説明

腐食バリヤを備えたシール装置及び方法

反応活性種がOリングと接触するのを制限するためにOリング装置においてガードバリヤが使用されている。ガードバリヤは、反応活性種に曝されるようにチャンバ通路において支持されている。Oリングへの反応活性種のアクセスを制限するために、防護リングをさらにチャンバ通路内へチャンバ内部に向かって周囲で弾性的に付勢するためにOリングが圧縮される。通路は、バリヤが押し付けられる、狭まる面を使用することができる。バリヤは、チャンバ通路内へ付勢されることに応答して変化することができる環形状を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本願は、2005年7月7日に出願された米国特許仮出願第60/698205号明細書の優先権及び利益を請求し(代理人整理番号MAT-22PRO)、その開示内容全体は引用したことによりここに記載されたものとする。
【0002】
背景
本発明は概してOリングシールに関し、特に腐食性材料をシールするために使用されるOリングシールに関する。
【0003】
様々な半導体プロセス用途(及びその他の非半導体関連用途)において、所要のシール結合性を維持するために固定シールが使用されている。シール結合性は、複数の条件を維持するためのシールの能力によって規定され、この条件は、(a)プロセス環境における又はその近傍における圧力差又は所要の環境隔離レベル−制御された周囲空気−及び/又は(b)所要の清浄レベル(Oリング劣化生成物による粒子発生及び/又は汚染の不在によって規定される)とを含む。固定シールの決定的な構成部材の1つはOリングである。Oリングは通常、エラストマ、過フッ化炭化水素又はその他の熱可塑性材料及び金属から概して成形されたトーラス又はドーナツ状の構成部材である。多くの用途(半導体製造用途を含む)において、Oリングはしばしば、Oリングと反応してOリングを劣化させかつ早期に故障させる反応活性種(化学的ラジカル又はイオン又は中性又はこれらの種の幾つかの組合せ)、高エネルギ及び/又は高密度の光子及び/又は熱エネルギに曝される。Oリング劣化に対する現在の産業上のソリューションは、反応活性種、高エネルギ及び/又は高密度の光子及び熱的劣化による攻撃に対して耐性の材料からOリングを製造することを含む。このことは、極めて高価でかつ、所要の耐用寿命、清浄度及び熱的な使用温度を依然として満たさないOリングを提供する。
【0004】
Oリング劣化プロセスは通常、Oリングの材料に、化学的結合の変化を生じさせ、これが1つ又は2つ以上の故障メカニズムを生じる。故障メカニズムは、熱的、化学的及び衝撃的反応によって駆動される。Oリング故障という表現は、粒子化(1つ又は複数の基本的Oリング材料の劣化による粒子の発生)を含み、Oリング材料の腐食及びOリングのポリマ構成部材の亀裂発生は、シール結合性の損失を生ぜしめる可能性がある。Oリング故障は、前の故障メカニズムの1つ又は2つ以上から生じる可能性がある。劣化プロセスは、Oリング材料の加熱によって加速される可能性がある。Oリングの加熱はしばしば、プロセス環境からの直接的及び/又は間接的な加熱の結果である。Oリング腐食、粒子及び/又は亀裂を生じる、Oリングへの化学的攻撃はしばしば、Oリングの"エッチング"と呼ばれている。
【0005】
Oリングのほとんどの用途において、Oリング表面の一部は、Oリングを劣化させる能力を有する環境に曝される。例えば、以下のOリング/シール概念は、Oリングのための典型的な用途を示しており、これらの用途において、Oリングの一部は、Oリングのシール結合性を劣化させる潜在性を有する劣悪な環境に曝される。Oリンググランドと反応性プロセス環境との結合は小さいが、反応活性種はOリンググランド内に拡散することができ、ここで、反応活性種はOリングと反応することができ、次第にOリングを劣化させる。
【0006】
図7a〜cは、概して参照符号10によって示された従来の面シールOリング構成の概略的な図である。反応性プロセス環境12は単純なOリングシールを使用することによって周囲環境14から隔離されている(単純なOリング溝又はグランド18と組み合わされたOリング16)。"面"シールが採用されるほとんどの用途において、シールは固定シールタイプであり、この場合、面シールグランドを形成する面の相対的な移動は生じない。図7aにおいて、Oリング16は、力24を加えるために第1の構成部材20と第2の構成部材22との間に捕捉されており、力24はOリングを圧縮し、グランド18を形成した構成部材表面の間においてシールを形成する。力24は、第1の構成部材20を第2の構成部材22に対して圧縮することから引き出されることができる。
【0007】
図7bにおいて、Oリング表面の部分30は、反応活性種32を含む反応性プロセス環境12への通路を共有する。図7cにおいて、反応性プロセス環境からの反応活性種32がOリング溝開放空間内へ拡散し、Oリングが間もなく故障するであろう点にまでOリング16をエッチングしている。
【0008】
従来技術は、Oリングを反応活性種から保護しようとすることにおける多数のその他のアプローチを含む。例えば、1つのアプローチは、反応活性種へのOリングの暴露を制限することが意図されたバリヤを提供することを試みている。特定の例は米国特許第6245149号明細書であり、以下149特許と呼ぶ。この特許は、Oリングを保護することを試みることにおいて面シール構成に依存するバリヤを開示している。これに関して、バリヤは、Oリングを収容するグランド又は溝内のOリングに隣接してかつOリングの内部に単に挿入されているように見える。つまり、バリヤのための空間を提供すること以外に、Oリンググランドの特定の変更が必要ないように見える。バリヤ及びOリングは、チャンバ蓋とボディとの間に並置された関係で独立して圧縮されるように見え、圧縮力に応答する、Oリングとバリヤとの間の接触又は協働についての言及はない。さらに、この特許は、少なくとも長さ方向収縮を受ける材料からバリヤを形成することを考慮しており、バリヤの長さ方向収縮を補償する"摺動可能に接続された"構成を有することにおいてバリヤの向き合った端部の構成に著しい注意を向けている。149特許の構成は、バリヤエレメントを収縮させる等の複雑な要因を取り扱うことに関する著しい挑戦を課すことが考慮されており、面シール構成に制限されている。
【0009】
関連技術の前記の例及び関連技術に関する制限は、例示的であり、排他的ではないと意図されている。関連技術のその他の制限は、明細書を読み、図面を検討することによって当業者に明らかとなるであろう。
【0010】
開示の概要
以下の実施形態及び実施形態の態様は、典型的かつ例示的であることが意味され、範囲を制限するものではないシステム、ツール及び方法に関連して説明及び例示される。様々な実施形態において、上述の問題の1つ又は2つ以上は減少又は排除されるのに対し、その他の実施形態はその他の改良に向けられている。
【0011】
防護/腐食バリヤ及び関連する方法は、腐食性及び/又は反応活性種がOリングと接触するのを回避するためにOリングシール装置において使用されている。開示の1つの態様において、バリヤは、様々な構成を介して、シールされた間隙内に強制されることができる。シールされた間隙内に強制される場合、バリヤは、反応活性種によるOリングへのアクセスを有効に低減し、例えば、延長されたOリング寿命及び/又はより高価でないOリング材料を使用する可能性を提供する。
【0012】
開示の別の態様において、第1チャンバ部分と第2チャンバ部分とは、協働してチャンバ内部を形成するために、及び係合した位置において通路を協働して形成するために、係合した位置において使用され、前記通路は、チャンバ装置の外部からチャンバ内部へ通じている。シール装置は、係合した位置において通路をシールする。シール装置は、反応活性種に曝されるために通路に支持された防護リング装置と、通路における防護リング装置に隣接してかつこの防護リングのすぐ外側において通路に配置されたOリングとを含み、これにより、Oリングは圧縮され、防護リング装置をさらに通路内へチャンバ内部に向かって周囲において弾性的に付勢し、これにより、チャンバ内部からOリングへの反応活性種の通過を制限する。
【0013】
開示の別の態様において、チャンバは、シール面を有する第1チャンバ部分を含む。第2のチャンバ部分は、第1のチャンバ部分のシール面から鋭角に配置されたテーパ面を有する。腐食バリヤは、シール面とテーパ面とに当て付けられて配置されている。Oリングは、シール面に当て付けられて配置されており、腐食バリヤに付勢力を加えるために第1及び第2のチャンバ部分によって支持されており、これにより、腐食バリヤはシール面とテーパ面とに同時に係合する。Oリングにとって腐食性である腐食種は、腐食バリヤに対してOリングとは反対側において配置されている。
【0014】
開示のさらに別の態様において、Oリングシール装置のための腐食バリヤ及び関連した方法が記載されている。装置は環状の構成を有しており、この環状の構成は、(i)第1チャンバ部分のシール面上に配置される第1の表面領域、(ii)シール面に対して鋭角に配置された第2チャンバ部分のテーパ面に対して配置される第2の表面領域、(iii)腐食バリヤが同時に鋭角を横切ってシール面及びテーパ面に係合しかつ腐食バリヤが、反応活性種が隣接するOリングに到達するのを遅らせるように、弾性的な付勢力に応答して、環状の構成を変化させることを提供するために形成されるように、Oリングからの付勢力を受容する第3の表面領域を形成している。1つの特徴において、腐食バリヤは弾性材料を使用して形成されている。別の特徴において、腐食バリヤは、弾性的な付勢力に関して実質的に剛性でありかつ、腐食バリヤの環状の移動を提供するために付勢力の変化に応じて変化する幅を有する間隙を形成する材料を使用して形成されている。さらに別の特徴において、間隙は、間隙を通る反応活性種のための延長した通路を提供する、腐食バリヤを通る方向で見た傾斜切断部として形成されている。
【0015】
上述の典型的な態様及び実施形態に加え、別の態様及び実施形態が、図面を参照することによって及び以下の説明を検討することによって明らかになるであろう。
【0016】
図面の簡単な説明
本開示は、以下に簡単に説明される図面に関連した以下の詳細な説明を参照することにより理解される。
【0017】
図1aは、本発明に従って構成されたシール装置を有するチャンバ装置を正面で示す概略的な断面図である。
【0018】
図1bは、三角形の腐食バリヤと共にOリングを示す、図1aの実施形態におけるシール領域のさらに拡大された概略図である。
【0019】
図2は、シール装置における円形の腐食バリヤを備えたOリングを示す別の実施形態の断面図である。
【0020】
図3は、シール装置における三角形の腐食バリヤを備えたOリングを示すさらに別の実施形態の断面図である。
【0021】
図4は、グランド又は面シールにおける三角形の腐食バリヤを備えたOリングを示すさらに別の実施形態の断面図である。
【0022】
図5は、2片腐食バリヤ装置を示す実施形態の断面図である。
【0023】
図6は、ここではその構造に関する別の詳細を示すために示された、図1a及び1bの腐食バリヤの側面図である。
【0024】
図7a〜cは、ここではOリングに対する反応活性種の潜在的な不都合な効果を示すために示された、Oリングを使用した従来のシール装置の平面断面図である。
【0025】
詳細な説明
以下の説明は、当業者が発明を形成及び使用することを可能にするために示され、特許出願及びその要求に関連して提供される。記載された実施形態に対する様々な変更は当業者に容易に明らかになり、ここでの一般的原理はその他の実施形態に適用されることができる。したがって、本発明は、示された実施形態に制限されることが意図されるのではなく、添付された請求項の範囲内で定義されるような、択一例、変更例及び均等物を含む、ここに記載された原理及び特徴と一致した最も広い範囲に一致させられる。図面は実寸ではなく、該当する特徴を最もよく示すと考えられる形式で本質的に概略的である。さらに、同じ参照符号は、この開示を通じて、実用的である場合にはいつでも、同じ構成部材に適用される。例えば、上/下、右/左、前/後等の説明的な用語は、図面に提供される様々な観点に関して、読み手の理解を高める目的で採用されており、制限するものであることは全く意図されていない。
【0026】
注意はここですぐに様々な図面に向けられ、これらの図面において同じ参照符号は、実用的な場合はいつでも同じ構成部材に当てはまるように使用されている。図1aは、参照符号50によって概略的に示されているチャンバ装置を示す正面における断面図である。チャンバ装置50はシール装置100を使用している。シール装置はOリング102を有しており、このOリングは、環状の構成を有する腐食バリヤ又は防護リング104に隣接して位置決めされており、この例においては、三角形の断面を有している。チャンバ装置は、第1チャンバ部分106と第2チャンバ部分108とを使用してシール装置100を支持している。第1チャンバ部分は、腐食バリヤ104及びOリング102の環状の構成によって取り囲まれるように、概して円筒状であることができる。第2チャンバ部分108は、この例において、第1チャンバ部材110aと第2チャンバ部材110bとを含んでおり、第2チャンバ部材は、あらゆる適切な形式で第1チャンバ部材110aに取付け可能である。第1チャンバ部分及び第2チャンバ部分は、シール装置100を支持する目的で、係合した位置に示されている。例示された構成は典型的であり、あらゆる適切なチャンバ構成が使用されることができる。
【0027】
ここで、図1aに関連した図1bを参照すると、図1bは、チャンバ装置50内のシール装置100の領域の拡大された部分的に切り取られた図を、シール装置の構造の別の詳細を示すために提供している。Oリング102及び腐食バリヤ104は第1チャンバ部分106のシール面112と接触している。腐食バリヤ104は、第2のチャンバ部分108のテーパ面114とも接触している。第2チャンバ部材110bの付勢面116はOリング102に対して押し付けられ、腐食バリヤ104に対して合力ベクトル118を提供する。この開示を通じて腐食バリヤは同じ意味で防護リング、又はOリングガード又は腐食バリヤと呼ばれる。腐食種32はこれにより、Oリング102に接触することが制限される。第1チャンバ部分106と第2チャンバ部分108とは、図示された係合した位置に組み立てられると、相俟って通路126を形成し、この通路は有利には回り道を形成するが、このような回り道は要求条件ではない。係合した位置において、第1チャンバ部分及び第2チャンバ部分は協働してOリング102を圧縮し、これにより、シール装置100をさらに通路126内へチャンバ装置の内部127に接近する方向に周囲において弾性的に付勢する。すなわち、圧縮されると、OリングはOリングガードに対して押し付けられ、Oリンググランドと反応性プロセス環境との間の通路又は接続部の断面積が最小限にされる。このことは、反応活性種がOリンググランド内へ拡散することができる速度を最小限にするという有利な効果を有する。なぜならば、Oリンググランドをチャンバ内部に接続するチャネル/通路の寸法が減少させられるからである。反応活性種がOリンググランド内へ拡散することができる速度を減速させることは、反応活性種がOリングを劣化させる速度を減少させ、これにより、Oリングが所要のシール結合性を提供することができると予測される期間を延長させる。
【0028】
図1bを参照すると、通路126はOリングの位置からチャンバ内部にまで延びている。Oリングによって防護リングシール装置に提供される付勢合力は、装置を通路内へ押し込むために働く。通路は、Oリングからチャンバ内部に到達するまでに、様々な形状を採ることができる。通路の形状における全てのこのような変更は、Oリングによって提供される付勢合力に応じて第1チャンバ部分と第2チャンバ部分との間に防護リングをくさび式に係合又は捕捉させるように通路が狭まっている限りは本明細書の開示範囲に含まれると考えられる。この実施において、防護リングの適切な断面形状は、円形、楕円形、三角形を含むがこれらに限定されることはない。
【0029】
シール装置100は慣用のOリングシール装置の代わりに使用されることができる。典型的な用途は、製造プロセシング機器、特に真空又は圧力チャンバ等の容器を含む。シール装置100は、液密又は気密シールが要求されるあらゆる個所において使用されることができる。用途は、特に、製造機器、消費者製品、自動車、航空宇宙、高/低温度、高圧、真空用途を含む。
【0030】
再び図1a及び1bを参照すると、シール装置100によって提供されるシールは概して、通路126を横切るOリング102によって行われている。シールの両側における圧力差は、第1チャンバ部分106と第2チャンバ部分108とに対するOリング102のシーリングによって維持されている。反応性ガス又は液体等の、シールの内側における潜在的に腐食性の種32は、腐食バリヤ104によって、Oリング102に接触することを妨げられている。
【0031】
Oリング102は、シールの外側とチャンバ内側122との間のシールに作用するために十分な材料から構成されている。Oリング102はあらゆるタイプの適切な材料から製造されることができる。幾つかの場合には、材料は、極めて良好なシールを提供するように選択されることができるが、シールのチャンバ内側における材料と僅かに又は極めて反応性であることができる。別の場合には、材料は、十分なシーリング性能を提供するように選択されることができるが、耐腐食性を有することができる。予測される耐用寿命、Oリングを検査及び交換することの容易性、材料コスト及び入手可能性、又はあらゆるその他の要因を含む多くの要因が材料選択を決定する。
【0032】
腐食バリヤ/防護リング104は、シールのチャンバ内側に存在することができるどのような反応活性種に対しても非反応性であることが知られる材料から製造されることができる。腐食バリヤ104は、腐食種の分子がOリング102に接触することを機械的に妨害するプラグとして働く。幾つかの実施形態において、腐食バリヤ104は、あらゆる腐食種に対して中和化学反応を行う材料から製造されることができる。このような場合、あらゆる反応活性種は、腐食種を中和させることに加え、Oリング102に接触することを実質的に機械的に妨害される。
【0033】
その他の実施形態において、腐食バリヤ104は化学的に中性の材料から製造されることができる。このような実施形態は、腐食バリヤ104と反応活性種との化学反応が、シールされたチャンバ内に望ましくない汚染物を導入する場合に有効である。
【0034】
腐食バリヤ104はシール面112とテーパ面114との間において圧搾される。テーパ面114は、シール面112に対して鋭角を成している。
【0035】
材料選択に依存して、腐食バリヤ104は、第1チャンバ部分106と第2チャンバ部分108との間においてシールの第2の側122の方向に押し出される傾向を有する。テーパ面114が、シール面112に対して垂直に近くなるように形成されている場合、腐食バリヤ104は、幾つかの状況において押し出されにくくなる。しかしながら、腐食バリヤ104によってシール面112に対して提供される力は小さくなる。テーパ面114がシール面112に対してより鋭角に角度付けられていると、腐食バリヤは押し出されやすくなるが、シール面112に加えられる力もより大きくなる。腐食バリヤ104は、弾性材料から製造されており、装着時及びOリング102から力118が加えられる前に腐食バリヤ104がシールの第2の側122に向かって付勢されるように寸法決めされている。
【0036】
適切なシールのための適当なジオメトリの選択は、Oリング102の組成、Oリングへの係合力の大きさ、腐食バリヤ104の組成、様々なチャンバ部分の公差、シールの様々な構成部材に提供される所望の力、及びその他の要因に依存することができる。
【0037】
この実施例では、腐食バリヤ104の断面形状は実質的に三角形である。幾つかの実施形態において、腐食バリヤ104は、二等辺三角形、直角三角形、あらゆるその他の三角形、矩形、正方形、円形、楕円形、菱形、及び同様のものを含むあらゆる形状であることができる。幾つかの実施形態において、腐食バリヤ104は、Oリング102に隣接して凹んだ側を有することができる。多くの場合に、腐食バリヤ104の面は、シール面112及びテーパ面114に対して実質的に平坦であるように位置決めされることができる。
【0038】
"Oリング"の断面形状は、円形、矩形、楕円形、三角形、X字形、又はその他の所望のあらゆる形状を含むあらゆる形状であることができる。
【0039】
第2のチャンバ部材110bは、面116から付勢力を提供するのに十分なあらゆる機械的な方法によって取り付けられている。この全体的な開示を考慮して、様々なジオメトリ及び機構が当業者によって使用されることができる。
【0040】
幾つかの用途において、様々な構成部材の間の移動を許容しかつシールを行うのを助けるために、Oリング102及び腐食バリヤ104の面において真空グリース又はその他の潤滑剤が使用されることができる。その他の用途、例えばシールの両側における圧力差が小さい場合、高温が存在する場合、真空グリース又は潤滑剤がチャンバを汚染するおそれがある場合、又はその他の理由の場合は、真空グリース又は潤滑剤を必要としない。
【0041】
腐食種32は、Oリング102の性能を劣化させるあらゆるタイプの作用物質であることができる。例えば、腐食種は、化学的に反応性のラジカル、イオン、中性、又はこれらの組合せを含むことができる。さらに、高エネルギ又は高密度光子はOリング性能を劣化させる。高い熱エネルギ及び様々な放射源は、Oリング性能を劣化させかつOリング故障を促進する潜在的に腐食性の種の別の例である。
【0042】
図2は、腐食バリヤを含むシール装置の別の実施形態200を断面図で示している。Oリング202は腐食バリヤ204に隣接している。シールは第1チャンバ部分206と第2チャンバ部分208との間に含まれている。第2チャンバ部分208は、第1チャンバ部材210aと第2チャンバ部材210bとから形成されており、第2チャンバ部材210bがOリング202、ひいては腐食バリヤ204を組立て時に付勢する。
【0043】
Oリング202及び腐食バリヤ204は第1チャンバ部分206のシール面212と接触している。腐食バリヤ204は第2チャンバ部分208のテーパ面214とも接触している。第3チャンバ部分210の付勢面216はOリング202に対して押し付けられ、腐食バリヤ204に対して合力ベクトル218を提供している。腐食種224は、腐食バリヤ204により、Oリング202に接触することを妨げられている。反応活性種224は、バリヤ204からチャンバ内部まで延びた通路226の部分に存在している。
【0044】
シーリング実施形態200は、実質的に円形の腐食バリヤ204の使用の例である。腐食バリヤ204の断面形状はあらゆる形状であることができる。柔軟又は圧縮可能な材料から腐食バリヤ204が製造されている実施形態において、円形は有効である。Oリング202によって提供される力218を受けると腐食バリヤ204は少なくともある程度まで変形し、チャンバ内部に向かって通路内へ押し込まれるながら、腐食バリヤが接触している面に対して平坦化する。幾つかの場合には、腐食バリヤ204は、第2チャンバ部材210bが取り外されると元の形状に戻るように弾性的に変形することができる。別の場合には、腐食バリヤ204は、塑性変形しかつ元の形状に戻らないように選択されることができる。
【0045】
幾つかのシール実施形態において、第2チャンバ部材210bが完全に係合させられるとOリング202は永久に変形させられることができる。この状況において、Oリング202は再利用可能であるか又は再利用可能ではないことができる。他の実施形態において、Oリング202は、僅かに変形されるだけであるか、又は実質的に変形されず、Oリング202は再利用されることができる。
【0046】
実施形態200は、テーパ面214が三角形を形成しているシール設計を示している。このような設計は、時には腐食バリヤが存在しないOリングシールにおいて使用されるが、これらの設計は、Oリングを比較的自由に反応活性種に曝す従来の設計に伴う同じ問題を共有する。Oリング202及び腐食バリヤ204を支持する通路は、ここに開示された説明を依然として適用しながら多くの択一的な形状を有して構成されることができる。
【0047】
図3は、腐食バリヤを含むシーリング構成の別の実施形態300を断面図で示している。この実施例において、Oリング302は腐食バリヤ304に隣接して配置されている。シールは、第1チャンバ部分306と第2チャンバ部分308との間に収容されている。第2チャンバ部分308は第1チャンバ部材310aと第2チャンバ部材310bとから形成されており、第2チャンバ部材は、組み立てられるとOリング302及び腐食バリヤ304を機械的に付勢する。
【0048】
Oリング302及び腐食バリヤ304は第1チャンバ部分306のシール面312と接触している。腐食バリヤ304は第2チャンバ部分308のテーパ面314とも接触している。第2チャンバ部材310bの付勢面316はOリング302に対して押し付けられ、腐食バリヤ304に対して合力ベクトル318を提供する。Oリング302は第2の側322から通路の第1の側320をシールする。腐食種324は、腐食バリヤ304により、Oリング302と接触することを制限されるか又は遅らされる。第1チャンバ部分306と第2チャンバ部分308とが図示された係合位置にある場合チャンバ通路326が形成される。
【0049】
実施形態300は、三角形のキャビティと三角形の腐食バリヤ304との組合せを示している。幾つかの実施形態において、腐食バリヤ304は、2つ以上の直線的な側を有する四角形又はその他の形状に形成されることができる。このような腐食バリヤの側のうちの1つ又は2つ以上は、シール面312又はテーパ面314のうちの1つ以上に対して実質的に平行に向けられている。
【0050】
図4は、腐食バリヤを備えた別のグランド又はシートタイプOリングシールの断面図を示す実施形態400を示している。Oリング402は腐食バリヤ404に隣接している。シールは第1チャンバ部分406と第2チャンバ部分408との間に含まれている。
【0051】
Oリング402及び腐食バリヤ404は第1チャンバ部分406のシール面410と接触している。腐食バリヤ404は第2チャンバ部分408のテーパ面412にも接触している。高圧側416と低圧側418との圧力差により、Oリングに作用する圧力420を生ぜしめ、腐食バリヤ404に力422を加える。腐食種420は、腐食バリヤ404により、少なくともOリング402に到達することを阻止されている。第1チャンバ部分406と第2チャンバ部分408とが図示の係合位置にある場合に通路426が形成されている。Oリング402は、シールの高圧側416と低圧側418との圧力差によって作用される。幾つかの場合、この実施形態400は、摺動又は回転シールのために使用されることができる。
【0052】
図5は、腐食バリヤ装置が2つの部分を含むことを除いて、図1a及び1bの実施形態と実質的に同じシール実施形態500を断面図で示している。特に、内側Oリングガード部材104a及び外側Oリングガード部材104bが設けられている。内側部材104aは、全体的な環状構成を有しており、三角形断面を有する、図1a及び1bに関して説明されたように通路126に配置されている。外側防護リング部材104bは同様に環状構成を有しているが矩形の断面を備えており、内側防護リング部材104aとOリング102との間に捕捉されている。Oリングを腐食バリヤ装置に対して圧縮するために、係合位置においてチャンバ装置の2つの部分の間にOリング102を捕捉することによって弾性的な付勢力が生ぜしめられる。Oリングからチャンバ内部まで延びた通路126に内側防護リング104aがくさび式に押し込まれるので、Oリングから外側防護リング部材を介して内側防護リング部材に弾性的な付勢力F’が提供され、2つの反応合力F1及びF2に分散される。第1の合力F1は、内側防護リング部材の接触面によって係合される傾斜した第1チャンバ面(又はチャンバ付勢面)114に対して垂直である。第2の合力F2は、図示における制限により内側防護リング104aに関してずらされて示されているが、内側防護リング部材によって面112に提供されると理解される。上述のように、傾斜したチャンバ面114は、択一的な構成を有する内側防護リング部材と協働することができ、依然として、内側防護リング部材を、チャンバ内部にまで延びた狭まる通路内へくさび状に嵌合させている。この開示と一致するあらゆる変更は本発明の範囲に含まれると考えられる。内側防護リング104aの近傍におけるOリングシールグランドの狭まった部分における斜面は、Oリンググランドの付勢面114とシール面112との間に形成されている。この角度は、弾性的な付勢力を調整する場合に使用するために変更されることができる。すなわち、角度を減じることは、狭まった通路内へのOリングガードの進入を容易にする。外側部材104bは、圧縮時にOリング102と防護リング装置との間の移動を許容し、適切なシールを保証する。幾つかの場合には、外側部材104bは腐食バリヤ104を所定の位置に保持するための付勢力を提供する。外側部材104bは、Oリング102又は腐食バリヤ104aのうちの一方に付着しかつOリング又は腐食バリヤのうちの他方と摺動可能に係合するように構成されることができる。
【0053】
ここに記載されたあらゆる実施形態において、Oリングガード及びあらゆる関連した構成部材は、圧縮されたOリングによってこれらに加えられる力が、Oリングガードが、Oリンググランドと反応プロセス環境との間の接続チャネルを最小限にする位置に保持又は移動させられることを保証するのに十分であるように、構成されているべきである。付勢力の特性を調整するための前記能力は、公称付勢力が利用可能であるという理由だけでなく、例えば石英チャンバ構成部材等のかなり脆性のチャンバ構成部材に付勢力が加えられることができるので重要であり、付勢力が、環状の傾斜したチャンバ面の角度を調整することによって付勢力を減じることが有利である。もちろん、くさび形のガード部材が使用される場合、環状の傾斜したチャンバ面におけるあらゆる変化を補償するために、ガード部材の環状接触面の幅も調整されることができる。
【0054】
図6は、図1aにおける矢印600によって示された方向で、概して、環状のOリングガードを見た場合の、図1aのOリングガード104のエッジ図であり、図を分かり易くするためにその他の構成部材は排除されている。Oリングガード104は1対の対向した端部602及び604を有しており、これらの端部の間には傾斜した間隙606が形成されている。狭まった通路内への防護リングの移動は、防護リングの僅かな半径方向圧縮を生ぜしめる。実質的に剛性の防護リングに公称付勢力が加えられると、中実の環状リングは、第1及び第2のチャンバ部分の面に適切に係合しない。したがって、間隙606は、例えば、隣接するOリングによって生ぜしめられた弾性的な付勢力等の、かなり公称の力にさえも応答してOリングガードの環状構成のたわみを提供し、重なり合った端部602及び604は、Oリングに到達することを試みる場合に概して遠回りとなる反応活性種のための通路608を生ぜしめるために働く。すなわち、すなわち、リングの上側エッジ610に対して概して垂直な方向で間隙602に進入する反応活性種にとって、間隙606における移動を維持するために、反応活性種による折れ曲がり又は非線形経路が要求される。これに関して、反応活性種は概して直線に沿って移動する。すなわち、遠回りとなる経路は、反応活性種の移動を制限する場合に有効である。
【0055】
図5に示したように、内側Oリングガード部材及び外側Oリングガード部材が使用されている場合には、それぞれのOリングガード部材が、傾斜した間隙を有することができる。間隙は、より一層遠回りな経路を提供するために、チャンバを取り囲むそれらの相対的な位置に関してずらされていることができる。1つの択一的な実施は、外側防護リング部材104bとして中実なアルミニウムリングを使用し、これによって、十分な柔軟性を提供し、図6に示されたような傾斜した間隙を備えた内側ガード部材104aを使用する。さらに、極めて柔軟な材料でさえも、望まれるならば、傾斜した間隙が形成されることができる。傾斜した間隙に関して、対面した端部が互いに物理的に接触している必要はなく、また、これらの端部の間に形成された間隙が、Oリングから受け取られる弾性的な付勢力の大きさに基づき、関連する材料特性に関連して変化する必要はない。しかしながら、弾性的な付勢力に応答して、端部がちょうど接触するならば有利である。再び、Oリングガードの重なり合う傾斜した端部は、Oリングガードの端部の位置においてOリンググランド内に拡散するあらゆる反応活性種のための延長した経路を提供するために働く。この重なり合いは、イオン化された反応活性種がOリングに達するのをより困難にもする。なぜならば、イオン化された種は、入り組んだ経路を通過しにくいからである。傾斜した間隙は必須条件ではなく、四角い端部を含むあらゆる適切な端部形状がOリングガードにおいて使用されてよい。さらに、セグメント状のOリングガードに複数の間隙が設けられることもできる。
【0056】
再び図6を参照すると、間隙6は、装着時にボス、グランド又はその他の障害物の周囲に嵌合するように防護リング/腐食バリヤ104が拡開されることを可能にする。さらに、間隙は、腐食バリヤ104の直径と、腐食バリヤが配置されているあらゆる溝との間の僅かな公差が吸収されることを可能にする。腐食バリヤ104が溝よりも僅かに大きいか又は小さいならば、接合面604及び606は接触しかつ僅かに変位するが、接合部におけるOリングの性能に影響することはない。この実施例は、装着時に障害物上で伸長するように十分に柔軟ではない腐食バリヤに適用されることができる。腐食バリヤが柔軟である場合には、腐食バリヤの長い長さは、所定の長さに切断され、説明されたように装着される。
【0057】
腐食バリヤ104は環状であるが、形状は、ここに説明されたあらゆる実施形態の場合のように同様に、Oリングシールが使用されることができるあらゆる形状であることができる。例えば、実質的に正方形の開口がOリングを用いてシールされることができ、通常はこのような装着は、Oリング特性に基づいて特定の半径を備えて製造された角を含むことができる。別の例において、蛇行状及びその他の形状のOリングシールは、合致するように成形された腐食バリヤを有することができる。
【0058】
幾つかの実施形態において、第1チャンバ部分は第2チャンバ部分とは異なる材料から形成されることができる。例えば、製造プロセシングチャンバは、石英から製造された第1チャンバ部分を有することができるのに対し、第2チャンバ部分はステンレス鋼から製造されている。このような場合、腐食バリヤは2つのチャンバ部分に対して異なる接触面積を有するように選択されることができる。上述のように、腐食バリヤは、与えられた荷重を拡散させるために、脆性の石英面に対して大きな接触面積を有し、例えばステンレス鋼面等のより強度の高い面に対してはより小さな接触面積を有するように選択されることができる。
【0059】
本発明は、固定シールにおいて使用されるOリングを、Oリング故障を生ぜしめる様々な劣化の仕組みから保護する。本発明を使用することによりOリングの寿命が延長される。Oリングの寿命が延長させることにより、顕著な利点が得られ、すなわち、製品の製造コストが低下し、製造ツールの停止時間及びメンテナンスが減少し、製品コストが低下し、製品の性能及び寿命が改善される。さらに、本発明を使用することにより、より高い熱的作動限界をも有することができる、外来のものが少ない、より安価の材料から製造されたOリングを使用することができる。
【0060】
発明の前記説明は、例示及び説明のために示された。前記説明は、網羅的でなく、発明を、開示された正確な形態に限定しようとするものではなく、上の開示を考慮することによりその他の変化態様が可能である。前記物理的実施形態のそれぞれは、特定の個々の向きを有する様々な構成部材を用いて例示されたが、本発明は、様々な位置及び相互の向きに配置された様々な構成部材を備えた様々な特定の構成を採用することができる。さらに、ここに記載された方法は、例えば、方法を構成する様々な順序を変更することによって、無制限に変更されることができる。したがって、この実施形態は、例示的であって制限的でないと考慮されるべきであり、本発明は、ここに示された詳細に限定されるべきではなく、添付の請求項の範囲内で変更されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】本発明に従って構成されたシール装置を有するチャンバ装置を正面で示す概略的な断面図である。
【図1B】三角形の腐食バリヤを備えたOリングを示す、図1aの実施形態におけるシール領域のさらに拡大された概略図である。
【図2】シール装置における円形の腐食バリヤを備えたOリングを示す別の実施形態の断面図である。
【図3】シール装置における三角形の腐食バリヤを備えたOリングを示すさらに別の実施形態の断面図である。
【図4】グランド又は面シールにおける三角形の腐食バリヤを備えたOリングを示すさらに別の実施形態の断面図である。
【図5】2片腐食バリヤ装置を示す実施形態の断面図である。
【図6】ここではその構造に関する別の詳細を示すために示された、図1a及び1bの腐食バリヤの側面図である。
【図7】ここではOリングに対する反応活性種の潜在的な不都合な効果を示すために示された、Oリングを使用した従来のシール装置の平面断面図である。
【符号の説明】
【0062】
50 チャンバ装置、 100 シール装置、 102,202,302,402 Oリング、 104,204,304,404 腐食バリヤ又は防護リング、 106,206,306,406 第1チャンバ部分、 108,208,308,408 第2チャンバ部分、 110a,210a,310a 第1チャンバ部材、 110b,210b,310b 第2チャンバ部材、 112,212,312 シール面、 114,214,314 テーパ面、 116,216,316 付勢面、 118,218,318 合力ベクトル、 126,226,326 通路、 324 腐食種、 410 シール面、 412 シール面、 416 高圧側、 418 低圧側、 420 圧力、 422 力、 602,604 端部、 606 傾斜間隙、 608 通路、 610 上側エッジ
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの反応活性種を使用して少なくとも1つの基板を処理するための処理装置において使用するためのチャンバ装置において、該チャンバ装置に、
係合した位置において使用されるための第1チャンバ部分と第2チャンバ部分とが設けられており、これらの第1チャンバ部分と第2チャンバ部分とが、前記係合した位置において相俟ってチャンバ内部を形成しておりかつ前記係合した位置において相俟って通路を形成しており、該通路が、チャンバ装置の外部から前記チャンバ内部に連通しており、
係合した位置において前記通路をシールするためのシール装置が設けられており、該シール装置に、(i)防護リングが設けられており、該防護リングが、前記反応活性種に曝されるように前記通路において支持されており、(ii)Oリングが設けられており、該Oリングが、前記通路における前記防護リングに隣接してかつ該防護リングのすぐ外側において前記通路内に配置されており、防護リングをさらに通路内へ前記チャンバ内部に向かって周囲において弾性的に付勢するために前記Oリングが圧縮されており、これにより、前記反応活性種が前記チャンバ内部からOリングまで通過することを制限していることを特徴とする、チャンバ装置。
【請求項2】
前記第1チャンバ部分と第2チャンバ部分とが前記係合した位置において前記Oリングに第1の方向で圧縮力を提供し、防護リングをさらに通路内へ前記チャンバ内部に向かって弾性的に付勢するために、前記Oリングが、前記圧縮力に応答して、該圧縮力に対して少なくともほぼ垂直な付勢方向で、弾性的な付勢力を生ぜしめるようになっている、請求項1記載のチャンバ装置。
【請求項3】
弾性的な付勢力が少なくとも2つの互いに垂直でない方向に伝達されるように、第1チャンバ部分又は第2チャンバ部分のうちの選択された一方が、防護リングに係合するための、前記付勢方向に関して傾斜した付勢面を形成している、請求項2記載のチャンバ装置。
【請求項4】
前記防護リングが、前記弾性的な付勢力に関して傾斜した接触面を形成するために三角形の断面を有する第1の防護リング部材を有しており、前記弾性的な付勢力が、接触面を、第1チャンバ部分又は第2チャンバ部分のうちの選択された一方の付勢面に直接に係合させる、請求項3記載のチャンバ装置。
【請求項5】
前記第1の防護リング部材が、全体的な環形状を有しておりかつ、前記弾性的な付勢力に応答して環形状の変形を提供するために弾性的な材料から形成されている、請求項4記載のチャンバ装置。
【請求項6】
前記第1の防護リング部材が、全体的な環形状を有しておりかつ、前記弾性的な付勢力に応答して実質的に変形不能である材料から形成されており、前記環形状が、1対の対向した端部の間に間隙を形成しており、該間隙が、第1の防護リング部材の周囲の移動を提供するために、弾性的な付勢力に応答して変化する幅を有する、請求項4記載のチャンバ装置。
【請求項7】
前記間隙が、第1の防護リング部材を通る方向で傾斜した向きに形成されており、前記間隙が、前記通路と前記間隙とを通る前記反応活性種のための延長された移動経路を提供している、請求項6記載のチャンバ装置。
【請求項8】
前記第1チャンバ部分と第2チャンバ部分とが前記係合した位置にある時、前記Oリングが、防護リングに加えられる弾性的な付勢力を生ぜしめかつ、弾性的な付勢力によって強制することに応答して防護リングを通路内にくさび状に捕捉するために前記通路と協働する、請求項1記載のチャンバ装置。
【請求項9】
少なくとも1つの反応活性種に曝すことによって少なくとも1つの基板を処理するための処理装置において使用されるチャンバ装置においてシールを形成する方法であって、
第1チャンバ部分及び第2チャンバ部分を有するチャンバを配置し、前記第1チャンバ部分及び前記第2チャンバ部分が、係合した位置において相俟ってチャンバ内部を形成するために使用され、さらに前記第1チャンバ部分及び前記第2チャンバ部分が、前記係合した位置において相俟って前記チャンバ内部の周囲に周囲の通路を形成し、該通路が、チャンバの外部から前記チャンバ内部にまで延びており、
前記係合した位置において通路をシールするためのシール装置を提供し、該シール装置が、(i)前記反応活性種に曝されるように前記通路において支持された防護リングと、(ii)前記チャンバ内部に関して前記通路に沿って前記防護リングのすぐ外側に隣接して通路内に配置されたOリングとを有しており、前記防護リングをさらに通路内へ前記チャンバ内部に向かって周囲で弾性的に付勢するために、前記係合した位置において前記Oリングが圧縮され、これによって、前記チャンバ内部からOリングへの前記反応活性種の通過を制限することを特徴とする、シールを形成する方法。
【請求項10】
前記第1チャンバ部分及び前記第2チャンバ部分が前記係合した位置において前記Oリングに第1の方向で圧縮力を提供し、防護リングをさらに通路内へ前記チャンバ内部に向かって弾性的に付勢するために、前記Oリングが、前記圧縮力に応答して、前記圧縮力に対して少なくともほぼ垂直な付勢方向で、弾性的な付勢力を生ぜしめる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
弾性的な付勢力が少なくとも2つの互いに垂直でない方向に伝達されるように、防護リングに係合するための、前記付勢方向に対して傾斜した付勢面を形成するために、第1チャンバ部分又は第2チャンバ部分のうちの選択された一方を使用する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記弾性的な付勢力に対して傾斜した接触面を形成するために三角形の断面を有する第1の防護リング部材を備えた前記防護リングを提供し、前記弾性的な付勢力が、接触面を、第1チャンバ部分又は第2チャンバ部分のうちの選択された一方の付勢面に直接に係合させる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記弾性的な付勢力に応答して環形状の変形を提供するために、弾性的な材料から形成された、全体的な環形状を備えた前記第1の防護リング部材を形成する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記弾性的な付勢力に応答して実質的に変形不能な材料から形成された、全体的な環形状を備えた前記第1の防護リング部材を形成し、前記環形状が1対の対向した端部の間に間隙を形成しており、該間隙が、第1の防護リング部材の周囲移動を提供するために、弾性的な付勢力に応答して変化する幅を有している、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記間隙を、第1の防護リング部材を通る方向に傾斜した向きで形成し、このことが、前記間隙において、前記通路を通る前記反応活性種のための延長された移動経路を提供する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記Oリングが、前記第1チャンバ部分と第2チャンバ部分とが前記係合した位置にある場合、防護リングに提供される弾性的な付勢力を生ぜしめかつ、弾性的な付勢力によって強制されることに応答して防護リングを通路にくさび式に捕捉するために前記通路と協働する、請求項9記載の方法。
【請求項17】
チャンバにおいて、
シール面を有する第1チャンバ部分と、
前記第1チャンバ部分の前記シール面に当て付けられて鋭角に配置されたテーパ面を有する第2チャンバ部分と、
前記シール面と前記テーパ面とに当て付けられて配置された腐食バリヤと、
前記シール面に対して配置されておりかつ、前記腐食バリヤが前記シール面と前記テーパ面とに同時に係合するように前記腐食バリヤに付勢力を提供するために前記第1チャンバ部分及び第2チャンバ部分によって支持されたOリングと、
前記腐食バリヤに対する前記Oリングとは反対側に配置された腐食種とを含み、該腐食種が前記Oリングに対して腐食性であることを特徴とする、チャンバ。
【請求項18】
前記Oリングが、第1チャンバ部分及び第2チャンバ部分との接触に応答して前記腐食バリヤに前記付勢力を提供する、請求項17記載のチャンバ。
【請求項19】
前記Oリングが、該Oリングの両側における圧力差に応答して前記腐食バリヤに前記付勢力を提供する、請求項17記載のチャンバ。
【請求項20】
Oリングシールのための腐食バリヤにおいて、
環形状を有しており、該環形状が、
(i)第1チャンバ部分のシール面上に配置される第1面領域と、(ii)前記シール面に対して鋭角に配置された第2チャンバ部分のテーパ面に対して配置される、第2面領域と、(iii)第3面領域とを形成しており、該第3面領域がOリングから付勢力を受け取るように適合されており、これにより、前記腐食バリヤが前記鋭角に亘って前記シール面及び前記テーパ面に同時に係合するようになっており、前記腐食バリヤが、隣接するOリングに反応活性種が到達するのを遅らせるように前記弾性的な付勢力に応答して環形状を変化させるように形成されていることを特徴とする、Oリングシールのための腐食バリヤ。
【請求項21】
前記弾性的な付勢力に応答して環形状の変形を提供するために弾性的な材料から形成されている、請求項20記載の腐食バリヤ。
【請求項22】
前記付勢力に応答して実質的に変形不能である材料から形成されており、前記環形状が1対の対向した端部の間に間隙を形成しており、前記間隙が、腐食バリヤの環状移動を提供するために付勢力の変化に応答して変化する幅を有している、請求項20記載の腐食バリヤ。
【請求項23】
前記間隙が、腐食バリヤを通る方向で見て傾斜した切断部として形成されており、このことが、前記間隙を通る前記反応活性種のための延長された移動経路を提供する、請求項22記載の腐食バリヤ。
【請求項24】
前記腐食バリヤが前記環形状に沿って実質的に三角形の断面を有している、請求項20記載の腐食バリヤ。
【請求項25】
前記腐食バリヤが前記環形状に沿って実質的に円形の断面を有している、請求項20記載の腐食バリヤ。
【請求項26】
方法において、
第2部材における環状のテーパ面が第1部材の環状のシール面の近傍に配置されるように前記第1部材及び前記第2部材を組み立て、前記環状のテーパ面が前記環状のシール面に対して鋭角に配置されており、前記腐食バリヤの第1部分が前記環状のシール面に当て付けて配置されかつ前記腐食バリヤ第2部分が前記環状のテーパ面に当て付けて配置されるように、環形状を有する腐食バリヤを配置し、
Oリングを前記腐食バリヤに当て付けて配置し、
前記OリングがOリング力を前記腐食バリヤに提供するように前記Oリングに付勢力を提供し、これにより、前記腐食バリヤを前記環状のシール面と前記環状のテーパ面とに実質的に同時に押し付け、
前記Oリングと反対側において前記腐食バリヤに腐食種を案内し、該腐食種が前記Oリングに対して腐食性であることを特徴とする、方法。
【請求項27】
Oリングに付勢力を提供するために前記第1部材及び前記第2部材によって圧縮されるように前記Oリングを支持する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記付勢力を生ぜしめるために前記Oリングの両側における圧力差を利用する、請求項26記載の方法。
【請求項29】
実質的に三角形の断面を備えた前記腐食バリヤを形成する、請求項26記載の方法。
【請求項30】
実質的に円形の断面を備えた前記腐食バリヤを形成する、請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記弾性的な付勢力に応答して環形状の変形を提供するために、弾性的な材料から腐食バリヤを形成する、請求項26記載の方法。
【請求項32】
前記付勢力に応答して実質的に変形不能な材料から腐食バリヤを形成し、1対の対向する端部の間において前記環形状に間隙を形成し、該間隙が、腐食バリヤの環状移動を提供するために、付勢力の変化に応答して変化する幅を有している、請求項26記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−500580(P2009−500580A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520353(P2008−520353)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/026142
【国際公開番号】WO2007/008515
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(502278714)マットソン テクノロジー インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
【Fターム(参考)】