腫瘍壊死因子相同体及びそれをコードする核酸
【課題】腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーと相同性を有する新規なポリペプチド及びそれらのポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。
【解決手段】ヒト由来の腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーと相同性を有する新規なポリペプチド及びそれらのポリペプチドをコードする核酸分子。また、それらの核酸配列を含むベクター及び宿主細胞、異種ポリペプチド配列に融合した該ポリペプチドを含むキメラ分子、該ポリペプチドに結合する抗体、及び該ポリペプチドを製造する方法。
【解決手段】ヒト由来の腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーと相同性を有する新規なポリペプチド及びそれらのポリペプチドをコードする核酸分子。また、それらの核酸配列を含むベクター及び宿主細胞、異種ポリペプチド配列に融合した該ポリペプチドを含むキメラ分子、該ポリペプチドに結合する抗体、及び該ポリペプチドを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、新規なDNAの同定及び単離、並びに、ここに「DNA98853」ポリペプチド及び「DNA101848」ポリペプチと命名する腫瘍壊死因子レセプターに相同性を有する新規ポリペプチドの組換体の生産に関する。
【0002】
(発明の背景)
哺乳動物における細胞数のコントロールは、一部は細胞増殖と細胞死のバランスにより決定されると考えられている。壊死性細胞死と称されることもある細胞死の一形態は、典型的には、ある種の外傷又は細胞傷害の結果生じる細胞死の病理的形態として特徴付けられる。これに対して、通常は規則的又はコントロールされた状態で進行する細胞死の他の「生理的」形態がある。細胞死のこの規則的又はコントロールされた形態は、しばしば「アポトーシス」と称される[例えば、Barr等, Bio/Technology, 12:487-493 (1994); Steller等, Science, 267: 1445-1449 (1995)を参照]。アポトーシス性細胞死は、免疫系におけるクローン選択と胚の発達を含む多くの生理的プロセスにおいて自然に生じる[Itoh等, Cell, 66:233-243(1991)]。アポトーシス性細胞死のレベルの減少は、癌、狼瘡、ヘルペスウイスル感染を含む種々の病理的条件に関連している[Thompson, Science, 267:1456-1462(1995)]。アポトーシス細胞死のレベルの増加は、AIDS、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側方硬化症、多発性硬化症、色素性網膜炎、小脳変性、再生不良性貧血、心筋梗塞、発作、再灌流障害、及び毒素誘発肝疾患を含む様々な他の病理学的状態を伴う[Thompson, 上掲]。
【0003】
アポトーシス性細胞死には、典型的には、細胞内における一又は複数の特徴的な形態学的及び生化学的変化、例えば細胞質の凝集、原形質膜の微絨毛の喪失、核の断片化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失が伴う。様々な外因的及び内因的シグナルが、このような形態学的及び生化学的な細胞変化を惹起又は誘発すると考えられている[Raff, Nature, 356:397-400(1992);Steller, 上掲; Sachs等, Blood, 82:15(1993)]。例えば、それらは、ホルモンの刺激、例えば未成熟胸腺細胞に対する糖質コルチコイドホルモン、並びにある種の成長因子の退薬により惹起され得る[Watanabe-Fukunaga等, Nature, 356:314-317(1992)]。また、幾つかの同定された発癌遺伝子、例えばmyc、rel、及びE1A、及び腫瘍サプレッサーは、p53と同様に、アポトーシスの誘発においてある役割を有していることも報告されている。ある種の化学療法薬及びある種の放射線も同様にアポトーシス誘発活性を有していることも見出されている[Thompson, 上掲]。
【0004】
様々な分子、例えば腫瘍壊死因子-α(「TNF-α」)、腫瘍壊死因子-β(「TNF-β」又は「リンホトキシン-α」)、リンホトキシン-β(「LT-β」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、Apo-2リガンド(TRALIとも称される)、Apo-3リガンド(TWEAKとも称される)、EDA及びEDA-A2が、サイトカインの腫瘍壊死因子(「TNF」)ファミリーのメンバーとして同定された[例えば、Gruss及びDower, Blood, 85:3378-3404(1995); Pitti等, J. Biol. Chem., 271: 12687-12690 (1996); Wiley等, Immunity, 3: 673-682 (1995); Browning等, Cell, 72: 847-856 (1993); Armitage等, Nature, 357: 80-82 (1992), 1997年1月16日発行のWO 97/01633; 1997年7月17日発行のWO 97/25428参照;Marsters等, Curr. Biol., 8:525-528(1998);Chicheportiche等, Biol. Chem., 272:32401-32410(1997);Bayes等, Human Molecular Genetics, 7:1661-1669(1998);Kere等, Nature Genetics, 13:409-416(1996)]。これらの分子の中でも、TNF-α、TNF-β、CD30リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド、Apo-2リガンド(TRAIL)及びApo-3リガンド(TWEAK)は、アポトーシス性細胞死に含まれていることが報告されている。TNF-αとTNF-βの両方とも、感受性腫瘍細胞におけるアポトーシス性の死を誘発することが報告されている[Schmid等, Proc. Natl. Acad. Sci., 83:1881(1986);Dealtry等, Eur. J. Immunol., 17:689(1987)]。ゼング(Zheng)等は、TNF-αがCD8ポジティブT細胞の刺激後アポトーシスに含まれることを報告している[Zheng等, Nature, 377:348-351(1995)]。他の研究者らは、CD30リガンドが胸腺における自己反応性T細胞の欠落に関与していることを報告している[Amakawa等, プログラム細胞死に関するコールドスプリングハーバー研究所のシンポジウム、要約集、第10巻、(1995)]。
【0005】
マウスのFas/Apo-1レセプター又はリガンド遺伝子(各々lpr及びgldと呼称される)における変異が幾つかの自己免疫疾患に関連しており、Apo-1リガンドが末梢の自己反応性リンパ球のクローン欠落の調節においてある役割を担っていることを示している[Krammer等, Curr. Op. Immunol., 6:279-289(1994); Nagata等, Science, 267:1449-1456(1995)]。また、Apo-1リガンドは、CD4-ポジティブTリンパ球及びBリンパ球において刺激後アポトーシスを誘発することが報告されており、それらの機能がもはや必要でなくなった際の活性化リンパ球の除去に関与している[Krammer等, 上掲; Nagata等, 上掲]。Apo-1レセプターと特異的に結合するアゴニストのマウスモノクローナル抗体は、TNF-αに匹敵するか類似する細胞死滅活性を示すことが報告されている[Yonehara等, J. Exp. Med., 169:1747-1756(1989)]。
【0006】
このようなTNFファミリーのサイトカインが介在する種々の細胞反応の誘発は、それらが特異的な細胞レセプターに結合することにより開始されると考えられている。約55-kDa(TNFR1)と75-kDa(TNFR2)の2つの異なるTNFレセプターが同定されており[Hohman等, J. Biol. Chem., 264:14927-14934(1989);Brockhaus等, Proc. Natl. Acad. Sci., 87:3127-3131(1990);1991年3月20日に公開されたEP417,563]、双方のレセプター型に対応するヒト及びマウスcDNAが単離され、特徴付けされている[Loetscher等, Cell, 61:351(1990);Schall等, Cell, 61:361(1990);Smith等, Science, 248:1019-1023(1990);Lewis等, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:2830-2834(1991);Goodwin等, Mol. Cell. Biol., 11:3020-3026(1991)]。双方のTNFレセプター遺伝子には広範な多型性が付随している[例えば、Takao等, Immunogenetics, 37:199-203(1993)を参照]。双方のTNFRは細胞外、膜貫通及び細胞内領域を含む細胞表面レセプターの典型的な構造を共有する。双方のレセプターの細胞外部分は、可溶性TNF結合タンパク質として天然に見出される[Nophar, Y等, EMBO J., 9:3269(1990);及びKohno, T等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:8331(1990)]。可溶性の組換体TNFレセプターのクローニングがヘイル(Hale)等により報告されている[J. Cell. Biochem. 増補15F, 1991, p.113(P424)]。
【0007】
1型又は2型のTNFR(TNFR1及びTNFR2)の細胞外部分は、NH2末端から出発して、1〜4と呼称される4つのシステインに富んだドメイン(CRD)の反復アミノ酸配列パターンを含む。各CRDは約40のアミノ酸長のものであり、良好に保存された位置に4〜6のシステイン残基を含んでいる[Schall等, 上掲;Loetscher等, 上掲;Smith等, 上掲;Nophar等, 上掲;Kohno等, 上掲]。TNFR1において、4つのCRDのおおよその境界は次の通りである:CRD1−14から約53までのアミノ酸;CRD2−約54から約97までのアミノ酸;CRD3−約98から約138までのアミノ酸;CRD4−約139から約167までのアミノ酸。TNFR2において、CRD1は、17〜約54までのアミノ酸を、CRD2は約55から約97までのアミノ酸を;CRD3は約98から約140までのアミノ酸を;CRD4は約141から約179までのアミノ酸を含む[Banner等, Cell, 73:431-435(1993)]。また、リガンド結合におけるCRDの潜在的な役割は前掲のバナー(Banner)等により記載されている。
【0008】
CRDの類似の反復パターンが、p75神経成長因子レセプター(NGFR)[Johnson等, Cell, 47:545(1986);Radeke等, Nature, 325: 593(1987)]、B細胞抗原CD40[Stamenkovic等, EMBO J., 8:1403(1989)]、T細胞抗原OX40[Mallet等, EMBO J., 9:1063(1990)]及びFas抗原[Yonehara等, 上掲、及びItoh等, Cell, 66: 233-243 (1991)]を含む幾つかの他の細胞表面タンパク質に存在している。また、CRDはショープ(Shope)及び粘液腫ポックスウィルスの可溶型TNFR(sTNFR)様のT2タンパク質にも見出されている[Upton等, Virology, 160:20-29(1987);Smith等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 176:335(1991);Upton等, Virology, 184:370(1991)]。これらの配列の最適なアラインメントは、システイン残基の位置が良好に保存されていることを示している。これらレセプターは、しばしば集合的に、TNF/NGFレセプタースーパーファミリーのメンバーと称される。p75NGFRに関する最近の研究では、CRD1の欠失[Welcher, A.A.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:159-163(1991)]又はこのドメインにおける5-アミノ酸の挿入[Yan. H及びChao, M.V., J. Biol. Chem., 266:12099-12104(1991)]は、NGF結合に殆ど又は全く影響を持たないことが示されている[Yan. H及びChao, M.V., 上掲]。p75NGFRは、そのCRD4と膜貫通領域の間に約60のアミノ酸のプロリンに富んだ伸展を含み、それはNGF結合に関与しない[Peetre, C.等, Eur. J. Hematol.,41:414-419(1988);Seckinger, P.等, J. Biol. Chem., 264:11966-11973(1989);Yan. H及びChao, M.V., 上掲]。同様のプロリンに富んだ領域はTNFR2に見出されているが、TNFR1には見られない。
【0009】
今日までに同定されているTNFファミリーのリガンドは、リンホトキシン-αを除き、II型の膜貫通タンパク質であり、そのC末端は細胞外にある。これに対して、今日までに同定されているTNFレセプター(TNFR)ファミリーの殆どのレセプターはI型の膜貫通タンパク質である。しかしながら、TNFリガンド及びレセプターファミリーの双方において、ファミリーメンバー間で同定された相同性は、主として細胞外ドメイン(「ECD」)において見出されている。TNF-α、Apo-1リガンド及びCD40リガンドを含むTNFファミリーサイトカインのいくつかは、細胞表面においてタンパク分解的に切断され;各場合に得られたタンパク質は、典型的には、可溶性サイトカインとして機能するホモ三量体分子を形成する。また、TNFレセプターファミリーのタンパク質は、通常、タンパク分解的に切断され、同族のサイトカインの阻害剤として機能し得る可溶性レセプターのECDを放出する。
【0010】
最近になって、TNFRファミリーの他のメンバーが同定された。これら新たに同定されたTNFRファミリーのメンバーは、CAR1、HVEM及びオステオプロテゲリン(osteoprotegerin)(OPG)を含む[Brojatsch等, Cell, 87: 845-855 (1996); Montgomery等, Cell, 87: 427-436 (1996); Marsters等, J. Biol. Chem., 272: 14029-14032 (1997); Simonet等, Cell, 89, 309-319 (1997)]。他の知られたTNFR様分子とは異なり、上掲のシモネット(Simonet)等は、OPGが疎水性膜貫通配列を含まないと報告している。
【0011】
さらに、TNF/NGFレセプターファミリーの新規なメンバーがマウスにおいて同定され、レセプターは、「糖質コルチコイド誘発腫瘍壊死因子レセプターファミリー関連遺伝子」に対して「GITR」と命名された[Nocentini等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 6216-6221 (1997)]。マウスGITRレセプターは228アミノ酸のI型膜貫通タンパク質であり、胸腺、脾臓及びリンパ節からの正常マウスTリンパ球において発現される。マウスGITRレセプターの発現は、抗-CD3抗体、ConA又はホルボール12-ミリステート13-アセテートでの活性化の際にTリンパ球で誘発される。筆者は、GITRレセプターがT細胞レセプター媒介細胞死の調節に関与していると考えている。
【0012】
マースターズ(Marsters)等、Curr. Biol., 6:750(1996)において、研究者は、細胞外のシステインに富んだ反復においてTNFRファミリーに対して類似性を示し、細胞質死亡ドメイン配列を含む点でTNFR1及びCD95に似ている、Apo-3と称されるヒトのポリペプチド全長天然配列を開示している[Marsters等,Curr. Biol., 6:1669(1996)も参照されたい]。他の研究者によれば、Apo-3は、DR3、wsl-1、TRAMP及びLARDとも称されている[Chinnaiyan等, Science, 274:990(1996);Kitson等, Nature, 384:372(1996);Bodmer等, Immunity, 6:79(1997);Screaton等, Proc. Natl. Acad. Sci., 94:4615-4619(1997) ]。
【0013】
パン(Pan)等は、「DR4」と称される他のTNFレセプターファミリーのメンバーを開示している[Pan等, Science, 276:111-113(1997)]。DR4は細胞自殺器を活動させることにできる細胞内死亡ドメインを含むと報告された。パン等は、DR4がApo-2リガンド又はTRAILとして知られるリガンドのレセプターであると考えられることを開示している。
シェリダン(Sheridan)等, Science, 277: 818-821 (1997)及びパン等, Science, 277: 815-818 (1997)においては、Apo-2リガンド(TRAIL)に対するレセプターと思われる他の分子が記載されている。この分子は、DR5と呼ばれる(あるいは、Apo-2;TRAIL-2,TRICK2又はKILLERとも呼ばれる[Screaton等, Curr. Biol., 7:693-696(1997);Walczak等, EMBO J., 16:5386-5387(1997);Wu等, Nature Genetics, 17:141-143(1997)])。DR4と同様に、DR5は細胞内死亡ドメインを含み、アポトーシスをシグナル伝達可能であると報告されている。
さらに他の細胞質死ドメインを含むレセプターであるDR6が最近同定された[Pan等, FEBS Letters, 431:351-356(1998)]。4つの予想される細胞外ドメイン及び細胞質死ドメインの他に、DR6は細胞質領域におけるプロリンに富む領域とオーバーラップするような予想されるロイシンジッパー配列を含むと考えられている。プロリンに富むモチーフはsrc相同性-3領域と結合する配列に類似しており、それは多くの細胞内シグナル伝達分子に見出されるものである。
最近同定されたレセプターのさらなるグループは、「デコイレセプター」と称され、シグナル伝達分子というよりはむしろ、阻害剤として機能すると考えられている。このグループには、DCR1(TRID,LIT,又はTRAIL-R3とも称される)[Pan等, Science, 276:111-113(1997);Sheridan等, Science, 277: 818-821 (1997);McFarlane等, J. Biol. Chem., 272:25417-25420(1997);Schneider等, FEBS Letters, 416:329-334(1997);Degli-Esposti等, J. Exp. Med., 186:1165-1170(1997);及びMongkolsapaya等, J. Immunol., 160:3-6(1998)]及びDCR2(TRUNDD,又はTRAIL-R4とも称される)[Marsters等, Curr. Biol., 7:1003-1006(1997);Pan等, FEBS Letters, 424:41-45(1998);Degli-Esposti等, Immunity, 7:813-820(1997)]が含まれ両者とも細胞表面分子であり、更にOPG[Simonet等、上掲]及びDCR3[Pitti等, Nature, 396:699-703(1998)]も含まれ、これら両者は分泌性の可溶性タンパク質である。
サイトカインのTNFファミリー及びそれらのレセプター類の概説については、Ashkenazi等, Science, 281:1305-1308(1998);Golstein, Curr. Biol., 7:750-753(1997);及び上掲のGruss及びDowerを参照されたい。
【0014】
現在理解されているように、細胞死プログラムは、少なくとも3つの重要な要素−活性化因子、阻害剤及びエフェクターを含み;線虫(C. elegans)において、これらの成分はそれぞれ3つの遺伝子、Ced-4、Ced-9及びCed-3によりコードされている[Steller, Science, 267:1445(1995);Chinnaiyan等, Science, 275:1122-1126(1997); Wnag等, Cell, 90: 1-20 (1997)]。TNFRファミリーのメンバーの2つ、TNFR1及びFas/Apol(CD95)は、アポトーシス性細胞死を活性化し得る[Chinnaiyan及びDixit, Current Biology, 6:555-562(1996);Fraser及びEvan, Cell, 85:781-784(1996)]。また、TNFR1は、転写因子、NF-κBの活性化を媒介することも知られている[Tartaglia等, Cell, 74:845-853(1993);Hsu等, Cell, 84:299-308(1996)]。ある程度のECD相同性に加えて、これら2つのレセプターは、死亡ドメインとして知られているオリゴマー形成界面の細胞内ドメイン(ICD)での相同性を共有する[Tartaglia, 上掲;Nagata, Cell, 88:355(1997)]。また、死亡ドメインはアポトーシスを調節するいくつかの後生動物タンパク質、すなわちFADD/MORT1、TRADD及びRIPと称されるショウジョウバエタンパク質、リーパー(Reaper)及び哺乳動物タンパク質中においても見出されている[Cleaveland及びIhle, Cell, 81:479-482(1995)]。
【0015】
リガンド結合及びレセプター集団化に際して、TNFR1及びCD95はFADDを死亡誘導シグナル伝達複合体に補充すると考えられる。CD95はFADDに直接結合するが、TNFR1はFADDにTRADDを介して間接的に結合するとされている[Chinnaiyan等, Cell, 81: 505-512 (1995); Boldin等, J. Biol. Chem., 270: 387-391 (1995); Hsu等, 上掲; Chinnaiyan等, J. Biol. Chem., 271: 4961-4965 (1996)]。FADDは、Ced-3-関連プロテアーゼ、MACHα/FLICE(カスパーゼ8)を死亡シグナル伝達複合体に補充するアダプタータンパク質として提供されると報告されている[Boldin等, Cell, 85: 803-815 (1996); Muzio等, Cell, 85: 817-827 (1996)]。MACHα/FLICEは、インターロイキン-1β変換酵素(ICE)及びCPP32/Yamaを含むアポトーシス性プロテアーゼのカスケードを作動させるトリガーであることがわかり、細胞死プログラムの幾つかの重要な側面を実行させ得る[Fraser及びEvan, 上掲]。
【0016】
プログラムされた細胞死が、線虫の細胞死遺伝子、ced-3、及び哺乳動物のIL-1-変換酵素、ICEに関連したシステインプロテアーゼファミリーメンバーの活性に関与していることが最近開示された。ICE及びCPP32/Yamaプロテアーゼの活性は、牛痘ウイルス遺伝子、crmAの産物により阻害され得る[Ray等, Cell, 69:597-604(1992);Tewari等, Cell, 81:801-809(1995)]。最近の研究では、CrmAがTNFR1-及びCD95-誘発細胞死を阻害し得ることが示されている[Enari等, Nature, 375:78-81(1995);Tewari等, J. Biol. Chem., 270:3255-3260(1995)]。
【0017】
テワリ(Tewari)等により最近概説されているように、TNFR1、TNFR2及びCD40は、転写因子、NF-κBの活性化を通して、炎症誘発性及び同時刺激性サイトカイン、サイトカインレセプター、及び細胞接着分子の発現を変調する[Tewari等, Curr. Op. Genet. Develop., 6:39-44(1996)]。NF-κBは、そのサブユニットが保存Rel領域を含有する二量体転写因子のファミリーの原型である[Verma等, Genes Develop., 9:2723-2735(1996);Baldwin, Ann. Rev. Immunol., 14:649-681(1996)]。その潜伏形態において、NF-κBはIκB阻害剤ファミリーのメンバーと複合化しており;所定の刺激に反応してIκBの不活性化の際に、放出されたNF-κBが、特異的DNA配列と結合する核に転座して遺伝子転写を活性化する。
このようなシグナル伝達経路の最近の他の総説として、例えばAshkenazi等, Science, 281:1305-1308(1998)及びNagata, Cell, 88:355-365(1997)を参照のこと。
【0018】
(発明の概要)
本出願人は、上記腫瘍壊死因子レセプタータンパク質に所定の配列同一性を有する新規なポリペプチドをコードするcDNAクローンを同定し、当該ポリペプチドは本出願において「DNA98853」ポリペプチド及び「DNA101848」ポリペプチドと命名される。
一実施態様では、本発明は、DNA98853ポリペプチドをコードするDNAを含む単離された核酸分子を提供する。特定の態様では、単離された核酸は、Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜299、又は1〜136を有するDNA98853ポリペプチドをコードするDNAを含むか、又はそのようなコード核酸配列に相補的であり、少なくとも中程度、場合によっては高い緊縮性条件下で安定に結合したままである。単離された核酸配列は、DNA98853ポリペプチドをコードする核酸配列を含む1999年4月6日にATCC203906として寄託されたベクターのcDNA挿入物を含んでもよい。
【0019】
他の実施態様では、本発明はDNA98853ポリペプチドをコードするDNAを含むベクターを提供する。また、そのようなベクターを含む宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母菌であってよい。さらに、DNA98853ポリペプチドの製造方法も提供され、宿主細胞をDNA98853ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地からDNA98853ポリペプチドを回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は単離されたDNA98853ポリペプチドを提供する。特に、本発明は天然配列DNA98853ポリペプチドを提供し、一実施態様ではFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜299を含むアミノ酸配列を含む。本発明のさらなる実施態様は、Fig2(配列番号:3)に示したアミノ酸配列のアミノ酸1〜136を含む単離されたDNA98853ポリペプチドの細胞外ドメイン配列、又はその断片に係る。場合によっては、DNA98853ポリペプチドは、1999年4月6日にATCC203906として寄託されたベクターのcDNA挿入物にコードされるポリペプチドの発現によって得られ又は得られうる。
【0020】
他の実施態様では、本発明は異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したDNA98853ポリペプチド又は細胞外ドメイン配列又はその他の断片を含んでなるキメラ分子を提供する。そのようなキメラ分子の例は、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域に融合したDNA98853ポリペプチドを含む。
他の実施態様では、本発明はDNA98853ポリペプチド又はその細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体である。
さらなる実施態様では、本発明はDNA98853ポリペプチド又はDNA98853ポリペプチドをコードするDNAを用いる診断又は治療方法を提供する。
【0021】
一実施態様では、本発明は、DNA101848ポリペプチドをコードするDNAを含む単離された核酸分子を提供する。特定の態様では、単離された核酸は、Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297、又は1〜136を有するDNA101848ポリペプチドをコードするDNAを含むか、又はそのようなコード核酸配列に相補的であり、少なくとも中程度、場合によっては高い緊縮性条件下で安定に結合したままである。単離された核酸配列は、DNA101848をコードする核酸配列を含む1999年4月6日にATCC203907として寄託されたベクターのcDNA挿入物を含んでもよい。
【0022】
他の実施態様では、本発明はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAを含むベクターを提供する。また、そのようなベクターを含む宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母菌であってよい。さらに、DNA101848ポリペプチドの製造方法も提供され、宿主細胞をDNA101848の発現に適した条件下で培養し、細胞培地からDNA101848を回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は単離されたDNA101848ポリペプチドを提供する。特に、本発明は天然配列DNA101848ポリペプチドを提供し、一実施態様ではFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297を含むアミノ酸配列を含む。本発明のさらなる実施態様は、Fig4(配列番号:6)に示したアミノ酸配列のアミノ酸1〜136を含む単離されたDNA101848ポリペプチドの細胞外ドメイン配列、又はその断片に係る。場合によっては、DNA101848ポリペプチドは、1999年4月6日にATCC203907として寄託されたベクターのcDNA挿入物にコードされるポリペプチドの発現によって得られ又は得られうる。
【0023】
他の実施態様では、本発明は異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したDNA101848ポリペプチド又は細胞外ドメイン配列又はその他の断片を含んでなるキメラ分子を提供する。そのようなキメラ分子の例は、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域に融合したDNA101848ポリペプチドを含む。
他の実施態様では、本発明はDNA101848ポリペプチド又はその細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体である。
さらなる実施態様では、本発明はDNA101848ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAを用いる診断又は治療方法を提供する。
【0024】
驚くべきことに、出願人はEDA-A2と称するTNAファミリーリガンドがDNA101848レセプターに結合することを見出した。従って、本発明は、これらTNF関連リガンド及びレセプターのアンタゴニスト又はアゴニストの新規使用方法を提供する。ここに記載されているアンタゴニスト及びアゴニストは、他の事柄において、インビトロ、インサイツ、インビボにおける哺乳動物細胞の診断又は治療、もしくはEDA-A2の存在(又は非存在)と関連したは病理学的な状態に対する用途が見出される。
本使用方法には、EDA-A2の発現及び/又は活性の増加又は増強に、関連し又は起因する哺乳動物の病理学的な状態又は疾患を治療する方法が含まれる。治療方法においては、EDA-A2アンタゴニストがそのような病理学的な状態又は疾患に罹っている哺乳動物に投与されてもよい。本発明において使用が考慮されるEDA-A2アンタゴニストには、DNA101848又はDNA98853レセプターに対する抗体以外にDNA101848又はDNA98853レセプターイムノアドヘシンが含まれ、これらは好適には個々のレセプター結合又はEDA-A2による活性を阻害又は減少させる。さらに使用が考慮されるEDA-A2アンタゴニストには、DNA101848又はDNA98853レセプターに対するリガンドの結合を阻害し又は減少させることができる抗EDA-A2抗体が含まれる。さらに、アンタゴニスト分子には、共有結合的に修飾された形態、もしくはDNA101848又はDNA98853を含む融合タンパク質が含まれる。例えば、このようなアンタゴニストは、ペグ化(pegylated)DNA101848又はDNA98853、もしくはエピトープタグやロイシンジッパーのような異種配列と融合させたDNA101848又はDNA98853が含まれる。
【0025】
本発明の他の実施態様において、EDA-A2とDNA101848又はDNA98853間における相互作用を阻害し、中和するEDA-A2アンタゴニストの使用に対する方法が提供されている。例えば、本発明はEDA-A2リガンドの活性を減少させ、中和させ、阻害するのに効果的な量の一又は複数のEDA-A2アンタゴニストに対して哺乳動物細胞を曝す事を含む方法を提供する。細胞は、培養細胞又は哺乳類、例を挙げるならば、例えば免疫関連疾患又は癌に罹患している哺乳類の細胞である。従って、本発明には免疫関連疾患や癌のような病理学的な状態に罹っている哺乳動物を治療する方法が含まれ、ここに開示するように一又は複数のEDA-A2アンタゴニストを投与することを含む。
本発明はまた一又は複数のEDA-A2アンタゴニストを含んでなる組成物を提供する。場合によっては、本発明の組成物は製薬的に許容可能な担体又は希釈剤を含む。
【0026】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
I.定義
ここで使用されるときの「DNA98853ポリペプチド」という用語には、天然配列DNA98853ポリペプチド及びDNA98853ポリペプチド変異体(ここでさらに定義される)が含まれる。DNA98853ポリペプチドは種々の供給源、例えばヒト組織型又は他の供給源から単離され、あるいは組換え又は合成法により調製されうる。
「天然配列DNA98853ポリペプチド」は、天然由来のDNA98853ポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列DNA98853ポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え又は合成手段により生産することもできる。「天然配列DNA98853ポリペプチド」という用語には、特に、DNA98853ポリペプチドの自然に生じる切断、可溶性又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列又は可溶性形態)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びDNA98853ポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。本発明の一実施態様において、天然配列DNA98853ポリペプチドは、Fig2(配列番号:3)のアミノ酸1〜299を含有する成熟又は全長天然配列DNA98853ポリペプチドである。本発明の他の実施態様において、天然配列DNA98853ポリペプチドは全長DNA98853ポリペプチドタンパク質の細胞外ドメインでもあるが、全長DNA98853ポリペプチドの予想される膜貫通ドメインはFig2(配列番号:3)に示されるアミノ酸配列137-158を含有する。従って、本発明のさらなる実施態様は、Fig2(配列番号:3)に示されるアミノ酸配列1-136を含有するポリペプチドに対して指向されている。あるいは、DNA98853ポリペプチドは、ATCC203906として1999年4月6日に寄託されたベクターDNA98853のcDNA挿入物によってコードされるポリペプチドを発現させることにより得られ又は得られうる。
【0027】
「DNA98853ポリペプチド細胞外ドメイン」又は「DNA98853ポリペプチドECD」は、DNA98853ポリペプチドの膜貫通及び細胞質ドメインを実質的に有しないDNA98853ポリペプチドの型を意味する。通常、DNA98853ポリペプチドECDは、そのような膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。場合によっては、DNA98853ポリペプチドECDは、Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜136を含む。一又は複数のアミノ酸N-又はC-末端から欠失してされている全長もしくはECDの欠失変異又はフラグメントが含まれる。好適には、そのような欠失変異もしくはフラグメントはここで記載されるような所望の活性を有する。当業者には、本発明のDNA98853ポリペプチドについて同定された膜貫通ドメインが、この分野におけるその種の疎水性ドメインの同定に日常的に用いられる基準に従って同定されることを理解するであろう。膜貫通ドメインの正確な境界は変動するが、最も可能性が高いのは、ここに特に述べたドメインのいずれかの末端における約5アミノ酸以下である。従って、DNA98853ポリペプチドECDは、場合によってはFig2(配列番号:3)のアミノ酸1からXを含み、ここでXはFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基131〜141の任意の一つである。
【0028】
「DNA98853ポリペプチド変異体」とは、全長天然配列DNA98853ポリペプチドに対してFig2(配列番号:3)に示されている推定アミノ酸配列又はDNA98853ポリペプチドECD配列と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する以下に定義するDNA98853ポリペプチドを意味する。このようなDNA98853ポリペプチド変異体には、例えば、Fig2(配列番号:3)の配列のN-又はC-末端において一又は複数のアミノ酸残基が付加され、もしくは欠失されたDNA98853ポリペプチドが含まれる。通常、DNA98853ポリペプチド変異体は、Fig2(配列番号:3)のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも約95%、なお一層より好ましくは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性を有している。
【0029】
ここで使用されるときの「DNA101848ポリペプチド」という用語には、天然のDNA101848ポリペプチド配列及びDNA101848ポリペプチド変異体(ここでさらに定義される)が含まれる。DNA101848ポリペプチドは種々の供給源、例えばヒト組織型又は他の供給源から単離されたもの、あるいは組換え又は合成法により調製されたものであってよい。
「天然配列DNA101848ポリペプチド」は、天然由来のDNA101848ポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列DNA101848ポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え又は合成手段により生産することもできる。「天然配列DNA101848ポリペプチド」という用語には、特に、DNA101848ポリペプチドの自然に生じる切断、可溶性又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列又は可溶性形態)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びDNA101848ポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。本発明の一実施態様において、天然配列DNA101848ポリペプチドは、Fig4(配列番号:6)のアミノ酸1〜297を含有する成熟又は全長天然配列DNA101848ポリペプチドである。本発明の他の実施態様において、天然配列DNA101848ポリペプチドは全長DNA101848ポリペプチドタンパク質の細胞外ドメインでもあるが、全長DNA101848ポリペプチドタンパク質の予想される膜貫通ドメインはFig4(配列番号:6)に示されるアミノ酸配列137-158を含有する。従って、本発明のさらなる実施態様は、Fig4(配列番号:6)に示されるアミノ酸配列1-136を含有するポリペプチドに対して指向されている。あるいは、DNA101848ポリペプチドは、ATCC203907として1999年4月6日に寄託されたベクターDNA101848ポリペプチドのcDNA挿入物によってコードされるポリペプチドを発現させることにより得られ又は得られうる。
【0030】
「DNA101848ポリペプチド細胞外ドメイン」又は「DNA101848ポリペプチドECD」は、DNA101848ポリペプチドの膜貫通及び細胞質ドメインを実質的に有しないDNA101848ポリペプチドの型を意味する。通常、DNA101848ポリペプチドECDは、そのような膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。場合によっては、DNA101848ポリペプチドECDは、Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜136を含む。一又は複数のアミノ酸N-又はC-末端から欠失してされている全長もしくはECDの欠失変異又はフラグメントが含まれる。好適には、そのような欠失変異もしくはフラグメントはここで記載されるような所望の活性を有する。当業者には、本発明のDNA101848ポリペプチドについて同定された膜貫通ドメインが、この分野におけるその種の疎水性ドメインの同定に日常的に用いられる基準に従って同定されることを理解するであろう。膜貫通ドメインの正確な境界は変動するが、最も可能性が高いのは、ここに特に述べたドメインのいずれかの末端における約5アミノ酸以下である。従って、DNA101848ポリペプチドECDは、場合によってはFig4(配列番号:6)のアミノ酸1からXを含み、ここでXはFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基131〜141の任意の一つである。
【0031】
「DNA101848ポリペプチド変異体」とは、全長天然配列DNA101848ポリペプチドに対してFig4(配列番号:6)に示されている推定アミノ酸配列又はDNA101848ポリペプチドECD配列と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する以下に定義するDNA101848を意味する。このようなDNA101848変異体には、例えば、Fig4(配列番号:6)の配列のN-又はC-末端において一又は複数のアミノ酸残基が付加され、もしくは欠失されたDNA101848ポリペプチドが含まれる。通常、DNA101848変異体は、Fig4(配列番号:6)のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも約95%、なお一層より好ましくは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性を有している。
【0032】
ここで同定されるポリペプチドアミノ酸配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合に、アミノ酸残基、例えば、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド配列と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。配列アラインメントを行い及び配列同一性の決定をする方法は、当該技術の分野に属する者にとって公知であり、過度の実験を行うことなく達成でき、同一性値の計算は的確に得られる。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲内にある種々の方法、例えばALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア 、WU-BLAST-2[Altschul等, Meth. Enzym., 266:460-480(1996)]、ALIGN-2[Genentech, Incにより著され.,及び, U.S. Copyriht office により1991年12月10日に出願された]、ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。さらに、コンピュータープログラム中の初期設定パラメータを使用することでアラインメントを行うことができる。
【0033】
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」に融合したDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド、又はそれらのドメイン配列を含んでなるキメラポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得る又は幾つかの他の試薬により同定され得るエピトープを提供するに十分な残基を有しているが、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの活性を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50のアミノ酸残基(好ましくは約10〜約20の残基)を有する。
【0034】
「単離された」とは、ここで開示される種々のポリペプチドを記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され及び分離され及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。その自然環境の汚染成分とは、典型的にはポリペプチドの診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様(proteinaceous)又は非タンパク質様(nonproteinaceous)の溶質が含まれる。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは、(2)クーマシーブルー、または好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEにより均一となるまで精製される。DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離されたポリペプチドには、組換え細胞内のインサイツのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0035】
「単離された」DNA98853ポリペプチドコード化核酸分子は、DNA98853ポリペプチドコード化核酸の天然供給源に通常付随している少なくとも1つの汚染核酸分子から同定され分離された核酸分子である。単離されたDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。ゆえに、単離されたDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子は、天然の細胞中に存在するDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかし、単離されたDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞のものとは異なった染色体位置にある場合にDNA98853ポリペプチドを通常発現する細胞に含まれるDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子を含む。
【0036】
「単離された」DNA101848ポリペプチドコード化核酸分子は、DNA101848ポリペプチドコード化核酸の天然供給源に通常付随している少なくとも1つの汚染核酸分子から同定され分離された核酸分子である。単離されたDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。ゆえに、単離されたDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子は、天然の細胞中に存在するDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかし、単離されたDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞のものとは異なった染色体位置にある場合にDNA101848ポリペプチドを通常発現する細胞に含まれるDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子を含む。
【0037】
「EDA-A2」又は「EDA-A2リガンド」は、TNF関連分子と称される、例えばBayes等, Human Molecular Genetics, 7:1661-1669(1998)に記述されいる。ここで使用されるときの「EDA-A2」又は「EDA-A2ポリペプチド」という用語には、「天然配列EDA-A2ポリペプチド」及び「EDA-A2変異体」が含まれる。「EDA-A2」は、Bayes等、上掲に示されているポリペプチド配列及びその変異体を含む核酸分子、並びにBayes等、上掲に開示されている天然配列EDA-A2の生物学的活性(好ましくは、DNA98853又はDNA101848レセプターと結合する能力)を有する上述のフラグメント配列を含む核酸分子によりコードされるポリペプチドに与えられた命名である。EDA-A2の生物学的に活性のある変異体は、Bayes等、上掲により記述されている天然EDA-A2ポリペプチド配列と少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約95%、のアミノ酸配列同一性を有している。「天然配列」EDA-A2ポリペプチドは、天然由来のEDA-A2と同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列EDA-A2ポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え及び/又は合成手段により生産することもできる。「天然配列EDA-A2ポリペプチド」という用語には、特に、自然に生じる切断又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。出願人は、Bayes等、上掲によって開示されたリガンドのEDA-A1型は、出願人によるDNA101848-hFc構築物(本構築物は以下の実施例において記載してある)には結合しないことを見出し、従って、特別のリガンドのEDA-A1型は本定義の目的に対する生物学的に活性のある変異体ではないかもしれないと考えられている。
【0038】
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0039】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係に配置されているときに「作用可能に結合され」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参加するプレタンパク質として発現されるなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合しており;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合しており;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合されている。一般的に、「作用可能に結合される」とは、結合されたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて翻訳枠にあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、通常の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0040】
「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、特に単一の抗-DNA98853ポリペプチドモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、及び中和抗体を含む)、特に単一の抗-DNA101848ポリペプチドモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、及び中和抗体を含む)、多エピトープ特異性を持つ抗-DNA98853ポリペプチド抗体組成物、及び多エピトープ特異性を持つ抗-DNA101848ポリペプチド抗体組成物を包含している。ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、即ち、その集団を構成する個々の抗体は、少量存在しうる自然に生じる可能な突然変異を除いて同一である。
【0041】
ここで意図している「活性」又は「活性な」は、天然に存在し天然に産するDNA98853ポリペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持している形態、天然に存在し天然に産するDNA101848ポリペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持している形態、を称する。そのような活性には、EDA-A2リガンドと結合する能力の他に、哺乳動物細胞において例えば、(作用的あるいは拮抗的方法のいずれかで)アポトーシス、炎症誘発性又は自己免疫性反応を変調させることが含まれる。作用的活性には活性を刺激し又は亢進する能力が含まれる一方、拮抗的活性には活性を阻止、抑制あるいは中和する能力が含まれる。
【0042】
ここで使用される「イムノアドヘシン」なる語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)と、免疫グロブリンの定常領域のエフェクター機能とを組み合わせた抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位(抗原結合部位)以外の(即ち、「異種的な」)所望の結合特異性を有するアドヘシンのアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合を含む。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、もしくはIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgM等の任意の免疫グロブリンから得ることができる。
【0043】
「アンタゴニスト」という用語は最も広い意味で用いられ、EDA-A2ポリペプチドの、インビトロ、インサイツ、インビボにおける一又は複数の生物学的活性を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和する任意の分子を含む。EDA-A2のそのような生物学的活性の例には、文献においてさらに報告されているもの以外に、DNA98853又はDNA101848との結合、及びNF-KBの活性化を含む。
【0044】
「EDA-A2のアンタゴニスト」は、EDA-A2の生物学的活性を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和するが任意の分子に適用するが、DNA98853又はDNA101848の細胞外ドメイン配列、DNA98853又はDNA101848レセプターイムノアドヘシン、DNA98853又はDNA101848レセプター融合タンパク質、DNA98853又はDNA101848レセプターの共有結合的に修飾された形体、DNA98853又はDNA101848の変異体、DNA98853又はDNA101848レセプター抗体の可溶性型に限定されない。EDA-A2のアンタゴニスト分子が、EDA-A2の生物学的活性を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和するかどうか決定するために、アンタゴニスト分子の、例えば、EDA-A2のDNA98853又はDNA101848との結合、もしくはNF-κBのそれぞれのリガンドによる活性化に対する効果を測定するためにアッセイが行われる。そのようなアッセイは、公知のインビトロ、インビボ形式、例えば、DNA101848を発現する形質移入細胞において行われてもよい。好適には、ここで記載される方法において用いられるEDA-A2アンタゴニストは、少なくともEDA-A2活性の一つの型を阻害し中和する能力があり、その能力は、場合によっては、ここで記載されるようなアッセによって決定される。または、EDA-A2アンタゴニストは、実施例において記述されているような結合アッセイにおいて、ネガティブコントロールの分子と比較してEDA-A2のDNA98853又はDNA101848との結合を少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%減少又は阻害する能力である。
ここで使用される「治療する」、「治療」及び「治療法」とは、治癒的療法、予防的療法及び防護的療法を称する。
【0045】
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は広義に使用され、典型的には、細胞質の凝結、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失を含む一又は複数の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳動物における細胞死の規則的又はコントロールされた形態を指す。この活性は、例えば全てこの分野で知られている細胞生死判別アッセイ、FACS分析又はDNA電気泳動法により決定及び測定することができる。
【0046】
「癌」、「癌性」及び「悪性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、芽細胞腫、胃腸癌、腎臓癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、神経芽腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞腫(hepatoma)、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝癌(hepatic carcinoma)及び様々な種類の頭部及び頸部の癌が含まれる。
【0047】
「免疫関連疾患」とは、哺乳動物の免疫系の構成成分が哺乳動物において病的な状態をを引き起こし、仲介し、または寄与するような疾患を意味する。また、免疫反応の促進又は処置が、疾患の進行に対して改善的な効果を有するような疾患をも含む。この用語には、自己免疫疾患、免疫媒介炎症誘発性疾患、非免疫媒介炎症誘発性疾患、感染性疾患、および免疫不全性疾患が含まれる。免疫関連炎症誘発性疾患の例として、そのいくつかは免疫又はT細胞媒介であり、全身性エリトマトーデス、間接リウマチ、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性硬化症(強皮症)、特発性炎症誘発性筋疾患、(皮膚筋炎、多発性筋炎)、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、(免疫性汎血球減少症、発作性夜間血色素尿)、自己免疫性血小板減少症(特発的血小板減少性紫斑病、免疫媒介血小板減少症)、甲状腺炎(グレーブ疾患、ハシモト甲状腺炎、若年性リンパ性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎)、真性糖尿病、免疫性腎臓疾患(糸状体腎炎、尿細管間質性腎炎)、特発性脱髄性多発神経障害、Guillain-Barre症候群、及び慢性炎症誘発性脱髄性多発神経障害のような中枢及び抹消神経系の脱髄性疾患、感染性肝炎(A、B、C、D、E型肝炎及び他の非肝炎性ウィルス)のような肝胆道疾患、自己免疫性慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎、及び硬化性胆管炎、炎症誘発性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン疾患)のような炎症誘発性及び線維性肺疾患、グルテン感受性腸疾患、及びフィップル疾患、水泡性ヒス疾患を含む自己免疫性又は免疫媒介性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触皮膚炎、乾癬、喘息のようなアレルギー性疾患、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症及びジンマシン、好酸球性肺炎のような肺の免疫学的疾患、特発性肺線維症及び高感受性間質性肺炎、移植片拒絶及び移植片対宿主の疾患を含む、移植関連疾患である。感染性疾患にはエイズ(HIV感染)、肝炎A、B、C、D及びE、細菌性感染症、真菌性感染症、原生動物感染症、寄生虫感染症が含まれる。
【0048】
ここで用いられる「自己免疫性疾患」という用語は、広く、一般的な意味で用いられ、正常又は健康な組織の破壊が個々の哺乳動物の彼もしくは彼女自身の組織成分に対する体液性又は細胞内免疫反応から発症する哺乳動物における疾患又は状態のことをいう。例としては、限定されるものではないが、エリトマトーデス、甲状腺炎、リウマチ性関節炎、乾癬、多発性硬化症、自己免疫糖尿病、及び炎症誘発性腸疾患(IBD)である。
【0049】
ここで用いられる「細胞傷害性薬剤」という用語は、細胞の機能を阻害し又は妨害し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質のことをいう。この用語は放射活性アイソトープ(例えばI131,I125,Y90,Re186,)、化学療法剤、及び細菌性、真菌性、植物又は動物起源、又はそれらのフラグメントの酵素的に活性な毒素のようなものを含むことが意図されている。
【0050】
「化学治療薬」は、治療に有用な化合物である。化学治療薬の例は、アドリアマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、タキソイド、例えばパクリタキセル(Taxol(商品名), Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)及びドキセタキセル(Taxotere(商品名), Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France)、トキソテール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、CPT-11、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスファミド、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラマイシン(米国特許第4,675,187号)、メルファラン、及び他の関連するナイトロジェンマスタードを含む。また、この定義に含まれるのは、タモキシフェン及びオナプリストンなどの腫瘍へのホルモン作用を調節又は阻害するように作用するホルモン様薬剤である
【0051】
ここで使用される場合の「成長阻害剤」とは、インビトロ、インビボにおいて細胞の成長を阻害する化合物又は組成物のことを称する。従って、成長阻害剤の例には、S期の遺伝子を過発現させる細胞の割合を著しく減少させるようなものである。成長阻害剤の例には、細胞周期の進行をブロックする薬剤(S期以外の時点において)、例えばG1停止及びM相停止を誘発する薬剤が含まれる。伝統的なM期ブロッカーには、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、トポIIインヒビター、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1を停止させるこれらの薬剤、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニソン、ダカーバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-CがS相停止に溢流する。更なる情報は、Murakamiらにより「細胞分裂周期の調節、オンコジーン、及び抗新生物薬」と題された、癌の分子的基礎、Mendelsohn及びIsrael編、第1章(WB Saunders;Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。
【0052】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。そのようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンを挙げることができる。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)のような糖タンパク質;副甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子−α及び−β;マレリアン(mullerian)阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−β、NT−3、NT−4、NT−6、BDNF、CNTF、GDNF、AL−1あるいは他のeph受容体ファミリーのリガンド等の神経因子あるいは神経成長因子;血小板成長因子;TGF−αあるいはTGF−βのようなトランスフォーミング成長因子(TGFs);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロンα、β、γのようなインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)のようなコロニー刺激因子(CSFs);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)及び顆粒球−CSF(G−CSF);IL−1、IL−2、IL−3、 IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、 IL−8、IL−9、IL−11、IL−12等のインターロイキン(IL);及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書において、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。
【0053】
ここで使用される「哺乳動物」という用語は、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ及びネコを含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。本発明の好ましい実施態様においては、哺乳動物はヒトである。
【0054】
II. 本発明の組成物と方法
A.全長DNA98853ポリペプチド
本発明は、本出願においてDNA98853と称されるポリペプチドをコードする、新たに同定され単離された核酸配列を提供する。特に本出願人は、以下の実施例で更に詳細に開示するような、DNA98853ポリペプチドをコードするcDNAを同定し単離した。BLAST及びFastA配列アラインメントコンピュータプログラム(初期設定パラメータ)を用いて、本出願人は、腫瘍壊死因子レセプターファミリーの幾つかのメンバーとある程度のアミノ酸同一性を有することを見いだした。従って、本出願において開示されるDNA98853ポリペプチドは、腫瘍壊死因子レセプターファミリーポリペプチドの新規に同定されたメンバーである。
DNA98853ポリペプチドによるNF-κBの活性化は、哺乳動物細胞におけるアポトーシス、炎症誘発性及び自己免疫性反応を変調することにおける、本タンパク質の機能を示唆する。例えば、DNA98853ポリペプチドイムノアドヘシン分子(例えば、DNA98853ポリペプチドECD-Ig構築物)がNF-κBの活性化をアンタゴニスト的な様式で阻害するために使用され得ることも考慮することができる。
【0055】
B.全長DNA101848ポリペプチド
本発明は、本出願においてDNA101848ポリペプチドと称されるポリペプチドをコードする、新たに同定され単離された核酸配列を提供する。特に本出願人は、以下の実施例で更に詳細に開示するような、DNA101848ポリペプチドをコードするcDNAを同定し単離した。BLAST及びFastA配列アラインメントコンピュータプログラム(初期設定パラメータ)を用いて、本出願人は、DNA101848ポリペプチドの一部が、腫瘍壊死因子レセプターファミリーの幾つかのメンバーとある程度の配列同一性を有することを見いだした。従って、本出願において開示されるDNA101848ポリペプチドは、腫瘍壊死因子レセプターファミリーポリペプチドの新規に同定されたメンバーである。
DNA101848ポリペプチドのmRNAの発現は幾つかの細胞及び組織で観察された。Fig7に示す通り、相対的に高い発現レベルのDNA101848ポリペプチドのmRNAの発現レベルが、2つの腫瘍細胞系、肺癌腫A549及びメラノーマG361において検出された。相対的に弱い発現レベルが、前立腺、精巣、卵巣、甲状腺、脊髄、副腎組織において見出された。興味深いことに、胃の組織においてより小さな転写産物が相対的に高い発現レベルで存在していた。
DNA101848ポリペプチドによるNF-KBの活性化は、哺乳動物細胞におけるアポトーシス、炎症誘発性及び自己免疫性反応を変調することにおける、本タンパク質の機能を示唆する。例えば、DNA101848ポリペプチドイムノアドヘシン分子(例えば、DNA101848ポリペプチドECD-Ig構築物)がNF-KBの活性化をアンタゴニスト的な様式で阻害するために使用され得ることも考慮することができる。
ここで記載されるように、出願人はEDA-A2がDNA101848レセプターに対するリガンドとして働くことを見出した。従って、ADA-A2アンタゴニストの使用に対する様々な方法が記載される。DNA98853及びDNA101848レセプター間の配列同一性において比較的高い割合(好適には、それら各々のECD領域において完全(100%)な配列同一))が得られると、ここで記載される拮抗的DNA101848構築物と同様にDNA98853の構築物がEDA-A2アンタゴニストとして利用でき得る
【0056】
C.DNA98853又はDNA101848ポリペプチドの変異体
ここに記載する全長天然配列DNA98853ポリペプチドに加えて、DNA98853ポリペプチド変異体も調製できると考えられる。DNA98853ポリペプチド変異体は、DNAをコードするDNA98853ポリペプチドに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、又は望まれるDNA98853ポリペプチドの合成により調製できる。当業者は、アミノ酸変化が、グリコシル化部位の数又は位置の変化又は膜固着特性の変更等のDNA98853ポリペプチドの翻訳後プロセスを変え得ることを認めるであろう。
天然全長配列DNA98853ポリペプチド又はここに記載するDNA98853の種々のドメインにおける変異は、例えば、保存的又は非保存的突然変異についての、例えば米国特許第5,364,934号に記載された、任意の技術及び指針を用いてなすことができる。変異は、天然配列DNA98853ポリペプチドと比較してDNA98853ポリペプチドのアミノ酸配列の変化をもたらす、DNA98853ポリペプチドをコードする1又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってよい。場合によっては、変異は、少なくとも1つのアミノ酸の、DNA98853ポリペプチドの1又は複数のドメインの他の任意のアミノ酸による置換による。
【0057】
同様に、DNA101848ポリペプチド変異体も調製できると考えられる。DNA101848ポリペプチド変異体は、DNA101848核酸配列に適当なヌクレオチド変化を導入することにより、又は望まれるDNA101848ポリペプチドの合成により調製できる。当業者は、アミノ酸変化が、グリコシル化部位の数又は位置の変化又は膜固着特性の変更等のDNA101848ポリペプチドの翻訳後プロセスを変え得ることを認めるであろう。
天然全長配列DNA101848ポリペプチド又はここに記載するDNA101848の種々のドメインにおける変異は、例えば、保存的又は非保存的突然変異についての、例えば米国特許第5,364,934号に記載された、任意の技術及び指針を用いてなすことができる。変異は、天然配列DNA101848と比較してDNA101848のアミノ酸配列の変化をもたらす、DNA101848をコードする1又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってよい。場合によっては、変異は、少なくとも1つのアミノ酸の、DNA101848の1又は複数のドメインの他の任意のアミノ酸による置換による。
【0058】
望ましい活性に悪影響を及ぼすことなく、どのアミノ酸残基を挿入、置換又は欠失するかを決定する指針は、ポリペプチド配列を相同の周知のタンパク質分子と比較し、高い相同性の領域内でなされたアミノ酸配列変化の数を最小にすることにより見出しうる。アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的特性を持つ他のアミノ酸で置換えた結果、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換とすることができる。挿入又は欠失は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲としてもよい。許容される変異は、配列におけるアミノ酸の体系的な挿入、欠失又は置換作成、及び得られた変異体の下記の実施例に記載する任意のインビトロアッセイにおける活性についての試験によって決定されうる。
【0059】
変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位指向性)突然変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR突然変異誘発などのこの分野で知られた方法を用いてなすことができる。部位指向性突然変異誘発[Carter等, Nucl. Acids Res., 13: 4331 (1986); Zoller等, Nucl. Acids Res., 10: 6487 (1987)]、カセット突然変異誘発[Wells等, Gene, 34: 315 (1985)]、制限選択突然変異誘発[Wells等, Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317: 415 (1986)]又は他の周知の技術が、DNA98853ポリペプチド又はDNA1010848ポリペプチドをコードする変異体DNAを製造するために、クローン化されたDNAに実施できる。
【0060】
また、近接配列に沿った1又は複数のアミノ酸を同定するためにスキャニングアミノ酸分析も用いることができる。中でも好ましいスキャニングアミノ酸は、比較的小さく中性のアミノ酸である。このようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、典型的にはこれらの群の中で好ましいスキャニングアミノ酸であるのは、それがベータ-炭素を越える側鎖を持たず、変異体の主鎖構造を変えにくいと思われるからである。また、アラニンも、最もありふれたアミノ酸であるため、典型的には好ましい。さらに、それは隠れた及び露出した位置の両方にしばしば見られる[Creighton, The Proteins, (W.H. Freemann & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150: 1 (1976)]。アラニン置換が適切な量の変異体を生じないならば、異性体(isoteric)アミノ酸が用いられる。
【0061】
D.DNA98853又はDNA101848の修飾
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。
共有結合的修飾の一型は、DNA98853の標的化されたアミノ酸残基を、DNA98853の選択された側鎖又はN又はC末端残基と反応できる有機誘導体化試薬と反応させることである。同様に、DNA101848ポリペプチドは、その選択された側鎖又はN又はC末端残基を有する標的化されたアミノ酸残基において修飾され得る。
二官能性試薬での誘導体化が、例えばDNA98853を水不溶性支持体マトリクスあるいは抗DNA98853抗体の精製方法又はその逆で用いるための表面に架橋させるのに有用である。通常用いられる架橋剤は、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬を含む。
【0062】
他の修飾は、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチルへの脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
【0063】
本発明の範囲内に含まれるDNA98853ポリペプチドの共有結合的修飾の他の型は、ポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更を含む。「天然グリコシル化パターンの変更」とは、ここで意図されるのは、天然配列DNA98853に見られる1又は複数の炭水化物部分の欠失、天然配列DNA101848に見られる1又は複数の炭水化物部分の欠失、天然配列DNA98853に存在しない1又は複数のグリコシル化部位の付加、及び/又は天然配列DNA98853に存在しない1又は複数のグリコシル化部位の付加、を意味する。
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列の変更を伴うこともある。この変更は、例えば、1又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然配列DNA98853、1又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然配列DNA101848(O-結合グリコシル化部位)への付加、又は置換によってなされてもよい。DNA98853アミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に、DNA98853ポリペプチドをコードするDNAの予め選択された塩基において変異させ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されてもよい。同様に、DNA101848ポリペプチドアミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に、DNA98853ポリペプチドをコードするDNAの予め選択された塩基において変異させ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されてもよい
【0064】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド上に炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、グリコシドのポリペプチドへの化学的又は酵素的結合による。このような方法は、この技術分野において、例えば、1987年9月11日に発行されたWO87/05330、及びAplin及びWriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
【0065】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に、あるいはグルコシル化の標的として提示されたアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この分野で知られており、例えば、Hakimuddin等, Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)により、及びEdge等, Anal. Biochem., 118: 131 (1981)により記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura等, Meth. Enzymol. 138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを用いることにより達成される。
【0066】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの共有結合的修飾の他の型は、ポリぺプチドの、種々の非タンパク質ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの一つへの、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号又は第4,179,337号に記載された方法での結合を含む。
【0067】
また、本発明のDNA98853ポリペプチドは、他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したDNA98853ポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとDNA98853ポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般的にはDNA98853ポリペプチドのアミノ又はカルボキシル末端に位置する。このようなDNA98853ポリペプチドのエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によってDNA98853ポリペプチドを容易に精製できるようにする。もう一つの実施態様において、キメラ分子はDNA98853ポリペプチドの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含む。キメラ分子の二価の形態には、このような融合はIgG分子のFc領域であり得る。特に、キメラ分子は、IgG分子のFc領域と融合したDNA98853ポリペプチドのECDを含んでもよい。
【0068】
イムノアドヘシン分子は、ここに開示の方法におけるさらなる使用が考慮される。レセプターイムノアドヘシンは、全長ポリペプチドの他に細胞外ドメイン(ECD)配列又はECD配列フラグメントを含むレセプターの可溶性型のような、DNA98853又はDNA101848の様々な形体を含んでもよい。ある実施態様において、分子は、DNA98853又はDNA101848と抗体又は抗体の特定の領域との融合体を含んでもよい。イムノアドヘシンの二価の形体に対して、そのような融合は、IgG分子のFc領域に対して行われてもよい。Ig融合は、好適には、Ig分子の少なくとも1の可変領域に代えて、レセプターポリペプチドの可溶性型(膜貫通ドメイン欠失又は不活性化型)で置換することを含む。特に好適な実施態様において、イムノグロブリンの融合は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。イムノグロブリン融合体の生産については、1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号、及びChamow等, TIBTECH, 14:52-60(1996)も参照のこと。
【0069】
最も簡単で最も直接的なイムノアドヘシンの設計は、アドヘシンの結合ドメイン(例えば、レセプターの細胞外ドメイン(ECD))を免疫グロブリン重鎖のFc領域と組み合わせるものである。通常は、本発明のイムノアドヘシンを調製する場合、アドヘシンの結合ドメインをコードする核酸を、免疫グロブリン定常ドメイン配列のN末端をコードする核酸にC末端的に融合されるが、N末端融合もまた可能である。
典型的には、そのような融合において、コード化されるキメラポリペプチドは免疫グロブリン重鎖の定常ドメインの機能的に活性なヒンジ、CH2及びCH3ドメインを保持する。融合はまた定常ドメインのFc領域のC末端、又は重鎖のCH1又は軽鎖の対応する領域にN末端に直ぐになされる。融合がなされる正確な部位は重要なものではない;特定の部位がよく知られており、イムノアドヘシンの生物活性、分泌、又は結合特性を最適化するために選択されうる。
好適な実施態様では、アドヘシン配列が免疫グロブリンG1(IgG1)のFc領域のN末端に融合される。アドヘシン配列に重鎖定常領域全体を融合させることができる。しかし、より好ましくは、IgGのFcを化学的に定めるパパイン切断部位の直ぐ上流のヒンジ領域に始まる配列(すなわち、重鎖定常領域の最初の残基を114として残基216)、又は他の免疫グロブリンの類似部位が融合において使用される。特に好適な実施態様では、アドヘシンアミノ酸配列はIgG重鎖の(a)ヒンジ領域及びCH2及びCH3又は(b)CH1、ヒンジ、CH2及びCH3ドメインに融合される。
【0070】
二重特異的イムノアドヘシンについては、イムノアドヘシンは多量体として、特にヘテロ二量体又はヘテロ四量体として組み立てられる。一般には、これらの組み立てられた免疫グロブリンは既知の単位構造を有している。基本的な四鎖構造単位はIgG、IgD及びIgEが存在する型である。四鎖単位はより高分子量の免疫グロブリンにおいて繰り返される;IgMは一般にジスルフィド結合によって一緒に保持される四つの基本単位の五量体として存在する。IgGグロブリン、そして時折IgGグロブリンが血清中に多量体型で存在しうる。多量体の場合、四つの単位の各々は同じでも異なっていてもよい。
ここに記載した範囲内の様々な組み立てられたイムノアドヘシンの例は以下に概略的に模式化される:
(a)ACL-ACL;
(b)ACH-(ACH,ACL-ACH,ACL-VHCH,又はVLCL-ACH);
(c)ACL-ACH-(ACL-ACH,ACL-VHCH,VLCL-ACH,又はVLCL-VHCH);
(d)ACL-VHCH-(ACH,又はACL-VHCH,又はVLCL-ACH);
(e)VLCL-ACH-(ACL-VHCH,又はVLCL-ACH);及び
(f)(A-Y)n-(VLCL-VHCH)2;
ここで、各Aは同一又は異なったアドヘシンアミノ酸配列を示し;
VLは免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VHは免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CHは免疫グロブリン重鎖定常ドメインであり;
nは1より大きい整数であり;
Yは共有結合架橋剤の残基を示す。
簡潔のため、先の構造はキーとなる特徴を示しているのみである;これらは、免疫グロブリンの結合する(J)又は他のドメインを示していないしジスルフィド結合も示していない。しかし、そのようなドメインが結合活性に対して必要である場合は、それらを構築して、免疫グロブリン分子にそれらが占める通常の位置に存在させることができる。
あるいは、アドヘシン配列は、キメラ重鎖を含んでなる免疫グロブリンが得られるように、免疫グロブリン重鎖と軽鎖配列の間に挿入することができる。この実施態様では、アドヘシン配列は免疫グロブリンの各アームの免疫グロブリンの重鎖の3’末端に、ヒンジとCH2ドメインの間、又はCH2とCH3ドメインの間の何れかで融合される。同様な作成物がHoogenboom等,Mol.Immunol.28:1027-1037(1991)によって報告されている。
免疫グロブリン軽鎖の存在は本発明のイムノアドヘシンにおいて必要ではないけれども、免疫グロブリン軽鎖はアドヘシン-免疫グロブリン重鎖融合ポリペプチドに共有結合的に結合するか、アドヘシンに直接的に融合されるかもしれない。前者の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは典型的にはアドヘシン-免疫グロブリン重鎖融合タンパク質をコードするDNAと同時発現される。分泌時に雑種重鎖及び軽鎖が共有結合的に結合されて、二つのジスルフィド結合免疫グロブリン重鎖-軽鎖対を含んでなる免疫グロブリン様構造を提供する。そのような構造の調製に好適な方法は、例えば1989年3月28日に発行された米国特許第4,816,567号に開示されている。
イムノアドヘシンは最も簡便には免疫グロブリンcDNA配列にインフレームでアドヘシン部分をコードするcDNA配列を融合させることにより構築される。しかし、ゲノム免疫グロブリン断片への融合もまた使用することができる(例えば、Aruffo等,Cell61:1303-1313(1990);及びStamenkovic等,Cell66:1133-1144(1991)を参照されたい)。融合の後者のタイプは、発現に対してIg調節配列の存在を必要とする。IgG重鎖定常領域をコードするcDNAは、脾臓又は抹消血リンパ球から取り出されたcDNAライブラリーからの刊行された配列に基づいて、ハイブリダイゼーションにより、又はポリメラーゼ鎖反応(PCR)法により単離することができる。「アドヘシン」をコードするcDNAとイムノアドヘシンの免疫グロブリンが、選ばれた宿主細胞において効率的な発現を指示するプラスミドベクター内にタンデムに挿入される。
【0071】
また、本発明のDNA101848ポリペプチドは、他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したDNA101848ポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとDNA101848ポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般的にはDNA101848ポリペプチドのアミノ又はカルボキシル末端に位置する。このようなDNA101848ポリペプチドのエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によってDNA101848ポリペプチドを容易に精製できるようにする。もう一つの実施態様において、キメラ分子はDNA101848ポリペプチドの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含む。キメラ分子の二価の形態には、このような融合はIgG分子のFc領域であり得る。特に、キメラ分子は、IgG分子のFc領域と融合したDNA101848ポリペプチドのECDを含んでもよい。
【0072】
種々のタグポリペプチド及びそれら各々の抗体は、この分野で良く知られている。例としては、ポリ−ヒスチジン(ポリ-his)又はポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ-his-gly)タグ;flu HAタグポリペプチド及びその抗体12CA5[Field等, Mol. Cell. Biol., 8: 2159-2165 (1988)];c-mycタグ及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体[Evan等, Molecular and Cellular Biology, 5: 3610-3616 (1985)];及び単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体[Paborsky等, Protein Engineering, 3(6): 547-553 (1990)]を含む。他のタグポリペプチドは、フラッグペプチド[Hopp等, BioTechnology, 6: 1204-1210 (1988)];KT3エピトープペプチド[Martin等, Science, 255: 192-194 (1992)];α-チューブリンエピトープペプチド[Skinner等, J. Biol. Chem., 266: 15163-15166 (1991)];及びT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuth等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: 6393-6397 (1990)]を含む。
【0073】
また、本発明のDNA98853は、ロイシンジッパーに融合したDNA98853を含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。同様に、本発明のDNA101848は、ロイシンジッパーに融合したDNA101848を含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。種々のロイシンジッパーがこの分野で記載されている。例えば、Landschulz等, Science, 240: 1759 (1988); WO 94/10308; Hoppe等, FEBS Letters, 344: 1991 (1994)参照。DNA98853に融合したロイシンジッパーの使用は、溶液中での可溶性DNA98853に二量体化又は三量体化を助けるのに望ましく、DNA101848に融合したロイシンジッパーの使用は、溶液中での可溶性DNA101848に二量体化又は三量体化を助けるのに望ましい。当業者は、ロイシンジッパーがDNA98853又はDNA101848ポリペプチド分子のN-又はC-末端の何れかに融合しうることを認めるであろう。
【0074】
E.ポリペプチドの調製
1. DNA98853ポリペプチドの調製
以下の説明は、主として、DNA98853核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養してDNA98853を生産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてDNA98853を調製することができると考えられる。例えば、DNA98853配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって製造してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., San Francisco, CA (1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動化によるインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動化合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(Foster City, CA)を用いて、製造者の指示により実施してもよい。DNA98853の種々の部分を、別々に化学的に合成し、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて全長DNA98853を製造してもよい。
【0075】
2. DNA101848ポリペプチドの調製
以下の説明は、主として、DNA101848核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養してDNA101848を生産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてDNA101848を調製することができると考えられる。例えば、DNA101848配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって、上述のように製造してもよい。DNA101848の種々の部分を、別々に化学的に合成し、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて全長DNA101848を製造してもよい。
【0076】
3. DNA98853又はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAの単離
DNA98853をコードするDNAは、DNA98853mRNAを有し、それを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリから得ることができる。従って、ヒトDNA98853DNAは、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリから簡便に得ることができる。またDNA98853コード遺伝子は、ゲノムライブラリから又はオリゴヌクレオチド合成により得ることもできる。
同様に、DNA101848をコードするDNAは、DNA101848mRNAを有し、それを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリから得ることができる。従って、ヒトDNA101848DNAは、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリから簡便に得ることができる。またDNA101848コード遺伝子は、ゲノムライブラリから又はオリゴヌクレオチド合成により得ることもできる。
【0077】
ライブラリは、対象となる遺伝子あるいはそれによりコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(DNA98853に対する抗体、DNA101848に対する抗体、又は少なくとも約20−80塩基のオリゴヌクレオチド等)によってスクリーニングできる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリのスクリーニングは、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されているような標準的な手順を使用して実施することができる。DNA98853をコードする遺伝子又はDNA101848をコードする遺伝子を単離する他の方法はPCR法を使用するものである[Sambrookら,上掲;Dieffenbachら, PCR Primer:A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
【0078】
以下の実施例には、cDNAライブラリのスクリーニング技術を記載する。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、充分な長さで、疑陽性が最小化されるよう充分に明瞭でなければならない。オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリ内のDNAとのハイブリッド形成時に検出可能であるように標識されていることが好ましい。標識化の方法は、当該分野において良く知られており、32P標識されたATPのような放射標識、ビオチン化あるいは酵素標識の使用が含まれる。中程度の厳密性及び高い厳密性を含むハイブリッド形成条件は、Sambrookら, 上掲に提供されている。
【0079】
このようなライブラリースクリーニング法において同定された配列は、Genbank等の公的データベース又は他の個人の配列データベースに寄託され公衆に利用可能とされている周知の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の決定された領域内又は全長に渡っての(アミノ酸又は核酸レベルのいずれかでの)配列同一性は、同一性を測定するのに様々なアルゴリズムを用いるALIGN、DNAstar、及びINHERIT等のコンピュータソフトウェアプログラムを用いた配列アラインメントを通して決定することができる。
【0080】
タンパク質コード配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されなかったmRNAの生成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrookらにより記述されている従来のプライマー伸展法を使用し、選択されたcDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることにより得られる。
【0081】
4. 宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞は、ここに記載したDNA98853生成のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換される。または、宿主細胞は、ここに記載したDNA101848生成のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換される。宿主細胞はプロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M. Butler編 (IRL Press, 1991)及びSambrook等, 上掲に見出すことができる。
【0082】
形質移入の方法、例えば、CaPO4及びエレクトロポレーションは当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションは、原核生物又は実質的な細胞壁障壁を含む他の細胞に対して一般に用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)による感染が、Shaw等, Gene, 23: 315 (1983)及び1989年6月29日公開の国際公開第89/05859号に記載されたように、ある種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52: 456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法が用いられる。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母中への形質転換は、典型的には、Van solingen等, J. Bact., 130: 946 (1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることができる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 185: 527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336: 348-352 (1988)を参照のこと。
【0083】
ここに記載のベクターにDNAをクローン化あるいは発現するために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。適切な原核生物は、限定するものではないが、グラム陰性又はグラム陽性生物体などの真正細菌、例えば大腸菌のような腸内細菌科を含む。種々の大腸菌株、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)及びK5 772(ATCC53,635)が公に利用可能である。
【0084】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、DNA98853をコードするベクター又はDNA101848をコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシア(Saccharomyces cerevisiae)は、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。
【0085】
グリコシル化DNA98853又はグリコシル化DNA101848の発現に適切な宿主細胞は多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2及びスポドスペラSf9等の昆虫細胞並びに植物細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞を含む。より詳細な例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Grahamほか, J. Gen Virol., 36:59 (1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23: 243-251 (1980))ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75); ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065); 及びマウス乳房腫瘍細胞 (MMT 060562, ATCC CCL51)を含む。適切な宿主細胞の選択は、当業者の技量の範囲内にある。
【0086】
5. 複製可能なベクターの選択及び使用
DNA98853をコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローン化(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分は、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当なベクターの形成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
【0087】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生産される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入されるDNA98853のコード化DNAの一部であり、又はそれは、ベクターに挿入されるDNA101848のコード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列であってよい。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5,010,182号に記載されている)、又は酸ホスフォターゼリーダー、白体(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行のEP 362,179)、又は1990年11月15日に発行された国際公開第90/13646号に記載されているシグナルであってよい。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
【0088】
発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は多くの細菌、酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。
【0089】
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選べるマーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質あるいは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンに耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素、例えば、バシリに対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼを供給するタンパク質をコードする。
【0090】
哺乳動物細胞に適切な選べるマーカーの例は、DHFRあるいはチミジンキナーゼのように、DNA98853ポリペプチドコード化核酸又はDNA101848ポリペプチドコード化核酸を取り込むことのできる細胞成分を同定することのできるものである。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、Urlaub 等により, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に記載されているようにして調製され増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である。酵母中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcombら, Nature, 282: 39 (1979);Kingsmanら, Gene, 7: 141 (1979);Tschemperら, Gene, 10: 157 (1980)]。trp1遺伝子は、例えば、ATCC番号44076あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内で成長する能力を欠く酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する[Jones, Genetics, 85: 12 (1977)]。
【0091】
発現及びクローニングベクターは、通常、DNA98853ポリペプチドコード化核酸又はDNA101848ポリペプチドコード化核酸配列に作用可能に結合してmRNA合成を制御するプロモーターを含む。多種の可能な宿主細胞により認識されるプロモーターが知られている。原核生物宿主での使用に適したプロモーターは、β-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[Chang等, Nature, 275: 615 (1978); Goeddel等, Nature, 281: 544 (1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8: 4057 (1980); EP 36,776]、及びtacプロモーター等のハイブリッドプロモーター[deBoer等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80: 21-25 (1983)]を含む。細菌系で使用するプロモータもまたDNA98853ポリペプチドをコードするDNA又はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を有する。
【0092】
酵母宿主と共に用いるのに好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ[Hitzeman 等, J. Biol. Chem., 255: 2073 (1980)]又は他の糖分解酵素[Hess 等, J. Adv. Enzyme Reg., 7: 149 (1968);Holland, Biochemistry, 17: 4900(1978)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセラートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
【0093】
成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターである他の酵母プロモーターとしては、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝を伴う分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素がある。酵母での発現に好適に用いられるベクターとプロモータはEP 73,657に更に記載されている。
【0094】
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの転写は、例えば、ポリオーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開のUK 2,211,504)、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及びサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーターから、及び熱衝撃プロモーターから得られるプロモーターによって制御されるが、このようなプロモーターは宿主細胞系に適合し得る場合に限られる。
【0095】
より高等の真核生物による本発明のDNA98853ポリペプチドをコードするDNA又はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。エンハンサーは、通常は約10から300塩基対で、プロモーターに作用してその転写を増強するDNAのシス作動エレメントである。哺乳動物の遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインシュリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100-270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、DNA98853コード配列の5’又は3’位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5’位に位置している。
【0096】
また、真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの5'、ときには3'の非翻訳領域から通常取得できる。これらの領域は、DNA98853をコードしているmRNA又はDNA101848をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
【0097】
組換え脊椎動物細胞培養でのDNA98853の合成への適応化するのに適切な他の方法、ベクター、及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 293: 620-625 (1981); Mantei等, Nature, 281: 40-46 (1979); EP 117,060; 及びEP 117,058に記載されている。
【0098】
6.遺伝子増幅/発現の検出
遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 5201-5205 (1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。また、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA−RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いるてもよい。次いで、抗体を標識してアッセイを実施することができるが、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
【0099】
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって測定してもよい。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列DNA98853ポリペプチドに対して、天然配列DNA101848ポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はDNA98853ポリペプチドコード化DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。
【0100】
7.ポリペプチドの精製
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの形態は、培養培地又は宿主細胞の溶解液から回収することができる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)又は酵素的切断を用いて膜から引き離すことができる。DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
【0101】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドを、組換え細胞タンパク質又はポリペプチドから精製することが望ましい。以下の手順は適切な精製手順の例である:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような狭雑物を除くプロテインAセファロースカラム;及びDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドのエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。例えば、Deutscher, Methodes in Enzymology, 182 (1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)に記載された、この分野で知られた多くのタンパク質精製方法を用いることができる。選ばれる精製過程は、例えば、用いられる生産方法及び特に生産されるDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの性質に依存する。
【0102】
F.DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの用途
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドをコードする核酸配列(又はそれらの相補鎖)は、ハイブリッド形成プローブとして、染色体及び遺伝子マッピングにおいて、及びアンチセンスRNA及びDNAの生成においての使用を含む、分子生物学における種々の用途を有している。また、DNA98853コード化核酸は、ここに記載される組換え技術によるDNA98853ポリペプチドの調製にも有用であろう。同様に、DNA101848コード化核酸も、ここに記載される組換え技術によるDNA101848ポリペプチドの調製にも有用であろう
【0103】
全長配列DNA98853(配列番号:1)又は全長配列DNA98853(配列番号:3)ポリペプチド、又はそれらの一部は、全長配列DNA98853ポリペプチド遺伝子、又はFig1(配列番号:1)に開示されたDNA98853ポリペプチドのヌクレオチド配列に対して所望の配列同一性を持つ更に他の遺伝子(例えば、DNA98853ポリペプチドの天然発生変異体又は他の種からのDNA98853ポリペプチドをコードするもの)を単離するためのcDNAライブラリのためのハイブリッド形成プローブとして使用できる。場合によっては、プローブの長さは約20〜約50塩基である。ハイブリッド形成プローブは、配列番号:1のDNA101848核酸配列又は天然配列DNA101848ポリペプチドコードDNAのプロモーター、エンハンサー成分及びイントロンを含むゲノム配列から誘導され得る。例えば、スクリーニング法は、約40塩基の選択されたプローブを合成するための周知のDNA配列を用いて、DNA98853遺伝子のコード領域を単離することを含む。
【0104】
同様に、全長配列DNA101848(配列番号:4)又は全長配列DNA101848(配列番号:6)ポリペプチド、又はそれらの一部は、全長配列DNA101848ポリペプチド遺伝子、又はFig4(配列番号:6)に開示されたDNA101848ポリペプチドのヌクレオチド配列に対して所望の配列同一性を持つ更に他の遺伝子(例えば、DNA101848ポリペプチドの天然発生変異体又は他の種からのDNA101848ポリペプチドをコードするもの)を単離するためのcDNAライブラリのためのハイブリッド形成プローブとして使用できる。場合によっては、プローブの長さは約20〜約50塩基である。ハイブリッド形成プローブは、Fig3に示される配列番号:4のDNA101848核酸配列又は天然配列DNA101848ポリペプチドコードDNAのプロモーター、エンハンサー成分及びイントロンを含むゲノム配列から誘導され得る。例えば、スクリーニング法は、約40塩基の選択されたプローブを合成するための周知のDNA配列を用いて、DNA101848遺伝子のコード領域を単離することを含む。
【0105】
ハイブリッド形成プローブは、32P又は35S等の放射性ヌクレオチド、又はアビディン/ビオチン結合系を介してプローブに結合したアルカリホスファターゼ等の酵素標識を含む種々の標識で標識されうる。本発明のDNA98853遺伝子に相補的な配列を有する標識されたプローブは、又はDNA101848遺伝子に相補的な配列を有する標識されたプローブは、ヒトcDNA、ゲノムDNA又はmRNAのライブラリーをスクリーニングし、そのライブラリーの何れのメンバーがプローブにハイブリッド形成するかを決定するのに使用できる。ハイブリッド形成技術は、以下の実施例においてさらに詳細に記載する。
【0106】
また、プローブは、DNA98853ポリペプチド配列又はDNA101848ポリペプチド配列に極めて関連性の高い配列を同定するため、配列プールを調製するためのPCR技術において用いられることもある。
また、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドをコードする核酸配列は、そのポリペプチドをコードする遺伝子のマッピングのため、及び遺伝子疾患を持つ個体の遺伝子分析のためのハイブリッド形成プローブの作成にも用いることができる。ここに提供される核酸配列は、インサイツハイブリッド形成、既知の染色体標識に対する結合分析、及びライブラリーでのハイブリッド形成スクリーニング等の周知の技術を用いて、染色体及び染色体の特定領域にマッピングすることができる。
【0107】
DNA98853ポリペプチドのコード化配列が他のタンパク質に結合するタンパク質をコードする場合(例えば、DNA98853ポリペプチドがレセプターとして機能する場合)、DNA98853ポリペプチドは、結合相互作用に関与する他のタンパク質又は分子を同定するアッセイに用いることができる。同様に、DNA101848ポリペプチドのコード化配列が他のタンパク質に結合するタンパク質をコードする場合(例えば、DNA101848ポリペプチドがレセプターとして機能する場合)、DNA101848ポリペプチドは、結合相互作用に関与する他のタンパク質又は分子を同定するアッセイに用いることができる。
そのような方法により、レセプター/リガンド結合性相互作用の阻害剤を同定することができる。このような結合性相互作用に関与するタンパク質も、ペプチド又は小分子阻害剤又は結合相互作用のアゴニストのスクリーニングに用いることができる。また、レセプターDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは相関性のリガンド(類)を単離するために使用することができる。スクリーニングアッセイは、天然DNA98853ポリペプチド、天然DNA101848ポリペプチド又は天然DNA98853ポリペプチドのレセプター又は天然DNA101848ポリペプチドのレセプターの生物活性を模倣するリード化合物を発見するために設計できる。このようなスクリーニングアッセイは、化学的ライブラリーの高スループットスクリーニングにも用いられ、それらを小分子候補薬剤の同定に特に適したものとする。考えられる小分子には、合成有機又は無機化合物が含まれる。アッセイは、当該分野で良く特徴付けられているタンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学スクリーニングアッセイ、免疫検定及び細胞ベースのアッセイを含む種々の型式で実施される。
【0108】
また、DNA98853ポリペプチド、DNA101848ポリペプチド又はその修飾型をコードする核酸は、トランスジェニック動物又は「ノックアウト」動物を産生するのにも使用でき、これらは治療的に有用な試薬の開発やスクリーニングに有用である。トランスジェニック動物(例えばマウス又はラット)とは、出生前、例えば胚段階で、その動物又はその動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を有する動物である。導入遺伝子とは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組み込まれたDNAである。一実施形態では、DNA98853をコードするcDNA又は、確立された技術によりDNA98853をコードするゲノムDNAをクローン化するために使用することができ、ゲノム配列は、DNA98853をコードするDNAを発現する細胞を有するトランスジェニック動物を産生するために使用することができる。他の実施態様では、DNA101848をコードするcDNA又は、確立された技術によりDNA101848をコードするゲノムDNAをクローン化するために使用することができ、ゲノム配列は、DNA101848をコードするDNAを発現する細胞を有するトランスジェニック動物を産生するために使用することができる。
【0109】
トランスジェニック動物、特にマウス又はラット等の動物を産生する方法は当該分野において常套的になっており、例えば、米国特許第4,736,866号や第4,870,009号に記述されている。典型的には、特定の細胞を組織特異的エンハンサーでのDNA98853ポリペプチド及び/又はDNA101848ポリペプチド導入遺伝子の導入の標的にする。胚段階で動物の生殖系列に導入されたDNA98853ポリペプチドをコードする導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物は、DNA98853ポリペプチドをコードするDNAの増大した発現の影響を調べるために使用できる。場合によっては、胚段階で動物の生殖系列に導入されたDNA101848ポリペプチドをコードする導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物は、DNA101848ポリペプチドをコードするDNAの増大した発現の影響を調べるために使用できる。このような動物は、例えばその過剰発現を伴う病理的状態に対して保護をもたらすと思われる試薬のテスター動物として使用できる。発明のこの態様に従えば、動物を試薬で治療し、その導入遺伝子を有する未治療の動物に比べて病理的状態の発症率が低くければ、その病理的状態に対する治療的処置の可能性が示されている。
【0110】
あるいは、DNA98853ポリペプチドの非ヒト相同体は、動物の胚性細胞に導入されたDNA98853ポリペプチドをコードする変更ゲノムDNAと、DNA98853ポリペプチドをコードする内在性遺伝子との間の相同的組換えによって、DNA98853ポリペプチドをコードする欠陥又は変更遺伝子を有するDNA98853ポリペプチド「ノックアウト」動物を作成するために使用できる。例えば、DNA98853をコードするcDNAは、確立された技術に従い、DNA98853ポリペプチドをコードするゲノムDNAのクローン化に使用できる。DNA98853をコードするゲノムDNAの一部を欠失したり、組み込みを監視するために使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。
同様に、DNA101848ポリペプチドの非ヒト相同体は、動物の胚性細胞に導入されたDNA101848ポリペプチドをコードする変更ゲノムDNAと、DNA101848ポリペプチドをコードする内在性遺伝子との間の相同的組換えによって、DNA101848ポリペプチドをコードする欠陥又は変更遺伝子を有するDNA101848ポリペプチド「ノックアウト」動物を作成するために使用できる。例えば、DNA101848をコードするcDNAは、確立された技術に従い、DNA101848ポリペプチドをコードするゲノムDNAのクローン化に使用できる。DNA101848をコードするゲノムDNAの一部を欠失したり、組み込みを監視するために使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。
【0111】
典型的には、「ノックアウト動物」を構築する場合、ベクターは数キロベースの無変化のフランキングDNA(5’と3’末端の両方)を含む[例えば、相同的組換えベクターについてはThomas及びCapecchi, Cell, 51: 503 (1987)を参照のこと]。ベクターは胚性幹細胞系に(例えばエレクトロポレーション等によって)導入し、導入されたDNAが内在性DNAと相同的に組換えられた細胞を選択する[例えば、Li等, Cell, 69: 915(1992)参照]。選択された細胞は次に動物(例えばマウス又はラット)の胚盤胞内に注入され、集合キメラを形成する[例えば、Bradley, Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E. J. Robertson, ed. (IRL, Oxford, 1987), pp. 113-152参照]。その後、キメラ性胚を適切な偽妊娠の雌性育成動物に移植し、胚を期間をおいて「ノックアウト」動物につくりあげる。胚細胞に相同的に組換えられたDNAを有する子孫は、標準的な技術により同定され、動物の全細胞が相同的に組換えられたDNAを含む動物を繁殖させるのに利用することができる。ノックアウト動物は、例えば、ある種の病理的状態に対する防御能力及びDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドが存在しないことによるその病理的状態の発達によって特徴付けられる。
【0112】
ここにおいて、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは、本発明に従って、インビボにおいてそのようなポリペプチドを発現させることにより利用することができ、これはしばしば遺伝子治療と称される。
インビボ及びエキソビボ的に、患者の細胞に核酸(場合によってはベクターに組み込まれている)を導入することへのアプローチの方法には2つの主な方法がある。インビボにおいて導入するために、核酸は、通常はポリペプチドが必要とされる部位において、直接的に患者へ注射される。例えば、DNA98853ポリペプチドコード化核酸は、DNA98853ポリペプチドの合成部位、もしくは、明らかならば、DNA98853ポリペプチド生物学的活性が必要とされる部位に注射されであろう。例えば、DNA101848ポリペプチドコード化核酸は、DNA101848ポリペプチドの合成部位、もしくは、明らかならば、DNA101848ポリペプチド生物学的活性が必要とされる部位に注射されであろう。エキソビボにおける治療においては、患者の細胞が取り除かれ、これら単離された細胞に核酸が導入され、修飾された細胞は、直接もしくは、例えば、患者へ移植される多孔質の膜にカプセル化されて投与される(例えば、米国特許第4,892,538号及び,第5,283,187号を参照のこと)。
【0113】
生存細胞に核酸を導入するために知られた種々の技術がある。これらの技術は、核酸がインビトロで培養された細胞に導入されるか又は対象とする宿主の細胞においてインビボで導入されるかに依存する。インビトロで哺乳動物細胞に核酸を移行するのに適した技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質移入、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法などの使用を含む。形質移入には、自己複製能が無い組換体ウィルス(好ましくはレトロウィルス)粒子と細胞レセプターとの相互作用、その後、粒子によって細胞へ核酸が導入されることが含まれる。
【0114】
現在インビボ遺伝子移入技術で好ましいのは、ウイルス又は非ウイルスベクター(アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ関連ウイルス(AAV))、及び脂質ベースの系(遺伝子の脂質媒介移入に有用な脂質は、例えば、DOTMA、DOPE、及びDC-Cholである;例えば、Tonkinson等, Cancer Investigation, 14(1): 54-65 (1996) 参照)での形質移入を含む。遺伝子治療で使用するために最も好ましいベクターはウイルス、最も好ましくはアデノウイルス、AAV、レンチウイルス、又はレトロウイルスである。レトロウイルスベクター等のウイルスベクターは、少なくとも1つのプロモーター/エンハンサー又は位置決定因子、あるいは選択的スプライシング、核RNA輸出、又はメッセンジャーの翻訳後修飾などの他の手段により遺伝子発現を制御する他の因子を含む。さらに、レトロウイルスベクター等のウイルスベクターは、DNA98853ポリペプチドをコードする遺伝子又はDNA101848ポリペプチドをコードする遺伝子の存在下で転写されたとき、それに作用可能に結合し、翻訳開始配列として機能する核酸分子を含む。このようなベクター作成物はまた、用いるウイルスに適したパッケージングシグナル、末端反復配列(LTR)又はその一部、及びポジティブ及びネガティブストランドプライマー結合部位を含む(これらがウイルスベクターに既に存在しない場合)。さらに、これらのベクターは、典型的には、それらが配置される宿主細胞からDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドを分泌させるシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は哺乳動物シグナル配列、最も好ましくはDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドのための天然シグナル配列である。場合によっては、ベクター作成物は、ポリアデニル化並びに一又は複数の制限部位を指向するシグナル及び翻訳終結配列も含む。例として、このようなベクターは典型的には5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第二鎖DNA合成の開始点、及び3’LTR又はその一部を含む。非ウイルスの他のベクター、例えばカチオン性脂質、ポリリシン、及びデンドリマーを用いることもできる。
【0115】
幾つかの状況では、核酸供給源を標的細胞をターゲティングする試薬、例えば細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体又は標的細胞、即ち標的細胞上のレセプターのリガンドなどとともに提供するのが望ましい。リポソームが用いられる場合、エンドサイトーシスを伴って細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質が、ターゲティング及び/又は取り込みの促進のために用いられ、例えば、特定の細胞型向性のキャプシドタンパク質又はその断片、サイクリングにおいて内部移行を受けるタンパク質の抗体、及び細胞内局在化をターゲティングし細胞内半減期を向上させるタンパク質である。レセプター媒介エンドサイトーシスは、例えば、Wu等, J. Biol. Chem., 262:4429-4432 (1987)及びWagner等, Proc. Natl. Acad. Sci., 87: 3410-3414 (1990)に記載されている。現在知られている遺伝子標識化及び遺伝子治療プロトコールの概説については、Anderson等, Science, 256:808-813 (1992)を参照のこと。また、WO 93/25673及びそこに引用された参考文献も参照。
【0116】
好適な遺伝子治療及びレトロウイルス粒子及び構造タンパク質の作成方法は、米国特許第5,681,746号に見出される。
【0117】
生物学的な活性、例えば公知の腫瘍壊死因子レセプターの活性に関連するような活性を有する本発明のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは、治療の目的においてインビボで、及びインビトロにおいて用いることができる。
【0118】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの治療のための組成物は、適切な純度を有する所望の分子と混合することにより、場合によっては許容される担体、賦形剤又は安定化剤(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed, Oslo A編集, (1980) )と共に、凍結乾燥標品又は水溶液の状態で調製される。
許容できる担体、賦形剤又は安定剤は、用いる投与量及び濃度ではレシピエントに対して無毒性であり、リン酸、クエン酸及び他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(残基数10個未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリン等の単糖類、二糖類又は他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
【0119】
このような担体の更なる例は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、及びプロピレングリコールである。局所用の担体又はゲルベースの形態は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、及びモクロウアルコールを含む。あらゆる投与について、従来のデポー形態が好適に用いられる。このような形態は、例えば、マイクロカプセル、ナノ-カプセル、リポソーム、硬膏剤、吸入形態、鼻スプレー、舌下状、及び除放性製剤を含む。PRO364ポリペプチドは、典型的にはそのような媒体中に約0.1mg/mlから100mg/mlの濃度で処方される。
【0120】
インビボ投与に用いられるDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは無菌でなければならない。これは、凍結乾燥及び再形成の前又は後の滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成されるDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは通常は凍結乾燥形態又は全身投与される場合には溶液中に貯蔵される。凍結乾燥形態にある場合、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは典型的には使用時の適当な希釈剤を含む他の成分と組み合わせて処方される。DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの液体製剤の例は、無菌の、透明な、無色の生鮮溶液で、皮下注射用の1回投与バイアルに充填されている。
治療用DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド組成物は、一般的に無菌のアクセスポートを具備する容器、例えば、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針で穿孔可能なストッパーを具備するバイアルに配される。製剤は、好ましくは静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、又は筋肉内(i.m.)の繰り返し注射として、あるいは鼻内又は肺内送達に適したエアロゾル製剤として投与される(肺内送達については、例えばEP 257,956参照)。
【0121】
また、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは持続放出製剤の形態で投与することもできる。持続放出製剤の好適な例は、タンパク質を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、当該マトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langer等, J. Biomed. Mater. Res., 15: 167-277 (1981)及びLanger, Chem. Tech., 12: 98-105 (1982)に記載されたようなポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)、L-グルタミン酸及びガンマエチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidman等, Biopolymers, 22: 547-556 (1983))、非分解性エチレン−酢酸ビニル(Langer等, 上掲)、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLupron DepotTM(乳酸−ブリコール酸コポリマ及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能な微小球)、及びポリ-D-(−)-3-ヒドロキシブチル酸(EP 133,988)を含む。
【0122】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド(又はそれらに対する抗体)の治療的有効量は、当然のことながら、対照とする療法(例えば、アポトーシス、自己免疫性又は炎症誘発性反応の変調)、治療すべき病理学的状態、投与方法、治療に用いられる化合物の型、包含される任意の同時治療、患者の年齢、体重、一般的な医学的状態、医学的履歴などの要因によって変化し、それは担当する医師の技量の範囲内で良好に決定される。従って、治療者は、最大の治療効果が得られるように、投与量を滴定し投与経路を修正する必要がある。
上記の指針では、有効投与量は、一般的に約0.001から約1.0mg/kgの範囲内である。
【0123】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド投与の経路は周知の方法に従い、例えば静脈内、筋肉内、脳内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、眼内、関節内、滑膜内、包膜内、経口、局所又は吸入経路による注射又は注入、あるいは持続放出系による。またDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは腫瘍内、腫瘍周辺、病巣内、又は病巣周辺経路で好適に投与され、局所的並びに全身に治療効果を発揮する。
疾患を治療するDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの有効性は、活性剤を、その目的のために有効な他の薬剤を、同じ組成物中又は別の組成物として、順次又は混合して投与することにより向上させてもよい。このような薬剤の例は、細胞毒性、化学治療薬、又は成長阻害剤、及び放射線治療(照射の包含又は放射性物質の投与)を含む。
PRO364ポリペプチドと組み合わせて投与される治療薬の有効量は、医師の裁量である。投与用量決定及び調節は、治療すべき状態の最大のマネジメントを達成するためになされる。
上述の多様な治療上の方法及び組成物が、ここで記載されるEDA-A2の使用に対しても同様に用いられてもよい。
【0124】
G.抗DNA98853ポリペプチド及び/又はDNA101848ポリペプチド抗体
本発明は、さらに抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体を提供するものである。抗体の例としては、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性及びヘテロ抱合体抗体が含まれる
1.ポリクローナル抗体
本発明における抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体はポリクローナル抗体を含んでよい。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポリクローナル抗体は、例えば免疫化剤、及び望ましいならばアジュバントを、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤及び/又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により哺乳動物に注射する。抗DNA98853ポリペプチド抗体について、免疫化剤は、DNA98853ポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。抗DNA101848ポリペプチド抗体について、免疫化剤は、DNA101848ポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。免疫化剤を、免疫化される哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質に抱合させるのが有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、及び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコールは、過度の実験なく当業者により選択され得る。
【0125】
2.モノクローナル抗体
あるいは、抗DNA98853ポリペプチド抗体又は抗DNA101848ポリペプチド抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256: 495 (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を、典型的には免疫化剤により免疫化することで、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生成するか又は生成可能なリンパ球を誘発する。また、リンパ球をインビトロで免疫化してもよい。
抗DNA98853ポリペプチド抗体について、免疫化剤は、典型的にはDNA98853ポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。抗DNA101848ポリペプチド抗体について、免疫化剤は、典型的にはDNA101848ポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。一般に、ヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれる場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。次いで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いてリンパ球を不死化株化細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103]。不死化株化細胞は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に齧歯動物、ウシ及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫細胞が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培地で培養される。例えば、親細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマの培地は、典型的には、ヒポキサチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、この物質がHGPRT欠乏性細胞の成長を阻止する。
【0126】
好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である。より好ましい不死化株化細胞はマウス骨髄腫系であり、これは例えばカリフォルニア州サンディエゴのサルク・インスティチュート・セル・ディストリビューション・センター(Salk Institute Cell Distribution Center)やバージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手可能である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫株化細胞も記載されている[Kozbor, J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]。
【0127】
次いでハイブリドーマ細胞を培養する培地を、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに対するモノクローナル抗体の存在について検定することができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合アッセイによって測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem., 107: 220 (1980)のスキャッチャード分析法によって測定することができる。
【0128】
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを制限希釈工程を経てサブクローン化し、標準的な方法で成長させることができる[Goding, 上掲]。この目的のための適当な培養培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及びRPMI-1640培地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は哺乳動物においてインビボの腹水で成長させることもできる。
【0129】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えばプロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン精製方法によって培地又は腹水液から単離又は精製されうる。
【0130】
また、モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567号に記載された方法により作成することができる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、常套的な方法により(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されれば、DNAは発現ベクター内に配することができ、これが宿主細胞、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリンタンパク質を生成等しない骨髄腫細胞内に形質移入され、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成をすることができる。また、DNAは、例えば相同マウス配列に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより[US. Patent No.4816567;Morrison等, 上掲]、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合することにより修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインに換えて置換するか、本発明の抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインに換えて置換し、キメラ二価抗体を産生することができる。
【0131】
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく知られている。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意の点で切断される。あるいは、関連したシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換するか欠失させて架橋を防止する。
一価抗体の調製にはインビトロ法がまた適している。抗体の消化による、その断片、特にFab断片の調製は、当該分野において知られている日常的技術を使用して達成できる。
【0132】
3.ヒト化抗体
本発明の抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化型とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖あるいはその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2あるいは抗体の他の抗原結合性サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含み、それは、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されている。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0133】
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒトである供給源から導入された一又は複数のアミノ酸残基を有する。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は基本的に齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト抗体の該当する配列を置換することによる、ウィンター(Winter)及び共同研究者[Jones等, Nature, 321: 522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332: 323-327 (1988); Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って本質的に行うことができる。従って、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(U.S. Patent No.4,816,567)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的には幾つかのCDR残基及びことによっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0134】
また、ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリ[Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含むこの分野で知られた種々の方法を用いて産生することもできる。また、Coleら及びBoernerらの方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる[Coleら, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985)及びBoernerら, J. Immunol., 147(1):86-95(1991)]。
【0135】
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本発明の場合において、結合特異性の一方はDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに対してであり、他方は任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサブユニットに対してである。
【0136】
二重特異性抗体を生成する方法は当該技術分野において公知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え生成方法は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Milstein及びCuello, Nature, 305: 537-539 (1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に組み合わせるため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その内一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常達成される。同様の手順が1993年5月13日発行のWO93/08829号、及びTraunecker等, EMBO J., 10: 3655-3659 (1991)に開示されている。
【0137】
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合できる。融合は、好ましくは少なくともヒンジ、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。少なくとも一つの融合に存在する軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を有するのが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合をコードするDNA、及び望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。二重特異性抗体を生成するための更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121: 210 (1986)を参照されたい。
【0138】
5.ヘテロ抱合体抗体
ヘテロ抱合体抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロ抱合体抗体は、2つの共有的に結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対して標的化させるため(米国特許第4,676,980号)及びHIV感染の治療のために(WO91/00360; WO92/200373; EP 03089)提案されている。これらの抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク質化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより免疫毒素を作成することができる。この目的のために好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第4,676,980号に開示されているものが含まれる。
【0139】
H.抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体の用途
本発明の抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体は様々な有用性を有している。抗DNA98853ポリペプチド抗体又は抗DNA101848ポリペプチドは、上述の投与技術及び方法を用いて、診断において使用される。例えば、抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体は、対応するポリペプチドの診断アッセイ、例えば特定細胞、組織、又は血清でのその発現の検出に用いられる。競合的結合アッセイ、直接又は間接サンドウィッチアッセイ及び不均一又は均一相で行われる免疫沈降アッセイ[Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, CRC Press, Inc. (1987) pp. 147-158]等のこの分野で知られた種々の診断アッセイ技術が使用される。診断アッセイで用いられる抗体は、検出可能な部位で標識される。検出可能な部位は、直接又は間接のいずれかで検出可能なシグナルを発生しなければならない。例えば、検出可能な部位は、3H、14C、32P、35S又は125I等の放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリン等の蛍光又は化学発光化合物、あるいはアルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ又はセイヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素であってよい。Hunter等 Nature, 144:945 (1962);David等, Biochemistry, 13: 1014 (1974);Pain等, J. Immunol. Meth., 40:219 (1981) ;及びNygren, J. Histochem. and Cytochem., 30:407 (1982)に記載された方法を含む、抗体を検出可能な部位に抱合するためにこの分野で知られた任意の方法が用いられる。
【0140】
また、DNA98853ポリペプチド抗体は組換え細胞培養又は天然供給源からのDNA98853ポリペプチドのアフィニティー精製にも有用である。この方法においては、DNA98853ポリペプチドに対する抗体を、当該分野でよく知られている方法を使用して、セファデックス樹脂や濾紙のような適当な支持体に固定する。次に、固定された抗体を、精製すべきDNA98853ポリペプチドを含む試料と接触させた後、固定された抗体に結合したDNA98853ポリペプチド以外の試料中の物質を実質的に全て除去する適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、DNA98853ポリペプチドを抗体から離脱させる他の適当な溶媒で支持体を洗浄する。
【0141】
また、抗DNA101848ポリペプチド抗体は組換え細胞培養又は天然供給源からのDNA101848ポリペプチドのアフィニティー精製にも有用である。この方法においては、DNA101848ポリペプチドに対する抗体を、当該分野でよく知られている方法を使用して、セファデックス樹脂や濾紙のような適当な支持体に固定する。次に、固定された抗体を、精製すべきDNA101848ポリペプチドを含む試料と接触させた後、固定された抗体に結合したDNA101848ポリペプチド以外の試料中の物質を実質的に全て除去する適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、DNA101848ポリペプチドを抗体から離脱させる他の適当な溶媒で支持体を洗浄する。
【0142】
I.製造品
ここに記載した疾患の診断又は治療に有用なDNA98853ポリペプチド、DNA101848ポリペプチド又はそれらの抗体を含むキットのような製造品は、少なくとも1つの容器及びラベルを具備する。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、及び試験管が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような種々の物質から形成できる。容器は、状態の診断又は治療に有効か組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で穿孔可能なストッパーを具備する静脈内バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の活性剤はPRO364又はその抗体である。容器上又は添付されるラベルには、組成物が選択した状態の診断又は治療に使用されることが示されている。この製造品は、製薬的に許容可能なバッファー、例えばリン酸緩衝塩水、リンガー液、及びデキストロース溶液を収容した第2の容器をさらに具備してもよい。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書を備えた包装挿入物を含む、商業的及び使用者の立場から望ましい他の材料を具備してもよい。また、この製造品は、上述の他の活性剤を収容した第2又は第3の容器を具備してもよい。
【0143】
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
【0144】
(実施例)
実施例で言及されている全ての市販試薬は、特に示していない限りは、製造者の使用説明に従い使用した。次の実施例及び明細書全体を通してATCC受託番号により特定している細胞の供給源は、バージニア州、マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションである。
【0145】
実施例1
ヒトDNA98853ポリペプチドをコードするcDNAクローンの単離
Fig9(Incyte Pharmaceuticals LIFESEQTM デーベースより)に示すインサイトクローン509 1511H(配列番号:7)に基づいて、対象とする配列を含んでいるcDNAライブラリーを同定するために、オリゴヌクレオチドがPCRによって合成された。これらのオリゴヌクレオチドは次の通りであった:
正方向プライマー
5'GAGGGGGCTGGGTGAGATGTG 3'(509-1)(配列番号:8)
逆方向プライマー
5'TGCTTTTGTACCTGCGAGGAGG 3'(509-4AS)(配列番号:9)
DNA98853ポリペプチドに対する全長コード化配列を単離するために、逆ロングPCRを行った(Fig6)。PCRプライマーは通常20から30ヌクレオチドの範囲にある。逆ロングPCRにおいて、プライマー対は、5‘から3‘方向で、お互いに離れる方向を向くようにデザインされた。
DNA98853をクローニングするための逆ロングPCR対が合成された:
プライマー1(左側プライマー)
5'pCATGGTGGGAAGGCCGGTAACG 3'(509-P5)(配列番号:10)
プライマー2(右側プライマー)
5'pGATTGCCAAGAAAATGAGTACTGGGACC 3'(509-P6)(配列番号:11)
この逆ロングPCR反応において、鋳型はプラスミドcDNAライブラリーである。その結果、PCR産物は両端に目的の挿入配列を有し、真中にベクターの全配列を含んでいる。PCR反応後、PCR混合物は鋳型のプラスミドのみを切断するDpnIで処理し、続いてライブラリーのクローニングベクターのサイズより大きなPCR産物をアガロースゲルにより精製した。逆ロングPCRで用いたプライマーは5'-リン酸化型であるので、精製産物はその後自己連結され、大腸菌コンピテント細胞に形質移入された。コロニーは、5‘ベクタープライマーとより長い5‘配列を持つクローンを同定するための適当な遺伝子特異的なプライマーによりスクリーンされた。陽性クローンから調製されたプラスミドは配列確認された。必要ならば、前回得られた新規配列に基づいてさらに5'側の配列を得るために、本過程が繰り返され得る。
逆ロングPCRの目的は対象の遺伝子の完全配列を得ることである。
その後、全長コード化配列を含むクローンは、通常のPCRによって得た。
DNA98853の全長コード化領域をクローン化するために使用されたプライマーは、合成により得た:
正方向プライマー
5'GGAGGATCGATACCATGGATTGCCAAGAAAATGAG 3'(Cla-MD-509)(配列番号:12)
逆方向プライマー
5'GGAGGAGCGGCCGCTTAAGGGCTGGGAACTTCAAAGGGCAC 3'(509.TAA.not)(配列番号:13)
クローニングの目的のために、Cla Iサイト及びNot Iサイトが正方向プライマー及び逆方向プライマー中に含まれていた。
PCR産物の正確さを保証するために、独立のPCR反応が行われ、いくつかのクローン産物が配列確認された。
上述のように単離されたDNA配列は、DNA98853ポリペプチドの全長DNA配列(ここでは、DNA98853-1739と称する)及び、それに由来するDNA98853ポリペプチドのタンパク質配列を与えた。
DNA98853の全長ヌクレオチド配列はFig1(配列番号:1)に示してある。クローンDNA98853-1739は、ATCCに寄託され寄託番号203906が与えられた。クローンDNA98853は単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置4-6に見かけの翻訳開始部位、そしてヌクレオチド位置901−903に見かけの停止コドンを持つ(Fig1)。予測されるポリペプチド前駆体は299アミノ酸長である(Fig2)。Fig2に示した全長DNA98853ポリペプチドタンパク質は分子量約3.3キロダルトンでpIが約4.72と見積もられた。潜在的なN-グリコシル化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸74〜アミノ酸77の間に存在する。潜在的なN-ミリストイル化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸24〜アミノ酸29の間に存在する。潜在的なカゼインキナーゼIIリン酸化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸123〜アミノ酸126、アミノ酸185〜アミノ酸188、アミノ酸200〜アミノ酸203、アミノ酸252〜アミノ酸255、アミノ酸257〜アミノ酸260、アミノ酸271〜アミノ酸274、及びアミノ酸283〜アミノ酸286の間に存在する。潜在的な膜貫通部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸137〜アミノ酸158の間に存在する。現在のところ、当該ポリペプチドにはシグナル配列は含まれていないと考えられる。
全長DNA98853ポリペプチドアミノ酸配列の分析により、その一部が腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーと相同性を有することが示唆されており、このころからDNA98853ポリペプチドは腫瘍壊死因子レセプターファミリーの新規メンバーであることが示されている。TNFRファミリーに特徴的な3つの見かけ上の細胞外システインリッチドメイン[Naismith及びSprang, Trends Biochem. Sci., 23:74-79(1998)を参照のこと]が存在し、それらの最初の2つのCRDsは6つのシステインを持つ一方で、3番目のCRDは4つのシステインを持つ。
【0146】
実施例2
ヒトDNA101848ポリペプチドをコードするcDNAクローンの単離
Fig9(Incyte Pharmaceuticals LIFESEQTM デーベースより)に示すインサイトクローン509 1511H(配列番号:7)に基づいて、対象とする配列を含んでいるcDNAライブラリーを同定するために、オリゴヌクレオチドがPCRによって合成された。これらのオリゴヌクレオチドは:
正方向プライマー
5'GAGGGGGCTGGGTGAGATGTG 3'(509-1)(配列番号:8)
逆方向プライマー
5'TGCTTTTGTACCTGCGAGGAGG 3'(509-4AS)(配列番号:9)
DNA101848ポリペプチドに対する全長コード化配列を単離するために、逆ロングPCRを行った(Fig6)。PCRプライマーは通常20から30ヌクレオチドの範囲にある。逆ロングPCRにおいて、プライマー対は、5'から3'方向で、お互いに離れる方向を向くようにデザインされた。
DNA101848をクローニングするための逆ロングPCR対が合成された:
プライマー1(左側プライマー)
5'pCATGGTGGGAAGGCCGGTAACG 3'(509-P5)(配列番号:10)
プライマー2(右側プライマー)
5'pGATTGCCAAGAAAATGAGTACTGGGACC 3'(509-P6)(配列番号:11)
この逆ロングPCR反応において、鋳型はプラスミドcDNAライブラリーである。その結果、PCR産物は両端に目的の挿入配列を有し、真中にベクターの全配列を含んでいる。PCR反応後、PCR混合物は鋳型のプラスミドのみを切断するDpnIで処理し、続いてライブラリーのクローニングベクターのサイズより大きなPCR産物をアガロースゲルにより精製した。逆ロングPCRで用いたプライマーは5‘-リン酸化型であるので、精製産物はその後セルフライゲーションされ、大腸菌コンピテント細胞に形質移入された。コロニーは、5‘ベクタープライマーとより長い5‘配列を持つクローンを同定するための適当な遺伝子特異的なプライマーによりスクリーンされた。陽性クローンから調製されたプラスミドは配列確認された。必要ならば、前回得られた新規配列に基づいてさらに5‘側の配列を得るために、本過程が繰り返され得る。
逆ロングPCRの目的は対象の遺伝子の完全配列を得ることである。
その後、全長コード化配列を含むクローンは、通常のPCRによって得た。
DNA101848の全長コード化領域をクローン化するために使用されたプライマーは、合成により得た:
正方向プライマー
5'GGAGGATCGATACCATGGATTGCCAAGAAAATGAG 3'(Cla-MD-509)(配列番号:12)
逆方向プライマー
5'GGAGGAGCGGCCGCTTAAGGGCTGGGAACTTCAAAGGGCAC 3'(509.TAA.not)(配列番号:13)
クローニングの目的のために、Cla Iサイト及びNot Iサイトが正方向プライマー及び逆方向プライマー中に含まれていた。
PCR産物の正確さを保証するために、独立のPCR反応が行われ、いくつかのクローン産物が配列確認された。
上述のように単離されたDNA配列は、DNA101848ポリペプチドの全長DNA配列(ここでは、DNA101848-1739と称する)及び、それに由来するDNA101848ポリペプチドのタンパク質配列を与えた。
DNA101848の全長ヌクレオチド配列はFig3(配列番号:4)に示してある。クローンDNA101848-1739は、ATCCに寄託され寄託番号203907が与えられた。クローンDNA101848は単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置4-6に見かけの翻訳開始部位、そしてヌクレオチド位置895−897に見かけの停止コドンを持つ(Fig3)。予測されるポリペプチド前駆体は297アミノ酸長である(Fig4)。Fig4に示した全長DNA101848ポリペプチドタンパク質は分子量約3.28キロダルトンでpIが約4.72と見積もられた。潜在的なN-グリコシル化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸74〜アミノ酸77の間に存在する。潜在的なN-ミリストイル化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸24〜アミノ酸29の間に存在する。潜在的なカゼインキナーゼIIリン酸化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸123〜アミノ酸126、アミノ酸185〜アミノ酸188、アミノ酸200〜アミノ酸203、アミノ酸252〜アミノ酸255、アミノ酸257〜アミノ酸260、アミノ酸271〜アミノ酸274、及びアミノ酸283〜アミノ酸286の間に存在する。潜在的な膜貫通部位が、Fig4に示されるアミノ酸配列上アミノ酸137〜アミノ酸158の間に存在する。現在のところ、当該ポリペプチドにはシグナル配列は含まれていないと考えられる。
全長DNA101848ポリペプチドアミノ酸配列の分析により、その一部が腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーと相同性を有することが示唆されており、このころからDNA101848ポリペプチドは腫瘍壊死因子レセプターファミリーの新規メンバーであることが示されている。TNFRファミリーに特徴的な3つの見かけ上の細胞外システインリッチドメイン[Naismith及びSprang, Trends Biochem. Sci., 23:74-79(1998)]が存在し、それらの最初の2つのCRDsは6つのシステインを持つ一方で、3番目のCRDは4つのシステインを持つ。
【0147】
DNA101848が実際に膜貫通であることをさらに示すために、DNA101848のエピトープタグ発現プラスミドの2つのバージョンが、pRK5B(実施例11を参照のこと)中に構築され、一つはN端Flagタグ(Flag-DNA101848)で、他方はC端Flagタグ(Flag-DNA101848)である。いずれかのコンストラクト(リポフェクチン試薬を用いる:Gibco-BRL)により形質移入されたMCF-7細胞(ATCC)は、M2抗Flag抗体(シグマ)により、PBS中0.5%トリトンX-100により膜透過性にした場合としない場合とで免疫染色を行った。Fig10に示すように、膜透過性にしない場合(Fig10A及び10B)、M2抗体による細胞表面染色はFlag-DNA101848を形質移入した細胞でのみ観られ、DNA101848-Flagでは観られなかった。細胞を抗Flagで免疫染色する前に膜透過性にした場合、両タイプのコンストラクトにおいて同程度の発現が観察された(Fig10C及び10D)。本実験により、明らかにDNA101848がN端領域を細胞外に、C端領域を細胞内にして細胞表面タンパク質として発現されていることが示された。従って、DNA101848はタイプIIIの膜透過性タンパク質である。
【0148】
実施例3
ハイブリダイゼーションプローブとしてのDNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAの使用
以下の方法は、DNA98853ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又はDNA101848ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションプローブとしての使用を記載する。
全長DNA98853ポリペプチドのコード化配列を含むDNA(Fig1、配列番号:1に示す通り)又はそのフラグメントは、ヒト組織cDNAライブラリー又はヒト組織ゲノムライブラリーにおける同種DNA(DNA98853の自然発生変異体など)のスクリーニングのためのプローブとして用いられる。同様に、全長DNA101848ポリペプチドのコード化配列を含むDNA(Fig3、配列番号:4に示す通り)又はそのフラグメントは、ヒト組織cDNAライブラリー又はヒト組織ゲノムライブラリーにおける同種DNA(DNA101848の自然発生変異体など)のスクリーニングのためのプローブとして用いられる。
いずれかのライブラリーDNAを含むフィルターのハイブリダイゼーション及び洗浄は、以下の高い緊縮条件で実施した。DNA98853ポリペプチドをコードする遺伝子由来の放射標識プローブ又はDNA101848ポリペプチドをコードする遺伝子由来の放射標識プローブのフィルターへのハイブリダイゼーションは、50%ホルムアルデヒド、5xSSC、0.1%SDS、0.1%ピロリン酸ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2xデンハード溶液、及び10%デキストラン硫酸の溶液中で、42℃において20時間行った。フィルターの洗浄は、0.1xSSC及び0.1%SDSの水溶液中、42℃で行った。
全長天然配列DNA98853ポリペプチドをコードするDNA又は全長天然配列DNA101848ポリペプチドをコードするDNAと所望の配列同一性を有するDNAは、この分野で知られた標準的な方法を用いて同定できる。
【0149】
実施例4
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの大腸菌における発現
本実施例は、大腸菌中で組換体発現によるDNA98853ポリペプチド形体及びDNA101848ポリペプチド形体の調製を示す。
DNA98853ポリペプチドの発現に関しては、全長DNA98853ポリペプチドをコードするDNA配列(配列番号:1)又はフラグメント又はその変異体は、まず、選択されたPCRプライマーを用いて増幅した。DNA101848ポリペプチドの発現に関しては、全長DNA101848ポリペプチドをコードするDNA配列(配列番号:4)又はフラグメント又はその変異体は、まず、選択されたPCRプライマーを用いて増幅した。
プライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位を持たなければならない。種々の発現ベクターが用いられる。好適なベクターの例は、pBR322(大腸菌から誘導されたもの;Bolivar等, Gene, 2:95 (1977))であり、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性についての遺伝子を含む。ベクターは、制限酵素で設計され、脱リン酸される。PCR増幅した配列は、次いで、ベクターに結合させる。ベクターは、好ましくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、polyhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、polyhis配列、及びエンテロキナーゼ切断部位を含む)、DNA98853ポリペプチドコード化配列領域又はDNA101848コード化配列領域、ラムダ転写終結区、及びargU遺伝子を含む。
ライゲーション混合物は、次いで、選択した大腸菌のSambrook等, 上掲に記載された方法を用いた形質転換に使用される。形質転換体は、それらのLBプレートで成長する能力により同定され、次いで抗生物質耐性クローンが選択される。プラスミドDNAが単離され、制限分析及びDNA配列分析で確認される
選択されたクローンは、抗生物質を添加したLBブロスなどの液体培地で終夜成長させることができる。終夜培地は、続いて大規模培地の播種に用いられる。次に細胞を最適密度で成長させ、その間に発現プロモーターが作動する。
更に数時間の培養の後、細胞を採集して遠心分離した。遠心分離で得られた細胞ペレットは、この分野で知られた種々の試薬を用いて可溶化され、可溶化DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは金属キレート化カラムを用いてタンパク質を緊密に結合させる条件下で精製した。
【0150】
実施例5
哺乳動物細胞におけるDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの発現
この実施例は、哺乳動物細胞における組換え発現による、DNA98853ポリペプチド及びDNA101848ポリペプチド形体の調製を例示する。
発現ベクターとして、ベクターpRK5(1989年3月15日発行のEP 307,247参照)を用いた。場合によっては、DNA98853ポリペプチドコード化DNAを選択した制限酵素でpRK5に結合させ、Sambrook等,上掲に記載されたような結合方法を用いてDNA98853コード化DNAの挿入を行う。得られたベクターをpRK5−DNA98853ポリペプチドと呼ぶ。場合によっては、DNA101848ポリペプチドコード化DNAを選択した制限酵素でpRK5に結合させ、Sambrook等,上掲に記載されたような結合方法を用いてDNA101848コード化DNAの挿入を行う。得られたベクターをpRK5−DNA101848ポリペプチドと呼ぶ。
【0151】
一実施態様では、選択される宿主細胞を293細胞とすることができる。ヒト293細胞(ATCC CCL 1573)は、ウシ胎児血清及び場合によっては滋養成分及び/又は抗生物質を添加したDMEMなどの培地中で組織培養プレートにおいて成長させて集密化させた。約10μgのpRK5−DNA98853DNAを約1μgのVA RNA遺伝子をコードするDNA[Thimmappaya等, Cell, 31:543 (1982)]]と混合し、500μlの1mMのTris-HCl、0.1mMのEDTA、0.227MのCaCl2に溶解させた。場合によっては、約10μgのpRK5−DNA101848DNAを約1μgのVA RNA遺伝子をコードするDNA[Thimmappaya等, Cell, 31:543 (1982)]]と混合し、500μlの1mMのTris-HCl、0.1mMのEDTA、0.227MのCaCl2に溶解させた。この混合物に、滴状の、500μlの50mMのHEPES(pH7.35)、280mMのNaCl、1.5mMのNaPO4を滴状で添加し、25?で10分間析出物を形成させた。析出物を懸濁し、293細胞に加えて37?で約4時間定着させた。培養培地を吸引し、PBS中20%グリセロールの2mlを30秒間添加した。293細胞は、次いで無血清培地で洗浄し、新鮮な培地を添加し、細胞を約5日間インキュベートした。
【0152】
形質移入の約24時間後、培養培地を除去し、培養培地(のみ)又は200μCi/mlの35S−システイン及び200μCi/mlの35S−メチオニンを含む培養培地で置換した。12時間のインキュベーションの後、条件培地を回収し、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲルに負荷した。処理したゲルを乾燥させ、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの存在を明らかにするのに選択された時間に渡ってフィルムに暴露しうる。形質移入した細胞を含む培地は、さらなるインキュベーション(無血清培地)を施し、培地を選択したバイオアッセイで試験してもよい。
【0153】
それに換わる技術において、DNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAは、Somparyac等, Proc. Natl. Acad. Sci., 12: 7575 (1981)に記載されたデキストラン硫酸法を用いて293細胞に一過的に導入されうる。293細胞をスピナーフラスコ内で最大密度まで成長させ、700μgのpRK5−DNA98853DNAを添加又は700μgのpRK5−DNA101848DNAを添加する。細胞は、まずスピナーフラスコから遠心分離によって濃縮してPBSで洗浄する。DNA−デキストラン沈殿物を細胞ペレット上で4時間インキュベートした。細胞を20%グリセロールで90秒間処理し、組織培養培地で洗浄し、組織培養培地、5μg/mlウシインシュリン及び0.1μg/mlウシトランスフェリンを含むスピナーフラスコに再度導入する。約4日後に、条件培地を遠心分離して濾過し、細胞及び細胞片を除去する。発現されたDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドを含む試料を濃縮し、透析及び/又はカラムクロマトグラフィー等の選択した方法によって精製できる。
【0154】
他の実施態様では、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドはCHO細胞で発現させることができる。pRK5−DNA98853ポリペプチドベクター又はpRK5−DNA101848ポリペプチドベクターは、CaPO4又はDEAE-デキストランなどの周知の試薬を用いてCHO細胞に形質移入できる。上記のように、細胞培地をインキュベートし、その培地を培養培地(のみ)又は35S−メチオニンなどの放射性標識を含む培地で置換することができる。所望のポリペプチドの存在を測定した後、培養培地を無血清培地に置換してもよい。好ましくは、培地を約6日間インキュベートし、次いで条件培地を収集する。次いで、発現されたDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドを含む培地を濃縮し、任意の選択した方法で精製することができる。
【0155】
また、エピトープタグDNA98853ポリペプチド又はピトープタグDNA101848ポリペプチドを宿主CHO細胞で発現させることもできる。DNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAはpRK5ベクターからサブクローン化される。サブクローン挿入物にPCRを施して、ポリ-hisタグ等の選択されたエピトープタグを持つ枠に融合させてバキュロウイルス発現ベクターとすることができる。ポリ-hisタグDNA98853ポリペプチドコード化DNA挿入物又はポリ-hisタグDNA101848ポリペプチドコード化DNA挿入物は、次いで、安定なクローンの選択のためのDHFRなどの選択マーカーを含むSV40誘導ベクターにサブクローン化できる。最後に、SV40誘導ベクターでCHO細胞を(上記のように)形質移入できる。標識化を上記のように実施して発現を検証してもよい。次いで、発現されたポリ-hisタグDNA98853ポリペプチド又はポリ-hisタグDNA101848ポリペプチドを含む培養培地を濃縮し、Ni2+-キレート親和性クロマトグラフィといった任意の選択した方法で精製することができる。
【0156】
実施例6
酵母菌でのDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの発現
以下の方法は、酵母菌におけるDNA98853ポリペプチド及びDNA101848ポリペプチドの組換え発現を記載する。
第1に、ADH2/GAPDHプロモーターからのDNA98853ポリペプチドの細胞内生産又は分泌のための酵母菌発現ベクターを形成する。対象となるDNA98853をコードするDNA、選択されたシグナルペプチド及びプロモーターをコードするDNAを、選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入してDNA98853の細胞内発現を制御する。分泌のために、DNA98853をコードするDNAを、ADH2/GAPDHプロモーター、酵母菌アルファ因子分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば)DNA98853ポリペプチドの発現のためのリンカー配列とともに、選択したプラスミドにクローン化することができる。
場合によっては、ADH2/GAPDHプロモーターからのDNA101848ポリペプチドの細胞内生産又は分泌のための酵母菌発現ベクターを形成する。対象となるDNA101848をコードするDNA、選択されたシグナルペプチド及びプロモーターをコードするDNAを、選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入してDNA101848の細胞内発現を制御する。分泌のために、DNA101848をコードするDNAを、ADH2/GAPDHプロモーター、酵母菌アルファ因子分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば)DNA101848ポリペプチドの発現のためのリンカー配列とともに、選択したプラスミドにクローン化することができる。
【0157】
酵母菌株AB110などの酵母菌は、次いで上記の発現プラスミドで形質転換し、選択された発酵培地中で培養できる。形質転換した酵母菌上清は、10%トリクロロ酢酸での沈降及びSDS−PAGEによる分離、次いでクマシーブルー染色でのゲル染色により分析することができる。
【0158】
次いで、組換体DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは、発酵培地から遠心分離により酵母菌細胞を除去し、選択されたカートリッジフィルターを用いて培地を濃縮することによって単離及び精製できる。DNA98853ポリペプチド又はDNA101848を含む濃縮物は、選択されたカラムクロマトグラフィー樹脂を用いてさらに精製してもよい。
【0159】
実施例7
バキュロウイルス感染昆虫細胞でのDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの発現
以下の方法は、昆虫細胞におけるDNA98853ポリペプチド及びDNA101848ポリペプチドの組換体発現を記載する。
DNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848コード化DNAは、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピトープタグの上流に融合させた。このようなエピトープタグは、ポリ-hisタグ及び免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域)を含む。pVL1393(Navagen)などの市販されているプラスミドから誘導されるプラスミドを含む種々のプラスミドを用いることができる。簡単には、DNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA98853ポリペプチドコード化DNAの所定部分(細胞外ドメインをコードする配列等)が、5'及び3'領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。場合によっては、DNA101848ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAの所定部分(細胞外ドメインをコードする配列等)が、5'及び3'領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。5'プライマーは、フランキングの(選択された)制限酵素部位を包含していてもよい。生成物は、次いで、これらの選択された制限酵素で消化され、発現ベクターにサブクローン化される。
【0160】
組換えバキュロウイルスは、上記のプラスミド及びBaculoGoldTMウイルスDNA(Pharmingen)を、Spodoptera frugiperda(「Sf9」)細胞(ATCC CRL 1711)中にリポフェクチン(GIBCO-BRLから市販)を用いて同時形質移入することにより生成される。28?で4−5日インキュベートした後、放出されたウイルスを回収し、さらなる増幅に用いた。ウイルス感染及びタンパク質発現は、O'Reilley等, Baculovirus expression vectors: A laboratory Manual, Oxford: Oxford University Press (1994)に記載されているようにして実施した。
【0161】
次に、発現されたポリ-hisタグDNA98853ポリペプチド又はポリ-hisタグDNA101848ポリペプチドは、例えばNi2+−キレートアフィニティクロマトグラフィーにより次のように精製される。抽出物は、Rupert等, Nature, 362: 175-179 (1993)に記載されているように、ウイルス感染した組換えSf9細胞から調製した。簡単には、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理用バッファー(25mLのHepes、pH7.9;12.5mMのMgCl2;0.1mMのEDTA;10%のグリセロール;0.1%のNP−40;0.4MのKCl)中に再懸濁し、氷上で2回20秒間超音波処理する。超音波処理物を遠心分離で透明化し、上清を負荷バッファー(50mMのリン酸塩、300mMのNaCl、10%のグリセロール、pH7.8)で50倍希釈し、0.45μmフィルターを通して濾過する。Ni2+−NTAアガロースカラム(Qiagenから市販)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの負荷バッファーで平衡させた。濾過した細胞抽出物は、毎分0.5mLでカラムに負荷した。カラムを、分画回収が始まる点であるA280のベースラインまで負荷バッファーで洗浄した。次に、カラムを、非特異的に結合したタンパク質を溶離する二次洗浄バッファー(50mMのリン酸塩;300mMのNaCl、10%のグリセロール、pH6.0)で洗浄した。A280のベースラインに再度到達した後、カラムを二次洗浄バッファー中で0から500mMのイミダゾール勾配で展開した。1mLの分画を回収し、SDS−PAGE及び銀染色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)に抱合したNi2+−NTAでのウェスタンブロットで分析した。溶離したHis10−タグDNA98853ポリペプチド又はHis10−タグDNA101848ポリペプチドを含む分画をプールし、添加バッファーで透析した。
【0162】
あるいは、IgGタグ(又はFcタグ)DNA98853ポリペプチド又IgGタグ(又はFcタグ)DNA101848ポリペプチドはの精製は、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムクロマトグラフィを含む周知のクロマトグラフィー技術を用いて実施できる。
【0163】
実施例8
DNA98853ポリペプチド及び/又はDNA101848ポリペプチドに結合する抗体の調製
この実施例はDNA98853ポリペプチド及び/又はDNA101848ポリペプチドに特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例示する。
モノクローナル抗体の生産のための技術は当該分野で知られており、例えば、Goding,上掲に記載されている。用いられる免疫原は、精製DNA98853ポリペプチド、精製DNA101848ポリペプチド、DNA98853ポリペプチドを含む融合タンパク質、DNA101848ポリペプチドを含む融合タンパク質、細胞表面に組換体DNA98853ポリペプチドを発現する細胞、及び細胞表面に組換体DNA101848ポリペプチドを発現する細胞を含む。免疫原の選択は、当業者が過度の実験をすることなくなすことができる。
【0164】
Balb/cなどのマウスを、完全フロイントアジュバントに乳化し、皮下又は腹膜内に1−100マイクログラムで注入したDNA98853ポリペプチド免疫原又はDNA101848ポリペプチド免疫原で免疫化する。あるいは、免疫原をMPL−TDMアジュバント(Ribi Immunochemical Researh, Hamilton, MT)に乳化し、動物の後足蹠に注入してもよい。免疫化したマウスは、次いで10から12日後に、選択したアジュバント中に乳化した付加的免疫原で追加免疫する。その後、数週間、マウスをさらなる免疫化注射でまた追加免疫してもよい。抗DNA98853ポリペプチド抗体又は抗DNA101848ポリペプチド抗体の検出のためのELISAアッセイで試験するために、レトロオービタル出血によって血清試料をマウスから周期的に採取してもよい。
【0165】
適当な抗体力価が検出された後、抗体に「陽性」な動物に、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの最後の静脈内注射の注入をすることができる。3から4日後、マウスを屠殺し、脾臓を取り出した。次いで脾臓細胞を(35%ポリエチレングリコールを用いて)、ACTTから番号CRL 1597で入手可能なP3X63AgU.1等の選択したマウス骨髄腫株化細胞に融合させた。融合によりハイブリドーマ細胞が生成され、次いで、それをHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン)培地を含む96ウェル組織培養プレートに蒔き、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害した。
【0166】
ハイブリドーマ細胞は、DNA98853ポリペプチドに対する反応性又はDNA101848ポリペプチドに対する反応性についてのELISAでスクリーニングされる。所望のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに対するモノクローナル抗体を分泌する「陽性」ハイブリドーマ細胞の決定は当該分野の技量の範囲内である。
【0167】
陽性ハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹膜内注入し、抗DNA98853ポリペプチドモノクローナル抗体又は抗DNA101848ポリペプチドモノクローナル抗体を含む腹水を生成できる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、組織培養フラスコ又はローラーボトルで成長させることもできる。腹水中に生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、それに続くゲル排除クロマトグラフィを用いて行うことができる。あるいは、抗体のプロテインA又はプロテインGへの結合性に基づくアフィニティクロマトグラフィーを用いることもできる。
【0168】
実施例9
ヒト細胞及び組織におけるDNA101848ポリペプチドのmRNAの発現を検出するためのアッセイ
ノザンブロッティングは当該技術の分野の当業者に周知の通常の方法に従って行なわれた。簡単には、ヒトポリA+RNAの正常組織ブロットマ又は腫瘍細胞系ブロット(クロンテック)は、製造者の指示に従ってハイブリダイズ化された。32P-標識プローブはDNA101848(配列番号:4)の478-903のヌクレオチドに相当するDNA断片を用いて調製した。Fig7に示すように、相対的に高い発現レベルが2つのヒト腫瘍細胞系、肺癌腫A549及びメラノーマG361において検出された。相対的に弱い発現レベルで前立腺、精巣、卵巣、甲状腺、脊髄、及び副腎組織においても認められた。興味深いことに、より小さい転写産物が胃において相対的に高い発現レベルで存在していた。
【0169】
実施例10
NF-KBの活性化
E-セレクチン遺伝子からのNF-κB応答配列を含むプロモーターに制御されるレポーター遺伝子の発現を分析することにより、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドがNF-κBを活性化させるか否かを決定するためのアッセイを行った。
ヒト293細胞(2x105)(10%FBS、2mMグルタミン、100マイクログラム/mlペニシリン、及び100マイクログラムのストレプトマイシンを添加したHG-DMEM中に保持)を0.5マイクログラムのホタルルシフェラーゼレポータープラスミドpGL3.ELAM.tk[Yang等, Nature, 395: 284-288 (1998)]及び0.05マイクログラムのRenillaルシフェラーゼレポータープラスミド(内部形質移入対照物として)(Promega)、並びにDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドについて示した付加的発現ベクター(上記)、及びキャリアプラスミドpRK5Dでリン酸カルシウム形質移入により一過的に形質移入し、形質移入の間で一定のDNAを維持した。24時間後、形質移入細胞を収集し、ルシフェラーゼ活性を製造者(Promega)に推奨されたように検定した。活性(3つのウェルの平均)を、ホタルルシフェラーゼ活性をRenillaルシフェラーゼの活性で除すことにより形質移入効率の相違について規格化し、付加した発現ベクターが無い場合に見られる活性に相対する活性として表現した。
【0170】
Fig8Aに示すように、FlagタグDNA101848ポリペプチドの過剰発現は有意なレポーター遺伝子活性化をもたらした。同様の活性が、DNA98853ポリペプチドに対しても観察された(データは示さず)。
以下の実験では、DNA101848ポリペプチドのみが使用された。
DNA101848ポリペプチドシグナル伝達の潜在的メディエータを試験するために、TNF-アルファ、IL-1、又はLPs-TollによるNF-KB活性化の経路に含まれる或る種の細胞内シグナル伝達分子のドミナントネガティブ変異体を試験した。
293細胞を、pGL3.ELAM.tk及び発現ベクターで(上記のように)一過的に形質移入した。さらに、以下のドミナントネガティブ形態をコードする哺乳動物発現ベクターTRAF2-DN(aa87−501);TRAF6−DN(アミノ酸289−522);及びNIK-DN[Cao等, Science, 271: 1128-1131 (1996); Malinin等, Nature, 385: 540-544 (1997); Muzio等, Science, 278: 1612-1615 (1997); Rothe等, Science, 269: 1424-1427 (1995); Ting等, EMBO J., 15: 6189-6196 (1996); Wesche等, Immunity, 7: 837-847 (1997)に記載]で細胞を形質移入した。ルシフェラーゼ活性は上述のように発現させて測定した。
【0171】
結果をFig8Bに示す。TNF-アルファ(Malinin等, Nature, 385: 540-544 (1997))、IL-1(Malinin等, 上掲)、及びLPs-Toll(Yang等, Nature, 395: 284-288 (1998))のドミナントインヒビターとして作用するNIKのキナーゼ不活性変異体の同時形質移入は、DNA101848ポリペプチドを介するNF-KB活性化を実質的に阻害した。また、N末端を欠失したドミナントネガティブTRAF-2又はドミナントネガティブTraf-6(Rothe等, Sience, 269: 1424-1427 (1995); Rothe等, Cell: 78: 681-692 (1994))もNF-KB活性化を減弱させた(Fig8C)。従って、DNA101848ポリペプチドは、主としてTNFR-2及びTNFR-6を介してNF-KBを活性化するようである。
【0172】
実施例11
DNA101848レセプターに対するリガンドの同定
ここでは「AP-EDA-A2」と呼ぶキメラ分子はアミノ酸241-389(Bayes等、上掲)を含むEDA-A2ポリペプチドのN末端に融合させたヒト胎盤性アルカリホスファターゼ(AP)を用いて調製した。APは鋳型としてpAPtag−5(Genehunter Corporation)を用いてPCR増幅により得、発現ベクター、pCMV-1 Flag(シグマ)に、EDA-A2のN末端にAPを有するように融合、クローン化した。AP-EDA-A2はヒト胎児性腎臓293細胞(ATCC)に一過的に形質移入(リポフェクタミン試薬を使用;Gibco-BRL)し、発現させた。AP-TNF-α(Penica等, 下掲)及びAP-TALL-1(アミノ酸配列136-285;国際公開第WO98/18921、1998年5月7日公開に開示;Moore等, Science, 285:260-263(1999))は同様に調製した。形質移入293細胞の条件培地はろ過(0.45ミクロン)し、20mM Hepes(pH7.0)及び1mM アジ化ナトリウムを含む緩衝液中、4℃で保存し、引き続き、細胞染色法に使用した。さらに、EDA-A2のN端Flagタグ形体はpCMV-1Flagベクターに構築された。このFlagタグEDA-A2の3量体化を促進するために、ロイシンジッパー配列[Science, 262:1401-1407(1993)]の3量体がFlagタグとEDA-A2(アミノ酸179-389を含む;Bayes等、上掲)の間にに挿入され、この構築物はFlag-LZP-EDA-A2を称した。また、FlagタグEDA-A2の他の形体はEDA-A2のアミノ酸179-389をpCMV-1 Flagベクターにクローニングすることにより作成され、Flag-EDA-A2と称した。Flag-LZP-EDA-A2又はFlag-EDA-A2はM2-アガロースゲル(シグマ)により対応する発現プラスミドを形質移入した293細胞の無血清培地から精製した。Flag-TALL-1(アミノ酸配列136-285;国際公開第WO98/18921、1998年5月7日公開に開示;Moore等, Science, 285:260-263(1999))は同様な方法で作成した。
【0173】
DNA101848レセプターに対する潜在的なリガンドを同定するために、COS7細胞(ATCC)がTNFファミリーの幾つかのリガンドの膜結合型により一過的に形質移入された(リポフェクタミン試薬による)。調べたリガンドは、APRIL、TALL-1、4-1BBL、CD27L、CD30L、LCD40L、EDA-A2、RANKL、TNF-α及びApo2L/TRAILであった。
ヒトTNF-αはpRK5Bベクター(pRK5BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 253: 1278-1280 (1991)参照)にクローン化された。細胞表面におけるTNF-αの検出には、Flagタグがアミノ酸70と71の間に挿入された(使用したアミノ酸番号付けはPennica等, Nature, 312:724-729(1981)に掲載の配列に従った)。TALL-1(アミノ酸配列75-285;国際公開第WO98/18921、1998年5月7日公開に開示;Moore等, Science, 285:260-263(1999))、4-1BBL(アミノ酸配列59-254; Goodwin等, Eur.J.Immunol.,, 23:2631-2641(1993))、CD27リガンド(アミノ酸配列40-193; Goodwin等,Cell, 73:447-456(1993))、CD30リガンド(アミノ酸配列61-234; Smith等, Cell, 73:1349-1360(1993))、RANKL(アミノ酸配列71-317;国際公開第WO98/28426を参照のこと)、Apo2リガンド(アミノ酸配列40-281;国際公開第WO97/25438参照のこと)、Apo3リガンド(アミノ酸配列46-249;国際公開第WO99/19490参照のこと)は、それぞれBamHI部位にクローン化された。この結果、TNF-αからの細胞内及び膜貫通領域を持ち、様々なリガンドの細胞外領域を持つキメラリガンドが作製された。APRIL(Hahne等, J. Exp. Med., 188:1185-1190(1998))については、Flagタグのない全長cDNAクローンが使用された。
【0174】
幾つかのリガンドで形質移入されたCOS7(ATCC)細胞はDNA101848-ECD-hFc又はTNFR1-hFc(下記に構築物を記載)と5%のヤギ血清を含んだPBS中、1mg/mlで1時間インキュベートさせた。次いで、細胞をPRSで3回洗浄したのち、PBS中4%パラホルムアルデヒドで固定した。細胞染色は、ビオチン化ヤギ抗ヒト抗体(Jackson Labs, 1:200希釈で使用)で反応させたのち、Cy-3ストレプタビジン(Jackson Labs, 1:200希釈で使用)で視覚化した。調べられた全てのリガンドのうち、DNA101848-ECD-hFcのみがEDA-A2を形質移入した細胞に結合した。Fig11に示すように、DNA101848-ECD-hFcはEDA-A2を形質移入した細胞に結合したが、TNF-Fcは結合しなかった。
可溶性EDA-A2のDNA101848細胞膜結合型への結合を示すために、COS7細胞は1mgのDNA101848(pRK5Bにクローン化されたもの)又は空のプラスミドベクター(pRK5B)で形質移入した。形質移入18-24時間後、細胞はAP-EDA-A2;AP-TNF-α;又はAP-TALL-1を含む条件培地と1時間、室温でインキュベートし、Taltaglia等, Cell, 83:1263-1271(1995)に記載されているようにインサイツでアルカリホスファターゼ活性にて染色した。Fig12に示すように、AP-EDA-A2は、DNA101848を形質移入した細胞に特異的に結合したが、AP-TNF-α又はAP-TALL-1は結合しなかった。
【0175】
可溶性EDA-A2のDNA101848-ECD-hFcへの結合を示すため、1μgの精製したFlag-LZP-EDA-A2又はFlag-EDA-A2を、DNA101848(DNA101848-ECD-hFc)又はTNFR1-hFcのECDとIgG1-Fc融合体を含む1μgの精製したヒトイムノアドヘシンと、4℃で一晩二組インキュベートした。DNA101848-ECD-hFcイムノアドヘシンはAshkenazi等, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:10535-10539(1991)に記載の方法により調製した。イムノアドヘシン構築物はヒトDNA101848ポリペプチドのアミノ酸2-154のにより構成された(Fig4参照)。DNA101848-ECD構築物は、異種性のシグナル配列(pCMV-1Flag(シグマ)のプレ- プロ トリプシンのアミノ酸1-17)を用いてCHO細胞中で発現させ、DNA101848配列の下流にヒトIgG1のFc領域をコード化させた後、プロテインAのアフィニチィークロマトグラフィーにより精製した。TNFR1-hFc構築物はAshkenazi等, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:10535-10539(1991)に記載の方法により調製した。アミノ酸1-169を含むヒトTNFRSF19-hFc(Hu等, Genomics, 62:103-107(1999))は、TNFR1-hFcと同様に調製された。リガンド-レセプター複合体は、プロテインAアガロース(Repligen)に結合されたレセプターイムノアドヘシンによる免疫沈降された。その後、免疫沈降物は抗FlagM2mAb(シグマ)を用いたウェスタンブロットにより分析された。
Flag-LZP-EDA-A2又はFlag-EDA-A2は、DNA101848-hFcに結合するが、TNFR1-hFc又はTNFRSF19-hFcは結合しないことをデータは示している(Fig13)。
【0176】
実施例12
DNA101848とEDA-A2との相互作用は、NF-κBを活性化する。
293細胞(ATCC)は形質移入の24時間前に1X105細胞/ウェルになるように12ウェルプレートにまき、0.25μgのELAM-ルシフェラーゼレポーター遺伝子プラスミド、25ngのpRL-TK(Promega)及び表示し量の各発現構築物(Fig14を参照のこと)で形質移入した。形質移入された全DNA量は空のpRK5Bを補充することで1μgの一定量に保たれた(実施例11参照のこと)。いくつかのアッセイウェルについては、Flagタグリガンド(実施例11に記載したように調製)が形質移入4時間後に表示の濃度で添加された。他のアッセイウェルにおいて、細胞は全長EDA-A2又はTALL-1(国際公開第WO98/18921、1998年5月7日公開に開示;Moore等, Science, 285:260-263(1999)に開示のの配列)と共に形質移入された。細胞は形質移入後20-24時間後に回収し、デュアル-ルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega)を用いたレポーター遺伝子の活性を決定した。低いレベル(0.1ngのように)でDNA101848のみが発現されている時には、NF-KBの最小の活性化しか観察されなかった。しかし、Flag-EDA-A2の添加又は全長EDA-A2の共形質移入によりNF-KBの活性化は顕著に増強された(Fig14)。
未形質移入の293E(Invitrogen)細胞を、Flag-EDA-A2(0.2μg/ml)で処理しても、NF-KB経路の活性化が起きた(Fig15A参照のこと)。これにつては、抗-リン酸化-IKBa抗体(New England BioLabs)を用いたウェスタンブロットにより測定された。20μg/mlのDNA101848-ECD-hFc(実施例11を参照のこと)とプレインキュベートすると、Flag-EDA-A2により誘導されるIKBaのリン酸化が消失した(Fig15B)。これらの結果はDNA101848とEDA-A2の相互作用による一つの生理的な帰結がNF-KBの活性化であることを示唆する。
【0177】
材料の寄託
次の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC), 10801 ユニバーシティ通り、マナッサス、バージニア州 アメリカ合衆国に寄託した:
材料 ATCC寄託番号 寄託日
DNA 98853-1739 203906 1999年4月6日
DNA 101848-1739 203907 1999年4月6日
【0178】
この寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に後代を入手可能とすることを保証するものである。
【0179】
本出願の譲受人は、寄託した培養物が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のもの即座に取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
【0180】
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は、文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】天然配列DNA98853ポリペプチドcDNA(ヌクレオチド1−903)の核酸配列(配列番号:1)(及びその相補的配列(配列番号:2))を示す。また、下線が付されている10〜126番目のヌクレオチド、133〜252番目のヌクレオチド及び259〜357番目のヌクレオチドによってコードされるシステインに富む3つの繰り返し配列の位置を示す。タンパク質の予想される膜貫通ドメインは図において409〜474番目のヌクレオチドによりコードされる。
【図2】Fig1に示した核酸配列のヌクレオチド1−900に由来するアミノ酸配列(配列番号:3)を示す図である。潜在的な膜貫通ドメインは図のアミノ酸137と158の間(それらを含む)に存在する。
【図3】天然配列DNA101848ポリペプチドcDNA(ヌクレオチド1−897)の核酸配列(配列番号:4)(及びその相補的配列(配列番号:5))を示す。また、下線が付されている10〜126番目のヌクレオチド、133〜252番目のヌクレオチド及び259〜357番目のヌクレオチドによってコードされるシステインに富む3つの繰り返し配列の位置を示す。タンパク質の予想される膜貫通ドメインは図において409〜474番目のヌクレオチドによりコードされる。
【図4】Fig3に示した核酸配列のヌクレオチド1−894に由来するアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。潜在的な膜貫通ドメインは図のアミノ酸137と158の間(それらを含む)に存在する。
【図5】DNA101848ポリペプチド(配列番号:6)のアミノ酸配列とDNA98853ポリペプチド(配列番号:3)のアミノ酸配列との比較整列配列を示す。比較整列配列は、DNA101848ポリペプチドにおける2つのアミノ酸のギャップを除いた配列同一性を示す。
【図6】DNA98853及びDNA101848ポリペプチドに対する全長のコード化配列を単離するために行われた、新規な逆ロングPCR法の模式図を示す。
【図7】幾つかのヒトの細胞系列及び組織におけるDNA101848ポリペプチドの発現レベルを示すノザンプロットを示す。
【図8】NF-KBの活性化を測定するためのDNA101848ポリペプチドのアッセイ結果を示す。これらのアッセにより、E-セレクチン遺伝子のNF-KB応答性エレメントを含むプロモーターにより誘導されるレポーター遺伝子の発現が分析される。
【図9】インサイトクローン509 1511H(配列番号:7)の核酸配列を示す。
【図10】Fig10A-10Dは、DNA101848レセプターの膜貫通性を決定するためにMCF-7(DNA101848のN末端もしくはC末端Flagコンストラクトを有する形質移入細胞)の免疫染色アッセイの結果を示す。
【図11】DNA101848がEDA-A2に対するレセプターであるかどうかを決定するために、COS7形質移入細胞(様々なTNF関連リガンドによる)の免疫染色アッセイの結果を示す。
【図12】Fig12A-12Dは、COS7細胞(DNA101848又は未挿入のベクターによって形質移入された)のインサイツアッセイの結果を示す。結果は、AP-EDA-A2はDNA101848で形質移入された細胞に結合するが、AP-TNF-α又はAP-TALL-1は結合しないことを示している。
【図13】Flagタグを結合させた型のEDA-A2が、DNA101848に特異的に結合するかとうかを決定するためのウェスタンブロットの結果を示す。
【図14】Fig14A-14Bは、NF-KBの活性化を決定するためのDNA101848及びEDA-A2のアッセイ結果を図示する。
【図15】Fig15A-15Bは、DNA101848及びEDA-A2のNF-KB活性化への効果を示すウェスタンブロットの結果を図示する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、新規なDNAの同定及び単離、並びに、ここに「DNA98853」ポリペプチド及び「DNA101848」ポリペプチと命名する腫瘍壊死因子レセプターに相同性を有する新規ポリペプチドの組換体の生産に関する。
【0002】
(発明の背景)
哺乳動物における細胞数のコントロールは、一部は細胞増殖と細胞死のバランスにより決定されると考えられている。壊死性細胞死と称されることもある細胞死の一形態は、典型的には、ある種の外傷又は細胞傷害の結果生じる細胞死の病理的形態として特徴付けられる。これに対して、通常は規則的又はコントロールされた状態で進行する細胞死の他の「生理的」形態がある。細胞死のこの規則的又はコントロールされた形態は、しばしば「アポトーシス」と称される[例えば、Barr等, Bio/Technology, 12:487-493 (1994); Steller等, Science, 267: 1445-1449 (1995)を参照]。アポトーシス性細胞死は、免疫系におけるクローン選択と胚の発達を含む多くの生理的プロセスにおいて自然に生じる[Itoh等, Cell, 66:233-243(1991)]。アポトーシス性細胞死のレベルの減少は、癌、狼瘡、ヘルペスウイスル感染を含む種々の病理的条件に関連している[Thompson, Science, 267:1456-1462(1995)]。アポトーシス細胞死のレベルの増加は、AIDS、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側方硬化症、多発性硬化症、色素性網膜炎、小脳変性、再生不良性貧血、心筋梗塞、発作、再灌流障害、及び毒素誘発肝疾患を含む様々な他の病理学的状態を伴う[Thompson, 上掲]。
【0003】
アポトーシス性細胞死には、典型的には、細胞内における一又は複数の特徴的な形態学的及び生化学的変化、例えば細胞質の凝集、原形質膜の微絨毛の喪失、核の断片化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失が伴う。様々な外因的及び内因的シグナルが、このような形態学的及び生化学的な細胞変化を惹起又は誘発すると考えられている[Raff, Nature, 356:397-400(1992);Steller, 上掲; Sachs等, Blood, 82:15(1993)]。例えば、それらは、ホルモンの刺激、例えば未成熟胸腺細胞に対する糖質コルチコイドホルモン、並びにある種の成長因子の退薬により惹起され得る[Watanabe-Fukunaga等, Nature, 356:314-317(1992)]。また、幾つかの同定された発癌遺伝子、例えばmyc、rel、及びE1A、及び腫瘍サプレッサーは、p53と同様に、アポトーシスの誘発においてある役割を有していることも報告されている。ある種の化学療法薬及びある種の放射線も同様にアポトーシス誘発活性を有していることも見出されている[Thompson, 上掲]。
【0004】
様々な分子、例えば腫瘍壊死因子-α(「TNF-α」)、腫瘍壊死因子-β(「TNF-β」又は「リンホトキシン-α」)、リンホトキシン-β(「LT-β」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、Apo-2リガンド(TRALIとも称される)、Apo-3リガンド(TWEAKとも称される)、EDA及びEDA-A2が、サイトカインの腫瘍壊死因子(「TNF」)ファミリーのメンバーとして同定された[例えば、Gruss及びDower, Blood, 85:3378-3404(1995); Pitti等, J. Biol. Chem., 271: 12687-12690 (1996); Wiley等, Immunity, 3: 673-682 (1995); Browning等, Cell, 72: 847-856 (1993); Armitage等, Nature, 357: 80-82 (1992), 1997年1月16日発行のWO 97/01633; 1997年7月17日発行のWO 97/25428参照;Marsters等, Curr. Biol., 8:525-528(1998);Chicheportiche等, Biol. Chem., 272:32401-32410(1997);Bayes等, Human Molecular Genetics, 7:1661-1669(1998);Kere等, Nature Genetics, 13:409-416(1996)]。これらの分子の中でも、TNF-α、TNF-β、CD30リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド、Apo-2リガンド(TRAIL)及びApo-3リガンド(TWEAK)は、アポトーシス性細胞死に含まれていることが報告されている。TNF-αとTNF-βの両方とも、感受性腫瘍細胞におけるアポトーシス性の死を誘発することが報告されている[Schmid等, Proc. Natl. Acad. Sci., 83:1881(1986);Dealtry等, Eur. J. Immunol., 17:689(1987)]。ゼング(Zheng)等は、TNF-αがCD8ポジティブT細胞の刺激後アポトーシスに含まれることを報告している[Zheng等, Nature, 377:348-351(1995)]。他の研究者らは、CD30リガンドが胸腺における自己反応性T細胞の欠落に関与していることを報告している[Amakawa等, プログラム細胞死に関するコールドスプリングハーバー研究所のシンポジウム、要約集、第10巻、(1995)]。
【0005】
マウスのFas/Apo-1レセプター又はリガンド遺伝子(各々lpr及びgldと呼称される)における変異が幾つかの自己免疫疾患に関連しており、Apo-1リガンドが末梢の自己反応性リンパ球のクローン欠落の調節においてある役割を担っていることを示している[Krammer等, Curr. Op. Immunol., 6:279-289(1994); Nagata等, Science, 267:1449-1456(1995)]。また、Apo-1リガンドは、CD4-ポジティブTリンパ球及びBリンパ球において刺激後アポトーシスを誘発することが報告されており、それらの機能がもはや必要でなくなった際の活性化リンパ球の除去に関与している[Krammer等, 上掲; Nagata等, 上掲]。Apo-1レセプターと特異的に結合するアゴニストのマウスモノクローナル抗体は、TNF-αに匹敵するか類似する細胞死滅活性を示すことが報告されている[Yonehara等, J. Exp. Med., 169:1747-1756(1989)]。
【0006】
このようなTNFファミリーのサイトカインが介在する種々の細胞反応の誘発は、それらが特異的な細胞レセプターに結合することにより開始されると考えられている。約55-kDa(TNFR1)と75-kDa(TNFR2)の2つの異なるTNFレセプターが同定されており[Hohman等, J. Biol. Chem., 264:14927-14934(1989);Brockhaus等, Proc. Natl. Acad. Sci., 87:3127-3131(1990);1991年3月20日に公開されたEP417,563]、双方のレセプター型に対応するヒト及びマウスcDNAが単離され、特徴付けされている[Loetscher等, Cell, 61:351(1990);Schall等, Cell, 61:361(1990);Smith等, Science, 248:1019-1023(1990);Lewis等, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:2830-2834(1991);Goodwin等, Mol. Cell. Biol., 11:3020-3026(1991)]。双方のTNFレセプター遺伝子には広範な多型性が付随している[例えば、Takao等, Immunogenetics, 37:199-203(1993)を参照]。双方のTNFRは細胞外、膜貫通及び細胞内領域を含む細胞表面レセプターの典型的な構造を共有する。双方のレセプターの細胞外部分は、可溶性TNF結合タンパク質として天然に見出される[Nophar, Y等, EMBO J., 9:3269(1990);及びKohno, T等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:8331(1990)]。可溶性の組換体TNFレセプターのクローニングがヘイル(Hale)等により報告されている[J. Cell. Biochem. 増補15F, 1991, p.113(P424)]。
【0007】
1型又は2型のTNFR(TNFR1及びTNFR2)の細胞外部分は、NH2末端から出発して、1〜4と呼称される4つのシステインに富んだドメイン(CRD)の反復アミノ酸配列パターンを含む。各CRDは約40のアミノ酸長のものであり、良好に保存された位置に4〜6のシステイン残基を含んでいる[Schall等, 上掲;Loetscher等, 上掲;Smith等, 上掲;Nophar等, 上掲;Kohno等, 上掲]。TNFR1において、4つのCRDのおおよその境界は次の通りである:CRD1−14から約53までのアミノ酸;CRD2−約54から約97までのアミノ酸;CRD3−約98から約138までのアミノ酸;CRD4−約139から約167までのアミノ酸。TNFR2において、CRD1は、17〜約54までのアミノ酸を、CRD2は約55から約97までのアミノ酸を;CRD3は約98から約140までのアミノ酸を;CRD4は約141から約179までのアミノ酸を含む[Banner等, Cell, 73:431-435(1993)]。また、リガンド結合におけるCRDの潜在的な役割は前掲のバナー(Banner)等により記載されている。
【0008】
CRDの類似の反復パターンが、p75神経成長因子レセプター(NGFR)[Johnson等, Cell, 47:545(1986);Radeke等, Nature, 325: 593(1987)]、B細胞抗原CD40[Stamenkovic等, EMBO J., 8:1403(1989)]、T細胞抗原OX40[Mallet等, EMBO J., 9:1063(1990)]及びFas抗原[Yonehara等, 上掲、及びItoh等, Cell, 66: 233-243 (1991)]を含む幾つかの他の細胞表面タンパク質に存在している。また、CRDはショープ(Shope)及び粘液腫ポックスウィルスの可溶型TNFR(sTNFR)様のT2タンパク質にも見出されている[Upton等, Virology, 160:20-29(1987);Smith等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 176:335(1991);Upton等, Virology, 184:370(1991)]。これらの配列の最適なアラインメントは、システイン残基の位置が良好に保存されていることを示している。これらレセプターは、しばしば集合的に、TNF/NGFレセプタースーパーファミリーのメンバーと称される。p75NGFRに関する最近の研究では、CRD1の欠失[Welcher, A.A.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:159-163(1991)]又はこのドメインにおける5-アミノ酸の挿入[Yan. H及びChao, M.V., J. Biol. Chem., 266:12099-12104(1991)]は、NGF結合に殆ど又は全く影響を持たないことが示されている[Yan. H及びChao, M.V., 上掲]。p75NGFRは、そのCRD4と膜貫通領域の間に約60のアミノ酸のプロリンに富んだ伸展を含み、それはNGF結合に関与しない[Peetre, C.等, Eur. J. Hematol.,41:414-419(1988);Seckinger, P.等, J. Biol. Chem., 264:11966-11973(1989);Yan. H及びChao, M.V., 上掲]。同様のプロリンに富んだ領域はTNFR2に見出されているが、TNFR1には見られない。
【0009】
今日までに同定されているTNFファミリーのリガンドは、リンホトキシン-αを除き、II型の膜貫通タンパク質であり、そのC末端は細胞外にある。これに対して、今日までに同定されているTNFレセプター(TNFR)ファミリーの殆どのレセプターはI型の膜貫通タンパク質である。しかしながら、TNFリガンド及びレセプターファミリーの双方において、ファミリーメンバー間で同定された相同性は、主として細胞外ドメイン(「ECD」)において見出されている。TNF-α、Apo-1リガンド及びCD40リガンドを含むTNFファミリーサイトカインのいくつかは、細胞表面においてタンパク分解的に切断され;各場合に得られたタンパク質は、典型的には、可溶性サイトカインとして機能するホモ三量体分子を形成する。また、TNFレセプターファミリーのタンパク質は、通常、タンパク分解的に切断され、同族のサイトカインの阻害剤として機能し得る可溶性レセプターのECDを放出する。
【0010】
最近になって、TNFRファミリーの他のメンバーが同定された。これら新たに同定されたTNFRファミリーのメンバーは、CAR1、HVEM及びオステオプロテゲリン(osteoprotegerin)(OPG)を含む[Brojatsch等, Cell, 87: 845-855 (1996); Montgomery等, Cell, 87: 427-436 (1996); Marsters等, J. Biol. Chem., 272: 14029-14032 (1997); Simonet等, Cell, 89, 309-319 (1997)]。他の知られたTNFR様分子とは異なり、上掲のシモネット(Simonet)等は、OPGが疎水性膜貫通配列を含まないと報告している。
【0011】
さらに、TNF/NGFレセプターファミリーの新規なメンバーがマウスにおいて同定され、レセプターは、「糖質コルチコイド誘発腫瘍壊死因子レセプターファミリー関連遺伝子」に対して「GITR」と命名された[Nocentini等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 6216-6221 (1997)]。マウスGITRレセプターは228アミノ酸のI型膜貫通タンパク質であり、胸腺、脾臓及びリンパ節からの正常マウスTリンパ球において発現される。マウスGITRレセプターの発現は、抗-CD3抗体、ConA又はホルボール12-ミリステート13-アセテートでの活性化の際にTリンパ球で誘発される。筆者は、GITRレセプターがT細胞レセプター媒介細胞死の調節に関与していると考えている。
【0012】
マースターズ(Marsters)等、Curr. Biol., 6:750(1996)において、研究者は、細胞外のシステインに富んだ反復においてTNFRファミリーに対して類似性を示し、細胞質死亡ドメイン配列を含む点でTNFR1及びCD95に似ている、Apo-3と称されるヒトのポリペプチド全長天然配列を開示している[Marsters等,Curr. Biol., 6:1669(1996)も参照されたい]。他の研究者によれば、Apo-3は、DR3、wsl-1、TRAMP及びLARDとも称されている[Chinnaiyan等, Science, 274:990(1996);Kitson等, Nature, 384:372(1996);Bodmer等, Immunity, 6:79(1997);Screaton等, Proc. Natl. Acad. Sci., 94:4615-4619(1997) ]。
【0013】
パン(Pan)等は、「DR4」と称される他のTNFレセプターファミリーのメンバーを開示している[Pan等, Science, 276:111-113(1997)]。DR4は細胞自殺器を活動させることにできる細胞内死亡ドメインを含むと報告された。パン等は、DR4がApo-2リガンド又はTRAILとして知られるリガンドのレセプターであると考えられることを開示している。
シェリダン(Sheridan)等, Science, 277: 818-821 (1997)及びパン等, Science, 277: 815-818 (1997)においては、Apo-2リガンド(TRAIL)に対するレセプターと思われる他の分子が記載されている。この分子は、DR5と呼ばれる(あるいは、Apo-2;TRAIL-2,TRICK2又はKILLERとも呼ばれる[Screaton等, Curr. Biol., 7:693-696(1997);Walczak等, EMBO J., 16:5386-5387(1997);Wu等, Nature Genetics, 17:141-143(1997)])。DR4と同様に、DR5は細胞内死亡ドメインを含み、アポトーシスをシグナル伝達可能であると報告されている。
さらに他の細胞質死ドメインを含むレセプターであるDR6が最近同定された[Pan等, FEBS Letters, 431:351-356(1998)]。4つの予想される細胞外ドメイン及び細胞質死ドメインの他に、DR6は細胞質領域におけるプロリンに富む領域とオーバーラップするような予想されるロイシンジッパー配列を含むと考えられている。プロリンに富むモチーフはsrc相同性-3領域と結合する配列に類似しており、それは多くの細胞内シグナル伝達分子に見出されるものである。
最近同定されたレセプターのさらなるグループは、「デコイレセプター」と称され、シグナル伝達分子というよりはむしろ、阻害剤として機能すると考えられている。このグループには、DCR1(TRID,LIT,又はTRAIL-R3とも称される)[Pan等, Science, 276:111-113(1997);Sheridan等, Science, 277: 818-821 (1997);McFarlane等, J. Biol. Chem., 272:25417-25420(1997);Schneider等, FEBS Letters, 416:329-334(1997);Degli-Esposti等, J. Exp. Med., 186:1165-1170(1997);及びMongkolsapaya等, J. Immunol., 160:3-6(1998)]及びDCR2(TRUNDD,又はTRAIL-R4とも称される)[Marsters等, Curr. Biol., 7:1003-1006(1997);Pan等, FEBS Letters, 424:41-45(1998);Degli-Esposti等, Immunity, 7:813-820(1997)]が含まれ両者とも細胞表面分子であり、更にOPG[Simonet等、上掲]及びDCR3[Pitti等, Nature, 396:699-703(1998)]も含まれ、これら両者は分泌性の可溶性タンパク質である。
サイトカインのTNFファミリー及びそれらのレセプター類の概説については、Ashkenazi等, Science, 281:1305-1308(1998);Golstein, Curr. Biol., 7:750-753(1997);及び上掲のGruss及びDowerを参照されたい。
【0014】
現在理解されているように、細胞死プログラムは、少なくとも3つの重要な要素−活性化因子、阻害剤及びエフェクターを含み;線虫(C. elegans)において、これらの成分はそれぞれ3つの遺伝子、Ced-4、Ced-9及びCed-3によりコードされている[Steller, Science, 267:1445(1995);Chinnaiyan等, Science, 275:1122-1126(1997); Wnag等, Cell, 90: 1-20 (1997)]。TNFRファミリーのメンバーの2つ、TNFR1及びFas/Apol(CD95)は、アポトーシス性細胞死を活性化し得る[Chinnaiyan及びDixit, Current Biology, 6:555-562(1996);Fraser及びEvan, Cell, 85:781-784(1996)]。また、TNFR1は、転写因子、NF-κBの活性化を媒介することも知られている[Tartaglia等, Cell, 74:845-853(1993);Hsu等, Cell, 84:299-308(1996)]。ある程度のECD相同性に加えて、これら2つのレセプターは、死亡ドメインとして知られているオリゴマー形成界面の細胞内ドメイン(ICD)での相同性を共有する[Tartaglia, 上掲;Nagata, Cell, 88:355(1997)]。また、死亡ドメインはアポトーシスを調節するいくつかの後生動物タンパク質、すなわちFADD/MORT1、TRADD及びRIPと称されるショウジョウバエタンパク質、リーパー(Reaper)及び哺乳動物タンパク質中においても見出されている[Cleaveland及びIhle, Cell, 81:479-482(1995)]。
【0015】
リガンド結合及びレセプター集団化に際して、TNFR1及びCD95はFADDを死亡誘導シグナル伝達複合体に補充すると考えられる。CD95はFADDに直接結合するが、TNFR1はFADDにTRADDを介して間接的に結合するとされている[Chinnaiyan等, Cell, 81: 505-512 (1995); Boldin等, J. Biol. Chem., 270: 387-391 (1995); Hsu等, 上掲; Chinnaiyan等, J. Biol. Chem., 271: 4961-4965 (1996)]。FADDは、Ced-3-関連プロテアーゼ、MACHα/FLICE(カスパーゼ8)を死亡シグナル伝達複合体に補充するアダプタータンパク質として提供されると報告されている[Boldin等, Cell, 85: 803-815 (1996); Muzio等, Cell, 85: 817-827 (1996)]。MACHα/FLICEは、インターロイキン-1β変換酵素(ICE)及びCPP32/Yamaを含むアポトーシス性プロテアーゼのカスケードを作動させるトリガーであることがわかり、細胞死プログラムの幾つかの重要な側面を実行させ得る[Fraser及びEvan, 上掲]。
【0016】
プログラムされた細胞死が、線虫の細胞死遺伝子、ced-3、及び哺乳動物のIL-1-変換酵素、ICEに関連したシステインプロテアーゼファミリーメンバーの活性に関与していることが最近開示された。ICE及びCPP32/Yamaプロテアーゼの活性は、牛痘ウイルス遺伝子、crmAの産物により阻害され得る[Ray等, Cell, 69:597-604(1992);Tewari等, Cell, 81:801-809(1995)]。最近の研究では、CrmAがTNFR1-及びCD95-誘発細胞死を阻害し得ることが示されている[Enari等, Nature, 375:78-81(1995);Tewari等, J. Biol. Chem., 270:3255-3260(1995)]。
【0017】
テワリ(Tewari)等により最近概説されているように、TNFR1、TNFR2及びCD40は、転写因子、NF-κBの活性化を通して、炎症誘発性及び同時刺激性サイトカイン、サイトカインレセプター、及び細胞接着分子の発現を変調する[Tewari等, Curr. Op. Genet. Develop., 6:39-44(1996)]。NF-κBは、そのサブユニットが保存Rel領域を含有する二量体転写因子のファミリーの原型である[Verma等, Genes Develop., 9:2723-2735(1996);Baldwin, Ann. Rev. Immunol., 14:649-681(1996)]。その潜伏形態において、NF-κBはIκB阻害剤ファミリーのメンバーと複合化しており;所定の刺激に反応してIκBの不活性化の際に、放出されたNF-κBが、特異的DNA配列と結合する核に転座して遺伝子転写を活性化する。
このようなシグナル伝達経路の最近の他の総説として、例えばAshkenazi等, Science, 281:1305-1308(1998)及びNagata, Cell, 88:355-365(1997)を参照のこと。
【0018】
(発明の概要)
本出願人は、上記腫瘍壊死因子レセプタータンパク質に所定の配列同一性を有する新規なポリペプチドをコードするcDNAクローンを同定し、当該ポリペプチドは本出願において「DNA98853」ポリペプチド及び「DNA101848」ポリペプチドと命名される。
一実施態様では、本発明は、DNA98853ポリペプチドをコードするDNAを含む単離された核酸分子を提供する。特定の態様では、単離された核酸は、Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜299、又は1〜136を有するDNA98853ポリペプチドをコードするDNAを含むか、又はそのようなコード核酸配列に相補的であり、少なくとも中程度、場合によっては高い緊縮性条件下で安定に結合したままである。単離された核酸配列は、DNA98853ポリペプチドをコードする核酸配列を含む1999年4月6日にATCC203906として寄託されたベクターのcDNA挿入物を含んでもよい。
【0019】
他の実施態様では、本発明はDNA98853ポリペプチドをコードするDNAを含むベクターを提供する。また、そのようなベクターを含む宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母菌であってよい。さらに、DNA98853ポリペプチドの製造方法も提供され、宿主細胞をDNA98853ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地からDNA98853ポリペプチドを回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は単離されたDNA98853ポリペプチドを提供する。特に、本発明は天然配列DNA98853ポリペプチドを提供し、一実施態様ではFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜299を含むアミノ酸配列を含む。本発明のさらなる実施態様は、Fig2(配列番号:3)に示したアミノ酸配列のアミノ酸1〜136を含む単離されたDNA98853ポリペプチドの細胞外ドメイン配列、又はその断片に係る。場合によっては、DNA98853ポリペプチドは、1999年4月6日にATCC203906として寄託されたベクターのcDNA挿入物にコードされるポリペプチドの発現によって得られ又は得られうる。
【0020】
他の実施態様では、本発明は異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したDNA98853ポリペプチド又は細胞外ドメイン配列又はその他の断片を含んでなるキメラ分子を提供する。そのようなキメラ分子の例は、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域に融合したDNA98853ポリペプチドを含む。
他の実施態様では、本発明はDNA98853ポリペプチド又はその細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体である。
さらなる実施態様では、本発明はDNA98853ポリペプチド又はDNA98853ポリペプチドをコードするDNAを用いる診断又は治療方法を提供する。
【0021】
一実施態様では、本発明は、DNA101848ポリペプチドをコードするDNAを含む単離された核酸分子を提供する。特定の態様では、単離された核酸は、Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297、又は1〜136を有するDNA101848ポリペプチドをコードするDNAを含むか、又はそのようなコード核酸配列に相補的であり、少なくとも中程度、場合によっては高い緊縮性条件下で安定に結合したままである。単離された核酸配列は、DNA101848をコードする核酸配列を含む1999年4月6日にATCC203907として寄託されたベクターのcDNA挿入物を含んでもよい。
【0022】
他の実施態様では、本発明はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAを含むベクターを提供する。また、そのようなベクターを含む宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母菌であってよい。さらに、DNA101848ポリペプチドの製造方法も提供され、宿主細胞をDNA101848の発現に適した条件下で培養し、細胞培地からDNA101848を回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は単離されたDNA101848ポリペプチドを提供する。特に、本発明は天然配列DNA101848ポリペプチドを提供し、一実施態様ではFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297を含むアミノ酸配列を含む。本発明のさらなる実施態様は、Fig4(配列番号:6)に示したアミノ酸配列のアミノ酸1〜136を含む単離されたDNA101848ポリペプチドの細胞外ドメイン配列、又はその断片に係る。場合によっては、DNA101848ポリペプチドは、1999年4月6日にATCC203907として寄託されたベクターのcDNA挿入物にコードされるポリペプチドの発現によって得られ又は得られうる。
【0023】
他の実施態様では、本発明は異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したDNA101848ポリペプチド又は細胞外ドメイン配列又はその他の断片を含んでなるキメラ分子を提供する。そのようなキメラ分子の例は、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域に融合したDNA101848ポリペプチドを含む。
他の実施態様では、本発明はDNA101848ポリペプチド又はその細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体である。
さらなる実施態様では、本発明はDNA101848ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAを用いる診断又は治療方法を提供する。
【0024】
驚くべきことに、出願人はEDA-A2と称するTNAファミリーリガンドがDNA101848レセプターに結合することを見出した。従って、本発明は、これらTNF関連リガンド及びレセプターのアンタゴニスト又はアゴニストの新規使用方法を提供する。ここに記載されているアンタゴニスト及びアゴニストは、他の事柄において、インビトロ、インサイツ、インビボにおける哺乳動物細胞の診断又は治療、もしくはEDA-A2の存在(又は非存在)と関連したは病理学的な状態に対する用途が見出される。
本使用方法には、EDA-A2の発現及び/又は活性の増加又は増強に、関連し又は起因する哺乳動物の病理学的な状態又は疾患を治療する方法が含まれる。治療方法においては、EDA-A2アンタゴニストがそのような病理学的な状態又は疾患に罹っている哺乳動物に投与されてもよい。本発明において使用が考慮されるEDA-A2アンタゴニストには、DNA101848又はDNA98853レセプターに対する抗体以外にDNA101848又はDNA98853レセプターイムノアドヘシンが含まれ、これらは好適には個々のレセプター結合又はEDA-A2による活性を阻害又は減少させる。さらに使用が考慮されるEDA-A2アンタゴニストには、DNA101848又はDNA98853レセプターに対するリガンドの結合を阻害し又は減少させることができる抗EDA-A2抗体が含まれる。さらに、アンタゴニスト分子には、共有結合的に修飾された形態、もしくはDNA101848又はDNA98853を含む融合タンパク質が含まれる。例えば、このようなアンタゴニストは、ペグ化(pegylated)DNA101848又はDNA98853、もしくはエピトープタグやロイシンジッパーのような異種配列と融合させたDNA101848又はDNA98853が含まれる。
【0025】
本発明の他の実施態様において、EDA-A2とDNA101848又はDNA98853間における相互作用を阻害し、中和するEDA-A2アンタゴニストの使用に対する方法が提供されている。例えば、本発明はEDA-A2リガンドの活性を減少させ、中和させ、阻害するのに効果的な量の一又は複数のEDA-A2アンタゴニストに対して哺乳動物細胞を曝す事を含む方法を提供する。細胞は、培養細胞又は哺乳類、例を挙げるならば、例えば免疫関連疾患又は癌に罹患している哺乳類の細胞である。従って、本発明には免疫関連疾患や癌のような病理学的な状態に罹っている哺乳動物を治療する方法が含まれ、ここに開示するように一又は複数のEDA-A2アンタゴニストを投与することを含む。
本発明はまた一又は複数のEDA-A2アンタゴニストを含んでなる組成物を提供する。場合によっては、本発明の組成物は製薬的に許容可能な担体又は希釈剤を含む。
【0026】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
I.定義
ここで使用されるときの「DNA98853ポリペプチド」という用語には、天然配列DNA98853ポリペプチド及びDNA98853ポリペプチド変異体(ここでさらに定義される)が含まれる。DNA98853ポリペプチドは種々の供給源、例えばヒト組織型又は他の供給源から単離され、あるいは組換え又は合成法により調製されうる。
「天然配列DNA98853ポリペプチド」は、天然由来のDNA98853ポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列DNA98853ポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え又は合成手段により生産することもできる。「天然配列DNA98853ポリペプチド」という用語には、特に、DNA98853ポリペプチドの自然に生じる切断、可溶性又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列又は可溶性形態)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びDNA98853ポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。本発明の一実施態様において、天然配列DNA98853ポリペプチドは、Fig2(配列番号:3)のアミノ酸1〜299を含有する成熟又は全長天然配列DNA98853ポリペプチドである。本発明の他の実施態様において、天然配列DNA98853ポリペプチドは全長DNA98853ポリペプチドタンパク質の細胞外ドメインでもあるが、全長DNA98853ポリペプチドの予想される膜貫通ドメインはFig2(配列番号:3)に示されるアミノ酸配列137-158を含有する。従って、本発明のさらなる実施態様は、Fig2(配列番号:3)に示されるアミノ酸配列1-136を含有するポリペプチドに対して指向されている。あるいは、DNA98853ポリペプチドは、ATCC203906として1999年4月6日に寄託されたベクターDNA98853のcDNA挿入物によってコードされるポリペプチドを発現させることにより得られ又は得られうる。
【0027】
「DNA98853ポリペプチド細胞外ドメイン」又は「DNA98853ポリペプチドECD」は、DNA98853ポリペプチドの膜貫通及び細胞質ドメインを実質的に有しないDNA98853ポリペプチドの型を意味する。通常、DNA98853ポリペプチドECDは、そのような膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。場合によっては、DNA98853ポリペプチドECDは、Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜136を含む。一又は複数のアミノ酸N-又はC-末端から欠失してされている全長もしくはECDの欠失変異又はフラグメントが含まれる。好適には、そのような欠失変異もしくはフラグメントはここで記載されるような所望の活性を有する。当業者には、本発明のDNA98853ポリペプチドについて同定された膜貫通ドメインが、この分野におけるその種の疎水性ドメインの同定に日常的に用いられる基準に従って同定されることを理解するであろう。膜貫通ドメインの正確な境界は変動するが、最も可能性が高いのは、ここに特に述べたドメインのいずれかの末端における約5アミノ酸以下である。従って、DNA98853ポリペプチドECDは、場合によってはFig2(配列番号:3)のアミノ酸1からXを含み、ここでXはFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基131〜141の任意の一つである。
【0028】
「DNA98853ポリペプチド変異体」とは、全長天然配列DNA98853ポリペプチドに対してFig2(配列番号:3)に示されている推定アミノ酸配列又はDNA98853ポリペプチドECD配列と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する以下に定義するDNA98853ポリペプチドを意味する。このようなDNA98853ポリペプチド変異体には、例えば、Fig2(配列番号:3)の配列のN-又はC-末端において一又は複数のアミノ酸残基が付加され、もしくは欠失されたDNA98853ポリペプチドが含まれる。通常、DNA98853ポリペプチド変異体は、Fig2(配列番号:3)のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも約95%、なお一層より好ましくは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性を有している。
【0029】
ここで使用されるときの「DNA101848ポリペプチド」という用語には、天然のDNA101848ポリペプチド配列及びDNA101848ポリペプチド変異体(ここでさらに定義される)が含まれる。DNA101848ポリペプチドは種々の供給源、例えばヒト組織型又は他の供給源から単離されたもの、あるいは組換え又は合成法により調製されたものであってよい。
「天然配列DNA101848ポリペプチド」は、天然由来のDNA101848ポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列DNA101848ポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え又は合成手段により生産することもできる。「天然配列DNA101848ポリペプチド」という用語には、特に、DNA101848ポリペプチドの自然に生じる切断、可溶性又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列又は可溶性形態)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びDNA101848ポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。本発明の一実施態様において、天然配列DNA101848ポリペプチドは、Fig4(配列番号:6)のアミノ酸1〜297を含有する成熟又は全長天然配列DNA101848ポリペプチドである。本発明の他の実施態様において、天然配列DNA101848ポリペプチドは全長DNA101848ポリペプチドタンパク質の細胞外ドメインでもあるが、全長DNA101848ポリペプチドタンパク質の予想される膜貫通ドメインはFig4(配列番号:6)に示されるアミノ酸配列137-158を含有する。従って、本発明のさらなる実施態様は、Fig4(配列番号:6)に示されるアミノ酸配列1-136を含有するポリペプチドに対して指向されている。あるいは、DNA101848ポリペプチドは、ATCC203907として1999年4月6日に寄託されたベクターDNA101848ポリペプチドのcDNA挿入物によってコードされるポリペプチドを発現させることにより得られ又は得られうる。
【0030】
「DNA101848ポリペプチド細胞外ドメイン」又は「DNA101848ポリペプチドECD」は、DNA101848ポリペプチドの膜貫通及び細胞質ドメインを実質的に有しないDNA101848ポリペプチドの型を意味する。通常、DNA101848ポリペプチドECDは、そのような膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。場合によっては、DNA101848ポリペプチドECDは、Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜136を含む。一又は複数のアミノ酸N-又はC-末端から欠失してされている全長もしくはECDの欠失変異又はフラグメントが含まれる。好適には、そのような欠失変異もしくはフラグメントはここで記載されるような所望の活性を有する。当業者には、本発明のDNA101848ポリペプチドについて同定された膜貫通ドメインが、この分野におけるその種の疎水性ドメインの同定に日常的に用いられる基準に従って同定されることを理解するであろう。膜貫通ドメインの正確な境界は変動するが、最も可能性が高いのは、ここに特に述べたドメインのいずれかの末端における約5アミノ酸以下である。従って、DNA101848ポリペプチドECDは、場合によってはFig4(配列番号:6)のアミノ酸1からXを含み、ここでXはFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基131〜141の任意の一つである。
【0031】
「DNA101848ポリペプチド変異体」とは、全長天然配列DNA101848ポリペプチドに対してFig4(配列番号:6)に示されている推定アミノ酸配列又はDNA101848ポリペプチドECD配列と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する以下に定義するDNA101848を意味する。このようなDNA101848変異体には、例えば、Fig4(配列番号:6)の配列のN-又はC-末端において一又は複数のアミノ酸残基が付加され、もしくは欠失されたDNA101848ポリペプチドが含まれる。通常、DNA101848変異体は、Fig4(配列番号:6)のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも約95%、なお一層より好ましくは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性を有している。
【0032】
ここで同定されるポリペプチドアミノ酸配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合に、アミノ酸残基、例えば、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド配列と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。配列アラインメントを行い及び配列同一性の決定をする方法は、当該技術の分野に属する者にとって公知であり、過度の実験を行うことなく達成でき、同一性値の計算は的確に得られる。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲内にある種々の方法、例えばALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア 、WU-BLAST-2[Altschul等, Meth. Enzym., 266:460-480(1996)]、ALIGN-2[Genentech, Incにより著され.,及び, U.S. Copyriht office により1991年12月10日に出願された]、ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。さらに、コンピュータープログラム中の初期設定パラメータを使用することでアラインメントを行うことができる。
【0033】
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」に融合したDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド、又はそれらのドメイン配列を含んでなるキメラポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得る又は幾つかの他の試薬により同定され得るエピトープを提供するに十分な残基を有しているが、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの活性を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50のアミノ酸残基(好ましくは約10〜約20の残基)を有する。
【0034】
「単離された」とは、ここで開示される種々のポリペプチドを記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され及び分離され及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。その自然環境の汚染成分とは、典型的にはポリペプチドの診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様(proteinaceous)又は非タンパク質様(nonproteinaceous)の溶質が含まれる。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは、(2)クーマシーブルー、または好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEにより均一となるまで精製される。DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離されたポリペプチドには、組換え細胞内のインサイツのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0035】
「単離された」DNA98853ポリペプチドコード化核酸分子は、DNA98853ポリペプチドコード化核酸の天然供給源に通常付随している少なくとも1つの汚染核酸分子から同定され分離された核酸分子である。単離されたDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。ゆえに、単離されたDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子は、天然の細胞中に存在するDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかし、単離されたDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞のものとは異なった染色体位置にある場合にDNA98853ポリペプチドを通常発現する細胞に含まれるDNA98853ポリペプチドコード化核酸分子を含む。
【0036】
「単離された」DNA101848ポリペプチドコード化核酸分子は、DNA101848ポリペプチドコード化核酸の天然供給源に通常付随している少なくとも1つの汚染核酸分子から同定され分離された核酸分子である。単離されたDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。ゆえに、単離されたDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子は、天然の細胞中に存在するDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかし、単離されたDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞のものとは異なった染色体位置にある場合にDNA101848ポリペプチドを通常発現する細胞に含まれるDNA101848ポリペプチドコード化核酸分子を含む。
【0037】
「EDA-A2」又は「EDA-A2リガンド」は、TNF関連分子と称される、例えばBayes等, Human Molecular Genetics, 7:1661-1669(1998)に記述されいる。ここで使用されるときの「EDA-A2」又は「EDA-A2ポリペプチド」という用語には、「天然配列EDA-A2ポリペプチド」及び「EDA-A2変異体」が含まれる。「EDA-A2」は、Bayes等、上掲に示されているポリペプチド配列及びその変異体を含む核酸分子、並びにBayes等、上掲に開示されている天然配列EDA-A2の生物学的活性(好ましくは、DNA98853又はDNA101848レセプターと結合する能力)を有する上述のフラグメント配列を含む核酸分子によりコードされるポリペプチドに与えられた命名である。EDA-A2の生物学的に活性のある変異体は、Bayes等、上掲により記述されている天然EDA-A2ポリペプチド配列と少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約95%、のアミノ酸配列同一性を有している。「天然配列」EDA-A2ポリペプチドは、天然由来のEDA-A2と同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列EDA-A2ポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え及び/又は合成手段により生産することもできる。「天然配列EDA-A2ポリペプチド」という用語には、特に、自然に生じる切断又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。出願人は、Bayes等、上掲によって開示されたリガンドのEDA-A1型は、出願人によるDNA101848-hFc構築物(本構築物は以下の実施例において記載してある)には結合しないことを見出し、従って、特別のリガンドのEDA-A1型は本定義の目的に対する生物学的に活性のある変異体ではないかもしれないと考えられている。
【0038】
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0039】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係に配置されているときに「作用可能に結合され」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参加するプレタンパク質として発現されるなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合しており;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合しており;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合されている。一般的に、「作用可能に結合される」とは、結合されたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて翻訳枠にあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、通常の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0040】
「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、特に単一の抗-DNA98853ポリペプチドモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、及び中和抗体を含む)、特に単一の抗-DNA101848ポリペプチドモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、及び中和抗体を含む)、多エピトープ特異性を持つ抗-DNA98853ポリペプチド抗体組成物、及び多エピトープ特異性を持つ抗-DNA101848ポリペプチド抗体組成物を包含している。ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、即ち、その集団を構成する個々の抗体は、少量存在しうる自然に生じる可能な突然変異を除いて同一である。
【0041】
ここで意図している「活性」又は「活性な」は、天然に存在し天然に産するDNA98853ポリペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持している形態、天然に存在し天然に産するDNA101848ポリペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持している形態、を称する。そのような活性には、EDA-A2リガンドと結合する能力の他に、哺乳動物細胞において例えば、(作用的あるいは拮抗的方法のいずれかで)アポトーシス、炎症誘発性又は自己免疫性反応を変調させることが含まれる。作用的活性には活性を刺激し又は亢進する能力が含まれる一方、拮抗的活性には活性を阻止、抑制あるいは中和する能力が含まれる。
【0042】
ここで使用される「イムノアドヘシン」なる語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)と、免疫グロブリンの定常領域のエフェクター機能とを組み合わせた抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位(抗原結合部位)以外の(即ち、「異種的な」)所望の結合特異性を有するアドヘシンのアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合を含む。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、もしくはIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgM等の任意の免疫グロブリンから得ることができる。
【0043】
「アンタゴニスト」という用語は最も広い意味で用いられ、EDA-A2ポリペプチドの、インビトロ、インサイツ、インビボにおける一又は複数の生物学的活性を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和する任意の分子を含む。EDA-A2のそのような生物学的活性の例には、文献においてさらに報告されているもの以外に、DNA98853又はDNA101848との結合、及びNF-KBの活性化を含む。
【0044】
「EDA-A2のアンタゴニスト」は、EDA-A2の生物学的活性を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和するが任意の分子に適用するが、DNA98853又はDNA101848の細胞外ドメイン配列、DNA98853又はDNA101848レセプターイムノアドヘシン、DNA98853又はDNA101848レセプター融合タンパク質、DNA98853又はDNA101848レセプターの共有結合的に修飾された形体、DNA98853又はDNA101848の変異体、DNA98853又はDNA101848レセプター抗体の可溶性型に限定されない。EDA-A2のアンタゴニスト分子が、EDA-A2の生物学的活性を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和するかどうか決定するために、アンタゴニスト分子の、例えば、EDA-A2のDNA98853又はDNA101848との結合、もしくはNF-κBのそれぞれのリガンドによる活性化に対する効果を測定するためにアッセイが行われる。そのようなアッセイは、公知のインビトロ、インビボ形式、例えば、DNA101848を発現する形質移入細胞において行われてもよい。好適には、ここで記載される方法において用いられるEDA-A2アンタゴニストは、少なくともEDA-A2活性の一つの型を阻害し中和する能力があり、その能力は、場合によっては、ここで記載されるようなアッセによって決定される。または、EDA-A2アンタゴニストは、実施例において記述されているような結合アッセイにおいて、ネガティブコントロールの分子と比較してEDA-A2のDNA98853又はDNA101848との結合を少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%減少又は阻害する能力である。
ここで使用される「治療する」、「治療」及び「治療法」とは、治癒的療法、予防的療法及び防護的療法を称する。
【0045】
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は広義に使用され、典型的には、細胞質の凝結、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失を含む一又は複数の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳動物における細胞死の規則的又はコントロールされた形態を指す。この活性は、例えば全てこの分野で知られている細胞生死判別アッセイ、FACS分析又はDNA電気泳動法により決定及び測定することができる。
【0046】
「癌」、「癌性」及び「悪性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、芽細胞腫、胃腸癌、腎臓癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、神経芽腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞腫(hepatoma)、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝癌(hepatic carcinoma)及び様々な種類の頭部及び頸部の癌が含まれる。
【0047】
「免疫関連疾患」とは、哺乳動物の免疫系の構成成分が哺乳動物において病的な状態をを引き起こし、仲介し、または寄与するような疾患を意味する。また、免疫反応の促進又は処置が、疾患の進行に対して改善的な効果を有するような疾患をも含む。この用語には、自己免疫疾患、免疫媒介炎症誘発性疾患、非免疫媒介炎症誘発性疾患、感染性疾患、および免疫不全性疾患が含まれる。免疫関連炎症誘発性疾患の例として、そのいくつかは免疫又はT細胞媒介であり、全身性エリトマトーデス、間接リウマチ、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性硬化症(強皮症)、特発性炎症誘発性筋疾患、(皮膚筋炎、多発性筋炎)、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、(免疫性汎血球減少症、発作性夜間血色素尿)、自己免疫性血小板減少症(特発的血小板減少性紫斑病、免疫媒介血小板減少症)、甲状腺炎(グレーブ疾患、ハシモト甲状腺炎、若年性リンパ性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎)、真性糖尿病、免疫性腎臓疾患(糸状体腎炎、尿細管間質性腎炎)、特発性脱髄性多発神経障害、Guillain-Barre症候群、及び慢性炎症誘発性脱髄性多発神経障害のような中枢及び抹消神経系の脱髄性疾患、感染性肝炎(A、B、C、D、E型肝炎及び他の非肝炎性ウィルス)のような肝胆道疾患、自己免疫性慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎、及び硬化性胆管炎、炎症誘発性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン疾患)のような炎症誘発性及び線維性肺疾患、グルテン感受性腸疾患、及びフィップル疾患、水泡性ヒス疾患を含む自己免疫性又は免疫媒介性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触皮膚炎、乾癬、喘息のようなアレルギー性疾患、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症及びジンマシン、好酸球性肺炎のような肺の免疫学的疾患、特発性肺線維症及び高感受性間質性肺炎、移植片拒絶及び移植片対宿主の疾患を含む、移植関連疾患である。感染性疾患にはエイズ(HIV感染)、肝炎A、B、C、D及びE、細菌性感染症、真菌性感染症、原生動物感染症、寄生虫感染症が含まれる。
【0048】
ここで用いられる「自己免疫性疾患」という用語は、広く、一般的な意味で用いられ、正常又は健康な組織の破壊が個々の哺乳動物の彼もしくは彼女自身の組織成分に対する体液性又は細胞内免疫反応から発症する哺乳動物における疾患又は状態のことをいう。例としては、限定されるものではないが、エリトマトーデス、甲状腺炎、リウマチ性関節炎、乾癬、多発性硬化症、自己免疫糖尿病、及び炎症誘発性腸疾患(IBD)である。
【0049】
ここで用いられる「細胞傷害性薬剤」という用語は、細胞の機能を阻害し又は妨害し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質のことをいう。この用語は放射活性アイソトープ(例えばI131,I125,Y90,Re186,)、化学療法剤、及び細菌性、真菌性、植物又は動物起源、又はそれらのフラグメントの酵素的に活性な毒素のようなものを含むことが意図されている。
【0050】
「化学治療薬」は、治療に有用な化合物である。化学治療薬の例は、アドリアマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、タキソイド、例えばパクリタキセル(Taxol(商品名), Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)及びドキセタキセル(Taxotere(商品名), Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France)、トキソテール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、CPT-11、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスファミド、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラマイシン(米国特許第4,675,187号)、メルファラン、及び他の関連するナイトロジェンマスタードを含む。また、この定義に含まれるのは、タモキシフェン及びオナプリストンなどの腫瘍へのホルモン作用を調節又は阻害するように作用するホルモン様薬剤である
【0051】
ここで使用される場合の「成長阻害剤」とは、インビトロ、インビボにおいて細胞の成長を阻害する化合物又は組成物のことを称する。従って、成長阻害剤の例には、S期の遺伝子を過発現させる細胞の割合を著しく減少させるようなものである。成長阻害剤の例には、細胞周期の進行をブロックする薬剤(S期以外の時点において)、例えばG1停止及びM相停止を誘発する薬剤が含まれる。伝統的なM期ブロッカーには、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、トポIIインヒビター、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1を停止させるこれらの薬剤、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニソン、ダカーバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-CがS相停止に溢流する。更なる情報は、Murakamiらにより「細胞分裂周期の調節、オンコジーン、及び抗新生物薬」と題された、癌の分子的基礎、Mendelsohn及びIsrael編、第1章(WB Saunders;Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。
【0052】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。そのようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンを挙げることができる。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)のような糖タンパク質;副甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子−α及び−β;マレリアン(mullerian)阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−β、NT−3、NT−4、NT−6、BDNF、CNTF、GDNF、AL−1あるいは他のeph受容体ファミリーのリガンド等の神経因子あるいは神経成長因子;血小板成長因子;TGF−αあるいはTGF−βのようなトランスフォーミング成長因子(TGFs);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロンα、β、γのようなインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)のようなコロニー刺激因子(CSFs);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)及び顆粒球−CSF(G−CSF);IL−1、IL−2、IL−3、 IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、 IL−8、IL−9、IL−11、IL−12等のインターロイキン(IL);及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書において、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。
【0053】
ここで使用される「哺乳動物」という用語は、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ及びネコを含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。本発明の好ましい実施態様においては、哺乳動物はヒトである。
【0054】
II. 本発明の組成物と方法
A.全長DNA98853ポリペプチド
本発明は、本出願においてDNA98853と称されるポリペプチドをコードする、新たに同定され単離された核酸配列を提供する。特に本出願人は、以下の実施例で更に詳細に開示するような、DNA98853ポリペプチドをコードするcDNAを同定し単離した。BLAST及びFastA配列アラインメントコンピュータプログラム(初期設定パラメータ)を用いて、本出願人は、腫瘍壊死因子レセプターファミリーの幾つかのメンバーとある程度のアミノ酸同一性を有することを見いだした。従って、本出願において開示されるDNA98853ポリペプチドは、腫瘍壊死因子レセプターファミリーポリペプチドの新規に同定されたメンバーである。
DNA98853ポリペプチドによるNF-κBの活性化は、哺乳動物細胞におけるアポトーシス、炎症誘発性及び自己免疫性反応を変調することにおける、本タンパク質の機能を示唆する。例えば、DNA98853ポリペプチドイムノアドヘシン分子(例えば、DNA98853ポリペプチドECD-Ig構築物)がNF-κBの活性化をアンタゴニスト的な様式で阻害するために使用され得ることも考慮することができる。
【0055】
B.全長DNA101848ポリペプチド
本発明は、本出願においてDNA101848ポリペプチドと称されるポリペプチドをコードする、新たに同定され単離された核酸配列を提供する。特に本出願人は、以下の実施例で更に詳細に開示するような、DNA101848ポリペプチドをコードするcDNAを同定し単離した。BLAST及びFastA配列アラインメントコンピュータプログラム(初期設定パラメータ)を用いて、本出願人は、DNA101848ポリペプチドの一部が、腫瘍壊死因子レセプターファミリーの幾つかのメンバーとある程度の配列同一性を有することを見いだした。従って、本出願において開示されるDNA101848ポリペプチドは、腫瘍壊死因子レセプターファミリーポリペプチドの新規に同定されたメンバーである。
DNA101848ポリペプチドのmRNAの発現は幾つかの細胞及び組織で観察された。Fig7に示す通り、相対的に高い発現レベルのDNA101848ポリペプチドのmRNAの発現レベルが、2つの腫瘍細胞系、肺癌腫A549及びメラノーマG361において検出された。相対的に弱い発現レベルが、前立腺、精巣、卵巣、甲状腺、脊髄、副腎組織において見出された。興味深いことに、胃の組織においてより小さな転写産物が相対的に高い発現レベルで存在していた。
DNA101848ポリペプチドによるNF-KBの活性化は、哺乳動物細胞におけるアポトーシス、炎症誘発性及び自己免疫性反応を変調することにおける、本タンパク質の機能を示唆する。例えば、DNA101848ポリペプチドイムノアドヘシン分子(例えば、DNA101848ポリペプチドECD-Ig構築物)がNF-KBの活性化をアンタゴニスト的な様式で阻害するために使用され得ることも考慮することができる。
ここで記載されるように、出願人はEDA-A2がDNA101848レセプターに対するリガンドとして働くことを見出した。従って、ADA-A2アンタゴニストの使用に対する様々な方法が記載される。DNA98853及びDNA101848レセプター間の配列同一性において比較的高い割合(好適には、それら各々のECD領域において完全(100%)な配列同一))が得られると、ここで記載される拮抗的DNA101848構築物と同様にDNA98853の構築物がEDA-A2アンタゴニストとして利用でき得る
【0056】
C.DNA98853又はDNA101848ポリペプチドの変異体
ここに記載する全長天然配列DNA98853ポリペプチドに加えて、DNA98853ポリペプチド変異体も調製できると考えられる。DNA98853ポリペプチド変異体は、DNAをコードするDNA98853ポリペプチドに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、又は望まれるDNA98853ポリペプチドの合成により調製できる。当業者は、アミノ酸変化が、グリコシル化部位の数又は位置の変化又は膜固着特性の変更等のDNA98853ポリペプチドの翻訳後プロセスを変え得ることを認めるであろう。
天然全長配列DNA98853ポリペプチド又はここに記載するDNA98853の種々のドメインにおける変異は、例えば、保存的又は非保存的突然変異についての、例えば米国特許第5,364,934号に記載された、任意の技術及び指針を用いてなすことができる。変異は、天然配列DNA98853ポリペプチドと比較してDNA98853ポリペプチドのアミノ酸配列の変化をもたらす、DNA98853ポリペプチドをコードする1又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってよい。場合によっては、変異は、少なくとも1つのアミノ酸の、DNA98853ポリペプチドの1又は複数のドメインの他の任意のアミノ酸による置換による。
【0057】
同様に、DNA101848ポリペプチド変異体も調製できると考えられる。DNA101848ポリペプチド変異体は、DNA101848核酸配列に適当なヌクレオチド変化を導入することにより、又は望まれるDNA101848ポリペプチドの合成により調製できる。当業者は、アミノ酸変化が、グリコシル化部位の数又は位置の変化又は膜固着特性の変更等のDNA101848ポリペプチドの翻訳後プロセスを変え得ることを認めるであろう。
天然全長配列DNA101848ポリペプチド又はここに記載するDNA101848の種々のドメインにおける変異は、例えば、保存的又は非保存的突然変異についての、例えば米国特許第5,364,934号に記載された、任意の技術及び指針を用いてなすことができる。変異は、天然配列DNA101848と比較してDNA101848のアミノ酸配列の変化をもたらす、DNA101848をコードする1又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってよい。場合によっては、変異は、少なくとも1つのアミノ酸の、DNA101848の1又は複数のドメインの他の任意のアミノ酸による置換による。
【0058】
望ましい活性に悪影響を及ぼすことなく、どのアミノ酸残基を挿入、置換又は欠失するかを決定する指針は、ポリペプチド配列を相同の周知のタンパク質分子と比較し、高い相同性の領域内でなされたアミノ酸配列変化の数を最小にすることにより見出しうる。アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的特性を持つ他のアミノ酸で置換えた結果、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換とすることができる。挿入又は欠失は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲としてもよい。許容される変異は、配列におけるアミノ酸の体系的な挿入、欠失又は置換作成、及び得られた変異体の下記の実施例に記載する任意のインビトロアッセイにおける活性についての試験によって決定されうる。
【0059】
変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位指向性)突然変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR突然変異誘発などのこの分野で知られた方法を用いてなすことができる。部位指向性突然変異誘発[Carter等, Nucl. Acids Res., 13: 4331 (1986); Zoller等, Nucl. Acids Res., 10: 6487 (1987)]、カセット突然変異誘発[Wells等, Gene, 34: 315 (1985)]、制限選択突然変異誘発[Wells等, Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317: 415 (1986)]又は他の周知の技術が、DNA98853ポリペプチド又はDNA1010848ポリペプチドをコードする変異体DNAを製造するために、クローン化されたDNAに実施できる。
【0060】
また、近接配列に沿った1又は複数のアミノ酸を同定するためにスキャニングアミノ酸分析も用いることができる。中でも好ましいスキャニングアミノ酸は、比較的小さく中性のアミノ酸である。このようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、典型的にはこれらの群の中で好ましいスキャニングアミノ酸であるのは、それがベータ-炭素を越える側鎖を持たず、変異体の主鎖構造を変えにくいと思われるからである。また、アラニンも、最もありふれたアミノ酸であるため、典型的には好ましい。さらに、それは隠れた及び露出した位置の両方にしばしば見られる[Creighton, The Proteins, (W.H. Freemann & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150: 1 (1976)]。アラニン置換が適切な量の変異体を生じないならば、異性体(isoteric)アミノ酸が用いられる。
【0061】
D.DNA98853又はDNA101848の修飾
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。
共有結合的修飾の一型は、DNA98853の標的化されたアミノ酸残基を、DNA98853の選択された側鎖又はN又はC末端残基と反応できる有機誘導体化試薬と反応させることである。同様に、DNA101848ポリペプチドは、その選択された側鎖又はN又はC末端残基を有する標的化されたアミノ酸残基において修飾され得る。
二官能性試薬での誘導体化が、例えばDNA98853を水不溶性支持体マトリクスあるいは抗DNA98853抗体の精製方法又はその逆で用いるための表面に架橋させるのに有用である。通常用いられる架橋剤は、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬を含む。
【0062】
他の修飾は、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチルへの脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
【0063】
本発明の範囲内に含まれるDNA98853ポリペプチドの共有結合的修飾の他の型は、ポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更を含む。「天然グリコシル化パターンの変更」とは、ここで意図されるのは、天然配列DNA98853に見られる1又は複数の炭水化物部分の欠失、天然配列DNA101848に見られる1又は複数の炭水化物部分の欠失、天然配列DNA98853に存在しない1又は複数のグリコシル化部位の付加、及び/又は天然配列DNA98853に存在しない1又は複数のグリコシル化部位の付加、を意味する。
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列の変更を伴うこともある。この変更は、例えば、1又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然配列DNA98853、1又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然配列DNA101848(O-結合グリコシル化部位)への付加、又は置換によってなされてもよい。DNA98853アミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に、DNA98853ポリペプチドをコードするDNAの予め選択された塩基において変異させ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されてもよい。同様に、DNA101848ポリペプチドアミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に、DNA98853ポリペプチドをコードするDNAの予め選択された塩基において変異させ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されてもよい
【0064】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド上に炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、グリコシドのポリペプチドへの化学的又は酵素的結合による。このような方法は、この技術分野において、例えば、1987年9月11日に発行されたWO87/05330、及びAplin及びWriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
【0065】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に、あるいはグルコシル化の標的として提示されたアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この分野で知られており、例えば、Hakimuddin等, Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)により、及びEdge等, Anal. Biochem., 118: 131 (1981)により記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura等, Meth. Enzymol. 138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを用いることにより達成される。
【0066】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの共有結合的修飾の他の型は、ポリぺプチドの、種々の非タンパク質ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの一つへの、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号又は第4,179,337号に記載された方法での結合を含む。
【0067】
また、本発明のDNA98853ポリペプチドは、他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したDNA98853ポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとDNA98853ポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般的にはDNA98853ポリペプチドのアミノ又はカルボキシル末端に位置する。このようなDNA98853ポリペプチドのエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によってDNA98853ポリペプチドを容易に精製できるようにする。もう一つの実施態様において、キメラ分子はDNA98853ポリペプチドの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含む。キメラ分子の二価の形態には、このような融合はIgG分子のFc領域であり得る。特に、キメラ分子は、IgG分子のFc領域と融合したDNA98853ポリペプチドのECDを含んでもよい。
【0068】
イムノアドヘシン分子は、ここに開示の方法におけるさらなる使用が考慮される。レセプターイムノアドヘシンは、全長ポリペプチドの他に細胞外ドメイン(ECD)配列又はECD配列フラグメントを含むレセプターの可溶性型のような、DNA98853又はDNA101848の様々な形体を含んでもよい。ある実施態様において、分子は、DNA98853又はDNA101848と抗体又は抗体の特定の領域との融合体を含んでもよい。イムノアドヘシンの二価の形体に対して、そのような融合は、IgG分子のFc領域に対して行われてもよい。Ig融合は、好適には、Ig分子の少なくとも1の可変領域に代えて、レセプターポリペプチドの可溶性型(膜貫通ドメイン欠失又は不活性化型)で置換することを含む。特に好適な実施態様において、イムノグロブリンの融合は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。イムノグロブリン融合体の生産については、1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号、及びChamow等, TIBTECH, 14:52-60(1996)も参照のこと。
【0069】
最も簡単で最も直接的なイムノアドヘシンの設計は、アドヘシンの結合ドメイン(例えば、レセプターの細胞外ドメイン(ECD))を免疫グロブリン重鎖のFc領域と組み合わせるものである。通常は、本発明のイムノアドヘシンを調製する場合、アドヘシンの結合ドメインをコードする核酸を、免疫グロブリン定常ドメイン配列のN末端をコードする核酸にC末端的に融合されるが、N末端融合もまた可能である。
典型的には、そのような融合において、コード化されるキメラポリペプチドは免疫グロブリン重鎖の定常ドメインの機能的に活性なヒンジ、CH2及びCH3ドメインを保持する。融合はまた定常ドメインのFc領域のC末端、又は重鎖のCH1又は軽鎖の対応する領域にN末端に直ぐになされる。融合がなされる正確な部位は重要なものではない;特定の部位がよく知られており、イムノアドヘシンの生物活性、分泌、又は結合特性を最適化するために選択されうる。
好適な実施態様では、アドヘシン配列が免疫グロブリンG1(IgG1)のFc領域のN末端に融合される。アドヘシン配列に重鎖定常領域全体を融合させることができる。しかし、より好ましくは、IgGのFcを化学的に定めるパパイン切断部位の直ぐ上流のヒンジ領域に始まる配列(すなわち、重鎖定常領域の最初の残基を114として残基216)、又は他の免疫グロブリンの類似部位が融合において使用される。特に好適な実施態様では、アドヘシンアミノ酸配列はIgG重鎖の(a)ヒンジ領域及びCH2及びCH3又は(b)CH1、ヒンジ、CH2及びCH3ドメインに融合される。
【0070】
二重特異的イムノアドヘシンについては、イムノアドヘシンは多量体として、特にヘテロ二量体又はヘテロ四量体として組み立てられる。一般には、これらの組み立てられた免疫グロブリンは既知の単位構造を有している。基本的な四鎖構造単位はIgG、IgD及びIgEが存在する型である。四鎖単位はより高分子量の免疫グロブリンにおいて繰り返される;IgMは一般にジスルフィド結合によって一緒に保持される四つの基本単位の五量体として存在する。IgGグロブリン、そして時折IgGグロブリンが血清中に多量体型で存在しうる。多量体の場合、四つの単位の各々は同じでも異なっていてもよい。
ここに記載した範囲内の様々な組み立てられたイムノアドヘシンの例は以下に概略的に模式化される:
(a)ACL-ACL;
(b)ACH-(ACH,ACL-ACH,ACL-VHCH,又はVLCL-ACH);
(c)ACL-ACH-(ACL-ACH,ACL-VHCH,VLCL-ACH,又はVLCL-VHCH);
(d)ACL-VHCH-(ACH,又はACL-VHCH,又はVLCL-ACH);
(e)VLCL-ACH-(ACL-VHCH,又はVLCL-ACH);及び
(f)(A-Y)n-(VLCL-VHCH)2;
ここで、各Aは同一又は異なったアドヘシンアミノ酸配列を示し;
VLは免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VHは免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CHは免疫グロブリン重鎖定常ドメインであり;
nは1より大きい整数であり;
Yは共有結合架橋剤の残基を示す。
簡潔のため、先の構造はキーとなる特徴を示しているのみである;これらは、免疫グロブリンの結合する(J)又は他のドメインを示していないしジスルフィド結合も示していない。しかし、そのようなドメインが結合活性に対して必要である場合は、それらを構築して、免疫グロブリン分子にそれらが占める通常の位置に存在させることができる。
あるいは、アドヘシン配列は、キメラ重鎖を含んでなる免疫グロブリンが得られるように、免疫グロブリン重鎖と軽鎖配列の間に挿入することができる。この実施態様では、アドヘシン配列は免疫グロブリンの各アームの免疫グロブリンの重鎖の3’末端に、ヒンジとCH2ドメインの間、又はCH2とCH3ドメインの間の何れかで融合される。同様な作成物がHoogenboom等,Mol.Immunol.28:1027-1037(1991)によって報告されている。
免疫グロブリン軽鎖の存在は本発明のイムノアドヘシンにおいて必要ではないけれども、免疫グロブリン軽鎖はアドヘシン-免疫グロブリン重鎖融合ポリペプチドに共有結合的に結合するか、アドヘシンに直接的に融合されるかもしれない。前者の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは典型的にはアドヘシン-免疫グロブリン重鎖融合タンパク質をコードするDNAと同時発現される。分泌時に雑種重鎖及び軽鎖が共有結合的に結合されて、二つのジスルフィド結合免疫グロブリン重鎖-軽鎖対を含んでなる免疫グロブリン様構造を提供する。そのような構造の調製に好適な方法は、例えば1989年3月28日に発行された米国特許第4,816,567号に開示されている。
イムノアドヘシンは最も簡便には免疫グロブリンcDNA配列にインフレームでアドヘシン部分をコードするcDNA配列を融合させることにより構築される。しかし、ゲノム免疫グロブリン断片への融合もまた使用することができる(例えば、Aruffo等,Cell61:1303-1313(1990);及びStamenkovic等,Cell66:1133-1144(1991)を参照されたい)。融合の後者のタイプは、発現に対してIg調節配列の存在を必要とする。IgG重鎖定常領域をコードするcDNAは、脾臓又は抹消血リンパ球から取り出されたcDNAライブラリーからの刊行された配列に基づいて、ハイブリダイゼーションにより、又はポリメラーゼ鎖反応(PCR)法により単離することができる。「アドヘシン」をコードするcDNAとイムノアドヘシンの免疫グロブリンが、選ばれた宿主細胞において効率的な発現を指示するプラスミドベクター内にタンデムに挿入される。
【0071】
また、本発明のDNA101848ポリペプチドは、他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したDNA101848ポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとDNA101848ポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般的にはDNA101848ポリペプチドのアミノ又はカルボキシル末端に位置する。このようなDNA101848ポリペプチドのエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によってDNA101848ポリペプチドを容易に精製できるようにする。もう一つの実施態様において、キメラ分子はDNA101848ポリペプチドの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含む。キメラ分子の二価の形態には、このような融合はIgG分子のFc領域であり得る。特に、キメラ分子は、IgG分子のFc領域と融合したDNA101848ポリペプチドのECDを含んでもよい。
【0072】
種々のタグポリペプチド及びそれら各々の抗体は、この分野で良く知られている。例としては、ポリ−ヒスチジン(ポリ-his)又はポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ-his-gly)タグ;flu HAタグポリペプチド及びその抗体12CA5[Field等, Mol. Cell. Biol., 8: 2159-2165 (1988)];c-mycタグ及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体[Evan等, Molecular and Cellular Biology, 5: 3610-3616 (1985)];及び単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体[Paborsky等, Protein Engineering, 3(6): 547-553 (1990)]を含む。他のタグポリペプチドは、フラッグペプチド[Hopp等, BioTechnology, 6: 1204-1210 (1988)];KT3エピトープペプチド[Martin等, Science, 255: 192-194 (1992)];α-チューブリンエピトープペプチド[Skinner等, J. Biol. Chem., 266: 15163-15166 (1991)];及びT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuth等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: 6393-6397 (1990)]を含む。
【0073】
また、本発明のDNA98853は、ロイシンジッパーに融合したDNA98853を含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。同様に、本発明のDNA101848は、ロイシンジッパーに融合したDNA101848を含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。種々のロイシンジッパーがこの分野で記載されている。例えば、Landschulz等, Science, 240: 1759 (1988); WO 94/10308; Hoppe等, FEBS Letters, 344: 1991 (1994)参照。DNA98853に融合したロイシンジッパーの使用は、溶液中での可溶性DNA98853に二量体化又は三量体化を助けるのに望ましく、DNA101848に融合したロイシンジッパーの使用は、溶液中での可溶性DNA101848に二量体化又は三量体化を助けるのに望ましい。当業者は、ロイシンジッパーがDNA98853又はDNA101848ポリペプチド分子のN-又はC-末端の何れかに融合しうることを認めるであろう。
【0074】
E.ポリペプチドの調製
1. DNA98853ポリペプチドの調製
以下の説明は、主として、DNA98853核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養してDNA98853を生産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてDNA98853を調製することができると考えられる。例えば、DNA98853配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって製造してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., San Francisco, CA (1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動化によるインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動化合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(Foster City, CA)を用いて、製造者の指示により実施してもよい。DNA98853の種々の部分を、別々に化学的に合成し、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて全長DNA98853を製造してもよい。
【0075】
2. DNA101848ポリペプチドの調製
以下の説明は、主として、DNA101848核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養してDNA101848を生産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてDNA101848を調製することができると考えられる。例えば、DNA101848配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって、上述のように製造してもよい。DNA101848の種々の部分を、別々に化学的に合成し、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて全長DNA101848を製造してもよい。
【0076】
3. DNA98853又はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAの単離
DNA98853をコードするDNAは、DNA98853mRNAを有し、それを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリから得ることができる。従って、ヒトDNA98853DNAは、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリから簡便に得ることができる。またDNA98853コード遺伝子は、ゲノムライブラリから又はオリゴヌクレオチド合成により得ることもできる。
同様に、DNA101848をコードするDNAは、DNA101848mRNAを有し、それを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリから得ることができる。従って、ヒトDNA101848DNAは、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリから簡便に得ることができる。またDNA101848コード遺伝子は、ゲノムライブラリから又はオリゴヌクレオチド合成により得ることもできる。
【0077】
ライブラリは、対象となる遺伝子あるいはそれによりコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(DNA98853に対する抗体、DNA101848に対する抗体、又は少なくとも約20−80塩基のオリゴヌクレオチド等)によってスクリーニングできる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリのスクリーニングは、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されているような標準的な手順を使用して実施することができる。DNA98853をコードする遺伝子又はDNA101848をコードする遺伝子を単離する他の方法はPCR法を使用するものである[Sambrookら,上掲;Dieffenbachら, PCR Primer:A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
【0078】
以下の実施例には、cDNAライブラリのスクリーニング技術を記載する。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、充分な長さで、疑陽性が最小化されるよう充分に明瞭でなければならない。オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリ内のDNAとのハイブリッド形成時に検出可能であるように標識されていることが好ましい。標識化の方法は、当該分野において良く知られており、32P標識されたATPのような放射標識、ビオチン化あるいは酵素標識の使用が含まれる。中程度の厳密性及び高い厳密性を含むハイブリッド形成条件は、Sambrookら, 上掲に提供されている。
【0079】
このようなライブラリースクリーニング法において同定された配列は、Genbank等の公的データベース又は他の個人の配列データベースに寄託され公衆に利用可能とされている周知の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の決定された領域内又は全長に渡っての(アミノ酸又は核酸レベルのいずれかでの)配列同一性は、同一性を測定するのに様々なアルゴリズムを用いるALIGN、DNAstar、及びINHERIT等のコンピュータソフトウェアプログラムを用いた配列アラインメントを通して決定することができる。
【0080】
タンパク質コード配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されなかったmRNAの生成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrookらにより記述されている従来のプライマー伸展法を使用し、選択されたcDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることにより得られる。
【0081】
4. 宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞は、ここに記載したDNA98853生成のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換される。または、宿主細胞は、ここに記載したDNA101848生成のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換される。宿主細胞はプロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M. Butler編 (IRL Press, 1991)及びSambrook等, 上掲に見出すことができる。
【0082】
形質移入の方法、例えば、CaPO4及びエレクトロポレーションは当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションは、原核生物又は実質的な細胞壁障壁を含む他の細胞に対して一般に用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)による感染が、Shaw等, Gene, 23: 315 (1983)及び1989年6月29日公開の国際公開第89/05859号に記載されたように、ある種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52: 456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法が用いられる。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母中への形質転換は、典型的には、Van solingen等, J. Bact., 130: 946 (1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることができる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 185: 527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336: 348-352 (1988)を参照のこと。
【0083】
ここに記載のベクターにDNAをクローン化あるいは発現するために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。適切な原核生物は、限定するものではないが、グラム陰性又はグラム陽性生物体などの真正細菌、例えば大腸菌のような腸内細菌科を含む。種々の大腸菌株、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)及びK5 772(ATCC53,635)が公に利用可能である。
【0084】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、DNA98853をコードするベクター又はDNA101848をコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシア(Saccharomyces cerevisiae)は、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。
【0085】
グリコシル化DNA98853又はグリコシル化DNA101848の発現に適切な宿主細胞は多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2及びスポドスペラSf9等の昆虫細胞並びに植物細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞を含む。より詳細な例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Grahamほか, J. Gen Virol., 36:59 (1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23: 243-251 (1980))ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75); ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065); 及びマウス乳房腫瘍細胞 (MMT 060562, ATCC CCL51)を含む。適切な宿主細胞の選択は、当業者の技量の範囲内にある。
【0086】
5. 複製可能なベクターの選択及び使用
DNA98853をコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローン化(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分は、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当なベクターの形成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
【0087】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生産される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入されるDNA98853のコード化DNAの一部であり、又はそれは、ベクターに挿入されるDNA101848のコード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列であってよい。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5,010,182号に記載されている)、又は酸ホスフォターゼリーダー、白体(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行のEP 362,179)、又は1990年11月15日に発行された国際公開第90/13646号に記載されているシグナルであってよい。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
【0088】
発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は多くの細菌、酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。
【0089】
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選べるマーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質あるいは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンに耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素、例えば、バシリに対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼを供給するタンパク質をコードする。
【0090】
哺乳動物細胞に適切な選べるマーカーの例は、DHFRあるいはチミジンキナーゼのように、DNA98853ポリペプチドコード化核酸又はDNA101848ポリペプチドコード化核酸を取り込むことのできる細胞成分を同定することのできるものである。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、Urlaub 等により, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に記載されているようにして調製され増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である。酵母中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcombら, Nature, 282: 39 (1979);Kingsmanら, Gene, 7: 141 (1979);Tschemperら, Gene, 10: 157 (1980)]。trp1遺伝子は、例えば、ATCC番号44076あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内で成長する能力を欠く酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する[Jones, Genetics, 85: 12 (1977)]。
【0091】
発現及びクローニングベクターは、通常、DNA98853ポリペプチドコード化核酸又はDNA101848ポリペプチドコード化核酸配列に作用可能に結合してmRNA合成を制御するプロモーターを含む。多種の可能な宿主細胞により認識されるプロモーターが知られている。原核生物宿主での使用に適したプロモーターは、β-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[Chang等, Nature, 275: 615 (1978); Goeddel等, Nature, 281: 544 (1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8: 4057 (1980); EP 36,776]、及びtacプロモーター等のハイブリッドプロモーター[deBoer等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80: 21-25 (1983)]を含む。細菌系で使用するプロモータもまたDNA98853ポリペプチドをコードするDNA又はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を有する。
【0092】
酵母宿主と共に用いるのに好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ[Hitzeman 等, J. Biol. Chem., 255: 2073 (1980)]又は他の糖分解酵素[Hess 等, J. Adv. Enzyme Reg., 7: 149 (1968);Holland, Biochemistry, 17: 4900(1978)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセラートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
【0093】
成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターである他の酵母プロモーターとしては、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝を伴う分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素がある。酵母での発現に好適に用いられるベクターとプロモータはEP 73,657に更に記載されている。
【0094】
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの転写は、例えば、ポリオーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開のUK 2,211,504)、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及びサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーターから、及び熱衝撃プロモーターから得られるプロモーターによって制御されるが、このようなプロモーターは宿主細胞系に適合し得る場合に限られる。
【0095】
より高等の真核生物による本発明のDNA98853ポリペプチドをコードするDNA又はDNA101848ポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。エンハンサーは、通常は約10から300塩基対で、プロモーターに作用してその転写を増強するDNAのシス作動エレメントである。哺乳動物の遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインシュリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100-270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、DNA98853コード配列の5’又は3’位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5’位に位置している。
【0096】
また、真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの5'、ときには3'の非翻訳領域から通常取得できる。これらの領域は、DNA98853をコードしているmRNA又はDNA101848をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
【0097】
組換え脊椎動物細胞培養でのDNA98853の合成への適応化するのに適切な他の方法、ベクター、及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 293: 620-625 (1981); Mantei等, Nature, 281: 40-46 (1979); EP 117,060; 及びEP 117,058に記載されている。
【0098】
6.遺伝子増幅/発現の検出
遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 5201-5205 (1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。また、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA−RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いるてもよい。次いで、抗体を標識してアッセイを実施することができるが、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
【0099】
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって測定してもよい。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列DNA98853ポリペプチドに対して、天然配列DNA101848ポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はDNA98853ポリペプチドコード化DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。
【0100】
7.ポリペプチドの精製
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの形態は、培養培地又は宿主細胞の溶解液から回収することができる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)又は酵素的切断を用いて膜から引き離すことができる。DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
【0101】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドを、組換え細胞タンパク質又はポリペプチドから精製することが望ましい。以下の手順は適切な精製手順の例である:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような狭雑物を除くプロテインAセファロースカラム;及びDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドのエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。例えば、Deutscher, Methodes in Enzymology, 182 (1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)に記載された、この分野で知られた多くのタンパク質精製方法を用いることができる。選ばれる精製過程は、例えば、用いられる生産方法及び特に生産されるDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの性質に依存する。
【0102】
F.DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの用途
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドをコードする核酸配列(又はそれらの相補鎖)は、ハイブリッド形成プローブとして、染色体及び遺伝子マッピングにおいて、及びアンチセンスRNA及びDNAの生成においての使用を含む、分子生物学における種々の用途を有している。また、DNA98853コード化核酸は、ここに記載される組換え技術によるDNA98853ポリペプチドの調製にも有用であろう。同様に、DNA101848コード化核酸も、ここに記載される組換え技術によるDNA101848ポリペプチドの調製にも有用であろう
【0103】
全長配列DNA98853(配列番号:1)又は全長配列DNA98853(配列番号:3)ポリペプチド、又はそれらの一部は、全長配列DNA98853ポリペプチド遺伝子、又はFig1(配列番号:1)に開示されたDNA98853ポリペプチドのヌクレオチド配列に対して所望の配列同一性を持つ更に他の遺伝子(例えば、DNA98853ポリペプチドの天然発生変異体又は他の種からのDNA98853ポリペプチドをコードするもの)を単離するためのcDNAライブラリのためのハイブリッド形成プローブとして使用できる。場合によっては、プローブの長さは約20〜約50塩基である。ハイブリッド形成プローブは、配列番号:1のDNA101848核酸配列又は天然配列DNA101848ポリペプチドコードDNAのプロモーター、エンハンサー成分及びイントロンを含むゲノム配列から誘導され得る。例えば、スクリーニング法は、約40塩基の選択されたプローブを合成するための周知のDNA配列を用いて、DNA98853遺伝子のコード領域を単離することを含む。
【0104】
同様に、全長配列DNA101848(配列番号:4)又は全長配列DNA101848(配列番号:6)ポリペプチド、又はそれらの一部は、全長配列DNA101848ポリペプチド遺伝子、又はFig4(配列番号:6)に開示されたDNA101848ポリペプチドのヌクレオチド配列に対して所望の配列同一性を持つ更に他の遺伝子(例えば、DNA101848ポリペプチドの天然発生変異体又は他の種からのDNA101848ポリペプチドをコードするもの)を単離するためのcDNAライブラリのためのハイブリッド形成プローブとして使用できる。場合によっては、プローブの長さは約20〜約50塩基である。ハイブリッド形成プローブは、Fig3に示される配列番号:4のDNA101848核酸配列又は天然配列DNA101848ポリペプチドコードDNAのプロモーター、エンハンサー成分及びイントロンを含むゲノム配列から誘導され得る。例えば、スクリーニング法は、約40塩基の選択されたプローブを合成するための周知のDNA配列を用いて、DNA101848遺伝子のコード領域を単離することを含む。
【0105】
ハイブリッド形成プローブは、32P又は35S等の放射性ヌクレオチド、又はアビディン/ビオチン結合系を介してプローブに結合したアルカリホスファターゼ等の酵素標識を含む種々の標識で標識されうる。本発明のDNA98853遺伝子に相補的な配列を有する標識されたプローブは、又はDNA101848遺伝子に相補的な配列を有する標識されたプローブは、ヒトcDNA、ゲノムDNA又はmRNAのライブラリーをスクリーニングし、そのライブラリーの何れのメンバーがプローブにハイブリッド形成するかを決定するのに使用できる。ハイブリッド形成技術は、以下の実施例においてさらに詳細に記載する。
【0106】
また、プローブは、DNA98853ポリペプチド配列又はDNA101848ポリペプチド配列に極めて関連性の高い配列を同定するため、配列プールを調製するためのPCR技術において用いられることもある。
また、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドをコードする核酸配列は、そのポリペプチドをコードする遺伝子のマッピングのため、及び遺伝子疾患を持つ個体の遺伝子分析のためのハイブリッド形成プローブの作成にも用いることができる。ここに提供される核酸配列は、インサイツハイブリッド形成、既知の染色体標識に対する結合分析、及びライブラリーでのハイブリッド形成スクリーニング等の周知の技術を用いて、染色体及び染色体の特定領域にマッピングすることができる。
【0107】
DNA98853ポリペプチドのコード化配列が他のタンパク質に結合するタンパク質をコードする場合(例えば、DNA98853ポリペプチドがレセプターとして機能する場合)、DNA98853ポリペプチドは、結合相互作用に関与する他のタンパク質又は分子を同定するアッセイに用いることができる。同様に、DNA101848ポリペプチドのコード化配列が他のタンパク質に結合するタンパク質をコードする場合(例えば、DNA101848ポリペプチドがレセプターとして機能する場合)、DNA101848ポリペプチドは、結合相互作用に関与する他のタンパク質又は分子を同定するアッセイに用いることができる。
そのような方法により、レセプター/リガンド結合性相互作用の阻害剤を同定することができる。このような結合性相互作用に関与するタンパク質も、ペプチド又は小分子阻害剤又は結合相互作用のアゴニストのスクリーニングに用いることができる。また、レセプターDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは相関性のリガンド(類)を単離するために使用することができる。スクリーニングアッセイは、天然DNA98853ポリペプチド、天然DNA101848ポリペプチド又は天然DNA98853ポリペプチドのレセプター又は天然DNA101848ポリペプチドのレセプターの生物活性を模倣するリード化合物を発見するために設計できる。このようなスクリーニングアッセイは、化学的ライブラリーの高スループットスクリーニングにも用いられ、それらを小分子候補薬剤の同定に特に適したものとする。考えられる小分子には、合成有機又は無機化合物が含まれる。アッセイは、当該分野で良く特徴付けられているタンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学スクリーニングアッセイ、免疫検定及び細胞ベースのアッセイを含む種々の型式で実施される。
【0108】
また、DNA98853ポリペプチド、DNA101848ポリペプチド又はその修飾型をコードする核酸は、トランスジェニック動物又は「ノックアウト」動物を産生するのにも使用でき、これらは治療的に有用な試薬の開発やスクリーニングに有用である。トランスジェニック動物(例えばマウス又はラット)とは、出生前、例えば胚段階で、その動物又はその動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を有する動物である。導入遺伝子とは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組み込まれたDNAである。一実施形態では、DNA98853をコードするcDNA又は、確立された技術によりDNA98853をコードするゲノムDNAをクローン化するために使用することができ、ゲノム配列は、DNA98853をコードするDNAを発現する細胞を有するトランスジェニック動物を産生するために使用することができる。他の実施態様では、DNA101848をコードするcDNA又は、確立された技術によりDNA101848をコードするゲノムDNAをクローン化するために使用することができ、ゲノム配列は、DNA101848をコードするDNAを発現する細胞を有するトランスジェニック動物を産生するために使用することができる。
【0109】
トランスジェニック動物、特にマウス又はラット等の動物を産生する方法は当該分野において常套的になっており、例えば、米国特許第4,736,866号や第4,870,009号に記述されている。典型的には、特定の細胞を組織特異的エンハンサーでのDNA98853ポリペプチド及び/又はDNA101848ポリペプチド導入遺伝子の導入の標的にする。胚段階で動物の生殖系列に導入されたDNA98853ポリペプチドをコードする導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物は、DNA98853ポリペプチドをコードするDNAの増大した発現の影響を調べるために使用できる。場合によっては、胚段階で動物の生殖系列に導入されたDNA101848ポリペプチドをコードする導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物は、DNA101848ポリペプチドをコードするDNAの増大した発現の影響を調べるために使用できる。このような動物は、例えばその過剰発現を伴う病理的状態に対して保護をもたらすと思われる試薬のテスター動物として使用できる。発明のこの態様に従えば、動物を試薬で治療し、その導入遺伝子を有する未治療の動物に比べて病理的状態の発症率が低くければ、その病理的状態に対する治療的処置の可能性が示されている。
【0110】
あるいは、DNA98853ポリペプチドの非ヒト相同体は、動物の胚性細胞に導入されたDNA98853ポリペプチドをコードする変更ゲノムDNAと、DNA98853ポリペプチドをコードする内在性遺伝子との間の相同的組換えによって、DNA98853ポリペプチドをコードする欠陥又は変更遺伝子を有するDNA98853ポリペプチド「ノックアウト」動物を作成するために使用できる。例えば、DNA98853をコードするcDNAは、確立された技術に従い、DNA98853ポリペプチドをコードするゲノムDNAのクローン化に使用できる。DNA98853をコードするゲノムDNAの一部を欠失したり、組み込みを監視するために使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。
同様に、DNA101848ポリペプチドの非ヒト相同体は、動物の胚性細胞に導入されたDNA101848ポリペプチドをコードする変更ゲノムDNAと、DNA101848ポリペプチドをコードする内在性遺伝子との間の相同的組換えによって、DNA101848ポリペプチドをコードする欠陥又は変更遺伝子を有するDNA101848ポリペプチド「ノックアウト」動物を作成するために使用できる。例えば、DNA101848をコードするcDNAは、確立された技術に従い、DNA101848ポリペプチドをコードするゲノムDNAのクローン化に使用できる。DNA101848をコードするゲノムDNAの一部を欠失したり、組み込みを監視するために使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。
【0111】
典型的には、「ノックアウト動物」を構築する場合、ベクターは数キロベースの無変化のフランキングDNA(5’と3’末端の両方)を含む[例えば、相同的組換えベクターについてはThomas及びCapecchi, Cell, 51: 503 (1987)を参照のこと]。ベクターは胚性幹細胞系に(例えばエレクトロポレーション等によって)導入し、導入されたDNAが内在性DNAと相同的に組換えられた細胞を選択する[例えば、Li等, Cell, 69: 915(1992)参照]。選択された細胞は次に動物(例えばマウス又はラット)の胚盤胞内に注入され、集合キメラを形成する[例えば、Bradley, Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E. J. Robertson, ed. (IRL, Oxford, 1987), pp. 113-152参照]。その後、キメラ性胚を適切な偽妊娠の雌性育成動物に移植し、胚を期間をおいて「ノックアウト」動物につくりあげる。胚細胞に相同的に組換えられたDNAを有する子孫は、標準的な技術により同定され、動物の全細胞が相同的に組換えられたDNAを含む動物を繁殖させるのに利用することができる。ノックアウト動物は、例えば、ある種の病理的状態に対する防御能力及びDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドが存在しないことによるその病理的状態の発達によって特徴付けられる。
【0112】
ここにおいて、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは、本発明に従って、インビボにおいてそのようなポリペプチドを発現させることにより利用することができ、これはしばしば遺伝子治療と称される。
インビボ及びエキソビボ的に、患者の細胞に核酸(場合によってはベクターに組み込まれている)を導入することへのアプローチの方法には2つの主な方法がある。インビボにおいて導入するために、核酸は、通常はポリペプチドが必要とされる部位において、直接的に患者へ注射される。例えば、DNA98853ポリペプチドコード化核酸は、DNA98853ポリペプチドの合成部位、もしくは、明らかならば、DNA98853ポリペプチド生物学的活性が必要とされる部位に注射されであろう。例えば、DNA101848ポリペプチドコード化核酸は、DNA101848ポリペプチドの合成部位、もしくは、明らかならば、DNA101848ポリペプチド生物学的活性が必要とされる部位に注射されであろう。エキソビボにおける治療においては、患者の細胞が取り除かれ、これら単離された細胞に核酸が導入され、修飾された細胞は、直接もしくは、例えば、患者へ移植される多孔質の膜にカプセル化されて投与される(例えば、米国特許第4,892,538号及び,第5,283,187号を参照のこと)。
【0113】
生存細胞に核酸を導入するために知られた種々の技術がある。これらの技術は、核酸がインビトロで培養された細胞に導入されるか又は対象とする宿主の細胞においてインビボで導入されるかに依存する。インビトロで哺乳動物細胞に核酸を移行するのに適した技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質移入、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法などの使用を含む。形質移入には、自己複製能が無い組換体ウィルス(好ましくはレトロウィルス)粒子と細胞レセプターとの相互作用、その後、粒子によって細胞へ核酸が導入されることが含まれる。
【0114】
現在インビボ遺伝子移入技術で好ましいのは、ウイルス又は非ウイルスベクター(アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ関連ウイルス(AAV))、及び脂質ベースの系(遺伝子の脂質媒介移入に有用な脂質は、例えば、DOTMA、DOPE、及びDC-Cholである;例えば、Tonkinson等, Cancer Investigation, 14(1): 54-65 (1996) 参照)での形質移入を含む。遺伝子治療で使用するために最も好ましいベクターはウイルス、最も好ましくはアデノウイルス、AAV、レンチウイルス、又はレトロウイルスである。レトロウイルスベクター等のウイルスベクターは、少なくとも1つのプロモーター/エンハンサー又は位置決定因子、あるいは選択的スプライシング、核RNA輸出、又はメッセンジャーの翻訳後修飾などの他の手段により遺伝子発現を制御する他の因子を含む。さらに、レトロウイルスベクター等のウイルスベクターは、DNA98853ポリペプチドをコードする遺伝子又はDNA101848ポリペプチドをコードする遺伝子の存在下で転写されたとき、それに作用可能に結合し、翻訳開始配列として機能する核酸分子を含む。このようなベクター作成物はまた、用いるウイルスに適したパッケージングシグナル、末端反復配列(LTR)又はその一部、及びポジティブ及びネガティブストランドプライマー結合部位を含む(これらがウイルスベクターに既に存在しない場合)。さらに、これらのベクターは、典型的には、それらが配置される宿主細胞からDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドを分泌させるシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は哺乳動物シグナル配列、最も好ましくはDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドのための天然シグナル配列である。場合によっては、ベクター作成物は、ポリアデニル化並びに一又は複数の制限部位を指向するシグナル及び翻訳終結配列も含む。例として、このようなベクターは典型的には5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第二鎖DNA合成の開始点、及び3’LTR又はその一部を含む。非ウイルスの他のベクター、例えばカチオン性脂質、ポリリシン、及びデンドリマーを用いることもできる。
【0115】
幾つかの状況では、核酸供給源を標的細胞をターゲティングする試薬、例えば細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体又は標的細胞、即ち標的細胞上のレセプターのリガンドなどとともに提供するのが望ましい。リポソームが用いられる場合、エンドサイトーシスを伴って細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質が、ターゲティング及び/又は取り込みの促進のために用いられ、例えば、特定の細胞型向性のキャプシドタンパク質又はその断片、サイクリングにおいて内部移行を受けるタンパク質の抗体、及び細胞内局在化をターゲティングし細胞内半減期を向上させるタンパク質である。レセプター媒介エンドサイトーシスは、例えば、Wu等, J. Biol. Chem., 262:4429-4432 (1987)及びWagner等, Proc. Natl. Acad. Sci., 87: 3410-3414 (1990)に記載されている。現在知られている遺伝子標識化及び遺伝子治療プロトコールの概説については、Anderson等, Science, 256:808-813 (1992)を参照のこと。また、WO 93/25673及びそこに引用された参考文献も参照。
【0116】
好適な遺伝子治療及びレトロウイルス粒子及び構造タンパク質の作成方法は、米国特許第5,681,746号に見出される。
【0117】
生物学的な活性、例えば公知の腫瘍壊死因子レセプターの活性に関連するような活性を有する本発明のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは、治療の目的においてインビボで、及びインビトロにおいて用いることができる。
【0118】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの治療のための組成物は、適切な純度を有する所望の分子と混合することにより、場合によっては許容される担体、賦形剤又は安定化剤(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed, Oslo A編集, (1980) )と共に、凍結乾燥標品又は水溶液の状態で調製される。
許容できる担体、賦形剤又は安定剤は、用いる投与量及び濃度ではレシピエントに対して無毒性であり、リン酸、クエン酸及び他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(残基数10個未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリン等の単糖類、二糖類又は他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
【0119】
このような担体の更なる例は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、及びプロピレングリコールである。局所用の担体又はゲルベースの形態は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、及びモクロウアルコールを含む。あらゆる投与について、従来のデポー形態が好適に用いられる。このような形態は、例えば、マイクロカプセル、ナノ-カプセル、リポソーム、硬膏剤、吸入形態、鼻スプレー、舌下状、及び除放性製剤を含む。PRO364ポリペプチドは、典型的にはそのような媒体中に約0.1mg/mlから100mg/mlの濃度で処方される。
【0120】
インビボ投与に用いられるDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは無菌でなければならない。これは、凍結乾燥及び再形成の前又は後の滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成されるDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは通常は凍結乾燥形態又は全身投与される場合には溶液中に貯蔵される。凍結乾燥形態にある場合、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは典型的には使用時の適当な希釈剤を含む他の成分と組み合わせて処方される。DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの液体製剤の例は、無菌の、透明な、無色の生鮮溶液で、皮下注射用の1回投与バイアルに充填されている。
治療用DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド組成物は、一般的に無菌のアクセスポートを具備する容器、例えば、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針で穿孔可能なストッパーを具備するバイアルに配される。製剤は、好ましくは静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、又は筋肉内(i.m.)の繰り返し注射として、あるいは鼻内又は肺内送達に適したエアロゾル製剤として投与される(肺内送達については、例えばEP 257,956参照)。
【0121】
また、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは持続放出製剤の形態で投与することもできる。持続放出製剤の好適な例は、タンパク質を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、当該マトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langer等, J. Biomed. Mater. Res., 15: 167-277 (1981)及びLanger, Chem. Tech., 12: 98-105 (1982)に記載されたようなポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)、L-グルタミン酸及びガンマエチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidman等, Biopolymers, 22: 547-556 (1983))、非分解性エチレン−酢酸ビニル(Langer等, 上掲)、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLupron DepotTM(乳酸−ブリコール酸コポリマ及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能な微小球)、及びポリ-D-(−)-3-ヒドロキシブチル酸(EP 133,988)を含む。
【0122】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド(又はそれらに対する抗体)の治療的有効量は、当然のことながら、対照とする療法(例えば、アポトーシス、自己免疫性又は炎症誘発性反応の変調)、治療すべき病理学的状態、投与方法、治療に用いられる化合物の型、包含される任意の同時治療、患者の年齢、体重、一般的な医学的状態、医学的履歴などの要因によって変化し、それは担当する医師の技量の範囲内で良好に決定される。従って、治療者は、最大の治療効果が得られるように、投与量を滴定し投与経路を修正する必要がある。
上記の指針では、有効投与量は、一般的に約0.001から約1.0mg/kgの範囲内である。
【0123】
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチド投与の経路は周知の方法に従い、例えば静脈内、筋肉内、脳内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、眼内、関節内、滑膜内、包膜内、経口、局所又は吸入経路による注射又は注入、あるいは持続放出系による。またDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは腫瘍内、腫瘍周辺、病巣内、又は病巣周辺経路で好適に投与され、局所的並びに全身に治療効果を発揮する。
疾患を治療するDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの有効性は、活性剤を、その目的のために有効な他の薬剤を、同じ組成物中又は別の組成物として、順次又は混合して投与することにより向上させてもよい。このような薬剤の例は、細胞毒性、化学治療薬、又は成長阻害剤、及び放射線治療(照射の包含又は放射性物質の投与)を含む。
PRO364ポリペプチドと組み合わせて投与される治療薬の有効量は、医師の裁量である。投与用量決定及び調節は、治療すべき状態の最大のマネジメントを達成するためになされる。
上述の多様な治療上の方法及び組成物が、ここで記載されるEDA-A2の使用に対しても同様に用いられてもよい。
【0124】
G.抗DNA98853ポリペプチド及び/又はDNA101848ポリペプチド抗体
本発明は、さらに抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体を提供するものである。抗体の例としては、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性及びヘテロ抱合体抗体が含まれる
1.ポリクローナル抗体
本発明における抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体はポリクローナル抗体を含んでよい。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポリクローナル抗体は、例えば免疫化剤、及び望ましいならばアジュバントを、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤及び/又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により哺乳動物に注射する。抗DNA98853ポリペプチド抗体について、免疫化剤は、DNA98853ポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。抗DNA101848ポリペプチド抗体について、免疫化剤は、DNA101848ポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。免疫化剤を、免疫化される哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質に抱合させるのが有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、及び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコールは、過度の実験なく当業者により選択され得る。
【0125】
2.モノクローナル抗体
あるいは、抗DNA98853ポリペプチド抗体又は抗DNA101848ポリペプチド抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256: 495 (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を、典型的には免疫化剤により免疫化することで、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生成するか又は生成可能なリンパ球を誘発する。また、リンパ球をインビトロで免疫化してもよい。
抗DNA98853ポリペプチド抗体について、免疫化剤は、典型的にはDNA98853ポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。抗DNA101848ポリペプチド抗体について、免疫化剤は、典型的にはDNA101848ポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。一般に、ヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれる場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。次いで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いてリンパ球を不死化株化細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103]。不死化株化細胞は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に齧歯動物、ウシ及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫細胞が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培地で培養される。例えば、親細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマの培地は、典型的には、ヒポキサチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、この物質がHGPRT欠乏性細胞の成長を阻止する。
【0126】
好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である。より好ましい不死化株化細胞はマウス骨髄腫系であり、これは例えばカリフォルニア州サンディエゴのサルク・インスティチュート・セル・ディストリビューション・センター(Salk Institute Cell Distribution Center)やバージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手可能である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫株化細胞も記載されている[Kozbor, J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]。
【0127】
次いでハイブリドーマ細胞を培養する培地を、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに対するモノクローナル抗体の存在について検定することができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合アッセイによって測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem., 107: 220 (1980)のスキャッチャード分析法によって測定することができる。
【0128】
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを制限希釈工程を経てサブクローン化し、標準的な方法で成長させることができる[Goding, 上掲]。この目的のための適当な培養培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及びRPMI-1640培地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は哺乳動物においてインビボの腹水で成長させることもできる。
【0129】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えばプロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン精製方法によって培地又は腹水液から単離又は精製されうる。
【0130】
また、モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567号に記載された方法により作成することができる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、常套的な方法により(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されれば、DNAは発現ベクター内に配することができ、これが宿主細胞、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリンタンパク質を生成等しない骨髄腫細胞内に形質移入され、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成をすることができる。また、DNAは、例えば相同マウス配列に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより[US. Patent No.4816567;Morrison等, 上掲]、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合することにより修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインに換えて置換するか、本発明の抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインに換えて置換し、キメラ二価抗体を産生することができる。
【0131】
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく知られている。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意の点で切断される。あるいは、関連したシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換するか欠失させて架橋を防止する。
一価抗体の調製にはインビトロ法がまた適している。抗体の消化による、その断片、特にFab断片の調製は、当該分野において知られている日常的技術を使用して達成できる。
【0132】
3.ヒト化抗体
本発明の抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化型とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖あるいはその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2あるいは抗体の他の抗原結合性サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含み、それは、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されている。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0133】
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒトである供給源から導入された一又は複数のアミノ酸残基を有する。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は基本的に齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト抗体の該当する配列を置換することによる、ウィンター(Winter)及び共同研究者[Jones等, Nature, 321: 522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332: 323-327 (1988); Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って本質的に行うことができる。従って、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(U.S. Patent No.4,816,567)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的には幾つかのCDR残基及びことによっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0134】
また、ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリ[Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含むこの分野で知られた種々の方法を用いて産生することもできる。また、Coleら及びBoernerらの方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる[Coleら, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985)及びBoernerら, J. Immunol., 147(1):86-95(1991)]。
【0135】
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本発明の場合において、結合特異性の一方はDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに対してであり、他方は任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサブユニットに対してである。
【0136】
二重特異性抗体を生成する方法は当該技術分野において公知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え生成方法は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Milstein及びCuello, Nature, 305: 537-539 (1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に組み合わせるため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その内一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常達成される。同様の手順が1993年5月13日発行のWO93/08829号、及びTraunecker等, EMBO J., 10: 3655-3659 (1991)に開示されている。
【0137】
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合できる。融合は、好ましくは少なくともヒンジ、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。少なくとも一つの融合に存在する軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を有するのが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合をコードするDNA、及び望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。二重特異性抗体を生成するための更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121: 210 (1986)を参照されたい。
【0138】
5.ヘテロ抱合体抗体
ヘテロ抱合体抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロ抱合体抗体は、2つの共有的に結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対して標的化させるため(米国特許第4,676,980号)及びHIV感染の治療のために(WO91/00360; WO92/200373; EP 03089)提案されている。これらの抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク質化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより免疫毒素を作成することができる。この目的のために好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第4,676,980号に開示されているものが含まれる。
【0139】
H.抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体の用途
本発明の抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体は様々な有用性を有している。抗DNA98853ポリペプチド抗体又は抗DNA101848ポリペプチドは、上述の投与技術及び方法を用いて、診断において使用される。例えば、抗DNA98853ポリペプチド抗体及び抗DNA101848ポリペプチド抗体は、対応するポリペプチドの診断アッセイ、例えば特定細胞、組織、又は血清でのその発現の検出に用いられる。競合的結合アッセイ、直接又は間接サンドウィッチアッセイ及び不均一又は均一相で行われる免疫沈降アッセイ[Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, CRC Press, Inc. (1987) pp. 147-158]等のこの分野で知られた種々の診断アッセイ技術が使用される。診断アッセイで用いられる抗体は、検出可能な部位で標識される。検出可能な部位は、直接又は間接のいずれかで検出可能なシグナルを発生しなければならない。例えば、検出可能な部位は、3H、14C、32P、35S又は125I等の放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリン等の蛍光又は化学発光化合物、あるいはアルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ又はセイヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素であってよい。Hunter等 Nature, 144:945 (1962);David等, Biochemistry, 13: 1014 (1974);Pain等, J. Immunol. Meth., 40:219 (1981) ;及びNygren, J. Histochem. and Cytochem., 30:407 (1982)に記載された方法を含む、抗体を検出可能な部位に抱合するためにこの分野で知られた任意の方法が用いられる。
【0140】
また、DNA98853ポリペプチド抗体は組換え細胞培養又は天然供給源からのDNA98853ポリペプチドのアフィニティー精製にも有用である。この方法においては、DNA98853ポリペプチドに対する抗体を、当該分野でよく知られている方法を使用して、セファデックス樹脂や濾紙のような適当な支持体に固定する。次に、固定された抗体を、精製すべきDNA98853ポリペプチドを含む試料と接触させた後、固定された抗体に結合したDNA98853ポリペプチド以外の試料中の物質を実質的に全て除去する適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、DNA98853ポリペプチドを抗体から離脱させる他の適当な溶媒で支持体を洗浄する。
【0141】
また、抗DNA101848ポリペプチド抗体は組換え細胞培養又は天然供給源からのDNA101848ポリペプチドのアフィニティー精製にも有用である。この方法においては、DNA101848ポリペプチドに対する抗体を、当該分野でよく知られている方法を使用して、セファデックス樹脂や濾紙のような適当な支持体に固定する。次に、固定された抗体を、精製すべきDNA101848ポリペプチドを含む試料と接触させた後、固定された抗体に結合したDNA101848ポリペプチド以外の試料中の物質を実質的に全て除去する適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、DNA101848ポリペプチドを抗体から離脱させる他の適当な溶媒で支持体を洗浄する。
【0142】
I.製造品
ここに記載した疾患の診断又は治療に有用なDNA98853ポリペプチド、DNA101848ポリペプチド又はそれらの抗体を含むキットのような製造品は、少なくとも1つの容器及びラベルを具備する。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、及び試験管が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような種々の物質から形成できる。容器は、状態の診断又は治療に有効か組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で穿孔可能なストッパーを具備する静脈内バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の活性剤はPRO364又はその抗体である。容器上又は添付されるラベルには、組成物が選択した状態の診断又は治療に使用されることが示されている。この製造品は、製薬的に許容可能なバッファー、例えばリン酸緩衝塩水、リンガー液、及びデキストロース溶液を収容した第2の容器をさらに具備してもよい。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書を備えた包装挿入物を含む、商業的及び使用者の立場から望ましい他の材料を具備してもよい。また、この製造品は、上述の他の活性剤を収容した第2又は第3の容器を具備してもよい。
【0143】
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
【0144】
(実施例)
実施例で言及されている全ての市販試薬は、特に示していない限りは、製造者の使用説明に従い使用した。次の実施例及び明細書全体を通してATCC受託番号により特定している細胞の供給源は、バージニア州、マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションである。
【0145】
実施例1
ヒトDNA98853ポリペプチドをコードするcDNAクローンの単離
Fig9(Incyte Pharmaceuticals LIFESEQTM デーベースより)に示すインサイトクローン509 1511H(配列番号:7)に基づいて、対象とする配列を含んでいるcDNAライブラリーを同定するために、オリゴヌクレオチドがPCRによって合成された。これらのオリゴヌクレオチドは次の通りであった:
正方向プライマー
5'GAGGGGGCTGGGTGAGATGTG 3'(509-1)(配列番号:8)
逆方向プライマー
5'TGCTTTTGTACCTGCGAGGAGG 3'(509-4AS)(配列番号:9)
DNA98853ポリペプチドに対する全長コード化配列を単離するために、逆ロングPCRを行った(Fig6)。PCRプライマーは通常20から30ヌクレオチドの範囲にある。逆ロングPCRにおいて、プライマー対は、5‘から3‘方向で、お互いに離れる方向を向くようにデザインされた。
DNA98853をクローニングするための逆ロングPCR対が合成された:
プライマー1(左側プライマー)
5'pCATGGTGGGAAGGCCGGTAACG 3'(509-P5)(配列番号:10)
プライマー2(右側プライマー)
5'pGATTGCCAAGAAAATGAGTACTGGGACC 3'(509-P6)(配列番号:11)
この逆ロングPCR反応において、鋳型はプラスミドcDNAライブラリーである。その結果、PCR産物は両端に目的の挿入配列を有し、真中にベクターの全配列を含んでいる。PCR反応後、PCR混合物は鋳型のプラスミドのみを切断するDpnIで処理し、続いてライブラリーのクローニングベクターのサイズより大きなPCR産物をアガロースゲルにより精製した。逆ロングPCRで用いたプライマーは5'-リン酸化型であるので、精製産物はその後自己連結され、大腸菌コンピテント細胞に形質移入された。コロニーは、5‘ベクタープライマーとより長い5‘配列を持つクローンを同定するための適当な遺伝子特異的なプライマーによりスクリーンされた。陽性クローンから調製されたプラスミドは配列確認された。必要ならば、前回得られた新規配列に基づいてさらに5'側の配列を得るために、本過程が繰り返され得る。
逆ロングPCRの目的は対象の遺伝子の完全配列を得ることである。
その後、全長コード化配列を含むクローンは、通常のPCRによって得た。
DNA98853の全長コード化領域をクローン化するために使用されたプライマーは、合成により得た:
正方向プライマー
5'GGAGGATCGATACCATGGATTGCCAAGAAAATGAG 3'(Cla-MD-509)(配列番号:12)
逆方向プライマー
5'GGAGGAGCGGCCGCTTAAGGGCTGGGAACTTCAAAGGGCAC 3'(509.TAA.not)(配列番号:13)
クローニングの目的のために、Cla Iサイト及びNot Iサイトが正方向プライマー及び逆方向プライマー中に含まれていた。
PCR産物の正確さを保証するために、独立のPCR反応が行われ、いくつかのクローン産物が配列確認された。
上述のように単離されたDNA配列は、DNA98853ポリペプチドの全長DNA配列(ここでは、DNA98853-1739と称する)及び、それに由来するDNA98853ポリペプチドのタンパク質配列を与えた。
DNA98853の全長ヌクレオチド配列はFig1(配列番号:1)に示してある。クローンDNA98853-1739は、ATCCに寄託され寄託番号203906が与えられた。クローンDNA98853は単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置4-6に見かけの翻訳開始部位、そしてヌクレオチド位置901−903に見かけの停止コドンを持つ(Fig1)。予測されるポリペプチド前駆体は299アミノ酸長である(Fig2)。Fig2に示した全長DNA98853ポリペプチドタンパク質は分子量約3.3キロダルトンでpIが約4.72と見積もられた。潜在的なN-グリコシル化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸74〜アミノ酸77の間に存在する。潜在的なN-ミリストイル化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸24〜アミノ酸29の間に存在する。潜在的なカゼインキナーゼIIリン酸化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸123〜アミノ酸126、アミノ酸185〜アミノ酸188、アミノ酸200〜アミノ酸203、アミノ酸252〜アミノ酸255、アミノ酸257〜アミノ酸260、アミノ酸271〜アミノ酸274、及びアミノ酸283〜アミノ酸286の間に存在する。潜在的な膜貫通部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸137〜アミノ酸158の間に存在する。現在のところ、当該ポリペプチドにはシグナル配列は含まれていないと考えられる。
全長DNA98853ポリペプチドアミノ酸配列の分析により、その一部が腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーと相同性を有することが示唆されており、このころからDNA98853ポリペプチドは腫瘍壊死因子レセプターファミリーの新規メンバーであることが示されている。TNFRファミリーに特徴的な3つの見かけ上の細胞外システインリッチドメイン[Naismith及びSprang, Trends Biochem. Sci., 23:74-79(1998)を参照のこと]が存在し、それらの最初の2つのCRDsは6つのシステインを持つ一方で、3番目のCRDは4つのシステインを持つ。
【0146】
実施例2
ヒトDNA101848ポリペプチドをコードするcDNAクローンの単離
Fig9(Incyte Pharmaceuticals LIFESEQTM デーベースより)に示すインサイトクローン509 1511H(配列番号:7)に基づいて、対象とする配列を含んでいるcDNAライブラリーを同定するために、オリゴヌクレオチドがPCRによって合成された。これらのオリゴヌクレオチドは:
正方向プライマー
5'GAGGGGGCTGGGTGAGATGTG 3'(509-1)(配列番号:8)
逆方向プライマー
5'TGCTTTTGTACCTGCGAGGAGG 3'(509-4AS)(配列番号:9)
DNA101848ポリペプチドに対する全長コード化配列を単離するために、逆ロングPCRを行った(Fig6)。PCRプライマーは通常20から30ヌクレオチドの範囲にある。逆ロングPCRにおいて、プライマー対は、5'から3'方向で、お互いに離れる方向を向くようにデザインされた。
DNA101848をクローニングするための逆ロングPCR対が合成された:
プライマー1(左側プライマー)
5'pCATGGTGGGAAGGCCGGTAACG 3'(509-P5)(配列番号:10)
プライマー2(右側プライマー)
5'pGATTGCCAAGAAAATGAGTACTGGGACC 3'(509-P6)(配列番号:11)
この逆ロングPCR反応において、鋳型はプラスミドcDNAライブラリーである。その結果、PCR産物は両端に目的の挿入配列を有し、真中にベクターの全配列を含んでいる。PCR反応後、PCR混合物は鋳型のプラスミドのみを切断するDpnIで処理し、続いてライブラリーのクローニングベクターのサイズより大きなPCR産物をアガロースゲルにより精製した。逆ロングPCRで用いたプライマーは5‘-リン酸化型であるので、精製産物はその後セルフライゲーションされ、大腸菌コンピテント細胞に形質移入された。コロニーは、5‘ベクタープライマーとより長い5‘配列を持つクローンを同定するための適当な遺伝子特異的なプライマーによりスクリーンされた。陽性クローンから調製されたプラスミドは配列確認された。必要ならば、前回得られた新規配列に基づいてさらに5‘側の配列を得るために、本過程が繰り返され得る。
逆ロングPCRの目的は対象の遺伝子の完全配列を得ることである。
その後、全長コード化配列を含むクローンは、通常のPCRによって得た。
DNA101848の全長コード化領域をクローン化するために使用されたプライマーは、合成により得た:
正方向プライマー
5'GGAGGATCGATACCATGGATTGCCAAGAAAATGAG 3'(Cla-MD-509)(配列番号:12)
逆方向プライマー
5'GGAGGAGCGGCCGCTTAAGGGCTGGGAACTTCAAAGGGCAC 3'(509.TAA.not)(配列番号:13)
クローニングの目的のために、Cla Iサイト及びNot Iサイトが正方向プライマー及び逆方向プライマー中に含まれていた。
PCR産物の正確さを保証するために、独立のPCR反応が行われ、いくつかのクローン産物が配列確認された。
上述のように単離されたDNA配列は、DNA101848ポリペプチドの全長DNA配列(ここでは、DNA101848-1739と称する)及び、それに由来するDNA101848ポリペプチドのタンパク質配列を与えた。
DNA101848の全長ヌクレオチド配列はFig3(配列番号:4)に示してある。クローンDNA101848-1739は、ATCCに寄託され寄託番号203907が与えられた。クローンDNA101848は単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置4-6に見かけの翻訳開始部位、そしてヌクレオチド位置895−897に見かけの停止コドンを持つ(Fig3)。予測されるポリペプチド前駆体は297アミノ酸長である(Fig4)。Fig4に示した全長DNA101848ポリペプチドタンパク質は分子量約3.28キロダルトンでpIが約4.72と見積もられた。潜在的なN-グリコシル化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸74〜アミノ酸77の間に存在する。潜在的なN-ミリストイル化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸24〜アミノ酸29の間に存在する。潜在的なカゼインキナーゼIIリン酸化部位が、Fig2に示されるアミノ酸配列上アミノ酸123〜アミノ酸126、アミノ酸185〜アミノ酸188、アミノ酸200〜アミノ酸203、アミノ酸252〜アミノ酸255、アミノ酸257〜アミノ酸260、アミノ酸271〜アミノ酸274、及びアミノ酸283〜アミノ酸286の間に存在する。潜在的な膜貫通部位が、Fig4に示されるアミノ酸配列上アミノ酸137〜アミノ酸158の間に存在する。現在のところ、当該ポリペプチドにはシグナル配列は含まれていないと考えられる。
全長DNA101848ポリペプチドアミノ酸配列の分析により、その一部が腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーと相同性を有することが示唆されており、このころからDNA101848ポリペプチドは腫瘍壊死因子レセプターファミリーの新規メンバーであることが示されている。TNFRファミリーに特徴的な3つの見かけ上の細胞外システインリッチドメイン[Naismith及びSprang, Trends Biochem. Sci., 23:74-79(1998)]が存在し、それらの最初の2つのCRDsは6つのシステインを持つ一方で、3番目のCRDは4つのシステインを持つ。
【0147】
DNA101848が実際に膜貫通であることをさらに示すために、DNA101848のエピトープタグ発現プラスミドの2つのバージョンが、pRK5B(実施例11を参照のこと)中に構築され、一つはN端Flagタグ(Flag-DNA101848)で、他方はC端Flagタグ(Flag-DNA101848)である。いずれかのコンストラクト(リポフェクチン試薬を用いる:Gibco-BRL)により形質移入されたMCF-7細胞(ATCC)は、M2抗Flag抗体(シグマ)により、PBS中0.5%トリトンX-100により膜透過性にした場合としない場合とで免疫染色を行った。Fig10に示すように、膜透過性にしない場合(Fig10A及び10B)、M2抗体による細胞表面染色はFlag-DNA101848を形質移入した細胞でのみ観られ、DNA101848-Flagでは観られなかった。細胞を抗Flagで免疫染色する前に膜透過性にした場合、両タイプのコンストラクトにおいて同程度の発現が観察された(Fig10C及び10D)。本実験により、明らかにDNA101848がN端領域を細胞外に、C端領域を細胞内にして細胞表面タンパク質として発現されていることが示された。従って、DNA101848はタイプIIIの膜透過性タンパク質である。
【0148】
実施例3
ハイブリダイゼーションプローブとしてのDNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAの使用
以下の方法は、DNA98853ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又はDNA101848ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションプローブとしての使用を記載する。
全長DNA98853ポリペプチドのコード化配列を含むDNA(Fig1、配列番号:1に示す通り)又はそのフラグメントは、ヒト組織cDNAライブラリー又はヒト組織ゲノムライブラリーにおける同種DNA(DNA98853の自然発生変異体など)のスクリーニングのためのプローブとして用いられる。同様に、全長DNA101848ポリペプチドのコード化配列を含むDNA(Fig3、配列番号:4に示す通り)又はそのフラグメントは、ヒト組織cDNAライブラリー又はヒト組織ゲノムライブラリーにおける同種DNA(DNA101848の自然発生変異体など)のスクリーニングのためのプローブとして用いられる。
いずれかのライブラリーDNAを含むフィルターのハイブリダイゼーション及び洗浄は、以下の高い緊縮条件で実施した。DNA98853ポリペプチドをコードする遺伝子由来の放射標識プローブ又はDNA101848ポリペプチドをコードする遺伝子由来の放射標識プローブのフィルターへのハイブリダイゼーションは、50%ホルムアルデヒド、5xSSC、0.1%SDS、0.1%ピロリン酸ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2xデンハード溶液、及び10%デキストラン硫酸の溶液中で、42℃において20時間行った。フィルターの洗浄は、0.1xSSC及び0.1%SDSの水溶液中、42℃で行った。
全長天然配列DNA98853ポリペプチドをコードするDNA又は全長天然配列DNA101848ポリペプチドをコードするDNAと所望の配列同一性を有するDNAは、この分野で知られた標準的な方法を用いて同定できる。
【0149】
実施例4
DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの大腸菌における発現
本実施例は、大腸菌中で組換体発現によるDNA98853ポリペプチド形体及びDNA101848ポリペプチド形体の調製を示す。
DNA98853ポリペプチドの発現に関しては、全長DNA98853ポリペプチドをコードするDNA配列(配列番号:1)又はフラグメント又はその変異体は、まず、選択されたPCRプライマーを用いて増幅した。DNA101848ポリペプチドの発現に関しては、全長DNA101848ポリペプチドをコードするDNA配列(配列番号:4)又はフラグメント又はその変異体は、まず、選択されたPCRプライマーを用いて増幅した。
プライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位を持たなければならない。種々の発現ベクターが用いられる。好適なベクターの例は、pBR322(大腸菌から誘導されたもの;Bolivar等, Gene, 2:95 (1977))であり、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性についての遺伝子を含む。ベクターは、制限酵素で設計され、脱リン酸される。PCR増幅した配列は、次いで、ベクターに結合させる。ベクターは、好ましくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、polyhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、polyhis配列、及びエンテロキナーゼ切断部位を含む)、DNA98853ポリペプチドコード化配列領域又はDNA101848コード化配列領域、ラムダ転写終結区、及びargU遺伝子を含む。
ライゲーション混合物は、次いで、選択した大腸菌のSambrook等, 上掲に記載された方法を用いた形質転換に使用される。形質転換体は、それらのLBプレートで成長する能力により同定され、次いで抗生物質耐性クローンが選択される。プラスミドDNAが単離され、制限分析及びDNA配列分析で確認される
選択されたクローンは、抗生物質を添加したLBブロスなどの液体培地で終夜成長させることができる。終夜培地は、続いて大規模培地の播種に用いられる。次に細胞を最適密度で成長させ、その間に発現プロモーターが作動する。
更に数時間の培養の後、細胞を採集して遠心分離した。遠心分離で得られた細胞ペレットは、この分野で知られた種々の試薬を用いて可溶化され、可溶化DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは金属キレート化カラムを用いてタンパク質を緊密に結合させる条件下で精製した。
【0150】
実施例5
哺乳動物細胞におけるDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの発現
この実施例は、哺乳動物細胞における組換え発現による、DNA98853ポリペプチド及びDNA101848ポリペプチド形体の調製を例示する。
発現ベクターとして、ベクターpRK5(1989年3月15日発行のEP 307,247参照)を用いた。場合によっては、DNA98853ポリペプチドコード化DNAを選択した制限酵素でpRK5に結合させ、Sambrook等,上掲に記載されたような結合方法を用いてDNA98853コード化DNAの挿入を行う。得られたベクターをpRK5−DNA98853ポリペプチドと呼ぶ。場合によっては、DNA101848ポリペプチドコード化DNAを選択した制限酵素でpRK5に結合させ、Sambrook等,上掲に記載されたような結合方法を用いてDNA101848コード化DNAの挿入を行う。得られたベクターをpRK5−DNA101848ポリペプチドと呼ぶ。
【0151】
一実施態様では、選択される宿主細胞を293細胞とすることができる。ヒト293細胞(ATCC CCL 1573)は、ウシ胎児血清及び場合によっては滋養成分及び/又は抗生物質を添加したDMEMなどの培地中で組織培養プレートにおいて成長させて集密化させた。約10μgのpRK5−DNA98853DNAを約1μgのVA RNA遺伝子をコードするDNA[Thimmappaya等, Cell, 31:543 (1982)]]と混合し、500μlの1mMのTris-HCl、0.1mMのEDTA、0.227MのCaCl2に溶解させた。場合によっては、約10μgのpRK5−DNA101848DNAを約1μgのVA RNA遺伝子をコードするDNA[Thimmappaya等, Cell, 31:543 (1982)]]と混合し、500μlの1mMのTris-HCl、0.1mMのEDTA、0.227MのCaCl2に溶解させた。この混合物に、滴状の、500μlの50mMのHEPES(pH7.35)、280mMのNaCl、1.5mMのNaPO4を滴状で添加し、25?で10分間析出物を形成させた。析出物を懸濁し、293細胞に加えて37?で約4時間定着させた。培養培地を吸引し、PBS中20%グリセロールの2mlを30秒間添加した。293細胞は、次いで無血清培地で洗浄し、新鮮な培地を添加し、細胞を約5日間インキュベートした。
【0152】
形質移入の約24時間後、培養培地を除去し、培養培地(のみ)又は200μCi/mlの35S−システイン及び200μCi/mlの35S−メチオニンを含む培養培地で置換した。12時間のインキュベーションの後、条件培地を回収し、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲルに負荷した。処理したゲルを乾燥させ、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの存在を明らかにするのに選択された時間に渡ってフィルムに暴露しうる。形質移入した細胞を含む培地は、さらなるインキュベーション(無血清培地)を施し、培地を選択したバイオアッセイで試験してもよい。
【0153】
それに換わる技術において、DNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAは、Somparyac等, Proc. Natl. Acad. Sci., 12: 7575 (1981)に記載されたデキストラン硫酸法を用いて293細胞に一過的に導入されうる。293細胞をスピナーフラスコ内で最大密度まで成長させ、700μgのpRK5−DNA98853DNAを添加又は700μgのpRK5−DNA101848DNAを添加する。細胞は、まずスピナーフラスコから遠心分離によって濃縮してPBSで洗浄する。DNA−デキストラン沈殿物を細胞ペレット上で4時間インキュベートした。細胞を20%グリセロールで90秒間処理し、組織培養培地で洗浄し、組織培養培地、5μg/mlウシインシュリン及び0.1μg/mlウシトランスフェリンを含むスピナーフラスコに再度導入する。約4日後に、条件培地を遠心分離して濾過し、細胞及び細胞片を除去する。発現されたDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドを含む試料を濃縮し、透析及び/又はカラムクロマトグラフィー等の選択した方法によって精製できる。
【0154】
他の実施態様では、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドはCHO細胞で発現させることができる。pRK5−DNA98853ポリペプチドベクター又はpRK5−DNA101848ポリペプチドベクターは、CaPO4又はDEAE-デキストランなどの周知の試薬を用いてCHO細胞に形質移入できる。上記のように、細胞培地をインキュベートし、その培地を培養培地(のみ)又は35S−メチオニンなどの放射性標識を含む培地で置換することができる。所望のポリペプチドの存在を測定した後、培養培地を無血清培地に置換してもよい。好ましくは、培地を約6日間インキュベートし、次いで条件培地を収集する。次いで、発現されたDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドを含む培地を濃縮し、任意の選択した方法で精製することができる。
【0155】
また、エピトープタグDNA98853ポリペプチド又はピトープタグDNA101848ポリペプチドを宿主CHO細胞で発現させることもできる。DNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAはpRK5ベクターからサブクローン化される。サブクローン挿入物にPCRを施して、ポリ-hisタグ等の選択されたエピトープタグを持つ枠に融合させてバキュロウイルス発現ベクターとすることができる。ポリ-hisタグDNA98853ポリペプチドコード化DNA挿入物又はポリ-hisタグDNA101848ポリペプチドコード化DNA挿入物は、次いで、安定なクローンの選択のためのDHFRなどの選択マーカーを含むSV40誘導ベクターにサブクローン化できる。最後に、SV40誘導ベクターでCHO細胞を(上記のように)形質移入できる。標識化を上記のように実施して発現を検証してもよい。次いで、発現されたポリ-hisタグDNA98853ポリペプチド又はポリ-hisタグDNA101848ポリペプチドを含む培養培地を濃縮し、Ni2+-キレート親和性クロマトグラフィといった任意の選択した方法で精製することができる。
【0156】
実施例6
酵母菌でのDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの発現
以下の方法は、酵母菌におけるDNA98853ポリペプチド及びDNA101848ポリペプチドの組換え発現を記載する。
第1に、ADH2/GAPDHプロモーターからのDNA98853ポリペプチドの細胞内生産又は分泌のための酵母菌発現ベクターを形成する。対象となるDNA98853をコードするDNA、選択されたシグナルペプチド及びプロモーターをコードするDNAを、選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入してDNA98853の細胞内発現を制御する。分泌のために、DNA98853をコードするDNAを、ADH2/GAPDHプロモーター、酵母菌アルファ因子分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば)DNA98853ポリペプチドの発現のためのリンカー配列とともに、選択したプラスミドにクローン化することができる。
場合によっては、ADH2/GAPDHプロモーターからのDNA101848ポリペプチドの細胞内生産又は分泌のための酵母菌発現ベクターを形成する。対象となるDNA101848をコードするDNA、選択されたシグナルペプチド及びプロモーターをコードするDNAを、選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入してDNA101848の細胞内発現を制御する。分泌のために、DNA101848をコードするDNAを、ADH2/GAPDHプロモーター、酵母菌アルファ因子分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば)DNA101848ポリペプチドの発現のためのリンカー配列とともに、選択したプラスミドにクローン化することができる。
【0157】
酵母菌株AB110などの酵母菌は、次いで上記の発現プラスミドで形質転換し、選択された発酵培地中で培養できる。形質転換した酵母菌上清は、10%トリクロロ酢酸での沈降及びSDS−PAGEによる分離、次いでクマシーブルー染色でのゲル染色により分析することができる。
【0158】
次いで、組換体DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドは、発酵培地から遠心分離により酵母菌細胞を除去し、選択されたカートリッジフィルターを用いて培地を濃縮することによって単離及び精製できる。DNA98853ポリペプチド又はDNA101848を含む濃縮物は、選択されたカラムクロマトグラフィー樹脂を用いてさらに精製してもよい。
【0159】
実施例7
バキュロウイルス感染昆虫細胞でのDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの発現
以下の方法は、昆虫細胞におけるDNA98853ポリペプチド及びDNA101848ポリペプチドの組換体発現を記載する。
DNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848コード化DNAは、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピトープタグの上流に融合させた。このようなエピトープタグは、ポリ-hisタグ及び免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域)を含む。pVL1393(Navagen)などの市販されているプラスミドから誘導されるプラスミドを含む種々のプラスミドを用いることができる。簡単には、DNA98853ポリペプチドコード化DNA又はDNA98853ポリペプチドコード化DNAの所定部分(細胞外ドメインをコードする配列等)が、5'及び3'領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。場合によっては、DNA101848ポリペプチドコード化DNA又はDNA101848ポリペプチドコード化DNAの所定部分(細胞外ドメインをコードする配列等)が、5'及び3'領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。5'プライマーは、フランキングの(選択された)制限酵素部位を包含していてもよい。生成物は、次いで、これらの選択された制限酵素で消化され、発現ベクターにサブクローン化される。
【0160】
組換えバキュロウイルスは、上記のプラスミド及びBaculoGoldTMウイルスDNA(Pharmingen)を、Spodoptera frugiperda(「Sf9」)細胞(ATCC CRL 1711)中にリポフェクチン(GIBCO-BRLから市販)を用いて同時形質移入することにより生成される。28?で4−5日インキュベートした後、放出されたウイルスを回収し、さらなる増幅に用いた。ウイルス感染及びタンパク質発現は、O'Reilley等, Baculovirus expression vectors: A laboratory Manual, Oxford: Oxford University Press (1994)に記載されているようにして実施した。
【0161】
次に、発現されたポリ-hisタグDNA98853ポリペプチド又はポリ-hisタグDNA101848ポリペプチドは、例えばNi2+−キレートアフィニティクロマトグラフィーにより次のように精製される。抽出物は、Rupert等, Nature, 362: 175-179 (1993)に記載されているように、ウイルス感染した組換えSf9細胞から調製した。簡単には、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理用バッファー(25mLのHepes、pH7.9;12.5mMのMgCl2;0.1mMのEDTA;10%のグリセロール;0.1%のNP−40;0.4MのKCl)中に再懸濁し、氷上で2回20秒間超音波処理する。超音波処理物を遠心分離で透明化し、上清を負荷バッファー(50mMのリン酸塩、300mMのNaCl、10%のグリセロール、pH7.8)で50倍希釈し、0.45μmフィルターを通して濾過する。Ni2+−NTAアガロースカラム(Qiagenから市販)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの負荷バッファーで平衡させた。濾過した細胞抽出物は、毎分0.5mLでカラムに負荷した。カラムを、分画回収が始まる点であるA280のベースラインまで負荷バッファーで洗浄した。次に、カラムを、非特異的に結合したタンパク質を溶離する二次洗浄バッファー(50mMのリン酸塩;300mMのNaCl、10%のグリセロール、pH6.0)で洗浄した。A280のベースラインに再度到達した後、カラムを二次洗浄バッファー中で0から500mMのイミダゾール勾配で展開した。1mLの分画を回収し、SDS−PAGE及び銀染色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)に抱合したNi2+−NTAでのウェスタンブロットで分析した。溶離したHis10−タグDNA98853ポリペプチド又はHis10−タグDNA101848ポリペプチドを含む分画をプールし、添加バッファーで透析した。
【0162】
あるいは、IgGタグ(又はFcタグ)DNA98853ポリペプチド又IgGタグ(又はFcタグ)DNA101848ポリペプチドはの精製は、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムクロマトグラフィを含む周知のクロマトグラフィー技術を用いて実施できる。
【0163】
実施例8
DNA98853ポリペプチド及び/又はDNA101848ポリペプチドに結合する抗体の調製
この実施例はDNA98853ポリペプチド及び/又はDNA101848ポリペプチドに特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例示する。
モノクローナル抗体の生産のための技術は当該分野で知られており、例えば、Goding,上掲に記載されている。用いられる免疫原は、精製DNA98853ポリペプチド、精製DNA101848ポリペプチド、DNA98853ポリペプチドを含む融合タンパク質、DNA101848ポリペプチドを含む融合タンパク質、細胞表面に組換体DNA98853ポリペプチドを発現する細胞、及び細胞表面に組換体DNA101848ポリペプチドを発現する細胞を含む。免疫原の選択は、当業者が過度の実験をすることなくなすことができる。
【0164】
Balb/cなどのマウスを、完全フロイントアジュバントに乳化し、皮下又は腹膜内に1−100マイクログラムで注入したDNA98853ポリペプチド免疫原又はDNA101848ポリペプチド免疫原で免疫化する。あるいは、免疫原をMPL−TDMアジュバント(Ribi Immunochemical Researh, Hamilton, MT)に乳化し、動物の後足蹠に注入してもよい。免疫化したマウスは、次いで10から12日後に、選択したアジュバント中に乳化した付加的免疫原で追加免疫する。その後、数週間、マウスをさらなる免疫化注射でまた追加免疫してもよい。抗DNA98853ポリペプチド抗体又は抗DNA101848ポリペプチド抗体の検出のためのELISAアッセイで試験するために、レトロオービタル出血によって血清試料をマウスから周期的に採取してもよい。
【0165】
適当な抗体力価が検出された後、抗体に「陽性」な動物に、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドの最後の静脈内注射の注入をすることができる。3から4日後、マウスを屠殺し、脾臓を取り出した。次いで脾臓細胞を(35%ポリエチレングリコールを用いて)、ACTTから番号CRL 1597で入手可能なP3X63AgU.1等の選択したマウス骨髄腫株化細胞に融合させた。融合によりハイブリドーマ細胞が生成され、次いで、それをHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン)培地を含む96ウェル組織培養プレートに蒔き、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害した。
【0166】
ハイブリドーマ細胞は、DNA98853ポリペプチドに対する反応性又はDNA101848ポリペプチドに対する反応性についてのELISAでスクリーニングされる。所望のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに対するモノクローナル抗体を分泌する「陽性」ハイブリドーマ細胞の決定は当該分野の技量の範囲内である。
【0167】
陽性ハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹膜内注入し、抗DNA98853ポリペプチドモノクローナル抗体又は抗DNA101848ポリペプチドモノクローナル抗体を含む腹水を生成できる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、組織培養フラスコ又はローラーボトルで成長させることもできる。腹水中に生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、それに続くゲル排除クロマトグラフィを用いて行うことができる。あるいは、抗体のプロテインA又はプロテインGへの結合性に基づくアフィニティクロマトグラフィーを用いることもできる。
【0168】
実施例9
ヒト細胞及び組織におけるDNA101848ポリペプチドのmRNAの発現を検出するためのアッセイ
ノザンブロッティングは当該技術の分野の当業者に周知の通常の方法に従って行なわれた。簡単には、ヒトポリA+RNAの正常組織ブロットマ又は腫瘍細胞系ブロット(クロンテック)は、製造者の指示に従ってハイブリダイズ化された。32P-標識プローブはDNA101848(配列番号:4)の478-903のヌクレオチドに相当するDNA断片を用いて調製した。Fig7に示すように、相対的に高い発現レベルが2つのヒト腫瘍細胞系、肺癌腫A549及びメラノーマG361において検出された。相対的に弱い発現レベルで前立腺、精巣、卵巣、甲状腺、脊髄、及び副腎組織においても認められた。興味深いことに、より小さい転写産物が胃において相対的に高い発現レベルで存在していた。
【0169】
実施例10
NF-KBの活性化
E-セレクチン遺伝子からのNF-κB応答配列を含むプロモーターに制御されるレポーター遺伝子の発現を分析することにより、DNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドがNF-κBを活性化させるか否かを決定するためのアッセイを行った。
ヒト293細胞(2x105)(10%FBS、2mMグルタミン、100マイクログラム/mlペニシリン、及び100マイクログラムのストレプトマイシンを添加したHG-DMEM中に保持)を0.5マイクログラムのホタルルシフェラーゼレポータープラスミドpGL3.ELAM.tk[Yang等, Nature, 395: 284-288 (1998)]及び0.05マイクログラムのRenillaルシフェラーゼレポータープラスミド(内部形質移入対照物として)(Promega)、並びにDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドについて示した付加的発現ベクター(上記)、及びキャリアプラスミドpRK5Dでリン酸カルシウム形質移入により一過的に形質移入し、形質移入の間で一定のDNAを維持した。24時間後、形質移入細胞を収集し、ルシフェラーゼ活性を製造者(Promega)に推奨されたように検定した。活性(3つのウェルの平均)を、ホタルルシフェラーゼ活性をRenillaルシフェラーゼの活性で除すことにより形質移入効率の相違について規格化し、付加した発現ベクターが無い場合に見られる活性に相対する活性として表現した。
【0170】
Fig8Aに示すように、FlagタグDNA101848ポリペプチドの過剰発現は有意なレポーター遺伝子活性化をもたらした。同様の活性が、DNA98853ポリペプチドに対しても観察された(データは示さず)。
以下の実験では、DNA101848ポリペプチドのみが使用された。
DNA101848ポリペプチドシグナル伝達の潜在的メディエータを試験するために、TNF-アルファ、IL-1、又はLPs-TollによるNF-KB活性化の経路に含まれる或る種の細胞内シグナル伝達分子のドミナントネガティブ変異体を試験した。
293細胞を、pGL3.ELAM.tk及び発現ベクターで(上記のように)一過的に形質移入した。さらに、以下のドミナントネガティブ形態をコードする哺乳動物発現ベクターTRAF2-DN(aa87−501);TRAF6−DN(アミノ酸289−522);及びNIK-DN[Cao等, Science, 271: 1128-1131 (1996); Malinin等, Nature, 385: 540-544 (1997); Muzio等, Science, 278: 1612-1615 (1997); Rothe等, Science, 269: 1424-1427 (1995); Ting等, EMBO J., 15: 6189-6196 (1996); Wesche等, Immunity, 7: 837-847 (1997)に記載]で細胞を形質移入した。ルシフェラーゼ活性は上述のように発現させて測定した。
【0171】
結果をFig8Bに示す。TNF-アルファ(Malinin等, Nature, 385: 540-544 (1997))、IL-1(Malinin等, 上掲)、及びLPs-Toll(Yang等, Nature, 395: 284-288 (1998))のドミナントインヒビターとして作用するNIKのキナーゼ不活性変異体の同時形質移入は、DNA101848ポリペプチドを介するNF-KB活性化を実質的に阻害した。また、N末端を欠失したドミナントネガティブTRAF-2又はドミナントネガティブTraf-6(Rothe等, Sience, 269: 1424-1427 (1995); Rothe等, Cell: 78: 681-692 (1994))もNF-KB活性化を減弱させた(Fig8C)。従って、DNA101848ポリペプチドは、主としてTNFR-2及びTNFR-6を介してNF-KBを活性化するようである。
【0172】
実施例11
DNA101848レセプターに対するリガンドの同定
ここでは「AP-EDA-A2」と呼ぶキメラ分子はアミノ酸241-389(Bayes等、上掲)を含むEDA-A2ポリペプチドのN末端に融合させたヒト胎盤性アルカリホスファターゼ(AP)を用いて調製した。APは鋳型としてpAPtag−5(Genehunter Corporation)を用いてPCR増幅により得、発現ベクター、pCMV-1 Flag(シグマ)に、EDA-A2のN末端にAPを有するように融合、クローン化した。AP-EDA-A2はヒト胎児性腎臓293細胞(ATCC)に一過的に形質移入(リポフェクタミン試薬を使用;Gibco-BRL)し、発現させた。AP-TNF-α(Penica等, 下掲)及びAP-TALL-1(アミノ酸配列136-285;国際公開第WO98/18921、1998年5月7日公開に開示;Moore等, Science, 285:260-263(1999))は同様に調製した。形質移入293細胞の条件培地はろ過(0.45ミクロン)し、20mM Hepes(pH7.0)及び1mM アジ化ナトリウムを含む緩衝液中、4℃で保存し、引き続き、細胞染色法に使用した。さらに、EDA-A2のN端Flagタグ形体はpCMV-1Flagベクターに構築された。このFlagタグEDA-A2の3量体化を促進するために、ロイシンジッパー配列[Science, 262:1401-1407(1993)]の3量体がFlagタグとEDA-A2(アミノ酸179-389を含む;Bayes等、上掲)の間にに挿入され、この構築物はFlag-LZP-EDA-A2を称した。また、FlagタグEDA-A2の他の形体はEDA-A2のアミノ酸179-389をpCMV-1 Flagベクターにクローニングすることにより作成され、Flag-EDA-A2と称した。Flag-LZP-EDA-A2又はFlag-EDA-A2はM2-アガロースゲル(シグマ)により対応する発現プラスミドを形質移入した293細胞の無血清培地から精製した。Flag-TALL-1(アミノ酸配列136-285;国際公開第WO98/18921、1998年5月7日公開に開示;Moore等, Science, 285:260-263(1999))は同様な方法で作成した。
【0173】
DNA101848レセプターに対する潜在的なリガンドを同定するために、COS7細胞(ATCC)がTNFファミリーの幾つかのリガンドの膜結合型により一過的に形質移入された(リポフェクタミン試薬による)。調べたリガンドは、APRIL、TALL-1、4-1BBL、CD27L、CD30L、LCD40L、EDA-A2、RANKL、TNF-α及びApo2L/TRAILであった。
ヒトTNF-αはpRK5Bベクター(pRK5BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 253: 1278-1280 (1991)参照)にクローン化された。細胞表面におけるTNF-αの検出には、Flagタグがアミノ酸70と71の間に挿入された(使用したアミノ酸番号付けはPennica等, Nature, 312:724-729(1981)に掲載の配列に従った)。TALL-1(アミノ酸配列75-285;国際公開第WO98/18921、1998年5月7日公開に開示;Moore等, Science, 285:260-263(1999))、4-1BBL(アミノ酸配列59-254; Goodwin等, Eur.J.Immunol.,, 23:2631-2641(1993))、CD27リガンド(アミノ酸配列40-193; Goodwin等,Cell, 73:447-456(1993))、CD30リガンド(アミノ酸配列61-234; Smith等, Cell, 73:1349-1360(1993))、RANKL(アミノ酸配列71-317;国際公開第WO98/28426を参照のこと)、Apo2リガンド(アミノ酸配列40-281;国際公開第WO97/25438参照のこと)、Apo3リガンド(アミノ酸配列46-249;国際公開第WO99/19490参照のこと)は、それぞれBamHI部位にクローン化された。この結果、TNF-αからの細胞内及び膜貫通領域を持ち、様々なリガンドの細胞外領域を持つキメラリガンドが作製された。APRIL(Hahne等, J. Exp. Med., 188:1185-1190(1998))については、Flagタグのない全長cDNAクローンが使用された。
【0174】
幾つかのリガンドで形質移入されたCOS7(ATCC)細胞はDNA101848-ECD-hFc又はTNFR1-hFc(下記に構築物を記載)と5%のヤギ血清を含んだPBS中、1mg/mlで1時間インキュベートさせた。次いで、細胞をPRSで3回洗浄したのち、PBS中4%パラホルムアルデヒドで固定した。細胞染色は、ビオチン化ヤギ抗ヒト抗体(Jackson Labs, 1:200希釈で使用)で反応させたのち、Cy-3ストレプタビジン(Jackson Labs, 1:200希釈で使用)で視覚化した。調べられた全てのリガンドのうち、DNA101848-ECD-hFcのみがEDA-A2を形質移入した細胞に結合した。Fig11に示すように、DNA101848-ECD-hFcはEDA-A2を形質移入した細胞に結合したが、TNF-Fcは結合しなかった。
可溶性EDA-A2のDNA101848細胞膜結合型への結合を示すために、COS7細胞は1mgのDNA101848(pRK5Bにクローン化されたもの)又は空のプラスミドベクター(pRK5B)で形質移入した。形質移入18-24時間後、細胞はAP-EDA-A2;AP-TNF-α;又はAP-TALL-1を含む条件培地と1時間、室温でインキュベートし、Taltaglia等, Cell, 83:1263-1271(1995)に記載されているようにインサイツでアルカリホスファターゼ活性にて染色した。Fig12に示すように、AP-EDA-A2は、DNA101848を形質移入した細胞に特異的に結合したが、AP-TNF-α又はAP-TALL-1は結合しなかった。
【0175】
可溶性EDA-A2のDNA101848-ECD-hFcへの結合を示すため、1μgの精製したFlag-LZP-EDA-A2又はFlag-EDA-A2を、DNA101848(DNA101848-ECD-hFc)又はTNFR1-hFcのECDとIgG1-Fc融合体を含む1μgの精製したヒトイムノアドヘシンと、4℃で一晩二組インキュベートした。DNA101848-ECD-hFcイムノアドヘシンはAshkenazi等, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:10535-10539(1991)に記載の方法により調製した。イムノアドヘシン構築物はヒトDNA101848ポリペプチドのアミノ酸2-154のにより構成された(Fig4参照)。DNA101848-ECD構築物は、異種性のシグナル配列(pCMV-1Flag(シグマ)のプレ- プロ トリプシンのアミノ酸1-17)を用いてCHO細胞中で発現させ、DNA101848配列の下流にヒトIgG1のFc領域をコード化させた後、プロテインAのアフィニチィークロマトグラフィーにより精製した。TNFR1-hFc構築物はAshkenazi等, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:10535-10539(1991)に記載の方法により調製した。アミノ酸1-169を含むヒトTNFRSF19-hFc(Hu等, Genomics, 62:103-107(1999))は、TNFR1-hFcと同様に調製された。リガンド-レセプター複合体は、プロテインAアガロース(Repligen)に結合されたレセプターイムノアドヘシンによる免疫沈降された。その後、免疫沈降物は抗FlagM2mAb(シグマ)を用いたウェスタンブロットにより分析された。
Flag-LZP-EDA-A2又はFlag-EDA-A2は、DNA101848-hFcに結合するが、TNFR1-hFc又はTNFRSF19-hFcは結合しないことをデータは示している(Fig13)。
【0176】
実施例12
DNA101848とEDA-A2との相互作用は、NF-κBを活性化する。
293細胞(ATCC)は形質移入の24時間前に1X105細胞/ウェルになるように12ウェルプレートにまき、0.25μgのELAM-ルシフェラーゼレポーター遺伝子プラスミド、25ngのpRL-TK(Promega)及び表示し量の各発現構築物(Fig14を参照のこと)で形質移入した。形質移入された全DNA量は空のpRK5Bを補充することで1μgの一定量に保たれた(実施例11参照のこと)。いくつかのアッセイウェルについては、Flagタグリガンド(実施例11に記載したように調製)が形質移入4時間後に表示の濃度で添加された。他のアッセイウェルにおいて、細胞は全長EDA-A2又はTALL-1(国際公開第WO98/18921、1998年5月7日公開に開示;Moore等, Science, 285:260-263(1999)に開示のの配列)と共に形質移入された。細胞は形質移入後20-24時間後に回収し、デュアル-ルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega)を用いたレポーター遺伝子の活性を決定した。低いレベル(0.1ngのように)でDNA101848のみが発現されている時には、NF-KBの最小の活性化しか観察されなかった。しかし、Flag-EDA-A2の添加又は全長EDA-A2の共形質移入によりNF-KBの活性化は顕著に増強された(Fig14)。
未形質移入の293E(Invitrogen)細胞を、Flag-EDA-A2(0.2μg/ml)で処理しても、NF-KB経路の活性化が起きた(Fig15A参照のこと)。これにつては、抗-リン酸化-IKBa抗体(New England BioLabs)を用いたウェスタンブロットにより測定された。20μg/mlのDNA101848-ECD-hFc(実施例11を参照のこと)とプレインキュベートすると、Flag-EDA-A2により誘導されるIKBaのリン酸化が消失した(Fig15B)。これらの結果はDNA101848とEDA-A2の相互作用による一つの生理的な帰結がNF-KBの活性化であることを示唆する。
【0177】
材料の寄託
次の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC), 10801 ユニバーシティ通り、マナッサス、バージニア州 アメリカ合衆国に寄託した:
材料 ATCC寄託番号 寄託日
DNA 98853-1739 203906 1999年4月6日
DNA 101848-1739 203907 1999年4月6日
【0178】
この寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に後代を入手可能とすることを保証するものである。
【0179】
本出願の譲受人は、寄託した培養物が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のもの即座に取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
【0180】
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は、文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】天然配列DNA98853ポリペプチドcDNA(ヌクレオチド1−903)の核酸配列(配列番号:1)(及びその相補的配列(配列番号:2))を示す。また、下線が付されている10〜126番目のヌクレオチド、133〜252番目のヌクレオチド及び259〜357番目のヌクレオチドによってコードされるシステインに富む3つの繰り返し配列の位置を示す。タンパク質の予想される膜貫通ドメインは図において409〜474番目のヌクレオチドによりコードされる。
【図2】Fig1に示した核酸配列のヌクレオチド1−900に由来するアミノ酸配列(配列番号:3)を示す図である。潜在的な膜貫通ドメインは図のアミノ酸137と158の間(それらを含む)に存在する。
【図3】天然配列DNA101848ポリペプチドcDNA(ヌクレオチド1−897)の核酸配列(配列番号:4)(及びその相補的配列(配列番号:5))を示す。また、下線が付されている10〜126番目のヌクレオチド、133〜252番目のヌクレオチド及び259〜357番目のヌクレオチドによってコードされるシステインに富む3つの繰り返し配列の位置を示す。タンパク質の予想される膜貫通ドメインは図において409〜474番目のヌクレオチドによりコードされる。
【図4】Fig3に示した核酸配列のヌクレオチド1−894に由来するアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。潜在的な膜貫通ドメインは図のアミノ酸137と158の間(それらを含む)に存在する。
【図5】DNA101848ポリペプチド(配列番号:6)のアミノ酸配列とDNA98853ポリペプチド(配列番号:3)のアミノ酸配列との比較整列配列を示す。比較整列配列は、DNA101848ポリペプチドにおける2つのアミノ酸のギャップを除いた配列同一性を示す。
【図6】DNA98853及びDNA101848ポリペプチドに対する全長のコード化配列を単離するために行われた、新規な逆ロングPCR法の模式図を示す。
【図7】幾つかのヒトの細胞系列及び組織におけるDNA101848ポリペプチドの発現レベルを示すノザンプロットを示す。
【図8】NF-KBの活性化を測定するためのDNA101848ポリペプチドのアッセイ結果を示す。これらのアッセにより、E-セレクチン遺伝子のNF-KB応答性エレメントを含むプロモーターにより誘導されるレポーター遺伝子の発現が分析される。
【図9】インサイトクローン509 1511H(配列番号:7)の核酸配列を示す。
【図10】Fig10A-10Dは、DNA101848レセプターの膜貫通性を決定するためにMCF-7(DNA101848のN末端もしくはC末端Flagコンストラクトを有する形質移入細胞)の免疫染色アッセイの結果を示す。
【図11】DNA101848がEDA-A2に対するレセプターであるかどうかを決定するために、COS7形質移入細胞(様々なTNF関連リガンドによる)の免疫染色アッセイの結果を示す。
【図12】Fig12A-12Dは、COS7細胞(DNA101848又は未挿入のベクターによって形質移入された)のインサイツアッセイの結果を示す。結果は、AP-EDA-A2はDNA101848で形質移入された細胞に結合するが、AP-TNF-α又はAP-TALL-1は結合しないことを示している。
【図13】Flagタグを結合させた型のEDA-A2が、DNA101848に特異的に結合するかとうかを決定するためのウェスタンブロットの結果を示す。
【図14】Fig14A-14Bは、NF-KBの活性化を決定するためのDNA101848及びEDA-A2のアッセイ結果を図示する。
【図15】Fig15A-15Bは、DNA101848及びEDA-A2のNF-KB活性化への効果を示すウェスタンブロットの結果を図示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号:3のアミノ酸残基1〜299の配列を含むDNA98853ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項2】
前記DNAが、配列番号:1又はその相補鎖の核酸配列を含む請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
前記DNAが、配列番号:1の核酸配列のヌクレオチド1−900を含む請求項1に記載の核酸。
【請求項4】
(a)ATCC寄託番号203906のcDNA(DNA98853)にコードされるものと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項5】
ATCC寄託番号203906のcDNA(DNA98853)にコードされるものと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子を含む請求項4に記載の核酸。
【請求項6】
(a)Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜Xの配列を含むDNA98853ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなり、XがFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基131−141のいずれかである単離された核酸。
【請求項7】
(a)Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜299を含むDNA98853ポリペプチドをコードするDNA配列と少なくとも80%の配列同一性を有するDNA;
(b)(a)のDNAに緊縮性の条件下でハイブリッド形成するDNA配列;
(c)遺伝暗号の縮重により(a)のDNA98853ポリペプチドをコードするDNA配列;及び
(d)(a)、(b)又は(c)のDNAに相補的なDNA
からなる群からのDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項8】
請求項1に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項9】
当該ベクターで形質転換された宿主細胞に認識されるコントロール配列に作用可能に結合した請求項8に記載のベクター。
【請求項10】
請求項8に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項11】
前記細胞がCHO細胞である請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項12】
前記細胞が大腸菌細胞である請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項13】
前記細胞が酵母菌細胞である請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項14】
請求項10に記載の宿主細胞を、前記DNA98853ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地から前記DNA98853ポリペプチドを回収することを含んでなるDNA98853ポリペプチドの製造方法。
【請求項15】
Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜299を含んでなる単離されたDNA98853ポリペプチド。
【請求項16】
ATCC受託番号203906(DNA98853)として寄託されたベクターのcDNA挿入物にコードされる単離されたDNA98853ポリペプチド。
【請求項17】
Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜Xを含んでなり、XがFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基131−141のいずれかである単離されたDNA98853ポリペプチド。
【請求項18】
(a)Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜Xを含んでなり、XがFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基131−141のいずれかであるDNA98853ポリペプチド;及び
(b)(a)の断片であり、前記断片が生物学的に活性なポリペプチドである断片
からなる群から選択されるポリペプチドを含んでなる単離されたDNA98853ポリペプチド。
【請求項19】
異種アミノ酸配列に融合したDNA98853ポリペプチドを含んでなるキメラ分子。
【請求項20】
前記異種アミノ酸配列がエピトープタグ配列である請求項19に記載のキメラ分子。
【請求項21】
前記異種アミノ酸配列が免疫グロブリンのFc領域である請求項19に記載のキメラ分子。
【請求項22】
DNA98853ポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項23】
前記抗体がモノクローナル抗体である請求項22に記載の抗体。
【請求項24】
請求項15に記載の単離されたDNA98853ポリペプチドと担体とを含んでなる組成物。
【請求項25】
前記担体が製薬的に許容可能な担体である請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
(a)Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297の配列を含むDNA101848ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項27】
前記DNAが、配列番号:4又はその相補鎖の核酸配列を含む請求項26に記載の核酸。
【請求項28】
前記DNAが、配列番号:4の核酸配列のヌクレオチド1-894を含む請求項26に記載の核酸。
【請求項29】
(a)ATCC寄託番号203907のcDNA(DNA101848)にコードされるものと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項30】
ATCC寄託番号203907のcDNA(DNA101848)にコードされるものと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子を含む請求項29に記載の核酸。
【請求項31】
(a)Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜Xの配列を含むDNA101848ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなり、XがFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基131−141のいずれかである単離された核酸。
【請求項32】
(a)Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297を含むDNA101848ポリペプチドをコードするDNA配列と少なくとも80%の配列同一性を有するDNA;
(b)(a)のDNAに緊縮性の条件下でハイブリッド形成するDNA配列;
(c)遺伝暗号の縮重により(a)のDNA101848ポリペプチドをコードするDNA配列;及び
(d)(a)、(b)又は(c)のDNAに相補的なDNA
からなる群からのDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項33】
請求項26に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項34】
当該ベクターで形質転換された宿主細胞に認識されるコントロール配列に作用可能に結合した請求項33に記載のベクター。
【請求項35】
請求項33に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項36】
前記細胞がCHO細胞である請求項35に記載の宿主細胞。
【請求項37】
前記細胞が大腸菌細胞である請求項35に記載の宿主細胞。
【請求項38】
前記細胞が酵母菌細胞である請求項35に記載の宿主細胞。
【請求項39】
請求項35に記載の宿主細胞を、前記DNA101848ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地から前記DNA101848ポリペプチドを回収することを含んでなるDNA101848ポリペプチドの製造方法。
【請求項40】
Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297を含んでなる単離されたDNA101848ポリペプチド。
【請求項41】
ATCC受託番号203907(DNA101848)として寄託されたベクターのcDNA挿入物にコードされる単離されたDNA101848ポリペプチド。
【請求項42】
Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜Xを含んでなり、XがFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基131−141のいずれかである単離されたDNA101848ポリペプチド。
【請求項43】
(a)Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜Xを含んでなり、XがFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基131−141のいずれかであるDNA101848ポリペプチド;及び
(b)(a)の断片であり、前記断片が生物学的に活性なポリペプチドである断片
からなる群から選択されるポリペプチドを含んでなる単離されたDNA101848ポリペプチド。
【請求項44】
異種アミノ酸配列に融合したDNA101848ポリペプチドを含んでなるキメラ分子。
【請求項45】
前記異種アミノ酸配列がエピトープタグ配列である請求項44に記載のキメラ分子。
【請求項46】
前記異種アミノ酸配列が免疫グロブリンのFc領域である請求項44に記載のキメラ分子。
【請求項47】
DNA101848ポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項48】
前記抗体がモノクローナル抗体である請求項47に記載の抗体。
【請求項49】
請求項40に記載の単離されたDNA101848ポリペプチドと担体とを含んでなる組成物。
【請求項50】
前記担体が製薬的に許容可能な担体である請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
哺乳動物細胞を有効量のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに暴露することを含んでなる哺乳動物細胞におけるアポトーシスを変調させる方法。
【請求項52】
哺乳動物細胞を有効量のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに暴露することを含んでなる哺乳動物細胞におけるNF-KB活性化を変調させる方法。
【請求項53】
哺乳動物細胞を有効量のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに暴露することを含んでなる哺乳動物細胞における炎症誘発又は自己免疫反応を変調させる方法。
【請求項54】
哺乳動物細胞を有効量のEDA-A2ポリペプチドアンタゴニストに暴露することを含んでなる哺乳動物細胞におけるEDA-A2ポリペプチドの生物学的活性を阻害又は中和する方法。
【請求項55】
DNA98853又はDNA101848レセプターイムノアドヘシンを含む前記EDA-A2ポリペプチドアンタゴニストである請求項54に記載の方法。
【請求項56】
イムノグロブリンのFc領域に融合させたDNA101848細胞外ドメイン配列を含む前記DNA101848レセプターイムノアドヘシンである請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリキシアルキレンを含んでなる群から選択される非タンパク質性ポリマーに結合されたDNA101848を含む前記EDA-A2ポリペプチドアンタゴニストである請求項54に記載の方法。
【請求項58】
異種アミノ酸配列に結合されたDNA101848レセプターポリペプチド又はDNA98853レセプターポリペプチドを含む前記EDA-A2ポリペプチドアンタゴニストである請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記異種配列がエピトープタグ配列である請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記異種配列がロイシンジッパー配列である請求項58に記載の方法。
【請求項61】
DNA101848レセプター抗体及びDNA98853レセプター抗体によって構成される群から選択された抗体を含む前記EDA-A2ポリペプチドアンタゴニストである請求項54に記載の方法。
【請求項1】
(a)配列番号:3のアミノ酸残基1〜299の配列を含むDNA98853ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項2】
前記DNAが、配列番号:1又はその相補鎖の核酸配列を含む請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
前記DNAが、配列番号:1の核酸配列のヌクレオチド1−900を含む請求項1に記載の核酸。
【請求項4】
(a)ATCC寄託番号203906のcDNA(DNA98853)にコードされるものと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項5】
ATCC寄託番号203906のcDNA(DNA98853)にコードされるものと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子を含む請求項4に記載の核酸。
【請求項6】
(a)Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜Xの配列を含むDNA98853ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなり、XがFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基131−141のいずれかである単離された核酸。
【請求項7】
(a)Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜299を含むDNA98853ポリペプチドをコードするDNA配列と少なくとも80%の配列同一性を有するDNA;
(b)(a)のDNAに緊縮性の条件下でハイブリッド形成するDNA配列;
(c)遺伝暗号の縮重により(a)のDNA98853ポリペプチドをコードするDNA配列;及び
(d)(a)、(b)又は(c)のDNAに相補的なDNA
からなる群からのDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項8】
請求項1に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項9】
当該ベクターで形質転換された宿主細胞に認識されるコントロール配列に作用可能に結合した請求項8に記載のベクター。
【請求項10】
請求項8に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項11】
前記細胞がCHO細胞である請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項12】
前記細胞が大腸菌細胞である請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項13】
前記細胞が酵母菌細胞である請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項14】
請求項10に記載の宿主細胞を、前記DNA98853ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地から前記DNA98853ポリペプチドを回収することを含んでなるDNA98853ポリペプチドの製造方法。
【請求項15】
Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜299を含んでなる単離されたDNA98853ポリペプチド。
【請求項16】
ATCC受託番号203906(DNA98853)として寄託されたベクターのcDNA挿入物にコードされる単離されたDNA98853ポリペプチド。
【請求項17】
Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜Xを含んでなり、XがFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基131−141のいずれかである単離されたDNA98853ポリペプチド。
【請求項18】
(a)Fig2(配列番号:3)のアミノ酸残基1〜Xを含んでなり、XがFig2(配列番号:3)のアミノ酸残基131−141のいずれかであるDNA98853ポリペプチド;及び
(b)(a)の断片であり、前記断片が生物学的に活性なポリペプチドである断片
からなる群から選択されるポリペプチドを含んでなる単離されたDNA98853ポリペプチド。
【請求項19】
異種アミノ酸配列に融合したDNA98853ポリペプチドを含んでなるキメラ分子。
【請求項20】
前記異種アミノ酸配列がエピトープタグ配列である請求項19に記載のキメラ分子。
【請求項21】
前記異種アミノ酸配列が免疫グロブリンのFc領域である請求項19に記載のキメラ分子。
【請求項22】
DNA98853ポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項23】
前記抗体がモノクローナル抗体である請求項22に記載の抗体。
【請求項24】
請求項15に記載の単離されたDNA98853ポリペプチドと担体とを含んでなる組成物。
【請求項25】
前記担体が製薬的に許容可能な担体である請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
(a)Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297の配列を含むDNA101848ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項27】
前記DNAが、配列番号:4又はその相補鎖の核酸配列を含む請求項26に記載の核酸。
【請求項28】
前記DNAが、配列番号:4の核酸配列のヌクレオチド1-894を含む請求項26に記載の核酸。
【請求項29】
(a)ATCC寄託番号203907のcDNA(DNA101848)にコードされるものと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項30】
ATCC寄託番号203907のcDNA(DNA101848)にコードされるものと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子を含む請求項29に記載の核酸。
【請求項31】
(a)Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜Xの配列を含むDNA101848ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNAを含んでなり、XがFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基131−141のいずれかである単離された核酸。
【請求項32】
(a)Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297を含むDNA101848ポリペプチドをコードするDNA配列と少なくとも80%の配列同一性を有するDNA;
(b)(a)のDNAに緊縮性の条件下でハイブリッド形成するDNA配列;
(c)遺伝暗号の縮重により(a)のDNA101848ポリペプチドをコードするDNA配列;及び
(d)(a)、(b)又は(c)のDNAに相補的なDNA
からなる群からのDNAを含んでなる単離された核酸。
【請求項33】
請求項26に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項34】
当該ベクターで形質転換された宿主細胞に認識されるコントロール配列に作用可能に結合した請求項33に記載のベクター。
【請求項35】
請求項33に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項36】
前記細胞がCHO細胞である請求項35に記載の宿主細胞。
【請求項37】
前記細胞が大腸菌細胞である請求項35に記載の宿主細胞。
【請求項38】
前記細胞が酵母菌細胞である請求項35に記載の宿主細胞。
【請求項39】
請求項35に記載の宿主細胞を、前記DNA101848ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地から前記DNA101848ポリペプチドを回収することを含んでなるDNA101848ポリペプチドの製造方法。
【請求項40】
Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜297を含んでなる単離されたDNA101848ポリペプチド。
【請求項41】
ATCC受託番号203907(DNA101848)として寄託されたベクターのcDNA挿入物にコードされる単離されたDNA101848ポリペプチド。
【請求項42】
Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜Xを含んでなり、XがFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基131−141のいずれかである単離されたDNA101848ポリペプチド。
【請求項43】
(a)Fig4(配列番号:6)のアミノ酸残基1〜Xを含んでなり、XがFig4(配列番号:6)のアミノ酸残基131−141のいずれかであるDNA101848ポリペプチド;及び
(b)(a)の断片であり、前記断片が生物学的に活性なポリペプチドである断片
からなる群から選択されるポリペプチドを含んでなる単離されたDNA101848ポリペプチド。
【請求項44】
異種アミノ酸配列に融合したDNA101848ポリペプチドを含んでなるキメラ分子。
【請求項45】
前記異種アミノ酸配列がエピトープタグ配列である請求項44に記載のキメラ分子。
【請求項46】
前記異種アミノ酸配列が免疫グロブリンのFc領域である請求項44に記載のキメラ分子。
【請求項47】
DNA101848ポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項48】
前記抗体がモノクローナル抗体である請求項47に記載の抗体。
【請求項49】
請求項40に記載の単離されたDNA101848ポリペプチドと担体とを含んでなる組成物。
【請求項50】
前記担体が製薬的に許容可能な担体である請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
哺乳動物細胞を有効量のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに暴露することを含んでなる哺乳動物細胞におけるアポトーシスを変調させる方法。
【請求項52】
哺乳動物細胞を有効量のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに暴露することを含んでなる哺乳動物細胞におけるNF-KB活性化を変調させる方法。
【請求項53】
哺乳動物細胞を有効量のDNA98853ポリペプチド又はDNA101848ポリペプチドに暴露することを含んでなる哺乳動物細胞における炎症誘発又は自己免疫反応を変調させる方法。
【請求項54】
哺乳動物細胞を有効量のEDA-A2ポリペプチドアンタゴニストに暴露することを含んでなる哺乳動物細胞におけるEDA-A2ポリペプチドの生物学的活性を阻害又は中和する方法。
【請求項55】
DNA98853又はDNA101848レセプターイムノアドヘシンを含む前記EDA-A2ポリペプチドアンタゴニストである請求項54に記載の方法。
【請求項56】
イムノグロブリンのFc領域に融合させたDNA101848細胞外ドメイン配列を含む前記DNA101848レセプターイムノアドヘシンである請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリキシアルキレンを含んでなる群から選択される非タンパク質性ポリマーに結合されたDNA101848を含む前記EDA-A2ポリペプチドアンタゴニストである請求項54に記載の方法。
【請求項58】
異種アミノ酸配列に結合されたDNA101848レセプターポリペプチド又はDNA98853レセプターポリペプチドを含む前記EDA-A2ポリペプチドアンタゴニストである請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記異種配列がエピトープタグ配列である請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記異種配列がロイシンジッパー配列である請求項58に記載の方法。
【請求項61】
DNA101848レセプター抗体及びDNA98853レセプター抗体によって構成される群から選択された抗体を含む前記EDA-A2ポリペプチドアンタゴニストである請求項54に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−97953(P2011−97953A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−1482(P2011−1482)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【分割の表示】特願2000−611680(P2000−611680)の分割
【原出願日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1482(P2011−1482)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【分割の表示】特願2000−611680(P2000−611680)の分割
【原出願日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】
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