材料と、
密閉可能なガス入口ポートおよび密閉可能なガス出口ポートであって、両方のポートは、前記トートの上部空間の中に位置付けられる、密閉可能なガス入口ポートおよび密閉可能なガス出口ポートと、
前記トートとガス連通している低酸素ガス源とを備える、ことと、
b)前記トートを密閉することと、
c)洗浄した後、前記食品へのガス吸収を補償するために十分なガス上部空間が残るように、低酸素ガス源で前記トートを随意で周期的に洗浄することであって、残っているガス上部空間内の酸素濃度は、常に1500ppmを超えない、ことと
d)前記トートの中で前記食品を輸送または保存することと
を含む、方法。
【請求項75】
前記輸送または保存することは、5日から50日の間の期間にわたる、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記輸送または保存することは、15日から45日の間の期間にわたる、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記トートは、大気圧を約0.1インチから約1.0インチ水柱上回る初期「上部圧力」を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項1】
二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存に有用な包装モジュールであって、
a)圧力が安定した密閉トートであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、
b)二酸化炭素吸収酸化的分解性食品と、
c)水素と酸素とを水に変換することが可能な燃料電池と、
d)水素源と
を備え、
e)さらに、初期の前記上部空間は、前記トートの少なくとも30容量パーセントを占め、前記上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、
包装モジュール。
【請求項2】
前記ガス上部空間は、少なくとも約90%の二酸化炭素を含む、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項3】
前記ガス上部空間は、前記トートの内部容積の約30%から約35%を含む、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項4】
前記ガス上部空間は、前記トートの全内部容積の約35%を含む、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項5】
前記トートの内部の水素源を維持するために好適な保持要素をさらに備える、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項6】
前記トート内の前記水素源のための前記保持要素は、前記水素源および前記燃料電池を保持するように構成された箱である、請求項5に記載の包装モジュール。
【請求項7】
前記包装モジュールは、輸送または保存中に前記包装モジュール内で陽圧を維持するためのガス源を含まない、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項8】
前記食品は、魚である、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項9】
前記魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である、請求項8に記載の包装モジュール。
【請求項10】
前記鮮魚は、サケまたはティラピアである、請求項9に記載の包装モジュール。
【請求項11】
前記水素源は、ブラダー水素源または剛体コンテナ水素源から成る群より選択される、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項12】
前記水素源は、二酸化炭素と5容量%未満の水素とを含むガス混合物である、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項13】
ファンをさらに備える、請求項1に記載の包装モジュール。
【請求項14】
前記ファンは、前記燃料電池によって電力供給される、請求項12に記載の包装モジュール。
【請求項15】
1つ以上の包装モジュールを備えた二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存に有用なシステムであって、各包装モジュールは、
i)圧力が安定した密閉トートであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、
ii)二酸化炭素吸収酸化的分解性食品と、
iii)水素と酸素とを水に変換することが可能な燃料電池と、
iv)水素源と
を備え、
v)さらに、初期の前記上部空間は、前記トートの少なくとも30容量パーセントを占め、前記上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、
システム。
【請求項16】
前記初期ガス上部空間は、少なくとも約90%の二酸化炭素を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記初期ガス上部空間は、前記トートの内部容積の約30%から約35%を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記包装モジュールの外部に温度制御システムをさらに備え、前記システムは、前記食品の鮮度を維持するために十分なレベルで、前記モジュールの内側の温度を維持する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記包装モジュールは、前記トートの内部で水素源を維持するために好適な保持要素をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記トート内の前記水素源のための前記保持要素は、前記水素源および前記燃料電池を保持するように構成された箱である、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記包装モジュールは、輸送または保存中に前記包装モジュール内で陽圧を維持するためのガス源を含まない、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記食品は、魚である、請求項16に記載のシステム。
【請求項23】
前記魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記鮮魚は、サケまたはティラピアである、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記水素源は、水素を含むブラダーである、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記水素源は、二酸化炭素と5容量%未満の水素とを含むガス混合物である、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記包装モジュールは、ファンをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
前記ファンは、前記燃料電池によって電力供給される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法であって、
a)包装モジュール内で低減酸素環境を生成するために、二酸化炭素吸収酸化的分解性食品を含む包装モジュールの中の酸素を除去することであって、前記包装モジュールは、圧力が安定した密閉可能なトートであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成る、トートと、燃料電池と、水素源とを備える、ことと、
b)前記トートが初期ガス上部空間を備えるように、不活性ガスで前記トートを洗い流すことであって、前記初期上部空間は、前記トートの少なくとも30容量パーセントを占め、前記上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含む、ことと、
c)前記トートを密閉することと、
d)前記トート内の前記低減酸素環境を維持するために、酸素が前記トート内に存在する水素によって水に変換されるように、輸送または保存中に前記燃料電池を動作させることと、
d)前記トートの中で物質を輸送または保存することと
を含む、方法。
【請求項30】
前記初期ガス上部空間は、少なくとも約90%の二酸化炭素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記初期ガス上部空間は、前記トートの全内部容積の約30%から約35%を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記輸送または保存することは、5日から50日の間の期間にわたる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記輸送または保存することは、15日から45日の間の期間にわたる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
輸送または保存中に、前記物質の鮮度を維持するために十分な前記トート内の温度を維持することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記包装モジュールは、前記トートの内部で水素源を維持するために好適な保持要素をさらに備える、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記トート内の前記水素源のための前記保持要素は、前記水素源および前記燃料電池を保持するように構成された箱である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記低減酸素環境は、1%未満の酸素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記低減酸素環境は、0.1%未満の酸素を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素と水素とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記低減酸素環境は、窒素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素と窒素と水素とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記食品は、魚である、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
前記魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記鮮魚は、サケまたはティラピアである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記水素源は、水素を含むブラダーである、請求項29に記載の方法。
【請求項47】
前記水素源は、二酸化炭素と5容量%未満の水素とを含むガス混合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項48】
前記燃料電池は、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、動作を停止するようにプログラムされる、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
前記初期期間は、約0.5〜50時間の間である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記燃料電池は、酸素レベルが所定レベル以下に達し、維持されている場合に、動作を停止するようにプログラムされる、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記所定レベルの酸素は、5%酸素v/vを下回る、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記所定レベルの酸素は、1%酸素v/vを下回る、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法であって、
a)圧力が安定した密閉トートを取得することであって、前記トートは、限定された酸素透過性および画定された上部空間を有し、前記上部空間は、二酸化炭素吸収酸化的分解性物質を含み、初期の前記上部空間は、前記トートの少なくとも30容量パーセントを占め、前記上部空間内のガスは、酸素以外の少なくとも99容量パーセントのガスを含み、さらに、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料から成り、さらに、前記トートは、燃料電池と水素源とを備えるモジュールに接続され、前記燃料電池のアノードは、前記トートの環境と直接連通する、ことと、
b)前記トート内の酸素が前記燃料電池によって水に変換されるように、輸送または保存中に前記燃料電池を動作させることと、
c)前記トートの中で物質を輸送または保存することと
を含む、方法。
【請求項54】
前記初期ガス上部空間は、少なくとも約90%の二酸化炭素を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記初期ガス上部空間は、前記トートの内部容積の約30%から約35%を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記モジュールは、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、前記トートから断絶される、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記初期期間は、約0.5〜50時間の間である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記モジュールは、酸素レベルが所定レベル以下に達し、維持されている場合に、前記トートから断絶される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記所定レベルの酸素は、5%酸素v/vを下回る、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記所定レベルの酸素は、1%酸素v/vを下回る、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
酸化的分解性食品を有するトートから酸素を除去する方法であって、
a)トートが、密閉可能なガス入口ポートと、密閉可能なガス出口ポートとを有することであって、両方のポートは、前記トートの上部空間の中に位置付けられ、前記トートは、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない可撓性、折り畳み式、または拡張型の材料を含む、ことと、
b)前記入口および出口ポートが閉塞されないような量で、酸化的分解性食品を前記トートに追加することと、
c)前記トートを密閉することと、
d)前記出口ポートを通してガスを放出しながら、前記入口ポートを通して前記トートに十分な量の低酸素ガス源を注入することによって、そのようなガス源を用いた前記トートの1回以上の初期洗浄を行うことにより、前記トート内に残っているガス上部空間内の酸素含有量を約1500ppmより上のレベルまで増加させることなく、前記トート内の低酸素雰囲気と、前記食品へのガスの吸収とを可能にするために十分な容積のガス上部空間を提供することと、
e)前記入口および出口ポートを密閉することと、
f)洗浄した後、前記食品へのガス吸収を補償するために十分なガス上部空間が残るように、低酸素ガス源で前記トートを随意で周期的に洗浄することであって、残っているガス上部空間内の酸素濃度は、常に1500ppmを超えない、ことと
を含む、方法。
【請求項62】
前記トートの前記上部空間は、前記トートの内部容積の約20%から約40%を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記トートは、酸素センサをさらに備える、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記低酸素ガスは、二酸化炭素を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記低減酸素環境は、窒素を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記低減酸素環境は、二酸化炭素と窒素とを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記食品は、魚である、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
前記魚は、サケ、ティラピア、マグロ、エビ、マス、ナマズ、タイ、シーバス、シマスズキ、レッドドラム、コバンアジ、コダラ、メルルーサ、オヒョウ、タラ、およびホッキョクイワナから成る群より選択される鮮魚である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記鮮魚は、サケまたはティラピアである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記低酸素ガス源は、ガス交換の自然最小化または停止を可能にするために十分である初期期間後に、動作を停止するようにプログラムされる、請求項61に記載の方法。
【請求項72】
前記初期期間は、約0.5〜50時間の間である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記トートは、大気圧を約0.1インチから約1.0インチ水柱上回る初期「上部圧力」を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項74】
二酸化炭素吸収酸化的分解性食品の輸送および/または保存の方法であって、
a)低減酸素環境を生成するために、酸化的分解性食品を含むトートの中の酸素を除去することであって、前記トートは、
限定された酸素透過性の可撓性、折り畳み式、または拡張型材料であって、前記材料は、折り畳む場合、または拡張する場合にパンクしない、材料と、
密閉可能なガス入口ポートおよび密閉可能なガス出口ポートであって、両方のポートは、前記トートの上部空間の中に位置付けられる、密閉可能なガス入口ポートおよび密閉可能なガス出口ポートと、
前記トートとガス連通している低酸素ガス源とを備える、ことと、
b)前記トートを密閉することと、
c)洗浄した後、前記食品へのガス吸収を補償するために十分なガス上部空間が残るように、低酸素ガス源で前記トートを随意で周期的に洗浄することであって、残っているガス上部空間内の酸素濃度は、常に1500ppmを超えない、ことと
d)前記トートの中で前記食品を輸送または保存することと
を含む、方法。
【請求項75】
前記輸送または保存することは、5日から50日の間の期間にわたる、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記輸送または保存することは、15日から45日の間の期間にわたる、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記トートは、大気圧を約0.1インチから約1.0インチ水柱上回る初期「上部圧力」を含む、請求項74に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−509185(P2013−509185A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537031(P2012−537031)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054421
【国際公開番号】WO2011/053676
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508308824)グローバル フレッシュ フーズ (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054421
【国際公開番号】WO2011/053676
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508308824)グローバル フレッシュ フーズ (3)
【Fターム(参考)】
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