説明

腫瘍に対する機能性食品

本発明は、機能性食品の技術分野に関し、即ち、ヒト又は動物の身体の、命にかかわる腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための新規の種類の機能性食品及びこのような機能性食品の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、機能性食品の技術分野に関し、即ち、ヒト又は動物の身体の、命にかかわる腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための新規の種類の機能性食品及びこのような機能性食品の製造方法に関する。
【0002】
栄養と疾患は関連している。従って例えば、成人期発症糖尿病(糖尿病II型)は特に、過度の炭水化物リッチな食事を摂取する人で生じることが長い間知られている。更に、特定の癌疾患の発症が直接的に特定の栄養習慣と関連しているとの指摘が存在する。例えば、繰り返されかつ過度の、フルクトースの摂取は、動物試験(ラット)において、化学的に誘導される肝腫瘍の増強された成長を生じる(Enzmann H. et al. (1989) Carcinogenesis 10:1247-1252)。ヒトでも、フルクトースの摂取は、様々な癌疾患の発症と関連しているように見える(Michaud D.S. et al. (2002) J. Natl. Cancer Inst. 94: 1293-1300; Higginbotham H. et al. (2004) J. Natl. Cancer Inst. 96: 229-233)。偏った炭水化物リッチな栄養はアルツハイマー疾患の発症と関連しているようにも見える(Henderson ST. (2004) Med. Hypotheses 62: 689-700)。
【0003】
これに応じて、この間に疾病の予防及び治療のためには特定の食餌が提案されている。従って、ケトン食、つまり、食品中の炭水化物割合の回避を基礎とする食餌療法が、個々の研究において、腫瘍疾患で疾病経過に有利に影響を及ぼすことが知られている(Nebeling L.C. et al. (1995) J. Am. Coli. Nutr. 14:202-208)。
【0004】
更に、炭水化物供給を完全に断念する片寄った食餌療法が知られている。このような食餌療法は、グルコース含有食品構成要素又は身体中でグルコースを酵素により分解することができる食品構成要素を回避する。健康な体細胞の多数のエネルギー物質代謝は、大抵は、グルコースの利用(燃焼又は発酵)のみに基づく。人間の脳はその全体的なエネルギー要求の約25%を要求し、その際これらは、グルコースを用いてのみ満足されることができる。食事中にグルコースが欠失すると、身体は、貯蔵脂肪の分解(脂肪分解)からグルコースを動員するが、しかしながら、生命にとって重要なかつ構造を付与するタンパク質の分解からも動員する。この過程は、「ケトゲネシス」と呼ばれ、結果として機能停止、昏睡及び死を生じる。
【0005】
既に80年にもわたり、悪性の腫瘍の細胞が変更されたグルコース物質代謝を有することが仮定されている(Warburg O. et al. (1924) Biochem. Z. 152:309-344)。これに応じて、特定の腫瘍細胞が自体で、酸素−グルコースの存在下で乳酸(Lactat)へと発酵することが公知である(ワールブルグ効果)。他方ではしかしながら、特定の健康な組織細胞もグルコース−発酵物質代謝(好気的呼吸)を、例えば網膜細胞又は精巣細胞が示す。
【0006】
技術水準から出発して本発明は、悪性の腫瘍の発生をヒト又は動物の身体において妨げるか又はその成長を抑制するか又は停滞状態にもたらすことができる、機能性食品及びその製造方法並びに処置方法を提供するとの課題に基づく。
【0007】
この基礎となる課題は、低グリセミック食品組成物、即ち、低いグリセミックインデックス(GI)を有する食品又は食品成分又はこれらの数種の組成物を、機能性食料の製造のために使用する方法の提供により解決され、前記方法は、ヒト又は動物の身体の腫瘍疾病を治療するかつ/又は悪性腫瘍疾患に対して予防するために使用される。
【0008】
本発明はまた、低グリセミック食品組成物の使用により、低グリセミックインデックスを有する機能性食品を提供することも予定する。これにより、そのエネルギー物質代謝のために好気的グルコース発酵を頼りにする悪性の腫瘍細胞が、高グリセミックな構成要素の欠失のために十分なエネルギー供給をもはや得られないことが保証される。悪性の腫瘍細胞の発生は、既に存在する悪性腫瘍細胞がその成長において阻害されるか又は死ぬことにより抑制される。
【0009】
本発明との関連において、「低グリセミック食品組成物」とは、1種又は数種の食品又は1種又は数種の食品構成要素及びこれから得られる組成物が理解され、これは低いグリセミックインデックス(GI)を有する。低いグリセミックインデックスとは、ここではGI50以下が理解される。有利にはGI40以下、特に有利には30以下又は20以下である。本発明はこの際、GIが、限度値の下にないことを予定する。即ち有利には、低グリセミック食品組成物は少なくとも1つのグルコース供給源、例えばサッカロース、マルトース、デンプン/アミロース、ラクトース又はグルコースを含有する。有利には、GIは少なくとも2以上、少なくとも5以上又は少なくとも10以上である。
【0010】
本発明者は、意外にも、好気的グルコース発酵を特定の悪性腫瘍細胞中で媒介する物質代謝のために、特定の酵素、トランスケトラーゼ様1(TKTL−1)を基礎とすることを見出した。重要なのは、悪性の腫瘍細胞中でTKTL−1 mRNA(TKTL−1発現)の高制御が検出されることである。これとは異なり、健康な体細胞中での公知の好気的グルコース発酵は、トランスケトラーゼ(TKT)を基礎とする。
【0011】
悪性腫瘍細胞下では、意外にも、特定の集団のみが、このような好気的グルコース発酵を駆動し、かつ、そのエネルギーをここからのみ受け取る。グルコースの供給無しではこのような腫瘍細胞はそのエネルギー収支を維持することができない。本発明による使用は、少なくとも1つの細胞が、即ち特には悪性の腫瘍細胞が、酵素TKTL−1の変更された活性に基づく変更されたグルコース物質代謝を有する患者のために特に適する。適した酵素アッセイを用いて又はTKTL−1−発現の、有利にはmRNAレベルでの検出により、体細胞中で、例えば、臨床的な診断試験の枠内において、当該患者の母集団が算出されることができ、これは、低グリセミック食品組成物を有する本発明による機能性食品を用いた治療のために特に適している。
【0012】
これに応じて、本発明は、低グリセミック食品組成物の、ヒト又は動物の身体の悪性腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための機能性食品の製造のための使用に関し、その際、この少なくとも1つの体細胞は、通常状態に対して変更されたグルコース物質代謝、特に変更された好気的グルコース発酵物質代謝を示す。本発明によれば、通常状態とは、細胞が、その生理学的な機能に応じて及びその組織タイプに応じて、グルコースからのエネルギー獲得のためのその典型的な物質代謝経路を有することにより定義される。即ち、特に、通常状態においては、この体細胞は、グルコースをまず酸素との反応下で呼吸させる。特殊な組織タイプにおいては、細胞の通常状態は、好気的なグルコース発酵物質代謝によっても特徴付けられていることができる。このような細胞は例えば、網膜又は精巣から公知である。このような細胞は通常状態で、トランスケトラーゼ活性を有する。
【0013】
これに対して、変更されたグルコース物質代謝、特に変更された好気的グルコース発酵物質代謝は特に、体細胞が通常状態に対して、酵素トランスケトラーゼ様1(TKTL−1)の変更された活性又は濃度を有することにより特徴付けられている。本発明によれば、更に、TKTL−1酵素活アッセイにおいて変更された酵素活性を示す、及び/又は、TKTL−1遺伝子発現の測定の際に、有利にはmRNAレベルで、自体公知の様式において、遺伝子産物の変更された含有量を示す細胞もこのような細胞と理解される。有利には、変更された活性とは、上昇した酵素活性が理解される。有利には、TKTL−1遺伝子産物の変更された含有量とは、通常状態では、TKTL−1を発現しないか又は産生しないか、かつ/又は、TKTL−1遺伝子産物の上昇した割合を有す細胞中でのTKTL−1遺伝子産物の発生が理解される。
【0014】
機能性食品の製造のために本発明により使用される低グリセミック食品、食品構成要素及び/又は食品組成物は、有利には少なくとも1種の、単糖、二糖及び多糖から、並びに、単糖アルコール、二糖アルコール及び多糖アルコールから選択される炭水化物供給源を有する。この際、低グリセミック食品組成物は、少なくとも1種の低グリセミックの又は非グリセミックの炭水化物供給源又は−成分を有する。本発明により有利には、低グリセミック食品組成物は、少なくとも1種の低グリセミックの又は非グリセミックの炭水化物供給源又は−成分の他に少なくとも1種の(更なる)高グリセミック炭水化物供給源又は−成分を有する。以下においては、本発明により使用される低グリセミック食品組成物の有利な構成要素又は成分が詳細に説明される。
【0015】
有利にはグルコースを供給する低グリセミックサッカロース−異性体である。特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、イソマルツロース(6−O−α−D−グルコピラノシル−フルクトース;Palatinose(R))を有利には5〜90質量%の割合で、有利には25〜75質量%の割合で含有する(全体的な乾燥物質含有量に対して)。
【0016】
特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、ロイクロース(Leucrose)を有利には5〜90質量%の割合で、有利には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0017】
特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、トレハルロース(Trehalulose)を有利には5〜90質量%の割合で、有利には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0018】
特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、ツラノース(Turanose)を有利には5〜90質量%の割合で、有利には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0019】
特に有利には、パラチノース、ロイクロース、トレハルロース又はツラノースが単独で又は他のポリオール、イヌリン、ポリデキストロース又は難消化性デンプンと組み合わせて使用される。
【0020】
特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、難消化性デンプン、有利には溶解性デンプンを有利には5〜90質量%の割合で、有莉には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。代替的に又は付加的に、非溶解性デンプンが予定されている。
【0021】
特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、ポリデキストロースを有利には5〜90質量%の割合で、有莉には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0022】
本発明は、低グリセミックサッカロース異性体が、唯一の、前記組成物中に存在する身体に付与する甘味剤である低グリセミック食品組成物にも関する。更なる有利な一実施態様において本発明は、低グリセミックサッカロース異性体が、唯一の、前記混合物中に前記組成物中に存在する糖である前述の組成物に関する。更なる有利な一実施態様において本発明は、低グリセミックサッカロース異性体が、唯一の、前記混合物中に前記組成物中に存在する甘味剤である前述の組成物に関する。
【0023】
更に有利には糖アルコールである。有利には低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、イソマルト、1,1−GPM(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−マンニット)、1,6−GPS(1−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビット)、1,1−GPS(6−O−α−D−グルコピラノシル−D−ソルビット)、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトールシロップ(Maltitsirup)、水素化された及び水素化されていないデンプン加水分解産物及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の糖アルコールを有利には5〜90質量%、有利には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0024】
特に有利には二糖アルコールである。特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には、唯一の炭水化物供給源として、イソマルト、1,1−GPM及び1,6−GPSからなる混合物を、場合により1,1−GPSからの割合と共に、5〜90質量%の割合で、有利には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0025】
更に有利には、オリゴ糖、例えばフルクトオリゴ糖、短鎖又は中鎖のβ−D−フルクタンである。特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、イヌリンを有利には5〜90質量%の割合で、有莉には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0026】
特に有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、オリゴフルクトースを有利には5〜90質量%の割合で、有莉には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0027】
本発明は、唯一の、前記組成物中に存在する身体に付与する甘味剤が糖アルコールである低グリセミック食品組成物にも関する。更なる有利な一実施態様において本発明は、糖アルコールが、唯一の、前記混合物中に前記組成物中に存在する甘味剤である前述の組成物に関する。
【0028】
更に有利にはフルクトースである。とりわけ有利には、低グリセミック食品組成物は、有利には唯一の炭水化物供給源として、フルクトースを有利には5〜90質量%の割合で、有利には25〜75質量%の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。有利な一態様において、低グリセミック食品組成物は、唯一の炭水化物供給源としてフルクトース少なくとも40質量%を含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。本発明は、唯一組成物中に存在する糖がフルクトースである低グリセミック食品組成物にも関する。本発明は、唯一組成物中に存在する身体に付与する甘味剤がフルクトースである低グリセミック食品組成物にも関する。更なる有利な一実施態様において本発明は、フルクトースが、唯一、前記混合物中に前記組成物中に存在する甘味剤である前述の組成物に関する。
【0029】
有利には、本発明により使用される低グリセミック食品組成物も、この製造される機能性食品も、炭水化物不含であるか又は炭水化物に乏しい。更に、含有される炭水化物成分は、低グリセミックであることが予定されている。この低グリセミック食品組成物が少なくとも1種の高グリセミック成分を含有することも予定されている。高グリセミック成分とは、ここでは特に、ここから特に酵素開裂により、消化−及び吸収プロセスにおいて初期グルコースを生物中に放出する高グリセミックグルコース−供給源が理解される。この高グリセミック成分は有利には次のものから選択される:グルコースを供給する二糖、特にサッカロース、マルトース、ラクトース及びトレハロース、並びにマルトデキストリン、有利には、難消化性の、溶解性の又は非溶解性の、並びに、デンプン/アミラーゼ及び白色粉(Weissmehl)産物。
【0030】
特に有利には、食品組成物が、低グリセミック炭水化物供給源の他に少なくとも1種の高グリセミック炭水化物供給源を含有する。有利には、この低グリセミック炭水化物供給源及び高グリセミック炭水化物供給源は、質量比1:1、2:1又は1:2で含有されている。有利には、低グリセミック食品組成物は、高グリセミック炭水化物供給源を、20質量%以上、有利には10質量%以上、又は5質量%以上の割合で含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0031】
有利な一実施態様において、低グリセミック食品組成物は、10質量%、有利には5質量%、特に有利には5質量%の又はそれより少ない(全体の乾燥物質含有量に対して)グルコースを含有する。
【0032】
更に有利には、低グリセミック食品組成物のグリセミックインデックスは、自体公知の様式で、食品組成物からのグルコースの吸収及び/又は開裂を減少、遅延又は抑制する少なくとも1種の更なる成分により変更されることが予定されている。有利には、このような成分は、タンパク質、脂肪又は増粘剤から選択されている。
【0033】
有利な一実施態様において、この低グリセミック食品組成物は、C8〜C14−脂肪酸、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸及び数個の不飽和結合を有する脂肪酸から選択された脂肪成分を少なくとも10質量%、有利には少なくとも20質量%、少なくとも30質量%又は少なくとも40質量%を含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0034】
有利な一実施態様において、この低グリセミック食品組成物は、タンパク質成分を少なくとも10質量%、有利には少なくとも20質量%、少なくとも30質量%又は少なくとも40質量%含有する(全体の乾燥物質含有量に対して)。
【0035】
有利な一実施態様において、低グリセミック食品組成物は、少なくとも1種の選択的に使用可能な添加物を含有する。この添加物の使用は、市場及び消費者の適用領域及び要求特性に応じて、個々に構成されることができる。
【0036】
有利な添加剤は、プレバイオティクスである。プレバイオティクスは、有利な様式で、低グリセミック食品組成物の又はここから得られる機能性食品の栄養生理学的な特性に有利に影響を及ぼす。このプレバイオティクスは、プロバイオティクス微生物の成長及び/又は活性をヒト又は動物の消化管において選択的に刺激し、この結果健康を促進する効果が生じる。プレバイオティクスとして有利にはイヌリン、オリゴフルクトース、難消化性デンプン、β−グルカン又はガラクトオリゴ糖が使用される。
【0037】
更なる有利な添加剤は、プロバイオティクス微生物、プロバイオティクスである。これは、ここでは、微生物の組成物の安定化又は改善によりヒト又は動物の消費者の消化路中でその健康を促進する、生きている微生物の添加成分が理解される。このような、例えば食品中で使用されることができる剤は、例えば次のものであることができる:ビフィドバクテリウム、例えば株B.アドレッセンティス、B.アニマリス、B.ビフィダム、B.ロングム、B.テルモフィルム;エンテロコッカス;ラクトバチラス、例えば、株Lb.アシドフィルス、Lb.ブレビス、Lb.カゼイ、Lb.セロビオスス、Lb.クリスパトス、Lb.デルブリュッキイ亜種ブルガリクス、Lb.フェルメンタム、Lb.GG、Lb.ジョンソニイ、Lb.ラクチス、Lb.プランタルム、Lb.ロイテリ(reuteri)、Lb.ラムノスス、Lb.サリバリウス;バシラス セレウス トヨイ;バシラス セレウス;リューコノストック;ペディオコッカス アシディラクティシ;プロピオニバクテリウム;ストレプトコッカス、例えば株S.クレモリス、S.インファンタリアス、S.インテルメディウス、S.ラクチス、S.サリバリウス亜種サーモフィラス(参照、Fueller (1989) J. Appl. Bacteriol.)。有利なプロバイオティクスは、ラクトバシラス族の細菌及びビフィドバクテリウムである。この種のプロバイオティクスの細菌カルチャーは、有利には乾燥カルチャー又は長期間カルチャー(Dauerkulturen)として構成されていることができる。
【0038】
更なる有利な添加剤は、シンビオティクスである。シンビオティクスとは、ここでは、少なくとも1種のプレバイオティクス及び少なくとも1種のプロバイオティクスからなる混合物が理解され、これは、消化管路中の健康を促進する生きた微生物の生存率の改善及び数を高めることにより、特に、この微生物の成長及び又は物質代謝活性の選択的な刺激により、ヒト又は動物の消費者の健康を促進する。
【0039】
更なる有利な添加剤は、乳製品又は乳産物、特にラクトース不含の乳産物である。有利な乳製品又は乳産物は、スキムミルクパウダー、全乳パウダー、ラクトース不含スキムミルクパウダー又は全乳パウダー、乳清抽出物又は乳清製品である。低グリセミック食品組成物が、ミルク産物を2〜40質量%、有利には5〜20質量%の量で含有する(全質量に対して)ことが有利であることが予定されている。
【0040】
有利な一実施態様において、低グリセミック食品組成物が少なくとも1種の強力甘味料(Intensivsuessstoff)を含有することが予定されていて、その際強力甘味料は有利には、次のものからなる群から選択されている:スクラロース、ナトリウムシクラマート、アセスルファムK、ネオヘスペリジン−ジヒドロカルコン、グリチルリチン、ステビオシド、モネリン、タウマチン、アスパルテーム、ズルチン、サッカリン、ナリンジン−ジヒドロカルコン、ネオテーム及びこれらの2種以上の混合物。
【0041】
有利な一実施態様において、低グリセミック食品組成物が、有利には以下のものからなる群から選択されている少なくとも1種の補助剤又は助剤を含有することが予定されている:芳香物質、例えばバニリン、着色剤、矯味剤、乳化剤、例えばレシチン、増粘剤、例えばペクチン、イナゴマメデンプン(Johannisbrotkernmehl)、グアーグミ、酸化防止剤、保存剤、ミネラル物質、例えばナトリウム又はカルシウム、特に、塩、例えば塩化ナトリウム、充填剤、繊維質、中鎖トリグリセリド、フィトエストロゲン、天然の又は合成のビタミン、例えばビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB複合体、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF及びビタミンK又はこれらの組み合わせ。
【0042】
補助物質として、特に、製造される機能性食品の外観、風味、官能性、栄養価、栄養生理学的特性、加工性、貯蔵性又は消費性に関する物質が理解される。
【0043】
有利な一実施態様において、本発明により製造可能な機能性食品は医薬品である。
【0044】
更なる有利な一実施態様において、本発明により製造可能な機能性食品は栄養補助物質である。
【0045】
更なる有利な一実施態様において、本発明により製造可能な機能性食品は経管栄養食品である。
【0046】
有利には、本発明により製造可能な機能性食品は、ミルク産物及びミルク製品、特に、チーズ−、バター、ヨーグルト−、ケフィア−、クワルク−、サワーミルク−、バターミルク−、生クリーム−、コンデンスミルク−、粉ミルク−、乳清−、乳糖−、乳タンパク質−、ミルクミックス(milchmisch)−、ローファットミルク−、乳清ミックス−又は乳脂肪製品又は調製物である。
【0047】
更なる有利な一態様においては、本発明により製造可能な機能性食品は、プディング、クリーム、ムース又は他のデザート又はデザート製品である。
【0048】
更なる有利な一態様においては、本発明により製造可能な機能性食品は、乳脂肪産物、脂肪ミックス産物(mischfetterzeugnis)、食用脂又は食用油である。
【0049】
更なる有利な一態様においては、本発明により製造可能な機能性食品は、ベークド製品、特に、小型パンを含むパン及び上等なベークド製品、長持ちするベークド製品、ビスケット製品及びワッフルから選択されたベークド製品である。
【0050】
更なる有利な一態様においては、本発明により製造可能な機能性食品は、パンスプレッド、特に脂肪含有パンスプレッド、マーガリン産物及びショートニングから選択されたパンスプレッドである。
【0051】
更なる有利な一実施態様において、本発明により製造可能な機能性食品はインスタント製品である。
【0052】
更なる有利な一実施態様において、本発明により製造可能な機能性食品はブイヨン産物である。
【0053】
更なる有利な一実施態様において、本発明により製造可能な機能性食品は、果物製品又は果物調製物、特にコンフィチュール、マーマレード、ゼリー、果物保存食品、ジャム用果肉、果肉コンポート、フルーツジュース、フルーツジュース濃縮物、フルーツネクター及びフルーツ粉末から選択される果物製品又は果物調製物である。
【0054】
更なる有利な一態様においては、本発明により製造可能な機能性食品は、シリアル製品、特にムースリ、ムースリバー、シリアル混合物及び朝食用製品から選択されるシリアル製品である。
【0055】
更なる有利な一態様においては、本発明により製造可能な機能性食品は、非アルコール性飲料、飲料ベース材料又は飲料粉末である。
【0056】
更なる有利な一態様においては、本発明により製造可能な機能性食品は、有利には食養生法にかなった、菓子類、特にチョコレート、硬質キャラメル、軟質キャラメル、チューイングガム、ドラジェ、フォンダン産物、ゼリー産物、リコリス、泡状砂糖製品(Schaumzuckerware)、フレーク、ドラジェ、糖菓(Komprimate)、キャンディ化されたフルーツ、クロカント、ヌガー産物、氷菓、マジパン及びアイスクリームから選択された菓子類である。
【0057】
更なる有利な一実施態様において、本発明により製造可能な機能性食品は、スポーツ−及び強壮食品、特にタンパク質−及びアミノ酸濃縮物、ホェイ−タンパク質加水分解物、−単離物、及び−濃縮物、乳清タンパク質単離物及び−濃縮物及びカゼイナート調製物から選択されるスポーツ−及び強壮食品である。
【0058】
本発明の更なる主題は、前で特徴付けられた本発明により製造可能な機能性食品の、ヒト又は動物の身体の悪性腫瘍疾患の治療及び/又は治療のための使用である。
【0059】
本発明の更なる主題は、低グリセミック食品組成物、食物又は食品構成要素の、ヒト又は動物の身体の悪性腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための使用である。
【0060】
本発明の更なる主題は、最後に、次の工程の少なくとも1つを含む悪性腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための方法である:前で特徴付けた機能性食品又は前で特徴付けた低グリセミック食品組成物を、通常状態に対して変更した、酵素TKTL−1の活性又は濃度、特に高められた活性又は濃度を有する少なくとも1つの体細胞を有する、ヒト又は動物の身体中に、予防的に及び/又は治療的に活性のある量又は用量で投与すること。
【0061】
本発明は、以下の実施例により詳細に説明され、その際この実施例は限定するものと理解されるべきでない。
【0062】
実施例:
1.イソマルツロース(パラチノース)を有するミルクチョコレート
成分[%]
PALATINOSE TM 43.00
粉ミルク、フルクリーム 21.00
カカオバター 21.16
カカオシロップ 14.30
レシチン 0.50
バニリン 0.02
スクラロース 選択的に
全量 100.00。
【0063】
2.イソマルツロース(パラチノース)を有するダークチョコレート
成分[%]
PALATINOSE TM 44.00
カカオバター 12.00
カカオマス 44.00
レシチン 例えば0.50
バニリン 例えば0.02
全量 100.00。
【0064】
3.イソマルツロース(パラチノース)を有するミルク飲料
成分[%]
PALATINOSE TM 4.40
全乳(脂肪含有量3.5%) 76.50
水 13.80
フルクトース 4.60
ペクチン 0.50
ヨーグルトカルチャー(溶液) 0.02
全量 100.00。
【0065】
4,イソマルツロース(パラチノース)を有するインスタント飲料
バインダー:
成分[%]
水 11.765
ビタミンミックス(Doehler) 0.090
Euroblend Apple Green(Sensient) 0.026
スクラロース 0.025
全量 11.906
インスタント組成物:
成分[%]
PALATINOSE TM 78.390
クエン酸 4.411
アスコルビン酸 4.411
リンゴ芳香(Firmenich) 0.882
バインダー(上記参照) 11.906
全量 100.00。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の身体の悪性腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための機能性食品の製造のための低グリセミック食品組成物の使用であって、身体が、通常状態に対して変更された好気性グルコース発酵物質代謝を有する少なくとも1つの体細胞を有する、ヒト又は動物の身体の悪性腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための機能性食品の製造のための低グリセミック食品組成物の使用。
【請求項2】
この組成物のグリセミックインデックスが50よりも少ない、請求項1記載の使用。
【請求項3】
少なくとも1つの体細胞が、通常状態に対して変更した、酵素トランスケトラーゼ様1(TKTL−1)の活性又は濃度を有する、請求項3記載の使用。
【請求項4】
食品組成物が、炭水化物供給源として、単糖、二糖、多糖、単糖アルコール、二糖アルコール及び多糖アルコールから選択される低グリセミック炭水化物供給源を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
食品組成物が低グリセミック炭水化物供給源として、イソマルツロース、ロイクロース、トレハルロース及び/又はツラノースを単独で又は糖アルコール、イヌリン、ポリデキストロース及び/又は難消化性デンプンと組み合わせて含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
食品組成物が低グリセミック炭水化物供給源の他に少なくとも1種の高グリセミック炭水化物供給源を含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
食品組成物が、低グリセミック炭水化物供給源及び高グリセミック炭水化物供給源を質量比1:1で含有する、請求項7記載の使用。
【請求項8】
食品組成物が、高グリセミック炭水化物供給源を20質量%以上含有する、請求項7又は8記載の使用。
【請求項9】
高グリセミック炭水化物供給源が、グルコース供給二糖:サッカロース、マルトース、ラクトース、トレハロース;マルトデキストリン;デンプン/アミラーゼ及び白色粉製品から選択されている、請求項7又は8記載の使用。
【請求項10】
食品組成物が2質量%よりも少ないグルコースを含有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
食品組成物が、C8〜C14−脂肪酸、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸及び複数の不飽和結合を有する脂肪酸から選択される少なくとも1種の脂肪成分を含有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
食品組成物が、プレバイオティクス、プロバイオティクス又はシンビオティクスを含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
食品組成物が、医薬品、栄養補助物質又は経管栄養食餌である、請求項1から12までのいずれか1項記載の使用。
【請求項14】
食品組成物が、
i.ミルク産物及びミルク製品、特に、チーズ−、バター−、ヨーグルト−、ケフィア−、クワルク−、サワーミルク−、バターミルク−、生クリーム−、コンデンスミルク−、粉ミルク−、乳清−、乳糖−、乳タンパク質−、ミルクミックス−、ローファットミルク−、乳清ミックス−又は乳脂肪製品又は調製物から選択されたミルク産物及びミルク製品;
ii.プディング、クリーム、ムース及び他のデザート;
iii.乳脂肪産物、脂肪ミックス産物、食用脂、食用油;
iv.ベークド製品、特に、小型パンを含むパン及び上等なベークド製品、長持ちするベークド製品、ビスケット製品及びワッフルから選択されたベークド製品;
v.パンスプレッド、特に脂肪含有パンスプレッド、マーガリン産物及びショートニングから選択されたパンスプレッド;
vi.インスタント製品及びブイヨン産物;
vii.果物製品又は果物調製物、特にコンフィチュール、マーマレード、ゼリー、果物保存食品、ジャム用果肉、果肉コンポート、フルーツジュース、フルーツジュース濃縮物、フルーツネクター及びフルーツ粉末から選択される果物製品又は果物調製物;
viii.シリアル製品、特にムースリ、ムースリバー、シリアル混合物及び朝食用製品から選択されるシリアル製品;
ix.非アルコール性飲料、飲料ベース材料及び飲料粉末;
x.食養生法にかなった菓子類、特にチョコレート、硬質キャラメル、軟質キャラメル、チューイングガム、ドラジェ、フォンダン産物、ゼリー産物、リコリス、泡状砂糖製品、フレーク、ドラジェ、糖菓、キャンディ化されたフルーツ、クロカント、ヌガー産物、氷菓、マジパン及びアイスクリームから選択された菓子類;及び
xi.スポーツ−及び強壮食品、特にタンパク質−及びアミノ酸濃縮物、ホェイ−タンパク質加水分解物、−単離物、及び−濃縮物、乳清タンパク質単離物及び−濃縮物及びカゼイナート調製物から選択されるスポーツ−及び強壮食品、
から選択されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
ヒト及び動物の身体の悪性腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1から14に記載の食品組成物の使用。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の食品組成物を、通常状態に対して変更した、酵素トランスケトラーゼ様1(TKTL−1)の活性又は濃度を有する少なくとも1つの体細胞を有するヒト又は動物の身体中に、予防及び/又は治療に有効な量で投与することを含む、悪性腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための方法。

【公表番号】特表2009−530326(P2009−530326A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500745(P2009−500745)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002321
【国際公開番号】WO2007/107295
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508285318)ジュートツッカー アクチエンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト (1)
【氏名又は名称原語表記】Suedzucker Aktiengesellschaft Mannheim/Ochsenfurt
【住所又は居所原語表記】Maximilianstrasse 10, D−68165 Mannheim, Germany
【Fターム(参考)】